2021-02-28 06:38:22 更新

概要

元ブラ鎮の艦娘と女提督の物語を書いたものです。
遅筆ですがコツコツ更新します。


前書き

ブラック鎮守府に左遷された女提督
最初はちぐはぐだった艦娘達との距離も時間が経つと共に段々縮まっていく
さらに海外から来た強力な仲間や次第に強くなっていく艦娘達、
彼女達は少しずつだが確実に戦果を伸ばしていった
そして一年が経った頃の話


アイオワ「Admiral!」


摩耶「誕生日!」


鳳翔「おめでとうございます」


隼鷹「そしてぇー!」


ネルソン「着任一周年!」


艦娘達「おめでとうございます!」



アイオワがクラッカーを鳴らすと周囲から歓声と拍手が溢れ出す。

その中心にいる若い女性は嬉しいような恥ずかしいような表情をしている。

彼女こそがこの鎮守府の提督である。



女提督「みんなありがとう!すごく嬉しいよ!

これからのみんなの無事と戦果のために乾杯!」



彼女の言葉を皮切りにパーティーが始まった。

用意された豪華な食べ物にがっつく艦娘や姉妹艦または親しい艦娘との談話を楽しむ艦娘、過去の感傷にふける艦娘など、この時間をそれぞれ過ごす艦娘達の姿が提督の目には映っている。

彼女は一年前の今日に想いを馳せる。

所々に破壊の跡が見える汚れた外観、そして艦娘達の自分を睨みつける鋭い眼光。

あらゆる物から見放された彼女達は、あらゆる物から見捨てられたこの場所で出会った。

それが今では彼女達は海軍の主要戦力の一つであり勝ち取った勲章も数え切れず、この鎮守府は海軍の主要拠点の一つとなり、配属を希望する軍人や艦娘も後を絶たない。

最初は両手で数える程しか居なかった艦娘達も今となってはそれなりに大所帯だ。



鳳翔「...一年前を思い出してしまいますね、提督」


女提督「そうね。

懐かしいような少し寂しいような不思議な気持ちになるわね」



鳳翔の目には小粒の涙が浮かんでいる。

彼女は最初からこの鎮守府にいた最古参の一人であり、

前任の提督が失踪してから今の提督が着任するまでの間

バラバラだった艦娘達をまとめあげ、深海棲艦からこの場所を守り抜いた立役者である。

彼女がいなければ今頃この場所は更地と化していたことだろう。

今は前線から退いて新人の訓練や鎮守府の運営に徹しているが、彼女の実績は広く知られており彼女を追ってこの鎮守府に配属を希望する者も少なくない。



摩耶「オンボロだったここも今じゃ海軍お抱えの鎮守府だもんな。

一年前はアタシ達に見向きもしなかったくせに...」



軍への悪態をついている彼女はこの鎮守府の最高戦力である摩耶だ。

彼女もまた最古参の一人であり、提督不在の間この鎮守府を守り抜いて来た。

重巡洋艦でありながら多大な戦績を挙げ、貰った勲章はこの鎮守府の誰よりも多い。

ただ彼女自身は名誉欲や物欲といった物がほとんど無く手に入れたそれを戦果を挙げた後輩へとあっさり譲ってしまうためその殆どは彼女の手元には残っていない。

しかしこのような裏表が無く面倒見の良い性格の彼女は周りからとても好かれていて、人格と実力共にこの鎮守府の顔と言っても過言ではないだろう。



ネルソン「Admiralよ!楽しんでいるか!」



提督達が喋り込んでいると人混みの向こうからネルソンがやってきた。



女提督「ネルソン!

うん、楽しんでいるわ」



ネルソン「そうか!ならば良かった。

元々このパーティーは余とアイオワが計画した物でな、

故にAdmiralが楽しんでくれているならば余も鼻が高いというものだ!」



女提督「えぇ、ありがとう。

ところでアイオワは?さっきまで一緒にいたわよね」



ネルソン「Ah...。

その、言いにくいんだが、

IowaはジュンヨウとのDrinker showdownに興じていてだな...」



鳳翔「あぁ...。

これはまた片付けに時間がかかりそうですね...」



ネルソン「すまない。その折は余も手伝おう」



ネルソンとアイオワは半年前にここに派遣された海外艦である。

彼女達は元々本国でエリートコースを歩んでいた傑出した実力の持ち主であり、日本に本国の力を示すデモンストレーションの一環としてこの鎮守府に派遣されてきた艦娘達である。

本来は少しの滞在期間を経た後帰国する予定であったがそれぞれの事情により彼女達は帰国することなくそのままこの鎮守府で生活しており、そして今彼女達はこの鎮守府を支える超弩級戦艦として双璧をなしている。







隼鷹「まだまだ飲めるからぁ、

じゃんじゃんお酒持ってきちゃって〜!」



同じ頃少し離れた場所で人だかりができていた。

その中心にいるのは隼鷹とアイオワ、そして霞だ。



アイオワ「...shit!

油断していたわ...。

まさかここまでのheavy drinkerだったなんて」



アイオワは悔しそうにジョッキの持ち手を握りしめる。



霞「もう!

二人とも下らない戦いはやめてよね!

あとで片付ける人たちのことも考えなさいったら!」



隼鷹「まぁまぁ。今日くらいは良いじゃ〜ん?

なんてったって提督の誕生日だし、それに着任してから二周年目...。

あれ三周年目だったっけ〜?」



霞「もう!一周年目よ!

記憶が曖昧になるまで飲むなんて危ないわよ!」



アイオワ「カスミ〜、そんなに怒ってばっかりだとcalfになってしまうわよ。

moooo〜!」



アイオワが霞に抱きつく。



霞「離れなさいったら!

それに酒臭っ!」



アイオワ「でも怒ってるカスミもvery pretty!

お嫁さんにしたい位ね!

my brideにならない?」



霞「は、はあぁー!?

意味分からないんだけど!」



隼鷹「はぁー...、アイオワと霞はラブラブで羨ましいねぇ。

私も提督とラブラブになりたーい!」



霞「隼鷹さんまでやめてよね!

それと別にアイオワさんなんて好きじゃないんだから!」



その言葉で霞を抱きしめていた彼女の手が離れる。

そして彼女は潤んだ瞳で霞を見つめた。



アイオワ「Oh...。...カスミはMeのことが嫌いなの?

Very sad...」



霞「うぐっ!

え、えーっと...。

...ちょっとだけ、好きかも」



アイオワ「...ちょっとだけ?

Meはカスミのこと大好きなのに...?

I feel like crying...、泣きそうよ」



アイオワが両手で顔を隠す



隼鷹「あーっ、霞がアイオワ泣かせたぁ!」



霞「もおー!分かったわよ!

好き!好き!結構好き!これでいいんでしょ!」



アイオワは隠していた顔を見せると、また霞に抱きついた。



アイオワ「やっぱりカスミはprettyね!

もう離さないわ!absolutely!」



霞「いや、離しなさいったらー!」











賑やかな時間はあっという間に過ぎて行き、時刻は夜の11時頃。

食堂には汚れた皿を片付ける音、食器を洗う水音、そして使い終わった机や椅子を移動させる音が響いていた。



ネルソン「よし!このテーブルはここで良いな?」



鳳翔「はい」



ネルソン「それにしてもかなりの量だな。

さすがの余も少し疲れたぞ」



鳳翔「大丈夫ですか?

お疲れの様でしたらお部屋に戻って貰っても大丈夫ですよ。

後は私達がやっておきますから」



ネルソン「Don't worry!余はまだまだ働けるぞ!

酔い潰れてしまったIowaの代わりという意味でも

もっと働かせてもらおう」



女提督「ありがとうね、ネルソン。

なら次はこのテーブルをお願いできるかしら?」



ネルソン「I got this!余に任せておけ!」



摩耶「それにしても飲むだけ飲んでがっつり寝るとか、良い身分だよなこいつらは...」



摩耶は床で寝転がって寝ている隼鷹とアイオワを見ながら言った。

アイオワは普段の刺激的な服装のままスヤスヤと寝息を立てており、隼鷹に至ってはほとんど裸のような状態で一升瓶を抱き抱えたまま何か寝言を呟いている。



女提督「はぁ〜...、それにしても酷い絵面ね。

こんなの軍の偉い人に見られたら私の首が飛んじゃうわよ」



摩耶「ははっ、間違いねぇ。

でもそん時は私が守るけどな!」



女提督「嬉しいことを言ってくれるわね。

でも、どうやって?」



提督は少し意地悪な顔をして摩耶に問いかける。



摩耶「...どうやって?

そりゃあ提督の邪魔になるやつをぶん殴る!

それだけだ!」



女提督「うーん、やっぱりね」



鳳翔「摩耶さんは昔から変わりませんね...」



ネルソン「マヤは少し短絡的な所があるからなぁ。

淑女の鑑である余を見習うと良い」



摩耶「その言葉をここに来た時のアンタにそっくりそのまま聞かせてやりたいよ」



摩耶はため息をつく。



ネルソン「What!?それは半年前の話だろう!

あの頃の余は日本に来たばかりで...、

それに、それにだ!

半年前は余よりもIowaの方がだな...!」



女提督「まあまあ、

その話はもう掘り返さないであげて。ね、摩耶?」



提督は摩耶をなだめるように言った。



摩耶「分かってる分かってる、冗談だって。

ごめんなネルソン」



摩耶はケラケラ笑いながらネルソンに謝まった。

ネルソンの顔は赤面していてその時のことをかなり恥じているように見える。



ネルソン「How mean girl...!マヤはイジワルだ...」



ブツブツと文句を言いながらネルソンは机を運ぶ。






大淀「提督!ぼく達の方は終わったよ!

食器の方もそろそろ片付くって!」



しばらくすると向こうから声が聞こえた。

提督達とは別の場所を担当していた時雨達がこっちへ向かってきている。



時雨「ぼく達も手伝った方が良いかい?」



女提督「私達の方は大丈夫よ、時雨。

気持ちは嬉しいのだけど、みんな疲れていると思うし部屋で休んでちょうだい」



江風「ン!ありがたい!

食って働いてで疲れちまったよ」



女提督「江風もお疲れ様ね」



江風「でもホントに大丈夫か?

時間かかりそうなら江風だけでも手伝うぜ」



女提督「江風は優しいのね。けれど本当に問題ないわ。

私達の方もそろそろ終わりそうだし、安心して休んで頂戴」



摩耶「まぁ、子供はカッコつけずに早く寝ろってことだな!」



摩耶は江風の頭をクシャクシャと撫でながら言う。



江風「んだとぉー!江風は子供じゃねぇ!

それにカッコもつけてねぇよ!」



摩耶「はいはい」



時雨「ほら迷惑にならない内に帰るよ、江風」



江風「うぅぅ...」



時雨に引き摺られながら江風はその場を去った。








ネルソン「...ふぅ。この机はここで良いか?」



霞「ええ、大丈夫よ。ありがとう」



ネルソン「ところでカスミよ。疲れてはいないか?

もし良ければ少しの間交代してやろう。

I'm worried about you.」



霞「私のことは心配しないで。

ちゃんと仕事はこなすわ。

私より倒れてるアイオワさんの方を心配した方が良いんじゃ無いかしら?」



ネルソン「それに関しては問題ない。

Don't worry.She'll be alright.

後で私が部屋まで運ぼう。」



霞「あらそう、じゃあ私の出る幕は無いわね。」



ネルソン「それよりもだな、

...この後はどうするつもりだ?」



霞「?

この仕事が終わったらさっさと寝させてもらうわ。

酔っ払い二人に絡まれて疲れちゃったから流石に眠いのよね」



ネルソン「...そうか、なら今日はいい」



霞「?」



ネルソンはそう言うと提督達の元へと戻っていった。



霞「...なんだったのかしら?」




霞はネルソンの意味ありげな言動にすこし困惑したものの特に深く考えることはなくそのまま一日を終えた。

そして夜が巡り鎮守府の空に朝日が登る。

季節は初夏、海の匂いを含んだ爽やかな風が吹き抜ける






大淀「おはようございます提督」



女提督「おはよう。今日も早いのね。

昨日はちゃんと寝れた?」



大淀「はい」



女提督「それなら良かったわ。

今日のスケジュールを教えて頂戴」



大淀「夏の大攻勢作戦に備えた長距離遠征と主力部隊の練度を上げるための演習がメインになります。

細かいスケジュールはこちらに書いておきました」



提督「演習?聞いてないわよ。

今日行われる予定の演習は無いと私は記憶しているわ」



大淀「そのことに関してなのですが...、

つい先程演習の申し込みが一件ありました。」



女提督「早朝いきなりね。どこから?」



大淀「中将閣下の所からです」



女提督「あのクソジジイの所から?面倒ねぇ。

接待の用意をする時間は無いわよ」



大淀「向こう曰く"この演習は内密に行われる物であるから目立たないように扱って欲しい"とのこと。

ですので特別な接待は不要かと」



女提督「内密ね...。

そうなると向こうも何かしらの精鋭部隊を連れてくるということかしら。」



大淀「どうなんでしょうね。

私の聞いた噂によると中将閣下は極秘裏に開発された新艦娘を所有しているとかいないとか」



女提督「ふぅん。色々ときな臭い話ね。

ただでさえアイツは権力闘争の最中だし、あまり関わりたくは無いのだけど」



大淀「権力闘争...。

いつの日か中将閣下が元帥になる日が来るんでしょうかね?」



女提督「さぁ?

でも誰がトップになろうが私達が海軍の客寄せパンダとしてコキ使われることには変わりないわよ」



大淀「提督は現状に不満があるのですか?」



女提督「そうなのかしらね?

ただ私達を一度見捨てた奴らに上手く使われてるのがなんとなく気に食わないの」



大淀「ならなっちゃえば良いじゃないですか、元帥。」



女提督「なっちゃえばいいって...。

随分と簡単に言ってくれるけど無茶よ。」



大淀「ううん、私は割と可能性があると思っているんですが...」



執務室の扉が開き摩耶が入ってくる



摩耶「おはよう提督、それに大淀も。

朝早くからご苦労様だな」



大淀「おはようございます」



女提督「おはよう摩耶。今日は少し忙しくなるわよ」





同時刻工廠前にて



明石「こんな朝から何の用件ですか?

まだ眠いですよ...」



ネルソン「すまないなアカシ。

電気室の鍵をしばらく貸してくれるか?」



明石「電気室ですか?別に構いませんけど...」



ネルソン「先程提督から伝えられたのだがどうやら電気室の点検日が今日に変更されたらしくてな。

昼に軍の技術者が来るらしい。

提督からその案内を頼まれたんだ」



明石「軍も人使いが荒いですね。ネルソンさんもご苦労様です」



明石は自室から鍵を取り出してきた。



明石「これですね。はい、どうぞ」



ネルソン「あぁ、すまない...。

あと大淀から何か聞いていなかったか?」



明石「大淀ちゃんからですか?

何も特別なことは聞いてないですけど...。

何かあるんです?」



ネルソン「何...?まぁ良い、点検が終わるまでは電気室に近づかないでくれ」



明石「分かりました」



ネルソン「それでは余はこれで失礼する」






同時刻 食堂



霞「うぇ、朝からピーマンとか酷い一日になりそうね」



アイオワ「好き嫌いは感心しないわね、カスミ。

vegetableを残しているとmeのようなglamorousなadult ladyにはなれないわよ」



霞「昨日酔っ払って床で寝てた大人の言葉とは思えないわ」



アイオワ「Oops!

そ、それはそうと今日はカスミにpresentがあるのよ。」



霞「プレゼント?」



アイオワ「Yes!昨日でme達が出会ってから半年が経ったから...、それを記念してこのnecklaceをpresentationしちゃうわ!」



霞「えっ!?」



アイオワはポケットから小さな小包を取り出した。

そしてそれを霞の前に差し出す。



霞「あ、開けていい!?」



アイオワ「Of course。」



小包の中に入っていたのはハート型のオブジェが付いた小ぶりのネックレスだった。

そのオブジェにはアメリカの有名ブランドの社名が彫られている。



霞「こんな高そうな物本当に貰っちゃっていいの?」



アイオワ「Yes。喜んでくれると嬉しいわ」



霞「アイオワさんありがとう!大切にするわね」



霞はネックレスを小包に戻すとポケットにしまった。



アイオワ「ところでNelsonからのpresentは何だったの?

meにこっそりと教えてくれると嬉しいのだけど」



アイオワは霞にささやく。



霞「え?

ネルソンさんからは何も渡されていないわよ」



アイオワ「Why!?

今朝Nelsonから"カスミにはもう渡した"と聞いたのだけどどういうことなのかしら」



霞は昨日のネルソンの奇妙な振る舞いを思い出した。

彼女はあの時霞に物を渡すタイミングを見計らっていたのだろう。

昨日の夜は悪いことをしたと霞は思った。



霞「...でもどうしてもう渡しただなんて嘘をついたのかしら?」



アイオワ「...まぁいいわ!あとでNelsonに色々と話を聞いておきます。だからカスミはDon't worry!」









鳳翔「起きてください隼鷹さん」



隼鷹「うーん...」



鳳翔「もう九時ですよ。今日はお昼から緊急の演習があるらしいのでそろそろ起きないと」



隼鷹「はぁ〜...。

こんな急に演習申し込んでくるなんて一体どこの鎮守府だよ...。社会常識の欠けた奴らだなぁ」



隼鷹はのそのそと布団で蠢いている。



鳳翔「中将閣下のところからだそうですよ。」



隼鷹「中将だって!?」



鳳翔「きゃあ!?」



隼鷹は飛び起きた。



鳳翔「急に大きな声を出さないでください...」



隼鷹「あぁ、ごめんごめん。

何せ鳳翔がいきなり中将なんて話に出すもんだから驚いちゃってさ〜」



鳳翔はため息をつく。



鳳翔「着替えたら早く提督のところまで来て下さいね。

みんな待ってますから」



そういうと彼女は隼鷹の部屋を後にした。

部屋に残された隼鷹は支度を始める。



隼鷹「...この時期に中将閣下から演習の申し込みねぇ。

どうもキナ臭いんだよな〜...」







隼鷹「みんなおはようさん!遅れてごめんよ!」



大淀「随分とお早いお目覚めですね、隼鷹さん」



隼鷹「ごめんってー。そんな怒んないでよ」



女提督「演習の話は鳳翔から聞いているわね?」



隼鷹「おう!」



大淀「編成は摩耶さん、ネルソンさん、アイオワさん、それに隼鷹さんの四隻です。

くれぐれも海軍高官の方に失礼の無いようにお願いしますね、隼鷹さん」



大淀は隼鷹をじとりと見つめる。



隼鷹「そ、そんなこと言われなくなって分かってるさ。

相変わらず大淀ちゃんは私に厳しいな〜。

それにしても四隻で大丈夫?」



女提督「向こうから名指しで指名があったのよ。

それに向こうも四隻らしいわ。

お互いの主力の見せ合いと言ったところかしらね」



隼鷹「...ふぅん。そりゃあますます胡散臭いねぇ」



隼鷹がボソリと呟く。



大淀「?何かおっしゃいました?」



隼鷹「いーや何も。提督にカッコ悪いとこ見せないよう気合い入れなきゃって思っただけさ」



大淀「はあ」



隼鷹「それより摩耶とか海外艦の子達には伝えたの?」



女提督「摩耶はすこし前に艤装の整備をしてもらう為に工廠に向かったわ。

アイオワとネルソンはまだ来てないわ、変ねぇ」



隼鷹「へえ、アイオワはともかくネルソンの奴は遅刻とかしそうに無いけどなぁ」



女提督「放送で呼んだ方が良いかしら?」



大淀「あ!ネルソンさんに関してなんですけど彼女体調不良で少し遅れるそうです。

ごめんなさい、伝えるのを忘れてました」



大淀は申し訳なさそうに愛想笑いをする。



女提督「あら、大淀が物忘れとは珍しいわね」



隼鷹「今日は雪でも降るんじゃないか?」



大淀「そんな縁起が悪い話やめてくださいよ」



大淀が苦笑しているとアイオワが部屋に入ってくる。



アイオワ「Sorry admiral!Nelsonを探していたら遅れてしまったわ」



女提督「おはようアイオワ。それでネルソンは見つかった?」



アイオワ「No。cafeteriaにtraining room、色々探したのだけど見つからなかったわ。

どこにいるのかしら、聞きたいこともあるのに...」



女提督「体調不良なのに部屋にはいない...。医務室かしら?」



アイオワ「タイチョーフリョー?

It's sounds strange。今朝Nelsonと話したけど気分が悪そうには見えなかったわよ」



大淀「け、仮病ですかねぇ...?」



大淀は苦虫を噛み潰したような顔をしている。



女提督「とりあえず彼女を見つけないことには話が始まらないわね...。誰か探しに行ってくれる?」



隼鷹「なら私が...」



大淀「私が行きますよ!」



女提督「あらそう。じゃあ大淀に任せるわね」



大淀はそう言われるとすぐに部屋を後にした。



アイオワ「...なんか今日のオーヨド変じゃないかしら?」



女提督「そうかしら?特にそんな風には感じなかったけど。とりあえずアイオワには今日の予定を伝えておくわね」



隼鷹「...」













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