パワフル高校野球部日誌
1度は野球を諦めた。
もう二度としないと思っていた。
しかし、河川敷で出会った1人の女の子に希望をもらい、また野球をやる決意を見出す。
個性豊かな一癖ある愉快な部員達と甲子園を目指す物語。
アテンションプリーズ!
※初投稿です。
※このssを見て、気分を害される、また、腹が立ったとしても、こちらは一切責任を負いません。
※駄文です。
※設定ガバガバです。
それでも良い方のみお進みください。
どうも初めまして、寿司ピラフと申します。
初投稿のため、誤字脱字はご了承ください。
センス×でごめんなさい。
何か質問や意見なども募集しておりますので、宜しくお願いします。
また、現在も執筆中なので、更新は遅くなります。
何卒、宜しくお願いします。
俺の名前は小波パワプロ。
今年からパワフル高校の1年生だ。
パワプロ「うーん、桜咲く季節だねぇ。」
パワプロ「こうも桜が綺麗だと、こっちも踊りたくなっちゃうねぇ。」
???「まったく、何言ってんだか。」
パワプロ「ん…?その声は…。」
パワプロ「友沢!!」
友沢「やあ、パワプロ、久しぶりだな。」
パワプロ「本当に久しぶりだよー!!元気にしてたか?」
友沢「勿論だ、野球の練習も欠かさずに行ってきたぞ。」
ピクン……
パワプロ「野球……?」
友沢「ああ、そうだ。いやはや、ショートも難しいな。反射神経だけではどうにもならないものが…」
パワプロ「うるさい!!!!!!」
友沢「はっ…?」
パワプロ「…頼む、俺の側で野球の話はしないでくれないか?」
友沢「えっ…?お前、何言ってんだ…?」
パワプロ「………」
スタスタ…
友沢「なっ!?おい!どこ行くんだよ!?」
パワプロ「………」
スタスタ…
友沢「どうしたんだ…?あいつ…。」
パワプロ「…友沢には悪いことしたかな…。」
…野球か……
パワプロ「っと、こんなことしてたら入学式に遅れる。早く行かないと。」
タッタッタッタッ…
パワプロ「さて、体育館はどっちだったかな?」
…あれ?
俺、入学初日から迷子?みんなの笑いもの?
パワプロ「それだけはいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
???「なんだなんだ!?どうした!?」
パワプロ「あ…いえ、すみません、体育館はどちらですか?」
???「ああ、体育館を探していたのか。ついてきて、案内するよ。」
パワプロ「あ、ありがとうございます。」
いやぁ、初日から仕出かすところだったな、いや、もう仕出かしたか。
???「ほら、着いたぞ。」
パワプロ「あ、ありがとうございます。」
???「それじゃあ俺はこれで!」
タッタッタッタッ…
パワプロ「っと、名簿に名前書いて席に座ってなくちゃな…。」
カリカリ…
受付「ありがとうございます、では、こちらを身につけてください。」
パワプロ「あ、はい。」
花か…卒業式の時もこんなのつけてたな…
アナウンス「それでは、そろそろ入学式の方を始めたいと思います。皆様、席にお戻りください。」
パワプロ「お、結構時間ギリだったな。あぶねーあぶねー。」
アナウンス「それでは、第68回、パワフル高校入学式を、開式致します。」
こっからが長いんだよなぁ…
-----------しばらくして-----------
アナウンス「以上をもちまして、第68回、パワフル高校入学式を閉式致します。1年生から順に、生徒会の方々の指示に従って、教室へ移動してください。」
な…長かった…
???「よーし、じゃあ1年生!俺達にしっかりついてきてー!」
ザワザワザワザワ…
あ、あの人、さっき俺を案内してくれた人だ。生徒会だったんだ。
???「おし、じゃあ移動するよー!」
----------そして教室----------
ザワザワザワザワ…
パワプロ(うん、悪いクラスではなさそうだ。)
???「あのー、でやんす。」
パワプロ「ん?」
誰だ…?今どき語尾に「でやんす」なんてつけてるのは…
???「ジーーーーっ」
パワプロ「っ…なんだよ…?」
矢部「オイラは矢部っていうでやんす。アンタ、確かあかつき大付属のキャッチャーのパワプロでやんすよね?」
パワプロ「ああ、そうだけど…」
矢部「やっぱりでやんす!!そこで、アンタに折り入って頼みがあるでやんす。」
パワプロ「初対面の人にいきなり頼みごとかよ…」
矢部「初対面なんかじゃないでやんす!」
パワプロ「えっ?」
矢部「アンタは覚えてないかもしれないでやんすが、オイラとアンタは中学の時に戦ったことがあるでやんす!オイラ、パワフル中学出身でやんす!」
ん…?パワフル中学…?
パワプロ「パワフル中学…パワフル中学…」ブツブツ
矢部「…ん?どうしたでやんすか?」
パワプロ「パワフル中学…盗塁…初めてされた…メガネ…」
……あっ
パワプロ「あーーーーーー!!!!!思い出したーーー!!!!!!」
矢部「ぐわーーーー!!!!うるさいでやんすーーーーーー!!!!!」
パワプロ「あ、ごめん。」
矢部「全く、耳元で叫ばないで欲しいでやんす。」
パワプロ「そんなことよりあんた!俺が野球やってて唯一盗塁された選手だ!!」
矢部「どぅえっ!?そいつはマジでやんすか!?」
パワプロ「本当だ!!あのメガネ、忘れはしなかった!!」
矢部「ほえーーー、オイラ、そんな凄い選手だったんでやんすね。」
矢部「って、そんなことよりでやんす!」
矢部「アンタ、野球部に入らないでやんすか?入るでやんすよね?」
パワプロ「……悪い、俺は野球部には入らない。」
矢部「やっぱりでやんす!!入ると思ってたで……今、なんて言ったんでやんすか?」
パワプロ「野球部には入らないと言った。」
矢部「嘘でやんす!!!」
パワプロ「悪い、期待に応えられなくて。でも俺は、もうけじめをつけたんだ。」
矢部「……」
矢部「アンタに何があったのかは知らないでやんす。でも、オイラはめげないでやんす!絶対に、アンタと野球をやるんでやんす!!」
パワプロ「……」
ガラガラッ
先生「おーし、この学校での初めてのHR始めるぞー。」
矢部「……絶対に、野球部に入れてみせるでやんす。」
パワプロ「……」
なんで、あいつは俺にかまうんだ?
なんで、野球をやらせようとするんだ?
なぁ、なんでだよ………
------猪狩-------------------
パワプロ「……」テクテク
結局あれから何回断ったかな…
ざっと10回は断ったよな…
……俺はどうすればいいんだ……?
パワプロ「…考えていても始まらない……か…。」
あれは今から7ヶ月前のことだった………
カキーン!!
バシッ!!
ヒュッ!!
パワプロ「おーし、ナイスキャッチ!次!ライトォ!!」
カキーン!!
バシッ!!
ヒュッ!!
パワプロ「ナイスナーイス!!次!」
猪狩「……」
監督「パワプロに受けてもらいたいのか?」
猪狩「っ!!…はい。」
監督「お前の気持ちも分かる。このチームに、お前の球を受けられる捕手はあいつしかおらん。しかし、あいつには別の仕事もあるんだ。…分かってくれるな?」
猪狩「…はい。」
監督「ならいい…。」
猪狩「……。」
----------その日の帰り----------
猪狩「…パワプロ…。」
パワプロ「おっ、猪狩じゃん。どうした?」
猪狩「…パワプロ、お前はボクが打たれるとでも思っているのか?」
パワプロ「…へ?何言ってんの?猪狩が打たれる?そんなシーン、想像出来ないよ!」
猪狩「なら、ノックを行う理由もないんじゃないか?」
パワプロ「……。」
猪狩「ボクが抑えて、君が打つ。そうすれば勝てるじゃないか。」
パワプロ「……。」
猪狩「何故打たれないのに守備練習を…」
パワプロ「猪狩。」
猪狩「…?」
パワプロ「お前はなんか勘違いしてんじゃないの?」
猪狩「…っ!」
パワプロ「この学校は将来的にプロになる選手も少なくない。そんな選手が、守備できないなんて、プロに行ってもすぐに首を切られるよ。この夏は俺とお前のためだけのものじゃない。」
パワプロ「チーム全体のための夏なんだ!!」
猪狩「………」
やはり、この男とボクは合わないな…
何故だ…?
何故なんだ…?
パワプロ「…言いたいことは終わったか?」
猪狩「……」
スタスタ…
パワプロ「猪狩!!!」
スタスタ…
パワプロ「…大丈夫かな…?」
…ボクは決めた…。
もう心残りなどない…。
さらば……あかつき大付属……。
さらば……パワプロ……。
俺がそれから猪狩が転校したことを知ったのは2日後だった。
猪狩がいなくなったせいで、チームの士気は暴落、しかもピッチャーを猪狩に任せっきりだったため、他のピッチャー陣はボロクソに打たれ、夏の大会はなんと2回戦で敗退してしまった。
俺も猪狩の球を受け続けていたせいで、他の球が上手く取れなくなっていて後逸も目立った。
しかもチームメイトには、
「お前が猪狩を転校させた。」
「お前が悪い。」
などと罵声を浴びさせられ、居心地の悪くなった俺は野球部を後にした。
俺が野球をやめたのも、この事件が起きたせいだった。
パワプロ「…はぁ。」
俺は足元にあった石を軽く蹴って、河川敷を1人歩いていた。
パワプロ「……もう俺には野球をやる資格なんてないよな…。」
パワプロ「だって、俺は…」
そう思っていた時だった。
ヒュッ!!
バシーン!!
パワプロ「…ん?」
ヒュッ!!
バシーン!!
パワプロ「…ここでも野球…か…?」
あ、あの投げてる人…
お、女の子…?
コロコロ…
「すみませーん!!そのボール、投げてくださーい!!」
パワプロ「…俺?」
うん、俺だ。
周りには誰もいない。
パワプロ「分かったよーっと…。」
…………。
…ボールを握るのも7ヵ月ぶりくらい…か…?
「…?あのー、すみませーん!!」
パワプロ「…あ、うん。いくよー。」
ガバッ!!
「!!!!」
ギュオォォォォォォォーーーン!!!!
「えっっちょっっっまっっ」
バシーーーーーーーーン!!
「………あ、ありがと…うござ…います…。」
パワプロ「…あっ。」
投げれた…。
俺はまだ投げれた…。
………………。
「あ、あのー!」
パワプロ「ん…?俺?」
「は、はい!あのー、ちょっとキャッチボールしてくれませんかね…?」
パワプロ「……。」
キャッチボールか…。懐かしいな…。
パワプロ「…うん、いいよ。」
「えっ、そうですか!ありがとうございます!」
「えいっ!」
シュッ!!
パシッ
パワプロ「………」
シュッ!!
バシッ!!
「とぉっ!」
シュッ!!
パシッ
パワプロ「………。」
シュッ!!
バシッ!!
パワプロ「…君、名前は?」
「えっボク?」
パワプロ「う、うん。」
女子でもボクって言うんだな…。
あおい「ボクの名前は早川あおい!パワフル高校の1年生だよ!」
パワプロ「ふーん…、早川かぁ…。俺は小波パワプロだ。お前と同じ、パワフル高校の1年生だ。」
あおい「ふーん、パワプロくんだね。分かった。」
パワプロ「…にしても、女子なのにいい球投げるね。」
ピクン……
あおい「…女子なのに…?」
パワプロ「ああ、女子でこんないい球投げれるのは、そうそういな…」
あおい「ボクを女子扱いしないで!!!!」
パワプロ「!!!!」
あおい「ボクだって、男子に勝つために努力したんだ!!女子だから勝てないとか、男子じゃないからとか、そんなんで勝敗を決めつけられてたまるか!!!」
パワプロ「………。」
パワプロ「…マウンドに立てよ……。」
あおい「えっ…。」
あおい「な、なんでボクがピッチャーだって分かったの…?」
パワプロ「さっき投げてたのを見た。」
パワプロ「それよりも…。」
パワプロ「男子に負けないんだろ…。なら、俺を倒してみろよ…。」
あおい「!!…もちろん!」
パワプロ「…勝負は一打席勝負でいいな?」
あおい「…望むところだよ…。」
パワプロ「…よし…、こい!!」
…彼女は今、気が立っている。
なら、初球は……。
ザッ!!
ググッ!!
ヒュッ!!
バン!!
パワプロ「…ボールでいいな?」
あおい「…うん、文句はないよ…」
…やはりビーンボールか…。
しかし、アンダースローでこの球速。
しかも女子…。
並大抵の努力じゃここまでこれないだろう…。
っと、次のボールがくるな…。
一球目がビーンボール。だとしたら…
ザッ!!
ググッ!!
ヒュッ!!
クンッ
パワプロ「ここだっ!!」
カキーン!!!!
あおい「なっ!!!」
…入るかな?
ポーン…
パワプロ「ファールか…。」
あおい「…うん。」
…まさかカーブを投げられたのは想定外だったけど、あまり変化しなかったからいけると思ったんだけどな…。
にしても、このコントロールも凄いな…。
審判にボールと言われてもおかしくないな…。
あおい「………。」
…悩んでいるな……。
まああんな特大ファール打たれたらな…。
次は持っていかれるという気しかしなくなるだろう…。
となれば次で決めてくるだろう…。
カーブは捨てていいな。あんなに大きいのを打たれて、まだ投げるやつはそうそういない。
となると、ストレートか別の変化球か…。
ここは1球様子を見よう。
ザッ!!
ググッ!!
ヒュッ!!
…ストレートか?いや…
…そのボールは外角低めのストレート…
だと思っていたが…
ククッ!!
パワプロ「んなっ!!」
ボールは外角低めからボールゾーンへと落ちていった。
パワプロ「これは…。」
高速シンカー…。
…初めて見たな。ここまでキレがいいのは。ストレートと見間違えたな。
あおい「…!!」
驚いてるな…。本人はここで終わらせたかったらしいな。
となれば、カウントはこちら優勢。
もう一球様子見するか?
いや、ここで決めよう。
…久しぶりに楽しくなってきたしな。
パワプロ「おし、こい!!!」
ザッ!!
せめてこのひと時くらいは…
ググッ!!
心の底から…
ヒュッ!!
…楽しみたいしな…………
カッキィィィィィィィン!!!!!!!
あおい「………。」
パワプロ「………。」ザッザッ…
あおい「…何?」
パワプロ「………。」スッ
あおい「!!」
パワプロ「…ごめんな?いきなり勝負ふっかけて。俺、女子には絶対に負けないと思ってたんだ。」
あおい「………。」
パワプロ「女子はどう足掻いても女子だ。だから男子に勝てるはずがないと思ってた。」
パワプロ「だからちょっといらっと来たんだ。」
あおい「………。」
あおい「…ねぇ。」
パワプロ「?」
あおい「何で今の球をスタンドまでもっていけたの?」
パワプロ「……知りたいか?」
あおい「……。」コクリ…
パワプロ「お前の球は確かにいいボールだった。ノビもあったし、コースもいい…。オマケにアンダースロー。ボールの見え方も違う。」
あおい「だったらなんで…。」
パワプロ「ただ、欠けていたとすれば、思いだな。」
あおい「思い……?」
パワプロ「ああ、確かにお前は努力したな。打席に立って分かった。」
パワプロ「でも、ボールを投げる上で最も大切な思いがダメだったな。」
パワプロ「いうなら、お前は、俺から三振を取ろうという希望より、この野郎というような皮肉が感じられた。」
あおい「!!!!!」
パワプロ「それが俺に打たれた理由だ。」
あおい「………。」
パワプロ「あ、あと……。」
あおい「………?」
パワプロ「ごめんな?女子扱いして。」
あおい「!!!!いや…ボクの方こそ、ごめんなさい。ビーンボール投げたりして…。」
パワプロ「いや、いいよ。久しぶりに野球、できたから。」
あおい「………え?久しぶり…?」
パワプロ「ああ、俺、7ヵ月くらいボール触ってなかったから。バットも。」
あおい「え、えええええええええ!!??」
あおい「そ、それでフェンス超えさせたの?」
パワプロ「うん。」
あおい「ボクの球を打ったの?」
パワプロ「うん。」
あおい「………。」
パワプロ「…、あと。」
あおい「………?」
パワプロ「これからは努力する方向を間違えるなよ?勝つために努力しろよ?」
あおい「…!」
パワプロ「早川はいい才能を持ってる。俺が言うのもあれだけど、お前がここまでの球を投げられるのは、努力だけじゃないと思う。」
あおい「……。」
パワプロ「じゃあなぜ投げられるか、それは才能なんだよ。」
あおい「……。」ウルッ
パワプロ「だからな?早川。」
あおい「……。」ウルウル
パワプロ「その大切な才能を無駄にするな。その大切な腕を無駄にするな。その大切な身体を無駄にするな。……分かったか?」
あおい「………。」ポロッ
パワプロ「…え?」
あおい「………。」ボロボロ…
パワプロ「えっえっ?ちょ、ちょっと待って!?俺なんか悪いことした!?」
あおい「…グズッ……ヒック…」ボロボロ…
あおい「うわぁぁぁぁぁぁん!!!」ダキッ
パワプロ「なっなあ!?おい!どうしたんだよ!?」アセアセッ
あおい「………ヒック……」ポロポロ
パワプロ「あ、あのー…。」
あおい「……し……ま…」グズッ
パワプロ「え?なんて?」
あおい「…もう少し…このままで…。」グズッ
パワプロ「え?えーっと…ま、いっか。」
10分後…
パワプロ「…………。」
ダキッ
あおい「ひゃあっ!?」
パワプロ「いつまでも立ってるわけにはいかないだろ?あそこのベンチまで運んでってやるよ。だから今は、泣いてな?」
あおい「……。」コクリ
パワプロ「ん…。」
パワプロ「…はっ!」
やっべ、寝ちまったよ。
パワプロ「そうだ、早川は…」
あおい「……。」スウスウ
パワプロ「…ははっ、2人で寝ちまったのか…。」
あおい「…ムニャムニヤ、ん…。」
パワプロ「お、起きたか?」
あおい「…ん?………。」
パワプロ「ん?どうした?」ジーーー
あおい「きゃ、きゃあああああああああ!!!」バチーン!!!!!
パワプロ「へぶァらァ!?」
ドサッ
あおい「…あっ。」
パワプロ「」チーン
あおい「…やっちゃった♪」テヘッ
パワプロ「」
----------次の日の朝----------
パワプロ「う、うーん。」
パワプロ「あ、あれ?はっこれはっ!」
パワプロ「見ない天井だ。」
パワプロ「なんてボケかましている場合じゃなくて!ここどこだよ!?」
あおい「あ、起きた?」
パワプロ「あれ…?早川、何でここに…?」
あおい「だってここ、ボクの家だよ?」
パワプロ「え?早川ん家?なんで?俺昨日……あれ?なんか思い出せん。早川が起きてから何があったんだっけ?」
あおい「あ、あー、それはそのー、えーっとぉー。」
パワプロ「?」
あおい「あ、あ、そ、そうだよ!疲れからなのか、いきなり倒れて寝ちゃったんだよ!」
パワプロ「お、おう、そうだったのか…。って。」
あおい「ん?」
パワプロ「よくお前の親が許したな…。」
あおい「いやー、それが、お母さんがね?」
あおい母「あ、あおいが…遂に…男の子を持ち帰ってきた…。」
あおい「あー、えと、お母さん?」
あおい母「今日はお赤飯よぉぉぉぉ!!!」
あおい「お母さん!!!何言ってるの!?」
あおい「…って感じだったんだよ。」
パワプロ「お、おう、そうか。あと…。」
パワプロ「どうやって俺を運んだんだ?ここがどの辺なのか分からないけど、俺結構体重あるぞ?」
あおい「あー、それは大丈夫。ここ、あの河川敷から徒歩20秒だから。」
パワプロ「…へ?」
あおい「だから、家から出たらそこがあのグラウンドなんだって!」
パワプロ「あー、そゆことね…。」
パワプロ「ってやっべ!!朝飯とか洗濯とか、なんもやってねぇ!!」
あおい「大丈夫!制服は急いで洗って干してあるから!朝ごはんはお母さんが作ってくれるって!」
パワプロ「ん、そうか……ってん?」
あおい「?どしたの?」
パワプロ「…誰が俺の服を着替えさせた…?」
あおい「あ、それはお母さんがやったから大丈夫だよ。」
パワプロ「よ、良かったァーーーー…。」
あおい「流石にそれはしないよ!」
パワプロ「デ、デスヨネー。」
あおい母「あおいー、朝ごはんできたから、その人起こしてー!」
あおい「あ、はーい!じゃあ、いこっか?」
パワプロ「ん、おう。」スタスタ…
ガチャン…
パワプロ「おはようございます…。」
あおい母「うん!おはよー…。」
パワプロ「?」
あおい母「あ、あおい、ちょっとこっち来て。」
あおい「うん?」スタスタ
あおい「どしたの?お母さん。」
あおい母「あ、あの人かっこよくない?昨日見た時はしっかりと見なかったけど、かなりのイケメンじゃん!」ヒソヒソ
あおい「…お母さん、手ぇ出しちゃだめだよ?」ヒソヒソ
あおい母「わかってるわよぉー。」ヒソヒソ
パワプロ「?あのー…。」
あおい、あおい母「はっはい!?」
パワプロ「あのー、朝ごはん…。」
あおい母「あ、朝ごはんね!?今出すから!?」
パワプロ「あ、はい…。」ストッ
あおい「……。」ストッ
パワプロ「なあ、さっき何話してたんだ?」
あおい「パワプロ君が知っちゃダメなことだよ…。」
パワプロ「?」
あおい「じゃあ、お母さん!行ってきまーす!」
パワプロ「い、行ってきます…。」
あおい母「行ってらっしゃーい!二人とも気をつけてねー?」
あおい「はーい!」
ガチャン
パワプロ「うーん。」
あおい「?どしたの?パワプロ君。」
パワプロ「ん、いやぁね、ちょっとものは相談なんだけど…。」
あおい「?」
猪狩とあった事、あかつき大附属の事、チームメイトの事をあおいに話しました。
あおい「うーん。それはボクからは何か言う事は難しいけど、パワプロ君が野球をやりたいのならやればいいと思うよ?」
あおい「だって、話を聞いた感じだとパワプロは何も悪くないもん。」
あおい「パワプロ君だけ我慢するのは間違ってるよ。」
パワプロ「で、でも、またもし同じような事があったら…。」
あおい「もう!男らしくないなぁ!」
パワプロ「えっ?」
あおい「そんなこと、起きてから考えればいいじゃん!何事も行動に移してからじゃないと、始まんないよ!」
パワプロ「………。」
そうだ…。
俺は恐れていたんだ…。
またもし友を失ったら…。
またもし嫌われたら…。
…確かにそんなのはやってみないとわからないな。
もう、けじめはついた…。
パワプロ「…ありがとう。やっとけじめがついたよ。」
あおい「じゃ、じゃあ…。」
パワプロ「ああ、俺はもう何からも逃げない!どんなものにも立ち向かってみせる!」
パワプロ「………早川。」
あおい「なに?」
パワプロ「お礼と言っちゃああれだけど、今度どっかにケーキかなんか食べに行かないか?」
あおい「ケーキ!?」キラキラ
パワプロ「お、おう。」
あおい「1回言ったからね!約束だからね!」
パワプロ「分かってるよ。」ニコッ
あおい「!!!」カアッ
パワプロ「…?どした?」
あおい「だ、大丈夫!///」
パワプロ「ならいいけど…。」
あおい(あんな笑顔、卑怯だよぉ…。)
ニャー
パワプロ「?ニャー…?」
ニャー!
パワプロ「ね、猫だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ギャーーーー!!!!!
あおい「うわっ!!なになにどうしたの!?」
パワプロ「ね、猫が…。」
あおい「…さっき、何からも逃げないって言ったよね?」
パワプロ「えっ?」
あおい「どんなものにも立ち向かってみせる!って言ったよね?」
パワプロ「いやー、それはその…。」
あおい「猫嫌いを克服してこぉーーーーい!!!!」パワプロポイー
パワプロ「嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
………。
こういうふうに毎日を楽しむなんて、中学じゃあできなかったな。
いい機会だ。
思いっきり楽しもう!!!
…思いっきり楽しむと言っても、俺には野球しかないしな…。
ガラガラ
パワプロ「おはよー…。」
あおい「おっはよー!」
矢部「あっ、パワプロ君!今度こそは承諾してもらうでやんす!」
パワプロ「……。」ニコッ
矢部「おいらと一緒に野球を「いいよ。」やるでやん…す?」
パワプロ「いいよ、入るよ。野球部。」
矢部「…マジでやんすか?」
パワプロ「もちろん。」
矢部「夢なんかじゃないでやんすよね?」
パワプロ「ああ。」
矢部「~~~~~~~っ!!」
矢部「やったーーーーーー!!!!でやんすぅーーーーー!!!!!」
パワプロ「うっさい!ちったァ落ち着け!!」
矢部「これが落ち着いてられるかでやんす!!あの、あかつき大附属のレーザービームこと、パワプロ君と野球ができるでやんすよ!?」
パワプロ「えっ?俺そんな二つ名ついてたの?」
あおい「へぇー、あかつき大附属のレーザービームねぇ…。」ジトォ
パワプロ「やめろ!なんか恥ずかしい!!」
矢部「ところでパワプロ君、その後ろの緑色の髪の子は誰でやんすか?」
パワプロ「ああ、この子?この子は…。」
あおい「早川あおいです!野球部入部希望です!!」
矢部「おお!女マネでやんすか!これはオイラもやる気が出てくるでやんす!」
パワプロ「いや、違うよ。」
矢部「え?違うって…どういうことでやんすか?」
パワプロ「矢部君、この子はれっきとしたピッチャーだよ。」
矢部「…マジでやんすか?」
パワプロ「もちろん。しかも相当強い。」
矢部「そうと聞けば!でやんす!」ビシィ
あおい「?」
矢部「今日の部活の時に、一打席勝負を申し込むでやんす!」
あおい「ふーん。いいよ。唯…」
矢部「?唯、なんでやんすか?」
あおい「絶対にボクを女の子扱いしないこと。いい?絶対に手を抜いちゃダメだよ?」ギラッ
矢部「!?…わ、分かったでやんす。」ビクゥ
パワプロ「ははは、矢部君、そんなのでビビってちゃあ、甲子園なんか行けないよ?」
矢部「の、望むところでやんす!」
パワプロ「よーし、そのいきだ!」
あおい「絶対負けないんだからー!」
パワプロ「っと、そろそろ時間か…。
そろそろ座っとこう。」
あおい「あ、そうだね。」時計チラ
矢部「でやんす。」時計チラ
パワプロ「じゃ、また後で。」
ガラガラ
先生「おーし、LHR始めっぞー。」
………。
この学校の野球部、強いのかな…?
ついつい野球なんてやることもないと思っていたから、適当に近場の高校に入学しちゃったけど、どうなのかな…?
まあ、友沢がいるくらいだから、そこそこ強いだろ。
先生「おし、じゃあ今日は入学おめでとう抜き打ちテストをやるぞー!」
エーキイテナイヨーコレハイジメデヤンスーグワーオワッター
先生「はいはいうるさい!じゃあいまから答案用紙配るから配られたら名前書いて!」バサッ
パワプロ「」
…野球より、もっと心配しなくちゃあかんことがあった…。
休み時間
パワプロ「矢部君矢部君矢部君!!」
矢部「なんでやんすか!そんなに呼ばなくてもオイラは来るでやんす!」
パワプロ「そんなことより矢部君!…因数分解って何?」
矢部「ふっ…そんな事をオイラに聞くなんて、パワプロ君も馬鹿でやんすね…。」
パワプロ「じゃ、じゃあ教えてよ!」
矢部「分からんでやんす。」
パワプロ「へ?」
矢部「因数分解ってなんでやんすか…。勝手に分解しないでほしいでやんす…。自然のままにしておけばいいんでやんす…。」
パワプロ「あーっ!俺のセリフ全部持ってってんじゃねーよ!」
矢部「知らんでやんす!言ったもん勝ちでやんす!」
あおい(まったく…。)
???「おーい、パワプロー!ちょっと手伝ってくれー!」
パワプロ「なんだよ田中!それお前の係の仕事だろー!」
田中「だってお前俺より身長高いじゃんかよ!」
パワプロ「あーもう!分かったよ!これ貼ればいいのか!?」
田中「おう!…あ、でももーちょい左だな…。」
パワプロ「まったく…人使いが荒いんだから…。よっと、こんなもんか?」
田中「おし!そんなもんだ!ありがとー!」
パワプロ「ふぃー、疲れた疲れた。」
矢部「そんなことよりパワプロ君!監督に入部届け出したでやんすか?」
パワプロ「あ、まだだった。早川は出した?」
あおい「ボクもまだだよ!今から出しに行こう!」
パワプロ「そうだな!」ガラッタッタッタッタッ
あおい「あ!パワプロ君!待ってよー!」タッタッタッタッ
矢部「…?そういえば考えてなかったでやんすが…。」
矢部「パワプロ君はともかく、あおいちゃんは女子でやんすよ?大会に出られないじゃないでやんすか。」
職員室
パワプロ「失礼しまーす!1年B組の小波でーす!」
あおい「失礼しまーす。同じく1年B組の早川です。」
パワプロ「野球部の監督はいらっしゃいますでしょうかー!」
???「ああ、俺だ。」
パワプロ「野球部入部希望でーす!」
あおい「同じく入部希望です。」
???「おし、わかった。…えーっと、パワプロと早川ね?ポジションは?」
パワプロ「キャッチャーです!」
???「おし、キャッチャーね。そっちのマネージャーは?内容の説明とかいる?」
あおい「あ、いえ…。ボクはピッチャーです。」
???「へぇ…!ピッチャーか…。」
あおい「………。」
???「……言っておくが、俺は女子だからって甘い練習なんかしないぞ?俺の下にいる以上は、男子と同じ扱いをするぞ?」
あおい「分かってます!」
???「………いい目だな…。」
あおい「えっ?」
???「野球を心から楽しんでるやつの目だ。その目を絶対に曇らせるなよ?」
あおい「は、はい!」
???「俺の名前はパワポケ9だ。よろしくな。あ、でも俺の事は監督かポケ9先生って呼んでな?」
パワプロ「は、はい。」
あおい「分かりました!」
パワポケ9「おし!じゃあこの入部届けは確かに受け取ったから!じゃまた部活でな!」
パワプロ/あおい「「はい!」」
パワプロ「じゃあ、失礼しました!」ガラガラテクテク
あおい「失礼しました!」テクテクガチャン
パワポケ9「…あれ?目が良かったから承諾しちゃったけど、女子は甲子園出場できないよな?」
ガラガラ
パワプロ「ただいまー!」
あおい「ただいまー。」
矢部「おっ、二人とも帰って来たでやんすね。」
パワプロ「しっかりと出してきたよ。」
矢部「ところであおいちゃん。」
あおい「?なーに?」
矢部「あー、えーっと…。」
あおい「?」
矢部「…単刀直入に言うでやんす。あおいちゃん、女子だから甲子園には行けないでやんすよ?」
あおい「あー、そのことね?」
矢部「でやんす。大会に出られないと分かっていながら、なんで野球部に入ったんでやんすか?」
あおい「…ボクにはやらなきゃいけない事があるから…。」
矢部「やらなきゃいけない事で…やんすか…?」
あおい「あっ!もう時間だよ!席に座っておかなくちゃ!」
パワプロ「ん…。そだな。ほら、矢部くんも座っとかないと。」
矢部「でやんすぅ…。」
…確かに早川はなんで野球部に入部したんだろ。
大会に出られないのに…。
先生「おーし、じゃあ今日は因数分解やるぞー。」
パワプロ「」
…学生だからしゃーないよな…。しゃーないんだけど…。
…辛い。
放課後…
ガヤガヤガヤガヤ
パワポケ9「おし、全員いるな?じゃあ今日から入部することになった2人を紹介しよう。」
パワポケ9「おし、自己紹介よろしく。」
パワプロ「今日から入部することになった、小波パワプロです。キャッチャーです。宜しくお願いします。」
パチパチパチパチ
あおい「同じく、今日から入部することになった早川あおいです!ポジションはピッチャーです!宜しくお願いします!」
ザワッ…
「おい、あの子、女の子だよな?」
「ああ、間違いない。女子の制服でいるところを見た。」
「じゃあなんでピッチャーで入ってきたんだ…?」
あおい「……………。」
パワプロ「気にすんなよ。お前の実力を見せれば皆納得してくれるさ。」
あおい「………うん!そうだね!」
パワポケ9「じゃあ練習始めっぞー。投手陣と捕手陣は水木コーチのところへ、内野手外野手はノック、その後は遠投をやってくれ。では解散!」
全員「はい!」
あおい「じゃあパワプロ君。水木コーチのところに行こ?」
パワプロ「うん。でもその前にちょっと…。」キョロキョロ
あおい「?」
パワプロ「あ、いた!友沢!」
友沢「!」
パワプロ「友沢………ごめん!」
友沢「……。」
パワプロ「あの時の俺、どうかしてた。お前に強く当たっちゃって、本当にガキみたいだったよ。」
友沢「……。」
パワプロ「それに、俺から野球がなくなったら、何もできないってことに気付いたんだ!」
友沢「……。」
パワプロ「だから何度でも言うよ!ごめん!」
友沢「……何故お前が謝る?」
パワプロ「えっ?」
友沢「謝るのは俺の方だ。すまん。お前にちょっと過去があった事を忘れていたんだ。」
パワプロ「いやいや、俺の方が悪かったよ!」
友沢「いやいや、俺の方が悪かった。」
パワプロ「いやいや俺の方が…。」
友沢「……フフッ。」
パワプロ「……プッ。」
パワプロ/友沢「「あははははははは!!!」」
友沢「わかった。今回は俺が折れよう。お前から野球とったら確かに何も残らないな!勉強はからっきし。恋愛は超絶鈍感。運動も野球以外ダメ。あとは…。」
パワプロ「やめろ!やめてくれ!そんなに過去を掘り返すなぁぁぁ!!!」
皆「あっはっはっはっ…」
あおい「……あのー、練習は?」
「コーチ!全員揃いました!」
水木「おし、じゃあ今日の練習はキャッチボールの後投げ込み。その後は投手陣は走り込み。捕手陣はピンチの時の配球練習を行う。では各自始めてくれ。」
水木「あ、あと新入部員の2人!」
パワプロ/あおい「「は、はい!」」
水木「一打席勝負を申込みたいんだが。実力を見るためにもなんだが。」
パワプロ「はい!いいですよ!な?早川。」
あおい「うん!頑張るぞー!」
水木「肩はしっかりつくっとけよ。痛めたりしたらアホみたいだぞ!」
パワプロ/あおい「「はい!」」
水木「…そろそろいいか?」
パワプロ「あ、はい!大丈夫です!」
水木「おし。じゃあ宜しく頼む。」ザッ
「おい。水木コーチが新入部員と一打席勝負するってよ!」
「マジかよ!見に行こうぜ!」タッタッタッタッ
ザワザワザワザワ
パワプロ「うわ、人集まったな。早川!」
あおい「!」
パワプロ「お前の実力、見せてやれ!」
あおい「!…うん!」
さて、この人を相手にどうしたらいいものか…。
打撃力とか何もわかんないしな。
じゃあまずは…スッスッ
あおい「………。」コクン
おし…来い!
ザッ
ググッ
水木「!」
ビシュッ!!
スパーン!
パワプロ「………ボールでいいですよね?」
水木「………ああ。」
ブンッ!ブンッ!
…インハイの直球。アンダースローでこのコースは辛いだろう。
なんとか今のイメージを消そうとしてるみたいだけど…。どうなるかな…。
じゃあここは…。スッスッスッ
あおい「………。」コクン
ザッ
ググッ
ビシュッ!!
水木(カーブか!)
バシッ!
パワプロ「………ストライクですね。」
水木「……ああ。」ギラッ!!
パワプロ「………!!っ」ゾクッ
なんだ…この威圧感…。
っと、次の球考えないとな。
ここはもう一回…。スッスッ
あおい「………。」コクン
ザッ
ググッ
ビシュッ!!
水木「フッ!」
なっっっ!?
カキィィィィン!!
パワプロ「やばっ!」
ザッ!!
パワプロ「ファールか…。」
あっぶねぇ…。もう少し右だったら長打コースだったぞ。なんつーパワーしてやがんだ…。
ここは1球ボール球を…スッスッスッスッ
あおい「……。」フルフル
パワプロ「………!」
…そうか。そうだよな。
ここで俺達はチャレンジャーなんだ。
いろんな事を試せる場でもある!
なら…。スッスッスッ
あおい「………。」コクン
ザッ
ググッ
ビシュッ!!
水木(!!失投か!?)
水木「もらっ…!?」
水木(なっ!?)
カキィィン!
パワプロ「……あちゃー、ライト前ヒットかな…。」
あおい「……うう。」
パワプロ「……?早川、どうし…。」
あおい「うわぁぁぁ!!悔しぃぃぃ!!!!」
パワプロ「なんだ…。そゆことか…。」
水木「……。」
水木(なんだ…今のボールのキレは…。)
水木(球質が軽かったのと、変化量が小さかったからどうにかなったが…。)
水木(もし今の球がもっと重く、変化量も大きいものだとしたら…。)ゾクッ
水木「……えっと…早川といったか?」
あおい「え?あ、はい!」
水木「今のボールは…どれくらいで習得した…?」
あおい「え?えーっと…だいたい3週間で覚えて、今くらいの状態にするには2ヵ月くらいはかかりましたね。」
水木「なっ…!」
水木(にっ、2ヶ月だと…!)
……。
驚いてら驚いてら。
俺もあれは正直キツかったもんなー。
パワプロ「コーチ。」
水木「ん、ああ、なんだ?」
パワプロ「早川と俺はスタメンになるためには何が必要だと思いますか?」
水木「………。」
水木「単刀直入に言うと、君は配球のセンスはいい方だ。その面は問題ないだろう。」
水木「ただ、キャッチングがちょっと難あり…といったところだな。」
パワプロ「キャッチング…ですか…。」
水木「ああ、確かに配球はいいが、ボールを芯で捉えられない回数が今の勝負で2回はあったな。」
パワプロ「ギクッ!」
パワプロ「な…なんで分かるんすか…。」
水木「お前、俺を誰だと思っている?これでも投手コーチだぞ?」
水木「ボールを芯で捉えてるかどうかぐらい、音で分かるさ。」
パワプロ「あー…。」
水木「よし、お前に今からキャッチングとは何たるかを叩き込んでやろう。」
パワプロ「丁重にお断りしたいのですが…。」
水木「断る。」
イヤータスケテートットトコイ!
「………何気に凄い勝負だったな。」
「ああ、もし早川が出場できたら結構いいとこまでいけんじゃね?」
???「君達は一体何を言ってるんだい?」
「麻生……。」
麻生「このボクがいれば、負けるはずがないじゃないか。」
「そうだよなー。かつてあの猪狩守とライバルだったとかいうお前がいれば安心だよな。」
「そういうことだ。」ハーッハッハッハ…
「まったく…あの性格さえなければなー。」
「本当にあの猪狩守のライバルだったのかよ…。」
「まじそれな。」
新たに2人の新入部員を獲得したパワフル高校野球部。
しかし、なんか始まって早々仲間割れしてるし。
…大丈夫かな?
祝!初完走!
なんて言ってる間も無く、次のネタを考えなければ。
まあ、楽しいからいいんですけどね。
では、次回作でお会いしましょう!
十分面白い