希のカップケーキ
バレンタインデー前日のお話です
にこちゃんが物語に登場していません
ごめんなさい!
この物語は、絵里目線になってます。
2月13日バレンタインデー前日
私は友チョコというものを
はじめてもらった。
「絢瀬さん!これよかったら食べて!」
同じクラスの子は、
綺麗にラッピングされたチョコブラウニーを
差し出したのだ。
「…これは?」
「ええっ!?友チョコだよお
ほら、バレンタインデー土曜日だから!」
「???」
バレンタインデーって…
女性から男性にチョコレートを贈るんじゃないの?
確かに私はチョコレートが大好きだけど、
こんなイベントがあるなんて…
「なんかよく分からないし、こんなイベントくだらないけれど…
どうもありがとう」
どうしても、素直になれない。
そういえば、周りは
ほぼ何かラッピングのようなものを持っている。
「穂乃果ちゃん!海未ちゃん!
はいこれ!バレンタインです~」
「うわあ~!ことりちゃんありがとう!
穂乃果のこれはなーに?」
「穂乃果ちゃんのは
パンをたっぷり使ったスフレで、
海未ちゃんのは梅こんぶ茶をつかったクッキーにしてみました~」エヘヘ
「さすがですね、ことり、
私と穂乃果の好みをしっかり分かっています」
「えへへ~(*≧∀≦*)」
2年生の教室の前でも、
ラッピングがキラキラキラキラ…
「まーきちゃーーん!凜、真姫ちゃんの
手作りチョコが食べたいにゃ~!」
「な、そ、そんなものないわよ!
作ってきてないもの…大体、なんで私がチョコなんて作らなきゃいけないのよ…」
「でも、真姫ちゃん、口元に
チョコレートがついちゃってるよ?」クスクス
「花陽!!!」///
1年生の教室の前も
甘くて美味しそうな香りでいっぱい。
私は、こんなイベントなんてくだらない。
確かにそう言った。
けれど、
本当は少しだけ、ブラウニーを貰えたことが
嬉しかったりする。
そんなこと、口に出して言えるわけないし、
あの子以外に、私なんかにくれる人がいるわけ…
「あ!いたいた!やっとみつけた!
絢瀬さーーーーん!」
たたたっと誰かが
足音を響かせてやって来た。
「……東條さん?どうしたの?」
同じクラスの東條希さん。
普段から、私についてきて…
今日はいったい、何の用事なのかしら…
「はいっ!コレ!ウチからのプレゼント!」
「え?」
満面の笑みの東條さんがくれたのは、
アルミに包まれた小さなものだった。
「どうもありがとう…」
「なあなあ!絢瀬さん!開けてみて!」
えっ、今開けろと言うの?
仕方なく、私はもらったアルミを開けてみた。
「…………コレ…」
中からは、カップケーキがでてきた。
その表面には、私の顔が書かれていたの。
「可愛い…」
「せやろ~?ウチ、チョコペンアート頑張ったんよ!絢瀬さんのは上手くできたうちの1つなんやで~!」
カップケーキに書かれた私は
とっても笑顔で…おまけに えりち
そう書いてあった。
「えりち?」
「あ、それな、ウチが考えたん、絢瀬さんのこと、えりちって呼んでもええかな?」
…嬉しかった。
こうして、私に話しかけてくれる東條さん。
本当はとっても嬉しかったの。
東條さん、いや、希さんが
私に変わる勇気をくれたの。
「ありがとう…希…」
私は、はじめて友達を手に入れた。
それは、困っているひとを放っておけない、
お母さんのような暖かい人、希だったんだ…。
fin
絵里と希が、
まだμ'sに入っていない頃、
まだお互いを名字で呼んでいた設定です
短いssでしたが、読んで下さって
ありがとうございました(о´∀`о)
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