2019-04-19 00:24:15 更新

概要

辛い過去を持った艦娘と提督が荒廃した鎮守府を復興する物語。


前書き

【注意要素】
・独自設定
・グロテスク・暴力的描写
・キャラ崩壊

以上が苦手な方は気分を害すると思うので、ブラウザバックを推奨します。
それでもOK!という方はこのままお進みください。



プロローグ


ウー……ウー……


『緊急避難警報です。近海に深海棲艦を確認しました。近隣の皆さんは速やかに、シェルターへ避難してください。


 繰り返します。これは緊急避難警報ですーー』


町中に響く避難勧告。人々は我先にとシェルターへ向かう。



「父さん、母さん……みんな。……行ってくるよ」


コトッと写真を置き、暗がりの部屋で男はぽつりとそう呟く。


トテトテと男へ集まる小さなものたち。


「行くぞ、妖精さん。『ハンティング』の時間だ」


奪われたものたちは、復讐のため、今日も海へと向かう。









兵器としての在り方


《とある鎮守府》


「今日が私の命日かあ」


未だに実感がわかない。今日で私は死ぬ、ということに。


さっき、司令官から出撃命令が出された。私のするべきことはとても簡単なことだ。


敵陣に肉薄し、ありったけの弾丸を撃ち込み、死ぬ。……これだけ。


なぜこんなことをするのだとかは考えたことない。考える必要はないからだ。


私たちは使い捨ての兵器。そう何度も体に教え込まれた。安価に量産できる駆逐艦はそういった対象になる。


ボロ雑巾のように薄汚い制服に袖を通し、片道分の燃料しか積まれていない艤装を身にまとう。


「……いってきます」


かつて賑やかだったその部屋には、私の空虚な声だけが残された。




海風を体にめいいっぱい浴びながら戦場へと向かう。まるで私を水底へ招くような、そんな音がした。


レーダーに反応、敵艦、5隻。団体さんは私を砲弾で歓迎してくれるらしい。




なんとも不思議な気分です。『単艦』で敵艦隊に突撃するというのは。


まるでおとぎ話の英雄にでもなった気分です。もっとも私は捕らえられた姫の方がお似合いでしょう。


後に続くみんなのためにも、私が頑張らなくちゃ。


大きな声を上げて突撃します。敵はすでにこちらに気づいている。




すでに数発、至る所に攻撃を受けた。これで私も楽になれる……そう思っていた。



ドクンッ!!



『嫌だ!私はまだ死にたくない!』


突然、心の奥底から叫びが聞こえた。悲痛な叫び。


だめ、そんなことを考えてはいけないのよ、私!


どうして!?あの時から、心なんて捨てたはずなのに!


どうして……!こんなにも胸が苦しいの……っ!!



『誰かぁ!!誰か助けて!!』


やめて!!お願いやめてっ!!



ドウッ!!


「な、何……っ!?」


攻撃で艤装に、誘爆してっ……


背中の艤装が吹き飛び、宙に浮かされる。


「うぅっ……ぐ……ぁ……」


爆発の勢いで何度も水面に叩きつけられた。出血もひどく、視界が赤くなって来た。


息も絶え絶えだ。……もう、これで終わりなんだなあ。



ひんやりとした、冷たい鎌のような砲口が押し当てられる。


もう、ダメだ。艤装の燃料も底をついたので逃げることもできない。みんな、こうだったのかな。


沈むのってどんな感じなのかな。痛いのかな、苦しいのかな、それとも…楽になれるのかなぁ。


いっその事、沈むなら楽に沈みたい。私は死を覚悟し、静かに瞳を閉じ、


そして、自分の最期を感じた私はふとこんな事を思いました。





せめて、もう一度だけ、あの頃のように皆で笑いあいたかったなぁ……。



グシャッ……
















「……っ?」


「ガッ……!ア゛ァッ……!!」


「えっ…!?」


何が起きたのか、理解できません。とどめを刺そうとした深海棲艦は腹部を貫かれ絶命していました。


見上げると、男が立っていました。海の上に、脚に艤装のようなものを装着した男が。


血まみれの拳を引き抜き、事切れたソレを投げ捨てた『男』は私に『大丈夫か』と声をかけてきました。


私もなんとか力を振り絞り見つめるが、力なく倒れ、抱きとめられました。


とても……暖かいものでした。ですが、もう起き上がる気力もありません。瞼がとても重く感じます。


いやだ、死にたくない。死にたくないっ!


私の願いとは裏腹に、意識は深く、暗闇へと落ちていきました。







雪の少女




「んぅ……。ここは……?」


「えっと……。私、どうして……」


「……めがさめましたか?」


「あれ?この子って…、妖精さん?」


妖精さんが小さく礼をすると、一人の男の人が入れ違いに入ってきました。


その人こそ私を助けてくれた、あの人でした。


男「あぁ、目が覚めたんだな!良かった」


男「体調はどうだ?痛むところとか、ないか?」


「い、いいえ、特には。おかげさまで……」


男「そうか。なあ、目を覚ましたばかりで悪いんだが、起きてもらって良いか?包帯を変えたいからさ」


男「おお、だいぶ傷が塞がってきたな。だけど、念のためまだ巻いておくか」シュルル…


「あ、あの……」


男「ん?なんだ?」


「私ってどれくらい寝ていたんですか…?」


男「ああ、一週間は目を覚まさなかったな。心配したぜ」


心配?この見ず知らずの私を?


「どうして……どうして私なんかのことを…‥?」


男「どうしてって、一週間も目を覚まさなかったんだ。そりゃ誰だって心配するだろ」


「助けてくれたんですよね、こんな私を…‥。沈みかけた、見ず知らずの私を」


うつむきながらか細い声で話す艦娘。その目には薄く涙を浮かべている。


男「そんなの、気にするな。だが驚いたぞ、遠くで何かが爆発したと思ったらお前がいたんだもんな」


男「そもそも、目の前で死にかけてる人を見殺しになんて、俺にはできないし」グッ


男「っと、終わったぜ、どうだ?きつかったりしないか?」


「あ、ありがとうございます。はい、大丈夫です」



「それで…あなたの名前を……」


男「俺か?俺は〇〇だ。それで、そっちの名前は?」


「私の名前…。吹雪……。特型駆逐艦の1番艦、吹雪です」


男「吹雪か…良い名前じゃねえか、よろしくな」


吹雪「え…、その…はい、よろしくお願いします」


私はその手を弱々しく握りました。こんなに暖かい手を握ったのは初めてです。


冷たい手しか握ったことのない私のその手を男は強く、優しく握りしめてくれました。


こんな笑顔で話してくれたのもこの人が初めてでした。


もしもこんな人が私たちの司令官だったら、今の私はもっと違ったのかな。なんてつい想像してみたり。


想像するだけなら、誰も責めないよね……。


男「それで、吹雪。君に質問があるんだが……」



ピーンポーン…ピーンポーン……


突然として鳴るインターホンの音に私の意識は現実に戻されました。


男「ん?なんだ、客か?」




男「はいはい、今開けますよっと」


ガチャリ


男「どちらさまでしょーー」


ドアを開け、訪問者を見上げる男。


しかし、彼は唖然としていた。それもそのはず、扉の前に立っていたのは…



憲兵「………」


ゴリゴリマッチョの憲兵さんだったからだ。


男「 」


パタン…


男「俺は何も見ていないぞ…」


男「いや…見間違いかもしれない。きっとそうだ。よし…」


ガチャッ


憲兵「………」


男「 」


何度見ても同じだ。扉の前にはマッチョ憲兵が待ち構えていた。


男(やべぇよ…。俺、何か悪いことしたっけ……?)


憲兵「お前が〇〇だな?」


男「え!?あ、あぁ、そうだけど」


憲兵「そうか。急な話で悪いが、大本営で元帥閣下がお前をお待ちしている。一緒に来てもらおうか」


男「………」





男「…は?」


男「ちょ、え?」


憲兵「さあ、早く来てもらおうか」


男「え?えええぇぇ!?」




いざブラ鎮



ー大本営ー


コンコンコン


元帥「入れ」


憲兵「失礼します。例の男を連れて参りました」


元帥「おお、そうか。では早速中に通してくれ」


憲兵「はっ! ほら、早く中に入れ!」



男「ったく…何でこんなとこ来なくちゃいけないんだって…い、痛い!押すな!」


妖精「ここがだいほんえい…はじめてきました」


妖精「でっけー……!!」


妖精「なんでよばれたのです?」


男「そ、そんなこと俺に聞かれてもねぇ……」


元帥「君が〇〇君か、よくきたね。まあ、立ち話もアレだから、まずは腰掛けなさい」


男「…?あ、あぁ。これはどうも」


憲兵「口の聞き方に気をつけろッ!!」


妖精「……っ!コワイ……!」


元帥「まあまあ、良いじゃあないか。活気があるのはよいことだよ」


元帥「ワシも数十年前はキミのような若者だったよ。今はただの年功序列の老いぼれだがね」


男「は、はぁ……」


憲兵「閣下、本題の方を……」


元帥「おお、そうだった。では単刀直入に言わせてもらおう」


元帥「キミ、『提督』になる気はないかね?……いや、なってもらう。キミはそういう運命なのだ」


元帥「キミについてはこちらでも色々調べさせてもらった。軍はキミを前から欲していたよ」


元帥「深海棲艦の装甲を一撃で貫くパワー、そして砲撃すらものともしない強靭な肉体。人間離れしたものだ」


男「……それはどうも」


元帥「知っておるかね?『提督』にはある素質が必要なのだ」


元帥「『妖精』が見えること。キミにも見えているのだろう?」


元帥「それも、かなり友好的な関係にあるようにみえる」


元帥「私たちも平和のため、このまたとない機会を逃すわけにはいかないのだ」


元帥「どうだ、受けてくれるかね」


男「………」


男「わかりました。なってやりますよ、提督に」


元帥「おおっ、そうか。感謝するよ」


元帥「では日を改め、明日にでも鎮守府に向かってくれ。迎えは君の家へ向かわせよう」


元帥「だが、私たちもキミのような一般人を提督にすることはできない。まずは研修としてある鎮守府に向かってもらう」


元帥「キミに覚悟があるならその書類にサインしてくれたまえ。内容は後追い伝える」ピラッ


元帥「……ああ、そうだった。大事なことを忘れていたぞ」


元帥「彼女たちは兵器といえど心を持っている。くれぐれも扱いには気をつけてくれたまえ」


元帥「そういえば、君の家には今保護している艦娘がいたね」


男「あ、あぁ。吹雪が、どうかしたんですか」


元帥「その娘は君が着任する鎮守府に所属していた艦娘だ」


男「つまり、俺が着く鎮守府の詳しいことについては吹雪から聞け、と」


元帥「そういうことだ。それじゃ、明日からよろしく頼むよ」




朝の光眩しくて


ー翌日ー


チュンチュン…チュンチュン…


男「ん…、もう朝か……」


プーッ! プップー!


やかましいクラクションの音が部屋中に響く。


そういえば、昨日元帥が迎えの車を送るとか書いてあったっけ。……にしても近所迷惑だ。


男「……さーて、まずは妖精さんたちを起こしてやらないとな」


吹雪「あ、あの、おはようございます」


男「ん?あぁ、おはようさん。早いんだな」


吹雪「はい。あの、昨日は本当にありがとうございました」


男「昨日って、何が?」


吹雪「えぇっと、私、あんなに温かい食べ物、初めて食べて……」


男「え、そうだったのか……」


男「ま、まあいい。そうだ、吹雪、妖精さんたちを起こすのを手伝ってくれないか?」


吹雪「はい。いいですよ」


吹雪「………」


吹雪「あ、あの!」


男「ん、どうした?」


吹雪「ありがとうございます。私を助けてもらって…、美味しい食事を食べさせてもらって……」


吹雪「それから、えっと……」


男「……吹雪」


吹雪「はい……」


男「その続きは…鎮守府に着いてからにしよう」


男「それに、俺も吹雪に聞きたいことがあるからな」


男「一緒にがんばろうな、吹雪」ポン


吹雪「……!」


吹雪「はい!吹雪、がんばります!」








男「よし、皆準備は出来たな?」


妖精s’『はい!!』


吹雪「は、はい!」


男「すぐに、出発だ!行くぞ!」




新たなる提督


ガサゴソ…


ガタガタと揺れる車の中で大本営からの資料に目を通す。


俺への最初の任務は『鎮守府を再興させること』、だ。


そこの鎮守府の環境は極めて劣悪で、もはや正常な機能はほとんどしていなかったらしい。


吹雪を除いた艦娘は消息不明…。


おまけに、そこの指揮官は逃げ出したのか、行方は未だ掴めぬまま、と……。


そのまま軍はろくな調査もせずにそれを放置。


うん……。絶対ヤバいやつだわ、これ。


提督「全く、何考えてるんだか……」


提督「ま、悩んでても仕方ないよな」


吹雪「あの、司令官……?」


提督「ん?なんだ?」


吹雪「前から気になってたんですけど、この妖精さんたちって……?」


提督「ああ。こいつらとは、昔いろいろあってな。なかなか愛いやつらだよ」


妖精「ねーねー!おかしちょーだい!」


妖精「……っ!……!!」


提督「こういう風にいろんな子がいて、シャイだったり、甘えん坊だったりするんだ」ホレ


妖精「えへへー!ありがとーーっ!」


妖精「……♪……♡」


提督「まあ、悪い奴じゃないから、仲良くしてやってくれ」


吹雪「はい。分かりました」


これは聞いた話ですが、妖精には人の本質を見分ける力を持っているらしいです。


現に、あの男には妖精さんは懐くなどしませんでしたし、ストライキを起こすほどでした。


この妖精さんたちが司令官についているということは、つまりそういうことなのでしょう。



ーーーーーーー




ー鎮守府前ー


提督「ここかぁ」


吹雪「…はい」



コオオオォォ……



提督「酷いな、ボロボロだ…」


提督「話には聞いていたが、まさかこれ程とはな…」


提督「しゃーない、行くぞ」


吹雪「あ、はい!」


ーー正直な所、頭が痛くなってきた。さすがにこれはないだろう。


鎮守府は建物としての形こそ保てているものの、窓ガラスはほとんど割れている。


屋根もところどころ吹き飛んでいて、雨風を防げるのかも怪しい。


外壁にはヒビ、鎮守府の看板なんて文字がすすけて『鎮守府』の文字しか見えなかったぞ。


本当…ヤバいな、ここ。


提督「中に入るぞ……」


鉄製の扉が不気味な音を立てて開く。長いこと使われていなかったのか、ガタついていてかなり重い。


と、扉を開けたその瞬間。とてつもない悪臭が周囲に立ちこめた。


提督「うっ……!!」


吹雪「こ、これって……!?」


何かが腐ったような、錆びついたような、そんな臭い。鎮守府が荒廃しているからなのか、あるいは……


提督「うぅっ…先に進むしかないか……」




風の少女



ー執務室前ー


提督「へーえ…、ここが執務室ねぇ」


ーー内装は想像どうり、酷いものであった。


壁にはカビみたいなの生えてるし、床は今にも踏み抜けそうだし。おまけに蜘蛛の巣なんて張られる始末。


艦隊運営の復帰よりも先に、こっちの方が優先だな……。


ガチャッ


「…っ!だ、誰…ですか?」


提督「俺は今日からここの指揮を執ることになった提督だ。入電は届いてなかったのか?」


「新しい…提督……?」


提督「そうだ。君の名前は?」


大淀「私は軽巡洋艦、大淀と申します」


提督「そうか。改めて始めまして、提督だ。よろしく頼む、大淀」スッ




『お前たちは俺の道具として動いてればいいんだよ!!』




大淀「こ、来ないでっ!!」カチャッ


提督「……!!」


大淀「……はっ!こ、これはその……違うんです!」


提督「いや、それは分かってるけど……」


大淀「も、申しわけありません!!わ、私、提督様にとんだご無礼を!!」


提督「お、落ち着け!というか、どうしたんだ、その傷は!?」


袖口から見えた傷に驚きを隠せなかった。彼女の傷はまるで、薬品で大火傷したような、そんな傷だった。


大淀「これ…ですか?これは前に、友人を庇ったときに付けられた傷で…」


大淀「中には、強制的に夜伽をさせられた娘もいてっ……うっうぅ……!」


提督「大淀……」


ーーなんと声をかけたら良いのか分からなかった。


提督「今まで、辛かったんだよな。苦しかったんだよな」


ーー俺は、彼女じゃない。彼女の苦しみの全ては解らない。だから、こんな言葉をかけてやることしか出来ない。


提督「もう、楽になって良いんだぞ」


ーーこれが正しいのかなんて分からない。でも、彼女の苦しみを少しでも和らげてやりたかった。


大淀「どうして……ですか……!!」


大淀「どうして私に優しくするんですか!!?」


『貴様らは私の道具に過ぎないのだ。国のために戦え、それだけが存在意義だっ!』


ーーどうして……!!どうして!!


ーーあなたが私たちの……!!


大淀「ぐすっ……、ううぅ……!!」




提督「大淀……」


そう近づくと、提督は彼女を強く、優しく抱きしめた。


彼女自身も不思議と、抵抗を全く見せることはなかった。


提督「大丈夫だ……、アイツはもういない。今日から俺がここの提督だ、心配するな」


大淀「……!!」


提督「たとえ、誰もがお前たちの事を兵器だと言っても、俺だけはお前たちの味方だ。俺が守ってやる」


提督「だからな……、今ぐらいは泣いてもいいんだぞ。今までの嫌な思い出全部忘れるくらいにな」


大淀「はい…、提督……!提督っ……!!」ポロポロ


大淀「う、うぅ…うわああああぁぁぁ……!!うわああぁぁぁん!!」


まるで赤ん坊のように泣き崩れていった大淀。よほど辛かったのだろうと、その頭を提督は優しく撫でる。


静まり返っていた部屋の中には、彼女のむせび泣く声だけが響き渡っていった。






提督「少しは落ち着けたか?」


大淀「はい、おかげさまで……」


提督「その……なんだ、悪いな。今思えばセクハラ紛いなくとしちまって」


大淀「い、いえいえ。気にしないでください」


ガチャッ


吹雪「司令官、さっきの物音は……?」


大淀「ふ、吹雪ちゃんじゃない!」


吹雪「お、大淀さんっ!」


大淀「あなたっ、あの時に……!」


吹雪「はい!危ないところをこの司令官に助けてもらったんです!」


大淀「そうなの……!提督、何から何までありがとうございます」


提督「いや、それほどでも……」


妖精「でも、つきっきりでかんびょうしてましたよね?」


吹雪「えっ……!?そうだったんですか?」


提督「ちょっ!それは言わないって……!!」


「え〜!べつにいーじゃん!」


大淀「あらあら、提督」


提督「悪いな、こんなやつらで」


大淀「ふふっ。いえいえ、良いんですよ」


大淀「では、改めてよろしくお願いしますね、提督」


提督「あぁ、よろしくな。大淀」


そう、手を差し伸べた時だった。


バリイイィィィン!!!


突然、部屋中にガラスの破砕音が響く。どうやらかなり近くで割れたようだ。


妖精「な、なんだぁ!?」


大淀「い、今のは……!?」


吹雪「この奥からです!」


彼女が指差した先には、大きめの本棚があった。一見何の変哲も無い本棚だが、確かに音はこの先から来ている。


…いや、先というよりかは裏と言ったほうが正しいだろうか。


提督「……なんともないけど?」


吹雪「でも、確かにここから……」


妖精「……?」


妖精「あら?これは…。なにかのスイッチかしら?」


妖精「おしてみようぜ!ほれっ!」ポチッ


妖精「あっ、こら!かってに…」


ゴゴゴゴゴ…


提督「うおっ!なんだ!?本棚が…」


妖精「うごいた!」


大淀「これは……」


吹雪「隠し扉、でしょうか……?」


提督(鍵は開いてる……。つい最近で使われていたのか……?)


提督(でも、誰が……?)


妖精「……?どうしましたか?」


提督「い、いや。なんでもない……、行こう」


ギィィィ……


提督「うっ、ここもすごい臭いだな…」


石造りの地下室を進んでいく。薄暗く、湿気っている上にカビ臭い。




提督「…ここが最奥みたいだな」


妖精「すんすん…、なんでしょう、なにかへんなにおいがしますね」


吹雪「なにかの薬品、でしょうか?」


提督「開けるぞ…」


ガチャリと、思いの外ドアノブは軽かった。まるでつい最近まで誰か使っていたみたいだ。



提督「……っ!!おい、大丈夫か!!」


そこには、一人の少女が倒れていた。慌てて駆け寄るも、その手は冷たく、生きているかどうか怪しいほどだ。


少女の首にはハートの装飾をしている首輪がしてある。なんとも趣味の悪い首輪だ。


よく見ると首輪にタグがついている。タグに書かれた少女の名前は…


大淀「う、嘘よ……そんな…!!」


吹雪「島風、ちゃん……?」



駆逐艦、島風。




大淀「でも、島風ちゃんは確か…」


提督「うっ!酷い熱だ……!!それに…」


全身はズタボロに傷つき、髪は乱れ、ピクリとも動かない。


提督「…そうだ!確か、執務室の近くに医務室があったはず!」


提督「まずはそこへ!大淀、手伝ってくれ!」


大淀「は、はい!」




ー医務室ー


島風「………」


提督「島風……」


提督「……っ」ギュッ


生気をほぼ持たないか細く冷たくなった手を、やさしく握る。


提督(こんなにも冷たくなって……)


提督(待ってろよ……。今、助けてやるからな…‥っ!)


吹雪「それで、島風ちゃんは大丈夫なんですか?」


提督「ああ、心配ない。気を失ってるだけみたいだ」


大淀「そうですか、良かった……!」


提督「だが、この様子だと、回復まで相当時間が、な」


提督「なにか、いい方法は……」


妖精「それなら、‘‘ばけつ’’があるのです」


提督「バケツ?」


吹雪「私たち艦娘の傷を治す効果のある修復材のことですよ」


大淀「最後に見たのは、‘‘ドッグ’’だったかしら」


提督「ドッグか……。よし、俺が探してこよう」


吹雪「わ、私も行きます!」


提督「いや、吹雪たちはここで島風を見ていてくれ」


吹雪「でも!」


提督「吹雪もここまで来るのに疲れているだろう。今はここで休むんだ」


吹雪「…‥はい、分かりました。気をつけてくださいね」



ー鎮守府廊下ー


提督「さて、まずはそのドックとやらを探しに行くか」


提督「しっかし……」


ギイィ…ギイィ…


歩くごとに床が悲鳴を上げている。どれだけ放置されていたのだろう。


提督「この床、どんだけボロいんだよ。いつか抜けるんじゃねぇのか…?」



ードックー


提督「お、あったあった。これがバケツか?」


提督「……最後の一つ、か」


提督「よし、島風たちのところに戻ろう」




提督「…それにしても、本当に誰もいないな…」


ヒソヒソ…


提督「前言撤回。誰かいたわ」


ボクガ……ダチヲ…ネ…


提督「……?なんて言ってんのかよく聞こえないな……」ソローリ


バキバキッ!!


提督(うおっ!床が…抜けっ…!?)


???「っ!!誰だい!」


提督(し、しまった!くそっ!!なんでこんな時に…!!)


提督(ぬ、抜けねぇ…!!)


ガチャッ


???「動くなっ!」


暗くてよく見えないが、恐らく砲を向けられている。


……ここは動かない方が賢明だろう。


???「はぁ……、はぁ……、何者だい?」


また自己紹介するのか…。



提督「俺は今日からここに着任する提督だ。」


???「人間が今更…一体何の用だい…?」


見た感じ、怪我をしているようだ。息もかなり荒い。


提督「おい、大丈夫か?」


???「人間なんかに…心配される覚えは……うっ!!」


バタッ


砲を向けていた艦娘は、提督の前で力なく倒れた。


???「………」


提督「…!?おい、しっかりしろ!おい!」


提督「…しょうがない。この娘も休憩室に連れて行くか。いよっ!」


提督「ふぅ。やっと抜けた…」


提督「よっこらせっと。やっぱり軽いな」


???「なん……で……」



ー医務室ー


ガチャ


提督「妖精さん、言われた通りバケツを持ってきたが」


本当に治るんだろうか……?


妖精「あとは、それをかけるだけです。」


提督「でも、あと少ししかないぞ?」


妖精「む、これはこまったね…」


吹雪「それなら、布に染み込ませるなんてどうでしょうか?」


提督「布か、なるほど。」


妖精「じゃあ、ふくをぬがせるので、ていとくさんは……」


バタン…


ーー追い出された。


はぁっとため息を吐きながら、ボロボロの壁にもたれる。


ふと、俺は彼女たちに出会った時のことを思い出していた。



『こ、来ないで!!」


『人間が今更…いったい何の用だい…?」



ここに来るまでにあった娘はみな傷ついていた。


心も…体も。俺は、どうしたらいいのだろう。どうしたら、彼女たちを助けてあげられるのだろう。


その答えは…まだ……



レイカン…シレイカン…


吹雪「あの、司令官。どうかしましたか?」


提督「はっ!…あぁ吹雪か。なんでもない。それで、どうしたんだ?」


吹雪「傷の手当てが済んだので…呼びに来たんですけど…」


吹雪「何度呼んでも返事がなくて…」


提督「すまない。……少し、考え事をな」


吹雪「そうなんですか?なら、いいんですけど…」


吹雪「司令官もあまり無理はしないでくださいね」


提督「あぁ、ありがとう」





ーーそれにしても、こうまで完璧に傷が癒えるとは思わなかった。


しかし、いくら傷が治ったとはいえ、彼女たちの心の傷まで言えたとは到底言えないはずだ。


もしも、今彼女たちが目覚めたらどうなるのだろう。


いや、考えなくてもわかる。吹雪たちはともかく、間違いなく俺は警戒されるだろう。


ドカッ


提督「!?」


突然後ろから衝撃を受け、倒れこむ。


吹雪「司令官!?」


ガチャッ


後頭部に砲を押し当てられる。


提督「…もう体はいいのか?」


???「…何故僕を助けたんだ」


提督「そりゃあ、あんな怪我していたんだから、放っておくわけにはいかないだろう」


???「黙れ!偽善者め…!」


時雨はグッと砲をさらに押し込む。


大淀「ちょっと!時雨ちゃん!」


時雨「君も、他のヤツらと同じなんだろう?」


時雨「最後には裏切るんだ…!!」


吹雪「それは違います!司令官は…!」


時雨「うるさい!吹雪、君はこの男の毒牙にかかっているんだよ」


吹雪「……っ!」


提督「ぐぅっ、時雨…!お前は…本当は辛かったんだろうっ…!?」


時雨「黙れ、黙れ!!君達に、いったい僕の何がわかるっていうんだ!」


バッ


そう怒鳴り散らすと時雨は踵を返し、部屋を飛び出て行ってしまった。


吹雪「司令官!大丈夫ですか!?」


提督「いてて…ああ大丈夫だ」


提督(時雨……)


妖精「あれ、どこいくんですか?」


提督「ちょっと執務室で頭冷やして来る。しばらく一人にしてくれ…」




ー執務室ー


『君達に、いったい僕の何がわかるって言うんだ!』


提督「……」


提督「分からねえよ……」


ゴトッ


突然、机から何かが落ちた。


提督「?これは…」


前任の日誌だ。残虐な非行の数々が記されていた。見れば見るほどムカっ腹が立って来る。


日誌に書かれた最後の出撃はちょうど数週間前。俺が吹雪を発見した日だ。


最後のページには名簿が挟まれていた。


提督「全員で数十名ってところか」


提督「それと、引き出しの中には、ノートパソコンか。どれ…」




提督「一通り調べたが、特にこれと言ったものはないな。ん?このソフトは…」


提督「なるほど。これは鎮守府全体の地図みたいだな」


提督「ここが執務室でこれは……食堂か」


提督「気になるな……。よし、行ってみよう」






ー食堂ー


提督「ここが食堂……なのか?」


本来ならば食堂とか書かれているのだろう。


今は食堂の『堂』の文字が欠けて、『食』としか見えていない。


ギイィィ…


中へ入ってはみたものの、とても食事ができる場所とは思えなかった。


嗅いだことのない異臭が立ち込めて来る。換気は出来ているのだろうか。


提督「おいおい…」


彼が見つけたのは、ちょうど今から食事を取ろうとしている艦娘たち……なのだが、


みな、こちらを様々な目で見ている。怯える者、睨みつける者。



提督(ざわめいてるな……。まあ無理もないか…)


彼が口を開こうとした次の瞬間、


???「おいテメェ!人間なんかがここに何の用だ!!」


ガッ


提督「うっ!!」


突然、飛び出して来た一人の女性に胸ぐらを掴まれた。


提督「ま、待て!俺は敵じゃない!」


???「そんなこと聞いてるんじゃねえんだよ!ぶっ殺されてえのか!?」


グググ…


提督(な…なんつー力だっ…!)


足が地面から離れてしまった。彼女の手で喉が圧迫されてゆく。


提督「がっ…!はっ……!!」


苦しい…!息が、できないっ…!


提督「お…落ち着いてくれ…!俺は… ここに…ぐっ、着任することになった……提督だっ……!!」


???「そんな事、誰が信じるかよ!」


そ、そろそろ本当にマズい……!





バンッ!


吹雪「し、司令官!それに……摩耶さん!」


摩耶「ーー!?ふ、吹雪じゃねえか!お前、どうしてここに!それに…!」


提督「し、島風っ…!?」


島風「てーとく、大丈夫!?」


提督「あ、あぁ。大丈夫だ。それより島風、お前、俺が怖くないのか?」


島風「うん!吹雪ちゃんや大淀さんから全部聞いたよ!」


摩耶「島風!お前、確かあの時……!」


島風「うん。でも、この提督に助けてもらったの!」


摩耶「…じゃあ、お前が新しい提督だってのは」


提督「ああ、さっきも言ったが本当だ」


提督&摩耶「………」


二人の間に静寂が広がる。



摩耶「……わりぃ」


提督「いや、いいんだ。誤解が解けてよかった」


提督「それより、ここで食事をとっていたみたいだが」


摩耶「……これが食事に見えるのか?」


提督「っ!これは…!」


プレートの上に乗っていたのは粗末など可愛く聞こえるほどのものだった。


弾薬に、燃料。どれも人が食べるものではない。


提督「そのプレートに乗ってるのは燃料だろ?このドングリみたいなのは弾薬」


提督「こんなもの食べていいわけあるかぁ!!」


彼女たちのプレートから強引にそれらを奪い取る。


提督「吹雪、島風!悪いが、急いでこいつらを破棄してきてくれ!」


吹雪「は、はい!」


島風「おうっ!」




ー数分後ー


島風「ただいま!」


提督「おっ、早いな」


吹雪「はぁ…はぁ…島風ちゃん…。速すぎ……」


提督「二人ともお疲れ様。それと…」


提督「いるんだろう?隠れてないで出てきなよ、時雨」


時雨「…いつから気づいていたんだい?」


提督「足音が一つ多かったからな。床がボロいもんですぐ気づけたよ」


提督「…俺のことはまだ信用できないのか?」


時雨「………」


吹雪「時雨ちゃん、今度の司令官は前の人とは違うんだよ。」


吹雪「…だから、もう一度だけこの人を信じて、前を向いて歩いていこうよ」


時雨「………」


時雨「…そうだね。吹雪がそう言うなら信じてみよう、かな」


吹雪「…!!」


よかった…!なんとか時雨ちゃんと和解できたみたい。


提督「……よし!話もまとまってきたところだ、大淀!」


大淀「はい、何でしょうか?」


提督「今この鎮守府にいる艦娘たちをここに集めてくれ。着任式を始める」


大淀「了解しました」





ざわざわ……


大淀「みなさん、提督から話があります」


集められた全体の視線が自分へ向けられた。


提督「紹介が遅れてすまない。俺が今日からここの指揮を任された提督だ」


よろしく頼むと頭を下げるも、誰も反応せずこちらの様子を伺っている。


提督「今から指示を出す。よく聞いてほしい」


ピリッとした空気が漂う。そこまでのことじゃないからこっちが苦しくなってくる。


提督「まず君達には風呂に入ってもらう!」


ざわっ!


提督「あらかじめ大浴場を解放しておいた。余りの者はドックを使ってもらって構わない」


そう、ここには大浴場なるものがあるのだ。ぜひ使わせてもらおう。


提督「これは命令だからな。いやだと言っても入ってもらうぞ」


提督「入浴が済んだらまたここに戻ってきてくるように」


提督「何か質問のある人はいるか?いなければ速やかに浴場へ向かってくれ。解散!」



「お風呂なんていつぶりだろうね!」


「うん!早く行こう!」


「ちょっと安心するのは早いんじゃない?前みたいになるかもしれないよ?」


「そうですよ!きっと私たちを油断させる作戦に決まってます!」



島風「むぅ……」


提督「まあ仕方ないさ。ほら、お前たちもはやく行ってこい」


吹雪「はい、分かりました」


島風「提督はお風呂入らないの?一緒に入ろうよ!」


提督「悪いな島風。俺はまだやることがあるんだ」


島風「うー…分かった……」




吹雪「司令官、お風呂上がりました」


吹雪「って……!」


間宮「あら、吹雪ちゃん!早いのね!」


吹雪「間宮さん、どうしたんですか、これ?」


伊良湖「提督が私たちに頼んで来たのよ」


間宮「みんなが上がって来る前に作っておいてくれ、ってね」


ざわざわ…


提督「皆集まったな。まあ各自、席についてくれ」


提督「改めて、俺が今日付けでここの指揮を執る提督だ」


提督「各自、思うこともあるだろう。だが、これだけは言わせて欲しい」


提督「信用ならないかもしれないが、私は君たちを前任のような扱いにはしないと約束しよう」


提督「君たちが戦場で最大限の実力を出せるようにこちらからもサポートなりはするつもりだ」


提督「今後の予定についてだが、これからの数日は遠征、出撃はせずにここの復旧を第一に動く」


提督「君たちの仕事はないから、ゆっくりしていてくれ」


提督「さて、これで堅苦しい話は終わりだ。各自、久々の食事を楽しんでくれ!」


少しずつだが、賑やかになってきた鎮守府。だが、これを良しとしないものもいた。




提督「はいー…食った食った」


吹雪「みんないい顔でしたね、司令官」


提督「そうだな。吹雪も早く寝ろよ?明日からは忙しくなるぞ」


提督「まずはここを綺麗にするんだ。艦隊運営はそれからだな」


コンコン


提督「ん、開いてるぞ」


長門「失礼する」


提督「ええと、君は…?」


長門「戦艦長門だ。貴様に話がある」


提督「そうか、長門。何か用か?」


長門「単刀直入に言わせてもらおう」


長門「貴様にはこの鎮守府から出て行ってもらう」


吹雪「!?」


提督「ほう…そりゃなんでだ?」


長門「知っているだろう?前任の行いの数々を。私はもうあのような悪夢は繰り返させないと決めたのだ」


長門「貴様のような奴を提督などと私は認めない」


提督「なるほど、長門の気持ちはよく分かった」


提督「だが、俺もはいそうですかとここを去るわけにもいかないんだ」


長門「そうか……。ならばこの私と勝負しろ」


提督「はぁ、勝負?」


長門「そうだ!この戦艦長門と決闘しろ!!」ダンッ!


吹雪「なっ!け、決闘ですって!?そんな無茶苦茶です!」


提督「まあ待て、吹雪。ここは長門の話を聞こう」


長門「この決闘で私が勝てば、貴様にはここを立ち去ってもらう」


提督「それは分かった。だが、もし俺が勝ったとしたら……どうなるんだ?」


長門「ほう、面白いことを言う。そうだな…貴様が勝てば私は、私たちは貴様を提督として認めよう」


長門「さあ!決闘を受けるか!怪我をする前にここを去るか!今!決めろ!!」


提督「わかった……決闘を受けよう」


吹雪「し、司令官っ!?」


長門「そうか。決闘は三日後の正午、演習場でだ。せいぜいそれまでに覚悟を決めておくことだな」


バタン……


吹雪「司令官、どうして受けてしまったんですか!」


提督「俺には果たすべきことがある。そのためにはここを去るわけにはいかないんだ」


吹雪「だからって……!」


妖精「あのひとはいちどきめたことはぜったいにまげないひとですから…」


妖精「まあ、あのひとは、かてないしょうぶにいどむほど、ばかではありませんし」


妖精「いまは、あのひとをしんじるしかないのです」


吹雪「司令官を…信じる……」




決戦!長門対提督 前編


提督「おいしょ…おいしょっ……」


提督「ふいぃ…ここも終わりだな!」


妖精「ろうかとがらすのしゅうふく、しゅうりょうです」ビシッ


提督「おっ、お疲れさん。あとは倉庫の備蓄状況の把握だけだな」


妖精「わかりました。さっそくとりかかるです!」ピュー



長門「ふんっ!!はあっ!だあッ!!」


陸奥「長門、根を詰めすぎじゃない?少し休んだ方が……」


長門「陸奥よ、私は負ける訳にはいかないのだ。絶対…絶対にだ…!」


陸奥「もう…あなたっていつもそうよね……」


長門(私があいつを倒せば、みんなは自由を手に入れられる!二度とあの悪夢を繰り返すものか!!)



「ねえ聞いた?あの新しい司令官、長門さんと決闘だって!」


「聞いたよ…しかもそれ、受けちゃったんだって?」


「多分…勝てない……」



島風「だから!絶対てーとくが勝つんだって!」


天津風「無理よ。相手はあの長門さんよ?だいたい、誰からその情報もらったの?」


島風「てーとくが言ってたんだもん!」


天津風「何よそれ、全然信憑性ないじゃない…」





ーー決戦当日 正午ーー



長門「……来たか」


提督「約束の時間だ。さあ、始めようか」


大淀「みなさん!もう少し下がってください!危険です!」


長門「やられる覚悟はできているんだろうな?」


提督「そっちこそ」


長門「ふっ…言ってくれるな。人間風情が」


提督「こうみえても鍛えてるからな。俺、結構強いよ」


提督「俺が勝てば、ここの指揮官として認められる。そう思っていいんだな?」


長門「いいだろう。だが、私が勝った場合、二度と私たちの目の前に現れるな」


長門「……お喋りが過ぎたな。来い、すぐに終わらせてやろう」グッ


提督「………」スッ


岸に打ち付ける波が開始の合図となった。


長門(一撃で終わらせてくれるっ!)ダッ


提督「っ!は、速いっ!」


長門「でやああぁぁっ!」


彼女の拳が提督に襲いかかる。ブレのない真っ直ぐな拳。


提督「うっ…!」


提督「おおおぉぉっ!!」


提督「うっ、ぐぅ……!」


提督(い、痛ぇ…!これが戦艦長門の力…。やっぱりこいつ、只者じゃあねえ!)


提督「でありやあぁっ!」


長門「ふんっ!」ヒョイッ


長門「なるほど、確かに恐ろしいスピードとパワーだ。だがっ!」


提督「うぐっ……!!」


長門「技なら私の方が上だッッ!!」


提督「し、しまっ……!!」


長門「終わりだっ!喰らえぇーーーっ!!」グオッ


提督「っ!!」



ガッ!


長門「なっ何っ!?」


吹雪「と、止めたっ……?!」




決戦!長門対提督 後編



提督「俺にも、譲れないものはあるんでな…‥っ」


提督「負けるわけにはいかんのよっ…‥!!」


長門「バカなっ!こいつのどこにこんな力がッ……!?」


提督が反撃に出た。これまでよりも力強く、鋭い一撃が長門を襲う。


長門(この私が抑えれているだと…!?馬鹿なっ!こんな男に!!)


長門「私がっ、負けるかああぁぁっ!!」


長門「うおおおおぉぉっ!!」


提督「うおあああぁぁっ!!」


お互いの拳から怒涛のラッシュが繰り出される。


拳と拳がぶつかるたびに、衝撃波が発生するほどに激しく、熱い戦い。


それを見ているギャラリーもその戦いに胸を躍らせていた。


戦うためだけに生み出された存在、『艦娘』。


彼女から自由を奪った『人間』。


もはや戦いの中にそれらは関係ない。


全力と全力がぶつかり合う激しい戦いの中にあるもの。それはお互いが信じていることのために戦う。ただそれだけだ。




島風「てーとく、凄い!凄い!」


天津風「あの長門さんとまともにやりあうなんて、一体何者なのかしら」


ミシッ…パラパラ…


雪風「……?」



戦いの熱が最高潮に達した時、それは起こった。


発生した衝撃のせいか、長い間整備されていなかったのか。バゴッと音と共に突然貯水タンクの支柱が折れ始めたのだ。


提督「な、なんだ!?」


これには彼らも戦いを中断し、唖然とする。


外れたタンクは屋上を転がり、落下し始めた。島風たちの上に。


天津風「逃げるのよ!!」


島風「う、うん!!」


天津風「雪風!!なにしてるの!!」


雪風「あ…ああっ……!!」ガクガク


雪風(腰がぬけて、あ、足が……!)


天津風「雪風っ!!」


島風「私に任せてっ!」


素早く雪風の元に駆けつけるが、タンクはすでに落下を始めていた。


島風(ま、間に合わないっ!!)


天津風「島風っ!雪風!!」


島風「ーーっ!!」グッ



ーードッシャアアアァァァッッ!!!
























島風「……?」


提督「うっ……!ぐおおぉぉっ……!!」


島風「てっ、てーとく!!」


提督「ぐっ……早く、逃げろっ……!」


天津風「島風!何してるの!早くこっちに!!」


島風「てーとく、ごめん!」


提督「うぐっ、お、重いっ……!」


ガッ


長門「一人では辛いだろう。私も手伝おう」



ズッシーーーンンッッ……



島風「てーとく、大丈夫!?」


提督「島風、ああ。お前こそ怪我はないか?」


雪風「しれぇ……ごめんなさい……」


提督「気にするな。怪我が無くて何よりだ」


提督「……さて、長門。続きを始めようか」


長門「………」


長門「……やめだ」


提督「……は?」


長門「やめだと言っているんだ。お前はこの鎮守府を統べる指揮官としてふさわしい男だ」


提督「い、いきなりどうしたんだ?」


長門「お前は誰よりも早く島風を助けようとしたな」


長門「あの時、私はお前の意思は本物だと気付いた。だから戦いをやめた」


長門「お前の強さ、そして弱きものを守ろうとする優しさ。全てが真実から出た行動だ」


長門「ほかの奴は口だけの奴らだった。だが、お前は私たちにそれを見せてくれた」


長門「聞けっ!!今日からこの男が私たちの提督だ!!異論はあるものはいるか!?」



曙「ふんっ!私は認めないわよ!?あんな奴」


漣「またまたー、ボノたんは素直じゃありませんなぁ〜」


曙「誰がボノたんよっ!」スパァン


漣「あいたっ!」



北上「別にいいんじゃない?ねぇ?大井っち」


大井「えっ?え、ええ!北上さんがいいって言うなら私も……」



時雨「………」



長門「そういうことだ」


長門「さて、私は帰って鍛錬の続きといこう」クルッ


そういって長門は訓練場へ向かって行く。それと同時に吹雪たちが提督へ駆け寄ってきた。


吹雪「司令官!やりましたね!」


大淀「提督、おめでとうございます!」


提督「ああ。皆、ありがとうな」





ーー夜ーー


カチッ…カチッ……


大淀「提督、失礼します」


提督「ああ、大淀。どうした」


大淀「この鎮守府の修復にかかった費用、そして今日の試合で破損した部分の費用の報告書類をお持ちしました」


ドサッ…


提督「げっ……!こんなにあるのか……!?」


提督「もしかして、これ全部俺が……?


大淀「はい」


提督「えぇ……」


大淀「ふふっ。なーんて、冗談ですよ。私も手伝いますから、一緒に頑張りましょう!」


提督「お前、冗談なんて言えたんだな……」


コンコンコン


提督「ん、開いてるよ」


時雨「やあ」ガチャッ


提督「……時雨か。どうしたんだ、俺に何か用か」


時雨「君に見て欲しいものがあるんだ」


提督「見て欲しいもの、だと?なんだそれは」


時雨「口で説明するより見てもらった方が早いよ。僕について来て」



カツカツ‥‥



提督「ここは……?」


時雨「僕の部屋だよ。それと僕の『トモダチ』の……ね」


ギィ…


提督「なっ……!こ、これは……」


薄暗い部屋に、大きな鉄格子。その奥に一人の少女がいた。


時雨「彼女は夕立。僕の、『トモダチ』さ。キミに紹介したかったんだ」


頑丈な鉄格子の奥の闇で、怪しく赤く光る瞳。まるで、飢えた獣のような眼光。


それは、ヒトの姿をした狂犬だった。


「ウ゛オアアアァァッッ!!」


提督「………」


つんざくような叫びに怯むことなく、提督は夕立に接近し、しゃがみこみ彼女に語りかける。


提督「おいで、夕立」


そう呟くと、提督はあろうことか強引に鉄格子をこじ開けた。


時雨「なっ!キミは一体何を……!?」


「ガアアアッッッ!!」


夕立は提督に襲いかかり、馬乗りになり肩に牙を突き立てた。


ブチブチと牙が肩の肉に食い込み、白い軍服は傷口から紅色に染まってゆく。


提督「おおっ……!!元気がっ……あるな……!!」


時雨「提督っ!!」


「フゥーーッ……!フゥーーッ……!」


提督「なあっ……!夕立……、お前はよぉっ……!この海のっ、何を見たいんだ……?」


提督「俺はなぁっ……!平和な海が見たいんだ……。『お前たちが知らない』昔の海をもう一度……!!」


時雨「………」ウツムキ


提督「誰もお前を縛り付けたりはしない……!もうお前は自由なんだ!」


提督「だからっ、お前もっ……!『お前自身』も自由にしてやってくれないか……?」


「グッ……ウゥ……!!」


提督「俺たちと一緒に戦おう!!勝って、みんなで平和な海を見よう!!」


「………」


「ッ……!!ウッ、ウゥァァ……!!」ポロポロ


「アァッ……ァァ……ァ……」


時雨「夕立っ……!!」


「すぅ……すぅ………」


提督「……なんとか大人しくできたな」


時雨「提督、大丈夫かい……っ!?」


提督「大丈夫だ、ちと痛むがな……。なあ、教えてくれないか。彼女がどうしてこうなっちまったのかを」


提督「夕立は、元々こんな性格じゃなかっただろう?」


時雨「…‥すごいね、提督は。僕達の事なんでも知ってるみたいだ」


時雨「いいよ、教えてあげる」


そう言うと彼女は一つ一つ語っていった。


彼女の症状がいつ頃現れたのか。そして暴走した彼女の強さに前任が目をつけ、彼女に改造を施したこと。


提督「……そうだったのか」


時雨「でも、これで夕立を助けることができた。キミのおかげだよ」


提督「いや、時雨がいままで頑張ってきてくれたおかげだ」


時雨「そんな謙虚にならなくてもいいのに。昼の時とは大違いだね」


時雨「あとは僕が夕立を見ておくよ。提督にはまだやることが残っているんじゃないのかい」


提督「……そうだった。それじゃ、また明日な。時雨」


時雨「うん、頑張ってね」


パタン……



時雨「夕立……。僕達、助かったんだね……」


時雨「よく頑張ったね……!夕立っ……!!」ポロポロ







提督「お、終わらねえよぉ…‥!」


大淀「あと少しです提督!ここが踏ん張りどころですよ!」


妖精「がんばれ♡がんばれ♡」


提督「ひぃーーーーっ!!」



任務その1 完了。




取り戻した日常



本部からの新しい指令が来た。『出撃・または遠征を成功させよ』とのことだ。


出撃についてはまだできそうにない。今回は遠征にしよう。


編成についてはよく知らないが、とりあえず軽巡から天龍、龍田を。


駆逐艦は第六駆逐隊を向かわせることにした。


ーーのだが。


天龍「テメー、この野郎っ!なんで世界水準軽く超えるような俺様がこんなちびっ子の護衛しなくちゃなんねえんだっ!」バンッ


提督「…‥そうか。世界水準超えてるお前ならこんな任務、へっちゃらだと思ったんだがな」


提督「仕方がない。他の子をあたってみるk「ちょっと待てよ!」


天龍「出来ねえとは言ってないだろうが、出来ねえとはっ!」


提督「なら、受けてくれるな」


天龍「ああやってやるよ!やりゃあいいんだろっ!!」


提督「…‥天龍」


天龍「あぁ?なんだ」


提督「ありがとう。この任務にはお前が不可欠だったんだ」


まあ選んだ理由は他と比べて燃費が良いからなんだけどね。


天龍「…‥ふんっ!」


天龍「おら、ちびっ子ども、行くぞ!」


龍田「提督〜?天龍ちゃんをあんまりからかっちゃダメよ〜?」


龍田「それじゃあ私もぉ、出発しま〜す」


パタン…‥


提督「……さて、俺も頑張らなくっちゃな」



提督「………」カキカキ


提督「………」カキカキ


コンコン


提督「どうぞ」


「しつれいしま〜す」


提督「えぇっと……君は?」


文月「文月だよぉ〜よろしくねぇ、しれいかん」


提督「よろしく、文月。それで、何か用か?」


文月「用ってわけじゃないんだけどねぇ、新しいしれいかんがどんなひとかなぁって気になったのぉ」


文月「とっても優しそうな人でよかったぁ。ねえねえ、あたしに何かできることあるぅ?」


提督「特にはないが……じゃあ、そこの資料を取ってくれるか?3番めの本棚だ」


文月「はぁ〜い。う〜〜ん……よし、取れたぁ。はいどうぞ、しれいかん」


提督「ありがとう、助かったよ」ヨシヨシ


文月「えへへ〜、ありがとうねぇ〜」


コンコン


提督「空いてるよ」


「し、失礼しますっ!て、提督!文月ちゃんをみ、見なかったでしょうか!」


文月「あぁ、睦月ちゃん。どうしたの〜?」


睦月「ほ、ほわあああぁーーっ!文月ちゃん!何してるのっ!」


文月「んんっとねぇ〜、今しれいかんに褒めてもらってたの」


睦月「そうじゃないよ!す、すみません提督!妹が粗相を!」


提督「いや、そんなことないぞ。それと、睦月とかいったな」


睦月「は、はいっ!」


提督「自分を隠すな。ここではもっと自由に話してくれて構わないぞ」


文月「そうだよぉ睦月ちゃん。もっとみんなの前で話してるみたいにしていいんだよぉ〜」


睦月「いえ!そういうわけに『わあっ!!』ひゃあっ!なんですか!?なんですかぁ!?」


文月「あはは、おどろいたぁ?」


睦月「も、もう文月ちゃん!やめてにゃしい!……はっ!」


提督「そうか、『にゃしい』か!ぷふっ……!」


文月「おかしいよねぇ〜。昔からずぅっと言ってるんだよぉ」


提督「はははっ!」


睦月「お、怒ってないんですか?」


提督「なにを怒ることがある、いいじゃあないか」


文月「そうだよねぇ〜もっと自由でいいんだよぉ〜」


提督「文月の言う通りだぞ、お前たちは命張って戦ってるんだ。もっと自由に暮らしてもらって構わないぞ」


睦月「……ホントですかぁ?」


提督「嘘はつかん」


睦月「分かりました!睦月はもう我慢しません!文月ちゃん!一緒に食べに行くにゃしい!」


文月「ふわぁ!いいのぉ!?」


睦月「提督!失礼しましたぁ!」ガチャ


文月「司令官、またねーっ!」ヒラヒラ



提督「……ふう、子供ってのは元気が一番だな」


提督「いかん、オヤジ臭いな。年取ったのかなぁ、俺」


提督「よし、俺も頑張らなくっちゃあな」





ザァ……


天龍「ったくよぉ!警戒任務って敵影一つありゃしねえじゃねえか!」


天龍「こんな平和ボケした任務より前線で暴れさせろってんだ!クソッ!」


龍田「天龍ちゃんが前線に出向いたら一瞬で大破するんじゃないかしら〜?」


龍田「でもぉ〜、たしかに暇ねぇ〜。この薙刀だって海風でサビついちゃうわぁ」



暁「ソナーにも何も反応しないわねぇ……。少しくらいいると思ったんだけどなぁ」


雷「何言ってるの、平和が一番なのよ」


電「………」ウツムキ


響「どうしたんだい、電。悩み事なら私でよければ相談に乗ろう。話すだけでも少しは楽になるよ」


電「響ちゃん……。少し司令官さんのことが気になってて……」


電「私たちは、これから司令官さんの命令を聞いて行動するのです……」


電「でも、もしも司令官さんが前の人みたいに電に酷い命令をしてきたら、電たちは従うしかないのですか……?」


響「ふむ……」


響「正直、私にもまだ司令官がどんな人なのか分からないんだ。不思議な人だよ」


響「でも言ってしまうなら、従うしかないだろうね。どんな命令であろうと」


電「うぅ……」


響「私たちはあの人の『フネ』であって、所有物だ。命令に背くことは許されないよ」


電「じゃあやっぱり……」


響「でも、司令官が電たちを傷つけようとするのなら、私や響は全力で守るよ。たとえ処分されようともね」


響「だから、安心するといい。心配はいらないさ、不死鳥の名は伊達じゃないよ」ニコッ


電「響ちゃん……ありがとうなのです!おかげでスッキリしたのです!」


響「そうかい、なら良かった」




暁「ちょっと!あそこで倒れてるのってもしかして人じゃない!?」


電「えっ!?」


暁「ほらあそこよ!あの小島の浜辺!」


電「……助けなきゃ、なのです!」グオッ


暁「あっ!ちょっと!電!!」


雷「響、追うわよ!」


天龍「あんのガキンチョ!」


龍田「仕方ないわねぇ〜」


暁「えっ!?あっ!ちょっと!置いてかないでよ!」




ーー鎮守府ーー


提督「はーっ、疲れた……」


吹雪「あっ、お、お疲れ様です!司令官!」


提督(そういえばしばらくは吹雪に秘書やってもらうんだったな)


吹雪「あ、あの司令官。この写真に写ってる人たちは……?」


提督「ん?これか?これはな、俺が小さい時に故郷で撮ったやつだ」


吹雪「へぇ……司令官の故郷はどんな場所だったんですか?」


提督「自然に囲まれた小さな村だったよ。今はもう無いけどな」


吹雪「な、無いって、どうしてですか……!?」


提督「全部無くなっちまったんだよ、十数年前に起きた深海棲艦の襲撃でな」


提督「村の人も皆死んじまったさ。生き残りは俺だけだ」


吹雪「そ、そんな……っ」


提督「俺は村を襲った奴をこの手で倒して見せると誓った」


吹雪「そ、そんなこと……!」


提督「そんなこと無茶、か?」


吹雪「……っ」


提督「確かに俺だってそう思ったさ。でも俺は動かずにはいられなかった」


提督「許せなかった!奴らに怯えて何もできなかった自分がっ!何よりも一番っ!!」


提督「マジにブルった。全身から汗が吹き出し、息が詰まって、何度も吐きそうになった」


提督「だけど俺があの時、ほんのちょっぴりでも勇気があれば、俺は皆を助けられた!」


吹雪「司令官……っ」


提督「自分を心の底から呪った。惨めな自分を!弱虫な自分をな!!」


提督「俺はその日から戦うと決めた。仇を討つため、過去の自分に打ち克つためにっ!」


提督「そして俺はついに掴んだ!俺の村を襲った深海棲艦の姿を!奴の名を!!」


提督「レ級ッ!フラグシップレ級ッ!それが、俺が十数年追い求めた奴の名だ!」


提督「だから俺はここに来た!ここにいればソイツを見つけられると思ったからな」


提督「……とまあ、こんなところだ。さあ、仕事を始めようぜ」



バンッ!!


暁「いた!司令官っ!大変よっ!!」


提督「暁、どうしたんだ。そんなに血相を変えて」


暁「浜辺で艦娘が倒れてて、それで!」


提督「……!!分かった、すぐ向かう」


提督「悪いな、吹雪。もう少しだけ待っててくれ」





ピーッ……ピーッ……


提督「容体はどうだ、明石」


明石「疲労などによる高熱と軽い栄養失調ね。幸い、重くはないみたいだからすぐ回復すると思うけど」


提督「そうか、分かった。明石、君はしばらく彼女を見ていてもらえるか」


明石「ええ、もちろんそうするつもりよ」


提督「ありがとう、後のことは頼んだぞ」


暁「ちょっと!なんで司令官もついててあげないのよ!?」


提督「……彼女の傷を見てみろ、暁。あれは戦闘でできるような傷じゃあない」


提督「きっとお前たちのように虐待されていたのだろう。そしてこの姉妹や所属している鎮守府の仲間は今でも」


提督「そんな境遇の彼女といきなり顔合わせてみろ、大変なことになる」


提督「それに、俺がここで突っ立ってたって何も変わりはしない。治療なら明石や妖精さんが適任だ」


暁「でも……!」


提督「いいか、暁。お前たちが遠征で艦隊を支えてくれているように、物事には適材適所というものがある」


提督「自分にできることを見つけて、それに全力で向き合えばいい。分かってくれるな?」


暁「うう……分かったわよぉ……」


提督「よし、物分かりのいい子だな」ポンポン


暁「あっ、もう!気安く頭撫でないでよ!暁はもう一人前のれでぃなんだから!ぷんすか!」


提督「おっと、悪い悪い。それじゃ明石、頼んだぞ」


パタン……















後書き

多くのコメントや評価、応援ありがとうございます!いつも笑顔で見させてもらってます!



艦娘のリクエスト募集中です


そのうち主要キャラの紹介でもしよう、うん。


このSSへの評価

36件評価されています


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2019-04-19 00:39:21

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2019-04-17 05:04:56

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2019-03-26 00:30:23

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このSSへのコメント

32件コメントされています

1: 狸蟹 2018-09-08 02:58:31 ID: TSiW1DWc

1コメ失礼します!本当にブラ鎮ものの前任提督はろくな奴がいませんな( º言º)
続き楽しみにしてますね!

-: - 2018-09-08 09:01:42 ID: -

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-: - 2018-09-08 22:30:00 ID: -

このコメントは削除されました

4: SS好きの名無しさん 2018-10-12 21:22:41 ID: S8peub4k

新しい提督さんは強そうですな

-: - 2018-10-12 21:40:20 ID: -

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-: - 2018-10-15 18:55:20 ID: -

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7: クリンスマン 2018-11-01 11:49:17 ID: S:c2oq_l

すごく読みやすいと思いました。
頑張って下さい。(* ̄∇ ̄)ノ

-: - 2018-11-01 15:40:41 ID: -

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9: SS好きの名無しさん 2018-11-04 10:31:16 ID: S:60U5Cw

サバゲーマンです
初めましてサバゲーマンです。この度この作を読ませてもらいました。面白かったです。次回からの更新楽しみにしています。

-: - 2018-11-04 10:49:18 ID: -

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11: SS好きの名無しさん 2018-11-04 20:58:19 ID: S:6Qhrmr

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。あれ、まだ、提督じゃなかったですね?これから提督になるんですね。もしかして吹雪と一緒に鎮守府に行くにかな。これからの更新楽しみにしています。あんまり無理しないようにしてくださいね(^^♪

-: - 2018-11-04 21:11:08 ID: -

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13: SS好きの名無しさん 2018-11-05 06:16:38 ID: S:IWDZ7T

面白いです!これからも頑張って下さい!

-: - 2018-11-05 15:53:19 ID: -

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15: SS好きの名無しさん 2018-11-05 20:08:32 ID: S:p89ofd

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。面白かったです次の艦娘は、誰なのかな?楽しみです。

-: - 2018-11-18 21:48:42 ID: -

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17: SS好きの名無しさん 2018-12-01 04:26:59 ID: S:c5YF2E

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。もう12月ですか~なんか年を取ると早く感じるのは気のせいかな?{30}代なのに・・・所で文が随分変わりましたね~読んだときに間違っていたのかもう一度作・題見直しましたよ!(^^)!この先の更新頑張ってください。焦らないゆっくりと自分のペースで良いでよ・・・
早い娘「〇風」かな楽しみにしています。

-: - 2018-12-01 22:22:24 ID: -

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19: SS好きの名無しさん 2018-12-06 23:56:53 ID: S:vuvEGQ

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。いや~一気に寒くなりましたね~来週からもっと寒くなるみたいですね。仕事場に行くのが嫌になりそうです(´Д`)
提督が会ったのは、時雨かな?あの、「ヤンデレっ子」のもう、一人は、誰だろう?多分夕〇かな?次回の更新楽しみにしています。あんまり無理しては、いてませんよ頑張ってください。

-: - 2018-12-07 07:17:58 ID: -

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21: ゔぇるなーと 2018-12-16 16:30:32 ID: S:gEDDN4

クソッ!滅茶苦茶面白いじゃあねぇか!!
なんか自分のssがアホらしく見えてきた・・・あれ?目から汗が・・・

-: - 2018-12-31 19:48:09 ID: -

このコメントは削除されました

-: - 2018-12-31 19:48:42 ID: -

このコメントは削除されました

24: SS好きの名無しさん 2019-01-03 22:22:51 ID: S:J_Gt3T

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。そして、明けましておめでとうございます。今年も面白い更新楽しみにしています。・・・やっと、提督がみんなの前に来ましたね~あの、ヤンデレ1番隊隊長あそこまで殺意があるとは、でもこれからは、大丈夫かな?これからは、本当のヤンデレになるのかな?あれ、さっきから、ヤンデレの字多いかな、次回の更新楽しみにしています。

-: - 2019-01-08 22:49:06 ID: -

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26: 芝犬 2019-02-11 04:50:18 ID: S:3vyTsj

こういうSS好きだぞ~

27: クリンスマン 2019-03-02 22:47:16 ID: S:0vbnkT

あれ?この提督はスペックだったのか・・・(;゜∀゜)

28: SS好きの名無しさん 2019-03-07 02:31:39 ID: S:hXgQLg

すっっっっっっごく好きなストーリーです…!
ただ物凄く細かいところを言うと、伊良湖さんが「伊良子」さんになってる箇所がありましたねw
続きも期待してます!

29: SS好きの名無しさん 2019-04-07 02:08:28 ID: S:nCzKCI

リクエストかあ・・・まだそれ等が生きてるなら
舞風とか

30: SS好きの名無しさん 2019-04-19 00:39:13 ID: S:xRz_Bg

正常に話が進むだけの語彙力をください。羨ましいです(

31: SS好きの名無しさん 2019-04-19 00:41:04 ID: S:26YxW1

正常に話が進むだけの語彙力をください。羨ましいです(

32: SS好きの名無しさん 2019-04-19 06:54:54 ID: S:-mUJfw

コメント、消してばっかやな


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3: SS好きの名無しさん 2018-11-06 22:51:49 ID: S:pTXGdk

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