2018-10-15 17:33:42 更新

概要

辛い過去を背負った提督が荒廃した鎮守府を復興する話。


前書き

キャラ崩壊があります。

冒頭ではグロテスク・暴力的描写が含まれているので、苦手な方は気をつけてください。

前半は提督の行動が多めになりますが、後半には艦娘達の動きも多く入れたいと思っています。



私たちの生き方



《 某鎮守府 》



今日もまた一人、仲間が死んだ。



『戦争は犠牲の上で成り立っている』、誰かがこう言っていた。


                                  ・・・

『犠牲』、か。なら、今の私たちは一体どれほどの犠牲を、どれほどの命を捨てて戦ってきたんだろうね。


今日も今日とで皆は海に駆り出される。


そう、ここは通称、『ブラック鎮守府』と呼ばれる場所。


ここでは海に出たが最後、先に待つのは轟沈、死あるのみ。


とはいっても、死ぬのは主力の戦艦や、空母ではなく、量産しやすい駆逐艦がほとんどです。


まだ私の出撃命令はなかったので、海に駆り出され、沈みゆく運命の仲間達に挨拶を言いに行きました。



よかった……、今日はまだ生きていられるんだ…




「頑張ってね」

でもね、言うことなんてたったそれだけ。だってそれ以上の伝える言葉が分からないから…。



「生きて帰ってきてね」

そんな妄言、言えるわけ無いじゃない。だって、私たちは兵器、生き残ることが役目じゃないの。



私たちは海に出たらその先には『死』しか待ってはいないんだから。


彼女たちはみんなうつむいて黙ったり、かすかな声で「うん」とだけしか言いません。



その瞳はこちらを向かず、ひび割れた窓越しに誰しもが水平線を見ています。自分たちの未来が既に分かっているのでしょう。


突然、大きなブザー音とともに


『出撃準備 出撃準備 出撃するものは艤装を装着し、直ちに集合場所まで来ること』


放送マイクから出される出撃命令。出撃命令が止むと毎回海軍の行進曲が流れる。この鎮守府でのこの曲は誰かの死を表しているも同然だ。



彼女たちの肩は震え、目には涙が浮かんでいる。すると彼女たちは次々に、


 「嫌だ!」


 「死にたくない!」


 「誰か!誰か助けて!」


と、次々に泣き崩れ始める。


…私たちには彼女たちに何もできない。ただ、見送ることしかできない。




数分後、彼女たちは指定された集合場所へと出て行った。


こうなることは分かっていた。何度も見てきた。でも、いつも私の胸は張り裂けそうになる。



………そして彼女たちは二度と帰ってくることはなかった。



食堂から自分の部屋へ帰る時、私はいつも”執務室”の前を通ります。


そこを通れば、いつだって目を背けたくなるような声や音が聞こえてくる。



 「お前のせいだ!お前のせいで作戦が失敗したんだ!」


 「アイツを取り逃がしやがって!この鉄クズが!!」


 「俺の面子は丸潰れだ!どうしてくれる!!あぁ!?」


 「テメェみたいな奴を海に出すのにいくら資源がかかってるとおもってんだ!!」



ドゴッ、バキッと鈍く痛々しい音がドアから漏れる。悲痛な叫びとともに「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝る声が聞こえる。


吐き出すように怒号が飛び交う。何分くらい扉の前に立っていただろう?よく覚えていない。


消え入るように音が止み、鎮守府からまた一つ、命が消えた。


こんなこと、日常茶飯事なのに…何度も見てきたのに…それでも…。耐えられない。


…そう思いながら私は何事もなかったかのように自室へ帰りました。





自室に帰り、私はベッドに横たわる。


耳の奥にみんなの叫び声が焼き付いて離れない。忘れられることはできない。


いつまでこのような地獄の日々が続くの…?



誰か…助けてよ………。








……偶然というのは何時起こるのかなんて、分かったものではありません。


ついさっき、司令官から私に出撃命令が下されました。私の命も、もうこれまでのようです。


…とは言っても私たちの戦いは、出撃というよりも特攻のようなものですが。


出撃する艦娘の艤装に大量の爆弾を積んで敵艦に突っ込み自爆。これが私達、”駆逐艦”の戦い方。


…たしかにこの戦い方は敵を一網打尽でき、非常に効率的と聞きます。でも…それでも……いえ、考えるだけ無駄でしょう。


しかし、爆弾なんて本当に深海棲艦に効果があるのでしょうか。…にわかには信じがたいですが。


…そうだ、次来る娘のために部屋の片付けでもしておこう。とは言っても部屋には何もありませんが。





やっぱり……死にたくないなぁ……




命の価値




こうして海にでるのも何時ぶりでしょうか。とても懐かしく感じます。


今、まさに海戦の真っ最中。どうやらここが私の墓場のようです。



「…!敵艦隊発見!提督、ご命令を!」


その一言で奴らはこちらに気づいたのか、敵の砲がこちらを捉える。


一直線に向かってくる敵の砲撃。嵐のように降り注ぎ、一人、また一人と爆炎に包まれて行く。


私たちは回避に専念しながら必死に無線に耳を傾ける。



『戦況は悪化しているようだな…。ならば一斉に突撃し、そして敵との距離がゼロになった時に手元のスイッチで自爆しろ。

 何を恐れる必要がある。国のために命を捨てろ。それがお前達”兵器”の仕事だ。』



その命令に私も自分の手元の装備を見る。いつの間に付けられたのか、たしかにそこには見慣れないスイッチがあった。



『いいか。失敗は絶対に許されん。お前らの命を捨て、ここで食い止めるのだ。いいか、分かったな。』



『まあ、失敗したとて、貴様らに待つ結末は変わらんがな!ははははは!!』プッ



一方的に無線は切られ、意識は戦場に戻される。


「そんな、こんなことって…、ああぁぁ……」


「嫌だ…死にたく無い…いやぁ……!」


耳を塞ぎたくても直視してしまう現実。そんな中、旗艦の人が口を開く。


「覚悟はできた……?」


旗艦の人も、こんなこと言いたくて言っている訳じゃ無い。それは分かっている。


でも、今の私たちから見たらあなたは死神にしか見えない。そう思いながらゆっくりと頷く。


一緒にいる子達もこくんと頷く。


「そう…じゃあ皆一斉にいきます。合図を出したら敵に突撃。あとは…分かっているわね…?」


彼女の決心……それを聞いて私は今一度自覚します。ああ、私たちは今から死ぬんだなと…。


他の皆も決心はつけたみたい。


「いきます。3……2……1……」


ゆっくりとカウントダウンは始まる。


どうせ死ぬなら一瞬で意識が飛ぶような爆死の方がいいかな…。


そう思っているうちにカウントダウンはピークに達する。そして…


「ゼロ!今よ!」



敵の一瞬の隙を見て旗艦の人が叫ぶ。それと同時に私たちは一斉に敵に向かって突っ込む。



敵との距離は……約250メートル。



あと200メートル。敵が総攻撃をかけてきた。一人の体が大炎上し、その場で砕け散る。



あと100メートル。また、一人がバランスを崩して体全体に攻撃を受け、血飛沫と共に吹き飛んだ。



あと50メートル。あちこちで爆発音。今度は悲鳴。頭の中はもう真っ白。



あと25メートル。右肩に砲撃を受けた。でも、まだ生きている。ここまで来たらもうやるしか無い。



一瞬砲撃が止む。


今しか無いと、その間に全力前進。あと10メートル。


そして私はスイッチを………







押しました。





死にたくないなぁ………






諦め




あれから一体、どれくらいの時間が経ったんでしょうか。私にも分かりません。


ただ、一つだけ分かっている事があります。…私はもうすぐ沈むと言う事です。




私はあの時、死ぬ事が怖かった。まだ生きていたかったんです。


私は自爆する寸前に艤装を全て海に捨てて敵艦に投げつけた後、スイッチを押して爆発させた。


だから、許されない事だけど私は作戦に背いたんです。生きたいという私の強い思いが、そうさせた。


でも、そんな強い思いも虚しいだけでした。最悪の状況です。出撃前に言った予想が的中してしまいました。



やっぱり、爆弾なんか深海棲艦に効くはずなかったんです。



かろうじて敵駆逐や軽巡艦には大きな損害を与えました。


が、重巡や潜水艦には軽い損傷、戦艦には損害は疎か傷一つ付けられない始末。


周りを見回せばどこを見ても砲口だらけ。おまけに私はさっきの爆発のせいで足以外の艤装を無くしています。


ああ、これが裏切り者の末路なんだな、なんて思ったりして。体はボロボロ、足の艤装の燃料もほとんどありません。


このまま居ても最後にはどうせ沈みます。沈むのってどんな感じなのかな。痛いのかな、苦しいのかな、それとも…楽になれるのかなぁ。


今度こそ本当に私は沈んでしまう、そんなことを考えると笑いすら出てくる。


いっその事、沈むなら楽に沈みたい。私は沈むことを、死というものを覚悟し、静かに瞳を閉じ、


そして、自分の最期を感じた私はふとこんな事を思いました。








せめて、もう一度だけ、あの頃のように皆で笑いあいたかったなぁ……。








生き残り



あれから、どのくらいの時が経ったでしょうか。ここはどこでしょうか。


今の私に見えるのは白い壁、比較的小さな机と椅子、そして私が今寝ている真っ白の暖かくてふかふかの普通の敷布団ぐらいです。


正直、あれからなぜこうなったのか、ここはどこなのか、私には分かりません。


ただ一つ、私は今生きていると言うこと、そのことだけははっきり分かります。






あのとき、私は確かに『死』というものを覚悟していました。


もはや恐怖なんてものはありません。


むしろ、早く沈めてほしい。そんな事をも思い始めるほどでした。


敵の砲口が頭に押し付けられ、一瞬で私の頭は吹っ飛ぶ。そんな状況。


私は一切の希望を捨てて、目を閉じました。




グシャッ……





っ……。




どうしたのでしょうか、撃たれません。


「大丈夫か?もうあいつらはいなくなったぞ。」



・・・え?



だ、誰でしょうか・・・?恐る恐る目を開け、声の主の方へ視線を向けます。


するとそこには、私に視線を下ろす一人の男の人が立っていました…水面上に。


足に艤装が装着されてる…でも、艦娘じゃ無い…?


男「って、おいおい、その傷大丈夫か!?」


自分の右肩からはとめどなく血が流れ、私の右腕は鮮紅色に染まっていました。


なるほど、どうりで先程から体の自由が効かないわけです。


突然、目の前が暗くなってきました。体に力が入りません。どうやら出血しすぎたみたいです。


せっかく助かったのに私…やっぱりここで死んじゃうんだ…。


なんて惨めな最期なんでしょう。私は自分の運命を恨みながら力なく倒れました。


男「っと、大丈夫か?」



「ぅ…っ。ぁぅ……」



男「まずいな…、この出血量じゃ……」



私を抱える男が何か言っていますが、もう私にはそれを聞き取る力すら残っていません。


ただ私は薄れゆく意識の最中、私の中の何かが温かったのを感じながら瞳を閉じ……。


私の意識はそこで途絶えました。




……と、ここまでは覚えているのですが、やはり何故こうなったのかはどうしても分かりません。すると、




男「目が覚めたんだな、よかった」


男「あ…た、食べられるか?」


私はあそこにいた時、こんなものは見たことも食べたことがありませんでした。


もちろん、私はすぐに「はい」と言うつもりでしたが…



グウウゥゥ……



恥ずかしいことに、私自身よりも私のお腹の返事の方が早かったようです。


あ、顔見ないでください。私、今きっと真っ赤になってますから。


男「はい、どうぞ」


男「じゃあ俺は出るから、何かあったら呼んでくれよな」


「ありがとうございます…、あっ」ギュッ…


つい、男の服の裾を掴んでしまいました。一人ぼっちでいると、またあの地獄を思い出しそうで。


男はそんな気持ちの私を不思議そうに見つめ、きょとんとしています。


「あの…、もう少しだけ、ここにいてください……」


男はしばらく固まった後、わかったと言って私の隣に座ってくれました。



………。



正直言って、私はこんなものを食べていいのかと、とても困惑しています。


あそこにいた頃、私は暖かいものはおろか、一欠片のパンでも食べられれば幸せな、そんな地獄のようなところにずっといました。


司令官の命令で出撃し、沈んだ仲間すら裏切り、この人に助けられるまでは。


仲間への申し訳なさや恐怖、助けられた喜びや食べられるという幸福感。


私の中で様々な感情が入り混じり、心が押しつぶされそうになる。


そして意を決し一口、私は食事を口に入れました。



おいしい…おいしいよぉ……!



「ぐずっ…、ひっぐ、ううぅ…!」


心のダムが決壊し、涙がとめどなくあふれて来る。


男「ええ!どうした!?もしかして、不味かったか!?」


「いえ…、そうじゃないんです……!」


「ぐずっ…、ううぅ…っ、うわああぁぁ!!」ポロポロ





雪の少女



男「少しは落ち着けたか?」


「は、はい。おかげさまで……」


「あの、助けてくれたんですよね、こんな私を…。沈みかけた、見ず知らずの私を」


うつむきながらか細い声で話す艦娘。その目には薄く涙を浮かべている。


男「そんなの、別にいいってことよ。だが、俺も驚いたぜ。遠くで何かが爆発したと思ったら、お前が血まみれで倒れてたんだもんな」


男「第一、目の前で死にかけてる奴を見殺しになんて俺はできないぜ」


「あ、ありがとうございます……!」


「それで…あなたの名前を……」


男「ああ、俺の名前か?俺は〇〇っていうんだ。それで、そっちの名前は?」


「私の名前…、吹雪……。特型駆逐艦の1番艦、吹雪です」


自分の名前を最後に口にしたのは何日ぶりでしょうか。あやうく忘れるところでした。


男「吹雪か…良い名前じゃねえか、よろしくな」


吹雪「あ…はい、ありがとうございます」




「おはなしはおわりましたか?」


吹雪「あなた達は…?」


そこにいたのは何人かの小人、私たちが『妖精』と呼んでいるもの達でした。


男「こいつらか?まあ、俺の家族、みたいな感じだ。いろいろあってな」


「よろしくおねがいします、ふぶきさん」


吹雪「はい、よろしくお願いします」



男「それで、さっきから気になってたんだが、その首輪はなんだ?」







後書き

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2018-10-15 20:25:45

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2018-09-07 23:53:59

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1: 狸蟹 2018-09-08 02:58:31 ID: TSiW1DWc

1コメ失礼します!本当にブラ鎮ものの前任提督はろくな奴がいませんな( º言º)
続き楽しみにしてますね!

2: あっぷりこっと 2018-09-08 09:01:42 ID: ISoHJ9rQ

1<<コメントありがとうございます。

書き始めの頃は前任をどこまであの少ない登場シーンで印象付けるかよく悩みました…。

応援ありがとうございます。引き続き、更新頑張っていきます!

3: SS好きの名無しさん 2018-09-08 22:30:00 ID: zRSIJ1VQ

ライブドアニュース(9月8日(土))

海上自衛隊、護衛艦『かが』に中国海軍フリゲート艦2隻が接近

加賀『流石に気分が高揚します。』

4: SS好きの名無しさん 2018-10-12 21:22:41 ID: S8peub4k

新しい提督さんは強そうですな

5: あっぷりこっと 2018-10-12 21:40:20 ID: YzO9JRJc

4<<コメントありがとうございます。

提督さんはそこそこの強さに設定するつもりです。

前任をボコボコにできるぐらいには……。

6: SS好きの名無しさん 2018-10-15 18:55:20 ID: seKzaw9-

💀韓.国.🇰🇷💀と北.朝.鮮🇰🇵💀

対日本🇯🇵🎌🗾非難で歩調を合わせている。

💀韓.国.🇰🇷💀と北.朝.鮮🇰🇵💀は『日本🇯🇵🎌🗾』を『共通の敵』として『秘密協定(軍事協定含む。)』を結んでいる可能性が高い。💀

💀韓.国.🇰🇷💀と北.朝.鮮🇰🇵💀が『日本🇯🇵🎌🗾』の『敵』である場合、日本🇯🇵🎌🗾は『安全保障・防衛』を根本的に見直す必要が生じてくる。💀

かが『流石に気分が高揚します。』


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1: SS好きの名無しさん 2018-09-08 22:30:30 ID: zRSIJ1VQ

ライブドアニュース(9月8日(土))

海上自衛隊、護衛艦『かが』に中国海軍フリゲート艦2隻が接近

加賀『流石に気分が高揚します。』

2: SS好きの名無しさん 2018-10-15 18:53:08 ID: seKzaw9-

平成30年『防衛白書』86頁

💀韓.国.🇰🇷💀

19年連続で『軍拡』実施

特に『海軍・空軍』の『軍拡』が『顕著』である。

極めて危険な『兆候』

かが『流石に気分が高揚します。』


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