【艦これ】提督「やっと着任できた・・・。」
艦これのssです。カテゴリは色々含んでおります。出して欲しいキャラがいたら評価に書いて下さい。
初ss投稿です。よろしくお願いします。
暇な時にちょくちょく更新していきます。
登場艦娘 叢雲 雷 青葉 不知火
艦これ 本番 Part1
7月3日18:40
大本営にて。
提督「やっと着任できた・・・。」
提督「で、秘書艦がいるわけですが。」
叢雲「・・・なによ・・・。」
提督「・・・まぁ、よろしく。」
叢雲「えぇ、よろしく」
提督(なんだこいつ?緊張してるのか?よし、ほぐしてやろうじゃないか!)
提督「おい、叢雲。」
叢雲「なにyきゃあ!」
叢雲「なにすんのよ!」
提督「痛い痛い痛い!!技をかけるな!」
叢雲「何急に人の胸もんでんのよ!」
提督「緊張をほぐしてやっただけだろ!」
叢雲「別に緊張なんてしてないわよ!」
提督「そう気を張るなよ。」
叢雲「張ってないわよ!」
提督(確かに胸は張ってないn)いだだだだだだだだ!やめろ!技をかけるな!」
叢雲「全く、あんたが質問してんのにナに考えてんのよ。」
提督「なんで俺の考えていることわかんの?!」
叢雲「顔見てれば分かるわよ。それより、早く鎮守府にいきましょ?」
提督「分かったよ。(ったく、やっぱまだガキd)なんでもないなんでもない。」
提督「じゃあほら、駐車場にいくぞ。」
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IN駐車場
提督「ほら、乗りな。」
叢雲「え、バイク?」
提督「おう、ん?乗ったことない?」
叢雲「いや、そうゆうことじゃなくて、送りの車とかは?」
提督「あぁ、ないってさっき説明の人がいってたよ。」
叢雲(これってもしかして?)
提督「ほら、早くこれかぶれ」つメット
叢雲「分かったわ、・・・はい、じゃあお願いね?」
提督「おう。」(まさか人生初の異性との二人乗りがこんなガキだとh)「よし!じゃあ行こうかとばすぜ!」
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whileバイク
提督「なぁ、お前の艤装とか荷物とかはあっちにあんの?」
叢雲「ええ、もう送ってあるって言ってたわ、そして艤装は、ほら。」
提督「!?ステルス迷彩か?!」
叢雲「さぁ?知らないわ、でも艦娘はこんなことができるって、てゆうかあんた提督なのに知らなかったの?」
提督「いや、おれ先週まで陸軍に居たし・・・。」
叢雲「なんでそんな奴が海軍の提督やってんのよ!」
提督「ダーツを投げたら海軍提督になれって書いてあった。」
叢雲「あんたそんなんで提督になったの!?歳いくつよ!?」
提督「おらとばすぜ!つかまってろよ!」
叢雲「ちょ、あんた人の話しは最後まできゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
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IN鎮守府?
提督「・・・。」
叢雲「ねえ。」
提督「なんだい?」
叢雲「あんた、ちゃんと地図見た?」
提督「あたぼうよ!陸軍時代に嫌っつうほど山登ったから地図はちゃんと読めるぜ!」
叢雲「ちょっと地図見せてみなさいよ!」
叢雲(・・・、全然読めない。)
提督「ほら、あってんだろ?」
叢雲「そそそうね!あってるみたいね!」(こんな複雑なの読めるって、陸軍何者?)
提督「ほら、入ろうぜ。」
叢雲「本気?だって、この建物・・・。」
お化け屋敷っぽい建物「・・・」
提督「ほらほら♪」
叢雲「ええ〜、お、お邪魔します。」
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提督「中が掃除されてるな。」
叢雲(こ、これは・・・!)
提督「ラッキー!掃除の手間が省けたぜ!」
叢雲「ねねねねねねぇ、こ、ここって、で、出るの?」
提督「さあ?」
叢雲「」
???「あら?あなたは!」
叢雲「!!いやぁぁぁ!!」つ抱きつき
提督「おっふ!」
???「どうしたの?」
叢雲「あ、あっちいけぇぇぇぇぇぇ!」
つ艤装解除砲撃開始
???提督「え、ちょっ!?」
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提督「落ち着いたか?」
叢雲「・・・うん。」
提督「はぁ、ったく、せっかく掃除してくれたのに・・・。」
???「大丈夫よ司令官!私がまた掃除するわ!」
提督「そうそう、お前だよお前!誰だよ!」
???「え?聞いてないの?私は
雷「雷よ!「カミナリ」じゃないわ!よろしくね!」
提督(来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!こうゆう女子だよ!こうゆう明るい女の子と会話がしたかったんだ!どこぞの鬼畜プラチナブロンドとじゃあ月とスッポンd)
叢雲「・・・」
提督「がぁぉぁぁぉぉぉぃぉ!!!!痛い痛い痛い痛い痛い!やめて!腕はそっちにまがらな
〜しばらくおまちください〜
提督「」返事がないただの屍のようだ
叢雲「まったく。」
雷「司令官大丈夫!?」
提督「雷ちゃんは優しいなぁ。」
雷「も〜っと私に頼っていいのよ!」
提督(あ、やべぇ、これ癖になる。)つ雷に抱きつき
叢雲「ほら、バカやってないで。」
提督「あぁ、そうだな。あのさ雷、なんで君はそんなにいい匂いがするあだだだだだ、冗談冗談、げふん、なんでこの鎮守府の掃除をしてくれていたんだい?」
雷「司令官のために掃除してたのよ!」
提督(ええ娘や・・・。)
提督「いやいやいやいや、だからなんでここにいるの?」
雷「大本営から送られてきたのよ!」
提督「え?そんな書類あったかな?」
雷「はい司令官!」つ書類
提督「あ、・・・本当だ、でもなんで?」
雷「私はここの予備要員として派遣されたの!駆逐艦一隻だけだと不安だからってゆうことらしいわ!」
提督(二人でもあんま変わんないと思う・・・。)
雷「と、ゆうわけでよろしくね!」
提督「あぁ、よろしく。」
叢雲「で、今日はどうするの?なにかする?」
提督「ん〜そうだな、じゃあ掃除すっか。」
叢雲「分かったわ。」
雷「了解よ!司令官!」
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提督「とりあえず、風呂場と執務室と食堂、寮が2、3室終わったな。あとは工廠と広場と残りの寮だな。」
提督「よし!こんなもんでいいたろう!今日の勤務は終わり!あとは自由時間!明日は0900に食堂に集合!」
叢雲「0900って、随分遅いのね。」
提督「誰かが来るわけでもないし、任務もなからあんま早起きしたって意味ないからな。」
叢雲「なるほど。」
雷「司令官!あんまり遅くまで寝てると体に良くないわ!だから明日は私が起こしてあげる!」
提督「ありがとう雷!」抱きつき
雷「も〜っと私に頼っていいのよ!」
叢雲「はぁっ。あ、ところで夕ご飯はどうするの?」
提督「ん?あぁ、どうする?出前でも取るか?っとその前に食費っていくら位あんだ?」
叢雲「さぁ?」
提督「確か書類は全部ここら辺にあるから・・・、あった、え〜っと?・・・・・・・・・・ファ!」
叢雲「どうしたのよ?」書類覗き込む
叢雲「」
雷「なになに?どうしたの?」書類覗き込む
雷「え?これって・・・。」
提督「マズイナ・・・。」
叢雲「どうすんのよ!この額で出前なんて取ったらすぐ破産よ!」
提督「とりあえず一ヶ月一万円生活だな」
叢雲「」
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需要と供給、これら二つには商売における絶対の要素である。
これら二つの要素が寄り添う流通バランスのクロスポイント・・・・・・その前後に於いて必ず発生するかすかな、ずれ。
その僅かな領域に生きる者たちがいる。
己の資金、生活、そして誇りを懸けてカオスと化す極狭領域を狩り場とする者たち。
提督「人は彼らを《狼》と読んだ。」
叢雲「で?今の説明でなにが言いたいわけ?」
提督「まぁ、要約するとセール品を買おうとゆう訳だな。本来狼は半額弁当を懸けて戦う訳だが、俺らは半額弁当買っても(資金が)ヤバイから半額品の野菜、肉、調味料などを買う!」
叢雲「言っておくけど私は料理なんてできないわよ。」
雷「私は簡単なものなら作れるわ!」
提督「まぁ、味噌汁は雷に作ってもらうとして、俺は人並みちに料理できるから安心しろ。」
叢雲「本当?」
提督「あぁ!任せろ!伊達に飯炊きやってた訳じゃないからな!」
叢雲(結構こいつのスペック高いのね。)
提督「そんじゃ着替えたらいくからな。」
INスーパー
提督「以外と近かったな。」
叢雲「まぁ徒歩10分だしね。」
提督「んじゃあ各自さっき頼んだもの買って来てくれ。くれぐれも安いものを買えよ、消費期限が最低でも3日以上のやつだ。頼んだぞ。」
叢雲雷「了解!」
〜しばらく〜
雷「司令官!頼まれた物は全部かってきたわよ!」
提督「おう、ありがとな。叢雲はまだか?」
〜しばらく〜
提督雷「・・・・・。」
〜しばらく〜
提督雷「・・・・・。」
提督「なぁ、雷。」
雷「なあに?司令官?」
提督「あいつ、絶対迷ったな。」
雷「ええ。」
提督「・・・、探すか・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督「おういたいた〜。」
叢雲「あ、提督、なにか用?」
提督「いや、お前が遅いから探してた。」
叢雲「え?そんなに時間経ってた?」
雷「えぇ!ざっと30分は経ってるわ!」
叢雲「そう、ごめんないね。」
提督「で、なんでそんなに時間かかってんだ?」
叢雲「どっちの醤油を買おうか迷ってるのよ。」
提督「安い方に決まってんだろ?どれどれ・・・、なるほど、これは迷う。」
雷「え?見せて見せて!・・・あ〜、確かにこれは。」
叢雲「値段も量も同じなのよね。どうする?」
提督「・・・こっちだな。」
雷「どうして?」
提督「こっちは千葉産、こっちは香川産だ。」
叢雲「それがどうかしたの?」
提督「どちらも醤油の産地だが、こっちの千葉産の方の大豆の原料は大豆(遺伝子組み換えでない。)と書いてある。だがこっちの香川産は大豆としか書いてなし原料にアルコールの方がミリンより多いと表示してある、これは・・・
〜しばらくお待ち下さい〜
提督「で、あるからこの千葉産の醤油の方が安全かつ消費期限が長いと推測される。分かったか?」
雷「ええ!分かったわ!」
叢雲(なにいってるかサッパリわからなかった・・・。)
提督「ほら、会計済ませるから着いてこい。」
IN鎮守府
提督「ア”ア”〜、やっと着いたァ”・・・どっこらせっと。」
叢雲「ふぅ、やっと着いたわね。」
雷「は〜ぁ、疲れた。」
提督「んじゃあ、晩飯つくるか。」
雷「手伝うわ!」
叢雲「私はいても邪魔だからお風呂入ってくるわ。」
提督「おう、そうか。んじゃあ雷行こうぜ。」
雷「了解よ!司令官!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
叢雲「ふぅ〜、サッパリした〜。」
提督「ふぃ〜、でけたでけた。」
叢雲「あら提督、ご飯できたの?」
提督「おう、できたぜ。ほら、食堂行こうぜ。」
叢雲「そうね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督「ほら、食うべ食うべ。」
雷「頂きま〜す!」
叢雲「こ、これは・・・!」
提督「ほら、食うぞ。」
叢雲「ちょっとあんたこれの中のどれだけ作ったの!?」
提督「え?ご飯と味噌汁以外全部ですが?」ドヤァ
叢雲(こ、こいつどれだけスペック高いの!?)
雷「司令官!今度料理を教えて!」
提督「おう、いいぜ?叢雲も教えてやろうか?」ドヤァ
叢雲「ふん、結構よ!頂きます!」(・・・、くぅ〜!美味いじゃない!)
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提督(あの後皿を洗い雷ちゃんとのお風呂でばっりイベントを狙っていたが、まさかの俺が皿を洗ってる内に済ませていたとゆうね・・・ちくしょう!明日は絶対に時間被るようにしてやる!)
提督「と、思う俺であった。さて、もうやることもないし寝るか。」
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「失礼します。」
その声とともに私は扉を開ける。
部屋には本棚が両方の壁にあり窓際には執務用の机と椅子があり、そこに海軍の制服を着た小太りの中年の男性が座っていた。制服を見る限りおそらく佐官クラスだろう。
「君か、陸軍出身の志願者は。噂なら聞いてるよ。」
「はっ、恐縮であります。」
そう私は言いその男に敬礼する。
「そう硬くなるな、楽にしていいぞ。」
そう言われ休めの形を取った。
「それで、なぜいきなり海軍に席を移した?部隊長だったのだろう?」
一番嫌な質問だ。
「それは・・・」
そしてしばらく沈黙が続く。
「まぁ、いい。だいたいそれも噂で聞いてる。 」
沈黙を破ったのは佐官の男だった。
「それで、結果だが、合格だ。指揮の実技と護身術の実技がパーフェクト、ペーパーテストはまずまずだったが、合計は君がトップだったよ。」
そう言って佐官の男が一枚の紙を渡す。
「これで君も晴れて提督だ、おめでとう。」
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翌日2日目
叢雲(よし、身支度完了。まだかなり時間に余裕があるわね。)つ0600
叢雲(すこし早いけど朝ご飯にしましょう。)
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食堂
叢雲(そういえば料理私できないんだった・・・。どうしよう・・・。)
雷「あら、叢雲!おはよう!」
叢雲「あ、雷。おはよう。早いのね。」
雷「ええ!朝ご飯作らないとだからね!あなたも早いのね!」
叢雲「私はさっきまでランニングをしてたから。」
雷「そうなの!あ、今から朝ご飯作るからちょっとまってて!」
叢雲「あ、いや、その・・・、わ、私も手伝おうか?」
雷「え?料理できないって昨日・・・。」
叢雲「いや、だから、その・・・、お、教えてくれないかしら?」
雷「ええ!いいわよ!」
叢雲「!ありがとう!」
雷「スクランブルエッグと目玉焼きどっちを作る?」
叢雲「スクランブルエッグにしましょう。」
雷「わかったわ!じゃあ始めましょう!」
〜しばらく〜
雷「よし!こんなもんね!あなた料理美味いじゃない!」
叢雲「そ、そう?ありがとう。」
雷「じゃあ私は盛り付けたりするからあなたは司令官を起こして来て!」
叢雲「わかったわ。」
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司令官の私室
叢雲「司令官、朝よ起きなさい、って開けるわよ。」
提督「おお、おはよう。」
叢雲「なんだ起きてたの。」
提督「目が覚めちゃってな。ちょっち仕事をしてたんだ。おかげで今日の仕事全部終わったぜ。」
叢雲「本当?まあいいわ。それより朝ご飯ができたわよ。」
提督「え?お前が作ったの?」
叢雲「雷に教えてもらったのよ。」
提督「そうか、んじゃ行くか。」
叢雲「あんたその格好でいくの?」
提督「ん?だめか?別誰もいないし・・・、ははぁ〜ん?さてわ俺のサービスカットがいひゃいいひゃいくひをひっひゃるな。」
叢雲「バカ言ってないでほら、行くわよ。」
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廊下
叢雲「そういえばあんた陸軍だったって言ってたけどどの位いたの?」
提督「ん?あぁ、2、3ヶ月ちょっとだ
。」
叢雲「で、なんでそんな陸軍でも経験薄い奴が提督になってんのよ!」
提督「歩兵学校でてからじゃ海軍兵学校と陸軍をいったりきたりしてたからな。」
叢雲「歩兵学校?それといったりきたりってどうゆうこと?」
提督「あぁ、まず歩兵学校ってのはその名の通り陸軍の歩兵を育成する学校だ。そこにいる奴らはだいたい陸軍に入るんだ。」
叢雲「じゃなんであんたは海軍提督になってんのよ。」
提督「歩兵学校入る前は提督になるつもりだったが、成績が足りなくてな。んで先生に相談したら歩兵学校から海軍に編入できるって事らしくてな、それで歩兵学校に入った訳よ。んで見事2年でに海軍兵学校に編入できた訳だがな、どこもかしこも人員不足でな。本来なら俺はあと一年間海軍兵学校にいるはずなんだが、最近奴らの動きが活発でな。それに戦術なら海でも陸でも奴ら相手ならだいたい同じだ。だからこんなに早く着任したって訳だ。」
叢雲「ふ〜ん、なるぼどね、ってちょっとまって、あんた一週間前まで陸軍にいたっていってたわよね?でもかよってたのは海軍兵学校。これはどうゆうこと?」
提督「いっただろ?いったりきたりしてたって、それに人員不足だって。陸軍のスキルと海軍のスキルを持ってる人間はかなり貴重らしくてな。だからちょっと陸軍に駆り出されてた。」
叢雲「なるほど、そうゆうことだったの。」
提督「いや〜大変だったぜ?いちいち免許更新すんの。それに俺以外にも歩兵学校出の提督がいるらしいけどその人たちも大変らしいよ。」
叢雲「とゆうかそんなことが許されるわけ?海軍兵学校には年齢制限と履歴制限があるはずよ。」
提督「履歴制限は犯罪者以外は全員OK。年齢制限はもう大本営も総司令部も切羽詰まってるから3年前から25歳までになった。」
叢雲「あんたいくつよ!」
提督「え?23歳だよ?」
叢雲「以外に若い・・・。」
提督「あと2年間童貞だと魔法使いになっちゃうな。」
叢雲「なにいってんのよ!」
提督「痛い痛い、地味に痛いから足踏まないで。」
叢雲「ほら、置いてくわよ!」
提督「はいはい・・・、やれやれだぜ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食堂
雷「へぇ〜、司令官って結構すごい人なのね!」
提督「結構って・・・、いや、でも海軍兵学校にも歩兵学校にも半分の年しかいなかったから専門分野はあんま覚えてないよ。テストなんてほぼ付け焼き刃だったからな。」
雷「でもすごいじゃない!たとえ100%じゃなくても陸と海の経験があるのわすごいことよ!」
提督「いやぁ〜、それほどでも・・・あるかな!」
叢雲「そんなことより今日の予定はどうするの?」
提督「ん?まだそんな時間じゃないけど、まぁいいか、今日は執務も終わったから残りの場所の掃除やるか。」
叢雲「出撃は?」
提督「おまえら2人しかいないし、駆逐艦だろ?最低でも4人は欲しいから揃うまで出撃はなしだ。」
叢雲「・・・、そう。」
提督「んじゃあ飯食ったら掃除開始な。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督「ひとまず掃除は終わったな。」
雷「そうね!」
叢雲「」チーン
提督「おい、大丈夫か?」
雷「まさか工廠がゴキブリの巣だったなんてね・・・。」
提督「どつこらしょっと、ちょっと俺こいつ部屋に運んでくるわ。」
雷「わかったわ!じゃあ私はお昼の準備をするわ!」
提督「おう、頼んだ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
叢雲「う〜ん・・・。」
提督「お?気がついたか?」
叢雲「え?あれ、私工廠で掃除をしててそれで・・・。」
提督「思い出さなくてよろしい。」
叢雲「あ、ゴキブリ・・・。」
提督「あいつらは俺が駆除しといたから大丈夫だ。」
叢雲「あんなに居たのにどうやって?」
提督「ん?なんかバーナーあったからそれで炙った。」
叢雲「それ高速建造用のバーナーよ・・・。」
提督「え!?あれが!?もったいないことしたな・・・。まぁいい、それより具合は大丈夫か?」
叢雲「ええ、大丈夫よ。」
提督「んじゃあ食堂行くぞ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
叢雲「んで、掃除も終わったし、どうするの?」
提督「ん〜、じゃあ建造だな。」
叢雲「了解よ、それじゃあ工廠にいきましょう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
喫煙所
提督「お、居た居た、妖精さ〜ん。」
妖精「ん、あぁ坊主か、なんか用か?」
提督「建造したいので工廠に来て下さい。」
妖精「おう、分かった。んじゃ先行って準備してるぜ。」
叢雲「ねぇ、司令官。」
提督「ん?なんだ?」
叢雲「ずいぶんワイルドな妖精さんなのね。」
提督「あれ?お前始めて会った?」
叢雲「ええ。」
提督「あぁそっか、あの人艦娘とはあんま喋んないからな。」
叢雲「あんたはいつ会ったのよ?」
提督「ここの鎮守府に配属される前からずっとお世話になってな。それで配属させる妖精さんを選ぶ時ばっり再開してな。腕は一流だぜ。ほら、早く行くぞ。」
叢雲(とゆうかこの鎮守府喫煙所あったんだ・・・。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
工廠
提督「もうすぐに建造できますか?」
妖精「それなんだがよ、坊主・・・。資材が雀の涙ほどしかねぇぜ・・・。」
提督「え?どの位ですか?」
燃料59、弾薬62、鉄鋼83、ボーキ43
提督「」
妖精「お前なにしたんだ?」
提督「なにもしてないですよ!」
妖精「建造できるっちゃあできるが、駆逐艦か軽巡が関の山だな。」
叢雲「あんたやっぱ冷遇されてんじゃないの?」
提督「いや!お偉いさんに期待してるって電話でいわれたよ!?」
叢雲「電話越しの時点でもうダメじゃない!」
妖精「しょうがねぇ、なにが出るかは分からんが俺が発見したレシピでやってやろうか?」
提督「いいんですか!?」血涙
妖精「お、おう、任せとけ!鉄鋼消えるがいいか?」
提督「ない同然の量の資材なんてあったって意味ないんでどうぞ。」
妖精「そうか、んじゃいっちょやるか。・・・・・・、よし、OK、建造時間は〜、ん!?やったな!一時間だ!軽巡か重巡だぜ!」
提督「重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡重巡。」
叢雲「怖!」
妖精「どうする?炙るか?」
提督「Of course!」
妖精「しゃあ!炙るぜ!」バーナー
叢雲(どうゆう仕組みなのかしら?)
妖精「ふぅ、終わった。ん〜?この艤装は・・・。」
提督「重巡!」
妖精「あぁ、重巡だ、それもこれは青葉の艤装だ!」
提督「ソロモンの狼きたぁぁぁぁぁ!」
妖精「さっそく大本営に連絡いれて人員送ってもらえ。」
提督「しゃあ!いってくるぜ!」ダッシュ!
叢雲「ちょ、待ちなさいよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
執務室
提督「ええ、はい、本日1400に建造を行った結果青葉の艤装の建造に成功しました。はい、はい、なので人員の補充を、はい、分かりました。あ、あと資材の配給を・・・ありがとうございます。・・・え? はい、はい!ありがとうございます!分かりました。それでは失礼します。」ガチャン
叢雲「どうだって?」
提督「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叢雲「で、どうだったの?」
提督「今日は祭だぁぁぁぁぁぁぁぁ!出前だぁぁぁぁぁぁぁぁ!俺のポケットマネーで寿司だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叢雲「うるさい!」
提督「へぶ!」
叢雲「で、なんて言ってたの?」
提督「あぁ、まず青葉の着任が決定した。明日の1000にこちらに到着するらしい。それで資材の配給も決まった!毎朝ボーキ以外200だって!ボーキは50。」
叢雲「へぇ、これでずいぶんまともになるわね。」
提督「それにここに艦娘がもう一人配属されることになった!」
叢雲「え?」
提督「どうやら艤装がダブったらしくてな。近代化改修するよりこっちに寄越したほうがいいと上が判断したらしい。明日青葉と共に着任するって。」
叢雲「へぇ〜、珍しいわね。で、艦種は?」
提督「ん〜、詳しくは教えられてないが、どうも駆逐艦らしい。」
叢雲「なんで教えられてないのよ・・・。」
提督「電話の通話料があと五秒で十円プラスだったんだと。」
叢雲「大本営どれだけ切羽詰まってんのよ・・・。」
提督「これで俺たちが冷遇されてるんじゃなくてただ単に資金不足のせいで扱いが雑になっていたとゆうことが証明された。」
叢雲「・・・。」(それも含めて冷遇なんじゃないの?)
提督「さて、これでとうとうなにもやることが無くなったな。」
叢雲「そうだ!模擬訓練しましょうよ!」
提督「弾薬ももう無いも同然だしな。よし、いいぞ、じゃあ20分後に港に集合だ。」
叢雲「了解!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
港
提督「よし、全員集まったな。」
叢雲「早く始めましょう。」
提督「あぁ、そうだな。んじゃあ説明する。この訓練は敵4隻に対して迎撃をする訓練だ。なお敵は軽巡1隻と駆逐3隻だ。各艦私の支持道理動くように。なにか質問は?」
雷「はい!司令官!」
提督「なんだい?雷ちゃん?」
雷「司令官はどうやって私達を指揮するの?」
提督「それはこの無線を使う。」
叢雲「じゃあ陣形だげ決めて、後は私達がなんとかするっていうこと?」
提督「いや、俺も随伴するぞ。」
雷「え!?危ないわよ!?」
提督「心配ない。ちょっと離れた非戦闘区域で舟に乗りながら双眼鏡を見て指揮するから。」
雷「舟?」
提督「あぁ、この俺手作りの小型のボートだ!」
叢雲「大丈夫なの?」
提督「心配ない、いざとなったら泳ぐから。」
雷「そっちの方が危ないわ!」
提督「大丈夫大丈夫!ちゃんと40ノットは出るから!」
叢雲「結構速いのね・・・。」
提督「よし、もう質問ないな!じゃあ総員抜錨だ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
演習終了後
叢雲「つ、疲れた・・・。」
雷「」チーン
提督「なんだ?こんなんで疲れたのか?」
叢雲「緩いと思ってたけどかなりハードね・・・。」
提督「普通じゃね?」
叢雲「そう・・・。」
提督「んじゃあ俺は夕飯作ってくるわ〜。おめ〜らは入渠してこい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食堂
提督「・・・うん!味付け完了だ!」
叢雲「ふぅ、サッパリした。」
雷「お風呂先にお頂いたわ!」
提督(・・・忘れてたア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!)
叢雲「な、なに泣いてんのよ・・・。」
雷「どうしたの!?司令官!」
提督「いや、もう過ぎたことだ。さ、早く食べよう!」
叢雲雷「いただきます!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督(く、今日こそはと思っていたのに!明日こそ必ずうふふんなスケベイベントを発生させてみせる!)
提督「と、ゆうことでもう寝よう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「隊長、聞いてましたか?隊長?隊長!」
そんな声と共に体を揺すられる。
「隊長しっかりして下さい!もう2キロ先は戦闘区域ですよ!」
「あぁ、すまん、ちょっとぼーっとしてた。」
「まったく、そんなんだから他の隊の奴らから舐められるんですよ。」
余計なお世話だっ。と言いながら連絡兵の額にデコピンをする。痛っ!と期待通りの反応をしてくれる。
「おら、遊んでねーで早く車に乗れ。」
そんな声がジープの運転席から聞こえてくる。同期の兵士だ。
「わり、▲▲▲、すぐ乗る。ほらお前も乗れ。」
「はいはい。」
そう言って俺と連絡兵は車に乗った。
「で、今回はどんな命令で?」
後輩が聞いてきた。こいつはいつも最初に命令のことを聞いてくる。隊の中で1番のまじめ君だ。
「あぁ、俺らは近隣の市民の救出だ。現地の近くの飛行場にはもうトプシーが着陸してる。」
「じゃあ戦闘は無しなんですか?」
衛生兵が聞いてくる。こいつは戦闘が苦手だからな。後輩の次にいつもこんな質問をする。
「敵が襲ってこなかったらな。」
そう言って俺は煙草を吸う。
「げほっげほっ、ちょっ、隊長!いくらオープンカーだからって、煙草吸わないで下さいよ!」
連絡兵がなんか言ってるが、まぁいいか。
「ちょっ、無視しないで下さい!」
「うるせーぞ連絡兵。ちょっと黙れ。」
「うう、いつも最後は俺が怒られるんですよね・・・。」
「おめーも煙草吸うな。臭えよ。」
「男臭いのが紛れていいたろ。」
ったく。なんで全員煙草を嫌う?お前ら本当に男か?
「たしかに女が欲しいっすねー。」
「そういや、第15部隊に女の衛生兵が入隊してましたね。」
「あぁ、そういや、いいよなぁ〜。」
「超かわいいかったぞ!それにぼんっ!きゅ!ぼんっ!だったぞ!」
「いいなぁ〜、一発ヤらせてくんないかなぁ〜。」
「ば〜か、ヤらさせてくれるわけないだろ。妄想だけにしとけ。独房送りだぞ。」
「俺ら童貞で死ぬのかな〜。」
衛生兵と後輩がそんなことを話してた。
「おら、お喋りはそこまでだ。・・・見えて来たぜ。」
そう言われフロントガラス越しに前を見る。たしかに銃撃戦がもう始まってる。
「え!?ここ非戦闘区域なんじゃないっすか!」
「ちっけぇ事は気にすんな。・・・総員戦闘態勢、各配置に着け、有効射程距離に入り次第連絡兵が弾幕を張れ、俺と後輩で攻撃を開始する。衛生兵!どっかに隠れてろ。▲▲▲、被弾すんなよ。」
「俺が弾食らったことあっか?」
「ふっ、それでこそ俺の相棒だ。そら、入ったぞ!攻撃開始!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鎮守府前 0930
提督「やっぱまだ早いかな?」
叢雲「当然よ。まだ30分もあるじゃない。」
提督「お前は雷と中で待ってていいんだぞ?」
叢雲「私は秘書艦よ。新人の出迎えも仕事のひとつ。」
提督「そうか、んじゃあトランプでもして待つか。」
叢雲「なんで持ってるのよ・・・、まぁいいわ。やりましょう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
資材輸送トラック内
???「あ!見えて来ましたよ!」
???「あれが×××鎮守府ですか。想像していたよりもボロいですね。」
???「とても古い建物ですね・・・。これはいいスクープがありそうですね!」
???「そうですか。・・・あ、正面で誰か二人座ってなにかしてますね。」
???「なにしてるんですかね?」
???「あれは・・・カードゲームをしてますね。」
???「なぜそんなことを?これはスクープの匂いがします!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鎮守府前
提督「ん?おっ!来たな!」
叢雲「あれは・・・資材輸送トラック?あっ、誰かこっちに来るわね。」
???「どもども!司令官さん!私は・・・」
青葉「青葉型一番艦重巡洋艦の青葉です!よろしくお願いします!」
???「私は・・・」
不知火「陽炎型二番艦不知火です。お出迎えありがとうございます。」
提督「ああ、よろしく。でも俺は資材の搬入について業者さんと話て来るから、叢雲、鎮守府を案内してやってくれ。後でまた詳しい説明とかするから。すまないな。」
青葉「いえいえ!青葉は大丈夫です!」
不知火「私も構いません。」
提督「んじゃあまた後でな。叢雲、頼んだぞ。」
叢雲「分かったわ。それじゃあ行きましょう。」
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執務室前
叢雲「それでここが執務室よ。これでだいたいこの鎮守府の説明は終わりよ。なにか質問はある?」
青葉「青葉は無いですね〜。」
不知火「私も特にありません。」
叢雲「そう、じゃあここで待機してましょう。」ガチャ
提督「ん?おう。お前ら遅かったな。」
叢雲「あら、早かったのね。」
提督「まぁな。ほら、突っ立ってないで座れ座れ。いまお茶入れてくっから待ってろ。緑茶でいいか?」
青葉「ええ!構いません!」
不知火「私も異論はありません。」
叢雲「私も構わないわ。」
提督「おう。じゃあちょっと待ってろ。」ガチャ バタン
青葉「ずいぶんと優しい司令官さんですね。」
不知火「ええ、そうですね。もっと厳しい方を想像してましたが。」
叢雲「まぁ、あいつは変なところはあるけど、ブラック鎮守府よりはましよ。」
青葉「え?!なにされたんですか!?」
叢雲「ただのセクハラよ。」
不知火「セクハラ・・・ですか?」
叢雲「まぁね。でも過激なのしてないわ。過度なスキンシップ程度ね。あんた達も気をつけなさい。いつ襲ってくるか分からないわよ。」
青葉「青葉も気を付けよっと。」
提督「こら、なに吹聴してんだ!」チョップ
叢雲「!?司令官!?痛!」
青葉(え!?いつの間に!?)
不知火(全く気がつかなかった・・・。)
提督「ほら、お茶入れて来たぞ。」
青葉「あ、恐縮です!」
不知火「ありがとうございます。」
叢雲「ありがとう。」
提督「で、なにか質問意見要望はないか?」
青葉「青葉は無いですね〜。」
不知火「私もありません。」
提督「そうか、ならいい。ところで着任してすぐで悪いが今日は1400から模擬訓練を行うから1350に港に集合してくれ。叢雲、雷に伝えておいてくれ。」
叢雲「分かったわ。」
提督「それまでは自由時間だ。以上解散!」
青葉「それでは失礼します!」
不知火「私も失礼します。」
叢雲「私も失礼しるわ。」ガチャ バタン
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
喫煙所
提督「お、いたいた。妖精さん。」
妖精「ん?よう坊主、お前も一服しに来たか?」
提督「まぁそんなところです。」
妖精「俺を探してたってことは、また建造か?」
提督「はい。資材が入ったので。」
妖精「そうか。んで、なにを作ればいい?」
提督「航空母艦系の艦でお願いします。」
妖精「空母か・・・まだ必要ないんじゃないか?」
提督「いえ、早めに置いておいた方がいいと思いましたので。」
妖精「そうか、分かった。後はなにかあるか?」
提督「あ、あともう一つ、軽巡が欲しいのでお願いします。」
妖精「軽巡か、まぁなるべく努力するよ。出なくても恨むなよ。」
提督「はは、恨みませんよ。」
妖精「長くても晩飯までには仕上げておくよ。」
提督「ありがとうございます。それじゃあ私は模擬訓練があるのでこれで。」
妖精「あぁ、また後でな。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
港
提督「よし、全員集まったな。それでは模擬訓練を開始する。総員抜錨。」
艦娘「了解。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督「ほら、全員足が止まってるぞ!回避行動を取れ!」
提督「雷!それじゃあ敵の的になるだけだ!もっとジクザグに回避しろ!」
提督「叢雲!砲撃タイミングが遅い!敵が気ずいてから撃ってちゃ遅い!」
提督「青葉!なんだそのへっぴり腰は!そんな弾撃ったって当たらんぞ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
訓練終了後
提督「よーし、みんなお疲れさま。俺は晩飯作るから全員風呂入ってこ〜い。反省会は飯食ってからやるからな。」ガチャ バタン
雷「」チーン
青葉「」チーン
不知火「叢雲・・・。」
叢雲「な、なに・・・?」
不知火「訓練ってこんなにきついんですか・・・?」
叢雲「えぇ、昨日と同じ位だったわ・・・。」
不知火「なるほど・・・だから、雷の、元気が、訓練前に、無かったのですね・・・。」
叢雲「私の居た訓練校の訓練の5倍はきつい訓練だったわ・・・。」
不知火「私も訓練校ではかなりきつい訓練をしたつもりでしたが、こんなきつい訓練は始めてです・・・。」
叢雲「はぁ、お腹空いた・・・。ほら、こいつら風呂まで運ぶから手伝って。」
不知火「分りました。」
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食堂
不知火「お風呂お先に頂きました。」
提督「おう、来たか。って、青葉と雷はまだ生き返って無いのか。」
叢雲「ええ。」
提督「おう、んじゃあ起こすか。」
叢雲「どうやって?」
提督「じゃじゃ〜ん!」つ怪しい薬
不知火「それはなんですか?」
提督「俺の先輩直伝の元気が出る薬。」
不知火「す、凄い色ですね・・・。」
提督「よし、飲ませるか。まずは青葉からだ。お前ら青葉を抑えてくれ。」
叢雲「お、抑える?」
不知火「こうですか?」
提督「うん、そんな感じ。よし、投入!」ドポドポ
青葉「・・・がはぁ!」
提督「お、起きた。」
青葉「ごほっごほっ・・・。」
提督「よ、おはよ。」
青葉「し、司令官!?あれ?私はいったい・・・。そうだ、模擬訓練から記憶が・・・。」
不知火「凄い・・・。」
叢雲「本当に効くのね・・・。」
青葉「うぅ・・・、口の中が苦いです・・・。」
提督「目は覚めたか?」
青葉「え?あ、はい。・・・それなんですか?」
提督「良かった。んじゃあ雷にも。」ドポドポ
青葉「え?スルーですか!」
雷「ぷはぁっ!うぅ、あれ?司令官?」
提督「よし、全員起きたな。んじゃあ飯にするか。」
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青葉「ご馳走様でした!」
提督「お粗末さま。」
不知火「しかし、司令官の料理の腕前が凄いと叢雲から聞いてましたが、想像以上でした・・・。」
提督「そうだろ〜。」ドヤァ
不知火「今度料理を教えてもらえませんか?」
提督「おう、いいぞ。」
雷「私もその時に教えて!」
提督「あぁ、もちろんだ。いいよな不知火。」
不知火「ええ、構いません。」
提督「さて、ひと段落した所で、反省会だ。」
青葉雷叢雲(ビクッ!)
提督「まず、全体的な評価だがまあまあだな。100点中45点位だ。攻撃、雷撃、回避行動はかなりヤバイレベルだが、チームプレーがそれをカバーできている。叢雲と雷の連携は昨日やったとして青葉と不知火の初対面二人を混ぜた連携であれは凄いな。」
叢雲「当然の結果ね。」
提督「たがしいて言えば、不知火と叢雲がちょっと前に出過ぎだな。」
不知火「善処します。」
叢雲「了解よ。」
提督「んで、個人評価だが、まず叢雲。回避行動と雷撃がちょっと不安定だな。それより問題は砲撃だ。しっかりと狙ってるのは分かった。たがな、当たらなければ意味がない。だから明日砲撃のコツを教えてやる。」
叢雲「りょ、了解。」
提督「次は雷だ。訓練中にも言ったが問題は回避行動だ。スピードはまぁいいとして動き方が問題だ。確かにジグザグに動いていたが規則的すぎる。あんな回避行動ではすぐに敵に行動パターンが読まれてしまう。右左右右左左とか不規則に動くんだ。いいな?あと雷撃と砲撃の命中率も低いからがんばれよ。」
雷「了解よ!」
提督「んで、一番の問題は青葉だな。」
青葉「ええ!!」ガーン(´Д` )
提督「なんだよあの砲撃の構え方は!訓練校で習わなかったのか!?」
青葉「習いましたよ!・・・ちょっと。」
提督「おい!なんだよちょっとって!・・・まぁいい。俺に考えがあるからな。」ニヤリ
青葉「な、なんですかその不気味な笑顔!?」
提督「それで不知火だが、」
青葉「またスルー?!」ガーン(´Д` )
提督「正直言って凄いな。砲撃、雷撃、回避行動、リロード、構え方、それに加え常に索敵を怠ってなかったな。」
不知火「ありがとうございます。」
提督「だがしいて言えば狙いを一つに絞りすぎだ。もっと視野を広くするんだ。あと深追いし過ぎなところもたまにあったからそこを気をつけてくれ。」
不知火「了解。」
提督「他には無いかな。んじゃあ今日はお開きだ。明日は0700にここに集合だ。」
叢雲「出撃?」
提督「いや、一日中模擬訓練だ。」
青葉雷「え?!」
提督「ん?なんだ?不服か?」
青葉「いえいえ!なんでもないです!」
雷「わたしも問題ないわ!」
提督「まぁ明日は今日よりも緩くやって午前中には終らせる。」
青葉雷(やった!)
提督「んで明後日は出撃だ。」
叢雲「本当に!」
提督「お、おう、まぁあと一ヶ月位訓練してから出撃したかったが、上がうるさくてな。とゆう訳だ。しっかり休めよ。以上お終い!解散!」
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工廠
提督「妖精さん。」
妖精「ん?おう坊主。」
提督「はい、これどうぞ。」つ缶コーヒー
妖精「おう、悪りいな。」
提督「それで、建造の結果はどうでしたか?」
妖精「あぁ、結果は、ほら。」ドサ
提督「?これって!」
妖精「あぁ、空母の艤装だ。軽空母だがな。」
提督「ありがとう妖精さん!」
妖精「艦種は鳳翔だ。」
提督「鳳翔・・・凄いですね!」
妖精「あぁ、苦労したぜ。んで、これが軽巡だ。」ドサ
提督「これは・・・球磨型ですね。何の艦ですか?」
妖精「あぁ、こいつは木曾の艤装だ。」
提督「本当に希望通りの艦種を建造してくれてありがとうございます!」
妖精「まぁ俺の腕に掛かればどうってことないぜ。」
提督「あと、追加なんですが・・・。」
妖精「ん?また建造か?いいがもう資材が無いぜ。作れるっちゃ作れるが今回はもう本当に資材がないから駆逐艦しか作れないぜ。」
提督「いや、建造じゃなくてこれを作って下さい。」
妖精「ん?これは・・・まぁいいが、これ必要か?軽母が来たらもう意味が無くなるぞ?」
提督「いえ、まぁ索敵で使うこともありますが、これはアレに使おうと思います。」
妖精「まさか着弾修正射撃か!?」
提督「ええ、そうです。」
妖精「青葉にやらせるのか?」
提督「はい。」
妖精「俺が言うのもなんだか、あいつにやらせるとなると早くても一年はかかるぜ。」
提督「いえ、あいつなら長くても半月で覚えます。いや、覚えさせます。」
妖精「・・・はぁ、まあいいか、分かった作るよ。いつまでだい?」
提督「明日の0630までにはお願いします。」
妖精「おう。分かった。」
提督「それではおやすみなさい。」
妖精「あぁじゃあな。いい夢みろよ。」
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提督の私室
提督(ふむ、今日着任した青葉、あいつの胸なにげにデカかったな。俺の観察眼によるときっと着痩せするタイプだしウエストもしまってたからきっとボンッ、キュッ、ボンッなんだろうな。)
提督「よし、雷ちゃんから青葉へシフトチェンジだ。よし、もう寝よう。おやすみ〜。」
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今日はいつも以上に暑い日だ。そんなことを考えながら廊下を歩いていた。外は暑いが建物の中はクーラーが効いていてとても涼しい。このご時世なのにクーラーをガンガン使っているなんて、電力請求額は大変なことになっているのだろう。
ふと、窓の外を見ると将来艦娘となる訓練生たちが訓練をしていた。こんな暑いのに立派なことだ。自分もやろうと思えばいけるが、今日は気分が乗らないし、なによりあそこに居るのは女子しか居ないから嫌だった。
「?どうかされましたか?」
案内人にそう言われた。
「いや、訓練の様子を見てただけです。」
そうですか。と言った後、また歩き始めた。
しばらく歩くと会議室らしき場所で待っていてくれと言われた。
することもなくぼーっとしてると扉が開き一人の男が入って来た。私はすぐに立ち上がり敬礼をした。
その男の髪は白髪で顔にしわも多いが若々しい男だった。制服を見る限り階級は中尉だろう。
「いいよ、楽にしてくれ。君の方が階級は上だろう?」
「いえ、しかし」
「別に誰か居るわけでもない。楽にしろ。」
はっ。と私は言い休めの形を取った。
「・・・あまり変わってないような気がするが・・・まあいい、で、今日は君の着任する新しい鎮守府に連れて行く最初の艦娘を選ぶんだったな。」
「はい。」
「じゃあこの中から一人選んでくれ。」
そう言い中尉は封筒から五枚の履歴書を取り出した。
履歴書は上から戦艦金剛、航空母艦蒼龍、重巡洋艦古鷹、駆逐艦叢雲、潜水艦伊168、のものだった。ルックスで選ぶのなら一番の好みは金剛だった。
「で、誰にする?」
「駆逐艦叢雲でお願いします。」
中尉は急に口もとを緩めると笑いながら言った。
「叢雲か?駆逐艦だぞ?随分もの好きだな。なんだ?惚れたのか?」
別にルックスで決めたわけではない。
「いえ、違います。ルックスなら金剛の方が好みです。」
「・・・楽にしていいと言ったが随分正直だな。で、理由は?」
「理由は二つあります。一つ目は彼女が駆逐艦だと言うことです。」
「逆に駆逐艦だから他の艦を選ぶと私は思っていたのだが。」
「確かに駆逐艦は艦種の中で最弱かもしれません。しかし私は新着任する身ゆえ、資材に余裕があるとは思えません。なので一番低コストで運用できる駆逐艦こそ新着任する私にとってふさわしい艦種と思ったのです。」
「だが、その理由なら潜水艦を取った方がいいと思うぞ。潜水艦は駆逐艦以上に低コストで運用できるし、なにより潜水艦としての訓練を受けている艦娘は少ないからとても貴重だ。ここを逃したらもう手に入らんかもしれんぞ?」
「はい。おっしゃる通りです。」
「じゃあ、なぜだ?」
「はい、その叢雲と言う艦娘が先程訓練しているところをたまたま目撃しました。」
「ほう?それで?」
「はい、率直に言うと・・・彼女はとてもすごい逸材です。」
「なにを根拠に言っている?あいつの成績は普通だぞ。」
「私は今までたくさんの兵士の目を見て戦って来ました。国に忠誠を尽くし戦う者、脅迫されて仕方なく戦う者、食うために戦う者、生き残るために戦う者、人を殺すのが楽しくて楽しくて戦いを望み戦う者。皆とても強く、何回も私は死にそうになりました。」
「・・・続けてくれ。」
「はい。しかし、一度、一度だけ勝てなかった者が居ました。その者の目は今まで戦った者たちとはまったく異なる目をしていました。」
「復習のために戦う者、か。」
「はい、彼女はその者の類の目をしていました。」
中尉は帽子を取り、何かを考えていた。そして、
「・・・なぜ、彼女があんな年であのような目をしているか分かるか?」
「だいたい想像がつきます。深海棲艦は
重巡リ級以上なら陸上での活動が可能です。だから、その・・・。」
「深海棲艦に親族を殺された、とでも思っているのだろう。だが違うよ。」
「そうですか・・・。」
そしてしばらく沈黙が続く。
「聞かないのか?」
そう中尉が言った。
「私にとってそれはどうでもいい事です。それに、彼女も知られたくないでしょう。面識の無い上官になんてなおさらでしょう。」
そうか。と言い中尉は頬を掻いた。その次に、ところで、と言葉を続けた。
「ところで、もう一人叢雲とほぼ同じ境遇の者がいたが、分かったか?」
「・・・いいえ、分かりませんでした。」
「まぁ仕方がないさ。こいつだ。」
そう言い五枚の履歴書の中から一枚取り出し見せてきた。
「金剛・・・?」
「あぁ、そうだ。」
そう言い中尉は煙草を吸い始めた。
「まぁ理由は、お前の想像通りだと思う。それ以外は叢雲と同じだ。だが、金剛には悪いが叢雲のした体験の方がよっぽど酷なものだったと、俺は思う。」
言葉の終わりと同時に中尉は煙草の煙を吐いた。この香りはチェリーか、いい趣味をしている。
「それで話は戻るが、叢雲でいいんだな?」
「はい。」
「分かった。上に報告しておく。これで終わりだ。お疲れ。」
ありがとうございました、と言い部屋を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食堂
提督「よし、全員集まったな。それで今日の予定だが、昨日言った通り午前中は軽く模擬訓練をやって午後は駆逐艦’sに買い出しに行ってもらう。そろそろ食料が底を尽きるからな。」
青葉「え?なんで買い出し青葉だけハブられているんですか?」
提督「昨日言っただろう?一日中訓練だと。」
青葉「え?でもさっき訓練は午前中だけだって・・・。」
提督「駆逐艦’sはな。お前は別だ。」
青葉「そ、そんな〜!!」
提督「そんなことより」
青葉「そんなことよりじゃないですよ!」
提督「うるさい。ちょっと静かにしろ。」つ青葉の口おさえ
青葉「モゴ!」
提督「さて、ところで雷、昨日と何か違うことがないか?」
雷「え?う〜んと・・・あ!そうだ!疲れが無い!」
不知火「?どうゆうことですか?」
提督「青葉も昨日あんなに動いたのに筋肉痛はあるが疲れは無いだろう?」
青葉「あ、そう言われてみればたしかに。」
提督「昨日雷と青葉はこの薬を飲んだだろう?」つ怪しい薬
叢雲「それは昨日の・・・。」
提督「これは昨日言ったように俺の先輩直伝の元気がでる薬だ。それでこっちはその先輩ともう一人の先輩と先輩の知り合いの薬剤師と俺で作った元気の出る薬Zだ。」つ怪しい薬Z
叢雲「なにが違うの?」
提督「これは昨日飲んだやつよりもかなり効き目があり、飲んだ次の日は超○水を飲んだ某サイヤ人みたいに力が何倍にもなった。」
不知火「提督が試したんですか?」
提督「ああ、試したと言うか無理矢理飲まされた。」
叢雲「災難だったわね・・・。」
不知火「それで、具体的にはどのような効果があったのですか?」
提督「まず体が軽くなったな。それで頭がすげー冴えて筋肉痛の痛みも無かった。それに身体能力がちょっと上がってた。」
叢雲「それ危ない薬使ってないの?」
提督「問題ない。ちゃんと100%ホワイトの薬を調合して作った。で、なにを言いたいかと言うとどんなに疲れてもこいつを飲めば元気ハツラツな訳だから疲労の心配をしないでいいと言うことだ。」
不知火「なるほど・・・。」(これで好きなだけ訓練ができる・・・!)
提督「よし、で、薬の話は終わりだ。あ、そう言えばまたここに新しい艦娘が着任することとなった。艦種は軽空母と軽巡が各一隻づつだ。着任の予定は明後日だし、今はあまり関係ないが、まぁ頭に入れて置いてくれ。」
艦娘「了解。」
提督「んじゃあ模擬訓練やるか。行くぞ〜。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
訓練終了後
提督「よし、今日はここまでだ。昼食は作って置いたから駆逐艦’sは食べたらスーパーへ買い出しに行ってくれ。はい、これ買い出しのメモ。」つメモ
駆逐艦’s「了解!」
提督「青葉は俺と特別レッスンだ。」
青葉「はい・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
港
提督「よ〜し、来たな青葉。」
青葉「はい・・・。で、なにをするんですか?」
提督「まぁまずこいつをやるよ。」つ零式水上偵察機
青葉「これは・・・水上機ですね。零式の水偵ですか?」
提督「あぁ、そうだ。うちはお前以外に索敵ができる奴がまだいないからな。お前に使ってもらおうと思う。水上機は使えるか?」
青葉「えぇ、飛ばせるっちゃあ飛ばせますけど・・・。」
提督「最高飛行距離と飛行継続可能時間は?」
青葉「えぇっと・・・、距離は1400000mで時間は6時間までなら。」
提督「そんなに飛ばせるのか!」
青葉「え?はい。青葉は砲撃はへたっぴでしたけど、水上機運用に関しては同期の訓練生の中で一番でした。」
提督「すごいじゃないか!」
青葉「いえ、それほどでも〜。でも、教官に『どんなに水上機を上手く使いこなし早く敵を補足しても砲撃が当たらなければ意味がないな。』と昔言われました。たはは・・・。」
提督「これでいい。いや、十分すぎる位だ。なぁ青葉、着弾修正射撃って知ってるか?」
青葉「いえ、聞いたことないですね。」
提督「まあそうだろうな。今やってる奴なんてほぼ居ないだろうな。」
青葉「で、その着弾なんとかとは一体なんなんですか?」
提督「説明しよう!着弾修正射撃とは水上機を運用しながら砲撃をしてその砲撃で水柱が立った位置を水上機から教えてもらいその水上機の報告を頼りに着弾修正を行い射撃を行うことである!」
青葉「ふむふむ、なるほど・・・」つメモ
提督「本当は零式水上観測機を使うんだけど、その、資材が、ね・・・。ボーキ溜まったら作って貰うからガマンしてくれ。」
青葉「分かりました!」
提督「それじゃあ早速訓練をしようか。」
青葉「了解!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食堂
叢雲「ただいま〜。」
雷「戻ったわよ!司令官!」
不知火「ただいま戻りました。」
叢雲「って、誰も居ない・・・。」
不知火「港の方で砲撃音が聞こえます。恐らくまだ青葉と訓練中かと。」
叢雲「そっか。」
雷「せっかくだからどんな訓練してるか見に行きましょうよ!」
不知火「いいですね。行きましょう。」
(砲撃のコツが見つかるかもしれません。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
港
提督「青葉!もっとよく狙え!・・・よし!いいぞ!その調子だ!」つ望遠鏡
叢雲「うわっ。すごい遠くを狙ってる。」
不知火「軽く20キロはありますね・・・。」
叢雲「あ、当たったわ!」
不知火「止まってる的とは言え、すごい・・・。」
提督「ん?おお、帰ったかお前ら。」
雷「ただいま司令官!」
提督「おかえり雷ちゃん!」
叢雲「ちょっと司令官!」
不知火「青葉のあの砲撃はなんなんですか?距離が異常です。しかも彼女は午前中までまったくのノーコンだったはず。どんなアドバイスをしたんですか?」
提督「ん?あぁ、あれは着弾修正射撃だ。」
不知火「着弾修正射撃?」
提督「あぁ、〜説明中〜とゆうことだ。」
叢雲「なるほど。」
提督「今狙ってるのは26キロ先の的だ。20.3cm連装砲の最高射程距離ギリギリだ。・・・そろそろやめるか。青葉、もうおしまいだ。戻って来い。」つ無線
無線 青葉『はいは〜い。分かりました!』
提督「さて、じゃあ俺はまたいつものように晩飯作ってるから青葉連れて風呂入って来い。」
艦娘「了解!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
喫煙所
提督「妖精さん。」
妖精「ん?よう坊主。見たぜ、青葉の着弾修正射撃。」
提督「すごいでしょう?」
妖精「あぁ、あんな短時間で物にするとはなぁ。たいしたもんだ。普通あこまでやれるようになるのに早くても1週間はかかるのにな。やっぱり教え方か?」
提督「いえ、彼女がすごいだけですよ。」つ煙草
妖精「ん?リリーか。」
提督「えぇ、一本どうですか?」
妖精「じゃあ貰おうか。・・・ふぅ、やっぱ高い煙草は違うな。」
提督「えぇ、手に入れるのに苦労しました。」
妖精「懐かしいな。こんな高い煙草を毎日のように蒸してたあの頃が。」
提督「・・・三年前まではたくさん輸入品が入って来ましたからね。」
妖精「あぁ、あの頃は本当に良かった。・・・また毎日煙草を蒸せるように早くシーレーンを取り戻してくれよ。」
提督「はい、任せて下さい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
食堂
雷「あ、司令官!遅かったじゃない!」
叢雲「まったく、人を呼んでおいてどこほっつき歩いてたのよ。」
提督「まあまあ、いいだろ?」
不知火「それで、お話とは?」
提督「あぁ、明日はついに初出撃なわけだが、体調不良はないか?」
不知火「私はありません。」
雷「私もないわ!」
叢雲「私も大丈夫よ。」
青葉「青葉はちょっと疲れました。」
提督「よし、なら青葉はこれを飲んでから寝ろ。」つ怪しい薬
青葉「え?あ、はい、分かりました・・・。」
提督「それで、明日の予定だが、明日はここに0600に集合。そして0700に出撃する。帰投予定時刻は1600だ。他になにか質問は?」
雷「はい!司令官!昼食はどうするの?」
提督「問題ない。弁当を持ってく。」
雷「分かったわ。」
提督「それしで、他には?。」
不知火「はい。」
提督「ほい、不知火。」
不知火「はい。明日の出撃は全員で行うのですよね。」
提督「ん?そうだが?」
不知火「その間の鎮守府の警備はどうするのですか?」
提督「それなら心配ない。妖精さんが残るから大丈夫だ。」
不知火「妖精さん?」
提督「あぁ、見たことなかったっけ?まぁ、あの人艦娘とはあんま喋んないからな。で、他に質問は?・・・ないな。じゃあ今日はもう解散。明日に備えて早く寝ろよ。以上お終い!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦娘寮 叢雲の私室
叢雲「はぁ、疲れた・・・。」
叢雲(明日はついに出撃。やっと、やっとだ。そのために何回死にかけ、血を吐きながら訓練をしたことか。)
叢雲「明日は早いしもう寝ましょう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、あって、深海棲艦はいつ、どこで、なんのために、なぜ生まれて来たかは誰も知らない。」
教官の別にどうでもいい講義を聞き流しながら私はずっと窓の外を見ていた。今日の雲量はだいたい5。晴れだった。
「それで、深海棲艦が一番最初に正式に出現した年とその海はどこだ?今日は15日だから15番。答えろ。」
「はい。えっと・・・1986年のカリブ海です。」
「正解だ。1986末年。まだ世界が二つの勢力に分かれていた頃。イタリアの客船がアメリカのフロリダ州にある港に入港する予定だった。だが、時間になっても船は来ず、船の通信も途絶えていた。アメリカ国防省は最初はリビア爆撃の報復によるテロだと検討していた。しかし、犯行声明は出ておらず、証拠もなかった。ソ連からの攻撃の可能性も考えたが、チェルノブイリの一件でそれどころではないと国防省は判断した。」
この類の話は始めて聞いた。きっと国家機密なのだろう。
「事件から数週間後、ポルトガルにあの日沈んだとおもわれる客船の破片が流れ着いた。しかし、その破片には本来着いていないものが着いていた。それはなんだ?16番、答えろ。」
「えっと・・・分かりません。」
「そうか、まぁしょうがない。それで、なにが着いていたかと言うと、人間の血液だ。本来船を沈めるだけなら船の破片に人間の血液がつくとこはない。だが、この船の破片にはべっとりと血液が着いていた。船が傾いた時に内装によって押しつぶされるなんてことはあるが、そんな形成はどこにも無かった。そこで、この報告からアメリカ国防省は船のハイジャックに失敗したて沈没したと断定した。ばかな話だ。
事件から数日後、また事件が起こった。またカリブ海で船が沈んだ。三隻も。これはただ事じゃないと受け止めたアメリカはEUと共に協定を結び大西洋沿岸に沿岸警備隊を配置、そして貿易船、客船の出港禁止令を出し、さらにアメリカのミサイル艇、駆逐艦、巡洋戦艦の大西洋の警備が始まった。
対策から数日後、ある一隻の駆逐艦から通信が入った。その当時の通信記録がある。英語なんだが、まぁ今から流すから聞け。」
なんでそんなものがあるのか気になったが、まぁなんでもよかった。
『こ、こちらフォラガット級駆逐艦三号艦!本部、応答せよ!』
『こちらHQ、どうした?』
『敵だ!敵が現れた!ただいま交戦中!すでに味方の艦隊は本艦以外は全滅した!撤退命令を出してくれ!』
『了解、現時刻をもって本艦は本部へ帰投することを許可する。続きに現在の本艦の状況と敵の詳しい情報を述べよ。』
『本艦の被害は右舷に砲撃を受ただけだ!航続は可能だ!敵は、敵は、わからない!』
『どうゆうことだ?説明せよ。』
『わからないんだよ!気付いたら砲撃を受けていて、なにも見えないんだよ!敵影もなにも!探照灯を着けても敵は・・・。』
『おい!なんだあれ!』
『え?あ、は?な!え?な、』
『どうした?応答せよ。』
『こちらフォラガット級駆逐艦三号艦!敵と思わしき生命体を発見!水面を白と黒の人型のなにかが航行している!』
『なにを言っている!ふざけている場合ではない!』
『本当だ!人型の何かが!あぁ!甲板に上がってきた!』
『落ち着いて現状を報告せよ!』
『お、おい!あいつ、く、食ってるぞ!人間を食ってる!』
『おい!落ち着け!』
『早く扉を閉めろ!早』バァン!
『くそ!撃て!撃て!』パン!パン!
『な!効いてない!くっそ!』
『あ、あぁ!く、来るな!うぁ、うぁぁぁぁぁぉぉぁぁ!い、嫌だ!がぁ!い、あぁ!』ゴリグシャ
『や、やめろ!食うな!嫌だ!ア”ア”ア”ア”ア”』グシャヮ
『おい、どうした?応答しろ!おい!』ガン!ピーーーーーーーー
英語はある程度は学んでいたから話の内容は分かったが、とても酷いものだった。それに人間が潰れる音や噛み砕かれる音がまだ耳に残っている。
「そして翌日、アメリカは昨夜哨戒任務を行っていた艦と乗組員の捜索を行ったが、その日は何も見つからなかった。
また、アメリカ国防省は今回の出来事は乗組員達による集団幻覚と判断した。確かに白と黒の人型の何かが水上を航行するなんて聞いたら昔は頭がいってると思われたしな。
しかし、事件から数日後、捜索活動を行っていた艦隊から通信が入った。事件当日哨戒任務を行っていたフォラガット級駆逐艦の艦内に取り付けられていたビデオカメラが見つかったと。
アメリカ政府はすぐさまそのビデオカメラの解析と復元に全力を尽くし、復元に成功した。そして、そのビデオを見てアメリカ政府、国防省、軍事関係者は始めて気がついた。深海棲艦の存在に。」
そこまで言うと教官は教科書を閉じた。
「よし、今日の授業はここまでだ。全員さっき聞いた通信記録の感想をレポートに書いて提出するように。以上だ。」
そう言うと教官は教室を出て行った。
周りは他の生徒たちがレポートのことで騒ぎあっている間、私は考えていた。 さっき人を食べていた深海棲艦は、どんな気持ちで人間を食べていたのだろう?
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港0700
提督「・・・よし、全員そろったな。」
提督「現時刻をもって我々×××鎮守府第一艦隊は×××正面海域での深海棲艦の掃討を行う。また、本作戦は×××鎮守府最高責任者である私が作戦の指揮を取る。異論はあるか?」
提督「・・・ないようだな。話を続ける。艦の配置は叢雲と不知火を先行部隊として進路の先頭に配置。二人は単横陣で陣形を展開してくれ。そしてその後方10キロを青葉が索敵を行いながら二人に続け。雷は青葉の護衛として青葉に随伴してくれ。私は足手まといになるだろうから青葉の後方で指揮を取る。質問は?」
提督「・・・ないな。よし、なら出撃するぞ!抜錨だ!各艦遅れるなよ!」
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海はとても静かだった。聞こえるのは波の音だけ。今は全員で一箇所に集まり作戦を立てている。
「青葉、敵はまだ見つからないのか?」
「はい。ずっと探してますが見つかりませんね〜。」
「そうか、埒が明かないな・・・よし、南に行こうか。」
「なぜ?根拠は?」
叢雲が聞いてくる。まぁ当然だろう。
「ここから南にいったところに定期的に貿易船が通るルートがある。深海棲艦の被害にあっていると報告もあったから遭遇する確立は高いだろう。」
「なるほどね・・・。」
「確かに・・・。」
「異論はないな?よし、移動するぞ。」
移動を始めてから二十分、青葉から通信が入った。
『索敵を行っている水偵の一機から敵と思わしき一団を発見したとの通信が入りました!方角は二時の方向で距離は六十キロ!陣形は単横陣!艦種は・・・はい、駆逐艦三隻と軽巡二隻です!詳しい艦種の識別は近づけば分かりますがこちらの存在がばれてしまう恐れがあります。どうしますか?』
「いや、いい。ところで、敵を発見した場所の半径七キロ圏内に島はあるか?」
『いえ、ありませんね〜。』
「分かった・・・叢雲、不知火、聞こえるか?」
『ええ、聞こえるわ!』
『こちらも聞こえます。』
「そうか、さっきの連絡は聞いてたな?敵を発見した。これより戦闘態勢に入る。先行部隊は進路を二時の方向に修正。青葉は索敵を行いながら二人に続け。雷もだ。いいな?」
『『『『了解!』』』』
進路を変えてから約三十分後。
『こちら青葉です!どうやら敵がこちらの存在に気がついたみたいです!進路を変えて我々に向かってきてます!』
「そうか、なら詳しい艦種の識別を行ってくれ。」
『了解!・・・えー、駆逐艦イ級が三隻と軽巡ホ級が二隻です!』
「分かったありがとう。叢雲、有効射程距離まであとどのくらいだ?」
『そうねぇ、あと五、六キロ欲しいわね。そうしたら確実に当てる自信があるわ。』
「そうか、青葉は?」
『青葉はあと三、四キロ欲しいです。』
「そうか・・・よし、青葉と先行部隊は有効射程距離に入り次第砲撃を開始。狙う敵は各自任せる。雷は戦闘が開始したら他に新しい敵が出現しないか偵察を行ってくれ。」
『『『『了解。』』』』
そして、その数分後。
『ども!青葉です!有効射程距離に入りました!これより砲雷激戦入ります!』
青葉の通信が入った数秒後、砲撃音が聞こえた。双眼鏡で敵を見ると軽巡ホ級の片方に着弾した。その瞬間ホ級が炎上しみるみるうちに傾いていく。ダイレクトヒットだったようだ。
『有効射程距離に入っわ!これより砲撃を開始するわ!』
『同じく有効射程距離に入りました。砲撃を開始します。』
叢雲と不知火がそういい砲撃を開始した。砲撃音は聞こえなかったが敵の駆逐艦一隻に着弾した。どうやら着弾したのは不知火で叢雲は外したようだ。だが着弾した駆逐艦はまだ少し動けるようだ。
『ちっ、ちょこまかと!』
叢雲はそう言うと二撃目を放った。これはさっき不知火が当てた駆逐艦に着弾し、その駆逐艦は沈んでゆく。
しかし、敵もただ攻撃を受けるだけでは無かった。生きている残りの深海棲艦が砲撃を開始した。
「先行部隊回避行動を取れ!」
だが、言う必要は無かったようだ。もう叢雲と不知火は回避行動を取っていた。その隙に青葉は残りの敵を沈めて行く。
青葉の放った二撃目は残っていたホ級に着弾した。ホ級はダメージは負ったようだがまだ動いている。
だが次の瞬間ホ級は炎上していた。不知火の放った二撃目が着弾したようだ。
その後に叢雲が残りの駆逐艦二隻に砲撃を行い、二隻とも沈めた。
初の実戦で勝利した瞬間だった。
「各自被害の報告をしろ。」
『青葉は無傷です!』
『雷も攻撃を受けてないわ!』
『不知火も問題ありません。』
『叢雲は至近弾を一回受けたけど問題ないわ。』
「そうか、なら我々はこのまま作戦を続行する。陣形を保ちつつ青葉は索敵を行いながら移動する。進路は北東だ。」
『『『『了解。』』』』
さっきの戦闘から約四時間時間後、ずっと索敵を行っているが敵は見つからない。
「よし、みんな!聞こえるか?もう昼時だ。一旦みんなで飯にするぞ。」
待ってました!と青葉の威勢のいい返事と了解、と言う声が聞こえて来た。青葉の反応も無理もない。彼女は約五時間ぶっ続けで水偵を飛ばしているのだ。集中力と腹はもう限界だったろう。
「よし、腹ごしらえはおしまいだ。」
そう言いながら私は弁当箱を片付ける。
「司令官、この後の行動はいかが致しますか?」
そうだな・・・と言いながら思考を巡らせる。ひとまず敵の艦隊を一つ殲滅したがあれはただの水雷戦隊だろう。本隊はまだ何処かにいるはずだ。ならば、
「このままこのままはぐれ部隊の掃討を行う。なにか質問は?」
「よろしいでしょうか、司令官。」
「ん?なんだ?不知火?」
「我々日本海軍は、いえ、日本と言う国家はもうギリギリの状況まで追い詰められています。実際国内生産状況は30%しか稼働しておらず、そして海外との貿易ラインもほぼ稼働しておりません。だから我々は一刻も早くシーレーンを回復させないといけない立場にあるのでここは早くこの海域の本隊を撃滅するのが得策かと。そうすれば中国とのシーレーンは回復します。」
確かに不知火の言ってることは正しい。だが、
「あぁ、確かにそうだ。だが、今この状況で本隊と当たったら良くても引き分けだ。最悪全員沈む恐れもある。」
「・・・お言葉ですが提督はさっきの戦闘をご覧になったでしょう。この戦力なら本隊と十分やりあえます!」
「不知火、お前は勘違いをしている。」
「なにをですか?」
「確かにお前らは強い。だがそれは所詮付け焼き刃の戦力だ。叢雲と雷が着任して五日、不知火と青葉が着任して三日、その内全員で模擬訓練を行ったのは三日だ。確かにあのハードな訓練を三日もしたら水雷戦隊は倒せる。いや、今回は青葉の着任が早かったからできは荒技だろう。もし青葉が居なかったらあの水雷戦隊は倒せなかっただろう。現に青葉の後方火力支援がなかったらどうしていた?」
「っ!それは・・・。」
「それに俺は昨日までの訓練で基礎しか教えてない。他にも学ぶことはたくさんある。他の鎮守府で実戦をしていた艦娘なら本隊にいどむが、お前らは全員新着だ。実戦だって今回が初めてだろう?それに本来初めての実戦の艦娘だけの艦隊だったらさっきの戦闘で撤退しているし、それになによりこちらの艦隊はまだ四人しかいない。結論を言うと我々は余裕がないからこそこうやって新着して間もなく、十分な訓練もしていく、人数の足りていない艦隊で出撃している。分かったか?」
「・・・分かりました。」
「よし、なら移動だ、進路は東だ。陣形もさっきと同じまま行くぞ。」
「「「「了解。」」」」
私は移動最中、ずっとさっきのことを考えていた。
確かに私達は編成されて間もないひよっこ艦隊だ。だが、どうしても納得できない。提督の言ってることは正しい。自分も理解して受け止めた。だが、どうしても本隊を叩かないことに納得がいかない。
自分はいつでも死ぬ覚悟はできている。そのくらい切羽詰まっているのだ。あと一ヶ月以内に武勲を挙げないと・・・
そんな時、青葉から通信が入った。
『ども!青葉です!敵艦隊を発見しました!え〜っと、艦種は・・・え?提督!報告します!』
いきなり青葉の声が真面目になり敵の情報を報告する。
『駆逐艦が二隻、軽巡が二隻、そ、そして重巡と戦艦が一隻ずついます!』
『青葉!それは敵主力艦隊だ!総員撤退だ!全速力でこの場を離脱するぞ!』
チャンスだと思った。ここで提督を説得し、主力艦隊を倒せば武勲を挙げ、大量のボーナスが得られる。そう思った。
しかし、提督は戦闘をきっと許可してくれないだろう。なら、行動は一つ、
「青葉、聞いてる?」
『はい!こちら青葉。』
「敵の位置はどこ?』
『え〜っと、青葉から見て東北東に約五十五キロです!』
「ありがとう。」
そう言って私は無線をOFFにした。
「叢雲、私は一人で大丈夫だから貴女は撤退して。」
「ちょ!?不知火!?」
そう言い残し彼女を置いて私は東北東へ向かった。
『こちら叢雲!提督聞いてる!?』
青葉が主力艦隊を見つけてから数分後、叢雲から通信が入った。
「なんだ叢雲?なにかアクシデントがあったか?」
『ええ!不知火が一人で敵主力艦隊の方角へ向かったわ!今追ってるところ!』
その報告を聞いた瞬間、最悪の展開が脳裏をよぎった。
一体なぜ?どうして彼女は敵主力艦隊の撃滅にこだわるのか、その思考と不安で頭の中がいっぱいになった。
「おい!不知火!応答しろ!おい!」
不知火に無線通信を行ったが、彼女は出なかった。おそらく無線をOFFにしているのだろう。
「くそ!叢雲!聞いてるな!そこから不知火は見えるか!」
『ええ!見えるわ!でも追いつかない!凄いスピードよ!』
「わかった。青葉!雷!聞いたてたな!これより本艦隊は駆逐艦不知火の救出を最優先として作戦の指揮を取る!なお、付近に敵主力艦隊が潜在している!件の艦隊は無視しろ!不知火を救出したら全力でこの海域を離脱する!いいな!」
『『『了解!』』』
なぜ不知火がこんな行為に出るのかは分からない。だが、今は不知火の、全員の安全確保が先だ。早く救出しなければ手遅れになってしまう。
無線を切って数十分、敵艦隊を補足した。青葉の情報通り駆逐艦二隻、軽巡二隻、戦艦と重巡が一隻づつだった。
しかも敵はこちらに気づいてないようだ。今砲撃を行い、戦艦の機関部か弾薬庫に弾をぶち込めば沈められるかもしれない。
有効射程距離まであと約3キロ、そこで止まって撃てばいけるかもしれない。
しばらくして有効射程距離に入った。停止して射程体制に入る。止まって撃てばこんな距離、簡単なものだ。
「・・・沈め・・・。」
そう無意識の内に言ってしまい、砲撃を開始した。
自分の12.7cm連装砲が火を噴いた時、自分は最大の失敗に気がついた。
敵はこの海域の主力艦隊。こんなに近い距離に居る私に気がつかないわけがない。
気づい頃にはもう遅かった。敵は私の砲撃音と共にバラバラに展開し砲撃を避けた。
「ちっ!」
敵の今までの行動は罠だったのだ。私をここまでおびき寄せ、確実に攻撃を当てるため。戦艦クラスだったらこの距離での砲撃なんて屑篭にゴミを投げ入れるよりも簡単だろう。
敵は私の砲撃を回避し、海面に着弾した瞬間砲撃を開始してきた。
一旦停止したのですぐに動ける訳がなく、しばらくしてからなんとか動けるようになった。しかし、砲弾は目の前に迫っていた。
「くっ!」
なんとか船体に着弾しなかったものの、完全に夾叉された。避け続けても恐らく次は当たるだろう。なら、
「しかたがありませんね。」
私はあえて敵に向かい前進した。その方がこの距離なら避けやすいし、何よりこちらも砲撃しやすい。
「沈め。」
海上を走りながら駆逐艦に狙いを定め砲撃した。
放った砲弾は狙い通り駆逐艦に着弾し、炎上しながら沈んでゆく。
駆逐艦を一隻沈めたものの、まだ五隻も敵は残ってる。しかもその内二隻は戦艦と重巡だ。
そんな悠長なことを考えている暇もなく敵の砲弾が飛んでくる。
だが、私は前進しながら回避行動を取っていたのでそう簡単に砲弾は当たらない。海面に次々砲弾が着弾してゆく。
しかし、一発だけ私目掛けて真っ直ぐな放物線を描き飛んでくる砲弾があった。
その砲弾を左に避け、前を向くと、さっきのとは違う砲弾がもう一発私目掛けてとんできた。
この時、また失敗したと思った。さっき自分目掛けて真っ直ぐ飛んできた砲弾はフェイクだったのだ。
もうこの距離じゃよけられない。私が死を覚悟した瞬間だった。
『司令官!不知火が戦闘に入ったわ!私ももうすぐ追いつくから指示をちょうだい!』
「そうか!今の状況はどうだ!」
『かなりマズイわ!不知火一人に対して深海棲艦六隻よ!かなり複数の砲弾が飛んできてるけど、不知火はなんとか全て避けてるわ!』
「そうか!あとどのくらい持ちそうだ!」
『そんなの私が分かる訳ないじゃない!でもこのままじゃいつまでも持つ訳ないわ!』
「よし、叢雲!お前はどのくらいで有効射程距離に入る?」
『今入ったわ!』
「今すぐ不知火に火力支援をしろ!その場でだ!駆逐艦や軽巡は無視しろ!戦艦か重巡を狙え!当てなくていい!注意を引きつけろ!」
わかったわ!と返事が聞こえたら無線は切れた。叢雲はこれでいい、あとは、
「青葉!あとどれくらいで有効射程距離だ!?」
『はい!あと数分で入ります!』
「青葉は有効射程距離に入り次第砲弾を開始、雷は叢雲と合流し同じく不知火の火力支援と救出を行え!いいな!」
『『了解。』』
しかし、指示を出したものの不知火が無傷で離脱できる望みは絶望的だ。運が良くても大破だろう。
彼女を沈める訳にはいかない。誰一人部下を失う訳にはいかない。
航行スピード全開で彼女の元へ向かう。私が行ってもできることは限られるが、行かないよりはましだ。
「青葉はここから火力支援砲撃を開始するので雷さんは早く!」
ここから水偵を通して不知火が見えるが、場は完全に我々にとって最悪の状態だった。不知火は敵の砲撃をスイスイ回避しているが、いつまで持つかわからない。
「分かったわ!支援お願いね!」
そう彼女は笑顔で言うも凄いスピードで戦場へ向かった。さっきまで一緒にいた時のスピードはやはり自制していたのだろう。
それより、今は不知火の援護の方が先だ。そう思い砲撃を開始する。
しばらくして、砲弾は軽巡に当たったようだ。恐らく轟沈だろう。もうほっといても大丈夫だろう。
そして次弾を装填し終わった頃、突然視界が狭まった。
最初は何も分からずパニックになっていたが、数秒で理由に気がついた。水偵との視界リンクの接続が切れたのだ。
さっきまで水偵が飛んでいた場所を見ると、墜落してゆく水偵の姿が確認できる。
墜落した理由は簡単、対空兵装を施した戦艦が機銃で撃ち落としたのだ。
だが、こっちにはまだあと一機だけ水偵があった。予備として提督に貰った水偵だった。
さっきは完全に油断していたが、戦艦と重巡に気をつけていればなんとかなんだろう。
二機目の水偵を飛ばして不知火を見ると、まだスイスイと砲弾の雨を避けていた。そろそろ叢雲が合流するから不知火の負担も軽減するだろう。
だが、不知火に真っ直ぐ向かってくる砲弾があった。あんなあからさまな砲弾、簡単に避けられるだろう。
だが、見てしまった。その奥で敵戦艦が不知火に目掛けて砲撃をしたところを。
その砲弾は不知火のやや横へ飛んでいく。
そして不知火が一発目の砲弾を避け、その避けた先にさっき戦艦が放った砲弾が飛んでくる。
「危ない!」
青葉は叫んだが、この距離で不知火に聞こえる訳がない。
砲弾は不知火に着弾した。
砲弾が海面に着弾して激しい水しぶきが上がった。
危なかった。あと数センチずれていたら上半身が飛んでいただろう。だが、
「ちょっと!!!不知火!!」
後ろから叢雲が私の後を追いながら話かけてきた。
「貴女、左腕が!!!」
叢雲が左腕を見ながら、いや、左腕があった場所を見ながら言った。
さっきの砲弾は身体に直接着弾しなかったが、左腕に見事に着弾し、私の左腕を持っていったのだ。
左の肩から先はなく、鮮血が勢い良く流れている。
いくら装甲があるとは言え、かすっただけでこれだ。胴体に当たっていたら即死だろう。
「早く止血しなきゃ!!提督なら応急手当くらいできるはず・・・」
「いいえ、そんな物必要ないわ。」
私はそう言いながら敵に向かい砲撃をした。砲弾は当らなかったが狙い通り砲身はかなり熱くなり膨大な熱をもっている。
私はそれを左腕の出血しているところに押し付ける。
「くぁっ!!!!くっ!!!!」
想像していたよりもかなり熱く、自分の肉が焼けてるのが分かった。
「っ!!・・・はぁ。」
数秒したら砲身を離す。先ほどまで出血していた場所は瘡蓋ができ、なんとか止血ができた。
そして私は再び敵へ砲撃を開始した。
だが、叢雲に右手を掴まれ、そして彼女は怒鳴るようにして言った。
「貴女!!!なにしてるの?!!早く離脱するわよ!!!!」
「いえ、今ここで敵主力艦隊を討つべきよ。こちらの損害はほぼなし、数の差は一。しかもこっちには青葉がいる。戦力の差はほぼ無い。」
「なに言ってるの!?あっちには戦艦がいるのよ!!!」
「でも青葉は着弾修正射撃ができる。有効射程距離はこっちの方が長い。」
「そうだけど・・・ああ!!もう!!だけど!!ここの指揮官は提督よ!判断は提督がするの!!いいわね!?」
海上を航行していると、叢雲から無線通信が入った。
『こちら叢雲!不知火と合流したわ!』
「そうか!不知火の被害状況は!?」
『それは本人に話してもらった方がいいわ。』
そう言うと無線通信に不知火が混入して来た。
『こちら不知火、提督。聞こえますか?』
「不知火!無事なんだな!!」
『いえ、・・・左腕に敵の砲弾が着弾して左腕を失いました。』
「なに!?止血はしたのか!?」
『はい、御心配なく。止血はしました。これ以上の被害はなく、航行も戦闘も可能です。』
思っていたよりも不知火の被害は少なかった。実戦経験と深海棲艦の知識が乏しい彼女が一人で六隻の深海棲艦と戦闘して左腕一本で済んだなんて奇跡に近い。
「よし!全員聞いてるな!?これより本艦隊は戦闘海域を離脱する!!叢雲と不知火は雷と合流し鎮守府の方面へ撤退だ!青葉はそこか支援砲撃を行え!!撤退の指示は私が出す!!だが危険と判断したらその場から離脱しろ!いいな!!」
『しかし、司令官。』
不知火が話しかけてくる。
『ここで撤退しても敵がこちらを追尾してくるだけです。下手したら鎮守府まで追ってきて付近の街に向かって砲撃をする可能性だったあります。だから』
「あぁ、分かっている。だが、私は鎮守府に帰投するなんて言ってない。」
どうゆうこと?と、雷と叢雲が聞いてくる。
「ここから鎮守府の方面には、すなわち北西には放棄された無人島が連なっている所がある。そこに一旦身を潜め作戦を練る。そうゆうことだ。いいな?」
あの後、叢雲と不知火は雷と合流し、戦線を離脱した。青葉がうまくやってくれたおかげだ。今は予定通り鎮守府から南東にある無人島の一つに全員上陸している。
「現時刻は1750。もうすぐ日が沈むな。」
日が沈んだらこちらはますます不利になる。夜戦になれば空母系以外の艦種のハンデがほぼ無くなる。むしろ駆逐艦の方が機動性があるから、艦種で考えるのなら夜戦はこちらが有利かもしれない。
だが、こちらの全ての艦娘は今日が初出撃であり、夜戦の経験なんて無いだろう。
夜戦は勘と経験が戦況を左右する。だから、艦種はこちらが有利でも、こちらは経験が不足している。だから結果的にこちらが不利である、と言う結論に至る。
だから選択肢は二つ。一つ目は明るい今のうちに決着をつける。二つ目はこのまま日が沈むのを待って暗くなったら敵に見つからないように撤退する、だ。
安全なのは後者だろう。敵は探照灯をもってなかったし、進路もだいたい割れている。また、ここら辺は無人島が連なっており、隠れて移動するには持って来いの地形だ。最悪敵とぶつかっても他の無人島に隠れればいい。
しかし、問題が二つ。一つ目は敵が先回りして何処かで待ち伏せをしている可能性があること。無人島の地の利を活用できるのはこちらだけではない。敵も何処かの無人島で待ち伏せをしているかもしれない。奇襲なんてされたらもう全滅だろう。
二つ目は、私の存在だ。夜の航行となると昼のように距離を空けての航行は、はぐれる心配がある。もしはぐれたら恐らく遭難することになるだろう。我々は無線は持ってるがレーダーや電探の類のものはまだ持ってない。だからと言って青葉の水偵を飛ばす訳にもいかない。だからかたまって航行する。しかし、かたまって航行している時に敵と遭遇したら私は足手まといに確実になる。そう言った理由だ。
だったらこの無人島で野営をすればいい、という訳にもいかない。睡眠は取れても食事は取れない。翌日、空腹で敵と戦闘となったらそれこそ本末転倒だ。ちなみに非常用の食料は規律で持つことになっているのだが、経費削減のため持ってこなかったのである。
大本営にばれたらやばいな〜、と思っていたら叢雲が話しかけてきた。
「で、どうするの?」
「・・・いま考えている。」
「私達はさっき話し合ったんだけど、敵に奇襲をかけるのはどう?」
「・・・お前達は、それでいいのか?」
「えぇ、しっかり話し合ったわ。」
確かに、一番有効的なのはこちらからの奇襲だ。だが、肝心の敵の位置が分からなくては・・・」
「それなら!もうとっくに調べてあります!」
青葉がそういいながらこちらに歩いて来た。
「!?あっ・・・声に出てたか・・・」
「えぇ、全部丸聞こえだったわ。」
・・・恥ずかしい。
「それで!敵の位置は!」
「はい、敵主力艦隊の現在地は・・・ここから南東に約二十kmです。今なら敵はこちらに気がついてませんし、私は砲撃できます。どうしますか?」
「だが、お前らは聞いていただろ?夜戦は危険だ。だから」
「でも、他にいい策があるの?私は敵を目の前にして夜にノコノコ逃げるなんてまね、嫌よ。それに、これはチャンスよ。敵の位置も割れていて、地の利はこちらにある。やるならここしかないわ!」
「わかった。」
確かに。今は艦隊の士気もあるし、敵の位置も割れてるし、地の利もこちらにある。
と、気がついたら不知火と雷もいつの間にか叢雲と青葉の近くにいた。全員集まってるならちょうどいい。
「現時刻をもち、本艦隊の最優先事項は本海域の敵主力艦隊の撃滅へと移行する。なお、敵艦隊にはこちらから奇襲をかける。青葉はこの島から敵に先制攻撃をしかけろ。叢雲、雷、不知火は有効射程距離に入ってる島に隠れていて、青葉が砲撃を開始したと同時に敵へ砲撃をしろ。なお、今回は奇襲のため無線の使用は最初の先制攻撃をした後に私が無線封鎖解除の信号を送るからそれまで無線の使用は禁止だ。いいな?何か質問は?・・・ないな。よし、なら行動開始だ!」
叢雲達駆逐艦が敵にバレないように小島に隠れるのにそう時間はかからなかった。
敵はもうすぐそこまで迫ってきていたが、我々の正確な位置はわかっていないようだ。青葉の水偵も幸いまだ見つかっていない。駆逐艦達の有効射程距離にも入った。駆逐艦達は島に隠れているから見つかる危険性はないが、私と青葉は海岸沿いにある草むらに身を潜めているだけだ。これ以上接近されたら見つかる恐れがある。
故に今がチャンスだった。
「青葉、やれ。」
「了解!」
そう言うと青葉は砲撃を開始した。それと同時に私は
「各無線封鎖解除!全艦砲撃開始!」
無線から返事は返って来なかったが砲撃音が多数聞こえた。
青葉の放った砲弾が最初に着弾した。後から次々に砲弾が飛んできて完全に蜂の巣状態となり、激しい水しぶきが主力艦隊を包んだ。
水しぶきが収まり、最初に見えたのは炎上して沈みかけている駆逐艦だった。重巡も駆逐艦と軽巡ほどではないがダメージを受けたらしく、膝まで身体が沈んでいた。だが、
「くっ、奴め盾にしたな!」
戦艦は右手で軽巡を持っていて、砲撃が止んだと分かったら手に持っていた軽巡を海へ捨てた。軽巡は炎上しながら沈んで行った。
そして戦艦はこちらに砲塔を向けていた。
「青葉!逃げるぞ!狙われている!」
「え?!きゃぁ!」
遅かった。戦艦の放った砲弾は青葉に着弾した。
戦艦が次弾を装填しているうちに奥の方の茂みに避難した。
「青葉!大丈夫か!?」
「は、はい、なんとか。ですが、砲塔が・・・。」
青葉を見ると二発砲弾が着弾したようだ。一発目は胸部、これは装甲(服)のおかげで大破寸前の中破と言ったところだ。だが、二発目は艤装の部分に着弾し半数以上の砲塔が見事に折れたり砕けたりしていた。
「航行はできるか?」
「え〜っと・・・・・・第一タービンと第三タービンが機能していません・・・・・。」
「そうか・・・なら生きてる砲塔を使ってここから叢雲達の支援射撃を行ってくれ。くれぐれも被弾するなよ!」
「了解!って、司令官!?どこに行くんですか!?」
「ここだと戦況の把握ができないから移動して指揮をするんだ!お前はさっき言ったことをしろ!いいな!?」
作戦通り敵への一斉射撃は成功したが、主力の戦艦は健全だった。
幸い今はこちらに砲塔が向いてないが、この距離での戦闘で戦艦と対等に戦えるとは思っていない。夜戦での接近戦ならまだ勝率はあるが陽が照ってるうちは大型艦のテリトリーだ。
『提督だ!全員聞こえてるな!?』
『雷聞こえてるわ!』
『不知火聞こえてます。』
『あ、青葉も聞こえてます!』
「叢雲聞こえてるわ。」
『青葉が被弾し航行が困難となった。海上での支援射撃は行えないから陸上での支援射撃行う。ここは小島が複雑な地形を作っているから機動性のある我々の方が戦況は有利だ!だが敵の弾が一発でも当たったらまずい。そこを考慮して総員攻撃を行えな!いいな!』
と言うと無線は切れた。それと同時に近くに水しぶきが上がった。
砲弾の飛んできた方向を見れば重巡がこちらに砲撃をしていた。距離はそれほどでもない。この距離で外すとなるとかなり弱っていることが分かる。
だが、腐っても重巡の砲撃だ。一発でも当たったら航行不能となり止まったところを撃たれるかもしれない。
以下のことを考慮すると戦力の差はあまりない。なら、選択肢は
「喰らいなさい!」
ここで倒す。青葉達と戦艦の戦力の差もほぼ同じだろう。なら、こいつをここで倒す。
自分の放った砲弾は当たらなかったが、至近弾だ。もう少し近づけば完全に当てられる。
敵に接近しながら再度砲弾をした。敵重巡も砲塔をこちらに向けて狙いを定めていたが
「遅い!!」
自分が砲弾を放つほうが先だった。砲弾が当たれば重巡の狙いもずれるだろう。
だが、放った砲弾はギリギリ重巡には当たらず手前の海上に着弾した。
「嘘!?」
次弾を装填しているが間に合わない。今更避けることもできない。やられると思った。が、重巡が砲撃をする直前、重巡に砲弾が着弾した。そして重巡の放った砲弾は叢雲右横スレスレの海上に着弾した。
「まったく、危ないじゃない!叢雲!」
そう言いながら重巡に砲撃を撃った張本人、雷がこちらに近づいて来た。
「ごめんなさい。助かったわ。」
「いいわよ。それより、まだ終わってないわよ。」
そう言われ重巡を見ると、ニヤリと笑いながら砲撃してきた。
「まずはあいつを片付けてから司令官のところに行くわよ!」
雷のその言葉を最後に私たちも砲撃を始めた。
どうやら敵重巡は雷と叢雲が交戦しているらしい。駆逐艦二人と深海棲艦の重巡一隻なら勝機はあるだろう。
敵戦艦は今だに青葉へ砲撃を続けている。だが、青葉は草むらに身を潜めているため奴は青葉の正確な位置を特定していないのだろう、奴が放っている砲弾は青葉に当たっていなかった。
だが、これは時間の問題だ。奴が闇雲に砲撃しているのなら、いつか青葉に砲弾が当たってしまう恐れがある。動くなら早めがいい。
不知火は上手く奴の死角にある島に再度隠れている。見つかることはないだろう。
「不知火聞こえるな?」
『はい、聞こえます。』
「長々話すと敵に感ずかれるから率直に話す。このまま敵戦艦が青葉に砲撃を続けると青葉はいつか被弾する。だから俺が合図を出したら敵戦艦へ砲撃をして気を引け。あくまでも気を引くだけだ。その後は近くの島に隠れてろ。いいな?」
『了解。合図を待ちます。』
これで不知火への指示は大丈夫だ。次は青葉だ。
「青葉、聞こえるな?」
『はい!聞こえます!』
「この無線を切ると同時に敵戦艦へ陽動を仕掛ける。やるのは不知火だ。敵戦艦が不知火に気を取られている隙をついてお前は奴へ攻撃を仕掛けろ。いいな?」
『りょ、了解!』
無線を切り、その直後に不知火へ合図を送った。
提督が合図を出すと言って無線を切ってからしばらく、彼から合図の無線コールが送られて来た。
それと同時に移動を開始した。敵戦艦は先ほどからずっと青葉へ向かって砲撃をしているので場所の特定は出来ていた。
奴の死角に回り込み、狙いをつけ砲撃を開始した。
「沈め・・・沈め!!!」
放った砲弾は放物線を描いて奴へと飛んで行く。着弾計算も完璧な申し分無い砲撃だった。
数秒後、砲弾は見事奴に着弾した。しかし、奴は小破レベルのダメージしか受けていなかった。
だが、当初の目的は成功した。
敵戦艦は青葉から不知火へ目標を変えた。作戦は上手くいったようだ。不知火を追撃している。不知火は回避行動をとり、奴は機銃と副砲を彼女へ放っている。主砲を撃たないのは、おそらく青葉へ連続砲撃を行ったせいでオーバーヒートを起こしたか、弾切れなのだろう。
理由はどうでもいいが、これはチャンスだった。
「青葉!やれ!」
『了解!』
数秒後、青葉の放った砲撃音が聞こえた。そして初弾が奴の正面の海に着弾し、激しい水しぶきを上げ、その数秒後に3、4発の砲弾が奴へ飛んで行った。おそらく轟沈するだろう。
だが、水しぶきが収まり見えてきたのは奴の姿だった。
おかしい、今の砲撃は完璧だったはず。普通なら最低でも大破はしてるはず。なのに、奴は小破ギリギリの中破といったところだ。
だが、今その理由が分かった。双眼鏡で奴をよく見てみると
「青葉!不知火!奴は強化装甲を装備している!」
強化装甲とは、深海棲艦の特殊装備の一つである。この強化装甲を装備することにより、被弾してもこの装甲が身代わりになり深海棲艦本体に通るダメージが少なくなる。四年前の深海棲艦との艦隊決戦で初めて確認された装備で、この装備の登場により当時の艦隊は大打撃を受けたと聞いている。
しかし、強化装甲を装備している深海棲艦はこの海域近辺には出没しないはず。そもそもここの主力艦隊の構成に戦艦級の深海棲艦はいなかったはず。奴がここに居ること自体おかしいのだ。
『司令官!!』
そんなことを考えていたら青葉から無線通信が入った。
「どうした?」
『水偵が落とされました!』
「なに!?予備は?」
『もう残ってません!!』
もう本当に絶望的だった。青葉の支援砲撃はもうほぼ望めない。かと言って彼女を海に出させる訳にもいかない。
そんな時、不知火から無線通信が入った。
『司令官、私に考えがあります。』
「なんだ?」
一呼吸おいて、彼女は言った。
『夜戦です。』
現時刻は1900。太陽は完全に沈んだが、空はまだ橙色だ。だが、あと数十分もすれば日は暮れる。
私の被害はさほどないが、雷は先ほど砲弾が直撃して装甲も偽装もボロボロで大破寸前と言ったところだ。次砲撃をくらったら沈むだろう。
しかし、こちらもただ何もしていなかった訳ではなく、重巡に大破レベルのダメージを与えた。
しかし、奴は大破しているのにもかかわらず、攻撃を続けている。
私達はひとまず小島に隠れて完全に暗くなるのを待った。
数十分後、空の色は漆黒に染まり、波の音と微かな砲撃の音のみが響く。砲撃の音はおそらく青葉達だろう。
「雷、仕掛けるわ。貴女はここで待っていて。」
「なんで!?私も行くわ!!」
「貴女はほぼ大破しているのよ。一撃でもくらったら沈む可能性のある状況なのよ?」
「でも!!」
「お願い。ここで待ってて?」
沈黙が数秒続く。
「分かったわ。でも、約束して。絶対沈まないで。こんなに早く別れるのは嫌よ。」
「もちろん、私が沈むと思う?」
「ふふっ。」
雷は笑い、言った。
「約束よ?」
「ええ、・・・じゃあ行ってくるわ。」
そう言い残し、私は戦場に向かった。
「待たせたわね。」
そう重巡に言ったが、返事は帰ってこない。だが私は言葉を続けた。
「黙ってないで何か言ったら?あなた達が喋れるのは知ってるのよ?」
まだ、返ってこない。
「はぁ、もういいわ。初めま」
そう言い終わる前に奴は砲撃をしてきた。
砲弾を回避し、間髪を入れずに奴へ砲撃する。
砲弾は奴に見事着弾し、ダメージを与える。
だが、まだだ。こんなんじゃ沈まない。連続で砲撃を続ける。
数分後、奴の格納庫に砲弾が着弾したのだろう。激しい爆発が起こり、奴の下半身と上半身が千切れた。私はとどめを刺すため上半身の元へ向かう。
上半身の元へ着くのはさほど時間を要さなかった。奴の腰から下からは白い液体が絶え間無く流れ出している。
「それじゃ、さよなら。」
そう言い砲撃をしようとしたが、
「ナゼダ・・・」
ぎこちない喋り方だが、奴は喋った。
「なに、喋れるじゃない。」
「ナゼヒルマニ、イマミタイナ、ホウゲキヲ、シナカッタ・・・」
「知りたい?」
重巡は私を睨みながら微かに頷いた。
「まぁ、教えてあげないけどね。」
そう言い私はとどめを刺した。
日は暮れて、辺りは完全に暗くなった。時々何処かから砲撃の音が聞こえてくる。叢雲と雷の物なのだろうが、上手くいっているのだろうか?駆逐艦の装甲なら二発が耐久の限界だろう。
しかし、最低限の訓練はさせたから大丈夫だろう、などと不安感と安心感が交互に訪れる。
だが、今は彼女らの心配をしている暇はなかった。
さっきの戦闘で青葉は完全に使い物にならなくなった。
今は敵戦艦を上手くまいて各自島に隠れているが、ずっと隠れていたら奴は叢雲と雷の元へ行ってしまうだろう。それはなんとしてでも防ぎたい。
しかし、それを防ぐ方法は・・・
『夜戦です。』
彼女は、不知火は無線越しにそう言った。
『だめだ!認められん!!』
『しかし、他に手段はありません。青葉が完全に役に立たない今、これしかありません。』
『誰が役立たずなんですかー!』
青葉が話に割って入って来た。
『青葉、うるさい、黙ってろ。』
『え!?なんで青葉が怒られて』
うるさいので途中で切った。
『不知火、その方法はだめだ。』
『なぜですか?』
『奴と一戦交えたら確実にお前は沈む。』
彼女はしばらく黙っていたが、
『・・・・・・ました。』
『なに?』
『分かりました。不知火が囮になるのでその隙に撤退してください。』
『貴様は阿呆か。』
『貴様は阿呆か。』
司令官は冷たくそう言い放った。さっきまでとは別人のような喋り方だった。
『部下を囮にして逃げるコマンダーはただのチキンだ。私はそんな事はしない。』
『しかし』
『お前は沈みたいのか?それともこんな事になったのは自分のせいだと負い目を感じているのか?』
死ぬのは怖い。正直嫌だ。だが、
『・・構い・・ません・・・。』
そう言ってしまった。
『なぜだ!!なぜそう思う!?』
しかし彼女は答えない。
『答えろ!!不知火!!』
数秒したのち、彼女は言った。
『私たち艦娘は、いえ、軍人は、戦果を挙げて殉職すると、本人の二階級特進と大量の殉職金の支払いが、遺族に約束されています。』
『・・・・・・』
『私は、あと一ヶ月以内に、戦果を挙げて、報奨金を貰わなければ、いけません。』
彼女は平然を保とうとしているようだが、声は震えていた。
『なぜだ。』
彼女は黙っていたが、しばらくして
『私は、とある孤児院で育ちました。小さな孤児院でしたが、私にとっては、とても大切な場所です。その孤児院には、たくさんの子供がいました。子供の数の割りに、孤児院の規模が小さ過ぎて、毎日食べて行くのがギリギリでした。でも、楽しい毎日でした。』
彼女の顔は見えないが、どこか楽しそうだった。
『ですが、去年のことでした。私のお義父さん、その孤児院の養父さんです、が、倒れました。原因は癌でした。』
また、彼女の声のトーンが下がった。
『幸い進行はそこまで進んでいなくて、転移もしていませんでした。
ですが、今は薬で進行を抑えていますが、臓器を移植しないと助からないと、医師に言われました。』
『それはいつまでなんだ。』
『長くてもあと一年と半年ちょっと、今日からあと二ヶ月と言われました。臓器を取り寄せるのにも、時間がかかるので、納金を待てるのは、あと一ヶ月以内と言われました。
一番上の兄は、軍医なので、病院は兄が探すと言いました。二つ上の姉も、働いているので、金はできるだけ出す、と言っていました。妹達も闇市で、頑張ってアルバイトをしてくれました。でも、全然お金は足りませんでした。
半年くらい過ぎた頃でした。私はいつも通り、闇市で働いていました。そんな時、艦娘になって戦果を挙げれば大量の報奨金を得られる、と噂を聞きました。このままアルバイトを続けても無駄だと分かり切っていた私は、艦娘になると決めました。
翌日から私はそれまで通っていた中学校を中退して、艦娘の訓練所に入りました。
でも、一年やそこらの訓練で戦果を挙げることはおろか、鎮守府に着任することなんて夢のまた夢でした。でも、私には時間がありませんでした。毎日毎日毎日毎日毎日、夜遅くまで訓練を一人でしました。
そして先週、訓練所の卒業演習に合格して、ここに着任しました。』
やっと彼女が敵を殲滅したがる理由が分かった。だが、
『だが、夜戦はだめだ。』
『お願いします!!五分です!!それだけ時間をくれれば必ず奴を!!』
『・・・お前、自爆するつもりだろ?』
『っ!!!』
図星だったようだ。
しばらく沈黙が続く。始めに喋ったのは不知火だった。
『・・・・・・不知火の本当の父親は、ヤクザの幹部だったそうです。彼はヤクザ同士のイザコザで亡くなったと聞いています。彼が亡くなった後、お義父さんは、危険を顧みず私を拾って、ここまで育ててくれました。父親と、対立していた、ヤクザに刺されて、怪我をしたことなんて、何回もありました。周りの人から、影口を言われるのなんて、毎日でした。でも、お義父さんは、決して、弱音を吐かず、いつもニコニコして、私を慰めてくれました。一番辛かったのは、お義父さんなのに。だから!!!今度は私がお義父さんを助ける番なんです!!!!だからお願いします!!!私に!!!私にお義父さんを助けさせてください!!!』
彼女は泣きながら叫んだ。
『・・・分かった。』
『本当ですか!?』
こんなに声を張り上げるのは、普段の彼女からは想像できない。
『ああ、これしか方法がない。だが、一撃で決めろ。あと、くどいようだが、自爆なんて考えるなよ?いいな?』
ココアシガレット八箱の犠牲を出してしまいましたが、なんとか12日分の更新ができました。次はいつになるのやら・・・。九月中に終わりそうにありません。で、でも十月中には終わる!いや!終わらせる!!(フラグ)
更新待ってます。
頑張れ。
なぜこっちに?
更新待ってます
面白いです!更新頑張ってください!!
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お
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もうすぐ8年か........