2019-11-30 12:36:20 更新

概要

俺ガイルのssになります。
ssを書くのは初めてです。
後半は恋愛をメインにする予定です。



木々の葉が枯れ、白銀の雪が積もり、

冬の寒さが我が身を刺すように

襲ってくる、冬。


冬のイベントで真っ先に思いつくのは

やはりクリスマスではないだろうか。

クリスマスといえばリア充が盛んに

デートしたりお泊まりしたりなどくそったれな

イベントであり、いわば社会の「害」だ。

かくいう俺も幼稚園の頃は

サンタさんが実際にいると思っていたし、

プレゼントにウキウキしてクリスマスの夜は

サンタさんを見るまで寝ないぞ!なんて

思いつつも寝ちゃったんだよなぁ、、

え、何これ?ショタの俺可愛くね?



小町「 ぃ...ちゃん?」


小町「ちょっと!聞いてるのお兄ちゃん?」


八幡「んあ、悪ぃ悪ぃ小町、お兄ちゃん今ちょっと考え事してた。で、何の話だっけ?」


うっかり考え込んで小町の話を聞くのを

忘れてたわ...


小町「で、日時は〜♪24日ウチに集合ってことでいい〜?」


八幡「あ、ああ..で、何の話してたっけか、小町ちゃん?」


小町「クリスマスパーティーの話だってば.....楽しみだねお兄ちゃん!」


クリスマス...?そうだ!思い出した。

こいつ...


小町「えへへ♪じゃあ、雪ノ下さんと結衣先輩には私が伝えておくね!」


奉仕部メンバーでクリスマスパーティーを

企画したとか言ってたんだった.....

最悪な展開だ。


中学の頃のクラスのクリスマス会も

一度も参加してこなかった硬派な俺が

奉仕部の、しかも雪ノ下のいるパーティーに

参加するわけないだろ?精神疲労で倒れるぞ?


そもそも中学の頃のやつは後からクラスの女の Twitterでクリスマス会の存在を知ったけど誘われなかったとかじゃないんだからねっ?多分...

ま、当日の朝出掛けてしまえばなんとかなるだろ。



【12月24日、午後18:30 】



ピンポーン♪



ガチャッ



小町「あ、雪ノ下先輩と結衣先輩!

どーぞどーぞ!あがってください♪」


由比ヶ浜「こ、こんばんわー。」


雪ノ下「お邪魔するわ 」



由比ヶ浜(ひ、ヒッキーの匂いがするなぁ...)



由比ヶ浜「ここにヒッキーと小町ちゃんが住んでるんだよね?なんかいいね!」


雪ノ下「家主の家族が住んでて当たり前でしょ..

はぁ..」


由比ヶ浜「ごめんごめん、でもなんか照れるね..えへへ」


八幡「どこに照れる要素があるんだ?」


由比ヶ浜「え!ヒッキー??」



なんだこいつ...

俺に対する反応が過剰すぎないか?

嫌われてるようで傷つくぞおい

まあとりあえず挨拶しておくか。



八幡「うっす。」


雪ノ下「由比ヶ浜さんが怒るのも仕方ないわ。

変な男が人の家から出てきたら誰だってびっくりするもの。」


八幡「いやお前さっき家主の家族がどうとか言ってなかったっけ?」


雪ノ下「あらそうだったかしら?」



人の家に来ていきなり悪口かよ...

中学から鍛えられてきた俺のメンタルじゃなかったら自殺もんだよ?



八幡「まあ、そこへんに座ってろよ。小町が茶を持ってきてくれる。」



ソファー辺りを指さしてやる。



由比ヶ浜「へえ〜、立派なリビングだね、あ、コタツ!」


八幡「ああ、割と最近に建てた家だからな」


雪ノ下「あなた、専業主夫が志望なら小町さんのお手伝いでもしてきたらどう?あ、コタツだわ」


八幡「それもそうだな。立派な専業主夫になるために小町の手伝いでもするか。

って何おまえら、コタツ大好き人間?」



それにしても雪ノ下の目がキラキラしてるな..

そんなにコタツが珍しいか?こいつの家は

金持ちだしコタツくらいあるだろうけど...

一応聞いてみるか。



八幡「おい雪ノ下、コタツがそんなに珍しいか?」


雪ノ下「あら、どうかしたの?」


八幡「コタツに興味津々だろ、コタツ知らないとかか?」



コタツを知らないってことはないだろうが

こう言ったほうがプライドの高い雪ノ下の

反応が伺えやすいと思った。



雪ノ下「馬鹿にしないでもらえるかしら、ただ入るのは初めてになるわね。私の家は冬は暖炉なのよ」


八幡「だ、暖炉?すごいな..さすがお金持ちって感じだわ..」



うっわ、これ暖炉の前に前後に動く椅子に座って洋書とか読んでるんだろ絶対。



由比ヶ浜「凄いねゆきのん.!やっぱ暖炉の前には前後に動く椅子とかあるのかな?」



こいつもかよ!前後に動く椅子って共通言語だっけ?てか暖炉といえばやっぱあれだよな。



ガチャッ



小町「おまたせですー!お菓子とお茶を持ってきました☆」



そう言って小町はもってきたお菓子を

コタツに置く。

やっぱしっかりしてる妹だ、さすがに俺の妹!



由比ヶ浜「ありがとう小町ちゃん!あ、カントリーマアム!」


雪ノ下「ありがとう小町さん。あら、カントリーマアムだわ」


八幡「いやもうそのノリいいから」



なにこいつら?売れない芸人?

てか今日の雪ノ下なんかテンション高くないか?


小町「そうそう、聞いてくださいよー!今日の朝お兄ちゃん、パーティーが嫌で逃げ出そうとしたんですよ?」


八幡「いや待て」


由比ヶ浜「うわぁ、サイテー...さすがヒッキーってかんじ..」


雪ノ下「まあ、彼らしいといえばらしいわね」


小町「まあ、妹として私が責任をもって捕獲しておきましたけどね〜♪」


八幡「お前..朝の6時から玄関で待ち伏せとかよくやるわ...我が妹ながら狡猾なやつ..!

あと捕獲とか人をポケモンみたいにいうな」


由比ヶ浜「あはは...」


由比ヶ浜「そういえば今日はヒッキーの両親はいないの?」



俺の方へ向いて首を傾げる。



八幡「ああ、二人ともクリスマス関係なしに忙しいからな、今日は帰って来ないと思うぞ」



二人とも毎日忙しそうだからなあ。

大晦日くらいは家族で過ごしたいがどうなんだろうか-



由比ヶ浜「そっか...じゃあ遅くまでいても迷惑にはならないかなぁ?」


八幡「いや遅くってウチのことはともかく...お前の親が心配するだろ?」



親の心配もそうだが同級生の女子二人と夜遅くまでってこれ道徳的にアウトじゃない?

なにかあってからじゃ遅いよ?

まあもし俺が

由比ヶ浜に何かされそうになっても雪ノ下が

守ってくれるから安心だけどね!ってこれ

俺と由比ヶ浜の立場逆だけどまあ、俺はそんなことはしない。



由比ヶ浜「えへへ、私ん家も今日は親が二人ともいなくてさー、家にいてと寂しいだけかなって思って、」


雪ノ下「そうね..由比ヶ浜さんは偉いわね。」


雪ノ下の家は両親共お偉いさんで

家を空けることが多く、こいつも家で一人

の事が多いらしいからな...

由比ヶ浜の気持ちが分かっているんだろう。



八幡「まあ、飯とケーキ食ってはやいとこ

解散にしようぜ 」


由比ヶ浜「え、ヒッキー今までの話聞いてた!?」



由比ヶ浜がえっ!えっ!って感じで俺の方を向く。



八幡「ああ?聞いてたよ」


由比ヶ浜「私はみんなで、まだまだ遊びたいなって言ったし、誰にも迷惑かけなきゃいいでしょ?」


八幡「はぁ..冗談だよ。好きにしたらどうだ、何なら泊まってくか?」


由比ヶ浜「と、泊まっ!?」


小町「あ〜、それナイス!お兄ちゃん♪どうです先輩たち?」


雪ノ下「私は遠慮しておくわ...この野蛮人と一夜を過ごすのは危険だと思うし」


野蛮人て...


八幡「まあそうだな、とりあえず遊び尽くして飽きたら解散って感じはどうだ?

腹減ったし、とりあえず夕飯にするぞ」


由比ヶ浜「賛成!」


雪ノ下「そうね」


小町「夕ご飯はピザを頼んでありますのでそれまでトランプでもして待ちましょう♪」


そしてババ抜きをしながらピザを食べる

集団が完成した。



────────


〜30分後〜


雪ノ下「見事に降ってきたわね....」



八幡「おい小町、テレビのチャンネル天気予報

にしてくれ」


そう言って俺は小町にひょいとリモコンを渡してやる。

小町も「んっ」と言ってそれを受け取った。


今日の天気は一日中くもりの予定だったはずだがこの雨はやばくないか?

ついさっき来たピザ屋の人大丈夫か?

いや問題の核心はそこじゃないんだが...



小町「ありゃりゃ〜...すごい豪雨らしいですね、

電車とかも運転が見合わせらしいですよ?」


由比ヶ浜「こ、これじゃ私帰れないかも..」


小町「雨も明け方までずっとこの調子らしいです...」


雪ノ下「傘を使っても傘が折れそうね..私は家に電話すれば車が迎えに来るだろうけど..」


由比ヶ浜「 ........ 」


おいおい、なにこの展開...

まさかこいつ...


雪ノ下「今日は、泊めてもらうしかなさそうね」




クリスマスにお泊まり....

リア充たちだけの特権かと思っていたが

まさか自分がこのような立場になるとは

思ってはいなかった。


まあ俺の場合そんなハーレム要素は無く

ただ雨が降ったから泊まってくだけという

つまらないイベントになるだろうが...


ち、中学の頃までの俺なら

緊張してや、やばいことになってたかもしれないが今はもうこれくらいのい、イベントは

慣れているのである。

いや...頭が状況についていけね、


雪ノ下「まあ、仕方のないことだわ。すまないけど今夜は泊めてもらえるかしら?小町さん」


小町「いいですよ〜というか歓迎です!」



いや、聞くべきは両親のいない今

一番偉い立場にある俺じゃないか?まあ多分この四人の中で人として一番下なのも俺だけどな。って自分で何言ってんだ俺。



雪ノ下「あら、自分の立場をよく理解しているじゃない?ヒキガエルさん」


八幡「やっべ、声にでてたか..」


由比ヶ浜「 あはは.... 」



由比ヶ浜が渇いた笑いを見せる。

こいつ、あの縦ロールや葉山といるときもこんな感じだよな?



ゆあ小町「まぁ、私は全然構いませんよ?むしろ先輩たちならウェルカムです!あはは...あ、お兄ちゃんはごめんなさい」


八幡「だ、か、ら、俺はこの家の住人だ!!」


ったく、なんで妹までこんなこと言うのかね..


もしかして雪ノ下の影響?

あらやだ、あいつから離れさせないと妹が危ない!



由比ヶ浜「ま、まあそういう訳だしさ、早く食べないと冷めちゃうしピザ食べようか?」


八幡「ああ、だな」


雪ノ下「ええ」


由比ヶ浜 ( ..... )



ま、こういうのも悪くはないけどよ

しかし雨でお泊まりってベタじゃいか?



少女漫画かドラマか?



小町「そうだ、たしか今日クリスマスってことでお母さんが買ってきてくれたシャンパンが冷蔵庫にあったよね?お兄ちゃん」


そうだ。今朝起きたときたしかに母親が

言ってたな。



────



母親『ごめんね〜小町。私たち今日も仕事で帰れないからお兄ちゃんと二人になっちゃうけど

大丈夫?あ、そうそう冷蔵庫にシャンパン入れて置いたわね。』


小町『うん、あ。お兄ちゃんの事なら心配しないで!あたしがちゃんと面倒みておきます♪』


八幡『 ふぁ、おはよ... 』


母『じゃあ行ってきまーす。』


バタン



────回想おわり。



いやこのお兄ちゃんと二人きりでも大丈夫?

って子供二人でって意味だよね?


お兄ちゃんに対して大丈夫?とも取れるけど

考えすぎだよね☆うん、

そういうことにしておこう...


..やっぱ俺だけ血が繋がってないんじゃね?



八幡「まあ冷蔵庫にあるはずだろ、小町取ってきてくれる?」


小町「りょーーかいですっ☆ 」


スッと立ち上がって素直に取りに行ってくれた。


パタパタパタ.....



雪ノ下「ところで比企谷くん」


八幡「ん?どうしたよ?まさか枕がいつものやつじゃないと寝れないとか言うなよ?」


雪ノ下「バカね、そんなの小学校で卒業したわ。」


そう言って雪ノ下はぷいとそっぽを向く。



いや小学校までそうなのかよ!

爆弾発言だなおい、意外と可愛いとこあるじゃ

ねえかこいつ..



雪ノ下「で、あなたにはまだ聞いてなかったわね、私たちが泊まっても迷惑じゃないかしら?」



お、やっと俺の存在を思い出したようだな。

さっき小町ちゃんに聞いてたけど

普通小町ちゃんのお兄ちゃんである俺にきく

ことなんだからね?まったく..



八幡「まあ、この雨の中帰るのは無理だろうしな...いいよ、泊まってけよ」



ここで帰れなんて言うほどさすがに俺は

鬼じゃないっての。そんなこと言ったら今

俺の目の前にいる雪ノ下の中から

鬼が皮を破って出て俺を殺してきそうだし...


...ってえ?これ俺がやばくね?本物の鬼と一夜を

過ごすって...やばい!由比ヶ浜を餌にしてでも

逃げる準備しておかないと☆



由比ヶ浜「えへへー。やっぱヒッキーはヒッキーだね♪ ...ありがと..」


八幡「お、おう」


そんな風に言われると照れるな。

まあ、2年ビッチ組の由比ヶ浜に口説かれる

ほどおれはウブじゃねえよ。

褒められても全然嬉しくないんだからっ。



小町が瓶を持ってきて

さむ!さむ!とコタツに駆け込む。



小町「ほいほーい、お待たせです☆シャンパン持ってきましたですよ〜」


八幡「んあ、でかしたぞ小町」


小町「でかしたじゃないよ!シャンパン注ぐからほらお兄ちゃんもコップ持ってコップ...」


八幡「おお、わかったわかった」



俺は小町から受け取ったコップを持って

シャンパンを注いでもらった。



トクトクトク......



八幡「ん、ほれお前ら」


雪ノ下「ありがとう、気がきくわね」


由比ヶ浜「あ、ありがとー!」



こいつら礼はちゃんと言えるんだなー。

雪ノ下のやつは偉そうだがまあ雪ノ下らしいか..



ごく..ごく..


ん....?



八幡「ぶっ!!」


小町「うええ!お兄ちゃん汚い!どうしたの?」


苦っ!!!しかもよく見たら黄色じゃねえかこれ! おいおいおい...



八幡「小町おまえばかっ!ばかばかばか!

これビールじゃねえかよ!!」


小町「え! びー...る?」


初めてビールって単語を知った

原始人かお前は!!


てか待てよ。妙な胸騒ぎを感じた俺は

前方にいる二人を見る。


八幡「おいよせ!お前ら...」


遅かったか...


雪ノ下と由比ヶ浜はすでにグラスの中の液体を

飲み干してキョトンとした顔でこちらを

向いていた。


由比ヶ浜「ふえ?」


雪ノ下「 ....... 」


小町が持ってきたシャンパンの瓶の中身は

ビールだった。

両親がわざとやったとは思えないが

一応注意しておかなきゃな..


雪ノ下「なんか、フラフラするわね。小町さんあなたこれアルコールじゃないのかしら?」


雪ノ下「ほんとドジね.....私はまだしも」



ああ...雪ノ下の隣の子がやばいことになっている。



由比ヶ浜「なんだか....ヒッキーが遠く見える...」



由比ヶ浜は酒が苦手な様子で顔が真っ赤で

フラフラしている。



由比ヶ浜「えへへ...近くなりました♪」



そう言うと由比ヶ浜は俺に近寄って

頬をスリスリしてきた。

うおっ...何この展開!ちょっとやばいやばい

それ以上近づかれるとやばい恥ずかしい!



八幡「ったく...」


八幡「ウチの小町がすまん...まあお前ら風呂でも

入ってきて酔いをさましてきたらどうだ?」



小町「ご、ごめんなさい先輩たち!わたし知らなくて...」



そう言うと小町は何度もぺこぺこと

頭を下げる。

なんかネジ巻くタイプの玩具みたいだな....



雪ノ下「アルコールじゃ摂ったあとに入浴するのはあまり良くないと思うし、小町さんが先に入ってきたらどうかしら?」



たしかにな....それもそうだ。

風呂で転んだりしたら危険だしなぁ...



小町「じゃあー☆お先にいいですか?」



八幡「おう、入ってこい」



そう言うと小町はまたパタパタパタと

風呂場の方へ向かって行った。



由比ヶ浜「 ...... 」


小町がいなくなっからか沈黙が

できたなおい。気まずい!

ふと俺はさっき俺の横にきた由比ヶ浜を見る。



八幡「お前、本当に大丈夫か?顔、真っ赤だし」



由比ヶ浜「う、うん。だんだん慣れてきたかなー、なんて?あはは...」



八幡「なんかあったら俺に言えよな?」



由比ヶ浜 ( ...... )



本当に大丈夫か?こいつ。

風呂から出たら早く寝かせた方がよさそうだな..

こういうテの状態は寝させるのが一番だ。



生まれた沈黙はそのままに、みんなで

テレビを観ている。初めのうちこそは俺も

こんな展開になんも思っていなかったが、

普段一人でこうしているより楽しいのかも

しれない。


雪ノ下「ごめんなさい。あなたはもう少しそっちに寄ってくれる?」


....さっきのは撤回。



────



30分ほど経って小町が風呂から出てきた。



またパタパタパタと

足音が部屋に向かってやって来る。



小町「あ〜いいお湯だった♪あ、お先です!お湯張り替えて置きましたよ〜」



雪ノ下「あら、ありがとう小町さん」



うむ...我ながら気遣いのできる妹だ。

やっぱ俺の血なのかな?照れるぜおい!

いやいや..何、俺ももしかして酔ってる?



八幡「ま、お前ら先に入ってこいや」



俺は雪ノ下と由比ヶ浜に風呂場の場所を

簡単に教えてやる。



由比ヶ浜「あ、ありがとぅ、ゆきのん一緒に入ろ!」


雪ノ下「な、言ってるのよ..お風呂は一人入るのが普通だわ私は一人で...」



雪ノ下の願いは通じず由比ヶ浜が

いいからいいから♪と押されて風呂場の方へ

向かって行った。



八幡「ほんとあいつら仲良いな。はぁ」


小町「あ、お兄ちゃんもしかして嫉妬ぉー?」



そう言って小町は俺のほうを見てにやにやしている。こいつめ、



八幡「ばか、そんなんじゃねえよ」



でもたしかに奉仕部に入ってきたばかりの

頃よりあの二人は確実に仲良くなっている。

こういうのは俺からしても嬉しい、

雪ノ下もトゲが削れていってる様な気がするしな。



風呂場の由比ヶ浜たちの会話が反響して

ここまで聞こえることに気づいた。



雪ノ下「ちょっと!自分で洗えます!ひ..」


由比ヶ浜「大丈夫だよぉ〜。私が洗うから!」



こんなやり取りが行われている...

むぅ、なんかいろいろ妄想してしまうな。

やばいやばい☆



小町はコタツでくーくー寝ている。

無理もないか、こいつ俺を捕まえようとして

五時起きで今に至るんだし、


風邪をひくぞと起こしてやろうかと思ったが

このまま寝かせてやることにした。



由比ヶ浜が起こしてくれて目が覚めた。


どうやら俺も30分ほど寝ていたらしい。

小町は未だに隣で くーくーと寝息を立てて

いる。

ふと、俺の寝顔見られてたんじゃ

ないだろうな、と心配になる。



由比ヶ浜「ふふ、大丈夫だよヒッキー。よだれとかは出てなかったよ?」


八幡「お、おう」



やっぱりか!くそ、俺としたことが油断をしすぎてうっかり醜態をさらしてしまった。



雪ノ下「はぁ...相変わらずだらしのない男だわ。そ、それとお風呂空いたわよ」



八幡「相変わらずは余計だ!ま、俺も入ってこようかね...」



言いつつ俺は寝起きの重い腰を上げる。


こいつらが上がったばかりの風呂...

いやなんかエロくねこれ?

やばいやばいと思ったがそれも一瞬だけだ。



雪ノ下「あ、もちろんお風呂は張り替えて置いてあるわよ?」



雪ノ下がふふ、と不敵な笑みを浮かべ、

由比ヶ浜がきょとんと頭の上に?マークを

浮かべていた。


ま、分かりきっていたことだけどな..と思う。

風呂から上がったばかりの

雪ノ下の頬は上気していて、いつものツンデレ

より今日はデレが少し多く感じた。



────


風呂から上がると

この冬の寒さを実感し直した。

うーさむさむ、と俺は部屋に戻る。


八幡「ねむっ....ふぁ。、」



雪ノ下「あら、おかえりなさい」


風呂から上がった俺に一番に声を掛けたのは

意外にも雪ノ下だった。



小町「あ〜、今のおかえりなさいってなんだか

新婚夫婦みたいじゃないですかぁ?」



ばっ、何言ってんだこいつ!

そんなこと言われたら俺も恥ずかしいっての!

どうやら小町の空気の読めなさは俺譲りらしい。


雪ノ下「ばっ...!ごほん」


雪ノ下「比企谷くんと.....くだらない事言わないでもらえるかしら小町さん?」



雪ノ下も珍しく噛んでしまう程に動揺している

様である。よほど結婚するのが嫌らしいな。

まぁそういう遠回しな嫌味も俺は馴れっこ

だからメンタルノーダメージだぜ!


...嫌な特性だな。



八幡「へいへい、なんと言われようと気にしませんよ女王様」



雪ノ下「別にそういう嫌味を込めたわけじゃないわ...はぁ、あなたのその癖治したほうがいいわ」


由比ヶ浜 ( ....... )



まただ。

妙な沈黙が訪れる。


しばらくしてからその沈黙は破られた。



小町「まあまあ先輩方♪お話はお布団に入ってでもできますし、そろそろ寝ませんか?」


八幡「んー、そうだな 俺もそれでいいと思う」


雪ノ下「そうね」


雪ノ下も賛同する。


由比ヶ浜「お布団でおしゃべり...なんか修学旅行っぽいかも♪」



由比ヶ浜はテンションが急に上がり、

ウキウキし始めた。



中学の修学旅行、か。




教師『はーいじゃあ皆さん班分けは終わりましたか?』


教師『え、何?また比企谷くんが余ったの?そうね...じゃあ人数が少なめの2班のグループに入ってもらおうかしら』


そうして俺は剣道部の男子軍のグループに

無理やり入れられ修学旅行の一夜を

暑苦しい男どもと過ごしたのだった...。


あいつら散策後の自由時間も部屋で

筋トレしてるんだもん...怖い怖い!

ちなみに俺は夕飯後に布団を1人で敷いて寝た。

ヒソヒソ声がなんか聞こえた気がしてたけど

気にせず寝た。



くそ..嫌なもん思い出したわ!




八幡「ま、客間が空いてるからお前らそこで寝ろ。俺は部屋でいい。」


小町「あ、お兄ちゃんもしかして照れてる〜?」


由比ヶ浜「私は別に....ヒッキーなら気にしないよ?」



おいおい気にしないとか言われても

俺が気にするんだっての!

最近の女子は貞操の管理が甘いと思う。

いやもしかして俺が男として見られてない

だけ?八幡つらい...



八幡「別に気を遣ってもらう必要ねぇよ..雪ノ下とか怖いし」



雪ノ下「あら、私は鬼じゃないわよ?人としての優しさは持っているつもりよ。」



意外な反応に俺は雪ノ下の方へ振り返る。

何を言ってるんだ?という俺の表情を読んでか

雪ノ下がさらに続けた。



雪ノ下「別に、一緒でも構わないって言っているのよ....」



はぁ、と息を吐きながら雪ノ下は言った。


彼女のことだ。

もしかしたら居候として勝手な意見を言えない

と自分で思っての発言かもしれない。

だが俺はその優しさに甘えることにした。



八幡「ったく...人遣いが荒いっ!っての」



俺は客間に4人分の布団を川の字に敷いて

やる。いやもうこれ川|だな!


八幡「ま、お前ら適当に寝てくれや」


みんなもぞもぞと布団に入りだす。



雪ノ下「何から何まで悪いわね。一応...ありがとう。」


小町「またまた小町のポイントが上がっちゃうよ〜♪」



出た小町の謎の設定!通称小町ポイント。

貯まったら何に使えるのかねぇ。



由比ヶ浜 ( .......... )



また少し沈黙が生まれる。

今日は色々あったしみんな疲れてんだろうな。

特に雪ノ下と俺はこういうのに慣れてねえ

からな!由比ヶ浜は知らんが...

ん?



八幡「おい、小町」


小町「んー、何?お兄ちゃん」


小町がごろん、と眠そうな身体をこっちに向ける。


八幡「そういやお前が友達と泊まりしたのって中学の頃以来じゃないか?確かあれは部活の

友達とか言ってた気がする」


小町「んー、たしかにね。てかなんでお兄ちゃんそんなこと覚えてるの!?」


雪ノ下「あなたシスコンにも度があるわよ?

小町さん、もう少し私の方に寄りなさい」



全員に「うわぁ」って目で見られている。

何これ俺なんか変なこと言った?

お兄ちゃん、小町が心配だけなんだよ!



小町「まあ私もお兄ちゃんに心配かけまいとして控えてるんだ..」


八幡「え?」


なんだこいつ。こんな兄思いの妹が他に

いるのだろうか??お兄ちゃん嬉しいぜ!



小町「あ、お兄ちゃんもしかして小町のポイント上がっちゃった?」



侮れねえ...やっぱり俺の妹って感じだわ。

小町策士!


由比ヶ浜「あはは....」



由比ヶ浜が乾いた笑いをする。

こいつ葉山たちといる時もこんなじゃないか?

こいつらしいが、らしくない気もした。



しばらくして、女子たちがわいわい

し始めた。ちなみに俺はただゴロゴロ

しているだけだ。真のぼっちは学校だけならず

内輪の中でも孤独を演じるのさ!

言ってて悲しいぜおい。


会話の内容は恋愛系の話らしい。



由比ヶ浜「え〜、どうなのゆきのん?」


雪ノ下「答える義務は無いわね」


小町「あ、じゃあもしかしているんですか〜?

す、き、な、ひ、と♪」


雪ノ下「なんでそういう解釈になるのかしら...

いないわよ、私そういうの苦手だもの」



雪ノ下が...ねぇ。

あいつが誰かと付き合っているところを想像

してみようとしたが無理である。俺が得意な

妄想力を駆使しても想像できなかった。

あいつの面倒みてやれる男なんかいんのかね..



由比ヶ浜「あ、あの..さヒッキーはどうなのかな?いま好きなひととか...」



由比ヶ浜がごにょごにょと俺に話題を振ってきた。



三人とも真剣な目で俺を見ていたが、

質問にノータイムで即答してやる。

てかこいつらこんなに真剣に聞いて俺の話を

弱みにでもするつもりですかね?怖えよ! !



八幡「いや聞くまでもないが、俺は学校生活においてくだらない恋心を抱くことはもうないだろうな」



絶対に恋はしない。中3の頃にそう決めるに

至った過程を由比ヶ浜に話してやる。



────



女子A「比企谷くんってSちゃんの事が好きなんだよね??」


八幡「え、なんで知ってるの?」


女子A「あー...なんか態度で分かるかな?Bちゃんの前だと挙動不審だし。でね、Bちゃんが

迷惑だからもうやめてって言ってたから

それだけ伝えようと思ったんだ!」


女子「じゃあまたね!なんかごめんね?」


八幡「あっ...ちょ..ま!」



その後女子Aはパタパタパタと下駄箱へ向かって

去っていった



────



こんな感じで俺の青春は幕を閉じた。



八幡「Sちゃんを好きになったのはつい最近で、

告白は愚か好きだという自覚をし始めた時期なのに振られるってなんだよ!エスパーかよあいつら...」


由比ヶ浜「うわぁ。きも...なんかごめんねトラウマを思い出させちゃって」


八幡「気にすんな、そこらへんは慣れてるからな俺」


雪ノ下「少しでも話に興味を持った私がばかだったわ」


八幡「うっせえ!あとは由比ヶ浜だな?

お前はどうなんだよ、いんの?好きな人。」



由比ヶ浜はぴくっとして

あわあわあわと手を振る。チワワのマネか?

暗闇で分からないが顔も真っ赤に違いない。



由比ヶ浜「は、は、はぁ?何言っんのヒッキー!いるわけないし!ほんと何言ってんの?きもいきもい!」


八幡「な、なんかすまん」



キョドりすぎだろ...

やべ、予想以上の反応に思わず謝っちまった!


由比ヶ浜の発言が嘘かどうかは分からないが

信じておくことにした。

ま、しつこい男は嫌われるって言うしなぁ。



雪ノ下「私も少し気になるけど、追求するのは気が引けるわね」


由比ヶ浜「う、うん」



話を終わらせようとしたのかは分からないが、

雪ノ下が提案する。


雪ノ下「もう遅いし、そろそろ寝ないかしら?」


時計を見ると時刻はすでに12時を回っている。

雪ノ下なら確実にもう寝ている時間帯だろう。

俺も眠いし賛成しておくかね。



八幡「そうだな、お前らも今日は疲れただろ?もう寝ようぜ」


由比ヶ浜「そうだね...あたしもなんか...ねむい、かも」


由比ヶ浜は言いながらむにゃむにゃと首を上下させている。眠いなら早く言えよ...!


小町「わたしはまだ眠くはないけどお兄ちゃんに従うよ♪あ、もしかして今のポイント上がっちゃった?」


八幡「おう上がった上がった」



適当に小町に返事をしてやると、小町は

むぅ~と言って拗ねた。

可愛いけどあざといな...



















































































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2: SS好きの名無しさん 2019-12-03 06:42:33 ID: S:fpJr5b

シャンパンも酒だぞ


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