2016-06-08 01:16:05 更新

概要

平和な世界の平和な鎮守府。
秘書艦 大鯨と提督、艦娘たちとの日常を描きます。


前書き

台本形式、作者の独自設定、独自解釈、趣味全開、キャラ崩壊、オリキャラあり、何番煎じかもわからない……。
等々苦手な方はそっとじ推奨です。
ゆったり更新していきます。

なお、作者は艦これ改から入って先日本家着任したばかりの新任提督です。現在はACもプレイ中。
艦これ改での最初の嫁艦が大鯨でした。
至らない点も多々あると思いますがよろしくお願いします。


プロローグと登場人物のまとめみたいな



―横須賀鎮守府 執務室 とある日


大鯨「……潜水母艦がいるのに潜水艦がいない鎮守府って、どうなんでしょうね」


提督「いまさら言うなよ……。文句なら潜水艦寄越さなかった元帥殿に言ってくれ」


大鯨「言えば潜水艦の娘たちが来てくれるんですか?」


提督「いや多分無理だわな」


大鯨「…….。……わたし、ちゃんと役目果たせてます?」


提督「へいきへいき。秘書艦として、大鯨は十分役立ってるよ。それに、潜水母艦だけが大鯨の姿じゃないだろ?」 ナデナデ


大鯨「あっ……もう、ずるいですよぉ、提督……」


ドアバーン


夕立「提督さんっ! 夕立もナデナデして欲しいっぽい!!」 ピョーン


提督「夕立!? おまっ、やめr----」


ドシャーン


大鯨「ひゃあっ! て、提督大丈夫ですか!? 提督!」


夕立「夕立、今日の演習、結構頑張ったぽいー! 誉めて誉めてー!」


提督「いてててて……。わかったから突然飛びついてくるのはやめてくれ夕立……。身体がもたん」 ナデナデ


夕立「わふぅー!」


大鯨(夕立ちゃん、なんで最近犬っぽくなってきてるんだろう……)






天津風「全くもう……。先に駆け出したと思ったらまたなのね」


提督「お、あまつんもいたのか」


天津風「貴方、"あまつん"は止めてって言わなかったかしら? ……そんなことより演習の報告だけさせてちょうだい」


提督「その前に夕立剥がしてくれ」 ナデナデ


夕立「~~♪」


天津風「……近海哨戒中の木曾さんと秘書艦の大鯨さんを除いた艦で、5対5の模擬戦してきたわ」


提督 大鯨((無視した……))


天津風「第一艦隊は旗艦加賀さん以下、比叡さん、鈴谷さん、夕立、あたし。第二艦隊は旗艦瑞鶴さん以下、榛名さん、熊野さん、阿武隈、暁」


天津風「鈴谷さんと比叡さんが大破判定まで追い込まれたけど、加賀さんとそこの夕立の活躍もあって第一艦隊の勝利。他のみんなはお風呂行ってるわ」 ジー……


提督「そうかそうか。お疲れさん」


大鯨「お疲れさまでした、天津風ちゃん」 ペコ


提督(あまつん は うらやましそうに ゆうだち を にらんでいる)


提督「あまつんはほとんど被弾もないみたいだな。夕立もだけど」


天津風「まあ、伊達に次世代型駆逐艦のプロトタイプじゃないもの。当然よ」 フフン


提督「そうかそうか。夕立もあまつんも報告ご苦労さん。戻っていいぞ。疲れたろ?」


夕立「うー……。夕立、提督さんともっと遊びたいぃ……」


天津風「ほら夕立。一旦シャワー浴びに行くわよ、演習したんだから汗かいてるでしょ」 スタスタ グイ


夕立「あうぅ……」


提督「あ。あとあまつん」 オキアガリ


天津風「なに?」


提督「よく頑張ったな、偉いぞー」 ナデナデ


天津風「も、もう! あまり髪は触らないでって言ってるでしょ! 吹き流しがとれちゃうじゃない!」 ニヘラ


夕立「表情とセリフが合ってないっぽい」


天津風「うるさい夕立! もう行くわよ!」 グイッ


夕立「あ~う~……」 ズルズルズル……


ガチャ バタン


提督「毎日毎日、飽きないな、あいつら」


大鯨「ふふっ。提督、それ、ブーメランですよ」


提督「ああ、全くだ。なんやかんや、この生活を気に入ってるからな、おれは」


大鯨「それは、わたしもです。他の艦娘のみんなと――提督のいるこの平和な鎮守府が、大好きです」


提督「――――そうだな。ホントーに、平和だよ」


大鯨「……例え、潜水艦の娘たちがいなくったって、大鯨は大丈夫です!」


提督「あ、まだそれ言うのね?」


・・・・・

・・・・

・・・

・・






――一方その頃 大本営 建造ドック


元帥「…………」


明石「…………」


建 造 に 失 敗 し ま し た


建造妖精「……だめでした☆」 テヘペロ


明石「うわ腹立つ」


元帥「なぜだ!? なぜいまだに潜水艦が一隻も出来んのじゃ!?」


建造妖精「元帥殿の運が尽きたのでしょうな」 キリッ


元帥「ちゃんと資材は調整しているのじゃあろうな!?」


建造妖精「もちろん」つ250/30/200/30


明石「まあ元帥、仕方ないですよ。いくら資材つぎ込んでも出来ないものは出来ない。諦めも肝心ですよ」


元帥「ならば明石! お主が潜水艦を建造してくれんか!」


明石「艤装の改修ならまだしも、建造は無理ですって。妖精さんの秘匿技術みたいな感じですし」


建造妖精「あとはドックの機嫌次第」


明石「というかなぜそこまで潜水艦を欲しがっているのです?」


元帥「え? それはほらの、潜水艦だけいないって、なんか気持ち悪いじゃろ? こう、揃ってない感じが」


明石「コレクターの考え方ですね……」


明石(確かにこれくしょんですけども)


建造妖精(明石殿、それ以上いけない)








・・

・・・

・・・・

・・・・・To be continued






大鯨との出会い


――横須賀鎮守府 執務室


クマノー、ソッチイッタ  ワタクシニマカセナサイ!


大鯨「…………はい。これで、午前中の書類整理はおしまいです。ご苦労さまでした、提督」


提督「ふいー。大した量じゃないけど、事務仕事っての疲れるんだよな。どうにも慣れん」


トオウオオウ!! ヒエー! セイダイニハズシテマス!


大鯨「身体に良いとは言えませんからね」


提督「あ”-パキパキいってる背中」 ノビー


チョットクマノサン! アタシノシカイサエギルノヤメテホシインデスケド! エフェクトハデスギ!


大鯨「コーヒーかお茶、淹れますね。どっちにします?」


提督「あー……コーヒーで」


鈴谷「あ、あたしもコーヒー」


熊野「わたくしもいただきますわ」


阿武隈「あたし、お茶がいいです」


比叡「比叡は紅茶を希望します!」


提督「せめて揃えろや! 厚かましいなおまえら!」


阿武隈「ぶー……」


比叡「ひえー、じゃあコーヒーでいいですよ、ふん!」


提督「なんでおまえキレ気味なの?」


大鯨「じゃあ、みんなの分も淹れてきますね、ふふ」


提督「おまえら大鯨に感謝しろよ。心の底から、しっかりとだぞ」


鈴谷「あっ。あぶぅやられてる」


阿武隈「えっ! やだ、あたし!?」


熊野「今蘇生しますわ。とおお↑おおう↓」


比叡「こ、こっちも回復くださいい!」


提督「だから人の話聞けよ! つーかおれの仕事中に執務室に集まってマルチプレイすんのやめてくんない!? せめて仕事片付いてからにしろよ!」


鈴谷「あ、仕事終わってればいいんだ」


提督「おれも混ざる」 P○ Vi○a スチャ


熊野「結局一緒にやりたかっただけですのね」


阿武隈「てーとく、ソロでくるの?」


提督「パーティ設定オープンにしとけばノラが来るかもな。別にソロでもいい」


比叡「大鯨さんはやらないんですか?」


提督「あいつ、ゲーム下手だからマルチとかあんまやりたがらないんだよ。迷惑かけるからって」


鈴谷「別に気にしないのにねー。そういうのも含めてマルチの面白みじゃん? 身内でやる場合なんて特にさ」


阿武隈「あたしだって上手じゃないですし。いつも鈴谷さんたちに助けてもらってます」


提督「まあ、おれと二人とかだとわりとやってるけどな」


熊野「さらっと惚気ましたわ」


比叡「ひえー」


提督「今のって惚気か!?」


大鯨(全部聞こえてるんですけどぉ……もうっ)






比叡「……けど提督。ウチで一番最初に着任した艦って、大鯨さんなんですよね?」


提督「そうだよ」


比叡「それは提督自身が大鯨さんを初期艦として選んだんですか? それとも、わたしたちのよう、大本営が配属先を決めたんですか?」


提督「あー……その話、しなきゃだめ?」


熊野「妙に歯切れ悪いのね。これは何かあったのかしら? ぜひとも聞いてみたいですわ」


提督「まあ、無理に隠すような話でもないんだがな。結論から言うと、だ。……おれの方から選ばせてもらった」


・・・・・・

・・・・・

・・・

・・


――回想 約1年前 大本営 応接室


元帥「ふぉっふぉっふぉ。久しぶりじゃのう」


提督「……ご無沙汰してました」


大和「元帥、こちらの方は……?」


元帥「うむ。栄えある『特務司令官』第1号じゃよ」




傍らには大和が控えててなあ。圧巻だったぞ(何がとは言わない)


え、提督、大和さんと直接会ったことあるの!? すごっ!




提督「突然呼び出された思ったら、一体何ですか?」


元帥「そんな堅苦しくしなくて良いぞ。ワシらの仲じゃろう」


提督「……んじゃ、普段通りにさせてもらうよ、じーさん」


大和「じ、じーさん!? ちょっと、失礼ではないですか!?」


元帥「いいんじゃよ、大和。こやつは、わしの孫みたいなものじゃ」




随分と元帥閣下と親しげでしたのね


……昔から家の近所に住んでるじいさんがまさか元帥だとは思わなかったさ


何それ怖い




元帥「さて。本題に入ろうかの。――お主、艦娘は知っておるの?」


提督「ああ。じーさんが発見した超技術で生み出された、艦が人の身体を持ったってやつだろ。現代兵器の効果がほとんどない深海棲艦とも戦えるんだってな」


元帥「ここにいる大和もそうじゃ」


大和「……自己紹介が遅れました。超弩級戦艦 大和型1番艦 大和です」 ペコリ


提督「この娘が、大和、なのか」




元帥さんが艦娘建造の技術を発見したんですか?


正確には、世界で初めて建造妖精とコンタクトに成功したのが元帥だ


まあ、その後停戦に導いて戦禍をほとんど出さなかったのもあのじーさんだけどな


それ、もう完全に世界を救った英雄じゃないですか




元帥「お主には艦娘を指揮する資格がある。そこで『特務司令官』として、横須賀鎮守府に着任してもらいたい」


提督「……は?」


元帥「なんじゃ? その歳で難聴か? 仕方ないの、もう一度言うぞ」


提督「いやいや聞こえてたよ! いきなりそんな資格とか言われても全く身に覚えが無い!」


元帥「こやつじゃよ」


ヒョコ


建造妖精「どーもー」


提督「うわ! なんだこのちっこいの!?」


建造妖精「ちっこいのとは失敬な! わたしが建造妖精さんだゾ☆」 キラリン


提督(うぜえ)


大和(なんかイラッとします)


提督「……ん? こいつ、前にじーさんの頭に乗ってるの見たぞ。なんかブレイクダンス踊ったりしてたから幻覚かと思ってたけど……」




妖精さんがブレイクダンスって……


しかも元帥閣下の頭の上で……


元帥によると、妖精さんが見える人間じゃないと艦娘たちの指揮には向かないらしくてな。見えるか見えないかが資格らしい




元帥「妖精が見える人間は他にも数名いた。まずは一人目としてお主に声をかけたのじゃが、どうじゃ?」


提督「いきなり言われてもな……。予想外すぎる話だ」


元帥「引き受けてくれるなら今いる艦娘の中から一人秘書艦に選んで良いぞ。――大和」


大和「はい。――――こちらの写真の艦娘から選んでください」 ズラー


元帥「チェンジは不可じゃが、パネマジはほぼ無いと思ってくれて良いぞ、ふぉふぉふぉ」


提督「変な言い方すんじゃねえよ、じーさん。どこぞのいかがわしい店か」


大和「うわ、不潔です」 ドンビキ


提督「おれ!?」



ほうほうほうほう


それで提督はつまり


大鯨さんに一目惚れして


秘書艦に選んだわけですね




元帥「……その艦娘は、戦闘用の艦じゃないぞ」


提督「秘書艦やってもらうんだから、別にいいだろ」


大和「顔と身体で選んだんですね。不潔です」


提督「だって写真しかないんだから必然顔基準みたいなものでしょ!? おれ君に嫌われるようなこと何かした!?」


元帥「ふぉふぉふぉ。まあお主がそれで良いと言うなら構わんが。それに他の艦は追って着任させる」


提督「くっ……なんかおれが責められてるみたいで納得いかない」








――数日後 横須賀鎮守府 執務室


提督「今日からここが、おれの仕事場になるわけか……」 コシカケ


提督が 鎮守府に着任しました。 これより 艦隊の指揮を執ります。


提督「うおっ!? なんだ今の声!?」


ヒョコ


???「はい。わたしです」


提督「よ、妖精、か?」


???「はい。この鎮守府の妖精たちのまとめ役みたいなものです。守護妖精とでもお呼びください」


???→守護妖精


提督「あ、ああ。わかった」


守護妖精「はい。これからよろしくお願いしますね。提督さん」


提督「あれ、おれのこと知ってるの?」


守護妖精「はい。建造妖精のほうから情報はもらいました。そろそろ……」


ドア コンコン


守護妖精「どうやらタイミング良く秘書艦さんも到着したみたいですね。それではわたしは、他にも用があるので失礼しますね」 ドロン


提督(消えた……)


提督「あ、入っていいよ」


???「し、失礼します」


ガチャ


???「こ、こんにちは。潜水母艦 大鯨です。不束者ですが、よろしくお願いします!」


???→大鯨


提督「かわいい嫁にしたい」

提督(ああ、こちらこそよろしく)


大鯨「ふえっ!?」


提督「えっ?」


大鯨「あ、あのっ、そのっ! わ、わたし、えっと、あのぅ……!!」 アタフタ


提督「やっべ……」


大鯨「あぁうぅ……!!!! わ、わたし、なんてただの不束者ですぅ!!」シュー


提督「ほ、本心だから! 嘘じゃないから‼︎」


……この後30分くらい続いてました。え、わたしですか? はい。もちろん見ていましたとも。



・・

・・・

・・・・

・・・・・


――回想終了


鈴谷「あっまーーーーーーーーーい!!!!!!!! 何これゆるふわ甘すぎるよ提督!!」


阿武隈「確かに大鯨さんかわいいですけど! かわいいですけど!!」


熊野「結局ただただひたすら惚気てただけですわ……」 ヤレヤレ


比叡「」ガンッガンッ


提督「話せって言ったのおまえらじゃん……。大鯨、コーヒーまだ?」 クル


大鯨「~~~~~~っっっ……!!」マッカッカ


「「「「「あ」」」」」


大鯨「て、ていとく……!! なんでその話みんなにしちゃうんですかぁ!! わたしが恥ずかしい思いするだけじゃないですか!! もうっ!!」


提督「ごめんごめんって! でも大鯨がかわいいって話だから大丈夫だって! あと他の奴らには内緒だぞおまえら!」


大鯨「そ、それでも恥ずかしいことには変わらないですよぉ!! うわぁーん!」


…………その後、大鯨着任時の惚気エピソードは横須賀鎮守府全体に広まった。

ついでに大本営所属のとある艦娘にもこの会話を聞かれてしまっていたらしく、ゴシップ記事が出回るのはまた別の話。


???「―aOば、聞いちゃいました!」







・・

・・・

・・・・

・・・・・To be continued






新任艦娘着任挨拶


――回想 横須賀鎮守府 執務室 大鯨着任の翌日


ヒョコ


守護妖精「提督さん提督さん」


提督「お? どうした?」


守護妖精「はい。先ほど、大本営の建造妖精から連絡がありまして、こちらに新しい艦娘がやってくるそうです」


提督「ほう。けど、何の連絡もおれのところにはきてないぞ」


守護妖精「いいえ。書類も送ってあると言っていたので来ているのではないでしょうか?」


ドア コンコン


ガチャ


大鯨「し、失礼しますね、提督、大本営からお届けものです」


提督「さんきゅー、大鯨。にしても、なんで妖精の方が情報早いんだよ」


妖精「はい。まあ、妖精ネットワーク、とでも言いましょうか。我々にも独自の情報経路があるのですよ」フフフ


提督「なんか怖いな」


妖精「はい。我々は、いつでも見ていますよ? それでは」ドロン


提督「不吉なこと言い残して消えやがったよ……」


大鯨「て、提督? それ、中身見なくていいんですか?」


提督「ん、ああ。これからウチに来る艦娘のデータらしい。……えーと」


大鯨「まあ。新しいお仲間が来るんですね。何人くらいくるんですか?」


提督「戦艦が2隻に……空母が2隻……重巡洋艦が2隻……軽巡洋艦が2隻……駆逐艦が3隻、大鯨も合わせると12隻になるのか。急に大所帯になるな」


大鯨「……潜水艦は?」


提督「いや……書いてないな」


大鯨「提督、わたしの艦種、知ってます?」


提督「潜水母艦だろ?」


大鯨「そう! そうです! それなのに、潜水艦が一人も来ないなんておかしくないですかぁ!?」


提督「おれに言われてもなぁ……あ、最後になんか書いてある」


元帥『P.S. すまないが、潜水艦が一隻も建造に成功しておらん。大鯨ちゃんにも謝っといてくれ』


建造妖精『めんごめんご☆』テヘペロ


元帥『代わりといってはなんだが、とあるものを同封しておいた』


建造妖精『そっちの工廠妖精さんにでも見せればそれがどんなものかわかると思うよー』


提督「……?」ガサガサ ピラッ コロン


大鯨「とある、もの? なんか紙と、ブレスレット、が出てきましたね?」


提督「……改装設計図?」


ヒョコ


???「改装設計図だって?」


提督「うわ、またなんか別の妖精が出てきた!? つーかどこから現れるんだよ」


???「ふっふっふっ。妖精なんだから神出鬼没に決まっているじゃあないか、提督。アタシは工廠妖精。この鎮守府で艤装開発や整備を担当している。よろしく頼むよ!」


???→工廠妖精


工廠妖精「それで提督。その改装設計図と腕輪、ちょいと見せてもらえるかい?」


提督「ああ、ほら」


工廠妖精「……ふむ。……ほうほう」


大鯨「何かわかります?」


工廠妖精「どうやらこれは大鯨専用の改装設計図のようだね。建造妖精のお手製みたいだね」


大鯨「わたし専用、なんですか?」


提督「んで、結局どんなものなんだ?」


工廠妖精「んーすぐに使えるものじゃあないね。でもアタシに任せといてくれれば、こいつをばっちり完成させておいてやるから、それまでのお楽しみってことで、ね?」


提督「なんだよ勿体ぶって。気になるじゃないか」


工廠妖精「まあまあ。悪いものじゃないからさ」


ドア コンコン


???「失礼します。横須賀鎮守府司令官へ、新任の挨拶に参りました。ご入室の許可をいただけますでしょうか?」


工廠妖精「ほら、新しい娘たちも来たみたいだし、アタシはここいらで失礼するよ」ドロン


提督「あっ。消えちまったよ、はあ……。こほん。ああ、入っていいぞ」


ガチャ


???「失礼します!」


ゾロゾロゾロゾロ


ザッ


守護妖精「はい。では、ご案内を終えたのでわたしはこれで」


提督「守護妖精がここまで連れてきてくれたのか。悪かったな」


守護妖精「いいえ。お気になさらず」ドロン


提督「さて……。よく来てくれた、歓迎しよう。わたしがこの鎮守府の特務司令官を務めさせてもらっている、提督だ。あいにく先日任命されたばかりのまだまだ新米だ。勝手がわからず諸君らに迷惑をかけることも多いかも知れないが、よろしく頼む。そして、こちらが秘書艦の大鯨だ」


大鯨「こ、こんにちは。潜水母艦 大鯨です。わたしも、着任したてなので、よろしくお願いします」


提督「……まあ、堅苦しく形式ばった挨拶はさせてもらったが、とにかくよろしく頼むよ。そっちも順番に自己紹介してくれないか? そんな固くならなくて構わないからさ」


???「で、では、わたしから。高速戦艦 榛名、本日より横須賀鎮守府に着任しました。金剛型戦艦の3番艦です。思っていたよりも優しそうな提督で、榛名、少し安心しました。よろしくお願い致します」ペコリ


???→榛名


???「榛名は真面目ですねえ。司令も固くならなくていいって言ってくれたじゃないですか」


榛名「で、ですけど比叡姉さま。やはり、こういった場面ではそうするのが適当かと……」


???→比叡


提督「まあまあ。真面目なのはいいことだからな。おれも、堅苦しすぎるのが苦手だってだけだし」


榛名「は、はい。ありがとうございます」


比叡「じゃあ次はわたしが! 金剛お姉さまの妹分、比叡です。経験を積んで、姉さまに少しでも近づきたいです。……ところで司令」キョロキョロ


提督「どうした?」


比叡「金剛姉さまは、どちらに?」


提督「……ウチに着任の戦艦は比叡と榛名だけだぞ」


比叡「ひえー!? それじゃあわたしの活躍を金剛姉さまにお見せできないじゃないですか!? どうしてくれるんですか!?」


提督「配属先を決めたのは元帥だろうから文句はそっちに頼む」


比叡「むー! 比叡、気合い! 入れて! 元帥に! 直談判! 行きます!」


榛名「やめてください姉さま!」ガシッ


比叡「榛名! 離して! 金剛姉さまがいない鎮守府に意味など無いんd」


榛名「比叡姉さまごめんなさい……ふっ!」手刀ガスッ


比叡「ですふっ!?」バタッ


大鯨「……大丈夫、なんですか?」


榛名「すみません提督。その、比叡姉さまは少し、金剛お姉さまのことが好きすぎて暴走しがちなんです……」


提督「シスコンか……。まあいい。何かあったら榛名、任せるぞ」


榛名「は、はい。お任せください」


提督「じゃあ、次は……」






???「わたしね。翔鶴型航空母艦2番艦 妹の瑞鶴です。幸運の空母なんて言われるけど、そうじゃないの。一生懸命やってるだけ、よ。翔鶴姉のいる限り、負けるわけにはいかないの。で、提督さん、翔鶴姉どこにいるの?」キョロキョロ


???→瑞鶴


提督(……ん?)


大鯨(……もしかして)


提督「ウチにはいない」


瑞鶴「いないですって!? 冗談じゃないわ!」


提督「おまえもかよ!」


???「全く……提督の前で何をわがまま言っているのかしら? この七面鳥は」


瑞鶴「七面鳥ですって!? ちょっと提督さん! こんな焼き鳥一航戦なんていらないから翔鶴姉呼んでよ!」


???「……航空母艦 加賀です。提督、それなりに期待しているし、わたしも提督の期待に応えて見せます。どこぞの五航戦とは一緒にしないでちょうだいね」


???→加賀


ナンデスッテー!? ウルサイワヨシチメンチョウ テイトクノマエデシツレイデハナクテ? ムガー!!


提督「喧嘩するなよ……」


提督(シスコン二人目……しかも空母同士の仲が悪い……)


大鯨(提督が疲れてる気がする……)






???「次は鈴谷でいいのかなー?」


???→鈴谷


鈴谷「こほん。鈴谷だよ! 賑やかな艦隊だね! よろしくね!」


???「そして、わたくしが、重巡 熊野ですわ」


???→熊野


熊野「ごきげんよう提督。鈴谷ともども、よろしくお願いしますわ」


鈴谷「んっふっふっふー。よーろしくー。提督、今夜ヒマ? どーする? ナニする?」


熊野「鈴谷、はしたなくてよ」


鈴谷「なにさー。一緒に食事でもとか思っただけじゃん」


提督「食事なら食堂でみんな一緒だ」


大鯨(……戦艦空母の二人に比べれば、普通なのでしょうか……)






???「木曾だ。お前に最高の勝利を与えてやる」


???→木曾


提督(何このイケメン)


木曾「この鎮守府、この国、そして提督、おまえのためにこの木曾の力、存分に振るわせてくれ。本当の戦闘って奴を教えてやるよ」ニヤ


提督「お、おう……」


木曾「水上機? 要らないねえ、そんなものは。この身で砲雷撃ができればそれで十分さ」フッ


大鯨(この人もキャラ濃いなぁ……)


???「木曾はほんっとに戦闘狂なんだからもう」


木曾「ふっ。おれたちは軍用艦だ。おれの言っていること何か間違ってるか、阿武隈?」


???→阿武隈


阿武隈「別にそういうわけじゃないけど……。あ、提督、あたし、軽巡 阿武隈です。……ところで、あたしの名前、漢字で書けます?」


提督「へ? 漢字?」


阿武隈「そう、漢字。書いてみて」


提督「えーと……あぶくま……あぶくま……」サラサラ


つ阿部隅


阿武隈「んっ! 違います!!」


提督「ご、ごめん」


阿武隈「もうっ! ちゃんと覚えてくださいね!!」


大鯨(まあ、今のは提督も悪いですね)






???「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」


???→暁


提督「え、ええ……」


提督(どう見てもお子様……)


大鯨(背伸びしてる感じがかわいいです)


暁「暁だって、4姉妹の長女なんだから! これはもうレディーと言っても過言ではないわ!」フフン


???「暁、お姉ちゃんっぽい?」


暁「そうよ! 夕立も、暁をお姉ちゃんとして頼ってくれたっていいんだからね!」


???→夕立


夕立「うーん……どっちかっていうと夕立は提督さんに甘えたいっぽい」


提督「え、おれ?」


暁「ふええ!?」


夕立「提督さーん!」ピョーン


提督「どわああ!?」


大鯨「提督、危ないっ!」


ガシッ


夕立「……あれ?」


大鯨「もう、急にそんなことしたら危ないでしょ? めっ、です」


提督「お、おお、大鯨が止めてくれたのか。ありがとう」


夕立「わふぅ……。あ、でも、大鯨さんも柔らかくって心地いいっぽい!」ポヨポヨ


大鯨「ひゃうっ! ゆ、夕立ちゃんくすぐったいよぉ」


提督(なにあれ羨ましい)


???「夕立! 失礼なことしてないでこっちきてちゃんと謝って自己紹介なさい!」グイィ


夕立「あーうー……。襟引っ張んないでぇ、天津風」


???→天津風


天津風「ほら!」


夕立「はーい……。白露型駆逐艦 夕立よ。えっと、大鯨さん、提督さん、急に飛びついたりしてごめんなさい」ペコリ


大鯨「次からは気をつけてね。怪我でもしたら大変なんだから」


提督「多分怪我するのは俺なんだろうけどな……」


天津風「夕立が迷惑かけて悪かったわね。次世代型駆逐艦のプロトタイプがあたし、天津風よ」


提督「いや、いいさ。どっちかっていうと天津風の方がお姉ちゃんっぽいな」


暁「ぴゃっ!?」ガーン


提督「それより……」ジロジロ


天津風「……? なに? あたしの顔に、何かついてる?」


提督「なんでそんなスケスケの着てるんだ?」


天津風「なっ!? いやらしい目で見ないでよ! 変態!」バッ


提督「待て! 誤解だ! その恰好でうろつかれると色々困ると思ってだな!」


「「うわー……」」


提督「やめろ! みんなしてそんな目で見るな! 大鯨!」


大鯨「は、はいっ?」ビクッ


提督「天津風に……ってなんで榛名の後ろに隠れてるんだよ!」


榛名「て、提督がまさか、そんな目で榛名たちを見ていたなんて……」


チーガーウー チョット! コッチミナイデヨ! ウワー ヘンタイダー


比叡「うーん……はっ! ね、寝てません! 寝てませんよ!」←気がついた


天津風「この変態提督!!」


鈴谷「スケベースケベー」


提督「鈴谷楽しんでいるな!?」


比叡「し、司令は変態だったんですか!? 許せません!!」ジャキン


提督「やめろ比叡! 艤装を出すんじゃない!!」


比叡「主砲、斉射、はじm――」


木曾「いい加減にしろっ!! おまえら!!」


ビクッ


木曾「提督が何か言おうとしてるのも聞こうとせず騒ぎ立てて、それで楽しいか?」


加賀「……そうね。賑やかなのも構わないけど、限度というものがあるわ。特に比叡、上官に主砲を向けるなんて、厳罰ものよ」


比叡「ひえぇ……」


木曾「下手したら解体か」


比叡「ひぃっ!」


榛名「そ、それは止めてください! 提督、それなら比叡姉さまの代わりに榛名に罰を!」


加賀「……だ、そうよ、提督。どうするの?」


提督「あー……いや、罰を与えるつもりは初めから無いが……。おれの言い方も悪かったしな」


加賀「甘いのね、ふふっ……」


比叡「提督、申し訳ございませんでした!!」


榛名「は、榛名も謝らせてください! 失礼しました!」


大鯨「わ、わたしも、ごめんなさい、提督……」


提督「いいよいいよ」


木曾「だが提督。何のお咎めもナシじゃ、体裁的にどうかと思うぞ?」


ビクッ


提督「そう、だな……よし。じゃあ大鯨」


大鯨「は、はい!」


提督「天津風に、普通のワンピースを繕ってやってくれ。同じデザインでシースルーじゃないの、作ってやれるか?」


大鯨「え、ええ。裁縫は得意ですので、お任せください!」


提督「よし。じゃあ、比叡と榛名!」


「「は、はいっ!」」


提督「二人は一週間料理当番だ。そして、他の者たちも連帯責任として、手伝うこと。それが今回の罰とする」


「「「はいっ!」」」


提督「……甘いと思うか?」


木曾「……ああ、甘過ぎるな。だが、嫌いじゃないぜ」ニッ






提督「では改めて……。今日から皆は、この鎮守府で共に前線に立ってもらうわけだが、おれから言うことはただ一つだ」


「「「……」」」


提督「生きて、帰ってくること。ここは、皆の家も同然だ。家族が欠けていいはずない。全員生きて、必ず、終戦のその日を、平和な世界を皆で迎えよう。いいな?」


「「「はいっ!」」」


提督「では、横須賀鎮守府特務艦隊、本日より正式稼働を始める! 暁の水平線に勝利を刻もう!」


「「「了解っ!!」」」






暁「暁の水平線?」


天津風「貴女のことじゃないわよ?」








なお、比叡と榛名を食事当番に任命し、提督は非常に後悔することになったのだがそれはまた別の機会に……。





・・

・・・

・・・・

・・・・・ To be continued






ハラスメント=嫌がらせ


――横須賀鎮守府 執務室


大鯨「……」カリカリカリカリ


提督「…………」カリカリカリカリカリカリ


時計>ヒトフタマルマル ヲ オシラセスルピョン!


提督「む、もう昼か。んー……よっし、飯にしよう、大鯨」ノビー


大鯨「…………」カリカリカリカリカリカリカリ


提督「おーい、大鯨サーン」


大鯨「…………」カリカリカリカリカリカリカリ


提督(集中しすぎて周りの音がシャットアウトされてるのね……。ふむ……)


大鯨「…………」カリカリカリカリカリカリカリ


提督(こうなった大鯨の集中力は凄まじいからな、単純に声をかけただけではまず気づかないだろう)


大鯨「…………」カリカリカリカリカリカリカリ


提督(つまりちょっとくらいイタズラしても許されるというわけだ。しかし度を超すとセクハラと訴えられ憲兵さんのお世話になっておれがイタズラ(意味深)されてしまう可能性も無くはない)


大鯨「…………」カリカリカリカリカリカリカリ


提督(まあ、腹も減ったし、さっさと昼飯にしよう)脇腹ツン


大鯨「ひゃうん!?」ビクゥ


提督(このリアクションが見れるだけであと半日余裕だゼ☆)


大鯨「も、もうっ! 提督っ! 脇腹はやめてくださいよぉ! ヘンな声出ちゃったじゃないですかぁ!」


提督「だっていくら呼んでもどうせ気づかないじゃん」


大鯨「だ、だからと言って、つついて良い理由にはなりませんから! わたしだって怒りますからね!!」プンスカ


提督「ちょっとした悪戯心……ん? なんか視線を感じる……」クル


木曾「……よお」ジー


提督「……き、木曾、そんなドアの隙間からこっち見て、どうしたんだ?」ダラダラ


木曾「なに、昼だからおまえらと一緒に飯でもどうかと思って誘いに来てみれば、真昼間から秘書艦に堂々とセクハラしている上司の姿を見ちまっただけさ」ヤレヤレ


提督「…………判定は?」


木曾「…………ギリギリだな」フゥー


提督「よっしゃ!」


木曾「アウトだよ、ギリギリな」


提督「こちらをお納めください」ドゲザー


つ53cm艦首魚雷


木曾「おいおい、次は買収か? 全く仕方のない奴だなぁ、おまえは」ウケトリ


提督「何卒、何卒、通報だけはご容赦を。魔が差しただけなんです。誰かが耳元でやれと囁いたんです」


木曾「別にもとよりそんなつもりはなかったんだがな。姉貴大好きな瑞鶴や比叡相手ならともかく、おまえらの仲なら大鯨も本気で嫌がってるわけじゃないんだろう、なぁ?」


大鯨「あ、あぅぅ……はい……」マッカ


提督(おうふ木曾さんナイス追撃。さっきより赤くなっちゃってますよ)


木曾「ま、相手によってはギリギリアウトってことだ」


大鯨「あれくらいなら別に……呼ばれて気づかないわたしも悪いわけだし……提督なら……ないし……」ブツブツ


提督(ウチの秘書艦はカワイイなぁまったく!!!!)


木曾「だがまあ、こいつはありがたく頂いておくぜ」


提督「あ! おまえ、それはずるいぞ!」


木曾「おっと、いいのか提督? こいつ一つで見逃してやろうってんだ。 憲兵までとは行かず、鈴谷たちに言ってもいいんだぜ? 自分の立場、よーく考えてみろよ」ニヤ


提督「くっ、貴様、人の弱みを振りかざして卑怯な……!」


木曾「弱みを握られる方が悪い」


提督「くそう……貴重なレア装備を……」


大鯨(持っていたところで提督に扱えるものでも無いはずなのになんでそんなに落ち込んでいるんでしょう……?)


木曾「ま、とりあえず昼にしようぜ。先に食堂行ってるぞ」


提督「おう。……さて、おれたちも行くか。書類手伝わせたり、その、つついたりして色々悪かったな」


大鯨「あ、いえ! 仕事は秘書艦として手伝うのが当然だと思ってますし、好きでやってることですから! そ、それに、あ、あれくらいなら、ただのスキンシップの範囲内かと……」ボソ


提督「あーもう! いちいちかわいいなぁ大鯨は!!」ナデナデ


大鯨「ふ、ふええ!?」


工廠妖精(リア充爆発しろ!!!!)





・・

・・・

・・・・

・・・・・To be continued






章タイトル『嫉妬』って字面はなんか嫌いだから平仮名で『しっと』にすると雰囲気変わらない?


――横須賀鎮守府 廊下


大鯨「あら? 榛名さん、比叡さん。おでかけですか?」


榛名「あ、提督に大鯨さん。お疲れ様です」


比叡「お疲れ様です。お二人は、今からお昼ですか?」


提督「おう。榛名と比叡は、今日は午後休暇だったな。そんなおしゃれしてどこ行くんだ?」


榛名「今日は金剛お姉さまと霧島と、姉妹4人でお茶を。久々に休日がみんな合わせられたんですよ」


比叡「司令、司令。どうです? 似合ってますか? これなら金剛お姉さまに誉めてもらえるかな?」


提督「ふむ……」


提督(榛名は白基調のワンピース。榛名の清楚な雰囲気とマッチして黒髪がよく映えている。比叡はパンツルックでカジュアル系だが、普段から元気な比叡にはばっちり相性よく決まっている)


提督「ああ。二人ともかわいいぞ。きっと金剛も誉めてくれるさ」


大鯨(むぅ……)


比叡「本当ですか!? やったー!」


榛名「か、かわいいだなんて……! 榛名には、もったいないです!」


比叡「いやー榛名。さすがにそれでかわいくないって言われてもただの嫌味にしか聞こえないからね? 姉のわたしから見ても、正直女の子らしくて羨ましいくらいだよ?」


提督「まったくだな。これでかわいくないとか言う野郎がいたらそいつはきっと目が腐っているか、男好きくらいだろう」


大鯨(むむむ……)


榛名「え、えぇ……。そ、そうですか?」


比叡「うんうん。榛名はもっと自分に自信を持たなきゃ! ……っと、榛名、そろそろ出発しないと!」


榛名「あ、そうですね。では提督、大鯨さん。行ってきますね」


提督「気をつけてなー」フリフリ


大鯨「いってらっしゃい」フリフリ


タッタッタッタッタッタ…………


大鯨「…………」ムスー


提督「……なにむくれてんの?」


大鯨「別に、なんでもないです」


提督「……」ナデナデ


大鯨「な、撫でれば何でも解決すると思ってません……?」


提督「若干」ナデナデ


大鯨「や、やっぱり! …………提督、ああいう女の子が好きなんですか? かわいいかわいいって言ってたし……」


提督「いつも大鯨にだって言ってるだろう? それじゃあ不満か?」


大鯨「不満じゃ、ないです、けど……。なんていうかその、目の前で他の子のことをかわいいって言ってるの見ちゃうと、はい……」シュン


提督(嫉妬してちょっと落ち込んでる大鯨かわいい)


ヒョコ


工廠妖精「…………下衆野郎」ボソ


提督「!?」


ドロン


提督(気のせい、か……?)


大鯨「ごめんなさい……。わたし、めんどくさいですね……」


提督「こら。そういうこと言うんじゃない」


大鯨「で、でも」


提督「今度の非番の日。二人で出掛けるぞ」


大鯨「え?」


提督「なんだ? 駄目か?」


大鯨「だ、駄目じゃないです! むしろわたし的には全然おっけーです!」


提督「おい。どっかで聞いたセリフだぞ」


大鯨「だけど、いいんですか、提督? せっかくの休暇なのに、ゆっくりしなくても……」


提督「……最近、二人で、ってのもあまり無かった気がするしな。久々に、大鯨と休みを過ごしたい」


大鯨「……! はい! わたし、うんと楽しみにしてますね! それまでお仕事、頑張ります!」パァァ


提督「それはなにより。おれも、今から楽しみだよ」ナデナデ


大鯨「あ……。な、撫でたって何も出ないんですからね、えへへ……」


グゥー・・・・・・


提督「………すまん、おれの腹だ」


大鯨「ぷっ……。もう、提督ったら。…………お昼にしましょうか」


提督「そうだな」



・・

・・・

・・・・

・・・・・To be continued







羽ばたくとき


――回想 某日 横須賀鎮守府 執務室


大鯨「おはようございます。さあ、今日も元気に頑張りましょう! ね? 提督!」


提督「おはよう大鯨。朝から元気だな」


大鯨「ええ! 昨日の嵐が嘘のように晴れて、溜まってる洗濯物も片づけられますしね! わたし、頑張ります!」フンス


提督「いつもいつもすまんな大鯨。着任した当初から雑務をまかせっきりで」


大鯨「いいんです! 好きでやってることですから!」


提督「ほんとに助かるよ。頼りにしてる」


大鯨「えへへ、ありがとうございます」


ジリリリリリリ ジリリリリリリ


提督「おっと、通信か」


ガチャ


提督「こちら、横須賀鎮守府司令室」


加賀『航空母艦 加賀です。おはようございます、提督』


提督「おお、加賀。おはよう。そちらは大事ないか?」


加賀『ええ。問題ないわ。そちらこそ、わたしたちがいなくて大丈夫だったかしら?』


提督「うむ。変わりない。到着はどのくらいになりそうだ?」


加賀『昨日の嵐のせいで一日足止めされてしまったけれど、本日の深夜には到着できそうね』


提督「了解だ。報告ご苦労。無事に帰還するように」


加賀『加賀、了解。これより遠征地を出立します。通信終わり』


プツッ ツーツーツー……


大鯨「遠征部隊からですか?」


提督「ああ。今から帰還するそうだ……ん?」


……ドタドタドタドタドタドタ


ドア バンッッッッッ(大破)


工廠妖精「提督!! ついにっ! ついに完成したよっ!!」


提督「騒がしいわ!! なんで珍しく扉から来るんだよ!? 扉どうすんの!?」


大鯨(扉が……)


工廠妖精「そんなことどうでもいいんだよ!」


提督「よくねえよ!」


工廠妖精「アタシが直す!」


提督「ならよし!」


大鯨(いいんだ……。扉の修繕費とか経費落ちるのかな……)


提督「で、何が完成したって?」


工廠妖精「おっとそうだった。今回完成した代物は……こいつさっ!!」


つ 腕輪


提督「……」


大鯨「……」


工廠妖精「……ん?」


提督「え?」


大鯨「えっ?」


工廠妖精「なんでそんなに反応薄いのさ!?」


提督「それが何なのか全くわからねえからだよ!」


工廠妖精「なんだい、忘れちまったのか提督。大鯨、あんたは見覚えないか?」


大鯨「……? あ、それ。前に建造妖精さんが送ってきた設計図と一緒に入ってた腕輪じゃないですか?」


工廠妖精「正解。さ、こいうつはあんたのモノだ。受け取りなよ」


つ 腕輪


大鯨「はい……? でも、これ、何なんですか?」


工廠妖精「改装の腕輪。それがあれば、あんたに秘められたさらなる力が扱えるようになるのさ」


大鯨「わたしの、力……?」


提督「おい、もしかしてそれって」


工廠妖精「そうさ。言わずともわかるだろう二人とも。アタシの言った言葉の意味が」ニヤリ


大鯨「…………」


提督「よかったじゃないか大鯨! ……大鯨? どうした、浮かない顔して?」


大鯨「あ、いえ。その、これでわたしももっとお役に立てるのは嬉しいんですけど……。……ただ、あまり良い記憶も無いものですから……」


提督「あ……」


工廠妖精「例のアレ、か」


大鯨「はい……。もう、あんなものは載せたくは、ないですから……」


工廠妖精「……まあ、あんなバカげたものは作るつもりもないから安心するといいよ。今度こそは、存分に本来の目的を果たすといいさ」


提督「そうだ大鯨。仮に、あったとしても、おれが許可なんて出しやしない。あんな悲しみしか生まないようなもの、二度と使う必要なんてないんだ」


大鯨「はい、提督……」


提督「……」


ヒョコ


守護妖精「すみません」


大鯨「わっ!?」


提督「相変わらず神出鬼没な奴だな……」


守護妖精「はい、わたしは妖精ですので。それよりも提督さん。救難信号を傍受しました。すぐに繋ぎます」


提督「なに……!?」


大鯨「っ……」


ザザ……ザザザ……こち…ザ……せぼ鎮守…ザザ……逐艦…ザ 時雨……


大鯨「時雨ちゃん!?」


ザ……現在……僚艦1隻と…ザザ……敵性機動部…ザ……追撃され……ザザ


提督「発信源は駆逐艦 時雨か。随分ノイズがひどいな……。距離があるのか?」


守護妖精「いいえ。座標を辿った結果、そう遠くはないのです。恐らく、通信機器に損傷を受けているのかと思われます」


大鯨「時雨ちゃんが……。時雨ちゃんが、危ない……! 提督!!」


提督「わかっている。救難信号を拾っておいて無視なんて真似、おれにはできんよ」


大鯨「じゃ、じゃあ……!」


提督「ああ! 守護妖精、鎮守府内全館放送を」


守護妖精「はい。……どうぞ」


提督「総員に告ぐ! 先ほど、駆逐艦 時雨及び、僚艦一隻より救難信号を受信した! これより我らは救援部隊を編成、これを以って彼女らの救援に向かう! 出撃可能な者は直ちに抜錨、近海沖にて艦隊を再編成次第救援へ向かえ! なお、敵は機動部隊が確認されている模様、十分に注意されたし!」


大鯨「提督! わたしも……わたしも行かせてください!」


提督「しかし大鯨……。相手は機動部隊だ。加賀も瑞鶴もいない今、いくらその腕輪があるからといって、危険だぞ」


大鯨「それでもっ! それでも、大切な仲間が危ないときに、できることがありながら何もせずに待っているだけなんて絶対に嫌です!! 提督が止めようがわたし、行きますから!!」


工廠妖精「……提督、この子についてはウチの秘蔵っ子たちを預けるから、行かせてやりなよ? 大丈夫。大鯨もあの子たちも、そんなにやわじゃないさ」


提督「…………。必ず、無事で帰ってくるんだぞ?」


大鯨「はっ、はい! 必ず!!」


提督「よし! 大鯨、出撃を許可する!」


大鯨「はい! 大鯨、行って参ります!」


工廠妖精「よっしゃ! なら、港でもう一度合流しよう。アタシも準備してくる! 腕輪の使い方については道中説明するよ!」


大鯨「お願いします!」


タッタッタッタッタッタッタ…………


守護妖精「よろしいのですか?」


提督「ああ。大鯨にも、守りたいものがあるんだ。そういう奴は、強いから大丈夫さ」








――横須賀鎮守府 港


夕立「早く! 早く行かないと! 時雨がピンチっぽい!!」


榛名「待ってください夕立ちゃん! 今、大鯨さんが来るみたいですから!」


タッタッタッタッタッタッタッ……


大鯨「ご、ごめんなさい……! 遅くなりました……!」


比叡「あれ、大鯨さん。それってもしかして、艦載機?」


大鯨「は、はい。倉庫から、今持ってきたんです」


阿武隈「でも大鯨さん、艦載機載せられませんよね?」


木曾「そのはずだな。いったいどういうことだ?」


大鯨「あ、えっと、ですね……。……すぅぅぅぅ……ふぅー……」


大鯨(落ちついて……。工廠妖精さんは、腕輪を着けて、念じるだけで良いって言ってた……。そうすれば、わたしの想いに腕輪が応えてくれるって……!)


カッ!


夕立「わわっ!? 大鯨さんが光ってるっぽい!?」


比叡「ひ、ひえー!?」


榛名「な、何が起こってるんですか!?」


阿武隈「なになにあの腕輪ー!?」


木曾「ちっ……! 何事だ……!?」


シュウゥゥゥゥゥ……


大鯨?「っ……これで、いいんで、しょうか……」


夕立「た、大鯨さんが……!」


木曾「変身した、だと……!?」


大鯨?「……うん。これなら、大丈夫。行けそう」


榛名「た、大鯨さん、なんですか……?」


大鯨?「……いいえ。大鯨ではありません。……わたしは、航空母艦 龍鳳です!」


阿武隈「大鯨さん、空母になれるんですか!?」


大鯨?→龍鳳


龍鳳「ええ。この腕輪のおかげで! さあ、空母機動部隊、出撃です! 勝つ気で参ります!!」










後書き

時間があるときゆっくり更新していくつもりです。
登場キャラリクエストやネタ提供、感想等コメントにいただければ嬉しいです。

すみません。更新中途半端ですが、まだ続きます。次回更新はいよいよバトルパートかも。
いまさらですが、描写やら設定やら言い回しやら、つたない文章力のせいでわかりづらいかも知れませんが、何卒生温かい目で見守ってやってください。


このSSへの評価

6件評価されています


マザーレギオンさんから
2017-04-28 06:54:41

SS好きの名無しさんから
2016-09-15 14:34:11

SS好きの名無しさんから
2016-06-08 07:14:26

T蔵さんから
2016-05-31 18:44:06

マツさんから
2016-05-26 15:01:34

SS好きの名無しさんから
2016-05-26 08:55:58

このSSへの応援

6件応援されています


マザーレギオンさんから
2017-04-28 06:54:43

SS好きの名無しさんから
2016-09-15 14:34:09

SS好きの名無しさんから
2016-06-08 07:14:38

SS好きの名無しさんから
2016-05-26 21:35:55

マツさんから
2016-05-26 15:01:36

SS好きの名無しさんから
2016-05-26 08:56:01

このSSへのコメント

5件コメントされています

1: マツ 2016-05-26 15:04:46 ID: k5kN9IST

大鯨の可愛い❗ 更新頑張ってください

大鯨と仲のいい 時雨さんは出るのかな?

2: ミヤ 2016-05-26 22:23:00 ID: 5nSJ04FE

マツさん コメントありがとうございます。

時雨は別鎮守府所属で出す予定です。
準レギュラーくらいにはする予定…。

3: おぷく 2016-05-26 22:23:22 ID: JHMt8wWa

どこかで鹿島さん出てきたりしますかね?(チラッ

4: ミヤ 2016-05-26 22:28:59 ID: 5nSJ04FE

おぷくさん コメントありがとうございます。

鹿島ですね。出ます。むしろ出したい。

5: SS好きの名無しさん 2016-06-06 17:01:15 ID: Df3K4IQi

ああ^〜もう砂糖が出るぅ〜


このSSへのオススメ

1件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2016-05-28 00:37:43 ID: GtMGpQam

ええやん


オススメ度を★で指定してください