【R-18】「やはり俺の大学生活は爛れている」
奉仕部の面々が大学に進学し、爛れた半同棲生活を送るだけのSSです。
こんな学生生活送ってみたかったなぁ、と思いつつ書いてます。
基本的には、季節ごとに短編で区切っています。
更新はだーいぶ不定期です。一応結末まで考えてはありますが、書ききる目処はたってません(笑)
よろしければ、感想お待ちしています。
8/4更新。やっと6話の修正終わりましたすんません……。
「あたしが勝ったら、全部貰う。ずるいかもしんないけど……。それしか思いつかないんだ……。
ずっと、このままでいたいなって思うの」
随分と、なつかしい夢を見た。
微睡みの中で、かつての思い出に浸る。
柔らかな午睡の歓びに弛緩し切った俺の体を、背中への不意打ちが襲う。
「ヒッキー!もう講義終わってるよ!」
「あ? うわ、マジかよ……」
急速に現実に引き戻された意識と、まだぼんやりと輪郭を捉えきれていない視界で、講義室を見渡す。
確かに、すでに室内には俺ともう一人のみ。
「もー、一緒に帰ろうと思って正門で待ってたのに!」
「悪かったよ……」
ぷりぷりと怒る由比ヶ浜の感情に合わせて、肩まで伸びた髪が揺れる。
そういや、こいつの髪もずいぶん伸びたな。伸ばし出してもう一年くらいか?
「ほら、はやくいこっ」
「わかった、わかったから腕を無理矢理引っ張り上げるな!」
当たるんだよ!その、あれだ、母性の象徴が!
紅潮する俺に、それでもまだしがみ付きながら、由比ヶ浜は言う。
「ヒッキー、いまさらこんなんで照れなくてもいいじゃん」
「ばっかお前、こういうラッキースケベってのは別枠だろ。
18歳超えて店頭で堂々と買える年になっても捨てられてるエロ本は何故か拾いたくなるのと同じだ」
「いやいやいや、そのたとえよくわかんないし、とりあえずキモい」
ぐだぐだと他愛もない会話を続けながら、夢に見たあの日と同じ、優しい色をした夕暮れが照らす中で、俺たちは帰路についた。
————————
「たっだいまー!」
玄関のドアを元気よく開け放ち、由比ヶ浜はリビングに向かって行く。
あのガハマさん?毎度思うけどここの家主俺だかんね?
ちょっと我が者顔過ぎだと思うの。
まあこんなツッコミも今更過ぎて口を出ないがな。
第一志望の文系私大に無事合格した俺は、入学と同時に一人暮らしを始めた。
学生向けのボロアパートとはいえ、費用を出してくれている親には、以前に輪をかけて頭が上がらない。
ありがとうパパン、ママン。息子は今日も元気にサボタージュをキメました。
が、問題が一つある。
それは————
「お帰りなさい、由比ヶ浜さん、もうすぐ出来るから、先に手洗いをしてきてね」
「ただいまゆきのん!わっ、今日はパスタだー」
こいつらが入り浸っている点だ。
「あら、ダメよ由比ヶ浜さん、ここはペット禁止なんだから、拾ってきた場所に捨ててきなさい?」
「家主をナチュラルに野生動物扱いはやめてもらえませんかね」
相も変わらずの罵倒を聞き流しながら、俺は手荷物を適当に自室に放り投げる。
ふと、自室のベッドがやけに小綺麗に掃除されていることに気付く。
「今日は私の方は半日で終わったから、ベッド、洗っておいたわよ」
キッチンで作業をしている雪ノ下から声がくる。
「あー、確かに毎日アレだと、ばっちいもんねー」
「ええ、なかなか頑固なヨゴレだったわ」
嫌味ったらしい言い草で、雪ノ下はこちらに皮肉を寄越す。
いや、汚れの何割かはお前らのせいだろ。
どうせ聞き入れられない抗議は飲み込んで、手洗いを済まし、席につく。
「それじゃ」
「「「いただきます」」」
三人での夕食も、すでに当たり前の日常になりつつある。
つうか、雪ノ下の飯に胃袋を完全に掌握されているというべきだろう。こいつマジで料理上手すぎて、専業主婦志望の身としては自信を完全粉砕される毎日である。
「そだ、聞いてよゆきのん。ヒッキーまた講義で居眠りしてたんだよ?」
「ばっかお前、睡眠学習って知らねーの?」
「呆れた……、あなたいい加減その堕落した性根を改める気はないの?」
「毎日寝る時間が遅いからな、どっかの誰かさん方のおかげで」
冗談めかして言い返してみると、二人とも仲良く硬直した。なんでや。
「……ヒッキーのえっち」
「そもそも私たちはきちんと講義を受けているのだから、睡眠時間は言い訳にはならないわ。
仮にその、夜の件が響いているのだとしたら、あなたの体力に問題があるだけじゃない?」
頰に朱を差しながら、矢継ぎ早に反論される。
照れ隠し下手すぎじゃないですかね。
恥ずかしいのはお互い様なので、残りのパスタをかっこんで、さっさと風呂に退散するとしよう。
「ごっそさん」
「あ、こら待ちなさい」
「ヒッキーが逃げた!」
追及を逃れて、風呂場に直行する。今となっては、トイレとここぐらいしか安置ねぇからな。世のお父さん方の肩身の狭さが身にしみるようだ。
姦しい非難を背に浴びつつ、俺は脱衣所で服を脱いだ。
————————
一番風呂を浴び終えて、こっからはひたすらベッドでごろつくだけだ。
あ〜、お日様のかほりが気持ちええんじゃ〜。
「お待たせー」
うつ伏せでスマホをいじいじしていると、背後から由比ヶ浜の声が聞こえてきた。
「いや、別に待ってな、い!?」
振り返ると、そこには一糸纏わぬ姿の由比ヶ浜と雪ノ下がいた。
「ちょっと待て、どういうことだ」
「二人で一緒に入ったのよ」
バスタオルで髪を梳きながら、裸身を晒した雪ノ下が答える。おかしいな、質問の意図が伝わってないよ?
「時間は節約しないとね!」
そう言って、由比ヶ浜は胸を張った。すごい、なんというか、振動すごい。
「んふふー、今からすれば、ちゃんと寝れるでしょ?」
「それぜってーしてる時間が長くなるフラグだろ……っておい」
俺が反論するのを待たず、由比ヶ浜はしなだれかかってきた。
何も身につけていない体は、風呂上りの火照りを如実に伝えてくる。
胸板に押し付けられ、たわんだ双丘の感触を知覚して、俺は抵抗する気も失せ、そのまま二人してベッドに倒れこんだ。
「ヒッキー……」
「ん……」
切なげな表情でせがまれ、やや乱暴に唇を重ねる。
全身を密着させながら、互いに競い合うような口吸いの音が湿って響く。
「ぷはっ、はふ、ヒッキー激しいって」
「人のこと言えませんよねガハマさんや……」
「蚊帳の外にするとはいい度胸ね、ネチ谷君?」
由比ヶ浜とのキスに気を取られている隙に、雪ノ下の手によって俺の下半身は丸裸にされていた。
何この子、一番ヤル気じゃない。
「わぁ、ヒッキーのもうこんなに……」
「相変わらず堪え性のない愚息ね?」
散々な言い様で人のジュニアこき下ろす雪ノ下は、一息でそれを咥え込んだ。
「んぷっ、じゅる……、ちゅ、じゅぷっ」
明らかにわざと大きな水音をさせながら、雪ノ下はストロークを続ける。
時折、舌を裏筋や亀頭に這わせたり、空いた手で玉を撫でさすられ、そのたびに脊髄に直接電流が走る。
「おまっ、ちょっと待てっ」
「くちゅ——ふぁら、ふぉのへいどでねをあげふの?」
咥えながら喋るとか反則だろ……!
「こっちも〜えいっ」
覆い被さるように、由比ヶ浜が胸を顔面に押し付けてくる。
「ほーら、ぱふぱふ〜」
からかうような声とともに、由比ヶ浜は上半身を小刻みにくねらせる。
無軌道に揺れる大きな膨らみが、視界いっぱいに広がり、甘い香りが直接鼻腔に染み渡る。
「えへへ、どう?きもちいー?」
「ちゅぷ、じゅ……ろほつにおおひくなったわ」
どうやら若干おかんむりになられた雪ノ下さんは、さらに激しく竿にしゃぶりつく。
口内で舌を不規則に動かしながら、絞るように吸い上げられ、一気に限界が近づいてきた。
「くぁ……、っ!」
「ヒッキー、もう出ちゃう?なら……」
一度、顔から乳房が離れ、それもつかの間、今度は俺の頭を抱きしめるようにして、さらに押し付けられた。
そして、耳元に吹きかけるように、
「……イっちゃえ♡」
囁くような由比ヶ浜の声と同時、雪ノ下が喉の奥で締め付けるように、俺の一物をきつく咥え込んだ。
目の奥で火花が散るような錯覚を覚えながら、雪ノ下の口内に射精した。
放出感と虚脱感が大挙して脳を制圧していく。
「ダメね、やっぱり飲めそうもないわ」
そう言って、雪ノ下は自分の手のひらに精液を吐き出していた。
えぇ、飲むつもりだったのか……。
「すごい苦いもんねー」
うんうんと頷きながら、由比ヶ浜が同意を示す。そんなにか。
「それで、一向に収まる気配がないのはなぜかしら?」
つつっ、と。雪ノ下の細い指が、まだ存在を主張し続けるマイ・サンに這わせられる。
「いやほら、これはアレだ、若さの証だ」
「その言い回しからは若さを欠片も感じないのだけれど。
素直に一回では満足できないほど、性欲の塊なのだと自白したらどうかしら?」
「人を獣か何かみてぇにいうんじゃねぇよ。
いや確かに反論も余地はないが」
「じゃー次は、こっちだね?」
由比ヶ浜が、俺の手を引っ張って自分の秘所に触れさせる。
触れると、すでに蜜壷は十二分に湿り気を帯びていた。
人差し指と中指で、割れ目をなぞるように、浅い所を緩やかにかき回す。
動かすたびに、粘度のある液体が指を伝う。
「んっ、ヒッ……キー……」
もどかしそうに腰を揺らす由比ヶ浜は、だいぶ我慢していたのか、少しの刺激だけで小刻みに体を震わせる。
「ほら、つけてあげるわ」
そう言ってゴムを取り付ける雪ノ下の所作は、こういう関係になった当初と比べると、随分手慣れた印象を受ける。
最初はそらもうおっかなびっくりで、恥ずかしい話、興奮してしまいましてね……。
え、今ですか?こっちはこっちで興奮しますが?
普段は品行方正なのに夜になると積極的、いいと思います。
「入れる、ね?」
待ちきれないとばかりに、由比ヶ浜が俺に跨る。
つぷ、と。
短く音がした後、重力に引かれるままに、由比ヶ浜は腰を下ろした。
「んぅ、おっき……い」
ぐちゅぐちゅと淫らな水音を立てながら、苦悶と恍惚の入り混じった表情を浮かべて、由比ヶ浜はゆっくりと腰を動かし始める。
向かい合い、密着しながら油送を早めていく。
「やっ、あぁ!奥、深……ぃとこ、いいのぉ!」
濡れぼそった膣内は、最奥を小突くたびに収縮し、波のような快感が襲いかかってくる。
「お前っ、締めすぎだっつの……!」
「だっ、て、無……理、んああ!」
互いに文句を言い合いつつも、加速度的にピストンの速度が上がっていく。
奥を貫くたびに、痛いほどに閉まる膣内が、由比ヶ浜の余裕の無さを示していた。
抜き差しを繰り返す度、花唇から溢れた痴液が茎を伝う。
「ふ、ぅうっあ!いい!気持ち、いいぃ!」
押し寄せる快感に喜悦の声をあげて、縋り付く由比ヶ浜が、さらに蜜壺を締め付けてくる。
「だめっ……っもう!」
叫ぶように言って、由比ヶ浜はひときわ躰を震わせる。
しがみついたまま、絶頂の波が引くまで、二人分の荒い息だけが部屋を満たしていた。
「っ……はぁ、は……ぁ」
「その、大丈夫か?」
「ん……だいじょぶ。ゴメンね、あたしだけ先に」
「いやまぁ、俺の方が先に済んでたしな」
でなきゃ、間違いなく先に俺が限界でしたね。八幡の八幡、そこまで長持ちしませんからね。ちくしょう、自分で言ってて死にたくなるわ。
「……んしょっ」
自分の中に収まっていたモノを引き抜くように、由比ヶ浜は腰を上げる。
まとわりついた愛液と、ゴムの質感が合わさった一物は、いまだ滾りを主張し続けている。
「……まだ収まる気配はないわね、もしかして、比企谷君の生命力はほとんどここに集約されてるのかしら」
さっきまで俺と由比ヶ浜の情事をしげしげと見入っておきながら、辛辣な発言は留まることをしらない様子の雪ノ下さんである。
が、彼女も大概焦れているようで、すでに内腿の動きが忙しない。これで本人は隠してるつもりだもんなぁ。
「顔赤くしながら何言ってんすかねぇ、アレなの?新手のムッツリなの?」
「ゆきのんはいつでも初々しいしくて可愛いーなー」
余韻から戻った由比ヶ浜が、雪ノ下にまとわりつきにいく。
「ちょっ、由比ヶ浜さん、暑い」
「運動した後だからねー、うりうり」
…………なんでこう、裸の美少女同士のじゃれ合いというのは、素晴らしいんだろうな。
もういっそ、このまま観葉植物にでもなったとしても悪くねーなと思えてしまうほどの見事な百合空間である。
「ま、我慢できずに混ざるんですがね」
「ちょっ、何を……」
由比ヶ浜に手こずっている隙をついて、雪ノ下の腰を無理矢理こちらに引き寄せる。
上手いことこちらに突き出された、陶器のような白く小振りな尻に、未だ抜刀状態のモノを擦り付ける。
「くっ、比企谷君のくせに小癪な……」
「ゆきのんちょっと嬉しそうだね、結構我慢してた?」
「っ、そんなわけーーーー」
由比ヶ浜の思わぬ指摘に図星を突かれてもなお、否定を述べようとするので、すこしだけペニスを押し込んでみる。
「〜〜〜〜!?」
媚肉は易々と押し開け、亀頭までが入り口に収まった。
「この容易さはちょっと問題じゃないっすかね、雪ノ下さん?」
「〜〜黙っ、り……なさ、いっ」
シーツに顔を押し付けて、雪ノ下は声を震わせる。
いやお前、悦んでるのバレてますかんね?顔隠しても耳が真っ赤だっつの。
「動くぞ」
「やっ、待って————ひっ、ぁん!」
ずぷ、ずぷ、と。
波のように、押しては引いての動作を開始する。
入り口はかなり窮屈な割に、奥はまったりと纏わり付くような雪ノ下の膣内は、すでに粘液と熱を多量に帯びていた。
「はっ、う……はぁ、ぁっ」
四つん這いで体を揺らす雪ノ下の嬌声は、既に抵抗の色を失い、押し寄せる快楽に身を委ね切っている気配があった。
こいつバック好きすぎやろ……、なんでこんなあっさり堕ちますかねぇ……。
「ゆきのんきもちいー?」
顔を覗き込むように、由比ヶ浜は問いかける。言葉責めっすか。
「……ぃい、」
「んー? もっとおっきな声で」
「いい……きも、ち……いい、っの」
小声でそう零し、雪ノ下は羞恥と快感に身悶えする。
その白い背中はうっすらと赤みが差して、汗が雫のように流れている。
腰を打ち付けるたび、勢いを受け止めきれずに全身が揺れる。
「待って……もう、私……」
散々待たされたお陰か、雪ノ下が限界を告げる。
正直な所、いい加減に俺もキツイので、ペースを上げるとしよう。
「っ……!?んあ、あっ、あっ、ぁあ!」
雪ノ下の尻をしっかりホールドし、ストロークを限界まで早める。
珠のような汗を浮かべた背筋が一層跳ねて、雪ノ下は反射的に、シーツに突っ伏していた顔を上げて仰け反った。
「ぁ……っ、もぅ——っ!」
「ゆきのんイキそ? なら……」
蠱惑的な笑みを浮かべて、由比ヶ浜が雪ノ下と唇を重ねた。
「ぅ、ふむぅっ!?」
「ちゅ、ん……ふ」
雪ノ下の頬を両手で固定し、由比ヶ浜は半ば強引に口吸いを続ける。
唇を吸い、舌を絡ませ、唾液を啜る、有り体に言えば、ディープキスである。
諸君、あえて繰り返して言おう、美少女同士の、ディープキスである。
目の前で繰り広げられる倒錯的な展開に視覚的に刺激され、否応なく俺の動きも速くなる。
「ん、ちゅぅ、う、んっーー!!」
一際大きな嬌声を上げて、雪ノ下の全身が強張る。
ほぼ同時、俺も限界を迎えた。
虚脱感が脳幹に染み込むような余韻に浸りつつ、ゆっくりと竿を引き抜く。
「っは、はぁ……」
「相変わらず体力ねーな」
「うる……さ、いわ、ね」
精魂尽き果てたと言わんばかりに仰向けで裸身を横たえる雪ノ下は、こちらの皮肉にも対応しきれないほど疲弊していた。
「でも、朝起きたらちゃんとしてるんだよね」
「まぁそれは確かに」
毎晩こんな感じで乱れまくっても、朝起きたら俺たち二人を叩き起こすくらいに回復しているのだ。
まぁこの辺りは、体力云々よりも、これまでの生活習慣と性格そのものの問題だろう。
「さて、と」
時計を見ると、時刻は午後11時42分を指し示している。普段と比べるとかなり早い時間だ、ここから寝れば、明日は寝不足によって脳を強制シャットダウンされることもなかろう。
「いい時間だし、そろそろ————」
「じゃ、もう一回しよっか!」
そう言って、由比ヶ浜が覆いかぶさってくる。
「こんな勝ち逃げみたいなままで眠らせるわけがないでしょう?」
ベッドの上でも負けず嫌いとか、筋金入り過ぎませんか雪ノ下さん。
うん、知ってた。はちまん、こういう流れになるってわかってた。
————————
「——今何時だ」
汗だくのまま、三人仲良く、川の字でシーツに寝っ転がる。
「……1時半ね」
「結局いつもと変わんないねー」
ねー、じゃねぇ。
「はぁ、もう寝るぞ」
「はーい」
「ええ、おやすみ」
ところどころ濡れたシーツ、薄暗い室内に漂う情事の残り香、重なりあった体同士が伝える熱で、互いの存在を確かめる。
一度終わって、また始め直した俺たちの時間はこんな感じで、今の所は過ぎていく。
「爛れすぎだろ……」
「今更、よ」
「あはは……」
半ば諦めたような呟きを残して、今日も一日が終わった。
『二年生編 春』
—了—
雨の音が、窓ごしに静かに響いていた。
「あっ、あっ! そこ、いいっ!」
しずしずとした外界の雨音とは対照的に、寝室には粘り気のある水音と、艶のある声が満ちている。
豊満な胸を重力に晒すように、四つ足をついた由比ヶ浜は体を前後に揺らしている。
いや、揺らしてるっつーより、揺らされていると言うべきなのだろうな。俺に。
「あ——う、も……ダメっ!」
短く悲鳴にも似た声をあげ、由比ヶ浜は崩れ落ちた。
糸が切れたように、後背位の姿勢からうつ伏せにシーツに倒れ込み、その勢いで、硬さを保ったままの剛直が引き抜かれる。
「はぁ、はぁ、ヒッキー……まだイッてない……?」
「あら、いつもよりはそこそこ堪えたわね」
「まるで普段は早漏みたいな言い方すんじゃねぇよ」
違うよね?
え、マジでそこまで早いわけではないよね?
「うーん、ヒッキーとしかしたことないからあんまりわからな——」
「確かに私も比較対象はいないけれども、他の人の話を聞いた情報を統合すれば、おそらく比企谷くんは早い部類に入ると思われるわ」
身を起こして、健気にも俺の沽券を守るために話を濁そうとした由比ヶ浜の気遣いを遮り、雪ノ下はばっさりと切り捨てた。
「おいおい、正確さがモットーの雪ノ下さんともあろうが軽率だな。
たかが他人の話を根拠に俺の早さを決めるとは」
「確かにそうね、目に見える形で論拠を提示しないのでは、妄想と変わらないわ」
「わかってくれたか、ならやっぱ俺は早漏じゃねーってことで————」
「では、今から証明するしかないわね」
ずずい、と真剣な顔で、雪ノ下がこちらに詰め寄る。
怯んで上半身を引いた俺の腰にひざ立ちでまたがり、いまだ衰える気配のない息子さんに膣口が押し当てられる。
「…………おい、結局したいだけじゃねーか」
「あら、心外ね。私はただ純粋に、自分の論理を証明したいだけよ?」
素っ裸の状態で、しかも股間を擦り合わせながら純粋とか言われましても、説得力の欠片もないんですがねぇ……。
「はーいはい、ゆきのんも最近、ヒッキーの捻デレさんがうつってきたねー、と」
「ちょ、由比ヶ浜さ、待——!」
「おま、急に——」
会話についてこれなくなった腹いせか、由比ヶ浜は雪ノ下の両肩を押さえ、そのまま下向きに力を加えた。
当然、雪ノ下は全身で下降し、一気に腰のモノが挿入される。
勢いのまま子宮口に先端が一瞬ぶつかり、いきなり強烈な刺激がまぶたの奥で弾けた。
「あっーー、ひっあ、あああ!!!」
押さえられた状態でろくに身じろぎも出来ず、雪ノ下は絶叫する。
顔は一気に紅く染まり、だらしなく開いた口元と、しびれたように震える目がやけに扇情的だ。
「……おいおい、えらい乱れようじゃないっすか」
「らって、こん、なの…………」
呂律のまわっていない弁明に付き合うのもメンドイので、悪戯交じりに下から小突いてみる。
「ひんっ、や、あっ」
2回、3回と。リズミカルに突き上げる。
繋がった場所からは既に愛液が溢れ、水たまりを踏んだ時に似た音が連続する。
「人がっ、喋って、っる……途中……あっ、あぅ!」
「そう言いながら、ゆきのんも動いてるよねー」
そう言う由比ヶ浜さんは地味に体重掛けてますねー、お前雪ノ下に対してだけSになるのやめろよ、興奮する。
「ちがっ、これは……」
「ふーん? 素直にならないゆきのんにはお仕置きだね?」
嗜虐的な色を顔に浮かばせた由比ヶ浜は、雪ノ下の首に抱きつき、更に体重を掛ける。
雪ノ下ごしに、由比ヶ浜の上半身分の加重が伝わる。
そして、ただでさえかなり奥まで挿入されていたペニスが、更に奥、おそらくは子宮を圧迫する位置まで到達した。
「あ————、ぁああああ!」
もう意味のある音を出すことすらできなくなった雪ノ下の口からは、唾液が止めどなく流れるのみ。
急速にオルガズムに達した膣内は急激に狭まり、痛みすら覚える締め付けが襲いかかってくる。
「く、おっ……!」
唐突な射精の感覚に硬直したままの俺に、雪ノ下と由比ヶ浜が重なりながら倒れ込んできた。
三人仲良くサンドイッチ状態でシーツに寝転んでいる様は、我が事ながらどうかと思う。
「はぁっ、はぁっ、はっ、っぁ————」
「無茶苦茶やりやがって……」
「えへへ……ごめん」
放心状態で荒い息を吐き続ける雪ノ下を、若干申し訳なさそうに由比ヶ浜が上から抱きしめる。
圧迫感が更に増して、6月の蒸し暑さと相乗効果でむせ返りそうになった。
「暑いっつの。 もうそろそろ風呂入るぞ、気付いたら昼だ」
「あー、もう土曜はいっつもこんな感じだねー」
「朝っぱらから今までこのクソ暑い部屋で何してんだ俺ら……」
まあナニをしてるんですよね。
ダメだ、暑さで頭のおかしいことしか考えられてない。
「とりあえずお前らどけって。
さすがに汗とかいろいろなもんでベッタベタになりすぎだ」
「…………」
「おい?」
「ゆきのん、寝てる?」
俺の上に被さったまま、気づけば雪ノ下は眠っていた。
つーか、気絶していた。
「どうすんだこれ……」
「じゃーもうちょっとこうしてよっか!」
「この室温の中でよく言えるなお前……」
「えへへぇ」
「ほめてねーかんな?」
おっかしいなー、俺と同じ大学受かるくらいお勉強頑張ってたのに、由比ヶ浜さんのアホ度が増してる気がするよー?
幸せそうなだらしない笑顔で、由比ヶ浜は完全に脱力して身を預けてくる。
三人分の密着は、暑苦しさと妙な居心地の良さが同居していた。
————————
「…………」
「ご、ごめんって、許してよー、ゆきのーん」
「…………ふんっ」
まとわりつくように謝罪を重ねる由比ヶ浜に、雪ノ下の返答はそっぽを向くのみだった。
取りつく島もない。
あれから小一時間ほど休憩した後、雪ノ下は目を覚ました。
が、そこから風呂に入り、遅い昼食を終えた現在まで、雪ノ下さんのご立腹モードは解除されていない。
不貞腐れたようにリビングのソファに陣取り、特大のパンさんぬいぐるみを抱きしめている。
「もうそろそろ勘弁してやれよ……」
「あら? 一緒になって私をさんざん辱めたゲス谷君が何か言っているわね」
やっべ、怒りの矛先こっちにも向いてた。
「……いやほら、お前激しい方が好みだし」
つい、そんなことを口走ってしまう。
「なっ、そんなわけないでしょう! 乱暴に扱われて喜ぶなんて、私にそんな趣味はないわ。 だいたい————」
うっかり図星を指摘してしまったせいで、雪ノ下があからさまに狼狽する。
いかん、これ説教が長引くやつだ。
「うん、確かにゆきのん、Mだよね」
「由比ヶ浜さん!?」
わぁ、援護射撃はありがたいですが、それ致命傷ですよガハマさん。
「バックでしてる時が一番、その、締まりいいしな」
「あなたも何を言っているの!?」
面白いのでノッてみた。
予想外の指摘が二方向から飛んできて、雪ノ下の混乱は端からみても相当な有様だ。
「二人とも、暑さでどうかしてるわ……」
わなわなと羞恥で震え、顔全体を赤色にした雪ノ下が、珍しく悔し紛れの台詞を吐く。
「ま、この暑っ苦しい気候のせいでもあるわな」
「もう夏だもんねー。 あ、そだ! もうすぐ梅雨明けだし、プール行こっ!」
「「却下」」
迷いはなかった。
「シンクロしてまでっ!? 二人ともどんだけ嫌なの!?」
「シーズン中のプールとか、完全に拷問じゃねえか」
「同感ね。 暑い時期にわざわざ人口密度の高い場所へ行くメリットがないわ」
とくせい:ぼっち、の俺らに反対され、風向きの悪くなった由比ヶ浜は拗ねたように唸る。
「うー、たまには三人でどっか行ーきーたーいー!」
「ま、そのうちな」
「ええ、そのうちね」
「それ絶対行かないやつじゃん!」
いつも通り、消極的にも程がある俺と雪ノ下のセメント対応に由比ヶ浜が不満気にツッコむ。
出会った当初と変わり映えのしない、相変わらずなこのやりとりが、夕方の傾いた陽射しと合わさり、ほんの少しの懐かしさが胸を突いた。
『二年生編 夏』
—了—
秋。
夏の残暑も鳴りをひそめ、少しばかりの肌寒さが心地いい気候の季節である。
食欲の秋や運動の秋、芸術の秋という表現があるように、多様な過ごし方をもたらす、正しく実りの季節と言えるだろう。
日中の日差しと、やや低めの外気が混ざり、暖かくて涼しい、というバランスのとれた秋晴れの平日。
「…………」
室内には、ひたすら読書に勤しむぼっちが二人。
時折、捲られたページの掠れた紙の音しか立たないリビングに、それぞれの場所に陣取った俺と雪ノ下がいた。
マッ缶片手に文庫本へ目を落として、心ゆくまで物語に没頭する。
手に触れる紙片の感触と、喉を通るMAXコーヒーの甘味は、まさしく至福の組み合わせである。
少し離れたソファにいる雪ノ下も、だいたい似たような状況だ。パンさんぬいぐるみ(特大)をがっつり抱えながら読書している点以外は。
互いに無言のまま、時間とページだけが消化されていく昼下がり。
大学生の何が良いって、時間割を自分で決められる所ですよね。
おかげで今期の俺は、水金が半ドンで木曜が休日である。月火? 7限くらいまで詰め込みましたね(白目)。
本日は金曜日、なので俺は時間割に従い、堂々と昼間に帰宅した。
そして雪ノ下は、月から木までを満遍なく履修し、金曜日を休みにしている。使える時間はまとめて、効率良く使いたいそうだ。
そして、ここにはいない由比ヶ浜だが、基本的には俺に合わせて履修している。学部違うから色々面倒もあるだろうに。
まあその、理由は察してるんだが。あいつどんだけしたいんだよ。
んで、その由比ヶ浜はなぜ今ここにいないのか。
秋。
それは大学祭の季節だからである。
由比ヶ浜の八方美人ぶりは、高校時代からさらに磨きをかけ、もう人タラシと言うべき段階まで昇華されている。
そのお陰で、大学祭開催を明日に控えた本日、由比ヶ浜は多数のサークルに助っ人を頼まれ、キャンパスのあちこちを走り回っているのだ。
どうやら、泊まり込みで準備をするらしい。楽しそうっすね。
俺?
そもそもいかねーから。強制じゃないなら不参加、強制されても不参加するまである。
だいたい、高校までとは違い、クラスという概念が希薄な大学では、俺のようなステルススキルをパッシブで使ってるような人間はほぼ誰からも認識されない。
そんなわけで、せっせとウェイウェイ言いながら作業を続けているであろうリア充共に1ミリ程のエールを送りつつ、優雅に読書タイムに勤しんでいるわけだ。
「ふむ」
ぱたん、と。
ハードカバーが閉じる音に目を向けると、本を読み終えたのか、雪ノ下がこちらを向き、言った。
「比企谷君、SMをしましょう」
「ごぶっ!?」
ちょうど、MAXコーヒーを口に含んでいたのが災いした。
吹き出しこそしなかったものの、気管に入った甘い液体が、喉の働きを著しく阻害する。
「えっほ、ごほ! お前、何を急にトチ狂ったことを————」
「失礼ね、私は正常よ。 以前、あなたと由比ヶ浜さんが私をマゾだと、不当な評価をしたこと、覚えてるかしら?」
「ああ、梅雨の時のか」
そういや、数ヶ月前にそんな話をしたような……。
あれ、なんか妙に最近のような気がする。
「私が言われたまま引き下がる性格ではないというのは理解しているでしょう? だから、あれから少し、SMについて情報を収集していたのよ」
こいつ、粘着質が悪化してやがる。
「なるほど。で、あとは実際に経験してみて、自分がMではないと証明するだけだ、と?」
「ええ、そういうことよ」
あなたにしては理解が早いわね。
なんて軽口を叩きながら、雪ノ下は立ち上がる。
「さて、寝室に行きましょうか」
まるでこれから物理の実験でもするのかというトーンで、情事のお誘いを受けた。
ムードもクソもない。
————————
ベッドのスプリングが軋む音がやけに大きく聞こえる程の沈黙があった。
「ん……、準備はできたわね」
目の前には、一糸まとわぬ姿でベッドに横たわり、入学式以来タンスの肥やしであった俺のネクタイで両手をヘッドボードに固定され、タオルによって目隠しをされた雪ノ下がいる。
所在なさげに体を縮ませ、顔を紅潮させる雪ノ下を見て、改めて思う。
なんだこの状況。
「ほら、比企谷君。 用意は出来たのだから、早く責めてみなさい」
挑発するような口調で、雪ノ下が急かす。
「おい、事に至る前に言うことがある」
「あら、何かしら。 こういう時に無駄口を叩くのはムードに欠けると思うのだけど」
拘束されながら偉そうに煽るような奴にムードの何たるかを説かれた。心外にも程がある。
「いや、簡単な確認だ。 お前、本当の所は調べてたら興味が湧いただけだろ」
もうこの時点で、Mの素質ありだろ。
言外にそんな意味を込めて言った。
「話を聞いていなかったのかしら、私はただ純粋に汚名を————」
おもむろに、乳首を強めに捻ってみる。
「ひうぅ!?」
「反応良すぎじゃねーかよ。 んで? 汚名が何だって?」
もう片方の乳首も捻って、聞き直してみる。
「ぁ……だか、ら。 不当な評価を覆すために————」
捻る力をさらに強めた。
「っぁあああ!!」
背を浮かせて痛みに叫ぶ雪ノ下だが、手を緩める気にはなれなかった。
「お前、顔が笑ってるぞ?」
「そん、な訳……」
被虐心に胸を震わせ、痛みに快楽を見出した女の顔が、そこにあった。
「目隠ししてても自覚してんだろ? ここ、もうすごいぞ」
手で軽く触れた秘所は、既に蜜液をとろとろと流し始めている。
否応なく、こちらも熱を帯びてくるのを知覚する。
この状況に興奮を覚え出している自分を制御できなくなってきた。
「何のこと、かしら? これは、その……、膣内を傷つけないために、粘液を分泌しているだけの、生理現象よ」
「ああそう、んな見え透いた建前をまだ崩さないなら、俺にも考えがある」
「えっ、何を————ひぅぅんん!?」
右手を乳首から離し、そのまま秘所を強引に愛撫する。
人差し指と中指を使って、乱暴なぐらいに膣内をかき混ぜると、雪ノ下の反応は顕著だった。
「あっ、あ!? そんな、急にナカをっ!?」
「こんぐらいほぐれてるなら、もういいか」
止めどなく愛液を垂れ流す膣口から手を離し、雪ノ下の腰を両手で掴む。
「よっ、と」
「ま、待ちなさい。もう挿れるつもり————」
「ああ、いくぞっ」
前戯が十分とは思えないのには同意するが、多少痛いくらいの方がいいんだろ?
返事と同時に挿入する。
「あっ、ぁあああーーーー!!」
ほとんど絶叫に等しい音量で喘ぐ雪ノ下の背中が跳ねる。
珠のような汗をいくつも浮かばせて、髪を振り乱す。
「いやっ、まって、まだっ……」
「こんなに濡れてりゃ、十分だろっ」
あえて乱暴に、腰を前後させる。
「あっ、あぅっ!」
短い苦悶の吐息が漏れる。
強引なストロークにも関わらず、秘部は徐々に垂れ流す愛液を増やしつつある。
「……がっつり興奮してんじゃねーか」
「そんなわけ……ないでしょう」
苦し紛れながらも、挑発するように雪ノ下は否定を述べる。
が、顔の紅潮と目隠しが相まって、完全に悦んでいるようにしか見えない。
「あー、じゃあもうちっと強めに行くか」
「なっ、ちょっと、待ち……ひゃぅう!」
高校時代よりは発達した……、してるよな? うん、してるはずの乳房の先端を、両方とも強く、押しつぶすように摘み上げる。
「また、乳首を……っ」
「ああ、やっぱ気に入ったのか?」
「どういう思考回路の巡りをしたらそういう結論になるのか、甚だ理解に苦しむ見解ね?」
拘束された上でまだ煽りにくるその前のめり加減には脱帽だよ。いやマジで。
けど雪ノ下、いかに言葉を弄して取り繕っても、確たる物理的根拠、厳然とそこに存在する事実は覆らない。そうだろ?
「そりゃ、摘み上げるたびに、こんだけ嬉しそうに締め付けてきたら、なっ!」
言葉を区切るアクセントに合わせて、刻み付けるように腰を打ち付ける。
「んっ、んあ、あっ、あっ、あぁ!」
リズミカルに秘部を貫く快感に、涎すら自制できずに雪ノ下は喘ぐ。
目隠しの奥からは涙すら流れて、朱に染まりきった頬を濡らしていた。
拘束され、だらしなく体液を垂れ流す少女を一方的に責め立ててるこの状況に、優越感と背徳感が湧き上がる。
それらは勢いよく俺の脳内で撹拌され、溶け合い、加虐心を駆り立てた。
気がつけば、俺は時間も忘れて、無抵抗の雪ノ下を延々と、責め続けた。
————————
どれくらいの時間、繋がっていたのか。
「ひっ、あ……も、だめ……!」
背筋を大きく反らせて絶叫し、雪ノ下が果てる。
ぐったりとシーツに倒れ伏し、口からは荒い息だけが漏れていた。
「おい、大丈夫か?」
このままにしておくのもアレなので、とにかく拘束を解こうと、まず目隠しを取り外すと、
「まだ、よ」
「は?」
あんだけ責められてなお、いつも通りの挑発的な目のままで、
「まだ、検証は終わっていないわよ、比企谷君」
と、雪ノ下はのたまった。
その瞳は告げている、「思いのほか良かったからもう一回」と。
「どハマりしてんじゃねぇか……」
「あら、心外ね。検証というものは何回も繰り返すのが基本でしょう?」
言葉だけ切り取れば、ぐうの音も出ない正論である。
あくまで言葉だけにしか正当性が感じられず、要求している内容をわかりやすく修正すれば、『もっとイジメて♡』となるのが残念極まるが。
「おーけー、そこまで言うなら、思う存分付き合ってやろう」
「ええ、かかってきなさい」
のしかかるように、第二ラウンドになだれ込む。
期待した目で、からかうように、彼女が微笑った。
『二年生 秋』
—了—
唐突ではあるが、状況を整理しよう。
俺は今、大学の講義を終えて帰宅した。
1月も終わりに差し掛かる寒空を、ホットのマッ缶で誤魔化しながら歩き、玄関をくぐったばかりだ。
立ち尽くすのは靴脱ぎ場、そこに待ち構えていた存在が、俺の全行動を停止させた。
「えへへ、お、おかえりなさい」
恥じらいに身を揺らしつつ、裸エプロン姿の由比ヶ浜がお出迎えをしていた。
可愛らしいデザインのエプロン自体は、こいつによく似合ってはいるのだが、いかんせんエプロンのみの着用となると、元来の意匠とはかけ離れた印象を与える。
ややサイズの小さいエプロンは、当然由比ヶ浜の身体を隠しきれるわけもなく、胸元の布地からは豊かな膨らみが所々ハミ出しかけ、やや短か目の裾は、少し動けばその奥にある秘部を晒してしまうだろう。
「ご、ご飯にする?お風呂にする?それとも、ア・タ・シ?」
妙な抑揚のついた声で、使い古されすぎて近年ではギャグですら用いられない、例の台詞が聞こえてきた。
その一言で、ようやく思考回路が正常値に近づいたので、俺も返すべき言葉を返さなければならない。
こんなテンプレ的なお膳立てで、選ぶ選択肢など、古来より決まっていると言っていい。
「んじゃ、風呂で、今は別に腹減ってねーし」
「ちょ、酷っ!?」
すたすたと由比ヶ浜の横を通り過ぎながら、あしらうように答える。
「いや、こういう状況にはセメント対応が基本、って昔から言われてるから、ギャグマンガ的な意味で」
「なんでギャグ扱いするし! さっきから寒いの我慢して待ってたのにー!」
「そらこの季節にそんな格好してたら当たり前だろ。 なんならお前が先に風呂入っちまえよー」
そう告げて、自室へ向けて踵を返す。
直後、ぼすん、という衝撃を背中に感じる。
「だからぁ、ずっと待ってたからご飯もお風呂も準備してないんだってば。
……バカヒッキー」
拗ねるような声とともに、すがるように背中から手を回される。
後ろから伝わる体温は、普段繋がっている時よりもはるかに低く、それは彼女の落胆のようにも思えた。
「ったく、こんなに冷えるまで何やってんだか……」
呟いて、腰に回された手を引っ張る。
手首を掴んで、脱衣所に向かう。
「とにかく、風呂入るぞ、風呂。 あれだ、シャワーならすぐ出るし、してる間に風呂も湧くだろ」
「っ……、うん!」
こいつチョロいなー、とか一瞬思ったが、結果としては由比ヶ浜の意向に全面的に沿う流れになっているので、最終的にチョロいのは俺であった。解せぬ。
————————
「あー、あったかーい」
心底幸せそうな声を上げて、由比ヶ浜はシャワーの湯水に裸身を晒していた。
我が根城であるこのアパートメントに据えられた浴室はお世辞にも広いとは言えず、給湯機の操作をしている俺は、生まれたままの姿で湯を浴びる由比ヶ浜を間近で見ることになる。
いや、こいつの裸自体は普段からさんざっぱら拝んでいるので、今更だろうという向きもあるかもしれないが、ベッドの上とは違い、こういう生活感の中にある裸体、というのはやはり新鮮に映る。正直興奮します、はい。
「ん、どしたのヒッキー?」
「なんでも。 よし、これでしばらく待ってりゃ湯も溜まるだろ」
給湯機が低い駆動音を立てて起動する。
「じゃあ、ん……」
シャワーから身を離した由比ヶ浜が、待ちかねたとでも言いたげに、縋るように唇を重ねてくる。
お湯のおかげで少し温度を取り戻した体は、触れている場所から徐々に熱を持っていく。
「ね、ヒッキー。 椅子に座って?」
「何だ? 背中でも流してくれんの?」
「そんな感じ。 ほら、はやく」
促され、風呂場用の椅子に腰掛ける。
念の為に注記しておくが、決して風俗などで見受けられるエロ椅子の類ではない。そこら辺の百均で買ってきたプラスチック製の椅子である。
「んふふー」
何やら意味深な企み顔で、由比ヶ浜はボディーソープを手に取る。
そのまま、容器をひっくり返して、自身の豊かな膨らみへ、粘性のある洗剤を垂れ流していく。
マシュマロのような乳房に粘り気のあるボディーソープが絡みつくように落ちていく様に、否応なく視線を奪われる。
「これで、よいしょっ」
膝たちになった由比ヶ浜は、滑りを帯びた双球で、俺の肉筆を包み込んだ。
「うおっ……」
にちにちと肉の擦れる音を立てて、二つの柔丘が、左右から怒張を擦り上げる。
ボディーソープの滑り気と、女性らしいむっちりとした肌の感触が合わさった独特の刺激に、腰から脳へ稲妻が走ったような錯覚を覚える。
「えへへ、どう?気持ちいー?」
丹念に竿を胸で揉み解しながら、由比ヶ浜が問うてくる。
上目遣いで具合を聞くとか、ご奉仕プレイの王道じゃねぇか。
やだ、八幡元気になっちゃう!
「あ、ああ……。 てか、なんでいきなりパイズリ?」
「えー、ヒッキーおっぱい好きでしょ? してる時に、気づくといっつも触ってくるじゃん」
性癖を把握されていた。
そして、それに気づいてこんなプレイをしてくる辺り、こいつ自分の武器の使い方を完全に心得てやがる……!?
「んしょ、ん……。 わぁ、ヒッキーのお◯んちん、もう先っぽがこんなに大きくなってる……」
アホな戦慄をしている間にも、由比ヶ浜のお餅によって刺激され続けていた愚息さんは、大変お元気になっていた。
ちょっと単純すぎますねー。
「じゃあ次は……」
と、由比ヶ浜は立ち上がり、指で花弁を開いてみせる。
「こっちで……ね?」
————————
「んっ、あんっ! あっ、ヒッキーの、やっぱり、大き、い……」
椅子に座ったままの俺の跨るように、騎乗位の姿勢で由比ヶ浜は腰を揺らす。
入り口はそこまで抵抗のない割に、奥へ進むほどに絡みつき、一度咥え込んだら決して離さないと言わんばかりに締め付けを増してくる由比ヶ浜の淫口は、ゴム越しでもわかるほどに火照っていた。
「あっ、いい! 気持ち、いい……っ」
抱きしめるようにこちらに身体を預けて、恍惚の表情で由比ヶ浜が上下に跳ねる。
水が弾けるような音と共に、剛直が肉扉を押し開ける。
ボディーソープが付いたままの豊房がこちらの胸板に押し付けられ、先ほどさんざん肉棒で味わった感触が、心臓の鼓動を早くさせるようだった。
「おい、ちょっと、ピッチ早くないっすかねぇ……」
「だって、やっぱりヒッキーの、気持ちいいんだもん……」
絞り出すように、由比ヶ浜は小声で弁明する。
既に、肉壁は蠢くような収縮を繰り返し、限界が近いことが察せられる。
どんだけヨガるんだよこいつ……、全く人のこと言えんけど。
「あっ、あっ! ヒッ、キー……」
とろんとした顔がこちらに迫る。
唇を重ねると、縦穴の最奥が一際締め付けを強めた。
熱いヌメリと媚肉の圧迫感が、ギリギリ堪えていたナニカを決壊させた。
「ちょい、動くぞ」
そう断って、腰の動きを早める。
尻肉を両手で鷲掴み、腕で持ち上げる勢いも合わせて、由比ヶ浜の体を揺らす。
「えっ、まっ、あっあっあぁぁあああ!」
急激なラストスパートに、豊乳を震わせて、由比ヶ浜が喘ぎ声を大きくする。
貪り合うように、唇を吸い合い、互いに迫る限界へと駆け足で向かう。
「んちゅ、ちゅう、っぅん、んんん!!!」
くぐもった嬌声を漏らして、由比ヶ浜が大きく身震いをした。
「はぁ、はぁ、はぁ————」
直前まで重ねていた唇から、荒い吐息が間近で吹きかけられる。
両腕の中に収まった由比ヶ浜の、絶頂を迎えた緊張感で強張った体が、ゆっくりと落ち着きを取り戻していく。
「ふぅ……、ね、ヒッキー?」
「なんだよ?」
「まだ、イッてないでしょ?」
そう言って、彼女が首に腕を絡める。
「だから、最後まで……シテいいよ♡」
鼻先同士がくっつく距離まで迫った顔の、熱情に染まった瞳が、蠱惑的に揺れていた。
————————
「ゆきのん遅いねー」
間延びした声で、由比ヶ浜がそう呟いた。
結局、3回戦ほど交わって、汗の浮いた身体を互いに洗った後、二人仲良く狭い湯船に浸かっている。
脚を広げた体育座りのような姿勢の俺に背中を預ける形で、由比ヶ浜の体が密着している。
湯に浸からないように、髪をかき上げているので、水滴の滴る張りのあるうなじを間近で堪能できる位置だ。
温まった首筋は、血行が良くなったおかげで薄桃色に染まっている。
「今週末だったか? あいつのゼミの発表。 今日はまだまだ大学で缶詰になってんじゃねーの?」
「……ごはんどうしよ」
目を逸らしていた重要課題を、ついに由比ヶ浜が口にした。
正直な所、肉と野菜を強火で炒める程度の料理スキルの俺と、高校時代よりはマシになった(自己申告)の由比ヶ浜では、普段の雪ノ下が作る料理には到底及ばない。
一度旨いものに慣れてしまい、無駄に肥えた舌は、俺たちの料理で満足することはないだろう。
人の業とは全くもって度し難いものである。
つーかいつの間にか雪ノ下無しでは生きていけない躰(味覚的な意味で)にされていることに今更ながら情けなさを覚える。
さてどうするか、と。
割と深刻に思案していると。
密着している一部、具体的には由比ヶ浜の生桃を思わせる感触を持った尻が、俺の一物を擦るように刺激していた。
「おい、何してる」
「えー、ヒッキーどうしたの?」
酷い棒読みだった。
もしこいつに中の人がいたならば、逆に相当な演技力だと思うほど、見事に下手くそな棒読みであった。
「ねーねー、ヒッキー? あたしのお尻に何か当たってるよー?」
腹の立つ小芝居を続けながら、腰から下を左右に振って、由比ヶ浜が湯船を波立てる。
つきたての餅のような質感のヒップが小刻みに押し付けられて、否応なく下腹部へと血液が集まる。
背中越しにこちらを見る横顔は、小悪魔めいた薄ら笑いで俺を挑発する。
「のぼせても知らねーからな」
湯船の外に放り出していた手を、由比ヶ浜の躰に這わせる。
「えへへ、うんっ」
幸せそうなはにかみ顔は、湯気のせいか、艶めいて見えた。
『二年生編 冬』
—了—
「君たちも成人したことだし、酒の嗜み方くらいは覚えておくといい」
春休み。
地元に帰った折に、久しぶりに母校へ挨拶に赴くと、恩師(まだ独身……。 誰か! 誰か頼む!!)からそう言われた。
当然ではあるが、今までの認識では、アルコールの入った飲み物というのは、『手を出してはいけないもの』であった。
しかし、無事に二十歳を迎えた今、誰に憚ることもなく、飲酒が出来る身分となったわけである。
そんなわけで。
「家飲みだー!!」
数日後、三人の予定が空いている日に、俺の家で飲み会を開く運びとなった。
「ほらほらヒッキーとゆきのんも、テンションあげてこー!」
ガハマさんが最初からクライマックスである。
「お前、なんでそんなテンション高いの」
「えっとね、実はね? いつか三人で飲み会したいなー、って思ってたんだー」
えへへぇ、と。ビール缶を愛おしそうに両手で掴む由比ヶ浜は喜色満面だ。クッソ可愛いなオイ。
「まぁ、私も好奇心がなかったわけではないけれど……」
表情だけは不承不承であるように装っておきながら、雪ノ下もそれなりには楽しみにしていたようである。
その証拠に、雪ノ下の用意したつまみがガチ仕様だ。
おそらくは、飲み会が決まってから、楽しみでしょうがなくなって、またぞろ隠れて調べていたのだろう。健気で可愛いなオイ。
「ま、最初なんだし、悪酔いしないようにな……」
そう言って、手に取ったビール缶を掲げる。
由比ヶ浜は満面の笑みで、雪ノ下は口角をわずかに綻ばせて、応じる。
「「「乾杯!」」」
三者三様の明るい声が、リビングに響いた。
————————
しばらくは、ごく普通に飲み会が続いていた。
雪ノ下が、普段からは想像できない輝いた笑顔で、普段以上の暴言を吐いたり、由比ヶ浜が、ちょっと洒落にならないレベルで呑めることが判明したりと、酒が入ったことで、意外な一面が見れた。
しかし、楽しい時間はそこまで長くは続かなかった。
酒というのは、適度に摂取すれば、体にも人間関係にも好ましい効能をもたらすが、過度な飲酒によって理性を失った人間が如何に面倒なことか。
「ひっく、うう、ぐす……」
最初にダメになったのは雪ノ下だった。
「おい、大丈夫か?」
「うぅ、ごめんなさい、普段から貴方に暴言ばかりで、うっ、ぐすっ、ひっく」
完璧な泣き上戸だった。
割座————俗に言うぺたん座りを床でしながら、雪ノ下はさめざめと泣いていた。
普段あれだけ強気な彼女がここまで弱気になるのを見るのは久しぶりである。
「あー、まあ普段のアレは本気じゃねーのわかってるから、とりあえず手に持ったビールを離せ、これ以上は呑むのは控えろ、な?」
赤くした鼻をすんすん鳴らして、目尻に涙を浮かべる雪ノ下に、若干の嗜虐心が湧きかけるのを全力で抑えつつ、とにかく酒を取り上げようと試みる。
しかし。
「どーん!!」
「ぬあっ!?」
背後から、頭陀袋でも投げつけられたかのような衝撃を受ける。
辛うじて、雪ノ下にぶつかってtoLOVEる展開、となるのは回避できたが、何のクッションもない床に派手に激突した。
「おい由比ヶ浜、いきなり何すんだ————」
疑う余地もなく下手人である由比ヶ浜に、非難を浴びせるべく身を起こして振り向いた瞬間。
「ん、ちゅー」
唐突に接吻を食らった。
「んう、ちゅ……ふ」
口内を舌で引っ掻き回すような、貪るためのキスだった。
「んむっ、ぷはっ、お前、何を急に……」
「えへぇー」
あかん、完全にトロけ切ってやがる。
目尻と口角は幸せそうに垂れ下がり、首に手を回してこちらへ身を預ける由比ヶ浜は、さらに驚愕の行動に出る。
「んー、暑い……」
止める間もなく、勢いよく部屋着を脱ぎ捨て、数秒後には下着姿になっていた。
アルコールが血行を促進した結果、ほんのり赤みの差した肌を大幅に露出して、由比ヶ浜は再び攻勢を再開する。
「ひっきー、ちゅー……」
「ちょ、待て、一旦待て」
押しとどめる間もなく、唇を重ねられる。
勢い余って床に倒れたのが災いし、覆いかぶさった由比ヶ浜は、逃げられないように俺の顔をホールドして、浴びせるように唇を落としてくる。
アルコールの匂いと、女の子特有の甘い香りが口腔内に染み渡り、余計に酒の回りが早くなった気がした。
痺れが加速した脳を揺り動かすように、下腹部に刺激が走る。
「んむぅ、ちゅぶっ……」
下半身へ視線を移すと、すでに下着すら剥かれ、放り出された一物は、雪ノ下の口の中だった。
つか、その高速衣類剥ぎ取りは酔っててもできるのな。
「お、い」
そろそろと、繊細な調度品を手入れするかのような、普段とはまるで違う、気遣わしげな舌遣いが、先端部をゆっくりと弄ぶ。
「ん、ふ……。 気持ち、いい?」
おそるおそる伺うように、まるで主人へ奉仕をする下女のような雰囲気で、雪ノ下はフェラチオを続ける。
どうやら、雪ノ下は酔うとかなり弱気になるらしい。 飼い主の関心を買う為に、必死で媚びを売る猫のようにも思えた。
いつもだと、こう、『搾り取る』的な勢いなので、かなり意外な一面である。
「ん、しょ」
おもむろに顔を上げた由比ヶ浜が、ついに下着まで放り出す。こいつはこいつで、テンプレな酔い方するな。
むずがるような動きでブラを外すと、汗の湿りが浮き始めた深い谷間がほぼ眼前で揺れた。
たぷん、と水風船のように震える二つの果実の先端にある桜の蕾は、すでにぷっくりと膨らんでいる。
「興奮しすぎだろ……」
手を伸ばして、突起をこね回す。 コリコリとした感触が指先で踊り、由比ヶ浜が声を漏らす。
「あっ、ひゃんっ。くすぐったいよー」
ケラケラと陽気に笑いながら、由比ヶ浜は上半身を倒して、乳房を差し出すようにした。
手のひらには到底収まりきらない二つの果実を、両手で鷲づかむように揉みしだく。
「ぁ……はぁ、はぁ」
体温の上昇のためか、肌の赤みで桜餅のようになった爆乳を、上下左右、あらゆる角度に揉み解す。
揉み、引っ張り、時には乳首を吸ったりと、子供の玩具のように、好き勝手に愛撫する。
軽く我を忘れて、由比ヶ浜の乳に夢中になっていると、放置されていると思ったのか、はたまた単に我慢が出来なくなったのか、雪ノ下が立ち上がり、脈打つ俺のを、淡い桜色の花弁に擦り当てる。
「比企谷君、もう、入れていい……?」
おずおずと、子供が親にねだるように雪ノ下はこちらへ問う。浅く腰を揺らして、催促するように入口を擦り付ける姿は、酒の酔いも後押しして、平時よりも遥かに淫靡だ。
「ああ、好きにしろよ」
どうやら俺も大概酔いが回っているらしい。さっきから全く体を動かす気力がわかないので、雪ノ下にまかせる。
とは言っても、由比ヶ浜の胸を弄る手だけは止まらないんですがね? これは本能だからね、しょうがないね。
「入れるわ、ねっ……」
言葉も途切れ途切れに、雪ノ下が腰を落とす。
ゆっくりと、桃肉の合わさりを掻き分けて、脈打つものが奥へと侵入する。
「んっんんぅ、ぁあっあ!」
深く腰を落として、雪ノ下が歓喜の声を上げる。
「ゆきのん、すごくきれい……」
胸をされるがままにしていた由比ヶ浜が、思わず感嘆のつぶやきを漏らした。
確かに、弱々しく切なげに、陶然とした雪ノ下の痴態は、これまで見たことのない美しさがあった。
ギャップって怖い。いや、まじで通常時との落差どうなってんだこれ。
「ゆきのん……」
「由比ヶ浜さ、んぅ」
互いに惹かれ合うように、雪ノ下と由比ヶ浜が唇を重ねる。
舌を絡め合い、口内を愛撫し合う二人を見上げながら、腰を揺すり始める。
粘度をもった水音が、キスの音と重なっていく。
「ちゅ、ぅん」
「ゆきのん、可愛い……」
慈しむように雪ノ下の唇を可愛がる由比ヶ浜が、こちらの顔面に跨るように、体を動かした。
「ね、ヒッキー。 あたしも、して?」
鼻先を掠めるくらいの位置まで、由比ヶ浜の秘部が近づく。
濃い赤色の花唇は、湿りの光沢で鮮やかさを増していた。
今にも雫を漏らしそうなそこに、啜るようにしゃぶりつく。
「あっ! いきなりっ、んんぃいぁあああ!」
合わさったフリルを舌で押し開き、壺の入口を舐め回す。口の中に、独特の酸味が広がっていく。
理性を保っていられたのは、そこまでだった。
腰を動かす勢いを、急速に引き上げて、雪ノ下を突き上げる。
「ひぃ、ひっ、あっぁあっあ!」
同時に、由比ヶ浜の陰唇、その上部にある、充血して小豆のようになったクリトリスを、唇で吸いながら舌で責める。
「あんっ!? まって、そこはっ、んぅううう!」
跳ね上がりかけた由比ヶ浜の尻を、両手で抱え込んで拘束する。
逃げられないように固定して、可愛らしく勃起した淫芽を弄ぶ。
神経の感覚が、腰と舌の動きだけに集中していく。
「ヒッキーっ、ダメっ、んうぅぅ」
「ひぃ! うぅぁああっあぁっぁあ!」
下方から登り詰める快感に、二人分の嬌声は大きさを増してきた。
「ゆきの、ん。 ちゅう、ちゅぷっ、ふむんんんん!?」
「ちゅっ、ちゅ、んっ!ん、ん、んぅぅぅ!?」
口吸いの音が耳朶に響く。
由比ヶ浜の淫部に視界を遮られている分、その水音はより鮮明に聞こえる気分だった。
脳を揺らすような甘い声が、余計に情欲を滾らせる。
口元に垂れる蜜液の量が、怒張を締め付ける蜜壺の締め付けが、1秒ごとに、指数関数的に度合いを増していく。
「あうう!? ちゅっ、ん!? んんんん!」
「くちゅ、ふんっん!?ん、あうっ、ううんん!」
獣のような喘ぎ声が、限界を知らせる。
堰を切って溢れる滴りと、噛みちぎるような締め付けに、脊髄にスパークが走る。
「「んんんんん!!!」」
瞼が白く染まる感覚と共に、一際大きな嬌声が耳に残った。
————————
今回のオチ、というか教訓。
結局、三人仲良く果てた後、どうやらその体勢のまま眠っていたらしい。
朝起きた時に目にしたのは、由比ヶ浜の尻だった。
これだけでも大概アレだと言うのに、雪ノ下に至っては、繋がったまま眠っていたらしい。
兎にも角にも起きなければ、とは思ったが、いかんせん頭が痛い、体もだるい。
唸りながら辺りを見渡すも、床から見えるのは昨夜の宴会で散らかった部屋の様子のみである。
何より、雪ノ下と由比ヶ浜が二人がかりでのしかかっているのが辛い、穏やかな寝息を立ててくれやがっているが、正しく肉布団状態なので、こちらは穏やかではいられない。特に下半身の一部分が。
「もうぜってぇ飲みたくねぇ……」
二日酔いの負け惜しみに吐いた言葉に、苦笑いの響きが混じる。
さて、どうやってこいつら起こそうか?
『三年生編 春』
—了—
灼熱の日差しが照りつける白い砂浜を駆け足がかき分けて、陽光が宝石のように反射する水面に叫び声が上がる。
「うーみだーっ!!」
レースのあしらわれた黒のビキニを身に纏って、由比ヶ浜は波打ち際に駆け出していった。
「ちょっと、由比ヶ浜さんっ」
咎める雪ノ下の制止も聞かず、瞬く間に海辺に到達した由比ケ浜の能天気な声が、水しぶきとともに聞こえてくる。
「冷たっ、あはは、二人も早く早くー!」
「ふふっ、よほど楽しみにしていたのね……」
呆れるように、雪ノ下が微笑む。
ライトブルーのストライプが映えるモノキニタイプの水着の上に白いパーカーを着て、日よけの帽子まで完備し、手提げた大きめのバックには、三人分の昼飯が入っていた。パンさんレジャーシート(数量限定品)に包まれて。
「ハイになってるアホは置いといて、先にパラソル立てとくぞ、さすがにこの日差しを浴びっぱなしはきつい」
「ええ、手伝うわ」
あと単純に俺が両手と両肩に抱えている荷物の重量がそろそろ筋肉の耐久値を突破しそうですしおすし。
出かける前、俺の諫言も聞かずに由比ヶ浜が遊び道具をたんまり詰め込みやがったからな。8割くらいは絶対使いませんよね、これ。
おかげさまですでに全身汗だくである。海パンが張り付いて気持ち悪い、さながら睡眠中に息子が暴発した日の朝並みの感触である。
兎にも角にも、まずは陣地設営だ。
「よっこいせ」
人のいない穴場を選んだので、誰にはばかることもなく広々とシートを広げ、大型のパラソルをででんと砂浜に突き刺す。
一仕事終えて反り返りながら腰をバキボキさせていると、瑞々しい肌に雫を弾かせて、由比ヶ浜がこちらに戻ってきた。
「ねーねー、二人とも入らないの? 誰もいないから超泳ぎ放題だよっ!」
「準備運動が先よ、ほら、由比ヶ浜さんも一緒に」
「えー」
「いいから」
なんだこのお母さんと幼児の会話。役振り的には俺が父役か? ははっ、普段から割とそんな感じなんですがそれは……。
乾いた笑いを抑えつつ、雪ノ下に倣って体操をしながら、周りを見渡す。
入念な下調べは功を奏したようで、海岸に人の影はない。
ゴネりまくる由比ヶ浜に根負けする形で、一月前に決まった今日の海水浴だが、やはり人混みを避けたかった俺は、素直に人を頼ることにした。
「なんっでこの我がリア充クソ野郎のバカンス場所を探さねばならんのだー!!!」
とか叫びつつも、僕らのネット王、材木座がこの場所の情報を拾ってきてくれた。ありがとう親友、今度60ガチャおごるぜ!どーせ白封筒だろうけどな!
「さて、では行きましょうか」
「ああ」
「うんっ!」
体をほぐし、筋肉の筋を伸ばしたら、あとはもう一直線に飛び出すだけだ。
待ちきれないとばかりに走り出した由比ヶ浜を筆頭に、俺も雪ノ下も、熱い砂浜を裸足で走る。
助走をつけて飛び込んで、水が弾ける音を全身で感じる。熱射に晒されていた体は、急激に海水を浴びて、温度の落差に肌が一瞬だけ粟立つ。
「ちょっ、ちょっと由比ヶ浜さん、引っ張らないで……」
「ほらほら、ゆきのん早くー!」
先んじて海面にダイブしていた由比ヶ浜が一旦波打ち際まで戻る。そして、そこそこ勢いのある波ににビビる雪ノ下の手を引いてくる。
「そーれ、どーん!」
「きゃっ!?」
引いた手を掴んだまま、由比ヶ浜が身を投げ出し、吊られて雪ノ下も海面に突っ伏した。
「ぷはっ、もう、由比ヶ浜さんっ」
「えへへ、それっ!」
「やっ、たわねっ!」
腰まで水に浸からせて、浅い場所に座る二人は水を掛け合う。
童心に返ったような表情を浮かべる少女たちを見て、否応にも口角が上がっていくのがわかる。
さて、俺もそろそろ混ざるとしよう。
荷物の中から取っておいた水鉄砲に海水を込めて、水を蹴りながら走り出した。
————————
「…………」
水の抵抗というものは、想像よりもはるかに速く、体力を消耗する。なまじ波のある海に浸かり続けると、それだけでスタミナはぐんぐんと減っていく。
「はぁ、はぁ、はぁ——」
「ゆきのん、大丈夫?」
結論を言おう。雪ノ下は30分持たなかった。
糸の切れた人形のように、うつ伏せになってシートに突っ伏す雪ノ下は青い顔でぐったりとしていた。
相変わらずのスタミナ不足である、夜はもうちょい頑張るだろうに。
「わ、私は少し休むから、二人は気にせず遊んできて……」
途切れ途切れにそう言って、雪ノ下は力尽きた。
瞼を完全に閉じて、スリープ状態に移行した雪ノ下を見て、俺と由比ヶ浜は途方に暮れつつ、顔を見合わせた。
「どうしよっか、ヒッキー?」
「とりあえず、泳ぐか……」
このまま雪ノ下を見ていても俺たちに出来ることはない。
パラソルで直射日光は遮っているし、青空寝落ちした雪ノ下の側にはクーラーボックスもある。ちょくちょく起きて水分補給はちゃんとするだろう。
小一時間くらい泳いで、また様子を見に来るとしよう。
————————
「ぷはっ」
「うおっ、結構深いな」
ざぶざぶと波間に踏み込むと、あっと言う間に胸元まで海水に浸かった。
「きゃー、波も高いよヒッキー!」
「溺れんなよー」
打ち寄せる白波に、由比ヶ浜は楽しげに叫ぶ。
結構高い波が出ているので、海水が押し寄せるたびに、身体が大きなうねりに揺さぶられる感覚を覚える。
2度3度と、波に揺られていると、一際大きなビックウェーブが彼方から迫ってきた。
「うおっ」
たちまち、全身を海水の奔流に呑まれる。
波の中を身体が上下左右に回転して、塩水の味が鼻を透過していった。
「ぶはぁっ!?」
水面から顔を飛び出して息を吸う。
「びっくりしたねー」
俺と同じく波に攫われたのだろう、後方から由比ヶ浜の楽しそうな声が聞こえてきた。
「天気はいい割に波は荒れてん……な?!」
振り返った俺の視線の先、そこにいた由比ヶ浜の姿に、頓狂な声が出る。
「ん? どしたの、ヒッキー」
「お前、胸、ビキニ取れてる……」
海辺に股下まで浸かった彼女は、その豊満な胸を惜しげも無く太陽の下に晒していた。
波に揉まれて上の水着が外れたのだろう、海水を滴らせてぷるぷると無防備に揺れるバストは、一切覆い隠すものがない状態だった。
「へ? ——きゃあああ!?」
叫びながら両手で胸元を隠し、由比ヶ浜は首から下を海水に飛び込ませた。
「ううう、水着どこにいっちゃったんだろ……」
「……あれか?」
水辺線の彼方、30mは離れた波打際で、黒のレースが揺れていた。
浅瀬を軽く泳いで、ぷかぷかと浮かぶビキニを掴んで由比ヶ浜の元へと戻る。
「ほら、さっさと付けとけ」
「……ねぇ、ヒッキー」
差し出した水着を思案顔で見る由比ヶ浜が、立ち上がる。
胸をさらけ出したまま、彼女は更に下のビキニまで脱ぎ下ろした。
「ばっ、お前何を……」
「このまま、さ。 ちょっと歩いてみていい?」
悪戯心と羞恥心が半々といった表情で、由比ヶ浜はとんでもないことを提案した。
————————
「はぁ、は……」
海岸線を、全裸の少女が歩いている。
俺のすぐ隣にいる由比ヶ浜は、体を隠すどころか、むしろ裸身を周囲に晒すかのごとく、背筋を伸ばしていた。
「ヒッキー、これヤバい……。 すっごいドキドキするよ」
夏の海は、人を開放的にすると聞く。
由比ヶ浜の横顔は、倒錯的な露出行為に酔いきっている。
白い裸体は夏の陽光を余すことなく反射して、起伏の多いラインを惜しげも無く晒している。
「お前、人来たらどうすんだよ」
「だって、一回やってみたかったんだもん」
さいですか。 雪ノ下といいこいつといい、なんでこうもアレな性癖に目覚めるんだ。
「すご、もう垂れてきちゃった」
立ち止まった由比ヶ浜は、股下をつたう愛液をなぞるように秘所へと手を差し入れ、仁王立ちのまま自慰を始めた。
細く白い足首に当る水音に、くちゅくちゅと淫猥な音が重なる。
「はぁ、んっ」
遮る物のないこんな場所で生まれたままの姿でオナニーをする彼女を、俺は止めるべきだったのかもしれない。
「普段より気持ちよさそうだな。 素質あんじゃねーの?」
しかし、口から出てきたのは、由比ヶ浜の劣情をあえてかきたてるような言葉だった。
「そんっ、なこと」
「段々、手の動きが速くなってんぞ?」
「ヒッキーの、イジワル……」
由比ヶ浜は足を開き、見せつけるように指で壺口を開いて、自らの手で紅い真珠を弄ぶ。
「ちゃんと、見ててね?」
お互い、暑さでどうかしていたのだ。
誰かに見られるかもしれない危機感が、快楽に転化しちまうくらいに。
「あっ……っいい! もぅ、キちゃう!」
肩幅まで開いた由比ヶ浜の足が波打つ、その直前。
海岸線の向こうから響く自動車の音。
「やべぇ!」
「きゃっ!」
秘所をまさぐっていた少女の手を引っ張り上げて、少し先にある岩場へと走る。
大きな岩礁地帯に身を隠して、エンジン音が過ぎるのを待った。
「っぶねー、見つかってたら完全に変態さん扱いだったぞ……、どうした?」
「……ヒッキー、最後まで、お願い」
今にも溶けてしまいそうな瞳で縋り付かれて、ここまでギリギリで保っていた理性は消し飛んだ。
豊満なバストを、正面から揉みしだく。
「ん、ふ……」
手の平から溢れるほどのボリュームがある乳房が、両手の動きに沿って形を変える。
「やっぱ、いつもより興奮してねーか?」
「だって、恥ずかしいの気持ちいいんだもん……」
素直に認める由比ヶ浜の乳首は、ぴんと膨れ上がって屹立していた。その桜の蕾を口に含み、舌で弄びながら吸い上げる。
「ん、あ!」
びくんっ、と背を持ち上げて、彼女の腕が後頭部に絡み付く。押さえつけられて動けなくなったので、さらに激しく乳首を責めて、空いているもう一方の頂点も、指で挟んで抓る。
「あっ、あ! ヒッキー、やっぱりおっぱい好きだね……」
若干嬉しそうに笑う声に、火照りを帯びた吐息が重なる。
大きな岩を背にして座る由比ヶ浜は、足を開いて懇願する。
「こっちも、触って?」
てらてらと潮を垂れ流し始めているその入り口を、軽く指で撫でなぞる。
「海水にしちゃあ、少し粘っこいな?」
「あんっ、いじわる」
焦らす動きに頬を膨らませて、由比ヶ浜が自分から腰を揺らし出す。
時折吹く潮風と、天から降り注ぐ日差しの暑さが、否応なく非日常的な背徳感を喚起させて、普段よりも強く脳を刺激される。
熱に急かされるまま、舟状の秘部に口をつけて、蜜潮を啜る。
「あっ、んんん!」
じゅるじゅると音を立てて合わさったトコロを吸い上げると、彼女は腰を痙攣のように震わせた。
「ダメっ、それ、いい……」
YESかNOかどっちなんだよ、なんて聞くまでもなく、さらに激しく陰部を責める。両腕で脚を抱えて固定し、逃げられないように顔を押し付けて、貝殻の奥へと舌を侵入させる。
ほのかに海水の香りを残したそこから、とめどなく愛液が溢れでる。
「あっあっあっ、ダメ、イっちゃう、もう、あああ!」
背もたれにした岩に後ろ手をつく由比ヶ浜が、大きく身を震わせて、絶頂する。
余韻で小刻みに震える彼女の股から垂れた牡蠣汁のような濃い液体が、座っている砂浜を汚していく。
「はーっ、はー、はぁ」
乱れた息を吐き出す姿が、野外という開放感も手伝って、普段の2割増しで扇情的である。
「ヒッキー、すごく大っきくなってる……」
とろんとした視線が、俺の股間、海パンがはちきれそうな程に存在を主張する部分に注がれる。
「悪い、だいぶ限界だわ、口でしてもらっていいか?」
「へ? なんで口?」
首をかしげる動作に合わせて揺れる乳房に目が吸い寄せられる。暑さと興奮で汗の浮いたスイカのような双丘は、瑞々しく振動している。
「いや、ゴムねーじゃん」
さすがに生で挿れるのはどうかと……。ここ数年は、マジでほぼ毎日、な爛れた状態だが、学生という生活能力のない身分である以上、するべき線引きというものはある。
「ふっふっふー」
そんな俺の返答を、待ってました、とばかりに由比ヶ浜が、一応回収しておいたビキニのブラ、その裏地の間から、ゴムを取り出した。
ちょっとまて、そんな隠しスペースあんの? どこに売ってんだ、それ。
「準備いいっすね……、っておい」
イッたばかりであるというのに、由比ヶ浜は急かすように海パンをずり下ろしてくる。二の句を継ぐ間もなく、今にも破裂しそうなほど膨れ上がった竿に細い指がゴムを取り付ける。
「ね、早く……」
立ち上がって体を反転させた由比ヶ浜が、右手を岩に添えて、突き出される尻を這うように左手で秘所を広げて、こちらを挑発する。
「挿れるぞ」
ふりふりと小刻みに揺れる双臀を両手で掴み、濡れた壺口をペニスで貫いた。
「はぅっ、うんんん!」
一息に奥まで差し込まれた快感に、両手を岩に当てて由比ヶ浜が嬌声を上げる。
十分に濡れぼそった膣内を突くたびに、陽を浴びる白い背中が前後に揺れた。
「やばっ……、ひんっ、あたしの、おマ○コ、変に、なりそ——ああっ」
亀頭が奥に当たるたび、強すぎる刺激に由比ヶ浜は首を振って身悶える。
こちらの動きに合わせて腰を振り、小ぶりなメロンのような尻が音を立てて当たる。
結合部から垂れる雫は地面の砂に大きくシミを作り、照らす太陽を反射する汗が、幾筋も首から背中へと流れているのが見える。
「おい、締まりキツすぎ……」
いかん、青空の下でしているせいか、だいぶ限界が早い。違うし、普段はもっと持つし。
「だって、もう——」
がくがくと足を震わせる由比ヶ浜が、さらに膣内を強く締めた。
腰に痺れるような衝撃が走って、脳のどこかで糸の切れる音がした。
背中を向ける由比ヶ浜にしがみつくように密着して、ピストンの速度を更に上げる。
「あああ! ひぃ、あっ! いいっ、もうだめ、イク、ぁああ!」
叫ぶ由比ヶ浜の胸を後ろから抱えるように愛撫しながら、突き入れる毎に勢いを激しくして、駆け上ってくる電流に身を委ねる。
「く、ぉ!」
「あっ、イっクぅぅんん!!」
昇ってくる射精感を叩きつけるように一際強く腰を押し付けて、同じくアクメに達した由比ヶ浜のナカで果てた。
————————
窓から射し込む海岸線の夕日に目を細めつつ、掴んだハンドルを操作する。
「ごめんなさい、結局行きも帰りも運転させてしまったわね」
「いいよ別に。 つか、まだ距離あるし、少し寝てても良いんだぞ?」
申し訳なさそうに後部座席から声を掛けてくる雪ノ下にそう返しつつ、出来るだけ車内を揺らさないようにペダルを踏む力を抑える。
「大丈夫よ、疲れてはいるけれど、不思議と眠くはないの」
久しぶりに海に行ったせいかしら、と微笑をこぼす雪ノ下の膝に頭を乗せて、気持ちよさそうに寝息を立てる奴が一人。
抜かずに三連戦した後、復帰した雪ノ下を引っ張って夕暮れまで遊び倒して、由比ヶ浜は体力を使い果たした。子供か。
「ったく、一人だけ爆睡しやがって……」
「さんざん遊び尽くしていたものね……。 でも、来れて良かったわ」
愛おしそうに、眠る少女の頭を撫でながら、色んな感情を隠した微笑みを雪ノ下は浮かべる。
バックミラーに映る二人の姿、その光景に至るまでの過程にあった全てを飲み下して、視線を前方に戻した。
『三年生編 夏』
—了—
ちょっと最高過ぎませんかね
最高です
頑張ろ
期待
最高だ
最高すぎて
いろはすはどうなってるんだろう
※1〜6の方々。
コメントありがとうございます。更新も返信もおっそいですが、楽しんで頂ければ幸いです。
いろはすはアレですね、出したいとは思ってますが、この作品では濡れ場はないと思いますw
段段面白くなくなっているような…それでも全部読みます
8さん。
確かに6は自分でもちょっと上手いこといかなかった感がありますねー……。
少し単調になりかけてるんで、なんとかしたいです。
毎回の更新を楽しみにしておりますよ。
これ、その内ガ浜さんとゆきのんのお腹の中に子供が出来そうなイメージが有りますが、八幡とゆきのんとガ浜さんが協力しつつ子供を育てていきそうですな。
>>10さん
コメントありがとうございます。
その展開になったSSどっかで読んだことありますw
たぶん影響されてますねw
ありがとう
これの続きはもう見られないのか?
>>12、13の方
コメントありがとう御座います。
おまたせして本当にも申し訳ありません……。
続き読みたいです!
>>15の方
ありがとうございます!
ちまちまと書いてはいるので、気長にお待ちくださいませm(_ _)m
もう続きはないかんじかな?
待ってる
あえて言おう
最高である
待ってる
待ってる
待ってる
定期的に見に来るけど続きないよなぁ