2016-01-30 17:42:53 更新

概要

解体されて提督となった元艦娘と自分と同じ艦娘との物語


響と響


「響だよ。その活躍ぶりからーーー」


「よし解体」


最後まで言わせてほしいものだと思った。

これが私と司令官の最初で最後の出会いであった。

鎮守府(ここ)には既に響(わたし)は着任しており、私は即座に解体された。

解体された艦娘は普通の人として生きていく。

だが、いきなりの事で先行きが不安である。

何かやる事があればいいのだが、そう言った事がない。


「さて、どうしたものか・・・・・・」


私は考えた。

そして、ある答えにたどり着いた。


「そうだ、私が司令官になればいいんだ」


こうして私は艦娘から司令官に転職したのであった。



十年後



まさかこんなに時間が掛かるとは・・・・・・。

それは直ぐに司令官になれるとは思っていない。

しかし、理由が子供だからなんて酷い話だ。

確かに容姿は小学生にしか見えない。

けれど艦娘には歳と言うのは関係ないものである。

それは解体された元艦娘にも言える事なのだが、如何やら解体された直後の年齢は10歳として登録されたらしい。

せめて中学生・・・・・・無理か。

何はともあれ司令官となった。

これから艦隊の指揮に入る訳だ。


「初期艦は電がいいな」


などと口にして提督室のドアを開けた。


「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ」


うん、知ってる。

そこにいたのは響(わたし)であった。


「「・・・・・・」」


お互いに顔を見合う。


「まさか、司令官は私・・・・・・」


そうだよ。

そう言おうとした。



「姉さん?」


ガッタン


私は倒れる。


「響の姉は暁だけだよ。ちなみに妹は電と雷だ」


「そうだよね」


我ながらなんて言うボケをするんだか。

内心少し呆れてしまった。


「私は響・・・・・・元艦娘で現在司令官だよ」


「へぇ、自分自身が司令官か。なんか不思議な気分だ」


それはこっちのセリフである。

初期艦が自分自身だなんて思いもよらなかった。

これは恐らく上司の悪戯みたいなものであろう。


「改めましてよろしく」


「Да(ダー)」




最初の顔合わせが終わり、工廠で艦娘を建造しようとしたが・・・・・・


「工廠が機能していないなんて」


ハプニングと言うのはよくあるであるが、こういうのは遠慮したい。

敵襲があったら如何するんだ?


「仕方がないね。こうなれば私ひとりで出撃するよ」


「ひとりだけだと危険だから駄目」


「心配はいらないよ。鎮守府の近くを見て回るだけだから・・・・・・それとも私は信用できないかい?」


と問われた時、答えは即座に決まっていた。


「不死鳥の名は伊達じゃない」


「そう言う事だ」


「解った。気を付けてね」


「СПАСИБО(スパシーバ)」


自分自身に礼を述べられるのはなんだか恥ずかしいな。



出撃してしばらくすると敵が一隻現れた。

駆逐艦イ級であるが、今の我々では厳しい相手であった。

何とか撃破したものの、敵の砲弾で中破してしまった。


「直ぐに入渠するんだ」


「そうするよ」


二人で入渠ドッグへ向かう。


「今日はご苦労だったね。ゆっくり体を休めるといいよ」


「あぁ」


私は立ち去ろうとしたが、一度立ち止まる。


「・・・・・・響、一緒に入るかい?」


「!? どちらでも構わない」


帽子を深々と被る響。

何故こんな事を言い出したかと言うと、単に一人だと寂しいのではないかと思ったからだ。


「頭を洗ってあげるよ」


「なら、私は背中を洗う」


まるで子供・・・・・・いや、姉妹のようだ。


「これからもよろしく響」


END


















後書き

こう言った話です。
リクエストがあればどうぞ。


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SS好きの名無しさんから
2016-01-31 00:51:46

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このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-01-30 17:52:16 ID: 23iCGthU

期待

2: SS好きの名無しさん 2016-01-31 10:50:51 ID: oGpx2g1M

潮建造


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