2016-11-05 18:29:44 更新

俺は決心して飲んでいた温かいコーヒーをデスクの上に置き桃子を呼んだ


「ん?お兄ちゃん何?」


桃子に今日は誕生日のことを伝えプレゼントを渡す。


「ああ、誕生日?覚えててくれたんだね。」


そう強がって見せた桃子だが右唇が上に上がるのを俺は見逃さなかった。


「プレゼント…開けてもいい?」


俺はうなづいた。


「これは…遊園地の券?」


前に桃子がトークのネタを広げるために遊園地に行きたいと言っていたのを思い出し即日発効可能な遊園地でなおかつ桃子の楽しめそうな所を選んだ。


「……お兄ちゃんのことだからてっきり忘れちゃったのかと思った。」


忘れるわけない。

俺は桃子の事を何より第一に考えているよ。

俺は桃子のプロデューサーだからな。


「…もうバカ。」


上目遣いで遊園地の券を握り締めながらの桃子の目は涙ながらとても輝いていて…これからもこの輝きを消えないように俺は精一杯頑張らないといけないな。


「それで…お兄ちゃん…あの…その」


桃子は急にもじもじしだし、何かを言おうか悩んでいるようだった。

言わんとしてる事はおおよそはつく。

だから、俺は桃子の頭をポンポンと叩き言った。


ああ、行こうか。遊園地。一緒に



「……!!うん、うん!ありがとうお兄ちゃん!ありがとう…最高のプレゼントだよ!お兄ちゃん!」


ガバッと抱きついてきた。

すんすんと声を殺して泣いていた。

そしてしばらく離さなかった。


誕生日だからもうしばらくこのままでもいいだろうと思いつつ、ふとコーヒーに目をやると湯気は無くもう冷め切っていた。


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