2018-01-03 17:05:55 更新

概要

海軍経理学校を卒業した主計科のエリート士官は、なぜか鎮守府に飛ばされてしまう。指揮の事など何も分からぬ司令官と艦娘たちの奮闘の物語。


前書き

「最後の護衛艦長、鎮守府に着任す」とは完全に別世界です。



「はいぃぃぃ?」

金田主計は素っ頓狂な声を上げた。


「海軍主計大尉カネダ カズエ 海軍小山浜鎮守府司令長官に任ずる。」


「えぇぇぇ?鎮守府司令長官が尉官っておかしくないですか?」


「ああ。だから、本日付でお前は少佐に昇進の上、『提督』だ。」


「『提督』って、大雑把すぎません?将官みんな『提督』でしょ?」


「艦娘を指揮できる能力は特別なものだ。能力者は貴重だから、鎮守府に着任させたい。だから『提督』と呼んで、将官だということにしたのだ。キミは将官相当の少佐ということだよ。」


「はぃぃ? 百歩譲ってそれでいいことにしても…。私、主計科なんで、指揮なんてできません。」


「ああ、それか。手伝ってくれる艦娘がいるそうだ、安心しろ。」


小山浜駅

 はぁ。あの人適当過ぎるだろ。あれで人事局につとめられんのかよ。


 で、鎮守府はどこにあるんだ? ホームは無人。駅の周りは、シャッター街と商店街が半々で、向こうに見える灰色の建物が鎮守府か?


「こんにちは。もしかして、金田大尉ですか?」

 突然声をかけるとは、なかなかに失礼な少女だな。軍服を見れば大体わかるだろ。こんな小さい町に海軍が来る事もなかろうに。

「そうだが?」


「綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま。こう書いて、さざなみと読みます。」

 いや、俺は主計科出身で、奇名珍名難読漢字を読んで物資・給料を分配して来たんだぞ。漢字なんか書かれなくてもわかっとるわい。

 あと、『ご主人様』って、なぜ? そりゃ見た感じ私の部下だろうけど、主人になった覚えないよ?


「さあ、行きましょう。あそこに見えるのが私たちの鎮守府です!」

 はぁ。コイツに俺の補佐ができるのかなぁ。俺も素人、コイツも頼りにならない…。


 まあ、とりあえず行ってみるしかないでしょ。


鎮守府へ

「御主人様、こっちです!」

 はいっ?そちらには迎えの車も何もありませんが…。


「迎えは来ていないのか?」

「もちろん来てませんよ。車があると思ったんですかw」

 えっ………。あの建物、どう見てもかなり遠いところにあるんですけど…。しかも、森突っ切って行くの?


「シーレーンが深海棲艦のよって立たれたいま、物資の補給は非常に困難になっています。特に、化石燃料は日本国内でほとんど算出しないため、節約令が政府より発布されています。このような状況下において、私たち海軍こそが、市民の模範となるべく行動するべきではないでしょうか。」


 はいっ? あなたキャラ変わりすぎでしょ…。さっきまで言っちゃ悪いけどバカっぽかったよ。


「ということで、お散歩です!キタコレ」

 いや、なんもキテないから。俺の体だけはガタがキテるかもしれないけど…。


 アルクアルクアルク。もう疲れた…。


 そして、森林を貫く軍用道路678を抜けると、眼前には鎮守府きたぁぁぁ!やっとだよ。

 でも、ずいぶんすすけてるというか、ボロっちいね。


 ん?何人か並んでるぞ。


「「「「「「「司令官閣下、始めまして。どうぞよろしくお願いいたします。」」」」」」」


 おお! 一同そろってお出迎えですか。ありがとうございます。


「本日付で、小山浜鎮守府司令長官に任ぜられた、提督・海軍主計少佐 金田主計である。よろしく頼む。」

 いや、もう指揮とか全然わかんないんよろしくお願いします。少佐とは言っても、兵科将校としては新人、というかまだ主計科のままなんだよね。


 お、ざわついてんな。やはり、主計科が来るとは思ってなかっただろう。俺もなんでこんな人事なのか、困ってるよ。


執務室

「提督、こちらがこの鎮守府の概要です。」

 大淀?だっけ?ありがとう。


 ふむ。資源は十分にある。食料もある。問題はなさそうだ。

 所属する艦娘は、8隻。重巡1、軽巡2、駆逐4、工作艦が1。最先任なのが、あの漣とかいうやつだな。


「前の提督は?」

「実は…。」

なんだ?急に声を潜めて。


「私と漣さんしか知らされていないのですが、小山浜大規模基地(仮称)の建設に伴って転任したいうことです。」

「ああ。なるほど。」


 主計科は、物資関係も統括している。

 何らかの作戦や基地建設などがある場合、要求される物資の量の変化で、察することができるわけだ。

 作戦が始まる場合に一番早く知るのは、前線の兵科将校ではなくて俺たち主計科なわけだよ。


 最近、要求物資が増えて大規模攻勢に出るかと言われていた。

 その補給の策源地――補給の総基地でもいうべきか――を、小山浜に設定するといううわさも流れていた。


「小山浜のうわさは聞いている。」


 まずいぞ。とてもまずい。大規模攻勢もまだ先、あったとしても自分には関係ないと思っていたが…。

 この鎮守府は、策源地の警備と物資管理を任されるわけだ。

 ならば、同じ主計科の人間を配置した方がうまくいく。となって、俺がここに配属されたのか。


 つながった。つながったけど、うれしくない。まずいぞ。


 すぐに指揮を身につけなければ!大規模攻勢の前に戦闘指揮ができるようにならなければ、俺の首どころか敵襲で策源地、ひいてはこの国の未来まで吹っ飛ぶ。


 ヤバイぞぉ!


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SS好きの名無しさんから
2018-01-01 20:37:32

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2018-01-01 01:26:35

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2017-12-31 08:58:16

SS好きの名無しさんから
2017-12-28 09:56:02

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-12-28 09:57:56 ID: DJzfOGSI

漣はああ見えて切れ者だよ。
指揮など長く勤めてれば自然と判るようになるさ。

2: SS好きの名無しさん 2017-12-31 08:31:20 ID: Q06bMh8u

せめてサイクリングの自転車くらいあげようよw健康にも良いよ。

3: SS好きの名無しさん 2018-01-01 01:28:05 ID: JvSsaUO3

名前が主計って主計官になるためだけに生まれてきたような。主計主計 主計大尉だったらもっと良かったw


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1: SS好きの名無しさん 2017-12-28 09:58:25 ID: DJzfOGSI

漣頑張れ!

2: SS好きの名無しさん 2018-01-01 01:18:28 ID: JvSsaUO3

主計科w


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