2019-03-11 12:12:19 更新

概要

コードギアスの世界をラブライブのキャラ達が過ごしていく物語です。
サンシャインのキャラもでます。そのためかなりごちゃごちゃしますのでご了承ください。


前書き

キャラ崩壊、キャラ死亡、あるかもです。
ss投稿初ですので至らぬ点があると思いますがご了承ください。


序章


執事「持ち時間を切らしました、ここからは一手、30秒でお願いします。」


貴族B「そ、そんなぁ」


貴族A「はは、だそうだ。」


ガチャ


貴族A「おや?代理人のご到着か?」


貴族B「た、助かったぁ~」


テクテク


穂乃果「、、、」


貴族A「なんだ、学生か」


穂乃果「なんだ、貴族ですか」


貴族A「ふっ、学生はいいな、時間がたくさんある。後悔する時間がな」


ミカ「っと、これはきつくない、穂乃果?」


穂乃果「ミカちゃん、次の授業に間に合うためには何分後に出発すればいいの?」


ミカ「え?うーん、急げば20分かな?」


穂乃果「なら帰りは安全運転で、ことりちゃん達生徒会のみんなにお菓子でも買って帰ろうね。」


穂乃果「マスター、例の件」


貴族B「あ、ああ、わかってるよ、」


貴族A「一手30秒だぞ?」


穂乃果「十分ですよ」スッ


貴族A「キングから?ルールはわかってるのかね?」イライラ


穂乃果「ええ、」ニコ、、トン



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学校


ことり「ほのかちゃーん?お昼食べよーー」


ヒデコ「穂乃果なら、ミカが連れてっちゃったよ」


ことり「ええ?また?」


フミコ「たぶん賭けチェス、かな?」


ことり「もー、ほのかちゃんたら、」


ことり(昔はそんなことしなかったのに、)



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私は高坂穂乃果。音ノ木坂高校に通う二年生だ。っといっても音ノ木坂高校とは今のこの世界にたくさんある。エリア11の音ノ木坂高校、といったほうが正しいかもしれない。


 神聖音ノ木坂帝国。私の生まれた国だ。私はそこの皇位継承順位第11位、第5皇女として生まれた。そして私の妹の高坂雪穂。私と唯一血がつながっている姉妹だ。皇族は跡継ぎのため子供を多く作っているので姉妹がとても多い。が、その中でも雪穂は私の中では特別であり、何が起ころうとも守ると決めている。私たち姉妹は昔は母国に住んでいたのだがあることがきっかけで皇帝によりこのエリア11、元は浦ノ星という国に送られた。そう、私たち姉妹は捨てられたのだ。


 浦ノ星。東方にある島国だったのだが数年前、音ノ木坂の侵略をうけ、敗北。自由と権利とそして名前を奪われ、エリア11として今は植民地エリアとなっている。私たちはエリア11になる前にこの国にとばされ、点々と各地をまわって生きてきた。そして高海家に住んでいた時に戦争がはじまり、そこで仲良くなった友達とも別れ、今はヒデコちゃんの家にお世話になっている。


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穂乃果「チェックメイト、ですね」トン


ミカ「やったーー!」


貴族A「ば、ば、馬鹿な、、、」


貴族B[お、おおー!」


穂乃果「それではこれで。あ、マスター例の件、お願いしますね。」


貴族B「もちろんだとも!」


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ミカ「穂乃果、どうしてキングから動かしたの?」


穂乃果「うん?まあ、キングから動かないと他の兵はついてこないでしょ?」


ミカ「そんなものかな?」

そんなものだ。


ミカ「あ、またテロだってさ、怖いね。」

ニュースで速報が入っている。駐車場に向かいながら、建物につけられている、大型テレビから聞こえたことについてミカちゃんが感想を漏らす。


穂乃果「確かに、ミカちゃん。安全運転よろしくね。」


ミカ「はいよ!」

すると、テレビから、


亜里沙「皆さんこのエリア11の総督の亜里沙です。」

思わずテレビを見る。そこには幼げな顔をした少女がうつていた。


亜里沙「皆さんこのたびのテロは、、、、、

うんたらかんたら、っとありがたそうな言葉を言っている。

亜里沙ちゃんは私の異父姉妹だ。雪穂ととても仲が良かったし、その姉も私たちを可愛がってくれていた。しかし、


穂乃果「いこ、ミカちゃん」


ミカ「ん、あいよ」

それはもう昔のこと。この国に飛ばされてからは私が一人で雪穂を守ってきたのだ。今更会いに行こうとは思わないし、おそらくは私たちは死亡扱いとなっているはず。そちらのほうが都合がいいし、生きていると知られたらまた雪穂が政治の道具に、それだけは絶対にダメだ。


ミカ「お菓子、どうする?」


穂乃果「んー、お任せ。」

今の生活も悪くはないしね。

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曜「もっととばせる!?」


A子「これで精いっぱいだよ!」

私たちは音ノ木坂の軍からとあるものを盗むことに成功した。それをトラックに積み、今逃げているのだが、


A子「!!もう!ちんたら走ってないでよ!」

前を複座をつけたバイクが走っている。


A子「くっ、えい!」


曜「あ、そっちは!」

という声はむなしく、建設中の建物に突っ込んでしまう。結構な衝撃を感じたが、安全装置が働いて何とか怪我はなかった。


曜「いたた、」


A子「ごめん、大丈夫?」


曜「うん、なんとか、それより、」


A子「タイヤが挟まったみたい」ガッガッ


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ミカ「ど、どうしよう。私たちのせいかな?」


穂乃果「まさか、あっちの自業自得、だと思うけど。」


すると、

「おい、事故か?」


「動画とろっと」


「誰か救急車呼んであげなよ」

っと野次馬が集まってくる。このような事態でも自分のことしか考えない人達だ。


穂乃果「ああ!もう!」


ミカ「ちょ、穂乃果!?」


私はトラックに向けて駆け出すと運転手の席へとむかった。 


穂乃果「あの!大丈夫ですか?」

物に塞がれて、運転席の方へは行けない。仕方なく荷台の中に入ってみる。


穂乃果「よっと、、、ん?なんだろ、これ?」


トラックの荷台に積まれていたのは大きな紫色の箱だった。


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親衛隊隊長「例のものはまだ回収出来ていないのか!?」


親衛隊副隊長「はい、トラックは見つけたのですが、まだ、」


隊長「いいか!何としても早急に回収せよ!ナイトメアも使って構わん!」


副隊長「はっ!おい、純潔派の兵に声をかけろ。」


親衛隊兵「イエス、マイロード!」


副隊長「それで隊長、亜里沙皇女殿下にこのことは?」


隊長「伝えなくてもいいだろう。どうせ何も出来はすまい。」

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ガチャ!


A子「よし!動いた!」


曜「ならこのまま、沼津疎開に行こう。」


A子「了解。」グイ、



穂乃果「ん?うわ!動き出した!?」グラグラ

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ミカ「ほのかー!どこー?もう、授業遅れちゃうよ。」


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A子「軍の奴ら追ってきてるよ。」


曜「大丈夫、いざとなったら私が、、」


バン!バン!


A子「って、本当に撃ってきたよ!」


曜「こうなったら、私がナイトメアで出る!」

そういって私は変装用にきていた軍人服を脱いで動きやすい格好となり、第四世代ナイトメア、グラスゴーに乗るため準備をした。


荷台


穂乃果「銃声が聞こえたんだけど、大丈夫だよね?」

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兵『そこのトラック止まりなさい!今のは威嚇射撃である。次は外さない!』


兵「、、、、応答、ありません」


兵「なら仕方ない、タイヤにむっかて、、、」

っといった瞬間、トラック後方からアンカーが射出され隣にいたヘリが破壊される。


兵「なぁ!今のは、ナイトメアの、、まさか!」

するとトラックから赤いナイトメアが飛び出してきた。

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ナイトメア

戦車、戦闘機、戦船、などと同じ戦争用兵器だ。しかし、他と違うのはその機動力である。人型であるため他の機器より動きが速い。装備次第でどのような攻撃もできる。ロボット、といった方がわかりやすいのかん知れない。出力、操縦しやすさ、どれをっとても今までの物よりも優れているため、今や戦争の強さはこのナイトメア次第である。一世代から開発がされ、音の木坂が浦ノ星との戦争で使ったのは第四世代グラスゴー、だ。このナイトメアの前に浦ノ星はなすすべなく敗れた。


曜「この強さはあなたたちがよく知ってるでしょ!」

そういって装備してあった銃で追ってくる車を破壊していく。このまま逃げ切れるかと思ったが、


英玲奈「一般兵は下がれ。ここからは、」


あんじゅ「私たち純潔派がやるわ。」

っとその後ろからこのグラスゴーより新しい第五世代型、サザーランドが二機せまってきた。




英玲奈『あんじゅ、お前はトラックを、私がこのナイトメアの相手をしよう。』


あんじゅ『はいはーい、おまかせ~』

そういって目の前のグラスゴーとの戦闘に入る。といってもナイトメアの性能、操縦者としての腕、どれをとってもこちらが上だ。敵のアンカーを躱し、こちらのアンカーを打ち込む。ギリギリで避けたようだが、右腕は吹き飛ばし、装備してある銃も破壊した。このまま接近戦で終わりだ。



曜「くそ!」

当たり前だけど、あちらのほうが強い。右腕を吹き飛ばされ装備も壊された。


曜「このままじゃ、」


A子「曜ちゃん、このままじゃまずいよ!地下に逃げ込もう!」


曜「それしかない、ね!」

車が地下への入り口に入ったのを確認して入り口をナイトメアの蹴りで壊す。これで追ってこれないはずだ。私とトラックのA子ちゃんはそれぞれのルートで目的の沼津疎開、私たちレジスタンスの本拠地に向けて急いだ。


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あんじゅ「作戦通り地下に誘導成功、っと」


軍長『助かります。では例の通りに、』


英玲奈『わかっている、』ピィ


英玲奈「やれやれ、人目にさらしたくないから、ということで地下で処理しろ、か。テロリストのやつら、いったい何を盗んだのやら。」



副隊長「な、なぜそれを!?」


美渡「え?本当に?」


志満「全部真姫さんの言った通り、ですね。」


真姫「だから言ったでしょ?どうせろくでもないものが盗まれたから口封じのためにイレブンがいるところで回収、そのあと見たものは全員、、、って感じかしら?」


副隊長「だ、だからなんだというのだ!?」


真姫「なによ、こっちは手伝ってあげようとしてるんじゃない。」


副隊長「て、手伝う?」


真姫「そ、回収をね。新型も試したいし、そのためにも誰かパイロットよこしなさいよ。」


副隊長「新型、とはどうせ貴様らのおもちゃだろうが!そんな危ないものに兵をかせるか!」


真姫「なによ、一人くらいいいじゃない。」


副隊長「ならん!どうしてもというならイレブンでの使うんだな!話はこれだけか?ならわたしはもう行く!」


美渡「あ、ちょ!その盗まれたものってなんなの?」


志満「もうここまで知ってしっまたわけですし、」


副隊長「、、、、、、毒ガスだ。」

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穂乃果「えーと、これがさっき出て行ったテロリストの通信機、かな。あまり頼りたくなかったけど仕方ないや。これを軍の人に渡してなんとかテロリストじゃないって証明しないとね。こんなので巻き込まれて捕まる、なんて冗談じゃないよ。」

っとさっきまで聞こえていた銃声が聞こえなくなり、今やどこを走っているのやら。とりあえず止まる様子はなさそう、かな?


穂乃果「早く降りたいな。」


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軍長「いいか!元イレブンだった貴様らは今は名誉音の木坂人になった。それはつまり音の木坂に忠誠を誓ったということだ!先ほど貴様らの元お仲間さんが軍から毒ガスを盗んだ。貴様らには沼津疎開を散策し、見つけ出してもらう。回収はこちらでするため見つけ次第すぐに連絡せよ。いいな?」


名誉音の木坂兵「はっ!」


とある兵「、、、」グッ


名誉音の木坂人

浦の星だった国はエリア11となり、いまではそこに暮らしていた人たちはイレブンと呼ばれている。そんなイレブンは今の音の木坂が占領している国では満足にお金を稼ぐこともできない。そこで音の木坂に忠誠を誓う、っという証拠として名誉音の木坂人という制度ができた。これになると最低限の生活が保障される。しかし自国を裏切る、という行為であり、他の元浦ノ星の人達からは裏切り者とされている。

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曜『はい、なんとか。A子ちゃんのほうもおそらく大丈夫じゃないかな、と』


ダイヤ『わかりましたわ。ともかく曜さんはこちらにもっどて来てください』


曜『わかりました』

通信を切ると、またナイトメアを動かしだす。


曜「それにしても、疲れたなぁ」

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総督府 本部


親衛隊「名誉音ノ木坂人を行かせましたのでもう時間の問題かと」


親衛隊隊長「いいや、だめだ。ここまで騒ぎを広げてしまっては。あれは見られるわけにはいかんのに」


親衛隊副隊長「隊長、まさか」


隊長「そうだ、ナイトメア部隊にも告げよ。総力をあげて沼津疎開を壊滅させよ!」


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曜ちゃんには伝えなかったけど、さっきのナイトメアに撃たれていて血が止まらない。


A子「はぁ、はぁ.....ここまで、かな、」

もう力がはいらない。車をとめ、荷台開けておく。


A子「お願い、みんな。みつ、、け、て、、、」



穂乃果「ん?止まったかな?」

ようやく動きが止まった。と思ったら今度は荷台が開いてくれた。これで出られる。


穂乃果「よっと、って、ここは、地下?なんでこんなところに?」

とりあえずは通信機を持って地上に出る道を探そうとしたとき、いきなり、


とある兵「やめなよ!」ダッ


穂乃果「え?うわ!」ガシ

荷台から降りたらすぐに軍人らしき人に取り押さえられた。


とある兵「これ以上殺しちゃだめだよ!それに毒ガスなんて!」


穂乃果「な!違うよ!私は、巻き込まれただけで、」


とある兵「言い訳なんて!とにかくもう動かないで!」


穂乃果「だ、だから!」

話を聞かない兵の拘束を力いっぱい振りほどく。こちらの話を聞かないだけでも大変だがそれよりも、別の怒りもわいてくる。


穂乃果「殺すな?どうせその毒ガスだって貴方達音ノ木坂が作ったんでしょ?それなのに、偉そうに説教なんて!」


とある兵「!!その声、、まさか、」


穂乃果「そうやって自分たちが正しいと思って、だから音ノ木坂人は!」


とある兵「穂乃果、さん?」


穂乃果「え?、どうして、私の名前を」


とある兵「わ、私です!」

するとその兵はかぶっていた防護ヘルメットを外した。そのそのすこし幼さを残した顔は




千歌「高海千歌です!」


穂乃果「千歌ちゃん!?」


高海千歌

昔お世話になった高海家の娘で歳が近い。私と雪穂が高海家が貸してくれた小さな倉庫で暮らしているときに出会った。最初は仲が悪く、喧嘩ばかりしていたがとあることをきっかけに仲良くなっていき、しまいにはいつも三人一緒に遊ぶくらいには仲良くなった。

しかし、音ノ木坂が浦ノ星に攻めてきたことで私は別の場所に移動しなければいけなくなり、そこでわかれてしまった。



数年前


穂乃果「千歌ちゃん、ごめんね。私の国が」


千歌「そんな!穂乃果さんは悪くないですよ!悪いのは全部音ノ木坂っていう国で!」


穂乃果「....そうだね。だから私は、、神聖音ノ木坂帝国は私がぶち壊す!」


千歌「穂乃果、さん」


穂乃果「ここにも軍が来ちゃう。私と雪穂はいかなきゃ。千歌ちゃん、貴方は生きて、ね。」



それから一度も会ってなかったがまさか数年ぶりの再会がこんな形とは。それに、


穂乃果「千歌ちゃん、音ノ木坂の軍人になったの?」


千歌「..それは、その.......そういう穂乃果さんはなぜここに?もしかして、テロリストに!?」


穂乃果「ち、違うよ!私は巻き込まれただけで、、」

真実を伝えようとした瞬間、毒ガスといっていた紫の箱が光りだし、今まさに開かれようとしていた。


穂乃果「え?」


千歌「やばい!穂乃果さん!」

千歌ちゃんはかぶっていた防護ヘルメットを私にかぶせると自分はハンカチで口をふさいだ。しかし箱から出てきたのは紫の髪をした女のひとだった。


千歌「毒ガスじゃ、ない?」

千歌ちゃんも驚いている。二人でガス類がないことを確認し近くによってみる。その女のひとは少し大きな胸をしていて、腕や口を拘束具で縛られていた。


穂乃果「千歌ちゃん、この人は?」


千歌「わかりません。ミーティングでは確かに毒ガスだと、」

その女の人の拘束具を外しながら二人で話していると、急に光が私たちに当たる。



軍長「こら!そこで何をしている!」

数人の兵と共になにやら偉そうなひとがやってくる。


穂乃果「千歌ちゃん、あの人は、」


千歌「穂乃果さんはじっとしててください。私が話してきます。」タッタッ



千歌「毒ガスを探せとの命令を受けていた高海千歌です!あの、あちらの女性は?」


軍長「貴様!名誉音ノ木坂人にはそこまでの権利は与えておらんぞ!」


穂乃果(まずいよ、確かに毒かも。外に漏れれば私たちはもしかしたら、)


軍長「だが、ま、見つけた貴様には褒美をやらねばな。ほら、」

そういって千歌ちゃんに拳銃を渡した。


千歌「あの、これは?」


軍長「それでテロリストを殺せ」


千歌「!!ま、待ってください!彼女は一般人です!ただ巻き込まれただけで、」


軍長「ほう?貴様イレブンのくせに私に口答えするのか?」


千歌「それは、」


穂乃果(やっぱりだ。このままじゃ私は。けど断れば千歌ちゃんも、)

どうしればよいか、考えるが思いつかない。すると、


千歌「すみません、やっぱり撃ちません」


軍長「何?」


千歌「私は撃ちません。彼女は守るべき一般人、なのですから」


穂乃果「千歌ちゃん、」


軍長「そうか、では、」カチャ

そういってその人は懐から拳銃を取り出し、千歌ちゃんの脇腹に構え、


千歌「え?」


穂乃果「千歌ちゃん!」


パン!


っという音が響き、千歌ちゃんがその場に倒れた。


軍長「命令に従えないものは必要ない」


穂乃果「そんな、、、」

おそらく撃たれたのは脇腹。すぐ手当すれば間に合うはずだ。


穂乃果(けど、この状況、私も危ない。はやく千歌ちゃんを助けたいのに!)


軍長「さて、ではそちらの君も、、」

と言った瞬間上の天井が崩れ、がれきが落ちてくる。


兵「な!」


兵「さ、下がれ!」

後ろにいた兵たちが軍長と共に離れていく。チャンスだ。私はすぐに千歌ちゃんのもとへ行こうとしたが、その目の前に瓦礫が落ちてくる。


穂乃果「そんな!」

おそらく千歌ちゃんには当たってないが、完全に進めなくなった。


軍長「おい!あの女を逃がすな!」

軍長が指示を出す。この場に留まっていては危険だ。私は紫髪の女の人を背負いその場を離れた。


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沼津疎開 


曜「ふぅー、到着っと」

地下を抜け、私たちレジスタンスの本部に何とか帰ってこれた。すると何やらみんなが慌ただしい。ナイトメアのスピーカー機能を使って近くにいた花丸ちゃんと善子ちゃんに聞いてみる。


曜『何かあったの?』


善子「へ?うわぁ!」


花丸「ナイトメアがしゃべったずら!」


曜『私だよ!曜!』

ナイトメアのスピーカーでは音声で誰かを判断することができない。敵だと間違われないとためにすぐに私だと教えた。


善子「あ、曜さん?」


花丸「びっくりしたずら」


曜『あはは、ごめんね。ところで何かあったの?皆慌ただしいけど」


善子「それが大変なのよ!」

善子ちゃんの慌てよう、何か大変なことが、っと思ていたら向こうからダイヤさんとルビィちゃんがきて、


ダイヤ「曜さん!よかった、ご無事でしたか」


曜『はい、何とか。どうしたんですか?』


ダイヤ「それが大変なことに。音ノ木坂の軍がこの沼津疎開にいる人たちを攻撃し始めたのです」


曜『そんな!』


ダイヤ「ですので私たちは一般人の避難誘導をしていますわ。敵はナイトメアまで使っていて、どうやら本気のようです」


善子「なによ!私たちが何したっていうのよ!」


ルビィ「もしかしてルビィたちが盗んじゃった物がとても大切なもので、」


花丸「それにかかわった人たちをみんな、、、ってことずらか?」


ダイヤ「とにかく今は一人でも多くの人を生かすのが先ですわ!曜さん、貴方はそのナイトメアでみんなのサポートを」


曜「わかりました!」


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指令兵『英玲奈様、東地区の指揮をとって欲しいとのことですが」


英玲奈『参謀がいるだろ、そいつやらせろ。私にはやることがある』ピィ


あんじゅ『はぁー、一人残らず殺せ、ね。気が乗らないわ』


英玲奈『命令だ。やるしかないだろ』


あんじゅ『何よ、やる気ね』


英玲奈『別にそんなんじゃない、ただあのグラスゴーを追ってるだけだ』


あんじゅ『そう。それなら手伝ってあげるわ。」


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穂乃果「はぁ、はぁ、」

あの場を後にした私は女の人を背負いながら地上を目指して移動していた。だいたい離れたところで追ってくるような足音も聞こえなくなり、いったん一休みする。


穂乃果「どうして、はぁ、こんなことに、」

疲れと命を狙われている、という恐怖とプレッシャー、そして友達が目の前で撃たれたことが思い出され、激しい怒りがわいてくる。そして、


穂乃果「もう!なんなのさ!この騒ぎはすべて貴方のせいなんでしょ!何なんですか貴方は!」

っと紫髪の女の人に怒鳴ってしまう。行き場のない怒りを、ただの八つ当たりをしてしまう。


穂乃果「それに、音ノ木坂は私から千歌ちゃんまで奪って、、、」

するとその時その女の人が目を覚ました。


穂乃果「目を覚ましたんですか!」


??「うう、あ、」


穂乃果「もしかして、うまくしゃべれないんですか?」

長い間拘束されていたためかうまく言葉が出ないようだ。それでも、


??「ごえ、ん、え」


穂乃果「え?」


??「ごめん、ね」


穂乃果「っ!」

そのとき気づく。この人もまき込めれただけなのだと。だからこそ、


穂乃果「私のほうこそ、怒鳴ったりしてごめんね」

この人も一緒に脱出しよう、そう思って地上に上がるための道を探した。

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特派 本部


千歌「う、うん?」

目を覚ますとそこは知らないテントの中だった。


美渡「お、目覚ましたね」


千歌「へ?あ、あの、」


志満「真姫さん呼んでくるわね」

そういって一人のほうがテントから出ていく。


千歌「すみません、ここは?」


美渡「そーだな、まずここは私たち特派の本部。皇女殿下の総督府本部の近くでもあるから、ひとまず安心しな。それで負傷兵として運ばれたのあんたを、うちのトップである真姫さんが治療していまここにいるわけ」


千歌「治療してくださったんですか?ありがとうございます!」


美渡「いや、おそらく真姫さんの目的は、」

言いかけている中テントの入り口から赤い髪の人が入ってきた。


真姫「あら、思ったより元気そうね」


千歌「あ、治療してくださり、ありがとうございました!」


真姫「別にいいわよ、体で払ってもらうし」


千歌「へ?」


真姫「千歌、とか言ったわね?貴方、イレブン出身よね?」


千歌「は、はい!そうですが、」


真姫「はい、条件クリア~」


千歌「え?」


真姫「貴方、ナイトメア騎乗経験は?」


千歌「えっと、ってありません!ナンバーズ出身者では騎士にはなれないので」


真姫「なれるとしたら?」


千歌「へ?」


真姫「貴方は運がいいわ。なんとちょうど一機、ナイトメアが余ってるの。それも最新のやつがね。それに上からの許可もえたわ。さ、乗る?乗らない?」


美渡「運が悪い、の間違いじゃ、、、」


真姫「なにか?」


美渡「いいえ、なにも」


志満「もちろん、強制じゃないか、、


真姫「何言ってんのよ、強制よ」


志満「、、、、」


という会話を聞きながら私は別のことを考えていた。それはあの場にいた穂乃果さんのことだ。無事なのだろうか、生きているのだろうか。とても不安だ。


千歌「あ、あの!」


真姫「なに?」


千歌「私、その、この場所で巻き込まれた人がいて、その人を助けたいのですがナイトメアに乗れば可能でしょうか?」


真姫「そんなの貴方次第に決まってるでしょう。けれどそれなら急いだほうがいいわよ」


千歌「え?」


志満「親衛隊隊長がね、沼津疎開の壊滅を命令したの」


千歌「そんな!」


美渡「ナイトメアまで出撃しているよ」


真姫「助けたい人がいるんでしょ?だったら悩んでる暇なんてないんじゃない?ナイトメアに乗らなければ貴方は負傷兵としてここにいないといけないんだし、選択しなんてないと思うけど」

それを聞いてわたしの決意は固まった。


千歌「乗ります!ナイトメアに!」



真姫「よし!聞いたわね?私が強制させたわけじゃない、何かあったら軍にはそういっときなさい!」


美渡、志満「、、、、はい」

え?なんですかそれ?とても不安なんですけど、


真姫「時間がもったいないわ。千歌、貴方は今すぐ操縦シュミレーションを受けてきなさい」


千歌「い、イエス、マイロード!」


真姫「ああ、そういう堅苦しいのいいから」


千歌「は、はあ、」

どうやらここは軍の中でも少し変わっているところなのかもしれない。ともかく、


千歌「生きててくださいね、穂乃果さん」


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穂乃果「光!?出口だ!」

階段をのぼり、するととある建物の中に出た。とりあえずは外に出れた、と思っていいだろうか。


穂乃果「とりあえず、この建物の外を、」パン

探そう、としたら銃声が聞こえた。すぐに階段の影に隠れる。一緒にいる女の人にシー、と人差し指を口に当てて合図をして、ばれないように顔を出して除く。


軍長「これでここにいるやつは全員か?」


兵「そのようです」

千歌ちゃんを撃った兵だ。先ほどより人が減っていることからどうやら手分けして探しているのだろうか。それにしてもここでかち合うとはツイていない。


軍長「あそこからの出口はここだと思ったがな、もういい!次に行くぞ」

どうやら何とかやり過ごせそうだ。と思った瞬間、


チュンチュン、コトリデス♪


っと着信がポケットからなってしまった。

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ピッ、ツーー

ことり「ちゅん!?」


ヒデコ「ことりってたまに変になるよね」


ミカ「それよりなんで私は帰ってきてるのに、穂乃果は帰ってないのさ!」


ことり「電話、切られちゃった」シュン

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兵「いました、軍長」


穂乃果「うぐ!」

あの紫髪女の人は捕まり私は壁にたたきつけられた。


軍長「学生が手間どらせやがって」カチャ

そういって銃をこちらに向けてくる。そして、


軍長「死ね」

その引き金を引いた瞬間、


??「撃ったらあかん!」

私とその兵の間に紫髪の女の人が割り込んでくる。


パン

その音がしたとおもったら、銃はその女の人に当たっていた。


穂乃果「な!ど、どうして、」


軍長「チッ、できれば生きて捕らえたかったのだがな。まあいい、発見したがもうテロリストに殺されていた、ということにしよう」

そうですね、などと一緒にいる後ろの兵が言っている。私はそんなのをお構いなしに私をかばって撃たれた女の人のそばに行く。お腹を撃たれ、そこから血が大量に出ている。これでは、もう


穂乃果「どうして、こんな、」

千歌ちゃんも、この人も、そして私も、終わってしまうのだろうか?何もできないまま、なにも守れないまま。


穂乃果(雪穂!)

世界で一番大事な妹の名前を心の中で叫ぶ。ここで私は、、、、

無意識にその女の人に触った次の瞬間、


キィィィィーーーーン


穂乃果(うっ!)

ひどく耳に響く音がしたと思ったら不思議な感覚に陥っていた。周りは真っ暗でなにも見えない。そんな中あの女の人の声が響く。


??(終わりたくないんやね?)


穂乃果(この声、さっきの!)


??(どうやら穂乃果ちゃんには生きる目標があるらしいやん?)


穂乃果(どうして、私の名前、を)


??(力があれば生きられる?これは契約。力を上げる代わりにうちの願いを一つだけ叶えてもらう。この契約をすれば穂乃果ちゃんは力を手に入れる。ギアス、という絶対的な王の力を。その代り王の力は人を孤独にする。大切な人はいなくなり、最後には一人になる。それでも、)

力はほしいか、とその声は私に問う。その契約、願いとは何か。それはわからない。しかし、何もしなければ今この場で死んでしまう。それよりだったら、


穂乃果(いいよ!結ぶ!その契約を!)

そういった瞬間左目に熱い何かを感じた。





穂乃果「貴方たちは千歌ちゃんも、この人も、ほかの沢山の浦ノ星の人も、殺すことに躊躇いなどはないのですか?」


軍長「お?どうした、いきなり。けど、悪いね、お嬢ちゃん。こちとら命令なんだよ」

そういってにやにやする後ろの兵達。


穂乃果「そうですか、なら私も躊躇うことはないですね」

そういって左目に力を込める。


軍長「ん?な!何だ貴様!その眼は!」


穂乃果「どうしたんですか?撃たないんですか?それとも気づきました?撃っていいのは撃たれる覚悟のある人だけだと」


このとき穂乃果はわからない。自分の青い左目が紫になり、不思議な紋章が浮かび上がっていることを。


穂乃果「貴方たちに命じます」

この命令を、この言葉を言ってしまえばもう戻れない、そうわかっていながら私は心を奥底から浮かび上がってくるこの黒い感情を抑えることは、できなかった。



穂乃果【今すぐ、全員死んでください!】ギアス!



私の目を見ていた兵たちはその言葉を聞いた瞬間、目の縁が赤く光り、そして、


軍長《イエス、マイロード!》


兵達《イエス、マイロード!》

持っていた銃を自分の頭に構え一斉に発砲した。

バタ、バタ、と全員倒れ、その場に立っているのは私だけ、となった。

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2章  オレンジの騎士


兵「くらえ、イレブンが!」

音ノ木坂の軍のナイトメアがそういって建物や人に向けて銃を発砲していく。


曜「この!」

私はグラスゴーのアンカーを敵のナイトメアにぶつけ、破壊していく。しかし、正々堂々正面からやりあっては性能で劣るこちらに勝ち目はない。死角から不意を突くやり方でないと。


曜「きりがないよ!」

このやり方もいつまで通用するかわからない。皆を逃がすことが目的ではあるが、


ダイヤ『曜さん、グラスゴーはあとどれくらい動きますか?』


曜『あと20分ほどです!』


ダイヤ『わかりましたわ。では、東地区の方へ行って下さい。避難が遅れています。』


曜『わかりました。ダイヤさん、ちなみに他の皆は』


ダイヤ『皆最善を尽くしてはいますが向こうはナイトメアを包囲網をしいて動かしています。このままでは逃げ場はおそらく、、』


曜『くっ!わかりました』

とにかく一人でも多く助けるため東地区に向けナイトメアを精一杯走らせる。

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特派本部

真姫「あー!もう!意味わかんない!」


美渡「うわ、荒れてますね。どうしたんですか?」


真姫「親衛隊の連中、私達で何とかするから特派の出番はない、ですって。何よ、こっちは手柄なんていいから新型のデータが欲しいのよ」


美渡「自分勝手なやつらばかりですからね」


真姫「可能性があるとしたらテロリスト達が親衛隊をズタズタにすることだけど」


美渡「まずないでしょうね」


真姫「そうよね。もしものために起動チェックはしとくわよ」


美渡「了解です」

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穂乃果「うう、、うぇ、」

胃から込み上げてくるものを必死に我慢する。今私の回りに生きている人はいない。イレブンも紫髪の女の人も、そして軍の人も皆死んでいる。イレブン達は殺され、軍の人は自殺、、、


穂乃果「いや、違うよね。私が、」

殺したのだ。私が命じ、それによってあの人達は死んだ。私が、、、殺したのだ。


穂乃果「それでも、」

それでも後悔はしない、するわけにはいかない。撃っていいのは撃たれる覚悟のある人だけ。その覚悟を決めるのだ。撃たれる覚悟を、そして撃つ覚悟を。

ふとその時近くの紫髪の女の人を見る。心臓を撃たれ、血が広がっている。


穂乃果「貴方は何をしたかったの、かな?私にこの不思議な力、ギアスを与えて、」

契約、この人の願い、そしてギアスとは?聞きたいことは沢山あった。しかしそれはもう叶わない。死者は、生き返らないのだから。


穂乃果「とにかく、動こう」

そう思い立ち上がろうとした瞬間、建物の入り口からナイトメアが入ってきた。

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あんじゅ「これは?」

英玲奈と別れた私は銃声が聞こえたこの建物の中に入った。するとイレブンはまだしも軍の人間までもが死んでいる。そしてうずくまっている一人の女の学生。どういうことだ。


あんじゅ「そこの貴方、ここで何があったの?」




穂乃果(音ノ木坂の兵、かな)

丁度いい、歩いて移動するわけにもいかない。あのナイトメアを、、


穂乃果【そこから降りてくれませんか】ギアス!

先程と同じく左目に集中してから命令をする。しかし、


あんじゅ「?何をいってるの?聞いているのはこちらよ」


穂乃果(きかない!?)

先程は効いていたはず。もしかしたら何かしらの条件が?それとも機械越しだからか?


穂乃果(とにかく反応しなきゃ)


穂乃果「あ、あの私たまたま友達と沼津に来ていて、そしたらその、巻き込まれて、何とか死体に紛れて、、」プルプル

怯えているように演技する。すると、


あんじゅ「、、、わかったわ。とにかく待ってなさい」

そういって降りてくるパイロット。


穂乃果(次は直に見てギアスを)

近づいてくるパイロット。


あんじゅ「ほら、立てる?」


穂乃果「あ、ありがとうございます。それで」


穂乃果【下さい。貴方のナイトメアを】ギアス!

するとそのパイロットは目の縁を赤く光らせ、


あんじゅ《わかったわ。これが鍵。パスワードは、ショッキングパーティー、よ》


穂乃果「どうも」カチャ

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あんじゅ「、、、、、、あら?」

気がつくと私はとある建物の中に立っていた。


あんじゅ「私、、なにを、」

英玲奈と別れ、銃声が聞こえたこの建物に入り、そこで一人の女子学生を見つけ、それから


あんじゅ「それから、、」

それから、、どうしたのだろうか?思い出せない。なぜ私はここに立っているのかも。それに


あんじゅ「あの学生は?」

回りを見ても学生の姿はない。どんな学生だったのかも思い出せない。覚えているのはナイトメアのレーダーから見たサイドテールの髪型のみ。


あんじゅ「とりあえずこの場を離れましょう」

そういって振り返ってみると、


あんじゅ「ナイトメアが、ない!?」

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穂乃果「よっと、」

先程のパイロットから奪ったナイトメアで移動していく。昔シュミレーターを体験できるチャンスがあり、その時の経験が生きている。


穂乃果「確かシュミレーターの成功率は60%くらいだったっけな」

一般の兵がナイトメアに乗るためには最低50%であるのを考えると私は普通に操縦は出来ている。


穂乃果「さて、今の状況は、」

ナイトメアには敵味方識別信号というのもがあり、これによりレーダーで数、位置を知ることができる。


穂乃果「数はざっと50機くらいかな」

この数を掻い潜ってこの沼津疎開から脱出するのはかなり難しい。それに、


穂乃果「丁度いい機会だよね。総督になった亜里沙ちゃんに聞きたいこともあるし」

目標は敵のナイトメアを突破し、亜里沙ちゃんの元にいくこと。


穂乃果「そのためには、」

私は軍の手土産用に持っておいた通信機を見つめる。


穂乃果「ここにいるテロリストさん達に協力してもらわないと、ね」

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英玲奈「ん?ようやくか、あのグラスゴー!」



曜「!!後ろから!?ヤバい!」

建物を使い隠れ隠れやり過ごしてきたがとうとう見つかってしまう。敵は2機。どちらもサザーランドであるため、性能はこちらより上。


曜「逃げないと!」

なんとか建物を使い離れていく。しかし、


英玲奈「ふん、逃げるだけとはな」

その距離は段々と縮まっていく。


曜(どうしよう!このままじゃ!)

すると私達レジスタンス用の通信機から



??『西口だよ!線路に沿って西口方面へ移動して!』


という声がする。聞いたことのない、少なくともレジスタンスのメンバーの誰かではない。


曜『貴方は誰!?どうして、この通信機に!?』


??『そんなことは後!勝ちたかったら、私を信じて!』


曜(勝つ!!)

このままでは追い付かれる。それよりは!

覚悟を決めた私はその声に従い、近くの線路に移動。そして西口に向かっていく。


曜『あの!ここからどうすれば!?』




英玲奈「随分頑張るな、イレブンが、」

だが、距離は縮まっている。しかも線路は一直線。時期に追い付く。すると、線路の向こうから音を立てて、列車が迫ってくる。




曜「あれは!?」


??『私を信じてくれからには勝たせてあげるよ!その列車に跳び乗って!』


曜『わかった!』

そういって私はその列車に跳び移る。




英玲奈「この程度でどうにかなると思ったか」

ナイトメアは他の機械とは比べ物にならない程のパワーがある。列車とぶつかればただではすまないかもしれないが、正面からくるとわかっていれば止めることできる。


英玲奈「よっと、」

正面からきた列車を両手で止める。


英玲奈『おい、お前はグラスゴーを追え』


兵『イエス、マイロード』

そういって後ろについてきていた兵に命令する。そしてもう一機のナイトメアが列車に跳び乗ろうとした瞬間、近くの建物からアンカーが飛んで来て部下のナイトメアの頭部分が破壊され、パイロットは脱出した。


英玲奈「バカな!?同士撃ちだと!?」

建物の方を見るとサザーランドが一機ある。私達と同じ軍なはずだ。


英玲奈『貴様!どこの部隊だ!』

スピーカーを使い問いかける。しかし帰って来たのは装備されている銃弾だった。


英玲奈「なに!?」

回避しようにも今動くと列車とぶつかってしまう。

何とか完全に列車を止めたがその隙に足と装備が破壊されてしまった。


英玲奈「おのれ!」

せめて相討ちに、と思ったが列車の上を通って先程のグラスゴーが迫ってくる。



曜「今だ!」

通信機の人の指示通り動けないサザーランドを攻撃しようと突っ込む。すると



英玲奈「くそ!私が脱出することになるとは!」

ナイトメアにはパイロットの乗ってあるコックピットだけ機体から切り離して脱出できる、脱出機能が備わっている。機体が破壊されたときにパイロットもその爆発に巻き込まれないためだ。

脱出ボタンを押し、コックピットごとこの場所から離れる。



曜「や、やった、、」

敵のナイトメアを、サザーランドを撃退できた。それも2機!


曜『あ、あの!助かったよ!ありがとう!』

通信機越しに伝えた後、先程ナイトメアがいた場所を見る。しかし、そこにはもうナイトメアの影も姿もなかった。


曜「さっきまであそこに、、」



ダイヤ「あのグラスゴーは、、曜さん!」


曜「ん?レーダーに人影、、ダイヤさん達だ」


ダイヤ「無事でしたか。それと今の通信は?」


曜『え?ダイヤさん達にも?』


善子「他の皆にもいったらしいわ。もう少しでずら丸とルビィもこっちに、、」

と、私達が会話している途中に通信機からまた先程の声が聞こえてくる。


??『今先頭にいる貴方。貴方がリーダーですか?』


ダイヤ「わ、私ですか?まあ、一応そうですわ」


??『実は私も今のこの現状に困っています。そこで私に協力してくれませんか?』


善子「協力?」


??『もし協力してくれるのであればその列車の積み荷をプレゼントしますよ』


ルビィ「積み荷?」


花丸「なんずら?」

合流した他のメンバーと一緒に列車の積み荷を見る。すると、


曜『これは!?』

そこには十数機のナイトメアが積まれていた。しかも全部サザーランドだ。


善子「嘘!?」


曜「一体、どうやって、、」

すると全体ではなく私の通信機に連絡がくる。


??『グラスゴーの人』


曜『は、はい!』


??『ナイトメアはあとどれくらい動く?』


曜『えっと、あと10分程です』


??『わかった。なら、エナジーフィラーを変えてしっかりと動けるようにしておいてね』


曜『わ、わかりました』


??『他の皆は起動確認を!10分後に次の指示をするよ』


ダイヤ『あ、あの!』

しかしもう反応がない。


善子「ど、どうするのよ」


ダイヤ「皆さんナイトメアの準備を」


ルビィ「言うこと聞くの?」


ダイヤ「通信の方がどうあれ、このナイトメアは使わせてもらいますわ。その後の動きはあちらの話次第ですわね」


花丸「確かに、せっかくのナイトメア。使わないと勿体無いずら」

そういってレジスタンスの皆はナイトメア起動の準備をしていった。

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穂乃果「ふぅー、」

ナイトメアの中で一息つく。


穂乃果「他人に指示をだすって疲れるね。おっと、今のうちに」ピィピイ





ファイトダヨ


ことり「!!穂乃果ちゃんからだ!」ピィ


ことり「もしもし!」


穂乃果『あ、ことりちゃん?今大丈夫?』


ことり「うん。それより今どこにいるの?」


穂乃果『アハハ、ちょっとね。それでテレビ、またはラジオでニュース見れる?』


ことり「ニュース?ちょっと待ってねて」

そういって生徒会室のテレビをつける。


穂乃果『沼津疎開について何か流されてる?』


ことり「んーと、ううん。交通規制くらいしかないよ。」


穂乃果『その理由は?』


ことり「特にはいってないよ~」


穂乃果(なるほど、あとで軍に都合のいいように流すつもりだね)


ことり「穂乃果ちゃん?」


穂乃果『ん、ありがとね、ことりちゃん。それと雪穂に今日の帰りは遅くなるって伝えておいてくれる?』


ことり「それはいいけど、穂乃果ちゃん。危険なこと、してないよね?」


穂乃果『、、、、大丈夫だよ。心配しないで』


ことり「うん。わかった!明日ね。バイバイ!」


穂乃果『うん。雪穂によろしくね』ピィ


穂乃果(ごめんね、ことりちゃん。)

けど引き返す訳にはいかない。これは相手の軍とテロリストさん達とそして私の命がかかったゲームなのだから。

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善子「よし、こっちはおっけいよ」


ダイヤ「了解ですわ」

すると通信機から連絡が入る。


??『そちらの準備はどうですか?』


ダイヤ『今終わりましたわ。それより、貴方は?名前だけでも、』


??『ごめんなさい、それはできません。この戦いが終わったら、で。それより時間通りならそろそろ曜ちゃんが乗っているグラスゴーが例の場所に行くはずです。それにつられて敵のナイトメアが2機、見え次第しだいすぐに撃ちまくってください』ピィ


花丸「信用して、いいずらか?」


ダイヤ「、、、このナイトメアのこともあります。一応従ってみましょう」


ルビィ「お姉ちゃん、」

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総督府 本部


通信兵「テロリストのナイトメア、発見しました」


親衛隊副隊長「よし、近くにいるナイトメア2機を向かわせろ」


通信兵「イエス、マイロード!」

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曜「来た!」

通信機の人に指示され、みんなのいる場所へ誘導する。そして、



ダイヤ「きましたわ。皆さん!一斉に発射!」

本当に来たナイトメア2機に向け銃を発射、両方ともロストさせた。


善子「やった!」


ダイヤ「本当に、、」


??『よし、ここからはいくつかの部隊に分け行動してね。それと敵味方識別信号は切っておいてください』


花丸「識別信号を?そうしたらみんながどこにいるかわからないんじゃ、」


??『大丈夫だよ、私はみんなを補足できる位置にいるからね。それに信号を切ることで敵にも見つかりにくいはずだよ』


ルビィ「な、なるほど、」


??『さ、みんな移動して!』


ダイヤ『わかりましたわ』ピィ


ダイヤ「皆さん、この声に従ってみましょう」


曜「わかりました!」

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総督府 本部


副隊長「なに?2機やられた?敵の数は?」


通信兵「それが、識別信号を切っているようで。ヘリのカメラからの映像では恐らく十数機ほどかと、」


副隊長「そのくらい、数で囲んでたたけ!C、D隊でその地域を包囲しつつ、攻撃するんだ!」


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??『という考えだと思うから、右の敵の一部に集中攻撃、突破次第、散開してね』


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通信兵「C隊、一機残して全てロスト!敵はバラバラに散った模様です!」


副隊長「チッ、面倒な。D隊、右側へ行き敵を攻撃せよ。近くの部隊も駆けつけるのだ!」

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??『善子ちゃんと花丸ちゃんは敵のナイトメアが見え次第攻撃、なるべくアンカーを使って、銃弾は節約してね』


??『ダイヤさんは積極的にカメラがついているヘリを破壊、ナイトメアへの攻撃はしなくても大丈夫だよ』


??『ルビィちゃんと、いつきちゃんはその場に待機。十秒後、ナイトメアが見えるはずだから、そしたら攻撃して』


??『曜ちゃんは、なるべくカメラに移って。しばらくしたらあの広場に三人待機させてるからそこまで、敵を誘導してね』




花丸「す、すごいずら」


善子「全部、この人の言った通りになってるんだけど、」


??『花丸ちゃん、善子ちゃん、その建物の陰からアンカーでナイトメアを攻撃、そのあと、その場に一機駆けつけるだろうから、そのナイトメアも破壊して。銃も使っていいよ』


花丸、善子『『了解!(ずら)』』

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通信兵「G隊通信不能!」


通信兵「T-1ポイントで2機、いえ3機ロスト!パイロットは皆脱出した模様です」


副隊長「馬鹿な、一体、、」


親衛隊隊長「何をしている!」


親衛隊「「!!」」


隊長「変われ!私が指揮を執る!」


副隊長「い、イエス、マイロード!」

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穂乃果「さて、と」

レーダーを見る限り、敵の兵はかなり減っている。おそらくは守備隊も、


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隊長「後ろにいる補充部隊も出すのだ。そやつらをここの守りにあて、守備隊も出陣させろ!」


通信兵「わかりました」

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穂乃果「やっぱり、ね」

50機ほどいたナイトメアを30機程に減らしたが、追加で増え、いまや60機はいるだろう。だが、


穂乃果「ちょうどいいよ。亜里沙ちゃんと会うときに邪魔な人たちも一掃できるしね」



穂乃果『曜ちゃん、例の広場へ向かって』


曜『了解!』


穂乃果『ほかの人も仕掛けの準備を!』


皆『『了解』』

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隊長「敵はあのグラスゴーを囮にこちらの戦力をそいでいる。少数の部隊を陰から闇討ちという汚い手でな。よって、大部隊で突入すれば物量で勝るこちらが勝つ。そして今は広場にいる。最低限の兵を残して、残りのナイトメアで突入せよ!」

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穂乃果「まさか、ほぼ全部隊で攻めてくるなんて」

願ったり、叶ったりだ。これで、


曜『配置につきました!』


穂乃果『了解、もう少ししたら合図を出すね』


曜『はい、』


ダイヤ『仕込み、完了しましたわ』


穂乃果『わかりました。巻き込まれないように距離を取っておいてください』


ダイヤ『わかりましたわ』

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ナイトメア兵『包囲網完了しました』


通信兵「いつでもいけます」


隊長「よし!全軍突撃!」


ナイトメア兵『おおおおーーーー!!』











兵『て、敵がいません』


隊長「な、なに!?」


通信兵「確かに、グラスゴーの信号はあろのですが。あ!グラスゴーの反応も消えました!」


隊長「た、倒したのか?」

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曜『指示された通り、識別反応をきってすぐ地下通路を通って、脱出しました!』


??『よし、条件はクリア!皆、やって!』


ダイヤ「はい!』


ルビィ『は、はい!』


花丸『ずら!』


善子『てりゃ!」

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ナイトメア兵「ん?地震か?、、、うわ!」ガシャン


ナイトメア兵「な、なんだ!?」ガシャン


ナイトメア「足場が、うわぁ!」グラ



隊長「ど、どうした!?」


通信兵「それが地下より地上を支える柱が破壊されたようで、次々ナイトメアが地下に叩き落とされて!」


隊長「な、なんだと。そんな、、」


通信兵「たったいま、討伐に向かった50機全てと通信、不能になり、ました」

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その光景を壊われかけのビルの中層から眺めていた私は、


穂乃果「ふふふ、、、はははぁ!やれる!やれるよ!音ノ木坂の兵を、音ノ木坂を倒すことが出来る!」

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隊長「このままでは、」

総督に責任をなすりつけても、自分も処罰されかねない。こうなったら、


隊長「特派!」

すると、通信映像で赤髪の女が反応してくる。


真姫「なにかしら?」


隊長「勝てるのか、お前らのおもちゃで?」


真姫「おもちゃ、ね。ふふ、隊長さん、〈サンシャイン〉と呼びなさい」ニヤ

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特派 本部

美渡「すご!シュミレーション成功率94%!?」


千歌「いいんですか?」


美渡「いやいや、これはすごいよ!」

すると入口からもう一人の人が入ってくる


志満「千歌ちゃん、出撃よ」


千歌「本当ですか!?」


美渡「へー、許可おりたんだ?」

そこへ心なしか嬉しそうな顔の真姫さんがやってくる。


真姫「隊長さんじきじきの命令だもの、仕方ないわ。どうやらテロリスト達が激しく抵抗してるようね」


志満「数は圧倒的にこちらが上なのに」


美渡「恐ろしく強い敵、もしくは頭が切れる指揮官がいるのかもね」


真姫「どちらにしろチャンスよ。千歌、出撃準備を。サンシャイン出るわよ」


千歌「はい!」



正式名 One More Sunshin Story 通称 サンシャイン


第7世代型ナイトメアフレーム。オレンジをベースにした機体でありそのスペックは第5世代のサザーランドを遥かに凌駕している。両腕にあるブレイズルミナス、というエネルギーシールド。アンカーもスピード、長さが共に格段に上がっており、質量、パワーも桁違い。全てにおいて今までのナイトメアを凌駕している。


真姫「その分、他のナイトメアより起動時間が短いけどね」


美渡「起動チェック完了しました!」


真姫「千歌、これがサンシャインの鍵よ」ホイ


千歌「わっと、」バシ


真姫「パスワードはあんたが決めなさい」


千歌「はい、えっと、、、かんかんみかん、っと」ピピ


真姫「、、、、、、、、ま、いいわ」


志満「パイロット登録するから、コックピットに入って」


千歌「はい!」


真姫「エナジーフィラーは?」


美渡「セット完了ですよ」



サンシャインに乗り込む。すると暗かった画面が一気に明るくなり、外の映像が映し出される。


千歌「おおー!」


志満「パイロット登録完了ですよ」


真姫「いい?確認するわよ,千歌。まず、第一目標はテロリストの撃退、その次に味方の救出。けど、ま、任務に支障をきたさない程度に友達なり、なんなり捜しなさい」


千歌「わかりました!」


千歌(生きててください、穂乃果さん!)


志満「真姫さん、」


美渡「サンシャイン、発進準備よし!」


特派員「いつでもいけます!」


深呼吸をする。今から私は敵と戦いに行くのだ。緊張を誤魔化すかのように、操縦レバーを力強く握り、質力を上げていく。


千歌(お願い、サンシャイン。私に力を貸して!)


真姫「行きなさい!千歌!サンシャイン、発進!」



千歌「サンシャイン、発進!」

レバーを倒すと、勢いよくサンシャインが動き始めた。


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C子「ん? なにあれ?」

この地区のすみにいる私たちに何かが音を立てて迫ってくる。拡大してそれをみてみる。


D子「うーーん? なんだろ? オレンジのナイトメア? 一応報告しておこうか」




穂乃果「オレンジのナイトメア? なにそれ?」


穂乃果(敵の増援? それにしても一体だけ? オレンジってのも気になる、けど)


穂乃果『撃破して構わないいよ』


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千歌「いた! まずは二体! よーし!」

見つけた2体に向けて突っ込んでいく。すると一体がこちらに向け銃をはなってくる。私はそれを躱しながら接近。ある程度の距離になると腕に装備されてあるアンカーを発射。銃を破壊して、回し蹴りをする。性能、そして出力がすごいこの機体の蹴りで一体を撃破する。すぐさまもう一体に詰めより、アンカーで頭部を破壊。2機とも破壊、パロットは脱出したようだ。


千歌「よし! 戦える! このサンシャインなら!」


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穂乃果『C子ちゃん? D子ちゃん!?』

通信機の電波が途絶えた。今のはナイトメアに搭載されてある通信機だ。ということはナイトメアが破壊されたのだ。


穂乃果(今の一瞬でで2機を倒したっていうの?)

もしもそうなら油断できない。確実に倒す必要がある。


穂乃果「こうなったら」


穂乃果『花丸ちゃん、善子ちゃん、2時の方角から敵のナイトメアが来るから足止めし、増援が着きしだい囲んで攻撃して!』


花丸『了解ずら!』


善子『任せなさい!』

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千歌「わ!っと!」

2機が銃を発砲してくる。回避もできるが、ここは、


千歌「ブレイズルミナス! てりゃ!」

そのスイッチを押すと右腕からオレンジ色のエネルギーシールドが機体前方に広がる。その盾が敵の銃弾を弾く。


千歌「おお!いけるよ!」

そのまま突っ込み、敵の二体を攻撃していく。

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花丸「ずらー!」ピィーー


善子「よはー!」ピィーー


穂乃果(また一瞬で!? それに)


穂乃果「実弾を弾く? そんな機能サザーランドには...」

とにかく2機では勝てない。近くにいた、よしみちゃん、いつきちゃん、むつちゃん、の三人に声をかける。





よしこ「うわ!」ピィーー


いつき「うそ!」ピィーー


むつ「やられたー!」ピィーー



穂乃果「うそ、でしょ。もう半分以上やられてる、よ。このままじゃ」

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千歌(順調だ。これなら)

このサンシャインにも識別信号は今のところない。よって向こうからもこちらのことがわからないはずだ。


千歌「まあ、もうけっこう倒したからなんとなく場所はバレてるだろうけど」

すると視界のすみにある壊れかけのビルの中層辺りにナイトメアを1機見つける。


千歌「識別反応はでてない。つまりあれもテロリストの! そうときまれば!」

そちらに向けて移動を開始する。

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穂乃果「どうしよう、残りの皆を集めて? いや、それよりまた誘導して罠に....」

なんとかしようと考えていたその時、ガシャン、という音とともにオレンジ色の機体が目の前に現れる。


穂乃果「オレンジ色!? そうか! あなたがイレギュラーだね! よくも私の邪魔を!」

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千歌「攻撃してきた!? やぱりテロリスト!」

ここでじっとしていたのもテロリストの指揮官なのだろう。なら!

銃を発射してくるのでブレイズルミナスを使い弾いていく。近づき、攻撃。抵抗してくるもののスピードはこちらが上。隙を突いて回り込み背後から攻撃。吹っ飛んだ敵のナイトメアはそのままビルから落ちていった。


千歌「パイロットが出てくるまで!」

アンカーを使い、ビルの側面に沿って降りていく。

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穂乃果「いつつ...」

ビルの中層から落とされ、軽く頭を打つ。ナイトメアはまだ少しは動けそうだ。


穂乃果「それにしてもあの動き、スペックが違うよ」

このままやりあっても勝てない。そう考えた私はすぐさまその場から離れようとしたが、


穂乃果「!? まだ追ってくる!」

このままではここで脱出しても簡単に追いつかれてしまう。


穂乃果「とにかく逃げないと!」

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ボロボロの機体がまだ逃げようとしている。


千歌「悪いけど、ここで!」

そして、アンカーをナイトメアに射とうとした瞬間、ビルの陰から別のナイトメアが邪魔をしてくる。


千歌「伏兵!? けど!」

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穂乃果「あの機体は、グラスゴー!? ってことは曜ちゃん!?」





曜(おそらくあの機体は..)


曜「助けられた借りは返すよ! 今のうちに逃げて!」

スピーカーを使ってないため声は聞こえなかっただろうけどこちらの意図を察した向こうはこの場を離れていく。


曜「あとは私が脱出しないと!」

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千歌「悪いけど、ここで!」

片腕しかないため攻撃が限られている。さらに2世代も前の機体。すぐさま攻撃に転じ、あっという間に撃破。グラスゴーのパイロットは脱出した。


千歌「....私の目的は敵ナイトメアの破壊。パイロットを殺す必要はないや」

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穂乃果「曜ちゃんに、助けられた、かな。ありがとう」

それにしても、途中までは良かったがあのオレンジ色のナイトメアが来てから一気に逆転されてしまった。


穂乃果「戦略が戦術に負けるなんて、ね」


穂乃果(やっぱりチェスとは違う。1機で戦局変えることもできる。戦いの本質は人、ってことなのかな)

学ばなければならない。しかし今は


穂乃果「もういいだけ向こうの陣形も崩れたはず。このすきに亜里沙ちゃんのところへ!」

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特派本部


真姫「調子はどう?」


美渡「すごいですよ。かなりいいです」


志満「千歌ちゃんも頑張ってるようです」


真姫「そう。なら良かったわ。私のサンシャインも調子がいいみたいだしね」


志満「けどこのサンシャイン、量産には向きませんね」


真姫「でしょうね。沢山のラブカストーンを使ったもの」


美渡「貴重なラブカストーンをあんなに使えるなんて真姫さんの一家様様ですね」


真姫「至高のナイトメアが作れるならなんだって利用するわよ」


美渡「それにこのナイトメアのパイロット適正はシュミレーションクリア率90%以上ないといけないですよ」


真姫「千歌のクリア率は?」


志満「なんと驚き94%ですよ」


真姫「.....すごいわね。これはとんだ拾い物をしたわね」


志満「真姫さん......」


真姫「冗談よ。千歌には稼働時間だけ注意させなさい」

そういうと真姫は外の空気を吸う、っと言って本部の外へ向かっていった。

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本部入口


門兵「ほわぁ~」

大きな欠伸がでる。昨日遅くまで仲間と飲んでいたからか。今日このようなことことがあるとわかっていたら飲まなかったのに。

するとにそこに防護ヘルメットで顔を隠した一人の兵が近づいてくる。


門兵「おい、止まれ! ここは本部の入口だぞ!」


?兵「やっと、本部か。意外と長かったね。けど、予想通り警備は少ない、と」


門兵「貴様、どこの兵が!? IDを見せろ!」


?兵「いいですよ。その前に....」カポ

するとその兵はヘルメットを脱いで、


?兵【ここを通してくれないかな?】ギアス!


門兵《わかった。通れ》




門兵「.......はっ! あれ?」

今一瞬意識が飛んでいたような......


門兵「やっぱり遅くまで飲むもんじゃないな」

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曜「はぁ、はぁ、」

オレンジ色のナイトメアに負け、脱出した私は元々あったレジスタンス用の無線機で連絡を取り合い、みんなと合流しようとしていた。そしてここの倉庫に集まっていた。


曜「皆!」


花丸「曜さん!」


ダイヤ「無事でしたか。良かったです」


ルビィ「もう少しでいつきちゃん達も来るそうです」


善子「あと襲われてた一般人も連れてきたわ。ここにいる分しか助けられなかったけど」

ざっと見渡すと4、50人だろうか? 沼津疎開にもそこそこ住んでいたのだが






主婦「なにが助けたよ!!」


じじい「そーだ、そーだ! オメーらが音ノ木坂に喧嘩をうらなかったらこんなことにはならなかったんだ!!」


ニート「ぼ、僕のパソコンをか、返せよ!」


子供「うえええーん、お母さん!」

溜まっていたであろう、彼らの不満も爆発する。



善子「な、何よ! 仕方ないじゃない! 私たちだって.....


ガシャン!!


皆「「!?」」



音の木坂兵長「こんなところにいたか、イレブン共」

シャッターを銃や車で壊し、無理やり入ってきた。音ノ木坂の兵たちだ。しかもかなり多い!


兵「丁度いい。ここにまとまっていたとはな。探す手間が省けたわ」スッ

そういって右手をあげると、後ろの兵が銃をかまえる。


ルビィ「ひっ!」


ダイヤ「ルビィ!」ダキ


曜「くっ!」

様々な悲鳴が聞こえる。私も目を閉じてしまう。最後にあの時指示をくれた人のことが気になった。無事に逃げれただろうか? それともどこかで...

どちらにしても私たちはここで....


曜(お父さん!)


兵長「うて......




親衛隊隊長『全軍に告げる! ただちに戦闘をやめよ!』



曜「え?...」

今まさに撃たれようしていた私たちを救ったのはあろうことか敵の隊長さんの声だった。この沼津にあるスピーカー全てから流れているようでよく聞こえてくる。


兵「戦闘をやめよ、だと?」


兵「どういうことだ?」


隊長『繰り返す。ただちに戦闘をやめ、けが人の救出、治療を優先せよ。音ノ木坂人、イレブンは問わずに、だ。繰り返す。ただちに....』


兵「イレブンもだと!?」


兵「正気なのか!?」



善子「なにが」


花丸「どうなってるずら?」

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丁度新しいナイトメアを破壊した私に聞こえてきたのは隊長さんの戦闘中止命令だ。


千歌「戦闘、終わり?」

何かあったのだろうか。どちらにしろ今の私にとっては好都合だ。


美渡『聞こえた? 千歌。今すぐ戦闘をやめろってさ』


志望『ちょうどいいんじゃない? これで友達を』


千歌『はい!』

私は穂乃果さんを探すため、サンシャインを走らせた。

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英玲奈「あの、親衛隊隊長がイレブンも助ける、だと?」

なにがどうなって、と困惑しながら本部に向かって歩いていると向かいからあんじゅがやってきた。


英玲奈「あんじゅ! お前も脱出したのか」


あんじゅ「え? ああ、まあ、ね」


英玲奈「それよりどういうつもりなんだ? 本部は?」


あんじゅ「さあ、わからないわ。そのためにも本部行ってみましょう」

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隊長《これでよろしいでしょうか?》


穂乃果「ええ、このあとはさっきも言った通りあなたたちも救助に。イレブンも、ですよ」


隊長《わかりました》


親衛隊《わかりました!》

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穂乃果「さてと」

これでひとまずレジスタンスの人達への義理は果たせただろう。本当は勝利に導いてあげたかったがあのオレンジのナイトメアのせいで計画がくるってしまったので仕方がない。


穂乃果「亜里沙ちゃんはこの上かな」

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皇女専用室


トントン


亜里沙「!? は、はい!」


??「失礼します!現状の報告をしに来ました!」


亜里沙「わ、わかりました!今開けますね」ガチャ


??「ありがとうございます」


亜里沙「いえ。あの、それで今はどのような状況なのですか?テロリスト達が私達の武器を奪ったところまでは知っているのですがそれからどうなったのでしょうか?」


??「,,,,,そっか。何も知らされてないんだね」


亜里沙「え?」

次の瞬間目の前にいた兵は被っていた防護ヘルメットを外しました。すると飛びこんできたその顔は死んだと思われていた,,,,,


亜里沙「穂乃果、さん?」


穂乃果「久しぶりだね、亜里沙ちゃん」




亜里沙「あ、あの! 本当に、穂乃果さん、なのですか?」


穂乃果「そうだよ。本物の私、高坂穂乃果だよ」


亜里沙「で、も、穂乃果さんはずっと前に,,,,,」


穂乃果「死んだはず、かな?」


亜里沙「は、はい。なのに、え?」


穂乃果「ふふ、なんとか生き延びてたんだ。勿論雪穂も一緒にね」


亜里沙「雪穂も!」

亜里沙ちゃんと雪穂はとても仲が良く、雪穂も亜里沙ちゃんと会えなくなる、とわかったときは号泣していた。


亜里沙「良かったです!本当に!二人が生きてて」ウルウル


穂乃果「私も嬉しいよ。また亜里沙ちゃんに会えて」


亜里沙「はい!」


穂乃果「それにしても、大きくなったね。総督にまでなって」


亜里沙「いえ、自分でも何となくわかってるんです。私はただのお飾りだ、って。本当はお姉ちゃんとずっと一緒が良かったんですけど」


やはり帝国にいる以上どうやっても政治、ないし、皇帝の道具として使われてしまう。雪穂をそんな目に合わせるわけにはいかない。


亜里沙「け、けど!二人が生きてるってわかって、とても嬉しいです!戻って来ますよね!」


穂乃果「ごめんね、亜里沙ちゃん。私と雪穂は帝国に戻る気はないよ」


亜里沙「ええ!?ど、どうしてですか!?お姉ちゃんや梨子さんもきっと喜んでくれますよ!」

亜里沙ちゃんのお姉ちゃん、絵里ちゃん。それに梨子ちゃん。どちらもお城で共に育った仲だ。勿論会いたい。けれど、


穂乃果「雪穂を、もうこれ以上不自由にさせたくない。そのために帝国に戻るわけにはいかないんだ」


亜里沙「っ! 雪穂はまだ目と足が?」


穂乃果「うん。治ってないよ」

雪穂は小さな頃、とあるテロに巻き込まれ、その時に目が見えなくなり、足も不自由もなり、歩くことができなくなってしまった。今も車イスの生活だ。


穂乃果「だからこれ以上、雪穂を不自由にするわけにはいかないの。もし戻ったら私達姉妹も別々にされ、政治の道具になってしまう」


亜里沙「それは,,,,,だ、だったら!私がお願いします!きっとお姉ちゃんも!梨子さんも!それに、ツバサさんだって力を貸してくれますよ!」

そうかもしれない。絵里ちゃん達は優しいから。けれど帝国は皇帝が絶対の国。周りが何と言おとも皇帝の言うことが絶対だ。絵里ちゃん達がどんなに頼んでくれても、皇帝が否、と言えば無理なのだ。そして、あの皇帝が承諾してくれるはずもない。


穂乃果「ごめんね。それでも無理だよ」


亜里沙「そ、そんな」


穂乃果「逆に亜里沙ちゃん。亜里沙ちゃんがこっちに来てくれないかな?」


亜里沙「え!? それってどういうことですか?」


穂乃果「そのままの意味、なんだけどね。今の総督の位を捨て、私達に協力してほしいの! どうかな!?」

その方が雪穂も喜ぶはずだ。


亜里沙「そ、そんなこと言われても。お姉ちゃんに聞いてみないと」


穂乃果「ごめんね。亜里沙ちゃん。これは亜里沙ちゃん自身に決めて欲しいの。」

絵里ちゃんに相談されるのはまずい。というのも絵里ちゃんは私が雪穂を好きなのと同じくらい亜里沙ちゃんを大事にしてる。そんなこと許すはずがない。それに、もし私達が生きてると知られると軍を上げて探しにくるはずだ。それは避けないと。


亜里沙「雪穂には、会いたい、、けど、お姉ちゃんに内緒、は、、うぅ!、、、ごめんなさい!!穂乃果さん!やっぱり、私はお姉ちゃんに内緒はできません!」


穂乃果「,,,だよね。亜里沙ちゃんはそういう子だもんね」

素直でいい子だ。けど、手を貸してくれないなら仕方がない。このまま別れたらそれこそ絵里ちゃんに知られてしまう。本当は使いたくないけど、、、


亜里沙「あの!やっぱり、穂乃果さん達が!」


穂乃果「ごめんね、亜里沙ちゃん。それはやっぱりできないよ」


亜里沙「そんな、、、」


穂乃果「それと、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


亜里沙「は、はい?」


穂乃果「雪穂が巻き込まれたあの事件、私達のお世話をしてくれてた人が殺されたあの出来事について何か知らないかな?」


亜里沙「え?」


もう1つの私の目標。それはとある事件の真相を知ることだ。

私達姉妹には二人のお世話係がいた。一人はとても無口な男の人、もう一人は私達を実の母のような存在になってくれた人。お饅頭を作るのが上手かったその二人は私達のお世話係、いや、本当の両親そのものだった。しかし、


穂乃果「あの事件によって亡くなってしまった。しかも巻き込まれた雪穂も大変な目に。だから、私はその事件の真相が知りたいの!何かわからないかな!?私達が国を離れたあとに」


亜里沙「え、や、その、すみません。私は何も」


穂乃果「そっか、、、わかったよ」


亜里沙「あ! で、でも!お姉ちゃんが確か、調べていたような、、」


穂乃果「え?絵里ちゃんが? 」


亜里沙「確か、ですけど」


穂乃果「そっか、絵里ちゃんが」

これで次の目標が決まった。いずれ会うことになるであろう絵里ちゃん。その絵里ちゃんに事件の真相を聞く。なんとしても!


亜里沙「あの!やっぱり、私達と一緒に来て下さい!穂乃果さん!」


穂乃果「ごめんね。亜里沙ちゃん。私はもう覚悟を決めたから」

雪穂のため、そして、自分自信のために戦う覚悟を。そのためにも、



穂乃果【亜里沙ちゃん、貴方は~~!】ギアス!


私がいい終えると亜里沙ちゃんは


亜里沙《,,,わかりました》

と答えるのだった。


3章 ゼロ


10年前



音ノ木坂本国 王宮



ことり「ま、まってー!ほのかちゃーん!」


穂乃果「へへ~、こっち!こっち!」


海未「ま、まってください~」ダッ!


穂乃果「それ~! わっ!」ズコ


ことり「ホノカチャン!?」


海未「だ、だいじょうぶですか!?」


穂乃果「えへへ~、いたた~」

あの頃は王宮の庭で、ことりちゃんと海未ちゃんもいつも遊んでいた。それ以外にも、



梨子「,,,,,」カキカキ


穂乃果「なにかいてるの!?」ヒョイ


梨子「!? きゃっ!」ドテン


穂乃果「ああ! ごめんね!」


梨子「い、いえ、」


穂乃果「えっと、それは?」


梨子「い、犬です、、」


穂乃果(い、犬?ゾウじゃなくて?)


梨子「あ、あの、、」


穂乃果「お絵描きもいいけどさ!こっちで一緒に遊ぼうよ!」ホラホラ


梨子「え!? あ、ちょ、ちょっとー!」




亜里沙「雪穂ぉ~!」


雪穂「あ、亜里沙!ヤッホ~」


亜里沙「何して遊ぼっか?」


雪穂「うーんとね、それなら、、」




穂乃果「うわ~!」バタン


絵里「ふふ~、また私の勝ちね」


穂乃果「ぐぬぬ、、もっかい!今度こそ絵里ちゃんに勝つ!」


絵里「いいわよ!かかってきなさい!」




ツバサ「ほら、チェックメイト」トン


穂乃果「うっ!ま、負けました」シュン


ツバサ「ふふ、穂乃果さんは攻撃が好きね。その代わり待ちの戦法に弱いけど」


穂乃果「次こそ勝ちます!」


そんな日々をずっと送っていた。いつもやることがあって、勉強とか、作法とか。一応皇族だから。しかしよく抜け出し騎士見習いの海未ちゃん、メイド候補のことりちゃんを連れて遊び、よくお世話係にしかられた。


ほのママ「こら!穂乃果!まーた、抜け出したのでしょ!」


穂乃果「うっ!それは、、」


ほのママ「反省しなさーい!」


穂乃果「ごめんなさーい!!」


ほのパパ「,,,,,」ヤレヤレ


雪穂「はぁー、お姉ちゃんったら」




ほのママ「穂乃果」


穂乃果「ん?どうしたの?」


ほのママ「どうして、私達のことをママ、パパ、っと呼んでくれるの?私達は本当の親じゃないのに」


穂乃果「親だよ!」


ほのママ「?」


穂乃果「穂乃果達の親はママとパパだよ!血の繋がりとかそんなの関係ない!こうやって、家族みたいに過ごして、一緒に暮らして、それだけで十分だよ!」


ほのママ「,,,,,そう、、ありがとう」ウルウル


穂乃果「えへへ///」


雪穂「勿論、パパもね」


ほのパパ「///」


そんなこんなで幸せな生活を送っていた私達だったけど、そんな日々はある日突然となくなってしまった。

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穂乃果「あ、ああ、あああぁぁーーーー!!」


本当の両親同様の存在だった二人がある日テロリストに殺されたのだ。二人は近くにいた雪穂を守ろうと庇う形で撃たれ亡くなり、雪穂の足にも銃が当たってしまった。さらに目の前で大切な人が死んでしまったことにより、心に多大なショックを受け、目が見えなくなってしまったのだ。

私はその時部屋で寝ていて起きたときには全て終わっていた。聞かされた時にはとてつもないショックが襲ってきた。

しかし、そのあと色々考えたが明らかにおかしいところがいくつもある。どうやって、テロリストは侵入したのか? 目的は?なぜ、その場に雪穂や、ママ達がいたのか?犯人は?警備は? 次々の浮かんでくる疑問を本当の私達の親である皇帝に聞きに行った。だか、



穂乃果「いま、、なんて?」


皇帝「おや?聞こえなかったのですか?仕方ありませんね。貴方達姉妹は浦ノ星にいってもらいます。準備ができ次第、すぐに」


穂乃果「な!? どういうことですか!? それに雪穂はまだあるけないんですよ!?」


皇帝「わかっていますよ? それでも構いません」


穂乃果「そ、そんな! それに!私達の両親を殺した人も、、」


皇帝「貴方達のお世話係の件ですか?それならテロだと伝えたはずですが?」


穂乃果「信じられません!それに、だとしても、わからないことがたくさんあって、、」


皇帝「貴方がどう思おうが勝手です。さぁ、もう話すことはありません。貴方達はいい取引材料になってくれるでしょう」


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そして私達は浦ノ星に飛ばされた。

勿論、敵国の皇女たる私達がろくな扱いがされず、色々な場所を転々としていた。そして私達は高海家に移動してきたのだ。


八年前


穂乃果「よいしょ、っと」フー


雪穂「ごめんね、お姉ちゃん。私が歩けないから車椅子押しながら荷物まで、」


穂乃果「もー、雪穂は気にしなくていいの!」


雪穂「でも、」


穂乃果「雪穂のことは絶対に私が守るから、ね」ナデナデ


雪穂「ありがとう、お姉ちゃん」ウルウル


母国にも、実の親にも見捨てられ、ことりちゃん達ともおそらく二度と会えない。

私に残されたのは雪穂だけ。だから、なんとしても雪穂を守る。なんとしても!


穂乃果「ここが今度の家だね」

そこはお世辞にもいいとは言えない、ぼろぼろの倉庫だった。


雪穂「今度の家はどんな感じ?」


穂乃果「うーん、そうだね。和風!って感じかな!いいとこだよ!」


雪穂「そっか、ふふ。それは楽しみ」

雪穂に変な心配はさせたくない。そう思って誤魔化したのだが、



千歌「何がいいところさ!」



雪穂「え?」


穂乃果「誰!?」

振り替えるとそこには同じくらいの年のオレンジ髪の子がいた。


千歌「何が和風な感じさ!そこはチカの秘密基地だったのに!」


それが私と千歌ちゃんの初めての出会いだった。

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しかし私たちの出会いは最悪だった。千歌ちゃんからすれば私たちは秘密基地を奪った余所の国の人。私たちからすればいちいち突っかかってくるめんどくさい人。すれ違ったり、ばったり会うたびに喧嘩をしていた。


穂乃果「ちょっと、邪魔なんだけど」


千歌「チカが最初にいたのだ!そっちこそ後から来て何様のつもりなのさ!」


穂乃果「ふん!」


千歌「しっし!」



穂乃果「いちち,,,,,ただいま~」


雪穂「おかえ,,,,お姉ちゃん、また千歌さんと喧嘩したの?」


穂乃果「へ?し、してないよ」


雪穂「本当に?」


穂乃果「,,,,,ちょっとだけ」


雪穂「もー、仲良くしなきゃダメって言ったじゃん!」


穂乃果「あっち突っかかってくるの!」

そんな私たちだったけどとある出来事がきっかけで関係が一転した。

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千歌「ふふ~ん。今日は果南ちゃんが来る日なのだ!稽古つけてもーらおっと!」


穂乃果「雪穂!」ダッダ!


ドン!!


千歌「いたっ!」


穂乃果「っ!」


千歌「ちょっと!音ノ木坂の人はどこに目をつけてるの!」


穂乃果「!! 貴方、雪穂を!」


千歌「へ?」


穂乃果「って違うよね。貴方はこんなことするような人じゃないし」


千歌「ちょっと、どうしたの?」


穂乃果「,,,雪穂がいなくなったの」


千歌「雪穂ちゃんが!?」


穂乃果「そう。だから貴方にかまってる暇は.....」


千歌「私も探すよ!」


穂乃果「へ? いいよ、別に。これは私たちの問題だし」


千歌「チカの秘密基地に住んでるんだから私にも関係あるの!」


穂乃果「何その考え」


千歌「いいでしょ!それに貴方はむかつくけど、雪穂ちゃんは別だから!雪穂ちゃんのため!わかった!?」


穂乃果「好きにしたら」


千歌「そうします! それじゃ、こっち探すから」タッタ


穂乃果「....変な浦ノ星の人」


それから数時間後、雪穂は見つかった。千歌ちゃんが遊びで作っていた落とし穴に落ちていたのだ。幸い怪我はなかったが責任を感じた千歌ちゃんはすぐ助けようとして自分も落とし穴に入ってしまい、結局私がロープを下ろして二人を救出した。


穂乃果「まったく、自分の作った穴から出られないなんて」


雪穂「お姉ちゃん! 千歌さんは私を助けようととしてくれたんだよ!」


穂乃果「うっ、それは」


千歌「ふふ、穂乃果さんも雪穂ちゃんの前だとタジタジだね」


穂乃果「うるさいよ!...ん?穂乃果、さん?」

見るとなんと千歌ちゃんは泣いていた。


穂乃果「え!? ど、どうしたの!?」


千歌「だって、穂乃果さんは国から追い出されたっていうのにずっと一人で雪穂ちゃんのために、頑張って、それで、」ポロポロ


穂乃果「それは! その、雪穂は私のたった一人の家族だし。それに私たちは千歌ちゃんの秘密基地を」


千歌「いんですよ、もう。どんどん使ってください」ポロポロ


穂乃果「ちょっと、もうやめてよ。泣き止んでよ」ウルウル


雪穂「そうなんですよ。お姉ちゃんはとってもすごいんです。ずっとずっと私のために」ウルウル


千歌「うん、すごい。すごいですよ、穂乃果さんは」ポロポロ


穂乃果「あー、もう! やめてよ。雪穂まで!どうして二人とも泣いてるのさ」ポロポロ


雪穂「お姉ちゃんだって」ポロポロ


どうやら落とし穴に落ちてる間私たちの過去について雪穂から聞いたらしい。すると今まで私たちを邪魔者扱いしていた自分が情けない、と千歌ちゃんは感じたようだ。千歌ちゃんは素直でまっすぐで、少し好戦的だが、バカがつくほどのお人好しだ。私は誰かに褒められるため、認めてもらうために雪穂の世話をしているのではなく、純粋に雪穂のためにしているのだ。それでも雪穂と千歌ちゃん、二人の言葉と涙を見ていると何だか自分がやってきたことを褒められているような気がして自然と涙がこぼれた。それはセミがの鳴き声がよく聞こえる暑い夏の日の出来事だった。その日から私たちと千歌ちゃんは友達になったのだ。

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千歌「はぁ!とりゃ!」ロンダート、バクテン


穂乃果「すご、穂乃果には無理かな。それ」



穂乃果「よっと」


千歌「あぁ!むむ、えい!」


穂乃果「はい、チェックメイト」トン


千歌「うわぁ!」



穂乃果「できたよ。穂乃果特製おまんじゅう」


雪穂「いただきます」


千歌「おいしい! あ、これ。チカの家の自慢のミカン!」


穂乃果「まんじゅうにミカンって」


雪穂「それじゃ、私はお茶をいれるね。お姉ちゃん、道具お願い」


穂乃果「オッケー」


千歌「だ、大丈夫なの?」


穂乃果「大丈夫。雪穂のお茶は本当においしいから」

千歌ちゃんの家はどうやら国の中でも重要な家系らしく、遊ぶ友達が制限されていたとか。そう考えると私は海未ちゃんたちと遊べてラッキーだった。いや、あの皇帝は単に私たちなどどうでも良かっただけなかもしれないが。

そのこともあって、千歌ちゃんはよく私たちの倉庫に遊びに来ていた。勿論、私と雪穂は大歓迎だし、一緒に勉強などもしていた。毎日がとても楽しく、充実していた。千歌ちゃんという、浦ノ星での初めての友達のおかげもあって、段々と生活になじんでいった。

しかし、またもやその平穏は失われてしまったのだ。


高海家に来てから四年後、音ノ木坂帝国は浦ノ星に宣戦布告をし、侵略を開始した。

勿論、浦ノ星も抵抗はしたが実践で初投入された兵器、ナイトメアになすすべなく破れ、敗戦国となり国の名前がエリア11に変えられてしまった。

そしてこの高海家にも音ノ城坂の軍が来る、ということで私と雪穂はまた違う場所に行かなければいけなくなった。


千歌「穂乃果さん.....」


穂乃果「ごめんね、千歌ちゃん。私たちの国が」


千歌「そんな! 穂乃果さんは何も悪くないですよ!悪いのは全部音ノ木坂という国です!」


穂乃果「うん。そうだね。その通りだよ。だから、私は...」

奥歯を強く噛みしめ、はっきりという。


穂乃果「私は...いや、私が!音ノ木坂帝国をぶち壊す!」


千歌「それって、」


穂乃果「もう行かなくちゃ。千歌ちゃんは、死なないでね」

そうして私たちは別れ、また雪穂との二人っきりの生活が始まった。



それから数年後、私たちはとある学校の生徒会長であるヒデコちゃんの家にお世話になっていた。


ヒデコ「ここのクラブハウス空き多くてさ。好きなとこ自由に使っていいよ」


穂乃果「助かるよ。ありがとね」


ヒデコ「その代わり、学校に入学したら生徒会に入ってね!」


穂乃果「うん。それくらいお安い御用だよ!」

こうして高校生になった私はいま通っている学校に入学したのだが、そこで思わぬ再会を果たした。


穂乃果「えーと、私のクラスは、っと」ドン!


ことり「きゃ!」


穂乃果「わっ! ごめんな...さ..」


ことり「いえ! こちら..こ...」


穂乃果「ことり、ちゃん?」


ことり「う、そ、、、穂乃果、ちゃん?」

王宮で別れ、もう会えないと思っていたことりちゃんと再会したのだ。

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ことり「うえぇーーーーーーーーーーーん!!! ほ、ほ、穂乃果ちゃーーーーん!!」ダキ!


穂乃果「本当に、本当に、ことりちゃんなんだね!よかった!」ダキ!


ことり「うえぇーーーーーーーん!!!!」ギュッ!


穂乃果「あ、その、少し苦しいよ。ことりちゃん」


ことり「よ、よ、よがったぁぁーーーーーーーーーーーー!!」ギュゥー!


ミテアレ! ナイテル? ダキツイテナイ? キャー!ダイタン!


穂乃果「ことりちゃん! 場所変えよ! ね!?」


ことり「穂乃果ちゃんが生きてるよーー!!」ポロポロ

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教室


先生「以上で今日の日程は終了だ。明日から授業が始まるから遅刻せずに来るんだぞ」


「「はい」」


穂乃果「さてと、まずは」


ことり「穂乃果ちゃん! ちょっといい!?」


穂乃果「は、はい」


ことり「屋上! 屋上に行こう!」


穂乃果「わ、わかりました」スタスタ


ミテアノフタリ アサダキアッテタコダロ? オクジュウダッテ! ヤッパリコトホノナンダヨナ~

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屋上


穂乃果「へー、いいところだね」


ことり「穂乃果ちゃん。本当に穂乃果ちゃんなんだよね?」


穂乃果「うん。ホントだよ」


ことり「本当の、本当に?」


穂乃果「本当のほんと..わ!」


ことり「~~~~!!!」ギュ!!


穂乃果「ことり、ちゃん」


ことり「良かった。生きてて、本当に、、、良かった」ポロポロ


穂乃果「....ことりちゃんもね」



私たちが王宮からいなくなった後、浦ノ星で戦争が起こりそれにより私たちが亡くなった、と教えられたらしい。

ことりちゃんは勿論、海未ちゃんも大号泣したらしい。


ことり「海未ちゃんなんて、私も穂乃果の後を追います!なんて言ってたんだよ!?」


穂乃果「さ、流石海未ちゃん。それよりことりちゃん、そろそろ離れてくれないかな?」


ことり「やだ!」ギュ!


穂乃果「うっ、暑いよ」


ことり「我慢して!」ギュ!


穂乃果「わかりました」


その後、海未ちゃんは騎士養成学校に、ことりちゃんはメイドの学校をやめ、衣装デザイナーを目指すべくこのエリア11に留学、っという形で来ているとのこと。


穂乃果「でもどうしてこのエリア11に? 音ノ木坂の方がいい学校とかあったと思うけど?」


ことり「うん、勿論そうだったんだけどね?ことり、どうしても穂乃果ちゃんが死んだって、受け入れられなくてこのエリア11にきて探そうかな、なんてて思ってたの。そしたら.....」


穂乃果「まさか本当に生きてて、こうやって再開できた、ってことだね?」


ことり「うん! エリア11に行くって言った時の海未ちゃんがこれまた大変でね?『ことりまでいなくならないでください!』って」


穂乃果「言いそう....」


ことり「けど、こっちに来て本当によかった! 本当に!」ギュ!


穂乃果「....うん」ギュ

ことりちゃんとの再会、これは本当にうれしかった。今まで別れ、別れの人生の中、こうした再会というのは初めてだったし、その相手がことりちゃん、っというのもうれしかったのだ。


ことり「けど、これからずっと一緒にいられるね! そうだ! 海未ちゃんにも知らせてあげなきゃ.....」


穂乃果「それはだめ!!」


ことり「きゃ! 穂乃果、ちゃん?」


穂乃果「あ、その、いきなり大声出してごめんね?けど海未ちゃんに知らせるのは待ってほしいの」


ことり「ど、どうして?」


穂乃果「実は今の穂乃果達は.....」

死んだことになっていることを利用していること、もし生きてると本国に知られるとまた連れ戻され、政治の道具に利用されてしまうこと。それを避けるためにこうやって点々といろんなところを回りながら生きていること。それらをことりちゃんに話した。ことりちゃんなら誰にも言わないだろうからだ。そして、


穂乃果「海未ちゃんは本国にいるんだよね?国と国との距離で連絡を取り合おうとしたら本国の情報管理室に確認されちゃって少しの確率かもしれないけど穂乃果達が生きてるのがばれちゃうかもしれないの」


ことり「......」


穂乃果「穂乃果も勿論海未ちゃんに会いたいよ? けれど、リスクは取りたくない、というか」


穂乃果「手紙、っていう手段もありだけど、海未ちゃんの場合大切にとっておきそうで....」


ことり「....」グスン


穂乃果「ことりちゃん!?」


ことり「穂乃果ちゃんは、ずっと、大変な思いをして、生きてきたんだね」ポロポロ


穂乃果「ええ?」


ことり「ごめん、ね。今まで見つけられなく、て」ポロポロ


穂乃果「や、やめてよ! そんな、ことりちゃんは悪くないよ!」


ことり「だって、う、うぇぇぇーーーーん!」


穂乃果「あ、あわわ...」

昔、千歌ちゃんともこんなやりとりをしたなぁ、と頭の片隅で考えつつ、ことりちゃんを慰める私だった

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ことり「それじゃあ、海未ちゃんへの報告は今はしないほうがいい、ってこと?」


穂乃果「うん、そうだね。理想は海未ちゃんがこの国に来た時にいうことなんだけど」


ことり「そっか、わかったよ。なら今度の休暇にこっちに来てもらうように海未ちゃんにお願いしてみるね!」


穂乃果「ありがとね、ことりちゃん」


ことり「ううん!私も早く三人で集まりたいから!」


穂乃果「それと、これからの学校生活、よろしくね!」


ことり「うん! よろしく!穂乃果ちゃん!」


こうして私はことりちゃんと再会し、この学校でヒデコちゃんから借りている部屋で雪穂と生活していった。

そして1年がたち、先月、私は二年生となったのだ。

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現在 穂乃果の部屋


穂乃果「う、、うう、」パッチリ


穂乃果「なんというか、すごく長い夢を見た気がする」


穂乃果「昨日のあの沼津での戦いのせい、なんてね」


穂乃果「さて、と。起きよう」ガバ

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特派 本部


真姫「はぁ~、昨日の後始末やらなにやらでめんどくさいわね」ポチポチ


美渡「真姫さんはサンシャインのデータチェックに調整してるだけだからいいじゃないですか」


真姫「何よ、文句あるの?」


美渡「ありませんけど.....」


志満「それでサンシャインについていいデータはとれました?」


真姫「まあね。なかなかのものだわ」


真姫「今のところ、特にこれといった欠点はないわ。さすが私の機体」


真姫「欠点があるとすれば、量産に向かないこと、作るのにお金がかかること、そして適正者が滅多にいないこと、これくらいかしら?」


美渡「意外と、あるような...」


真姫「特に最後のね。乗れる人がいないんじゃ作っても意味ないし。そういう点では千歌がいてくれて助かったわ」


志満「90%以上のパイロットなんてそうそういないですもんね。あの帝国最強の騎士団、μ'sの人達レベルじゃないですか?」


真姫「へー、なら千歌はその騎士団レベルってこと?ますますいいわね。もっと機体のスペック上げようかしら?」


美渡「勘弁してください!あくまで、適正って話ですから!」


真姫「わかってるわよ。それよりはその千歌は?」


志満「千歌ちゃんなら、総特本部にいきましたよ。なんでも、緊急収集だとか」


真姫「ふーん、そ。なにやらかしたのやらね」

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学校 放課後 生徒会室


穂乃果「Zzzz.....」スースー


ヒデコ「こら!」ベシ


穂乃果「はっ!」バッ


フミカ「今日はずいぶんと寝るね」


穂乃果「あはは....」


ことり「仕方ないな~。はい、ことりの膝枕どーぞ」パンパン


穂乃果「わーい」


ヒデコ「し、ご、と! ことりも穂乃果を甘やかしすぎ! 昨日の仕事もたまってるんだから!」


穂乃果「はい」シュン


ことり「はい」シュン


ミカ「昨日私を沼津に置いていくからだよ」


昨日あんな出来事が起ころうと世界は何事なく回っていく。昨日のことなんてまるでなかったかのように普通の日常が過ぎていく。

けれど自分に起こったこと、行った出来事は嘘ではない。現に私の左目に力を入れると不思議な模様が浮かび上がって.....


小鳥「穂乃果ちゃん?」


穂乃果「.....っと、何? ことりちゃん?」


ことり「大丈夫? 今日なんだか調子悪そうだけど」


穂乃果「大丈夫! さ、仕事、仕事~」

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沼津疎開


ダイヤ「いったん休憩にしますわ」


善子「やった~」バタ


花丸「疲れたずら」ヘナヘナ


昨日の交戦から一日。私達レジスタンスは生存者の探索や、無事な建物の確認、まだ使えそうな物の調達などをしていた。

あれから本当に音ノ木坂の兵は嫌々ながらも私達、浦ノ星の人々の手当をして帰って行った。

そして今はこうして色々探索している。


ダイヤ「とは言っても、何気広いですからね、ここは」


ルビィ「お姉ちゃん、はい」ヒョイ


ダイヤ「ありがとうございますわ、ルビィ」ゴクゴク


ルビィ「それにしても結局あの人はどうなったのかな?」


ダイヤ「それは.....わかりませんわね」


あの人、おそらく私達に指示を出してくれたあの人のことだ。途中から通信が通じなくなったため生きているのかすら不明だが果たして.....


ダイヤ「生きているのなら良いのですが」


善子「その辺も含めて曜さんが情報得ることが出来たらいいけどね」


花丸「曜さん、どうしてるずらか」モグモグ

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次の日 学校


クラスメイト「よかった~」


クラスメイト「風邪はもう大丈夫?」


クラスメイト「心配したんだよ!」


曜「う、うん。なんとかね」






穂乃果「あ、あの子は.....」


ことり「どうしたの? 穂乃果ちゃん」


穂乃果「い、いや、何でもないよ!」


穂乃果(確かあの子はレジスタンスの、確かグラスゴーのパイロット。名前は曜ちゃん、だったはず)


彼女は浦ノ星人のはずだ。どうしてこの学校に?


穂乃果(まさか、この学校を攻撃しよう、って訳じゃないよね)

後で探りを入れることを決め、私は席に着いた。

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放課後 中庭


曜「はぁ、つまんないなぁ~」ペラ


私、渡辺曜は音ノ木坂人と浦ノ星人のハーフなのだ。戸籍は音ノ木坂人で登録しているが。しかし、私の大好きな父が浦ノ星人であるため私も浦ノ星人である、ありたいと思っている。家でも浦ノ星の血が流れている、と親戚の人達からは邪魔者扱いされたいる。だから沼津疎開に行ったり、レジスタンスとして行動したりしてるのだ。

この学校にいるのも情報収集のため。しかしこの学校で得られる情報など一般の新聞で得られる情報と大差ない。しかも、レジスタンスで休みがちになる理由のために病弱設定にしているのでおとなしくしていなければならない。


曜「う~、暇だ」ペラ

っと、新聞を見ていると近くから足音が聞こえてきた。

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穂乃果(あ、いたいた)


中庭で新聞を見ている曜ちゃんを見つけ駆け寄る。


穂乃果(レジスタンスがここを攻撃するメリットはほぼない。おそらく狙いは別のこと、だと思うけど)


穂乃果(1%でも可能性があるなら捨て置けない。ここにはことりちゃんも雪穂もいるんだし)


例の無線機を使って連絡しても良かったが、直接聞いた方が早い。何より、


穂乃果「うってつけの力があるしね」





穂乃果「あの! ちょっといいかな?」


曜「!? は、はい。何か?」


穂乃果【今からする私の質問に答えて】ギアス!


曜《...分かりました》


曜ちゃんの目の縁が赤く光る。ギアスにかかったのだ。


穂乃果「貴方は一昨日沼津にいたレジスタンス、だよね?」


曜《はい、そうです》


穂乃果「どうしてこの学校にいるの?」


曜《情報収集のためです。私はハーフなのでこの学校の生徒として過ごせるから》


穂乃果(ハーフ。なるほど)


とりあえずは大丈夫そうだ。あとは気になっていたことをいくつか聞いてみよう。


穂乃果「貴方達は停戦命令の後どうしたの?」


曜《怪我人はとりあえず手当てされ、今は違う住処を探しています》


穂乃果「そっか、なら良かったよ」


この人達も何とか無事だったようだ。

もしかしたらまた関わるかも知れない。動向は気にしておいた方が良さそうだ。


穂乃果「わかった、ありがとね」


そういうと曜ちゃんの目の色が元に戻った。


曜「.....あ、れ? 私は一体....っは! それで何ですか?」


穂乃果「いや、もう大丈夫だよ。それじゃあね」クル


穂乃果(あ、念のため)


穂乃果【この学校は攻撃しないでね】ギアス!





曜「攻撃? 何のことですか?」


穂乃果「!?」


穂乃果(ギアスが効いてない?)

目の縁も赤く光っていない。まさかギアスは、


穂乃果【音ノ木坂人について思っていることを話して】ギアス!


曜「へ? 何ですか? 突然?」


穂乃果(かからない、か)

ギアスは間違いなく発動している、はずだ。現に1度目は効いている。ただ二回目以降はかかっていない。つまりは、


穂乃果(ギアスは同じ人に一度しか使えない、ということ?)

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曜(どうしたんだろ、この人)


いきなり現れたと思ったら、攻撃するな、思っていることを話せ、など少し命令口調で言われた。


曜(そしたら今度は黙り込んでるし)


曜「あの、何か?」


穂乃果「あ、いや、変なこと聞いてごめんね! ちょっと取材でさ! 私生徒会、二年の高坂穂乃果!」


曜「そういうことでしたか。私も同じく二年の渡辺曜です」


穂乃果「敬語はいらないよ! 同い年なんだしさ! それじゃあね、曜ちゃん」タッタ


曜「はい、どうも」


曜(高坂穂乃果、ちゃん。変な子だったな)

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生徒会室


穂乃果(ギアスは同じ相手には一度だけ。このタイミングで知れてよかったかな)


ことり「穂乃果ちゃん、これも」ヨイショ


穂乃果「ん。そこに置いておいてね」


ヒデコ「はぁー」タメイキ


ミカ「どしたの?」


ヒデコ「いや、書記の子が辞めちゃったでしょ?代わりの子、いないかなーって」


フミカ「ああ、そういうね。ことりの役職を変えれば?」


ことり「や! ことりは副生徒会長補佐役だから!」


穂乃果「ことりちゃん、そのお菓子とって~」


ことり「はーい♪」


ミカ「相変わらずだよね」


ヒデコ「やれやれ、どうしたもんかな」


穂乃果(書記、か。丁度いい)


穂乃果「穂乃果にやってくれそうな心当たりがあるよ!」


ヒデコ「本当に!?」


穂乃果「うん。明日連れてこようか?」


ヒデコ「是非! お願い!」


穂乃果「了解~」


ことり「そんな子いるかな?」

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夜 穂乃果の部屋


穂乃果「ふぅー、よし」


下準備は終了。今から私は雪穂に嘘をつく、ついてしまう。

勿論、雪穂にそんなことをしてしまうのにはとてつもない抵抗があったら。けれどそれを上回るメリットが雪穂にある。そのためなら....


穂乃果「それじゃ、今から行くよ」


??「.....」コク

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穂乃果達の居間


雪穂「お姉ちゃん? どうしたの?話があるって」


車椅子に座ったまま、顔だけをこちらに向けてくる。


穂乃果「うん、実は雪穂に会って欲しい人がいるの」


雪穂「会って欲しい人?」


穂乃果「うん。入ってもいいよ」


ガラガラ



亜里沙「ほ、本当に、雪穂、が」ウルウル


雪穂「その声.....あり、さ?」

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総督府 本部


本国監督役「親衛隊でありながら皇女殿下を守れず、さらには戦闘を勝手に始め、勝手に終わらせ、イレブンの治療まで。これらのことすべてを踏まえて君たち親衛隊を本国送りとする。さらに隊長、副隊長は新兵からやりなおしだ!」


親衛隊「「そ、そんなぁ...」」


監督役「そして本国より新しい総督がおいでになるまで統堂英玲奈、君に軍全体の指揮を預ける。よいな?」


英玲奈「はっ!」


監督役「そして同時に行方不明になっている亜里沙皇女殿下をなんとしても探し出すのだ! よいな!?」


英玲奈「イエス、マイロード」

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あんじゅ「おっめでと~」


英玲奈「何の話だ?」


あんじゅ「冗談よ、冗談」


英玲奈「やれやれ、これから忙しいというのに」


あんじゅ「皇女探しが?」


英玲奈「勿論だ。なんとしても亜里沙皇女を探し出す。私の忠義にかけて」


あんじゅ(探し出す、ね。英玲奈には悪いけどおそらく亜里沙皇女はもう...)


英玲奈「それにいい考えがある」


あんじゅ「そうなの?」


英玲奈「ああ。それにこれがうまくいってもいかなくても、どちらにしろイレブン出身の名誉音ノ木坂人を処理することが出来る」


あんじゅ「何を考えているのやら」


英玲奈「なーに、うまくいくさ。音ノ木坂の軍は音ノ木坂人だけで十分だ。純血派以外は邪魔なだけさ」

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次の日 朝


穂乃果「ふわぁ~、おは....」



亜里沙「はい、雪穂! アーン!」


雪穂「は、恥ずかしいよ///」


亜里沙「大丈夫! ほら!」


雪穂「あ、あーん///」


穂乃果「....」


朝から仲が良いことだ。雪穂へのあーん、は私の役割だったのに。

こちらに気付かず二人だけの世界に入ってる二人に向けて咳ばらいを一つして朝の挨拶をする。


穂乃果「コホン!」


雪穂「!? お、お姉ちゃん!」


亜里沙「あ、おはようございます! 穂乃果さん!」


穂乃果「おはよう。朝から仲がいいね二人とも」





昨日の夜、雪穂と亜里沙ちゃんは数年ぶりに再会した。


雪穂は目が見えないがそれでも声を聴いて亜里沙ちゃんと理解し、亜里沙ちゃんも雪穂と確認するや否やすぐさま抱き着いた。少ししてから雪穂も力の限り抱きしめ、うれし涙をこぼしていた。



あの日、沼津で私は亜里沙ちゃんに私たち姉妹に協力するようにギアスをかけた。私たちの協力することを悩んでいた亜里沙ちゃんだけど今では完全に私たちの味方。雪穂には亜里沙ちゃんも私たちと似た境遇になり一緒に身を隠しながら住むことになった、と伝えた。もちろんこれは嘘だ。


亜里沙ちゃんにギアスをかけ、雪穂には嘘をつき、私は最低なことをしているのだろう。だが、手段は選んでいられない。私たちの、雪穂のためにも。

それに雪穂も亜里沙ちゃんも笑っている。少なくとも、それは確かなのだから。

おそらく、今、私が思い描いていることを実行すれば、これから先このギアスを使って絵里ちゃんと音ノ木坂と戦っていくのなら、雪穂と一緒にいる時間は減ってしまう。ヒデコちゃんの計らいで使用人は来てくれているが、雪穂が一人の時間は増えてしまうだろう。

そう考えると、亜里沙ちゃんは雪穂のそばにいてくれた方が私も安全だし、雪穂もうれしいはずだ。亜里沙ちゃんにはしばらく家の中にいてもらって、外に出るときも変装なりしてもらうけど。


亜里沙「ご飯ですよ! 穂乃果さん」


穂乃果「ありがとう、亜里沙ちゃん」


いつもは早起きして私が作っているけどこれから朝は亜里沙ちゃんがいるしのんびりできるかも。

など思いながら料理を口に運ぶ。すると、


穂乃果「パク....うっ!?」


穂乃果(まずっ!)


亜里沙「えへへ、料理なんて初めてですけど楽しいですね!」


見るとすべてに調味料がびっしりかけられている。塩、こしょう、一味、マヨネーズ、焼き肉のたれ、砂糖や醤油などなど。

味が濃い。濃すぎる。


穂乃果(こ、これは..)


雪穂は大丈夫か不安になり見てみると


雪穂「亜里沙、飲み物とって」


亜里沙「はい、どーぞ!」


雪穂「ゴクゴク...うっ! ゴホゴホ!これ、醤油じゃん!」


亜里沙「あれ?」


目が見えない分、私より悲惨になっていた。一気に亜里沙ちゃんを雪穂のそばにいさせるのはいいのか、という不安が押し寄せる。


穂乃果(とりあえず、しばらくは私がご飯をつくろっと)

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学校 放課後 生徒会室


穂乃果「連れてきました! 曜ちゃんです!」


曜「え?え? なに?」


今日は特に学校でもすることがなく沼津疎開の方に行こうとしたら昨日の穂乃果ちゃんに呼び止められ、あれよあれよという間にここに連れてこられた。


ヒデコ「おお~、この子が」


ミカ「よろしくね!」


曜「えーと、はい?」


曜(何のこと!?)


ことり「穂乃果ちゃん、説明、した?」


穂乃果「いまから!」


フミカ「ダメじゃん!」


ヒデコ「やれやれ、とりあえず座って? ことり、お茶出してあげて」


ことり「は~い」スタスタ




曜「生徒会の書記?」


ヒデコ「そうなの!一人足りなくてさ!どうかな?」


曜「そう言われましても」


あいにくと部活やそういうのに入るつもりはない。時間にしばられたくないし、そもそもレジスタンスの行動がある。音ノ木坂の人達より裏ノ星の人達といたいし。


曜「ご、ごめんなさい。やっぱりキツイ、です。學校も休みがちですし」


ヒデコ「そっかー、まぁ、無理強いは出来ないしね」


ミカ「だね」


穂乃果「えー!けどさ!生徒会に入れば色々やりたい放題だよ?」


ことり「それは穂乃果ちゃんが、なんだよ」


穂乃果「そ、それはそうかもだけど。ほら!普通の生徒には見れない貴族専用の新聞とか!」ピラ


曜(え!?)


フミカ「いやいや、そんなんじゃつられないでしょ」


穂乃果「あとは、このラジオ! 本国の最新情報をリアルタイムで聞けるよ! 私達には関係ないけど軍がどうしてるか、とかね」


ミカ「私達が知ってもあまり意味ないけどね」


曜(軍の様子までしれる!?)


これは、正直すごく引かれる!今までの情報より全然価値のあるものだし、ここに来るだけで調べ放題だ。ただ、


曜「あのー、書記の仕事って何やるんですか?」


ヒデコ「お、興味持ってくれた?」


ミカ「ぶっちゃけやることなんてたまにやる会議の内容をまとめてくれるだけでいんだけどね」


曜「それだけ、ですか?」


穂乃果「うん! それだけ!」


曜(それなら、)


良いかもしれない。病弱設定を伝えればたまに来れるときに来て少し作業すればいいだけ。

それで知りたかった情報が知れるのだ。それなら、


曜「あの、やっぱりやってもいいかも、です」


ヒデコ「本当に!?」


曜「はい、せっかく誘ってもらったわけですし」


ミカ「助かるよ」


曜「けど、私からだが弱くて、休みがちなんですけどそれでもいいですか?」


フミカ「勿論! それでもいいよ!」


曜「でしたら、よろしくお願いします」ペコ


ことり「うん! こちらこそ!」




穂乃果(とりあえずは予定通り、っと)


曜ちゃんが生徒会に入ると逆に私の方もレジスタンス達の動きをそれとなく知ることが出来る。もしかしたらまた協力をしてもらうかもしれなし、近くにいてもらうことにこしたことはない。


穂乃果(情報収集のために学校に来てる、って言ってたからね。見事に狙い通りになって良かったよ)


穂乃果「これからよろしくね! 曜ちゃん」


曜「はい。よろしくお願いします」

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それから数日後


ミカ「曜、この資料そっちにお願い」


曜「わかりました」


ミカ「それと、同い年なんだから敬語はいらないよ」


曜「ああ、そうだった。うん、わかった」


生徒会に入ってから数日、最初は情報のためだけに入ったし、音ノ木坂の人達と話すことなんてない、っと思ってたけど実際話してみるといい人達で少し困っている。別に何が悪いというわけではないのだが。


曜(それに本命の方もちゃんと出来てるし)


ダイヤさんに生徒会に入ったことを報告したら『全然構いませんわ。むしろ、生徒会もきちんとこなすのですよ!』なんて言われてるし。

情報の方もやはり一般の新聞とは比べものにならないことを知ることが出来る。

現状、この浦ノ星にいる音ノ木坂の軍はどうや指揮する人が変わったらしい。どうしてなのかはわからないけど。


曜(といっても今の私達に何が出来るって話だけどね)


この前の一件で元々少なかった物資や資金がほぼなくなったのだ。それに今のみんなは沼津疎開の復興に忙しい。食べ物などはこっそり持って行っているものの、現状何が出来るというわけではない。何も出来ない、ということの方が正しいが。


曜(それにあの声の人。あの人はいったい...)


どこにいるのだろうか。もしあの人がいたらどうするのだろうか。

そんなことを考えながら作業をしているとテレビの音が聞こえてくる。





フミカ「ヒデコ、テレビつけるよ~」


ヒデコ「はーい」


ことりちゃんと今日の作業を終え、くつろいでいるとフミカちゃんがテレビをつけた。


穂乃果「今何かいいのは入ってる?」


ことり「まだ夕方だよ」


フミカ「何か面白いのやってないかな」


ミカ「一応、生徒会の仕事仲だぞ~」


フミカ「もう終わってるからいいの」


そういってチャンネルを次々変えていく。すると、テレフォンショッピングが流れていた画面がいきなりニュース番組に変わる。


フミカ「あれ? 番組が変わった?」



アナウンサー『ただいま入りました速報です!! なんとこのエリア11の総督であられる亜里沙皇女殿下が行方不明であると正式に軍の方から連絡が入りました!』



曜(え?)


フミカ「うそ!?」


穂乃果(ようやく、か。けど、このタイミングで?)


皇女が行方不明になったなんて知られたら一般市民からは勿論、本国からもとんでもない批判や文句などがくる。当然現場の人達は容赦ない降格や下手をしたら軍を追い出されることもありうる。普通なら隠し通すはずなのだが...


穂乃果(何か考えがあるのかな?)


という私の疑問が次のアナウンサーの言葉で解決する。


アナウンサー『しかしなんとその皇女を誘拐したとして、名誉音ノ木坂人である高海千歌がたった今逮捕されました!』


曜(な!?)


穂乃果(千歌ちゃん!?)

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特派 本部


美渡「ちょっと! どういうことよ!?」


志満「どうして千歌ちゃんが逮捕されなきゃいけないの?」


軍人「たった今申したとおりです。高海兵にはただいま亜里砂皇女殿下誘拐の容疑がかけられています」


美渡「それがどうしてって聞いてんの! 千歌がいつそんなことしたのよ!」


軍人「高海兵は作戦中幾度となく消息がつかめないことがあったとのことだ」


志満「それは手当したり、適正検査したり、とにかくこの特派にいました。それなのになぜ?」


数日前から本部に呼ばれていた千歌があまりにも戻ってこないので美渡達に呼びに行かせたところなんと取り調べを受けていることがわかった。

さらに皇女誘拐の容疑にかけられていると朝のニュースで流れている。これはおそらく...


真姫(軍で千歌を犯人に仕立てようとしてるのかしら)


なぜそんなことをしているのか。軍の落ち度を千歌のせいにするため? いや、そんなことをして結局本国でのこのエリア11の評価は落ちることには変わらないだろうし、親衛隊はもう処罰されたと聞く。


真姫「いまいち狙いがわからないわね」


美渡「あ、ちょっと!」


志満「言うだけ言って帰っちゃったわね」


美渡「本当にありえない!!」


軍からの報告人が帰り、美渡と志満がこちらに戻ってくる。


真姫「その様子だとまったく情報を得られなかったようね」


美渡「あいつらもう決まったことだ、の一点張りなんですよ」


志満「分かったことと言えば今の軍を仕切ってるのがあの藤堂英玲奈さんってことぐらいで...」


真姫「藤堂英玲奈? あの純血派の?」


美渡「知ってるんですか?」


真姫「となると...そういうことね」


志満「何がですか?」


美渡「それより! 西木野家の権力で何とかならないんですか? 千歌ちゃんのこと!」


真姫「本国ならまだしもこんな東の島国での出来事に家の権力なんて働かないわよ」


志満「真姫さんはこのまま千歌ちゃんが捕まってもいんですか?」


真姫「いやよ。せっかく見つけたパイロット。そう簡単に失いたくないし。ただ、」


美渡「ただ?」


真姫「あの純血派の英玲奈ねぇ。おそらく目的は名誉音ノ木坂人制度の撤廃、かしら?」

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総督 本部


軍人「ほら、はけ!」バシ!


千歌「ぐう!」ベシ!


手足を椅子に縛られ、何も出来ない状態で叩かれる。顔や腕、体の至る所に赤い傷跡が出来る。


千歌「私はやっていません! ましてや亜里沙皇女殿下を誘拐だなんて!」


軍人「まだ言うか! いい加減に認めたらどうだ!?」


千歌「私は...本当にやってません!」


この本部に呼び出せれ、しばらく取り調べを受けていたらいきなりこのようなやり方になった。私だけこの部屋に連れてこられこのような取り調べを受けている。どれだけ否定しても意味がなく、時には殴られ蹴られ。


軍人「今日はもう時間だ。この辺にしといてやるよ」スタスタ


そういって数人、この部屋を出て行く。残った人も私を牢屋に入れるとすぐにいなくなる。

牢屋の中に入れられ口元の血を拭うことも出来ず、地べたに横になる。


千歌「どうしてこんなことになってるんだろう」

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英玲奈「それで、あの名誉音ノ木坂人は何か?」


軍人「いえ、ただやっていないとばかり」


英玲奈「だろうな。そのまま続けろ」


軍人「イエス、マイロード」


英玲奈(亜里沙皇女殿下は依然として行方不明のままか)


英玲奈「こうなれば、次の手を打つまでだ」

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穂乃果達の部屋


亜里沙「それじゃ、お風呂入ってきます」


穂乃果「うん」


そう言い着替えとバスタタオルを持ち風呂場へと向かう。


雪穂「お姉ちゃん、ニュース聞いた?」


穂乃果「うん。千歌ちゃんのことでしょ?」


雪穂「生きてたんだね、千歌さん」


穂乃果「うん、良かったよ。けど...」


あの地下で撃たれ、その後の瓦礫もあり正直死んでしまったのではと思っていたが生きていたのだ。それは良かった。良かったのだが...


穂乃果(まさかその千歌ちゃんに罪が着せられるなんて)


完全に予想外だ。このままでは千歌ちゃんが無実なのに罪人にされてしまう。

今は捕まっているが法廷で裁かれることになる。ここまで大々的にニュースで報道しているのだ。無実でした、なんてなることはありえない。

つまり千歌ちゃんはこのまま最悪はそこで、


穂乃果(皇女誘拐の罪、おそらく、死刑ものだよね)


助けなければ。地下の時の借りもあるし何より友達だ。救いたいに決まってる。けれどどうする。


雪穂「千歌さん、どうなっちゃうの?」


穂乃果「大丈夫だよ。少し調べれば千歌ちゃんじゃないってすぐにわかるはず。証拠だってないんだし」


雪穂「だよね」


穂乃果「さ、もう寝よう。よっと」


雪穂を車椅子からベットへと移し布団を掛けてあげる。頭を軽くなでると雪穂は眠そうな顔をしてお休み、っと言ってくれた。


穂乃果「おやすみ、雪穂」


そう言って私は雪穂の部屋を出て自分の部屋へと戻る。

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曜 家


曜『はい、あの千歌、って子が皇女・亜里沙を誘拐したってことで話が進んでいます』


ダイヤ『やはりそうなのですね』


真夜中、私はレジスタンスの方に連絡をし、現状を伝える。千歌っという子が誘拐犯になっていること。つまり今、現在総督は行方不明なのだ。


ダイヤ『世間的な反応はどうですか?』


曜『...今更ですがさらに私達への批判が増えています。一部では私達とつながっている、とまで言われてますよ』


名誉音ノ木坂人とはいえ元は私達側の浦ノ星人である高海千歌。ナンバーズ出身者が何かやらかせば周りが必要以上に騒ぎ立てるのは当然だ。

しかも皇女誘拐。皇族に手を出すのは大罪だ。裁判はやるらしいがろくな弁護人などつくはずもなく、おそらくはそのまま...


ダイヤ『可能なら救いたい、と考えますが今のグループの中には反対の人も少なくはありませんわ』


曜『そう、ですよね。名誉音ノ木坂人ですし』


名誉音ノ木坂人である限り一度は浦ノ星を裏切り向こうに着いたのだ。いい印象は持たない。

けれども、もし、もしも彼女があの時の声の人だったら? それなら助けた方がいいに決まっている。

しかし違う可能性もある。今レジスタンスには資金も道具もない。そんな私達が出来ることなんてたかが知れている。


曜(どうしたら...)

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次の日 穂乃果部屋


穂乃果「どうしよう、どうすればいいの」


いつも通り雪穂を寝かせ、亜里沙ちゃんも眠りについたのを確認し、自分の部屋で考えを練る。

千歌ちゃんは助けたい。しかし、手段がない。いや、あるにはある。しかしこれは、


穂乃果「これは、私のこれからを大いにかけることになる」


これから私はさらにとんでもない道を歩くことになる。勿論、音ノ木坂と戦いことを決めたのだからそれは覚悟の内だ。けれども、まだ早い。準備が全くできてない上にこれからの作戦も全く出来ていない。ここで千歌ちゃんを助けるために私が動いて


穂乃果「上手くいくかどうか、五分五分。.....けれど」


けれど、もうこれ以上私の大切な人を奪われる訳にはいかない。勿論、千歌ちゃんを助ける。そのためにも、


穂乃果「やろう。こうなったら、やるしかない!」

ーーーーーーーーーー

牢屋


真姫「大丈夫...そうではないわね」


千歌「真姫、さん」


真姫「残念だけど今のところ貴方が犯人だってことで話が進んでるわ」


千歌「....」


真姫「今の軍を仕切ってる藤堂英玲奈ってやつが純血派でね。軍は純血のみで構成するべきだ、というのが彼女の考えらしいわ」


千歌「それで邪魔な私が犯人にされてるってことですか?」


真姫「そういうことよ。そして今の私達には貴方を助ける手段がない」


千歌「...」


何となくわかっていたことだ。こちらの意見は完全に無視。その上でひたすら暴力だけふるわれているのだから。


真姫「わかってると思うけど法廷でも勝ち目はないわよ。弁護人も皆向こうが用意するのだもの」


千歌「ですよね」


真姫「それを踏まえた上で貴方はどうしたい?」


千歌「どう、ですか?」


真姫「そう。このままならこのからの結果は明らか。なら、どうにか行動を起こそうとはおもわない?」


千歌「それって...」


脱獄する、ということなのだろうか。

確かにこのままなら私は法廷で罪をなすりつけられ最悪死罪なのかもしれない。でも、


ーーーーーーーーー

千歌父『いいか! 千歌! お前は正しいことをするんだ!』


千歌母『そうよ! 私達に出来なかった正しいことを!』


ロリ千歌『正しいこと? それって...』


軍人『ほら! こっちへこい!』


千歌父『ぐぁ!』


ロリ千歌『パパ!』


千歌父『いいか!? 千歌! 必ず!必ず...』


ーーーーーーーーー


千歌「....」


真姫「どうするの?」


千歌「私は...私はこのまま法廷に行きます」


真姫「正気?」


千歌「ルールは守らないといけないですから」


それがきっと正しいことなはずだ。今自分がテロリストやレジスタンスに入らず名誉音ノ木坂人になって軍人になったのも。こうやって捕まったのなら法廷で裁かれることも、全部。


真姫「ルール、ね。それが正しいルールならいいかもしれないけど」


千歌「....」


真姫「わかったわ。貴方がそういうなら私達の方はなにもしない」


千歌「すみません」


真姫「それじゃあね」スタスタ


そう言って真姫さんは帰っていった。壁に寄りかかって話をしていた私は壁を離れ地面に寝そべる。体中が痛いし、お腹もすいている。この体勢が楽なのだ。


千歌「これでいい、はずだよね」

ーーーーーーーーーーーー


とある地下


貴族B《頼まれたもの持ってきたよ》


穂乃果「ありがとうございます」


そういってとある服装、そして顔が丸々隠れる仮面を受けとる。例の賭けチェスでことがこんな形で役に立つなんて。


穂乃果「指示通り、ですよね?」


貴族B《勿論だとも。足はつかないようにしたし、購入した痕跡も完全に消した。この仮面も頼まれたとおりの機能があるよ》


穂乃果「わかりました。では...」

ーーーーーーーーーーーー


次の日 学校 生徒会室


ヒデコ「よーし、今日の作業はおしまい!」


ミカ「お疲れ~」


穂乃果「それじゃ、皆またね~!」ダッ!


ことり「穂乃果ちゃーん、気をつけてね!」


そう言って走って教室を出ていく穂乃果ちゃん。何でも今日は用事があるらしい。私、渡辺曜はいつも通り新聞やニュースでも見ようとしていたら、突然レジスタンス用の通信機から着信がきた。


曜「あ、すみません。ちょっとトイレに」


そうして、生徒会室から出て廊下の端により、反応する。この時間に一体何のようなのやら....


曜『はい、曜ですけど、どうしま....』


??『無事だったんだね。曜ちゃん』


曜『!! あ、貴方は!』


声はやや聞き取りずらいもののおそらく沼津の時の人に違いない。生きていたのだ。それにしても


曜『貴方は今までどこにいたんですか? 今起きている亜里沙皇女行方不明も貴方が? そもそも貴方は一体誰なんですか!?』


今疑問に思っていることをとにかくぶつける。あちらの目的はわからないけどせっかく話せるチャンス。無駄にするわけにはいかない。


??『聞きたいことはたくさんあると思う。だからそれらに答えるためにも今日の6時発の○○電車に乗って頂戴。勿論お仲間も一緒にね』


曜『ど、どうしてそんなこと....』ブツ,ブーブー


電話が切られてしまった。急いで同じ番号にかけ直すけど応答がない。けどこうなったら、


曜(ダイヤさん達に連絡して行かなくちゃ)


曜「すみませーん! 私も用事出来たので帰ります!」

ーーーーーーーーーーーー

穂乃果「これでよし、っと」


着信拒否をして、通信機を胸元にしまう。衣装を持ち、例の電車に向かう。


穂乃果(皆の説得が上手くいけばいいけど)

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とある駅


ダイヤ「この電車、ですわよね?」


曜「はい。確かにそう言われまいした」


善子「6時発、だからこれよね」


花丸「そうずら。もともとこの電車はほとんど走ってないからこの時間しかないけど」


ルビィ「大丈夫かな? これで罠だったりとか」


ダイヤ「もしそうだったら諦めるしかありませんわね。そのときのためにもルビィ、貴方は残りなさいと言ったのに」


善子「いいから! 早く乗りましょう!」


曜「そうだね」


今この場にいるのは私、ダイヤさん、花丸ちゃん、善子ちゃん、ルビィちゃんの五人。他の人達は沼津に残し、この五人で例の通信機の人に会いに来ていた。




曜「乗ったはいいですけど」


善子「そいつどこにいんのよ」


ダイヤ「今私達がいるのは6両車。ここから順に回っていくしかないですわ」


花丸「けれど向こうがどんな人か分からないんじゃ探しようが...」


その時、私の通信機から着信が来る。会話を中断し、急いでボタンを押し応答する。


??『無事に乗れたかな?』


曜『はい。それであの。貴方は一体...』


善子『どこにいるのよ!』


花丸「善子ちゃん! 邪魔しちゃダメずらよ」


??『元気がいいことで。私は一両車にいるよ。ここで待ってるね』ブツ、ブーブー


またもや要件のみを言って電話を切る向こうの人。せっかちなのか、最低限の情報しか与えないつもりなのか、


曜「とにかく行きましょう!」


ダイヤ「そうですわね。一番端ですが参りますわ」

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牢屋


千歌「...はぁ」


今日もいつものようにしごかれ、また乱暴に牢屋に放り込まれ、床に寝そべっている。いい加減殴る、蹴るは辞めてほしいものなのだが


英玲奈「ご機嫌いかがかな、高海一等兵。いや、罪人、高海千歌」


千歌「...わたしではありません」


英玲奈「ずっとそればかりらしいな。やれやれ」


この人は確か私たちの上官にあたる人で名前は確か英玲奈さん、だったような。


英玲奈「まあそれも仕方ないか。イレブンの、それもあの夫婦の娘ではな」


千歌「!!」


あの両親の娘? まさか、


千歌「ど、どうして、それを」


英玲奈「罪人のことを調べるのは当然のことだろう? 知られていないとでも思ったか?」


千歌「で、ですが」


英玲奈「こちらの取り調べへの対応といい、皇女殿下誘拐の動機。全て貴様の両親である浦ノ星の最後の....」


千歌「私の両親は関係ない!!」


英玲奈「おっと、気に触ったか?」


英玲奈「まあ、そんなことはどうでもいい。お前の法廷への輸送日時が決まった。それを知らせに来ただけだ」


千歌「そう、ですか」


英玲奈「二日後だ。法廷では真実を話してくれることを期待している」


以上だ、そう言って上英玲奈さんは去っていった。

真実も何も、私は最初から本当のことしか言ってない。法廷に連れていかれても、私の言うことは変わらないだろう。つまり、


千歌「あと二日、か」

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列車


曜「次の車両、ですね」


私達はいよいよ一両車の扉前まで来ていた。

他の車両は人が少なかったがなぜかこの両車は人が多い。これでは一両車にも人が多くいる気がするけど、


曜「行ってみればわかる、よね」


善子「曜さん、は、早く行ってよ」


花丸「善子ちゃん、声が震えてるずら」


善子「...ヨハネよ」


いつもの切れがないツッコミ。やはりみんなも緊張しているのだろうか。


ダイヤ「ここで立ち止まっていても仕方ありません。行きますわよ」


そういって扉を開け、ついに一両車に乗り込む。するとそこには




??「待ってたよ」



五人「「!!」」


一両車にいたのはたった一人。恰好は紫を主体としたスーツみたいなものに靴まで届きそうなほどの大きなマント。襟も顔半分ほどまで立っている。

そして、肝心の顔は黒と紫を主体とした仮面でおおわれている。


??「今日来たのは五人、でいいのかな?」


ダイヤ「ええ、そうです」


善子「あ、あんたは一体誰なのよ!」




ゼロ「私は、ゼロ」



曜「ゼロ?」


花丸「無の境地、ずら?」


ルビィ「そ、それは違うんじゃないかな? 花丸ちゃん」


ゼロ「まずはお礼を。沼津の時は私の指示に従ってくれてありがとう。あなたたちを勝たせてあげることはできなかったけど」


曜「それじゃ、あの停戦命令はあなたが?」


ゼロ「まあね」


ダイヤ「お礼を言うのはこちらのほうですわ。あなたのおかげで私たちは助かったのですから」


ゼロ「それならよかった。けれど、今のあなたたちのやり方ではこの先ノ木坂に勝つことはできないよ」


唐突にそう告げてくるゼロ。


曜「え?」


ゼロ「テロだけでは音ノ木坂は倒せない。テロなんて子供っぽい嫌がらせに過ぎないよ」


ルビィ「子供っぽい嫌がらせ...」


ゼロ「相手を間違えないで。敵は音ノ木坂人じゃない、音ノ木坂という国!」


ゼロ「本気で戦うなら、本当に倒したいなら戦争で! 戦う意思のない一般人は巻き込まない!」


ゼロ「覚悟を決めなきゃいけない! 今までの生易しいものじゃない、撃たれる覚悟を、そして撃つ覚悟を!」


一方的に私たちに言ってくるゼロ。しかしそれはまるで今までの私たちレジスタンスの頑張りを馬鹿にされたように聞こえる。

拳に力が入り、言い返す。


曜「何が、何が覚悟ですか!! 顔を見せられない人の言うことなんて信じられません!!」


善子「そ、そうよ!」


するとゼロは


ゼロ「わかった。見せるよ」


と言った。そして右手を仮面に近づける。


花丸「ええ!」


ダイヤ「本当に!?」


しかし、その手を仮面の前でとめ、力強く握る。


ゼロ「ただし、見せるのは顔じゃない。力だよ」


曜「力..?」


ゼロ「高海千歌。知ってるかな?」


ルビィ「今、亜里沙皇女誘拐の罪で捕まってる人、ですよね?」


ゼロ「そう。その彼女を救い出してみせるよ」


花丸「本当に!?」


ダイヤ「どうして彼女を?」


ゼロ「名誉音ノ木坂人とはいえ彼女も元は浦ノ星の人。そんな人が国の皇族に手を出し罰せられた、なんてなったら?」


ダイヤ「私達浦ノ星への風当たりはさらに悪くなりますわ」


ゼロ「そうだね。それが向こうの狙いでもあるはず。罪のない人に罪をかぶせ、さらに一般の人に対する浦ノ星の印象を下げる」


善子「そんなこと考えてたなんて」


ゼロ「だからそれを私が阻止してみせるよ。そしたら私のこと、少しは認めてくれるかな?」


ダイヤ「一体どうやって?」


ゼロ「それは.....」

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二日後  一般道路


アナウンサー『ご覧ください! 彼女が我らが亜里沙皇女殿下を誘拐した名誉音ノ木坂人、高海千歌です!』



高海千歌「....」



一般人「亜里沙皇女殿下をどこにやった!!」


一般人「亜里沙皇女を返しなさい!!」


一般人「名誉音ノ木坂人になったのもこれが目的だったんだろ!」



アナウンサー『お聞きください、この市民の声を! 亜里沙皇女殿下が愛されていたことがよく分かります』




あんじゅ「愛されていた、ね」


亜里沙皇女は公の場でたまに何か言うだけ。政治的には歳のこともありまり関わっていなかった。愛されていたとは考えにくい。


あんじゅ「英玲奈、貴方があの一般人を?」


英玲奈「いいや、私は報道部隊に一任していた。彼女たちの仕業だろうな。」


あんじゅ「なるほど。たいした仕込みだこと」


確かにこのシーンだけ見れば高海千歌は完全に悪者だ。市民の愛する皇女を誘拐したのかもしれないのだから。


あんじゅ「それで結局真犯人、そして亜里沙皇女殿下は見つかってないわけね」


英玲奈「ああ。だからこうして大々的に発表して誘っているのだが」


あんじゅ「誘ってるとはいってもこの護衛だけど」


高海千歌は今輸送用の車の荷台の上に見世物のように鎖で縛られている。首には法廷まで余計なことを言えないように首輪がされており何か話そうとすると電流が流れる仕組みだ。その車を囲むように護衛サザーランドが5体。さらに私や英玲奈までいる。この布陣に突っ込んでくるようなバカはいまい。


英玲奈「来なければ来ないでいいし、来たら来たで叩き潰すだけだ」

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??


曜「ゼロ。こっちは準備完了です」


ゼロ「了解。それじゃ、行くよ」


ゼロ{穂乃果}(千歌ちゃん、待ってて!)

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高海千歌の輸送は順調に進み、予定の半分以上を過ぎていた。やはり何もないか、っと思い、それでもある程度の警戒心を残していた英玲奈の通信機に部下からの連絡が入る。


英玲奈『どうした?』


連絡係『それが、予定にない車が一台そちらに向かっていまして...』


英玲奈『ほう?』


英玲奈(ついに来たか。しかも正面から)


なんとなくは予想していたがまさか正面から来るとは。通行整備を担当していた者にはあとで処罰を与えるとして...


英玲奈(歓迎してやろうではないか)


英玲奈「全軍停止せよ」


警備員「イエス、マイロード」


あんじゅ「ちょっと、どうしたのよ! 英玲奈!」


英玲奈「どうやら我々のお目当てが来てくれたみたいだぞ」


あんじゅ「まさか。本当に?」

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雪穂 部屋


アナウンサー『おっと、どうしたのでしょうか? ここで止まることは予定にありませんが?』


雪穂「千歌さん...」ギュ


亜里沙「ゆきほー! お風呂入るね」


雪穂「あ、うん」

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一般人「おいおい、あれ見ろよ」


一般人「ただのトラック、よね?」


一般人「それがなんで向かいからやってくるんだ?」



しばらくして本当にそのトラックは護衛の我々の前に堂々と現れた。何か策があるかは知らないが...


英玲奈「ナイトメア部隊、あの車を囲め」


パイロット『イエス、マイロード』


そして一瞬で四機のナイトメアがトラックを囲み銃を向ける。


英玲奈「さあ、出てきたらどうだ!?」


すると、荷台の一部が空き、そこから一人の人物が出てくる。紫と黒をベースにした服装に大きなマント。顔をまるごと覆い隠している仮面。ふざけた格好だ。


英玲奈「さて、殺すことに変わりはないがその前に貴様の名前を聞こう。貴様、何者だ?」


ゼロ「はじめまして、藤堂英玲奈。私は、ゼロ」


英玲奈「ゼロ?」

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ゼロ「...」チラ



高海千歌「...?」



ゼロ(良かった。無事だったんだね、千歌ちゃん。借りは返すよ)


英玲奈「さて、ゼロとやら。何まずは貴様のそのふざけた仮面から取ってもらおうか」カチャ


そういって銃を向けてくる。私は右手を動かし仮面に近づけ、そのまま手を空に掲げ指をパチン、とならす。


曜(あ、合図だ)ポチ


運転席の曜ちゃんが私の合図でスイッチを押すと荷台の扉が壊れ、中に入っていた紫の箱が現れる。


英玲奈「貴様、それは!!」


千歌「!?」


あんじゅ「あれは!!」


ゼロ(そう、私や千歌ちゃんは知ってるけど貴方達は知らない。この中身が女の子だった言うことを。つまり...)


千歌「違う! それは...うっ!」ビリビリ


あんじゅ「こいつ!」


英玲奈「おのれ、貴様!」


ゼロ「さて、少しお話をいいですか? 英玲奈さん?」



アナウンサー『どうしたのでしょうか? ゼロと名乗る、えーと、男性? 女性? ともかくその人物がトラックの荷台から紫の箱を取り出しましたがあれは一体何なのでしょうか?』



一般人「なぁ、あんなの聞いてたか?」ヒソヒソ


一般人「聞いてないわ。なにあれ?」ヒソヒソ


一般人「さあ、わからないよ」ヒソヒソ



英玲奈(こいつ、ここにいる音ノ木坂人に人質だということを悟られないまま人質にするなんて!)


英玲奈「チッ、いいだろう。話だけだ」


ゼロ「要件は一つ。この紫の箱とその子、高海千歌の交換です」


ゼロ「イレブンの命一つでたくさんの尊い音ノ木坂人の命が救えるんだから安いはずでは?」


英玲奈「ふざけたことを。こいつは亜里沙皇女殿下をさらった大罪人だ!」


ゼロ「いいえ、間違っていますよ、英玲奈さん。犯人はその子じゃないし、さらってもいない」


英玲奈「何!? まさか...」



ゼロ「皇女・亜里沙は死にましたよ。この私、ゼロの手によって!!」


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特派 本部


美渡「ええー!!」


志満「まさか本当に?」


真姫「真犯人がまさか直々にお出ましとはね」


自分たちの本部でテレビを見ていた真姫達はゼロの登場、さらには真実の告白に驚いていた。おそらく彼女達だけではなくテレビを見ていた大勢の人もであろうが。


真姫(けれど)


真姫「あの状況からどうするつもりなのかしら」

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英玲奈「き、きさまぁぁーー!!」


あんじゅ(やっぱり。けれどまさか本当にやるなんて)


英玲奈「もういい! 貴様は今すぐ、この場で死刑だ!」スッ


そう言って手を上げナイトメアのパイロットに発砲準備をさせる。しかし、


ゼロ「いいんですか? 私が死んだら公表することになっていますよ。例のパーティーのことを」


英玲奈「パーティー、だと? 一体何のことだ?」




アナウンサー『た、大変なことになりました! 亜里沙皇女殿下はなんとあのゼロと名乗る人物に殺されていたのです! そして今..おや? パーティー?一体何のことなのでしょうか?』

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善子「パーティー? 何のことよ?」


花丸「それよりそっちのネットもっと固定して欲しいずら。ゼロさんの話だと三人分の体重、とのことずらよ」


善子「わかってるわよ」ヨイショ


ルビィ「だ、大丈夫かな? とくに曜さんが」


ダイヤ「無事に返すとゼロは言っていました。信じて待つしかありませんわ。私達もやるべきことをやりましょう」


ルビィ「う、うん」

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あんじゅ「パーティー? ちょっと、英玲奈。パーティーって一体?」


英玲奈「知らん! こいつのでまかせだ!」


ゼロ「いいんですか? そんなこと言って? あれが知られたら貴方だけではなく貴方達の軍、そのものが大変なことになるのでは?」トントン


曜(前進のサイン!)


靴でトラックを二回叩くと進め、という指示だった。心の中でヨーソロー、なんてつぶやきながら車を少しだけ前進させる。ナイトメアに囲まれているためあまり進めない上に、ちょっとでも動いたら本当に撃たれるのでは、と不安にもなる。だが、


ゼロ(貴方達は撃たない。いや、撃てない。私が死んだら何かあるかもしれないと思っているうちはね)


英玲奈「!! 何を勝手に動いている!? 止まれ!」


ゼロ(3..2...1..よし! 範囲内に入った!)


ゼロ「もし公表されたくないのなら...」スス


ゼロ【私達を全力で見逃して! その子も一緒に!!】ギアス! 


仮面の左目の部分だけスライドして開く。目が見えた瞬間、左目に力を入れてギアスをかける。有効射程内であり、目と目を直接、遮る物は何もない。



英玲奈《.......いいだろう。おい! 高海千歌をくれてやれ》


曜(え!?)


あんじゅ「英玲奈!? 何言ってるの!?」


英玲奈《聞こえなかったのか? 高海千歌をくれてやれと言ったんだ》


護衛「し、しかし」


英玲奈《早くしろ! これは命令だ!》


護衛「は、はっ!」



アナウンサー『な、なんと! 高海千歌が解放されます! 今ゼロと名乗る人物に接触しました!」



一般人「おいおい! どうなってる!?」


一般人「そいつらはどっちも犯罪者じゃないのか!?」


一般人「解放していいの!?」



千歌「....」テクテク


ゼロ「...随分やられていたんだね」


千歌「貴方はいった....うっ!」ビリビリ


ゼロ「電流? その首輪かも。あとで外すから今はとにかく...」


曜「ゼロ、ダイヤさん達が位置についったって連絡が」


ゼロ「ナイスタイミング。それじゃ」カチ


ゼロはポケットに入れていたスイッチを押す。するとトラックの荷台にあった紫の箱の一部が開きその隙間から勢いよく紫色の気体が飛び出てくる。当然近くにいた市民は


一般人「なんだ!?」


一般人「紫のガス!?」


一般人「ド、毒ガスだぁ!!」


一気にパニックになる市民。その隙に人混みの中に紛れ、予定していた場所に移動する。


あんじゅ「このままでじゃ! 英玲奈今すぐに部隊を動かして!」


英玲奈《いいや。このままでいい》


あんじゅ「本気なの!?」



ゼロ「ここだね。ここから飛び降りる。ネットの準備は?」


曜『どう?』


花丸『OKずら!』


善子『大丈夫よ!』


ゼロ「よし、よっと」


そうして腕が縛られている千歌を抱え、下の通路へと飛び降りるゼロと曜。そこへ数機のナイトメアが迫っていた。



あんじゅ「このまま逃がしたら私まで処罰の対象に!」カチャ


そういってナイトメアの銃をゼロ達へ向け発砲しようとする。だがそれをもう一機のナイトメアが阻止する。アンカーで的確に銃だけ破壊し、逆に持っている銃をあろうことかあんじゅが乗っているナイトメアに向ける。


英玲奈《命令を無視するつもりか!? あんじゅ!》


あんじゅ『英玲奈! 貴方本当にこのままでいいの!?』


英玲奈《勿論だ! 全部隊に徹底させろ!! 全力を挙げて奴らを見逃すんだ!!》

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千歌「うわ!」ボフ


曜「おっと!」ボフ


ゼロ「ほっ!」ボフ


仕掛けていたネットに三人が無事飛び降りた。その近くにダイヤが運転する大型の車が近寄る。


ダイヤ「まさか本当に成功させるなんて」


ルビィ「早く乗ってください!」


花丸「マル達も」


善子「もう乗ってるわ!」


ゼロ「よし! それじゃ、沼津疎開へ撤収する!」

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特派 


美渡「えっと、これは...」


志満「千歌ちゃんが助かったってことでいいのかしら?」


真姫「あのままテロリストの仲間にならなければいいけどね」


美渡「だ、大丈夫、ですよね?」


真姫「さあ。どうかしら」

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レジスタンス 隠れ家


善子「まさか本当にやっちゃうなんて」


花丸「有言実行、ずら」


曜「うん。そうだね」


ダイヤ「確かに。ですがこれであの人の言うことが少しは信じられますわ」


ルビィ「け、けど、完全に信用するのは...」


ダイヤ「わかっていますわ、ルビィ」


善子「ところで二人っきりで何話してるのかしらね」

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少し離れた廃墟


ゼロ「これで二人っきりで話が出来るね」


レジスタンスのみんなには離れてもらい今この場には私と千歌ちゃんの二人っきりだ。首輪も簡単に外れる仕組みでありこうして簡単に会話することが出来た。


ゼロ「今の出来事で分かったんじゃないかな? 音ノ木坂は貴方が仕える価値のない国だって」


こんなこと言わなくても千歌ちゃんは本当は知っているはずだ。おそらく他にどうしようもなく音ノ木坂の軍人になったに違いない。


ゼロ「私達の仲間になってくれないかな? 私達と一緒に音ノ木坂と戦い、そして浦ノ星を取り戻そう」


千歌「...あの最後のガスは?」


ゼロ「あれはただの染色するための気体。交渉ごとにブラフはつきものだしね。結果的には誰も死なないよ」


千歌「結果的に....なるほど、そういう考え方ですか。亜里砂皇女を殺したって言うのは?」


ゼロ「...本当のことだよ。彼女とその親衛隊は無実の浦ノ星の人達を一方的に攻撃した。それは許せることじゃない」


本当のことを言えば亜里砂ちゃんは死んでないし、関わってもいない。すべて親衛隊の仕業だ。だが、ここでそれらをバカ正直に話すつもりはない。


千歌「それは..そうですけど」ギュウ


ゼロ「このままでは浦ノ星の人達はもっと被害に遭うだけ。そうさせないためにも、私と...」


そう言って手を差し出す。千歌ちゃんならこの手をつかんでくれるはずだ。きっと仲間になってくれる。そうしたらこの仮面をとって高坂穂乃果だと明かすつもりだ。そしたら千歌ちゃんは驚いて、けど、きっとお礼を言ってくるだろう。二人で音ノ木坂を倒すため協力し、これから戦っていく。私と、千歌ちゃん。二人いればきっと出来ないことなんて....





千歌「....せっかくですけど、貴方の仲間にはなれません」





ゼロ「.......え?」



千歌「確かに今は仕える価値のない国かもしれません。けれど、だからこそ私は中から変えたいと思っています」


ゼロ「中から?」


千歌「はい。それがきっと正しいことだと思うので」


ゼロ「正しい、事...」


そういうと千歌ちゃんは私に背を向け出入り口の方へと歩き出した。


ゼロ「どこへ!?」


千歌「もう少ししたら軍事法廷が始まります。向かわないと」


ゼロ「どうして!? わかってるでしょ! その裁判は貴方が絶対に負けるようになってる! 裁判長も、弁護人も、みんなグルなんだよ!?」


千歌「それでも...それでも私が行かなかったら他の浦ノ星の人たちや違うエリアの人たちがもっと蔑まされる。そんなことはさせたくないんです」


ゼロ「貴方は...貴方はバカだよ!」


千歌「ふふ..昔、仲が良かった友達にもよく言われました。その人にも、ようやく再会できたと思ったのに」


ゼロ「っ!」


千歌「本当は今ここで貴方を皇女殺害の罪で捕らえたいですけど、今の私は丸腰ですし、返り討ちに遭うだけ。どうせ死ぬなら私は誰かのために死にたい」テクテク


そう言って入口に向かっていく千歌ちゃん。私はそれを止めるべく何か言おうとするが何も浮かばない。そして、ついに扉までたどり着いた千歌ちゃんは出ようとした瞬間、その足を止め、こちらを向く。


千歌「だけど、ありがとうございました。私を救ってくれて」


ゼロ「....」


そう言って頭を下げ、千歌ちゃんはこの場を去った。私は結局最後までその後姿を見ているしかなかった。

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雪穂 部屋


アナウンサー『今、高海千歌から連絡が入りました! ゼロから解放され、法廷に向かっているそうです』


アナウンサー『しかしこれはどうなるのでしょうか? 真犯人が出てきた今、彼女は無実であると思われますが...』



雪穂「無実...よかったぁ」ホッ


ピンポーン


雪穂「あれ? こんな時間に誰だろう」


亜里沙「今上がったよ~。チャイムなった?」


雪穂「あ、うん。お姉ちゃんかな? でもだったらチャイムなんて鳴らさないし」


亜里沙「私出てくるね」


雪穂「ありがとう」




亜里沙「はーい」ガチャ


??「ここ、穂乃果ちゃんのおうちであってるかな?」


亜里沙「えっと、そうですけど、あなたは?」


??「うち? うちの名前は...





??「C.C やよ」

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第4章 Aqours



帰り道


穂乃果「....はぁ」


あの後、レジスタンスのみんなにはまた何かあったら、ということで話をして別れた。今は自分の部屋がある学校のクラブハウスに向かっている。しかしその足取りは重い。別に帰りたくないとかそういうわけではなく、ただ少し前の出来事を思い出し、憂鬱になっているだけだ。


穂乃果「まさか、千歌ちゃんに断られるなんて」


これだったら勧誘する前に素顔を見せておけばよかっただろうか? けれど、完全に仲間になってからじゃないともし断られたらゼロの正体がバレてしまう。そう考えてちゃんと仲間になってから、ということにしたのにまさか本当にそうなってしまうなんて。


穂乃果「はぁー。...ま、今日のところは千歌ちゃんを救えたから良しとしようかな」


そんなこんなで気づくと部屋の前。一応チャイムはあるけど私は入るとき特に鳴らしはしない。


穂乃果「ただいま~」ガチャ



亜里沙「あ、おかえりなさい! 穂乃果さん!」


穂乃果「うん、ただいま。雪穂、は...」


もう寝たかな? っと質問する前にリビングで何やら折り紙を織っているのが目に入る。それだけならいい。それだけならよかったのだが、なんとその隣に私の知らない紫髪の女の人が座っていて雪穂と一緒に折り紙をしていた。


雪穂「その声、お姉ちゃん? もう、どこ行ってたの? こんな遅くまで」


C.C「おかえり、穂乃果ちゃん」


穂乃果「...えっと、雪穂? その隣の人は?」


雪穂「うん? お姉ちゃんの知り合いなんじゃないの? それにしても変わった名前だね。C.C だなんて」


穂乃果「シーツー?」


雪穂「この人の名前なんでしょ?」


C.C「そうやよ。ちなみに本当は穂乃果ちゃんとはただならぬ関係で...」


雪穂「え!?」


亜里沙「わぁ!///」


穂乃果「な、なに言ってるのさ! じょ、冗談! 冗談だよ! 彼女は冗談が...」


C.C「きらいやよ」


穂乃果「....」


穂乃果(何この人!?)


さっきから私の雪穂の前で変なこと言って、名前だってイニシャルだけだし。一体何者なのさ!

と、頭の中で考えていながらその横顔を見ていたら、沼津での出来事が頭に浮かんだ。そして閃く。この人は、


穂乃果(あの紫の箱に入ってた人?)


だったらどうしてこんなところに? いや、その前に彼女はあの時撃たれたはず。しかも心臓を。あの状況からは助かりっこないはずなのに。

あっという間に疑問が湧き、その場で自分の考えに没頭する。そんな私を雪穂の声が現実へと引き戻す。


雪穂「そ、そそそ、そっか。お、お姉ちゃんに、こ、恋人、かぁ」


穂乃果「へ? い、いやいや! 違うから!」


亜里沙「私、穂乃果さんの分のお茶入れますね」


穂乃果「ありがとう!」


C.C「大変そうやね」


穂乃果「貴方のせいでね! ああ、もう!」ガシャン


と、近くにあったC.Cと名乗る人のティーカップをわざと落とす。


穂乃果「ああ、なにやってるのさ、C.C。服が濡れてるよ?」


C.C「いや、濡れてな...」


穂乃果「風邪ひいちゃうから着替えよっか。私の貸すよ。部屋に来て」


そういって服の袖をつかみ無理やり引っ張る。


穂乃果「ああ、それと、雪穂。さっきのは本当に冗談だから。嘘。気にしないでね~」


雪穂へのアフターフォローを忘れず、C.Cとともに自分の部屋に入る。

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穂乃果 部屋


穂乃果「それで、貴方は誰?」


C.C「いきなり部屋に連れ込むだなんて乱暴やない?」


穂乃果「貴方は沼津で撃たれたはずだよね?」


C.C「あ、いいベット。それ」ボフ


そういって私のベットにダイブするC.C。こちらの質問にはまったく答えず、会話も繋がらない。


穂乃果「はぁ、とりあえずお礼だけは言っておくね。ありがとう」


C.C「それは穂乃果ちゃんを庇ったことに対して? それとも...」


穂乃果「この力、ギアスをくれたことに対して、だよ」


そういって左目に力を入れギアスを発動させる。この状態で別に命令しなければ特に何もない。


C.C「喜んでくれたようで何よりや。それじゃ眠いからおやすみ~」


穂乃果「ちょ、ちょっと! そこは穂乃果のベットなんだけど! それに貴方、軍に追われてるんだよね?」


C.C「追われてるといってもほんの一部だけ。だったらここにいれば見つからないよ」


穂乃果「それでも...」


C.C「続きはまた明日。おやすみ」


そうして布団に完全にうずくまるC.C。どうやら本当に眠るようだ。


穂乃果(この人には一応恩があるし、さっきのこともあって眠いし、今日は良しとしよう)


この人との会話は明日にするということで寝ようとしたのだが、


穂乃果(私....床で寝るの?)

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次の日 音ノ木坂本国 宮殿


従事者「この度、梨子様を新たなエリア11の総督にすると皇帝陛下からのご命令です」


梨子「そ、そうですか」


従事者「つきましてはすぐにでもエリア11に向かうようにと....」


ガチャ!



絵里「待ちなさい」


梨子「絵里さん!?」


絵里「たった今陛下と話してきたわ。総督になるのは私。梨子には副総督になってもらうわよ」


梨子「は、はい!」


絵里「それでも数日中には向かわないといけないわ。あなた、いますぐに梨子の身の回りの物を準備しなさい」


従事者「イエス、ユアハイネス!(わかりました。皇族様)」タッタ


そう言って出て行く私の従事者。

ここは音ノ木坂帝国の第3宮殿。その中の私の部屋だ。亜里砂ちゃんの死で悲しんでいる私に飛び込んできたのはエリア11の総督になるという知らせ。しかし、今の会話的に私は総督にならなくても良さそうだ。副総督ではあるが。


梨子「あの、絵里さん。ありがとうございます。もしかして皇帝陛下と話したのって」


絵里「いいのよ。可愛い妹のためだもの。それにエリア11には私も用事が出来たしね」


梨子「っ!」


梨子(それって)


梨子「その、亜里砂ちゃんのことは...」


何か言わなければ。そう思って口を開き私が言い終わる前に絵里さんが頭を撫でてきた。


絵里「数年前の穂乃果、雪穂といい、今回の亜里砂といい、どうして私の大切な妹達ばかり死んでしまうのかしらね」


皇帝陛下には私達を含め、子供が沢山だ。それはもし何人かが死んでしまったときのため、そして多い中からより優れた人材を次の皇帝にするためである。そのため皇帝の子供というのはそれぞれが兄妹にしてそれぞれが次の皇帝の座を争うライバルでもあるのだ。そのため違う姉妹同士での権力争いが絶えない。

しかし、そういった権力争い関係なく仲良くする姉妹もいる。その例が私や絵里さん、そして昔にこの国からいなくなり死んでしまったとされている穂乃果さん達だ。私達は昔から仲が良く、それぞれなにかしらの位や仕事が出来るまで仲良く遊んでいた。そのため亜里砂ちゃんが殺された、という知らせが入ったときは本当に悲しかったのだ。しかも私と絵里さんは片親が違う姉妹だが、絵里さんと亜里沙ちゃんは実の姉妹なのだから。


絵里「そうならないためにも。私もエリア11に行くわ。梨子、貴方を死なせはしない」


梨子「私も、絵里さんには死んで欲しくないです」


絵里「ふふ、ありがと。それじゃ、さっきも言ったけど数日中には移動してもらうことになるから準備の方お願いね。私はまだ本国でやることがあるから少し遅れての到着になってしまうけど」


梨子「わかりました」


絵里「それじゃ」スタスタ


そういってマントを翻し部屋から出て行く絵里さん。その後ろ姿はどこか悲しそうで、それでいて怒りが溢れているようにも見えた。

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 廊下


絵里「...」スタスタ




絵里『亜里砂! 本気なの!? エリア11の総督だなんて!』


亜里砂『う、うん』


絵里『だめ! 絶対にダメよ! それなら私のエリア5に来なさい! 副総督にでも..』


亜里砂『もういる、よね?』


絵里『それは...とにかく! 陛下と話してくるわ!』


亜里砂『私ももう言ったけど。反対されちゃって。その代わり、好きなエリアを選ばせてくれるっていうから、その..』


絵里『それでエリア11に?』


亜里砂『うん。あそこは穂乃果さんと雪穂が眠ってる場所、だから』


絵里『だからって』


亜里砂『だ、大丈夫、だよ。私頑張るから。だから、その、たまにでいいから会いに来て、ね?』プルプル


絵里『っ! 亜里砂!』ダキ!


絵里『絶対、絶対に死なないのよ! 何かあったらすぐに私に連絡しなさい! いいわね!?』




絵里「くっ!」ギリ!


ダン! っと、右腕を強く廊下の大理石に叩きつける。じんわりと痛みが広がるがそんなことは気にならない。


絵里(どうして、どうして私はあの時なんとしても止めなかったの!? どうして亜里砂を一人で行かせたの!?)


信頼できる騎士を亜里砂につけたつもりだ。私専用の騎士団エンジェリック・エンジェル隊から信頼できる騎士を。しかし後の報告で何と配属が変わっていて別の人に変更されていた。あげくその変更後の親衛隊は何をやらかしたか、亜里砂は守らず自分たちはおちおち生き残っている。


絵里「いいえ、本当に悪いのは、撃つべき相手は..ゼロ!!」


絵里「待ってなさい! 亜里砂の敵! 私がこの手で必ず!!」

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沼津疎開


ダイヤ「ごめんなさい、ルビィ。少し外れますわ」


ルビィ「うん。大丈夫だよ」


いつも通り作業をしていると不意に私用の携帯から着信が入った。この携帯に連絡を入れて来る人は大体決まっている。運んでいた瓦礫をその場に置き、ルビィに一言言って少し離れた位置に移動し、電話をかけた。


ダイヤ「もしもし」



果南『ダイヤ!? そっちは大丈夫なの!?』キーン


ダイヤ「っ!! 果南さん、いきなりそんな大声を出されると耳が...」


果南『そ、それはごめん。って、それよりも大丈夫なの? なんだか沼津で大変なことが起こってるみたいだけど!』


ダイヤ「起こってる、ではなく起こったのですわ」


果南『沼津疎開壊滅的被害、謎の人物ゼロによる皇女・亜里砂殺害疑惑。千歌がやるはずないと思ってたけどまさかこいつが真犯人ってこと?』


ダイヤ「千歌? あの名誉音ノ木坂人のことをご存じなのですか?」


果南『あ~、昔ちょっとね。それより沼津疎開壊滅ってあるけどどうなってるの!?』


ダイヤ「どうもこうもそのままですわ。音ノ木坂の軍のせいで沼津疎開はほぼ壊滅状態。私達は日中瓦礫の撤去や移住地の確保やらで忙しいというのが現状です」


果南『....そっか。ごめん。何も力になれなくて』


ダイヤ「果南さんが謝ることではありませんわ。貴方の方こそ大変なのでは?」


松浦果南。数年前までこの沼津にいた大切な幼なじみだ。今はここにはおらず、浦ノ星最大の反音ノ木坂グループ、浦ノ星解放軍の一員となっている。彼女は若くして軍の主力であり、軍の中で非常に重要な存在となっている。親友として嬉しい反面、共に戦えたら、という思いもなくはない。だが彼女は解放軍に入って浦ノ星を取り戻すため、自分はここに残ってルビィやみんなのために戦うことを決め、今は別々の場所で頑張っている。こうして定期的に連絡は取り合っているが。


果南『まーね。色々めんどくさいよ、こっちは。私もそっちに戻ろうかな?』


ダイヤ「冗談はよしてください」


果南『ごめん、ごめん! あ、そーだ。無事なら後で鞠莉にも連絡してあげなよ。すっごく心配してたから』


ダイヤ「鞠莉さんが... わかりました。後で電話をかけておきますわ」


果南『うんうん。そのほうがいいよ。それと、ダイヤ』


ダイヤ「はい?」


果南『毎回言ってるけど、いつでもこっちに来ていいんだからね? みんなと一緒に』


ダイヤ「わかています。とても心強いですわ」


実際に今回のことがなければ頼っていたに違いない。しかし、今は状況が変わったのだ。

何者か分からないが今のところ私達と共犯者? であるゼロ。そのゼロがこれからどう動いていくのか、それをしっかりと見極めなければ。


ダイヤ(皆にはああ言いましたが、私自身もまだ

完全に信じたわけではありませんし)


そのためにも今しばらくここにとど待っておくべきだと、自分の中で考えていたのだった。

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ことり 宅


ことりママ「ことり~! ご飯よ~!」


ことりパパ「しばらく出てこないだろうよ。今電話中なんだから」


ことりママ「あら、そういえばそうだったわね」

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ことり 部屋


ことり「それでね! 大変だったんだから!」







海未『それは災難でしたね、ことり』



ここは私、南ことりの部屋。そして今電話している相手が大の仲良しにして幼なじみであり親友の園田海未ちゃん。

今日は都合良く海未ちゃんが電話できると言うことで早く起きて学校の支度を済ませ、時間ギリギリまで電話しようという考えだ。


ことり「ふぅー。ことりの話はこれくらいかな? 海未ちゃんは何かある?」


海未『はい。私の方もたっぷりと。まずはですね...』


このようにお互いの現況報告をした後は、たまっている愚痴や相談などを言い合っている。私の方はあまりたいしたことないのだが海未ちゃんの話はそうはいかない。なぜなら、


海未『という無茶な命令がですね!』


ことり「な、なるほど~。やっぱり大変なんだね。μ'sって」


μ's。それは私達の祖国、音ノ木坂帝国の皇帝直属の騎士団だ。九人で構成されているその騎士団は全兵士の憧れにして目指すべき目標となっている。現にそういった軍のことに疎い私でも知ってるくらい有名であり、音ノ木坂帝国にいくつも存在する騎士団の頂点、それがμ'sなのだ。

μ'sには皇帝陛下が直々に任命した者しか入ることは出来ない。その中でも海未ちゃんは歴代最年少でμ's入りを果たしていて、国でもとても注目されている。本人は嫌がっているが。


海未『それでですが、新しく入った凛という子がこれまた言うことを聞かず...』ガミガミ


ことり(あれ~? 何か私が説教されているような)





海未『しかし、ことりが無事で安心しました。エリア11は今何かと不安定なようですから』


ことり「って言っても、ことりの知らないところで起こってるわけだし」


海未『油断しないでください! ことり、貴方に何かあったら私は、私は...』グス


ことり「!! だ、大丈夫! 大丈夫だから! 心配しないで!」


海未ちゃんとはこのエリアに来るまで一緒の学校だった。しかし私は穂乃果ちゃんが死んだと言うことを受け入れられず、このエリア11の学校に進学した。それを海未ちゃんに話した時なんて



海未『ごどりぃー! あなだまで、いなぐならないでぐだざいよぉ!』ポロポロ



と、大号泣された。今ではこうして落ち着いて電話をしているが最初の頃は毎日電話がかかってきて大変だったものだ。たまに今のようにちょっとウルッときてしまうらしいが。


海未『ことり、やはりこっちに帰ってきませんか? 今の私はμ's of 5 としてそれなりのお金をいただいてますし、私の権限でしたら貴方のご家族まるごとこちらに来ても支障は来しませんし...』


ことり「海未ちゃんは私に海未ちゃんのヒモになれって言うの?」


海未『ち、違います! 私はただ、、貴方が心配なのです。ことり、貴方にはけっして死んで欲しくないのですよ』


ことり「ごめん、ごめん! 分かってるよ。ありがとね、海未ちゃん。けれど私もこっちでまだやることがあるの」


こっちでやること、穂乃果ちゃんのことだ。衣装の勉強もあるけどそれ以上に数年越しに奇跡の再会を果たした穂乃果ちゃんと離れたくないというのがもっともの要因だ。本当は穂乃果ちゃんや雪穂ちゃんと一緒に本国で暮らせれば一番いいのだが。


ことり「とにかく! こっちは大丈夫だから海未ちゃんは自分のお仕事頑張って! ファイトだよ!」


海未『っ!! え、ええ。そう、ですね』


ことり(あ、しまった)


これは穂乃果ちゃんの昔の口癖。学校では冗談で本人と言い合っているためつい海未ちゃんにも言ってしまった。まだ穂乃果ちゃんが生きていると知らない海未ちゃんにとってこの言葉は穂乃果ちゃんのことを思い出してしまう言葉なのだ。


ことり「そ、そうだ! 海未ちゃんは一体いつになったらこっちに来てくれるの!?」


海未『え? それは、その、まとまった休みがもらえず、なかなか...』


ことり「も~う! ブラック企業じゃないんだから!」


海未『しかしですね、一日休みをもらうだけでも大変なのです』


ことり「だったらその一日でこっちに来てよ! あのロボットあるでしょ!」


海未『いくら私の専用機とは言え私用でナイトメアを使うなど許されませんよ!』


ことり「それこそ、ミューズオブファイブの権限ってやつ使ってよ!」


海未『それとこれとは話が別です!』


ことり「もう!」プンプン


海未『去年から熱心に誘ってくれますが一体どうしたのですか? 勿論、私もことりには会いたいですがこっちに遊びに来てくれた方が早いと思いますが?』


ことり「どうしてもこっちじゃないといけない理由があるの。あ、そーだ!」


海未『?』


ことり「海未ちゃん、お願い!!」


海未『っ!!それは!』


必殺の対海未ちゃん用甘えた声。海未ちゃんはこの手の搦め手に弱いのだ!


ことり「海未ちゃんに会いたいな~」


海未『うぐぐぐ.......はぁー、わかりました。今度休みにナイトメアを使えないか頼んでみますね』


ことり「やった~! 海未ちゃんだーい好き!」


海未『私もですよ』ヤレヤレ


そんなこんなで話していると扉をノックする音が聞こえ、部屋の外からお母さんの声が聞こえてくる。


ことりママ「ことりー! もう時間がやばいんじゃない?」


ことり「へ? ああ! 本当だ! 海未ちゃん! 悪いけど今日はこの辺で!」


海未『ええ、構いませんよ。こちらは気にしないでください。久しぶりに、ことりの声も聞けましたし』


ことり「今度は実際に会おうね!」


海未『ええ、待っていてください』


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数日後 穂乃果部屋


C.C「結局、パーティーってなんだったん?」


私が使うベットで横になりながら週刊雑誌のページをめくり、机で調べものをしている私に質問するC.C。


穂乃果「....」ジー


C.C「? うちの顔に何かついてる?」


穂乃果「別に。ただこっちの質問には答えないのにそっちは答えを求めてくるんだなぁ、って」


C.C「答えたくなかったら答えなければいい。うちみたいにね」


穂乃果「はぁ、別にいいけどさ」


机の上のパソコンで高海千歌、と検索しながらC.Cの質問へと少し意識を向ける。


穂乃果「別にでまかせだよ、パーティーなんて。なんでパーティーか、なんて聞かれたら近くにいた警備の人のパスワードがショッキングパーティーだったからかな?」


C.C「それだけ?」


穂乃果「それだけ。あの場面でいきなりギアスを使ったら明らかに私が何かしたって思われるでしょ? けどああやって向こうに何かあるっていう風にしておけばあっちで簡単にゴタゴタやってくれる。ああいう人たちこそちょっとした疑惑ですぐに疑われたりするものだからね」


C.C「じゃあ、あのパーティーさんはありもしない疑惑をかけられてるってわけか。大変やね」


穂乃果「本人が千歌ちゃんにやったことがそのまま帰ってきてるんだから同情の余地もないけどね」

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総督府 本部


英玲奈『全力を挙げて奴らを見逃すんだ!』ピィ



監督役「さて、英玲奈兵。これについて何か言いたいことがあるかな?」


英玲奈「私が、、これを言ったのですか?」


監督役「ごらんのとおりだ」


英玲奈「そ、そんな。これは! 何かの間違いで...」


監督役「見苦しいぞ! 藤堂英玲奈!」


英玲奈「!!」


監督役「君には期待していたのだがね。残念だ」


英玲奈「こんな、ことが...」


監督役「このままでは絵里皇女殿下入国式を仕切らせるわけにはいかんな。別のものに任せる。そして君も降格だ」


英玲奈「!? それは!」


監督役「君もだ。優木あんじゅ」


あんじゅ「....わかりました」


監督役「本国送りにしなかっただけありがたく思うのだな」

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本部 近く町


兵「高海千歌兵。貴様を証拠不十分として釈放する」ガチャ


千歌「どうも」ペコ





千歌「ふぅー」テクテク


ゼロの件のあと法廷に行き予定通り裁判は行われた。しかし中身の全くない裁判でありすぐに終わりその後ゼロに関する取り調べをたっぷりと受け数日牢屋に入れられたのち釈放された。私が言ったことといえば、やっていません、とゼロについてはまったくわかりません、くらいだ。


千歌「結局私は何のために行ったんだろう」


もう自由になったのだし考えても仕方ないことだ。そう思い頭を切り替える千歌。


千歌「けど、どうしよう」


普段は軍専用の宿舎で泊まっている。名誉であるがため普通の兵士からの風当たりは強いがそれでも兵士なのでそこで暮らしていた。もちろんそこに戻るつもりなのだが、


千歌「はぁ、またなんか言われそうだな」


疑惑とは実際にやった、やってない関係なく起きてしまうと完全にそういう目で見られてしまう。気にしなければいいのだが、


千歌「まあ、戻る場所がそこしかないしね」


一瞬、特派のことが頭によぎったが私は真姫さんのご厚意を正面から断ってしまったわけだし、こちらから会いに行こうにも場所も連絡先もわからない。


千歌「いつもながら、お先真っ暗だよ」


そんなことを言いながらブラブラ歩いていると、




??「きゃあぁぁーーー!!」



千歌「へ?」


??「あ! あぶな...きゃ!」ブフ


千歌「わぁ!」ボフ


??「いたた...ご、ごめんなさい!」


千歌「いえ、それよりいったい...」


犬「ワンワン!」


??「ひぃぃ~!」ササ


千歌「??」


叫んびながら走ってきた女の人とぶつかったと思ったら犬があらわれ、女の人は私の後ろに隠れた。


千歌「えっと、これは?」


犬「ワン!」


??「いや~! ど、どっかいって!」


千歌「犬、苦手なんですか?」


??「はい! はい!」


千歌「えっと、よしよし」ナデナデ


犬「くぅ~ん」ヘヘ


千歌「うん。いい子いい子」ヨシソシ


犬「ワン!」


千歌「さ、おいき」ヨット


犬「ワン!」ダッタ


千歌「これで良し。もういいですよ」


??「はぁ~、よかった~。ありがとうございました」ペコ


千歌「いえいえ」


??「あれ? あなたは確か....千歌さん、ですよね?」


千歌「え?ええ、そうですけど、貴方は?」


??「私? 私は...リリー、リリーと呼んでください」


リリー、と名乗った女の人は赤紫色の髪をした美人、という言葉が似合う人だった。

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穂乃果 部屋


穂乃果「ギアスの有効範囲はだいたい270mほど。命令するには相手の目を直接見る必要がある。眼鏡程度の透過率なら問題はないけどサングラス等は通過できない。光情報だとするならガラスなどで反射は可能、かもしれない。同じ相手には一度しか効かず、またギアスにかかった前後、およびかかっている時の記憶は残らない。こんな感じかな?」


C.C「この短時間でよくそこまで調べたね」


穂乃果「このギアスについてはわからないことだらけだからね。調べておくに越したことはないよ。何ができるのか、詳しく知っておかないといざって時に困るし」


C.C「まあ、確かにね」


穂乃果「それで、あなたのことはいつ教えてくれるの?」


C.C「つーーん」


穂乃果「そんなこと自分で言わないよ、ふつう」


そんな私の質問をどこ吹く風という風に受け流し、ベットで横になりながら新聞を見るC.C。


C.C「こっちにも、そっちにもゼロの記事。みんなが、世間が穂乃果ちゃんを探している。穂乃果ちゃんはこれが見たかったん?」


相変わらずこちらの質問には答えないのに質問はしてくる。半ば諦めつつ答える。


穂乃果「別に。これを狙ってるわけじゃないけど。ま、後々のことを考えると都合がいいかもね」


C.C「後々?」


穂乃果「そう。世界はもっと大きな混乱に叩き落されることになるんだから」

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特派 本部


美渡「真姫さん。車の準備できましたよ~」


真姫「車? どうしてよ?」


志満「千歌ちゃんを迎えに行くんですよ。彼女はもううちの一員に登録したんですから」


真姫「はぁ、仕方ないわね。あ、それとなんだか皇女殿下様がいなくなったとかで少しザワついてたわね」


美渡「ええ!? それってホントですか!?」


真姫「ま、そっちは何とかするでしょ。別に誘拐されたわけじゃないんだし」


志満「そうならいんですけど...」


真姫「それよりさっさと行きましょう」

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街中


千歌「それでリリー、ちゃん?は、これからどうするの?」


リリー「どうするのって?」


千歌「いや、別に何かあるって訳じゃないんだけど」


リリーちゃんと出会って数分だが何となく見た目というか雰囲気的にというか、とにかく一般人には見えない。だからどうこうというわけではないのだが私はこれから宿舎に戻るつもりだ。彼女はどうするのか、ちょっと気になったので聞いてみた。


リリー「うーん、そうですね。私自由に動けるのが今日しかなくてそれでこの町を色々回ってたんです。その途中でさっきの犬に追いかけられて、みたいな?」


千歌「なるほど、そうだったんだね」


リリー「だからもう少し見て回ろうかな、って」


そういうことならここでお別れだ。特に付きそう理由もないわけだし....


リリー「それでもしよかったら千歌さん、色々案内してくれませんか?」


千歌「ええ!? どうして?」


リリー「その、私ここら辺のことあまり知りませんし」


千歌「それは、そうかもしないけど」


だから見て回っていたのだろうし。


リリー「勿論無理に、とは言いませんよ。出来れば、ですから」


そういって頼んでくるリリーちゃん。実際頼まれたときには驚いたがこの後の予定はないし、早く宿舎に戻る必要もない。断る理由は特にはなかった。だから、


千歌「まぁ、私でよければ大丈夫だよ」


リリー「本当! ありがとう、千歌さん!」


千歌「私はリリーちゃん、って呼んでるしリリーちゃんもさんはいらないよ」


リリー「そ、そっか。それならよろしくね。千歌、ちゃん」


少し照れたような感じでリリーちゃんはお礼を言ってきてくれた。

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穂乃果 部屋


穂乃果「さーて、次の行動は...」


パソコンに向かいながら今後のことについて考える。公式発表であったが次のこのエリアの総督はやはりと言うべきか絵里ちゃんだった。

絵里ちゃんにも聞かなければいけないことはある。今はギアスがあるので質問、情報を聞き出す分には手間はかからないが問題は直にあってギアスをかけなければいけないと言うこと。理想は二人っきりの状況だ。そう考えると絵里ちゃんを捕虜として捕らえたいところが実際は簡単にはいかないだろう。


 絵里ちゃんは皇女でありながら自身も前線で戦い指揮を執るというスタイルだ。後方で指揮を執るのとは違いナイトメアにのって戦場にいるので亜里砂ちゃんの時に比べて接触しやすいように考えられるがそんなことはまったくない。絵里ちゃんのナイトメアに腕前は一般の兵士より全然強いし、サザーランドやグラスゴーより優れた性能を持つ専用機があるという情報だ。おまけに絵里ちゃん直属の部隊、エンジェリック・エンジェル隊という部隊もある。


穂乃果「もし、絵里ちゃんとまともにやり合おうと考えたら私も私だけの部隊、十分な数のナイトメア。出来れば性能で劣らない専用機のような特別なナイトメアもあれば...」


やりようはいくらでもあるが、実際その中で通じるものはほとんどない。亜里砂ちゃんの時より向こうの兵の熟練度は上、おまけにお目当ての本人も手強いときている。


穂乃果「それに、絵里ちゃんとの稽古ではいつも負けっぱなしだったし」


やることは多く、敵は手強く、これからのことについては問題しかない。しかしそんなことは音ノ木坂と戦うと決めたときからわかりきっていたことだ。今更そんなことでひるんだりはしない。


穂乃果「まずは私の部隊、いや、騎士団の方がかっこいいかな? とにかくそれを作らないと」


そこでふと疑問に思ったことをC.Cに質問する。


穂乃果「そういえば、貴方はギアスを使え.....」


と、質問しようとした相手はベットの上にはおらず、部屋のドアが開いていた。

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リリー「綺麗な海...」


千歌「へへ、そうでしょ? けど内浦ってところの海はもっときれいだよ」


リリー「本当に?」


千歌「ほんと、ほんと」


リリーちゃんの案内をすることになってから数時間。あっちへブラブラ、こっちへブラブラ。特に行きたいこと頃はないとのことなので行き当たりばったりで歩き、その都度リリーちゃんが気になったものの説明をしていた。


リリー「そうなのね。いつか行ってみたいわ」


千歌「今からだと夕方になっちゃうもんね」


そんなこんなで時刻はお昼。おなかの虫もそろそろなりそうなころだ。


リリー「少しお腹がすかない?」


千歌「ふふ、実はすいてたり」


リリー「そうよね。どこかで食べましょう?」


千歌「うん、さんせーい。あ、あそこのパン屋なんてどう? あのサンドイッチなんておいしそうだし」


リリー「サンドイッチ!?」


千歌「へ? う、うん。そうだけど」


リリー「そこにしましょう!」


千歌「うん、いいけど...」


リリー「なにがあるかしら~」スタスタ


千歌「....まぁ、嬉しそうだからいっか」


と、リリーちゃんの後に続きお店に向かおうとしたとき、


美渡「おーい! 千歌ー!」


という声が後ろから聞こえたのだった。

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穂乃果たちの部屋 キッチン



穂乃果「...何してるの?」


C.C「何って、うどん作ろうと...」


あの後、部屋からいなくなった急いで探そうとしたらC.Cを探そうキッチンでお湯を沸かしていた。


穂乃果「まったく。気を付けてよね。雪穂ならわからないかもしれないけど、亜里沙ちゃんにみられるとか面倒は起こさないでほしいよ」


C.C「もう一度みられてるやん?」


穂乃果「なんでまたいるのかって話になるでしょ」


C.C「そんなに気にしなくても穂乃果ちゃんの不利益になるようなことはしないよ」


穂乃果「本当に?」ジト


C.C「共犯者だからね」


穂乃果「共犯者、ねぇ」


実際怪しい、というかまだ微妙なところだ。確かに協力的ではあるがまだまだ秘密な部分も多い。全幅の信頼を置けるか、となるとそれはできない。


穂乃果(ゼロであることが知られているし、互いに軍に追われる身。敵ってわけではないけどさ)


本当に微妙なところである。当の本人はうどんを茹でているが。

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街中


千歌「ええー!? 皇女殿下!?」


真姫「そうよ。何?あなた知らないで一緒にいたの?」


千歌「それはそうですよ! リリーちゃんがまさか皇女だったなんて!?」


真姫「リリーちゃん、ね。私でもそんな風に呼べないわ。やるじゃない千歌」


千歌「へ? い、いや! 今のは違うくて....」



梨子「千歌ちゃーん、早くー!」



千歌「は、はい! ただいまー!」タッタタ


そういって梨子皇女の元に走っていく千歌。


店の前で千歌を見つけた私たちはすぐにそばにいるもう一人の女性に目がいった。その人物とは数時間前に行方不明の知らせを受けた梨子皇女殿下ご本人。仲よさげに話していた千歌を呼び、そのことを話すと驚き、飛び上がった。


美渡「というか、真姫さん。よく皇女殿下のこと知ってましたね」


真姫「本国にいたとき少し見たことあったのよ。最近までずっと本国の学校にいたから世間には知られてないのも無理はないけどね」


志満「んー、けどどうしてそんな皇女様があんな風に自由に出歩いてるんですか?」


真姫「しらないわよ。護衛も撒いて一人でフラフラと。聞いてた性格とはずいぶん違うようだけど」


美渡「一応軍に連絡しておきますね」


真姫「そうしてちょうだい」


まもなく軍の関係者が来るだろう。それまでは二人っきりにさせることを決め、車の中で待機するのだった。


真姫「おなか空いたわね。志満、何か買って来て」


志満「ええ~、いいですけど」

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キッチン


雪穂「この匂い、お姉ちゃんまたうどん作ったの?」


穂乃果「あはは..今穂乃果の中ですごいブームでさ」


雪穂「まあ、お菓子ばっかりよりはいいけどさ」


亜里沙「なら晩御飯は私がうどん作りますね!」


穂乃果「いやいや! 穂乃果が作るから大丈夫だよ! 亜里沙ちゃんは雪穂と一緒にお風呂入ってきてくれないかな?」


亜里沙「わかりました! いこ、雪穂」


雪穂「はーい」


と、二人はお風呂場へ。その隙に部屋に戻り、


穂乃果「うどんの器。持ってくから貸して」


C.C「はーい。いや~、ごめんね」


穂乃果「本当だよ。まったく」


C.C「それにしても穂乃果ちゃん。このPCの画面にあるのって...」


穂乃果「勝手に見ないでよ」


C.C「仕方ないやん。暇なんだもん」


穂乃果「暇なんだもん、って」


C.C「これが絵里皇女と戦うための穂乃果ちゃんの作戦?」


穂乃果「戦うため、ではなく勝つためのね」


C.C「めちゃくちゃ大変そうなんだけど」


穂乃果「それほどの相手なの。いいから押入れででも寝てなよ」


C.C「ひどくない?」


なぜかこのC.にはこのような軽口がスラスラと出てくる。そのことを少し不思議に思いながらも私が食べたことにするために器をキッチンへと持っていく。



C.C「あ、穂乃果ちゃん行っちゃった。それにしても、沼津の子達をまとめて軍を作る、か。できるのかな?」


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町中


梨子「えーと、それじゃあね。千歌ちゃん」


千歌「はっ! 梨子皇女殿下もお気をつけて!」


そういうと少し困ったような、寂しそうな顔をして車に乗り去っていく梨子皇女殿下。


真姫さんに教えてもらった後、リリーちゃん、改め梨子皇女殿下とお昼ご飯を食べながら話をした。どうしてすぐに教えてくれなかったのかを。

本人曰く、護衛がいると申し訳なくて自由にできないからだそうだ。教えたらすぐに報告されると思ったと。

しかし護衛を撒いてきたわけではなく、犬から逃げたらついでに護衛からも逃げてしまったようだ。

ご飯を食べた後、しばらくして、軍の人が来て梨子皇女殿下は帰っていった。


梨子『私、この国の副総督になるの。だから、これからいろいろとよろしく、ね』


ということなので今後は梨子皇女殿下に仕えていくことになるのだろう。


千歌「あれ? 副総督?」


志満「千歌ちゃん」


千歌「あ、志満さん」


振り返るとそこには特派の三人がいた。


千歌「えっと、どうしてこちらに? やっぱり梨子皇女殿下を探して?」


真姫「そんなのついでよ」


美渡「真姫さん! そんなこと誰かに聞かれたら!」


真姫「千歌、あなたの部署が正式にうちになったわ。これからは特派に入って行動していく。いいわね?」


千歌「ええ!? いいんですか!」


真姫「ええ、もちろんよ。せいぜいサンシャインにその身を捧げることね」


千歌「それって...」


美渡「ということで」


志満「改めてよろしくね、千歌ちゃん」


千歌「は、はい! よろしくお願いします!」

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梨子『あ、千歌ちゃん。千歌ちゃんは何を食べ....』


千歌『梨子皇女殿下! 知らなかったとは言え、失礼いたしました!』バッ


梨子『え? 千歌ちゃん?』


千歌『リリーちゃんと言ったこと、伏してお詫びいたします!』


梨子『...そっか。聞いちゃったんだ』


千歌『その、どうしておっしゃってくれなかったんですか?』


梨子『それは...』



車の中


梨子「年が近い、普通の友達になれると思ったから、なんてね」


運転手「着きました。空港です」


梨子「空港? 総督府に戻るのではなかったでしたっけ?」


運転手「いえ、本日は絵里皇女殿下がこのエリア11にお越しになる日ということでお出向かいを」


梨子「あ、そうでした」

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空港


兵隊「絵里皇女殿下、来日です!!」




絵里「.....」スタスタ


親衛隊「「....」」ゾロゾロ



監督役「ようこそお越しくださいました、絵里皇女殿下。つきましては新総督歓迎パーティーを...」


絵里「パーティー?」


監督役「は、はい。いかがなされましたか?」


絵里「そんなものやってる暇などないわ。梨子はどこ?」


監督役「梨子様なら先ほど到着いたしまして」


梨子「ここにいます。絵里さん」


絵里「梨子、聞いたわよ。護衛を撒いてふらふらしてたんですって?」


梨子「ち、違います! 犬から逃げたらそうなってしまっただけで...」


絵里「犬から? ふふ、なるほど。犬苦手だったものね」


梨子「はい」


絵里「そういうことなら仕方ないわ。けど、これからは少しおとなしくしててもらうわよ」


梨子「....」


絵里「このエリアはきれいにしてから貴方に渡すわ。テロリストもあのゼロとかいう者もみな私が排除する。それまでは安全な場所にいるのよ?」


梨子「わかりました。けど危絵里さんも気をつけてください」


絵里「分かってるわ。ありがとう」

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数日後 穂乃果の部屋


テレビ『前日よりこのエリア11の総督に就任しました、絵里皇女殿下からのお言葉です』


テレビ『皆さん、初めまして。絵里です。皆さんには....』ピィ


部屋のテレビを乱暴に切り、学校への支度をする。

いよいよ絵里ちゃんがこのエリアに来たのだ。となってくると心配事がある。


亜里砂「...お姉ちゃん」


穂乃果「亜里砂ちゃん。分かってると思うけど会いに行こうなんて考えないでね。亜里砂ちゃんは私達に協力してもらうんだから」


亜里砂《....はい、わかってます》




穂乃果「行ってきまーす」


雪穂「いってらっしゃーい」


部屋の扉を閉め、学校へと向かう。その頭の中は先ほどの亜里砂ちゃんとの会話でいっぱいだ。


穂乃果(協力してもらう、か。ギアスで強制しておいて何言ってるのやら)


そんな自分に嫌気がさす。絵里ちゃんと亜里砂ちゃんの関係はまさしく私と雪穂との関係そのものだ。お互いを大事に思い、互いのために頑張る。そんな美しい姉妹の関係。しかし私は雪穂のため、自分のため、亜里砂ちゃんにギアスをかけ、絵里ちゃんと戦おうとしている。とんだ悪者だ。


穂乃果(はぁ、ほんと、こんなことばっかり頭に浮かぶんだよね)


自分がやったことは正しいのか、やっていくことは正しいのか。そんなことを自問自答しながらもマイナスな事だけが頭に浮かぶ。こんなことでこの先大丈夫なのやら。もう引き返せないし、引き返すつもりもないのだが。


ことり「おはよー! 穂乃果ちゃん!」


穂乃果「あ、おはよう。ことりちゃん」


ことり「あれれ? 何か元気なさそうだけど?」


穂乃果「さっきまでね。ことりちゃんを見たら元気出てきたよ」


ことり「えへへ/// それなら良かった!」


穂乃果「さ、教室行こっか」

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教室


担任「朝のホームルームを始める前に皆さんに報告があります」



ことり「何だろうね?」ボソ


穂乃果「うーん、新しい生徒とか?」ボソ



担任「今日からこのクラスに転入生が来ます」



ことり「すごい! 穂乃果ちゃん!」ボソ


穂乃果「あはは、まーね」ボソ


たまたまだ。


穂乃果(それにべつに転入生なんてどうでも....)


ガラガラ



千歌「今日からこのクラスに転入することになりました。名誉音ノ木坂人の高海千歌、です。皆さん、よろしくお願いします」ペコ




穂乃果「....うそ」

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昨日 特派本部


真姫「千歌~、あんたにお客さんよ」


千歌「私に、ですか?」


真姫「お友達だそうよ」


千歌「え? 友達?」


友達、それもわざわざこの部署まで訪ねてくる人が私の知り合いにいただろうか?

そんなことを思いながら入り口へ向かうと、



梨子「や、やっほー」フリフリ


千歌「....梨子皇女殿下」


後ろに護衛を数人連れた梨子皇女殿下が立っていたのだった。




美渡「ど、どうぞ、お茶です」スッ


梨子「あ、お構い無く」ペコ


美渡「いえいえ! そういう訳には!」


志満「千歌ちゃんは水で我慢してね」スッ


千歌「いえ、構いませんけど」


志満「ふふ、冗談よ」



梨子「ここが千歌ちゃんの部署なのね」キョロキョロ


千歌「って言ってもほんの数日前にここに配属されたばっかりなんだけどね」


梨子「へー、そうなんだ。あ、けど、ここの人たちいい人そうよね」


千歌「うん。すごく優しいんだ」


梨子「よかった」ズズ


千歌「え?」


梨子「千歌ちゃん、私が皇女だってわかったら態度まったく変わっちゃったんだもの。私的には今みたいに敬語崩してくれて構わないのよ?」


千歌「あ! ごめ、いや、失礼しました」ペコ


梨子「もー! だからそれが嫌なの!」


千歌「いや、でも...」


梨子「まぁ、私が強制させるわけにはいかないけれど」


千歌「わかった。なら、梨子皇女殿下にはなるべく敬語を崩して喋るね」


梨子「目標は名前の後に皇女殿下ではなくちゃんをつけてもらうことね」


千歌「それはかなりハードル高いよ」


梨子「ふふ、、ってそうよ! 話があるんだったわ!」


千歌「話? 私に?」


梨子「そう。この前千歌ちゃんと話した時に知ったけど千歌ちゃん、今学校行ってないんでしょ?」


千歌「え? ま、それは...」


梨子「私ね、学校は絶対にいった方がいいと思うの!」


千歌「そりゃ、行けるなら行きたい?のかな?」


梨子「だから、私に任せて!」


千歌「へぇ?」

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現在


千歌(まさか昨日の今日で学校に行くことになるなんて)


担任「席は...そうだな、その中央の空いてる席に」


千歌「はい」スタスタ


ご丁寧に教材やら制服やらが今朝来ていたし、真姫さんも、仕事特にないし行けば? みたいに行ってたので来てしまったのだ。


千歌(まぁ、来たからにはちゃんと学生しよっと)


音ノ木坂の軍に入ってからは学生生活、などとは無縁の生活を送っていたので多生なりともワクワクしている自分がいる。

さらにいうなら窓側の方になんと穂乃果さんがいた。無事だったのだ。あのあとのことなど話したいことがたくさんあるがとりあえず席に向かう。すると、



「嘘でしょ? 元イレブンじゃない」


「場違いでしょ?」


「しかも皇女殿下誘拐の罪とか」


「それってゼロって人じゃなかったっけ?」


「けど、疑わしい事があるから捕まったんだろ?」



千歌(...そりゃそうだよね)スタ


担任「えー、それでは朝のホームルームするぞ」

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総督府 梨子部屋


梨子「ふふ、今頃千歌ちゃん、友達でも作ってるかしら.....はっ!」


梨子「これじゃ結局私と千歌ちゃんの仲が縮まらないじゃない!」


梨子「しかも、新しい友達が出来たから梨子ちゃんはもう必要ないかな~、なんて言われたら....」


ガチャ!


絵里「梨子、そろそろ支度してちょうだい」


梨子「!! は、はい!」ダッ

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教室


担任「それではこれで朝のホームルームは以上」スタスタ


そう言って教室を後にする担任。すると周りからはまた私に対する陰口が始まる。


ヒソヒソ,ゴソゴソ


勿論、あまりいい気分ではない。しかし、だからと言って言い返すわけにもいかず、何も聞こえない振りをして過ごすしかない。すると、


ことり「穂乃果ちゃん!?」


穂乃果「ごめん、ちょっとトイレ」ガタ


後ろの方で穂乃果さんが席から立ち上がり出入口へと向かっていく。私はそれをただ見ていると穂乃果さんは扉の前で制服の襟をクイッと触った。


千歌(あの仕草は...)


そして穂乃果さんはこちらを一度も見ることなく教室を出ていった。

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屋上


穂乃果「はぁー、あったかいなぁ~」


ことりちゃんにトイレに行く、なんて言っておいて現在は屋上にいる。なぜかというと....




千歌「あ! やっぱりここだったんですね!」


穂乃果「お、きたきた」


千歌ちゃんと二人っきりで話すためだ。


千歌「それにしてもこの仕草、よく覚えてましたね」


そういって千歌ちゃんは制服の襟を触ってクイッとあげた。これは昔私たちが一緒に遊んでた時に使っていたサインだ。意味は屋根小屋へ集合。

ここだったら屋上がいいところだろう。千歌ちゃんも同じ考えでよかった。


穂乃果「まあね~。それにしても、千歌ちゃん、無事だったんだね。よかった」


千歌「それはこっちのセリフですよ。穂乃果さん」

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教室


曜(高海千歌、まさか転校してくるなんて)


友人と話しつつ、授業の準備をしながら曜。しかし関心は別のことにある。

このクラスには穂乃果、ことり、曜がいる。が、まさかこのクラスにさらに彼女が転校してくるなんてまったく考えていなかった。


曜(いやいや、そもそも普通、軍人が学校に通うものなの?)


とりあえずこれも報告だ、と考えながら動く曜だった。

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屋上


千歌「どうやってあそこから脱出出来たんですか?」


穂乃果「え、えーと、あの後ナイトメアが乱入してきて保護されたんだ。その時瓦礫が降って来ちゃってあの紫の髪の女の人とはぐれちゃって」


と言うことにしておく。


千歌「そうだったんですね。本当に心配しましたよ」


穂乃果「それはこっちの台詞だよ。撃たれたと思ったら今度は裁判にかけられそうになってるし。今は大丈夫なの?」


千歌「あはは..まあ、なんとか」


穂乃果「それにこの学校に転校してきたことも驚きだし」


千歌「それは、私も驚いてます。ある人が学校には行った方が良いってそれでここに」


穂乃果「そっか。けど、嬉しいよ。また千歌ちゃんとこうして話すことが出来て、それに一緒に学校生活なんて」


千歌「私もです! あ、雪穂ちゃんは元気ですか?」


穂乃果「勿論。私がいるんだから」


千歌「ですよね。今度会ってもいいですか?」


穂乃果「勿論! 雪穂も喜ぶ....」


と、そこまでいて今の家には他人においそれと見せられない人がいることを思い出す。


千歌「穂乃果さん?」


穂乃果「あ、えーと、勿論歓迎だよ! 準備しておくから近いうちにね」


千歌「えーと、はい!」


穂乃果「さて、積もる話はその時にするとして、今は教室に戻ろっか」


千歌「そうですね。授業、ですもんね」

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数日後 総督府 本部


兵隊「お疲れ様です! 絵里皇女殿下!」


兵隊「あの地区一帯のテロは完全に治まったようです!」


絵里「そう。なら、そちらのイレブンの処理は指示通りにしなさい。私は自室に戻るわ」


兵隊「はっ!」

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絵里専用部屋


絵里「はぁー」


専属騎士「絵里様、そのようなため息はいけませんよ」


絵里「仕方ないでしょ。こんなちまちまとテロを潰して回ってきりがないわ。それに肝心のゼロの居場所もつかめないまま」


専属騎士「それはそうですが、解放軍の方は足跡がつかめたとのことです」


絵里「そう。まぁ、いずれ潰さなきゃいけないやつらですしね」


専属騎士「あと、浦ノ星公教団というグループにも不審な動きが見られるとの報告が」


絵里「...なるほど。念のため監視を増やしなさい。それと私のナイトメアの整備の方も急がせて」


専属騎士「イエス、ユアハイネス」


絵里「さーて、ゼロの前に色々と掃除しちゃいましょうか」

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穂乃果 居間


雪穂「お姉ちゃん、どうしたの? 会わせたい人がいるって?」


穂乃果「ふふ~ん、よし。いーよー」


千歌「よいしょっと、久しぶりー! 雪穂ちゃーん!」ギュッ!


雪穂「ひゃっ! だ、誰ですか!?」


千歌「私だよ!」


雪穂「も、もしかしてその声千歌さん!?」


千歌「そうだよ!久しぶりー!」


雪穂「わぁ!お久しぶりです!」ギュッ!


千歌「こんなに大きくなって」ヨヨ


穂乃果「いや、年寄りじゃないんだからさ」


ということで無事雪穂と千歌ちゃんを再会させることが出来た。亜里沙ちゃんは別の場所へ、あの意味不明なC.Cは私の部屋のタンスの中に無理やり押し込んだ。本人は嫌がっていたが。


リビング


雪穂「それでそのあとどうしたんですか?」モグモグ


千歌「そしたら、施設に入れられてね。そこで軍人になる特訓を」モグモグ


穂乃果「だから軍人になったって事? あんなに音ノ木坂を嫌ってのに...」モグモグ


千歌「それは、そうですけど...」モグモグ


穂乃果「何か別の目的がある気がするけど」ジー


雪穂「あ、お姉ちゃん! ヤカンが煮立ってる音するよ!」


穂乃果「うわぁ! 本当だ!」ダッダダ


千歌「....」モグモグ




千歌「よっと」トントン


千歌「ご飯ご馳走様です。それじゃあね、雪穂ちゃん」


雪穂「はい! あの、また来てくださいね!」


千歌「....うん。勿論」


穂乃果「それじゃ、少し千歌ちゃんを送っていくから」ガチャ

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帰り道


千歌「いや~、穂乃果さんのご飯相変わらず美味しかったです!」


穂乃果「それはどーも」フフ


千歌「やっぱり頑張ってれば良いことはありますよね。穂乃果さん達と再会できたみたいに」


穂乃果「それは...うん、そうだね。その通りだ」


穂乃果「....ねえ、千歌ちゃん。千歌ちゃん達の両親って...」


千歌「...その、亡くなり、ました。あの時に」


穂乃果「そっか。...ごめんね」


千歌「いえいえ!いいんですよ! それで私から提案があるんですけど」


穂乃果「うん? 何?」


千歌「学校では極力話さないようにしましょう」


穂乃果「え?」


千歌「私学校で今あまりいい立ち位置じゃないですし。そんな私と仲良くしたら穂乃果さんまで大変になると思うんですよ」


穂乃果「そんなこと...」


千歌「私は大丈夫ですから。...あ、ここまででいいですよ」


穂乃果「あ、うん。わかった」


千歌「それじゃ、また学校で」ペコ


穂乃果「またね」フリフリ



穂乃果「千歌ちゃん、何か変わったな~」


昔は元気いっぱいわんぱく少女。難しいことは考えず、先のことはわからない!とばかりにひたすら突っ走るタイプだったのだが。


穂乃果(何か元気がなさそうだったし、おとなしくなった? のかも)


実際、穂乃果自身も今や昔とは違っている。考え方も行動も。だから別に千歌ちゃんが変わっていても何ら不思議はないのだが。


穂乃果(少なくとも学校での今の状況、何とかしてあげたい)


見ていて気分の良いものではない。それが仲の良い友達ならなおのこと。


穂乃果(明日、生徒会のみんなの所にでも連れて行ってみようかな)

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翌日 生徒会室


昨日考えたことをすぐ実行した穂乃果だったが、その効果は予想していた以上であった。


フミカ「へぇ~、千歌ちゃん軍人なんだ。やっぱり」


千歌「は、はい。ですので生徒会に入れてもらっても毎回来れるとは....」


ヒデコ「いいよ、いいよ! そんなの気にしないで! 曜だってそんな感じだし。ね!」


曜「え!? ま、まぁ、そうですね」


ミカ「いや~、ナイスタイミング!これからの行事に向けて人が欲しかった所なんだよ」


とのことだ。とりあえず生徒会に来てみない? と、言ったところ気づけばこんな感じに。


ことり「あはは、またメンバー増えちゃうかもね」


穂乃果「だね。けど、賑やかになる分はいいよね」


ことり「うん!」


ヒデコ「よし、決定! ではこれより高海千歌は生徒会の一員です!」


千歌「ほ、本気ですか...」


ヒデコ「きっと、貴方のためになると思うよ」


千歌「そう、ですかね」


ヒデコ「教育係は曜ね」


曜「ええ!? 何でですか!?」


ヒデコ「そりゃー、二番目の新入りだから?」


曜「私にそんな人着かなかったと思うんですけど」


ミカ「曜ちゃん、覚えよかったからね」


フミカ「要領もいいし」


ことり「ぴったりだね!」


穂乃果「よろしく~」


曜「はぁー、わかりまし。けど、来たときだけ、ですよ」


ヒデコ「勿論だよ!」


千歌「えーと、よろしくね。曜、ちゃん?」


曜「こうなったら仕方ないしね。こっちこそよろしく。千歌ちゃん」


曜(何だかんだ気にはなってたし)


こうして穂乃果が考えてた以上にあっさりと千歌は学校になじんでいくのだった。

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沼津疎開


ダイヤ「はい...はい、わかりました。ではその日に」ピッ


ルビィ「お姉ちゃん、どうだった?」


ダイヤ「ゼロから、今度の土曜日に音ノ木坂と戦う覚悟がある物だけ集まって欲しい、とのことですわ」


善子「そんなのみんなあるに決まってるじゃない」


花丸「オラはちょっぴり不安、ずら」


ダイヤ「確かにゼロは分からないことが多いですわ。けど、私達のプラスになるのは確かなはず。行くだけ行ってみましょう」


ルビィ「お姉ちゃんがそう言うなら....」


ダイヤ「ではその方向で。曜さんにも連絡しなければいけませんね」

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学校 放課後 


曜「はい、わかりました」ピィ


曜(土曜日。またそこでゼロと)


曜としてもまだゼロを完全に信用しているわけではない。しかし、前回の騒動、その前の沼津疎開の戦いの時も見方をしてくれているので少なからず敵ではないと思い始めてはいる。そのゼロが今度はしっかりと私達と話そうとしているのだとしたら行かないわけにはいかない。そこで今度こそゼロを見極め、曜達の内浦の為になるのかどうかを判断しなければいけない。


曜「よっと、お待たせ。ごめんね、急に電話で」


千歌「ううん。大丈夫だよ」


曜「ありがと。それで次の場所は....」


今は学校の中を絶賛紹介中。どこに何があるのかなどを一通り教えている。生徒会はいろいろなところに動かされているため知っておくにこしたことはない、と教育係の私が案内していた。


曜「ここが放送室。私もあまり使ったことはないけど中々訪れてるらしいよ。特にヒデコちゃんが」


千歌「あ~、なるほど。あの人賑やかそうだもんね」


曜「さてと、これで一通りかな」


千歌「う~、多すぎだよ~」


曜「まー、確かに。けど、必要な時にはみんな教えてくれるよ」


千歌「ならいんだけど」


曜「さ、帰ろっか」スタスタ



曜「千歌ちゃんはさ、どうして軍人に?」


千歌「え? どうしたの? 急に」


曜「いや、私と同い年なのにもう軍人だからさ。どんな感じなのかな、って」


千歌「うーん、私の場合はさ、名誉音ノ木坂人だからこれしか道がなかたって言うのもあるんだけどね」


曜「けど、レジスタンスとか、ある、じゃん?」


千歌「ダメだよ! テロなんて! 曜ちゃん、まさか...」


曜「ち、違うよ! ただ、千歌ちゃん達の立場ならそうなっても仕方ないのに軍人になってくれたから、何か理由があるんじゃないかって」


千歌「さっきも言ったけどそれしか道がなかったからかな。それにそれがきっと正しいこと、なんだよ。きっと...」




千歌パパ『千歌! いいか? お前は将来この国を背負うことになる。そのためにも私が立派に育ててやる』


千歌ママ『そうよ、千歌。貴方は私達の言うことだけを聞いてればいいの。わかった?』


千歌『...はい、』



千歌「きっと....」


曜「千歌ちゃん?」


千歌「あ、ご、ごめん。何でもないよ」


曜「わかった。気をつけてね。お仕事」


千歌「うん。ありがと! 曜ちゃんは優しいね」


曜「別にそんなんじゃないよ」

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生徒会室



ヒデコ「早速ですが、今週の土曜日、マックス・ザ・タワー、って言うところに一泊のお出かけに行きます!」


穂乃果、曜(え...)



ミカ「名目はようちか歓迎会だね」


フミコ「費用は会長からほとんど出るし、いいわぁ~」


ことり「いえーい! 楽しみだね! 穂乃果ちゃん!」


穂乃果「あ、あはは...そう、だね」


千歌「あの! すみません!」


ヒデコ「どしたの?」


千歌「土日はその、サンシャ...、機械の調整があって行かないと...」


ミカ「あー、そうだよね」


フミコ「千歌ちゃんは仕事か」


曜「ごめんなさい。私も家の用事が」


ことり「主役二人がお休み...」


穂乃果「な、なら別の日にしようよ! ね!」


ヒデコ「もう予約しちゃったんだよね」


穂乃果「まずみんなに確認しようよ」


ヒデコ「仕方ない。行ける人達でいって、ようちか歓迎会はまた別にやろっか」


千歌、曜「「ごめんなさい」」


ミカ「いいって、気にしないでよ」


フミコ「勝手に決めちゃってたしね」


ことり「それじゃ土曜日はいつものメンバーで、だね」


穂乃果「そ、そうだね」


穂乃果(マジかー)

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浦ノ星公教団 本部


連絡係A「くそっ! 音ノ木坂の監視が増えてやがる!」


連絡係B「やはり、これ以上は....」


副団長「どうしますか? カトタツ様」


カトタツ「....仕方ない。行動に移そう。決行は今度の土曜日だ」

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土曜日 学校前


ことり「ええー!? 穂乃果ちゃんが休みー!?」


ヒデコ「うん。何でも、雪穂ちゃんのことでやることができたって」


ミカ「穂乃果は雪穂ちゃん第一だもんね」


フミコ「言えてる」


ことり「はぁー」


ヒデコ「露骨にため息つかないの」


ミカ「今回は四人で楽しもうよ」


ことり「うん....そうだね」


フミコ「めっちゃテンション下がってるじゃん」

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穂乃果 家


穂乃果「よっし、と」


C.C「こんな時間からもういくん?」ウトウト


穂乃果「まあね」


C.C「行ってらっしゃーい」バタ、スースー


穂乃果「ほんと、何なんだろう」

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とある町外れ


曜「ダイヤさん、どんな感じですか?」


ダイヤ「この辺りのはずなのですが...」


善子「送られてきた場所ってここなんでしょ?」


ダイヤ「ええ、間違いなく」


よしみ「ああ! 見て!」


むつ「大きな車がある!」


いつき「あれじゃない?」タッタタ




ゼロ「ん? ああ、早かったね」



ルビィ「ぴぎ!」


花丸「ずら!」


善子「うわぁ!」


曜「三人とも驚きすぎだよ」


曜(気持ちは分からなくないけど)


ゼロ「さて、ここにいる人達で全員?」


ダイヤ「今のところはそうですわ」


ゼロ「今のところ、ね。とりあえず車の中に入って。二階もあるから中は広いよ。そこで話を」スタスタ


ルビィ、花丸「....」ゴクリ


ダイヤ「い、行きましょう」

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車の中


善子「ひっっろ!」


花丸「未来ずら~!」


ゼロ「適当に腰掛けて」


曜「あの、この車いったいどうやって?」


ゼロ「譲ってもらったんだよ。チェスの弱い、道楽貴族さんにね」




ゼロ「さて、まずは集まってもらってありがとう」


ダイヤ「貴方には命を救ってもらった恩がありますし」


曜「話っていうのも気になりますから」


ゼロ「そうだね。ならさっそく本題に入ろうか」


ゼロ「前にも言ったとおり、私は音ノ木坂という国に対して敵対意識があります。そしてそれは貴方達もですね?」


善子「そりゃ、そうだけど」


ゼロ「敵の敵は味方、ということで一緒にこれから戦っていこうと言う話です」


ダイヤ「具体的には?」


ゼロ「私達は組織となり、この国の音ノ木坂の軍と戦っていこうと言う意味です」


曜「組織?」


ゼロ「そう。いつまでもレジスタンスでは物資の補給もままならない。それに相手は正規の軍。正面からぶつかれば勝ち目はない。だからといっていつまでも逃げてばかりもいられない。浦ノ星を取り戻したいなならね」


花丸「浦ノ星を取り戻す....」


ゼロ「そのためにも組織として動き、人員を増やし、民衆の支持を得て、音ノ木坂と戦う。これが私の考えている今のプランですよ」


ルビィ「そんなこと、出来るんですか?」


ゼロ「出来る、いや、やってみせる。そのためにも貴方達の協力が必要ですが、どうしますか?」


ダイヤ「...質問、いいでしょうか?」


ゼロ「私が答えられる範囲でよければ」


ダイヤ「その組織というのは解放軍などと合わせるのではなく、私達だけの、ということですか?」


ゼロ「そうだね。基本的に指示は私が出す。みんなはそれに従ってもらう、と言うのが理想だよ。解放軍なんかとは恐らく馬が合わないだろうしね」


ダイヤ「そうですか...」


曜「あの! 貴方に従えば浦ノ星は取り戻せる、のでしょうか?」


ゼロ「貴方達が私の指示に従ってくれるのなら私も全力を尽くすと約束するよ」


むつ「あの~、ぶっちゃけ素顔を見せてもらうことって出来ないんですか?」


ゼロ「それは無理だね」


善子「結局私達を信用してないって事?」


ゼロ「もし貴方達が捕まって拷問されたら? その時私の正体がばれてしまうでしょ?」


花丸「ご、拷問」


ダイヤ「まだそこまで私達を信用していないと言うことですか。ですがそれはこちらもです。いったんこの話を持ち帰り、後日返事を..」


ゼロ「いえ、今この場で決めてもらいます」


善子「なぁ!? どうしてよ!」


ゼロ「いつまでもこんな風にダラダラしていてもらっては困ります。貴方達が本当に音ノ木坂に勝ちたいのなら今すぐこの場で決めてください。それか今後もレジスタンスとして活動していくならどうぞ帰ってもらって構いません」


曜「それは....」


ゼロ「今、新たに絵里という皇女が総督を務めていて、次々反乱グループを取り押さえています。時間がたつにつれて不利になるのはこちらですよ」


ダイヤ「....わかり、ましたわ」


いつき「いいんですか!?」


ダイヤ「正直、今のままではきついことは確かです。行動を起こしたくても起こせません。ここでゼロと協力した方が良いのでしょう。ただし、」


ゼロ「?」


ダイヤ「やはり素顔を見せない貴方に全幅の信頼は置けません。手を組む、と言う形でも良いですか?」


ゼロ「構いませんよ。私の指示に従ってくれるなら形式や形なんて些細なものです」


ダイヤ「ではそういうことで。皆さん、よろしいでしょうか?」


曜「まぁ、別に」


ルビィ「お姉ちゃんがそういうなら」


花丸「オラは、その、まだ不安というか」


善子「やっぱりどーも、ね」


ゼロ「参加する人達だけで構わないよ。早速、色々と教えることがあるから」


善子「わ!わ! 待ちなさいよ! わかったわよ。協力するわよ!」

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特派 本部


真姫「はい、いったんストップ」



千歌「ぷはぁー」ガチャン


ここは特派本部。その近くの広い敷地でサンシャインのデータ集取をしていた。前回サンシャインにのってからそこそこ時間がたっていたため今日は稼働時間ギリギリまで動かし、操縦になれるという訓練だった。


真姫「千歌、反応速度の方はどう?」


千歌「動かすとすぐに反応しますし、やっぱりすごいですよ!」


真姫「うーん、けど私的にはもっとコアルミナスの回転力を....」ブツブツ


美渡「あらら、また始まった」


志望「千歌ちゃん、降りてきて良いわよ~」


千歌「はい」ヨット



志望「へ~、生徒会のね」


美渡「残念だったないけなくて」


千歌「いえいえ、仕事優先ですし」


真姫「ちょっと、何勝手に降りてるのよ。次のテストするわよ」


千歌「は、はい!」ガタ


真姫「それに二人も手伝いなさい。新しい武器もあるんだから」

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公教団員「カトタツ様、準備ができました」


カトタツ「よし、では始めろ」


公教団員「はっ!」


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マックス・ザ・タワー 内部


ミカ「へぇー、良い景色じゃん!」


フミコ「さっすが会長~」


ヒデコ「まっかせなさい!」


ことり「うわぁ! このお菓子穂乃果ちゃんに買っていってあげよっと!」



ガチャ! 



公教団員「全員動くな!」ガチャ


公教団員「手を上げろ!」



ミカ「え? え?」


フミコ「ちょ、何?」


ヒデコ「まさか...」


ことり「テロリスト!?」




??「っ!」


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総督府


絵里「調子はどう?」


整備員「順調です。明日には動かせるかと」


絵里「助かるわ。武器の方もお願いするね」


整備員「はっ!」



連絡員「大変です!」


絵里「どうしたの?」


連絡員「浦ノ星公教団がマックス・ザ・タワーを占拠したとのことで!」


絵里「!? 何ですって!?」

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ゼロ達の車


ゼロ「これが一応制服」ホイ


ダイヤ「これが、ですか。真っ黒ですね。帽子まで」


ゼロ「顔バレは嫌でしょ? それに私服で戦闘だなんて組織として統一感がないし」


ダイヤ「まぁ、確かに」


善子「そう言えばこの組織に名前はあるの?」


ゼロ「...そう言えば決めてなかった」


曜「そうなんですか?」


ゼロ「今すぐ名乗る訳ではないし、後回しにしてたけど確かに決めないといけないね」


善子「私にいい案があるわ! 漆黒の黒に染まりし組織、名付けてブラックヨハ....」


花丸「あぁ! テレビがあるずら!」


ルビィ「本当だ! 最近ずっと、ラジオだったもんね」ポチ


ゼロ「好きに見て良いけど、主な目的は情報収集だからね」


善子「ちょっと! 私の話も聞きなさいよ!」



テレビ『ただいま入った情報です!沼津にあるマックス・ザ・タワーをテロリストと思われる一味が占拠したとの報告が入りました!』



ゼロ、曜((え!?))

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特派 本部


千歌「それで私達は待機なんですか!?」


時刻は13時過ぎ。テストプレイをしていた特派に連絡が入りテレビをつけると公教団がタワーを占拠したとのニュースが入っている。絵里皇女殿下をふくめた軍は動き出しているようだが、特派にこれと言った動きはない。


真姫「何の連絡もないのよ。勝手に動いたらまた何か言われるわ」


千歌「そんな....」


美渡「どうかしたの?」


千歌「実はあそこに私の学校の友達が今日遊びに行ってるんです」


志望「本当!?」


真姫「あんたのお友達は災難体質のようね」


千歌「とにかく助けたいんです!」


真姫「まぁ、本部も助ける気満々見たいよ。絵里皇女が直々に出て行ってるんだもの」


美渡「確かに。けど、それだけ大きな事件って事じゃないんですか?」


真姫「とにかく、私達は連絡があるまで動けないわ。念のためサンシャインのエネルギーを補給しといて。千歌、貴方も少し休みなさい」


千歌「わかりました」


千歌(生徒会のみんな、穂乃果さん! 無事でいてください!)

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タワー内


団員「客や従業員はこれで全員です」


カトタツ「ご苦労。さて、皆さん。我々は浦ノ星公教団というものです。今の所は皆さんに危害を加えるつもりつもりはありません」


カトタツ「ただ交渉をスムーズに進めるための人質です。向こうが素直に応じてきたら皆さんは無事に帰れますのでどうか変な気は起こさず、おとなしくいてください」


客「こ、こんなことしたってすぐに軍の人がお前達を....」パン!...バタ


キャアァーーーー!!!


ことり(ひ、人が、う、撃たれ、た?)


カトタツ「余計なことは言わないように。皆さんはただじっとしていれば良いのですよ」

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ゼロ達の車


花丸「うんしょ、うんしょ、っと」スタスタ


ルビィ「花丸ちゃん、こっちだよ」


花丸「ず、ずらぁ~」ヨイショ


ルビィ「お疲れ様」




テレビ『未だに犯人と思われる一団との連絡が取れません。一体何が目的なのでしょうか。人質はどうなっているのでしょう』


ダイヤ「一体どういうつもりですの? こんなことをして...」


曜(生徒会のみんなは大丈夫、なのかな?)


ダイヤ「大体、こんなことをしても我々の立場がますます悪くなるだけだというのが分からないんですの?」



ゼロ「それはこっち」


善子「さ、先に言ってよ!」


ゼロ「あなた少し雑だね。部屋掃除しないタイプでしょ」


善子「か、関係ないでしょ!」


いつき「ゼロ~、これは?」


ゼロ「上の物置に置いといて」


いつき「りょーかい」


ゼロ(...何か予想以上にフレンドリーになってしまってるような)


曜「あの、ゼロ」


ゼロ「ん? どうしたの?」


曜「今テレビで起きてること、何ですけど」


ゼロ「ああ、立てこもりね」


曜「私達はこれといって、特に何もしないんですか?」


ゼロ「あんなのすぐに音ノ木坂が解決するよ。皇女・絵里まで出てるんだし」


曜「で、ですよね」


ゼロ「ぞれじゃ、私はいったん部屋に行ってくるから。勝手に入らないようにみんなに言っておいて」スタスタ


曜「わ、わかりました」

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ゼロ専用部屋


ゼロ(何かしないのかって? したいにきまってるじゃん!!)ドン!


車の中に小さな部屋を作りそこをゼロ専用の部屋としている。目的は主に情報収集他、簡単なハッキング、通信の割り込み、ギアスをかけている兵からの情報確認などだ。今はそこに一人。よって今後の行動についてゆっくりと考えるつもりだったのだが。


ゼロ(あそこには生徒会の人が、何より、ことりちゃんがいる。なんとしても助けたい。けど、どうしよう。今日は顔合わせ、今度の方針についての話しかしないつもりだった。今動くとしても準備が足りなすぎる)


もし、あの場で公教団と対立、人質を解放したとしよう。しかし、今度は私達が軍に完全に目をつけられる。今までは私一人だったが軍となると私の知らないところでの様々なことが起こるだろう。無論、それらも考慮するがリスクは大きくなる。


ゼロ(だから万全の体制になってからこの組織のことを公に発表するつもりだった。だから今回は何もしないのが一番、けど....)


ゼロ(絵里ちゃんの性格からしてテロリストの要求を飲むのは屈すると同じ。それくらいなら人質を気にせず、攻撃する可能性が高い)


つまり動かなければことりちゃんの命が危ない。しかし、動くには準備が足りない。今からやればギリギリ出来なくもないが恐らく絵里ちゃんが邪魔をしてくるだろう。その気になれば私達と公教団を二つ同時に相手にしても余裕があるくらいの戦力があるのだから。


ゼロ(こっちの戦力はたかが知れてる。何よりナイトメアすら現地で調達しなくちゃいけないんだから)


そんな風に悩んでいるとノックが聞こえ、ダイヤの声が聞こえてきた。


ダイヤ「ゼロ、今、タワー内の映像が流れていますが」


ゼロ「わかった。今行く」

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共有スペース


テレビ『ご覧ください。公教団から送られてきた映像です。沢山の音ノ木坂が人質となっています』



ことり「....」



曜(っ! ことりちゃん)


善子「あれ、浦ノ星の人もいるわよね」


花丸「ずら」


ダイヤ「多少の犠牲は仕方ない、とのことでしょうか。なんて愚かな」


ゼロ「.....」



??「....」



ゼロ「!!」


ゼロ(今の赤紫色の長い髪。もしかして...)


ルビィ「あ、あの人が」


ダイヤ「皇女・絵里」



絵里『テロリスト達、今すぐに人質を解放しなさい。そうすれば命だけは助けてあげるわ』


カトタツ『はじめまして、皇女・絵里。それは出来ません。我々は今日ここで命を捨てる覚悟ですので』


絵里『何が目的?』


カトタツ『浦ノ星の解放、それだけです』


絵里『貴方、バカなの?』


カトタツ『これは侵害ですね。祖国を取り戻そうとするのがバカとは』


絵里『貴方の要求は具体性がなさ過ぎるわ。どうせこの騒動も追い詰められて仕方なく、って感じなのでしょう?』


絵里『わかってるの? その中には浦ノ星の従業員もいるのよ』


カトタツ『犠牲はつきものです。何事にも』


絵里『だからバカと言ってるのよ』


カトタツ『うるさい! 要求を飲めないのだったら三十分ごとに一人ずつ殺す! わかったか!?』



ダイヤ「なんと愚かな」ギリ


善子「追い込まれてて自暴自棄になってるようにしか見えないんだけど」


ゼロ「これ、少し前の映像なんだよね?」


花丸「は、はい。そうです」


ゼロ(ってことはしばらくたっても絵里ちゃんは動いていない。あの絵里ちゃんが)


ゼロ(そしてさっきの人質の中にいたあの子、ということはおそらく....)


曜「ゼロ!」


ゼロ「ん?」


曜「やはり、何とか出来ませんか? このままだったら浦ノ星のイメージが、その...」


ルビィ「曜さん...」


ゼロ「そうだね。こんなやり方では浦ノ星は取り戻せない。それに、浦ノ星の人が起こした不始末は同じく浦ノ星の人が対処しないと」


ダイヤ「っということは」


ゼロ「そこで、みんなには至急決めてもらいたいことがある」


善子「な、何よ」


ゼロ「この組織の名前、だよ」

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絵里「突入班はどうなっているの?」


兵「は! それがタワーへの三つの入り口の内、テロリスト共は二つを壊し残り一つに戦力を集中しているようで」


絵里「戦力が集中していると言っても所詮、たかが知れてるでしょ。押し切りなさい」


兵「それが、対ナイトメア用のエネルギー砲があり、通路も狭く、突入していくナイトメアが次々ロストしていまして」


絵里「....そう。私の騎士はいるかしら?」


専属騎士「ここに」スタ


絵里「ナイトメアの準備ができ次第貴方に突入してもらうわ。いける?」


専属騎士「姫様の命令とあれば」


絵里「頼むわよ」


専属騎士「イエス、ユアハイネス!」バッ!


絵里(とは言え、約束の時間からそろそろ30分。もしあの子が殺されてしまっていたら...)


絵里「あと一日後だったら私が行けたのに」ギリ

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特派


真姫「~~、以上が今の現状よ」


千歌「30分ごとに一人ずつ殺すなんて。許せない!」


美渡「本部は、絵里皇女殿下は何か動いてるんですか?」


真姫「力づくで突破しようとしてるみたいだけど」


志望「それで、大丈夫なんですかね?」


真姫「といっても、絵里皇女殿下がテロリストの意見を飲むと思う?」


美渡「思いませんね」


千歌「それですよ!!」


志望「それって?」


千歌「まだ突破出来ていないんですよね?」


美渡「そうらしいけど」


千歌「だったら、私達も参加しましょう! サンシャインで!」


志望「ちょっと待って。私達は皇女殿下の許可がないと出撃できないの」


真姫「....それだわ」


美渡「え?」


千歌「ですよね! サンシャインの実戦データもとれますよ!」


真姫「千歌。貴方もわかってきたじゃない」ニヤ


真姫「今すぐ連絡してくるわ。千歌とサンシャインの準備をさせなさい」


美渡、志望「「マジですか」」

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タワー内


カトタツ「向こうからまだ連絡は来ないのか!?」


公教員「き、来てません」


カトタツ「ええい! こうなったら少し早いが見せしめで一人殺す!」


公教員「ほ、本当になされるのですか?」


カトタツ「なんだ? 怖じ気づいたか?」


公教員「そ、そんなことは!」


カトタツ「いいか? 私達は浦ノ星のために動いているのだ。いいな!」


公教員「はいっ!」




公教員「少し早いが時間だ。一人連れて行く」


客「そんなぁ」


客「軍は一体何やってるんだよ」



ことり(こ、こないで」プルプル


公教員「それでは...お前だ!」ピッ!


ことり「!? わ、わた、し?」


公教員「こい!」グイ


ことり「きゃぁ!」グイ


ヒデコ「ことり!」



??「ま、待ってください!」



ことり「!?」


公教員「誰だ! きさま!」ガチャ


??「わ、私は...」


梨子「この国の副総督である、皇女・梨子です」

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絵里「なんですって!」


兵「今護衛の者から連絡が入りました。何でも一般市民のために名乗り出たと」


絵里「あの子は!」ギリ


絵里「突入準備を急ぎなさい! ナイトメアの準備も!」


連絡兵「絵里皇女殿下!」


絵里「今度は何?」


連絡兵「何でも外部から連絡網の一部をハッキングしたようでして、その犯人が絵里皇女殿下に話があると」


絵里「こんな時に! 無視しなさい」


連絡兵「それがゼロ、と名乗ってまして」


絵里「!?」




絵里「変わったわ」ピィ


ゼロ『初めまして、皇女・絵里。お返事いただき嬉しいですよ』


絵里「ゼロ! よくも、よくも亜里砂を殺したのね!!」


ゼロ『今はもっと大切なことがあるんじゃないんですか?』


絵里「何ですって!?」


ゼロ『助けたいんじゃないんですか? 皇女・梨子を』


絵里「どうしてそれを? まさか今回のことも全て貴方が!」


ゼロ『今回の出来事には関わっていません。私はあんなことはしませんよ』


絵里「よくもぬけぬけと言えるわね!」


ゼロ『信じるかはどうでもいいですけど、いいんですか? 時間が迫っていると思いますが』


絵里「...何のつもりよ」


ゼロ『皇女・梨子、並びに人質となった人達を私が解放する、そう言いたいんです』


絵里「何ですって?」


ゼロ『今回のことはあの公教団なる組織が勝手にやったこと。こんなことで浦ノ星のイメージが下がるのは避けたいんですよ』


絵里「だから貴方が助けるのを待てと? 信じられるわけないじゃない」


ゼロ『それはそうでしょうね。しかし時間が迫っています。悪いですが行動させてもらいますよ』ピィ


絵里「なっ! 待ちなさい!」ツーツー


絵里「ゼロ! 本当にろくでもない人物のようね!」


兵「え、絵里皇女殿下。あの~」


絵里「今度は何よ!!」ダン


兵「その、特派も突入部隊に参加したい、何なら一機だけでも先攻させて欲しいと連絡が」


絵里「特派? あのツバサさんが立てた特別技術部のことね。そこが動きたいと?」


兵「はい。ナイトメアを一機、動かせたいと」


絵里「勝手にしなさい。ただしこちらの邪魔はしないように伝えて」


兵「イエス、ユアハイネス!」


絵里「もしもし? あとどれくらいかしら?」ピィ


専属騎士『あと十分ほどで行けます』


絵里「わかったわ」ピィ


絵里(まったく。思い通りにいかないわね)ギュッ

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タワー 内部 



カトタツ「この別室では私と貴方の二人きりです。皇女・梨子」


梨子「そうみたい、ですね。それで話とは?」


カトタツ「簡単です。この浦ノ星を返して欲しい。それだけですよ」


梨子「それは、私の一存では決めきれないです」


カトタツ「貴方の命には代えられないでしょう? 貴方から皇女・絵里に言えば出来るのでは?」


梨子「絵里さんは、おそらく拒否すると思います。そういう人、ですから。テロに屈するくらいなら...」


カトタツ「うるさい!! いいから言うことを聞け!!」ガシ


梨子「うっ!」グイ


カトタツ「私達にはもう手段がないんだよ! 何が何でも言うことを聞いてもらう!」グググ


梨子「く、くるしぃ...」



ガチャン!!



ゼロ「その辺にしてもらいましょうか」


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扉を開けるとカトタツなる人物と梨子ちゃんの二人がいた。カトタツは梨子ちゃんの襟をつかみ持ち上げていたが私を見るなりその手を離し、梨子ちゃんを解放する。


梨子「ゴホッ、ゴホッ」


カトタツ「まさか...ゼロ、か?」


ゼロ「初めまして、皇女・梨子。お目にかかれて光栄です」


梨子「貴方が、ゼロ...」


ゼロ「少し話がしたいのですがよろしいですか?」


梨子「話? 私と、ですか?」


ゼロ「ええ。心配しなくても貴方に危害を加えるつもりはありませんよ」


梨子ちゃんは少し怯えているように見える。確かに今の状況的にも不安になるだろう。しかし、梨子ちゃんと話が出来るチャンスなんてほとんどない。悪いけどこのチャンスはいかす。しかし...


カトタツ「ぜ、ゼロ! 何のつもりだ! いきなり押しかけて!」


ゼロ「貴方に用はありませんよ。こんな方法でしか浦ノ星を取り戻せないと考えている貴方にはね」


カトタツ「何だと!?」


ゼロ「時間が惜しいんです。貴方は...」


梨子ちゃんに見えないようにカトタツの方を向き、仮面の左目の部分をスライドさせて、


ゼロ【今すぐ貴方のお仲間と一緒に自首してください】ギアス!

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タワー 通路前


美渡「サンシャイン、発進準備よし!」


志望「千歌ちゃん、準備はどう?」


千歌『大丈夫です!』


真姫「千歌、さっきも言ったとおり通路にナイトメア用のエネルギー弾があるわ。ブレイズルミナスでもおそらく防げないはずよ」


真姫「ただし、その出力ゆえに一度撃ったらしばらく撃てない設計になってるわ。つまり...」


千歌『一発目を躱して二発目前に破壊するんですね』


真姫「ええ。壊すのは殴る蹴るでも壊せるだろうし、両腕、両腰にスラッシュハーケンをつけたから使ってみなさい。アンカーの強化版よ」


千歌『ありがとうございます』


特派員「発進上の通路整備完了しました!」


真姫「よし。千歌、くれぐれもサンシャイン壊すんじゃないわよ」


千歌『わかってます!』


発進レバーを力強く握る。あの時と似たような状況だ。初めてサンシャインで発進した時と。あの時ははっきりと穂乃果さんを救うことが出来なかったが今日こそは救ってみせる。それに私を受け入れてくれた生徒会のみんなも絶対に。


真姫「いきなさい! 千歌!」


千歌『サンシャイン、発進!』


レバーを倒し、サンシャインが勢いよく発進する。ほどなくして敵の警備員が見えてくるが気にせず向かっていく。

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タワー 内


ダイヤ「人質の皆さん、こっちですわ」


曜「この階段から下に降りてください!」



ヒデコ「あの黒づくめの人達はいったい?」


ことり「わ、わからないけど助けてくれる、のかな?」


先ほど殺されそうになったのを皇女に助けられたことり。その後しばらくして黒い服に身を包んだ人達が入ってくると同時にテロリスト達を次々取り抑えていった。さらにテロリストのトップらしき人が来るやいなや、


カトタツ《お前ら、今すぐ自首するんだ》


と、言ったこともありテロリスト達は完全にパニック状態。その隙にことりたちは案内される。


ことり「あ、あの! 私達を助けてくれるんですか?」


善子「えぇ!? あ、その、勿論よ! です...」


ことり「ありがとうございます!!」


善子「!! それは、どういたし...」


花丸「ほら! 次々案内しないと!」タッ


善子「わ、分かってるわよ! もう!」


そういうとその人達は去って行ってしまった

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ゼロ「この部屋であの人と二人。なるほど、相変わらずお人好しなんだね」


梨子「相変わらず?」


ゼロ「いえ、何でも。さて、皇女・梨子。私の質問に答えてもらいましょうか」


梨子「その前に聞きたいことがあります。亜里砂ちゃんを殺したのって本当なんですか?」


ゼロ「....だったら?」


梨子「どうして、そんなことを?」


ゼロ「一方的に殺されていた浦ノ星の人々を救うため、ですよ」


梨子「亜里砂ちゃんがそんなことを...」


そして、私と梨子ちゃんが話していると入り口の扉からノックがする。


ダイヤ「ゼロ、人質の案内、および仕掛けの準備がすみました」


ゼロ「了解。では配置について。私もすぐにいくから」


ダイヤ「わかりました」タッタ


梨子「も、もしかして私達を助けてくれるのですか?」


ゼロ「勿論ですよ。私達は正義の味方、なんですから」


梨子「え?」


ゼロ「無駄話はここまでです。いいから私の質問に答えてもらいます」カチャ


そういって懐から銃を取り出し向ける。梨子ちゃんは少し顔をこわばらせ、それでも屈しないといった風にこちらを見る。


ゼロ(ほんと、変なところで気が強いんだから)


だが、今は時間がない。知りたいことを聞くだけだ。なんならギアスを使っても構わないのだから。

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タワー 通路


千歌「よし! 最終ラインまであと少し!」


ここまでは順調だ。そもそもあちらはたいした装備も備えもなかった。ブレイズルミナスで防ぎ、時に躱してたやすく突破。そして、問題のエネルギー砲が見えてきた。


千歌(なんとしても躱してみせる!)



公教員「おい! きたぞ!」


公教員「けど、撤退命令が...」


公教員「そんなの嘘に決まってる! いいから撃つぞ!」



千歌「来る!」


エネルギー砲の銃口に光が集まっていく。対してこちらは迫っていってるので距離がどんどん縮まっていく。

この通路は狭く、ナイトメアは一機ずつしか通れない。それに対して向こうもナイトメアと同等の大きさ。普通にやれば躱すことは不可能だろう。


千歌(けど、このサンシャインなら)



公教員「くらえ!」ポチ!


エネルギー砲からエネルギー弾が発射される。ものすごいエネルギーで、このままではひとたまりもない。


千歌「いっけーー!!」グイ


するとサンシャインは壁を伝って天井へ移る。そして通路の角にいきサンシャインを可能な限りかがめ、ギリギリ、エネルギー弾をやりすごした。


公教員「はぁー!?」


千歌「やったぁ! ええい!」ピッ


すぐさま両腕をエネルギー砲に向けスラッシュハーケンを発射。すると二発当たっただけで見事に破壊される。


千歌「おぉ! すごい威力。よし、これで!」ズイ


難関を突破しいよいよタワーへ、と思ったらいきなり通信が入る。


美渡『千歌! 今すぐ離れなさい!』


千歌「えぇ!? どうして!?」


志望『タワーが爆発したのよ!』


千歌「えぇー!?」

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連絡員「特派が通路を突破したそうです!」


絵里「特派が? へぇー、やるじゃない。なら今のうちに....え?」


連絡員「大変です! タワーが!」


絵里「爆発した? まさか!」


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千歌「そ、そんな... 生徒会のみんな!」ガチャン


通路から脱出したサンシャインは崩壊していくタワーにむかって動こうとする。しかし、


真姫『よしなさい千歌! 巻き込まれるわ!』


千歌「けど、あのままじゃ!」


美渡『待ってください! 海の上を見てください!』


タワーは海の上に立てられていてその地下が爆破。よってその上の地上部も崩壊していってるのだが、そのタワーから離れた位置に救命ボートが多数存在し、そこには..


千歌「あれは、ヒデコちゃん達!」


サンシャインのレーダーを拡大し、映像をアップにしてみるとそこには生徒会のみんなの姿が。どうやら少し前にボートで脱出していたみたいだ。


千歌「よかったぁ。けど、どうやって?」


すると、比較的無事でまだ崩壊していないタワーの屋上のライトが突然に光る。そこには黒い服を着た人達がいて、先頭になんと..


千歌「ゼロ!?」


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ゼロ「私達は..Aqours(アクア)!!」




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アナウンサー『ご覧ください! 公教団と名乗るテロリストがタワーを占拠しておいたと思ったら突然の爆破! そして屋上にはなんとあのゼロが!さらにいきなりアクア、と名乗り始めましたがいったいどういうことなのでしょうか!?』





ゼロ「私達は武器を持たない、全ての人々の見方だ!そこに音ノ木坂も浦ノ星も関係ない!」


ゼロ「公教団は罪もない一般の音ノ木坂人を殺そうとした。決して許せることじゃない」


ゼロ「よって、人質は全員救出した。無事にそちらに送り届けましょう」


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兵「ゼロがどうして?」


兵「アクアとは一体?」


専属騎士「絵里皇女殿下! いかがなされますか?」


絵里「くっ! 白々しい! 今攻撃すればあの海の上にいる人々にも被害が出るわ。攻撃準備だけしなさい!」


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ゼロ「私達は強い者が弱い者を一方的に殺すことは断じて許さない! ゆえに、私は亜里砂皇女殿下にも裁きをくだした」


ゼロ「撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけ!」


ゼロ「だからこそ私達アクアは正義を行う!!」



曜(正義....)



ゼロ「虐げられし者が、力なき者がいるのなら助け、力を貸そう」


ゼロ「虐げし者が、悪しき力ある者いるのなら戦い、そして打ち倒そう」


ゼロ「私達を恐れ、そして求めよ! 誰であろうと構わない!!」



ゼロ「世界は!私達アクアが、裁く!!!」



後書き

ということで第一部完結、という形になります。
続きは、
千歌「私は生きなくちゃいけないんだ!」2
となります。

・序章 
・2章 オレンジの騎士
・3章 ゼロ
・4章 Aqours
の4章構成でした。地の文の割合が少なくてすみません。どれくらいの割合で含めれば良いのか書きながら検討中です。

ここまで見てくださりありがとうございました。しかし物語は始まったばかりでまだまだ続きます。
登場してないキャラもまだまだいますので次からどんどん出てくるでしょう。
今度ともお付き合いください。
質問、意見、感想などもお待ちしています!


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3件評価されています


SS好きの名無しさんから
2018-12-27 02:53:14

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2018-12-08 14:21:45

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2018-11-01 22:42:16

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2018-10-04 11:07:59

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2018-08-03 23:51:43

このSSへのコメント

5件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2018-10-31 14:09:08 ID: S:PsM3HK

がんばって

2: SS好きの名無しさん 2018-11-01 22:42:25 ID: S:rmCSR8

次回が読みたいです。

3: SS好きの名無しさん 2018-12-03 13:12:16 ID: S:dYlDqr

まだまだ先になりそうですが二月の映画の内容もssに組み込んだりしますか?

4: チェス 2018-12-04 00:32:46 ID: S:q5Ded0

>>3
コメントありがとうございます!

二月ということはコードギアスのことですよね?
そのつもりです! 映画楽しみですよね!

ただ、現在の進行状況だとかなり先になると思います
下手したら1年後とか...

そこまで続けてるかわかりませんが笑

5: チェス 2018-12-04 00:36:47 ID: S:g2A6Et

>>1,2

コメントありがとうございます!
今更ながらの返信お許しください!

出来る範囲ですがこれからも頑張っていきますので、暇な時にでも見に来てくれたら嬉しいです!


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