比企谷八幡と由比ヶ浜結衣の同棲生活のとある一日 to 結衣サイド
八幡と同棲生活二年目、最近、何か上手くいっていない気がしていたある日、たまたま駅前で一色いろはと待ち合わせをしている八幡を見かけてしまう。
結衣は意を決して尾行をすることにした。果たして結衣がそこで見たものとは・・・
[浮気調査]
最近、八幡の様子がおかしい・・・詳しくはよくわからないんだけど、避けられてる?みたいな感じ・・・
今日こそ、理由を聞き出してみせる!!
八幡:「ただいまー」
結衣:「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも、わ・た・し」
八幡:「結衣。」
結衣:「ふぇっ、その・・・八幡がしたいならいいよ」
ちらっと上目遣いを八幡に向けながら胸元でくるくる回す。
八幡:「あっ、いや、その・・・やっぱ、飯で・・・」
結衣:「むぅ、わかった・・・バカ」
八幡:「で何かやらかしたのか?」
結衣:「やらかしてないし!!」
八幡:「そ、そうか・・・いや、いつもと違ったからてっきり料理でもミスったかと」
結衣:「何でそこで料理なの!最近はミスしてないし・・・」
八幡:「同棲しはじめたときはどうなることかと思ったけどな」
結衣:「それは否定できない・・・でも、私、頑張ったんだから」
八幡:「ん、そうだな。一年でそれなりには出来るようになってくれたからなぁ」
結衣:「はい、どうぞ」
と二人分の晩御飯を用意する。
八幡:「サンキュ。いただきます」
結衣:「いただきます」
八幡:「でさっきのは何だったんだ?」
結衣:「さっきのって?」
八幡:「ご飯にする、お風呂にする、それとも・・・」
結衣:「わーっ、わーっ、なんでもない、なんでもないって、さっきのはもう忘れて!!」
八幡:「急にあんなこと言い出したからどうしたのかと・・・」
結衣:「昨日テレビで見たから八幡もそう言うの喜ぶかなと思って・・・」
八幡:「どんなテレビ見たんだよ・・・」
結衣:「旦那が喜ぶ仕草特集的なやつ」
八幡:「ふーん、世の中不仲の夫婦が多いわけ?」
結衣:「そうみたいだよー。私たちは大丈夫だよねー?」
八幡:「お、おお、てかまだ夫婦じゃないけどな・・・」
カーッと顔が真っ赤になるのがわかった
結衣:「で、でも、いつかは・・・」
八幡:「お、おう」
微妙な沈黙が流れる
結衣:「あっ、そう言えば、明日バイト休みって言ってたよね?久しぶりにデートしない?」
八幡:「悪りぃ、明日は用事が・・・」
結衣:「へっ?八幡って用事あるんだ?」
八幡:「俺にも用事の一つや二つあるっての・・・」
結衣:「ふーん、そうなんだ。高校の時も今までも用事なかったし・・・」
八幡:「悪いな。また埋め合わせするからさ」
結衣:「用事があるんなら仕方ないね・・・約束だからね?」
八幡:「おう、約束だ」
結衣:「じゃあ、お風呂入ってくるね」
八幡:「りょーかい」
お風呂に浸かりながら長考していた。やっぱり最近、付き合い悪いな。私、知らない内に何かやっちゃったのかな。
デートに誘ってもバイトやら用事やらで断られるし・・・
まさか浮気!!
いやいや、八幡に限ってそれはない・・・と思う。倦怠期ってやつかなぁ・・・
はぁ、気になる・・・このまま破局!!なんてことは・・・それは絶対嫌!!
うぅ、八幡・・・大好き・・・
とそのようなことを考えならお風呂から上がった。
結衣:「八幡、お風呂上がったよー。あっ、そうだ、私明日朝からバイトだから先に布団に入ってるねー」
八幡:「あいよ、上がったら俺もいくわ」
結衣:「・・・うん、待ってるね♪」
と言い寝室に向かった。
結衣:(やっぱり聞き出せなかったなぁ。気になる・・・浮気じゃないといいな)
などと色々考えてると気付くと眠りについていた。
八幡:「結衣、上がったぞー。って寝ちゃったのか。はぁ・・・俺も寝るか。結衣おやすみ」
翌朝
アラームの音で目を覚ました。
結衣:「はっ、布団に入ってそのまま寝ちゃった〜」
八幡:「んん、結衣、起きたのか?」
結衣:「八幡、おはよう。ごめん、昨日そのまま寝ちゃった・・・」
八幡:「ふぁあ、疲れてたんだろ。仕方ない」
欠伸混じりに八幡が答えた。
結衣:「うぅ、ごめんね」
八幡:「気にすんな」
とポンと頭を叩いてそのまま撫でてくれる。
八幡:「朝飯作るからバイトの準備してこい」
と寝室を後にする。
結衣:「あっ、うん。ありがとう」
私は準備を始める。ウォークインクローゼットから服を取り出し着替え、いつものようにお団子を作り、軽くメイクを済ませる。
結衣:「お待たせー」
八幡:「おお、んじゃ、飯にするか」
と朝ごはんを食卓に用意する。
結衣・八幡:「いただきます」
結衣:「八幡、今日何時くらいに帰ってくるの?」
八幡:「用事次第だな。多分夕方までには帰れると思う」
結衣:「じゃあ、晩御飯作って待ってるね」
とそそくさと朝ごはんを食べ終えて、バイトに向かった。
結衣:「じゃあ、行ってきます!んっ」
とキスを催促してみる。八幡は照れながらも軽く唇を重ねてくる。
八幡:「その、頑張れよ。いってらっしゃい」
結衣:「うん♪行ってきます!」
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駅前から少し離れた人通りも疎らな小さな喫茶店で私はバイトさせてもらっている。祝日や土日など大学が休みの日は朝から昼のピークまでが私の勤務時間である。今日も勤務時間は昼ピークが終わるまででそろそろお客も減ってきている。そんな時、不意に見知った声に話しかけられた。
優美子:「あれ?結衣じゃん、久しぶり〜!!」
結衣:「あっ、優美子と姫菜じゃん。やっはろー、久しぶりだね!」
姫菜:「はろはろ〜、結衣、ここでバイトしてるんだね。」
結衣:「そうだよ♪マスターも良い人だからすごく仕事楽しいよ!」
姫菜:「そっか〜、良いことだね!!」
と軽く会話しながら席へと案内する。
優美子:「そうだ。結衣、あんたバイト何時まで?」
結衣:「もうすぐ終わるよ」
優美子:「そっか、じゃあ、この後ちょっと付き合ってくんない。それとも何か用事ある?」
結衣:「特に急ぎの用はないけど、晩御飯の買い物するくらいかな?」
優美子:「ふーん、じゃあさ、久しぶりに買い物に付き合ってよ。最近、なかなか会えてなかったし・・・」
結衣:「うん、大丈夫だよ♪じゃあ、バイト終わるまでちょっと待ってて!」
優美子:「あーしら、ここでお昼すっから終わったら合流で」
結衣:「わかった。」
と仕事に戻る。
数十分後、残りの仕事も片付けて、マスターより今日は終わりでいいよと言われ、そそくさと帰り支度を済ませた。
結衣:「お待たせ!!」
優美子:「結衣もなんか食べな。お腹空いてるでしょ?」
結衣:「うん♪」
姫菜:「しかし、結衣の働きぶりもなかなかだったね。結衣のことだからドジしないか心配してだったよ」
結衣:「そんなに鈍臭くないし!」
優美子:「でこの後だけど商業施設の方に行こうと思ってるんだけどいい?」
結衣:「うん、問題ないよ!」
優美子:「じゃあ、ご飯食べ終わったら行くよ。」
その後すぐにマスター特製ナポリタンをマスターがテーブルまで持ってきてくれた。
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バイト先である喫茶店を出て私たちは商業施設の方へと向かった。
優美子:「結衣と買い物とか超久しぶり〜」
姫菜:「うんうん、いつもヒキタニくんとデートだからって断られてたからね〜。」
結衣:「あはは、ごめんね」
優美子:「別にいいけどさ。ヒキオとは上手くいってんの?」
結衣:「うーん、最近はあまり一緒に外出とかしてないかも・・・八幡、バイト忙しそうだし・・・」
姫菜:「そうなんだ。でもヒキタニくんがそこまで必死に働いてるの想像できないなぁ」
結衣:「うん・・・今まではそんなにシフト入れてなかったんだけど2回生上がったからは結構入れてて・・・」
優美子:「生活がキツくなったとかないの?」
結衣:「ううん、仕送りもあるから貯金できるくらいの余裕はあるよ」
優美子:「ふーん、しっかりやってるんだ。」
姫菜:「お金に関しては結衣がしっかりしてるからね〜。てことは・・・」
結衣:「えっ?」
姫菜:「男・・・ぐ腐腐」
優美子:「姫菜、擬態しろし。ほらっ、ちーん」
と優美子が姫菜にティッシュを渡す。
結衣:「あはは・・・姫菜相変わらずだね。あれ?」
と駅近くに着いた時、駅前で誰かを待っているようなよく見知った姿が発見した。
結衣:「おーい、はちま・・・。えっ・・・」
声を掛けようとした時に待ち合わせ相手が来た。その相手がいろはちゃん?
いろは:「せんぱーい。お待たせしました。」
なんでいろはちゃんと待ち合わせしてるの。用事っていろはちゃんとデートだったの?
優美子:「あれ、ヒキオと一色!?なんであいつが一緒にいるの!あーし、問い詰めてくる!」
結衣:「優美子、ちょっと待って!!」
ツカツカと優美子が二人の元に向かおうとしているのを必死で止める
優美子:「結衣、なにさ・・・」
結衣:「ごめん。優美子、ちょっと様子見てみようよ。ほら、たまたまかも知れないし・・・」
優美子:「結衣がそう言うなら・・・」
姫菜:「なら尾行だね!」
姫菜の提案により二人の尾行することになった。その刹那、いろはちゃんは八幡の腕に腕を絡ませる。八幡が何かを言うとぱっと腕を離した。
結衣:「・・・」
優美子:「一色のやつ・・・」
すると2人は商業施設の方へ歩き始めた。
優美子:「行くよ。結衣!!」
結衣:「あっ、うん・・・」
二人に気づかれないように一定の距離を保ちつつ、二人の様子を窺いながら後を追いかける。
二人は店内に入るとアクセサリー売場が多くあるフロアの方に向かった。
いろはちゃんがこれどうですか〜?質問すると八幡がうーんとこっちのがいい気がなどと応えてる姿を見てると胸が苦しくなる。
結衣:「・・・すごく仲良さそうにしてる」
優美子:「やっぱりあーし行ってくる!!」
結衣:「もう少し・・・もう少しだけ待って」
優美子:「結衣・・・」
店舗を移動するとそこはペアの商品が多いところだった。
結衣:「ここって・・・」
姫菜:「ああ、カップル御用達の店だね・・・」
結衣:「そう・・・だよね」
姫菜:「きっと大丈夫だって、ね?」
優美子:「ああもう、信じらない。なんでここにあいつと行ってるかな・・・」
すると、一つのペアネックレスを取り出していろはちゃんが首に付ける。
私はたまらずぼそっと声を漏らしていた。
結衣:「もういいよ、私、先に帰るね」
とその場を駆け出していた。
優美子:「あっ、ちょっ、結衣!!」
優美子が引き留めようとする声を無視してその場を後にした。
優美子:「もう我慢できない。ちょっと行ってくる!!」
姫菜:「あっ、ちょっと優美子〜」
するとレディース服売場でタイムセール開始の店内放送が流れるや否や大挙としてタイムセール目当ての人が一斉にレディース売り場に向かい始める。その波に優美子と姫菜も巻き込まれて二人の姿を見失った。
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私は商業施設を出るとアテもなく走り続けた。走っている間、涙が止めどなく流れ続けてメイクも落ちている。それを気にもとめずにただただ走り続けている。
結衣:「何で・・・何でなの・・・折角一緒になれたのにどうしてこうなっちゃうの!!」
誰に向けるでもなくただ叫んでいた。
雪乃:「由比ヶ浜さん?」
不意に声をかけられて足を止めると困惑した様子のゆきのんがいた。
結衣:「ゆきのん・・・ゆきのーん」
私は思わずゆきのんの抱きついてただただ泣き続けた。ゆきのんは困惑しながらも優しく頭を撫でてくれる。
少し落ち着いたのを見計らってゆきのんに近くのベンチまで連れて行ってくれて話かけてきた。
雪乃:「少し落ち着いたかしら?」
結衣:「ぐすっ、うん・・・」
雪乃:「それで何かあったのかしら?私で良ければ話を聞くわよ」
結衣:「ありがと、あのね・・・今、優美子たちとショッピングに行ってたの。そしたら・・・」ブワッ
また涙が少し溢れてくる。
結衣:「そしたら、いろはちゃんとデートしてる八幡を見かけたの」
雪乃:「えっ?比企谷くんと一色さんが一緒にいたの?」
結衣:「うん、すごく仲良さそうにネックレス見てた・・・」
雪乃:「うーん、あの男が他の女性と・・・想像できないわね」
結衣:「でも、見たの。今日八幡休みだからデートしようって誘ったのに・・・なのに」
ここで我慢できずにまた涙が出てきた。
雪乃:「ねぇ、由比ヶ浜さん。その、自信はないのだけれど比企谷くんが浮気をするのは考えられないわ。あの男にそんな度胸も甲斐性もないと思うの。それに、あの男のリスクヘッジ能力に関しては高いと思うのよ。だから、多分浮気するにしても人目につきにくいところ。まして、由比ヶ浜さんと遭遇する危険性が伴うところは選ばないと思うのだけど。何か、理由があるのじゃないかしら?」
結衣:「・・・理由?」
雪乃:「ええ、何か思い当たることないかしら?」
結衣:「うーん・・・」
少し考えてみるけど特に思いつかない。
結衣:「わかんない」
雪乃:「そう?私は何となく分かる気がするわ」
結衣:「んっ?何?」
雪乃:「それは、やめとくわ。それをしちゃうと比企谷くんの計画台無しにしちゃうかも知れないし・・・気になるなら帰って聞いたみたらいいんじゃないかしら?」
結衣:「???うん・・・」
雪乃:「きっと大丈夫よ。だって、比企谷くんはあなたのこと、すごく大事にしているのだから・・・」
結衣:「うん・・・それは何となくわかる、かも」
雪乃:「ええ、あなたが選んだ人なのだからきっと大丈夫。信じてあげてもいいんじゃないかしら?」
結衣:「うん、わかった。帰ったら聞いてみる。」
雪乃:「そうしなさい。」
ふっと優しい笑みを浮かべるゆきのん。
結衣:「ありがとう。少しだけ楽になった。私、頑張ってみるね。」
雪乃:「ええ、もし、本当に浮気なら私があの男を永眠させてあげるわ」
結衣:「あはは、それはちょっと・・・」
雪乃:「冗談よ。でも、本当ならとことん問い詰めてあげるわ。」
結衣:「その時はお願い」
雪乃:「私を怒らせるとどうなるか思い知らせてあげるわ。」
結衣:「ゆきのん、ちょっと怖い・・・」
雪乃:「そうならないといいのだけどね。」
結衣:「そうだね。ゆきのん、本当ありがとね」
雪乃:「後は二人の問題よ。私がしてあげられるのはここまでだわ。ほら、頑張りなさい。」
結衣:「うん」
ゆきのんと別れて家路に向かう。帰り道もゆきのんは大丈夫だと言ってくれていたけどやはり不安が大きく、悪い方向ばかり考えがいってしまう。もし、いろはちゃんと浮気してたらとかあのネックレスはいろはちゃんと揃えるのかななどと悪い方向ばかり考えてしまっている。
憂鬱な帰り道をトボトボ歩きながらふと空を見上げてみる。私の気持ちと裏腹に空は綺麗なオレンジが広がっていて薄らながら星も見える。気づいたらこんなに時間が経っていたんだ。
結衣:「八幡帰ってるかな・・・」
とぼそっとこぼした声は風に攫われて消え去った。
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自宅に着くと真っ暗でまだ八幡が帰宅していないことがすぐにわかった…玄関を入ると静かさが広がる部屋の中、いつもなら気にならない静かさが妙に気になり不安感を煽ってくるようだ。
ふらふらとリビングに向かうとそのままテーブルに突っ伏していた。
今までの思い出が頭の中で蘇ってくるようにグルグルと巡る。
引っ越した初日のこと、八幡が照れてやっぱりソファで寝るとか言い出したっけ。結局、無理にでも寝室に引きずって一緒のベッドに行って初めてを過ごしたことやちょっとしたことで言い合いになって喧嘩したけど最後は八幡が折れて謝ってくれたこと。
やはり一年ちょいだけど濃厚な時間を過ごしていたことがわかる。
結衣:「八幡・・・」
ボソッと彼の名を呼ぶと自然とまた涙が流れ出してきた。人目も憚らずそのまま大泣きしていた。不安で不安で仕方ない・・・そんな時間を一人過ごしていると八幡がようやく帰宅してきた。
八幡:「ただいまって、結衣いたのかよ・・・電気がつけろ・・・どうしたんだ?」
私の顔を見て八幡が驚いたように聞いてきた。
結衣:「ねぇ、八幡・・・」
八幡:「なんだ?」
普段通りの声音で問いかけに答える八幡に少し怒りを覚えた。
結衣:(何でそんなに平然としていられるの・・・)
そんな考えが頭に浮かぶ、私は少しきつめに八幡を問い詰めていた。
結衣:「今日の用事って何だったの?」
八幡:「それは・・・その」
煮え切らない言い方に腹が立ってくる。
結衣:「何で言えないの・・・」
それでももごもごとしている八幡。
結衣:「そうだよね・・・言えないよね。私のデート断っておいて・・・」
そこで一呼吸置いて続けた。
結衣:「私のデート断っておいていろはちゃんと・・・いた・・・もんね」
八幡:「っ、それはだな」
結衣:「聞きたくない!!どうして、どうしてなの!!最近ずっと忙しいからとかバイトでとかでなかなか一緒にいる時間なかった、もしかして、それもいろはちゃんとデートしてたの!!私よりいろはちゃんの方がいいの!!」
もう、止まらなかった。今まで不安感共に流れ出る言葉と涙、何でと言う思い・・・
八幡:「そんなことあるわけないだろ!!」
今まで聞いたことない声に思わず身体がビクッとなった。
結衣:「じゃあ・・・何で・・・今日、いろはちゃんといたの?」
縋るような声音で問いかけた。
八幡:「それは・・・その」
それでも、はっきりしない態度の八幡に怒りよりも諦めに似た感情が溢れ出てきた。
結衣:「やっぱり言えないんだ・・・私に。もういい!私、八幡に嫌われたくないから苦手だった料理も頑張って出来るようになった。それに家事とかも・・・信じてたのに」
もう自分でも何を言ってるのか分からなくなっていた。
結衣:「こんなに八幡のこと好きなのに、いろはちゃんを選ぶんだね」
八幡:「本当に、一色とは何ともないんだ」
結衣:「そんなの信じられるわけないよ!!だったらなんで今日のこと言えないの?そんなの信じられるわけないじゃない・・・」
そう言うと私は部屋から出ようとする。
結衣:(もう無理だよ・・・辛すぎる。結局私のことなんて・・・)
すると手首がキツく握られた。
八幡:「ちょっと待てよ」
結衣:「痛い・・・」
八幡:「あっ、悪りぃ」
結衣:「それで?」
つい、冷たく言ってしまった。
八幡:「はぁ・・・」
八幡はガシガシ頭を掻くとソファーを指さした。
八幡:「そこに座ってくれ。全部話すよ・・・」
結衣:「んっ」
と私は素直従うことにした。
八幡:「少し目を瞑ってくれ」
結衣:「んっ?こう?」
と私は目を瞑る。するとゴソゴソと何かを探すような物音の後、包装紙か何かを開けるような物音が聞こえてきた。
しばらくの後、首元に八幡が手を回しているような気配を感じられたあと、首元にふとした違和感を感じた。
八幡:「もういいぞ・・・」
八幡の声と共に目を開けて首元を触ると金属的な感触を感じたので手に取って見てみる。
結衣:「これって・・・」
八幡:「その・・・少し早いけど誕生日おめでとう」
結衣:「ふぇっ、え、え、えーーーーー!!」
思わず絶叫してしまった。
結衣:「もしかして、いろはちゃんとのデートって私の誕生日プレゼント買いに行ってたの!?」
八幡:「そうだよ・・・ったく、折角誕生日にサプライズでプレゼントするつもりだったのにな・・・」
ふっと苦笑する八幡。私は顔が真っ赤になってきているのがわかった。
結衣:「わーっ、わーっ、ご、ごめんね。私、ものすごい勘違いしてた。そ、そうだよねー、八幡が浮気なんかする訳ないよね。てか、そんな度胸も甲斐性もないよね。あはは・・・なんか恥ずかしくなってきた」
八幡:「なんかさりげなくディスられた気がするのは気のせいか?はぁ・・・これでわかってくれたか?」
結衣:「うん、ありがと八幡♪」
八幡:「どういたしまして」
結衣:「ねぇ、似合うかな?」
八幡:「ああ、似合ってるよ。てか、前もこんなことあったな・・・」
結衣:「ふぇっ?」
八幡:「ほら、高二の時、俺がサブレの首輪を・・・」
ボンっと顔が真っ赤になる
結衣:「わーっ、わーっ、それは忘れてー!恥ずかしいじゃん。てか八幡も悪いんだからね!なんも言わずに渡されたら勘違いするじゃん」
ぷぅと頬を膨らませてそっぽ向く。
八幡:「いや、それもそうだが・・・普通勘違いしないぞ」
結衣:「もういいじゃん。その話は!」
八幡:「わかったよ。そうだ、ネックレスの裏見てみろ」
結衣:「裏?」
とネックレスをひっくり返すとそこには
『YUI♡HACHI』
と書かれていた。
結衣:「これって・・・」
八幡:「そうだ。ほら」
ともう一つネックレスを取り出した。
八幡:「ペアのネックレスだよ。ほら前にペアの何か欲しいって言ってただろ?誰かペアネックレス買ってみた。」
結衣:「覚えてたんだ。でも、ペアなんて恥ずかしいとか言ってなかった?」
八幡:「ああ、ペアルックとかだと流石にレベルが高いと言いますか・・・これなら何とか許容範囲かなと・・・」
結衣:「そっか・・・でも、HACHIって犬みたい」
八幡:「それはなんか文字数が入らなかったからでだな・・・」
結衣:「ハチー」
八幡:「わん!」
結衣:「って犬になった!」
八幡:「んん、いやまぁ、ノリだ・・・」
結衣:「そっか、そうだ、ネックレスつけてあげるね!」
八幡:「いや、自分でつけるからいいよ」
結衣:「いいからいいからほら貸して。」
とネックレスを受けると八幡の首元に手を回してつける。
結衣:「よしっ、出来た!!これでお揃いだね」
とそのまま八幡の唇に自分の唇を重ねた。長い間唇を重ねてゆっくりと離した。
八幡:「ったく、反則だろ」
結衣:「えへへ、ありがと八幡。大好きだよ」
とぎゅっと抱きしめる。
八幡:「俺も、その結衣のこと大好きだ。」
結衣:「知ってる〜」
八幡:「たく、お前は・・・」
と八幡はポンと軽く頭を叩いて撫でてくれた。
結衣:「私、それ好きー。なんか安心できる」
八幡:「そうかよ・・・」
しばらくそのままでいるとふと思い出してしまった
結衣:「あっ、晩御飯の材料買い忘れた!」
八幡:「はぁ?ったく、しゃーねー、今日は外食するか?その今日デート出来なかったお詫びというか・・・今日は俺が出すよ」
結衣:「いいの?」
八幡:「おう、どんと任せろ!」
結衣:「じゃあ、準備してくる!」
八幡:「そのままでいいだろ・・・」
結衣:「ダメ!!大好きな人と外出するときはちゃんとした格好で行きたいの!」
八幡:「そう言うもんかよ・・・」
結衣:「そう言うものなの!じゃあ、準備してくるね!」
八幡:「あいよ・・・ったく」
結衣:「八幡・・・」
八幡:「なんだ?」
結衣:「いつもありがとう。大好きだよ♪」
八幡:「知ってる・・・こちらこそ、ありがとう。色々今日は悪かったな」
結衣:「本当だよー、これからはこんなことないようにしてね♪」
八幡:「ああ、わかってる」
結衣:「うん♪」
**********************
こんな感じで私と八幡の同棲生活は続いている。不安になることや辛いこともたまにはあるけどやっぱり一緒に生活していることはすごく楽しいし、好きな人とずっと一緒にいられることはやっぱり嬉しい。
ぶっきらぼうで不器用だけどすごく優しい。そんな八幡がすごく好き。これから何年何十年も一緒にいたいな。
きっと二人なら大丈夫だよね。いつもありがとう。そして、大好きだよ八幡♪
これからもよろしくね!
fin.
比企谷八幡と由比ヶ浜結衣の同棲生活のとある一日の結衣サイドを読んでいただきありがとうございます。
今回もほぼノリと勢いで無事書き終えることが出来ました。まだまだ未熟で稚拙な文書ですが今後ともよろしくお願いします。
まだ八幡サイドを読んでいない方はそちらも合わせてよろしくお願いします。
八幡サイドのURLです↓
https://sstokosokuho.com/ss/read/21958
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