提督「対骸龍撃退作戦」
SS初投稿です。艦これ×モンハンのクロスオーバーです。拙い文章ですがよろしくお願いします。多少……というかかなりガロアの強さを盛っています。モンハン基準の強さだと駆逐艦たちにですらボロ負けしそうなので……。あと艦娘の口調が変だったり戦闘描写が下手くそだったりしますが、艦娘流のオストガロアの狩りを頑張って書いていこうと思います。
古龍、それは人智を越える力を司る者たち。その中でも超大型古龍と分類される者は天災に等しき甚大な被害をもたらす。そしてこの龍もその1体であった
ー竜ノ墓場ー
? ? ?「キュオオオオ‼」
? ? ?「…」キョロキョロ
? ? ?「…」ズボッ
ズガガガガーン
(地中移動中)
この竜の骸の山で蠢く生態系を壊すほど他の生物を食い荒らす鯨飲馬食の古龍…
骸龍 オストガロア
その姿を端的に言えば巨体な胴体から二つの龍の首が伸びている骸骨ドラゴン、間違いなく生物とは思えない姿をしている。 ……だがこれは本当の姿ではない。
ズガガガガ、ズガーン
オストガロア「キュアアアアア‼」
この竜ノ墓場にはオストガロアによって食い荒らされた犠牲者の骸が辺り一面に積まれている。
そしてオストガロアは自らの食欲を満たすため捕食対象を探しに水路を移動するのであるが………
オストガロア「?」
いつも使っている水路とは別の水路を見つけた。
オストガロア「……」
オストガロア「……」スイースイー
いつも無かったはずの謎の水路であるが、そこまで気にしてはいなかった。新しい場所に繋がるなら新しい食事にありつける、ただ本能的にそう感じたのだろう、オストガロアはその水路の先へと進んだ。
………この水路が別の世界に繋がっているとは知らずに。
―とある鎮守府―
時雨「艦隊が無事帰投したね、よかったぁ…」
提督「お~時雨率いる第三艦隊、遠征ご苦労様。」
夕立「提督さん、夕立頑張ったよ~。褒めて褒めてー!!」
提督「よーし夕立、頑張ったなー。」ナデナデ
夕立「えへへ~」ナデラレ
提督「時雨もー。」ナデナデ
時雨「ハラショー、こいつは力を感じる」ナデラレ
提督「おい」
コンコン テイトク、オオヨドデス
提督「大淀かー、どうぞー」
ガチャリ
大淀「失礼します」
夕立「あ、大淀さん!こんにちは!」
時雨「こんにちは、大淀さん」
大淀「夕立ちゃんに時雨ちゃん、こんにちは」
提督「っとお、大淀が来し執務再開すっかー。ほら夕立に時雨、早く補給してこい」
夕時「はーい」ガチャリ
提督「…で、待たせたな、何の用だ」
大淀「はい、提督。まずはこちらを」
提督「…これは?」
大淀「別の鎮守府の遠征の報告書です」
提督「あいつのとこの?なぜこんなものを?しかも失敗記録だし…」
大淀「問題はその中身です」
提督「うん?…何々?」
提督「…謎の艦艇による輸送船の沈没?しかも遠征の艦娘つきだっていうのに?」
提督「どういうことだ……?」
大淀「報告書の通りです。文字通り艦娘の目の前での沈没です」
提督「謎の艦艇ってのは深海棲艦ではなく?」
大淀「それは私にもわかりません」
提督「そうかぁ……。しかし艦娘が護衛してるってのに、それをまあ堂々と…」ペラッ
提督「……ん?遠征の艦娘の被害は……天龍と龍田がそれぞれ大破と中破しただけ?あまり大きくないな。何故だ?普通なら向かってくる艦娘の方から先に襲うはずなのに…」
大淀「さぁ……」
提督「初めてから艦娘ではなく輸送船だけを狙い他には一切興味なしってことかなぁ?」
提督「ますますわからん」
大淀「大本営はとりあえずしばらくは様子を見ろ、という感じですからね」
提督「遠征の中止命令とかは?」
大淀「それがまだこの不可解な事件は一回だけで信憑性が薄いのでまだなんとも……」
大淀「そもそも大本営はただの別鎮守府の遠征の失敗としているので事件として扱ってません」
大淀「言い方は悪いのですが、目の前で輸送船を沈めて遠征の失敗をした言い訳を言っているだけだと大本営にとられています」
提督「……そうか。でもまあ、一応加賀率いる第二艦隊と時雨率いる第三艦隊に注意を呼び掛けてくれ」
大淀「分かりました。ではそう伝えておきます。」
提督「うん、頼んだよ」
大淀「はい、失礼しました」ガチャリ バタン
提督「……」
提督「謎の艦艇って何だよ……」ハアー
提督「とりあえず別提督に連絡を取るか、嫌な感じもするし」プルルルルプルルルガチャ
別提督『もしもし、ってお前か』
提督「お前かって……番号知ってるだろ?」
別提督『はは、わりいわりい』
別提督『それで、今かけてきたってことは例の遠征報告書は見たのか?』
提督「ああ。イマイチ納得いかんが」
別提督『すまんな、だがうちの天龍が言うんだ、信じてくれ』
提督「お前のとこからの情報なら嘘はでないだろ、信じるよ」
別提督『ありがとう!心の友よ!』
提督「キモい」
別提督『うっ……』
提督「……それよりもさ、謎の艦艇っていうのは何なんだ?深海棲艦ではないのか?」
別提督『それなんだけどさ、そいつが一番信じて貰えるかが分からないんだよ』
提督「と言うと?」
別提督『詳しくはな……』
ー別提督回想、数日前の例の事件の場所ー
天龍「お前らー、遅れてくんなよー」
電「はわわわわ!まってくださいのです!」
雷「天龍さん!ちょっと速いわ!」
暁「隊列が乱れちゃうじゃない!」
響「ハラショー。(暁がまともなこと言ってる…)」
天龍「ッチ!わーかったよ…」
龍田「あらあら」フフッ
一行が輸送船護衛任務をこなしているとき……
それは突然の邂逅であった
オストガロア「!」ズバァッ
海の中から青く発光する粘液の塊が輸送船に向けて放たれる
そして……
オストガロア「ヒョアアアアア!!!」ザバーン
全員「……!!」
龍田「天龍ちゃん!」
天龍「……ああ、敵襲だ!」
暁「嘘……何あれ……」
電「ガイコツの……ドラゴン?」
天龍「いいかお前ら、構えろ!!」
電「…!はいなのです!!」
天龍「輸送船を守るぞ!!」
6人は動揺した。今輸送船が襲われているのは深海棲艦とは違った、得体の知れない『何か』であるのだから……
響「天龍さん!このまま砲撃すると輸送船にも被害がででしまうかもしれない!」
天龍「無理に首を狙うな!胴体に向けて打て!」ドウンドウン
オストガロア「キュアアアアア……」バキバキバキ
6人の目の前で繰り広げられている光景はまるで伝説上の怪物クラーケンが船を襲っているようだ
しかしそれはクラーケンよりも不気味な双頭の骸骨の龍である
その龍は天龍たちの砲撃をものともせずに輸送船を襲い続ける
海には脱出した船員が投げ出される
船員1「助けてくれー!!」ザバザバ
船員2「死にたくないー!!」ザブザブ
電「!!」
電「天龍さん!輸送船の船員の救助を!!」
天龍「……!わかった!4人とも船員の救助を優先!!その後安全な場所に退避!!」
4人「「「「はい!!!(なのです!)」」」」
天龍「龍田ァ!」スチャ
龍田「はーい、わかってるわよぉ?」スチャ
天龍「さっきから全然砲撃が効かない!なら、俺たちの得物で一か八かの近接戦闘だ!!」ブウン
天龍と龍田が刀と槍で胴体に斬撃を与える……が
二人「!!」ガキン!
胴体は予想以上に堅かった
天龍「龍田!首だ!」
龍田「わかっているわ!」
龍田は槍で龍の首を突き、突き、切り払う
斬った感触はやはり堅いが、胴体ほどではない
龍田「天龍ちゃん!首はまだ斬撃が通るわ!!」
天龍「よっしゃぁ!!」ズバァッ
途中で砲撃も与えながらひたすら斬撃を繰り返す
オストガロア「シュウウウウ」
オストガロア「ヒュオオオオオオ!!!!!!!」
直後、オストガロアは耳をつんざく咆哮をした
二人「っ!」フサギ
余りの轟音に耳を塞いでしまう。そして、オストガロアは向かってくる二人が鬱陶しいかのように首で二人をはね飛ばした
オストガロア「!!」ザバババーン
天龍「くっ……!」大破
龍田「天龍ちゃん!」中破
雷「天龍さん!龍田さん!」
天龍「俺たちは大丈夫だ!それより……」
暁「船員の救助は終わったわ!」
天龍「そうか……!」
それぞれの安否を確認している合間に輸送船は青い粘液にまみれて傾いていく
天龍「……あれはもうだめだ。遠征は失敗だ」
そして輸送船はそのまま海中へと引きずり込まれていく……
天龍「クソッ!」
龍田「天龍ちゃん、悔しいのはわかるけど今は皆助かったことを喜びましょ?」
暁「そうよ!船員も無事だしね!」
見ると六駆の体に震えながら船員がしがみついている
船員1「すみません、助かりました……」ガタガタ
船員2「何だよあれは……」ガタガタ
その場にいる全員はこれ以上何も出来ないまま撤退するしか無かった
ー別の鎮守府ー
別提督「……で、その謎の艦艇に輸送船は沈められたと?」
龍田「信じて貰えないかもしれないですが……」
別提督「まあ、お前達が嘘をついているとは思えないし、皆無事だったのは不幸中の幸いだったな」
電「怖かったのです……」
別提督「よしよし、お前らよくがんばった。ご褒美に間宮に行ってこい」チケットワタシ-
四人「「「「わーい!!」」」」
別提督「天龍、龍田。お前らはもっと詳しく説明してくれ。間宮はその後だ」
天龍「ああ」
別提督「まずその謎の艦艇っていうのは?」
天龍「ばかでかい双頭のガイコツドラゴン」
別提督「……は?」
天龍「だーかーら、ばかでかい双頭のガイコツドラゴン!」
別提督「……なぁ龍田、天龍の言っていることは正しいのか?」
龍田「ええ、本当よ」
天龍「何で俺の話は信じて貰えないんだよ!!」
別提督「すまんすまん、冗談だ。でもその話は冗談ではないんだな?」
天龍「本当だって!信じろよ!」
別提督「わかってる、お前は嘘はつかんからな」
別提督「でだ、そのばかでかい双頭のガイコツドラゴンとやらはどうだった?」
天龍「それがメチャクチャ堅いんだよ、アイツの胴体」
龍田「私たちの砲撃が全く歯が立たなかったわ」
別提督「化け物かよ」
天龍「見た目は本当に化け物だよ」
天龍「砲撃が効かないからさ、俺らの刀と槍で切りつけてもダメだった」
龍田「首のところはかろうじて通ったけど、正直表面を削っているだけの手応えだったわ」
天龍「ほら、見ろよ」
そういって天龍は自分の刀を別提督に見せる
別提督「うわ、酷い刃こぼれだな……。この刀切れ味かなりいいんだよな?」
天龍「ああ、それでもこのザマだ」
別提督「巨体で双頭の骸の龍、砲撃も斬撃も効かない装甲って……」
別提督「にしてもそんな化け物相手に本当に無事でよかった」
龍田「本当によかったわねぇ…」
別提督「さ、一応大本営には報告しとくから、二人とも間宮にいってこい」
天龍「よっしゃぁ!サンキュー提督!」
別提督「ああ、お疲れさん」
ー回想終了ー
別提督『と言うわけだ』
提督「そりゃまたぶっ飛んでるなぁ……」
別提督『だろ?でさ、そんなガイコツドラゴンなんか報告したって信じて貰えないから謎の艦艇って書いて報告したわけだ』
提督「大本営には何ていわれた?」
別提督『そりゃ大目玉よ。なんせ艦娘の目の前で輸送船沈められたんだから』
提督「災難だったな」
別提督『でもよかったよ、うちそこそこ戦果上げてたから大量の始末書で済んだわ』
別提督『輸送船も大したもん入ってなかったし、船員も無事だったしな』
別提督『それよりそっちは大丈夫か?』
提督「おう、遠征とかで今のところそういったのは起きてないさ」
提督「一応注意喚起はしてるが」
提督「でも……一つ変なことはあったかな」
別提督『変なこと?』
提督「ああ、確か……」
ー提督回想ー
提督「第一艦隊、出撃お疲れ様」
曙「報告よ、クソ提督」
曙「沖ノ島海域に出現した敵をすべて撃退したわ」
提督「おーよくやった!」ナデナテ
曙「っ!触るな!このクソ提督!」
川内「そうは言いつつも嬉しいくせに~」ニヤニヤ
曙「~~~っ!本当、冗談じゃないわ!」バッ
扶桑「提督、お楽しみのところ失礼します」
提督「ん?何だ?」
扶桑「今回の敵の部隊数ですが……」
扶桑「僅か二部隊しかありませんでした」
提督「んん"?変だな……沖ノ島海域を奪還してこようとするならもっと規模を大きくしてくると思うのに」
扶桑「そしてその部隊なのですが……まるで何かを恐れて逃げているかのようでした」
飛鷹「確かに、そんな感じでこっちに向かってきたわ」
提督「怯える?深海棲艦が?そんな感情があるのか?」
川内「深海棲艦は私たちと似ているようでもあるっていう噂もあるらしいし」
飛鷹「らしいってだけで本当かどうかは分からないけどね」
提督「うーん、謎だ……」
ー回想終了ー
提督「ってことがあってな」
別提督『マジかよそれ、うちんとこのやつもそんなこと言ってたぞ……』
提督「ますます怪しいな」
別提督『ともかく、何か証拠がほしい。証拠さえあれば大本営も動いてくれるかもしれない。化け物だろうが何だろうが、新種の深海棲艦として調査してくれるだろうし』
提督「だな。俺のところに青葉が居るからそいつを入れた小部隊でとりあえず沖ノ島海域あたりを調査をするよ」
別提督『おお!すまない!』
提督「いいさ、俺だって謎の艦艇が何なのか早く知りたいし。戦場カメラマンの記者魂に賭けるか……」
別提督『そうだな……また何かあったら連絡してくれ』
提督「おう、またな」ガチャ
提督「……ふぅ」
提督「さて、どうしたものかなぁ……」
―バシー島沖―
青葉「さーて、謎の艦艇はどこですかねー?」キラキラ
伊58「ゴシップカメラマンが近くにいるとさわがしいでち」
青葉「ちょっと~ゴーヤさん、冗談はやめて下さい!」
青葉「今はゴシップカメラマンではなく戦場カメラマンです!!」
伊58「突っ込むところそこでちか……」
島風「皆おっそーい!……ん?」
青葉「どうかしました?」
島風「なんか空が……」
青葉「え?」
バシー島沖調査部隊は一斉に空を見た。さっきまでは晴天だったはずの空が、なぜか今は曇りはじめ、地平線の先まで黄色く染まった
その時
オストガロア「ヒュオオオオオ!!!」ザバーン
全員「「「!!!」」」
伊58「もしかして……あれが……」
島風「謎の……艦艇?」
青葉「来ましたー!早速撮影です!!」パシャパシャ
二人が呆気にとられ、一人が撮影に夢中のとき、餌を見つけたオストガロアはゆっくりと向き……
オストガロア「ヒュオオオオオオ!!!!!!!」
餌を見つけて喜ぶかのように叫んだ
島風「すごい声……!」
伊58「いいから早く逃げるでち、あれはヤバいでち、おい青葉!!写真はもういいでち!! 」
青葉「もうちょい……」パシャパシャ
そうしているうちにオストガロアは突進体勢に入った
オストガロア「ヒュオオオオオ……」
オストガロア「!!!」ズオオ!!
強烈な突進をしてきた
青葉「!!全員退避!!」
島風「もうしてる!!」
伊58「深く潜るでち……」ブクブク…
青葉「え…ちょっと、おいていかないでー!」
その時、突進の反動をそのまま反転に利用して退避に遅れた青葉を捕捉すると、龍の口先から発光する青い粘液の砲弾を発射した
青葉「キャア!」中破
島風「大丈夫!?急いで逃げるよ!」
島風は青葉を支えながら出来る限りの全速力で逃げ出した
さすがにオストガロアも、青葉を支えているとはいえ、速さが自慢の島風には追い付けなかった
青葉と島風に気を取られているうちに、伊58はオストガロアの視界から消えるほどの深さまで潜り、撤退を始めた
伊58「ゴーヤも逃げるでち……ん?」
伊58は撤退途中、オストガロアの下側を見た
伊58「あれは……?」
だが、考える暇もなかった。はやく青葉と島風と合流したかったのだ
三人はその後(青葉を抜かして)無事に合流し、母港に帰投した
ー鎮守府母港ー
島風「はぁ……はぁ……」
伊58「し、死ぬかと思ったでち……」
青葉「すみません、私のせいで……」
提督「大丈夫か!?お前ら!?」
伊58「こちらの損害は青葉が中破、あと島風が全速力で帰ってきたから燃料がほぼ空でち」
提督「そうか、無事で何よりだ……皆本当にすまない、得体の知れない任務に急に出撃させてこのようなことに……」
青葉「いいえ提督、これは私たちも望んで受けた任務です。確かに危なかったですが無事ならいいではないですか」
島風「一人だけ被弾したのに何カッコいいこといってんの~?」ニヤニヤ
青葉「うっ…それでもいいじゃないですかぁ!」
提督「ははは…皆ありがとう。それで青葉、写真の方は?」
青葉「……それが提督、被弾したときにカメラがやられちゃって」
提督「となると写真は…」
青葉「いえ、フィルムのほうは多分大丈夫かと思います」
提督「そうか、よかった。あとで原像してくれ」
青葉「はい!」
伊58「あと…提督」
提督「うん?どうしたゴーヤ?」
伊58「ゴーヤが退避するときに海に潜ったてね、その時に謎の艦艇の下をみたんだけどさ」
伊58「なんか目と口みたいなものがあったんだ」
提督「下側に目と口?見間違いじゃないのか?」
伊58「ゴーヤ、目がいいから深いところからでもちゃんと見えたんだ。本当だよ?」
提督「そうか…」
提督「胴体にもう1つ顔があるというのか…?うーん、ますます謎が深まるばかりだが、取り敢えず補給と入渠が先だ。その後間宮にいっていいぞ。俺の奢りだ」
伊58「わーい、ありがとう提督!」
青葉「ありがとうございます!」
島風「やったー!島風が一番だよー!」ガチャ ピューン
提督「しまかぜー!転ぶなよー!」
その頃沖ノ島海域のある場所では……
ー沖ノ島海域のどこかー
ヲ級「ナンダアノ化ケ物ハ!!艦載機ガ全然効カナイ!!」ババババ!!
オストガロア「キュオオオオ!」バシュ
ヲ級「グアアアア!!」中破
先ほどバシー島沖で餌を取り損ねたオストガロアがここで新たな餌を見つけて狩りをしている最中だった
リ級「ヲ級!!モウ下ガレ!!オ前ハコノコトヲ味方ニ伝エニイクンダ!!」
ヲ級「デモ!!!」
ル級「中破シタ空母ハタダノ的ダ!!早ク行ケ!!」
ヲ級「ッ!…………」
ヲ級「…ワカッタ……死ヌナヨ、皆……」
ヲ級が去った後、その後を追わせまいとリ級とル級が陣形をとる
ル級「……フッ、スマナイナヲ級。ソノ頼ミハ聞ケナイカモシレナイ……」
リ級「ル級……」
ル級「リ級、地獄マデ付キ合ッテモラウゾ」スチャ
リ級「…アア!」スチャ
ル級「水雷戦隊!!アノ化ケ物ヲ囲ムヨウニシテ陣形ヲトレ!!」
ル級「軽空母群!!左右カラ集中的ニ艦載機ヲ飛バセ!!注意ヲヒクコト位デキル!!」
ル級「リ級!!オ前ハ私トココデ砲撃ダ!!」
リ級「了解ッ!」
ル級「総員配置ニ着イタナ!!一斉砲撃……」
ル級「打テーーー!!!」
ズガガガガ!!ズガガガガ!!ドォンドォン!!ドガーーン!!ババババ!!ババババ!!ドォンドォン!!ドガーーン!!ズガーン!!ドドドドーーーン!!!
水雷戦隊の魚雷攻撃、軽空母群の艦載機、重巡と戦艦の強烈な砲撃を全て打ち、辺りに水柱が立つ。普通の艦娘との戦闘だったら確実に一艦隊は沈められるくらいの一斉砲撃だった。
だが……
オストガロア「……」
リ級「ヤッタカ!?」
オストガロア「シィィィ……」
リ級「……嘘ダロ…!?」
オストガロア「ヒュオオオオオオオ!!!!」
相手は普通ではないのだ
リ級「全然効イテイナイダト!?」
今の一斉砲撃でオストガロアは完全に怒り狂ってしまった。直後、空は地平線の先まで青く染め上がった
怒り狂ったオストガロアは二つの龍の口先から赤黒い「龍属性」のエネルギー光線を放った
その二つの光線が直撃した水雷戦隊と軽空母群は断末魔をあげる暇すらなく沈んだ
そして今度はリ級とル級めがけてもう一度光線が放たれた
オストガロア「キュオオオオ‼」ズガガガガ!!
リ級「ギャアアアアアア!!」撃沈
ル級「リ級ーーーー!!!!!」
ル級「オノレ…オノレェ!!!忌々シイ化ケ物メェェェェェ!!!!」
ル級「絶対ニ沈メテヤル!!!!」スチャ
ル級が一人叫んでいるのをよそに、オストガロアは胴体を反転させた。そして……
オストガロア「シィィィ……」
ル級「ッ!?……アレハ……」
ル級「顔……?」
オストガロア「キュオ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!!!!!!」
オストガロア「ーーーーー!!!!」ズガガガガガーーーン!!
ル級「グギャアアアアア!!!」ズガーーーーン!!!
ル級「」撃沈
ル級は龍属性ブレスによって沈められてしまう
そして敵を全て撃沈したオストガロアは満足げに吠えると、残骸をかき集めて沖ノ島のどこかの島にある巣に持ち帰っていく
オストガロアが去った後、空は何事も無かったかのように晴れ渡り、海に静寂が戻った……
ー沖ノ島海域の外れー
ヲ級「ハァ…ハァ……」
ヲ級(モウ体ガ持タナイ…ココマデナノカ?)ハアハア
ヲ級「クッ…」フラッ
ヲ級は力なく海面に倒れてしまう
ヲ級(アァ…皆トノ約束ヲ果タセナイナ……スマナイ、ル級……)
ヲ級が意識を手放そうとした時、偶然にも遠征中の時雨艦隊が通りかかる
夕立「敵機発見っぽい!」
時雨「あれは…空母ヲ級。しかもあんなところで倒れて…」
朝潮「どうしますか?」
時雨「とりあえず、近づいて様子を見よう」
夕立「ええー?!ちょっとそれは危険っぽい!」
時雨「夕立、ヲ級は見たところ満身創痍だ。それに罠だったとしても皆で囲んでしまえばなにもできないよ」
時雨「今のところ他に敵影はないしね」
夕立「うぅ……わかったっぽい!」
子日「大丈夫!何かあったら、子日アタックするから!」
時雨「うん、頼んだよ子日」
朝潮「では、注意して近づきましょう」
ヲ級「……艦娘カ…」
時雨「そうだよ、空母ヲ級」
時雨「君はこんなところで倒れてるけど何があったんだい?」
ヲ級「…………」
ヲ級(ドウスル…?ココデ沈ンデシマエバアノ化ケ物ヲ倒スコトガ出来ナクナル……ダガ…)
ヲ級(今ハ誰デモイイ…、ココデアノ化ケ物ヲドウニカシナイトモット被害ガ増エテシマウ……)
ヲ級(信ジテ貰エルカドウカワカラナイガ、アリノママヲ話ソウ…)
時雨「どうした?黙ったままじゃ何も分からないよ」
ヲ級「……化ケ物」
時雨「化け物?」
ヲ級「信ジテ貰エンカモシレナイガ、巨大ナ化ケ物ニ襲ワレタ」
ヲ級「双頭ノ骸ノ巨大龍……」
朝潮「っ!それって!!」
ヲ級「知ッテイルノカ…?」
夕立「大淀さんと提督さんが言ってたっぽい!最近この海域周辺に居るらしい化け物っぽい!」
時雨「冗談かと思っていたけど、まさか本当だったとはね…」
ヲ級「ヤッパリ知ッテイルンダナ!?ハヤクアイツヲ…!」ガバッ
ヲ級「アイツヲドウニカシナイト仲間ガ…、ウウッ……」フラァ…
時雨「大丈夫かい!?」ガシッ
夕立「時雨!?」
時雨「……皆、ヲ級をこのまま鎮守府まで連れていくよ」
朝潮「何故です!?」
時雨「ヲ級はあの龍のことを色々知っているかもしれないし」
時雨「それに放っておけないし」
夕立「でも…」
子日「子日はそれに賛成かな。このまま見殺しにするのも気が引けるしね!」
朝潮「そうですね。司令官にも許してもらえるでしょうし」
夕立「うぅ…。わかったっぽい」
時雨「分かってくれてありがとう。ごめんね、夕立」
時雨「…待たせたね、ヲ級。話は終わったよ。このまま君を僕たちの鎮守府までつれていくよ」
ヲ級「…イイノカ?敵デアル私ヲツレテイッテモ……」
時雨「その辺は大丈夫だよ。うちの提督が何とかしてくれるよ」
時雨「提督は優しいからね」
ヲ級「……スマナイ」
時雨「いいよ。じゃ、行くよ。僕がヲ級を支えるから皆は周囲を警戒してくれないか?」
夕立「了解っぽい!」
朝潮「分かりました!」
子日「子日、頑張るよ!」
そして四人とヲ級は鎮守府の母校に帰投した
ー鎮守府ー
提督「第三艦隊が帰投したか」
提督「!? あれは!」
時雨「艦隊が、無事帰投したよ。それと、お客さんだよ」
ヲ級「ヲ…」
提督「空母ヲ級ではないか!?どうして?」
時雨「提督、まずは説明させて。僕たちが遠征から帰ってくる途中で沖ノ島海域の辺りで倒れているのを見つけたんだ」
提督「沖ノ島海域で?」
時雨「ああ、あの龍に襲われたらしいんだ」
提督「それってあの双頭のガイコツドラゴンのことか!?」
時雨「多分そうなんじゃないかな。詳しくはヲ級に聞かないと」
提督「そうだな。なあヲ級、すまないが話してくれないか?俺たちは敵であるが場合によっちゃ力になれるかもしれない」
ヲ級「オ前ガ司令官カ?」
提督「ああ、そうだ」
ヲ級「ソウカ……。ワカッタ…」
ヲ級「敵ニ情報ヲ流スノハ気ガヒケルガ、ソウイッテイル状況デモナイシナ……」
ヲ級「アレハ我々ガ沖ノ島デ部隊ヲ展開シテイルトキダッタ…」
ヲ級「突然空ガ変ニナッテ、シバラクシタラアノ化ケ物ガ海ノ中カラ出テ来タ」
ヲ級「何ガ何ダカワカラナカッタ。ソウシテイルウチニアイツニ沢山ノ仲間ガヤラレタ」
ヲ級「残ッタ者ハトニカク逃ゲタ。マァ、逃ゲテイル最中ニ艦娘ニモヤラレタガ」
提督「その…すまない。そんな事情があるとは知らなかったんだ……」
ヲ級「イイサ……。元々アイツニ見ツカッタノガ運ノツキダッタシナ…」
ヲ級「ソノ後……沖ノ島デマタアイツニ見ツカッタ」
ヲ級「必死ニ戦ッタ。ダガアイツハ強過ギタ。全ク歯ガ立タナカッタ」
ヲ級「ル級タチハ私ヲ逃ガスタメニ戦ッテ…」
ヲ級「今頃ハモウ……」
時雨「ヲ級……」
提督「……」
ヲ級「…サァ、喋ルコトハ全部喋ッタゾ」
ヲ級「本当ハ仲間ニ伝エルンダッタガ…」
ヲ級「オ前タチニ見ツカルシ私ハ本当ニ運ガ無カッタナ」
ヲ級「煮ルナリ焼クナリ好キニシロ」
提督「……」
提督「そうか、色々災難だったな」
提督「時雨、まずこいつをドッグに連れてってやれ。その後に補給もさせてやれ」
ヲ級「…エ?」
提督「何、お前が考えているような酷いことはしないよ」
ヲ級「…何ヲバカナ事ヲ…。私ハ敵ナンダゾ?」
提督「敵だろうが何だろうが傷付いているやつを放ってはおけないさ」
提督「それに、俺たちもそのガイコツドラゴンをどうにかしないとって考えているしな」
提督「さ、時雨ドッグに連れてってやれ」
ヲ級「……フッ」
ヲ級「オ前ハ変ワリ者ダナ…」
ヲ級「コノ借リハイツカ返スゾ」
提督「別に借りを作ったわけじゃないよ?気にすんな。さぁ行った行った」
ヲ級「…スマナイ。恩ニキル」
提督「だったら早く傷を治せよー」
時雨「さあ行くよ、ヲ級」
ヲ級「アア」
ガチャ バタン
提督「…ふぅ、緊急事態は深海棲艦も同じか……」
コンコン シツレイシマ-ス
提督「お、青葉か、どうぞー」
青葉「提督、お待たせしました!これがその写真です!」
提督「おお!ありがとう!どれどれ…」
提督「うわ、本当まんまガイコツドラゴンじゃん」
青葉「青葉も最初見たときは驚きました」
提督「これで大本営に資料を提出できる…。ありがとう青葉!これはお礼の間宮チケットだ」ピラッ
青葉「やったぁー!ありがとうございます提出!」
提督「よし、早速資料を作成しよう」
提督が大本営に報告書を提出する前には既に大本営の元にはオストガロアが原因の被害報告が多数寄せられていた。原因が今まではっきりしなかったが、提督が提出した報告書が一連の怪事件の唯一の手掛かりとなり、ついに大本営は南西諸島海域周辺の遠征の中止を発令。しかし時既に遅し、被害報告は南方海域までにおよんだ。これにより大本営は一番被害報告の多い別鎮守府に南西諸島の捜査を指令した。
ー南西諸島のはずれー
赤城「ついに見つけました」
榛名「はい。でも、これは酷いですね…」
別鎮守府の南西諸島調査艦隊は遂にオストガロアの巣を発見することに成功した。そこは今まで捕食してきたであろう輸送船や深海棲艦の無惨な残骸で埋め尽くされていた。
龍田「あとは無事に帰って報告するだけね」
天龍「新たに強化した俺の刀の試し切りをしたいぜ」
赤城「さあ、早く戻りましょう。幸いまだ敵影は見当たりませんから」
ー別鎮守府ー
別提督「おお!ついに奴の巣を発見したか!」
榛名「はい。場所は南西諸島のはずれ、比較的安全と言われて輸送船もよく通る海域です。」カイズユビサシ
別提督「ほう、だから輸送船が多く襲われたのか」
赤城「でも提督、最近は南方海域までに被害が及んでいると聞きますが……」
別提督「なんだ、知っていたのか」
赤城「提督ってぶつぶつ独り言言う癖ありますよね」
赤城「あそこの提督と同じように」
別提督「ああ…。あいつとは何かと気が合うしな。癖もにているんだろう」
別提督「……っと、話が逸れたな。それでだ…」
別提督「まだ我々の鎮守府はその海域まで進出できる力も無く、よって南方海域の敵艦艇をよく知らない」
天龍「ああ、早く戦ってみたいぜ」
別提督「調べたんだが、その海域には戦艦レ級をはじめとする強力なやつらがわんさかといるんだ」
榛名「そんな海域ですら被害報告がでているってことは……」
別提督「まぁ、ヤツが規格外の化け物ってことを再確認できるってことだな」
龍田「考えると頭が痛いですね…。そんな化け物にあの時襲われたのに今こう無事なのは相当運がよかったわね、天龍ちゃん」
天龍「フン、次見つけたらブッ倒してやる」
別提督「その次ってのは、実はもうすぐなんだよね」
赤城「え?それってどういう……」
別提督「お前たちが帰投してくる少し前に大本営から特殊任務が届いたんだよね」
榛名「特殊…任務……?」
別提督「ああ、ちょうどあいつのところにも来たんじゃないかな」
ー鎮守府ー
提督「これは……」
提督「『対骸龍撃退作戦』?」
大淀「ええ、先ほど大本営から通達されました」
提督「『この一連の事件に関係する双頭の化物を“骸龍”とし、被害報告数が最も多い別提督の別鎮守府とそこに比較的近い提督の鎮守府で3日以内に合同作戦を行い、骸龍を撃退せよ』……って、いくらなんでも無茶すぎるだろ」
大淀「大本営は相当焦っているようですね」
提督「まあ、気持ちもわからんでもない。実際燃料とボーキサイトが比較的短時間で安全に入手できる遠征コースを潰されてるし」
提督「それに、軍事品意外の物も輸送しているしな。なんとしても早い段階で取り返したいんだろう」
大淀「実際、私たちも困ってますしね」
提督「そうだな。ともかく、ここですべこべ言っている場合じゃないな」
提督「困った時こそ、あいつに電話だ」ピ
大淀「本当仲が良いんですね」
提督「あいつとは軍学校以来の付き合いだからな。それにあいつはこういう時にこそ素早く良い判断ができるからな」プルルルル ガチャ
別提督『もしもし』
提督「おう、俺だ」
別提督『オレオレ詐欺は間に合ってますんで……』
提督「切るぞ」
別提督『ジョークだよジョーク!』
提督「全く、お前はいつも変わらんな」
別提督『俺のキャラはぶれないゾ☆』
提督「…………」
別提督『……あのスミマセン……。なんか反応下さい……』
別提督『というか榛名達の視線が痛いです……。ゴミを見る目で見てくるんですが……』
提督「お前の艦娘達は可哀想だな。こんなゴミが自分達の提督で」
別提督『酷い?!』
提督「はいはいここまでテンプレ。さっさと用件に入るぞ」
別提督『…そうだな』
別提督『大方、今回の合同作戦についてだろ』
提督「ああそうだ。して、どうする?」
別提督『うーん……』
別提督『俺から言わしてみれば、お前が戦闘においての全ての指揮をとり、俺が遠征の全ての指揮をとる』
提督「それってつまり…」
別提督『俺の主力艦を何人かお前に寄越す。その代わりにお前の遠征艦を俺に何人か寄越せ』
別提督『お前の鎮守府は戦闘オンリーで俺の鎮守府は遠征オンリーだ』
別提督『実際お前の方が出撃の戦果は俺より高いし、代わりに俺はお前より遠征の成功率が高い』
別提督『あ、遠征については安心してくれ。独自ルートはとっくに調べてあるから』
別提督『どうだ?即興だか我ながらいい考えだと思うんだが』
提督「……それって俺にお前の艦娘が来るんだよな」
別提督『ああ』
提督「その……、大丈夫か?俺なんかに戦闘を、しかも自分の艦娘を預けても」
別提督『……』
提督「戦闘に参加させるなら必ず無事に戻ってくる保証は出来ないんだぞ?それでもいいのか?」
別提督『…………』
別提督『そうだな……。提督、なぜ俺がこの案を出したか理由を聞いてくれ』
提督「……」
別提督『まず、軍人としての理由からだ。先ほど説明したように戦闘向きはお前、遠征向きは俺っていう記録がある』
別提督『それに今回の作戦は合同作戦。合同作戦っても文字通り別の鎮守府同士が合同した作戦だ。でも艦隊の指揮者が一人になるわけではない。こういうものは大体何らかのアクシデントが起これば最悪総崩れになって壊滅する』
提督「でもそれは鎮守府同士の連携がとれてればそうはならないだろ?」
別提督『そうだ。俺がもう1つ、友人として言いたいことはそれでもある』
別提督『提督、連携ってどうしてとれると思う?』
提督「それは……、何度も演習を繰り返し、お互いの良し悪しを見極め、息を合わせる事に……」
別提督『あーそうじゃない。もっと簡単だよ』
別提督『信頼だ』
提督「信…頼……?」
別提督『ああそうだ。信頼してもいない奴に自分の艦娘を預けると思うか?』
提督「それは……」
別提督『俺だけじゃない、俺の艦娘も、お前の艦娘も、皆お前の事を信頼しているぞ』
別提督『それに遠征だって絶対に安全とは限らない。それでも俺に艦娘を預けなくてはならなくなったらお前はどう思う?』
提督「それは……。預けられるな。俺もお前を信頼しているから……」
別提督『そうだろ。お互いに信頼し合ってるんだ。これなら凄い連携がとれるはずだ』
別提督『提督、頼まれてくれないか?もちろん、バックアップはきっちりやらせてもらう』
提督「……ああ、分かった。引き受けるよ。お前達の命、俺に預けてくれ」
別提督『そうこなくっちゃ。頼んだぜ提督』
提督「おう。……ありがとうな」
別提督『なーに気にするな。俺とお前の仲じゃねぇか』
提督「そうだな。それじゃあ」
別提督『……!!ちょ、待った待った待ったあ!!!』
提督「な、なんだよ……。急に大声だすなよ……」
別提督『切るなよ!このまま作戦内容を練ろうぜ』
提督「お、おう。そうだったな……。流れで切るところだった……」
別提督『しっかりしてくれよ?提督さん』
提督「すまんな」
提督「じゃあ、早速取り掛かるか」
別提督『ああ、まずはな…………』
そして提督と別提督の作戦会議が始まった。預ける艦娘、預かる艦娘、遠征内容、合同演習の実施、戦法…………ありとあらゆることを話し合った。そして次の日、互いの艦娘がそれぞれの預け先の鎮守府に到着する頃になった
提督「そろそろ来る時間だな」
加賀「久しぶりに赤城さんに会えます。さすがに気分が高揚します」
提督「確か、ここに来るのは赤城、榛名、天龍に龍田だったな」
加賀「私達の方からは青葉、時雨、夕立、朝潮、子日だったわね」
提督「ああ」
加賀「第三艦隊をそのまま送ったのは分かるけど何故青葉を送ったのかしら?」
提督「それはだな、あいつは一度骸龍と遭遇しているからだ」
加賀「と、言うと?」
提督「確かに、向こうには同じく骸龍と対峙した電達がいる。だが、それ以外の骸龍と対峙した者は全て出撃予定であるからな」
提督「考えたくはないがもし出撃した艦隊と骸龍が入れ違いになってしまったら遠征をしている者達と遭遇するかもしれないからな」
加賀「念には念を、ということね」
提督「ああ。一度実際に対峙した者は初めて対峙した者よりも速く体を動かすことができるからな」
提督「…まあ、あの時青葉は唯一大破して帰ってきたがな」
加賀「それは言わない約束よ」
加賀「……そんな茶番をしている内に来たようね」
提督「……そうだな。すまない加賀、皆を作戦会議室に呼んで待機しててくれ」
加賀「分かったわ」
ザザーン
提督「おっ、来たな」
榛名「別鎮守府から派遣された榛名、赤城、天龍、龍田、只今到着しました」
提督「ご苦労様。久しぶりだな。榛名」
榛名「ええ、お久しぶりです。提督」
提督「最近お前らのとこと演習してなかったしなぁ」
榛名「ここに来るのも久しぶりですね」
提督「ああ。だが、あまり思い出話をしている場合でも無いな」
提督「まずは補給していってくれ。そして作戦会議室まで来てくれ」
榛名「わかりました。確か、執務室の隣でしたよね?」
提督「ああそうだ。なるべく早くな」
榛名「はい」
提督「赤城、作戦会議室で加賀が待っているぞ」
赤城「ありがとうございます。早く会いにいきますね」
提督「天龍と龍田。お前達は作戦会議終了後に工廠に来てくれ。夕張が呼んでいる」
天龍「分かったぜ」
龍田「分かりました~」
ー作戦会議室ー
提督「…皆集まったな?」
提督「さて、今回の特殊任務もとい『対骸龍撃退作戦』の作戦内容だが…」
提督「空母ヲ級の話にもあったように、大規模艦隊で出撃すると蹂躙されて壊滅するのが予想できる」
提督「よって一度に全勢力を使う力押しは禁止、この鎮守府と別鎮守府の艦娘合わせて最大で4隻の小艦隊をバラバラに出撃させ、ヒットアンドアウェイ戦法をとる」
提督「詳しい戦法は後で話す。先に艦隊の編成を発表する」
提督「まず空母艦隊、旗艦飛鷹、加賀、赤城だ」
飛鷹「私が旗艦ね。頑張るわ!」
提督「ああ、我が鎮守府空母のエース、よろしく頼むぞ」
飛鷹「任せて!」
加賀「赤城さんと一緒なら百人力よ」
赤城「頑張りましょう、加賀さん!」
提督「期待しているぞ」
提督「そして軽巡寄りの水雷戦隊、旗艦曙、川内、天龍、龍田」
川内「夜戦なら任せてよね!」
曙「まぁ、それなりに期待しておいて」
提督「夜戦最強の二人なら安心だな」
提督「そしてなにより、鎮守府と別鎮守府合わせて骸龍とまともに戦った天龍と龍田もいるんだ。」
天龍「腕が鳴るぜ!」
龍田「うふふ~、任せてくださいね」
提督「頼んだぞ」
提督「そして戦艦艦隊、旗艦扶桑、榛名」
扶桑「旗艦ですね。分かりました」
榛名「榛名、全力で参ります!」
提督「扶桑、少し大変だが出来れば航空戦にも参加してくれ。そして空母艦隊とは別の方向で状況を把握し、空母達と上手く連携をとってくれ」
扶桑「それは大変ですね…。でも、提督の命令ならば」
提督「本当にいつもすまんな、我が鎮守府の最強の戦艦だからって、いつも無理強いさせてしまって……」
扶桑「フフフ、提督。それは言わない約束ですよ?私こそ、そこまで性能が良くないのにここまでしてもらって感謝しているんです。鎮守府最強の名に恥じないよう、全力でいかせてもらいます。」
提督「……どうやら余計なお世話だったようだな。すまない」
提督「我が鎮守府と別鎮守府の戦艦エース、頼んだぞ」
二人「「はい!!」」
提督「そして、多少イレギュラーな編成であるが」
提督「島風、ゴーヤ」
提督「お前達は基本的に単独行動だ」
提督「島風はその走力を活かして低速の扶桑の援護と骸龍の撹乱、隙有らば戦艦組と共に砲撃、それでも余力が残るなら水雷戦隊と同時に雷撃戦だ」
提督「この中で一番やることが多いが頼めるか?」
島風「はーい!島風、頑張りまーす!」
提督「そしてゴーヤ、お前は唯一の潜水艦だ。よって海中から周りの状況をよく見て行動してくれ」
提督「骸龍に見つからないよう、慎重にな。勿論、自慢の魚雷で雷撃戦にも参加してくれ」
伊58「任せるでち!」
提督「さて、編成は以上だ。何か質問はあるか?」
曙「そう言えば、今更なんだけど別鎮守府が遠征を行っているのよね?」
提督「ああ。それがどうかしたか?」
曙「確か、南西諸島周辺の遠征は大本営で中止命令が出てたんじゃないの?」
提督「それは大丈夫だ。昨日別提督がすぐに大本営に掛け合ってOK貰ったからな」
提督「南西諸島はタンカー輸送護衛を初めとする重要な遠征海域だからな。大本営も作戦の一環として例外的に許してもらえたってよ」
曙「そう。ならいいんだけど」
提督「他に質問はあるか?……無いな」
提督「よし、次に戦法について話す」
提督「さっきも言った通りに、島風とゴーヤは基本的に単独行動だ」
提督「それ以外の空母艦隊、水雷戦隊、戦艦艦隊は次の様に動いてもらう」
提督「まずは空母艦隊でアウトレンジで骸龍に絨毯爆撃を仕掛けてくれ」
提督「そして骸龍が怯んでいる隙に更に水雷戦隊で奴を撹乱する。天龍と龍田の話によれば龍の胴体より頭を狙った方が効くらしい」
提督「危険だがなるべく接近して奴の注意を引いてくれ」
提督「注意を引ききったら戦艦の超火力で叩く。この繰り返しだ」
加賀「提督、私達は確かによく演習や合同作戦で顔を合わせるのでお互いに顔見知りですが、さすがにすぐに連携を実戦で発揮するのは正直難しいと思います」
提督「ああ、そう言うと思ったよ。だから今日と明日、場合によれば明々後日も使って合同演習を行う」
加賀「それでは任務の3日以内に作戦を実施するのは無理です」
提督「大丈夫だ。大淀に頼んで大本営に無理言ってなんとか期日を1週間に延ばしてもらったよ。それに最近、目立った骸龍の被害報告は無いしな」
加賀「分かりました。それならば安心です」
提督「うむ。実際この戦法も昨日のあいつとたった半日くらいで考えたようなものだからかなり穴がある戦法だろうから、この後の演習で戦法自体の見直しもはかろうと思う」
提督「皆には本当に迷惑をかける。すまないな、要領悪くて…」
曙「何言ってんのよ、クソ提督」
曙「確かに、あんたはクソ提督だけど無能ではないわ。あんたの事は多少は信頼してるんだから」
飛鷹「そうよ!それに、扶桑さんだって言ってたじゃない。そう言うことは言わない約束って」
扶桑「提督、大丈夫ですよ?皆提督のこと信頼してますよ」
提督「…!皆…ありがとう……」
飛鷹「もう、ほらシャキッと!それでも艦隊を率いる司令官なの?」
提督「そうだな……すまない」
提督(そう言えば、昨日もあいつに似たような説教貰ったな……)
提督(皆俺の事を信頼してくれてるんだな……よし……)
提督「皆ありがとう。最後に気合いを入れさせてくれ」ボウシナオシ
艦娘達「「「……」」」
提督「さっきも話した通り、別鎮守府でも大規模な遠征を行ってもらっている」
提督「合同作戦にはどうしても大量の資材が必要だ。…だが、あいつらはそれだけの理由で遠征をしているんじゃない」
提督「皆俺達が必ず勝つってことを信じてやっているんだ」
提督「あいつらが俺達の為に頑張ってるんだ!俺達はその期待を裏切る訳にはいかない!」
提督「そして俺はお前達を絶対に沈めたりはしない!!今回の作戦、必ずみんな生きて帰って成功させるぞ!!」
艦娘達「「「はい!!!」」」
提督「よし!じゃあ丁度ヒトフタマルマルだし、これから昼食とする!そしてヒトサンサンマルより遠征場で合同演習を行う!それでは、解散!!」
時に弱いところを見せる提督であるが、艦娘達に鼓舞され、そして提督も艦娘を鼓舞する。信頼というものは彼の、彼女達の強い武器にもなる。そして全員の士気を上げ、来るべき戦いに臨むのであった
そして作戦会議終了後、工廠にて……
ー工廠ー
天龍「おーい、来たぜー」
夕張「お、待ってたよ!」
龍田「久しぶり~夕張」
夕張「二人とも久しぶり!」
天龍「おう。で、早速だが、なんで俺達を呼んだんだ?」
夕張「それはね…、と言っても、ここに呼び出すくらいだし、もう何なのかは分かるよね?」
天龍「大方、艦装の改修とかだろ?」
夕張「そう!ご名答」
天龍「でもそんなのいいぜ。もう俺達の艦装は改修済だし」
夕張「どちらかって言うと二人の持っている刀と槍かな」
天龍「…こいつか?こいつは強化したばっかだぞ?」
夕張「改修と言うより、武器自体変える、と言ったほうが正しいかな」
夕張「口で説明するより、実際に見たほうがはやいね」ズシッ
夕張「ほら」
天龍「これは……」
夕張「天龍のそれが小太刀だとすると今渡したのは太刀よ」
夕張「そして龍田にはこれ」
龍田「これは…バルジ?」
夕張「そ、でも正確には盾型バルジ(小型)よ」
夕張「要するに取り付けるのではなくて手で持つタイプのバルジね」
龍田「でもこれじゃ…少し動きにくいわね…」
夕張「でもね、天龍は防御も回避も難しい太刀で攻撃するのだから、自然とあなたは防御主体になるのよ」
夕張「二人ともあの時は砲撃ではなく近接武器で戦ったのでしょ?だから今回の作戦では近接メインの武器にしたの」
夕張「回避が難しい分、二人の連携で大ダメージを叩き出す、そういう戦法になるわ」
夕張「……少々、危険な立ち回りになるけれども、二人の息の合う立ち回りなら何とかなると思って……」
龍田「安心して、夕張。天龍ちゃんは私が守るわ」
天龍「そうだぜ。それに……」
天龍「捨て身の太刀で大ダメージを叩き出すってカッコいいしな!!」キラキラ
龍田(かわいい)
夕張(かわいい)
天龍「そうと決まれば早速演習だー!!」ピュー
龍田「天龍ちゃん待って~。あ、夕張いろいろとありがとうね」
夕張「いえ、演習頑張ってね!」
龍田「ええ、じゃあね~」タッタッタッ
夕張「……よし、あとはこれを加賀さんと赤城さんに渡さないと」
そして2日に及ぶ合同演習の翌日、オストガロア撃退のため、出撃作戦が始まったのである
ー沖ノ島のはずれ 船ノ墓場ー
オストガロアを撃退すべく、艦隊は沖ノ島のはずれにある船ノ墓場まで進軍していた。目的地に近づくにつれ、晴天だった空が次第に雲が掛かり、地平線の先まで黄色く染め始める。それは明らかにこの先にオストガロアが居るという印でもあった
いつもの沖ノ島なら軽空母群や戦艦、重巡洋艦などの手強い深海棲艦などが存在するのだが、こうも静かで何も居ないとかえって不気味である
飛鷹「この空でほぼ確定だけど、念入りにね」バッ
そうして飛鷹は船ノ墓場に居るであろうオストガロアに気付かれないよう、高度に偵察機を飛ばした。そして、かつての沖ノ島海戦を思い出していた
飛鷹(思い出すわね……。あの時の戦いを……)
飛鷹(あの時は激戦だったわね……)
まだ鎮守府が出来て間もない頃、初めての激戦とも言えるのが沖ノ島海戦であった。当時、旗艦に曙、随伴艦に扶桑、飛鷹、川内、榛名、電の艦隊でこの海域を攻略していた。しかし、今のように十分な練度と装備が無かったため、大苦戦を強いられた末、なんとか突破したのである。……しかし今回は更に厳しい戦いになるかもしれない
飛鷹(いけない、私ったら。戦いの前に考え事しちゃって)
すぐ後ろの加賀を見る。あの時と違うところを挙げるとしたら、心強い後輩が出来た事だろう
先の沖ノ島海戦が終わった後、近くで新しい別の鎮守府が出来た。そこには提督の旧友である別提督が着任した。鎮守府では別の鎮守府の戦力補強のため、榛名と電が別の鎮守府に行くことになった。代わりに鎮守府に一航戦の加賀が着任した。空母戦力の増強は喜ばしいことだが、これで自分は第一線から身を引くことになるかと思っていた。 が、経験や練度の差などで、今は空母の先輩として加賀に指導をし、鎮守府の空母筆頭として第一線を駆けている
そんな先輩の飛鷹と後輩の加賀は久しぶりに同じ艦隊で実践をするのだ。先輩としては後輩の成長を見ることが楽しみであるのだが、今回の敵は先の沖ノ島の脅威を遥かに超える化け物だ
飛鷹(あんまりゆっくりやっている暇はないわね……お?)
飛鷹の偵察機が戻って来た。やはり向こうにオストガロアがいるとのことだ
飛鷹(はじまるわね……気合い入れなきゃ!)
空母艦隊旗艦の飛鷹が各艦隊に合図を送ると、各艦隊はそれぞれの陣形をとり、配置に着く。そして……
飛鷹「全機発艦!貴方達、ついてきなさい!」ズバババ
赤城「はい!全機発艦!!」ズバババ
加賀「行きましょう、飛鷹さん、赤城さん」ズバババ
空母の艦載機の発艦と同時に水雷戦隊が動き出す。戦艦達も少し遅れてその後を追う。
ズガガガガガガ!!!
ズガガガガガガガガガガ!!!
オストガロア「!?」
高度からの強襲が功を成し、気づかれる前に先制攻撃に成功した。
天龍「あんまり余所見すんなよ!」ズバァ!!
龍田「この前のようにはいかないんだからぁ~」ズシャ!!
曙「ちょっと!!あんまり無茶しないでよね!!」ドウン!
川内「二人にばっかりいいとこ取られたくないし、ね!!」ドウン!
先制攻撃の成功で水雷戦隊は大胆に踏み込む事ができた。だが、オストガロアもやられているばかりではない。
オストガロア「キュオオオオオオ!!!!」ガタガタガタ!!
全身を震わし、おぞましい骨の反響音を響かせながら特大の咆哮をする。
四人「「「「ッ!!」」」」ミミフサギ
近寄りすぎたせいか、バインドボイスの範囲内であり、四人とも耳を塞ぎ、その場でうずくまってしまう。
その隙をオストガロアは見逃さなかった。
オストガロア「キュオオオ!」カラカラカラ
天龍「くっ……」
龍田「天龍ちゃん!危ない!!」サッ
二つの頭が天龍一人を狙い襲ってきた。咄嗟に龍田の盾型バルジで防ぐ、が二人共吹き飛ばされてしまう。
天龍「うわ!」ドガ! 小破
龍田「きゃ!」ドゴ!小破
曙(まずい!このままじゃ二人が……!!)
曙「川内さん!援護を!!」ドンドン!
川内「もうやってる!!」ドンドン!
川内と曙が何とかこちら側に気を引き付けるために砲火を浴びせるが、如何せん火力が足りない。
曙「クソ!!こっちを向け!!」ドウン!!
曙が放った渾身の一撃でオストガロアの触腕の一部が剥がれ落ちる。それに驚くオストガロアは怯んでしまう。
オストガロア「キュ,キュオオオ…」
川内「!?」
曙「ひ、怯んだ!?二人共、今のうちに!」
間髪入れず、砲撃を繰り返す。オストガロアが曙と川内の方を向き、触腕で迎撃しようとした時……
ズガーーーン!!!ズガーーーン!!!
オストガロア「!?」
水雷戦隊の退避する逆の方向から強烈な砲弾が飛んできた。
戦艦部隊の榛名と扶桑である。高速戦艦なだけに、迂回して逆方向から襲撃してきたのである。扶桑は低速艦であるが、そこは練度で埋め、榛名に合わせて来ている。
扶桑「みんな出すぎよ!退きなさい!」ドウン!
榛名「これ以上は危険です!」ドウン!
曙「すみません!ありがとうございます!水雷戦隊、退避!!」
曙「あと扶桑さん!榛名さん!頭にダメージを与えると装甲が剥がれました!そのまま頭にお願いします!!」
扶桑「わかったわ!後は任せて!!」
水雷戦隊が退避し、戦艦の二人だけとなる。
扶桑「頭ね……。砲撃!!」ドウン!
榛名「主砲!砲撃開始!!」ドウン!
オストガロア「キュ,キュオオオ……」ズガーーーン!!!
再び、強烈な砲撃により怯むオストガロア。さらには上空からの援護も駆けつけた。
ズガガガガガガ!!!
飛鷹たち空母の艦載機である。戦艦と空母の連携攻撃を受けた二つの触腕の骨は全て剥がれ落ちてしまい、たまらずオストガロアはダウンしてしまう。その時、二人は共通の疑問を持ってしまう。
扶桑「何?あれは……頭じゃない……?」
榛名「なんか……、頭と言うより触手?みたいですね……」
しかし、戦闘中であるのでその疑問をすぐに隅に置き、砲撃を再開する。ダウン中であるので、水雷戦隊も引き返してきて、雷撃戦に移る。さらには島風とゴーヤもこの好機を逃さず、雷撃戦に入る。
皆「「「いっけえぇぇぇ!!」」」チュドーーーーン!!!
辺りに大きな水柱がいくつも立つ。これでオストガロアは倒れたかに見えたが……
オストガロア「オオオオ……」
島風「嘘!?」
天龍「全ッ然!!効いていない!!」
何事も無かったかのように起き上がり、動き出すオストガロア。その生命力の高さだけでも艦娘達を絶望させるのに十分であった。
オストガロア「キュオオオ……」ザバーーン
水中に潜るオストガロア。そして水中から触腕を真上に突き上げる。
ザバーーン!
川内「うわ!危ない!」
ザバーーン!
赤城「固まっていると危険です!皆退避しましょう!」
ザバーーン!
何度も下から突き上げられる触腕。幸い艦娘達に被弾は無かったが、それでも攪乱するのに十分であった。艦娘達が体制を建て直している間に、オストガロアは遠くまで退避してしまう。
曙「皆被害は!?……無いわね。」
飛鷹「逃がさない!追いかけるわよ!」
オストガロアが退避した先は島の入江であった。が、そこにはオストガロアに補食されたのであろう、深海悽艦や輸送船の骸の山ができていた。不気味なほど静かで入江に入る波の音が聞こえるほどである。
別の鎮守府の調査に参加してない艦娘は無惨な残骸の山を前にして唖然と立ち尽くしてしまう。
扶桑「これは……」
川内「酷い……」
飛鷹「こんなにも鉄を喰い荒らす化け物なんて見たこともないわ……」
伊58「あ、あんまりでち……」
赤城「……皆さん、ここは戦場です。骸龍が何処かに潜んでいるかもしれません。注意して索…」
ズバァ!!
榛名「きゃあ!!」バシャア!!
赤城「……くっ、見つかりましたか……」
川内「榛名さん!大丈夫ですか!?」
榛名「えぇ……、ダメージは小破程度ですが……。」粘液やられ
加賀「あの青い粘液が……」
榛名「少し動きにくいです…」
赤城「高速戦艦の速さが奪われるとは……」
扶桑「狙ってやったとすると相当知能は高い化け物ね……。島風、あなたにまた負担が少しかかるけど、榛名の分まで動いてもらいます」
島風「!はい、頑張ります!」
飛鷹「あんまりもたもたしている場合ではないわよ!」
伊58「奴さん、来たでちよ…!」
オストガロア「オオオオ……」ズズズズ
胴体の噴出孔から青く発光する砲弾を放ち、ゆっくりと近づくオストガロアは幽霊船のようにも見えた。
そして青い粘液を滴らせていた双頭が不意に赤黒い龍属性の雷を帯びる。
オストガロア「……!!」ズバババババ!!
皆「「「!!!」」」
扶桑「ぜ、全員退避ッ!!」
悲鳴にも近い指示を出し、間一髪全員が龍属性の光線をかわす。…が、不運にも榛名は足下の残骸に足をとられ転倒してしまう。
榛名「…くっ、そんな!?」骨まみれ
青い粘液は粘性が高く、「骨まみれ状態」となってしまう。しかし、ただの骨ならまだしも、船の装甲がこびりつくので動きは骨まみれ状態以上に阻害されてしまう。そんな哀れな格好の的である榛名をオストガロアは見逃さなかった。
曙「まずい!!榛名さん!!」
オストガロア「…!」ズバババ!!ズバババ!!
榛名「きゃああああ!!!」大破
川内「榛名さん!!!」
伊58「本格的にまずいでち!!島風ぇ!!」
島風「わかってる!!援護するよ!!」
伊58「このままゴーヤ達は榛名さんを連れて安全なとこまで退避するでち!!扶桑さん!!」
扶桑さん「……わかったわ。榛名をお願い……」
伊58島風「「はい(でち)!!」」
島風「榛名さん掴まって!!」ガシッ
榛名「うぅ……。ごめんなさい……」
伊58「後で死ぬほど文句言ってやるから今は生きて帰るでち!!」ザバババ
扶桑「……さて、これで高速艦による攪乱は不可能になったわね」
曙「はい…。私達もこのまま撤退したほう…ッ!!」サッ
ズバババババ!!
曙「くっ…。しつこい!!」
扶桑「いいわ、このまま走りながら話しましょう」
扶桑「あなたの言う通り、このまま撤退しましょう」
扶桑「まずは速度の遅い空母と損傷のある天龍と龍田から撤退させるわ」
曙「あの二人は近接故に損傷もありますもんね。それにいつの間にか中破もしてます。でも空母まで撤退させるとなると近接・制空のどちらも失い、下手したらそのまま全滅ってことも……」
扶桑「私の瑞雲で何とか空は押さえてみるわ」
曙「そんな…いくら扶桑さんでも無茶な!?高速艦ならまだしも、扶桑さんが最後まで残ってたら……」
扶桑「それでもやらなくちゃいけないの。この状況じゃあ……」
飛鷹「あら、私ものこるわよ?」ヒョコ
曙「!」
扶桑「飛鷹……」
飛鷹「これでも空母筆頭よ!それに、瑞雲だけじゃ心もとないしね」
川内「私も残るよ。夜戦なら任せて!!」
曙「川内さん……」
扶桑「……わかったわ。皆、ありがとう」
扶桑「まず曙、川内は天龍と龍田の撤退サポートを、そして飛鷹は加賀と赤城の撤退サポートを」
扶桑「それぞれの撤退が完了したらこの四人で最後の撤退をするわ!」
川内「最終撤退の殿は私がやります!」
扶桑「…危険だけどお願いね、川内」
川内「任せて下さい!!」
扶桑「よし、行動開始!!」
曙飛鷹川内「「「はい!!!」」」
ー水雷戦隊サイドー
龍田「……天龍ちゃん大丈夫?」ハァハァ
天龍「……ああ、なんとかな」ゼェゼェ
曙「二人共!撤退よ!」
天龍「なっ!?此処まで来て撤退かよッ……!!」
曙「気持ちはわかるけれどもこのままじゃ全滅もありえるわ」
天龍「…でもよぉ!」
龍田「天龍ちゃん。撤退しましょう……。私達、中破しているし」
龍田「それにこのままじゃジリ貧だしいつ沈んでもおかしくないわ」
天龍「…………」
天龍「……わかったよ。撤退しよう」
龍田「天龍ちゃん……」
天龍「ただし!次戦う時はぜってぇこの太刀でブッた斬る……!!」
曙「……!そうね……!」
川内「おーい!急ぐよー!!」
曙「水雷戦隊、撤退!!」
ー空母サイドー
飛鷹「二人共、撤退よ」
加賀「撤退、ですか……」
赤城「しかし、制空権をいきなり放棄するのは……」
飛鷹「確かに、あの化け物から逃げるには空からの援護も必要ね」
飛鷹「でもそれは私と扶桑さんでなんとかするわ」
赤城「!? そんな無茶な!!」
加賀「私達でもやっとあの青い砲弾をほかの部隊に向かないように艦載機で囮になるだけに精一杯なのに……」
加賀「いきなり私達二人が退くとなるとかなり制空が難しくなります!」
飛鷹「そうね。だけどこのままだといずれ皆やられてしまうから多少無茶でもここで撤退しないといけないのよ」
飛鷹「水雷戦隊の半数はもう中破しているし私達を援護しに来るのは無理があるわ」
飛鷹「それにあの化け物はいくら砲撃を浴びても全然沈む気配が無いじゃない」
飛鷹「まだ何か奥の手があるかもしれないのに万全の状態ではないとどうなるかわからないわ」
飛鷹「旗艦命令よ。加賀、赤城撤退しなさい」
加賀「……」
赤城「……加賀さん。ここは撤退しましょう」
加賀「赤城さん!?」
赤城「危険な賭けとも言えますが、飛鷹さん達ならやってくれると思います」
赤城「今まで飛鷹さんは何度も私達を救ってくれたんですから」
加賀「……」
加賀「分かりました。でも……」
加賀「絶対に戻って来て下さい。飛鷹さん」
飛鷹「ええ、こんなところでは沈まないわ!」
赤城「後はよろしくお願いします。飛鷹さん」ペコ
赤城「それでは加賀・赤城撤退します」
加賀「ご武運を……飛鷹さん……」
飛鷹「任せて!」
ー天龍・龍田、加賀・赤城撤退後ー
曙「扶桑さん!援護しに来ました!」
扶桑「曙!助かるわ、ありがとう。川内は?」
曙「川内さんは飛鷹さんの方を援護しています」
曙「私達高速艦で攪乱するので空はお願いします!」
扶桑「ええ、わかったわ。そしてそのまま一気に引き離して……」
四人は最後の撤退を行おうとしたとき、まるで逃げ道を塞ぐかの様にオストガロアが海中から飛び出す
オストガロア「キュアアアアア!!!」
扶桑「退路を塞がれたわ……。少し厄介になったわね……」
曙「ほんとさっきからしつこい!」
四人がオストガロアから離れようとしたとき、不意に胴体は反転し……
川内「なんだろ?」
飛鷹「なんで反転なんか……」
オストガロア(本体)「キュアアアアア!!!」
四人「「「「!!??」」」」
本体をあらわにした
捕食形態である
飛鷹「何なのよあれは!?」
川内「イカの……化け物!?」
オストガロア「キュオオオオオオオ!!!!!!」
四人がその正体に動揺しているのをよそに、オストガロアは入江全体に轟く咆哮をした
四人は耳を塞ぎ、その場にしゃがみこんでしまう
曙「くぅ……何てバカでかい咆哮っ……!」ミミフサギ
扶桑「これが骸龍の正体……」ミミフサギ
飛鷹「まだ本気を出していなかったっていうの……!?」ミミフサギ
川内「いよいよ本格的にまずい状況だね……!」ミミフサギ
四人が怯んでいる間にオストガロアは触腕を残骸の山に突っ込み……
オストガロア「キュオオオオオ!!」潜姫骨塊・戦艦骨塊装着
扶桑「!? あれは深海棲艦の……」
潜水棲姫の巨大艦装と戦艦レ級の艦尾を触腕に装着した。レ級の艦尾は発光する粘液で無理やり大きくして装着している分、ところどころ火の粉が飛び、鉄の擦れる嫌な音を立てている
そしてその触腕を四人にむけて叩きつける
川内「うわぁ!!」小破
飛鷹「川内!!」
川内と飛鷹を襲った戦艦骨塊の触腕は叩きつけ、その衝撃で艦尾に残っていた砲弾が飛び出し、さらに火と衝撃で大きな爆発を起こした
軽空母ゆえに離れていた飛鷹は無傷ですんだが、爆発に少し巻き込まれた川内はダメージを負ってしまう
扶桑と曙は潜姫骨塊に襲われてしまう。叩きつけこそ避けたもののそこからさらに薙ぎ払って来たため、速力に欠ける扶桑は被弾してしまう
扶桑「ぐぅぅ……」中破
曙「扶桑さん!」
扶桑「私に構わず逃げなさい……!」
曙「そんなの絶対に駄目!!飛鷹さん!あの火の粉が出てる触手を爆撃して!」
飛鷹「わかったわ!!」ババババ
一気に不利な状況に立たされたが、曙の判断は正しかった
ズガガガガガ!!
オストガロア「!?」ズガーーーン!!!
もともと不安定でかつ、叩きつけを行った直後の戦艦骨塊は爆撃を受けると爆発してしまった
曙「今よ!全員撤退!!」
オストガロアが怯んでいる間に四人は撤退を試みるが、オストガロアは素直に帰してくれる訳でもなく、追撃せんと振り向く
曙「最後の最後まで……!川内さん!奴の顔面に雷撃を!!」バシューン
川内「わかった!砲雷撃戦用意、てー!!」バシューン
ズガーーン!!!ズガーーン!!!
オストガロア「!?」
顔面に放たれた酸素魚雷は大きな水柱と共に大爆発を起こすが、オストガロアの口から漏れ出るガスによって大したダメージは入らなかった
それでも爆発による目眩ましは撤退する時間稼ぎには十分だった
オストガロア「キュアアアアア!!!」
そのまま追いかけることもできたが、破損した骨塊を装着しなおすため、追うのをやめたオストガロアは逃げる敗者の背を見て勝ち誇ったような咆哮をする……
今更ながら登場する艦娘は全て作者の鎮守府がモチーフとなっているので新しい子は出さないつもりです
あと改善点とかあればコメントでよろしくお願いします
※細かい修正・設定
序盤のオストガロアの表記をガロアからオストガロアに変更しました。あとゴーヤと曙は危ない状況になったら言葉づかいがすこし崩れる、という作者の独断に基づいて言葉を話します。
乙です!
強いオストガロアなので、楽しみにしてます。
オストガロアは設定上だとナバルデウスの幼体を襲ったりとヤバイ奴なのですがゲームではあれですからなー。
コメントありがとうございます
確かに、緊急クエのオストガロアはもうちょっと強くしても良かったと思います。でも4Gのマジオスみたいまでにはいって欲しくはありませんが……
モンハンSSいいゾ~これ
完成するのが楽しみですな!
コメントありがとうございます。励みになります
頑張って完結させます
捕食が、補食になってますよ~
申し訳ありません。修正しました。ご指摘ありがとうございます。
ラギアかと思ったけどお前か~