長く続いた廊下に長靴の足音が響いている。

足音は廊下を奥深く進み、そして明かりのついた部屋の前で止まった。男はゆっくりとドアノブを握りしめる。

少し間を置いて、ドアが静かに、されど軋みながら開いた。

部屋の中には男女が二人、ベッドの上で喘いでいる。

情事に夢中なのか、二人は気づいていない。

男女の年齢は見たところかけ離れている。

男は背が低く、まるで少年だ。

対して女は日本人女性の平均くらいの身長だ。

ポルノならばおねショタだと言われる光景だろう。さらに女は薬指に銀の装飾の入った指輪をしている。おそらくは結婚指輪だろう。ならばおねショタだけではなくNTRとも呼ばれるだろう。

侵入した男は腰から鈍く光る何かを取り出した。拳銃だ。

男はセーフティを外し、左腕をゆっくりと伸ばした。

ベッドの上の少年が侵入した男に気づく。

少年「お前は...!」

言い切る前に乾いた音が３回、部屋に響いた。

少年は脳天を正確に3発、撃ち抜かれ死んだ。

女は状況を理解できていないようだ。

口をパクパクさせている。滑稽な光景だ。

しかし男は眉ひとつ動かさず女に照準を向ける。

女「あなた...うそでｓ」

一発、またも乾いた音が響いた。

言い切る前に女は死んだ。

男は女に近寄り、だらしなく白濁液を垂らした穴の上、子宮に3発、銃撃した。

拳銃を握りしめた左手には装飾付きの指輪が光っていた。

1週間前

男はあることに気づいた。

妻が置き忘れた携帯のSMSメッセージの通知に、悠斗という名前があることを。

最初は会社の同僚だろう、そう思った男は見なかったことにしようとした。そんな男の考えを打ち壊したのは、メッセージの内容だった。

メッセージには「先週は気持ちよかったよ、次はいつにする?」そう記されていた。

男は悟った、浮気されている、そう悟った。

次の日、男は妻が入浴している隙に、妻のSMSをバレないよう開いた。

目指すは悠斗の欄だ。

あった。男は即座に開く。

メッセージ欄には写真が添付されていた。

妻と見知らぬ男がまぐわった、汚らしいハメ撮り写真が添付されていた。

男は怒りを抑え、次のメッセージを見た。

次は妻だった。

「次は来週の水曜日、あいつには飲み会だって嘘つくから深夜までハメようね。」

男は怒り狂った、しかし外に出してはいけない。あくまで何もなかったように取り繕った。

次の日、男は妻の携帯にバレないようGPSアプリを仕込んだ。

そのときに男は相手のSNSをみつけた。男は驚いた。相手は14の少年ではないか。

男は妻がそこまで性に飢えていたこと、そして相手の卑劣さと猿のような性欲に驚いていた。

さらに次の日、男は繁華街の裏路地に赴いた。

奥に誰がいるのか男は知っていた。

???「兄さん、なんか用か?」

男「アパラチアに金塊はあらず。」

???「... 何が必要だ?」

男「45口径拳銃1丁、弾倉は2つ、弾は14発でいい。」

???「40万だ、それ以下は認めねえ。」

男は封筒を手渡す。

???「...毎度あり。」

男は茶皮の鞄を受け取った。

???「バレるんじゃねえぞ...」

そして話は冒頭へと戻る...

男は部屋の外へ出た。

各部屋から顔を出して男女が覗いている。

男はゆっくりと空になった弾倉を捨て、新しい弾倉と交換して、覗く顔に向けた。

好奇心を絵に書いたと言わんばかりの顔は一瞬にして恐怖を貼り付けた顔になり、引っ込んだ。

男はゆっくりと歩を進め、外に出た。

外はしとしと、雨が降っている。

ふと空に怪しく火が燃えているのが見えた気がした。あり得るはずがない。だが男は何も気にせず、ボソリと呟いた。

男「お狐様の嫁入りか、アンタは寝盗られねえようにするんやぞ、お狐さん。」

男は車に乗り込み、エンジンをかけた。

クラッチを踏み、ローに入れ、男はそのまま走り去った。

男の行方は、誰もしらない。