2018-12-15 12:29:37 更新

概要

辛い過去を背負った提督が荒廃した鎮守府を再興する話。


前書き

キャラ崩壊があります。

冒頭ではグロテスク・暴力的描写が含まれているので、苦手な方は気をつけてください。

前半は提督の行動が多めになりますが、後半には艦娘達の動きも多く入れたいと思っています。


やっとこさ追いついたので、更新不能になったssを貼っておきます。
コチラ→http://sstokosokuho.com/ss/read/7735#score



私たちの生き方



《 横須賀鎮守府 》



今日もまた一人、仲間が死んだ。



『戦争は犠牲の上で成り立っている』、誰かがこう言っていた。


                                  

『犠牲』か。なら、今の私たちは一体どれほどの犠牲を、どれほどの命を捨てて戦ってきたんだろうね。


今日も今日とで皆は海に駆り出される。


そう、ここは通称、『ブラック鎮守府』と呼ばれる場所。


ここでは海に出たが最後、先に待つのは轟沈、死あるのみ。


とはいっても、死ぬのは主力の戦艦や、空母ではなく、量産しやすい駆逐艦がほとんどです。


まだ私の出撃命令はなかったので、海に駆り出され、沈みゆく運命の仲間達に挨拶を言いに行きました。



よかった、今日はまだ生きていられるんだ……




「頑張ってね」


ーーでもね、言うことなんてたったそれだけ。だってそれ以上の伝える言葉が分からないから…。



「生きて帰ってきてね」


ーーそんな妄言、言えるわけ無いじゃない。だって、私たちは兵器、生き残ることが役目じゃないの。



私たちは海に出たらその先には『死』しか待ってはいないんだから。


彼女たちはみんなうつむいて黙ったり、かすかな声で「うん」とだけしか言いません。



その瞳はこちらを向かず、ひび割れた窓越しに誰しもが水平線を見ています。自分たちの未来は既に見えているのでしょう。


突然、大きなブザー音とともに


『出撃準備 出撃準備 出撃するものは艤装を装着し、直ちに集合場所まで来ること』


放送マイクから出される出撃命令。ここでの『出撃』は誰かの死を表しているも同然だ。



彼女たちの肩は震え、目には涙が浮かんでいる。すると彼女たちは次々に、


 「嫌だ!」


 「死にたくない!」


 「誰か!誰か助けて!」


と、次々に泣き崩れ始める。


…私たちには彼女たちに何もできない。ただ、見送ることしかできない。




数分後、彼女たちは指定された集合場所へと向かっていった。


こうなることは分かっている。何度も見てきた。でも、いつも私の胸は張り裂けそうになる。



………そして彼女たちは二度と帰ってくることはなかった。



食堂から寮へ戻る時、私はいつも”執務室”の前を通ります。


そこを通れば、いつだって目を背けたくなるような声や音が聞こえてくる。



 「お前のせいだ!お前のせいで作戦が失敗したんだ!」


 「アイツを取り逃がしやがって!この鉄クズが!!」


 「俺の面子は丸潰れだ!どうしてくれる!!あぁ!?」


 「テメェみたいな奴を海に出すのにいくら資源がかかってるとおもってんだ!!」



ドゴッ、バキッと鈍く痛々しい音がドアから漏れる。悲痛な叫びとともに「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝る声が聞こえる。


吐き出すように怒号が飛び交う。何分くらい扉の前に立っていただろう?よく覚えていない。


消え入るように音が止み、ズタボロの仲間がおぼつかない足取りで出てきた。


こんなこと、日常茶飯事なのに…何度も見てきたのに…それでも…、耐えられない。


…そう思いながら私は何事もなかったかのように自室へ帰りました。





自室に帰り、私はベッドに横たわる。


耳の奥にみんなの叫び声が焼き付いて離れない。忘れられることなんてできない。


いつまでこのような地獄の日々が続くの…?



誰か……助けて………。








……偶然というのは何時起こるのかなんて、分かったものではありません。


ついさっき、司令官から私に出撃命令が下されました。私の命も、もうこれまでのようです。


…とは言っても私たちの戦いは、出撃というよりも特攻のようなものですが。


出撃する艦娘の艤装に大量の爆弾を積んで敵艦に突っ込み自爆。これが私達、”駆逐艦”の戦い方。


…たしかにこの戦い方は敵を一網打尽でき、非常に効率的と聞きます。でも…それでも……いえ、考えるだけ無駄でしょう。


しかし、爆弾なんて本当に深海棲艦に効果があるのでしょうか。…にわかには信じがたいですが。


…そうだ、次来る娘のために部屋の片付けでもしておこう。とは言っても部屋には何もありませんが。





やっぱり……死にたくないなぁ……




命の価値




こうして海にでるのも何時ぶりでしょうか。とても懐かしく感じます。


今、まさに海戦の真っ最中。どうやらここが私の墓場のようです。



「…!敵艦隊発見!提督、ご命令を!」


その一言で奴らはこちらに気づいたのか、敵の砲がこちらを捉える。


一直線に向かってくる敵の砲撃。嵐のように降り注ぎ、一人、また一人と爆炎に包まれて行く。


私たちは回避に専念しながら必死に無線に耳を傾ける。



『戦況は悪化しているようだな…。ならば各自一斉に突撃し、そして敵との距離がゼロになった時に手元のスイッチで自爆しろ。

 何を恐れる必要がある。国のために命を捨てろ。それがお前達”兵器”の仕事だ。』



その命令に私も自分の手元の装備を見る。いつの間に付けられたのか、たしかにそこには見慣れないスイッチがあった。



『いいか。失敗は絶対に許されん。お前らの命を捨て、ここで食い止めるのだ。いいか、分かったな。』



『まあ、失敗したとて、貴様らに待つ結末は変わらんがな!ははははは!!』プッ



一方的に無線は切られ、意識は戦場に戻される。


「そんな、こんなことって…、ああぁぁ……」


「嫌だ…死にたく無い…!いやぁ……!」


耳を塞ぎたくても直視してしまう現実。そんな中、旗艦の人が口を開く。


「覚悟はできた……?」


旗艦の人も、こんなこと言いたくて言っている訳じゃ無い。それは分かっている。


でも、今の私たちから見たらあなたは死神にしか見えない。そう思いながらゆっくりと頷く。


一緒にいる子達もこくんと頷く。


「そう…じゃあ皆一斉にいきます。合図を出したら敵に突撃。あとは、分かっているわね…?」


彼女の決心……それを聞いて私は今一度気づく。ああ、私たちは今から死ぬんだなと…。


他の皆も決心はつけたみたい。


「いきます。3……2……1……」


ゆっくりとカウントダウンは始まる。


どうせ死ぬなら一瞬で意識が飛ぶような爆死の方がいいかな…。


そう思っているうちにカウントダウンはピークに達する。そして…


「ゼロ!今よ!」



敵の一瞬の隙を見て旗艦の人が叫ぶ。それと同時に私たちは一斉に敵陣に向かって突っ込む。



敵との距離は……約250メートル。



あと200メートル。敵が総攻撃をかけてきた。一人の体が大炎上し、その場で砕け散る。



あと100メートル。また、一人がバランスを崩して体全体に攻撃を受け、血飛沫と共に吹き飛んだ。



あと50メートル。あちこちで爆発音。今度は悲鳴。頭の中はもう真っ白。



あと25メートル。右肩に砲撃を受けた。でも、まだ生きている。ここまで来たらもうやるしか無い。



一瞬砲撃が止む。


今しか無いと、その間に全力前進。あと10メートル。


そして私はスイッチを………






押しました。





死にたくないなぁ………






諦め




あれから一体、どれくらいの時間が経ったんでしょうか。私にも分かりません。


ただ、一つだけ分かっている事があります。…私はもうすぐ沈むと言う事です。




私はあの時、死ぬ事が怖かった。まだ生きていたかったんです。


私は自爆する寸前に艤装を全て海に捨てて敵艦に投げつけた後、スイッチを押して爆発させた。


だから、許されない事だけど私は作戦に背いたんです。生きたいという強い思いが、私をそうさせた。


でも、そんな強い思いも神様は聞き届けてはくれませんでした。



やっぱり、爆弾なんか深海棲艦に効くはずなかったんです。



かろうじて敵駆逐や軽巡には大きな損害を与えました。


が、重巡や潜水艦には軽い損傷、戦艦には損害は疎か傷一つ付けられない始末。


周りを見回せばどこを見ても砲口だらけ。おまけに私はさっきの爆発のせいで足以外の艤装を無くしています。


ああ、これが裏切り者の末路なんだな、なんて思ったりして。艤装の燃料も底をついたので逃げることもできない。


沈むのってどんな感じなのかな。痛いのかな、苦しいのかな、それとも…楽になれるのかなぁ。


今度こそ本当に私は死んでしまう、そう考えると笑いすら出てくる。


いっその事、沈むなら楽に沈みたい。私は死を覚悟し、静かに瞳を閉じ、


そして、自分の最期を感じた私はふとこんな事を思った。








せめて、もう一度だけ、あの頃のように皆で笑いあいたかったなぁ……。








雪の少女




どのくらいの時が経ったのだろう。ここはどこだろう。


今の私に見えるのは白い壁、比較的小さな机と椅子。


あれからなぜこうなったのか、私には見当もつきません。


ただ一つ、私は今、生きていると言うこと。そのことだけははっきり分かる。




ーーーーーーー



あのとき、私は確かに『死』というものを覚悟していました。


もはや恐怖なんてものはありません。


むしろ早く沈めてほしい、そんな事をも思い始めるほどでした。


敵の砲口が頭に押し付けられ、一瞬で私の頭は飛ぶ。そんな状況。


私は一切の希望を捨て、目を閉じました。



グシャッ……


「ーーっ……!!」


「……?」


「ガッ……、ア゛ァッ……!!」


「えっ…!?」


何が起きたのか、理解できなかった。とどめを刺そうとした深海棲艦は腹部を貫かれ絶命していた。


見上げたそこには、男が立っていた。海の上に、艤装のようなものを装着した男が。


血まみれの拳を引き抜き、事切れたソレを投げ捨てた『男』は私に手を差し伸べてきた。


私をなんとか取ろうと手を伸ばしたが、バランスを崩して男に抱きかかえられた。


とても暖かかった。だが、もう起き上がる気力もない。瞼がゆっくりと閉じる。


いやだ、死にたくない。死にたくない!


私の願いとは裏腹に、意識は深く、暗闇へと落ちていった。





雪の少女



「んぅ……。ここは……?」


「えっと……。私、どうして……」


男「あぁ、目が覚めたんだな!良かった」


「あ、あなたは……?」


男「体調はどうだ?痛むところとか、ないか?」


「い、いいえ、特には。おかげさまで……」


男「そうか。なあ、目を覚ましたばかりで悪いんだが、起きてもらって良いか?包帯を変えたいからさ」


「あ、分かりました…」


男「おお、だいぶ傷が塞がってきたな。だが、念のためまだ巻いておくか」シュルル


「あの…」


男「ん?なんだ」


「私ってどれくらい寝てたんですか…?」


男「ああ、かなり長いこと目を覚まさなかったな。心配したぜ」


心配?この見ず知らずの私を?


「どうして私なんかのことを心配したんですか?」


男「どうしてって、一週間も目を覚まさなかったんだ、そりゃ誰だって心配するだろ?」


「…助けてくれたんですよね、こんな私を…。沈みかけた、見ず知らずの私を」


うつむきながらか細い声で話す艦娘。その目には薄く涙を浮かべている。


男「そんなの、別に気にするな。だが驚いたぞ、遠くで何かが爆発したと思ったらお前がいたんだもんな」


男「そもそも、目の前で死にかけてる人を見殺しになんてできないしな」グッ


男「っと、終わったぜ、どうだ?きつかったりしないか?」


「あ、ありがとうございます。はい、大丈夫です」



「それで…あなたの名前を……」


男「俺か?俺は〇〇だ。それで、そっちの名前は?」


「私の名前…。吹雪……。特型駆逐艦の1番艦、吹雪です」


男「吹雪か…良い名前じゃねえか、よろしくな」


吹雪「え…、その…はい、よろしくお願いします」


私はその手を弱々しく握りました。こんなに暖かい手を握ったのは初めてです。


冷たい手しか握ったことのない私のその手を男は強く、優しく握りしめてくれました。


私の名前が良いと言ったのも、こんな笑顔で話してくれたのもこの人が初めてでした。


もしもこんな人が私たちの司令官だったら、今の私はもっと違ったのかな。なんてつい想像してみたり。


そんなことを考えていると、扉の影から一人の小人が歩み寄ってきた。


吹雪「あれ?この子って…、妖精さん?」


そういうと吹雪に気づいた妖精がペコリと礼をした。かわいい。


男「こいつらは俺と一緒に住んでるんだ。まあ所謂家族みたいなもん、かな」


指で頭を撫でると子猫のようにじゃれて甘えてくる。かわいい。


男「それで、吹雪。君に質問があるんだが……」



ピーンポーン…ピーンポーン……


突然として鳴るインターホンの音に私の意識は現実に戻されました。


男「ん?なんだ、客か?」




男「はいはい、今開けますよっと」


ガチャリ


男「どちらさまでしょーー」


金属製のそこそこ重いドアを開け、訪問者を見上げる男。


しかし、彼の言葉は途中で途切れてしまった。それもそのはず、扉の前に立っていたのは…



憲兵「………」


ゴリゴリマッチョの憲兵さんだったからだ。


男「 」


パタン…


男「俺は何も見ていないぞ…」


目頭を押さえながらそうつぶやく。


男「いや…見間違いかもしれない。きっとそうだ。よし…」


ガチャリ



憲兵「………」


男「 」


何度見ても同じだ。扉の前にはマッチョ憲兵が待ち構えていた。


男(やべぇよ…。俺、何か悪いことしたっけ……?)


憲兵「お前が〇〇だな?」


男「え!?あ、あぁ、そうだけど」


憲兵「そうか。急な話で悪いが、大本営で元帥閣下がお前をお待ちしている。一緒に来てもらおうか」


男「………」


男「あー、な〜んだ!大本営に出頭ね。おっけー、おーけー」


男「は〜、良かった。良かった」


男「………」






男「…は?」


男「ちょ、え?」


憲兵「さあ、早く来てもらおうか。」


男「え?えええぇぇ!?」




ブラ鎮へ行こう!



ー大本営ー


コンコンコン


元帥「入れ」


憲兵「失礼します。例の男を連れて参りました」


元帥「おお、そうか。では早速中に通してくれ」


憲兵「はっ! ほら、早く中に入れ!」



男「ったく…何でこんなとこ来なくちゃいけないんだって…い、痛い!押すな!」


元帥「君が〇〇君か、よくきたね。まあ、立ち話もアレだから、まずは腰掛けなさい」


男「…?あ、あぁ。こりゃどうも」


憲兵「口の聞き方に気をつけろ!!」


妖精「……っ!コワイ……!」


元帥「まあまあ、良いじゃあないか」


男「よーしよし、あのおじさん怖いねー」ナデナデ


妖精「…♪……♡」デレデレ


憲兵「くっ……!」


妖精「ここがだいほんえい…はじめてきました」


妖精「でっけー……!!」


妖精「なんでよばれたのです?」


男「そ、そんなこと俺に聞かれてもねぇ……」


元帥「………」


元帥(この男にも妖精が見えるのか……!)


元帥(深海棲艦と戦う男と妖精…。ふふっ、面白い。どうやら、この男にも提督としての素質があるようだな……)


男「それで、話って何なんだ?出来れば早めに終わらせてほしいんだが…」


元帥「ああ、話というのも、君に頼みたい事が一つあってだね」


男「頼みたいこと?軍のトップが一般人の俺に何の頼みだ?」


元帥「これは、君にしか頼めない事なんだ。聞いてくれるか?」


男「まぁ、そんなに難しい話じゃなければ」


元帥「うーむ、話せば長くなるんだが……」


かくかく…しかじか…




男「なるほど、つまり…」


男「今、あんたたち海軍は深刻な人手不足に陥ってて、どうしようもないって時に、」


男「偶然、提督資格者で深海棲艦を撃退した『一般人』の俺にこの話を持ちかけたわけだ」


元帥「つまり、そうなっちゃうね」



男「……本気か?」


元帥「もちろん、本気さ」


男(マジなのかよ…)


元帥「で、返事は?」


男「悪いが、断らせてもらう」


元帥「あ、やっぱりね」


男「大体、そんなことやって俺に一体なんのメリットがあるんだよ?」


男「招集理由もしょうもないし。なんだ人手不足って、全部そっちの責任じゃあないか」


男「すみないが、俺はもう帰らせてもらうぞ」


そう言い放つと勢い良く立ち上がり、ドアノブに手を掛ける。


妖精「え…〇〇さん……」アタフタ


男「それじゃあな」


元帥「深海棲艦の撲滅」


突然、元帥が呟くように放ったこの一言。


男「……何?」


その言葉が彼の耳に入った瞬間、その手は止まった。脳内に蘇る惨劇。


元帥「提督になれば少なからず艦娘と共に奴らと戦うことになる」


元帥「しかも君、話によれば深海棲艦をかなり恨んでいるそうじゃあないか」


元帥「どうだ、君とっても私達にとっても損は無いと思うのだがね」


男「その話、誰から聞いた…!」


元帥「さあね。君がこの話に乗ってくれればそのうち分かるんじゃ無いか?」


男「………」ウツムキ


男「よし、いいだろう!その話、乗った!」


元帥「おお!そうか、そうか。感謝するぞ。そうと決まれば早速鎮守府へ向かって欲しいのだが、今日はもう遅い」


元帥「日を改め、明日にでも鎮守府に向かってくれ。迎えの車は君の家へ向かわせよう」


男「ああ、分かった。じゃあ俺たちはそろそろ……」


元帥「ああ、そうだった。大事な所を忘れていたぞ」


男「なんだ、まだ何かあったのか?」


元帥「まぁ、そう慌てるな。君が着任する鎮守府なんだが、本来なら艦娘達が迎えてくれるはずなのだ」


男「ふーん……、それで?」


元帥「……そこの鎮守府の艦娘は少し違ってね」


男「少し違う?違うって、どう違うんだ?」


元帥「彼女達は人間を憎んだり、恐れているのだよ」


男「はぁ、そりゃなんで?」


元帥「どうやら前の提督にかなり酷い扱いを受けていた様でね。彼女達と接触する時には十分気をつけてくれ」


男「な、なるほど……」


元帥「そういえば、君の家には今保護している艦娘がいたね」


男「ん?あ、あぁ。吹雪のことか。それがどうしたんだ?」


元帥「その娘は君が着任する鎮守府に所属していた艦娘だ」


男「つまり、俺が着く鎮守府の詳しいことについては吹雪から聞けと?」


元帥「そういうこと。それじゃ、明日からよろしく頼むよ」




朝の光眩しくて


ー翌日ー


チュンチュン…チュンチュン…


男「ん…、もう朝か……」


プーッ! プップー!


やかましいクラクションの音が部屋中に響く。


そういえば、昨日元帥が迎えの車を送るとか書いてあったっけ。……にしても近所迷惑だっつうの。


男「……さーて、まずは妖精さんたちを起こしてやらないとな」


吹雪「あ、あの、おはようございます」


男「ん?あぁ、おはようさん。早いんだな」


吹雪「はい。あの、昨日は本当にありがとうございました」


男「昨日って、何が?」


吹雪「えぇっと、私、あんなに温かい食べ物、初めて食べて……」


男「え、そうだったのか……」


男「ま、まあいい。そうだ、吹雪、妖精さんたちを起こすのを手伝ってくれないか?」


吹雪「はい。いいですよ」


吹雪「………」


吹雪「あ、あの!」


男「ん、どうした?」


吹雪「ありがとうございました。私を助けてもらって…、美味しい食事を食べさせてもらって……」


吹雪「それから、えっと……」


男「……吹雪」


吹雪「はい……」


男「その続きは…鎮守府に着いてからにしようか。」


男「それに、俺も吹雪に聞きたいことがあるからな」


男「一緒にがんばろうな、吹雪!」ポン


吹雪「……!」


吹雪「はい!吹雪、がんばります!」








男「よし、皆準備は出来たな?」


妖精s’『はい!!』


吹雪「は、はい!」


男「すぐに、出発だ!行くぞ!」




新たなる提督


ガサゴソ…


小刻みに揺れる車の中で大本営からの資料に目を通す。


そこに鎮守府の環境は極めて劣悪で、もはや正常な機能はほとんどしていなかったらしい。


吹雪を除いた艦娘は消息不明…。


おまけに、そこの指揮官は逃げ出したのか、行方は未だ掴めぬまま、と……。


そのまま軍はろくな調査もせずにそれを放置。


うん……。絶対ヤバいやつだわ、これ。


提督「全く、何考えてるんだか……」


提督「ま、悩んでても仕方ないよな」


吹雪「あの、司令官……?」


提督「ん?なんだ?」


吹雪「前から気になってたんですけど、この妖精さんたちって……?」


提督「ああ。こいつらとは、昔いろいろあってな。なかなか愛いやつらだよ」


妖精「ねーねー!おかしちょーだい!」


妖精「……っ!……!!」


提督「こういう風にいろんな奴がいて、シャイだったり、甘えん坊だったりするんだ」


妖精「えへへー!ありがとーー!」


妖精「……♪……♡」


提督「まあ、悪い奴じゃないから、仲良くしてやってくれ」


吹雪「はい。分かりました」


これは聞いた話ですが、妖精には人の本質を見分ける力を持っているらしいです。


現に、あの男には妖精さんは懐くことなどしませんでしたし、ストライキを起こすほどでした。


この妖精さんたちが司令官に懐いているということは、つまりそういうことなのでしょう。



ーーーーーーー




ー鎮守府前ー


提督「ここかぁ」


吹雪「…はい」



コオオオォォ……



提督「酷いな、ボロボロだ…」


提督「話には聞いていたが、まさかこれ程とはな…」


提督「しゃーない、行くぞ」


吹雪「あ、はい!」


ーー正直な所、頭が痛くなってきた。さすがにこれはないだろう。


鎮守府は建物としての形こそ保てているものの、窓ガラスはほとんど割れている。


屋根もところどころ吹き飛んでいて、雨風を防げるのかも怪しい。


外壁にはヒビ、鎮守府の看板なんて文字がすすけて『鎮守府』の文字しか見えなかったぞ。


本当…ヤバいな、ここ。


提督「中に入るぞ……」


鉄製の扉が不気味な音を立てて開く。長いこと使われていなかったのか、ガタついていてかなり重い。


と、扉を開けたその瞬間。とてつもない悪臭が周囲に立ちこめた。


提督「うっ……!!」


吹雪「こ、これって……!?」


何かが腐ったような、錆びついたような、そんな臭い。鎮守府が荒廃しているからなのか、あるいは……


提督「うぅっ…先に進むしかないか……」




風の少女



ー執務室前ー


提督「へーえ…、ここが執務室ねぇ」


ーー内装は想像どうり、酷いものであった。


壁にはカビみたいなの生えてるし、床は今にも踏み抜けそうだし。おまけに蜘蛛の巣なんて張られる始末。


艦隊運営の復帰よりも先に、こっちの方が優先だな……。


ガチャッ


「…っ!だ、誰…ですか?」


提督「俺は今日からここの指揮を執ることになった提督だ。入電は届いてなかったのか?」


「新しい…提督……?」


提督「そうだ。君の名前は?」


大淀「私は軽巡洋艦、大淀と申します」


提督「そうか。改めて始めまして、提督だ。よろしく頼む、大淀」スッ




『お前たちは俺の道具として動いてればいいんだよ!!』




大淀「こ、来ないでっ!!」カチャッ


提督「……!!」


大淀「……はっ!こ、これはその……違うんです!」


提督「いや、それは分かってるけど……」


大淀「も、申しわけありません!!わ、私、提督様にとんだご無礼を!!」


提督「お、落ち着け!というか、どうしたんだ、その傷は!?」


袖口から見えた傷に驚きを隠せなかった。彼女の傷はまるで、薬品で大火傷したような、そんな傷だった。


大淀「これ…ですか?これは前に、友人を庇ったときに付けられた傷で…」


大淀「中には、強制的に夜伽をさせられた娘もいてっ……うっうぅ……!」


提督「大淀……」


ーーなんと声をかけたら良いのか分からなかった。


提督「今まで、辛かったんだよな。苦しかったんだよな」


ーー俺は、彼女じゃない。彼女の苦しみの全ては解らない。だから、こんな言葉をかけてやることしか出来ない。


提督「もう、楽になって良いんだぞ」


ーーこれが正しいのかなんて分からない。でも、彼女の苦しみを少しでも和らげてやりたかった。


大淀「どうして……ですか……!!」


大淀「どうして私に優しくするんですか!!?」


『貴様らは私の道具に過ぎないのだ。国のために戦え、それだけが存在意義だっ!』


ーーどうして……!!どうして!!


ーーあなたが私たちの……!!


大淀「ぐすっ……、ううぅ……!!」




提督「大淀……」


そう近づくと、提督は彼女を強く、優しく抱きしめた。


彼女自身も不思議と、抵抗を全く見せることはなかった。


提督「大丈夫だ……、アイツはもういない。今日から俺がここの提督だ、心配するな」


大淀「……!!」


提督「たとえ、誰もがお前たちの事を兵器だと言っても、俺だけはお前たちの味方だ。俺が守ってやる」


提督「だからな……、今ぐらいは泣いてもいいんだぞ。今までの嫌な思い出全部忘れるくらいにな」


大淀「はい…、提督……!提督っ……!!」ポロポロ


大淀「う、うぅ…うわああああぁぁぁ……!!うわああぁぁぁん!!」


まるで赤ん坊のように泣き崩れていった大淀。よほど辛かったのだろうと、その頭を提督は優しく撫でる。


静まり返っていた部屋の中には、彼女のむせび泣く声だけが響き渡っていった。






提督「少しは落ち着けたか?」


大淀「はい、おかげさまで……」


提督「だとよ。もう入ってきていいぞ、吹雪」


ガチャッ


吹雪「えっと、その……ごめんなさい!」


大淀「ふ、吹雪ちゃんじゃない!無事だったの!?」


吹雪「はい!危ないところをこの司令官に助けてもらったんです!」


大淀「そうなの……!提督、何から何までありがとうございます」


提督「いや、それほどでも……」


妖精「でも、つきっきりでかんびょうしてましたよね?」


吹雪「えっ……!?そうだったんですか?」


提督「ちょっ!それは言わないって……!!」


「え〜!べつにいーじゃん!」


大淀「あらあら、提督」


提督「悪いな、こんなやつらで」


大淀「ふふっ。いえいえ、良いんですよ」


大淀「では、改めてよろしくお願いしますね、提督」


提督「あぁ、よろしくな。大淀」


そう、手を差し伸べた時だった。


バリイイィィィン!!!


突然、部屋中にガラスの破砕音が響く。どうやらかなり近くで割れたようだ。


妖精「な、なんだぁ!?」


大淀「い、今のは……!?」


吹雪「この奥からです!」


彼女が指差した先には、大きめの本棚があった。一見何の変哲も無い本棚だが、確かに音はこの先から来ている。


…いや、先というよりかは裏と言ったほうが正しいだろうか。


提督「……なんともないけど?」


吹雪「でも、確かにここから……」


妖精「……?」


妖精「あら?これは…。なにかのスイッチかしら?」


妖精「おしてみようぜ!ほれっ!」ポチッ


妖精「あっ、こら!かってに…」


ゴゴゴゴゴ…


提督「うおっ!なんだ!?本棚が…」


妖精「うごいた!」


大淀「これは……」


吹雪「隠し扉、でしょうか……?」


提督(鍵は開いてる……。つい最近で使われていたのか……?)


提督(でも、誰が……?)


妖精「……?どうしましたか?」


提督「い、いや。なんでもない……、行こう」


ギィィィ……


提督「うっ、ここもすごい臭いだな…」


石造りの地下室を進んでいく。薄暗く、湿気っている上にカビ臭い。




提督「…ここが最奥みたいだな」


妖精「すんすん…、なんでしょう、なにかへんなにおいがしますね」


吹雪「なにかの薬品、でしょうか?」


提督「開けるぞ…」


ガチャリと、思いの外ドアノブは軽かった。まるでつい最近まで誰か使っていたみたいだ。



提督「……っ!!おい、大丈夫か!!」


そこには、一人の少女が倒れていた。慌てて駆け寄るも、その手は冷たく、生きているかどうか怪しいほどだ。


少女の首にはハートの装飾をしている首輪がしてある。なんとも趣味の悪い首輪だ。


よく見ると首輪にタグがついている。タグに書かれた少女の名前は…


大淀「う、嘘よ……そんな…!!」


吹雪「島風、ちゃん……?」



駆逐艦、島風。




大淀「でも、島風ちゃんは確か…」


提督「うっ!酷い熱だ……!!それに…」


全身はズタボロに傷つき、髪は乱れ、ピクリとも動かない。


提督「…そうだ!確か、執務室の近くに医務室があったはず!」


提督「まずはそこへ!大淀、手伝ってくれ!」


大淀「は、はい!」




ー医務室ー


島風「………」


提督「島風……」


提督「……っ」ギュッ


生気をほぼ持たないか細く冷たくなった手を、やさしく握る。


提督(こんなにも冷たくなって……)


提督(待ってろよ……。今、助けてやるからな…!)


吹雪「…それで、島風ちゃんは大丈夫なんですか?」


提督「ああ、心配ない。気を失ってるだけみたいだ」


大淀「そうですか、良かった……!」


提督「だが、この様子だと、回復まで相当時間が、な」


提督「なにか、いい方法は……」


妖精「それなら、‘‘ばけつ’’があるのです」


提督「バケツ?」


吹雪「私たち艦娘の傷を治す効果のある修復材のことですよ」


大淀「最後に見たのは、‘‘ドッグ’’だったかしら」


提督「ドッグか……。よし、俺が探してこよう」


吹雪「わ、私も行きます!」


提督「いや、吹雪たちはここで島風を見ていてくれ」


吹雪「でも!」


提督「吹雪もここまで来るのに疲れているだろう。今はここで休むんだ」


吹雪「…はい、分かりました。気をつけてくださいね」



ー鎮守府廊下ー


提督「さて、まずはそのドックとやらを探しに行くか」


提督「しっかし……」


ギイィ…ギイィ…


歩くごとに床が悲鳴を上げている。どれだけ放置されていたのだろう。


提督「この床、どんだけボロいんだよ。いつか抜けるんじゃねぇのか…?」



ードックー


提督「お、あったあった。これがバケツか?」


提督「……最後の一つ、か」


提督「よし、島風たちのところに戻ろう」




提督「…それにしても、本当に誰もいないな…」


ヒソヒソ…


提督「前言撤回。誰かいたわ」


ボクガ……ダチヲ…ネ…


提督「……?なんて言ってんのかよく聞こえないな……」ソローリ


バキバキッ!!


提督(うおっ!床が…抜けっ…!?)


???「っ!!誰だい!」


提督(し、しまった!くそっ!!なんでこんな時に…!!)


提督(ぬ、抜けねぇ…!!)


ガチャッ


???「動くなっ!」


暗くてよく見えないが、恐らく砲を向けられている。


……ここは動かない方が賢明だろう。


???「はぁ……、はぁ……、何者だい?」


また自己紹介するのか…。



提督「俺は今日からここに着任する提督だ。」


???「人間が今更…一体何の用だい…?」


見た感じ、怪我をしているようだ。息もかなり荒い。


提督「おい、大丈夫か?」


???「人間なんかに…心配される覚えは……うっ!!」


バタッ


砲を向けていた艦娘は、提督の前で力なく倒れた。


???「………」


提督「…!?おい、しっかりしろ!おい!」


提督「…しょうがない。この娘も休憩室に連れて行くか。いよっ!」


提督「ふぅ。やっと抜けた…」


提督「よっこらせっと。やっぱり軽いな」


???「なん……で……」



ー医務室ー


ガチャ


提督「妖精さん、言われた通りバケツを持ってきたが」


本当に治るんだろうか……?


妖精「あとは、それをかけるだけです。」


提督「でも、あと少ししかないぞ?」


妖精「む、これはこまったね…」


吹雪「それなら、布に染み込ませるなんてどうでしょうか?」


提督「布か、なるほど。」


妖精「じゃあ、ふくをぬがせるので、ていとくさんは……」


バタン…


ーー追い出された。


はぁっとため息を吐きながら、ボロボロの壁にもたれる。


ふと、俺は彼女たちに出会った時のことを思い出していた。



『こ、来ないで!!」


『人間が今更…いったい何の用だい…?」



ここに来るまでにあった娘はみな傷ついていた。


心も…体も。俺は、どうしたらいいのだろう。どうしたら、彼女たちを助けてあげられるのだろう。


その答えは…まだ……



レイカン…シレイカン…


吹雪「あの、司令官。どうかしましたか?」


提督「はっ!…あぁ吹雪か。なんでもない。それで、どうしたんだ?」


吹雪「傷の手当てが済んだので…呼びに来たんですけど…」


吹雪「何度呼んでも返事がなくて…」


提督「すまない。……少し、考え事をな」


吹雪「そうなんですか?なら、いいんですけど…」


吹雪「司令官もあまり無理はしないでくださいね。」


提督「あぁ、分かった。」





ーーそれにしても、こうまで完璧に傷が癒えるとは思わなかった。


しかし、いくら傷が治ったとはいえ、彼女たちの心の傷まで言えたとは到底言えないはずだ。


……もしも、今彼女たちが目覚めたらどうなるのだろう。


いや、考えなくてもわかる。吹雪たちはともかく、間違いなく俺は警戒されるだろうな。


ドカッ


提督「!?」


突然後ろから衝撃を受け、倒れこむ。


吹雪「司令官!?」


ガチャッ


後頭部に砲を押し当てられる。


提督「…もう体はいいのか?」


???「…何故僕を助けたんだ。」


提督「そりゃあ、あんな怪我していたんだから、放っておくわけにはいかないだろう。」


???「黙れ!偽善者め…!」


時雨はグッと砲をさらに押し込む。


大淀「ちょっと!時雨ちゃん!」


時雨「君も、他のヤツらと同じなんだろう?」


時雨「最後には裏切るんだ…!!」


吹雪「それは違います!司令官は…!」


時雨「うるさい!吹雪、君はこの男の毒牙にかかっているんだよ」


吹雪「なっ!」


提督「ぐぅっ、時雨…!お前は…本当は辛かったんだろうっ…!?」


時雨「黙れ、黙れ!!君達に、いったい僕の何がわかるっていうんだ!」


バッ


そう怒鳴り散らすと時雨は踵を返し、部屋を飛び出て行ってしまった。


吹雪「司令官!大丈夫ですか!?」


提督「いてて…ああ大丈夫だ」


提督(時雨……)


妖精「あれ、どこいくんですか?」


提督「ちょっと執務室で頭冷やして来る。しばらく一人にしてくれ…」




ー執務室ー


『君達に、いったい僕の何がわかるって言うんだ!』


提督「……」


提督「分からねえよ…!」


ゴトッ


突然、机から何かが落ちた。


提督「?これは…」


前任の日誌だ。残虐な非行の数々が記されていた。見れば見るほどムカっ腹が立って来る。


日誌に書かれた最後の出撃はちょうど数週間前。俺が吹雪を発見した日だ。


最後のページには名簿が挟まれていた。


提督「全員で数十名ってとこか。ん?」


提督「本日の担当艦……第六駆逐隊?なんだこれは」


提督「それと、引き出しの中には、ノートパソコンか。どれ…」




提督「一通り調べたが、特にこれと言ったものはないな。ん?このソフトは…」


提督「なるほど。これは鎮守府全体の地図みたいだな。」


提督「ここが執務室でこれは……食堂か」


提督「気になるな……。よし、行ってみよう」






ー食堂ー


提督「ここが食堂……なのか?」


本来ならば食堂とか書かれているのだろう。


今は食堂の『堂』の文字が欠けて、『食』としかなっていない。


ギイィィ…


中へ入ってはみたものの、とても食事ができる場所とは思えなかった。


嗅いだことのない異臭が立ち込めて来る。換気は出来ているのだろうか。


提督「おいおい…」


彼が見つけたのは、ちょうど今から食事を取ろうとしている艦娘たち……なのだが、


みな、こちらを様々な目で見ている。怯える者、睨みつける者。



ざわざわ……



提督(ざわめいてるな……。まあ無理もないか…)


彼が口を開こうとした次の瞬間、


???「おいテメェ!人間なんかがここに何の用だ!!」


ガッ


提督「うっ!!」


突然、飛び出して来た一人の女性に胸ぐらを掴まれた。


提督「ま、待て!俺は敵じゃない!」


???「そんなこと聞いてるんじゃねえんだよ!ぶっ殺されてえのか!?」


グググ…


提督(な…なんつー力だっ…!)


足が地面から離れてしまった。彼女の手で喉が圧迫されてゆく。


提督「がっ…!はっ……!!」


苦しい…!息が、できない…!!


提督「お…落ち着いてくれ…!俺は… ここに…ぐっ、着任することになった……提督だっ……!!」


???「そんな事、誰が信じるかよ!」


そ、そろそろ本当にマズい……!





バンッ!


吹雪「し、司令官!それに……摩耶さん!」


摩耶「ーー!?ふ、吹雪じゃねえか!お前、どうしてここに!それに…!」


提督「し、島風っ…!?」


島風「てーとく、大丈夫!?」


提督「あ、あぁ。大丈夫だ。それより島風、お前、俺が怖くないのか?」


島風「うん!吹雪ちゃんや大淀さんから全部聞いたよ!」


摩耶「島風!お前、確かあの時……!」


島風「うん。でも、この提督に助けてもらったの!」


摩耶「…じゃあ、お前が新しい提督だってのは」


提督「ああ、さっきも言ったが本当だ」


提督&摩耶「………」


二人の間に静寂が広がる。



摩耶「……わりぃ」


提督「いや、いいんだ。誤解が解けてよかった」


提督「それより、ここで食事をとっていたみたいだが」


摩耶「……これが食事に見えるのか?」


提督「っ!これは…!」


プレートの上に乗っていたのは粗末など可愛く聞こえるほどのものだった。


弾薬に、燃料。どれも人が食べるものではない。


提督「そのプレートに乗ってるのは燃料だろ?このドングリみたいなのは弾薬。」


提督「そんなもの食べていいわけあるかぁ!!」


彼女たちのプレートから強引にそれらを奪い取る。


提督「吹雪、島風!悪いが、急いでこいつらを破棄してきてくれ!」


吹雪「は、はい!」


島風「おうっ!」




ー数分後ー


島風「ただいま!」


提督「おっ、早いな」


吹雪「はぁ…はぁ…島風ちゃん…。速すぎ……」


提督「二人ともお疲れ様。それと…」


提督「いるんだろう?隠れてないで出てきなよ、時雨」


時雨「…いつから気づいていたんだい?」


提督「足音が一つ多かったからな。床がボロいもんですぐ気づけたよ」


提督「…俺のことはまだ信用できないのか?」


時雨「………」


吹雪「時雨ちゃん、今度の司令官は前の人とは違うんだよ。」


吹雪「…だから、もう一度だけこの人を信じて、前を向いて歩いていこうよ」


時雨「………」チラッ


時雨「…そうだね。吹雪がそう言うなら信じてみよう、かな」


吹雪「…!!」


よかった…!なんとか時雨ちゃんと和解できたみたい。


提督「……よし!話もまとまってきたところだし、そろそろ飯にするぞ!」


吹雪「司令官が作るんですか?」


提督「そうだ。伊達に一人暮らしはしてないからな。飯の腕なら自信があるぞ」


島風「てーとく、何を作るの?」


提督「んー、そうだな。今日は金曜だし、カレーにするか」


妖精「かれー!」


提督「いいか、世の中にはな、あんなギトギトした燃料や、火薬臭い弾薬なんかよりもずっと美味いものがあるんだよ」


摩耶「そ、そうなのか!?」


提督「当たり前よ!まあ、見ていてくれ」


吹雪「わ、私も手伝ってもいいですか?」


島風「島風もー!」ピョンピョン


提督「もちろんいいが、怪我だけはするなよ?」



金曜日の夜は



吹雪らと料理を始めて数分が立った。


島風「うーん、上手に切れないよぉ……」


吹雪「な、涙が……」


二人とも初めてする料理には苦戦しているようだ。


興味を寄せた艦娘がチラチラ見てくるが、俺がいるからなのかそれ以上は近づこうとはしなかった。


食堂の人数もだいぶ増えてきた。鎮守府所属の艦娘大半が集まってきたようだ。










後書き

感想や改善点など、どんなコメントでも随時募集中です!
あ、でも荒らし(?)は勘弁してくださいね。


このSSへの評価

19件評価されています


SS好きの名無しさんから
2018-12-11 20:41:37

ちんぐりまんさんから
2018-12-11 00:16:43

SS好きの名無しさんから
2018-12-08 08:29:18

SS好きの名無しさんから
2018-12-12 06:17:25

SS好きの名無しさんから
2018-12-02 01:53:34

kurowassanさんから
2018-12-01 08:05:35

SS好きの名無しさんから
2018-12-01 04:23:26

SS好きの名無しさんから
2018-11-06 22:27:32

ニンニク2さんから
2018-11-05 17:01:15

SS好きの名無しさんから
2018-11-05 06:15:40

SS好きの名無しさんから
2018-11-06 21:37:07

クリンスマンさんから
2018-11-01 11:45:47

SS好きの名無しさんから
2018-10-21 00:17:50

SS好きの名無しさんから
2018-10-15 20:25:45

SS好きの名無しさんから
2018-10-12 21:21:56

SS好きの名無しさんから
2018-09-12 18:23:05

2018-09-08 23:39:45

SS好きの名無しさんから
2018-09-08 22:29:29

ゆっくりffさんから
2018-09-08 07:36:10

このSSへの応援

23件応援されています


SS好きの名無しさんから
2018-12-11 20:41:39

ちんぐりまんさんから
2018-12-11 00:16:44

SS好きの名無しさんから
2018-12-08 21:39:01

SS好きの名無しさんから
2018-12-08 08:29:26

ポテ神提督さんから
2018-12-02 16:59:10

SS好きの名無しさんから
2018-12-02 08:23:40

SS好きの名無しさんから
2018-12-02 01:53:32

SS好きの名無しさんから
2018-12-01 18:18:45

kurowassanさんから
2018-12-01 08:05:36

SS好きの名無しさんから
2018-11-06 23:11:30

ニンニク2さんから
2018-11-05 17:01:16

Usk_Doさんから
2018-11-05 16:26:47

SS好きの名無しさんから
2018-11-05 06:15:35

SS好きの名無しさんから
2018-11-05 06:07:24

クリンスマンさんから
2018-11-01 11:45:53

SS好きの名無しさんから
2018-10-21 00:18:01

SS好きの名無しさんから
2018-10-15 20:25:46

SS好きの名無しさんから
2018-10-12 21:21:56

SS好きの名無しさんから
2018-09-08 22:29:31

ゆっくりffさんから
2018-09-08 07:36:08

狸蟹さんから
2018-09-08 02:56:46

SS好きの名無しさんから
2018-09-08 00:55:44

SS好きの名無しさんから
2018-09-07 23:53:59

このSSへのコメント

20件コメントされています

1: 狸蟹 2018-09-08 02:58:31 ID: TSiW1DWc

1コメ失礼します!本当にブラ鎮ものの前任提督はろくな奴がいませんな( º言º)
続き楽しみにしてますね!

2: あっぷりこっと 2018-09-08 09:01:42 ID: ISoHJ9rQ

1<<コメントありがとうございます。

書き始めの頃は前任をどこまであの少ない登場シーンで印象付けるかよく悩みました…。

応援ありがとうございます。引き続き、更新頑張っていきます!

-: - 2018-09-08 22:30:00 ID: -

このコメントは削除されました

4: SS好きの名無しさん 2018-10-12 21:22:41 ID: S8peub4k

新しい提督さんは強そうですな

5: あっぷりこっと 2018-10-12 21:40:20 ID: YzO9JRJc

4<<コメントありがとうございます。

提督さんはそこそこの強さに設定するつもりです。

前任をボコボコにできるぐらいには……。

-: - 2018-10-15 18:55:20 ID: -

このコメントは削除されました

7: クリンスマン 2018-11-01 11:49:17 ID: S:c2oq_l

すごく読みやすいと思いました。
頑張って下さい。(* ̄∇ ̄)ノ

8: あっぷりこっと 2018-11-01 15:40:41 ID: S:84zR1A

7<<応援ありがとうございます!

読みやすいと思ってもらえたなら良かったです。

引き続き頑張ります!

9: SS好きの名無しさん 2018-11-04 10:31:16 ID: S:60U5Cw

サバゲーマンです
初めましてサバゲーマンです。この度この作を読ませてもらいました。面白かったです。次回からの更新楽しみにしています。

10: あっぷりこっと 2018-11-04 10:49:18 ID: S:F8LyZV

9<<コメントありがとうございます!

面白いと言われるのはやっぱり嬉しいです!

本編はちょくちょく更新してくつもりなので楽しみにしててください!

11: SS好きの名無しさん 2018-11-04 20:58:19 ID: S:6Qhrmr

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。あれ、まだ、提督じゃなかったですね?これから提督になるんですね。もしかして吹雪と一緒に鎮守府に行くにかな。これからの更新楽しみにしています。あんまり無理しないようにしてくださいね(^^♪

12: あっぷりこっと 2018-11-04 21:11:08 ID: S:XvtzmF

12<<コメントありがとうございます!

頻繁に顔を出してもらえてありがたいです。

無理しないように頑張りますね。

13: SS好きの名無しさん 2018-11-05 06:16:38 ID: S:IWDZ7T

面白いです!これからも頑張って下さい!

14: あっぷりこっと 2018-11-05 15:53:19 ID: S:nyUG-R

13<<コメントありがとうございます!

ありごとうございます!頑張ります!

15: SS好きの名無しさん 2018-11-05 20:08:32 ID: S:p89ofd

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。面白かったです次の艦娘は、誰なのかな?楽しみです。

16: あっぷりこっと 2018-11-18 21:48:42 ID: S:VUjwDf

15<<詳しくはネタバレになるのであまりいえません。

ですが、あえていうなら、とっても速いあの娘です。

17: SS好きの名無しさん 2018-12-01 04:26:59 ID: S:c5YF2E

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。もう12月ですか~なんか年を取ると早く感じるのは気のせいかな?{30}代なのに・・・所で文が随分変わりましたね~読んだときに間違っていたのかもう一度作・題見直しましたよ!(^^)!この先の更新頑張ってください。焦らないゆっくりと自分のペースで良いでよ・・・
早い娘「〇風」かな楽しみにしています。

18: あっぷりこっと 2018-12-01 22:22:24 ID: S:y3fqnY

17<<コメントありがとうございます!

そうですねぇ、最近急に寒くなり始めましたよね。

なんだか自分で見ていて説明不十分な点がちらほら見えるんですよ。

ああでもない、こうでもないと改修を繰り返し続けたらなんだかだいぶ変わってしまいました(笑)

応援ありがとうございます、頑張っていきます!

19: SS好きの名無しさん 2018-12-06 23:56:53 ID: S:vuvEGQ

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。いや~一気に寒くなりましたね~来週からもっと寒くなるみたいですね。仕事場に行くのが嫌になりそうです(´Д`)
提督が会ったのは、時雨かな?あの、「ヤンデレっ子」のもう、一人は、誰だろう?多分夕〇かな?次回の更新楽しみにしています。あんまり無理しては、いてませんよ頑張ってください。

20: あっぷりこっと 2018-12-07 07:17:58 ID: S:acStXw

19>>コメントありがとうございます!
そうですかね?個人的にはこのくらいの気温が冬っぽくて好きなのですが…
応援ありがとうございます、ぶっ倒れない程度に頑張ります。


このSSへのオススメ

3件オススメされています

-: - 2018-09-08 22:30:30 ID: -

このオススメは削除されました

-: - 2018-10-15 18:53:08 ID: -

このオススメは削除されました

3: SS好きの名無しさん 2018-11-06 22:51:49 ID: S:pTXGdk

面白かった


オススメ度を★で指定してください