2021-02-16 17:03:12 更新

概要

http://sstokosokuho.com/ss/read/20254
の続きです
今はもう退役したとある提督と艦これの世界の生まれから今現在へ至った歴史を現実の出来事を踏まえ、史実を踏まえ、振り返りながら、懐かしみながら語るお話

更新はやる気と気分ですのて気まぐれです
イベントが始まれば更新頻度は上がります


前書き

この物語はある提督と艦娘たちの歴史をたどる物語
なぜ奴らが生まれたのか、なぜ彼女たちじゃなければだめなのか
なぜ、どうして、その疑問を時にリアルに時にSFに解き明かしていく物語となる
2013年艦これに何があったのかどう進化を遂げていったのかそれを解き明かす


五月雨と榛名、提督の中が深まったその日


提督室にて


提督「うっわ緊張する……」


提督は受話器片手に震えている


五月雨「がんばって!」


ことは数十分前


大淀「昨日の報告がまだみたいですよ?」


派遣されてきている大淀が昨日の報告を急かしてくる


提督「う……し、しようとしてるよ……。でもなんで報告すれば……」


大淀「普通に報告してください。起きたことを全て。それがあなたの仕事ですよ?」


明石と違って距離を縮めようとしない大淀

言葉の端々に刺がある


提督「仕方ない……。番号教えてくれ」


大淀「目の前の書類に書いてありますよ?なんでその程度のことも分からないんですか」


提督「いい加減泣くよ?大泣きするよ?」


大淀「ご勝手に」


五月雨「榛名さん……」


2人のやり取りを遠くから見ていた榛名と五月雨


榛名「よくも私の提督を……」


五月雨「いや榛名さんだけの提督じゃないですよ?」


榛名「提督頑張ってください……」


提督「くそ……。ここまでトゲトゲしいとやりにくい……」


大淀「悪かったですね。御託はいいので早く電話を」


提督「わかってるよ。番号は……」


渋々電話をかける


受付「こちら海軍基地第1駐屯地です。御用はなんでしょうか?」


受話器からは無機質な感じようのない声が返ってくる


提督「ち、中佐をお願いします……」


受付「所属をお願いします」


大淀「っふ」


提督「ちくしょう……。リンガ泊地所属第8鎮守府の提督です」


受付「承りました。少々お待ちください」


提督「くそ……」


横目で五月雨を見ると両手を握って頑張れと表情で伝えてくる


中佐「もしもし?」


提督「お忙しい中申し訳ありません。昨日あったことの報告をしたくてお電話させてもらいました」


中佐「あー君か。あの後艦隊活動はどうだ?」


提督が提督になって半月たった時に中佐は鎮守府に視察に来ていたのだ

艦娘に手は出していないか、提督としての資質はあるのか、ほかにも色々と見ていっている


提督「ご無沙汰しています」


中佐「昨日のねぇ。報告書は読ませてもらった」


中佐「君の五月雨が復活したことについては上にあげてはいない。そんなことしたら研究所行きだからな」


提督「ありがとうございます。私は提督として失格ですか?」


船を沈め、他にもいろいろと思い当たる節があり思わず質問してしまう


中佐「何故だい?君の技量はギリギリではあるが人柄もあって艦娘は付いてきているだろ?」


提督「確かにそうではあります」


ちらりと横目で大淀をみる

大淀に睨み返される


提督「ですが、艦娘を、部下を沈めるというのは提督としては失格では?」


中佐「確かに。だが誰だって同じことはする」


中佐「酷いところでは沈めるのを前提の戦い方をする提督もいるのだぞ?それに比べれば君なんてまだまだ青い」


提督「え……?わざと……?」


中佐「ああ。囮や盾にして主力の消耗を抑えたりする最低な提督もいるんだぞ?」


中佐「むしろ君の意欲も含めて提督としては続けて欲しいと思っている」


中佐「君がどう成長してどんな結果を残すのか。私は君を買っているのだぞ?」


提督「そんなにですか。なんだか緊張して損しました」


中佐「ははは。本当に君は面白い。大淀から色々と話は聞いている。ともう時間か。すまない。次の仕事があるので失礼するよ」


提督「お時間ありがとうございます。大淀が私のことをですか?」


中佐「それは次に話そうではないか。やめないでくれよ?」


提督「私を支えるもの達のためにもそのような選択肢はないように頑張ります」


中佐「頑張りたまえ。では」


世間話も含めて少し話をした後受話器を置く


提督「大淀は中佐に俺をどう説明してるのかなぁ?」


ニヤニヤと笑いながら大淀に問いかける


大淀「なにも?それと気持ち悪いので視界から消えてください」


五月雨「さっきから聞いてれば!なんでそこまで提督を目の敵にするんですか!」


我慢の限界が来たのか大淀と提督の間に割ってはいる五月雨


大淀「目の敵?全てが自分の味方でぬるま湯に浸からないように私たちみたいな汚れ役がいるんですよ?」


提督「なるほどな」


五月雨「提督はそれでいいんですか!!」


提督「良くはないけど大淀が言っていることも一理ある」


大淀「今日の私の仕事は終わりですね。また後日上への報告も含めて確認に来ますので」


そう言い残すと足早に部屋から出ていく


提督「にしてもホント緊張したわ」


自分の椅子に深く腰かけて脱力していく


榛名「お疲れ様です。お茶を入れましたので一服してください」


提督「ありがとうな。それとさっきの発言はなんだ?」


榛名「発言……とは?」


提督「私の提督ってところ?」


榛名「ああああああれは!!!きき聞かれてたんですか!?」


提督「昔から俺への言葉だけは耳がいいのでな。お前のものにいつなったんだ?」


榛名「あ、あれはですねー」


五月雨「ふふ。面白い」


榛名「も、もういいじゃないですか!」


顔を真っ赤にして話を終わらせようとする


提督「そこまできにしてないからいいよ。仕事も溜まってるし職務しますか」


机を向いて座り直すとペンを持って書類に書き込んでいく


五月雨「本当はどんな意味なんですか?」


少し距離を置いて榛名に問いただす


榛名「べ、別にいいじゃないですか!私たちは部屋の掃除と書類のダブルチェックです。今日はどちらをやりますか?」


あの後二人で秘書艦をやり仕事を分担している


五月雨「なら今日は掃除にします」


榛名「わかりました。道具はあちらに揃っているので上から順に掃除していってください。くれぐれも提督にホコリを被せないようにしてくださいね」


五月雨「しませんから!」


榛名「えー。この前なんて濡らした雑巾を提督にぶつけてたじゃないですか」


五月雨「あ、あれは!手が滑ったというか……」


榛名「その前は提督の前で盛大に転んでぱ……」


五月雨「もう!何度も言わないでください!私だって恥ずかしいんです!」


提督「少し声が大きいぞー」


書類に集中してたが2人の声が大きく注意する


榛名「まったく。提督に怒られたじゃないですか」


五月雨「わ、私のせいですか!?」


榛名「どうでしょうね。早く仕事に取り掛かりますよ」


そういうと提督の隣の席に座って書類のチェックを始めてしまう


五月雨「行っちゃったよ……。私も掃除しよ」


五月雨は隣の部屋から道具を持ってきて……盛大に提督にぶつけてしまう


提督「……のやろう……」


五月雨「す、すみません!」


提督「君のドジも慣れたとはいえ……」


五月雨「……」


提督「榛名の目もあるんだぞ?控えなさい」


五月雨「はーい」


道具を片付けて掃除を始める

途中提督の目の前で倒れたりものを倒したりしていく


提督「なんで彼女に掃除を?」


書類を片付けながら片手間で榛名に質問する


榛名「やれると思ったので……」


提督「むしろ部屋を散らかしてる気がするが……?」


榛名「すみません……」


提督「まったく。五月雨ちゃんこっち来てくれる?」


部屋の隅で掃除機とカーテンの戦いを必死に止めている五月雨を呼ぶ


五月雨「なんでしょう」


提督「掃除はもういいからお茶でも入れてくれない?」


五月雨「まだまだ残って……いえ、すみません」


表情を暗くした五月雨はお茶を入れにキッチンに行ってしまう


提督「いやまて……この前あの子にお茶を入れてもらった時……」


榛名「なんでそれを忘れるんですか……」


数日前五月雨がお茶を入れた時は提督に熱々のお茶を急須ごとかけている


提督「でもあの子は成長してますし今度は大丈夫では?」


榛名「嫌な予感がするので重要書類は片付けますね……」


五月雨「お、お茶入れてきました!一息付き……きゃぁ!」


案の定五月雨はバランスを崩して倒れてしまう


提督「またかよ!って危ない!!」


提督は自分に飛んでくると思っていた

だが運悪く五月雨は転けた拍子に真上におぼんを投げてしまったのだ


榛名「て、提督!?」


提督はそれを見ていち早く飛び出して五月雨に覆い被さるようにお茶から守る


提督「あっつい!!」


頭から背中にかけて広範囲にお茶がかかる


提督「あつつつ!!っだぁ!!」


ボタンを壊しながら無理やり上着を脱ぐ


五月雨「な、なんで庇うんですか!?私ならあの程度!!」


提督「や、火傷はしてないな……。前も言っただろもう君を傷つけたくないんだよ。治るからいい?そういう問題じゃないだろ」


五月雨「私のせいですみません……。というか提督はいつまで私を抱き抱える気ですか?」


提督「へ?」


提督「あーいやーこれは……」


榛名「はぁ……」


提督「もういいや。君が何かをすると俺が怖いからこのまま膝にいろ」


五月雨「ふぇ!?どうしてそうなるんですか!!」


榛名「ほんとこの人は……」


提督「榛名は部屋の片付けと掃除の続きを。五月雨ちゃんはこのままチェックをお願い」


五月雨を抱き抱えて椅子に座って書類を手渡す


榛名「私は理解してるので何も言いませんが他の人が見たらなんて言うと思いますか」


提督「もういいやろ。五月雨ちゃんもこれを望んでるって前言ってたし。それにちょうどいいサイズだから書類のチェックの邪魔にもならんし」


五月雨「むぅー」


五月雨「あれ?なにか……」


提督「はーいそこ気にしない」


五月雨「でも……」


提督「気にしない気にしない。君のドジで仕事が遅れてるんだから手早く終わらせるよ」


五月雨「なら私はどいた方が……」


提督「今度は何する気だ?俺の前でまた転ぶか?」


五月雨「でもこのままじゃ邪魔ですよ?」


提督「邪魔じゃないって君ぐらいのサイズなら頭の上からでも書類仕事できるって」


五月雨「いまちんちくりんって言いましたね!!」


提督「どうして!?」


榛名「ほんとこうして見ると親子みたいですよね」


榛名はこぼれたお茶を片付け部屋の掃除の続きを終わらせていく


提督「いい加減五月雨ちゃんのシャンプーの匂い覚えてきたわ」


五月雨「な、何嗅いでるですか!?」


提督「最近ずっとそばに居るし近くにいるといい香りするんだよね」


五月雨「あー恥ずかしい。よくもそんな変態じみたこと言えますよね」


榛名「まったく。なんであなたは恥ずかしめもなくそういうことが言えるのですか」


提督「五月雨ちゃんを膝に置いてると匂いがね……」


五月雨「最低です」


榛名「ほんとです。それと先程壊した制服を直しておきましたよ」


テキパキとこなしていた榛名は掃除を終わらせボタンを付けてくれる


提督「君ってなにやらしても完璧にこなすよね」


五月雨「むぅー」


提督「そこむくれない。頭でも撫ぜてやろうか?」


そっと頭に手をおくて振り払われる


五月雨「セクハラですよ?」


提督「もうすでにそのラインは超えてるから気にしてなかったわ」


榛名「提督の膝でニヤニヤしててよくそれが言えますよね」


提督「え?五月雨ちゃんそんな顔してたの?!」


五月雨「あーもう!」


榛名「ふふ。仕事もだいたい終わりましたし夕食にしますか」


提督「そうだな。今日はカレーにするか」


五月雨「昨日もでは?」


提督「まぁいいじゃない」


五月雨「さりげなく手を握ろうとしないでください」


榛名「スキンシップはそこまでです」


提督「はーい」


3人は間宮亭に向かい夕食を食べる


数日後

8月に入ってすぐ


榛名「提督。書類が届いてます」


提督「ん?なんだろう」


榛名から手渡された書類を破いて中身を確認する


「南方海域強襲偵察作戦への参加申請。貴殿の実力が着いてきたことにより大規模作戦 の参加資格を与える」


提督「大規模作戦?」


「作戦内容は南方海域に多方面から進出して敵の補給場所や本拠地を発見。それらを破壊する」


提督「まじか。俺も作戦に参加できるまでに実力つけたってことか」


榛名「おめでとうございます。いつからですか?」


提督は書類を読みといていく


提督「いやこれ半月前から実行されてるやん」


榛名「となると今までは提督の実力がなかったから?」


提督「そうなるな。ある程度情報が上がってるからそれを調べて編成を決めて作戦海域に向かうか」


情報開示

大規模作戦

年に4回ほど行われる作戦(イベント)

各海域のボスを倒してゲージを破壊するのが主である

この時代ではゲージの自然回復が当たり前でそれ前提の攻略が行われるのがメインであった

各海域を攻略すると限定装備等が貰える


提督「とりあえず榛名はここで待機。メインの重巡と軽巡に駆逐艦で海域を偵察してくれ」


榛名「不服ですが了解しました。五月雨ちゃんはどうします?」


提督「今日はまだ見てないね。君と一緒に待機だ。あの子をはもう戦わせたくない」


榛名「了解しました。20分後に港に来るよう全員に伝達しますね」


その後 愛宕、夕張、天龍、響、時雨、夕立、暁の6隻編成で海域を偵察。何とかボスがいる場所まで到着する


天龍「なんだ?敵の数が足りないぞ?」


最深部まで来るが敵が3隻しか見当たらない


夕張「待ってください。ソナーに艦あり。敵潜水艦を3隻確認しました」


響「敵の潜水艦を発見!!」


時雨「ダメだ!」


愛宕「どうするぅ?」


天龍「俺たち軽巡と重巡は敵水上艦を要撃だ。駆逐艦共は敵潜水艦に注意して攻撃してくれ」


五月雨が倒れたあと榛名の補佐に天龍が入った


提督「潜水艦か……。今まで戦ったことないが……」


五月雨「だ、大丈夫ですよ……」


その後何とか敵部隊をしりぞけるが敵旗艦の潜水艦を取りこぼしてしまう


響「戻ったよ。敵旗艦は逃がしたよ」


天龍「すまねぇ……」


提督「いやいいんだ。装備も潜水艦用じゃなかったし今日からしばらくは装備を作ることにする」


榛名「装備と言いますがわかってますか?」


提督「わからん」


榛名「あっちに行きましょう。潜水艦について1から説明してあげます」


提督は榛名に連れられて隣の部屋に行ってしまう


五月雨「お疲れ様。勝てそう?」


夕立「んーわかんないっぽい」


五月雨が倒れたあとは様々な艦種を育成し始めた提督


時雨「仕方ないよ。ソナーもなしに潜水艦と戦う方が無理ってもんだね」


五月雨「そっか。無事に帰ってきてね。もうあの人を悲しませたくないから」


魚雷を食らっている五月雨が言うと説得力がある


しばらく(3時間)して提督が戻ってくる


提督「あそこまで詳しく説明してくれるとは……」


片手にいつものノートを持っているが提督はぐったりとしている


榛名「私たちは敵の潜水艦が誰しもトラウマなんです」


響「そう……だね……」


暁「ほら泣かないで」


泣きそうな響を暁が抱きしめる


響「やったぜ!」


提督「そんな相手と戦わせて済まないな。だが今回の大規模作戦は俺の実力がどこまでついているかを図る試験でもあるんだ」


榛名「仕方ないです。今度は榛名も出撃します。愛宕さんすみませんが変わって貰えますか?」


愛宕「いいわよぉ。榛名さんの方が適役だと思うわぁ」


提督「今日はみんな休んでくれ。俺はこれから工廠に行くわ」


五月雨「お供します」


艦隊を解散させて工廠に移動する

そしてソナーを作成する


提督「全く開発できません」


20回ほど開発するが対空砲辺りしか開発できない


榛名「私が秘書艦ですからね」


秘書艦の艦種によって多少開発できる装備に偏りがある

だが提督はそのことに気がついていない


提督「五月雨ちゃん頼める?」


五月雨「私でいいんですか?」


提督「戦わせるわけじゃないからいいよ」


秘書艦を五月雨に変更して再度開発する


謎のペンギンもどきを超えて九三式水中聴音機を開発する

その後何度か開発して合計4個開発する


提督「あとはこれを駆逐艦と軽巡に装備させて……」


その後装備を変えて夜を迎える

カレーを食べたあとその日は就寝する


次の日


提督「榛名を旗艦として夕張、天龍、響、夕立、暁で出撃してくれ」


榛名「榛名了解しました!みなさん!提督に勝利を!」


榛名の合図で全艦出撃する


五月雨「勝てますか?」


提督「勝つしかないでしょ」


艦隊の後方から船でついて行く提督たち


五月雨「わたしも……」


提督「ダメだからな」


五月雨「ぶー」


提督「お前だって俺の思いわかってるだろ?」


五月雨「ふふ。わかってますよ」


榛名「提督。敵主力艦隊と会敵しました」


昨日より早く最深部に到着する


提督「早くない?」


天龍「こいつが片っ端から薙ぎ払ったからな」


五月雨「すっごい……」


榛名「私の前にはこの程度障害にもなりません!」


提督「ほんと君って強くなったよね。それじゃ潜水艦頼むね」


榛名「任せてください。水上艦は榛名が全て相手します。皆さんは潜水艦に集中してください」


響「それじゃ榛名さんに負担が……」


榛名「たかが戦艦の1隻榛名は大丈夫です」


夕立「榛名さんって戦闘になると纏うオーラ?違うっぽい!」


榛名「敵に気づかれました。それでは手筈どおりお願いします。あなたたちは私が守りますので」


敵の砲撃が来るが榛名は軽々と躱しカウンターを入れる


暁「榛名さんの為にも早く倒すわよ!」


各艦ソナーを起動して敵潜水艦を索敵していく


響「見つけた。2時の方向に2隻、4時の方向に1隻いるよ。敵魚雷が来るから回避お願い」


2方向からの魚雷が艦隊に向かってくる

榛名は敵との交戦をしながら魚雷を躱す

他の艦も回避していき敵の攻撃を凌ぐ


天龍「おら!俺たちの番だ!お前たち行くぞ!」


各艦爆雷を構えて潜水艦の頭上に移動する


夕立「ぽーい!」


手に持った爆雷を、艦後方から爆雷を、爆雷を投げる様々な方法で攻撃していく


榛名「始まりましたね。戦艦は……これで!仕留めました」


中破していた戦艦を砲撃で沈め軽巡に標的を合わせる


榛名「危ない!」


視線を移したと同時に軽巡は暁に砲撃を放っていた

それを見た榛名は全速力で暁の元に向かい回し蹴りで砲撃を蹴り飛ばす


榛名「多少のダメージはなんとでもないです!暁ちゃん大丈夫ですか?」


暁「っひ……」


榛名「大丈夫そうですね」


暁「び、びびってないわ!暁はれでぃなんだから!」


榛名「もうすぐこちらはかたがつきます。そちらは?」


夕張「あと1隻よ」


榛名「もう一押しです!油断せずに行きましょう!」



提督「俺の気のせいか?今あいつ砲弾を蹴り飛ばしたよな?」


戦いを遠くから観察していた提督は榛名の姿を見ていた


五月雨「気の所為じゃないです。確実に蹴り飛ばしてます」


提督「あれダメージ入ってるよな?」


五月雨「小破には届いてないです」


提督「どんどん彼女強くなるよ」


五月雨「あなたにいいところを見せたいだけですよ?」


提督「はは。嬉しいようななんというか」



響「敵潜水艦を撃破。そっちは?」


榛名「こっちは少し前に終わってます。周りの索敵をしていたところです」


天龍「んじゃ提督んところに戻るか」


敵艦隊壊滅。その報告を提督に行い艦隊は鎮守府に帰還する


榛名「お疲れ様です。皆さん少し休んだ後再度出撃します」


提督「道中の安全と勝てるかの確認のために俺たちはついていってた。次からはちゃんとここで待つさ」


その後何度か出撃した後その日の活動を終える


提督「榛名ひとついいか?」


榛名「なんでしょう?」


提督「今日君は何回敵の砲撃をいなした?」


榛名「えーと……5回ほどですね」


提督「もひとついいか?君はなぜ中破しないんだ?」


榛名「それはダメージをコントロールしてるからですね。直撃しないように上手く躱したりいなしてるからです」


提督「痛くないのか?」


榛名「痛いですよ?けれど他の娘達が傷つくよりかは痛くないです」


提督「はぁ……」


榛名「え、え?榛名何かしましたか?」


提督「なんで君はそう自分の身を顧みずにそんな行動が取れるな」


榛名「ですが……」


提督「そのおかげで被弾も少なくて済んでる。けれどその度に俺がどれだけヒヤヒヤしてるかわかるか?」


榛名「すみません……」


五月雨「素直にかっこいいって言えないんですか?」


提督「おい」


五月雨「提督は回し蹴りや裏拳。他にも色んな方法で砲弾を弾き返す榛名さんのことがかっこいいって言ってたんですよ」


提督「あー……いやー……」


五月雨「他にも見えそうとか綺麗とかあとんごご!」


提督「お前の口はホントどうなってんだよ!」


おしゃべりを続ける五月雨の口を手で塞ぐ


榛名「榛名……榛名感激です!提督が榛名のことをそれだけ見ていてくれるとは!」


提督「口下手だからあんまりそういうこと言えないんだよ……」


五月雨「ほんとです」


提督「ま、まぁいいや。あと少しで海域を攻略できるが、今日はもう休もう」


榛名「榛名はまだ戦えます」


提督「君が良くても他の子達がダメなの。疲労溜まってるの」


榛名はMVPを取りやすく疲労が貯まりにくい

が、他の艦娘はそうは言えず疲労が溜まってしまっている


榛名「すみません……」


提督「いいって。明日も1度挑戦すればいいんだし」


五月雨「いい加減夕食食べに行きましょうよ」


榛名の手を引っ張る


提督「俺には触れてくれないのね」


五月雨「だって何されるか分からないもの」


提督「俺をなんだと思ってるんだよ……」


榛名「五月雨ちゃんをベットに引きずり込んだのを榛名は忘れませんよ?」


提督「うぐ……」


五月雨「ふふ。行きましょう!」


その後艦隊を解散し早めの夕食をとる


駆逐艦寮 五月雨の部屋


五月雨「はぁ……今日も触れなかった……」


あの後すぐ暁が来たため響は自分の部屋に行ってしまい五月雨は今1人で過ごしている


五月雨「自分から手を握るのってこんな緊張するんだ……」


ベットに倒れ込み枕に顔を埋める


五月雨「あそこまでしたのに!!んー!」


ベットの上でじたばたし始める


五月雨「はぁーあ。私も戦いたいなぁ……」


仰向けになり天井をぼんやりと眺めながら呟いてしまう


五月雨「でももう無理だしなぁ。寝よ寝よ」


次の日


提督「おかしい……」


朝から提督はパソコンを睨んでいる


五月雨「おはようご……どうしました?」


提督「昨日あの海域を攻略したろ?あの海域の深海棲艦を撃退して制海権を取り戻したはずなんだよ」


提督「だいたい半分は取り戻してたはずなんだよ」


五月雨「それがどうかしました?」


疑問に思った五月雨はパソコンの画面を覗き込む

昨日の攻略情報とその横に今日の状況が映されている


五月雨「ほぼほぼ戻ってますね」


半分まで減らした。はずなのに目が覚めると元通り


提督「奪いかいされたのか?他の提督が周りにいるのに?」


榛名「ならもう一度潰すまでです」


いつの間にか来ていた榛名が会話に参加する


提督「物騒なこと言うね。その通りだけど」


榛名「榛名は昨日のメンバーを集めてきますね。作戦などがあれば今のうちに考えといてください」


提督「行っちまったな。作戦と言っても昨日と変わらないし……」


五月雨「今日のうちに取り返しましょ」


提督「だな」


港に昨日のメンバーが集まる


提督「おはよう。朝早くからすまないな。今日は1日かけて昨日の海域を攻略しようと思ってる。途中他の子達とローテすると思うからそのあたり確認しといてくれ」


夕立「夕立はずっと戦ってたいっぽい!」


提督「疲労がたまらなければな」


暁「ふーん。暁はれでぃだからろーてなんていらないわ」


響「ふふ。意味を理解してなさそうで可愛いな暁は」


響「こほん。了解したよ。旗艦は榛名さんでいいかな?」


提督「そうなるな。途中何度かは他の子達と交代することになる」


提督「他になければ反復出撃してくれ。今日もよろしく頼む」


深々と頭を下げる


天龍「頭を上げろ。俺たちはお前の命令に従うだけだ」


榛名「では行きますよ!」


艦隊を見送ったあと提督室に戻る


五月雨「ふふ。2人っきりですね」


提督「昨日もだったがな。なにかするか?」


五月雨「連絡を待つのでは?」


提督「榛名がいるんだ。そうそう問題は起きないさ」


五月雨「ふーん。書類仕事は?」


提督「あ……」


五月雨「忘れてましたよね?私は掃除をしますので提督は仕事に専念してください」


提督「……あ!いいこと思いついたわ。五月雨ちゃんこっち来てくれる?」


手招きする


五月雨「なんですか?」


提督「い、よっと!」


近くまで来た五月雨を持ち上げる


五月雨「きゃぁぁ!!」


提督「あ、暴れるな!」


暴れる五月雨をなだめながら膝の上に座らせる


五月雨「思いついたのはこれのことですか?」


提督「君が何かすると俺が危ないのでな」


五月雨「はぁ……。まさか私に変なことする気ですか!?」


提督「すると思うか?」


五月雨「でも硬いのが……」


提督「ベルトやろ。まぁ五月雨ちゃんは可愛いからね」


五月雨「な、なんで!?」


提督「ははは。ダブルチェック頼むは。ほかのことは榛名に任せる」


五月雨「むー。不承不承ながら了承しました……」


しばらくして


榛名「榛名ただいま帰還しま……提督?」


榛名が戻ると五月雨を膝に乗せた提督がで迎える


提督「これか?察してくれ」


榛名「はぁ……。手を出してなければいいですよ。このまま敵艦隊を殲滅するまで反復出撃しますのでローテの準備をしておいて下さい」


提督「了解。今育ってる駆逐艦は……」


五月雨「私も……」


提督「何度も言わせるな。よし。確認は済んだから榛名は出撃を。戻り次第艦隊の編成を変えて反復出撃してくれ」


榛名「榛名了解しました。提督?くれぐれも分かってますよね?」


提督「分かってる。手を出すわけないだろ」


榛名「ならいいです。では」


榛名は部屋から出て出撃する


五月雨「なんで……」


提督「何が不満なんだよ」


五月雨「もういいです!」


提督「不貞腐れても俺の膝の上だぞ?」


そっと頭をなぜる


五月雨「子供扱いしないで……」


提督「俺にとっちゃ子供だ」


五月雨「まったく。ほんと最低なお父さんです」


提督「……」


五月雨「提督?」


提督「あ、いや……なんでもない。後ろ向くなよ」


提督はそっとテッシュを手に取る


五月雨「ふふ」


しばらく話した後


榛名「榛名ただいま戻りました」


提督「お疲れ様。成果は?」


榛名「次あたりで敵艦隊を殲滅できます」


提督「そうか。少し休んでくれ」


榛名「よろしいのですか?」


提督「気を詰めても怪我するだけだぞ。何回砲撃を弾いた?」


榛名「あっ……ええと……」


榛名はそっと右手を後ろに隠す


提督「そういう所だぞ。なんでも気負うなよ」


榛名「すみません……」


提督「残り期間も少ないし早めに攻略したいが余裕がなぁ……」


榛名「バケツの余裕ありますか?榛名はすぐに出撃します」


提督「話聞いてたか?」


提督「お前に何かあってからじゃ遅いんだぞ」


榛名「すみません……」


提督「しばらくは扶桑と交代だ。呼んできてくれ」


榛名「了解しました」


榛名は部屋から出ていく


五月雨「ほんっと榛名さんのこと好きですよね」


提督「わかるものなのか?」


五月雨「わかりますって。だって私も提督のこと好きですから」


提督「そのへん隠さなくなったね」


五月雨「ふふ。隠しても意味ないじゃないですか」


提督「そっか。ほら!」


突然提督は五月雨を持ち上げる


五月雨「きゃぁぁ!!、」


提督「ははは。こういうのも楽し……」


扶桑「不幸だわ……。憲兵に連絡しないと……」


最悪なタイミングで扶桑が来てしまう


提督「あー……」


五月雨「はーなーしーてー!」


固まった提督の顎を蹴り飛ばす


提督「っぶ!」


扶桑「はぁ……」


提督「と、とりあえず落ち着け……。電話をそこに置くんだ」


顎を抑えながら電話を手に持つ扶桑を牽制する


扶桑「榛名さんから聞いていた通りだわ」


提督「最悪なタイミングで来るよな。話は聞いているか?」


扶桑「ええ。聞いてますわ。榛名さんは入渠なされましたわ。」


提督「そうか。すまないな」


扶桑「いえ。提督の命令なので」


提督「うぐ……」


扶桑「では戦艦扶桑出撃します」


提督「扶桑は行ったか。機嫌直してくれ」


ソファの後ろで威嚇を続けている五月雨に声をかける


五月雨「嫌です!この変態魔人提督!」


提督「強そうに見えるけど最低な呼び名だな」


五月雨「セクハラですよ!」


提督「いやほら娘とかにはこうするのかなぁって」


五月雨「むぅ!」


顔を赤くしながらソファに寝転ぶ


提督「そんなバタバタしてると見えるぞぉ!俺は仕事してるから休んでてくれ」


五月雨「変態!」


スカートを抑える五月雨


提督「今月の資材の使用量が……。修復剤の数が……。いやこれは昨日使ったから……」


五月雨が退いてから提督の作業速度が上がる


五月雨「あれ?提督って眼鏡してました?」


今までと様子が違うこと気がついた五月雨


提督「んあ?なんか言った?」


五月雨「あ、いえ……」


提督「あと少しで仕事終わらせるから少し待っててくれ。そのあと構ってやるから」


五月雨「べ、別にかまって欲しいとかじゃないです!」


提督「眼鏡なぁ……。集中する時はするんよ」


手早く書類を片付けながら答える


五月雨「聞こえてるじゃないですか!」


提督「そういうもんよ。だってさみをからかうの面白いし」


五月雨「さみ?」


提督「嫌だったか?」


五月雨「嫌というか意味がわからないというか……」


提督「いや五月雨を略すとさみじゃね?」


五月雨「そうはならないかと……」


提督「まぁ略称ってことで。にしてもほんとさみは俺の前だと羞恥心とかないよな」


提督は横目で五月雨を見る

ソファの上で体育座りをしている五月雨だが……


五月雨「へ?……!?」


五月雨は提督の言葉の意味を理解してスカートを抑える


五月雨「セクハラです……」


小さく訴えてくる


提督「てっきり見せてるのかと」


五月雨「見せてません!」


提督「水玉ねぇ」


榛名「何が水玉ですって?」


運が悪いことに入渠上がりの榛名が部屋に来てしまう


提督「あーえーと……」


榛名「ほんと2人は私がいないところでイチャイチャしますよね」


タオルで髪の毛の水を取りながら提督の前に移動する


提督「ちゃんと髪乾かしてから来いよ……」


榛名「胸騒ぎがしたので」


五月雨「むー」


榛名「私だって提督と一緒にいたいんですよ?」


提督「最近の君って隠さないよね」


榛名「そうですか?榛名は初めからこんなでしたよ?」


提督「いやはやシャンプーのいい香りが……」


榛名「ふふ。覚えてくださいよ?」


提督「さっきの発言気にしてたのか……」


扶桑「提督……戻りました……」


ドアがノックされ扶桑が声をかけてくる


提督「お疲れ様。ってボロボロじゃないか」


部屋に入ってきた扶桑は大破していた


扶桑「不幸だわ……。まさか駆逐艦たちに盾にされるなんて……」


提督「榛名……」


榛名「榛名の……せい……?」


五月雨「榛名さんが駆逐艦を庇うから彼女たちが無意識で守って貰えるって思ったんじゃないですか?」


扶桑「はぁ……。敵艦隊はあと一息で壊滅です……。私は入渠……しますね……」


榛名「すみません……。榛名のせいで……」


扶桑「いえ……。敵に狙われたので仕方ないんですよ……」


そう言い残すと扶桑は部屋を出ていく


提督「榛名何か言いたいことは?」


榛名「やりすぎちゃいました」


提督「っく……」


五月雨「榛名さんばっかずるいです!」


榛名「そう怒らないでください。艦隊を再度調整して榛名は出撃してますね。提督いいですね?」


提督「あ、いや、うん。なんか君の方が提督向いてそうだわ……」


榛名「そんなことは無いです!提督は提督にしか出来ませんし榛名は提督について行くと決めたんですから!」


早口にまくしたてながら榛名は提督に肉薄する


提督「近い近い!わかったから!何かの拍子でキスでもしたらどうすんだよ……」


榛名「して……くれないんですか?」


提督「おっまっ!?」


提督は顔を真っ赤にしてしまう


榛名「ふふ。冗談ですよ。それにそういうのは段階を踏んでからと榛名は認識してます。ね?」


横目で五月雨を見ながら伝えてくる


提督「俺もそうだな。そんな簡単にキスできてたまるか。段階踏んでからじゃないとな?」


提督も横目で五月雨を見る


五月雨「なんで私を見るんですか……」


榛名「別に?何故でしょうねえ?」


提督「ほんとな。なんでだろうな?」


五月雨「もう!2人して!」


榛名「ふふ。では、榛名は出撃しますね。提督に勝利を持ち帰ります!」


提督「頼むぞ。いつも通りにだぞ」


榛名は部屋から出ていく


五月雨「むー!」


ふくれっ面の五月雨が提督を見ている


提督「なんだ?」


五月雨「なんでもありません!」


提督「キスでもして欲しそうな顔してるぞ?」


五月雨「ふぇ!?」


自分の顔を触る


提督「ふははは。ほんとからかうの面白いな」


五月雨「覚えてろよ……」


提督「なんか言ったか?」


五月雨「なんでもありません!」


その後は榛名が帰ってくるまでは書類を片付ける


榛名「榛名帰還しました。対象海域の解放を確認しました。けれど……」


提督「どうした?」


榛名「その……。戦いを終えて帰る時に浮いてるのがギリギリの艦娘を……」


提督「それはいつもの事だぞ。君らしくないぞ」


榛名「そのなんというか……。今までの艦娘とは違いまして……」


口ごもる榛名は横に移動して艦娘を迎え入れる


168「伊168よ。何よ、言いにくいの? じゃ、イムヤでいいわ…よろしくねっ!」


提督「イム、ヤ?」


168「そうよ。イムヤ。イ号型潜水艦の168よ」


提督「潜水艦?!」


イムヤと名乗った少女は赤みがかった腰までありそうな髪の毛をポニーテールでまとめている

ただ提督が気にしているのはそこではない


提督「スク……水?」


イムヤはスク水の上にセーラー服を羽織っているのだ


イムヤ「これ?これは提督指定の水着よ」


榛名「提督?」


哀れみの目を向ける


五月雨「提督??」


悲しそうな顔で見てくる


提督「いやいやいや!!君にあったのは初めてだし何より俺指定!?」


イムヤ「そう言ったわ。私なにかおかしなこと言ったかしら」


提督「頼むからそんな目で見ないでくれ……」


榛名「さすがにこれは……」


五月雨「提督が変態だということは知ってましたがここまでとは……」


イムヤ「そうね。これは提督の指定だけどあなたじゃないわ」


提督「あー……。大元の提督か」


イムヤの言う提督は最初期の提督ということを伝えられる


提督「潜水艦は海に潜るし水着というのは理にかなっているか」


イムヤを見る


イムヤ「そんな目で見ないでくれるかしら」


提督「あーいやそんなつもりは無い。ようこそ。歓迎するよ」


五月雨「潜水艦か……。実際に会ったのは初めてかも」


提督「そういうものなのか?っと君の部屋は……」


榛名「潜水艦などの寮はありませんよ?」


提督「そうなんだよ。新規で作るか」


イムヤ「駆逐艦と一緒でいいわよ。私たちはそんなに数はいないから一角を貰えればそれでいいわ」


五月雨「私が案内しますね。いいですよね?」


提督「任せた」


五月雨「行きましょう」


イムヤ「お願いするわ」


イムヤを連れて五月雨が部屋から出ていく


提督「第1次作戦は無事完遂したか」


榛名「ええ。お疲れ様です」


提督「次の作戦がまだあるが今日はもう休もう。少し歩かないか?」


榛名「どこへ行かれるのですか?」


提督「この前迷子になっ……こほん。探索してた時にいい場所を見つけてね」


提督「君をつれて行きたいだがいいかな?」


榛名「榛名は別に構いませんが今迷子と言いしたよね?」


提督「あーそんなこといったかなー?(棒読み)」


榛名「はぁ……。場所はわかるのですか?榛名が連れていきますよ」


提督「だ、大丈夫だって!」


榛名「ならお願いします」


五月雨に伝えることなく2人は出かけてしまう


十分後


提督「ええと……」


榛名「提督?」じとー


提督「そ、そんな目で見ないでくれ……。こ、こっちであってるはずだから!」


榛名「そちらは数分前に行きましたよ?まったく。特徴はありますか?提督にまかせていたら日が暮れます」


提督「ひどい……。ええと……崖があって……」


榛名「崖?崖ならあそこですよ?」


榛名は鎮守府の端にある崖を指さす


提督「あ!あそこだ!」


榛名「えぇ……。ほんとに分からなかったんですか?」


提督「べ、別にもういいだろ!」


提督「行くぞ」


鎮守府端にある崖

イメージはアニメの吹雪がいた崖


提督「ここの眺め結構いいんだよ。鎮守府を一望できてさ」


そこから見える景色は良くて鎮守府を見渡すことが出来た


榛名「これは……」


提督「どうした?」


榛名「榛名感動しました!鎮守府にこんな場所があるなんて知りませんでした!……?」


ふと横をむいた榛名はある石版目がいく


提督「それな。妖精さんに頼んで作ってもらったんだよ」


「駆逐艦五月雨ここに眠る」


榛名「待ってください。五月雨ちゃんはまだ……」


提督「彼女はもう艦娘としては生きていけない。それに俺が初めて沈めてしまった艦娘とも言える」


提督「だからこそだ。彼女が今生きていようともう艦娘ではないから1度死んでるわけで。その記憶を風化させないように慰霊碑を作ったんだよ」


榛名「提督……」


提督「これを見せたかったわけじゃないけどここにもこんな素敵な場所があるって教えたかったんだよ」


五月雨「探しましたよ。お父さん」


2人が話していると五月雨が物陰から出てくる


提督「五月雨ちゃん!?」


五月雨「2人で何してるんですか?私に何も言わないで」


榛名「そういえば五月雨ちゃんに伝えて……」


提督「あーえー……。というかさみぃはなんでここが分かったんだ?」


五月雨「さみぃって……。普通に見えましたよ?」


提督「へ?」


五月雨「ここまで普通に来れましたし。これはなに……え?」


五月雨は自分の名前が刻まれた慰霊碑を見つけてしまう


五月雨「私は生きてますよ?どうしてこんなものを作るんですか?本当は生きていてほ「違う!!」」


提督「なんでそう考えるんだよ。いやなんというか……」


五月雨「じゃぁこれはなんなんですか!!」


提督「君は生きてるけど1度死んだんだろ?ややこしいけど記憶を風化させる訳には行かないから……あー意味がわからない」


五月雨「私……私はいらない?」


提督「誰もそんなこと言ってないだろ」


五月雨をそっと抱きしめる


提督「俺がお前のことどれだけ想ってるかわかってるだろ?俺のそばにいてくれよ」


五月雨の頭に手を置く


榛名「提督?それじゃ語弊しか生みませんよ?」


五月雨「ふふ。分かってますよ。えいっ♪」


抱きしめられていた五月雨は強く抱き返す


五月雨「あったかい……。お母さんもほら」


榛名の方を見て手招きする


榛名「榛名がお母さん?」


提督「もうどうにでもなれ。こっちおいで」


榛名「ええと……。恥ずかしいです……」


提督「こういう時は来るのが礼儀だろ?」


提督は榛名の手を掴むと抱き寄せる


提督(やっば。2人の色んなところが当たって……)


榛名「提督?何か榛名に硬いものが……」


提督「いやもうこれは不可抗力じゃん。」


五月雨「幸せです。で、2人は何故ここに?」


提督「っち。んーこの景色を見せたかったから?」


2人に見えるように少し移動する


提督「俺の鎮守府だ。まだひと月だがな。今は何も無くてもこれからどんどん成長する。それをここから眺めるんだ」


少し空が赤みがかり水平線が見える

提督は自分の鎮守府を見渡し海を眺める


榛名「凄くいいですね」


しばらくすると2人に向き合う


提督「だろ?こんな俺だが着いてきてくれるか?」


榛名「もちろんです。提督だからこそ榛名はついて行くんですから」


五月雨「私もです。こんな私をそばに置いてくれるんです。ついて行かないわけないじゃないですか」


そっと足を撫ぜる五月雨


提督「っふ」


提督は軽く笑うと帽子を深くかぶる


提督「なんでだろうな。涙が……」


榛名「いいんですよ泣いても」


提督「やめとく。お前たちにそんな姿見せられん」


榛名「もう見ましたよ?」キョトン


提督「そ、それは……。も、もういい時間だから戻るぞ」


五月雨「え?お母さんはお父さんの泣いてるところ見たんですか?」


提督「はーい行くよー。そういう話はやめようねー」


榛名「それはですね。ふふ。歩きながら話しましょうか」


強く提督の手を握り歩き始める


提督「あ、っちょ!」


バランスを崩しながら何とか立て直す


五月雨「面白そうです」


榛名の手を掴み横を歩く五月雨


提督「やっと吹っ切れたか」


榛名「それでですね。あれは五月雨ちゃんが倒れた日でーーーー」


その後3人は夕食を食べたあと五月雨が眠くなるまで今までの話に花を咲かせた



数日後


提督「はぁ……はぁ……」


提督「っぐ……。はぁ……」


深く肩で息を吸う提督が提督室にいた


榛名「だ、大丈夫ですか?!」


あの後編成を変えながら南方海域の制海権を取り戻して行った

敵洋上部隊を反復出撃で何とか撃破しその奥地に向かう


提督「すぅ……はぁ……。敵集結地を強襲はしている……。が、だ」


提督「何度も出撃しているが最深部にたどり着く前に被弾して撤退の繰り返しだ」


提督「練度が足りない……?いや空母が居ないのが問題だ……」


提督「くそ……。敵艦載機を落とすのが手一杯で叩くことが出来ない……」


榛名「榛名が弱いから……」


提督「違う!!君のせいじゃないんだ!!あ……」


提督「済まない……取り乱した。今回の作戦はここまでだ」


榛名「ですが……」


提督「分かってる。次の出撃で最深部に到着できなかった場合上に撤退を申請する」


提督「今の俺の実力を図ることが出来た。今回はダメでも次の大規模作戦までにはさらに練度をあげるつもりだ」


提督「まさか貯めた資材が減ることがここまで精神に負担をかけるとはな……」


榛名「で、では榛名は皆さんを集めて出撃しますね」


出来る事なら傍に居たかった榛名だが自身も主力艦隊として出撃するため部屋を離れる


提督「頼むから無理はしないでくれよ?」


榛名「分かってます!」


五月雨「お疲れ様です」


榛名と入れ違いで五月雨が入ってくる


五月雨「作戦のほ……顔色が悪いですよ!?」


今にも倒れそうな提督を見て五月雨が駆け寄る


提督「さみぃか……。いや大丈夫だ。資材が減って精神にダメージが入っただけだ……」


五月雨「お茶でも飲みますか?」


提督「俺にトドメを刺そうと言うのか?」


五月雨「なんでですか!!わたしだってもうお茶を入れられますから!」


提督「へぇ……?昨日はどうだった?」


ここ数日五月雨のことも考えて色々と仕事を任せていた提督


五月雨「ええと……。ちゃんと入れられましたよ?」


提督「俺にお茶を入れてどうする」


わかっているとは思うが五月雨は昨日もまた提督にお茶をかけてしまっている


五月雨「あんまり面白くないですよ?」


提督「お前を笑かせるために言ってんじゃないんだよ」


提督「昨日は俺にお茶をかけてその前は盛大に倒れて下着を見せつけてきたんだったよな?」


五月雨「忘れてください!」


提督「いやもう四回目だし。水玉、水色ストライプ、雲柄、かわいいくまさ「怒りますよ?」」


提督「怒ってんじゃん」


五月雨「なんでそこまで覚えてるんですか!!」


提督「見せつけてたんじゃないのか?」


五月雨「違います!」


提督「俺の身が危ないから君はいつもの様に座ってればいいの」


五月雨「ぶー」


提督「ふくれないふくれない。ふくれたところで可愛いだけだぞ?」


五月雨「かわっ!?」


提督「顔が真っ赤だぞー?」


五月雨「あなたのせいです!」


ワーワーギャーギャーと騒いだ後提督は執務に戻る


提督「さみぃはほんといい香りするよな」


いつもの様に提督の膝の上に五月雨が座っている


五月雨「ほんと最低です」


提督「トリートメントだっけ?わかんないけど」


五月雨「おしえませーん」


五月雨「というか私はそんなに匂いますか?」


長い髪の毛を手で掬い匂いを嗅ぐ


提督「んー匂うというか香ると言うか……」


五月雨「変態だー」


提督「ん?榛名にしては時間がかかってるな?」


普通なら被弾して撤退か最深部で戦い終えたあたりの時間だ


五月雨「まさか……」


何かを考え始めた五月雨


……ですね!……

ー……デスネー……


遠くから何やら楽しそうな声が聞こえてくる


提督「榛名と……誰だ?」


片方は榛名というところは分かるが話している相手の声は聞いたことがない


提督「俺の鎮守府にいたか?」


五月雨「多分ですけど海域で抜錨したのでは?」


榛名「提督?入りますね」


ドアをノックしたあと声が聞こえてくる


提督「あーいやー……ちょっと待ってくれ!」


今の状況を考えて固まる


五月雨「いいこと思いつきました」


五月雨の脇腹に手を入れて持ち上げようとした提督の腕を払い除ける五月雨


提督「ったい!なんで!?」


榛名「提督?どうしました?入りますよ?」


五月雨「さわらないでー」


榛名「もう限界です。入りますね!」


ドアを勢いよく開ける榛名

その目に映ったのは五月雨の脇腹に手を添えている提督と嫌がる(ふり)五月雨だった


提督「あの……これには訳がありまして……」


「榛名?どうしましたー?」


榛名が提督を見て固まっていると後ろから女性が入ってくる

榛名と同じ制服を身にまとい腰まである髪を肩でお団子上にまとめた茶髪の女性だ


金剛「英国で生まれた帰国子女の金剛デース。

ヨロシクオネガイシマース!」


英語混じりの話し方をする金剛と名乗った彼女


提督「榛名と同じ制服……?」


榛名「金剛お姉様のこともあるので今の提督は不問とします」


提督「……」


金剛「貴方が提督ネー?」


提督「コホン。ああそうだようこそ俺の鎮守府に」


五月雨「私を抱き抱えたまま言っても締まりませんよー?」


手を離した提督は金剛の話を聞きながら五月雨を抱きしめていたのだ


榛名「うらやま……いえ。いい加減にしてください提督」


金剛「もしかして提督はロリコーンってやつですか?」


提督「そんな……。あっていきなりこの仕打ちは酷い……」


五月雨「やりました」


提督「お前わかっててやっただろ」


五月雨「知りませーん。貴方が変態なのがいけないんですよ?」


榛名「金剛お姉様が来たんですよ?早く五月雨ちゃんを離して下さい」


提督「いいサイズで抱き心地いいんだけどな……ッヒ!」


頭にきた榛名が提督を睨む


金剛「ンー。榛名部屋まで連れてってくれるかしら」


榛名「す、すみません!お疲れでしたね。今案内しますね!」


浮いてるだけでギリギリだった金剛

時たまそんな艦娘を発見することがある


提督「今日は済まない。明日また改めて話をさせてくれ」


金剛「あんまり目を離しちゃノーなんだからね!」


金剛はそう言い残して榛名に連れられて出ていく


提督「何か言いたいことは?」


五月雨「へんたーい♡」


提督「それで俺が喜ぶとでも?お前は何をしたかわかってるのか?」


甘えた声を出す五月雨だが今の提督には効果がない


提督「第一印象って知ってるか?」


五月雨「しりませんね」


提督「はぁ……。明日どんな顔して会えばいいんだよ……」


五月雨「元はと言えば提督が悪いんですよ?」


提督「君がドジなのが悪いのだが?」


五月雨「それは……そうなんですが……。けれど私を抱きしめることと関係はありますか?」


提督「ない。ちょうどいいサイズで抱き心地だった」


五月雨「私だからいいですけど他の子にはしないでくださいね?」


提督「嫉妬でもするのか?」


五月雨「遠慮なく通報します」


提督「ユルシテ」


五月雨「まぁでも変なところ触ってこないので許します」


提督「なんださわって欲しったい!!」


提督の足を全力で踏み付ける


五月雨「今度変なこと言ったら踏みますからね?」


提督「踏んでますよ」


ギリギリと音が聞こえるぐらいに五月雨は提督の足を踏み続けている


五月雨「これに懲りてくださいよ」


提督「はいはい。で、お腹空いたでしょ?」


五月雨「ふぇ?」


提督「さっき抱きしめてた時にお腹が鳴った感じがした」


五月雨「ほんとこの人は……。私間宮さんの特別セットが食べたいです」


提督「別にそれぐらいなら榛名にたまに食べさせてるからいいが食べ切れるのか?」


五月雨「私をなめないでください」


提督「ちなみに榛名は初戦敗北したぞ?(食べる前にそれなりに食べてたが)」


五月雨「へ?榛名さんがですか!?」


提督「ああ」


五月雨「あの榛名さんがですか!?見た目に反してめちゃくちゃ食べるあの人が食べきれなかったんですか??」


榛名「……」にっこり


運が悪いことに榛名が部屋に入ってきてしまう


提督「お、おう……。「思った以上に量がありました。すみません提督……」って言われて俺に渡された」


五月雨「量は?半分ですか?」


榛名「うふふ……」


提督「んー半分は半分だな。俺は彼女が嬉しそうに食べるのを見るのが好きだから少なめに食べてたがそれでもきつかったぞ?」


五月雨「ありえない……。出された料理は全部食べ切る勝手は許さない榛名さんだと思ってたのに……」


提督「それとな……五月雨すまない……」


考え事をしていて周りが見えていなかった五月雨は提督の声でふと顔を上げた

そこには冷や汗をダラダラとかいている今にも死にそうな顔をした提督がいた


五月雨「ど、どうしました?」


提督「……」


五月雨「な、何か言ってくださいよ……」


榛名「五月雨ちゃんいいですか?」


完全に気配を消した榛名が五月雨の背後に立っていた


五月雨「は、榛名さ……!?」


後ろからそっと伸びた榛名の手が五月雨を掴む


五月雨「ひゃぁ!」


突然掴まれて驚いた五月雨は後ろの榛名の顔を見る


榛名「いつからいたのと顔に書いてありますよ?ふふふ。初めからですよ」


逃げられないと察した五月雨を後ろから抱きしめる形で捕まえる


榛名「誰が……だ・れ・が、勝手は許さない大飯ぐらいの可憐な美少女って言いました?」


提督「は、榛名さん……?後半おかしいですよ?」


榛名「提督は静かにしててください」


提督「あ、はい」


榛名「五月雨ちゃん特別セット奢ってあげますよ?」


五月雨「きゅ、急にお腹の調子が……」


榛名「嘘はダメですよ?榛名には全部お見通しです」


榛名は五月雨のお腹を触り撫ぜるように手を動かす


提督(榛名の声のトーンを除けば百合百合してく目の保養になるな)


榛名「提督?変なことは考えないようにしましょうね?」にっこり


提督「ご、ごめんなさい……」


榛名「まったく。私が少し離れている間に変なことを言わないでください」サワサワ


五月雨「は、はるなさ……くすぐった……」


榛名「あの時はまさかあれだけ量があるとは思わなかっただけですよ?次は負けません」


提督「まぁその前に間宮定食を平らげてたしな」


五月雨「うぅ……」顔真っ赤


榛名「あ、あの時は出撃が続いていてお腹がすいていたので……」サワリサワリ


少し顔を赤くする榛名は五月雨の体を触り回している


提督「「提督すみません……。榛名まだ足りないのですが……。」って言われた時は冷や汗かいたぞ」


五月雨「も、もう……」


榛名「ですが今日は食べきります!」


提督「それと榛名さん?さみちゃんの様子がおかしいので離してあげなさい?」


榛名「ふふ。おしおきはこれぐらいにしてあげます」


お腹周りを撫で回していた榛名は五月雨を解放する


五月雨「ひ、ひゃ……はぁ……はぁ……」


榛名から開放された五月雨は少し距離を取るとペタンと床に座り込んで肩で深く息をする


提督「顔真っ赤だぞ?」


五月雨「み、見ないでください!はぁ……はぁ……。し、暫く歩けないです……」


榛名「着替えに行きますか?」


提督「へ?」


五月雨「じ、自分で出来ます!」


涙目の五月雨が榛名を睨みつける


提督「ん?ん?」


榛名「提督はあまり五月雨ちゃんを見ないようにしてください。彼女の尊敬に関わるので」


五月雨「ひ、ひどい……」


榛名「五月雨ちゃんが変なこと言ったのが悪いんですよ?それとも続きしましょうか?」


提督(百合百合しいなぁ……。目の保養になるわ」


五月雨「へんたい……」


榛名「最低です」


後半口に出ていた提督


提督「すまぬ……」


榛名「はぁ……。金剛お姉様が来たんですよ?分かってますか?」


提督「分かってるよ。明日改めて話をするつもりだし」


榛名「ならいいです。五月雨ちゃんが落ち着いたら夕食を食べに行きましょう」


なんだかんだでヒトナナマルマルを回っている


提督「ああ。榛名はさっきさみぃに何をしたんだ?お腹撫ぜてただけだよな?」


榛名「ふふ。内緒です。それとも提督もして欲しいんですか?」


提督「いや怖いから遠慮するわ」


五月雨(危なかった……。あれ以上されてたら……)


提督「少し待っててくれ」


提督は今日の業務の最終確認をしていく


提督「書類、ヨシ。入力保存、ヨシ。提出書類、ヨシ」


指差呼称しながら確実に終わらせていく


榛名「……」うっとり


五月雨「へぇ……」


提督「確認、ヨシ!待たせた。榛名どうした?」


自分の方を見て虚ろな目をしていた榛名を見て声をかける提督


榛名「ふぇ!?えええとなななんでもないです!」


五月雨「よし。先に行っててください。私はあとから行きますので」


提督「ん?一緒に行けばい「提督は本当にデリカシーがないですね」」


榛名が被せてくる


提督「???」


理解が追いつかず頭の上に?を浮かべてしまう


榛名「はぁ……。もう少し女性について勉強してください。さすがに理解が無さすぎます」


提督「え?俺が悪いの??」


五月雨「むぅ……」


榛名「五月雨ちゃんはむくれてないで早く着替えに行ってください」


提督「トイレとかじゃな「もう黙っててください」」


五月雨「ざまぁみろです」


そう言い残して五月雨はスカートを抑えて早足で部屋から出ていく


提督「あのは「分かってますよね?」」


榛名「何度も言わせないでください」


提督「ごめんなさい……」


榛名「榛名、お腹がすきました。んー……間宮スペシャルが食べたいです」ッチラ


提督「俺の配給料を少しは労わってくれよ……」


榛名「労わってますよ?でも提督だけでは使い切れないじゃないですか」


提督「貯金……」


榛名「ふふ。冗談ですよ」


提督「まぁでも可愛い部下のためなら多少奮発してもいいかもな」


提督「さらに言えば可憐で美少女な榛名さんのためならね」


榛名「さっきのこと覚えてたんですね……」


提督「んじゃ行きますか」


榛名「はい。勝手は榛名が許しません!」


2人は間宮亭に移動する


その後


五月雨「も、もう食べられ……」


榛名「まだ半分ですよ?私を煽ったのならこれぐらい食べきってください」


五月雨の前には間宮定食特別セットがある

彼女の体格から見れば頑張って食べており半分減っている


提督「下手な定食の特盛以上の量やぞ……」


榛名「提督、榛名甘いものが食べたいなぁ」ッチラ


提督「甘えられているのかしりにひかれはじめてるのか……」


提督は間宮を呼び止めて間宮スペシャルを注文する


五月雨「うそ……。あれだけ食べてまだ食べるんですか……」


榛名「まだ7分目です」


提督「榛名は見た目に反して大食いだから……」


榛名「酷いですよ提督。榛名はただひとより多く食べるだけですよ?」


五月雨「うぅ……」


榛名「食べきれなかったら……分かりますよね?」


五月雨「お父さん助けて……」


提督「榛名はどう思う?」


榛名「私は別に」


提督「なら一緒に食べるか」


提督は考え無しに皿に乗っていた五月雨が使っていたスプーンで食べ始める


榛名「はぁ……」


五月雨「……」


それを見て呆れる榛名と顔を真っ赤に染める五月雨


提督「ん?どうし……!?」


自分の行いに気がついてむせる提督


榛名「1度提督は1から勉強した方がいいかもですね」


提督に水を差し出しながら不振なことを口にする榛名


五月雨「あ、暑い……」


手で顔をあおぐ五月雨


榛名「女の子、女性の扱い方について榛名と勉強しましょうか提督」


提督「ッホ。っガ。はぁ……はぁ……。うっ……。な、何とか落ち着いた。五月雨すまない……」


五月雨「私も迂闊でした……」


間宮「間宮スペシャルお持ちしまし……どうしました?」


榛名「なんでもないです」


榛名は間宮から受け取る


五月雨「うぅ……。って榛名さんそれは?」


榛名の目の前には間宮亭の隠しメニューとも言われる間宮スペシャルが置いてある

どう見ても1人で食べられる量ではないし榛名は既に間宮定食を食していた


提督「改めて見てもなぜここまでやったのかが分からない」


大きめのタライにデザートと言われるものを全て入れたものだ


榛名「ほうれふか?」


既に食べ始めている榛名


上に乗っているアイスを手早く解体しながら下のフルーツに搦めて食べていく


五月雨「榛名さんって……」


五月雨は手の前の定食を1度見る


提督「ああ。それを既に食した後だ」


榛名「やはり美味しいです。特にバニラが美味しいです。フルーツと相性が良くて絡めるといくらでも食べれそうです」


全体の半分を閉めていたアイスの塊は既に半分なくフルーツもほとんど残っていない


提督「まだあれは上層だ」


五月雨「へ?」


榛名が食べ進めていくとアイスの下から大きなプリンが現れる


提督「あれの恐ろしいところはあの重量が乗ってなお形を保ち柔らかいところだ」


榛名「提督も食べますか?」


榛名は自分が使っていたスプーンでプリンをすくうと提督に差し出す


提督「榛名さんそれでは関節キスになってしまいます」


榛名「分かってますよ。ですが今日はあげません」


笑顔の榛名はそのまま口に運ぶ


五月雨「今日は?」


提督「まぁそこは置いといて」


提督「うん。やはり目の保養になるな」


提督は榛名が間宮スペシャルを平らげるのを見ながら嬉しそうに微笑む


榛名「あ、あまり見ないでください……。恥ずかしいです……」


提督「口に入れてとろける顔。幸せうな表情。目の前の量を食べるにしてはしなやかな体型」


提督「恋、してもいいですか?」


榛名「もうしてますよね?」


五月雨「むぅー!」


榛名「五月雨ちゃんもそんなにむくれないの。ほら」


むくれる五月雨の頬を掴むと口に間宮スペシャルをねじ込む


提督「言ってることとやってる事が矛盾しているのですが?」


五月雨「んぐっ!?お、おいしい……」


提督「あんまり虐めるなよ?」


榛名「すみません……」


提督「俺は部屋に戻って自分の時間を堪能するからな」


会計を済ませた提督


榛名「提督?先程榛名が言った事覚えていますか?」


提督「???」


榛名「ですから。最近の提督の行動を見て1度1から女性の扱い方について学んでもらいます」


提督「今でも十分だと思うのですが……」


榛名「ダメです。五月雨ちゃんはもう上がってもらってもいいですよ」


五月雨「で、でも……」


提督「すまんな」


五月雨「わ、わかりました……」


榛名「行きますよ」


榛名は提督の手を掴むと引きずるように本館に向かってしまう


五月雨「心配だなぁ……」


やることが無い五月雨は部屋へと戻る


その夜


榛名「ではどうやって扱うか学びましょうか」


榛名は自分の服に手をかける


提督「榛名さん?」


榛名「ふふ。初めてなので刺激が大きいですかね?」


提督「いやいやいや。おかしくないか?」


榛名「ですがここはすごく固くなってますよ?」


提督「うぅ……」


榛名「困った顔の提督は可愛いですね♪」


五月雨「むぁぁ!!!」


部屋でベットに寝ていた五月雨は軽く眠ってしまい変な夢を見てしまう


五月雨「はぁ……はぁ……。ゆ、夢?」


先程見た光景を思い出して顔を赤くする


五月雨「ううん。榛名さんならもしかしたら……」


いてもたってもいられなくなった五月雨はパジャマのまま提督室に向かう


榛名「ではノートを開いてください」


五月雨と別れたふたりは提督の自室にいた


提督「もう榛名さんとの勉強でノート4冊は丸々埋まったのですよ?」


榛名「足りませんね。私は提督のそういう所を理解してるのでなんとも思いませんが他の子、ましてや五月雨ちゃんへの態度は少し行き過ぎてますよ?」


提督「ああいうもんじゃないのか?」


榛名「だからです。1度考え方を改め直させるんです」



五月雨「はぁ……はぁ……」


部屋から全速力で走ってきた五月雨は肩で息をしながら提督の部屋の前にいる


五月雨「な、なんともないと信じてるけど……」


榛名「提督?固くなってますよ?」


中から小さいながら榛名の声が聞こえる


提督「は、榛名が近いからで……」


五月雨「あぁ……」


榛名「ほら、ここをこうして……」


提督「こ、こうか?」


五月雨「ダメ!ダメダメダメ!!!」


中で何をやってるか想像した五月雨はドアを叩き始める


榛名「こんな時間に誰でしょうか?」


提督「俺が出る。お前はそこにいてくれ」


五月雨「ふぇ!?た、叩いたから……あ、いやでも今提督はは、はだ……」


キャパを超えたことを想像してしまい固まってしまう


提督「誰だ?って五月雨か」


扉が開くと制服姿の提督が出てくる


五月雨「へ?」


中を覗き込むと制服姿の榛名がこちらを見ている


榛名「どうしました?」


五月雨「あれ?へ、変なことしてない……?」


提督「なにかんがえてたんだよ……」


榛名「まさか私たちがいやらしいことをしていたと考えてたんじゃないんですか?」


提督「お、ばっ!!?」


顔を一気に赤くした提督は壁に頭を叩きつける


五月雨「で、でも……。手取り足取り提督に教えるって……」


榛名「ああ。そんなこと言いましたね」


奥から出てくる榛名


榛名「提督は1度1から学んで欲しかったので手の握り方から話し方。そして接し方について榛名を相手に先入観無しに実践していたんです」


五月雨「か、固くなったって……」


榛名「ふふふ。面白いこと言いますね。あなただって不意打ちで提督に手を握られると固まるじゃないですか」


五月雨「榛名さんが近いから提督が固まって……」


提督「それ以上は俺がやばい」


手で顔を仰ぎながら壁から離れた提督


提督「で、さみぃはどれだけいやらしいことを考えたのか、っが!!!」


気持ち悪い笑顔で話しかける提督を見た榛名が太ももを蹴り飛ばす


榛名「まったく。これは筆記からやるしかないですね」


榛名「あ、いいこと思いつきました。五月雨ちゃんも参加してください」


なにやら思いつい榛名


五月雨「い、いいですけど……」


提督「変なことさせるなよ?」


榛名「榛名では提督は緊張しますよね?五月雨ちゃんでは?」


提督「あー……」


榛名「そういうことです」


提督「嫌だったら言ってくれよ?」


五月雨「だ、大丈夫です!」


その後日付が変わるまで練習は続き五月雨が眠くて動けなくなったところで解散となった


提督「ふぅ……」


やっと1人になった提督は深く息を吐く


提督「疲れたわ……」


初めは五月雨の手を繋ぐところから始まり抱きしめる所まで行った


提督「柔らかかったけど……」


一瞬思い出して頭を降って追い払う


提督「これでも努力してんだよなぁ……」


ここ数ヶ月のことを思い出す


提督「寝るか」


次の日


金剛「Hey!テイトクゥ!!」


提督が提督室で準備をしているとドアを蹴破って金剛が入ってくる


提督「ヘアッ!?」


榛名「こ、金剛お姉様!!」


後を追って榛名が入ってくる


金剛「昨日はsorryね!」


提督「こ、金剛か……」


肩で息をする提督は平常心を保つ


金剛「改めて金剛型1番艦金剛ネー!」


提督「分かってるよ。昨日は済まないな」


金剛「大丈夫ネー!提督がロリコーンというのは理解しましたー」


提督「違う!確かに五月雨は小さくて可愛くて好きではあるけど」


五月雨が部屋に入ってくる


提督「それでも俺は榛名が好きなんだよ!」


俯く五月雨、顔を赤くして明後日の方をむく榛名


金剛「Why?榛名本当ですか?」


榛名「ええええと……」


金剛「ふむ?ならまだ付き合ってないことですネー?」


提督「あ、いや……そうなるのか……?」


榛名「提督……」


お互い顔を合わせて赤くなって目線を外す


金剛「なら早い者勝ちネー!」


金剛「meは提督に一目惚れしました!」


提督「はぁ!?」


榛名「……」


榛名から重たいオーラが出てくる


金剛「榛名と付き合ってないのならmeと付き合ってください」


提督「で、でも会って間もないし……」


金剛「関係ないネー!それはおいおいで」


榛名「……さない」


五月雨「は、榛名さん?」


榛名の気配が変わったことにいち早く気がついた五月雨


金剛「空いてるのならよろしくネー!」


榛名「ゆる、さない!」


ふだんの榛名からは想像できないドスの効いた声が響く


金剛「What's ?」


榛名「いくらお姉様といえどもこればっかりは譲れません!!」


金剛の肩を掴むと自分の方に向くように力づくで引っ張る


提督「ッヒ」


榛名「提督は榛名のものです!金剛お姉様のものにはさせません!」


榛名「誰がなんと言おうと提督は榛名のものなんです!提督のことは榛名が一番理解してるんです!!」


金剛「い、いたい……」


榛名「許しません!お姉様のことは!」


金剛「ど、どうしたネー?」


提督「やめろ」


提督「俺を取り合うのはやめろ。と言いたいけどそんな空気じゃねぇんだよ。榛名は艤装を解除しろ」


いつの間にか艤装を展開していた榛名

その銃口は金剛の顔を狙っている

五月雨は床にへたり込み……


五月雨「……」じょばー


提督「……」


一瞬五月雨の方を見てすぐ視線を外す


提督「俺が止めなければ何をしていた?」


榛名「この女を……」


提督「落ち着け。君らしくないぞ。口調もおかしくなってるぞ?」


榛名「でも……!」


提督「わかってるから」


金剛「は、はは。ぜ、全部冗談デース」


苦し紛れの嘘を引きついた笑顔で口にする


榛名「ガルル」


金剛の方を見て唸る


提督「まったく。俺が好きな榛名は笑顔で明るい榛名だぞ?」


榛名「すみません……」


提督「今回のことは不問とする。金剛だって嘘(にしないとやばい)って言ってるし」


提督「だが、だ。榛名」


榛名「なんでしょう」


提督「五月雨ちゃんに謝りなさい」


榛名「へ?」


五月雨「ひぐ……えぐ……」


両手で顔を覆いガチで泣いてる五月雨


提督「俺でも足が震えてるんだぞ?隣にいた五月雨がどれだけ怖い思いしたと思う?」


五月雨「こわ、えぐ……かった……うぅ……」


榛名「五月雨ちゃんすみません……」


五月雨「お母さん怖いよーええーん!!」


金剛「お、おかっ!?」


提督「本当のでは無いけどこれで分かったよな?」


金剛「そういうことですか」


榛名「五月雨ちゃん……」


そっと抱きしめる榛名


榛名「怖がらせてごめ……つめたっ」


抱き寄せた時不自然に冷たいことに気がつく


榛名「て、提督!?」


提督「一瞬見てしまった。榛名頼む」


榛名「いえ。提督に任せる方が危険です」


金剛「my sisterは強く育ってて安心しマース」


五月雨を抱っこした榛名は早足で出ていく


提督「2人きりだな」


部屋に取り残された2人


金剛「先程は助かりました」


提督「口調がおかしいぞ?」


金剛「提督が英語を理解してなさそうなので無理やり話してます」


提督「無理しなくていいぞ」


金剛「了解ネー」


提督「榛名はしばらく帰ってこなさそうだし手伝ってくれ」


金剛「でもmeが提督の事Loveなのは本当ですヨー?」


提督「はは。君のような美人に言われたら嬉しい。が、俺には榛名が居るし五月雨ちゃんもいる」


金剛「けど振り向かせマース」


提督「程々にな。んじゃ君を秘書艦にするから仕事手伝ってくれ」


金剛「榛名のこと教えてくだサーイ」


金剛に秘書艦を任せてその日の仕事を始める


今回のことがきっかけとなり後にあんな重大事件が起きることはこの時誰も知らない


それから数日して大規模作戦が終了する

結果は人類側の勝利

何とか海域を取り戻し警戒態勢がひかれて


提督「お疲れ様。っと忘れるところだった」


提督室で2人が仕事をしていた

提督はあるものを思い出して引き出しを探る


榛名「どうかしました?」


提督「あったあった。今日は午後から工廠に行ってくれ」


提督は引き出しからある封筒を取り出し榛名に手渡す


榛名「これは?」


既に封は空いており中から書類を取り出す


『金剛型第三番艦榛名二伝達。第一次改装ノ練度二達シタタメ改修ヲ許可スル』


榛名「こ、これは??」


提督「実は大規模作戦中に届いてた。余裕が無くて渡しそびれてた」


榛名「榛名はもっと強くなれると?」


提督「詳しくはわからんが多分そういうことだろうな」


榛名「これでもっと提督のお役に立てれます!!」


提督「午前中にやること終わらせて君を工廠に送るとするよ」


榛名「けれど無理はさせません」


その後仕事を終わらせ工廠に榛名を預ける


明石「話は聞いてます。遅かったですね」


提督「忙しかったんだよ」


明石「分かってますよ。それでは榛名さんをお預かりしますね」


提督「頼む。榛名に変なことするなよ?」


明石「しませんよ!」


榛名「五月雨ちゃんから聞きました。裸の私を隅々まで触り倒してヨダレを垂らしていたと……」


明石「あ、あれは!!」


提督「おおん?聞き捨てならんぞ??」


明石「五月雨ちゃんが蘇ったのが嬉しかったのと技術者としてどうなってるのかが知りたくて……」


榛名「ですがそれで五月雨ちゃんの体を触り倒すのは話が違いますよ?」


明石「あーもう!忘れてください!榛名さんにそんなことしませんから!」


提督「榛名は守備範囲外と」


榛名「なんだか傷つきます……」


明石「私を提督みたいな変態と一緒にしな……!!!?」


提督の悪口を口にしたと同時に榛名が明石の胸ぐらをつかみ睨みつける


提督「どうどう。最近の榛名は俺の事になると気性が荒くなるから下手な事を言わない方がいいぞ?」


榛名「ガルルル」


明石「こ、殺されるかと……」


提督「んじゃ頼むわ。俺はこの前建造した戦艦だと思われる娘の確認しなければいけないから」


明石「数時間もすれば終わりますので終わり次第そちらに向かわせますね」


明石に榛名を預けて建造エリアに移動する

途中提督を探していた五月雨と合流する


五月雨「おはようございます」


提督「おう。おはよう。昨日は大丈夫だったか?怖い思いさせて済まないな」


五月雨「あ、ええと……」


俯いて黙ってしまう


提督「俺は見てないから気にしなくていいからな」


五月雨「分かってるじゃないですか!!ああもう!!」


提督の胸を両手で叩いてくる


提督「あれは仕方ないと思うからな。君も恥ずかしい思いしたわけだし」


五月雨「むぅぅ!」


頬をふくらませて睨みつけてくる


提督「あの後のことは榛名から聞いてない俺の憶測だから忘れてくれ」


五月雨「よかった……。今日は榛名さんは?」


提督「第一次改装だそうだ」


五月雨に手元に残った書類を手渡す


五月雨「おぉー。あれ?でも私にも来てませんでした?」


書類を見て思い出す


提督「うん。君が沈む前にね。戦わせるつもりは無いから改装はしないよ?」


五月雨「わかってます。改装しても戦える保証がありませんし」


妖精さん「いいタイミングで来ましたね」


話しながら歩いていたふたりはいつの間にか建造エリアにたどり着いていた


五月雨「この前建造したあれですか?」


大規模作戦前に建造をしていた。作戦がハードなこともあって提督自身その存在を忘れてしまっていた


提督「連絡ありがとうございます。助かりました」


妖精さん「いえいえ。私たちはただ建造が終わるのを報告したまでですよ」


ポットには残り5分と表示されている


提督「んー。このあと少しが焦るというか……」


ソワソワし始める提督


妖精さん「今ここにいる戦艦は榛名さんに扶桑さんそれに昨日回収した金剛さんですね。さすがにダブルとは思えませんが」


五月雨「ダブルとどうなるんですか?」


妖精さん「なんと言いますか……。ダブります」


提督「要は分からないと。俺もわからんしその時はその時だな」


妖精さん「そろそろですよ」


ポットの中が更に泡立ち建造が終わりを迎える

扉が開き中から女性が出てくる


比叡「金剛お姉さまの妹分、比叡です。 経験を積んで、姉さまに少しでも近づきたいです」


比叡と名乗った女性は肩までの長さの茶髪のショートボブで榛名や金剛と同じ制服を身にまとっている


提督「金剛お姉様?」


比叡「ええそうですとも!金剛型2番艦比叡です!気合い!いれて!行きます!」


提督「ボーイッシュなタイプか」


比叡「あなたが提督ね?よろしくお願いします!ここには金剛お姉様は?」


提督「おう。よろしくな。金剛ならいるぞ。それに榛名も」


比叡「やったぁ!お姉様がいる!それに榛名も!?」


提督「テンション高ぇな。それに近いぞ?」


比叡「ふぇ!?」


ハイテンションの比叡は提督の顔に自身の顔を近づけていた


比叡「私は金剛お姉様一筋なので提督なんて気にもなりません!」


提督「お、おう……」


五月雨「あ、ひ、比叡さん……」


オドオドと五月雨が声をかける


比叡「あ、五月雨ちゃん!」


そんなことに気がつくことなく五月雨の両手を握ってブンブンと音が鳴るぐらいに勢いよく上下に振る


五月雨「っひ……」


提督「なんだかわからんが怖がってるからやめたまえ」


比叡「五月雨ちゃん?」


五月雨「あ、あの!比叡さん!」


五月雨「すみませんでした!」


比叡「へ?」


突然自身に謝罪してきた五月雨に比叡は鳩が豆鉄砲を受けたような顔をしてしまう


五月雨「なんだかわからないんですが……。けれど謝らないといけないと思って……」


比叡「ええと……。??」


深く考える比叡


提督「わかんない?」


何も分からない提督


比叡「あっ!!思い出した!!あれだよね!私を誤射しまくったあれ!」


五月雨「ひぃ……」


突然の大声に縮こまる五月雨


比叡「大丈夫だって!私そんなの気にしてないから。まぁたしかに打たれた時はびっくりしたけどさ」


五月雨「あー……」


五月雨「すみませんでした!」


深深と頭を下げる


比叡「だーかーらー!大丈夫なんだって!あの状況じゃそうなっても仕方ないんだって!」


提督「ええと……?軍艦時代の話か?」


話が読めない提督


比叡「ええ。昔乱戦してた時に五月雨ちゃんが私を誤射したんですよ。めちゃくちゃに打たれたので副砲で打ち返して分からせて。はい」


五月雨「うぅ……」


耐えきれずに泣き始める


提督「よしよし」


五月雨を抱き寄せて頭を撫ぜる


提督「比叡さんは仲間を撃つ乱暴ものと」


比叡「ひぇー!!」


提督「え?それ鳴き声なん??」


比叡「違いますって!!両方とも違います!」


提督「はは。冗談さ。君のその性格からそんなことするようには見えんさ」


比叡「この人わかっててやってんのか……」


提督「榛名はそろそろ改修から帰ってくるがどうする?」


腕時計で時間を見て問いかける


比叡「んー。お姉様は逃げないので榛名を待ちますね」


五月雨「ひぐ……」


提督「泣かせたんだぞ?」


腕の中で泣いている(嘘泣き)五月雨


比叡「えぇ……。というか提督と五月雨はどういう関係で?」


提督「んー。なんというか……」


比叡「おぉ??まさかやましい関係なんですかァ??」


ニヤつきながら煽るように返してくる


提督「はぁ……。榛名頼むわ」


肩をすくめて比叡の後ろの榛名に声をかける


榛名「比叡お姉様?ようこそいらっしゃいました」


比叡「へ?榛名なの?」


そのトーンを知っている提督は五月雨を強く抱きしめて声が届きにくくする


榛名「ええ。榛名です。なんの話しをしてました?」


比叡「提督と五月雨ちゃんがやましい関係じゃないのかと思って……」


榛名「ふふ。冗談ですよね?今なら許してあげますので答えてください」


笑顔の榛名だがうっすらと開いた目は笑っておらず比叡を睨みつけていた


比叡「え?本当に榛名だよね!?」


提督「最近俺の事になると荒れるんよ……」


比叡「は?私の榛名に何してくれんのよ。まさか手を出してないよね?」


提督に詰め寄る


提督「いや今そこを気にすることじゃなくね?」


比叡「そんなこと?ふざけんな!榛名に手を出したかって聞いてんだよ!」


提督につかみかかろうとする。が


榛名「お姉様?今は榛名と話をしているんですよ?」


すっと現れた榛名が比叡の手を掴む


比叡「後にして!いまはて、いたたたたた!!」


掴んだ手をひねり比叡の体制を崩す


榛名「提督に手を出そうとしましたよね?おいたは榛名が許しません♪」


言葉とは裏腹に比叡をねじふせてしまう


比叡「あ、い、あ、ギブ!ギブギブ!!」


榛名「はぁ……。どうしてお姉様は榛名とお話してくれないのでしょう……。まさか提督のことが!?」


提督「はーい。一旦落ち着こうかー」


間に割って入って2人を引き剥がす


比叡「し、死ぬかと……。提督助かりました……」


提督「このままだと榛名がお前を殴りかねないからちゃんと答えるか」


榛名「提督?いくら私でも比叡お姉様を殴るなんて……」


後ろに手を組んでいる榛名だが提督はそれが握った拳を隠していると気がつく


提督「話す前にひとつ誓ってくれ。キレるなよ?」


比叡「今の状況でそんなことできると思いますか?」


提督「できないね!」


比叡「ひえー!」


提督「で、だ。五月雨との関係は形式上は親子だ」


比叡「うっわ」


榛名「で、私がお母さんということになってます」


比叡「は?……。は?」


提督「別に結婚はしてないし付き合ってもいな「ざっけんな!」」


比叡「そんな気持ちで榛名にちか「お姉様?」」


榛名「今は提督が話しているんですよ?」


比叡「いやでも「お姉様?」」


比叡「すみません……」


榛名「まったく。お姉様が来る前に色々ありまして」


榛名が経緯を話し始める


榛名「……でですね。酒の席というのもありましたね」


五月雨「恥ずかしいよ……」


提督「お前だけじゃないぞ……」


比叡「ひえーい。思った以上に重いぞ?」


榛名「ということになります。わかりましたかお姉様?」


比叡「もちろん。提督が変態ということがよく!」


提督「あーあ。死にたい」


五月雨「お供します」


榛名「で、提督は何か言うことがないのですか?」


提督「ん?改装お疲れ様。思った以上に変わらなかったな」


榛名「なぜ変わると思ったのですか……」


提督「いやほら改装やん?艤装が大きくなるとか服が変わるとかあるやん?」


榛名「そこまでのことはしてません。全体的に性能が上がったり提督への思いが強くなったりしただけですよ?」


提督「おかしくない?」


榛名「何がですか?」


提督「ハーイ」


比叡「榛名がどれだけこいつのことを想ってるかよーく分かりました。金剛お姉様のところに行きたいのですが場所は分かりますか?」


榛名「ふふ。お姉様なら私の部屋にいますよ?」


提督「というか金剛型の部屋だろ?昨日引越ししたやろ」


今まで一人部屋にいた榛名。金剛が来たことにより四人部屋に移動したのだ


比叡「そういうことですか。というか霧島は?」


榛名「残念ながら霧島はまだいません……」


比叡「そっかー……。まぁいいわ。私はお姉様のところに行くわ」


提督「妖精さんを案内役につけるぞ」


比叡「ありがとうございます。では!」


妖精さんを掴むと最大速力で走り去ってしまう


提督「さっきから静かだぞー?」


横でうなだれてる五月雨の頭を撫ぜる


五月雨「ひゃっ!?」


提督「ひゃだって。かわいー」


榛名「おいたは許しませんよ?」


提督「すみません……」


五月雨「なんだか疲れました……」


榛名「比叡お姉様はあのテンションなのでなれないと疲れますよね」


五月雨と目線を合わせるためにしゃがむ榛名


五月雨「落ち着いたらお腹がすきました……」


提督「君って割と食べるよね?」


五月雨「お腹がすくから仕方ないんです!」


榛名「んー?少し肉が着きましたか?」


五月雨をまさぐりながら肉付きを探る


五月雨「つ、ついてません!成長期です!」


提督「え?艦娘って成長するの!?」


明石「しませんよー!」


遠くから明石が返してくる


榛名「じー」


五月雨「こ、これから運動します……」


提督「多少は肉付きがあっても俺は好きだけどな」


榛名「まったく。五月雨ちゃん行きましょうか」


榛名は五月雨の手を取って歩き出す


五月雨「はーい。お父さんの変態」


提督「置いてかないでー!」


その後を提督が走って追いかける


そして次よ大規模作戦に向け日々やれることをこなしていく

順調に提督自身の練度は上がっていき艦隊は徐々に拡大していく


時は流れる


提督「っと今日の業務終了」


11月中旬


榛名「お疲れ様です」


2人は提督室で職務をしている


提督「さすがに半年も勤めれば慣れるか」


提督が提督についてから半年が経過しようとしている

榛名の練度はかなり高くなっている。そして鎮守府には様々な艦種の艦娘が揃ってきている


榛名「艦娘も増えましたね」


窓から外を眺める


グラウンドをランニングする戦艦や軽巡。弓道場で弓の練習をする空母。敷地内の大きな岩の上で坐禅を組んで精神統一している軽空母。走り回る駆逐


提督「ざっと80ぐらいだっけか?何割かはまだ名前と顔が一致しないわ」


榛名「大丈夫ですよ。提督として成長すれば覚えられます」


2人は並んで外を眺める

それに気がついた駆逐艦が敬礼をしてくる


提督「吹雪か。初期艦って案外簡単に手に入るもんだな」


ぎこちない敬礼を返してほほ笑みかける


榛名「ええ。漣ちゃんも電ちゃんも来ましたね」


提督「響ちゃんの姉妹艦の電ちゃんか。ほかにも叢雲も来たしな」


提督「正直俺の手に負えるかわからん。が、君がいるし無理なところは任せるよ」


榛名「榛名感激です!」


するとドアがノックされる


提督「誰だ?」


ドアが開き艦娘が入ってくる


響「お疲れ様。書類が届いてるよ」


五月雨「です。重要そうです」


あれからしばらくして二人の仲はさらに深まっていた


提督「ありがとう。すまないね」


そっと五月雨の頭を撫ぜる


五月雨「は、恥ずかしいのでやめて欲しいです……」


提督「響に見られるのがか?」


響「そうかい?私も撫ぜて欲しいかな?」


提督「響ちゃんはそう言ってるぞ?」


空いてる手で響を撫ぜる


響「ふふ。くすぐったいよ。提督」


提督「っと危ない危ない。ありがとな」


提督は2人にお礼を言うと立ち上がり封筒を開ける


提督「まじかー……」


封筒の中には大規模作戦の参加依頼書が入っていた


『サーモン諸島海域を起点に敵深海棲艦の大規模な基地を発見。各提督に伝達。持てる戦力を持って敵基地の破壊、もしくは弱体化に図れ。』


提督「なるほど」


榛名「もう始まっているのでしょうか?」


提督「いんや?来週半ばからだ。ある程度戦力を集めた後に一気に叩くみたいだ」


提督「前回は力及ばずに敗北を期した。今回もどこまで通用するか分からないがやれるだけやるぞ」


榛名「ええ。榛名もお供します」


その日の活動を終了し提督は1週間の活動予定を立てる


次の日


提督「ふぅ……」


榛名「お疲れ様です」


日のノルマをこなし遠征を出し練度上げを行う


提督「榛名もな」


榛名「あまりこんを詰めすぎても倒れるだけですよ?」


提督の目の下にはうっすらとくまが出てきている


提督「やっぱ分かるか。大規模作戦が近くて夜遅くまで作戦立ててるんだよ」


榛名「それは聞き捨てなりませんね。提督はここの頭ですよ?その自覚を持ってください」


提督「すまんな。けど癖みたいなもんなんだよ」


榛名「では今日から榛名が寝るまでおそばにいますね」


提督「それ寝れないよ?」


榛名「ダメです。提督が寝るまで榛名はそばに居ます」


提督「そっかー」


2人が話しているとドアがノックされる


提督「誰だろう?入っていいぞ?」


ゆっくりとドアが開き比叡が入って


金剛「Hey!テイトクゥ!」


くるまえに金剛がドアを蹴破って入ってくる


提督「あまり備品を壊すなよ?」


金剛「oh sit……」


比叡「お姉様そんな凹まないでください。壊しても提督が治すんですから」


提督「材料費も馬鹿にならんのだぞ?で、何の用だ?」


金剛「そうデース。お昼を一緒に食べに行きませんカー?」


提督「榛名は構わないか?」


榛名「榛名は大丈夫です……」


提督(心なしか表情が暗いな)


提督「毎日一緒に食べてるじゃないか。たまには姉妹と一緒に食べるのもいいと思うぞ?」


金剛「提督とeatしたいのですが?」


提督「そっかー……」


榛名「比叡お姉様も一緒してくださるんですよね?」


比叡「んーそうなるかな。お姉様を1人には出来ないし。それに……」


少し睨むように提督の方を見てくる


提督「なんだよ」


比叡「なんでもないでーす」


提督「昼を少しすぎてるがまぁ席は取れるでしょ」


4人は提督室を出て間宮亭にいどうする


金剛と榛名は提督の隣を取り合い榛名が金剛を押さえつけたところで提督が制止する


提督「少しは落ち着けないのか?」


榛名「提督の横は譲れません!」


金剛「たまにはいいじゃないですカー」


榛名「ここは譲れません!」


2人のいがみ合いを宥めながら昼食を摂る


提督「間宮さんの料理はホント美味しいな」


榛名「今度なにか作りましょうか?」


提督「おー。楽しみだ」


比叡「あー。私も作りたいんですがいいですか?」


何かを思いついた比叡が参加してくる


榛名「お姉様まさか提督の胃袋をつかもうとしてませんか?」


榛名「まっさかー。こう見えて昔はお召艦だったんですよ?」


提督「なら比叡に頼もうかな」


榛名「提督!?」


提督「ほら君の料理だろ?楽しみはあとに取っておきたいんだよ」


比叡「遠回しにお前の飯は前座だって言われてません?」


提督「気のせいだろ」


金剛「ならmeも作りたいデース」


提督「たまには間宮さん以外の料理も食べてみたいと思ってたところだ」


榛名「提督は料理が出来ないですからね」


提督「どこでその情報を……」


榛名「ふふ。提督のことならなんでも知ってますよ」チラッ


榛名は得意げに告げると2人の方を見る


比叡「なによ」


榛名「なんでもありませんよ?」


比叡「では数日おきにそれぞれが料理を作るということでいいですか?」


提督「食べ比べにならなくて良かった……」


榛名「ですね」


比叡「あ、でも確か榛名りょう「ぉぉおお姉様!!?」」


比叡が何かを言おうとするが榛名が大声で遮る


金剛「そういえばそうでしたネー」


提督「なんだかよく分からないが榛名はすべてを完璧にこなすからどんな料理が出てくるか楽しみだ」


提督「っと。間宮さん会計をお願いします」


長々と話していたことに気がつくと伝票を手にレジに向かう


比叡「で、言いたいことは?」


榛名「お、お願いします……」


比叡「よろしい」


その日はそれなりに活動をして仕事を終える


数日後


提督「ふぃー……」


大きく息を吐き出す


提督「のこり3日。やれることはやったがどこまで通用するか」


榛名「あまり無理はしないでくださいね」


提督「分かってる。っと今日だっけか?」


榛名「ええ。今日は比叡お姉様の番です」


提督「女の子の手料理ってだけでテンション上がるわ」


榛名「まさか比叡お姉様に?」


提督「それはない。ボーイッシュなのも好きだけど榛名の方が好みが勝る」


榛名「ふふ。感激です」


誇らしげな顔をしてドヤ顔を見せてくる


提督「すっごい可愛いやつ」


榛名「ひふえ!?」


顔を押さえて蹲る


提督「すまぬ……」


それからしばらく経つ


提督「遅くない?」


榛名「ええ。さすがに遅すぎます」


予定の時間をすぎており2人は不審に思う


提督「まさか料理ができな「お、遅れましたァ!!」」


比叡がドアをタックルでぶち破って入ってくる


提督「!?!?!?」


榛名「お姉様?」


比叡「な、何とか出来ました!」


提督「そ、れが?」


比叡は鍋ごと持ち込んできていた

怪しげな煙が蓋の間から漏れ出ている


提督「それが?」


比叡「なんで2回も言うの!!」


提督「いやそれをカレーと呼べるのか?」


比叡「カレー!です!」


ドンッ!と音を立てて机の上に鍋を置く


提督「ヴ……」


提督は声にもならない悲鳴をあげる

普通カレーからはカレーの香りやスパイスの香りがするのだがそれからは刺激臭がしている


比叡「提督が私の料理を食べたいとの事だったので気合い!入れて!作りました!」


榛名「あのお姉様が気合いを!?」


提督「中を見てもいいか?」


比叡「もちろん!」


提督は鍋の蓋を開け、ると顔を離す


提督「ヴヴ……」


比叡「酷い!」


提督「なぁひとついいか?」


比叡「なんでしょう」


提督「中に何を入れた?」


比叡「ええと……」


提督「言えないものを入れた!?」


比叡「違いますって!なんといいますか……」


比叡は口ごもってしまう


比叡「最近提督疲れてるじゃないですか。だから……」


提督「体にいいものを詰め込んだと……」


比叡「近いですね!(本当は体に悪いものをたっぷりと)」


提督「まぁええわ。」


持ってきていた白米を皿によそいカレーを注いでいく


提督「気持ちをぶげにはできんからな」


榛名「あ!提督待って!」


異常に気づいた榛名が止めるが間に合わない


提督「おーうま……!?お!?ん!?!?」


提督の視界はぐるぐると回転し喋ることすら困難になる


提督「な、あ、しか、おぉ……」


そして椅子から崩れるように倒れてしまう


榛名「お姉様!!」


比叡「まさか倒れるなんて!!」


榛名「ああもう!私がもっと早く気がついていれば!」


提督を抱き抱えると半壊してるドアを蹴り壊して走り去ってしまう


比叡「アルコール入れすぎたかな」


提督が食べていたカレーを見つめる


比叡「んー」


比叡「スッポンとかかな……」


比叡「張り切って作りすぎたかな……。普通に作ればよかったかな」


残りのカレーを食していく


比叡「あーでもアルコールを飛ばして調整すれば普通に食べれるわ」


残りを部屋に持ち帰る


明石「ど、どうしたんですか?」


榛名「ベット借りますね。疲れて倒れたんです」


比叡のカレーで倒れたことは伏せる


明石「あー最近忙しなかったですからね」


五月雨「お父さんが倒れたんですって!?」


榛名がベットに提督を寝かせるとドアを蹴破って五月雨が突入してくる


榛名「五月雨ちゃん?」


五月雨「し、心配で……」


榛名「大丈夫ですよ。きっと」


五月雨「お父さん……」


薄れゆく意識の中で榛名に抱きしめられるのを認識した提督


提督(何故こうなった……)


そして意識を失う


提督「あ、ここ……は?」


しばらくして目が覚める提督

だが、そこは自分がいた鎮守府ではない


五月雨「あ、やっと起きたんですね」


提督「さみぃ?」


五月雨「はい」


目の前に五月雨が現れる

なにか様子がおかしい


提督「なぁ足はどうした」


目の前の五月雨は車椅子に座っていて足には毛布がかけてある


五月雨「何言ってるんですか。あなたを守るために足を捨てたんですよ?」


提督「……へ?」


五月雨「だーかーらーあなたを守るために私は自分の足を犠牲にしたんですって」


提督「う……」


耐えきれずに吐き出してしまう


提督「いやまて。お前は誰だ。五月雨がこんなことを言うわけがない!」


五月雨「私は私ですよ?だってほら」


近づいてきた五月雨は提督の手を掴むと自分の胸に押し当てる


五月雨「何度も触ったのでしょう?」


提督「や、めろ!」


手を振り払い距離をとる


提督「五月雨はそんな事しない!」



提督を寝かせてからしばらくすると提督がうなされ始める


榛名「提督!?大丈夫ですか提督!」


あまりにも険しい顔をし始めたため榛名が肩を揺する


五月雨「どうしたんですか!?」


榛名の叫び声で外にいた五月雨が入ってくる



提督「お前は誰だ。俺に何を伝えたい」


たまに非現実的な夢をよく見る提督

感触からして現実に近いが夢だと自覚する


???「ははは。流石だ」


五月雨だったそれは形を崩して何かを形成する


???「全く動じずとはな」


提督「な、なに!?」


???「心配するな。別に取って食おうなんて思ってない。五月雨のこともある。お前は面白いからな」


提督「お前は誰なんだ」


???「私はーーーっふ。やはり言語化できないか」


???「本来は死にかけないとここには来れないのだが何故だ?」


提督「もしかして……」


何かを察した提督


提督「その件はすまない。だが何故なんだ」


???「ふはは。やはり面白い。俺の目に狂いはないな。五月雨に関しては彼女の期待に答えた迄だ」


提督「そうか。いやまて!死にかけないと来れないって言ったか??」


???「おうとも。お前はどうやってここに来た。普通の人間はこれない筈だぞ?」


提督「比叡のカレーを食べて……」


???「あ、はははははは!!!」


空間に響くほどの声が鳴り響く


???「カレーだと?はははは!!本当に面白い!!」


???「今回は特別だ。元いた場所に返してやろう。元よりお前に死なれては俺が面白くないのでな」


提督「そうか。これは夢だと思うことにする

。その方がお前も面白いだろう?」


???「っふ。分かってるじゃないか。だが、二度と来るなよ。誰もよこすな」


提督「俺もそこまで馬鹿じゃない。最後に聞いていいか?」


???「特別に答えてやろう」


提督「お前は誰だ」


???「俺か?それは教えられない。いや、違うなお前たちの言語で俺の存在は言語が出来ないし理解したらお前は壊れるぞ」


提督「まじかー。クトゥルー」


???「ではさらばだ。お前の仲間が待っているぞ」


視界は白く歪み何も見えなくなる



榛名「提督!」


現実世界では榛名が取り乱している


五月雨「人工呼吸でもしたら目が覚めるんじゃないですか?」


気配が匂いか。何かを察した五月雨は冷静でいる


榛名「え?ですが……」


人工呼吸と聞いて赤くなる榛名


五月雨「えー?出来ないんですかー?」


それを煽る五月雨


五月雨「なら私がお父さんにしようかなー?」


冷静に言ってると思い込んでる五月雨。その顔はリンゴみたいに真っ赤に染まり目線はあちらこちらに飛び回っている


榛名「ですが……」


五月雨「もう!私がします!」


耐えきれない五月雨がベットに腰をかけて顔を近ずける


榛名「だ、ダメです!」


五月雨を捕まえて引き剥がそうとする


提督「んん……」


ベットの上で暴れる2人のせいで提督が目を覚ます


提督「なにか夢を見ていた気が……」


目を開けて自分の状況を確認しようとする


榛名「あ、提督!」


五月雨「お父さん!」


掴みあっていたふたりが提督に気がつく


提督「なんでお前たちはつかみ……?!」


榛名「て、提督!?」


二人を見た提督は勢いよく鼻血を吹き出して気絶する


五月雨「あ、あー……」


榛名の手が離れた五月雨は自分たちの格好に気がつく

二人は服がはだけながら掴み合いをしていた


榛名「ひゃぁ!?」


榛名はいつの間にか上の服がはだけてサラシが少しほどけていたのだ


五月雨「私しーらなーい」


素早く身だしなみを整えた五月雨は顔を赤くしながら部屋から逃げ出す


榛名「あ!五月雨ちゃん!」


五月雨を追いかけるか提督の看病をするか悩み固まってしまう


榛名「もう……」


提督を選んだ榛名は看病を始める


数時間後


提督「ということがあってだな」


目を覚ました提督は榛名たちのことは口にせずに見た夢の内容を伝える


提督「んでサンズリバーを渡りかけて……」


榛名「それは危ないところでしたね」


提督「比叡ってメシマズなのか?」


榛名「そんなことは……」


2人が話しているとドアがノックされる


比叡「先程はすみません。味を調整したのでもう一度食べてください」


鍋を抱えた比叡が部屋に入ってくる


提督「すまないが二度とごめんだ。まさかあそこまでメシマズなんで思わなかった……」


比叡「そんな……一生懸命作ったのに……」


その言葉を聞いて比叡はは目の端に涙をうかべる


榛名「提督!それはあまりにも酷すぎます!」


比叡を庇うように榛名が怒る


提督「悪いとは思っている。が、次こそ死にかねん」


比叡「そ、そうですか……」


涙を拭った比叡は部屋から走り去ってしまう


榛名「提督はご自身の発言に責任をもった方がいいです!」


榛名が後を追う


提督「分かってるわ。だがあれは食い物じゃない……」


食べた完食や味を思い出し吐き気が襲ってくる



榛名「お姉様ぁ!!」


走る比叡に追いつき歩みを止めさせる


比叡「ひぐ……。提督のバカ……」


さすがの比叡でも面と向かってメシマズと言われては耐えられない


榛名「そのカレーは榛名が責任をもって食べます」


比叡「で、でも……。これを食べたら榛名は……」


榛名「いいんです。提督に食べさせたもの。それが提督を殺しかけたとしても榛名にとって比叡お姉様は尊敬するお姉様なんです」


比叡「はるなぁぁ!!」


榛名「あの人は嘘をつくのが苦手なんです」


自分に抱きつく比叡をなだめながら思い出を語っていく


榛名「けれどあの発言は酷すぎます。比叡お姉様は金剛型で1番料理がうまいのですから!!」


そう。巷ではメシマズ筆頭と言われている比叡だがこの鎮守府では間宮に次ぐ料理の腕を秘めている


比叡「提督のことを思って作ったのに……」


榛名「よしよし。お姉様は悪くありません」


榛名「いや待ってください。提督のことを思って??」


榛名の中で何かが切り替わる


比叡「やっべ」


榛名「まさかお姉様?」


比叡「そそそそんなことないって!」


榛名「まぁ今回は不問とします」


榛名「部屋に戻りましょう。ちょうどお姉様のカレーが食べたかったのです」


比叡「はーい。本当は榛名は食いしん坊だわ」


榛名「ち、ちがいます!お姉様の料理が美味しいのがいけないのであって……」


比叡「はいはい。これを食べたら提督用の取っておきのカレーを教えてあげるわ」


榛名「お願いします」


そして2人は金剛型の部屋に戻る

その後金剛が3杯、榛名が5杯食べてカレーが無くなった


数日後提督のために作られた榛名のカレーは大好評隣毎週金曜日に提督のために作って欲しいと頼まれてしまうのであった


榛名「やったぜ」


そして


提督「いよいよ大規模作戦の日だ」


遂に大規模作戦の開始日となる


提督「資材も全ての準備も万端だ!」


確認を済ませ回ってきた情報に目を通す

ある程度練度が上がったことで先遣隊からの情報をいち早く入手することができるようになっだ


提督「なになに?サーモン諸島海域にて哨戒して敵部隊を見つけろと」


提督「見つけ次第攻撃、撃破が目的と」


五月雨「前回より情報多いですね」


そうだ。前回は最小限の情報のみが提供されそれ以降は自分で問い合わせをして手に入れなければ行けなかった


提督「おはよう。昨日は寝れたかい?」


提督「練度が上がったから初めからそれなりの情報を貰えたのさ」


五月雨「なるほど。編成はどうしますか?」


提督「んー。金剛、比叡、榛名、扶桑、隼鷹、あとは……」


五月雨「響ちゃんは?」


提督「それもいいな。偵察でもあるけど敵部隊と会敵した場合のことを考えないと」


五月雨「大艦巨砲主義者め」


提督「いいだろ。これで色んな海域攻略してきたんだし」


ココ最近は戦艦4空母2の大艦巨砲主義で海域を攻略してきていた


五月雨「では私はみなさんを集めてきますね」


五月雨は部屋から出て


五月雨「きゃぁ!」


扉の段差で盛大に転んでしまう


提督「水色か」


五月雨「っへ?」


提督の発言の意味を理解して五月雨はスカートを抑える


五月雨「変態!」


ドアを勢いよく閉めると早足に離れていく


提督「もう最近見せに来てると思うようにしました」


しばらくして


響「提督。来たよ」


響を先頭に艦隊が集合する


扶桑「初めから出撃なんて不幸だわ……」


金剛「Hey!テイトクゥー!!」


提督に抱きつこうとするが


榛名「何度も言ってますよね?」


すでに不審なオーラを身に纏ってる榛名が止めるが


隼鷹「なんだよぉ。こんな時間から出撃したら酒が飲めないだろぉ」


ここ数ヶ月で建造した隼鷹


腰まである薄紫の髪。その髪型は独特でどうやって整えているのかが分からない

出るところは出ていて純粋なスタイルだけなら榛名を超えていた

空母は通常弓を射るのだが彼女は違った

巻物を手にそこから式神を飛ばして艦載機を召喚して戦うのだ


提督「まぁたのんでるぞこの呑兵衛は」


その戦闘スタイルに惚れた提督はたまに飲むのに付き合っているのだ

飲めないくせに


提督「酒は抜いとけよ。ここからは戦場だからな」


隼鷹「飲んでなきゃやってられないけどな。でもお前さんの命令なら」


榛名「提督と隼鷹さんなにか匂いますね」


提督「別に変なことしてないぞ。飲みに付き合ってるだけだ」


榛名「まさかその後?」


提督「はーい。君はいい加減そのオーラをしまいなさい」


榛名「むぅ……」


五月雨「全員揃いましたね」


周りを見渡して秘書艦の五月雨が声をかけてくる


提督「よし。これより作戦を開始する。内容は簡単だ。海域を索敵して敵主力とみられる艦隊を撃破。それを繰り返して海域を取り戻す」


全員「了解!「デース!」」


艦隊は出撃し敵艦隊を撃破しながら進軍していく


榛名「羅針盤ちゃんお願いしますね」


榛名の手には羅針盤を手にした妖精さんがいる

悲しいことに艦娘のルールとしてこの妖精さんの示すルートしか進軍できないのだ


榛名「11時の方角ですか」


榛名は艦隊に号令し移動する


扶桑「不幸だわ……」


一行は何も無いところで立ち往生してしまう


榛名「なぜ……」


何かの間違いだと思い羅針盤を回す

すると帰投するよう指示されてしまう


響「参ったね」


色々試行錯誤するが結局帰投する


提督「敵の旗艦は撃破したのか?」


榛名「それが……」


榛名は起きたことを説明する


提督「そっかー……。でも南西海域とかでもある事だしもう一度頼む」


榛名「了解しました。皆さん申し訳ありませんがもう1度行きましょう」


だがもう一度出撃するが同じところに行き着いてしまう


提督「ふむ……」


提督は悩む


提督「もしかしたら艦隊が重すぎるからなのか?」


提督「1度軽量編成で出撃させるか」


艦隊を解散させ駆逐艦を含めた艦隊を集める


天龍「やぁっと俺様の出番か!」


暁「いつまで待たせるのよ」


夕立「っぽい!」


愛宕「久しぶりの出撃だわぁ」


提督「集まってくれてありがとう。戦艦を含めた艦隊だと逸れる可能性を考えた。そして君たちに白羽の矢がたったのだ」


艦隊を組みかえ夕立、暁、愛宕、天龍、響、榛名の6隻で編成する


愛宕「なんだか懐かしい顔ぶれねぇ」


愛宕は周りを見渡す


提督「ああ。俺の初めの編成だ。多少違うがな」


隣にいた五月雨の頭に手を置く


五月雨「むぅ」


五月雨は手をはらいのける


提督「っと。まぁそういう訳でもう一度出撃をお願いしたい」


天龍「この俺様がいればどんなやつだってやっつけてやるぜ!」


暁「そうね」


榛名「提督に勝利を!」


榛名が艤装を展開し海上に降り立つ


夕立「素敵なパーティーにしましょ!」


夕立、暁と続く


響「大丈夫。全員無事に戻ってみせるから」


提督の感情を読み取ったのか響が伝えてくる


天龍「お前の情けない顔なんて見たくないからな」


2人も続く


愛宕「っと。置いてかれたわぁ」


最後に愛宕が出撃する


榛名「では行ってきます」


榛名が提督に敬礼をする。他の子達もそれに続く


提督「無理はするなよ」


水平線の先に消えるまで見届ける


提督「ふぅ……」


提督は深くため息をついてしまう


五月雨「どうかしました?」


提督「あ、いや大丈夫。少し疲れたんかな」


五月雨「部屋に戻りましょう。体を冷やしたんですよ」


提督「だな。居なくなるなよ?」


五月雨「ふふ。誰に言ってるんですか」


小走りで先に走っていく


提督「……ん?」


雲から太陽が出る一瞬。太陽光が眩しくて目をつぶる瞬間五月雨の髪が白く見えてしまう


提督「気のせい……か?」


五月雨「早く戻りましょう。寒いです」


提督が遅かったのか五月雨が戻ってきて手を取って走り出す


提督「そんな走るなよ?お前のことだからっと!」


案の定バランスを崩して倒れそうになる五月雨を握っていた手で支える


五月雨「むぅ……」


提督「そんな怒るなって」


五月雨「怒ってません!」


提督「ふふ。早く部屋に戻って皆の活躍を待とうぜ」


五月雨「はい」


2人は提督室に戻っていく


しばらくして榛名から通信がくる


榛名「提督?聞こえますか提督」


提督「聞こえてるぞ。どうした?」


榛名「敵艦隊を撃破しながら進軍していたところ先程例の羅針盤地帯を突破しました」


提督「そうか!なら良かった。引き続き進軍してくれ。分かってるよな?」


榛名「ええ。大破、ないし中破した場合は撤退。何も無ければ敵主力艦隊を撃破。提督のことは榛名が一番理解してますので」


天龍「話の途中悪いな。敵さんを発見したぜ」


榛名の報告を聞いていると敵中枢艦隊と遭遇する


響「敵編成は戦艦ル級軽巡ト級駆逐ニ級、駆逐ニ級、駆逐ハ級、駆逐ハ級だよ」


提督が提督になってからしばらくして敵に新型が何隻も生まれていた

同じ駆逐艦でも見た目や練度が違う


榛名「通信は……いつも通り繋がりませんね。ではここからは指揮権が榛名に移りました。空母はいませんので各自魚雷に注意し連携しながら自分の適正射程で砲撃戦をお願いします」


夕立「了解っぽい!他に指示はあるっぽい?」


榛名「可能な限り被弾はないように。榛名も支援をしますが全てに目が回りませんので」


暁「大丈夫よ!暁は立派なれでぃだから心配いらないわ!」


響「暁のことは任せて。榛名さんは戦艦の相手をおねがいするね」


天龍「俺はいつも通りこいつらのお守りだろ?任せときな!」


各自配置につき榛名の号令を待つ


榛名「生きて提督の元に戻りましょう!全砲門……てぇ!!」


敵戦艦に標準を向け砲撃を開始する

敵も待っていたのかそれに合わせて反撃してくる

榛名の砲撃を合図に各自散開し戦いが始まる


榛名の一斉射撃で戦艦を中破させ横にいた駆逐艦ハ級が流れ弾で轟沈する


その後は適度に榛名が砲撃をいなしながら敵の数を減らしていく


暁「これで!」 響「終わり!」 夕立「っぽい!」


3隻の魚雷で大破していたル級を撃破し戦いが終わる


天龍「……」


戦艦の砲撃から暁を守った天龍は中破している


榛名「他に被弾のある方は?」


響「ざっと見た感じいないっぽいね」


夕立「むぅ……」


榛名「では戻りましょうか」


天龍を中心とした輪形陣を取り一同は鎮守府に帰還する


鎮守府港


提督「おかえり。被弾は天龍だけか?」


天龍「あぁっもう!」


中破した姿を見られた天龍が地団駄をふむ


提督「そう怒るなって。名誉ある被弾だろうに」


天龍「なんでこの俺が子守りなんて……入渠してくる」


しかめっ面で現場から離れていく


提督「報告しろよ……」


榛名「まぁまぁ。天龍さん以外被害はそこまでなく敵中枢艦隊を撃破しました。提督」


提督「で、君は何回砲撃を弾いた?夕立教えてくれるかな?」


夕立「夕立で3回、響で2回っぽい!」


暁「暁はれでいだからあんな攻撃よけれるわ」


提督「小破してるだろ?君も入渠してきなさい」


榛名「榛名はまだ戦え……いえなんでも……」


榛名の言葉を遮るように珍しく提督が睨みつける


提督「ったく。やるなとは言わない。加減しろ」


榛名「榛名……待機命令了解です……」


しょんぼりしながら榛名が工廠の方に向かっていく


響「私たちはどうしたらいいかな?」


駆逐艦の3人が提督を見上げる


提督「榛名達が戻ってくるまで待機しててくれ。ご褒美でもあげたいところだけどまだそこまでは出来なくてすまんな」


暁「あ、暁はれでいだからそんなもの……」


響「うつむく暁も可愛いなぁ……あ、いやなんでもないよ」


しょんぼりする暁を見ながらニヤける響


夕立「夕立はまだ元気っぽい!でもまた戦えるのなら休むっぽい!」


手を広げながら本館の方に走っていく夕立。それを2人が追いかける


提督「珍しく静かだな」


後ろでニコニコと笑顔を絶やさなかった愛宕に声をかける


愛宕「あらもう終わりかしらぁ?」


提督「君も被弾はないみたいだな」


愛宕「ええ。攻撃が来る前に榛名さんが捌いてくれたから」


提督「そうだな。たまには君に秘書艦やってもらおうかな?」


愛宕「あらあらぁ?私で大丈夫かしらぁ?五月雨ちゃんが黙ってないと思うわぁ」


提督「黙ってないだろうね。けど今日は3回ほどお茶をかけられてるからこれ以上は耐えれない」


愛宕「へ?」


愛宕の顔から笑顔が消えてしまう


提督「榛名がいるからまだ何とかなってるけどいないと割ときつい。っと愚痴みたいでごめんな」


愛宕「んー」


人差し指を顎に当てて空を見上げて考え事をする愛宕


愛宕「そうねぇ。榛名さんが戻ってくるまででいいかしらぁ?」


提督「すまん」


話を終えて港から2人が離れる

後には静けさが残る


提督室前


提督「またせたなさみだっれ?!」


ドアを開けようとすると愛宕が右手に抱きついてくる


五月雨「……」


愛宕に押されてドアから入ってくる提督を見る


五月雨「……むぅ」


2人の顔を見て腕に視線を移す


提督「ふぁたごさん!?」


そういうことに慣れていなかった提督はすっとんきょうな声を上げてしまう


提督(み、右腕にあ、あた、あたって!!)


普段の提督からは想像できないだらしない顔をしながらあたふたする


五月雨「て、い、と、く?」


笑顔の五月雨が提督の椅子から降りて近くまで来る


提督「あああああいやこれにはわけが!!」


五月雨「ニヤニヤしながら言っても!説得力!皆無!です!!」


右足、左足右足と全力で蹴りを入れてくる

最後に提督の腹に蹴りを入れようとする


提督「いた、いたい!やめてさみだ!……あ、」


避けようと屈んだ提督の提督に五月雨の渾身の蹴りが直撃してしまう


提督「お、おば、あ……」


その一撃で提督は轟沈してしまう


愛宕「あ、あらあらぁ……」


さすがにやりすぎたと思った愛宕がオロオロし始める


五月雨「あ……でも知りません!」


倒れる提督の頭を軽く小突いて五月雨が部屋から逃げ出す


愛宕「ええと……どうしましょうかしらぁ……」


うずくまり失神している提督と愛宕が部屋に残されてしまう


愛宕「このままって訳には行かないわよねぇ。っと」


提督を抱き抱えると近くのソファに寝かせる


愛宕「提督が起きないと仕事が出来ないわ。そうだわぁ」


愛宕はソファに座りそっと提督の頭を持ち上げると自身の膝の上にのせる


愛宕「うふふ♪1度やって見たかったの」


提督の髪を触り寝顔を見つめる


しばらくして


榛名「むう……。何やら嫌な予感がします」


何かを察知した榛名は髪についた水分をタオルで落としながら提督室に走っていく


榛名「おいたは榛名が許しません」


ドアを勢いよく開けて部屋に入る


愛宕「あ、あらあらぁ……」


提督の頬をつつきニヤけている愛宕と目が合ってしまう


榛名「へぇ……」


それを見た榛名は笑顔のまま愛宕の元に向かう

愛宕は提督を置いて朝立ち上がろうとするが榛名の圧に負けて動けなくなってしまう


愛宕「こ、これにはわけが……」


榛名「ええ。ええ。わかってます」


愛宕が言おうとすることとは違うことを理解してしまう榛名


榛名「提督?何があったか教えて貰えますよね?」


榛名が部屋に入る少し前に目が覚めていた提督


提督「っひ」


愛宕の膝の上で小さい悲鳴をあげる


榛名「ことによっては榛名は許しませんよ?」


提督「あ、いやこれにはわ……!?」


この前から何も学んでいない提督は勢いよく起き上がり愛宕の豊満なものと衝突して弾き飛ばされてしまう


提督「ふぇ!?」


柔らかい膝でバウンドしてソファから落ちる提督


榛名「うふふふふ」


ゴロゴロと3回転ほど床を転がり榛名の足の下側に仰向けで停止してしまう


提督「あーあ。天使が見えるよ榛名」


榛名「っふ」


提督の言葉の内容を理解している榛名は軽く笑うと提督の顔を踏む


榛名「榛名だって直視されるのは恥ずかしいんですよ?」


グリグリと音が聞こえそうな勢いで踏む


提督「あー。愛宕済まない。嘘偽りなく部屋に戻ってからのことを伝えてくれ。じゃないと俺が俺だったものに変わってしまう」


顔を踏まれる提督は冷静に愛宕に説明を求める


愛宕「ええとぉ……」


愛宕は部屋に戻ってから何があったかを全て榛名に伝える


榛名「はぁ……。愛宕さんもそういうのはこれからは控えてください。五月雨ちゃんがどう思うか考えてくださいね。それと提督?」


土下座の状態のまま固まっている提督に声をかける


提督「何でしょう」


榛名「今回は不問にします。提督は悪くはありますが被害者なので。それと見たければ言って……あ、いえなんでもありません」


途中から顔を赤くした榛名は話すのをやめる


提督「本当にすまない。それとさみぃは部屋に入って来なさい」


五月雨「気がついてたんですね……」


ドアの外で中の様子を伺っていた五月雨をまねきいれる


提督「愛宕も悪気があったわけじゃないんだよな?」


愛宕「え、ええ。まさかこんなことになるなんて思ってもなかったわぁ」


五月雨「お母さん聞いて。お父さんって今までに見た事ないにやけ顔してたんだよ?」


榛名「今……なんて?」


それを聞いた榛名が提督を睨む


提督「……」


愛宕「刺激が強かったかしらァ」


榛名「提督は榛名より愛宕さんの大きさの方が好みなんですか?」


提督「そ、そんなことは!俺だって男なんだ仕方ないだろ」


五月雨「ふーん」


それを聞いた五月雨は提督の左腕に抱きつく


提督「?」


抱きつかれた提督は不思議そうに五月雨の顔を見る


五月雨「なんで!!」


榛名「はぁ……。五月雨ちゃんでは無理ですよ?」


五月雨「うぅ……」


自分の胸を見ながら部屋の隅に蹲ってしまう


榛名「まったく。ほんと提督は」


榛名は呆れてしまう


提督「と、とりあえず榛名は入渠から帰ってきたしもう一度出撃してくれないか?」


2人の顔を見る


愛宕「天龍ちゃんがまだもどってないわよお?」


提督「あいつは中破したが榛名の方が入渠時間が長いのは知ってる。だからだよ」


愛宕「なるほどぉ」


榛名「メンバーは同じですよね?」


提督「ああ」


榛名「では集めてきますね」


榛名は他の4人を集めに部屋から出ていく


愛宕「提督先程はすみません」


愛宕が頭を下げる


提督「いいいいや大丈夫だよ」


愛宕「五月雨ちゃんが提督に暴力を振るっているって聞いたのでお灸でも据えようかと思ったんだけど……」


五月雨「そ、それは提督が悪いんです!」


名前を呼ばれた五月雨が寄ってくる


提督「まぁこれもこいつなりの愛情表現だと思ってる。心配かけてすまんな」


五月雨の頭を撫ぜ、手で振り払われる


提督「こう見えても2人きりだと結構甘えてく……ったい!」


五月雨「提督!」


最後まで言わせないために五月雨が提督の脛を蹴り飛ばす


愛宕「あらあらぁ。でもね五月雨ちゃん?あまりおいたが過ぎると大変な事になるわよぉ?」


提督「そ、そうだぞ。今のメンバーはお前が俺への愛情表現で暴力を振るっているって分かってるけど新しい子がそれを見たらどう思う?もし君が逆の立場なら?」


五月雨「け、憲兵に通報す……」


それを察した五月雨が固まってしまう


提督「そういう事だ。もうやるなとは言わないが程々にな」


泣き出しそうな五月雨をそっと抱き寄せる


愛宕「うふふ♪ホント2人は仲がいいのねぇ」


提督「茶化すな。んじゃ港まで行くか」


五月雨の手を取って3人で港まで行く

その後集まった6人で艦隊を編成して出撃し敵艦隊を複数回撃破する


榛名「ふぅ。これで最後ですね」


4時間後本気を出した敵中枢艦隊と最後の戦いが始まる

結果は榛名、愛宕中破。天龍大破、夕立、暁小破となったが夜戦にて響の攻撃で敵艦隊を壊滅させ勝利を収めた


榛名「や、やられました……」


響「珍しいね」


天龍「……」


夕立「もうなにも言わないっぽい!」


暁「あそこに誰かいるわよ!」


敵艦隊を撃破したことで囚われていた艦娘を回収する

その後鎮守府に帰還する


提督「お疲れ様。こっぴどくやられたみたいだけど無事君たちのおかげで勝利することが出来た。済まないが大破、中破してる3人をまずは入居させたいから報告はその後に頼む。新しい子もその後に紹介をお願いしたい」


サッと終わらせて4人を入渠させる


響「いいかな?」


解散した後に響きが声をかけてくる


提督「どうした?」


響「榛名さんが戻るまでに時間がかかるだろうと思ってね。私が変わりに報告するよ」


響の言うように戦艦である榛名は修理が終わるまでにかなりの時間がかかる


提督「ああそうだな。ここだと冷えるから提督室に行くぞ」


響「うん」


響を連れて提督室に移動する。途中何度か響が提督の手に手を伸ばすが途中で引っ込めるのを繰り返していた


提督「第1作戦は終わったな」


提督室に戻った提督たち


響「そうだね。この後はどうするんだい?」


提督「情報をある程度集めたら艦隊を決める。今日はそこまでだな。連戦は事故を産むだけだ」


響「了解。次はどんなところだい?」


パソコンの画面にこのあとの作戦の大まかな内容が表示される


提督「ああ。かなりの規模みたいで途中夜戦での戦いになるみたいだ」


普通の海戦は昼戦(砲撃戦、雷撃戦)から夜戦なのだが今回は規模が大きく時間がかかるために途中夜戦での先頭が余儀なくされる


提督「で、響ちゃん?」


確認してる最中に響が何を思ったのか提督の膝の上に上がってくる


響「なんだい?」


提督「あまり膝に乗らないで欲しいかな」


響「ふむ。提督はこうすると興奮するって聞いたんだけど」


提督「はっはは。面白いことを言う。榛名に言うのは最期にしてやる」


五月雨「響ちゃん!!」


遠くで本を読んでた五月雨が走ってくる


提督「ほら。さみぃだって怒ってるでしょ


響「ちぇー。ここは提督の最愛なる娘の五月雨ちゃんの場所だもんね」


茶化すようにそう告げると膝から飛び降りる


五月雨「……」


その言葉を聞いて五月雨は真っ赤になる


提督「は、はは……」


提督も顔を赤くして横を向いてしまう


響「2人をからかうの面白いね」


提督「こ、こほん。冗談も大概にしろよな」


五月雨「え……」


提督「そこしょぼくれない。あと一時間もしたら榛名が新規艦を連れて戻ってくるからそれまでには次の編成を決めておきたいんだ」


響「そうだね。五月雨はなんでそんなに真っ赤なんだい?」


五月雨「な、なんでもない!お茶入れてきますね!」


提督「っておい!」


提督が止めるまもなく五月雨が給湯室に走っていってしまう


提督「すまないが手伝ってやってくれ」


響「わかったよ」


響きを手伝いに向かわせて画面に向かう


提督「今までの俺の編成では中枢までは行けそうにない……。今育ってる艦種は偏りがあるわけで……」


ブツブツと独り言を言いながら大本営から届いた作戦書と睨み合う


提督「重量編成にならないように上手くばらして……。いやでも火力を落としすぎると道中は事故が起きるから……」


響「これが」


五月雨「うん。こうなるとうんともすんとも言わないよ」


響「なるほどね。五月雨はこの時の提督をかっこいいって言うんだね」


五月雨「ち、違うから!」


響「はいはい。暴れるとお茶を落としちゃうよ?」


五月雨「むう……」


提督「駆逐、軽巡、重巡、空母、戦艦で行くか」


五月雨「提督!お茶がはいり……!!」


案の定五月雨はお茶を放り投げてしまう


提督「あ……!」


もちろんそれは提督を標的に解き放たれた


響「あっちゃー」


提督の悲痛な叫びが鎮守府に響き渡る


提督「何回……いったら……」


五月雨「ごめんなさい……」


濡れた制服を脱ぎタンクトップになる


響「へぇ。思った以上に筋肉あるんだね」


提督「鍛えてるからな」


艦娘という兵器の上に立つということもあり提督は筋トレをして体を鍛えている


提督「じゃないと君たちに殺されかねないから」


艦娘が現れてから半年。過去何人もの提督が殺される事件も起きている


五月雨「そんなことしませんよ?」


提督「君はね。だが他の子が全員そうとは言いきれない。信用してない訳では無いが自己防衛は大事だ」


響「本音は彼女に殴られて気絶するからでしょ?」


提督「な、なんのことかなー?」


五月雨「わ、私ですか!?」


提督「誰も君とはいってないぞ?まさか君みたいな可憐な少女が上司に暴力を振るうなんてことは無いだろ?」


五月雨「そ、そんなことないですね!」


提督「聞いたか?」


響「うん。私はもう4回は見てるよ?」


五月雨「もう!」


提督「ははは。鍛えた方がいいこともあるんだよ」


五月雨「むう……」


提督「報告を頼む」


色々あって報告が遅れていることを提督が思いだす


響「そうだねーーーー」


1時間後


榛名「ふぅ……。お待たせしてすみません」


「大丈夫なのね」


入渠が終わった榛名は待たせていた艦娘に声をかける


榛名「では提督室に案内しますね。ふむ……」


艦娘を見て何かを考える


「な、なんなのね」


榛名「す、すみません。では行きましょうか」


もしかしたらを考える榛名


提督室前


榛名「少し待っててください」


榛名はドアを開けて中に入っていく


榛名「お待たせしました」


提督「おかえり。報告は響ちゃんにしてもらったぞ」


榛名「榛名がしたかったのに……」


提督「しょぼくれない」


榛名「それと提督?」


提督「っげ」


榛名が戻ってきてタイミングを逃していた提督

その膝には響が座っていた


榛名「なぜ響ちゃんがそこに?」


提督「は、話すと長いのですが……」


五月雨「うわーん!おかーさーん!」


泣きながら五月雨が抱きついてくる


榛名「どうしました?」


五月雨「おとうさんがいじめるー!」


提督「んな!聞き捨てならんぞ!」


「我慢できないの!イクも混ぜるの!」


外で待機していたイクと名乗る少女がドアを蹴破って中に突撃してくる


榛名「提督に夢中で忘れてました!」


伊19「素敵な提督で嬉しいのね。伊十九なの。そう、イクって呼んでもいいの!」


乱入してきた行くと名乗る少女は薄水色の髪の毛をツインテールで肩まで、ポニーテールで後ろをまとめたスク水を着た出るとこが出ていて歩く度に音がなりそうな見た目をしている


提督「だ、だれ!?」


イク「イクなの!ちゃんと覚えて欲しいのね」


提督「うっわ目のやり場に困る見た目……スク水??」


イク「提督指定の水着なの!」


響「へぇ……。提督にそんな趣味があるんだ……」


提督「俺じゃないから!そんなゴミを見る目で見ないで!」


イク「提督は面白い人なのね」


提督「誰のせいでこうなったと……」


イク「イクが混ざる隙がないのね。イムヤがいるんでしょ?案内して欲しいのね」


響「この後恐ろしいことになりそうだから私が案内するよ」


イク「ありがとうね」


いつの間にか膝から降りていた響が逃げるように部屋から出ていく


提督「あ!逃げやがった!」


慌てて追いかけようとするが


榛名「どこに行こうと?」


笑顔の榛名が目の前にたつ


五月雨「べー!」


その後ろに隠れるように五月雨が立ち舌を出してくる


提督「あ、あのこれにはワケが……」


榛名「ダメです。榛名では足りないのですか?」


提督「へ?」


榛名「榛名はずっと提督のおそばにいるのですよ?なのになんで他の子に手を出すのですか」


提督「は、榛名さん??」


榛名「私には魅力がないのですか?やはり提督は私なんかより小さい女の子ほうが好きなのですか?」


提督「やばい気配がするから五月雨ちゃんは早くここから逃げて」


五月雨「私もそう思います。後できますね



榛名「またです。どうして榛名とお話してくれないんですか?」


提督「俺はお前一人のものじゃないんだぞ?」


榛名「榛名は提督のものになりたいです」


提督「どうしたんだよ。君らしくないぞ?」


榛名「提督が相手をしてくれないのが悪いんです」


提督「まったく。執務中以外は構ってあげてるでしょ」


榛名「それだけじゃ足りないんです!」


提督「んー」


何かを考え出す


提督「榛名さんはこんなにわがままだったかな?俺の榛名は可憐で美しくて何事も完璧にこなす美少女のはずなんだがなぁ……」


榛名「提督はずるいです……。そんなに言われては榛名は……」


提督「1度落ち着いてくれ。疲れてるんだろ?」


榛名「そ、そういうことにしてください」


顔を赤くした榛名はソファに座る


提督「まったく」


慣れた手つきでお茶を入れる


榛名「ありがとうございます」


提督「君には助けられてるんだ。と言っても君一人に集中する訳には行かない。わかるよね?」


榛名の横に座り話し始める


榛名「分かってます……」


提督「俺にはこれで精一杯なんだよ」


榛名「提督……」


提督「君の気持ちはわかってるつもりだ。だが、あまり求めないでくれ。応えられなくて辛いんだよ」


提督「んー。こほん」


1度咳払いをして話を切り替える


提督「今日はお疲れ様。君なしでは勝てなかっただろうね」


榛名「いえ……。榛名は……」


提督「君のおかげだ。指揮に戦闘に防衛を全部任せて済まない……。いや防衛は任せてないな?」


提督「無理してくれるよな?」


榛名「それは理解しています」


提督「明日は次の海域の下見だ。また苦労をかける」


榛名「いえ。榛名は提督のためにやっている迄です」


提督「そのなんだ……飯食べに行こうぜ?」


照れくさそうに口にする


榛名「はい!」


榛名の顔に笑顔が戻り2人は間宮へと向かう

道中伺っていた五月雨を捕まえ一緒に夕食を食べたのであった


次の日


提督「んじゃ編成を伝える」


朝提督室にした榛名に伝えていく


提督「駆逐2.軽巡1.重巡2.は……戦艦1の編成を組むことにした」


榛名「は……?なんと?」


提督「……こほん。駆逐は響ちゃんに夕立にする。軽巡は夕張当たりがいいと思ったが練度で見れば天龍の方が最適化と思った」


榛名「提督?」


提督「重巡は愛宕と……考えたのだがうちの鎮守府それなりに重巡は揃ってはいるが愛宕以外に育ってないんだよな。んー……」


榛名「応えてください。提督」


提督「そうだな。利根あたりにでもするか。連携は誰であろうと1からだから育成も同時にしてけばいいか」


榛名「て、い、と、く?」


提督「あーもう!戦艦は榛名だよ!これで満足か?」


榛名「榛名感激です!」


提督「というか君が嫌でしょうに。仮にここで金剛と言ったらどうするつもりだったんだ?」


榛名「金剛お姉様……。どうしず……い、いえなんでもありません!」


提督「今鎮めるって言おうとしなかった!?」


榛名「き、きのせいです!」


提督「そっかー。なら1時間後にいつもの場所に集合だ」


そう伝えると提督は椅子に座り事務作業を始める


提督「今のうちに利根の情報知らないと……」


もとより提督は人見知りでいきなり艦娘と話すということが出来ない

だがそれでは仕事にならないため予め性格や性能を調べた上で接している


榛名(提督が真剣な顔で……)


提督「そんな所でうっとりしてないで早く伝えてきてくれよー」


榛名「ふぇぇ!?み、見えてたんですか?!」


提督の顔を見ながらにやけ顔を晒している榛名に声をかける


1時間後

港にて


天龍「また出撃か。腕が鳴るぜ!」


天龍を筆頭に6人が集まる


響「今回も私が出撃か」


今にも暴れだしそうな夕立をなだめる響


利根「ちくまぁー!ちくまぁー!」


そして珍妙な鳴き声をあげる艦娘

彼女は腰まである黒髪を後ろでツインテールに結んでいる

すらっとした体つきで活発そうな見た目をしている


提督「資料よりスカートが……」


提督は利根のスカートに目がいってしまう

太ももより少し上のスカート……?


利根「な、なんじゃ!そう見るでない!」


提督「古風な喋り方やな。ちゃんと話すのは初めてだったな」


艦隊の練度をあげるために出撃を繰り返していた時期に回収した艦娘の1人である利根

その時期は提督には余裕がなく簡単な挨拶をしてそれで終わってしまっていた


利根「そうじゃぞ。吾輩は嫌われたと思ったんじゃぞ?」


目に涙をうかべた利根が詰め寄る


提督「す、すまない……。それとあまり近づかない、で欲しい……」


詰め寄られた提督はオドオドしながら距離をとる

提督といえど男児だ。来るものもあるはずであろう


榛名「提督?」


案の定見守っていた榛名が近づいてくる


提督「ッヒ……」


笑顔の榛名ではあるが提督には笑っていないことが伝わってくる


利根「なんじゃ?」


榛名「提督をあまり困らせないでください」


利根「そうか。すまんの」


利根は謝ると距離をとる


提督「た、助かった……」


榛名「まったく。提督はまだまだですね」


提督「こほん。集まってくれてありがとう。顔合わせは終わったかな?」


毎回提督は艦隊を集めると顔合わせも含めて雑談を許可している


夕立「と言っても利根さん以外全員知ってるっぽい!」


提督「それもそうだよな。」


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一飛曹さんから
2020-09-20 21:32:36

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