(畜生!。ぶつかっておいて、一言も無しかよ!。 しかも、誰一人、気に掛けてくれやしねぇ!)
男が歩いていました。
今日は休日で、一人ブラブラと歩いています。
十字路の横断歩道に差し掛かり、男の進行方向は赤信号です。
勿論、男は立ち止まりました。
待っている人たちはそこそこいて、
(この中を歩くのは嫌だな)
と思い、隙間をうまく通って先頭へ行きました。
何とか一番前に着き、自分が渡らない側の信号機を見ると、点滅しています。
(三秒だっけか?。懐かしいな)
昔、国語で習ったお話を思い出しています。
信号が赤になり、車道の信号も数秒を置いて、黄色→赤になります。
男は良いだろうと、青になる前に渡り始めました。
「うわぁ!」
男は声を上げました。何かに押されたからです。
それの後に、ドーンと何かと何かがぶつかる音がしました。
でも、前のめりに倒れた男は、大変、憤っていて、それ所ではありません。
(畜生!。ぶつかっておいて、一言も無しかよ!。
しかも、誰一人、気に掛けてくれやしねぇ!)
男は手を突いて体を起こしました。
そして、何故、周りが自分に気を使ってくれなかったのか、直ぐに理解します。
「うわぁ・・・。車が派手にやってるよ・・・」
ガードレールも、フロントも、そのガラスも、めちゃくちゃです。
そして、自分の居る場所が、横断歩道から大きく外れている事に気が付きます。
「俺はどんな押され方したんだよ・・・」
横断歩道に人集りが出来ていて、そこから叫び声が聞こえてきます。
「誰か!。早く救急車よべ!。人が轢かれた!」
男はゾッとしました。
「俺、守られたんじゃね?。
爺ちゃんかな?。ばぁちゃんぁかな?」
男はそこで立ち上がり、野次馬するのも趣味が悪いと歩き出します。
「にしても、倒されたときはビックリしたが、怪我もしてないみたいだし良かったわ。
それに、俺は無痛症だから、怪我してても気が付かねぇんだよな。
帰ったらちゃんと、体中を調べるか」
そんな独り言を呟き、雑踏へと消えていった
シャワーを浴びていて、頭を洗っているときに考え付いた話です。
この手の話って、きっと、既にあるんだろうな、と思いつつも、書いて見ました。
まんま同じ作品があったら教えてください。
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