無人島鎮守府(?)に集う者たち
着任した場所は建物など無い無人島であった。
そんな鎮守府(?)で冷静沈着な男提督と艦娘たちが暮らしていくお話。
初投稿です。
新参者ですがよろしくお願いします。
提督「・・・・・・マジか」
本日付で某鎮守府に着任する事になった私は、着任地である場所を見て思わずこう漏らした。
そこには建物はなく、見た限りだと人工物すらない。
つまり此処は無人島である。
軍曹「物資の搬入が終わりました」
軍隊式の敬礼をする軍曹。
だが、搬入と言ってもただそこに置いただけであった。
提督「一応聞くが、やはり此処が私の着任地なのか?」
軍曹「間違いありません」
提督「ドッキリとかではなく?」
軍曹「はい」
如何やら本当に此処が着任地のようだ。
軍曹「それでは我々はこれで失礼します。少佐、ご武運を」
軍曹らは船へと戻り、私一人が無人島に残された。
しばらく沈黙していると鳥や野生動物の鳴き声が耳に入る。
提督「これは左遷ってやつか」
左遷させれる覚えはないが、恨みと言うのは何処で誰が買っているか解らない。
もしかすると誰でも良くて、たまたま私に白羽の矢が立ったのかもしれない。
だとしたらある意味で運が強い。
提督「まあ、完全に見放されたわけではないか」
軍曹たちが置いていった物資の方を見る。
食糧や水、弾薬に燃料などの資材、後は大工道具などが中に入っていた。
提督「・・・・・・さて、まずは建物だな」
今のところは一人だしテント小屋を建てた。
雨風を凌げれば問題はないだろう。
提督「次は報告だな」
今さっき建てたテント小屋の中に通信機を設置した。
提督「・・・・・・こちら、---少佐です」
中将『無事に着任できたようだな』
応答した人物は私を此処に着任させた張本人であった。
提督「えぇ、無事に着任しました。次の指示をお願いします」
中将『ふん。文句が先に来ると思っていたんだがな・・・・・・まあいい。指示と言ってもこちらから君に指示する事はない。ただ、敵を発見し倒せ。それだけだ』
提督「それはつまり、自由にやれと?」
中将『そうだ』
何ともアバウトな命令だ。
これでは有って無いようなものではないか。
中将『ちなみに初期艦はつかない事は聞いているな?』
提督「・・・・・・初耳ですが?」
辞令が出た時にそんな事など一言も言わなかった。
いきなり言葉に少し眉を顰めた。
中将『そうか。なら、今から話そう。本来、着任と同時に初期艦を付ける事になっていた。だが生憎と初期艦に出来る艦娘がいないのだよ』
提督「中将、此処の施設では艦娘は建造できません」
中将『知っている。君はドロップ艦と言うのは知っているな?』
提督「えぇ」
敵である深海棲艦を倒した時に艦娘が生まれると言う現象。
理由は解っていない。
中将『そのドロップ艦でなんとかしろ』
言い換えれば現地調達と言う事だ。
中将『さて、これ以上の通信はリスクが高いので切るぞ。以後の通信は緊急時のみに限定する』
提督「了解しました」
通信が終わり・・・・・・と言うより一方的に切られた。
提督「・・・・・・ふう」
私も軍人だ。
命令ならば自身の意思など関係なしに実行する。
例えそれが無謀だろうと・・・・・・
着任して一日が経過した。
特にやる事がない私は島を探索する。
提督「本当に無人島なのだな」
人が誰もいない。
ター〇ンとかパ〇ワくんとかおらず、本当にこの島では私一人しかいなかった。
一人は気楽でいいが、やはり寂しい。
提督「無人島で孤独死なんて御免被りたいな」
これはジョークではなく本音である。
提督「・・・・・・戻るか」
ある程度の距離を歩くと引き返した。
そろそろ昼飯の時間である。
時計はないがそう私が決めた。
提督「む?」
テント小屋に近づくと違和感を感じて身を潜めた。
ゆっくりと前方を見ると、物資を漁る人影が見えた。
提督「・・・・・・一人だけか」
仲間はいなさそうだが、深海棲艦の可能性が高い。
手持ちの武器はコンバットナイフだけである。
このままやり過ごすべきか、それとも戦うか・・・・・迷うところだ。
提督(無謀だが・・・・・・やるか)
覚悟を決め、物資を漁る人影にゆっくりと近づいていく。
そして
提督「動くな!」
そいつの首にコンバットナイフを突きつけた。
???「ま、待って! 僕は怪しい者じゃないから!」
提督「泥棒しようとしているのにか?」
???「うぅ・・・・・・た、確かにそうだけど」
話が通じる。
けれど油断できない。
提督「お前の名前は?」
時雨「僕は時雨。白露型駆逐艦の時雨だよ」
時雨と名乗った少女は如何やら艦娘のようだ。
提督「所属は?」
時雨「所属は・・・・・・ない」
如何やら訳有りのようだ。
ともあれ、危険性はなさそうだな。
私は突き付けていたコンバットナイフを閉まった。
提督「所属がない言ったが、何故だ?」
時雨「僕は一ヶ月くらい前に捨てられたんだ」
提督「捨てられた・・・・・・か」
普通ならあり得ない。
不要になった艦娘は解体されるからだ。
しかし、そんなあり得ない事が起きる例を知っている。
提督(ブラック鎮守府か)
ブラック鎮守府の殆どは艦娘を人として見ず、また人として認めていない。
そう言ったところなら艦娘を捨てるなんて事が起きる可能性がある。
提督「今までどう生きて来た?」
時雨「いろいろさ。でも、泥棒は今日初めてだから安心して」
いや、何を安心すればいんだ?
提督「ふう・・・・・・行くところがないなら私の所に来るか?」
時雨「いいのかい?」
提督「あぁ。寧ろ大歓迎だ。何せ、この状況だからな・・・・・・逆に訊くが、こんな場所でもいいか?」
時雨「うん。サバイバルは慣れているから」
何ともたくましい子だ。
ってなわけで、鎮守府(?)に最初の艦娘である時雨が着任しました。
我が鎮守府(?)に時雨が加わった事は大きな一歩と言える。
しかし、それでも問題は山積みである。
特に傷ついた艦娘を癒す入渠スペースがないのは非常に辛い。
提督「・・・・・・簡易的ではあるが、何とかしてみるか」
私は入渠スペースを自身の手で造る事にした。
材料はテント小屋と上開きのコンテナと大量のヤシの葉である。
まず最初にスコップでコンテナが入るほどの穴を掘る。
次に掘った穴にコンテナを入れる。
そして、コンテナを囲むようにテント小屋を組み立てた。
最期にテント内の地面にヤシの葉を敷き詰める。
提督「これで完成だ」
因みに熱した石を入れてお湯を沸かせるタイプだ。
それとこのままでは単なる風呂であるが、此処に特殊な入浴剤を入れる事で艦娘の傷を癒す効果が現れるらしい。
提督「時雨、入渠してみてくれ」
時雨「解った。それにしてもお風呂なんて久しぶりだよ」
今までサバイバル生活をしてきた時雨。
そりゃあ、風呂に入るなんて無理かもしれないが・・・・・・それを口に出すなよ。
時雨「そう言えば、服は如何するの?」
提督「抜かりはない。テント生地で服を作った」
裁縫は得意な方だ。
学生時代の文化祭で衣装を自身で仕立てていた。
時雨「・・・・・・下着は?」
提督「・・・・・・我慢してくれ」
流石に下着まで作れない。
時雨「解ったよ」
時雨は簡易入渠スペースへと入っていた。
ところが、直ぐに顔だけ出してきた。
時雨「覗かないでよ」
提督「覗くか!」
彼女いない歴=年齢だが、私はそこまで飢えていない。
6/30
感想と評価ありがとうございます。
嬉しさの余り爆散しそうです。
ず、随分タフな提督ですね・・・w
続き期待してます!
これはまた新しい感じですな~
でも、面白くなりそうな予感!
更新頑張って下さいね♪楽しみにしてます~
続きはよはよはよはよー!