春香「私思うんです」
誰の家でもいるだろうあの存在……
見つけたらとりあえず固まりますよね
春香「私思うんです」
日本には譲り合いの精神って言葉がありますよね。
譲るって言葉は、自分よりも他人を優先するみたいな意味だから、ここに日本人の美徳を感じますね。
まぁ……こんな事を言うのはおこがましいのかもしれないけれど、私なんかよりも765プロのみんなに、輝ける機会や活躍の場面がもっともっと回ってきて欲しいなって思ってしまいます。これって変ですかね?
別に自分を卑下してるつもりはないし、そういった機会を私がみんなに譲ってやる!なんてつもりで発言してる訳じゃありませんよ?
ただ、大好きなみんなが、もっと色んな人に注目されて、「765プロの~~かわいいよね」とか「765プロってすごいよねー」とか……そんな事聞けるってすごい嬉しいことですよね。
…ごめんなさい、話が分かりづらかったですよね?
結局、私が言いたいのはこういうことなんです。
人に譲る気持ちって大事ですよね
みんなにもっともっと活躍して欲しい
この2つ。たったこの2つだけ。
さて、その話を踏まえて、今日は千早ちゃんにささやかながらお願いがあるんだ。
春香「ねぇ、千早ちゃん。部屋の隅にいるあの黒光りしてるのやっつけてくれない?」
千早「丁重にお断りさせていただくわ」
カサカサカサ…
春香「何で!?あれが繁殖してもいいの?って…ちょおおっ!?動くなよ!びっくりするじゃんか!」
千早「春香が始末すれば済む話じゃないの」
春香「いやー、ソレガチガウンデスヨー。やっぱりー、千早ちゃんの活躍をもっと見てみたいという春香さんの親心みたいな?と言いますかー。私がやっつける選択肢が無きにしもある状態だからー」
千早「無きにしも非ず よね。じゃあ、春香がやってね。私は少し予定を思い出したから、じゃあね」スッ
春香「待って!お願いぃ!千早ちゃん早まらないで!!1人にしないでぇ!」ダキッ
千早「離してっ!私も怖いのよ!苦手なの!!」ブンブンッ
カサカサカサ…
春香「ちょっおっ!マジ危なっ来ないで!!」グイッ
千早「ぉおお!?私を盾にしないで!!」ブンブンッ
千早「…どうやらアレは、私たちよりドア側の方に回り込んでしまったみたいね」
春香「…大魔王からは逃げられないって告げられたら、こんなに絶望を感じるんだね」
千早「どうするの、この後真と萩原さんと我那覇さんが来るんでしょ?」
春香「マズイよね…ほんとマズイ…」
千早「早くどうにかしてよ……春香」
春香「…千早ちゃん、サポートは私に任せて」グッ
千早「はぁ!?だからっ!!ここは、春香の部屋なんだから春香が始末しなさいよ!」
春香「それは暴論だよ、千早ちゃん!」
春香「例えば、悲しいけれど世界中には満足にご飯を食べられない人たちもいるよね?世界では食糧の支援もしているよね?なのに、そういった方々に、『あなたたちがそこに居るんだから、あなたたちでその問題も解決して下さいよ』なんて言うつもり!?」
千早「さすがにそんな事は言わないけど…」
春香「そうだよね!?じゃあ、この場合でも同じだよね!?私の部屋だからって、私が解決しなければ というのは違うよね?」
千早「…いや、私は間違ってないわよ」
春香「何で!!今の話を聞いてたの!?」
千早「ええ。物事はケースバイケースなのよ。全ての事例を同一視できるとは限らないでしょ。春香の挙げた例なら、みんなで考えるべき問題。今起こってる件は、春香が自己解決させるべき問題である。と私は考えるわ。」
春香「いやいやぁ?何て言うのかなー、この問題は、結構根の深いものでー、個人だけで解決できる範疇を超えたものなのね?だから協力が大事!そして春香さんは後方支援専門なの!」
千早「よくもまぁ、ペラペラと」
カサカサカサ…
春香「うおお!定期的に動きやがるコイツぅ!?」ドタバタッ
千早「やったわ!これでドア前から移動してくれた、外に出られる!それではチャオ☆」ガチャッ
春香「待って!お願い、千早ちゃん帰らないでぇ!」ガシッ
千早「離しなさい!出るだけだから!…というよりも春香も一緒に外に出れば良いじゃない!」
春香「それは違うよ!千早ちゃん!」
春香「私も怖い、ここから逃げ出したい!…だけど!1番怖いのは目を離した隙にヤツが部屋の何処に隠れたか分からなくなること!」
春香「そうなったらお終いなんだよ!いつの間にかヤツらは卵を産みつけ、それはまるで、高槻さんペロペロよろしくミンゴス千早ちゃんのように繁殖してしまうからね」
千早「なによそれ!確かに高槻さんは可愛らしいけどそこまでしないわよ!それに、何?私をアレと同じだと言いたいの!?」
春香「ミンゴスを1匹(スレ)見たら、その後100匹(スレ)は湧いてくるって聞くよ!」
千早「はっ倒すわよ!?」
春香「だからさー千早ちゃんにー、先に黒光りするヤツを倒す順番をー譲ってあげるの。何か倒したそうな顔してたもんね。」グググ
千早「いやいや、私はそんな顔してないから。そう言う春香こそ、ヤツを仕留めたいオーラが漂っているわよ。これは部屋の主を差し置いて、私が出しゃばる訳にもいかないでしょ?」グググ
春香「ほらさ、あれだよー。私は千早ちゃんに助けてもらえる。千早ちゃんは『カッコいいー!』って評価は上がる。WIN-WINの関係?みたいな」グググ
千早「いや、私得しないわよね?一方的な春香WINよね?ジャイアン理論並みの不平等さよ?」
春香「ほらーあれじゃないっすかー、最初に言ったけどさー、人に譲る気持ちって尊いよね素晴らしいよね美しいよねー。そんな春香さんの気持ちを千早ちゃんにぜひ受け取ってほしいんだー。」グググ
千早「春香のは譲るじゃなくて、押し付けじゃない!必要ないわよ!もうほっといて!」グググ
春香「ほっとかない!ほっとかないよ!!私……また千早ちゃんと遊びたいもん!ね、だからさ……ほら、遠慮しなくても良いんだよー?」グググ
千早「…それなら春香の言葉を借りるけど、譲り『合い』の心が大事なのよね?私も春香に役目を譲りたいと思うわ、だから私の尊くて素晴らしくて美しい気持ちを、ぜひ受け取ってほしいのよ」
春香「ダメだよ!千早ちゃんがやろうとしてることは、キングボンビーを持った人に、牛歩カードを使うくらい卑劣な行為だよ!」
千早「春香がしていることじゃないっ!!」
カサカサカサ…モゾモゾ
春香「ぎゃああああ!私の、私のベッドの上にぃぃいい!!」
春香「許せない許せない絶対許せないぃ!!千早ちゃん、千早ちゃんの音楽雑誌貸して!?」
千早「嫌よ!何をする気!?まさか、雑誌を丸めて叩き潰すつもり!?」
春香「そんなことしたら私のベッドが汚れちゃうじゃん!雑誌の間に挟んで踏み潰すんだよ!」
千早「尚更ダメよ!絶対貸さないわよ!?」
春香「千早ちゃんはいいの!?あんなものを放置して!?」
千早「今度は何なのよ?」
春香「あれを雑誌に挟んで倒せばどこの数字とは言わないけど72が75になるって聞いたよ!」
千早「そんなのに騙されるわけないでしょ!?それに何処のも何も私のバストサイズでしょうが!」
春香「えーソンナコトナイデスヨー。それにさ、ほらー、あの素早さはさ、千早ちゃん(ミンゴス)のやよいが関わった時の動きに似てるじゃん、千早ちゃんには親近感を覚えるんでしょー?処理しなくていーのー?このこのー」グイグイッ
千早「だから違うっていってるでしょ?!はっ倒すわよ!?」
コンコン ガチャ
響「ごめーん、遅れたぞー」
春香「……………!」ニヤリ
春香「……ぐずっ、びびぎぢゃぁんっ」ポロポロ
千早「!?」
響「!?は、春香!?一体どうしたんだ!?」ガシッ
春香「ひぐっ…ぐすっ…凄ぐ!凄ぐ怖ぐでぇ…」ポロポロ
響「もう大丈夫だぞ!自分がいるからな!」ギュッ
春香「うぇぇええええん」ポロポロ
響「千早、春香に一体何があったのか?」
千早「…色んな意味で驚いているけど、とりあえず端的に述べるとアレのせいね」ユビサシ
カサカサカサ…
響「なるほど、虫が怖かったのか。春香もなかなか乙女だなー」
春香「響ちゃん…お願い。私、アレ怖いの…。千早ちゃんも…ダメみたいなの…。響ちゃんの…完璧でカッコいいところ見たいよぉ」グスッ
響「っ!いいぞ!春香!自分に任せとけ!自分完璧だからな!」
春香(計画通り)ニヤァ
千早(うわぁ)
響「いやー、確かにいきなり虫が出てくると、ビックリするよなー」スタスタ
春香(ふふふ、さすがナンクル響ちゃん。ありがとう!まじかなさんどー!)
響「あ!なんだ、ゴキ太じゃないか!」
春香「えっ?」
千早「はっ?」
響「まったく、春香を怖がらせたらダメだぞー」ガシッ
カサカサカサカサカサ…
響「ふふっ、捕まえたぞ!…あの時事務所で出会って以来だなー」
はるちは「」ドンビキ
響「んー、そんな大冒険があったんだなー、あの時の奥さんは元気にしてるのかー?」
春香と千早は思った
私たちが2度と響に逆らうことはないだろうと
響「悪いけどゴキ太には出ていってもらわなきゃいけないんだぞ…ごめんな…」
響「春香、窓開けて外に出せばいいか?」
春香「はっ…そ、そう!響ちゃんお願い!」
響「分かったぞ!
…って、あっ滑った」ツルッ
一度は捉えられた虫。
その虫が人間の手から放たれたとき、どういった行動に移るのか?
我那覇響のようにコミュニケーションを取る術もない私達には何を思っているのかは分からない……がこれだけは分かる
ヤツらの生存本能の赴くままなのであろう。
飛べるよ…いつだって飛べる、あの頃のように!
その言葉に後押しされたのか
大きな強い翼で飛ぶのである。
I can fly!G can fly!なのである。
( (
ブーーーン⊂二二二( ^ω^)二⊃
はるちは「ぎゃああああああ!!」
春香「何してくれてんだ我那覇ぁ!許さねぇぞ!!ってきゃあああああ」ドタバタ
千早「我那覇さん!貴方最低よ!!SPから2におけるバスト詐称並みに最低よ!!嫌ぁあああ!!」
響「…何だよぉ、そこまで言わなくてもいいじゃないか」グスッ
コンコン ガチャ
真「ごめんごめん~春香お待たs…」ピトッ
人間突然の事態には、思うように対処できることは少ないと思う。
例えばドアを開けたとき、すぐ目の前に人がいたらどうだろう?多少は驚くこともある。しかし、ただそれだけである。
では、ドアを開けたとき、すぐ目の前1mからテカテカした黒光りが飛んできたらどうだろう?
それは最早、トラウマと言っても過言ではないだろう。
そこいらの心霊番組やお化け屋敷よりも怖い体験は、大好きな仲間達の家でも経験できるのである。
もしかしたら、天性の方向音痴の能力をもってして回避できる人もいるのかもしれない。凸ビームで焼却する人もいるのかもしれない。らぁめんのお供に添える人もいるのかもしれない。
しかし、それは叶わなかった。
真が、黒光りを何なのか認識できたときには、ヤツが真のそそりたつアホ毛とこんにちはをした後であった。
真「うぎゃぁぁぁああああああああああ!」バタン ブクブクッ
千早「真!?大丈夫っ!?我那覇さんみたいな叫び声上げて倒れたけどって…泡吹いてる!?」ユサユサ
カサカサカサカサ…
春香「ま、ままままずい!廊下に出てリビングの方に向かって走ってる!今日はお母さんの友達が来てるのに……!」
春香「響ちゃん、お願い!!もう一回捕まえてっ!!」
響「ひっ…ぐすっ…うええ」ポロポロ
春香「響ちゃん何で泣いてるの!?ああぁ、その間にも動いてるしぃ!!どぉーーーーしよーーーーー!!!」
ガチャッ
雪歩「お、お邪魔しまーす」グチャッ
はるちは「」
雪歩「あれ?今何か踏んだ……?春香「雪歩!下見ちゃだめ!!って、あちゃぁ…」
雪歩「………」
雪歩「いやああああああああああああああああ!!!ゴ、ゴキブリ踏んじゃったいやああああああああああ!!」
その声は、家全体に響き渡り、両親やその時にたまたまリビングにいた母の御友人にも聞こえたのだという。
この件で、高校生5人組 は、春香ママから大目玉を食らい、綺麗に掃除をさせられたのであった。
おしまい
笑ったwww
確かにGを見ると硬直するよなw