P「――美希。俺は春香が好きなんだ。」
二作目を書き終えたので少し?かなり?修正しました。あ、あとコメディではないです;;なぜか作品要素消せなくって;;
アイマスのミキミキとはるるんとPさんが登場します。
かなり短く、処女作でもあるので超軽い気持ちで見てください!!
少しでも楽しんでくれたら幸いです。
美希の顔から血の気がスーッと退いた。プロデューサーに対する愛情が美希をなんとか立たせている。
うろたえる美希の前にはプロデューサーと春香が立っている。手をつないでた。
――恋人同士の握り方だ。
そんな事を思う美希に二人は特に気を払っていない。
二人とも幸せそうな笑顔を美希に向けている。こんなに幸せそうな顔をするプロデューサーを美希は見たことがなかった。
「なんでなの?どーしてなの?」
美希が問いかけても笑顔のまま二人は何も答えなかった。
――ねえ、ハニー…
続けてプロデューサーを呼んだ。
そう呼ぶといつもプロデューサーは色んな顔を美希に見せた。美希はそれを見るのが大好きだった。
自分だけしか見れないプロデューサーを見ている。そんな感覚にいつも美希は浸っていた。
今の彼の表情は美希がずっと見たかったものだった。
しかし美希の心は少しも明るくならない。どこまでも深い闇が心包み始める。
――この顔は、春香、に、見せて、いる
もう、ハニーの心の中に私は入れないのだろうか。その場所は春香のものになってしまったのか。
そんな思いが強い絶望と虚無感に変わり美希の心を捥いでいく。
息が詰まった。目に映るもの全てが歪んで見える。
美希の足から力が消える。膝が折れた。
美希は二人を見上げた。
歪んが視界で二人の笑顔を認める。
歪んだ春香は笑顔のまま美希に話しかけた。
――美希。私がプロデューサーさんを幸せにするね。
そう言ってプロデューサーと春香は体を美希に向けたまま離れていく。
美希は何も返事ができなかった。二人を、というよりもプロデューサーを歪んだ自分の視界に入れておくのが精一杯だった。
――ハニー。待って。
自分の頭で言葉を紡ぐのがやっとだった。それを外に出す気力は心のどこにも見当たらなかった。
二人はどんどん離れていく。歪みが段々と落ち着いていく。
どんどん二人は小さくなる。
手を伸ばしたい。彼を呼びたい。彼の心を…。
そう思いたかった。まだ…諦めたくないって思いたかった。
――でも。
――春香の方が美希より…
――お菓子も上手だし、ハニーと仲良しだし…
――それにハニーがすごく幸せそう
――もしかしたら…これで良いかもしれない
二人の姿が見えなくなった後、美希はまた歪みを感じる。
しかし歪みだと思っていたそれは視界ではなく体を揺らすようなものだった。
美希は何も抵抗せずに体の感覚を任せた。
何かに包まれるような感覚だった。水中にいるようだ。と美希は思った。
美希を包むものが熱を持ち始める。徐々にやわらかいぬくもりに変わる。
ぬくもりからは懐かしさが伝わる。
安心してしまうような、美希の心を焦がしてしまうような懐かしさだった。
荒れきっていた美希の心は丁寧に音を鳴らし始めた。
しばらく美希はぼんやりしながらぬくもりに身を預けていた。もう美希の心を襲う感情は消えていた。
どこかで美希を呼ぶ声がした。その声は美希の意識をはっきりさせる。
――美希。
いつの間にか目の前に白い光を放つ玉が泳ぐように浮いていた。
その玉から声が聞こえてくる。
――おーい。美希ー。
心地よい波が美希の耳をくすぐる。
美希はこの声が誰のものか知っていた。頼りなさを残しつつもまっすぐで暖かい声だ。
美希は光る玉に手を伸ばす。そして光る玉喋りかけた。
――ねぇハニー。悪い夢から早く起こしてほしいの。
光る玉をつかんだ。そしてそっと自分の胸に沈める。
「――やっと起きたか。大丈夫か?」
目の前にプロデューサーがいた。少し心配そうな顔で美希を見ている。
あの笑顔は浮かべていなかった。
美希はぼんやりとした意識でプロデューサーの頬をつねる。
痛たたたたた。と苦い顔をしている。
美希はプロデューサーの頬をつねりながら周りを見た。どうやら事務所のソファで寝てたらしい。
美希「ここは夢じゃないの。」
P「や、やるなら自分のでやってくれよ。」
美希「早く起こさなかったバツなの。」
自分の頬を手のひらで優しく捏ねるプロデューサーを美希が眺めていると後ろから声がした。
「――何度も声をかけてたんだよ?」
春香がそう言いながら水の入ったグラスを美希に差し出した。
美希は春香に礼を言ってグラスに口をつけた。
水が喉を通り抜けると同時にぼんやりとした意識がはっきりしたものに変わっていく。
そして初めからここで寝ていたわけじゃなかったことに気付いた。
美希「仕事が終わって車の中で寝た覚えがあるの」
今日最後のお仕事を春香と終えて、車の中で眠りにつこうとしていた記憶がよみがえってきた。
P「そうだよ。あれから3時間くらいは寝てたんだぞ。」
プロデューサーは苦い笑みを浮かべながら自分のデスクの椅子に腰を下ろした。
春香「ホントに起きてくれなくって困ったんだよー」
春香は美希の向かいに座って笑顔を浮かべている。
夢の中の春香とはまた違ったいつも見る笑顔だった。
春香「しかも車の中でうなされたから私とプロデューサーさん心配してたんだよ?」
美希「それは春香がどろぼう猫だったからなの」
春香「ええっ!?私なんにも盗ってないよ!?」
美希「どろぼう猫はみんなそう言うの。だから春香はどろぼう猫だよ。」
美希は頬を膨らませながらそっぽを向いてしまった。しかしその態度はどこか安心しているような、楽しそうな感じだった。
そんな態度を春香は感じた。だから美希の言うことを真に受けなかったがそれでも苦い笑みを浮かべるしかできなかった。
春香「う、うーん。よくわかんないけどプロデューサーさんにおんぶされてる時はすごく幸せそうだったよ。」
――おんぶ。その言葉と一緒に美希の頭の中には映像がうかんだ。
ハニーの背中に体を預ける自分。それはとてもあったかくてとても幸せな気持ちに包まれるだろうと美希は思った。
同時に残念な気持ちと少しの怒りを感じた。
美希は拗ねたような顔をプロデューサーに向けた。
美希「ねぇハニー?美希はちょっと怒ってるよ」
P「え、えーと…。ご、ごめんな美希。なかなか起きてくれなかったら仕方なく...」
プロデューサーは困惑した表情のまま美希に謝罪した。おんぶをしたことに対しての謝罪らしい。
――ハニーはどんかん、なの。
美希「美希が怒っているのはどーしておんぶしてる時に起こさなかったかなのー!」
美希は少しだけプロデューサーを叱り、おんぶされる映像をまた浮かべた。
想像ではなく実際の映像を残せなかったことは、美希にとってとても惜しいものを逃した気にさせる。
P「で、でも俺は悪いと思って起こそうとしたんだぞ!?でも春香が『やめときましょう』って!」
プロデューサーはおかしな言い訳を始めた。美希は何を言わず彼に顔を向ける。
――ハニー、子供みたいでかわいいなぁ。
と美希はなんとも言えない愛くるしい気持ちを頭の中に弾ませた。
が、それを隠すように目つきを鋭くして春香に顔を向ける。
春香は驚き、あちこちに目をやっている。
美希は大きく息を吸った。
そして…
「――やっぱり春香はどろぼう猫なのー!!」
終わり。
処女作です。とりあえず完成を目指して頑張りました。結構疲れますね!!!w
でも楽しかったです。感想等お待ちしてます。
あと今作は小説と会話調のSSが混ざったような書き方でなおかつ一般的な小説とは異なりスペース空けなかったり改行しまくったりしているので見やすさ等に問題があるかもしれないです(泣)
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