長湯提督と球磨型
提督と球磨型5人がお風呂に入るよ。
酒の勢いで書いた。
あんまり後悔はしていない。
風呂にて。
提督「ふぅー。 やはり一日の〆は風呂だな」
提督「熱い湯にじっくり浸かれば疲れも取れるってもんよぉ」
球磨「熱い風呂は体に良くないらしいクマ。 もう少しぬるめで入るクマ」
提督「確かにそういう話は聞くなぁ」
球磨「球磨的にもぬるい方が好みクマ」
提督「そうかぁ……」
球磨「そうクマ」
提督「………」
球磨「………」
提督「……なんで男風呂にいんの?」
球磨「女湯は今酒盛りが始まってるクマ。 それでこっちに逃げてきたクマ」
提督「そっかー。 それは災難だったな」
球磨「ついでに言えば、こっちの方が空いてるから向こうが多い時はこっちに入ってるクマ」
提督「まあ、向こうの方が圧倒的に広いけど、こっちもひとりじゃ有り余るくらいはあるからなぁ」
提督「しかし、あれだ。 今の状況ってわかってる?」
球磨「提督と一緒に風呂入ってるだけクマ」
提督「そうなんだけどよ……」
球磨「裸の事言ってるなら、毎度中破大破して服が破れるからなんとも思わなくなったクマ」
提督「慣れって怖いな」
球磨「提督は球磨と一緒に入るのは嫌クマ?」
提督「別に嫌って事はないなぁ。 でもモラルってモンがあるじゃん?」
球磨「艦隊が帰還した後は皆半裸でうろついてるクマ。 モラルもクソもあったもんじゃないクマ」
提督「んじゃいいのかー」
球磨「いいクマ」
提督「しかし、すまねぇな」
球磨「何がクマ?」
提督「さっき言ったろ? 中破大破の件だよ」
球磨「ああ。 でも撃沈だけは絶対にさせないように指揮してるのは皆わかってるから、誰も文句は言わないクマ」
提督「……俺の指揮ってやっぱわかりやすい?」
球磨「すっげーわかりやすいクマ。 球磨が相手の指揮官なら負ける気はしないクマ」
提督「……やっべ、結構ヘコんできたわ……」
球磨「まあでも、提督はそれでいいと思うクマ」
提督「……そんなわかりやすい指揮なのにか?」
球磨「わかるのは球磨たちだからクマ。 そして、球磨たちは敵に回る事は絶対にないクマ」
球磨「ついでに言えば、提督が今まで通りの指揮をしていれば小さな負けはあっても大敗する事はないクマ」
提督「なんか釈然としねーが、そこまで言うなら今まで通りにやろう」
球磨「それでいいクマ。 さて、球磨はそろそろ上がるクマ」
提督「おう、俺はもう少し入っておく」
球磨「あんまり長湯も体に良くないからほどほどにするクマ」
提督「わーったよ。 お休み」
球磨「お休みクマー」
………
……
…
数日後の風呂場。
提督「………」
多磨「………」ジー
提督「……多磨、何やってんの?」
多磨「提督見てるにゃ」
提督「なんでまた」
多磨「この前ねーちゃんが提督と風呂入ったって言ってたにゃ」
提督「入ったというか居たというか」
多磨「過程はどうでもいいにゃ。 重要なのは結果にゃ」
提督「ああ、そう。 で、入るのか?」
多磨「もう少し待てにゃ」
提督「………」
多磨「………」ジー
提督「……そいうや昔飼ってた猫がさ、風呂入ってたら『こいつ何やってんの』って感じで覗きに来るのよ」
提督「あれってなんなんだろうな」
多磨「多磨は猫じゃないにゃ。 猫じゃないけどソイツの気持ちはわかるにゃ」
提督「やっぱ猫じゃん……」
多磨「猫じゃないにゃ!」
提督「……まあ、いいけどさ、流石にそこから見られるのもなんか落ち着かないんだけど」
多磨「……しょうがないにゃ。 入ってやるにゃ」ガラッ
提督「……まさかの全裸待機かよ。 さっさと入ってこい。 風邪引くぞ」
多磨「ふー。 あったかくて気持ちいいにゃー」
提督「一応、ウチの主力なんだから妙な事はやらないでくれよ……」
多磨「一緒に風呂に入る事は妙な事じゃないにゃ?」
提督「ばれたら即憲兵行き。 んで俺の左遷は間違いないだろうな」
多磨「そいつは困るにゃ。 多磨たちの御飯のためにも秘密にしなきゃダメにゃ」
提督「てめぇらが喋らなけりゃ、何処にも漏れねぇよ」
多磨「そういや、提督は裸で入ってきてもなんともにゃいにゃ? 御子息も落ち着いてるにゃ」
提督「……さらっと下ネタぶっこんでくんなよ」
多磨「ねーちゃんもなんもなかったって言ってたにゃ。 提督はもしかしてホモだったりするにゃ?」
提督「しねぇよ!?」
多磨「じゃあなんでにゃ?」
提督「俺が長湯なのは知ってるな?」
多磨「勿論にゃ」
提督「俺にとって風呂ってのは『疲れを癒す場所』と『今日を反省する場所』なわけよ」
多磨「反省する場所?」
提督「たとえば、今日の戦で負けたとするだろ? まあ、負けは負けだ。 執務中は仕方ないと割り切るんだが」
多磨「ふむふむ」
提督「一通り仕事が終わると、負けた事が歯痒くて仕方なくなるわけよ」
多磨「それで夜見かけたときは不機嫌な感じがするわけにゃ」
提督「まあ、そうだな。 んで、風呂に入って今日は何が悪かったかを考えるってわけよ」
多磨「つまりそんな事考える余地がないにゃいってことにゃ?」
提督「そういうこと。 因みに今日は多磨の演習でのポカミスについて考えている」
多磨「おっと、多磨は用事を思い出したにゃ。 これにて失礼にゃ」
提督「……チッ。 のぼせあがるまで説教しようと思っていたんだがな」
提督「まあいい。 危機回避能力はあるみたいだし、次は真面目にやるだろう」
………
……
…
そのまた数日後の風呂場。
提督「あー風呂はいいなー! コンチクショウ!」
北上「みんなで入るお風呂もいいもんだよ。 ね、大井っち」
大井「ええそうですね。 なんですか提督? 北上さんと私と入るのが嫌ですか? 魚雷、撃ってもいいですか?」
提督「魚雷はよかねぇよ。 つーかなんで俺が入ってる時に入ってくるワケ? 先か後でもいいじゃねぇか」
北上「提督と一緒に入りたかったんだよー。 言わせないでよはずかしい」
大井「私は北上さんと一緒に入りたかったから仕方なくだけどね」
提督「お前らはその辺の欲求に対してはストレートだよな」
北上「言われてみればそうかもね」
大井「私はそんな事ないですよ?」
提督「てめぇが一番欲望ダダ漏れじゃねぇかよ!」
大井「私は北上さんだけです!」
北上「まあまあ、提督も大井っちも落ち着きなよー」
提督「お前らといるとつっこんでばっかで疲れるわ……」
北上「そういやさっき『欲求にストレート』みたいな事言ってたけど、その辺は木曾が一番すごいよー」
大井「ですねー。 あの子、やりたい事は何があってもやりますからね」
北上「この間の海域攻略の時とか大変だったよねー」
提督「……ああ、ボロッボロで戻ってきたあの時のか」
北上「あの時は艦隊のほとんどが中破大破してたんだけど、夜になったらひとり突っ込んでいってね」
北上「結果で云えば、あの子が旗艦落としてくれたおかげで攻略出来たようなモノだったんだけどさ」
大井「あの後皆でお説教でしたからね」
提督「説教か。 そういえばあの時は球磨が『球磨がしっかり言って聞かせるから、提督はいつも通り労って欲しいクマ』とか言ってたな」
北上「ぷ……、くくくくく」
大井「ふふふ」
提督「なんかおかしい事言ったか?」
北上「そんな事ないんだけど……、くくく、やばい腹筋が、大井っち、パス」
大井「その時の説教で球磨ねえが『あれは球磨の獲物だったクマ! 勝手に取るんじゃねークマ!』って言ってましたね」
提督「何言ってんだあいつ」
大井「そして、あの子は『これだけはねーちゃんにもゆずれねぇ!』って啖呵きってましたよ」
提督「似たもの姉妹だな。 つーかお前らも自分で沈めたかったって言ってたじゃねぇか」
北上「まーねー。 あいつらには散々苦渋を味わされたからねー」
大井「多分ですけど、倒したのが木曾じゃなかったら、私たち5人で次の海域勝手に行ってましたよ」
提督「とんでもねぇ傷心旅行があったもんだな」
北上「まあまあ、海域も攻略出来たし、誰も沈まなかったし、結果オーライなんじゃない?」
提督「……木曾含めてお前ら球磨型がちっとは自重してくればいいだがなぁ」
大井「申し訳ないですけど、他の子より後に沈むつもりはありません」
提督「一応言っとくがな、お前らが命令無視しなけりゃ俺の指揮じゃ沈ませんからな」
北上「おーっと、提督が説教くさくなってきたねぇ。 大井っち、ずらかるよー」
大井「はーい、北上さん」
提督「ったく……」
………
……
…
次の日、風呂場。
木曾「提督ー! 一緒に入ろうぜ!」
提督「……またか」
木曾「姉さん達と入っておきながら、俺と入るのは嫌とは言わないよな?」
提督「……もし、俺が嫌だと言ったら?」
木曾「勿論、入る! 何、俺とお前の仲じゃないか!」
提督「はぁ、やっぱお前らは我が強いわ」
木曾「褒め言葉として受け取っておこう」
提督「まあいいや。 時に隼鷹から酒をもらったんだが呑むか?」
木曾「風呂で酒か。 アリだな!」
提督「風呂で呑む時は酔いの回りが早いから、そんな呑ませねーからな」
木曾「了解だ。 まあ、呑み足りないなら風呂上がってから呑み直そうぜ」
提督「猪口が一つしかないが、構わんだろ?」
木曾「構わねーよ。 つーか姉さん達も気にしないだろ」
提督「だな。 ほれ」
木曾「サンキュー。 おお、こりゃ旨いな」
提督「なんでも、知り合いの酒屋から安く仕入れたらしい」
木曾「人脈ってのは大事だなぁ」
提督「まーな。 でもお前らのご近所さん付き合いも結構助かってるんだぜ?」
木曾「昨日は漁港のおっさんが鯖持ってきてくれたっけ」
提督「毎日ってわけじゃないけど、週に3、4回はどっかから差し入れとか来るからな。 ありがたい限りだ」
木曾「そういや、花屋のおばちゃんが提督が娘さんを貰ってくれないかねーって言ってたぜ」
提督「……なんでそんな話になってんだ?」
木曾「そりゃもう、俺らがそこら辺で喋って回ってるからな。 ウチの提督はいい男だーって」
提督「こんな部下と一緒に風呂に入ってる男がか?」
木曾「これは俺が入りたいからいいんだよ。 ここだけの話、鎮守府内でも提督狙ってるヤツ結構いるぜ?」
提督「マジか」
木曾「マジだ。 ほれ、返盃だ」
提督「おう。 ありがとよ」
木曾「時に、提督は身を固める気はないのか?」
提督「んー? 将来的にはって感じだな。 まあ、40位までにゃどうにかしたいと思う」
木曾「ほーう。 そりゃいい事を聞いたぜ」
提督「つっても、先の事は判らんぞ? 俺の気が変わるかも知れんし」
木曾「という事は、早まるかもしれないって事か」
提督「……まあ、その可能性も無きにしも非ずってところだな」
木曾「了解だ。 いい話も聞けたし、俺は先に上がらせてもらうぜ」
提督「あーそうだ。 上がる前に一つ」
木曾「どうかしたか?」
提督「ちょっと興味が湧いたんだが、俺を狙ってるのって誰よ?」
木曾「フフ。 全部言うと湯ざめしそうだからヒントだけだ」
提督「まあ、それでいいや」
木曾「とりあえず、今までで一緒に風呂入った事ある奴だと言っておこうか。 他にもいるけどな」
提督「そりゃお前……」
木曾「んじゃ、湯ざめしねぇウチに上がるぜ」
提督「おう……」
………
……
…
翌週、風呂場。
提督「……やっぱこうなるのかよ」
球磨「やっぱ皆で入る風呂はいいクマー!」
多磨「ぽかぽかにゃー」
大井「北上さん、流しっこしましょう」
北上「いいよー、大井っち。 まずは私が洗ってあげるねー」
木曾「こんな機会はそうそうないからな。 ほら、この前の酒のお返しだぜ」
提督「……貰うわ。 呑まなきゃやってられん」
球磨「球磨も貰うクマー」
木曾「おう。 ほい、球磨ねぇの分だ」
球磨「流石木曾クマ。 気遣いの出来るいい女クマ」
木曾「そりゃ好きな男がそばに居ればそうなるさ」
提督「……おい」
多磨「その人選は止めた方がいいにゃ。 提督は多磨が貰うにゃ」
球磨「お前らに提督はやらねークマ」
木曾「いくら姉貴でもこれは譲れないね!」
球磨「姉に楯突くとはいい度胸クマ。 お前ら表に出ろクマ! 全員ぼこってやるクマ!」
多磨「ねーちゃん、ねーちゃん。 それは流石に提督が止めるにゃ」
球磨「チッ。 命拾いしやがったクマ」
木曾「しかし、提督を射止めるいい手段はないもんかね。 なあ?」
提督「……なあって、ここで俺に振るのかよ」
多磨「そりゃ、提督がこの話の中心にゃ。 提督が言えば皆納得するにゃ」
球磨「まあ、提督が言うなら全裸で鎮守府一周も余裕クマ」
提督「止めろよ!? 絶対止めろよ!? そんな事やられたら俺が死ぬわ!」
北上「お、そういう振り?」
大井「提督も助べえですね」
提督「マジで止めてください……」
木曾「で、実際なにか何のか? いくら好きな男が同じとはいえ、姉妹で取りあいたくない」
多磨「提督がこの中から誰か選んでくれれば、キッパリ諦めるにゃ……」
北上「あ、私を選ぶなら自動的に大井っちもついてくるからお得だよー」
大井「因みに私を選んでも北上さんが付いてきますよ」
提督「そんなセット商品みたいに言ってんじゃねぇよ」
球磨「……もしかして提督はこの中に娶りたいのは居ないクマ?」
木曾「……そう、なのか?」
多磨「……そういう事なら、多磨はきっぱり諦めるにゃ。 提督に不快な思いはさせたくないにゃ……」
北上「……提督」
大井「………」
提督「そんな今にも泣きそうな顔で見るんじゃねぇよ……」
提督「木曾、この前言ったよな。 まだ結婚する気は無いって」
木曾「……ああ、そんな事言ってたな」
提督「確かに、今はまだ結婚する気はない。 だがな、結婚したいと思っている奴はいる」
北上「……ッ」
大井「……北上さん……」
提督「……そしてそれは複数居るんだ……」
木曾「はは……。 そりゃねぇよ……」
球磨「何人いるか知らないけど、球磨たちはピエロだったわけクマ」
多磨「……たまったもんじゃないにゃ」
提督「この際だ、はっきり言わせてもらおう」
提督「俺が好きなのは……」
球磨「………」
多磨「………」
北上「………」
大井「………」
木曾「………」
提督「……お前らだ」
5人「………は?」
提督「だが、今の俺は誰かを選べない。 よって! お前ら全員と『ケッコンカッコカリ』を行う!」
球磨「つまり、どういうことクマ?」
多磨「あれにゃ、提督は球磨型ハーレムを御所望ってことにゃ」
北上「ということは、私と大井っちだけじゃなくて……」
大井「みんなとこれからも一緒って事ですね!」
木曾「流石提督! まさか、こんなハッピーエンドがあったとは!」
提督「……自分の優柔不断を棚に上げてなんだけど。 お前らそれでいいのか?」
球磨「これでいいクマ!」
多磨「むしろこれがいいにゃ」
北上「それじゃ、書類と指輪持ってきてねー」
大井「私たちは先に『提督の部屋』に行ってますね」
木曾「んじゃ、俺らは先に上がらせてもらうぜ」
提督「おう……」
…………
……
…
皆が風呂を出てから。
提督「……まさか、こんな結果になるとは思わなんだ……」
提督「まだ心臓がバクバクいってるよ……」
提督「今日は長湯は出来そうにないな」
提督「……あいつらの、嫁候補のところに行くとするか」
おしまい。
最初は普通のコメディで書いてたんだが、どうしてこうなった。
さすが、球磨さん堂々たる真っ裸!
やっぱいいよねー球磨型