提督「ショートランドの短編事情」
ss速報VIPで書いているものの短編のみになります。
最近お腹いっぱいなので、バットエンドはやらないです(たぶん)
時折見つけた誤字なども修正しています。
タブが限界値超えたので続きは別SSを作ります。
足柄
『お次はライジング』
足柄「行くわよ提督!」
提督「おっしゃ来い!」
足柄「そぉ…れっ!」
提督「お、おお!すげぇちゃんと曲がった!」
足柄「やった…やったわ提督!ちゃんとフォークになってたでしょ!」
提督「おうやったな!流石足柄だ!」
足柄「どうよ提督!これが足柄の力なのよ!」
提督「これで、カーブにシュート、シンカーにこれでフォークか、この前初めてもう4球種投げられるのか…」
足柄「最初はボールの握り方も知らなかったのに、今思うと随分できるようになってきたわ」
提督「2週間でここできれば十分だよ。それにしても頑張ったなぁ」
足柄「ふふん、どんなものでも勝利のために努力は怠らないわ!」
提督「だいぶ腕の力も鍛えられてきたな……これなら。」
足柄「提督?どうしたの?」
提督「足柄、次はストレートを鍛えてみようか。」
足柄「ストレート?球速でも上げるの?」
提督「いや……足柄はさ…」
提督「ライジングショットって知ってるか?」
春雨
『あの人の手のぬくもり』
春雨「…で、あとは冷やして完成です。」
提督「よ、ようやくか…ふぅ…疲れた。」
春雨「お疲れ様でした。前に比べてだいぶ上達してきましたよ。」
提督「春雨先生が教え上手だからな。分かりやすくて助かるよ。」
春雨「そ、そんな先生だなんて…」
提督「いや、本当に助かったよ。一人だったらまともに飯も作れないのが身にしみてわかった…」
春雨「ふふ、料理は愛情、そして忍耐です!練習していけば、必ず美味しいものが作れますよ♪」
提督「忍耐……料理も大変なんだな…春雨もいつも作ってくれてありがとうな」
春雨「い、いえそんな!好きでやっていることですので、お気になさらないでください!」
提督「それでもだよ。ありがとう春雨」
春雨「あう…し、司令官……」
提督「ん?ダメだった?」
春雨「いえ!そんなこと…あの……ご迷惑でなければ…」
春雨「もう少し、このまま……撫でていてください」
朝潮
『これが父親…というものなのでしょうか?』
提督「ほら、いくぞ朝潮!」
朝潮「は、はい!」
提督「そぅ…ら!」
朝潮「あ、あわわ…あぅ!」
提督「あ…だいじょうぶか朝潮?」
朝潮「は、はい。うぅ……だいじょうぶです」
提督「そんな涙目で言われても説得力ないぞ…ほらこっちこい」
朝潮「はい……わわっ!」
提督「よっと……ほ~ら、痛くないぞ~痛くないぞ~」
朝潮「し、司令官…これは……」
提督「ん?痛くないように当たった場所を撫でてやってるんだ。」
朝潮「い、いえ!それもですが…ひ、膝の上に…」
提督「あ、嫌だったか?」
朝潮「そういうわけではないのですが…」
提督「ならそのまま撫でられておけ…」
朝潮「は、はい…」
提督(う~ん…朝潮に遊びとはなんでしょうと言われて、キャッチボールをしたのはまずかったかなぁ…女の子だし)
提督(後でいろんな人に怒られそうだな)
朝潮(…すごく大きくて、暖かな手のひら……)
朝潮(さっきまで痛かったのが嘘みたいに…暖かい)
朝潮(これが…前に聞いてた、父親の暖かさ……)
朝潮「……お」
提督「ん?どうした朝潮、まだ痛むか?」
朝潮「お父…さん」
五十鈴
『いつになったら五十鈴の力を認めてくれるの!?』
五十鈴「いつなの!?」
提督「どうした突然……ん?五十鈴、火持ってる?」
五十鈴「もう…はい。それで!いつになったら五十鈴の力を認めてくれるの!?」
提督「その話か。いやぁ、まだ認めるわけにはいかないなぁ…これは」
五十鈴「なんでよ!?もうずっと出撃に演習ばっかりで休みもせずに頑張ってるのにまだダメなの!?」
提督「ん~…もう少しかなぁ?」
五十鈴「それ本当よね!嘘だったら承知しないんだから!」
提督「おいおい、俺が五十鈴に嘘ついたことあるか?」
五十鈴「それは……な、ない…けど。」
提督「そういうこと、なんでもう1週間程頑張れば認めてやるよ。」
五十鈴「本当に?嘘つかない?」
提督「つかないつかない」
五十鈴「じゃあ…はい」
提督「はいはい…」
五十鈴「ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本のーます!指きった!」
提督「おまえ昔からそうだよなぁ、大事な事はゆびきりするの」
五十鈴「い、いいでしょ!なにか文句でもあるわけ!?」
提督「いやないよ。じゃあほら、そろそろ次の演習だから。」
五十鈴「わかってるわよ…提督!約束したからね!」
提督「わかってますって…」
五十鈴「嘘付いたら針千本よ!ほんとだからね!」
提督「はいはいいってらっしゃーい…」
提督「……ふぅ、さて…」
提督「この指輪、どうやって渡そうか…」
五月雨
『いつまでもお傍に』
提督「君が五月雨?」
五月雨「はい。五月雨って言います!よろしくお願いします」
提督「こんなにちっこいのに?」
五月雨「むぅ、提督失礼ですね!私はこう見えてもれっきとした駆逐艦の五月雨です!
そしてあなたの秘書艦でもあります!」
提督「そうなのか…」
五月雨「はい!そうなんです!」
五月雨「とにかく、これからよろしくお願いいたしますね。提督!」
提督「ああ、よろしくたのむよ五月雨」
五月雨「あ、お茶入れてきます…う、うわぁ!」
提督「……本当に大丈夫なのかなぁ…?」
提督「五月雨。この前の書類ってどこにある?」
五月雨「もう、提督ったら…ここです」
提督「おお、そこだったか。すまんな五月雨」
五月雨「もう、提督は私がいないとダメですね…」
提督「ははは…す、すまん…」
五月雨「お任せください!提督をお助けするのが、秘書艦の役目ですから!」
五月雨「提督!大丈夫ですか!?」
提督「うぅ、面目ない…風邪を引いてしまったようだ…」
五月雨「あ、提督!布団かぶったままお仕事なさらないでください!」
提督「でも、これを終わらせないと、みんなに迷惑が…」
五月雨「提督の今のお仕事は、体を治すことです!それ以外は私たちに任せてください!ほら、書類は持っていきますからね!」
提督「あぁ!……わかった、大人しくしとくよ。」
五月雨「はい、私たちに任せて、今はゆっくり休んでください。」
提督「うん…ありがとう、五月雨」
五月雨「い、いえ!これも秘書官の仕事ですから!」
五月雨「うちの艦隊の旗艦…ですか?」
提督「ああ、今度近くの鎮守府の艦娘と連合艦隊を組む事になった。
そこで我が鎮守府で最も練度が高く最古参の五月雨にその艦隊旗艦をしてもらいたい」
五月雨「で、でも私…駆逐艦ですし、他にも優秀な子はいっぱい…」
提督「いや、俺はこの大役を任せられるのは五月雨しかいないと考えている……難しいが、頼めるか?」
五月雨「提督……分かりました!五月雨、我が泊地から出撃する艦隊旗艦の任を受領致します!」
提督「……うん、頼むぞ五月雨!」
五月雨「はい!私、がんばっちゃいますから!」
提督「五月雨、足はまだ痛むか?」
五月雨「いえ、もうすっかり良くなって、ほとんど歩けるようになったんですよ。ほら……っつ!」
提督「ああほら、無茶するから…」
五月雨「す、すみません提督…こんなんじゃ提督のお役に立てません。」
提督「いやだから気にするなって……いや、気にしたほうがいいな。」
五月雨「ええ!?や、やっぱり…私はもう役立たず……」
提督「ああ違う違う。今は俺に頼ってくれて構わん。が、このあとは俺が頼らせてくれ。」
五月雨「提督……は、はい!お任せ下さい!私、早く退院して通常勤務に…」
提督「その話なんだがな…実は、俺はもう提督じゃないんだ。」
五月雨「そ、そうなんですか………え?」
五月雨「え、えええええええ!?提督…な、なんで!」
提督「あんなふざけた指揮を出すくそったれな上司のいるところで仕事なんてやってられるか……て、人事部に辞表出してきた」
五月雨「そんな…それじゃ…提督とは、もう……」
提督「…それで…な、五月雨。一つ提案があるんだが…」
五月雨「て、提案、ですか?」
提督「そ、その、だな……実は、提督が解任される時は、希望した艦娘は普通の女の子に戻れるんだ。」
五月雨「普通の…女の子…」
提督「それで…な。五月雨には…ずっと……おれのそばに…いてほしい…わけだ……」
五月雨「提督…グスッ」
提督「…よし……よし!五月雨!」
五月雨「はい…はい…!」
提督「結婚しよう!」
五月雨「はい……提督………!」
大和
『資材運用は大変です』
提督「資材が…ない……」
大和「ありませんね…」
提督「なぜだ…もう1週間前の10分の1以下じゃないか…」
大和「それは、採算度外視でリットリオさんや葛城を助けに向かったのが原因かと…」
提督「だってみんないい子だし!可愛かったから助けてやりたいじゃないか!」
大和「そうは言いましても…前半の海域攻略に私達大和型と他の大型艦を起用し続けたのが大きな要因かと…」
提督「……他の鎮守府だと大和型は燃費の問題でホテルと化しているって話を聞いて…大和達は消費に見合う程強いんだって証明したくて…」
大和「起用し続けたと…」
提督「言うことです…」
大和「はぁ…提督、私達を起用していただけることは大変喜ばしいことですが…艦隊が立ち行かなくなってしまうのは問題かと思います。」
提督「おっしゃる通りです…」
大和「次回からは、しっかりと運用をお考え頂いて、その上で私達をお呼びいただければ、この力、存分に震わせていただきます。」
提督「わかった…今度からは資材は計画的に運用するよ。」
大和「それでこそ私達の提督です!」
提督「ははは、ありがとう。」
大和「……でも一つだけ。」
大和「私達の事を考えてあれだけ起用してもらって、大和は幸せ者ですよ、提督♪」
榛名
『榛名はいつまでも大丈夫です!』
榛名「提督はいつもどんな生活を送っているのか…気になります!」
榛名「ということで今日は非番なので提督の行動を観察します!」
榛名「あ、提督が寝室から出てきました!行動開始です!」
朝
榛名「提督は朝の一服を終えて、朝食を秘書艦の方々と取っています」
榛名「提督は食事をとるときは大抵誰かと一緒です…」
榛名「とても楽しそうにしています…」
榛名「榛名も一緒に……あ、提督が動きました!移動です!」
昼
榛名「提督が執務室に入っている間、榛名はとなりの空き部屋から監視いたします!」
榛名「穴などは空いておりません…が!」
榛名「こんな時は妖精さんに作ってもらった透視装置(壁限定)の出番です!」
榛名「見えました!提督と矢矧さん、そしてお姉さまが楽しくお食事をしています。」
榛名「提督の笑顔は素敵です!いつまでも見ていたいです!」
榛名「……最近榛名は提督に避けられている気がします…」
榛名「なにかしてしまったのでしょうか?なにか知らないうちに提督にご迷惑をおかけしてしまったのでしょうか?」
榛名「榛名にはわかりません……」
榛名「……あ、提督が食事を終えてお仕事の続きを始めました!」
夜
榛名「夜です!外はもう真っ暗です!提督はずっと執務室でお仕事をされています。」
榛名「そしてお手伝いしている矢矧さんと金剛お姉さまと、ときおりとても仲良くお話をしています…」
榛名「榛名もその中に入りたいです…」
榛名「…あ、提督が執務机の引き出しから何か出しました!」
榛名「それをお姉さまに見せて…な、中身が見えません…」
榛名「手のひらに乗るサイズの小さな箱…あ!見えまし…た」
榛名「………今日はもうおしまいにしましょう。」
港
榛名「……提督は、やはり金剛お姉さまを選んだようです。」
榛名「…そうですよね……お姉さまは榛名と違って好意をちゃんと伝えています」
榛名「榛名が選ばれなくても……」
榛名「しかた…グスッ、ない…です……」
榛名「グスッ…う、うぅ……」
榛名「いけません!ちゃんとお姉さまを祝福しないと!榛名、気合!入れて!行きます!」
榛名「………これじゃあ比叡お姉さまです……」
榛名「…グスッ、は…はるなは、だい、じょうぶ…」
榛名「だいじょうぶ…大丈夫です…」
提督「榛名?」
榛名「ひゃあ!て、提督!?ど、どうしてここに!?」
提督「いや、今日1日榛名を見かけなかったから、どこに行ったのかなって思って…」
榛名「そ、そうですか……」
提督「…榛名、泣いてたのか…?」
榛名「そ、そんなことありません!榛名は大丈夫です!」
提督「…そうか」
榛名「はい、大丈夫です!それで、榛名になにか御用でしょうか?」
提督「あぁ……そう、用事があるんだ」
榛名「はい…もしかして、大事なお話でしょうか?」
提督「あ、あぁ……とても大事な話だ……」
提督「榛名……これを、受け取ってくれないか?」
天津風
『あなたの体温』
提督「まさか天津風が風邪を引くなんてな…」
天津風「ごめんなさい…体調管理はちゃんとしていたつもりだったのだけど…コホッコホッ」
提督「ああほら、ちゃんと安静にしてなきゃ」
天津風「はあっ…あなた、お仕事は?」
提督「矢矧と金剛にお願いしておいた。今日は重要な案件もないし、久々の休みだよ」
天津風「休みにしたの…?なら、コホッなおさら私に構わず休まなきゃ……」
提督「ちゃんと休むよ。天津風が寝たら俺も横になるし安心してくれ。」
天津風「なら…いいけれど……」
提督「ん、お腹減ってるか?なにかお腹に入れないとダメだぞ。おかゆ作ったから、一口でも口に入れて。」
天津風「ん…少しだけなら……」
提督「よし…ほら、あーん」
天津風「…あーん。んむ…」
提督(普通にあーんされてる…よほど熱で意識が朦朧としてるんだな…)
提督「ん、ほらこぼしてる」
天津風「…取って頂戴」
提督「え!?」
天津風「はやく……」
提督「……取れたぞ」
天津風「ん…ありがとう」
提督「ほら、次いくぞ。あーん」
天津風「あーん…………」
提督「おお、全部食べたな。お腹減ってたのか?」
天津風「あなたが…作ってくれたもの……だから…」
提督「お、そ、そうか……」
天津風「そうよ……あなたが作ったから…食べれたのよ…」
提督「お、おう。そうか……ありがとう…なのか?」
天津風「ふふふっ、そうよ。」
提督「……ほら、薬も飲んだから、そろそろ横になって。」
天津風「ええ、ありがとう…」
提督「(えらく素直だな…)……ん、タオルも変えたし、そろそろ寝な?」
天津風「そうするわ……ねえ」
提督「ん?なんだ?」
天津風「一緒に…寝てくれない?」
提督「な…だ、ダメだぞ!そんなこと!」
天津風「ダメ…?」
提督(グッ…涙目で言われると、俺が悪いことをしているかのような…)
天津風「……ダメ?」
提督「…あぁ!わかったわかった。寝るまでだぞ!」
天津風「ふふっ、やったぁ…♪」
提督「(こいつは…)ほら、少し詰めてくれ」
天津風「…………」
提督「…なんでそんなにひっつくんだ。暑いだろ」
天津風「いいえ、そんなことないわ……」
天津風「とても…暖かくて…落ち着くわ……」
加古
『賑やかな日々』
提督「ほら加古、起きろ~」
加古「んあー…あとごふーん…」
提督「それ何回目だ…今日は沖ノ島沖の哨戒任務だろ。ほら、起きろ~」
加古「んんぅ…うぇぇ…わかったよ…提督は人使いが荒いんだから。」
提督「いいから、もう充分寝たろ?わかったら動いた動いた。布団は干しておくから」
加古「はいはい…行ってきますよ~」
提督「はいは一回」
加古「うぇ…はぁい。」
提督「ほら、忘れもんないな?髪が乱れてる」
加古「いいよこれくらいは~……」
提督「だめだ。こういう身だしなみもちゃんとしないと」
加古「分かりましたよ。じゃあ……ん、行ってきます」
提督「……ん、行ってらっしゃい。俺も布団干したら行くから」
加古「お~う」
沖ノ島沖
加古「加古スペシャルをくらいやがれぇ!」
加古「古鷹!そっち頼むよ!こっちはあたしが!」
加古「いっけぇ!ぶっ飛ばす!」
加古「あたしの前に立ち塞がるヤツラには容赦しないよ!」
鎮守府
提督「今月の沖ノ島沖紹介任務は完全勝利か」
加古「おうよ!あたしと古鷹の活躍のおかげだな!」
提督「はいおつかれさん。じゃあ損傷艦は入渠して、他のみんなは休息に入っていいぞ」
加古「よっしゃあ!それじゃあ提督、先に帰ってるな」
提督「また寝るのか?出撃前も寝てただろ…」
加古「あたしはよく寝る子なんだよ。知ってんだろ?」
提督「ああ…よく知ってるよ。」
加古「ならいいんだ。それじゃあね~」
提督「お疲れ様……」
夜
提督「あぁ疲れた……ただいまー」
加古「おう提督、今日は早かったんだな」
提督「今日はだれかさん達がほぼ損傷なしで沖ノ島沖任務を完了してくれたおかげで、仕事がすこぶるはかどってな」
加古「そっか、そのだれかさんたちには感謝しないとな」
提督「ああ、感謝してもしきれないよ。その旗艦様が、もっと真面目に働いてくれたら言うことないんだけどなぁ」
加古「あっはっは!そりゃあムリってなもんよ。ただやるときはしっかりとやる!それがあたしの心情だしね~」
提督「さようでございますか…はぁ」
加古「それにあたしは寝るのが好きなんでねぇ……ほら、もう出来るよ。お皿出しといて」
提督「ああ……そうだ加古」
加古「ん?まだお小言?」
提督「いや…違うが……なあ、加古」
加古「なんだよ提督……言いたいことがあんならはっきり言っちまえよ」
提督「あ…ああ…」
提督「なあ、お前…そろそろ、子供……欲しくないか?」
加古「…え?」
古鷹
『あなたのためです』
提督「……スゥ……ふぅ~……」
古鷹「提督、また吸ってたんですか?」
提督「おう古鷹。いやぁこれがなかなかやめられなくてな」
古鷹「ダメです!体に悪いと分かっているのに…」
提督「そうは言ってもな…以外に口が寂しくて吸ってるってのもあって…」
古鷹「口が、寂しい…ですか?」
提督「ああ、これを吸い始めた時も、こうして外でボーっと空を見上げていてな。
そんな時にこれがあると一層落ち着くんだ。」
古鷹「それで…今までずっと吸っていたんですか?」
提督「気がついたらやめられなくなってしまったよ」
古鷹「……し…ら…」
提督「ん?」
古鷹「で、でしたら!私がそれに変わる物を用意すれば、提督は吸うのをやめていただけますか!?」
提督「これに変わるもの?」
古鷹「は、はい!」
提督「そうだなぁ、アメとかはもういろいろ試してみたんだが…」
古鷹「だ、大丈夫です!て、提督が今まで経験したことのないもの!…だと、思います」
提督「え、本当に?知ってるなら是非とも教えて欲しい」
古鷹「わ、わかりました!………すぅ…はぁ…そ、それでは!」
提督「え、今持ってるの?というか古鷹、顔赤いぞ?」
古鷹「だ、大丈夫です!……て、提督。目を、つぶっていただけますか?」
提督「目を?…わかった。」
提督「それで、古鷹は何を……んん!…」
古鷹「ん…ぁむ…………」
古鷹「んん……っはぁ…少し…苦いですね」
提督「……初めてはレモンの味だって昔聞いたことがあるが…よく分からなかったな」
提督「だから古鷹…もう一回してくれ、してくれたら…もう吸わないかも」
古鷹「えぇ!?そ、そんな……」
古鷹「ほ、本当ですか…?」
提督「……あぁ」
古鷹「もう……でも」
古鷹「提督のためですから、しかた……ありませんよね?」
島風
『みんなと一緒に』
島風「みんなおっそーい!」
島風「私がいっちばーん!」
島風「あっはは!みんなぁ!はやくはやくぅ!」
島風「やっぱり私には、誰も追いつけないよね!だって早いもん!」
島風「……だって、みんな遅くて退屈なんだもん」
島風「私はもっと早く走れるのに…」
島風「…え?後悔なんかしないよ!だって私が一番なんだから!」
島風「ぜぇ~ったいしないよ!」
島風「…あ、天津風。どうしたの?」
島風「一緒に…え、でも…さっきみんなとご飯に行ったんじゃ…」
島風「友達…だから?」
島風「とも、だち……」
島風「…………」
島風「うぅん!なんでもない!ほら、早く食べてかけっこしよう!」
島風「負けないよ~!」
島風「天津風!しっかりして!なんで私を庇ったの…!どうして!」
島風「…ともだち、だから…?」
島風「…うん、私と天津風は友達だよ!
島風「ぜったい…ぜぇったい、見捨てたりなんかしない……」
島風「みんな、私が引きつけておくから、その間に鎮守府の方へ全速力で向かって!提督が救援を出してくれてるはずだから!」
島風「大丈夫、私は島風だよ?誰よりも早い足があるもん!」
島風「だから、大丈夫!早く行って!」
島風「ひゃっ!!…まだ機関部は、大丈夫…まだやれる!」
島風「ほらこっちだよ!こっこまでおいで~!」
島風「くっ…この…!あぐっ…!!」
島風「機関部も限界……」
島風「やっぱり、早いだけじゃ…だめなのね…」
島風「提督……みんな……天津風…バイバイ」
島風「……ん、ここ…は?」
島風「入渠ドック…?」
島風「私…帰って来れた…の?」
島風「あのあと…たしか救援の艦隊が来て……」
島風「ん?なんだか下半身がものすごく重い……」
島風「ん、っしょ……」
島風「……提督、みんな…それに…」
島風「天津風…みんな無事だったんだ……よかった」
島風「…あ、提督起きた。おっそーい」
島風「…うん、大丈夫。身体はまだ痛いけど、ちゃんとここにいるよ」
島風「ねえ、提督…あの時言ってくれたこと…今ならわかるよ」
島風「早いだけじゃ、ダメなこともあるんだよね。提督」
古鷹 加古
『ケンカするほど?』
加古「それで提督は!」
古鷹「どっちがお好き何ですか!?」
提督「そ、そんなこと突然言われても…」
加古「そんなこと言って、この前の休みの時だってはぐらかしてたじゃんか!」
古鷹「そうです!今日こそは、どっちかはっきり聞かせてください!」
提督「いや……どっちもおいしいから、決めるに決められなくて…」
古鷹「そういうことばかり言っているから!」
加古「あたし達にこうして説教されてるんでしょ!」
提督「いやぁ……ははは…」
古鷹「私の方は、基本に忠実な味付けに加えて、更には野菜をたっぷり入れてあります!」
加古「なにおう!あたしは提督が好きな濃い目の味付けで、おまけにあたしと提督の名前だって書いてるんだぞ!」
古鷹「私だって書いてあります!最近提督は疲れが溜まっていますし、
健康を考えないといけないと気遣っているんですよ!」
提督「ふ、ふたりとも…ここは両方比べようがないくらいおいしいと言うことで…」
加古・古鷹「ダメです!」
提督「で、ですよね……」
矢矧「あれ、何をやっているの?」
磯風「どうやら二人の作ったオムライス、どっちが美味しいのか決められず、
二人に詰め寄られているらしい」
矢矧「呆れた……たしかこの前も同じことしてたわよね?」
磯風「ああ…これで3回目だよ……まったく飽きないものだ」
加古・古鷹「ぐぬぬぬ……」
提督「だ、だれか助けて…」
加古「提督の一番はあたしだ!」
古鷹「提督の一番はわたしです!」
朝雲
『冗談は好きじゃないの』
朝雲「司令、知ってると思うけど私って冗談は嫌いなの」
提督「…ああ、知ってる」
朝雲「よかった。ならこれって本気なのよね?」
提督「ああ……本気だ」
朝雲「そう…あなたも物好きね。こんな愛想も無く、指令をけなしている子を選ぶなんて」
提督「そんなことない…それに曙や…満潮だって…
っ…朝雲も同じように、素直になれないだけの……優しい子だってことも、知ってる」
朝雲「……本気なの?」
提督「ああ、何度も言うが…本気だ」
朝雲「私より強い子なんていくらでもいるのに…?」
提督「朝雲がいいんだ。朝雲が……好きなんだ」
朝雲「っ……だから…私の事…助けに来てくれた…の?」
提督「ああ…朝雲が沈むなんて…耐えられない……」
朝雲「…っ、私が助かるためなら…自分なんて……どう、なっても…いいって言うの…!?」
提督「…………」
朝雲「答えて!」
提督「…あの時は、そう思っていた……けど、今は違う」
提督「朝雲…お前と一緒に生きていたい」
朝雲「……そう………」
提督「…治ったら、さ…軍人なんてやめてさ…一緒に暮らそう」
朝雲「うん……しょうがないわね……っく…」
朝雲「一緒に…遊んであげる…わ…!」
提督「あぁ…嬉しいなぁ……今から、楽しみ…だ」
朝雲「……ええ、それで、一緒に暮らして、一緒に朝起きて、ご飯食べて、今日の予定は何をしようかって…二人で、考えるの……!」
提督「……あぁ………今か、ら。たのしみ…だ…な…」
朝雲「…ふっ…!そ、それでね!二人で街にくり出して、ウィンドウショッピングとかしてみたいの!…ヒック…!」
提督「………あ、あ。ふたり…で、街を、散策……したい…な」
朝雲「えぇ、今から……とても楽しみ……!」
提督「……あ、さぐ…も。」
朝雲「うっく……なに?司令…」
提督「お…まえが、……じで…よか……った……」
朝雲「……えぇ!グスッ……私は大丈夫よ……司令…!」
提督「…………」
朝雲「……ねえ、司令?……ねえ、一人は……嫌よ…淋しい…でしょ……!司令!しれい!しれ…い…かん……」
提督「って言う宣伝映画を撮る話が来てるんだけど……どうかな朝雲!」
朝雲「……しれい?」
提督「なんだ、朝雲!お前今回メインヒロインだぞ!」
朝雲「なんで艦娘の私が、司令に助けられてるのかしら…しかも司令がいなくなって悲しんでるし……」
提督「……え!?朝雲、俺がいなくなっても悲しくならないのか…?」
朝雲「そうは言ってない!あなたが私の前からいなくなるなんてあり得ないって!そう言ってるの!」
朝雲「司令のことは私がちゃんと守ってあげる!だから私の前からいなくなっちゃダメ!わかった!?」
舞風
『あなたと永遠に』
舞風「提督~♪今日はどこに出撃すればいいの~?」
提督「ちょっと舞風…抱きついてくるなって言ってるだろ」
舞風「えぇ~いいじゃか。提督の背中大きくって好きなんだし」
提督「いいから……はあ、昨日から始まってる作戦で、先行偵察として駆逐と軽巡の艦隊で強行偵察を行う」
舞風「え、てことは私がその偵察に行くってこと!?」
提督「ああ、偵察完了後は主力のいないうちの鎮守府の防衛をしてもらうから、経験を積んだ駆逐と軽巡で出てもらう」
舞風「ナイス判断!ていとくぅ!」
提督「あぁほら、また抱きついてくるなって!」
舞風「舞風の活躍、期待しててよね!」
提督「わかったわかった、あと出撃前に渡しておくものがある……」
舞風「渡したいもの…?」
提督「ああ…大事なものだ…」
舞風「?」
野分「舞風?」
舞風「………」
野分「舞風ってば!」
舞風「むぉう!どしたののわっち?」
野分「のわっち言わないで…出撃してからずっと手袋見つめてるけど、どうしたの?」
舞風「えっ!そ、そんなに見てた!?」
野分「出撃してからずっと上の空で、ときおり左手袋を眺めてたじゃない」
舞風「えぇ…そんなにかぁ……」
野分「なにかあった?もしかして、怪我してるとか!?」
舞風「ち、違うって!ただ…ちょっと、提督と約束してて…」
野分「約束?約束って?」
舞風「うぅ~んとね…ナイショ!」
野分「え、ちょっと舞風!」
舞風「えへへ、さあ、今日も華麗に頑張っちゃいますよー!」
野分「司令、ここはもう持ちません!一時避難を!」
提督「まだ避難が済んでない…このままじゃ……」
舞風「……私が、ちょっと時間を稼いで来るよ」
提督「何!?ダメだそんなの!敵の別働隊には戦艦棲姫までいるんだぞ!」
舞風「…でも、今いるみんなの中で、健在で足回りの早い駆逐艦なんて私しかいないじゃん」
提督「まて!なにか策を考えるから…それまで待つんだ!」
舞風「もう待てないよ…すぐそこまで戦艦棲姫が来てるんだから…野分、提督の事お願いね?」
野分「でも…舞風一人を置いてなんていけな…」
舞風「早く!ほかにもうまともに動ける人がいなかったら、誰が提督を守って海域から離脱できるの!?」
野分「…っつ!」
提督「ダメだ舞風!出撃前に約束したじゃないか!戦いが終わったら、二人で……」
舞風「大丈夫、約束は守るよ?必ず生きて帰って、提督に抱きついてやるって決めてるの」
提督「……本当、だな?」
舞風「うん。ホントのホント」
提督「……わかった。待ってるからな」
舞風「うん…」
提督「…野分、行くぞ」
舞風「野分、提督の事…頼んだよ」
野分「舞風……っ、分かった。司令は必ず、私が脱出させてみせるから!舞風も必ず帰ってきて」
舞風「まっかせなさ~い!」
提督「舞風……待ってるからな!」
舞風「提督はみんなの帰る場所で…生きて、みんなを出迎えてあげないと…だめなんだからね?」
舞風「さあ…てと」
舞風「私と提督の初夜を台無しにしてくれたお礼…キッチリ返してあげる!」
舞風「私の恋路を邪魔するヤツは…私に撃たれて沈んじゃないな!」
提督「……やあ、舞風。また来たよ」
舞風「…………」
提督「今日も変わらず美人さんだな舞風は…よっこらせ……花、変えとくな」
提督「あ、そうだ!聞いてくれよ!那珂がついにアイドルデビューしたんだ!」
提督「まだ始めたばっかりで、下積み時代だー…って、ずっと足を棒にして全国を駆け回ってる」
舞風「…………」
提督「磯風は最近、みんなに教えられて、ようやく食べれる物を作れるようになったんだぜ!長かったなぁ……」
提督「あ、そうだ!野分もな、ようやく自分の生き方を見つけたらしいんだ!その話を今日はしてやるから……」
舞風「……と…く」
提督「……え?」
舞風「…い…とく」
提督「…舞風?舞風!」
舞風「てい……とく」
提督「うん………おれはここにいるぞ……っぐぅ!いる、から!」
舞風「ていとく……言った、でしょ…?」
提督「ああ……必ず戻るって言ってたもんな…!」
舞風「そう、だよ…絶対に、帰るって…約束…したもんね」
提督「あぁ……あぁ!」
舞風「提督………ただいま……」
夕張
『新装備は別世界製』
夕張「提督、その装備はなんて言うの?見たこともない形ですが…」
夕張「…聞いたことない名前ですね……それの性能はどのくらいなのですか?」
夕張「…え!?そ、そんなに…!?」
夕張「ね、ねえ提督。この装備って……私が試してみてもいいかしら?」
夕張「だってそんな浪漫溢れる武装なんて、私が試さなくて誰が試すって言うの!」
夕張「くぅ~!燃えてきた!提督、今すぐ試しましょう!ね!?」
夕張「えぇ…だめなの?どうしても…?」
夕張「うぅん…そうよね、まだテストもしていない状態じゃ、危なくて使わせられないって言うんでしょ?」
夕張「ま、提督が言うんじゃしょうがないか…」
夕張「ん?……ふふっ、私だって提督を心から信頼して、命だって預けてる」
夕張「そんな提督の言うことだもん。信じるし、大人しく聞くわ」
夕張「…それじゃ、私はそろそろ行くわ」
夕張「その装備、最初にテストする時は、ぜぇったいに!私に任せて、ね?」
夕張「…うん、ありがとう提督♪」
夕張「じゃあね~」
夕張「OIGAMIのテスト、すっごく楽しみにしてるからね、提督♪」
浜風
『お悩み』
提督「それで?相談って言うのは?」
浜風「はい…こんな事を提督に相談するのは大変気が引けるのですが…」
提督「着任時になんでも相談してくれと言ったのは私だ。浜風が気にすることじゃない」
提督「この執務室はこの前改装して、青葉のカメラなども全て撤去し、完全防音にしてある。誰かに聞かれるという心配もない。俺が保証する」
浜風「あ、ありがとうございます……それでは」
浜風「じ、じつは……その…」
提督「実は…?」
浜風「さ、最近……また大きくなってきまして……」
提督「大きく…なった…?何処がだね?」
浜風「えと、その……む…」
提督「む?」
浜風「む、む…ムネが……です…」
提督「ムネ……むね?…胸か!?」
浜風「うぅ…は、はい……」
提督「なるほど…前も姉妹艦達より大きかったのに、さらに大きくなってきて困っている…と」
浜風「はい……あまり気にしないでいたのですが、今つけている…し、下着も、サイズがきつくなってきて…」
提督「もしかしたら病気かもしれないと、相談に来たわけだな?」
浜風「……提督、これは…病気にかかってしまっているのでしょうか…?私、心配で…」
提督「うむ、これは実に大変な病気を患っているかもしれない。一度調べてみよう…まずはここの布団に仰向けで寝転がりなさい。
その後この目隠しをしてくれ。なに心配することはない。すぐに済むよ………フフフ」
霞
『正直って難しい』
提督「おーい、かすみー。ちょっといいか?」
霞「なによクズ司令官、気安く話しかけないで!」
提督「かすみー!間宮さんから配給の甘味もらったぞ!一緒に食べよう!」
霞「うるさいこのクズ!自分だけで食べに行けるわ!付いてこないで!」
提督「俺、霞に嫌われてるのかな…?最近は話しかけただけでクズって言われるようになったんだ…」
朝潮「霞が……すみません、よく言い聞かせておきます」
利根「ほらほら、そんなにしょげてもいいことはないぞ。男ならもっと胸を張らんといかんぞ!」
霞「…………」
自室
霞「……あぁ~。また提督に八つ当たりしちゃった…」
霞「どうしてだと思う?うさちゃん。」
霞「私、司令官のことはすごくすごく尊敬しているし、信頼してるんだけど…本人を前にすると悪態をついちゃうの」
霞「どうしたら司令官に感謝を伝えられるのかしら…どう思う、うさちゃん?」
???「それなら、正直に今の言葉を伝えるだけで十分さ。ありがとう霞」
霞「!!??し、司令官…!ま、窓から顔を出して……」
提督「よう」
霞「ど、どうして外から覗いてたのよ…!?」
提督「いやな、朝潮が…この時間に窓の外から部屋の窓から聞き耳を立ててみてください。
それであの子がどう思っているかがわかります!って言ってくれたから実践してみたんだ」
霞「朝潮姉さん……よくも…!覚えてなさいよ…」
提督「それで、霞。さっき言ってたことって本当か?」
霞「う、うるさぁい!あんたなんか大・大・だいっきらいなんだから!ほ、本当なんだから!」
霰
『…眠れません』
霰「司令官、突然すみません……」
提督「いいよ、外も風の音がすごいし、ちょうど俺も一人だと心細かったから助かったよ」
霰「なら、これでおあいこ事ですね…」
提督「そうだな。おあいこだ…」
提督・霰「…………」
提督「外…雨風が凄いな」
霰「…司令官、もう少し…近くに行ってもいいですか?」
提督「ああ、霰が嫌じゃなければ構わないぞ」
霰「ありがとうございます…ん……しょっ…司令官の身体は大きいですね」
提督「そうか?」
霰「はい…それに、とても暖かいです」
提督「霰もあったかいぞ。体は少し小さいがな」
霰「…司令官、失礼です…」
提督「む、すまん」
霰「…まあ、でも今日だけは許してあげます……」
提督「ははは、ありがとうな霰」
霰「その代わり……」
提督「そのかわりに…?なんだ?」
霰「霰が寝るまで、頭を撫でていてください。優しくお願いします…」
如月
『あなたって、本当どんくさいわね?』
如月「もう、司令官ってば本当どんくさいわね…」
提督「はは、申し訳ない」
如月「ほら、手を貸して、食堂まで連れて行ってあげる」
提督「え?いや、ひとりでも大丈夫だぞ?如月は友達と一緒に食べてきなさい」
如月「いいえ、今日は一人で食べたい気分だったから、睦月ちゃん達はもう食べてるわ。ほら、観念して行くわよ」
提督「うわっ…と。分かったよ…すまないね如月」
如月「そんなこと言ってないで、早く行きましょう?」
如月「本当どんくさいわね司令官」
提督「うぅ…面目ない……」
如月「ほら、ここも間違ってるわ」
提督「え?……本当だ。よく気づいたな如月」
如月「こんなの簡単よ。ほら、残り半分も手伝ってあげるわ。書類を渡してちょうだい」
提督「え、いや、如月に悪いよ…」
如月「悪いと思うなら、もう少し書類を片付けるのが達者になってから…早くしてちょうだい?」
提督「うっ…わかりました…」
如月「はいよろしい。素直な提督、私は好きよ?」
提督「…如月にはかなわないな」
提督「…如月、本当にいいのか?」
如月「いまさら何言ってるのよ?もう式間近じゃない」
提督「……おれはお前を幸せにしてやれないかもしれないんだ。
それに俺の目は、もうお前の花嫁衣装も見てやることもできない…」
如月「だからなんだって言うの?私はもう今までにないくらい幸せなのよ?」
如月「司令官と仕事をして、司令官と笑って、司令官と過ごしていた日々は、大変だったけどとても幸せだった。
それを司令官は不幸だって言うの?」
提督「…………」
如月「これからだって、大変な生活になるかもしれない…けど、司令官と一緒なら、私は満足なの」
如月「だから司令官、逃げないで。私と一緒にこれからの人生を戦ってちょうだい」
提督「…如月にはかなわないよまったく」
如月「ふふ、そうよ、司令官はいつだって、私にはかなわないんだから」
提督「……そろそろ時間だ。行こうか…」
如月「ええ…」
如月「行きましょう司令官…いいえ……あなた♪うふふっ♪」
雪風
『幸せってなんでしょうか』
雪風「…………」
提督「雪風?どうしたんだこんな夜中に」
雪風「あ、司令…海を見ていました」
提督「海を?何かいるのか?」
雪風「…過去の話を思い出していました」
提督「過去って…船だった時の記憶か?」
雪風「はい…雪風は幸運艦として、いくつもの海戦に参加して、生き延びてきました」
雪風「他に参加していた船は…私を除いてほとんど沈んでいって……私だけ」
提督「………」
雪風「今は人の体になって、沈んでしまった皆さんも元気に海を走っています」
雪風「でも、時々船の時の記憶を思い出して、外でボーっとしてるんです」
雪風「みんなは、私を憎んだりしているでしょうか?」
提督「憎む?なんでだ?」
雪風「私だけ海戦から生き延びて、他の船は水底に沈んで行きました……そんな私を死神と言う人々もいました」
雪風「それを聞くと…私がいたから、みなさんが沈んでいったんじゃないかって…思うんです」
提督「……そんな迷信は知ったこっちゃないし、戦争だから、沈むのは誇りを持って沈んでいったと思う…」
提督「…が、俺がそんなことを言ったところで雪風は納得しないだろう」
雪風「…………」
提督「なので人海戦術に頼らせてもらう」
雪風「え?」
提督「みんなー!カムヒアー!」
雪風「え…え?み、みんな、なんで…」
提督「雪風が落ち込んでるって話をしたら、みんな心配できてくれたんだ」
磯風「雪風、お前は沈んでしまった私たちの代わりに、最後の最後まで戦ってくれていたじゃないか?
誰がそんなに努力した雪風を責めることができる…?」
矢矧「そうよ。そんな事言う奴がいたら、私達が粉砕してきてあげる!」
長門「私と共に生き延びて、祖国を護ったんだ。誰もお前を責めたりなんかしない…」
雪風「みなさん……はい、ありがとうございましゅ……グスッ…!」
提督「どうだ、雪風?お前は今幸せか?」
雪風「…はいっ!しれぇ!ぐしゅ……雪風は、幸せです…!」
瑞鳳
『私の特権』
瑞鳳「提督!ちゃんと起きて…てあぁ寝癖ついてる」
瑞鳳「寝癖はこれでよし…て、提督!そっち洗面所じゃないからぁ!」
瑞鳳「まったくもう…ほら、朝ごはんちゃんと食べて、今日はご飯にわかめのお味噌汁、それといつもの卵焼き」
瑞鳳「ぽろぽろこぼしちゃダメ!ちゃんとよく噛んで食べなさいね?」
瑞鳳「私お洗濯物干してくるから、その間に着替えるのよ?分かった?…はい、よろしい♪」
瑞鳳「ていとく~着替え終わった?ってうわっ!またシャツしか着てないじゃない!」
瑞鳳「ほら、バンザイして!はい、バンザーイ……よし、ネクタイも…おっけー」
瑞鳳「歯は磨いた?カバンとハンカチは?忘れ物無い?」
瑞鳳「じゃあ………ちゅ、じゃあ行ってらっしゃい提督!」
瑞鳳「ん?なぁに提督?……!…ふふっ♪」
瑞鳳「行ってらっしゃーい!ていとくー!私も大好き~♪」
このSSへのコメント