凛「星空の下で」
真姫ちゃんと凛ちゃんが夜空を見に行くお話です。
初投稿になります。つたない文章ではありますが、見ていただければ幸いです。
それでは♪
「うぅ・・まだまだ外は冷えるにゃ。」
凛はそんなあたりまえのことを呟いてみる。
「当然じゃない。まだ2月の上旬よ?」
隣で真姫ちゃんが茶化す。知ってるよ、ただ言ってみたくなっただけなんだ。凛は笑いながらごまかす。
「それにしても、真姫ちゃんよくこんな場所知ってるね。東京なのにすっごい星が見えるよ!」
「でしょう?私のお気に入りの場所なの。」
今、凛と真姫ちゃんは星を見に来てるんだ。
そこは小高い丘の上、吹き抜ける穏やかな風がくすぐったいや。なんだかそれがすごく心地よくて。
「凛、望遠鏡の準備するからちょっと手伝ってくれない?」
「・・う、うん、わかったにゃ!」
真姫ちゃんに呼ばれるまでぼーっとしちゃってた。えへへ。
そもそもなんで今、凛たちがこうしているのかって言うと、希ちゃんのひとことだったんだ。
μ’sの練習が終わって、凛と希ちゃんと真姫ちゃんの珍しい3人で一緒に帰ってたときなんだけど。
「おっ・・今日はもう木星が見えとるやんな。」
「本当?意外と希って星に詳しいのね。」
「うちはよく星を見るからね。真姫ちゃんもやろ?」
「まあね。今の時期はちょうどオリオン座が見ごろよね。」
なんて、横で話してるのを聴いた凛はさみしくなっちゃったのかな?
「ねえねえ、二人とも凛にも詳しく聞かせてにゃ!」
二人に聞いてみたの。それから希ちゃんと真姫ちゃんは、よく教えてくれたよ!星にまつわる話。
凛の知らないことばっかりで、ますます興味が出てきちゃった。普段の二人とはまた違った表情を見せてくれる夜空に!
「ねぇ凜、そんなに興味を持ってくれたのなら今夜、星を見に行きましょう?もちろんみんなも誘ってね。」
「本当!?わぁ・・凛すっごい楽しみ!」
「ええやん。凛ちゃんは『星空』って名前なんだから見といた方がいいかもよ。きっとご利益があるかもなぁ?」
「まぁウチは今日は用事があるから行けんけど。そのかわり、ウチの分まで楽しんどいて♪」
そういうわけで来たんだけど、結局ほかのみんなも忙しいみたいで来れなかったんだ。
うーん、残念。星座博士ならぬ真姫ちゃん先生が見れたのにね。ふふっ、もったいないにゃ。
「ふう、これで準備は完了ね。」
「望遠鏡って意外と準備するの大変なんだねー。凛、ちょっと疲れちゃったかも。」
「そうね、結構大きいし。鏡体も重いから。凛、ありがとね。」
「冷えたでしょう?はい、これ暖かい紅茶よ。」
そう言って小さな水筒を渡してくる。時々言葉は冷たいこともあるけど、みんなのことをこうやって大切にしてる真姫ちゃんがだーいすきっ。
「ありがとうっ真姫ちゃん!うわぁ・・いい香りがするね。」
いつにもまして素直な真姫ちゃんにうれしくなっちゃった。それにとても寒かったから、差し出された紅茶をすぐ頂いちゃった♪
なんだか心までぽかぽかだぁ。・・でも、お砂糖は入ってた方がよかったかも。
「じゃ、一息ついたところで始めましょうか。」
「まずは操作方法からね。ここのダイヤルを手前に回すと左に、奥だと右に回転するわ。」
「わかった!角度はどうやるの?」
「それは、そのレバーを上下に動かせば大丈夫よ。もっとよく星を見たいときは言って。レンズを変えてあげるから。」
真姫ちゃんのレクチャーも受けて、いよいよ凛達二人の天体観測開始だよ!夢中になりすぎて、あんまり遅くならないようにしなきゃね。
「おおーっ、あれが木星かー。変わった模様をしてるにゃ。」
「その模様は表面を覆うガスや氷、ちりで出来てるのよ。それと常に動き回ってるでしょ?」
「あっ本当だ!どうしてなの?」
「木星の内部はとても強い風が吹いてるの。だから表面の模様がせわしなく動いているのよ。」
「流石は真姫ちゃん!とっても詳しいね。」
「じゃあさじゃあさ、あのてっぺんの白い場所はなに!?」
「それはね・・。」
真姫ちゃんはやっぱりすごいや。凛がわからないことはすぐ答えてくれる。本当の先生みたい!
こうやってじっくり星を見ることがこんなに素敵だったなんて、知らなかったにゃぁ。よーっし、まだまだ教えてもらわなくっちゃ。
「あの星がミ・・・ミゲルだよね?」
「それじゃ人の名前みたいじゃない。惜しいわ、リゲルよ。」
「ありゃ?そうだっけ。でも場所はあってるよね?」
「ええ、オリオンの左上がリゲル。よく覚えてるじゃない。」
「うん、授業でならったからね!凛も全部忘れてるわけじゃないにゃ。」
「そうね、えらいえらい。」
「なんか、バカにしてないかにゃそれ?」
「そんなことないわよ?ちゃんとほめてるじゃない。」
そんな他愛のないやりとりをしながら凜は、観測を続けてみるよ。望遠鏡で星を見ていると、気分はまるで船長さんだね。
広い宇宙の中を泳いでいくみたい。凛が船長さんなら、今の真姫ちゃんは航海士さんだにゃ。凛が迷わないように道を示してくれてる。
くすくす、なんだか案外ぴったりかもね。
「そろそろ、お終いにしましょうか。明日もμ’sの練習はあることだし。風邪でもひいたら大変だわ。」
「もうそんな時間?・・本当だ、あと少しで10時だにゃ。」
真姫ちゃんの一言で、携帯を確認した凛はびっくりしちゃった!
楽しい時間はあっという間だね。気が付いたら、2時間もたってたなんて。
「凛、どうだった?たまにはこうして夜空を眺めるのも悪くないでしょう?」
「すっごい、よかったよー!ええと、うまく言えないけど感動しちゃった!」
あはは、さっきから興奮しっぱなしの凛の言葉はまるで子供みたいだにゃ。でも、感動したのは本当なんだよ?
さっきまで見ていた景色は今まで見たことが無くって、凛の知らない世界が広がってたんだもん!
まるで、μ'sのみんなみたいにとってもキラキラしてて、いつまでも見ていたいたかったのになぁ。
「ふふっ、凛らしいわね。」
真姫ちゃんはどこか可笑しげに言うんだ。それにつられて凛まで、自然と笑えてきちゃう♪
こういう何気ないことが、大切なことだよね!それにやっぱり真姫ちゃんは、笑顔のほうが可愛いにゃ。いつも、笑顔でいればいいのにね。
・・そしたら、穂乃果ちゃんと一緒だーっ。そんなことを考えてたら凛は、ますます楽しくなってきちゃった。
「・・ねえ凛、知ってる?星の輝きってね、おみやげなのよ。」
片づけも終わった時、ふいに真姫ちゃんが語りかけてくる。
「うん?それってどういうこと?」
「星はね、いずれ消えてなくなってしまうの。そのときに、精いっぱいの輝きを残してね。」
「だから、今私達が見ている光は、その星が一生を終えた証なのよ。」
「えーっ!?じゃ、じゃあ、そこにはないのに光ってるってことなの?」
つまり見えないのに見えてるってことなんだよね?凛のあたまじゃ、難しくってよくわかんないよ~。
宇宙は不思議がいっぱいだにゃ!ますます興味が湧いてきちゃった。
「そうなの。あの光には、歴史が詰まってるのよ。」
凛の言葉にうなずく真姫ちゃんは、どこかさみしそうで。不安そうで。
なんだか真姫ちゃんが、今にも消えちゃうんじゃないかって思っちゃった。
「・・・私達もなにかを残せるのかしら。あと一か月で。」
真姫ちゃんが言ったことに、どきりと心臓が跳ねるような気がしたよ。
まさかここで、絵里ちゃん、にこちゃん、希ちゃんが出てくるって凛は思ってもいなかったから。
そっか、あと一か月なんだね。凛達が『μ’s』でいられるのは・・・。時間って残酷だなぁ。
知らないうちに凛は、真姫ちゃんの手を握っていたよ。自分のためなのか、真姫ちゃんのためなのかはわからないけれど。
「大丈夫だよ。凛も、真姫ちゃんも、ほかのみんなも、一緒になって頑張ってるもん!」
「きっと凛達の輝きは、お星さまにも負けてないはずにゃ!」
「・・っ、そうよね。嫌だわ、私ったら珍しく自信を無くしてたみたい。」
「こんな素敵な仲間がいるんだから、何も残らないわけがないわね。」
「大きな輝きを、あのどこか頼りない人たちに残してあげましょう。」
よかった。自分を勇気づけるための言葉だったけど、凛の気持ちは、ちゃんと伝わったみたい。
さっきの真姫ちゃんとは違って、なんだか火がついてるようだよ。あははっ、負けていられないや!
「うんっ!明日からも凛達は、キラキラ全開でいっくにゃーっ!」
綺麗な夜空に、小さな熱い思いが二つ、ううん、みんなおんなじだよね?だったらそれは、九つだねっ!
そう思ったのはきっと、今日お星さまにエネルギーをもらっちゃったからかな?希ちゃんの言ってたご利益ってこれかにゃぁ。
今もらった分は、ちゃあんと凛達は返しに来ちゃうよお星さま。それこそ、おつりが出るくらい全力でμ’sは輝くんだから。
だから待っててよ?今度みんなで来る時までね。
真姫ちゃんの趣味である、天体観測が生かされている描写を見たことがなかったので、つい衝動的に書いてしまいました。この二人で天体観測をするっていうと、スクフェス11月の星座編を思い出しますが、あえて時間をずらしています。文章を書くのは難しいものですね。ただ、これからも精力的に書いていきたいなと思います♪長くなりましたが、これにて失礼します。
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