2016-11-27 18:13:53 更新

概要

艦娘の存在がまだまだ認知されていない時代


前書き

朝潮をママに


検問の人「…」


俺は昨日まで海軍本部の検問だった人だ


ただ、訳あって提督になったので表記が変わる


提督「…」


検問の人=提督なので注意してもらいたい


元帥曰く



元帥「単調極まりない海軍本部の検問の仕事を5年勤める卓越した精神力及びある程度の海軍についての知識あり、よって検問の人に提督の任を与える」


検問の人「えぇ…提督ですかぁ?」(死ね)



という訳で提督を任された


後者の理由はともかく、これは全世界の検問の職業に就いている人々に即刻謝罪すべきである


ただ、断れば国家反逆罪でどうなるか分からないので二つ返事で承諾した


なぜ提督という職において、『精神力』が重視されているか、疑問に思った奴はいるだろう


これは後々分かる。近いうちに。と言うか今すぐにでも


目の前には鎮守府がある


俺はここに着任するのだ。アポロ計画よりも人類の未来に繋がる一歩になることを願う


提督 ガシャン


踏み出したぞ


ん?なぜ『ガシャン』の効果音が必要なのか?


それは今、俺が着込んでいるマスクを始め防弾チョッキ及びプレート式アーマー及び対艦砲用爆発反応装甲及び…


長くなるのでやめる


とにかく装備が干渉しあって音をたてるのだ


フォースの力とライトサーベルを持っていないダース・ベイダーでも想像すればいいと思う


一先ず執務室に向かうとする










廊下にてこの一見完璧な装備に致命的な欠陥が存在したことに気が付く


全身を覆うこの装備は重い上に動きづらく、体力を消耗し、更にマスクのせいで呼吸も儘ならない


ダース・ベイダーもビックリだ


俺は有事の際に対象を鎮圧するために日頃の鍛練を怠らないのだが


生半端な軍人より鍛えていると自負していた。この肉体を持ってしても中々に辛い


発注したのは自分自身であり、以後過信は気を付けることにした


突然だが廊下の曲がり角で二つの『兵器』に遭遇した



??「…不審者っぽい!?」


??「銃を持ってる!夕立、動いちゃダメだよ?何をされるか分からない!」



完全に警戒されているが、見たところ話に聞く艤装は装備していないようだ


それならこいつらは恐れるに足りない


躊躇なく銃を構える



??「っぽい!?」


??「夕立!危ない!」ガバッ



片方の兵器が片方を庇うか。感動的だな。だが無意味だ



提督「…怪しい動きをするな。そこに横になれ」ガシャン ガシャン


??「ぽ、ぽいぃ!?」


??「くそっ…夕立、言う通りにしよう…」



案外聞き分けが良い、と言うよりもそうする他ない方と言った方が正しいだろう


屈辱的だと言わんばかりの表情を他所に、兵器の首にチョーカーを着ける


人間と同じ構造をしているらしい


一応、呼吸困難で壊れてしまうかもしれないので緩めに


息ができない苦しみは計り知れないからな



??「?…!何だ!これは!!」


夕立「こ、怖いっぽい…」



怯えているな…まぁ、俺もいきなり首にチョーカー着けられたら怖い



提督「…爆雷は知ってるか?君たちも使う爆発するあれだ」ガシャン


??「!…まさか…」


??「ぽ、ぽいぃ…」



表情が屈辱から恐怖へと変わるのがはっきりと分かった。顔が青ざめていく辺りが人間に近いな



提督「心配するな。妙な動きをしなければ何も起こらない…ただし、それを外そうとしたり、おかしなことをしようとすれば…」ガシャン


??「くそっ…」


??「し、時雨…?」


??「…何が目的だ!?」


提督「執務室はどこだ?」














と言うわけで執務室に到着した



提督「…そうだな、ここにいる奴らを全員呼んできてくれ」


??「…分かった」



不満、満々。何をするか分からないので保険を掛けておこう



提督「おっと、そっちの…ぽい娘」ガシャン


??「…夕立です」


提督「あぁ、そうか。夕立と…」ガシャン


??「…時雨だよ」



自然な流れで名前を聞き出せた


は?全然自然じゃないって?



提督「そうか。じゃあ、時雨はここに残れ」ガシャン


時雨「…」ギロッ


夕立「そ、そんな!時雨に酷いことしないで!!」



先程から聞いていた、ぽい、がつかない辺り本気だな


だが勘違いされているようだ



提督「…なぁ、心配しなくても俺たち人間は兵器で自慰はしないんだ」


提督「君達は兵器だ、しかも『アレ』に対抗できる世界で唯一のな」


提督「正直、なんで俺が任されたのか分からんが…君達を傷付けると上から何されるか分からない」


提督「できないんだ…安心してくれ」



いや、本当に


検問を5年間やっただけだ


今思えばもっとマシな就職先があったろうに



時雨「なんて言い方だ…悪魔でも僕達を兵器扱いするんだね…」


提督「いや、それ以外になにがあるんだ?」


時雨「!…っお前!!」


夕立「やめて時雨っ!」ガシッ



…少し煽り過ぎたかもしれない


何分、この件では腹が立っているので八つ当たりしてしまった


兵器とはいえ、素直に申し訳ない


自己の保険があるとは言え、先を考慮してここまでにしておこう



提督「…ほら、早く行ってきてくれ…二つあるんだ。片方がどうなっても知らんが」


時雨「…夕立…行って…皆を呼んで…」プルプル


夕立「…ぽいぃ」シュン



なんだこいつら


一人前に感情でも持っているつもりなのだろうか…





夕立「ぜ、絶対!酷いことしないで欲しいっぽい!」


提督「分かったよ」ガシャン


夕立 ガチャ タッタッタッ



行ってしまったようだ



時雨「…」フルフル


提督「…」チラッ



こいつはなんで震えてるんだ?


残念ながら同人誌の様にはいかないぞ


しかもこれは状況的に鬱エンドルート、尚更だ



提督「…別になにもしないぞ」



気休め程度にはなるだろうから言っておく



時雨「…そんなんじゃない」



じゃあなんだよ


暇なので聞いておく



提督「じゃあ…なんだ?」


時雨「…」



黙りか


まぁ、気持ちはわからんでも



時雨「お前に分かるの!?勝手に呼び出されて!兵器と呼ばれてろくな扱いもされずに…好き勝手言われ成すがまま…」


提督「…」



思っていたより深刻だった


ごめんなさい










しばらく会話もなく待っていれば



??「時雨!大丈夫か!?」ガチャ


夕立「呼んできたっぽい!」



きたか


おっぱいでかいな


どうやら『サイズ』が違う奴らしい


ご丁寧に『艤装』付きだ



??「てめぇ…一体何者だ?」



何者だと言われれば


答えてあげるが世の情け


が、後から名乗ることにする



提督「…これで全部…3つしか無いのか?」


??「3つだと…今なんつった?」


夕立「て、天龍さん…」



明らかに憤慨していることが分かるが、こちらに砲を構えない辺り最低限の思考力はある様子だ


これは保険のお陰なのか、自らの立場を理解しているからなのか、どちらかは分からない


というか、聞こえてるんじゃないか



提督「…これで全部なのか?」



もう一度、問いてみる



??「…他にもまだ居る。ただ、連れてこなかっただけだ」


提督「そうか、まだあるのか。なら、全部連れてきてくれ」


??「おい…言い方があるだろ…?…なんだよ、全部って」



とりあえず、ここの兵器全部の存在は知らなければならない



??「聞いてるのか?」



いよいよ提督としての業務を始めていく



??「…」



此処等でそろそろ、なぜ提督に『精神力』が必要なのか。それについて説明したいと思う



??「クソ野郎が…」ボソッ















例えば、ある国が意思を持った兵器を開発したとして、それは称賛すべきだろうか


考えてみて欲しい


意志のある戦車を隣に、安眠できるだろうか



無理だ



突然動き出し、車軸機関銃を撃ちまくり、戦車砲を撃たれたらたまったものではない


意思を持った兵器は、人間が管理するには大きすぎる


兵器に意思はいらない


あらぬことを引き起こし、統率は不可能で、先は全く読めなくなる


それでは、兵器として成り立たない


例えそれが人間の、華麗な少女達の造形をしていたとしても









その兵器に、名前はまだない


分かっているのは、人の形をしていること


既存のどんな兵器より強いと言うことと


意思を持っていることだ








それらは、元は恐らく船である


旧大戦において実在した船の名前を名乗っている


事実、それらが搭載する装備に酷似している









話が少しずれたので戻すことにする


なぜ提督に、『精神力』が重視されるのか


…少し考えれば分かると思うが










『意志のある兵器に囲まれながら、安心して過ごせるかって話だ!』













提督「…これで全部か」ガシャン


艦娘「…」




なるほどかなりの数である


揃いも揃ってある者は不満げに、ある者は嫌悪感を露にして、またあるものは親の仇でも見るかのように


考えても見て欲しい。自分に敵対心を持つ未知の物体が、集団で此方を睨む様子を


まず間違いなく、何人かの奴等は逃げ出してきただろうに



提督「先ず始めに…今日より着任することになった提督だ。よろしく頼む」ガシャン


??「…冗談だろ」ボソッ



歓迎の声が聞こえた



提督「で、俺の命令には必ず従ってもらう」


提督「ちなみに逆らうとだな…夕立と時雨の首のチョーカーが…」


艦娘 ザワッ


時雨「…」


夕立「…」



ざわつき始めたが、まぁ、普通だろう。恐らく同じ境遇で、仲間意識が多少なりともあるはずだ



提督「まぁ、人質ならぬ物質だ。ただ、命令にさえ従ってくれれば一切の危害を加えないと約束する」


提督「あぁ、おかしな動きをするのも控えて欲しい。別にしてくれても構わないが、責任はとれない」



??「物質…何と言う言い草じゃ!」


??「利根姉さん…駄目よ…時雨ちゃんと夕立ちゃんが…」



…姉さん?


兵器に姉妹関係もあるのか


あぁ、姉妹艦という奴か


史実を学べば利用できる情報が手に入るかもしれない


大本営から申し訳程度に送られた、各艦の資料に目を通すか…



提督「以上。なにか質問はあるか?」






提督「…無いようだな。解散して、各々好きにしていてくれ」



俺の提督LIFEが始まる














大淀「…任務娘の大淀です。提督を補佐せていただきます」



執務室で(怖いから)閉じ籠っていると彼女が来た


補佐と言っているが色々不安が過る。そもそも任務娘ってなんだ?先ず娘なのか?任務ってなんだ?俺の監視だろうか



提督「あぁ、よろしく頼む」ガシャン



丁重にお断りしようと思ったが、この服装で提督の業務を行うことは先ず不可能であり、相当な量の仕事があるだろうから、承諾することにした



大淀「…お脱ぎにならないのですか?」



分かったぞ


こいつの任務は俺を暗殺することだ。俺が死ぬのを補佐することだ


…そんなわけないだろう。純粋に、こんな鎧で身を包んでいたら誰だってそう思うよ



提督「…そうだな。脱ぐことにするか」




後書き

朝潮 拘束


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このSSへのコメント

6件コメントされています

1: 戦艦れきゅー 2016-09-19 01:48:45 ID: PTaqCBWV

これは…化けそうな予感w
更新頑張れ

2: SS好きの名無しさん 2016-09-19 07:33:29 ID: Cap3bNHm

めっちゃ面白そう!

3: SS好きの名無しさん 2016-09-20 21:57:33 ID: t9tycdG9

兵器そのものが意思を持つ事と兵器に人間が乗り込み意思を宿す事にそこまで大差は無いと思う。現に統率された軍隊の軍人ですらクーデタを起こす事も有るし、テロだってある。例え小銃一丁、手榴弾一つであろうと兵器としての能力の大小は有れど殺傷能力や破壊力を持つ事は変わらない、問題はその意思をどう統率し維持管理するかだと思う。

4: SS好きの名無しさん 2016-09-23 11:57:22 ID: b8n22lz2

まるで違う、常に武装している人と武器の取り扱いを知っているだけの非武装の人みたいなもん
どっちが危険かなんて言うまでもない

5: SS好きの名無しさん 2016-10-29 16:37:03 ID: DKR_pAd_

読者の人「えぇ…エタりですかぁ?」(甦れ)

6: 戦艦れきゅー 2016-11-28 01:05:14 ID: 2dggSlAG

更新キターーーーー!!!


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1: 戦艦れきゅー 2016-12-01 01:07:10 ID: VGQxl64O

こうゆうss大好き
更新頑張れ


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