ボバ・フェット「艦…娘…?」
デススター鎮守府をみて思いつきました。
そして新作スターウォーズではボバ・フェットが生存確定となったことで狂喜乱舞…泣いて喜びそのテンションで書いたものです。スターウォーズに関してはエピソード1~6までの知識しかなく、その後のスピンオフに関してはアニメWIKIやスターウォーズの鉄人。スターウォーズWIKIなどで調べた知識程度しかございません。それゆえに○○が違う。ここが違うとご指摘シていただければ嬉しいです。艦隊これくしょんのストーリーとしてはアニメやside金剛などを参考にこれから頑張ろうと思います。
注)
私は文才もなくSSをかくこと自体初めてです。それ故に日本語がおかしい所や表現が上手くない場所が多々あることが予測されます。
この作品はボバと艦これが大好きな私の100%の自己満足です。それゆえにオリジナル設定(主に艦これ)が出現する可能性もあります。
そういったものも大丈夫だと寛大な心で見守ってくださる方…どうぞお先にお進みください。
そういったものが許せないお方、不快に感じるお方は申し訳ございません。
それでは大丈夫な方だけお進みくださいますよう、よろしくお願いいたします。
BGM> https://www.youtube.com/watch?v=Qz-bRvVlBew
むかしむかし、遥か銀河の彼方で…。
STAR
WARS
Episode X
ユージャン・ヴォング戦争終結。既知銀河の外に誕生起源をもつ侵略者、ユージャン・ヴォングと銀河同盟自由連合との戦いはジェダイ騎士団の手によりシスや旧銀河帝国残存勢力と手を合わせ誕生した銀河同盟の勝利におわった。
賞金稼ぎであるボバ・フェットはマンダロアの戦士たちを率いてこの侵略者たちと戦い、宿敵でもあるハン・ソロとの共闘により大きな戦果を上げた。その後、ソロとフェットはお互いを価値のある獲物であること。顔も見たくない迷惑な存在であることを告げそれぞれ別の道を行く。
その後ユージャン・ヴォング戦争により荒廃した銀河社会の再建が進められ、戦争の傷跡を残す多くの星で復興作業が行われる中、重工や資材が消える自体が発生する。雇われたボバ・フェットは調査を行っている最中に空間の歪みに飲み込まれる。彼が目を覚ました場所は知らぬ言葉、知らぬ文明、知らぬ星だった。
ボバ・フェットは目を覚ました。あたり一面真っ暗闇の中仰向けで倒れていた。重力があることからここは宇宙空間ではなくどこかの星の夜であること。そして建築物などが多いことから知的生命体がいると言う証拠だ。そして、ここは何処かの路地裏のようで人が居ない。人通りが多い場所に移動し、何かしらの情報を聞き出す必要がある。光の多い場所に向かって歩いている途中暗闇の奥から悲鳴があがった。後ろを振り向き、きた道をもどり悲鳴がしたであろう場所に行く。小さな人間の少女とそれを囲む大の大人が4人。そのうちの一人の男が小さな少女の手首を掴んで無理やり連れ去ろうとしていることからしてどう見てもお互いに有効な関係ではなさそうだ。少女も抵抗しているのだが体格の差がありすぎるため大した抵抗にはならず、余計に男たちを怒らせるだけだろう。そしてやはり…と言うべきか男が手を振りかぶり少女を殴ろうとしている。面倒に巻き込まれたくはないが見過ごすわけにもいけないだろう…と振りかぶった男の手首をつかんで後ろに引きずり倒す。そして少女の近くまで歩き、少女を自分の背に隠す。
「おい、なんだよアンタ…コスプレか?」
「いてぇ…おいやってくれたな」
なにか言っているようだがダメだ。言葉がわからない。まぁ怒っていることは確実だろうが…そして首にかけてあり腰まで垂れ下がっているマフラーを少女がキュっと握りしめた。
「あ、あの…お願いします…助けてください」
男たちと同じで何を言っているのかさっぱりわからないのだが助けを求めていることはわかる。さて、どうしたものか。
ボバがしゃべっている言語は銀河全体で通用するリングワ・フランカでありGalactic Basic と言うものだ。英語にきわめ似ているのだがその表記方法はアルファベットとはまったく違うものだ。
「(こんな小さな少女を大人数で何をする気だ?)」
ボバが喋ると男たちは目をまるくした…がすぐに大きな笑い声と変わった。なにかおかしい所でもあったのだろうか…そして言葉が通じているのだろうか思案する。
「なんだよ。あんた外国人か?」
「おおかた外人のコスプレだろ。よく出来てるな。」
「脅かすなよ。変なヘルメットかぶってるし何者かと思ったぜ。」
なにか喋っているがボバに言葉がわかるはずもない。Galactic Basicで話しかけても帰ってくるのはおそらくこの星の言語であろう言葉だ。と…なれば相手はGalactic Basicを喋れないのかGalactic Basic自体を知らない可能性がある。自分が住んでいた星とは大きく離れた星に自分はきてしまったようだ。
「おらぁ!」
ボバが考えごとをしている最中に先ほど少女の腕を掴んでいた男が殴りかかってきた。おおぶりなパンチ…おそらくボバが今まで戦った中で一番弱い相手だ。拳を掴まれてしまい、また投げ飛ばされてしまう。今度は地面ではなく後ろにいる仲間たちに激突して一斉に全員が倒れたのだがこの程度では相手の怒りは収まらないらしい。だがこのような暴漢の黙らせ方は簡単だ。圧倒的な力の差を見せつければいいのだ。しかし自分の真後ろには怯える少女がいる。下手に相手を攻撃して返り血でも付着しようものなら一生もののトラウマになるだろう。ホルダーに閉まっていたブラスターライフルを取り出す。先ほどの仕事で重工や資材が消える原因がただの盗人ならコレを使って生け捕りにしようとおもっていたのだ。もっとも…消えていた原因は歪みに飲み込まれていたからだったのだが…。
ブラスターライフルにかぎらずブラスター銃はすべて相手を死傷させるか、スタンのみか威力を調整できるのだ。もちろん生け捕りにするつもりで居たので威力は最弱だ。暴漢どもにブラスターライフルをかまえる。一瞬立ち止まるがブラスターライフルの肩をみてただの玩具と判断したのかすぐにこちらに向かってきた。
「そんな玩具でビビルと思ってんのか?」
「コスプレ野郎!ぶっ殺してやる!」
トリガーを引いた。パキュン…とまるで玩具の銃のような音がしたと同時に赤い光弾が高速で飛んで行き一人の男にあたる。力なく崩れ落ち目を見開いて苦しむのみだ。しばらく動くことはできないだろう。あっけにとられている残りの3人に赤い光弾が突き刺さる。最初の男と同じく崩れ落ちてしまい立ち上がることはなかった。
「あ、あの…ありがとう…ございます」
後ろから声がした。そうだった少女を守りつつ戦っていたのだった。そういえば自分もいい年だ…物忘れの一つや二つもあると言うものだ。しかしながらさすがに刺激が強すぎたのか体が震えている。そうえばこんなにも小さな存在を守りつつ戦ったのはいつだっただろうか…まだ自分が若いころにトゥイレックの子どもたちを奴隷商人から守ったことがあった。もちろん慈善活動ではなく仕事ではあったが。宇宙に飛び立つ前に最後の最後まで子供たちを守ってはいたもののやはり激しい戦いを目の当たりにした子どもたちは怯えきっていた。そんな時は決まってこうしたのだ。自分が幼いころ…父親であるジャンゴ・フェットもしてくれた。ただ頭を撫でるだけだ。ボバは無言のまま少女の頭を装甲服の上から2度、3度と撫でてやったのだ。
「あ、ありがとうございます!」
こちらの行動に安心したのか今度は元気よく何かを言った。言葉は何を言っているのか相変わらずわからないのだが感謝を述べていることだけはわかった。そして少女は何かを思い出したようにもう一度口を開いた。
「あ、外国の人でしたよね…?え~と…サ、サンク……ユー…?」
ボバは驚いた。たどたどしくはあるのだが、Galactic Basicを…正確にはそれに近い言葉をしゃべったのだ。感謝を述べる意味である言葉をGalactic Basicで言ったのだ。そのことに驚いたボバは少々興奮した様子でまた口を開く。
「(わかるのか?Galactic Basicを理解しているのか?)」
「あ…え~と…」
どうやら判るのは初歩的な言葉だけのようだ。日常生活ではやはりこの星の言語で喋っているのだろう。しかしこれは大きな進歩であり重要な情報だ。探せばGalactic Basicを喋れる人物に合うことができるだろう。この少女の保護者はどうだろうか…と考え少女の手をとりその場から移動を決意したその時だった
「うごくな!」
振り返れば黒いスーツを着た男たちが複数名居た。ブラスター銃とは違う銃を構えておりこちらを狙っている。ボバも応戦するべくブラスターライフルを構えると、少女が自分の前に飛び出して両手を広げて自分をかばうような格好になる。
「いけません!このお方は私を助けてくださった方です!」
少女がそう言うとすぐに銃は降ろされる。ボバもまた同じくブラスターを下げてホルダーに仕舞う。どうやら少女は自分の無実を証明してくれたようだ。黒いスーツを着た人間たちに喋りかけ用途したら、スーツを着た人間たちをかき分けて気の優しそうな男がこちらに近づき、少女を抱きしめた。
「夜の街は一人で出歩いたらだめだとあれほどいっただろう…」
「ごめんなさいお父様」
おそらく親子だろう。娘を心配して抱きしめたようだ。しばらく抱き合っていた後娘を離して立ち上がりこちらをむいた。
「貴方が娘を助けてくださったのですね?感謝いたします。」
「お父様。そのお方は英語を喋っています。外国の人よ」
「(失礼しました。娘を助けて頂いて感謝いたします。)」
「(言葉がわかるのか?)」
「(はい。多少は英語をしゃべることはできます。ぜひお礼をしたいので私達と一緒に来てくださいませんか?)」
普段だったらボバは断りそのままジェットパックを起動してどこかに去るだろう。しかし言葉が通じる相手を前に立ち去るなど愚の骨頂だ。まだまだここが何処なのか情報が無いため同じ言葉を喋れる人間から離れるのは賢いやり方ではない。それに先ほど退治した男たちはこちらの言葉を理解していなかったようだ。全員が全員喋れるわけではなさそうだ。
「(わかった…せっかくだ…)」
「(ありがとうございます。ではこちらに。)」
黒いスーツを着た男数名に先ほどの暴漢はどこかに連行されている。男に案内されるがままについていくと車輪のついた車がとまっていた。どうやらこの星の車は飛ばないようだ。後ろの席に座るがジェットパックがあるぶん少々座りづらい。窮屈そうにしていたら先ほどの少女が横に座る。手にはなにやら本を持っており、その本を見ながら喋りかけてくる。ただの英語の辞書なのだが事情をしらないボバはGalactic Basicの教本だと解釈する。目的地に到着するまで少女から質問攻めにあった。どうしてそのような格好をしているのか…職業はなにか…何歳か…名前はなんと言うのか…などだ。別に隠すことでもないのでこの服は仕事で必要なこと。名前はボバ・フェット。職業は賞金稼ぎ。年齢はもう忘れた…と返す。会話がおわったら車の窓から外をみる。コルサントとは比べて建築物は引くく、角張っているものが多い。車は地面を走り時々飛行機と呼ばれるものが僅かに空を飛んでいるだけだ。宇宙船を飛ばすポートは何処にもなさそうだ。コルサントと比べたら文明レベルは大幅に下のようだ。まぁ住み心地は悪くはなさそうだが…。
「到着しました。」
目的地に到着したようだ。父親と少女が降りる。ボバもそれに続いて降りると目の前には大きな四角い塔がそびえ立っている。ホテルと言って多くの客が宿泊をする場所だそうだ。そのホテルの中でもここは高級らしい。中に入ると従業員に呼び止められる。どうやらこの姿がまずいようだ…が父親が従業員になにやら話し始めた。話し終えたら従業員が頭を下げて「(申し訳ありません。そのままどうぞ。)」と案内をする。どうやらこのまま入ってもいいようだ。
しかし中にいる人間は同じ種族ばかり…異星人は全く居ない。どうやら星と星の交流はまったくないようだ。異星人が一人も居ないのがその証拠だ。ボバはコルサントよりも大幅に離れた場所に来てしまったのだと改めて実感していたら少女が手を握ってボバを引っ張る。ホテル内の飲食店まで連れて来られすでに父親は席について待っていた。好きなモノを頼んでいいというので文字がわからないため写真を見て決定する。料理が来るまでまた少女が自分に喋りかけてくる。その様子を微笑みながら父親は見ている。話を終えたらちょうど料理がきた。料理に手を付けようとしたら少女がまた喋りかけてくる。
「(こんどは…私達の言葉を……おしえます)」
どうやらこの星の言葉を自分に教えてくれるそうだ。Galactic Basicを理解するものが居ないことも予測される中でこの星の言語を教えてくれるのは非常にありがたいことだ。少女に礼を返し、持ってきた料理を口にする。文明レベルは低いが食文化はコルサントのものよりもずっと上だ。自分が今まで食った中のどの料理よりも美味かった。なるほど…このような星もあるのか…と考えていたら少女も父親も驚いてこちらを見る。
「(その…食事の時もヘルメットは取らないのかい?)」
どうやらヘルメットのままで食事をしていることにおどろいたらしい。少女は周りに料理が付着しないのか…食べにくくないのか…など聞いてきたが別にこれといって不具合はない。
「(あぁ…職業柄素顔はあまり知られたくないからな…)」
そう返したら父親は…そうか…とだけ返し食事を続ける。食事が終わった頃…少女はウトウトしておりもう少しで夢の国に旅立ちそうだ。そんな少女をしりめに再びこちらをむいた父親は以来を出してきた。
「(4人の男を倒した君の腕を見込んで頼みがある)」
「(仕事の依頼か。暗殺か…?それとも襲撃か…?)」
暗殺だの襲撃だの物騒な言葉が帰ってきたので目を丸くして驚いた様子だった。しかし仕事の依頼は暗殺でも襲撃でもなかった。常に危険な仕事を承ってきたボバからしたらなんじゃそら…と言いたくなる依頼だった。
「(実は私はこの街にあと1周間は滞在する予定なんだ。なので娘のボディガードをしてもらいたい)」
「(おかしなことを言う。あの黒いスーツの集団が既に居るだろ。)」
「(いや、娘は少々おてんばなところがあってコンビニに行くために夜に部屋を抜け出したんだ。それであの男たちに襲われたんだが。)」
「(見ればわかる…)」
「(彼らが休憩する時間も把握してるみたいでそこをやれれたんだ。しかし娘は君に懐いているようだし、君が一緒だったらもう秘密で抜け出したりしないだろう…出かけるにしても君ほどの力があれば娘も守ってくれそうだ)」
「(わからんぞ…俺にも秘密で抜けだすかもしれんぞ?)」
「(それはない。絶対に。)」
「(何故そう言い切れる?)」
「(君に言葉を教えたがっている)」
あ~…なるほど…とボバは納得する。たしかに言葉を教えてもらう間は一緒にいるのだ。見落としようがない。それにあの子のことだ。理由はなんであれ夜に抜け出すくらいだから行動力はかなりある方だろう。きっと自分が完璧かそれなりに言葉を覚えるまで教えるだろう。知らない言葉を覚えるにはそれなりの時間がかかる。なので1周間のあいだ父親が不在の時間は自分を使って暇つぶしをしてもらう。それにくわえてボディーガードもしてもらうということだろう。
「(君を利用するようで本当に申し訳ないが、悪い条件じゃないだろう?報酬も払うし何より言葉を覚えることも出来る…頼む…)」
必死に頭を下げる父親を見てボバは考えていた。美味い話にはなにかと裏があるものだ。昔ハン・ソロをカーボン漬けにしてジャバ・ザ・ハットにもっていき報酬を受け取ろうとしたがあのジャバですら報酬を踏み倒そうとしていたのだ。今回も同じくなにか裏があるのではないかと考えるがあまりにも必死な父親の頼み込む姿をみてその依頼を受けることを決心した。
「(わかった…その依頼をうけよう…)」
よくよく考えれば子の安全のために必死なのだろう。そういえば父親でもあるジャンゴ・フェットも自分が幼いころ…ジェダイ騎士の追手であるオビ=ワン・ケノービと戦闘に入る時も自分に先に宇宙船に乗れと支持を出したのだ。もちろん自分も大人しくしているだけではなくスレーブ1から援護射撃を行ったが…。親というものはそういうものなのかもしれない…それに万が一報酬を踏み倒すべく黒スーツのボディガードをこっそり侵入させたとしてもヘルメットのセンサーで読み取れる。そのうえここまで文明レベルが違う相手だ。自分一人で返り討ちにできるだろう。
「(あぁ…本当にありがとう…では今日の所はゆっくりして明日から娘をたのむよ)」
高級なホテル、複数のボディガード、そして自分もやとい報酬はしっかり払うと言う気前の良さ。ひょっとしたらこの人物はそれなりの権力者なのかもしれない。だとしたらあの少女を狙う人間が居るのも納得だ。身代金を要求して金をふんだくる。もっとも銀河のならず者たちと同じく身代金を払ったらはいさようならと言うわけには行かず誘拐した者を約束通り返すとは限らないわけだ。自分が依頼を受けると言った時心の底から安堵した様子が伺えたのはそういった理由もあるのだろう。ボバは少女を抱き上げて父親と一緒にロビーまで行く。鍵を受け取り一緒の階、隣の部屋が自分が寝泊まりする所のようだ。少女を父親にわたし、明日の約束をすると部屋にはいる。さて、この星のホテルはどんなものかと思っていたのだが質はかなり良い。ベッドもふかふかで柔らかく寝心地が良い。エアコンもついており体を洗う場所もある。これはいい場所だ。建築物だけをみて文明を判断するのはしょうしょう愚かだったかもしれない。アーマーを脱ぎ、ヘルメットを脱ぎ久しぶりに体を洗う。思いの外気持ちが良かった。今日はいい夢が見れそうだ。
そして次の日の朝。父親に娘のお守りを頼まれると慌ただしく出かけてしまう。部屋の前に居るボディガードが頭を下げて扉をあけた。入ってくれ…と言うことらしい。中には本を複数持って自分を待っていたであろう少女が出迎えてくれた。
「(ようこそ……それ…では…この国の勉強を……しま…しょう)」
相変わらずたどたどしい…こんなので本当に教えられるのだろうかと不安になりメットの下で苦笑いをする。椅子に座りとりあえず教えてもらうことにする…そして2時間後
「はい、それではもう一度。おはようございます、こんにちは、こんばんは」
「オハヨゴザイマス、コンニチハ、コンバンハ」
「わぁ~お上手です」
とりあえず朝、昼、夜の挨拶とお礼の言葉は覚えた。しかしいざ違う言葉を覚えるとなるとこれほどまで疲れるとは思っても居なかった。いままで言葉が通じない相手は翻訳ドロイドなどをつかって意思疎通をしていたのだ。今までは居て当たり前のドロイドがここに来てどれほどありがたい存在だったのかよく分かる。そして昼食をとった後に休憩をしてまた再開をする。
「ワタシ、オレ、ジブン、ボク、コノ中デハ、オレ、ガ気ニ入ッタ」
「すごいすごい。お上手です。それでは私も…(このように日本語には自分を表す言葉がたくさんあります)」
教えてもらうだけだったのだが何故か流れで自分も少女に言葉を教えている。この星には日本語、英語、など様々な言葉が存在しているようだ。まったくもって面倒くさい話だ。どれかに統一したら早いと言うのに…しかし星と星の交流がない星はそのようなものなのかもしれない。写真で見せてもらったが様々な国がありその国ごとに文化が存在しているようだ。昔は国と国である時は文化をめぐり、あるときは領土をめぐり戦争をしていたこともあったらしい。しかし今では人間同士が戦うことはなくなったようだ。
「シンカイ…セイカン?」
「はい。深海棲艦と言う人類共通の敵が現れて国と国で協力して戦うことになったのです」
深海棲艦と言う敵が海からいきなり現れ、人間に危害を加えているそうだ。それに対向するための兵器や戦士も居るとのことだて…。しかし…ユージャン・ヴォング戦争を思い出す。昔は銀河帝国と反乱軍…ジェダイとシスが戦っていたものだがユージャン・ヴォングと言う侵略者が現れてからはすべてが手を取り協力して銀河自由同盟を結成して戦った。自分は傭兵として…マンダロアの戦士として戦ったがなるほど…共通の敵が現れると敵と敵でも手を取り共通の敵を撃退すると言うのはどこでも一緒のようだ。そして…それから幾多もの日にちが過ぎていくと。
「あめんぼ赤いなあいうえお、隣の客はよく柿食う客だ…なんだこれは…」
「(早口言葉ですよ~それがスラスラと言えるようになればもう立派な日本語です)」
いつのまにやらボバは日本語、少女はGalactic Basicでお互いに喋り合う。正確にはGalactic Basicではなく英語と言う言葉と勘違いしているようだ。極めて似ているようなので教えてもリスクは無いだろうと判断してボバは少女にその言葉を教えたのだ。ちなみに父親から聞いたのだが2人とも自分をアメリカ人と思い込み、この格好も深海棲艦と戦うための装備と思っているらしい。
そして約束の1周間が過ぎた。仕事を終えた父親は少女ともうこの地を離れるらしい。1週間もの間みっちりと日本語を叩きこまれたボバ…そしてみっちりとGalactic Basicを叩きこまれた少女はすっかりお互いの言葉をペラペラ喋れるようになっていた。これでもう大丈夫だろう。どこに行くのか訪ねてみたら呉と言う場所に行くらしい。せっかくなので自分も来てはどうかとの誘いを受けたためにこの国の情報を知るべく同行することになった。
そして出発当日。ボバには約束の報酬が払われていた
「俺がやったことは面倒をみて言葉を教えてもらったくらいだ…こんなにいいのかい?」
「あぁ、娘にも英語を教えてくれただろう。騒ぎこそなかったがボディガードをしてもらったんだこのくらいは当然さ。あとコレが通帳とカード暗証番号は○○▽□だ」
「わかった…ありがたく受け取るよ」
口座番号や銀行の仕組みを簡単に教えてもらった。そして出発時刻になると3人は船に乗った。かなり大きな船でイギリスと言う国から日本に来たらしく呉に行くためにここで停泊しているらしい。どうやらこれで目的地まで向かうようだ。深海棲艦とやらはいいのかと尋ねると、ここは深海棲艦は全く出現しない場所とのことだ。それならのんびりとした旅を…周りの景色を楽しみながら行くとしよう。元いた場所なら長距離の移動はハイパードライブで光よりも早く移動するため景色を楽しみながら旅をすると言う考えすらなかった。最初は周りの者達も自分の格好を見て驚いていたが少女と父親の同行者であることを船長らしき人物から説明されたらあまり注目されなくなった。どうやら何かしらの影響をもった親子であることは間違いなさそうだ。でないとただのお守りでアレだけの報酬を払えるわけがない。
しばらく海の景色を楽しんでいると思い出すのは父親と過ごしていたカミーノだ。カミーノにも海があったのだがこの星の海とは全く違う。カミーノの海はすべての大陸を飲み込み荒々しく暴れる波ばかり。しかしこの星の海は全くの逆で静かで穏やかで優しい。シーズンになれば海で泳いで楽しむ人間も居ると言うのだから信じられないことだ。いつかここの海に入ってみたいものだ…と思いにふけていたら突然後ろから怒号が聞こえる。
「NO!!NO!!WHY?無いってどういうことデース!?」
「お…お姉さま?落ち着いて……」
「落ち着いてなんかいられないネー!こんな仕打ちあんまりデース!!」
なにやら変わった服を着た女性が大声で暴れている。もう一人はその暴れている女性と同じ服で怒り心頭な女性をなだめている。お姉さま…と言うことは姉だろう。姉妹のようだ。大声で暴れている女性は髪の毛をピーンと立てておりまだまだ怒りが収まらない様子だ。
「日本行きの航海最後のティータイムが台無しデース!!」
「申し訳ございません…想定をはるかに超える連日の喫茶で在庫が…」
「お姉さま。あと少しで到着しますしここは我慢を。」
飲みたい物がなくて暴れているらしい。船員と妹らしき者が必死になだめているのだがそれでも収まりはつかないようだ。
「比叡まで…私はユーをそんな艦娘に育てた覚えはないデース」
「お姉さま、そんなっ!?」
今度は目に見えて落ち込んでいる。忙しいヤツだ。まぁ特にこれといって自分に絡んできたり被害が来るわけではない。少々うるさいが今はこの海を眺めることにしよう。しかし今、艦娘といったか?遠くなのでよく聞き取れなかった。艦娘といえば少女から教えてもらった深海棲艦と戦う戦士のはずだが…?
「お客様、こちらをお試しいただけないでしょうか?」
船員が慌ただしくトレイにティーセットを載せてやってきた。先ほどまで暴れていた女性が目を輝かせてそれを飲み始める。
「透き通った琥珀色。芳醇な香り。そして渋味の中にあるトロミ…?」
「紅茶が見つかったんですか?」
「いえ…その…烏龍茶です」
先ほどまでごきげんだった女性がいきなりブハァと勢い良く口から吹き出す。まるでスター・デストロイヤーのターボレーザーキャノンだ。床と並行に飛んでいき海の中に消えていった烏龍茶…。
「私を騙したネーッ!?あんまりデース!!」
「すっすみません!!」
「お姉さま!お言葉ですが…紅茶と烏龍茶は発酵が違うだけで茶葉は同じ……」
「NOっ!!別物デースッ!!」
うるさい…もう付き合ってられん…そろそろ船内に引っ込もうかとおもったら父親と少女が一緒に海の景色を見ていた。ここは少しうるさいのであの親子の所にいくとしよう…。
「お父様、見て見て!イルカさん!」
「おぉ本当だ」
これはにボバも思わず見入ってしまう。このような美しい景色をみたのはいつ以来だろうか…かつて美しい惑星であるオルデランは銀河帝国時代に建設された対惑星兵器、デス・スターのスーパーレーザーにより星ごと吹き飛ばされてしまった。軍を持たぬ平和な星で景色も美しかったと聞く。この星はオルデランの美しさをもっておりその美しさを壊すことなく人間が住んでいる。過ごしやすいと感じた理由はそこにあるのかもしれない…と海を見渡していたら海の上に人影がみえた。
「海の上に…人間だと…?」
「あぁ…それは艦娘だね」
「艦…娘…?」
「あぁ、人類共通の敵である深海棲艦が存在していることは知っての通りだ…しかしその深海棲艦を退治する者がいる。それが艦娘。平和を護る海の女神とも言える存在だ」
「やっぱり艦娘すごい!お父様!わたし艦娘になりたい!」
「それはちょっと難しいかもしれないなあ」
その話を聞いて少女がピョンピョンと飛び跳ねながら感むすになりたいと目を輝かせている。そしたら先ほどまで紅茶だの烏龍茶だので暴れていた女性が顔をひきつらせた笑顔を浮かべておとなしくなっていた。
「お姉さま。人の目がありますからこの辺で…」
「うぅ~…お騒がせしてすみませんデシタ…」
どうやら先ほどまで騒いでいたことを反省したのか周りの客や船員に謝罪し始めた。さて、自分は少し船内にもどってゆっくりするとしよう…と思ったが何やら変な音がする。ヒュルルルル…とまるで空から何かがふってくるような…。
「いいかい?艦娘になるためにはね…」
父親と少女が仲睦まじく話していたら突然周りにドン、ドン、と水柱があがった。その衝撃で船は大きく揺れてしまい少女は後ろに倒れそうになる…が、先ほどまで紅茶がないと暴れていた女性が受け止めたため怪我はなかったようだ。何事かとヘルメットのセンサーで周りの索敵を始める。周りの客はパニック状態だが先ほどのおかしな服を着た二人は何かを話し、操縦室まで走って行き大声で船長に話しかける。
「HEY船長!今のは深海棲艦の砲撃デース!機関喘息でエスケイプするネー!」
「なんなんだ君たちは!ここは立ち入り禁止区域だぞ!出て行きたまえ!」
「お姉さま!後方に敵影。重巡リ級1駆逐2です……あれ?零水偵?」
どうやら深海棲艦とやらがここにきたようだ…ここには出てこないとのことだったがここに出てきたと言うことはなにかの理由で紛れ込んだか、戦線で敗れ侵入を許したということだ。そしてこの状態でのあの落ち着きよう。あの二人が艦娘とやらだろうか。
「船長!前方にも艦影」
「なんだと!?」
「いや、あれはっ…艦娘です!」
ヘルメットのスコープから見えるがこちらに艦娘とよばれる影が3人近づいてくる。大きなキャノン砲を背負った者が2人。小さなキャノン砲を背負った者が1人で合計3人のようだ。対する深海凄艦は3対。数は互角のようだ。
「どうやら私達は艦隊戦のどセンターにいるみたいネー?」
艦隊戦といえばスター・デストロイヤー級の大型戦艦の打ち合いしかイメージがないがこの星はで人間がキャノン砲を背負って撃ちあうのが艦隊戦らしい。ちょうどいい。この星の兵士や兵器のレベルを見ておきたかった所だ。遠く離れた呉には海軍の工場があると聞いた。もちろん中に入ることは許されないが海の上を行くものを見るくらいは別にいいだろう。そこで見ておこうと思ったのだが…これは手間が省けた。
大型のキャノン砲をせおった2人がのこり小さなキャノン砲を背負った1人がこちらに向かってきた。ドドンと大きな音を響かせながらのこった2人が発泡を始める。どうやらこの星ではブラスターやエネルギー系の兵器はなくすべて実弾兵器を仕様しているようだ。その内の一発が敵に当たり一体が破壊された。
「お父様!見て!すごい!」
「いいから来なさい!君もだ!」
深海棲艦がわも負けておらず応戦して発泡する。2人には当たらなかったがその衝撃はすざましく大きな水柱が上がりここまでそれなりの距離があるのだが船が揺れる。まけじと先ほどの2人がもう一度発泡する。またもや的に命中し1対を破壊。それと同時に大歓声が周りから上がる。もう一体のリ級と呼ばれた人型の深海棲艦にあたったのだが無力化はできなかったようだ。2人に反撃を繰り返している。
激戦を繰り広げる中もう1人がこちらにむかってくる。小さなキャノン砲を背負った艦娘だ。光でモールス信号通信を行っている。
「船長、艦娘より通信。南ニ進路ヲ取レ。至急退避サレタシ」
「HI!艦隊戦に私も参加シマース!」
「お、お姉さま!?いけませんっ」
やはりあの2人も艦娘だったようだ。キャノン砲を背負っていないがどこかに置いてあるのだろう。ドタドタと慌ただしく船内に走って行く様子を見ていたら彼女たちがすぐにでも増援に駆けつけようとしているのがわかる。小さな艦娘が船の護衛を続けているがそのすぐ近くでまた大きな水柱が2つあがる。直撃はしていないようだが衝撃で体制を崩した。
「ヲ級だ…空母ヲ級だぁ!」
誰かが叫ぶ。頭に大きな顔をのせその顔の口から不気味な飛行兵器を何体も射出している。射出されている飛行兵器は大きくはないがその攻撃力はすざましいもので大きな水柱が船と艦娘の近くに何度も上がる。援護に駆けつけたのか大きな艦娘の1人がこちらに急いで接近しているが迎撃しようにも時間が間に合いそうもない。先ほどのリ級とやらも狙っている。リ級の砲撃と空中からの爆撃。大きな艦娘が小さな艦娘を押しのけてかばう。そしてついに直撃をくらう。ボバは惨たらしい姿を想像したのだがその予想は大きく外れた。キャノン砲が破壊されて服が破けているだけだ。その代わり素肌が露出している。よくわからないがあのキャノン砲や服は生身を守るシールドの効果もあるらしい。しかしそのシールドが無くなった今もう一度攻撃を喰らえば今度こそ惨たらしい姿をあの艦娘は晒すことになるだろう。先ほどの飛行兵器がUターンして艦娘を狙い戻ってくる。
ボバはついにブラスターライフルを抜いた。出力は最大。かつての侵略者、ユージャン・ヴォングや数多の賞金首どもに何度も打ち込んだ最大出力のブラスターライフルを構える。
「山城!!」
対応している艦娘が悲痛な声を上げる。どう見ても間に合いそうにない。
「ダメっ」
「姉様」
2人の艦娘はお互いをかばうように抱き合いその場から動かない。死を覚悟しているのだろう。飛行兵器が2度めの攻撃を行おうとする。
ギュオン、ギュオンと重たい音が鳴り響き真っ赤な光弾が飛行兵器めがけて飛んで行き命中する。一発あたっただけで攻撃態勢に入っていた飛行兵器はすべて粉々に打ち砕かれる。1週間前、スタン目的で打ち込んだ時の威力とはわけが違う。強力なドロイドの装甲も打ち抜き、人間が喰らえば一撃で絶命する威力だ。
「え…?」
「なに…今の…?」
死を覚悟していた2人の艦娘。その2人に駆けつけようとしていた艦娘は驚きT字形の不気味なヘルメットをかぶった男をみる。周りの乗船客や船員。そしていつのまにか先に海で戦っている艦娘たちに援護射撃を行おうとしていたもう2人の艦娘も驚きボバをみている。
ボバは敵の飛行兵器を撃ち落としたが油断していない。頭部両脇のユニット、動体・音響センサー件広帯域アンテナで周りを警戒し続ける。ジェットパックを起動し、空に飛び上がり船の最上部に着地する。空には敵の飛行兵器が何体も飛んでおりここで戦えば船への被害は大きなものとなるだろう。と…なれば取るべき手段はただひとつ。
(久々の空中戦か…)
ジェットパックの起動時間は3秒の点火を20回で1分。ただし3秒の点火で水平に100メートル、垂直に7メートル以上飛行することができる。ボバは垂直に飛び上がり敵の飛行兵機を上空から狙い撃つ。いきなりの垂直移動に敵はボバを見失い、赤い光弾の雨を喰らい続ける。3秒の浮遊時間が終わり落下をはじめる。そしてまたジェットパックを点火させ、敵の群れへと突っ込んだ。最高時速は145キロメートル。猛スピードで敵の群れの中を突き進む。すれ違いざまにブラスターライフルを叩き込む。赤い光弾をその身に受けて次々と落とされていくヲ級の飛行兵器たち。撃ち漏らしもあるが構わずに最後尾までつっきりブラスターを出来る限り叩き込む。敵の群れをぬけたらジェットパックの逆噴射を行い後ろを振り向く。船からボバへと狙いを変えたようで残りの撃ち漏らし共がまっすぐこちらにむかってくる。さぁ…戻ってきた敵どもを今度こそ1機のこらず撃ち落としてやろうとヘルメットの下でニヤリと笑う。その時だった。まるで花火のような爆発がおき、細かい弾丸が敵の飛行兵機をたたき落とした。
「これでフィニッシュ?なわけないでショ!英国で生まれた帰国子女の金剛デース。私の実力見せてあげるネー!」
先ほど紅茶がないと暴れていた艦娘がやったようだ。あと金剛と言う名前だそうだ。空中で周りを見回し敵影はなくなったがヲ級と呼ばれる深海棲艦が次々と空に射出している。あれを仕留めないかぎり次々と湧いて出てくるようだ。金剛と名乗った艦娘めがけジェットパックを起動させ、目の前に着地する。味方になってるとは言え、その風貌は恐ろしいようで金剛ともう一人の艦娘は固まっている。
「空は俺がやる…海はまかせる…」
「え、あ、わかったヨー!いくヨ!比叡!」
「あ、待ってくださいお姉さま!」
金剛が先に海に飛び降り、その後に続くように比叡が海に飛び降り着地する。海なのに着地と言うのはおかしな話だが、まるで地面の上に立つかのごとく海上に立つ姿は着地と言う表現以外に見つからないのだ。どういう仕組かわからないがとりあえず装備をととのえたら水の上をスケートのように自由に移動ができるものらしい。金剛たちが負傷してる艦娘の援護につけたのを見届けたらボバは空に目をむける。先ほどとは比べ物にならないくらいの飛行兵機がウヨウヨとただよっているのだ。しかし先程の奴らの攻撃をを思い出してみれば大きな攻撃は近づいて爆弾を落とすことのみだ。他に攻撃方法があるのなら先ほど自分が突撃したときにしているはずだ。要は近づけさせなければいいだけのことなのだ。脚のホルダーにあるブラスターを取る。片手にブラスターライフル。もう片手にブラスターピストルを構える。このブラスターピストルこそ、父親であるジャンゴ・フェットがボバにあうように特別につくったウェスター34ブラスターピストルだ。2丁のブラスターを構え攻撃を開始する。船に近づく飛行兵機どもを迎撃しようと試みるが…。
「………!?」
爆弾ではない。小さな弾丸がこちらに放たれた。急いで体を後ろに倒し緊急回避をこころみる。何発かヘルメットとアーマーに当たる。しかし流石は戦艦の装甲にしようされるデュラスチールだ。少々の傷ができただけで済んだ。しかし衝撃はすざましい。憎きハン・ソロの相棒であるチューバッカに殴られたかのような衝撃がメットに響く。体勢を立て直しながらボバは考える。この星の武器は全て実弾のようだ。なので爆弾や先ほどの小さな弾が主に使用される兵器なのだろう。ブラスターほどの殺傷力はないようだが小さな弾は喰らい続けるとまずい。爆弾の方はへたをしたら自分たちのいた星と同等の威力だろう。しかし今のところ上から爆弾は降ってくるのみだ。同じ高さならばあの小さな弾丸さえきをつけたらいいだけのことだ。
再びこちらにUターンしてもどってくる敵の飛行兵器どもにジェットパックを点火してつっこむ。そしてもう一度敵が射撃を行おうとした瞬間に…体を真横に倒していきなり真横に移動する。何もいなくなった所に弾丸と敵がまっすぐ突き進んだだけだ…。そして真横から2丁のブラスターを真横から叩き込んでやったのだ。ブラスターの直撃をうけたものは、つぎつぎと海に落ちるか爆破するのみ。客船にむかっていた飛行兵機は全滅した。
一方深海棲艦と戦闘にはいった艦娘たちは金剛と比叡の援護、もともと火力の高い艦娘の編成ということもありこちらがわが押し返していた。金剛と比叡がすれ違いざまに深海棲艦に素早い攻撃で沈めた。
「速い…あっという間に1隻しずめたよ」
「ヲ級をやりマース!比叡は重巡をお願いネー!」
「はい!」
金剛と比叡がふたてに別れる。金剛は飛行兵機を射出し続けるヲ級へ。比叡は重巡と戦い続ける艦娘の援護に向かう。すでに戦っている艦娘と重巡の間には水柱が何度も立ち上がり、お互い避けては攻撃を繰り返している。このままでは先に疲労を見せた者がやられるのは明白だがそこに比叡が駆けつける。
「援軍…だれ…?」
「左にまわりこんで!敵を追い込みます!」
「え…あ…わかったわ」
比叡が素早く重巡リ級の右側に回りこむ。そして先に戦っていた艦娘が左に回り込んだ。これで挟み撃ちの形になりど真ん中へと追い込まれたリ級はもう為す術がないだろう。気がついて回避行動を取ろうとするが既に手遅れだ。
「これで…」
「終わってぇ」
2人の艦娘が一斉に主砲を撃つ。主砲にサンドイッチされた形となったリ級が居た場所には大きな爆発が起こり、もう跡形もなく吹き飛んでいた。
ヲ級に向かった金剛は素早い移動で一気に距離を詰める。ボバ・フェットに迎撃され続けてそちらに気を取られていたヲ級が近づいてくる金剛に気がついたがもう遅かった。
「高速戦艦の怖さ、見せてあげマース」
主砲を撃ちながらヲ級にさらに近づく金剛。このままいけば正面衝突は免れない。しかしブレーキを掛ける様子もなく主砲を撃ちまくり敵の飛行兵機を撃ち落としながら近づく。そしてヲ級と金剛がぶつかるがお互い手と手を組み合ったまま力比べをしている。
「この距離なら艦載機は使えないネー」
ただ相手のヲ級も飛行兵機、もとい艦載機を飛ばすだけがのうではないらし。かぶりもののような頭部の両脇にある銃身を金剛に向け狙いを定める。勝ちを確信したのかニヤリを笑みを浮かべて金剛の顔を上から見下ろす…が金剛もまけてはいない。
「それでフィニッシュ?」
両手に力を込めてヲ級と組み合っていたのだがヲ級を持ち上げて振り回す。ジャイアントスイングの足ではなく手をもった状態と言えばいいだろうか。とにかくとんでもない力だ。ブンブンと振り回しヲ級を空高く放り投げた。
「ヴァアアアニングゥゥラアアアアアブ」
「流石ですお姉さま!」
「な、投げた?」
「比叡!今です!」
「はい!お姉さま!主砲…斉射!!行っけぇー!」
金剛が比叡に合図をおくったら比叡が空に投げられたヲ級にむかって主砲を構える。見事に命中し跡形もなく吹き飛ぶヲ級。あとはバラバラと音をたてながら残骸が海面に叩きつけられ海の底に沈んでいくだけだ。
ボバは最後の艦載機を撃ち落とし周りを確認する。空には敵影はなし。金剛たちを確認しようと顔を向けたらちょうどヲ級が投げ飛ばされて撃ちぬかれた瞬間だった。どうやら決着がついたようだ。ブラスターピストルを脚のホルダーにもどすが、ブラスターライフルだけはしまわずに手に持ち緊急事態にそなえる。金剛たちは比叡と抱き合い喜び、他の3人の艦娘はほっとした様子で海を眺めもう敵が居ないことを確認して船についてくる。移動しながら5人の艦娘はそれぞれの自己紹介を行う。
「扶桑型超弩級戦艦…姉の扶桑です…」
「扶桑型戦艦、妹のほう、山城です。あなた達には負けませんから。」
「ボクは白露型駆逐艦「時雨」。よろしくね。」
「扶桑、山城、時雨ですネー。あとは…」
「お姉さま…いったいあの人は何者なのでしょう?」
比叡と金剛が船の最上部を見上げる。それにつられるように扶桑、山城、時雨の3人も見上げる。不気味な姿をしているがこちらの敵ではない。民間人を護るために艦娘と一緒に戦い深海棲艦を撃退した。ただそのような人間は老若男女いままで存在していなかった。人間が空を飛び敵艦載機を撃ち落とせる者など誰もいない。人類史上初だろう。それに気になるのは武器だった。光る弾を撃ちだす銃など存在していないはずだ。まるでSF映画のレーザー銃のようだ。武器だけでなく背中に背負ったジェットパックやあの不気味なヘルメットなど艦娘達や乗船している人々も初めて見る物ばかりだった。
陸地が見えたらボバは最上部から降りる。船の先端まで歩き水平線を眺めていた。少々予想外の出来事はあったが、ボバはゆったりとした船旅を楽しんでいたのだ。ゆったりと景色を眺めながら旅をすること自体が初めてのボバはなにもかもが新鮮だった。だんだんと近づいてくる陸地にこの船旅の名残惜しさを感じていたら突如後ろから声をかけられる。
「ここに…いたのか。さがしたよ。」
後ろを見てみれば娘は居ないようで一人でここにきたようだ。娘のことを聞いたらどうやら部屋で寝ているようだ。鍵はかけたので心配はないそうだが。息を切らしているところを見ると慌てて自分を探していたのだろう。何か用事があるのか訪ねようとしたら父親が口を開く。
「すごい…素晴らしいものをみせてもらったよ…」
「………」
ボバはだまったまま話を聞いているだけだ。そしてさらに父親は喋り続ける。かなり興奮しているようで声のトーンがさきほどよりも遥かに高くなる。
「君のような男が必要だと確信した!指示を出したあとは自分は安全な所で結果をまち…艦娘たちが任務を失敗したらそれを厳しく処罰するだけの者ではもうだめなんだ…君が…君のような男が提督をするべきなんだ!」
「提督…?大艦隊を率いるあれだろう…冗談はよせ。それに俺のガラじゃない。」
提督と言えば大艦隊を率いてその戦隊の指揮をとる司令官だ。そういえば噂に聞いたが第一デススターが破壊された後オデルと言うやつが提督になった。自分のやり方にこだわり失態続きだったのでベイダー卿のフォースグリップで絞め殺されたとか。エグゼキューター級スターデストロイヤーの中を移動していたら兵士たちがそんな話をしていた。まぁここには失敗をして自分を処刑しようにも処刑できる者は居なさそうだが、それでも自分が司令官なんぞがらじゃない。たしかにマンダロアの戦士団を率いてユージャン・ヴォングどもと戦ったが各自、各々の判断で戦っていたに過ぎない。自分も最前線で戦っており司令官なんてご立派な職務はつとまらないだろう。
「冗談なんかじゃない!艦娘をただの兵器、消耗品としてしか見ずに無謀な始原の運用、無謀な作戦ばかり立てる提督ばかりで士気が落ち、深海棲艦に押し込まれている。改めてそれがわかった。深海棲艦が通常なら居ない場所にまで居たことがその証拠だ!」
黙ったまま話を聞いていたのだが自分は速い所もといた星に帰りたいのだ。この男の話を聞くには深海棲艦と言うこの星の人間たちの敵は海全体にいるのだろう。それを全て退治するとしたらかなりの時間がかかるだろう。へたをしたらここで一生を終える可能性だってあるのだ。しかし目の前の男は自分を返してくれそうにない…陸地が見えたのでこのまま飛んでいこうかとも考えたが…。
「たのむ…この通りだ!私はこう見えて海軍の大将と言う立場だ。提督になる人間は大本営の元帥がお決めになるが…私が君を強く推薦する…」
両手を地面について頭を地面にこすりつけた。いわゆる土下座という格好だ。ボバはその姿に似合わず父親譲りできわめて律儀な男でもある。宿敵ハン・ソロの命を奪うべくつねに付け狙っていたが彼を守れと言う命令をくだされた時は命がけでソロを守り、彼の昔の恋人が死亡したと伝えるだけの依頼を受けた際はソロの前に現れてそのことを伝えただけで立ち去っている。
うけた依頼は娘のお守りだけで報酬はうけとったのだが、自分の衣食住の面倒を見てくれたことは間違いないのだ。この男の恩に報いるか、それとも、もう関係ないと断ろうと悩んでいたのだが…。
「このような言い方は交換条件のようになるので気は進まないが…君が提督をしてくれている間は君が元いた場所に帰る方法も探す。」
「な…!?」
「娘に英語…違うかもしれないが言葉を教えてくれた時に文字も教えてくれただろう。娘にノートを見せてもらったのだがあのような文字はこの地球上に存在しない。もちろん古代にもあのような文字はない。それに君が持っているような武器もこの星にはない。」
「だったら尚更だ。素性も知れん。その上異星人かもしれん俺にそんな重役を頼んで何になる?特殊な超能力なんぞ俺にはないぞ。」
「わかっている。これはもう掛けなんだ。同じ失敗を繰り返すか…それともまったく別の方法で挑むか。できるだけの支援と帰るための方法を見つけるのに努力は惜しまない…だから…たのむ…」
ボバは考え続ける。衣食住の面倒をみてもらったとは言えそこまでする義理はない。そのうえこの星の文明レベルは…まぁこの星に関する資料をみなければわからないがおそらく科学技術は遙かに下。ハイパースペースドライブの方法すらしらないだろう。下手をしたらこの星で一生を終えることになるだろう。しかし自分一人でこの星を隅から隅まで探したところで何になるだろうか。自分がこの星に来てしまった原因すらはっきりしていない。だとしたら調べる人間は多いほうが少しだけ効率もあがるだろう。それに…あのような戦闘に巻き込まれてこの男の娘のような子どもたちが死んでいくのは自分だって辛いものがある。だからこそ自分は種族は違えど宇宙に飛び立つ最後の最後までトゥイレックの子どもたちを守ったのだ。
「わかった…その仕事を受けよう。キャンセルはきかんぞ…」
「……その言葉をまっていたよ…感謝する。まかせてくれ。」
男は立ち上がりボバと握手をする。いつの間にか船は陸地についており降りた所で娘と父親と別れた。ただ指定されたホテルの部屋で1週間ほどまっていてくれと言われて。そしてボバを提督に推薦する際に戦った映像を証拠として見せたいと言ってきたので許可を出した。
そして1週間ちょうど経過したころだ。ホテルの部屋で武器やアーマーのメンテナンスをしていた。デュラスチールは優秀な金属だが錆びやすいのだ。毎日のメンテナンスはかかせない。そしたらホテルのボーイがノックをして来客があることをしらせにきた。ロビーには出ずにこの部屋に連れてくるように言って5分ほどしたらあの男が入ってきた。
「お待たせした…いまから鎮守府に君を送る。今日から君は提督になったんだ。」
無言で立ち上がり部屋を出る。ホテルから出ると車が泊まっておりその車に一緒に乗って鎮守府に出発した。
【鎮守府】
「お姉さま…本当にここの鎮守府は大丈夫なのでしょうか?なんでも無茶な作戦ばかり立てる司令が何度も何度も入れ替わっているそうですが」
「ん~それよりもこの鎮守府に提督が不在のまま1週間が過ぎてるネー。ソッチのほうが心配だヨー。」
提督不在の鎮守府は運営されぬままが1週間過ぎた。その間、艦娘たちはトレーニングを行ったり、演習を行ったり、休んだり、ティータイムをしたりと時間を自由につかっている。しかしながら決していい雰囲気とは言えない。いままでの提督の無茶な資源運用のせいで設備は古くボロボロ。艦娘たちのコンディションは新たに着任した金剛、比叡、榛名。霧島以外はお世辞にもいいとはいえない状態だ。ちなみに、榛名と霧島は金剛と比叡が着任した2日後にここの鎮守府に配属された。最前線であるがゆえに戦力はどうしても欲しいのだ。しかし戦力が整っていても司令官が居なければ意味が無い。
「はぁ~…せっかく姉妹全員がそろったのに。私の計算ではこのまま司令がこなければかなりまずい事になります」
「霧島。計算しなくてもこのまま提督が不在だったらまずいことはだれにもわかると思うのだけれど…」
「はぁ~…聞く所によるとここの提督は毎回無茶な作戦ばっかりで資源もたりないそうデース。あの時一緒に戦ってくれた人が提督だったらいいのにネー」
「あの人はすごかったですよねお姉さま。すごい速さで空を飛び艦載機を全滅させる人なんて初めてみましたよ。」
「そんな人がいるのですか?そんな人が提督で一緒にたたかってくれたら榛名、感激です。」
4人はティータイムを楽しみながらこれからどうなるのだろうか…この鎮守府の将来を案じていた。疲れきっている艦娘たちにかわってここに来たばかりの自分たちがいざとなれば4人で出撃することだって十分にありえるのだ。なので今くらいティータイムを楽しんでいてもバチは当たらないだろう。4人そろって大きくため息を吐いたら館内放送が突然入った。
「大淀です。新たな提督が鎮守府に着任しました。これより大広間に全艦娘は集まってください。」
放送が入り4姉妹は慌ててティーセットを片付ける。そのせいで他の艦娘たちよりも大広間に到着するのが少しだけ遅れてしまったが提督がここに来るには十分余裕がある。しかし他の艦娘たちをみているとその評定は暗い。「こんどはどんな無茶な作戦を立てる人なんだろう」「こんどもすごく怒る人なのかな」だの提督に対する不安を言うばかりだ。それが年齢の低い駆逐艦のみならず軽巡や重巡の艦娘たちからも溢れる。空母組は無表情で背筋を伸ばしているだけだ。
【鎮守府入り口】
「到着しました。」
兵士につれられたボバが車から降りる。ここが今日から自分が提督となり司令を出し、そして自らも出撃して深海棲艦と戦う場所になるのだ。大きく見上げた後門をくぐり敷地内に入る。
「大広間で艦娘たちが待っています。その前に軍服をご用意しておりますのでお着替えに…」
「いらん…すぐに大広間に案内してくれ」
ここに来る間にこの鎮守府の事を聞いた。なるほど…オゼル提督が可愛く見えるほどの無能なやつらばかりだったようだ。そのせいで基地とも言うべき鎮守府はボロボロ。ベイダー卿がここにいたら全員始末されているだろう。まず行うことは訓練でも戦闘でもなくこの鎮守府を立て直すことだとボバは考えた。そして大広間に到着して扉をあけて中に入る。ものすごい数の艦娘たちが整列をして待っていた。そしてボバの姿をみた全艦娘が一斉に凍りついた。今までの提督と違い、顔はヘルメットで覆われており軍服ではなくボディアーマーを装備し、背中には大きなライフルが担がれていたのだ。いままでには無いタイプの提督の着任に全員が目を丸くしている。5名を除いて…。
「今日からここに着任したボバ・フェットだ。よろしくたの…」
「「「「「ああぁぁぁー!!!」」」」」
「うるさい…」
ボバ・フェットと共に戦った5人の艦娘が驚きの声をあげた。かくしてボバ・フェットの司令官として…マンダロアの戦士としての生活がここではじまった。
最後まで見ていただきありがとうございました。おそらく打ち間違いや見苦しくわかりにくい表現がたくさんあることが考えられます。指摘や指示などお待ちしております。
このような作品を最後まで見ていただきありがとうございました。
ボバフェットのファンとして、とても楽しめました。
続編を期待してます!
全てが俺得すぎる…w
見つけられて良かった!