2022-06-02 22:32:19 更新

概要

割りと細かく更新します


前書き

これは5年前に書いたSSの続きです。
多分当時のアニメストーリーに沿って書いてたものなので
つじつまが合わないかもしれませんが
最後まで書きます。

コメント、評価としおり。誠にありがとうございます!励みになります!今後とも精進してしくので、よろしくお願いします。
今日はもう寝ますね4/11 1:54


比企谷八幡に憧れた人がここにいる。


比企谷八幡を目標としてきた人間はここにいる。


青春を真っ向から否定したその考え方に彼女は感激した。


ならば彼女は二代目比企谷八幡と、言えるであろう。




留美「青春とは嘘であり悪である、青春を謳歌せし者達は常に自己と周囲を欺き。自ら取り巻く環境のすべてを肯定的に捉えるものである。彼女らは青春の二文字の前ならば、どんな解釈も社会通念もねじ曲げて見せる。彼女達にとって嘘も失敗も秘密も罪とがさえ青春のスパイスでしかない。」



留美「結論を言おう青春を楽しむ愚か者ども」



『砕け散れ。』







比企谷のその後


八幡「zzz…」


いろは「せんぱーい!やばいです!遅刻ですよぉ」


八幡「ん?いろはか?」


いろは「そうですよ!いろはです」


いろは「じゃなくて先輩!今日から新しい学校じゃないんですか?」


八幡「……、いま何時?」


いろは「ん!」グイ



いろはは少し表情を曇らせながら、目覚まし用の時計を見せつけた。


八幡「あ?!9時?」


時計の針は9時13分を示していた。学校には10時についてなくてはならない事になっているのだが、このままだと遅れてしまう。


八幡「すまん、先に行くわ飯はいい!」


急いで身支度を済ませ、車に乗り込む。

俺は似合わず教師という職を選んだ、平塚先生に影響されたかは分からんが、一番安定した職に就いた。


因みに余談だが今年の夏に結婚することになった。相手はいま同棲している彼女、もと後輩『一色いろは』だ。


俺が卒業したあと彼女は生徒会を全うした、そして彼女の卒業式の日にご褒美と称して付き合うことになったのだ。


「♪」


スマホの通知音を聞いて画面を確認する。


『頑張れ!先生(ハート)』


八幡「おう、頑張るぞ」


これから俺らは幸せになる。


そして今日が初出勤、母校である総武高校まで車で向かった。


※※※※※※※


八幡「そして着いたものの、緊張するな………」


八幡(まぁ、俺の事だ、就任式に気持ち悪いと言われるのが落ちだな)


八幡「ハハハ、………心折れそう」


???「何をぶつぶつ言っているのかしら?」


八幡「あ、すいません今日就任する比企谷八………!」


雪ノ下「って!比企谷君!?なぜここに……」


八幡「今就任するつったろ?てか何でお前もここに」


雪ノ下「……私もこの高校で働くのよ」


八幡「意外だな、お前先生とかに憧れてたの?」


雪ノ下「別に、安定した職業だからよ」


八幡「やっぱ、お前もそういう目線で職選ぶのな」


雪ノ下「いえ、実家に貢ぐのが癪だっただけよ」


雪ノ下「貴方こそ意外だわ、どこぞのヒモ、いえニートになる夢はどうしたのかしら?」


八幡「酷くなってるからな?」


八幡「それと目指してたは専業主夫な、流石に諦めたが……」


雪ノ下さんの、罵倒は久しぶりだ。今もなお健在らしいなこれは。


八幡「まぁ、あれだ一緒に働く仲間として……よろしくな?」


雪ノ下「貴方とは仲間と思われたくないわね……でも」


雪ノ下「悪い気はしないわ」スッ


握手のつもりだろうか片手を前に出す。そして俺はその手をギュッと握り友情に似た何かを感じ取った。これが友達と言うことか。


八幡「なぁ、雪ノ下良かったら俺と……」


雪ノ下「ごめんなさい、それは無理」


八幡「ですヨネー………」


初日からこのテンション俺はこの学校でやって行けるのだろうか。我ながら心配だ。


八幡「まぁ、特に用は無いし俺はこのまま職員室に行くわ、挨拶しなきゃいけないしな」


※※※※※※


八幡「えっと、おはようございます」


生徒指導「あー、新しく入ってきたヒキタニさんですね」


八幡(働いてもヒキタニなのかよ、何?流行ってんの?ヒキタニ)


生徒指導「私は生徒指導をしています、何か問題があったら遠慮なく言ってくださいね」


八幡「はい、心強いです」


???「おや、比企谷ではないか」


聞き覚えの声で男勝りなしゃべり方これは間違えない。


八幡「平塚先生ですか………?」


平塚「フフフ…覚えてくれてたのかね?嬉しいよ」


年のせいかシワは増えたようだが、相変わらずの美貌だ。

なぜか前よりも短く切られたショートの髪。


八幡「あまりにお変わりになってませんね平塚先生」


平塚「そうかね?誉めてもなにも出ないぞ?」


八幡「ハハハ」


平塚「比企谷は少し変わったと見えるがね」


八幡「俺は変わりませんよ、このひねくれた考え方もね」


平塚「ハァ……それは変えたまえ」


生徒指導「あの、平塚教頭?彼とは知り合いですか?」


平塚「ああ、彼はこの高校のOBだよ」


生徒指導「卒業生ですか」


平塚「うむ、そう言うことだよ」


八幡(嘘だろ、平塚先生が教頭!?)


風邪に吹いた噂だが平塚先生は俺が卒業したあとすぐに結婚したらしい。


八幡「あの、先生」


平塚「ははは、比企谷も先生じゃないか」


八幡「じゃあ、その平塚教頭遅れましたが」


八幡「結婚おめでとうございます」ペコ


結婚を聞いたのは俺が大学に入った頃だ当時は勉強に忙しくて手紙で賛美したが。実際に会って言ってはいなかった。


平塚「あ、あぁありがとうな比企谷」


少し引っかかる笑顔で返す平塚教頭。どうやら何か問題があるらしい。

相変わらず地雷が多い。


平塚「比企谷よ、今度は君が導く番だ、頑張ってくれたまえよ」


八幡「はい」


こうして、久しぶりの恩師の再開をし、就任式がはじまった。


女子生徒「何あれ……カッコいいんだけど」


女子生徒「あの目は気になるけど、身長も高いし確かにイケメン」


女子生徒「後で連絡先交換しちゃお///」



八幡(と、視線を受けていたたのは実は俺)


八幡(俺はイケメンになっちゃったのか?)


まさかの反応過ぎて怖いまであるぞ。


八幡(!)


ステージは思ったより高く意外と全体を見渡せることが出来た。そして俺がそこから目にしたのは。


留美「………」ジー


腐った目をした、鶴見留美の姿である。


誰しも平等に優しい者が居るなら、同時に誰しも平等に恨む者も居るはず。それが高校生の頃の俺だ。


青春を嫌い憎み嫉妬した、青春を謳歌する事を自分で許さなかった。


そんな俺と同じ目が彼女の両目にはあった。


八幡「っ!」


あんな解決はやはりダメだったのだろうか、彼女はやはり打ち解ける事は出来なかったようだった。俺は過去の自分の愚行を恨んだ。


八幡「………」


ならばその責任は俺にある。


もしかしたら平塚先生もこんな気持ちだったのだろうか。


俺は静かに決意する


第1章「話をしようか」


八幡「……」


いろは「ねぇせんぱいー」


八幡「あ?どうした?」


いろは「なにボーッとしてるんですかぁ、ご飯冷めちゃいます」


八幡「お、おう…すまん」


いろは「初日からなんかありました?」


八幡「大した事では無いんだが、雪ノ下と平塚先生が総武高校で働いてた」


いろは「そうなんですか……ってまさか先輩!」


八幡「いや、それはない」


いろは「まだなにも言ってませんけどー」


八幡「どうせ、お前の事だろうから、浮気と言うつもりだったんだろ?」


いろは「むー」プクー


八幡「安心しろ俺はそんな甲斐性はない!」


生徒にはモテていた事は内緒にしとこ。


八幡「いただきます」


いろは「どーぞ」


八幡「……」パクパク


いろは「♪」モグモグ


八幡「なぁ、いろは」


いろは「なんです?」


八幡「肉じゃが……しょっぱいぞ」


いろは「なんと!?」



次の日が、来ると俺は就任式とはまた別の緊張をしていた、そうクラス決めだ。


クラス決めには必ずしも当たりハズレがある。

問題児が半分を占めるクラスと、優秀で純粋な生徒が集まるクラス、盛り上がりが高く親しみやすいクラス。


八幡「はぁ……」


平塚「どーした比企谷」


八幡「ああ、その……馴染めるか我ながら心配でして」


平塚「うむ、私も最初はそうだった」


平塚「そのうちなれるだろう」


雪ノ下「貴方でも緊張するのね」


八幡「おいお前、俺をイカかなにかと勘違いしてるんじゃないか?」


雪ノ下「それは、だじゃれかしら……しらけるから止めておきなさい」


八幡「……雪ノ下その毒舌は生徒には放つなよ?」


八幡(ホント心配)


雪ノ下「貴方とは違って空気を読めるわよ」


八幡「ばっかお前、俺の方が読める、むしろ得意まである」


雪ノ下「本当に得意ならば、青春を棒には振らないと思うのだけど」


八幡「くっ!そう言うお前も棒に振ってたろうが」


雪ノ下「………否定しないわ」


平塚「……君達は相変わらず仲が良いな」


雪ノ下・八幡「そんなことないです」


生徒指導「教頭、これクラス替えの決定表です」


平塚「ご苦労、………ほう」ニヤニヤ


八幡「何ですか?平塚教頭にやけて」


雪ノ下「?」


平塚「二人ともこれを見たまえ」スッ


生徒指導の先生から受け取っていたのはどうやら、クラス替えの表ついに決まったらしい。


それを俺は平塚教頭から受けとり目を通した。


八幡「…………はぁ」


雪ノ下「空気を汚さないでくれるかしら」


八幡「雪ノ下これ見てみろ」


雪ノ下「!………平塚教頭の差し金ですか」


平塚「私は手を加えていないよ?偶然さ」


………………………。


『二年E組 担任比企谷八幡教諭・副担任雪ノ下雪乃教諭』


八幡「………」雪ノ下「………」


クラスメイト「……」


ザ・沈黙のホームルーム。

正直もう、居たくねぇ逃げ出したい。


だが、ここで逃げるわけには行かない、俺だってやるときはやるんだ。


八幡「と、言うことで、今日から担任になる比企谷八幡です」


八幡「好きな県は勿論、地元の千葉県で、あー、千葉の事なら何でも聞いていいぞ答えてやるから」


八幡(なんで俺、千葉フィーチャーしてるの?)


クラスメイト「あ、はい」


クラスメイト「ハハハ」


ダメだコミュ力が低すぎるっ!


雪ノ下「こんにちは、雪ノ下雪乃です、今日から副担任を勤めます」


クラスメイト男「かわいいね雪乃先生」


雪ノ下「は、はぁ」


クラスメイト男「良かったら俺と………」


雪ノ下「ごめんなさいそれは無理」


クラスメイト「あはははは!雪乃先生即答すぎ~」


クラスメイト「面白い!先生仲良くしてね」


反応が違いすぎるが、しかしこれで沈黙は避けられた。



雪ノ下「ええ、よろしくね」


八幡「………」


教室をよく見ると一席空いていた。誰の机かはだいたい予想がついていたが。


八幡「なぁ、そこの席は誰?」


クラスメイト「……あー、そこは」


ガララ


八幡「ん?」


留美「鶴見留美、私の席ですけど」


八幡「お前、どこ行ってたの?」


留美「先生には関係ないでしょ」


八幡「いや、先生だから関係あるんだが……」


留美「どうでも良いし、早くホームルーム続けたら?」


クラス「しーん……………。」


八幡(ヤバイ、このままだと変な空気になってしまう)


八幡「まぁ、いい……、今後は気を付けろよ」


ここは、あまり追及するのは、よした方がいいだろう。彼女もそれが本望であろう。だが俺は気になる、何故彼女はあそこまで変わったのか。俺は取り返しの聞かない事をしてしまったのでないのか、その疑念がどうしても消えない。


こうして元の重苦しく、気不味い空気のまま出席名簿をつけていった。



※※※※※※※※※※

放課後はやはりあの場所に行きたくなる「奉仕部」。部室にさす夕日は窓を通り抜け床にさし、教室をがオレンジ色に照らす。

懐かしい、その部室はまだ有るのだろうか。


八幡「………」コツコツ


向かう。


コツコツ


扉の前に張られた紙には『奉仕部部室』と書かれている。どうやらまだ奉仕部は廃部にはなっていないようだ。扉をスライドさせて開くと。


無造作に置かれた机、広い教室にポツリと置かれた長テーブル………窓際に置かれた机には紅茶セットとキレイに並べられたお菓子。あの頃と何一つ変わってはいなかった。ただ椅子が一つしか置いていない事以外は。


八幡「部員一人しかいないのか………」


ガララ


留美「なんで、ここに居るのよ」


八幡「俺は教師たぞ?巡回をしてただけだ」


留美「ふーん……」


八幡「なぁ、鶴見………」


留美「何?」


八幡「少し話をしようか」





第一章「話をしようか」完



第2章


留美「話?」


八幡「ああ、話だ」


留美「………何を話すのよ」


八幡「お前さっき何をしてたんだ?」


留美「別に」


八幡「話を変える………お前なんで、そこまで変わったんだ」


留美「変わった?」


八幡「お前目が腐ってるぞ?」


留美「最低私これでも女子なんだけど?」


八幡「何があったんだよ」


留美「………っち、関係ないでしょ?ウザイいんだけど」


留美「それに仮にそれを全部話して、解決できるの?」


八幡「っ」


留美「あんたさ、もしかして助けてやろうとか恩着せがましい事考えて無いよね?」


八幡「………」


留美「図星ね、そういうの迷惑なんだけど」


まるで、自分を見ているようだ、他人の意見を聞き入れず一人で黙々とこなそうとする姿勢。今の自分を肯定し、ひねくれた感性で他人を叩く。


八幡「なんだ?恩着せがましい事はしちゃダメなのか?」


留美「そう、ダメよ」


留美「さっきも言ったけどウザイ」


八幡「………割と傷つくなこれは」


留美「ふん」


八幡「なぁ鶴見」


八幡「それなんだ?」


留美「っ!!」サッ


俺が指摘したのは、鶴見留美の手の甲黒いぶつぶつだ。それを言われた瞬間彼女はその手を隠し俯く。


留美「………」


八幡「自傷癖ってやつか?」


恐らく、手の甲のぶつぶつはシャープペンシルを刺した痕だろう。芯が皮膚の中に残ってしまった物、これは速急に対処した方がいい。


八幡「流石に自傷はダメだろ?」


留美「うるさい、私の体なんだからいいでしょ?」


八幡「それが問題になったら、担任の俺が責められるんだよ…」


八幡「それにシャープペンシルの痕はなかなか消えない、これ以上は止めとけ」


留美「やっぱ、なんだかんだ言っても自分が大事なのね」


八幡「当たり前だ。教師である前に一人の人間だからな」


留美「本当に変わらないのね」クスクス


八幡「ああ、俺は俺だ」


八幡「出来ることなら楽したい」


留美「あっそ、じゃ私帰るわ」


留美「さよなら」


八幡「あ、そうだ鶴見明日は高校生活を振り返ってのレポートあるからな」


八幡「考えとけよ?」


留美「はいはい」



ガララ



と、言ったのだが。


留美「はい、先生」スッ


八幡「読ませて貰うぞ」










青春とは嘘であり悪である。


青春を謳歌せし者達は、常に自己と周囲を欺き。


自ら取り巻く環境のすべてを肯定的に捉えるものである。


彼女らは青春の二文字の前ではどんな解釈も社会通念もねじ曲げて見せる。


彼女らにとって嘘も失敗も秘密も罪とがさえも。


青春のスパイスでしかない。


失敗することが青春の証と言うならば。


友達作りに失敗した人間もまた、青春のど真ん中でしかない。


だが彼女らはそれを認めないだろう。


全ては彼女らのご都合主義でしかない。


結論を言おう青春を楽しむ愚か者ども


砕け散れ!





八幡「お前、友達いないの?」


留美「友達が居ないのは世間が悪い」


八幡「……」


留美「……なんか言いなさいよ」


八幡「いや、俺も同じこと言ってたから否定できん」


留美「そう、なら私ここで」スタスタ


八幡「ちょーとまったー」ガシ


留美「ちょっ///離して痴漢で叫ぶわよ?///」


八幡「それマジ勘弁」パッ


留美「ふん///」スタスタ



ガララ…ピシャッ



八幡「こりゃ、やり直しだな……」


※※※※※※※※※※


八幡「ただいまー」


いろは「おかえり!って何かやつれてるね……大丈夫?」


八幡「おう、全然大丈夫だ」


教師始めたばかりで、問題に当たっているとは流石に言えない。まずは鶴見留美、の周囲を知ろう。


久しぶりの人間観察、俺の本領発揮といこうか。


八幡「ククク……」ニヤニヤ


いろは「先輩っ、気持ち悪いです…」


八幡「お前までも俺を気持ち悪るがるのか」


いろは「もぉー、拗ねない拗ねない」


八幡「はぁ…」


チュッ


なんだ!頬に柔らかい唇みたいな感触がてか、唇ですよね?と言うことは。


いろは「これはお詫びです!」


八幡「///たくっお前は」


八幡「あざと可愛い」


いろは「フフッ……先輩も言うようになりましたね?」


いろは「ご飯にしましょうか」


あざといなぁ………………。


八幡「いただきます」


八幡「なぁいろは」


いろは「はい?」


八幡「女の子の嫌がらせってどんな感じだ?」


いろは「うーんそうですねぇ………って何でそんなことを?」


八幡「学校でな」


いろは「はぁ、事情は察しました」


いろは「例を上げるなら」


と、いろはは話始める。これは彼女が実際に受けた話なのだろうか。


いろは「色々ありますが、集団で来ることが多いです」


八幡「と、言うと?」


いろは「私高校の時、周りに嫌われてたんですよね」


いろは「その理由と言うのが、サッカー部のマネージャーである私の嫉妬です」


いろは「当時葉山先輩は学校内アイドルでした」


いろは「サッカー部のマネージャーは1人までなんですけど」


いろは「実は候補が結構いました」


いろは「その沢山の候補の中で私が選ばれたのです」


八幡「なるほど、それで敵に回ったのか……」


いろは「嫌がらせは本当に地味で目立たない物です」


いろは「つまり、誰にも気づかれない様に責め立てます」


もしかして、いろはは俺よりも辛い修羅場をくぐり抜けて来たのかも知れない。この意見は貴重だ。


八幡「その、ごめんな」


いろは「何がです?」


八幡「あれだ、思い出したくない事もあったろ?」


いろは「無いとは言えませんね」


八幡「だから」グイッ


チュッ


いろは「へっ?」


八幡「………お詫びだ」


いろは「~っ////」プルプル


八幡「?」


いろは「せんぱぁーい!今夜は寝かせませんよ!」


八幡「おい待て!いきなり引っ付くな!」



ドサッ



いろは「先輩………私のこと守ってくださいね?」クスクス


八幡「当たり前だ」


※※※※※※※※※※※


次の日学校に来ると、玄関先で平塚先生が掃除していた。


八幡「おはようございます、精が出ますね」


平塚「うむ、おはよう比企谷……早いのだな」


八幡「ええ、新人ですし、それに平塚教頭も早いじゃないですか」


平塚「私は教頭だからな、学校の手入れをするのは当たり前だ」


八幡「?先生どうしたんです その眼帯」


平塚「ぁ、ああ!も、モノモライができてしまってな」


八幡「そうですか、お大事に」


平塚「ところで比企谷彼女はどうだ?」


八幡「鶴見ですか?」


平塚「うむ、あの生徒は更正させた方がいい」


平塚「比企谷は見たんだろう?手の甲の痣」


八幡「まぁ、いたそうでした」


平塚「私もてを焼いた生徒でな」


平塚「どうやら、君に似ているようだ」


八幡「それ遠回しに俺が手を焼く生徒だったって言ってません?」


平塚「違うと思ってたのかい?」


八幡「ははは……」


平塚「彼女の両親がちょっと問題があってな」


八幡「家庭の事情ですか」


平塚「………母親がうつ病、父親が外国で余り帰って来れないらしい」


平塚「母親のケアをしつつ、彼女は家事をしているそうだ」


平塚「恐らく、日頃溜まるストレスで自傷をしているんだろう」


八幡「いや、多分違います……」


そこを問題視するのはまだ早い。


俺の考えが正しければまずは、人間観察をしなくてはならない。


八幡「平塚教頭」


平塚「なんだね?」


八幡「昼ごはんは、必ずしも職員室で食べなきゃ行けませんかね?」


平塚「決まりはないよ」


八幡「教室で食べてもいいですか?」


平塚「好きにするといい」




第2章完


第3章


昼休み、それは学校における休息の一時。体はもちろんの事心もリフレッシュする。ならば、その一時間彼らは 心に隙を作る 俺はそれを狙った。

これは戸部、大岡、大和の以来でやったのと同じ事である。因みに今食べてるのはいろはの弁当。羨ましいだろ?


八幡「……」モグモグ


クラスの皆が最初に行うのは、男女に別れるとこからだ。

そこからスクールカーストごとに別れてグループを取る、女子は女子、男子は男子のルールがあり、彼らはそれに従ずる。


しかし高校の時はともかく、今は一教師だ。余り生徒をじろじろ見るものでは無いだろう。

そこで俺はスマート端末の集音器アプリを入れた。



八幡「」モグモグ


『……ザザッ───』


女子A「最近、鶴見さんヤンキー気取ってない?」


女子B「あーね、でも仕方ないんじゃない?」


女子C「何で?」


女子B「鶴見さんの母親が頭おかしくなっちゃったらしいし」


女子C「えー、マジ。鬱病とか?」


女子A「かもしれないねー」


女子B「娘がヤンキーならもっと悪くなるけどねぇ」



女子「あはははははは!」


なるほど、確かに分かりづらいな。聞いてるだけだと、心配してるように聞こえるが。鶴見目線で聞くとそこそこな罵倒になって聞こえる。


それに母親がうつ病と言うのは一つのコンプレックスかもしれない。家族の事を煽られるのは思ったよりも強烈、ソースは俺。


中学のとき小町をディスった橋本をフルボッコにしました。(負けました)



俺はあることに気づいた、鶴見留美の姿が見えないのだ。


八幡「?」キョロキョロ


やはり居ない、一体どこに行ったんだ?


「ちょっと貴方」


八幡「ひゃい!?」ビクッ


呼ばれるがまま声の方に向かう。するとそこには雪ノ下が立っていた


雪ノ下「何をしてるの?キョロキョロして」


八幡「いや、鶴見が居なくてな」


雪ノ下「まさか貴方ロリコンかしら?」


八幡「んな訳無いだろ」


雪ノ下「彼女が何か問題でも起こしたのかしら?」


八幡「問題って事もないんだが……」


雪ノ下「なに?言いなさいよ」


八幡「…………実は」





雪ノ下「自傷癖?」


八幡「ああ、どうすればいいと思う?」


雪ノ下「私はしたことないから分からないけど」


雪ノ下「原因を潰すしかないんじゃ無いかしら」


八幡「怖いな……」


雪ノ下「で、理由は聞いたの?」


八幡「いや、それはまだだ」


八幡「聞こうにも教室に鶴見が居ないんだ」


雪ノ下「そうなの、後で聞いてみたらどう?」


八幡「そうだな……、それじゃ雪ノ下俺は戻るわ」


雪ノ下「………ねぇ比企谷君」


八幡「あ?」


雪ノ下「呼んだだけよ……」


八幡「おう、そうか」


雪ノ下「っ////」


雪ノ下「はぁ………」


雪ノ下(また誘えなかった。映画のチケット………)




比企谷君、もう他の女性と付き合ってるわよね。




雪ノ下「私ったら何してるかしら」


雪ノ下「」ピッピッ


雪ノ下「由比ヶ浜さん?…もし良かったら私と映画でも」



※※※※※※※※※※※※


昼休み終わり五分前になると、どんどんクラスの皆が授業を受けるべく教室に集まってくる。じわじわと人が増えてやっと鶴見留美を確認する事ができた。


留美「………」ジィ


なぜか俺を凝視する鶴見、警戒だろうか恐らく俺を観察しているのだろう。


八幡「それじゃ授業を始めるぞ」


授業は説明と板書をし後はまとめプリントを書かせるだけのものであり。黙々とすすんでゆく、他にやることと言えば落書きや居眠りしてるやつを指摘するだけだ。

やることもない俺はノートpcと向かい合い書類作成………


八幡「…………」カタカタ


八幡「…………」チラ


……ときどき人間観察。


しかし困ったことに、このクラスは大人しい生徒が多い授業中の会話がてんでない。クラスの様子を探れない、そして鶴見はこっちの様子を探ることができる、今こうして俺が観察をしているのも。


八幡「………」カタカタ


特に何もない。


八幡「さて、そろそろ終わりだ」


おおよそ一時間の授業を終えるとSHRを始まる。

授業で張っていた緊張が一気に解けて、皆話始める。もしかしたら授業のときは話さないというのはここのルールのようだ。


女子地味「あっ……鶴見さん」


留美「………ん?なに?」


女子地味「耳から血が滲んでるけど……ピアス?」


留美「……っち」


留美「関係ないでしょ」


留美「話しかけないでよ」


女子地味「あ、うん……ごめんね」


女子A「やっぱ鶴見さん怖いわあの子可愛そう」ヒソヒソ


女子B「流石不良……」クスクス


女子C「本当に切れやすい」ヒソヒソ


聞こえてるつーの。


留美「あー、うざ」ガタ


八幡「…」ジー


留美「何よ、何見てるの」


八幡「んや、別に」


どうせ「今刺激しないほうがいい」とか思ってるんでしょうね。

腫れ物扱いされても仕方ないわね


誰のせいでもない


帰ろうか…


でも、家に帰っても居場所はない





留美母「あなた!また学校を早退したの!!」


留美「うん」


留美母「なんで早退なんかしたのよ、まったく…」


留美母「私が高校の頃は楽しかったのに、何が気に入らないの!」


留美「あのねお母さん」


留美母「うるさい!黙れ!」


留美母「私はあなたを思って!あなたが言うことを聞いてくれないからあの人は帰ってこないのよ!!!」


ガッ



母は私を罵るたびに私の肩をどつく。

そのたびに罪悪感がふつふつと湧いてきた。



留美母「あなたには父親が必要なのに!」


ガッ


留美母「当のあなたが!」


ガッ


留美母「出来損ないのせいで!!」


ガッ




産まなきゃよかった!!!




痛い・・・


鬱病のせいか母はたまに周りが見えなくなる。


基本的に朝は優しい母になる、鬱病には波があるらしい。


躁鬱というやつだったか、ポジティブな状態になる「躁状態」とネガティブ思考ややる気が起きないなどの「鬱状態」の2つ


それが定期的に切り替わって、数時間おきに様子が変わる。

うちの母「鬱状態」のとき現実逃避の一環としてヒステリックを起こす。


そして、それがエスカレートし



暴力を振るうようになった


今。




留美「いたっ!!」


母が殴ったとき、私の頭部は大きく揺れて後ろへ体勢を崩してしまい。

後頭部を靴入れの角にぶつけた。



あれ、というか

立てない、意識ははっきりしているのに

あれ?意識がはっきりしてるのかこれ



視界が真っ暗になった。



















目が覚めたら、もう夕方になっていた。

西日が眩しかった。


正直、母が我に返って救急車を呼んでくれたことを期待してた。


しかしながら、いつの間にかベッドの上、母が運んできてくれたのだろうか。


深くため息をついて、後頭部を触る。



留美「うわ、たんこぶできてるじゃん…」


八幡「血も出てないし、頭割れてなくてよかったな」


留美「ひぁ!?」


八幡「ひゃい!?」



なんで八幡がここに…。


八幡「わ、わるい、驚かせてしまったな。」



留美「ホントだよ、なんで私の家にいるのよ」



八幡「いや、その、今日早退したから心配でな…」


留美「え、それだけ?」


八幡「それだけとはなんだ、一応これでも教師だぞ」


留美「ちなみに残業代出るの…?」


八幡「でないんだよな〜、これが」


留美「ブラックじゃん」


八幡「まぁ、俺が個人的に来てるだけだしな」


留美「意外だね」


八幡「そうか?俺は割と時間外労働するぞ、学生の時のバイトも10分前に来てたし」


留美「だって昔の八幡なんて、『働いたら負である』とか言ってたじゃん」


八幡「それは俺の黒歴史だ、やめてくれ」


留美「ふーん」


留美「私もいつかそういう風になる時が来るのかな」


八幡「それはわからないが、でもまぁ」


八幡「今の自分を否定しなくていいんじゃね、俺はまだ何も知らんが今のお前が大変だって事ぐらいはわかる」


留美「…」


八幡「だから、大変だったときの自分を忘れるべきじゃないと…俺は思う」


留美「そうかな」


八幡「それより、怪我は大丈夫か?」


八幡「多分、ただの脳震盪と気絶だと思うけど」


留美「なんで私が頭ぶつけたってわかったの」


八幡「いや、お前の母ちゃんが玄関先で言ってたから」


八幡「正直ゾッとした、娘が玄関先で倒れているのに『頭ぶつけちゃって〜』なんて言ってたから…」


留美「そう…」


八幡「すまん、聞きたくなかったよな、軽率だった」


留美「いいのよ、大丈夫だから」


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1: SS好きの名無しさん 2017-04-09 04:20:35 ID: uPm9PyPA

面白いので続けてください!

2: SS好きの名無しさん 2017-04-09 17:15:16 ID: rRH81DYh

おもしろいと思います。完結まで楽しみにしたいです!がんばってください。

3: SS好きの名無しさん 2017-04-09 22:38:25 ID: _ScXRe7P

芽を通した。 ってなってるよ

4: EMNEM最高 2017-04-10 21:58:54 ID: Rlg6NWbD

これは良作。期待してます

5: SS好きの名無しさん 2018-08-01 04:17:07 ID: F-FnY9Bn

次作期待


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