2017-02-10 15:11:42 更新

前書き

うまるが好きな人はブラウザバックして




ー今日も1日が始まる


何ともない日常。毎日繰り返すと身体に沁みつくもので、手際よく1人朝食を済ませ1人会社へと向かう。真面目に職務をこなし上司に頭下げ続ける日々。そういえば今日は叶課長にちょっかいかけられた、たまにしか会えないけど面白い人だなぁ。あの人も俺も、30代だしそろそろ結婚を考えないとな


仕事が終わる。さて、晩ご飯の用意でもしようか。今日は早く終わったし久しぶりにハンバーグにしよう、確か○▽×の好物だし。

ん?○▽×ってなんだっけ… まあ、いいか。


よし、早速調理に取り掛かりろう。っておいおいこのひき肉じゃ2人前じゃないか… 1つは冷凍しておこう。


うん、中々の味だ。試しに隠し味としてピーマンを入れてみたがこれもイケる。それこそ嫌いな人でも気づかず食べてくれるような、初めてやったとは思えないような。


さ、後片づけと。食器を洗う。一人分だから当たり前だけど結構ラクだよな


明日は早いことだし今日も疲れたから早く風呂入って寝ようかな。バスタオルどこだっけ。んー、あったあった。あれ、この部屋、ずいぶんと物寂しいけどいままで使ってなかったっけーー


風呂は1日溜まったストレスを癒してくれる。でも年を取ったせいかな、長くは入らなくなったか


歯みがいて頭乾かして、もう11時30分か。ハムスターにエサやって布団入ろう


よしよし、ハムスターは可愛いな。特にこの耳のあたりなんか動物とは思えない愛着があるし


はー今日もお疲れさま。この寒い季節、ふとんの中はまさに天国だ。とても心地良い。ぬくぬくだ。身体が熱とともに睡魔に包まれていくのを感じる。ぐぅ…



……ん、あったかーい



ん?なんだ今の声は。どこかで聞いたことあったっけ



おふとん、あったかーい



まさに極楽、を体現してるような、そんな声が脳裏によぎる。誰かは分からないけど何度も聞いたことあるような、馴染みのある声。いったい、誰だ… ぐーぐー








……ん………けて………るだよ……………………てば…








日が明ける。昨夜はへんな夢だった、思い出そうとすると頭がズキズキする。


今日も”いつも通りの日常”が始まる


っておいおい、ハムスターが籠から逃げだしてるぞ…こいつと、こいつ。あとはそいつで最後か。ふぅ、時間はかかったが何とか元どおりにできた。よくこんな所から抜け出せるな、今度新しいもの買ってこよう。と、ヤバイヤバイ会社に遅れる急がなければ。駆け足でいけばいつもの電車に間に合うな、よし。


その日、タイヘイは焦っていた。曲がり角から迫ってくる車に気づかずーー


あ。身体が猛烈な勢いで弾き飛ばされる。頭から地面に叩きつけられ全身に激しい痛みが襲う。呼吸もままならない。しかし薄れゆく意識の中、タイヘイはこの痛みにデジャヴを感じていた。







ああ、そうだ。やっと思い出せた

……ごめんな、うまる









ーーなんでもない日だった


おにいちゃーんポテイト買ってきてー。たまには自分で買ってこい、うまる。なにげないやり取りを交わし、結局俺が買いにいくというこれまたなにげない日常を送る。今日はうまるの好物のハンバーグだぞ。本当?やったー! 生意気でワガママな妹ではあるしストレス溜まらないと言えば嘘になるけど、あの屈託のない笑顔に元気を貰っていたのも事実だ。こんな何でもない日々が、大学生、社会人になってもずっと続くと信じていた。



終焉は突然訪れた。怪しげなスーツを身に纏った男たちが押しかけてくるやいなやーー


ここは土間タイヘイ・うまるの家で間違いないか! はい、そうですが…。国の命令で土間うまるを連行する!! は?何を…


次の瞬間、背後にいた何者かに気づかず頭を鈍器で殴られていた。世界が歪んでいき絶望に顔が歪むを”妹”を見届けながら、タイヘイはある”薬”を飲まされていた






本場の報告通りだ、確かに身体が縮んでいる

助けて!!!おにいちゃん!!!おにいちゃん!!!


ん……誰、というか何物だ…?人間の顔に、ウチのハムスターのような輪郭、とても不思議な図体をしている






うまるだよ!?ねぇ助けて!!うまるだってば!!


うまる…変わった名前だな。それがこの生物の名前なのか






ムダだ。こいつは先の薬でオマエに関する記憶をすべて失っている。

ぇ、そんな……


その顔にはとてつもない絶望感があった







心配するな、オマエにはこの専用の薬を使って実験動物として働いてもらう。なんと不死の薬だ。無論、まだ人間には使ってないがな。オマエは人間にして身体を縮小できる”特例”だ、じっくり研究させてもらうぞ。


何やら可哀想なことになってるのは分かったけど身体が思うように動かない、まあ知らない生物だしいいかな。お気の毒に。







それ以降謎の”生物”も泣き叫ぶのを止め、頑強な男たちによってどこかへ連れて行かれた。タイヘイは特にどうすることもできずにただ見守るだけで、家に戻ったら


あれ、この部屋なんの部屋だっけ…


もぬけの殻と化した一部屋が、淋しく佇んでいたのだった












意識が遠のく。これが最期か、短い人生だったな。


ーーぃちゃん、ごめんなさい


【5年前に失った妹】を取り戻し、謎の多幸感に包まれながらタイヘイは息を引き取ったのだった


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