最上型重巡洋艦3番艦鈴谷第172号に任命す
思いつき。前任の艦娘が除籍され、補充される、そんな話?を
ラジオ『×月×日、21時となりました。大本営発表の時間です――』
ラジオ『大本営発――××海峡での――敵艦十数隻を撃滅し――わが軍の損害は軽微――大
本営発表終わる』
「もう9時かぁ...お母さんは眠くないの?」
薄暗い部屋でせっせと内職をする母を見る
「そうねぇ...これが終わったら寝ようかしら。あんまり夜更かししてたらお上に怒られちゃうしねぇ...」
「なら、私もそろそろ寝るかなぁ。起きてたって暇だし」
ドンドンドンッ
戸を叩く音がする。
「こんな時間に誰だろ?出てくるね」
そういって私が玄関に行こうとすると、母が止められた
「あんたは、座ってなさいな。こんな時間だし、不審者かもしれん」
「不審者って...そんなこと言われたら心配になっちゃうよ。私も行く」
結局二人で真夜中の来客のもとに行く
ガラガラガラ
不審者の可能性もあったので、慎重にドアを開ける
「夜分遅くにすいません」
戸の前に立っていたのは、見知った顔。役場の職員さんだ
「あはは...びっくりしたよ。こんな時間に来るんだもん」
「すいません...今日中にお渡ししなきゃいけないもので...」
職員さんは、軽く一礼して、一枚の真っ赤な紙を差し出してきた
「召集令状を持ってまいりました。おめでとうございます」
召集令状という言葉を聞いた瞬間、私はとても心が躍った
だって――あの憧れだった艦娘の一員になれるのだから
そんな私とは対照的に、母は
「そうですか...ご苦労様です」
とても、悲しそうに見えた
「それでは。失礼します」
職員さんはそれだけ言うと、足早に去っていった
「さ、家入ろう。ここでぼうっとしてたら風邪ひくよ」
母に促されるまま、私は部屋に戻った
「ちょっと冷えたでしょ。あったかいの置いとくよ」
母が入れてくれた温かいお茶を一杯飲む
「...ふぅ...お母さんの入れてくれたお茶はおいしいね」アハハ
母の悲しそうな顔を見てしまった手前、どんな態度で接すればいいのかわからない
母も、私にどう接していいかわからなくなっているように見えた
しばらくして、母が沈黙を破った
「うん、よかったじゃないか。艦娘、あこがれてたんでしょ?」
不自然なくらい明るい口調で言った
「...う、うん、お母さんにそんなこと言ったっけ?」
私も、不自然なくらい明るい口調で返す
「ふふ...自分の子の考えてることくらいわかるさ。あんたはただでさえ、考えが顔に出やすいんだし」
「そ、そうかな?さすがお母さんだなぁ...かなわないや」
「さ、こんな時間になっちまった。寝ようか。明日も朝早いんだ」
「だね。さーて、布団敷くよ」
机を端に寄せ、布団を二組敷く
「さて、電気消すよ!おやすみなさい」
母が布団に入ったのを確認して、電気を消し、私も布団に入る
しかし、眠れそうにない。赤紙を見たときの、母の顔が忘れられなかったから
艦娘になるのは、大変名誉なことで――私だけじゃなく、みんなの憧れの的で――毎日のように、新聞や、雑誌、ラジオでその活躍ぶりが伝えられている
なのに、なぜ母は悲しんでいたのか
私には分からない。なぜ、母は――私はとても、うれしいのに――
―――――――
―――
「いつ......なさい」
「んん...」
お母さんの声がする。そうか。朝になったんだ...起きないと
「..んんっ...」
覚醒しきっていない体で布団から這い出る
「はい。おはようさん」
台所にはいつもと変わらない母の姿。昨日の晩の面影はない
「...おはよ」
「ちゃっちゃと朝ごはん食べちゃって。今日も忙しんだから」
そう言い残すと、母は忙しく働き始める
「いただきまーす」
朝ごはんに手を付ける。いつも通りの母で安心した。まるで、赤紙など見ていないかのように
「...あのはなしはできないよね...」
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―――
召集の話を一切しないまま、数日が経過した
朝早く起き、ご飯を食べ、私は動員先の工場へ。母は、家に残り家事を。夕方に家に帰り、晩御飯を食べる。それから、お風呂に入り、母は内職を。私は自由な時間を過ごす。なにも変わらない生活を送った
2番艦?鈴谷が?
タイトルの説明お願いします
2番艦はミスです。ガバガバすいません。172に深い意味はありません。172番目の鈴谷、ってことです。嫌な設定かもしれませんね
ミスですか、了解です。
普通に疑問に思っただけなので^^
何番目の鈴谷とかも大丈夫です。とあるシリーズやエヴァとかでも使われてるので嫌とかはないです。