2021-05-07 17:24:25 更新

概要

穂乃果「神聖音ノ木坂帝国は私がぶち壊す!」の続きとなっています。
二作目です。
想像してたよりずっと長くなりそうなのでこのように分けて書いていきたいと思います。
キャラ崩壊、キャラ死亡、たまに口調が変になることがあるかもです。
それでもよい方はどうぞ
キャラ死亡はしたくありませんが...


前書き

謎の少女c.cより絶対遵守の力、ギアスを与えられた穂乃果。
妹の雪穂のため祖国音ノ木坂と戦うことを決め、ゼロと名乗り、アクアを立ち上げる。

過去にとらわれ、本来敵視するべし音ノ木坂の軍人として過ごす千歌。
大切な友達を守るため、ナイトメアに乗り、特派の一員として戦っていく。

二人の道はとても複雑に、しかしとてもわかりやすく交わっていく。沢山の人を巻き込みながらもお互いの譲れない信念のため二人は進み続ける。


5章 ナリタでの戦い


神聖音ノ木坂帝国  皇帝宮殿



皇帝「エリア18、並びにエリア23での反乱鎮圧、ご苦労です。園田海未」



海未「はっ! ありがたきお言葉です」


皇帝「これであそこ一帯も少しは静かになるでしょう」


海未「はい。つきましては総督を置かれるのもよろしいかと」


皇帝「そうでしたね。第8皇女にでもやらせましょうか。貴方にはその護衛を命じます。安定するまでのしばらくの間,総督の護衛をしなさい。出来ますね?」


海未「勿論です」


皇帝「では行きなさい。より一層の我が国への貢献を期待します」


海未「イエス、ユア・マジェスティ(了解しました。皇帝陛下)」

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ここは世界の三分の一を占める国、神聖音ノ木坂帝国。その首都アキハバラにある宮殿だ。その中の皇帝の間から海未は一礼し、退出すると自分の部屋へ向けて歩き出した。


海未(次はエリア18付近ですか。どうせなら仕事でエリア11に行けたりしたら嬉しいのですが)


長い廊下を歩きながらそんなことを考えていると後ろから声をかけられる。


凛「あー!海未ちゃんにゃ!」タッタタ


花陽「お疲れ様です」ペコ


海未「凛に花陽! しばらくですね」


彼女達は同じμ'sの仲間。二人とも一つ下だがその働きっぷりは、やはりμ'sに選ばれただけのことはあるほどだ。よく二人でいるのは見かけるのだが、


海未「二人はどうしたのですか? この宮殿に用事でも?」


花陽「いえ、私達は..」


凛「今日は特に何もないからμ's専用の部屋でのんびりする予定だよ」


海未「ああ、そういうことですか」


μ'sだけが入ることの出来る専用ルームがある。緊急時は会議が行われる場所ではあるが会議で使われたことがあるのは数えるくらいしかない。よって普段は非番のμ'sの休憩スペース、溜まり場になっている。


凛「海未ちゃんはあまりこないからにゃ~。あそこに来ないのって海未ちゃんとμ's of 1の二人だけだよ? 色々あって楽しいのに」


花陽「ご飯も美味しいですし」


海未「確かにいいのですが私は訓練していた方が楽しいですし」


凛「えぇー! そんなことないよ~」


海未「あります。それに凛。私のことをちゃん付けはいけませんよ。今は私達しかいませんが」


凛「うぅ。そうだったにゃ」


花陽「海未さんはこれから何か任務ですか?」


海未「ええ、これからしばらくエリア18の方に行かなければなりません」


凛「相変わらず忙しそう」


海未「仕方ありません。これが私達の仕事なのですから」


そんな会話を廊下の真ん中でしていると他の宮殿で働いている人々がチラチラと見てくる。


海未「私達がここで話していては迷惑ですね。私は行きましょう。では二人とも、いい休暇を」


花陽「海未さんも任務頑張ってください」


凛「海未ちゃ...海未さんならよゆーだにゃ!」


そんな二人に別れを告げ歩きだす。あの仲の良さげな二人を見ていると無性に、ことりと話したくなる。


海未(そう言えばことりは大丈夫でしょうか? エリア11に新たなテロ組織が出来たと報告もありますし)


あそこの総督は絵里皇女殿下だ。テロ制圧には向いてるし、自身の強さも含め、エンジェリック・エンジェル隊も相当のもの。心配はないと思われるが。


海未(あ、そういえば休暇中にナイトメアを使って良いか聞くのを忘れていましたね)


次の機会で良いでしょう、とそのことに区切りをつけ、自分の部屋に向けて歩く海未であった。

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エリア11 


「アクアだ! アクアに頼もう!」


「ゼロなら何とかしてくれる!」


「この前、音ノ木坂のやつらにやられそうになったのを守ってもらったわ!」


「けど、音ノ木坂人を助けたって話もあるけど...」


「関係あるか! あの人達は正義の味方だぜ!」


「私もアクアに入りたいわ!」




学校 生徒会 放課後


ヒデコ「世間はすっかりアクア一色ね」ポチポチ


生徒会で連絡用の張り紙を作りながらそんなことをつぶやくヒデコ。


ミカ「けど実際私達も助けられましたし悪い人達じゃないと思いますけど」


フミコ「そうだねぇ。ゼロは相変わらずうさんくさいけど」


ミカ「ふふ、言えてる」


なんて会話が生徒会で行われていた。


穂乃果(うさんくさいとは..)


ことり「穂乃果ちゃーん。送ったファイルチェックしてみて」


穂乃果「ん、りょーかい」ポチッ


タワーでのアクアの一件が起こって一週間。アクアの件は確実にこの浦ノ星に広がっていた。最初は面白半分で連絡してきた人達も実際に結果を出せば素直に感謝してくれる。実際に浦ノ星の人々は我慢の限界なのだ。そこに降ってわいたように出てきた私達アクア。頼らないはずがない。さらには入団希望者もどんどん出てきている。スパイの可能性もあるため誰でもかれでもと言うわけには行かないが。


千歌「お、遅れました!!」ガチャン


フミコ「おつかれ~。気にしないでいいよ~」


千歌「あ、ありがとうございます」ハァハァ


息を切らしながら入ってきたのは千歌ちゃん。息を整えながら席に着き、書類の仕分けを始める。


ヒデコ「大変だね。軍の仕事?」


千歌「はい。なんでも近くで事件が起きたのですが...」


ミカ「大丈夫だったの?」


千歌「はい、それが...アクアが解決したようで」


ヒデコ「おお~、ここでもアクアか」


ちなみに今日曜ちゃんはきていない。私が指示した事をやっているのだろうし、何より今のアクアは大忙しだ。しばらくは学校に来ないだろう。私もたまに休みがちになるだろう。


穂乃果「千歌ちゃん。この書類もお願い。こっちは持ってくね」


千歌「あ、はい。お願いします」


穂乃果「おっけ~」ヨッ


日常はあまり変わらないまでも世間は大きく変化しようとしていた。

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総督府


エンジェリック兵「絵里皇女殿下、どうしてゼロを捕らえないのですか?」


絵里「捕らえるわよ。だから指名手配してるじゃない」


エンジェリック兵「私が言ってるのはなぜ軍を挙げて探さないのかと言うことです」


専属騎士「その辺にしなさい」


エンジェリック兵「隊長....」


専属騎士「絵里様にも考えがある。それに今は居場所がつかめそうな解放軍が先だ。そうだろう?」


エンジェリック兵「た、確かに」


専属騎士「なら早く訓練に戻りなさい」


エンジェリック兵「わ、わかりました」スタスタ



絵里「迷惑かけるわね」カキカキ


専属騎士「いえ、隊のメンテも隊長の仕事ですから」


絵里「なるほど」


専属騎士「とは言え私も少し気になります。ゼロを探すのは困難ですがアクアの手がかりならいくらでも...」


絵里「はぁー、ゼロには形は歪とは言え梨子を救ってもらったわ。だから少しの間だけ目をつむってあげてるだけ。勿論、何かしでかしたら真っ先に私が出て行って捕まえて死刑にするわ」


専属騎士「な、なるほど」


絵里「それより貴方の言ったとおり解放軍よ。尻尾はつかめたんでしょ?」


専属騎士「はい。目星は」


絵里「一つ目の山場ね」

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あんじゅ「ほら、英玲奈。お昼よ」


英玲奈「ああ、すまない。あんじゅ」



ここは総督府から離れた辺境の地域。ゼロ、アクアの影響により各地でのちょっとした反乱が相次いでいる。反乱を起こせばアクアが助けに来てくれる、と思っているのだ。だがゼロも何でもかんでも救うわけではない。自分から仕掛けてピンチになったらゼロ頼み、なんて輩が増え、軍の兵士もこうして様々な場所に行かなければならなくなってきている。


英玲奈「全く」モグモグ


あんじゅ「...ねぇ、英玲奈。あのパーティー事件について話があるんだけど」


英玲奈「うっ...パーティーはやめてくれ」


あんじゅ「ごめんなさい。それであの時のことなんだけど。一部の記憶がない、そうよね?」


英玲奈「ああ、信じてもらえないかも知れないが。私は途中から記憶がなく、あんな指示を出した覚えが全くないのだ」


あんじゅ「そう...やっぱり」


英玲奈「え?」


あんじゅ「実は私にも似たような経験があるの」


英玲奈「なんだと!?」

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鞠莉『えぇー!! ダイヤがあのアクアに!?』


ダイヤ「しぃー!! しぃー、ですわ!!」



アクアの一応本拠地の車。そのそとで休憩中で電話をしているダイヤ。相手は果南と同じく幼なじみの小原鞠莉だ。鞠莉も果南と同じく浦ノ星解放軍に所属している。しかし果南とは違いその頭脳が見込まれスカウトされたのだ。ナイトメアの開発、並びに武器や道具の開発を得意としている。確か果南の専用ナイトメアも鞠莉が作っているのだ。


鞠莉『にしても、ねぇ。ダイヤが、ねぇ』


ダイヤ「何ですの」


鞠莉『いや、ただただ驚いてるわ』


ダイヤ「貴方と果南さんには言っておかないと思いまして」


鞠莉『そっか、ダイヤは私達よりあんな仮面の人を信じるのね』


ダイヤ「そ、そういうわけでは!!」


鞠莉『冗談よ。イッツ、ジョーク! それにそっちの方が良いかもね』


ダイヤ「どういうことですの?」


鞠莉『最近こっちはギスギスしちゃってね。上からも圧力が強くて。おまけに変なナイトメアも作っちゃって』


ダイヤ「変なナイトメア?」


鞠莉『すごいスペックのナイトメアなんだけどね。乗れる人がいなくて。果南ですらどうにかってナイトメア。しかも最新型にしちゃったからかなり材料とかつぎ込んじゃって、もう滅茶苦茶怒られたの。その上、解体して作り直せ、なんて言われたのよ? この私の最新最高傑作を! 全くやんなっちゃうわよ!』


ダイヤ「それはドンマイ、ですわ」


鞠莉『しかも何やら音ノ木坂の人達に見つかりそうでね』


ダイヤ「えっ!? それは...」


鞠莉『大丈夫。私と果南だけは何とか脱出してみせるわ』


ダイヤ「そういう問題では...」


鞠莉『そんなわけでこっち来なくて正解かもよ。こっちでもゼロはすごい話題になってし。あ、そーだ。ゼロってどんな人? 素顔は?』


ダイヤ「素顔は誰も知りませんわ。どんな人...不思議な人、ですね。話し方の感じ悪い人ではないと思うのですが何というか、自信家? みたいな感じで」


鞠莉『なーんだ。素顔知らないんだ』


ダイヤ「自身のガードの固さは徹底的ですから。しかし、結果は残してますので」


鞠莉『そうらしいわね。果南も気になってたわ』


ダイヤ「果南さんが?」


鞠莉『素顔をね。間違いなくごっつい人だよ、だって』


ダイヤ「それはないですわ。体格的に私達とそんなに変わりませんもの」


鞠莉『そうなのね。声は?』


ダイヤ「声も変声機で変えられていましてスピーカーのような声ですよ」


鞠莉『なるほど。確かに中々の徹底ぷっりね』


ダイヤ「ですから私達も全く正体を知らないんですわ」



ルビィ「お姉ちゃん、善子ちゃんと花丸ちゃんが聞きたいことがあるって。曜さんも手が離せなくて..」


鞠莉との電話に集中していると後ろからルビィに声をかけられる。どうやら中々に電話をしてしまったみたいだ。


ダイヤ「今行きますわ。...そういうことですから鞠莉さん。今回はこの辺で」


鞠莉『OK~。今のはルビィね。元気?』


ダイヤ「当然ですわ。私がいるんですもの!」


鞠莉『ふふ、それもそうね。あぁ~、私もそっちに行きたいわ』


ダイヤ「いつでもお待ちしてますわよ」


鞠莉『そうね、果南と行こうかしら。....あ、そうだ!』


ダイヤ「どうかしました?」


鞠莉『この作ったナイトメア、使わない?』


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穂乃果 部屋


穂乃果「よっと」ポチポチ


今は部屋で一人、パソコンに向き合っている。入団希望者の選定、並びに各地でのアクアの動きの確認をしているところだ。

アクアを結成してからさらに時間が経過したがそれでもアクアの勢いは止まらない。今は入団者を見るのに精一杯だ。


穂乃果「まぁ、中には冷やかしも多いけどね」ポチポチ


C.C「穂乃果ちゃん。しっかり睡眠はとらないとあかんよ?」


穂乃果「げっ、シーツーちゃん」


C.C「げっ、とは何さ」


穂乃果「またうどん?」


C.C「ま~ね~」モグモグ


穂乃果「貴方にギアスを貰ってから特に言わなかったけどさ、そんなに食べてばっかりだと太るよ?」


C.C「残念ながらうちの体型はここ数百年少しも変わってないんやよ?」


穂乃果「数百年、ね」


C.C「それにうちだって穂乃果ちゃんがいないときちゃんと仕事してるんやよ?」


穂乃果「へー、例えば?」


C.C「穂乃果ちゃんの代わりにゼロとしてメンバーに返信したり」


穂乃果「え!? ちょ、何してるの!?」


C.C「ああ、大丈夫。ちゃんと穂乃果ちゃんの建ててある計画通りに行くようにしてるから」


穂乃果「そういう問題じゃないよ! 途中で変わることもあるんだから!」


C.C「けど、穂乃果ちゃんが帰って来るのを待つより少しでも進めた方がいいやん?」


穂乃果「はぁー、そうかもしれないけどさ。今度そういうことはしなくて良いから」


C.C「うちの善意やったのに」


穂乃果「はいはい、ありがとうね」


C.C「む~」


穂乃果(やれやれ)


今軽く確認してみたがこれと言っておかしな形跡はない。確かにちゃんとやってくれているのだろう。

けど、今は少し慎重に行きたいところでもある。確かに今は順調なもののこの先なにがあるかわからない。その上、ダイヤの話だとナイトメアが手に入るかもしれないとのことだ。しかも新型。

サザーランドはぶっちゃけ現地で兵から奪えないこともないが、専用機やあの沼津でのオレンジのナイトメアなどはパイロットと生身で話すはほぼ出来ず、倒そうにも難しい。ゆえに真っ向からの戦いでは勝ち目はないのだが、こちらも新型の専用機、となると話は変わってくる。

というわけで確実に欲しいところではあるが音ノ木坂の警備をくぐり抜けて運ぶ、というのは大変そうだ。私自身でギアスをかけなければいけないだろ。


穂乃果「はぁ、飲み物でも取ってこようかな」

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居間


飲み物を取りに冷蔵庫の前まで行くと居間のテーブルで雪穂が何か作業をしていた。


穂乃果(そう言えば最近雪穂に構ってないよね)


最近はアクアの設立にメンバーへの指示、ゼロとしての活動、今度の作戦、などで部屋にこもりっぱなしだ。そこで雪穂がさみしくならないようにと亜里砂ちゃんがいるのだが。



穂乃果「何してるの? 雪穂」


雪穂「あ、お姉ちゃん」


穂乃果「それは...折り紙?」


雪穂「うん。そうだよ。ことりさんから教えて貰ったの。今折ってるのはね千羽鶴っていうんだって」


穂乃果「へぇー、どっかで聞いたことがあるような...」


雪穂「何とこれを千羽折ると願いが叶うんだって!」


穂乃果「...そっか。それはすごいね」


雪穂「私、目が見えないけど手先は結構器用だからさ」ピタ


穂乃果「....雪穂は、何をお願いするの?」


雪穂「え?」


穂乃果「願いが叶うんでしょ?」


雪穂「あ、うん。けど考えてなかったな~」


穂乃果「あはは、考えてなかったんだね」


雪穂「けど、そうだね。もし願いが叶うとするなら、優しい世界になりますように、かな」


穂乃果「優しい世界?」


雪穂「うん。私やお姉ちゃん、亜里砂が普通に世間を歩いたりしてさ、昔仲良かった人みんなでまた遊べたり、とか」


穂乃果「...そっか」


そういってまた一羽折り終える雪穂。しかし、その顔は少し悲しげで、優しい世界などありはしないとわかっているようだった。


穂乃果(そう、今はまだない。けど...)


雪穂が望むのなら、それが雪穂の願いなら、全力で叶えてみせる。どんな手段を用いても、必ず。


雪穂「願うのは自由だからね! お姉ちゃんも折る?」


穂乃果「それじゃ、少しだけ」スタ


雪穂「....忙しいの?」


穂乃果「うん? まぁ、色々ね」


雪穂「そっか。無理、しないでね?」ペタ


穂乃果「勿論だよ」ペタ


そうして亜里砂ちゃんがお風呂から上がり居間に来るまで二人で鶴を折り続けた。

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特派


美渡「はい、はい、、わかりました。失礼します」ガチャ


志満「どうしたの?」


美渡「今、本部の方も何かと忙しくてこっちに仕事を回そうとしたらアクアが解決したってさ」


志満「まぁ。と言うことは荒れごと?」


美渡「そ。まぁ、仕事がなくなって良いんだけどね」


志満「そう言わないの」


美渡「それより真姫さんの実験は?」


志満「そろそろ終わりそうよ」




千歌「はぁ、はぁ、ふぅー」ヘナヘナ


真姫「お疲れ様。出て良いわよ」


千歌「わ、わかりました」ヨロヨロ


真姫「うーん、やっぱり稼働時間ね。ユグドラシルドライブの方は問題ないとして...」


千歌「真姫さん、私、休んでますね」ヨロヨロ


真姫「ええ、わかったわ」

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千歌「お疲れ様です」


美渡「お疲れ~」


志満「はい、チェック項目。パパッとやっちゃってね」ハイ


千歌「分かりました」カキカキ


今日もまたサンシャインの実験、およびメンテナンスに付き合った私は気になった点をまとめ記入していた。

とはいえここ最近、仕事が増えただろう。ゼロに感化されて最近浦ノ星の人々の動きが活発になっている。勿論ただの些細な喧嘩などもあるが中にはテロ行為なんかも混ざっている。しかし一方、元々の原因となったアクアもそういった人達を取り押さえたりしている。

あくまで、浦ノ星の味方ではなく、正義の味方である、と言わんばかりだ。


美渡「そう言えばさ、千歌的にアクアってどうなのよ?」


千歌「へ? 何ですか急に?」


美渡「ほら、同じ浦ノ星の人としてアクアに入りたいな~、とか思わないの?」


志満「こら、美渡」


美渡「だって、気になるじゃん」


千歌「アクアに入りたい、ですか? いえ、そうは思いませんね」


美渡「ありゃ? そういうものなの?」


千歌「アクアは確かに今、浦ノ星の希望になってるのかもしれません。けど」


志満「けど?」


千歌「だからといってもゼロは亜里砂皇女殿下を殺したことに変わりはありません」


千歌「そんな間違った方法で手に入れた結果に意味はありません....と私は思っています」

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町中


音ノ木坂兵「こら! そこのお前! 何をしている!?」


市民「ひっ、これは...」


ここは町の外れ。その地域を警備していた兵はコソコソと何かを運ぶ怪しげな人物に声をかけた。そして持ち物検査をすると、


音ノ木坂兵「何だ、ただの食べ物ではないか」


市民「は、はい。それでは」


音ノ木坂兵「待て。さては貴様.. イレブンか?」


市民「そ、それは」


音ノ木兵「なぜイレブンがここにいる。名誉音ノ木坂人か? だったら証明書を出せ」


基本的に町中にいるイレブンは名誉音ノ木坂人だ。それ以外の名誉にならなかった人達は疎開の方で細々と暮らしている。しかし、たまにひっそりと町に入り食べ物などを買っていく者もいるのだ。


音ノ木坂兵「分かっていると思うがただのイレブンがここにいるのは犯罪である。わかっているな?」


市民「あの、その...」


音ノ木坂兵「そうか。では一緒に来て貰おうか」


市民「ご、ご勘弁を!!」ダッ!


音ノ木坂兵「逃げても無駄だ!」ダッ!


そうしてその者を捕まえるべく追いかけようとした瞬間、


曜「させないよ!!」


と、その間に別の人物が割って入ってきた。




市民「ありがとうございます! ありがとうございます!」


曜「い、いえ! そんな、顔を上げてください」


音ノ木坂兵から保護した人にずっとお礼を言われていた曜は助けを求めるように共に保護した善子の方を見る。しかし、


善子「さーてと、今日の任務はこのくらいかしらね」


なんて背伸びをしながらどこ吹く風だった。


曜「ちょっと!」





曜「ふぅー、やっと行ってくれた」


善子「お疲れ様」


曜「ホントにね」


これで今日のやるべき事は終わった。二人はアクアの本拠地へ帰省するため、歩き出した。


曜「あ! 明日は学校に行って新しい情報見てこないと」


善子「そうだったわね。ここ最近、働きづめに見えるけど、大丈夫?」


曜「それはみんなでしょ。それに良い事じゃん。前みたいにやることから探さないといけないよりはさ」


善子「それはそうだけど」


曜「さーてと、ちゃちゃっと帰ろうよ」


善子「ま、それもそうね」スタスタ

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次の日 学校


生徒会室


曜「よいしょ、っと」カキカキ


ここは生徒会室。軽い仕事をして情報を得て帰ろうとした曜だったがそんなことは許されなかった。


千歌「曜ちゃーん。これにもサインだって」ドサッ!


そういって書類の束を隣の机におく千歌。

今の曜は来た書類に目を通してサインを隠し事なのだがこれの量が多い。とにかく多い。


曜「きっついなぁ。千歌ちゃんも手伝ってよ」


千歌「うーん、そうしたいんだど...」


ヒデコ「千歌ちゃーん、こっちの書類もことりちゃんの方に運んで!」


千歌「は、はい! ごめんね!」タッタタ


曜「な、なるほど」


今日は春の部活の予算や、クラブの設立、部員のリスト、活動状況などをこうした書類としてチェックする日らしい。

本来ならもっと早めにやっているはずなのだが見事に会長のヒデコちゃんが貯めに貯めていたらしい。


穂乃果「ミカちゃんはそのチェックが終わり次第、この計算をやり直して! フミコちゃんはこの中で×がついたところの見直し。ダメだった部活をピックアップして!」


ミカ、フミコ「「了解」」


ことり「穂乃果ちゃん。ここなんだけど...」


穂乃果「また演劇部かな? 去年も悩ませてくれたけど、今年もとは。私の方でダメだししておくからここに置いておいて」


ことり「うん、ごめんね」


穂乃果「大丈夫だよ」


そんな中で一際声を出し、手を動かしている穂乃果ちゃん。すごい。


ヒデコ「穂乃果! 今、ソフトボール部から直接苦情が来てるんだけど!」


穂乃果「千歌ちゃん対応して! 部費はこれ以上増やせません、増やしたくば全国行ってください。とでも言えば良いから!」


千歌「了解です!」タッタタ


その後、千歌ちゃんの悲鳴が聞こえたり、ことりちゃんの美味しいお菓子を食べたり、ミカちゃんがお茶を書類にこぼしたり、なんてあったけどどうにか全ての仕事を終えた。そして恐らく、今日で生徒会のメンバーとの距離が、ぐっと縮まっただろう。

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穂乃果の部屋


穂乃果「はぁー、疲れた」ポチポチ


C.C「お疲れ様~」


自室の部屋でまたまたパソコンと向かい合いながらため息をつく穂乃果。そしてその後ろからベットに横になりゴロゴロするC.C。


穂乃果「学校でもパソコン。自分の部屋でもパソコン。目が痛いよ」カタカタ


C.C「今度はアクアについて?」


穂乃果「日に日に入団希望者が増えてるからね。簡単なテストをして貰ってる他、アンケートも取ってあるから。それで判断してるの。どうでもいい人に来られても迷惑だしね」


C.C「随分人気やね。アクアは」


穂乃果「実際こんなもんだよ。一般の人達からしたらテロは認められない。けど...」


C.C「正義の味方はいい、ってこと?」


穂乃果「みんな好きでしょ? 正義の味方」ニヤ


C.C「穂乃果ちゃん、その顔は正義の味方じゃないよ」


穂乃果「失礼な。少し笑っただけじゃん」


そう言って今日チェックする分が終わる。軽く体を伸ばすとC.Cが入れておいてくれたコーヒーを軽く飲む。


穂乃果「...にが」


C.C「お子ちゃまやね」


穂乃果「どこかの年齢不詳よりはいいよ」


C.C「さーて、誰のことやら」


穂乃果「さてと、後は...」


C.C「まだやることあるん? もう日付変わってるけど」


穂乃果「どうせ学校で寝れるし。それに時間もないしね」


C.C「何の?」


穂乃果「情報担当にしたよしみちゃん達からの情報、それからついこの前のナイトメア受け取り時に色々と情報を聞き出したんだけど」


穂乃果「どうやら近いうちに絵里ちゃんの軍が浦ノ星解放軍の本拠地を攻撃するって話が出てるの」


C.C「まさかそこで?」


穂乃果「そう。そこで隙を突いて絵里ちゃんを攻撃する」


C.C「本気なん?」


穂乃果「いくらアクアが大きくなったって言ってもまだまだ絵里ちゃんの軍には正面きって勝てない。けど解放軍を攻めてるときなら...」


C.C「解放軍を囮にする、ってこと?」


穂乃果「....否定はしないよ。けど、結果的に解放軍も救われる」


C.C「うちは反対や。危険すぎる」


穂乃果「へぇ、心配してくれるの?」


C.C「穂乃果ちゃんには死んだら、うちも困る」


穂乃果「ギアスを貰った時の契約のために?」


C.C「まあね」


穂乃果「けどそれはC.Cちゃんの都合でしょ? それにこんな好機、次いつ来るかは分からないんだし」


C.C「失敗したら死ぬかもしれんよ?」


穂乃果「そんなの今更だよ。それに覚悟は出来てるから。撃たれる覚悟は」


C.C「どうかな」


穂乃果「悪いけど作戦は変える気はないよ。なんと言われようと」


C.C「そっか。わかった」


そういうとC.Cは布団にうずくまった。それを気にせず、また机に向かい作業を続けた。

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アクア 本拠地2


ここはとある廃墟、だったのをゼロが新たなアクアの本拠地にしたとのことで二つ目のアクアの隠れ家となった。

ここでは主に武器や道具をしまう場所となっている。そして、


善子「おぉ! これが!私達のナイトメア!!」


ルビィー「これがお姉ちゃんが鞠莉さんから貰ったナイトメア?」


ダイヤ「そうですわ。何でもあのままだったら廃棄になってたとか」


花丸「す、すごいずら」


ゼロ「その友達にはお礼を言っておいてね」


そう言って鍵らしき物を私、曜に投げてきた。


曜「え? っと」キャッチ


ゼロ「このナイトメアのパイロットは曜ちゃん、貴方に託すよ」


曜「えぇ? えー!? ホントですか?」


善子「うそ!?」


ダイヤ「ゼロ、貴方が乗るのではないのですか?」


ゼロ「私は全部隊への指示が主な仕事。対してこのナイトメアは完全に戦闘向きの性能。私が乗ってもこのナイトメアの性能をフルには生かせないからね」


花丸「けど、どうして曜さんなんですか?」


善子「そ、そうよ! なんなら、私でも良いんだから!」


ゼロ「私が見る限り、この中で一番操縦技術があるのは曜ちゃんだからね」


曜「そ、そうなんですか」


アクアになってから度々ナイトメアに乗るようになった。それもあり個人個人でナイトメアの操縦特訓なんかもしているのだがゼロから見た評価だとそんな感じになっているらしい。


ダイヤ「そういうことでしたらわかりましたわ」


ルビィ「じ、実際曜さんのナイトメア操縦すごいですもんね」


曜「そ、そうかな?えへへ..」


ゼロ「ということで改めてこのナイトメアについて説明するよ」




正式名  Beginner's Sailing  通称 ビギナーズ


第7世代相当のスペックの出力と性能を誇る。全身が水色をベースとした色で出来ている。そしてこのナイトメアの主武装は巨大な右腕。この中には『輻射波動機構』というものが内蔵されていて、機構内で高められた高出力の電磁波を高周波として放つことで膨大な熱量を生み出し相手を爆散させることが出来る。他のナイトメアにはないビギナーズ専用の装備だ。

他にも背中に短刀、左腕にはグレネードランチャー、アンカーの強化版、スラッシュハーケンなど様々な機能も搭載されている。



ゼロ「これほどのスペックを誇る機体だからね。当然曜ちゃんにはそれ相応の仕事を任せることになると思う」


曜「...」ゴク


ゼロ「けど曜ちゃんなら出来る、そう思ってるから。頼んだよ」


曜「は、はい!」


ゼロ「この中でなら好きに特訓して良いからね」


ダイヤ「ところでゼロ。私達は指示通り、様々な事をしてきましたが、これでいいのでしょうか?」


ゼロ「というと?」


ダイヤ「私達は浦ノ星解放に向けてしっかりと動けているのか、と言うことです」


ゼロ「なんだ、そんなことか」


善子「何だって何よ! 確かに私達は前に比べて色んな人に感謝されるようになったけど、それでも肝心のことは何も進んでないんじゃないの?」


ゼロ「ではみんなは浦ノ星解放軍のようにドンドン音ノ木坂と戦えと?」


花丸「そ、そういうわけじゃないけど...」


ゼロ「そんなことをしても本当の意味で浦ノ星は取り返せない。前にも言ったけど、テロでは意味がない。そして私達がやっているのはテロ活動じゃないんだから」


ルビィ「うりゅ...」


ゼロ「それに心配しなくても近いうちに音ノ木坂とは戦うことになるよ。みんなにはそれまでに少しでも戦力として腕を上げて貰いたい」


ダイヤ「...わかりましたわ。今はそういうことにしておきましょう」

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生徒会室


曜「はぁー」トボトボ


千歌「どうしたの? 曜ちゃん?」


曜「あ、千歌ちゃん。まあ、色々とね」


前回の生徒会の仕事以来、仲良くなってしまった曜と千歌。しかし、曜としては話は合うし、気を遣わなくてもいいし、何より本来は浦ノ星の仲間であるのだから別に仲良くなっていくことに抵抗はなかった。今日も穂乃果ちゃんに命じられ書類を二人で運んでいるところだ。


曜「今ちょっと苦戦してることがあってね」


曜(ビギナーズの操縦が思ったより難しいってことなんだけど)


現状、ゼロが見た限りアクアで一番のパイロットである曜だが、流石に第七世代のスペックは伊達ではなかった。練習をしているが中々に苦戦しているのだ。


千歌「苦戦かぁ~。確かに私も色々大変だな~」


千歌(サンシャインの新しい武器とか)


そんな感じで似たような苦労をしつつも互いの立場上言えない二人であった。

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総督府 本部


絵里「作戦は以上よ。何か質問は?」


「「ありません」」


絵里「では今日は解散とするわ。各自、作戦日までしっかりと準備をしておくこと」


「「イエス、ユアハイネス!!」」



皇族専用室


梨子「お疲れ様です。絵里さん」


絵里「ええ、貴方もね。どう? 副総督の仕事には慣れた?」


梨子「え、えーと、中々難航してて...」


絵里「まぁ、ゆっくり慣れていけばいいわ。さ、お昼にしましょう」


料理人が作ってくれた暖かいご飯を食べながら二人は同じテーブルで食事をしていた。

絵里は近々行われる解放軍本拠地への攻撃についての作戦会議。梨子は副総督としての書類のチェック、政治と動かし方などだ。元々そういうのに慣れてない梨子は中々に苦戦していた。


梨子「近いうちに何かあるんですか?」モグモグ


絵里「ええ、解放軍の本拠地を見つけたの。ここを叩けば浦ノ星の反対勢力の大部分は勢いを大きく削がれるでしょうね」


梨子「そうなんですね」


絵里「そうしたらいよいよゼロよ。あぶり出して上げるわ」


梨子「...」


絵里「そんな不安そうな顔しないの。私なら大丈夫よ。私の強さは知ってるでしょ?」


梨子「そう..ですけど」


絵里「このエリアには亜里砂が、そして穂乃果や雪穂が眠っているわ。必ず、平和なエリアにしてみせる」

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穂乃果 部屋


穂乃果「....わかった。それでは引き続き監視、並びに情報提供をよろしく」ピィ


C.C「ギアスをかけた兵士?」


穂乃果「そ。何人か潜伏させてるからね」


C.C「あんまり過信し過ぎちゃダメやよ」


穂乃果「武器のスペックに溺れるようなことはしないよ。この力がやばい物だって言うのも知ってる。それでも使える物は使うから」


C.C「まぁ、穂乃果ちゃんならそんなこと分かってると思うけど」


穂乃果「それよりようやく絵里ちゃんの作戦日時が決定したみたいだね。週末はハイキングかな」


C.C「ハイキング?」


穂乃果「それより作戦中貴方は....」プルルル


テーブルの上に置いてある携帯が細かく震えた。どうやらことりちゃんからの電話なようだ。

C.Cとの会話を中断し、電話にでる。


穂乃果「もしもし、ことりちゃん?」


ことり『あ、穂乃果ちゃん? ごめんね、夜遅くに』


穂乃果「ううん、大丈夫だよ。それよりどうしたの?」


ことり『それがねついに完成したから報告したくって!』


穂乃果「完成? 何が?」


ことり『チーズケーキ! あのね!何がすごいかって言うと....』


~~~~~~~~~


ことり『なんだよ! すごいでしょ!?』


チーズケーキ、と言ってからなんと30分近く一方的にしゃべったことりちゃん。確かにすごい。


穂乃果「そ、それは美味しそうだね」


ことり「うん! 週末に持って行くからね!」


穂乃果「!! そ、そうだったね」


ことり「どうかした? もしかしてその日に何か予定とか?」


穂乃果「大丈夫! 予定通りでいいからね」


ことり「うん! それじゃ、また明日! おやすみ~!」


穂乃果「うん、おやすみ!」ガチャ


そういって電話を切るとC.Cがこちらをじっと見ていた。


穂乃果「何?」


C.C「いや、随分声の質が違うな~って思って。ゼロの時と」


穂乃果「そのくらい当たり前じゃん」


C.C「どっちが素の穂乃果ちゃんなの?」


穂乃果「どっちが、とかじゃないよ。必要に応じて使い分ける。どっちも素だよ」


C.C「そっか。それより週末って?」


穂乃果「ことりちゃんがうちに来てくれるの。隠れてよね」


C.C「それはいいけど、その日って、成田連山で音ノ木坂の軍とやり合う日じゃ?」


穂乃果「そうだけど、大丈夫。ことりちゃんが来るのは夜だから」


C.C「前も言ったけど死ぬ可能性もあるんだよ?」


穂乃果「死なないよ、私は。雪穂を残してはね」


C.C「絶対はないんやよ?」


穂乃果「私が絶対にしてみせる」


C.C「...穂乃果ちゃんて、たまに頑固だよね」


穂乃果「自分に自信がなくちゃ、こんな作戦なんて立てないからね」


穂乃果「あと数日、準備を万全にして必ず成功させてみせる」

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週末 ことり家


ことり父「それじゃ、行ってくるぞ」


ことり母「確か今日は出張だっけ?」


ことり父「ああ、ちょっと成田連山までな」


ことり「気をつけてね。お父さん」


ことり父「ああ、ことりも夜出かけるんだろ? 気をつけてな」


ことり「うん! 行ってらっしゃい!」

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浦ノ星解放軍 本拠地


鞠莉「うん、うん。こっちは異常なし。そっちは?」


果南『こっちも順調。明日にはそっちに帰るよ。速ければ今日かな?』


鞠莉「それなら早く帰ってきてよね。果南が居ないと退屈なんだから」


果南『はいはい、わかってるって。それじゃね』

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穂乃果達の居間


穂乃果「雪穂は? まだ寝てるよね?」


亜里砂「はい、ぐっすりと」


穂乃果「それは良かった。だったらそのままにしておいて」


穂乃果「私はもう出るから。帰りも遅くなると思う」


亜里砂「わかりました!」


穂乃果「それじゃあね」バタン


作戦に必要な物、ゼロの衣装を持って部屋を出ると出口の扉の隣にC.Cが立っていた。


穂乃果「あれ? 今日は起きるの早いんだね」


C.C「まあね。穂乃果ちゃんが心配で」


穂乃果「別に貴方に心配されるほどやわではないけど」


C.C「本当に頑固なんだね」


穂乃果「私を止めようとしても無駄だよ? 今日の作戦の中止はない。これから先、絵里ちゃんに先手を取れることなんてそんなにないんだから、この機を逃すわけにはいかよ」


C.C「そうみたいやね。もう一度止めようとしたけれど無駄みたい。だからおとなしく応援してるよ」


そう言うとC.Cは扉から離れ、私の部屋に戻っていった。


穂乃果「そうしてくれると助かるよ」


そして私もまずはアクアのメンバーと合流するべく目的地へと歩き出した。

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成田連山とはこの浦ノ星という国においても大きな山となっている。また、ここには沢山のラブカストーンが眠っっていたことでも有名だ。

ラブカストーンとは莫大なエネルギーを含んでいる鉱石。浦ノ星はこの生産量が多く、それ故に音ノ木坂に狙われたと言って良い。

しかし今はもう大抵掘り起こされてしまい、もはや何もないということでたいした建物のもなくずっと放置されてきた。


絵里「逆にそれを利用してここに本拠地を置いていたと」ペラ


部下がまとめた資料を見ながら絵里は皇帝専用車で移動していた。その前後には護衛のナイトメア、物資を運ぶ車、何より解放軍の本拠地を潰すための戦力、エンジェリック・エンジェル隊が同行している。そしてその車の中には...


梨子「いよいよ、ですね」ゴク


絵里「梨子、貴方はそんなに緊張しなくていいわ。今回の目的は見学なのだから。何かあった場合は貴方にも指示を出して貰うことがあるかもしればいけど、そんなことはほぼないから」


梨子「だといいんですけど」


絵里「さて、私はそろそろ自分のナイトメアの所に行こうかしら。梨子、貴方はこのままここに居て」スタスタ


梨子「は、はい!」


そうして絵里は準備を始める。そしてその遙か後方では...



特派専用車


真姫「解放軍との戦いね。今日は出番がありそうだわ」


美渡「サンシャインのですか?」


志保「まぁ、前回から武器も増えましたしデータは取っておきたいところですよね」


千歌「っていっても、今日はあの絵里皇女殿下が直々に出られるんですよね? 私達の出番はないんじゃ?」


真姫「何があるか分からないでしょ。それこそゼロが来るかもしれないんだから。気は抜くんじゃないわよ」


千歌「それは勿論です」

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中央地点


善子「ふぅ、それにしても今日はアクア総出で任務ね」


ルビィ「しかも、こんな山で」


花丸「オラ、ここに来たの初めてずら」


一方アクアのメンバーもこの成田連山に来ていた。それぞれが今用意できうる限りの物資とナイトメアを持ってきていた。


ダイヤ(ここは確か解放軍の本拠地、と言う話もありますわ。昨日いきなりここに行くと言われたので果南さん達には確かめられませんでしたが。だとしたらゼロは一体どうしてこんなところに? まさか解放軍を潰す、なんて言いませんよね?)


善子「ところでゼロは?」


むつ「それが別にやることがあるって」


花丸「ゼロが別行動を取るのはいつもの事ずら」



曜「よし、一通り見終わったかな。ビギナーズの説明書」


いつき「お疲れ様。どう? ビギナーズの調子は?」


曜「あはは、やるしかない、って感じ」


各隊員、可能な限りナイトメアで移動しているため曜もビギナーズで移動していた。ゼロが指示した場所は山頂付近。物資があるとは言え、ナイトメアならどうと言うことはない。現在アクアが所持しているナイトメアはこのビギナーズを合わせても十数機。乗っているのは基本的にアクアの初期メンバーだ。


よしみ『あっと、後ろの方遅れてるよ。もっとスピード上げて!』


アクアモブ「は、はい!」


中にはよしみのように新入りに指示を出したりしている者もいる。


いつき「もう少しで指示された場所だけど、今日はここで何をするんだろうね? しかもこんなアクア総出で」


曜「うーん、わからないけどゼロのことだし何か考えてるんじゃない?」

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解放軍 見張り塔


見張りA「ほい、あーがりっと」


見張りB「うわ! また負けた。今度なんか奢ってやるよ」


ここは第三見張り塔。山の南に位置する小さな塔だ。その管理室で二人がトランプでゲームをやっていた。

しかし、その部屋の扉が突然開かれた。


見張りA「え? 誰?」



ゼロ「落ち着いてください」



見張りB「ぜ、ゼロ!?」


ゼロ「だから落ち着いて...」カポ


穂乃果【貴方達はそのままトランプで遊んでいてください】ギアス!!

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絵里 サイド


絵里「布陣はどう?」


専属騎士「はっ! 命令通り、山頂を囲むように部隊を4つに分け待機させています。さらにその間部分に予備隊を。その後方に梨子皇女殿下の部隊がいます」


絵里「わかったわ。時間が来たら作戦を開始するように新部隊に伝えて。私もナイトメアで出るわ」


専属騎士「絵里様が直々に出なくてもよろしいのでは?」


絵里「手っ取り早い殲滅の為よ。早く終わらせた方がいいでしょ?」


そう言うと絵里は自分の専用ナイトメア、エンジェリック・エンジェルに乗り込んだ。

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梨子「私達の包囲が完成したのですか?」


兵士「はい。絵里皇女殿下は今回の作戦で解放軍を完全に滅ぼすつもりのようです」


地図を見ると山頂を包囲するように完全に囲んでいる。その後ろの方に梨子達がいる本拠地があった。ちなみに反対側に特派もいることがわかった。


梨子「確かにこれなら相手の逃げ場は....」


梨子(特派... ということは千歌ちゃんも来てるのね。危険な目に遭わなければいいけど)


兵士「さらにこのエンジェリック隊の他に地方の部隊も念のため連れてきているとのことです。この包囲は突破されませんよ」


梨子「です、よね?」


梨子(無事、何事もなければいいのだけど)

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見張り台


見張りA〈よっと〉パッ


見張りB〈お、やるな。けど、どうだ!〉



ゼロ(穂乃果)(向こうの識別信号のおかげで大体の布陣は掴めたかな)


後ろでトランプをやっている二人をよそに穂乃果は作戦の最終確認、及び向こうの手を探っていた。手元にはこの山の地図。さらに電子マップには向こうの軍の数、配置がズラリだ。


ゼロ(やはり絵里ちゃんは本気で解放軍を潰すみたいだね。その方がこっちとしても助かるけど。いろんな意味で)


持参していたチェスの駒を兵士変わりに動かし、脳内でシミュレーションをする。


ゼロ(今回手元にあるナイトメア、物質、それに連れてきたアクアのメンバー、これらを総動員して....)


大筋の作戦は決まった。するとタイミングよくダイヤからアクアの皆が指定された場所に着いたと連絡が来る。


ゼロ(さて、あとは皆の説得かな)ガタ


立ち上がり、見張り台から出ると何とそこには紫髪の最近よく見る...


ゼロ「C.C !?」


C.C「いよいよ始まるんやね、戦い」


ゼロ「何でここにいるの!?」


C.C「穂乃果ちゃんが心配やったからや」


ゼロ「だからって... それに今はゼロだよ。名前はやめて」


C.C「ふふ、そうやったね」


相変わらず言うことの聞かないC.Cにうんざりしつつも慣れてきた穂乃果は気にせず山頂へ向かおうとする。すると唐突に雪が降り始めた。


ゼロ「雪? こんな季節に?」


C.C「ねぇ、穂乃果ちゃん。どうして穂乃果ちゃんは穂乃果なの?」


ゼロ「だから名前は...」


C.C「穂乃果ちゃんは音ノ木坂に復讐するために戦っている。けど名前は高坂も穂乃果も全て昔のまま。まだ昔を忘れたくない、そう感じるけど?」


ゼロ「私が私であるため、だよ。それ以外に理由はない。逆に貴方はやりすぎなんじゃない?C.Cなんて人の名前じゃないよ」


するとC.Cは返答せず、ただ山からの景色を見ていた。そして、降ってきた雪の一粒を掌で受け止める。


C.C「穂乃果ちゃん、雪がどうして白いか知ってる? 自分がどんな色か忘れてしまったからなんやよ」


そう言う間に体温で掌の雪が溶けた。水滴となった雪で少し濡れた手も気にせずC.Cはそれでもただどこかを見ていた。それがどこかはわからない。ただ、その言い方、声が何かを物語っている気がする。しかし、穂乃果はC.Cのことをよくは知らない。ここで別に気の利いたことを言ってあげようとも思わない。ゆえに、そのC.Cの言葉に対して、ただ思ったことをいう。


穂乃果「雪がどうして白いのかなんて私は知らないよ。けど、白い雪は綺麗だと思う。私は、好きだけどね」


そういうとC.Cは少し目線を穂乃果の方に向ける。そして、口元を緩ませながら言った。


C.C「そっか... 呼び止めてごめんね。始めるんやろ?」


ゼロ「うん。C.Cも安全なところに、何ならここから動かなくてもいいから、変なことはしないでね」

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絵里 サイド


絵里「時間ね、初めなさい!」


専属騎士「第一陣、攻撃開始!!」



エンジェリック兵『『イエス、マイロード!』』


そういうと前線のナイトメアが一気に動き出した。エンジェリック・エンジェル隊のナイトメアはほぼ全てがグロースター、と呼ばれるナイトメアだ。この機体は第5世代ナイトメアでありサザーランドの発展型である。現状、グラスゴーやサザーランドが多く普及している中、このグロースターは上記の2つよりも対ナイトメア戦に秀でている。主な武装は対ナイトメア用のランス。銃も勿論装備されていているがどちらかと言えば近接向きのナイトメアだ。それ故に操作はサザーランドより少し難しいがエンジェリック・エンジェル隊はそれを難なくこなしている。絵里を含めると100機はいる音ノ木坂の軍が今、解放軍に襲いかかる。



予備部隊


英玲奈「えぇい! 何故私達が予備部隊、後方支援なのだ! これでは忠義を果たせないではないか!」


あんじゅ「落ち着きなさいよ、英玲奈。それに仕方ないのよ。私達はあくまで予備。本命は絵里皇女が率いる部隊なんだから」


英玲奈「くっ! こんな有り様ではゼロが現れたときもきっと! 私はこの借りを全てゼロに返したいというのに!」


あんじゅ「はぁ、ゼロね」


あんじゅ(英玲奈はあまり熱心ではないけど、あの時の学生... きっとあの学生が鍵を握っていると思うのだけれど)

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解放軍 指令室


解放軍人「た、大変です! 山の麓から音ノ木坂のナイトメアが一斉に押し寄せて来ました!」


解放軍長「なんだと!?」


解放軍人「その数およそ30,50、いえ、もっといます!」


解放軍長「バカな!? いつの間に! 見張りの者共はどうした!」


解放軍人「それが何の返信もなく...」


解放軍人「第一防衛ライン、突破されました!」


解放軍長「今すぐ反撃せよ! ナイトメアを使っても構わん!」


解放軍幹部「軍長、ジブンも出ます!」


解放軍長「頼むぞ。最悪撤退もあるやもしれん。考えておけ」


解放軍幹部「はっ!」


解放軍長「くっ!よりによってあの松浦が居ないときに来ようとは」ギリッ!


解放軍人「軍長! 第二防衛ラインまでもが!」


解放軍長「急いで兵を向かわせろ! 手をくれになる前に!」




技術部室


鞠莉「っと! ホワイ!? 何があったの?」


技術部室は地下に作られてある。それ故に地上で何かあったらこの地下まで影響が出るのだ。すると入り口の扉が勢いよく開かれ、慌てた様子の兵士が入ってきた。


解放軍人「た、大変です! 音ノ木坂の軍がここに向かって接近しています!」


鞠莉「なんですって!?」


解放軍人「幹部の方々が出ていかれましたがどうなるかわかりません! 鞠莉殿は至急ここから離れてください!」


鞠莉「...果南」ギュッ!

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山頂付近


ゼロ「全員、集まっているようだね」


ルビィ「ゼ、ゼロ...さん」


善子「ようやく来たわね」


花丸「こーら、善子ちゃん」


ゼロ「元気があるのはいいことだよ」


ダイヤ「ゼロ、それで今日の作戦は?」


ゼロ「それは...」


ゼロが何か言おうした瞬間、遠くの方で爆発の音が聞こえた。


曜「え!?」


いつき「爆発!?」


ゼロ「おや、始まったみたいだね」


ダイヤ「始まった? まさか...」


するとゼロはその場にいるアクアのメンバー全員に通るような声を出す。


ゼロ「知っている人もいるかもしれないがここはあの浦ノ星解放軍の本拠地! そして、ちょうど今、音ノ木坂の襲撃を受けている!」



「「えぇ!?」」



ルビィ「そ、それって...」


花丸「ここにいるオラ達も危ないんじゃ...」


ゼロ「危ない、どころかもう逃げられないだろうね。今登ってきた道はもとより、退路は全て塞がれたよ。生き残るには戦うしかない」


ダイヤ「そ、そんな。ゼロ、一体貴方は何を...」



ゼロ「今日の作戦は敵のトップである絵里皇女を倒し、捕虜とすること!」



曜「え、絵里皇女!?」


むつ「ってことは、相手はあのエンジェリック・エンジェル隊!?」


よしみ「しかもあんなに沢山...」


善子「む、無理よ! そんなこと!」


ダイヤ「不可能です! ゼロ! こうなっては可能な限り解放軍の撤退を支援して私たちも逃げるしかありません!」


ゼロ「不可能? ふふ、そうだね。これで私達が勝ったら奇跡だ」


ダイヤ「そんな! 今さら...」


ゼロ「あのメシアでさえ、奇跡を起こさなければ認めて貰えなかった。なら、私達にも奇跡は必要だよ」


善子「あのねぇ! 奇跡は安売りなんてしてないのよ! やっぱりパッと出の貴方にリーダーは無理だったのよ!」


するとゼロは懐から拳銃を取り出し、善子に向ける。


ルビィ「!?」


花丸「だ、だめ!」


しかし次の瞬間、ゼロはその拳銃の逆さに持ち変え、銃口を自分に、持ち手の方をアクアのメンバーの方に向けた。


曜「え?」


ゼロ「既に退路は断たれた! もしこの中で私抜きでも勝てるって人がいるのなら、この拳銃で私を撃ってもかまわない!」


いつき「そ、それは...」


むつ「...」


善子「っ...」



ゼロ「貴方達はアクアが出来て少し浮かれているのかもしれないが、現状は何も変わっていない!」


ゼロ「音ノ木坂が支配し、そして浦ノ星の人々は怯え、蔑まされながら生きている!」


ゼロ「敵は依然強大だ。戦うためには、勝つためには使えるものなら何でも使う! それが自分の命だろうと!」



曜「自分の、命..」



ゼロ「アクアに入ったからには選択肢は2つしかない! 私と生きるか、私と死ぬかだよ!」



ゼロの声がナリタの山に響く。アクアのメンバーは誰一人として反論することは出来なかった。

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エンジェリック兵「ポイントA突破!」

エンジェリック兵「ポイントB突破!」


エンジェリック・エンジェル隊が攻撃を始めてから数分後。解放軍の守備部隊は瞬く間に突破されていく。


絵里「なるほど、至る所に罠が仕掛けられてるわね。と言っても見え見えだわ」

専属騎士「絵里様!お下がりください!戦闘は我々が...」

絵里「私が後ろで黙って見ていると思って?」


そう言うやいなや視界に入った解放軍ナイトメアを瞬く間に瞬殺する。


解放軍兵「ぐわぁ!」

解放軍兵「きゃあ!」


絵里「張り合いがないわね」


すると絵里はナイトメアのスピーカーをオンにして声高らかに言う。


絵里『さぁ、綾瀬絵里はここよ!挑んでくる者はいないの!?』

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成田連山 山頂付近


ゼロ「さぁ、私に挑む者はいないの!?」


静寂、そして善子が口を開いた。


善子「好きに、しなさいよ」

花丸「い、一応ゼロがリーダー、ずら」


花丸も善子に賛成する形で意見を述べる。


ゼロ「ありがとう。感謝するよ」

ダイヤ「花丸さんの言うとおりですわ。ゼロ、貴方の指示に従います」


するとアクアの面々は皆黙って頷いた。


ゼロ「それなら約束通りに勝ってみせるよ」

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黄色い閃光弾が空に上がった。絵里はそれを確認すると進撃していたナイトメアの足を止める。


絵里「どうやら本拠地を見つけたみたいね。あそこの配置は確か...」

専属騎士「副隊長の部隊です」

絵里「そうね。では私達はこのまま残り兵力を削ぎつつ、山頂を包囲するわよ。他の部隊にも伝えて頂戴」

専属騎士「加勢に向かわないのですか?」

絵里「私が行ったらすぐ終わってしまうもの。部下の手柄を取るつもりはないわ。ただ念のため予備部隊を回しておきなさい」

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解放軍 本拠地


解放軍兵「このままでは持ちません!」


いよいよ本拠地の目の前まで迫った音ノ木坂の兵。基地防衛のために広く配備した守備隊が徒となり本拠地がバレてしまったのだ。


鞠莉「いよいよ、ピンチね」


鞠莉は必要最低限の荷物をまとめて脱出を試みるも時すでに遅し。どこから出ても音ノ木坂の兵に見つかってしまう。


鞠莉(ごめん....果南、ダイヤ)

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音ノ木坂人「ここは交通規制が...うわぁ!」


トラックが二台、交通規制の立て札を強引に突破した。


解放軍兵「果南さん!?強引すぎませんか?」

果南「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?分からない?」

解放軍兵「っと言うと?」

果南「この成田連山を囲むような交通規制。もしかしたらもう仕掛けられてるのかもしれないよ」

解放軍兵「まさか、音ノ木坂の奴らが!?」

果南(鞠莉、待ってて!)

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ゼロ「よし!これで全ての準備は整った!アクアの全メンバー、出撃準備!」


行き渡った武器、仕組まれた作戦、伝え終わった作戦、そしてナイトメアに乗り込んだアクアのメンバー達。皆、覚悟は決まっているようだった。


いつき「あー、もう!やってやる!」

むつ「そうよ!私達にはゼロが着いてるんだから!」

ルビィ「う、うりゅ!」

ゼロ「これより私達は山頂より音ノ木坂の軍に奇襲を仕掛ける。私の合図と共に作戦ポイントまでそれぞれ駆け抜けて!」

「「了解!」」

ゼロ「作戦目標はさっきも言った通り、皇女・絵里を捕虜とすること。作戦ルートを切り開くのはビギナーズ、頼んだよ」


アクア(呼び名)


ゼロ ゼロ       よしみ  R1

曜  ビギナーズ   むつ R2

ダイヤ P1      いつき R3

ルビィ P2

善子 P3

花丸 P4



曜「はい!」


今山頂に埋め込まれているのはちょっとした威力の爆弾だ。これらを同時に爆発させる。それにはビギナーズの輻射波動が必要となる。


曜(成功させてみせる!)


ビギナーズはその右手で中央の爆弾を掴むと曜は一気に質力を上げてスイッチを押す。


曜「いっけぇ!」


ビギナーズの右手から赤いスパークが光った。一瞬にして高出力の電磁波が放出され、埋まっていた爆弾が爆発、それに伴って他の爆弾も連鎖的に爆発していく。


曜「やった!」


すると大地が崩れ、次から次へと崩壊していく。結果、土砂崩れだ。そしてその土砂は穂乃果が計算していた通りにエンジェリック隊の副隊長の部隊へと流れていった。

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エンジェリック兵「ふ、副隊長!山頂からど、土砂が、うわぁ!」

副隊長「ありえない!?どうしてこんな時に地震!?」


瞬く間に土砂に飲まれていくナイトメア。後から加わった予備部隊も見事に直撃していた。



絵里「何があったの!?」

専属騎士「絵里様!そこは危険です!お下がりください!」




エンジェリック・エンジェリック本拠地


梨子「こ、これは...」

護衛「山頂から大量の土砂が..」

護衛「地震、か?」

護衛「見ろ!山の梺の町まで土砂が!」


動揺する音ノ木坂の兵達。そこを見逃すゼロではない。

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ゼロ(予想以上の破壊力だね。絵里ちゃんの部隊を孤立させることには成功したけど町のまで被害が。あそこは確かもう避難が住んでるとはいえ、もう少ししっかりと計算しなくちゃ)


ゼロ『各部隊は作戦通り進行!P1とR1はそれぞれ別のルートを!』

『『了解!』』


こうしていよいよアクアの本格的な初陣が始まった。

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音ノ木坂兵『G部隊全滅!解放軍ではないナイトメアが!恐らくはアクアの物かと!』



英玲奈「ゼロォ!やはり来たかぁ!」

あんじゅ『ちょ、英玲奈!私達には待機命令が!』


ゼロが関わっていると分かった瞬間、すぐさま飛び出した英玲奈。しかも報告にあった位置はすぐ近くだ。


英玲奈『非常事態だ。こんな時に動けぬ兵は無能だぞ!私は行く!』

あんじゅ「あ~、ったく。ゼロのことになると...」


すぐさま、あんじゅも後を追った。

そして進行してすぐさま敵ナイトメアを発見した。英玲奈はすぐさま銃で攻撃し、一体を行動不能にする。すると後ろから五機、別のナイトメアが表われた。


英玲奈『おい!貴様らの中にゼロはいるか!?』

ゼロ『その声、まだ軍におられたのですか?』

英玲奈『!!見つけたぞ、ゼロ!』


英玲奈はついに憎きゼロを発見した。ゼロの機体は他のナイトメアと異なり頭に防御用の装備があるためすぐに識別できたのだ。


英玲奈『待っていろ!すぐさま私がお前を捕まえてやる!』

ゼロ『悪いですが貴方に構っている余裕はないんですよ、パーティーさん』

英玲奈『なぁぁぁ!!その名で呼ぶなぁぁー!!』


逆上し、ゼロが乗っているであろうナイトメアに襲いかかる英玲奈。しかし、2人のナイトメアの間に水色のナイトメアが割り込んできた。


英玲奈「何だ!?この機体は?」


するとそのナイトメアは英玲奈の乗っているサザーランドの攻撃を軽々と受け止めた。続けて蹴りや装備されてある武器を振り回すが一向に当たらず、英玲奈は一旦そのナイトメアから距離を取る。


英玲奈(このナイトメアは一体?だがゼロを目の前にして引くわけにはいかない!)

あんじゅ『どの記録にもデータがない。英玲奈!新型よ!注意して!』


英玲奈も長年のナイトメアによる戦闘の感から目の前の水色のナイトメアがただのナイトメアではないことを感じてはいた。しかもどの研究機関のデータにもない新型。普段の英玲奈であれば間違いなく引くなり、増援を呼ぶなりしていただろう。しかし、視界に入っているゼロの存在が英玲奈の冷静さを奪っていた。

 そして、今の戦闘で水色のナイトメア、ビギナーズの操作を一通り確かめた曜は今度は自分から仕掛けた。ビギナーズには銃などの装備が現時点ではないため近接戦闘が主な戦い方だ。サザーランドの牽制の発砲を難なく躱し、すぐさま懐の入り込む。相手が銃から近接用の武器に持ち替える暇を与えず、蹴りやパンチを繰り出す。英玲奈はそれをギリギリで躱していたが、すぐに被弾し始める。


曜(いける!)

英玲奈「なっ!くそ!」


しかし、後ろにいるあんじゅを含めた英玲奈の部隊が英玲奈を援護するように銃を発砲する。曜はすぐさま英玲奈から距離を取り、全て回避した。


あんじゅ『英玲奈!やっぱりあのナイトメアかなり手強いわ!一旦引きましょう!』

英玲奈『引く?ゼロを目の前にして?それは出来ん!』


一度距離を取った曜だったが次の攻防であのサザーランドを倒せると確信した。さらにゼロやその他のアクアメンバーの機体が後ろのナイトメア達を銃で牽制している。ビギナーズの右腕の準備をしつつ、再び攻撃に入る。


曜「やれる。倒せる!このビギナーズが、私達の反撃の始まりだぁ!」


そして決着はすぐに着いた。ビギナーズがすぐに距離を詰める。英玲奈はすぐに反応して距離を取ろうとするもビギナーズの方が早い。そして必殺の右腕でサザーランドの頭を掴む。


曜「これで!」


レバーのスイッチを押す。すると頂上で見せたような赤いスパークが迸り、次第に英玲奈の乗っているサザーランドが内側より電磁波により膨らみ始めた。すぐに内部の英玲奈にも影響が出る。


英玲奈「ぐっ!これは一体!?」

あんじゅ『英玲奈!今すぐ脱出しなさい!』

英玲奈『だがゼロが!ゼロが目の前にいるのにぃ!』


血を流しつつも、英玲奈は頑なにサザーランドから脱出しようとしなかった。しかしオート機能により自動で脱出機能が作動。遂に英玲奈は機体内で意識を失ったが英玲奈がいるコックピットは機体から離れた。その直後サザーランドは爆発する。


曜「や、やった」


曜はナイトメア戦での初勝利に少し安堵するもすぐに次の指示の為に気持ちを入れ替えた。そしてすぐにゼロより次に指示が来る。


ゼロ『よし!それじゃビギナーズは作戦通りポイントEに移動!目標が来るまで待機!残りのメンバーでこの場を制圧するよ』

曜『はい!』


穂乃果は改めて曜のナイトメアを操縦する腕前に感心しつつ、近くに潜ませていた善子達の部隊と連携して残ったナイトメアの殲滅に力を加えた。

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 成田連山の梺では今もまだ残されてあるかもしれないラブカストーンの発掘のため作業員が仕事をしていた。その中でもリーダー的立場にいたのがことりの父親である。普段は現場には赴かないが協力会社との取引のため訪れていた。そのことり父は話し合いを一旦終え、休憩していたところに山の頂上付近での爆発を確認。すぐさま最悪の事態に備え指示を出す。


ことり父「みんな!作業は中止だ!避難しろ!!」


この素早い判断もあり大多数の人は救われた。そこで一安心していたことり父の元に予想以上に土砂崩れの規模が大きく、さらに奥まで避難するべきだと言う意見が届く。


ことり父「わかった。私は後でで良い。負傷者から先に運ぶんだ」


しかし、土砂は予想よりもさらに早く、向かっていたのであった。

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 浦ノ星解放軍に所属している果南は用事で本拠地がある成田連山を離れており、帰っている途中に嫌な予感がした。その予感は正しくは基地は音ノ木坂の襲撃を受けていたのだ。果南を含めてトラックに乗っていたのは5人。果南は整備された道路を抜けると積んであったナイトメアに乗るように指示。4人はすぐさま浦ノ星製のナイトメア「無頼」に乗り込み、果南も自分専用のナイトメア「さかなかなん」に乗る。


果南「目標は基地に残っているメンバーの救出、及び脱出の手助け!可能な限り戦闘は控えたいところだけど...」


本部からの情報によると相手はその腕で数々の反音ノ木坂組織を葬ってきた皇女・絵里。そして、その直属の部隊。となると戦闘は避けられない。先ほどの大きな土砂崩れも気になるところであり、最悪鞠莉だけでも何とか逃がせないかと考えていた果南だったが、


解放軍A「果南さん!今本部から追加の情報が来て...あのアクアもこの成田連山にいるようです!」

果南「アクアも?」


それならば、と果南は考え方を少し変える。恐らくアクアの目的は解放軍の撤退の手伝い、もしくは音ノ木坂の軍への攻撃のためであろう。どうやって今日音ノ木坂がここに攻めてくるのかを知ったかは興味があったが今は確かめようがない。果南は今一度本部から送られてきた敵の位置情報を確認すると、すぐに行動に移す。


果南「アクアが何のつもりでいるかはわからないけど、精々役に立って貰うよ」

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絵里『それぞれ状況を報告しなさい!急いで!』


突然の事態にさすがの絵里も多少は動揺したものの、すぐに意識を切り替える。帰ってきた返事から把握するに、山頂の爆発により土砂崩れは東の方向へと流れ、そちらにいた部隊は全滅。南側にいた絵里達はそれほど深刻な被害は出てないが、決して楽観視出来る状況ではなかった。


絵里(アクア、いえ、ゼロ!!このタイミングで仕掛けてくるなんて!)


目的は解放軍の手助けか?無意識で解放軍とゼロは手を組まないだろうと考えていた絵里はその認識を改め、次の手を考える。部隊は確かに損害は出たものの、解放軍の本拠地を制圧するのには問題ない。あるとすればアクアがどれほどの戦力で何を狙っているのかではあるが、


専属騎士『絵里皇女殿下、この場は下がり、作戦本部がある西の方へ移動するのがよろしいかと』

絵里『そうね。それも確かにいいわ。けど、』


今日の本来の目的をないがしろにするわけにはいかない。しかし、虫の息の解放軍か、今勢いを付け始めているアクアか。どちらを潰すか聞かれたのなら当然、


絵里『西側の部隊はそのまま解放軍の本拠地を目指し、作戦続行。北と南にいる部隊は土砂を回避しながら一旦作戦基地まで戻りなさい。アクアもまとめて叩くわ』

『『イエス、ユアハイネス』』

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ゼロ(やっぱり解放軍を目指さず、本拠地に戻った!)


識別レーダーを見ながら敵の動きを把握。さらにその動きを見越して曜を先に先攻させ、その後ろから絵里を挟み撃ちにする、というのが穂乃果の考えであった。しかし、先ほど英玲奈を退けた後に曜が去った後、敵の増援が到着。やられはしないものも、その場に足止めされていた。


あんじゅ『他の部隊もこちらに向かっている!このまま向こうをここで足止めするのよ!』


音ノ木坂兵の予想以上の粘り、こちら側のナイトメア操縦力の低さ、何より自身の力量の低さに嫌気が差すがこれ以上の時間のロスは避けたい。穂乃果は非常時に備えて待機させていた部隊を呼び、一気に押し返す。


善子「いっけー!!」

花丸「え、えい!」

あんじゅ(あっちの増援の方が早かったか)

あんじゅ『一旦下がりなさい!こちらから増援部隊を迎えに行くわ!』


こうして向こうはゼロ達から距離を取る。


ゼロ『P3はこのまま敵を追い打ち。撤退の判断は任せるよ。P4は非常時に向けて待機。私の部隊は作戦通り皇女・絵里を追うよ』

ゼロ(予想以上に時間を取られた。急がないと!)

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絵里「土砂崩れが梺の地域にまで。避難警告と立ち入り封鎖をかけておいて良かったわ」


各部隊から送られてくる情報を まとめつつ自軍の本拠地へと戻る絵里。そこに専属騎士から連絡が入る。


専属騎士『絵里皇女!ナイトメアが数機、近づいております!』

絵里『今確認したわ。...梺から?』


下からの敵ということは解放軍ではなくアクアかと、そちらの方へカメラを向けると4機の「無頼」、それからエメラルドグリーンのナイトメアが1機、こちらに向かってくる。


専属騎士『あれは解放軍!一体だけ色が違うのは..』

絵里『あの機体... ということはあれは解放軍のエース、松浦果南ね。どうして今まで表われなかったか不思議だったけど..』


絵里はすぐさま意識を戦闘へと移す。こちらは土砂崩れの影響で4人。対して向こうは5人。人数ではこちらが不利だが専属騎士の強さは勿論のこと絵里自身もナイトメアを使った戦闘には自信がある。1人差などハンデにもならない、と思っていたが、


専属騎士『絵里皇女、ここは私に任せてお先に自軍へお戻りください』

絵里『私が残った方が早く片がつくでしょ』

専属騎士『アクアがどこかに潜んでいるかもしれません。ここではまだ本拠地も遠く、すぐに援軍が期待できませんので先に絵里皇女だけでも安全な場所に』


相変わらず私に対して心配が過ぎるわよ、と言いかけた絵里だったが先ほど解放軍とアクアが協力しないと言う考えを捨てたばかりだ。ここでの戦闘が長引けば不利になるのは絵里達かもしれない。


絵里『...仕方ないわね。貴方なら負けはしないと思うし、先に戻ってるわよ』

専属騎士『はっ!私達もすぐに後を追いますので!』


そうして絵里は1人だけその場を離れた。それを見た解放軍のナイトメアが多うとしたが残りのナイトメアがそれを拒む。専属騎士も真ん中にいるエメラルドグリーンのナイトメアへ仕掛ける。


専属騎士「悪いがここでやられて貰う!」


果南のナイトメア「さかなかなん」には遠距離武器がなく、主武器は日本刀のようなナイトメア用の刀だ。そのため、戦闘も近接戦を得意とする。向こうから近接戦闘を仕掛けてくるなら望む所だ。


解放軍兵『果南さん!皇女・絵里が逃げます!』

果南『まずは目の前の敵に集中して!気を抜けばやられるよ!』


無頼の性能はエンジェリック・エンジェル隊のグロスターより劣る。数で勝るとは言え、油断できない相手だ。さらに現在、果南と戦闘している多少改良されたグロスターは恐らく皇女・絵里につぐ強さの専属騎士と考えられる。


果南(本当は皇女・絵里にもここで戦って貰いたかったけど...)


果南も無論、腕っ節には自信がある方だ。その強さ故に解放軍にスカウトされたのだから。しかし、皇女・絵里とその専属騎士相手に勝てるかと聞かれると答えは無理、である。しかし狙いは別にあり、


果南(ゼロが噂通り戦略に関して頭が切れるって言うならこのチャンス、逃さないでしょ)


なぜなら皇女・絵里は今、護衛もなく1人なのだから。

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ゼロ「これは...」


識別レダーによると絵里と思われる部隊が新手のナイトメアと合流、したかに思われたがその後ナイトメアが1機だけ穂乃果が考えたポイントに移動していた。


ゼロ(この新しいナイトメアは恐らく解放軍の物。その後、戦闘に入り1機だけ離脱。連絡のためにわざわざ離脱させるわけがないし、安全のためとなるとこのナイトメアは絵里ちゃんで間違いない。けど絵里ちゃんなら殲滅させた方が早いと考えそうだけど...)


解放軍と戦いたくない理由。そこで穂乃果は以前に解放軍にダイヤ達の親友が所属していることを思い出した。1人は技術者でもう1人が戦闘に長けた人物。であるなら、


穂乃果(その人物がここで戦闘を仕掛け足止め、もしくは絵里ちゃんだけを逃がすようにした)


逃げに徹しているこの状況で解放軍が絵里を撃つために援軍を出すとは考えにくい。つまりその人物はアクアと共闘しようとしたのだ。足止めして、アクアが到着次第挟み撃ちにする。絵里だけ逃げた場合残りを抑え、絵里が1人のうちにアクアに叩かせる。そのために解放軍の本拠地ではなく絵里と思われる部隊に攻撃を仕掛けたのだ。さらに、曜を指定のポイントへ待機させているこちらとしても絵里1人だけ移動した方が都合が良い。


穂乃果(解放軍にもちゃんとした人がいたみたいだね。それに新型を作った子も気になるし。うちに欲しいくらいだよ)

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絵里「あれは...」

曜「来た!ゼロの指示通り」


作業用の車が通りやすいように山の中で整備された道。左右共に相変わらず木々に囲まれているがこの道だけは綺麗に整えられており車は勿論、ナイトメアも移動しやすい。南側より音ノ木坂の本部へと向かうにはこの道が最短であると作戦前に下見していた穂乃果はこの位置で絵里を待ち伏せするように曜に指示を出していた。


絵里(あのナイトメアは沼津の兵から報告があった水色の新型ナイトメア。ということはアクアね)


絵里はすぐに近くの部隊へと連絡をしようとした。が、その前に水色のナイトメア、ビギナーズが仕掛ける。


曜(この機体は間違いなく皇女・絵里!今回の作戦の目標!)


絵里の乗っているナイトメアは絵里専用機「エンジェリック・エンジェル」

水色を主体として作られているため、多少ビギナーズと被る色合いをしているが、ビギナーズはどちらかと言えばライトブルーに近い。通称エンジェリックとも呼ばれていて、主武器はエンジェリック隊のナイトメアと同じくランスだが、絵里のランスだけは特注品だ。ナイトメアにしては珍しいマントをしていて、これが背後からの攻撃を防ぐ役割をしており、武器も背中や腰にと、近遠戦闘どちらも対応できる万能型だ。


絵里「ふふ、いいわ。遊んであげようじゃない」


向かってくるビギナーズに対して全く物怖じせずに対応する絵里。ビギナーズは右腕による攻撃と左腕に持つクナイ方の刃が武器だ。よってバトルスタイルはどうしても近接方となる。しかし曜はこのポイントまでに来るまでのわずかな戦闘で完全にビギナーズの要領を掴み、絵里と互角以上に戦闘を繰り広げていた。


曜「でりゃ!!」


刃、蹴り、刃、と次々に攻撃を織りなす。絵里はその攻撃をランスで受け、時に躱し、片手の銃で応戦。曜はそれを俊敏な動きで躱し、距離が出来ようとも瞬く間に詰め、すぐさま近接戦闘に持ち込む。


曜(やっぱり、さっきまで戦ってた兵士とは強さが違う。これが皇女・絵里!)

絵里(やるわね。この動き、ナイトメアの性能は恐らくこの「エンジェリック」より上。しかもその動きにしっかりとパイロットがついていってる)


曜も絵里も相手の力量も把握していく。曜は戦いながら直感で、絵里は正確な分析によって。そして絵里の分析通り、ビギナーズが性能としては上回っていた。


曜「ここ!」

絵里「!? 早い!」


ビギナーズのスラッシュハーケン(制作者の鞠莉は飛燕爪牙と名付けていたらしい)がエンジェリックに向けて発射された。高性能のナイトメアは標準装備も既存のナイトメアより強い。想定以上の速度でのハーケンに反応しきれなかった絵里は銃を持っている方の腕を負傷してしまい、拍子に武器を落としてしまう。そこへビギナーズの右腕が迫る。絵里はとっさに片手のランスでその右腕を受け止める、のだが次の瞬間ビギナーズの腕から赤いスパークが轟く。絵里は反射的にランスを手放した。するとランスは本来あり得ないような膨らみ方をして、爆発した。初めての攻撃に流石の絵里も驚きを隠せない。


絵里(今のは何!?まさか食らったら一撃、って訳かしら?とんでもないわね)


曜としては絵里の捕虜を作戦の目的としているため殺すつもりは毛頭ない。だが手加減して勝てる相手でもない。右腕の輻射波動も相手がランスで受けなければ使うつもりは無かったが、結果的には絵里は主武器を失った形となる。さらに、背後からの銃による攻撃で左足の一部が破損した。


絵里「!! 背後から!?」


するとそこには、「無頼」が3機、銃を構えていた。


ゼロ「お久しぶりですね、皇女・絵里」

絵里「ゼロ...」ギロ

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梨子「絵里さんが1人で襲撃に!?」

音ノ木坂兵「はい!恐らくアクアに攻撃されているかと...」

梨子「そんな!誰か助けに行かせなくてわ!」


音ノ木坂軍の本拠地には幸いにも土砂崩れの影響はなかった。しかし、被害に遭った兵からの連絡が相次ぎ、さらには絵里のピンチが報告された。当然助けに行かせたい梨子だったがまだそこまでの指揮能力はなく、近くの兵士に確認している状態だ。


音ノ木坂兵「しかし、専属騎士様も他の相手と戦闘なさっている様子ですし、この本部から援軍を送ろうにも木々が多くどうしても時間がかかってしまいます!」

梨子「そんな...」


このまま何も出来ずに絵里の無事を祈るしか無いのか、と焦っていたとき後ろの方で待機させていた特派から緊急で連絡が入った。

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真姫「....なるほどね」

志保「真姫さん!そんなところで1人納得してないでこっち手伝ってくださいよ!」


特派も土砂による被害はなかったが機材がバラバラに倒れてしまったため皆で回収していたところだ。無論、アクアの情報も届いており千歌は少し顔を険しくさせ、真姫は待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべた。しかしいくら待てど本部からの作戦命令が来ないでいたため、いつものように真姫が動く。


真姫「先ほどの揺れ、そしてアクアの介入。恐らく本部はかなり慌てているはずよ。そして状況的にも追い込まれているはず」

美渡「出た!真姫さんの根拠のない考察!」

志保「けど、いつも当たってるのよね...」

真姫「こちらに連絡する暇が無いのか、忘れられているか、どちらにしろこちらから連絡を入れるわよ!千歌、サンシャインに乗りなさい!」

千歌「もう乗ってます!」

真姫「...準備が早くてよろしい」


そうして緊急連絡ということで作戦本部に割り込んだ。最初は驚いた本部だったが真姫のマイペースさに押され状況を説明した。


真姫「やっぱり想像通りじゃない」

美渡「ほ、本当だ...」

真姫「つまりは絵里皇女殿下のピンチなんでしょ?そして増援も難しいと」

音ノ木坂兵「そ、そうだが...」

真姫「なら、私達が行ってあげるわ。それでいいでしょ?」

音ノ木坂兵「な、ならん!」

志保「どうしてでしょうか?皇女殿下を助けに行かなければいけないでしょう?」

音ノ木坂兵「お前達は物資の予備を守護するのが今回の任務だ。勝手なことをするな!」


特派と本部で言い合いになる。特派は絵里のために出撃させろと、本部はお前らはおとなしくしていろと、互いにモニター越しで意見をぶつけ合っている。梨子は時間の無駄だと感じつつも自分からは強く言えずにいた。しかし、モニターを見ると千歌がこちらをじっと見つめていた。梨子が気づいて見つめ返すと千歌は微笑み、声に出さずに口を動かした。後ろでは言い合いが続いているが、唇の動きを呼んだ梨子は千歌が言いたいことを理解した。

任せて欲しい、と。絵里皇女殿下は救ってみせる、と。すると梨子は無意識に答えていた。


梨子「分かりました。では、特派に命じます。出撃してください。そして絵里皇女殿下をお救いするのです」

音ノ木坂兵「皇女殿下!?」

千歌「はっ!イエス、ユアハイネス!」


すると、特派は通信を切った。


音ノ木坂兵「梨子皇女、一体どういうおつもりですか?なぜ勝手にお決めに?」

梨子「あのままでは平行線です。それに現在私達に手がないのも事実。ここは特派に任せましょう」

音ノ木坂兵「しかし...」

梨子「今は絵里皇女の安全の方が大事です!」


梨子も副総督として仕事をこなす内に自然と勢力争いと言う物に触れてきた。誰が活躍した、誰が手柄を立てたか、などだ。無論良い戦果を挙げればその分出世するし、上を目指すことは良いことである。しかし度が過ぎているとも感じる時がある。今もそうだ。恐らくここにいる者達は特派が活躍するのが面白くない人達なのだろう。しかしそのせいで絵里の助けが遅くなるのは梨子としては望んでない。だからこそ、千歌に頼んだのだ。彼女ならきっと絵里の助けになるだろうと。

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真姫「ほんと、いい皇女よね~」

千歌「はい!梨子皇女はいいお方です!」

志保「2人のいいの基準が明らかに違うのが分かるわ」


梨子の許可が出たことで特派は急いでサンシャインの準備に取りかかっていた。絵里の位置も識別レーダーで把握済みだ。


真姫「千歌、今回は装備をかなり充実させたから存分に暴れなさい」

千歌「衝撃砲、ヴァリスですね!それに剣!メーザーバイブレーションソード、でしたっけ?」

真姫「剣の方はMVSでいいわ。長いし」

美渡「サンシャイン準備オッケーです!」


千歌はもうすでにサンシャインに乗っていたため比較的に早く準備が終わる。


真姫「今回の作戦目標は絵里皇女の救出よ。恐らくアクアと思われるナイトメアに襲われているところだから貴方が蹴散らしてきなさい!」

千歌「はい!けど、絵里皇女もかなりの腕ですよね?それでもピンチって事は...」

志保「強敵、がいるのかもね」

真姫「いたとしても私のサンシャインの敵では無いわ。自信持ちなさい」

千歌「それは大丈夫です。梨子皇女にも命令されましたし!」

真姫「大丈夫なら良いわ。さ!行くわよ」

千歌「はい!」


補助機器を全て外し、完全にサンシャインの操縦を千歌の腕に移す。千歌は絵里の元への最短ルートを確認すると勢いよく動き出した。


千歌「サンシャイン、発進!!」

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絵里『ゼロ!!』

ゼロ『お久しぶりですね、皇女・絵里。タワーでの一件以来でしょうか?』


現在穂乃果がいる場所は曜と絵里が戦っている場所より少し離れた場所だ。そこから絵里達を見下す様な位置づけをしている。果南達の助けもあり当初の作戦通りに曜と穂乃果で絵里を挟み撃ちにしていた。接戦を繰り広げていた絵里のナイトメアに銃で攻撃し、機動力を奪ったのだ。


ゼロ『無駄な争いは好きではありません。これ以上抵抗しないでいただきたいのですが?』

絵里『後ろから攻撃しておいてよくも勝ち誇れるものね』

ゼロ『残念ながら私は騎士ではないので』


騎士としての誇り、一対一の決闘への美学、そんなものに穂乃果は興味が無い。あるのはいかに目的を遂行できるかどうか。そして現時点でそれは達成されたと思っていたのだが、


絵里『まぁ、いいわ。こちらとしても貴方が来ることなんて想定済みよ!』


そう言って、エンジェリックは自分より高台にいるゼロのナイトメアに向かって勢いよく動き出した。しかし、そのエンジェリックの上を大きく飛び越えたビギナーズが立ちはだかった。


曜『貴方の相手は私!』


そして迫ってくる右腕を何とか躱して、後退する。


絵里(くっ!このナイトメアさえいなければ!)


実際に絵里はアクアの報告を聞いたときからゼロが自身の所に来ることを予想していた。その上で専属騎士達を解放軍相手に残し、自分を狙いやすいようにした。そして向かってくるゼロをアクアもろとも叩潰す、そのつもりだった。しかし、その思惑はビギナーズによって阻まれる結果となった。


絵里(新型とは言えここまでだなんて。完全に当てが外れたわ)


操縦席の中で絵里はわずかだが悔しそうに顔を歪めた。ナイトメア戦では勝てる、そのための腕も部隊もある。慢心では無く培ってきた自身。だがそれがここに来て仇となった。

そしてさらにビギナーズの攻撃を受け、ナイトメアの質力が低下する。このままではゼロを撃つどころか絵里が撃たれてしまうだろう。


ゼロ『もう一度言いましょう。決着はつきました。このまま大人しく私達の捕虜になってく貰います』

絵里『捕虜、ですって?誰がなるものですか!』


絵里はせめてゼロだけでも、と思い落ちていた銃を拾い上げ照準を合わせた。だが、引き金を引く前にビギナーズの短刀がエンジェリックのその腕を切り裂く。これでエンジェリックは両腕を失った。


絵里(この相手を前にゼロにこだわった私の負け、ってことかしら...)


逃げに徹していればあるいは、と考えたが後の祭り。もはやこの窮地を脱するすべは絵里にはない。


絵里『聞きなさい、私の騎士。これから梨子を支えなさい。これは命令よ』

専属騎士『!!待ってください!!今、向かっております!どうかあと少し持ちこたえてください!!』


絵里は専属騎士への通信を着るとゼロに向かってまた通信をつなげた。


絵里『私にも皇女としての誇りがある。このまま貴方達の捕虜になるくらいなら死ぬわ』

ゼロ『いいのですか?でしたら私達の目標は皇女・梨子になりますが?』

絵里『...どこまでも最低な人みたいね』


実際に穂乃果に絵里を殺す気などさらさらないし、タワーの件で梨子と話しているため梨子には用がない。あっても人質位にしかならない上、その相手となりうる絵里にここで自害されては困るのだ。


ゼロ(絵里ちゃんは昔から誇りとか大事にしてたけどこの数年でさらに磨きがかかってるよ。正直、めんどくさい...)


予想通りに展開ではあるがそうも言っていられない。最悪通信回線を2人だけにして亜里砂のことを話題に出せば、と話を持ちかけようとした時、自分の反対側の森の方から大きな爆発音が聞こえてきた。さらにその音が近づいてくる。それに伴い、地盤が揺れる。そして、向かいの森から勢いよくオレンジ色のナイトメアが飛び出してきたのだった。

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果南『鞠莉!聞こえる?鞠莉!』

鞠莉『果南!?間に合ったのね!』

果南『遅れてごめん。今そっちに向かってるからもう少しだけ待ってて』

鞠莉『けどまだ沢山の音ノ木坂の兵が...』

果南『あー、それは何とかなったから、とりあえずすぐ脱出出来るようにしといてね』


絵里の専属騎士達と戦闘していた果南達であったがしばらくすると向こうが撤退したのだ。果南の考えが正しければ皇女・絵里とアクアが戦闘になったのだろう。よってその救出に向かったと思われる。これで動きやすくなった。


果南(後は鞠莉を助けて撤退っと。アクア達には悪いけど逃げるときの囮になって貰うよ~)


先ほどまで戦闘していた果南達は多少の負傷はある物の、休まずに解放軍本部へと向かった。




美渡「千歌のやつ、ヴァリスで道という道を吹っ飛ばして行っちゃいましたね」

志保「ち、地形を変えるつもりなのかしら?」


サンシャインに乗って出発した千歌は普通の整備されたルートでは間に合わないと判断し、直線コースを行くために荒れた木々や崖をヴァリスで吹き飛ばし、絵里の元へと向かった。どうやらとても気合いが入っているようだ、と真姫は思い、その理由が新装備を試したくてうずうずしているのだろうと解釈した。


真姫「ふふ、千歌もすっかり特派色に染まったわね」

美渡「いやいや!私達はあんな物騒なことしませんよ!」


そしてすぐに千歌は目的の場所へと到着した。



曜「あれは!」


何者かの乱入により、曜は一旦エンジェリックを離れ、ゼロの機体を守るように移動した。すると土煙より、オレンジ色のナイトメアが姿を現した。


曜「あの時の、沼津疎開の時のナイトメア...」


以前、グラスゴーでは手も足もすぐにやられてしまったことを思い出す。しかし、今はあの時とは違う。今は力がある。前の様な結果にはならない。

穂乃果も突然のサンシャインの登場に驚き、その姿を認識すると、仮面の下で苛立ちを表す。


ゼロ「またあのナイトメア!一度ならず二度も邪魔するなんて!」


あとは絵里を捕虜にするだけ、というところでまたしてもこのナイトメアが邪魔になった。しかしこちらは前回と違い対抗できる手段がしっかりとある。今の手負いの絵里なら自分と護衛のナイトメアだけで何とかなると考えた穂乃果はすぐに曜に指示を出す。


ゼロ『ビギナーズ!皇女・絵里は私が捕らえるから、あのオレンジのナイトメアを今すぐ排除して!』

曜『はい!』


返事と同時に曜はすぐさま機体を動かす。そして、敵ナイトメアに向かって右手を繰り出した。



絵里「い、一体何が?」

捕虜になるくらいなら誇り高く自決を、と思い持っていた護身用のナイフで命を絶とうとした絵里の背後より爆発音が聞こえ、一機のナイトメアが表われた。


千歌『ご無事ですか!?絵里皇女!』

絵里『その声は確か特派のイレブンパイロット?』

千歌『はい!救援に参りました!早くここから脱出を!』

絵里『ふざけないで!イレブンに助けられるくらいならここで!』

千歌『私は、梨子皇女の命で参りました!貴方を救出せよ、と』

絵里『梨子が?』


イレブンとは浦ノ星の植民地番号だ。つまりは元は敵。そこに偏見を持つ絵里はイレブンに助けられるのを良しとしなかったが、梨子の名前が出て少し落ち着く。あの梨子が命令を出したことに少しの喜びと、大きな疑問があるがそれが本当なら梨子が絵里の為にこのナイトメアを動かした。


絵里(けど、どうしてイレブン兵なのよ...)


そこにも大きな不満があるが今はそれどころではない。梨子のためにも生きなければと考えを改めた瞬間、特派のナイトメアが大きく飛び退いた。すぐにその後を先ほどまで戦っていたアクアの新型が追う。


ゼロ『思わぬ乱入ですが、結果は変わりませんよ』


ゼロの通信に反応すると、三機のナイトメアが絵里の前にやってきた。


ゼロ『とは言え時間もありませんし、ナイトメアのまま運ばせていただきますね』

絵里『ふふ、あの新型がいなくなったのなら好都合ね』


すると絵里はすぐさま機体を動かし、油断していたゼロの近くのナイトメアにキックを繰り出し吹き飛ばした。


絵里『貴方達程度なら、今の私で十分よ』




ダイヤ「ルビィ、他の部隊はどうですか?」

ルビィ「いつきさん達の部隊ももうすぐ来るって!」

ダイヤ「わかりましたわ。あとは善子さん達の部隊と、ゼロ達さえ来れば...」


逃走経路の確保。これは作戦をするに当たって必須事項だ。いくら敵を倒せても逃げきれなければ意味が無い。ゼロもそれを重視しているようで、真っ先に経路確保を命じ、その指揮をダイヤが執っていた。作戦当初バラバラだったアクアのメンバー達も集まりつつある。


ダイヤ(ゼロの元には曜さんがいるから大丈夫でしょう。...鞠莉さんと果南さん、無事だと良いのですが)


このアクアのメンバーも大事だが同じく大切な幼なじみの2人を心配する。無事に逃げ切れていれば良いのだが。


花丸「あ!善子ちゃん達が来たずら!」

むつ「お、ホントだ!おーい!」


音ノ木坂のナイトメアが付近にいないことは確認済み。後は逃げるだけだ。



従来のナイトメアではとても追いつけないようなスピードでオレンジと水色のナイトメアが激突していた。ゼロや絵里から離れるように移動し、その先を行くサンシャインは自分の後を追ってくるビギナーズにヴァリスで狙い撃ちするも、曜はそれを距離を取りながらしっかりと躱す。曜も連射の合間を狙って急激に距離を詰め右腕をフェイントに、短刀で斬りかかるが千歌もそれに反応し、後ろに飛び退ける。


千歌(油断してた訳じゃ無いけど、まさかサンシャインの動きについてくるなんて...)


千歌は日頃からこのサンシャインが真姫の現時点での最高傑作であることは何度も耳にしている。現に今まで1対1のナイトメア戦においては相手に遅れを取ったことはないし、このサンシャインのスペックに負けないように千歌も操縦者として腕を磨いている。その上で今の戦闘。ビギナーズとは完全に互角だったのだ。つまり向こうのナイトメアの機体スペックも下手をしたらパイロットの腕前も向こうは同等以上かもしれないと千歌は考えていた。


曜(早い・・・ それにあの剣といい、銃といい、やっかいすぎる)


曜も曜でサンシャインの強さを再確認していた。沼津では手も足も出なかったが今は互角に戦えていることにひとまず安心するも、それ以上にサンシャインの強さについて舌を巻く。今日がビギナーズに乗っての初の戦闘だがここに来るまでの戦いと絵里との戦闘でいかにこのビギナーズが優れているかを曜は理解していた。しかしそんなビギナーズですら近づくのがやっとな上に向こうはその装備もあってか近接も遠距離戦闘も隙が無い。


千歌(絵里皇女の方も心配だけど今はこのナイトメアに集中しなくちゃ!)

曜(ゼロの命令はこのナイトメアを倒すこと。今はこのナイトメアを倒すことだけ考える!)


先に仕掛けたのは曜のビギナーズ。ヴァリスで的を絞らせないよう不規則に動ながらもサンシャインにせまる。サンシャインは後退しながらヴァリスで攻撃する。何度かエネルギー弾がビギナーズを掠めるが気にせずに向かってくる動きに対して千歌は遠距離攻撃の可能性を限りなくないと判断し、MVSをしっかりと握らせ、自ら距離を詰めていく。ビギナーズが移動の勢いを乗せて蹴りかかるもサンシャインはMVSで止めた。MVSの刃身がわずかにビギナーズに埋まるも、空いたサンシャインの左半身の胸部に短刀を差し込む。千歌は機体を大きく仰け反らせ、ギリギリのところで回避。強引にMVSを引き抜くと今度はサンシャインがその場で蹴りかかるも、曜はビギナーズの右腕でそれを弾いた。その次の瞬間、サンシャインはヴァリスを構えたままビギナーズに飛び込む。曜はとっさに右腕を操作して受け止めるも押し込まれ近くの木まで押し込まれた。


千歌「ここだ!」


千歌はヴァリスの引き金を引いた。先ほどまで躱されていたが相手が銃口を掴んでいるこの状況であれば回避は不可能だ。エネルギーが瞬時に凝縮し、放出された。しかし、


曜「はっ!」


木に押しつけられた曜は銃口を掴んでいる状況を理解し、すぐさま輻射波動を放った。結果、ヴァリスのエネルギー弾と輻射射波動の熱量がぶつかり合い対消滅したのだ。


千歌「止められた!? ヴァリスが!?」


サンシャイン自慢のヴァリス砲。それが片腕一本に止められたことに驚愕する千歌。

この相手と相対した瞬間から気になっていた大きな右腕。それがまさかヴァリスを止めることが出来るとは完全に想定外だった。

一瞬驚愕した千歌だったが、その隙を曜は見逃さなかった。すぐさま回し蹴りを繰り出しサンシャインの持っているヴァリスを弾く。

右腕に持っていたヴァリスが弾かれたことですぐに次の行動を起こそうとした千歌だったが、それよりもビギナーズの右腕がサンシャインの左腕を掴む方が早かった。


曜「掴んだ! これでお終いだ!!」


すぐさま輻射波動のスイッチを押す曜。しかし千歌も左腕に掴まれた瞬間の別の操作に移った。


千歌(あの右腕がヴァリスをも止める威力があるのなら、それを撃たれたら!)


間違いなくこの機体が吹き飛ぶ。

しかし、運が良いことにビギナーズが掴んでいるのはサンシャインの左腕。そこにもサンシャインの自慢の装備の1つである盾があった。


千歌「ブレイズルミナス!」


曜「輻射波動!!」


今度は輻射波動のエネルギーとブレイズルミナスのシールドが衝突した。

またもや激しく、迸るスパーク。そして先ほどと比べ、今度は小さな爆発が起こった。


後書き

久方ぶりの更新です!
本当にすみません!

皆さん、コロナにはお気を付けて


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1: SS好きの名無しさん 2019-10-05 16:52:17 ID: S:goMrgG

ここにはじめて来たけど面白すぎてはげそう
もう続きこないのかな?

2: SS好きの名無しさん 2019-11-28 15:13:19 ID: S:8CuMCj

続きが読みたいです。

3: チェス 2019-12-05 23:20:50 ID: S:889cn4

>>1,2
コメントありがとうございます!
とても嬉しいです!
それとすみませんでした!
これからはちょくちょく更新していきますので!


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