遊び尽くす生徒会
この度生徒会の一存SSを(勝手に)執筆させて頂きました。
葵せきなさんの書き方を意識して書いています。
生徒会の一存を知らない方はもしかしたら、内容が把握し辛いかもしれません。
Wikipediaなんかで調べてください(笑)
まぁ大して分からなくても問題なし…………だと思いますので。
新しい生徒会のssを書き始めました!
【幸せを呼ぶ生徒会】です。
「人は遊戯を通して精神を確立させるのよ!」
会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。
会長はいつもどこで名言を調べて、それを覚えてくるのだろうか。今まで考えた事が無かったが不思議だ。会長の脳味噌に幾つもの名言がインプットされてるとは。会長程の駄目人間なら三歩歩いたら忘れてしまいそうなものだ。
「杉崎……失礼な事考えてない?」
会長がジト目で俺を見る。萌える。
俺は誤魔化すように会長に言う。
「いいえ、会長と合法的に結婚するには後何年待てばいいのだろうか、と」
「どういう意味よ! 普通に失礼じゃない! もう私18歳よ!」
「なるほど、結婚は合法だと」
「そうよ!」
「式場予約しますね」
「とてつもなく飛躍したわね! まず、杉崎がまだ結婚出来ないし! 出来てもしないし!」
そんな会話を会長としていると、真冬ちゃんが俺達の方をじっと見ていた。
「どうしたんだい真冬ちゃん、嫉妬?」
「先輩の恋路に嫉妬する訳無いでしょう」
相変わらずサラリと酷い事を言う椎名家の次女であった。おかしいなぁ、一番攻略しやすそうなのになぁ。
「真冬は会長さんの名言が気になるんです!」
「名言……? あぁ、遊戯がなんとか」
「そうです!」
「遊戯を通して精神を確立させる、だったか。なるほど、真冬ちゃんはその確立の仕方の駄目な例だってことか。深いなぁ」
「何で真冬が駄目な例なんですか!」
「真冬ちゃん昨日の夜寝る前、何してた?」
「はい、シ●シティです!」
「……会長、今日の議題は何ですか?」
「先輩!? 酷いです! シム●ティは何年も前から有る名作シミュレーションゲームなんですよ、駄目な例じゃないです!」
「シムシ●ィは駄目じゃないよね」
「何ですかその、でも真冬ちゃんは駄目だよねみたいなニュアンスの有る言い方! じゃあ、先輩は昨日の夜何してたんですか!」
「エロゲだけど?」
「先輩の方が駄目ですぅ!」
「いや、どっちもどっちだろ」
最後、深夏にツッコまれて話が終わる。
それを合図にしたかのように、会長がバンッと思いっきり(一般高校生でいう普通の力)机を叩き発言する。
「とにかく、今日は遊ぶ日! 仕事を忘れて遊ぶのよ!」
「アカちゃん……基本この生徒会って、いつも遊んでると思うんだけど」
知弦さんの言う通りだ。仕事は基本俺がこなしているし、仕事をする日だって、大抵終われば遊ぶ。……それに、会長には簡単な仕事以外を回さないようにしているので、忘れる必要の有る程の仕事は会長には無い筈である。
それなのにこの人は……。
「真冬は賛成です。遊ぶの好きですし」
「ま、アタシも賛成かな。今日は仕事ねぇみたいだし……遊ぶか! 何やる? 大乱闘?」
「してどうするのよ深夏。私が居る時点で決着着いているようなものじゃない」
…………ま、俺のハーレムは賛成のようだしたまには遊……いや、いつも通りか……。
まぁいい、会長が遊ぶなんて言い出したって事は何かしらのゲームを持って来ているのだろう。たまにはそういう遊びも良いものだ。
「それでは会長、遊ぶなんて言うって事は当然何かゲームを持って来たんですよね?」
「勿論よ! 私が持って来たゲームは……」
と、会長はそこまで言って棚の方に向かって歩き出す。そこにゲームがあるのか。会長にしては用意周到だ。
ようやく会長は何とか棚から物を取り出す。
そして机の上に置いてから一言。
「……これよ!」
……皆の視線が卓上に集まる。
そこに置かれていたのは、
『人生ゲーム』
……超定番ゲームだった。
しかし、これはこれでこの生徒会にとっては良いゲームかもしれない。何故ならこのゲームは完全に『運』だからだ。トランプで遊んだ時のように自ら負けに走るような事はまず無いと言って良い。
(でもキー君、アカちゃんなら何をしでかすか分からないわよ)
知弦さんがアイコンタクトをしてくる。
……あれ、今この人心を読んで無かった?
(キー君は顔にでるのよ)
(前にも言われましたけど、そのレベルで顔に出てるんですか)
(まあね、それよりキー君。このゲーム、運だけだと思っているみたいだけど)
(実際、そうじゃないですか?)
(アカちゃんなら……やりかねないわ)
(………………何か、知弦さんが言うと信憑性が増しますね)
(じゃあ、頑張りましょうか)
知弦さんとのアイコンタクトを終えると、真冬ちゃんがそれを見計らったように会長に話し掛ける。
「でもでも、会長さん。人生ゲームって、定番すぎてどうかと真冬は思います」
「どういう事?」
「たぶん他のSSでも題材として使わ……」
「ストップ真冬ちゃん、その発言こそどうかと思うわ」
何か真冬ちゃんが怖い事を言っていた。相変わらず天然で凄い的確な事を言う子だ。知識量が多い点でいえば会長より厄介かもしれない。
「まぁ良いだろ、真冬。定番って事は外れないってことだ。漫画だってそうだろ、ありがち展開とかご都合主義とか色々言われながらもそんな作品が受け入れられるんだよ。戦いの中でのパワーアップで、敵とか見方とかが主人公に大して『あいつ……、戦いの中で進化してやがるぜ……』とか!」
結局少年漫画の話だった。しかし、的を射た発言ではある。真冬ちゃんも納得したようで、「まぁ、SSなんて被ってても結局は二次創作ですからね」と、言って引き下がった。……いや、もう少し素直に引き下がって欲しかった。
真冬ちゃんが引き下がったのを見て、会長は小声でよし、と言ってから箱を開けてボードや小物を取り出す。よし、と心の中で言ったつもりなのだろうが、漏れてしまっているのがまた可愛らしい。
会長一人に準備させる訳にはいかないし(会長一人に準備させるのは不安なので)準備を手伝う事にする。
俺はカード等の小物の整理をしていたのだが、お金を並べようとした時、手元にお札が無く、会長の近くに有ることに気付いた。
「あ、会長。その札束こっちに下さい」
「札束なんてないよ?」
「いや……目の前に有るじゃないですか」
「何言ってるの杉崎。これはマネーだよ!」
「……は?」
「だって説明書にマネーって書いてあったもん」
「いや、でも会長。マネーってつまり……」
「馬鹿だなぁ杉崎は」
…………うぜぇ。何この人うぜぇ。
変な所で素直だから対応に困るんだよな……。
「……いいです、じゃあ、そのマネー全部俺に下さい。纏めますんで。」
「えー、これは私の!」
「何で!?」
「私が持って来たゲームだから!」
「説明書読んだんじゃ無いのかぁぁぁぁ!!」
「読んだよ?」
「普通こういう系統のボードゲームは銀行にお金を……マネーを集めておくものなんです!」
「銀行なんて無いじゃない」
「もう少し柔軟な思考は出来ないんですか! 銀行はプレイヤーの使ってないお金を貯めておく場所の総称みたいなものです! リアルな銀行じゃないんです!」
「ふぅん、まぁ何となく分かったわ」
「……そうですか」
「説明下手だなぁ、杉崎は」
「あんたの理解力がないんだよぉぉぉぉぉ!!」
「な、なによ。失礼ね…………まぁ説明下手な人は自覚なんてしてないらしいからね。譲歩してあげるわ。うん、私って大人!」
「……もういいです」
駄目だ、これ以上言っても無駄だ。
それにある程度会長がルールを把握してくれたようなので、これ以上言う意味もない。
ほとんどの準備が終わり、いよいよゲームに取り掛かる。人生ゲームをやるのは一体何年振りだろうか。もうしばらく手を着けていない。
「えぇと、まずは3000マネーを一人ずつに配ります……と」
俺は説明書とにらめっこしながらゲームを進行する。玩具のお金を皆に配り、説明書の次の欄に目を移す。
「ルーレットで順番を決めます。順番決めのルーレットを回す順番は気にせず、ルーレットを一人一回回して下さい。数字が最も大きい人から時計回りでゲームスタートです…………だそうですよ。じゃあまぁ、会長回して下さい」
「ん? 私?」
会長はルーレットに手を掛けてカラカラと勢い良く回す。数字は全部で10まである。……何か会長の事だから1とか出しそ……まぁ、流石にそれはないよな。
「あちゃー、1か……まぁ時計回りになるんだから私初めじゃないってだけだよね、うん」
……前言撤回、この人ヤバい。
すげぇよこの人。真っ先に最下位候補の数字を引き当てやがった。何この逆奇跡。右手にイマジンをブレイクしちゃう力でも宿っているのだろうか。不幸の度を越えている。
そんな奇跡を起こした会長は、そんな事を気にした素振りも見せず、早く次の人が回すよう急かしていた。
そんなこんなで全員ルーレットを回し、10を出した知弦さんスタートとなった。10を出したのが知弦さん以外ならなぁ。知弦さんなら何か仕組みそうだから怖い。
それはともかく、順番は知弦さんから時計回り、知弦さん、真冬ちゃん、深夏、俺、会長の順番に決定した。
こう見るともしかしたら知弦さんが仕組んだのではなく、会長が最後になるように天が決めた可能性が有る。会長…………。
「じゃあ、まずは私が駒を進めるのね」
そう言って知弦さんがルーレットに手を伸ばす。
カラカラとルーレットが回り、それを皆で見守る。回るスピードが徐々に落ちていき、そしてルーレットの回転は止まった…………。
10と言う数を指して。
いやぁ、予想してなかった訳では無い。だって知弦さんだもの。有り得なくはない。……いや、待て杉崎鍵、俺は知弦さんが回したから、知弦さんはいつもこういった事をしているという先入観に囚われてしまっているんだ。知弦さんだって、ゲームは純粋に楽しもうとしているに違いない。これはたまたま起こっ……あぁ、駄目だ知弦さんが凄くあくどい笑みを浮かべているよ……。
「凄いね! 流石知弦だよ!」
会長だけが楽しそうに知弦さんを称えている。
「まぁ……ね」
知弦さんは何故か多くは語らなかった。なんか怖い雰囲気を醸し出していらっしゃる。
「じゃ、じゃあ次は真冬ですね」
真冬ちゃんが少し緊張気味にルーレットに手を伸ばしていく。ドンマイ、知弦さんの後。
そういえば真冬ちゃんは重度のゲーマーだったはずだ……。もしかしてこういったボードゲームも得意だったりするのだろうか? しかし、知弦さん程の手練れでなければこんな運任せのゲームに得意不得意など生まれる訳がない。人生ゲームというのは運ゲーだから面白いゲームなのだ。
「あー、9でしたか。紅葉先輩みたいに上手くは行きませんね。残念です」
「そんな事無いわよ真冬ちゃん。9だったら私と互角に渡り合える位の実力は持っているわ」
……あれ、おかしいな。人生ゲームってどんなゲームだっけ……? 少なくとも互角に渡り合える実力とかそんな言葉を使うゲームではないと思ってたんだけどなぁ……。
いや、これはあれだ。真冬ちゃんがかなりのゲーマーだからこそ出来た芸当なんだ。
「深夏、お前は……流石に狙って高い数字を出すなんて出来ないよな……?」
小声で深夏に耳打ちをする。深夏はコクリと頷いてくれた。あぁ、良かった。やっぱり真冬ちゃんと知弦さんだけが出来る技……
「【狙って出すのは】できねーな」
「………………は?」
待て待て待て待て、なんだその意味深な発言は。狙って出すのは出来ない? じゃあ何なら出来るんだお前は。
深夏がルーレットを思いっきり回す。そして何をするのかと思ったら……
「火竜の……咆哮ォォォォッ!!」
「関係ねぇぇぇぇっ!!」
ただ叫ぶだけだった。しかも何故かFAIRY ●AILだった。少年漫画なら何でも良いのかお前は。
カラカラとルーレットの回転が弱まって行く。
……おいおい、嘘だろ?
止まった数字を見て俺は驚いた。
……そう、10だったのだ。
「ふっ……」
深夏はドヤ顔で鼻を鳴らしていた。
知弦さんと真冬ちゃんは、何やら含み笑いをしている。まるで、新しいライバルを見つけてうずうずしているようだ。
「あのさぁ、盛り上がってる所悪いんだけど、3人とも駒を進めてないよね?」
「え?」
会長の言葉に皆が反応する。
そして次に盤上に目を向ける。
「あ、本当ですね。すっかり忘れてました」
知弦さんと真冬ちゃん、そして深夏の大きい数字連弾に驚いて、駒を進めると言うことさえ忘れてしまっていた。
「えっと……まずは私ね」
そう言って知弦さんは自分の駒を手に取る。
「1……2……3……」
知弦さんはゆっくり10まで駒を進めていく。初めの方には、職業マスと言うものがあって、そのマスに止まることで、毎ターン一周終わるごとに貰う事が出来る給料の量を増やせる職業に就ける。因みに知弦さんは…………
「フ……フリーターですって……!?」
職業マスに止まれなかったプレイヤーに与えられる職業、フリーターになっていた。
……なるほど、大きな数字を出せば勝てるって訳ではないんだな。再認識。
「ってことは……あたしも……!」
深夏、フリーター確定。
「ふっふっふ、御二方は実力を付けすぎていたのです……真冬のへっぽこがここで役立って……」
「真冬ちゃん、9もギリアウト」
「ぐふっ!」
……一瞬にして死体が三つ出来た。
何か凄いうな垂れている。残念に。
「…………人生ゲームは、止めよっか」
「……そうですね」
会長と俺で話し合い、人生ゲームはここで終了することにした。会長にしては珍しい引きだった。……まぁ、役員三人死んでるからなぁ。
「さーて、次は何のゲームにしようか」
「……何となく察しはついてましたけど、……会長もしかして他にもゲームを持ち込んで居るんですか……」
「勿論! 今日は遊び尽くすのよ!」
会長がそう声を上げたとたんに、真冬ちゃんが机に突っ伏していた顔を上げて言葉を発した。
「人生ゲームにはぼっちには辛いゲームですが、他のゲームなら真冬にもかなりのチャンス……いえ、最大のチャンスが……」
自分でぼっちって言っちゃったよ。救いよう無いなぁ……。
まぁ、この後は普通にゲームをしただけなので割愛。
「待ってキー君、何で割愛されてるの?」
「いやぁ、だってゲームを普通にやってただけなんで。もう良いかなぁって」
「え? 普通を否定するの?」
「だって、生徒会ですよ?」
「いや、でもね。キー君。私そのあと色々策を練って心理戦を繰り広げてたじゃない? それに遊び尽くす生徒会ってタイトルなのにこれじゃあ遊び尽くしてないわ。さらにいってしまえば…………(※割愛します。杉崎鍵より)
感想が頂けたらこれ幸いです……。
遊び尽くす生徒会はこれで切りが良いので終わりますが、生徒会のSSはこれからも書いていくので、私、風鈴が作者の生徒会のSSを見つけたら、そのときはまた宜しくお願いします。
では。
おぉ!!生徒会の一存ssとは何て俺得な←
風鈴さんが書く馬鹿なくりむちゃんを期待しておきますw
暇人殺し(ニートブレイカー)さん。
コメント有り難う御座います。
1週間に三回くらいは更新していますので、これからも宜しくお願い致します。
……なんで本文があんななのに、私のコメントは堅いのでしょう(笑)
風鈴さん
こちらこそよろしくお願いします。週に三回も楽しみができて嬉しいですw
それは生徒会メンバーがおバカだかrおっとこれ以上言えば知弦さんに消されてしまうw
参った。長々と書いたデータ間違って消してしまいたした。
凹みますね。
最近時間が無くなってきた風鈴です。
頑張ります。
すごい雰囲気出てる!違和感なしで読めます!