2015-11-22 05:17:31 更新

概要

インハイ個人戦に向け牙を研ぐ奈良王者、小走やえのもとにとあるゲーム発売の情報がもたらされ……。


前書き

多少と言うか多々、メタが混じります。
性格はかなりオリジナル色が強くなっています。
時間軸は県予選で阿知賀が勝利し、晩成との壮行試合が行われた後辺りです。


上田良子「い、今なんて?」


木村日菜「き、聞き違えだとは思いますけど」


丸瀬紀子「能力とかなんとか」


巽由華「聞こえたような」


やえ「能力。私達が負けたのは、特殊な能力がないからでしょ?」


良子「そ、そりゃ、確かに阿知賀の連中を始めとして、全国の舞台……上の方に残ってる連中は超能力者みたいな連中ばかりだけど」


日菜「でも、だからといって……」


紀子「それを言っちゃおしまいだろー! 何ていうか、タブーって言うかさぁ……」


由華「小走先輩……朝仰っていた『個人戦の秘策』と言うのと、その話が関係しているんですか?」


やえ「うん。実は凄い情報を入手したんだ。間もなくPSP専用ソフトとして『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable』と言うゲームが発売される」


良子「なんだそりゃ? 麻雀ゲームか?」


やえ「あぁ、だがただの麻雀ゲームじゃない。登場キャラがそれぞれの特殊能力を存分に発揮しながら、戦うんだ」


紀子「へー、脱衣麻雀みたい」


日菜「せめて『兎』みたいとか、それくらいの感想にしておいて下さい……」


紀子「脱衣麻雀でよくある『いいわ、だったら麻雀で勝負よ!』って、冷静に考えるととんだ異次元提案よね」


やえ「で、このソフトに……私も隠しキャラとして登場していると言う情報を掴んだ」


由華「本当ですか?」


やえ「そして登場すると言う事は、だ」


良子「の、能力! やえも能力を使うって事だな!?」


やえ「その通り」


由華「一般論ですが、隠しキャラの能力は通常キャラより強かったりしますよね」


紀子「おっとぉ? 『お前やえ使うなよー、それ強すぎだから禁止な!』とか言われちゃうのかなー?」


良子「『お前がやえ使うなら、俺照出すけど?』みたいな?」


日菜「凄い! やえちゃんが奈良の王者から、高校生チャンピオンと肩を並べるまでになるなんて!」


やえ「ふふふ……まぁ、そこまでは解らないが、ともかくこれで私も能力者の仲間入りさ! 名付けて『能力逆輸入でV作戦』だ!」ゴォッ


一同「「おおっ!!」」




~そして阿知賀ポータブル発売~


良子「阿知ポに登場するやえの能力、ついに判明したって?」


日菜「はい。今その能力を知っていると言うオタクの人に、チャットで聞いている所です」


紀子「能力の特性と、それを活かす戦い方をじっくり考えないとだね」


やえ「『サイバーボブ、片ドリルの超絶可愛い隠しキャラ、小走やえさんの能力はズバリどう言うものですか? 王者に相応しい超強力な物だと思うのですが』っと」カタカタ


由華「自分をageて行きますね」


サイバーボブ「『ずばりお応えするで御座るよ。小走やえたんの能力は――』」


【牌の表面を指圧で削り取る事によって、白牌を作り出す事が出来る】


やえ「豪盲牌?! 確かに大和田先生と小林立神に繋がりはあるが」


ボブ「『というのはもちろん冗談で御座るよ。ゴプフォ』」


やえ「おいふざけんな豚! こっちは真面目な話をしてんだよ!」


良子「お、落ち着けやえ」


ボブ「『本当の能力はこっちで御座る』」


【自分が立直をかけると、自分以外が有効牌を引きやすくなる】


やえ「おぉ……ん?」


良子「え?」


日菜「自分が立直をかけると……自分以外が……と言うことは?」


由華「追いかけられ……リーチを蹴られやすくなる?」


ボブ「『まぁ所謂ネタ能力で御座るな。もっとも、そう言うかませっぽい所が我々の様な通好みには――』」プチッ


やえ「……」


一同「「……」」シーン……。


私は自他共に認める文系の人間で、数学やら物理やらは、高校2年の時点でちんぷんかんぷんになりつつあった。

それ故と言ってしまっては語弊もあろうが、相対性理論について私が有している知識はごく限定的なものだ。

ただ、この理論を確立したアインシュタインの言葉にこういった趣旨の物がある。

「熱いストーブの上に1分間手を乗せれば、まるで1時間の様に感じられるでしょう。しかし、好きな女の子と過ごす時間は、1時間でもほんの1分の様に感じられるはず。それが相対性です」

1分が千秋の如く感じられるこの時間に身を置き、私は偉大なる博士の言葉を想起すると共に、やはり彼は比類無き天才なのだと言う尊敬の念を一層強くしたのである。


~上田良子自叙伝「負けた悔しさで壁を殴っていたらLIVEで全国放送されていたんだが」 第三章 晩成麻雀部の一番長い日 より抜粋~



良子「……(お、おい、誰かフォローしろよ! なんだこの気まずすぎる沈黙は!)」


紀子「(言い出しっぺの副部長がしなよ!)」


良子「あー……でもほら、なんだ……個性的だよな! 個性的な能力」


一同「「!?」」ドォーーーーンッ!!


紀子「(や、やらかしちゃったぁーッ!? 魔法の便利ワード『個性』を初っぱなから使ったよこのパイナップル頭!)」


日菜「(考えてないっ……まるきりっ……! この後の人の事をっ……!)」


良子「(すまんな……お前達はお前達で何とか凌いでくれ)」


日菜「……で、でも、インパクトがありますよね。目立ちそう……です」


一同「「!?」」ゴゴゴゴゴ……。


紀子「(インパクト……取りあえず横文字で良い感じに誤魔化す作戦かと思いきや、その後ポジティブな日本語で補完した! やるッ……!)」


良子「(我々脇役にとって、目立つことはある意味、至上の命題……その事に言及したッ! 悪目立ちと言う言葉もあるが、それを棚上げにして、一先ず前向きな印象で纏めるとは、さすが晩成の眼鏡枠ッ!)」


日菜「(……何とか私のターンは凌ぎました……紀子さん頑張って、どうぞ)」


紀子「って言うか……あ、相手が降りにくくなるから……勝負させやすくなるんじゃないかな……?」


一同「「!?」」バァァーンッ!


やえ「……」ピクッ


良子「(ここで来たッ! 起死回生の一手っ! まさにそれっ……そのフォローを待って居たっ……!)」


日菜「(一気に希望が見えてきましたっ……! 光明がっ……! 使いにくくても使いようによっては活きる! 玄人好みの能力であるかの様な表現! お見事です!)」


紀子「(ククク……さぁ、これで後は貴女だけ……凌げっ! ここまで来たら、どうあれ……凌いでみせなさい! 由華っ!)」


由華「……」ドドドドド……ゴゴゴゴゴ……。


この時、良子、日菜、紀子の間には奇妙な連帯感が芽生え始めていた。

最初は自分のターンさえ凌げれば良い、と利己的な考えに陥っていた各々が、ここまで来たのなら、いっそ無事に完走したい――やえを元気付けて、笑顔でこの話題を封印したい。

知らずのうちに、そうした気持ちを共有していたのである。


がっ……!


由華「……」


ただ一人……レギュラー陣唯一の二年生……巽由華……!

彼女は違ったっ……!

まるで別……異次元っ……!


由華「……すよね」


一同「「えっ!?」」ざわ……ざわ……


良子「(待てよ……待て待て待てっ! そんな言葉は聞きたくない……いや、聞こえちゃいけないんだっ!)」


日菜「(これまで、私達が何とか保持してきた……この危ういバランス……貴女は……いとも容易く、決壊させる言葉を呟こうと言うの!?)」


紀子「(落ち着くんだよ由華っ……! まだ手はあるはずっ……貴女のその一手は……諸共地獄に落ちる……破滅の道っ……!)」


由華「能力無い方がマシですよね」ドォォォーーーンッ!!


良子「(お……終わった……何も……かも……)」


日菜「(嘘よ……こんなの嘘……)」


紀子「(これが……世界の選択……酷すぎるよ……こんなのって無いよ……)」


一同「「……」」ぐにゃあぁぁぁ~……。


部室の外では――雨が、降り始めた。




やえ「……よな」


一同「「えっ!?」」


ここで動くっ……!

悠久の時を一所に鎮座し続けた、東大寺の盧舎那仏の如く……微動だにしなかったやえが……!

渦中の人物……その当事者が……ついに口を開くっ……!


やえ「そうだよな……こんなの……どう考えても、団体予選で私の三面張立直が松実妹のツモに蹴られた、あのシーンをネタにした能力だよな……」


良子「……あっ、え……っと」


紀子「そ、それは……その……」


日菜「や、あ……学者によっても色々な解釈が……」


やえの携帯「たたずーんでなきぬーれてーみs」ピッ


やえ「……阿知賀の鷺森さんから?」


『小走さん、先日は壮行試合をして頂いて有難うございました。

ところで、阿知賀ポータブルにご出演おめでとう御座います。

壮行試合のお返しと言ってはなんですが、阿知ポ発売記念として、皆で自キャラを使って遊びませんか?

お忙しい時期とは思いますが、憧の家でちょっとしたお菓子や食事を用意してうんぬん』


良子「(な、なんつータイミングでなんつー誘いを送って来やがるんだよぉーッ?!)」


日菜「(向こうからしたら、完全に善意のお誘いなのでしょうけれど……)」


紀子「(って言うかあの子、文章だと口調が普通なんだね)」


由華「どうするんですか?」


やえ「……ん? 行くよ? せっかくの誘いだもの、当然行くさ。ははは」


良子「(瞳にハイライトがない……)」




~後日 新子宅~


新子憧「今日はお越し頂いて有難うございまーっす♪ 狭い所だけど、自分の家だと思ってくつろいで、楽しんで行って下さいねー♪」


一同「「わー、パチパチ」」


ギバード桜子「や゛え゛さん゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛」


岡橋初瀬「小走先輩……」


やえ「ま、心配しなさんな。私は幼稚園年長の頃から麻雀ゲームをやってきた。にわかは相手にならんよ!」


初瀬「……それ、フラグです」


やえ「なぁに、地獄単騎が多面張に勝つ事だってあるのが麻雀だ。多少の事は私の実力と運で跳ね返すさ」


初瀬「先輩、頑張って下さい!」


がっ……!


やえ「リーチ!」


高鴨穏乃「ツモ! 2000,3900!」


能力【対局の後半になると場を支配する】


やえ「くっ」


負けるっ……!


憧「ポン! ……チー! ……ツモ! 4000オール!」


能力【鳴くと対局を有利に進めやすくなる】


やえ「っ?!」


負けるっ……!!


やえ「今度こそリーチ!」


松実宥「ロン……8000です」


能力【赤い牌を引きやすい】


やえ「……!」


負けるっ……!!!


鷺森灼「グリークチャーチ……ツモ! 3000,6000」


能力【特定の和了り牌待ちで和了り牌を引きやすくなる】


やえ「……」


負け続けるっ……!


やえ「三度目の正直リーチ!」


松実玄「ロン、18000です」


能力【手牌にドラが集まる】


やえ「」


ことごとく……! 圧倒的敗北っ……!!


初瀬「先……輩……」メガホンカラーン


赤土晴絵「あはは……ドンマイドンマイ、まぁゲームだからね。っと、ツモ。4000,8000」


能力【常時好配牌・好ツモ補正・三色手傾向】


やえ「」





~帰り道~


やえ「ふふ……あはは……この回路をPSPに組み込むんだ……雀力が数倍にも跳ね上がるぞ」


初瀬「小走先輩……ただのゲームですから、酸素欠乏症の父親みたいにならないで下さい」


やえ「岡橋、ゲームに自分が登場したと思ったら、ネタ枠だった時の気持ちが分かるか!?」


初瀬「解りませんよ」


やえ「えっ……」


初瀬「私みたいな控えにも入れないベンチ要員が、解るわけないじゃないですか」


やえ「……ぁ」


初瀬「でも、だからこそ……小走先輩が出演するって聞いて、どんなに嬉しかったか」


やえ「お、岡橋……」


初瀬「もちろん初回限定版を予約しましたよ。遊ぶ用、観賞用、布教用、転売用」


やえ(「転売アカン」)


初瀬「阿知ポで遊ぶ時、私はいつも小走先輩を使うんですよ。先輩みたいな強い麻雀を打ちたくて」


やえ「……」


初瀬「もちろん、負けちゃう事だってあるけど……ゲームの中の小走先輩は、最後まで諦めずに全力で戦います」


やえ「っ!?」


初瀬「ゲーム内の能力なんて、ゲーム会社の人がイメージで設定します。生まれ持った個性と同じで、悔やんでも、自分ではどうしようもないんです」


やえ「……」


初瀬「だから、先輩! 前を向いて戦って下さい! そうじゃなきゃ、先輩に憧れて……先輩を目指してる私……私達が報われないじゃないですか!」


やえ「岡橋……済まなかった。私がバカだったよ」


初瀬「それでこそ先輩です!」


やえ「ところで、ちょっと見せてくれないか?」


初瀬「へ?」


やえ「いや、そのゲームって使い続けると水着になったりするんだろ?」


初瀬「あー、は、はい」


やえ「私の水着姿とかどんなのか見てみたい」


初瀬「……今はちょっと、電池が切れてるっていうか……」


やえ「見せろ」にこっ


初瀬「……」スッ


やえ「……おい」


初瀬「はい?」


やえ「私はどこだよ」


初瀬「小走先輩は、隠しキャラなので……隠れてるのかなぁ、アハハ」


やえ「お前さっき、私ばかり使ってるって言ってたよなぁ?」


初瀬「どう、でしたっけねぇ? あれから色々ありましたし」


やえ「殆ど新子しか使ってねぇじゃねぇか!」


初瀬「だって、強いし可愛いんですよ。憧ったらセクシーメイドになったり、おもち姉妹に隠れがちだけど、結構バストも」


やえ「もういいわー!」ダッ!


初瀬「あっ、小走先輩!?」




~それからしばらく後 部室~


良子「だから言ってやったのさ、メリッサはベッドの上ではハリケーンより激しいぜ。って、HAHAHA!」ジャラジャラ


紀子「その話のオチが大分解ってきたわ。つまりこう言いたいワケでしょう? 医者はどこだ! って」ジャラジャラ


日菜「あ、ねぇねぇ! 私一発ギャグ思いついちゃいました。先輩が洗牌してまーす♪」ジャラジャラ


由華「……で、どうするんですか」


やえ「……どうって?」


由華「個人戦です」


一同「「……!?」」


由華「全国の舞台に出てくるような人達、速度もかなりの物だと思います。小走先輩が立直する頃には、テンパイしててもおかしくないですよね」


良子「(よせ……やめろ……!)」


由華「降ろさせないとか、勝負に来させるとか、そんなのは所詮県大会レベルまでじゃないでしょうか。ただでさえ異常な引きを見せる怪物を、更に加速なんてさせたら」


紀子「やめろっつってんだよぉ!? その話はもうタブーって事で、暗黙の了解になってんだろうがよぉ!」ガタッ!


由華「先輩、この能力はこないだのオタクが言ってた通り……完全なネタですよ」


やえ「……す、少し……外の空気吸ってくる……」フラッ


ガチャ……バタン。


良子「てめぇ、何てこと言いやがる! やえのライフはもう0なんだよ!」


由華「個人戦……晩成にとって今年最後の希望……小走先輩にとって最後の舞台」


紀子「え?」


由華「その時は迫っています。おためごかしでお茶を濁している暇はありません」


日菜「そ、それは……」


由華「小走先輩には、何としても個人戦で悔いの無い戦いをして貰わないといけないんです」


良子「そりゃそうだが」


紀子「何か良い案があるの? あの能力を活かして勝つ方法が」


由華「それは……」


日菜「それは?」


由華「……そんな物は無い。これが本当のNo力……なんちゃって」


良子「……」ガッ


紀子「……」ガッ


由華「ちょ、ちょっとやめて下さい! 後輩いじめは良く有りません! 我が校に、いじめはありまぁす!」




~外~


やえ「そりゃ……私だってさ……手放しでバカみたいに強い能力が貰えるなんて思ってなかったよ」


ザァァ……。


やえ「そこそこの能力だけどリスクがあるとか……地味な能力とか……そう言う覚悟もしてたよ」


ザァァァァァ……。


やえ「いくらなんだってこんな……こんな……」ばしゃっ


由華「小走先輩。こんな雨の中、田植えみたいなポーズ取ってると風邪引きますよ」


やえ「……由華……なんだその角みたいの」


由華「先輩達に宮永照の真似をさせられました」


やえ「そ、そうか……かなり似てるよ」


由華「先輩……」


やえ「いやー、よくよく考えたら、こう言う能力も美味しいなってーあはは。絶対盛り上がるよなー。これぞ王者の討ち死にみたいな……ハハ」


由華「……」


やえ「……っ……うっ……」


初瀬「せんぱーい! 大ニュース! 大ニュースですよっ! そんな所でドジョウすくいしてる場合じゃないです!」


やえ「ど、どうした岡橋?」


初瀬「PSVITAで『咲-Saki- 全国編』が発売されました! 小走先輩も隠しキャラで登場しますよ!」


や・由「「な、なんだってーっ!?」」


由華「の、能力は……」


やえ「そうだ、能力はどうなんだ!?」


初瀬「と、取りあえず、部室に入りましょう」



~部室~


初瀬「では、発表します。全国編における小走先輩の能力は……」


一同「ごくっ」


初瀬「【王者の打ち筋を魅せつける】!!」バァーン


一同「「!!」」


初瀬「です」


一同「「……」」


初瀬「あれ? ど、どうしたんですか皆さん?」


良子「いやその、効果はどうなんだよ」


初瀬「あ、効果ですか。効果はですね……」


一同「「ごくっ」」


初瀬「不明です」


一同「「ズコー!!」」


~PC起動~


やえ「『サイバーボブ、Vita全国編における超絶美少女小走やえの能力は、どう言う効果ですか? 王者の打ち筋を魅せつけると言うくらいだから、相当のバランスブレークな効果だと思うのですが』っと」カタカタ


日菜「こういうときでも自分をage忘れないって、メンタル強いですよね」


ボブ「『今回のやえたその能力は【王者の打ち筋を魅せつける】……この表記だけでは、効果までは解らないで御座るが』」


やえ「『うんうん』っと」カタカタ


ボブ「『その効果は……』」


やえ「『はよ言えこのピザ野郎』っと」カタカタ


ボブ「『やえたその能力は――』


【女の子の服が一枚少ない状態で対局開始】


紀子「これはそこそこの強能力だね! 特にゲーム後半のやたら強い子と戦う時には一枚一枚が結構重いし」


やえ「『噛み砕くぞ』っと」カタカタ


ボブ「『お、お約束で御座るよ。本当の能力はこっちで御座る」』


【明らかになっていないが、立直後に発動するし、多分阿知ポの時と一緒】


やえ「」


ボブ「『まぁ見るからにマイナスっぽいとイメージ悪いから、良い事っぽく書いてお茶を濁そうと言うメーカー側の――』ブチッ


やえ「……」


一同「「……」」シーン……。


由華「またネタ能力ですね」


一同「「!?」」


由華「あ、別に今のは『また』と『ネタ』が掛かってるとかではないですよ」


良子(「何一つ上手くねぇ……って言うかお前が弁解すべきはそこじゃねぇだろうがよ!?」)


やえ「……ている……」


初瀬「え?」


やえ「彗星かな……いや、彗星はもっとバァーって動くもんな……」


初瀬「また酸素欠乏症に……」


由華「意気地無し!」パシーン


やえ「ひゃんっ」


一同「「張ったぁー?!」」


由華「能力がネタだったくらいで何ですか、隠しキャラとして二度も選出されるって事は、それだけ全国にファンが多いって事じゃないですか」


やえ「そ、それは……まぁ」


由華「晩成の、奈良の……全国の高校生雀士の代表としてゲームに出ているのに、能力ってそこまで重要ですか?」


やえ「うっ」


初瀬「そ、そうですよ。出て下さっただけで凄く嬉しいし、誇らしいです! 私なんか小走先輩ばっかり使っちゃいます!」


やえ「岡橋は良くその台詞が言えたな!?」


初瀬「正確には憧9:やえ1くらいで使います」


やえ「だろうね!? 知ってたよ!」


由華「ゲームはゲームです。そのせいで、これから始まる個人戦に対して後ろ向きになってちゃ本末転倒ですよ」


やえ「由華……私にそれを気付かせる為に、阿知ポの時も今回もあんな事を?」


由華「そうです。そうでないと私が性格悪いみたいになります」


やえ「だよね」


良子「でも……確かにその通りだよ。出られただけで喜ばしい事なのに、壊れキャラとか強能力じゃないとダメとか、私らの認識が間違ってたよな」


日菜「やえちゃんも、気負いすぎなくて良いんですからね?」


紀子「団体戦の分を、個人戦で取り返さなきゃとか、そう言うのは忘れてさ。とにかく楽しんで暴れて来てよ」


やえ「皆……そうだった。ようやく気付いたよ」


初瀬「おおっ」


やえ「強能力でメインキャストを喰うとか、そんな浮ついた夢は二の次……私は、奈良王者の打ち筋を魅せつけ……晩成の名を全国に轟かせる!」


一同「「よっ、日本一!」」


かくして、晩成を騒がせた加○ク○エイト騒動はひとまずの収束を見た。

小走やえは個人戦の開始に備え、今日も仲間達と共にそのうちしゅじに磨きを掛けるのであった。


初瀬「あ、でも新作だとちゃんと『打ち筋』って言ってますね」


カンッ


後書き

阿知ポしか発売されていなかった頃に書き掛けてお蔵入りしていた物ですが、Vitaの新作が出た勢いで完結しました。
小走先輩の能力については、いまだに判然としていないっぽい? もし詳しくご存じの方は、教えて下さい。


このSSへの評価

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SS好きの名無しさんから
2017-09-01 03:42:29

リリーゾーンさんから
2016-02-17 19:12:40

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: みがめにさまはんさみかたき 2018-11-11 23:01:51 ID: S:jc-x8B

俺それ(やえの能力)知ったとき笑ったのと同時に悲しくなったわ
っつか全国の方にも京太郎実装して欲しい…

2: SS好きの名無しさん 2021-08-16 23:09:27 ID: S:xF500_

白牌の能力は笑った
テンポ良くて全部読めました やえカワイソス...


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