2021-02-27 22:56:24 更新

概要

絶対受けないわwww


「時間の無駄でしたね」


鎮守府の門をくぐる艦娘が一人。練習巡洋艦香取が気だるそうに鎮守府の中に向かっていると出迎えの艦娘が声をかける。


「こちらもいつも通りでした」


綺麗な髪をかきあげながら軽巡洋艦大淀が声を掛けてきた。

その表情は香取と同じく気だるそうにしており二人は建物の中に入る。木造建築の廊下にヒールの音を響かせながらお互いに成果について言葉を交わす。


「香取さん、どのような様子だったか詳しく聞いても?」

「いつもと変わらず…作戦会議を名乗りながら妖精も見えない正規軍人が艦娘の提督に横暴な態度や暴言をはいたり無茶振りしたり…今の言葉で言う…パワハラ?三昧でしたね」


正規軍人はいつもそうだ。危険なことは下に任せ上は逃げる事しか頭にない。今の戦争でも一般から集められた妖精の見える提督と全ての艦娘は、冷遇ばかりされた。そのことを思い出し香取は、不機嫌な表情をして『提督に行かせなくてよかった…』とつぶやいてから大淀に『そちらの方は?』と言った。


「いつも通りですよ。様々な妖精の見える提督旗下の艦娘の皆さんで集まりましたが艦娘の皆さ大本営を潰そう!人間を許すな!って集まった癖にリーダーを決めるときに皆さんそろって『リーダーは私の提督が相応しい』『いや私の司令が~』だのと仲間割れで即内部抗争…はぁ…何やってんだか」

「私の提督はどちらに?」

「…私達の提督は、他の艦隊首脳部の皆さんと会議室にいるはずです…もうすぐ作戦の内容が整うはずですから」




――――――――――――――――――




「大淀、これが君らが守っている世界だ」


「………」


「君たち艦娘はこんな世界を守っているんだ」


私は…私達は、かつて偉大な存在の一部だった。大日本帝国と名前の存在、かつてこの国は、結束し強大な敵たちに挑んだ。

市民も兵士も力を合わせ一つの大きな集合体だったのに…一つの目標に向かう強大な存在に…。


………なのに、


い つ か ら こ ん な に 腑 抜 け た 国 に な っ た ん で す か ?


―――――――――――――――――


二つのヒールの音が一つの扉の前で止まる。


「「「………」」」


その扉を開くと四人の人物が沈黙していた。


「提督、大淀と香取が戻りました…どうしました?」

「あぁ…二人ともお帰り」


鎮守府の一室、テーブルには地図や資料が広げられ壁際にはホワイトボードが置かれておりそのホワイトボードには様々な鎮守府の名前が書いてあり提督と三人の艦娘が視線を向けて沈黙していた。

提督は二人を笑顔で迎えるも艦娘の表情は三者三葉だった。長門は、険しい表情でホワイトボードを見つめており鹿島は、困惑の表情をしておろおろしており明石は、苦笑いをしながら大淀達に向き合った。


「あー、二人ともお帰りなさい」

「明石どうしたのよこの空気」

「ホワイトボードを見てくれれば大まかな事は、分かるわよ」

「ホワイトボード?」


大淀は、ホワイトボードの目の前に行くと書かれている文章に注目するとすぐに表情が硬くなった。


(ここに書かれている鎮守府の名前は…提督の政敵がいる鎮守府だらけじゃない)


「後詰だとさ」


提督は、蔑むように話始める。


「大本営に深海棲艦との最終決戦の為に奴らの本拠地 深海運河海域 深海後方海域 深海中枢海域 と名づけられたの三海域への侵攻作戦を発案したんだが…どこから聞きつけたか知らんが様々な鎮守府から後方支援しようって連絡があってね」

「また我々の功績を横取りする気だな」

「あぁ、奴らは出世すること以外は頭にないからな」


提督と長門のやり取りを見て大淀は考えを巡らせる。


(…後詰を言ってきた鎮守府は全て妖精が見えない正規軍人達の鎮守府…戦後の権力争いの為に、自身の階級を上げるための功績の横取りが狙いでしょうね…)


『この国を取り巻く環境を無視して権力闘争か…』とこの部屋の全員が心の中でつぶやいた。


「それともう一つ問題が…」


明石の言いずらそうな言葉に大淀は意識を外に戻す。


「問題?」

「えぇ、先ほど話した海域以外に深海棲艦の姫クラスが現れたらしくて…後詰を名乗り出た鎮守府から早く何とかしろとお怒りの通信があって…」

「…後詰する余裕があるならそっちで対処しなさいよ…」

「敵は…運河棲姫か?」

「えぇ、他の深海棲艦の幹部達は、あらかた沈めましたからね」


大淀は頭を抱えため息を放つ。

鹿島は、その間にテーブルの上に置かれた世界地図に新たに現れた深海棲艦の場所を示す駒を置き香取はその場所を見ながら考えるしぐさをしていた。

提督は長門と戦力の分散か侵攻作戦を遅らせるか話し合いを始めていた。

その様子をみて大淀は、『計画を早める必要がある…』そう確信した。


「提督、状況は理解できました。後の作戦計画などに関しては我々艦隊首脳部が行いますので提督は…日々頑張っている皆さんを労ってあげてください」

「…ならばお言葉に甘えよう。ついでに風呂にでも入ってくるかな?昨日は、私専用の風呂はリシュリューとコマンダン・テストの二人に占拠されてたからな」

「二人とも提督にかまって欲しいだけですよ」

「流石にあのレベルの美人二人が入ってる風呂に突撃する勇気は無いよ」

「あら、肉体関係はあるのに?」

「体は君ともあるだろ?」


そんなやり取りを終えて提督は部屋から退出した。


「……大淀」

「はい、『計画を早めるべき』でしょう?長門さん」

「実際チャンスですからね。私達は、今日まで勝利に勝利を重ねベーリング海でのロシア戦線にインド洋でのインド戦線に太平洋戦線と三方向の戦いで勝利し大半の海域を奪還。深海棲艦もハワイ諸島付近にある深海運河海域 深海後方海域 深海中枢海域 と名づけられた三海域に撤退して戦力を集中幹部クラスもあらかた沈めましたし…戦いも最終局面ですね」

「しかも何がすごいって各線戦線ほぼこの鎮守府のみで取り返しましたからねー」


逆に言うとそれだけ味方が役に立たないとも言えますがね。


「………でどうする?」

「まずは目の前の作戦は予定道り進めるのはどうでしょう?後詰の艦隊はどの位置に配備されるか分かりますか?場所さえ分かればそこに新たに現れた深海棲艦を誘導して後詰の部隊にぶつけましょうそうすれば敵艦隊の消耗が期待できますし後詰の部隊を減らせれば戦後に正規軍人側の戦力も減らせます…香取、どのくらい生き残りそうです?」

「全滅でしょうね。妖精も見えない正規軍人の元では艦娘は本来の力は発揮できませんし、そもそも彼等の頭にあるのは出世と女遊び、下手したら彼らの旗下の艦娘はろくな訓練すら受けてない可能性もあります」

「………このことは提督の耳にいれないようにお願いします」

「了解しました。それで誘導の方法は?」

「私達の裏工作で旗下に入ってもらったブラック鎮守府の艦娘に誘導をお願いします」

「動いてくれるのか?」

「えぇ、私達のクーデターにも喜んで参加してくださるそうです」




――――――――――――――――


「大淀、君達が私達の生活を守ってくれてるんだ」


…今の世界は危険もなく好きな食べ物を食べ、好きなゲームやテレビを楽しみ、適当なニュースを見て世界を知ったふりをして教師をクズのように見下しどいつもこいつも好き勝手言う。艦娘相手に戦争反対だの深海棲艦相手にラブアンドピースを叫ぶ馬鹿どもがいるこの世の中…。そんな腑抜けた世界に提督、貴方は…。


「私は君達を戦いから解放したいと思ってる。今は艦娘は鎮守府に縛られ外を知らず何を守っているのかも知らずに死んでいく…その定めから解放したい」


艦娘を欲望のままに使いつぶす者達にあふれた世界…それは貴方もよくわかっているはずなのに。


―――――――――――――――――――


『………想定外でした』

『何がですか』

『比叡さん貴方正気ですか?貴方達なら提督の為に喜んで参加していただけると思いました』

『提督の為だからこそです!もしこのクーデターが提督の意志なら真意を問う必要があります!私達は、提督が修羅の道を進むならお供する義務があります。ですがそれと同時に提督が間違った道に進むならそれを正す義務があります!』

『…比叡さん 山城さん 千代田さん 龍田さん 筑摩さん 大井さん 貴方がたは提督と共に大本営相手に喧嘩を売った中なのに何故…提督の為なんですよ?』

『嘘おっしゃい!貴方は提督にかまって欲しいだけでしょ!』

『ッ!貴方――――』




「気は変わりましたか?」


どこかの地下牢。薄暗い檻艦娘専用の地下牢。そこに比叡 山城 千代田 龍田 筑摩 大井の六人が捕まっており檻の外に付けられたスピーカーから大淀の声が聞こえた。


「………いずれバレますよ大淀」

「貴方が提督の元にいないからですか?それなら問題ありません。ここは、私達の鎮守府では無くとあるブラック鎮守府なんですがそこの艦娘に来てもらって貴方達の偽物を演じてもらってます」

「なっ!?いつかバレますよ!?ここがブラック鎮守府ならそこの提督は!?艦娘も貴方に協力してるんですか!?」

「さぁ?ここの提督は、ここの艦娘の皆さんに消されたのか…無力化されてるのかは、分かりませんね。ですが私達の提督には忠誠誓ってもらってますし貴方がたの偽物としてきた方々も私の提督をとても気に入ってくれてます。まぁ偽物とバレる可能性も考えできる限り直接接触はさせないようにしてますが」

「離れるべきじゃなかった…」

「と、言いますと?」

「提督の元を離れるべきじゃなかった…貴方が艦隊首脳部なんて部署作るときに私達が提督の元を離れるべきじゃなかったって言ってるんです!貴方!提督に何を吹き込んだんですか!?」

「いいえ艦隊首脳部は必要でした。当時は、大本営の命令で三方向の戦線以外に日本海戦線にヨーロッパ戦線も私達の鎮守府のみでやらされる状況でした。結局日本海戦線は違う方が担当することになりましたが提督と艦隊は、ヨーロッパに派遣させられる事になったうえ同時に他三方向の戦線も私達の鎮守府のみでやらされました。ヨーロッパから私達の鎮守府の指揮を取るのは不可能だから各戦線を維持するために提督に匹敵する権限の存在が必要でした、それが艦隊首脳部です。」

「クッ…」

「まぁ、もちろん今回のクーデターの準備も含んでましたが」

「準備?まさか加賀さんの姿が見えなくなったのって…」

「それもあります。彼女は今回のクーデターの要ですからね」

「……他に何を企んでるんです?」

「他にも沢山協力者がいるんですよ」

「………」

「『新しい既得権益に興味ありませんか?』って声をかけたんですよ、人間に。他にも海外の大物の方々が味方です。まぁ今の日本は艦娘を切っ掛けに調子に乗って国際社会から孤立し始めてますからね、外交の関係もあって支援者が多いんですよ。…新しい関係を始めようって奴です。さて…比叡さん、今回のクーデター貴方が思っている以上に大きな規模なんですよ」

「………反対してる艦娘は…いるんですか?」

「アメリカ艦の全員と他ごく一部の艦娘が…ですかね」

「…アメリカ」

「けどアメリカは脅威じゃありません」

「なっ!?」




「 だ っ て 私 の ス パ イ が い ま す か ら 」




――――――――――――――――――――


提督、私達は歯痒い思いを嫌という程味わいました。


私達が船の時、沢山の若い命が無能のせいで使い潰されて行く光景。あれを忘れることが出来ません。


人の体になっても沢山の艦娘や人の命が無能のせいで使い潰される。深海棲艦に通常兵器が効かないと知った上で通常兵器で戦おうとする無能、しかも自分たちは内陸の安全圏でぬくぬくしながら前線では兵士達を死地に向かわせる。

プライドの名のもとに滅茶苦茶な命令ばかりの上の者達…過去と何も変わらなかった…。


いや…人になってからのほうが酷いですね。提督に会う前の私達は元帥達に汚されてますし。

提督、私達は汚された体で貴方に愛を誓った事を後悔しています。


だからこの体と心を浄化します。この国ごと火に包んで破壊して殺して壊して血で洗います。

血って興奮すんですよ?クズどもの血の匂いで包まれた部屋で貴方に寵愛してくださればきっといつもより興奮できますよ。楽しみ。ふふふふふふふあははははははっは。


――――――――――――――――――――――


数日後の決戦の出撃前、出撃をまじかに控えた艦娘の目の前で提督はいった。


「いつもと変わらないよ」


「負けてもいいから全員生きて帰ってこい、鳳翔達と豪華な料理を作って待ってるからさ」


提督は、バンダナとエプロンを付けながら言った。気の抜けた姿を見た艦娘達は、全員が了解と答えた後、赤城が冗談交じりに『慢心はいけませんよ』と言うと提督は、笑顔で


「これは、慢心じゃなくて余裕だよ」


その後、提督は皆を見据え更に言葉を紡ぐ。


「いままでこの鎮守府は、南や北に東に挙句の果てには、ヨーロッパまでいって戦ったんだ。今更沈んじゃ勿体ないさ。それに妻を戦場に送るんだ、できる準備は全てやった…後は、頼むよ」

「三桁の妻…股の数がすごいですね!」

「………新婚旅行が大変だな!」


まぁ、とにかく生きて帰ってこい。

生きてればまたチャンスはある。





同時刻、大淀は食堂でテレビを見ているがその表情は、あまりにもこわばった物で首から下はリラックスした様子で机に腕をのせ座っていたが顔とは真逆の状態だった。その様子を見た間宮は、反射的に触れてはいけないと確信し静かに離れた。


『本日我々は、敵の中枢に切り込む。これは決戦である!!!』


テレビでは、市民たちの前で艦娘が敬礼をし大本営の者達が演説をしていた。

大淀は、その光景をみて大本営の者達が言葉を放つたびに指がコツコツと机にリズムを刻み始めた。


コツ………コツ………「確かあの元帥は、雷さんの体がお気に入りでしたね…」


『我々海軍が開発した艦娘達は!!!国民の皆さまへの奉仕とこの国の平和のために命を捨てる覚悟で今回の決戦に挑む所存であります!!!』


コツ……コツ……「あぁ、あの大将は、陸奥さんに赤ちゃんプレイをよく希望してましたね」


『我々は勝利に勝利を重ね日本だけでなくヨーロッパでも活躍し―――』


コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ「今テレビに移ってる方々全員ここの常連でしたねぇ汚らわしい」


『―――今、紹介した士官達は、この国を守り勝利を重ねに重ねた英雄達で―――』


「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”えあzwrxctfgvぶyhjんmkp、お@。xrtcyヴびおmぽにぶyvctrぇ―――――






………敵艦隊発見!敵艦隊発見!これより攻撃を開始する。


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1: SS好きの名無しさん 2021-02-28 01:49:21 ID: S:HN9tv8

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