2015-10-29 20:29:17 更新

概要

焼き直しですが、ちょこちょこ端折るんでPSYCHO-PASS一期を観てからの方がいいかもです。
あと伊東鴨太郎は動乱篇を観たり読んだりして補完して下さい。


常守朱「本日付で刑事科に配属になりました、常守朱です。」


伊東鴨太郎「配属早々に事件とは災難だね。だが刑事課の人手不足も申告で新米扱いもしていられないんだ。」

「解ってもらえるかな?」


朱「は、はい!」


鴨太郎「いいだろう。続いて対象だが…サイコパスはフォレストグリーン。高い攻撃性と強迫観念が予想される。」


朱「そんなに色相が濁るまで治療を受けなかったなんて…」


鴨太郎「何にせよシビュラ判定を待つまでもない潜在犯だ。おまけに不適合薬物にも手を出した可能性もある。」

「厄介なのはこの廃棄区画には中継機がなくドローンが進入出来ない。それと奴は通行人を拉致して人質にしているらしい。」


朱「人質が!?」


鴨太郎「目撃者の証言では若い女性だそうだ。」


朱「住民の避難は?」


鴨太郎「登録上は無人区画だが、おかげで浮浪者の巣窟だ。覚悟しておいてくれ。」


ブロロ…

朱「護送車…!」


ギギギィ…

鴨太郎「そうそう、これから会う連中を同じ人間だと思わない方がいい。彼らはサイコパスの犯罪係数が規定値を越えた人格破綻者だ。」


「奴らは猟犬。獣狩る為の獣、執行官。それが君の預かる部下達だ。」


ーーーーー

沖田総悟「先生。そのお嬢さんが噂の新入りですかィ?」


鴨太郎「常守朱監視官だ。今日からこの隊の副長………いいや、君達のもう一人の飼主になる。」


朱「よ、よろしくお願いします!」ペコ


鴨太郎「二手に分かれて順繰り行く。沖田君、君は僕とだ。」

「あとの2人は常守君に同伴してもらう。」


沖田「またですかィ?先生の監視付きじゃあ野郎の魂が狙えないじゃねぇですか〜オイ、また命拾いしたな土方。」


土方十四郎「シャバに出る度にいちいち命狙われてたまるか。」シュボッ


鴨太郎「行くよ、沖田君。あと毎回土方君にドミネーターを向けるのはやめてくれるかい?」


総悟「いっけねー。見るからに凶悪そうな潜在犯だったんで間違えちゃいましたー。(棒)」ジャキ


十四郎「ってオイぃぃぃ!!早く仕舞えコラぁぁぁ!!!」


朱「えと…あの…どうすれば?」


近藤勲「そうですねぇ〜万が一奴らが対象を取り逃した場合に備えてここを最終防衛ラインとしましょうか、監視官殿!だぁははははは!!」


朱「え?あのそれって…?」


十四郎「バカな事言ってないで俺らも行くんだよ、近藤さん。」


勲「まあまあそんなに緊張しなさんな、お嬢さん!」ポンポン


『携帯型心理診断鎮圧執行システム《ドミネーター》起動します。』

『ユーザー認証、常守朱監視官。公安局刑事課所属。適正ユーザーです。』


朱「ブリーフィングは…段取りの打合わせとかは…しないんでしょうか?」


十四郎「俺達が獲物を狩り、あんたが見届ける。それだけの事だ。」


朱「いや、もうちょっと具体的に…!」


十四郎「俺達には俺達の流儀ってのがある。だがその責任を負うのは監視官であるあんただ。だから俺のやり口が気に入らない時は…」


「そいつで俺を撃て。」


勲「ちょ!オイ、トシィ!いやぁ、すまんね!アイツあんなでも根はいい奴なんだよ!いや本当に!」

「さっきのきかん坊は土方十四郎。でもって俺が近藤勲だ。」

「よろしく頼むよ、お嬢さん!」


朱「は、はぁ…」


勲「さて、じゃあ行くとするかね!」


ーーーーー


『犯罪係数オーバー120、刑事課登録執行官。任意執行対象です。セーフティーを解除します。』


朱(…ッ!本当に潜在犯なんだ…この人。あんなに普通に喋ってたのに…。)スッ


勲「しっかし、訓練所を主席で卒業たぁ流石ですなお嬢さん!」


朱「えぇ…まぁ…」


勲「だが1つ忠告しておこう。あそこで教わった事は現場じゃなんの役にも立たたんさ。忘れた方がいい。」

「理不尽だと思うかい?ところがそもそも俺達の仕事は理不尽の塊なんだよ。」

「誰が何を思い、何を願うのか…人の心全てを機械で見通せる時代だってのに、それでも誰かを騙したり憎んだり、傷付けたりする連中がわんさかいる。これが理不尽じゃなかったらなんて言うんだい?」

「あんたが教わってきたことは全て理詰めの理論さ。それがどれだけ無意味なものかすぐにでも思い知る羽目になるだろうよ。」


朱「…」


勲「ああ、すまない。別にあんたに説教しようって訳じゃないんだ。ただ先輩としての経験と相応の覚悟をしておいて欲しいという思いの丈を伝えたまでよ。」


朱「私は…っ!」


総悟〝こちらハウンドフォー。GTビル4階で対象を発見。どうします?〟


鴨太郎〝よし。僕が反対に回って両側から挟み撃ちにする。〟


総悟〝けど奴さんの天パり具合じゃあ人質の娘が限界っぽいんで…俺1人で確保しまさァ。〟


鴨太郎〝わかった。くれぐれもしくじらないでくれ。〟


総悟「へいへい…」チャキ


『犯罪係数オーバー190。執行対象です。セーフティーを解除します。』


総悟「おやおや、悪いコだぁ…」ペロッ


バシュッッッ


犯人「がはあぁぁぁぁ…ッ!!!」ギロッ


総悟「そのままイッちまいなァ……あッ?」


ダッダッダッダッ


鴨太郎「どうした?!」


総悟「パラライザーが効かねぇんでさァ…野郎、興奮剤がなんかキメてやがるッ…。」


『対象の脅威判定が更新されました。執行モード、リーサル・エリミネーター。』


犯人「うあぁぁぁぁぁ!!!」ガシャーン


総悟「チッ…」ジャキ


ーーーーー


朱「これって…?!」


勲「…聞いての通りさ。奴はシビュラにとってこの世に要らない存在になっちまったんだ。」


朱「そんな…ただ街頭スキャナーに検知されただけなのに…」


勲「自分で自分を追い込んじまったんだろうな…今更セラピーも無駄、更生の余地なし。そう判断されたんだろうよ…」

「初陣早々嫌な事件に当たっちまったな、お嬢さん。」


「とっとと片付けないと人質の娘さんもヤバイ。このままだとサイコ…サイコ…サイオ?サイトウ?」


朱「サイコハザード…ですか?」


勲「そうそれ!いやわかってたけどね?ちょっとド忘れしちゃってただけだからねっ?!」

「……今時の若いのはストレスに耐性がないから暴力衝動や強迫観念の影響を受けやすい。」


朱「私そのテーマで論文書きました。」


勲「明日は我が身だ。気を付けな、お嬢さん。俺達が執行官なんぞにされたのは…」ハッ


「止まれぇぇぇ!!」ジャキッ


犯人「来るなあぁぁぁ!!銃を捨てろおぉぉぉ!!」


勲「わかった。わかったから落ち着いてくれ、ほら。」ヒョイ


犯人「下がれぇぇ!!」むんず

「ハハハハぁぁ…死ねぇぇぇぇ!!!!」ジャキッ


『不正ユーザーです。トリガーをロックします。』


犯人「な、なんだこれぇぇぇぇ!!!?」カチッカチッカチッ


『執行モード、リーサル・エリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除して下さい。』


十四郎「追いかけっこは終わりだっ…。」バヒュゥゥッ


犯人「うううッ…!!!」


グチャアァァッ


十四郎「御愁傷様。ハウンドスリー、執行完了。」


勲「新米のお嬢さんと先輩の俺を囮にするたぁいい根性してるな、トシ?」


十四郎「俺は俺の仕事をしたまでさ。」


タッタッタッ

朱「公安局です。もう大丈夫。安心して下さい。」


被害者「あ…ぁぁ……」ガタガタ


朱「落ち着いて!貴方を助けに来たのよ!」


被害者「やめ…て……」


朱「近藤…さん?」


勲「銃で確かめてみろ、お嬢さん。」


『犯罪係数オーバー160。執行対象です。セーフティーを解除します。』


勲「ま…仕方ないか…」チャキ


朱「や…やめてぇッ!!」ガシッ


勲「ちょっ!?何してんだお嬢さん!!離せ!!」


朱「あの人は保護対象です!」


勲「くっ!その為のパラライザーだ!今すぐ眠らせて確保するんだ!」


朱「彼女は混乱しているだけです!!そんな乱暴な事しなくてもっ!!!」


勲「いいか?!コイツはシビュラの目だ!!この街の秩序そのものが彼女を脅威と判断したんだ!!その意味を考えろ!!」


朱「だからって何もしていない被害者を撃つなんて出来ません!!」


ーーーーー


被害者「もうやめて…近寄らないで…」


ツカツカツカ

土方「…」チャキ


被害者「もうくんなよおぉぉ…っ!!!」


朱「土方さん…やめて下さい…お願いです。彼女は被害者で…」


『執行モード、リーサル・エリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除して下さい。』


朱「そんな…!?」


『この銃にはこの街の正義があって、その銃にはあんた自身の正義がある。守るべきは…一体どっちなんだろうな?』


ジャキッ


朱「ッ…!やめてぇぇぇぇ!!!」


バシュッ


土方「…っ…!」ドサァッ


朱「お願い…このままじゃこの銃が貴方を殺しちゃう…貴方を助けたいの…だから…ね、ね…っ?」


被害者「ぅ…あぁ…」


『対象の脅威判定が更新されました。執行モード、ノンリーサル・パラライザー。落ち着いて照準を定め、対象を制圧して下さい。』


バシュッ


鴨太郎「常守監視官、君の状況判断に関しては後で報告書できっちり説明して貰おう。」スタスタスタ


ーーーーー


総悟「アレ?オイ、ザキ。俺達が必死こいて犯人追ってる間一体何してたんだよ〜。護送車の前で突っ立って。」


山崎退「俺だけ何の指示もなかったんですよ!!何なの?!やっぱり俺だけいつもこんな扱いなのっ?!」


総悟「先生ー!次からはゴーストワンもちゃんと仲間に入れてやって下せぇー!」


ザキ「ゴーストワンって誰だぁぁぁ!?ゴーストじゃなくてハウンドぉぉ!!影が薄いからか?!幽霊みたいな存在感だからかコノヤロぉぉぉ!!」


総悟「大体、なんで近藤さんを差し置いてお前がハウンドワンなんだよ。ねぇ、近藤さん?」

「…近藤さん?」


勲「ああ…そうだな…。」チラッ


朱「………。」


ーーーーー


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