凛「いいから金よこすにゃ!」
花陽「凛ちゃん・・・そろそろお仕事探さなくて大丈夫?」
凛「・・・うるさいなぁ、大丈夫だよ仕事なんてすぐ見つかるよ」
花陽「でも・・・そろそろ貯金も少なくなってるし、私のパート代だけじゃ厳しいよ・・・」
凛「うるさいなぁ!!」ドン
花陽「ひっ!ご・・ごめんね凛ちゃん・・・そうだよね凛ちゃんだって頑張ってるんだもんね・・・お金のことは心配しないで、パートの時間増やせないか聞いてみるから!・・・だから、凛ちゃんは焦らないで自分のペースで頑張ってくれたらいいからね!」
凛「・・・なにそれ?」イラッ
花陽「えっ?」
凛「馬鹿にしてるの?」
花陽「そ・・そんな、馬鹿にしてなんかないよ!凛ちゃんが頑張ってることは花陽が一番しってるよ!」
凛「だ、か、ら、そういうのをいってるんだよ!」ドゴッ
花陽「きゃっ!・・・げほっ!げほっ!・・・うぅ・・」
凛「あ・・・あぁ、ご・・ごめん」
花陽「ううん・・大丈夫、ごめんね・・凛ちゃん・・ほんとにつらいのは凛ちゃんだもんね・・・わかってあげられなくてごめんね、私、馬鹿だから・・ごめんね、凛ちゃん、ごめんね」ポロポロ
凛「か・・よちん」ギュッ
花陽「凛・・ちゃん」
凛「ごめんね」ポロポロ
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花陽「おはよう、凛ちゃん。朝ごはんできてるよ!」
凛「・・・・・」
朝ごはんの匂いと彼女がたてる物音で目が覚めた、私が目が覚めているのに気が付くと上機嫌な声で声をかけてきた。
昨日、少し可愛がっただけで機嫌がよくなった彼女を見ると、どうしても馬鹿、単純といった言葉が浮かんできてしまう。
花陽「・・・どうかな?」
凛「うん、おいしいよ。ほんと、かよちんの料理はおいしいにゃ」
花陽「えへへ・・・///」
凛(この程度のことで喜ぶなんて、どんだけ単純なんだにゃ・・・)
凛「あのね、かよちん」
花陽「どうしたの?凛ちゃん?」
凛「凛、そろそろというか今日から仕事さがそうとおもうにゃ」
花陽「!・・・凛ちゃん・・」
凛「さすがに・・そろそろ逃げ回るわけにもいかないし、それにかよちんばっかりに負担かけさせたくないにゃ」
花陽「凛ちゃん・・無理しなくてもいいんだよ?昨日もいったけど私のことは気にせずに凛ちゃんのペースでやればいいんだよ?」
凛「ううん、凛が決めたことだから」
花陽「そっか・・・うん、わかった!頑張ってね凛ちゃん!あ、でも無理しちゃだめだよ!」
凛「そんなに心配しなくても大丈夫だよ~」
彼女はあくまでお金のことより自分のことを第一に考えてくれるとてもうれしいことだ、自分を思ってくれているのに、なぜだろうかイラつきを感じてしまう。
花陽「うん!でも、ほんとに無理したらだめだよ!あ、お金必要だよね・・・はい、これ!」
凛「いや・・・こんなにいらないにゃ」
花陽「ううん、何があるかわからないから一応もっておいて」
凛「・・・ごめんね」
花陽「ううん!ってそろそろ行かなきゃ!それじゃあ凛ちゃんがんばってね!」
凛「うん」
そういうと彼女は身支度をして玄関に向かっていった。危なっかしい足取りでドアの前までいくとこちらを振り返り手を振りながら言った。
花陽「いってきます、凛ちゃん」
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凛は、ハローワークに向かって歩いていた、朝早く外にでかけるのは久しぶりだ。
凛「かよちん、まだあのネックレスしてたんだ・・・」
朝、彼女が自分に振り返りいってきますをいうとき彼女の首にかかっている見覚えのあるボロボロのネックレスに目が行った。
昔、自分が買って彼女にプレゼントした安物のネックレスだ。
凛(もし、仕事が決まってお金が入ったら新しいのをプレゼントしよう____)
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花陽「凛ちゃん・・・おそいなぁ・・・」
時計を見ると時刻は22時を回っている
花陽「大丈夫・・・かな・・・りんちゃん・・・どこにいるの?」
凛「・・・・・・」
凛は真っ暗で誰もいない公園のベンチに腰かけていた
凛「初日からそう簡単にはいかないよね・・・」
結果は全滅だった、ある程度覚悟はしていたのだが現実として突きつけられるとやはり落胆する
凛「さすがにそろそろ帰らないと・・・かよちんが待ってる」
きっと彼女は暖かく迎えてくれるだろう、気にしなくていいと大丈夫だと言ってくれるだろう。
しかし、今の凛にとって彼女のやさしさは苦痛でしかない。彼女にそんな気持ちは微塵もないだろうが、かわいそうなものを見るような目で見られるのがたまらなく嫌だった。
凛「なんで・・・なんでこうなっちゃたのかな?」
高校の時、あまりいい成績ではなかったが、花陽と同じ大学にいくため死に物狂いで勉強した。担任の教師にも周りの人間にも、おまえには無理だと言われていたが、勉強の甲斐あって大学に合格した。
大学卒業後も、それなりの会社に入社した。
凛『かよちん、一緒にすまないかにゃ?』
花陽『えぇっ!?わ・・わたしなんかと?』
凛『まだお給料もそんなに高くないし、貧しい思いさせちゃうかもしれないけど、それでもよかったら結婚を前提に一緒に暮らしてほしいにゃ、かよちんのこと愛してる、一緒にいてほしいにゃ!』
花陽『うぅっ・・ぐすっ・・・』ポロポロ
凛『か・・かよちん!?ご・・ごめんね!・・・・いやだった?』
花陽『ぐすっ・・ち、違うの誰かに・・・誰かに・・愛してるなんて言われたの初めてで・・・うれしくて・・』
凛『かよちん・・・』ギュッ
花陽『凛ちゃん///』
凛『ずっと一緒にゃ・・』
思えばこの時期が一番幸せな時期だった、あの日までは
会社の後輩『上司さんにはほんとに困ってて』
凛『わかった、私が何とかするから・・心配しないで!』
凛は、勤務先の会社の後輩から上司についての相談をよく受けていた、上司という男は会長の親戚である男で、自分の立場をいいことにパワハラ、セクハラを繰り返していた。人一倍正義感の強かった凛は上司に直談判した。これがいけなかった。激怒した上司は自分の立場とコネを最大限に使い凛を追い込み、ついにはクビにまで追いやった。
この世界は狂っている 歪んでいる 間違っている うまれてこなければよかった
凛『あぁ、もう・・・しにたい』
花陽『凛ちゃん・・・安心して私は何があっても凛ちゃんの味方だから・・絶対私が治してあげるから・・いい病院見つけるから』
凛はうつ病と診断された、今はほとんど完治しているがどうしても、この過去を知られると企業には敬遠がちにされてしまう。
一度の、一度きりのチャンスを逃し、社会というレールから外れてしまったものがもう一度復帰するのは難しい。
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凛「もう帰ろう、これ以上遅くなったらかよちんにおこられるにゃ・・・でも・・」
???「あれ?凛ちゃん?____」
やめろ
続き楽しみにゃー