2017-03-22 21:50:41 更新

前書き

初投稿です。


「美優さんの子供の頃の夢って何ですか?」

「急にどうしたんですか、楓さん」

「ほら。幼稚園だったり、小学校の時によく自己紹介で書いたりするあれです」

「そうですね…たしか、“お嫁さん”だったでしょうか」

「わぁ、大胆ですね。子供の頃の美優さん」

「や、やめて下さい。楓さん。子供の頃はそういうものではないでしょうか」

「うふふ。それもそうですね」

「楓さんはどうだったんですか?」

「どうだったでしょうか。あまり覚えていませんね」



「あっ、楓さん。もう来てたんですね」

「どうも。似合っていますね、美優さん」

「もう、お世辞はいいです。私なんかでは不釣り合いですよね」

「いいえ。今までの美優さんの中で一番綺麗ですよ」

「そ、そんな。あ、ありがとうございます」

「おめでとうございます。夢、叶いましたね」



美優さんとあの人はお似合い。純白のウェディングドレスも。お揃いの指輪も。


式は何事もないまま、進んで行く。



式の帰り道。私は泣いた。生まれてきた時と同じくらい。もしかしたら、私は生まれ変わりたかったのだろうか。今になってそんな事を考える。



好きでした。美優さん。

少し悲しくって、悔しくって、胸が苦しくなって、こんな自分が情けなくなってしまいます。


幸せになって下さい。


こんなありふれたような言葉しか言えない私だけど、世界で一番貴女を愛していました。


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