提督女体化日誌
女体化した提督と艦娘達の日常(?)を描いた物語です。
提督と艦娘達の百合物語を描かせていただききます。
初投稿です
誤字脱字、ミス等があるかもしれません
性的描写は不得意です
暇潰しに読んで頂ければ幸いです
ザザーン ザザーン
波の音が聴こえる
何故だろう、自分は今自室に居るはずだが
ゆっくり、目を開けると
何処までも続く水平線が目に飛び込んできた
足下を見ると、自分は海の上に立っていた
(ああ、なるほど)
理解した
自分は今
夢を見ているんだ、と
いつか、「彼女達はどんな感じで海の上に立っているんだろう?」と考えていたが
なるほど、こんな感じか
(心地好いものだな)
「気持ち良いですよね~」
「!」
突然声をかけられ驚いて振り向くと そこには
少女「どうも~♪」フリフリ
少女が居た、身長からして駆逐艦娘位だろうか
少女「・・・「誰だこいつ」みたいな顔してますね・・・」ジロー
おや、顔に出ていたようだ
少女「私は妖精ですよ!」プンプン
「え?」
とてもそうは見えない、だって妖精といえば…
妖精「フッフッフッ、いつもの姿は仮の姿、これが私の真の姿です!」ドヤァ!
「・・・・・・」
妖精「何か言ってくださいよ凹むじゃないですか···」ズーン
「そんな事言われても・・・」
どう反応しろと?
妖精「まあ、いいです。そんなことより!」
妖精「あなたを呼んだのは他でもありません私です!」
「呼んだ?」
妖精「ええ、話がありまして」
話?
妖精「単刀直入に聞きます」
妖精「「女性」になってみませんか?」
は?
「え···それってどういう···」
妖精「そのままの意味です。女性に性転換するんです」
うん全く理解出来ない
女性?性転換?why?
妖精「何故急にこんな話をしに呼んだのかというと」
妖精「あなた···艦娘の皆さんにどう思われているかご存じですか?」
皆にどう思われているか?それは···
「嫌われてはいない···はず···」
妖精「······」
妖精「はあああぁぁぁぁぁぁぁ···」
妖精「鈍感ったらありゃしませんねぇ」ヤレヤレ
失敬な
妖精「いいですか?皆さんはあなたのことを「提督」、「指揮官」以上に「異性」として見ているんですよ?」
「そうなんですか?」
妖精「···嬉しくないのですか?」
「いや···意外だったので···」
妖精「意外?」ドユコト?
「自分はてっきり、艦娘は艦娘同士好きになると思っていたので···」
妖精「それじゃあ鎮守府が百合畑になってしまいますよ···」
「しかし自分にはそう見えたんですが」
某重雷装巡洋艦とか某航空戦艦とか元水母の某軽空母とか某高速戦艦とか
妖精「まあ、あながち間違ってはいないのですけどね···」ボソッ
「?」
妖精「あ、いえ何でもないですよー」フリフリ
妖精「と、兎に角」
妖精「女性になってみませんか?」ニッコリ
「嫌です」キッパリ
妖精「即答?!」ガビーン
妖精「どうしてですか?!性転換できるなんて滅多にないですよ?!」ナンデ?!
「どうしても何も···」
「何故自分が女性にならなければいけないのですか?艦娘達と何か関係があるのですか?」
妖精「大有りです!」ビシッ
妖精「先程言った通り、艦娘達はあなたに恋心を寄せています。皆さんはあなたに振り向いて貰おうとたくさんアピールしていたんですよ?」
え?そうなの?
妖精「それすら気付かないなんて···鈍感にも程がありますよ···」ナイワー
確かに、「休日は一緒に過ごしませんか?」とか「一緒に遊びましょう!」とか「一緒に寝ましょう!」(←流石にこれは断った)とか色々誘われていたな
今思えば、あれらは彼女達なりのアピールだったのかもしれない
自分のことを好きになる奴なんていない、ずっとそう思っていた
だから気付けなかった
皆の気持ちに気付けないなんて···
(提督失格だな···俺)
「そうですね···自分が鈍感でした」
妖精「やっと気付きましたか」ヤレヤレ
妖精「第一好きでもない相手に「一緒に寝よう」なんて言いませんよ?」
「ハハハ···そうですよね」
「ありがとうございました。おかげで大切なことに気付けました」ペコリ
「皆の気持ちにちゃんと応えようと思います!」
妖精「はい!頑張って下さい!」
妖精「と、終わるとでも思いましたか?」ニヤァ
「え······」
妖精「私の目的はそんなもんじゃあありません!」
妖精「あなたを「女にする」ことです!」
妖精「話を逸らそうったってそうはいきませんよ?」ニヤ
バレたか··· 良い感じに終わらそうとしたのに
「しかし···自分を女にする理由なんてそんなn「あります!」
妖精「勿論あなたに気付かせるのも目的の一つです。しかし!」
妖精「最終目標は違います!」クワッ!
「なら一体···自分に何をさせたいのですか···?」
妖精「あなたにして頂きたいのは···」フフフ
ゴクリッ···
妖精「艦娘の皆さんとハーレムを創って頂きます」ニコッ
Pardon?
「チョットナニイッテルノカワカラナイ」
妖精「大丈夫です、後で嫌でも分かりますから」
「分かりたくありませんよ!ていうかそんなことして誰が得するんですか?!」
妖精「艦娘の皆さんです」
「ナンデ?!」
妖精「再三言ったようにあなたのことを狙っている方は大勢います」
妖精「中には、既成事実をつくろうとした方も···」
「ナニソレコワイ」
妖精「というかよく今まで純潔守ってこれましたねーww」
「誉めてるんですかバカにしてるんですか···?」
妖精「そんなことより!」
妖精「あなたが女になってしまえば簡単に彼女達に捕まりすぐにゴールイン出来るでしょう!」
「自分はそれなりの武術は心得ています。そう易々と捕まる気はありません」
妖精「か弱い女になったあなた一人で大勢の艦娘に敵うとでも?」
「・・・・・・」
(どうしよう、勝てる気がしない)
妖精「というか、さっき言ったではありませんか」
妖精「「皆の気持ちにちゃんと応える」って」
「確かに言いましたが···」
妖精「それに···」
妖精「女性になりたいって思ったことありますよね?」
「!」
な···なぜそれを···?!
妖精「私は艦娘達とあなたの願いを叶えてあげたいんです」
妖精「ですので」
妖精「問答無用で女性になってもらいます!」キラーン
「そんな横暴な!自分に拒否権は」
妖精「ありません!」キッパリ
「そんな···」
妖精「安心して下さい。艦隊指揮には何の影響もありませんし」
妖精「艦娘の皆さんにも伝えてあります」
「···なんと?」
妖精「「提督が女になりました!墜とすチャンスです!」って」ニッコリ
「」精神轟沈
妖精「では···」
妖精「第二の提督ライフを存分にお楽しみください!」ピカー
突然辺り一面が眩しく光り視界を奪われた
光の中で声が響いた
「頑張ってください」
「提督」
チュンチュン
鳥の鳴き声が聴こえる
目を開けると、そこはいつもの見慣れた天井だ
いまだ夢心地が抜けず、暫くボーッとしていた
今でも夢に出てきた妖精の声が耳に残っている
「頑張ってくださいね」
「提督」
こんなにも鮮明に残る夢を見るのはいつぶりだろうか
提督(とりあえず起きるか)スクッ
ズン
提督(ん?)
提督(なんだかやけに体が重いな··)
提督(疲れてるのだろうか?)
そういえば心当たりがある
昨日、大規模作戦が終わったばかりだ
自分も含め、皆も疲労maxだった
提督(ということで皆で祝勝会をしたんだ)
提督(そこで久しぶりに酒を飲んだせい(ていうか皆に呑まされた)で気分が悪くなって早めに寝たんだっけな)
それなら納得だ。疲れてる上に悪酔いしてればあんな変な夢を見ることもあるだろう
提督(····顔洗ってさっぱりしよう)
寝ぼけ眼を擦りながら洗面所に向かう
鏡に映る自分もまだボヤけて見える
キュッ ジャバー
水がひんやり冷たくて気持ち良い
ジャバジャバ キュッ ゴシゴシ
提督(よし!目が覚めt———)
そこで俺の思考が停止した
俺の目の前にあるのは鏡だ、自分が映っていて然るべきなのに、そこには
寝癖のついたロングヘアー 髭の一本も生えていない顔 膨らみのある胸 そして
見開かれた目と、これでもかというぐらいにあいた口
提督「き····」カクカク
体が震えた、内側から何かこみ上げてくるようだ
提督「き·····」ガクガク
そして俺は、それをおもいっきり吐き出した
提督「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
俺は女のような···いや、「女の」悲鳴をあげていた
執務室
俺は提督
特に頭が良い訳でも、力がある訳でもない、ごく普通の人間だ
提督なりたての頃は艦娘とはどういったものか知らなかったが、艦娘達には家族の様に接してきた
皆が頑張ってくれたこともあり、誰一人轟沈することなくやってこれた
皆が無事に帰ってきてくれる度に俺は嬉しかった
同時に
自分の無力さが恨めしかった
提督(俺が女として生まれていれば、艦娘となっていれば、皆のことを守ってあげられていたのかもしれないのに…)
ずっとそう思っていた
だが、自分は男として生まれ、男として育ち、男として提督となった
提督(ならば、男としてできることを精一杯やろう!)
その思いで、俺は今まで提督を務めてきた
しかし、どうして···
提督「どうしてこうなった···」ズーン
提督(どうして髪が腰近くまで伸びてるんだどうして胸があるんだどうして1サイズ小さい制服がピッタリなんだどうして声が高いんだどうして)
提督「女になってるんだ···?」
初めはまだ寝ぼけてるのかと思った、だからおもいっきり顔をビンタしてみた
めっちゃ痛かった、今でもヒリヒリする
これは夢じゃない
現実だ
「女性になってみませんか?」
夢に出てきた妖精さんの声が頭の中響く
「女性になってもらいます!」
あれは夢だ、それは間違いない しかし
提督(俺は現に女になっている···つまり···)
あれは夢だけど
提督「夢じゃ···なかった···?」
あの妖精さんの言ったことが本当なら···
「異性としてみてるんですよ?」
「「堕とすチャンスです!」って」ニコッ
提督(あれ?俺ヤバくね?)ダラダラ
提督(いや、俺にはみっちり叩き込まれた武術と洗練された剣術がある!)
棚の上に掛けて置いてある日本刀(模擬刀)を見た
提督(いざという時はこれで···)スタスタ
俺は刀を手に取った
ズッシリ
提督(おっっっも?!)
提督(え?!何で??!こんなに重いはずは·······あっ!)
そうだ、俺は今···
提督「女だった···」ガクッ
これじゃあ構えるのもきつい
このままじゃなにも抵抗できずに捕まってしまう
提督「もう···駄目か···」
····いや、まだだ!まだ終わってない!
提督(昨日寝る前に···)
回想
イッキイッキオサケタリナーイオッソーイ-ナカチャンダヨーモウイッパイキモチワルイーマアソウナルナ
提督「あぁ··頭が···気持ち悪い···」オエ
鳳翔「だ、大丈夫ですか提督?」
提督「だ、大丈夫です···うぅ···」
提督「きょ···今日はもう休みます···」フラ
鳳翔「あ、あの、よろしければお部屋まで···」モジ
提督「あ、大丈夫です···一人で行けますから···」キツイケド
鳳翔「あ、そうですか···」シュン
提督「?」
提督「あ、そうだ···」
提督「皆聞いてくれ」
ナニナニーナンダナンダモットノモウヨーテイトクキモチワルソウ
提督「皆大規模作戦お疲れ様、明日は一日休みにするからゆっくり休んでくれ···ではお休み···」アタマガ···
オヤスミナサーイエエーユックリヤスンデクダサイネーモウネルノカ
提督「あんまり呑みすぎるなよ···お休み···」ガララ ピシャン
・・・・・・・・・・
川内「夜戦(意味深)してこよっかなー♪」スクッ
艦娘s ガタッ
加賀「夜戦(意味深)ですか、さすがに気分が高揚します」
川内「空母は夜戦できませんよー?」ニヤニヤ
加賀「頭にきました」カチン
島風「じゃあ島風が一番に行ってきまーす♪」
艦娘s「行かせるか!!」
イカセネーヨワタシガイキマスワタシダッテノー
ギャアギャア
提督「今夜も賑やかだなぁ」ヤレヤレ
回想終了
提督「今日は休みにしたから皆思い思いに過ごすはずだ」
とりあえず今日は大丈夫だ
今日の内にどうにかできれば問題ない
提督(まさか休日なのに執務室にくる奴なんているわけg)
コンコン テイトクー
提督(いましたわー)泣
「提督?いらっしゃいますか?」
提督(ヤバいヤバいどうしようどうしよう?!)アタフタアタフタ
「あの、入りますよ?」
提督(くっ···こうなったら!)バサッ
「失礼します」ガチャ
大淀「提督?」
提督「あぁ大淀か、ど、どうした?」(できるだけ低い声で)
大淀「あ、いえ、提督が食堂にいらっしゃらないので私が呼びにきたのですが···」
大淀「···何故布団をかぶっているのですか···?」
提督「あ、ああこれはちょっと···」ドキドキ
提督「さ···寒気がしててし···食欲が無くてな···」ダラダラ
提督「風邪でも引いたかなぁ···」ドキドキ
大淀「確かに声が少し変ですね、お休みになられたほうが···」
提督「あ、いや···作戦の報告書まとめないといけないから···」アセアセ
大淀「しかし···」
提督「俺は大丈夫だから、大淀もゆっくり休んで···な?」
大淀「···判りました、では、お大事に。あまりに無理しないでくださいね?」
提督「あ、うん、ありがとう」
スタスタ ガチャ バタン
提督(·····行ったか)ふぅ
バサッ!
提督(!?)
そこには今しがた出ていったはずの大淀が俺のかぶっていた布団を引き剥がしていた
提督「あ、いや、その····これは···その···」ダラダラダラダラ
汗が止まらない、布団をかぶっていたこともあり服の中はもうずぶ濡れだ
提督「あ···ああ···あわわ···」ダラダラダラダラダラダラ
頭の中はもう真っ白になり、気を失いそうになった 次の瞬間
大淀「なあんだ、元気そうじゃないですか」ニコッ
提督(···へ?)
大淀「駄目ですよ?朝食はしっかり取らないと」マッタク
提督(あれ?普通?)ナンデ?
大淀「さあ、皆さんが待ってます。早く行きますよ」ガシッ
提督「え?ちょまっtああぁぁぁぁぁぁ····」ズルズル
俺は大淀に引きずられる形で食堂に連れてかれた
全く抵抗出来なかった···
~食堂~
ワイワイガヤガヤ
ガララ
ピタッ
大淀「皆さん、提督がいらっしゃいました」
俺は放り投げられるように食堂へ入った
思わずぎょっとした、皆の目が俺を見ているのだから
提督「お、おはよう···」
それしか言えなかった、何をされるかわからない恐怖で固まってしまった
だが、そんな不安をぶち壊すように
艦娘s「提督、おはようございま―す!!」ニコッ
皆笑顔で挨拶を返してきた
提督(あれ?皆普段と変わらない?)
俺の目の前にあるのはいつもと変わらない皆の眩しい笑顔だ
自分の中の不安が消えていった、逆に安心感で顔が緩んできた
提督(なんだ···俺が勝手に怯えてただけか···)ハハハ
提督(皆いつもと何も変わってn――)
そこで俺は、ああ、狼の群れに入った羊はこんな感じなんだなぁ、と悟った
なぜなら
皆の眼が獲物を見る狼の「それ」だったのだから
提督「はぁ···はぁ···はぁ···」タッタッタッ
俺は今全力で走っている···いや、逃げている
後ろを見なくてもすぐそこまで迫ってきているのが解る
絶対にスピードを緩めてはいけない
提督(くそ···ちょっと走っただけで息があがる··)ゼエゼエ
提督(筋力と一緒に体力まで落ちたか···)ハアハア
息が苦しい、肺が痛い、足も何度ももつれそうになる
おまけに、動く度に胸が服に擦れて痛い
サラシでも巻いとけば良かった、と凄く後悔した
スピードが徐々に落ちていく、慣れてない体で全力疾走はかなりキツイ
「「捕まえた!!」」ガシッ!
提督(しまった!)
遂に捕まってしまった、ていうかよく考えたら、普段から戦闘してる皆と慣れてない体の俺じゃあ俺が圧倒的に不利じゃねえか!
金剛「やっとcatchしましたよ提督♪私は食らいついたら絶対離さないワ!」ガッシリ
島風「私からは誰も逃げられないよ♪」ガシッ
加賀「やりました」ガシッ
逆にこの面子からどう逃げ切れと?
金剛「さあ、一緒にteatimeにしましょう!」グイグイ
提督(teatimeだけで済むとは思えないんだが···)ウデイタイ
島風「島風が一番速いんだから島風が先ー!」グイグイ
提督(どういう理屈でそうなるんだ···?)ウデイタイッテバ
加賀「ここは譲れません」グイグイ
提督(本当ぶれねえなぁ加賀って···)イタイイタイイタイ
金剛「提督のハートを掴むのは私デース!」プンプン
島風「私が先ですー!」プンプン
加賀「私が先です」
ギャアギャア ソロリソロリ
「「提督はだれとが良いですか?!」」バッ
シーン
金剛「What?!いつの間に?!」ガーン
提督「な··なんとか逃げれた···」ゼエゼエ
提督(まったく···どうしてこんなことに···)ハアハア
時はほんの少し遡り
~食堂~
皆は俺のことをまじまじと見ている
鈴谷「うわぁ、本当に女の子になったんだ」スゴーイ
熊野「まるで別人ですわね」
龍田「随分可愛いらしい姿になったわね~」ウフフ
摩耶「ていうか、本当に提督なのか?」
天龍「別人にしか見えねぇが・・・」
まあ、そんな反応するのが普通だよな
提督「自分でも鏡を見たときは目を疑ったよ・・・」
提督「だが、俺は正真正銘の提督だ。信じてもらえないだろうけど・・・」(ていうか俺自身が信じられん)
赤城「いえ、信じます」
提督「え・・・?」
赤城「私達の提督です。間違えるはずがありません」ニコッ
皆うんうんと頷いてくれた
提督」「赤城・・・みんな・・・」ジーン
提督(やばい・・・泣きそう・・・)ウル
さっきは皆の目が飢えた獣の眼に見えたが今は違う
皆暖かく微笑んでくれてるじゃないか
さっきのは自分の猜疑心が見せた幻だ、怖れることなんかない、皆自分の味方じゃないか!
目から涙が零れかけた だが
加賀の言葉によってそれはすぐにきえた
加賀「そうね、それに・・・」
加賀「「みんなが同じ夢をみた」なんて、偶然とは考えられないもの
・・・ん?
なんて言った?
「みんなが同じ夢をみた」?
加賀「最初はただの夢だと思ったけれど・・・流石に驚いたわ」
隼鷹「そうだよねぇ。みんな自分がみた夢とまったくおんなじ内容の夢をみたって言うんだからさぁ」ハハハ
「艦娘の皆さんには伝えてありますから」
夢の中で妖精さんはそう言っていた
もしかすると俺と同じように「夢の中」で伝えたのかもしれない ということは・・・
提督「みんな・・・どんな夢をみたんだ・・・?」
内容はしっていた、だが聞かずにはいられなかった
聞かないほうがよかったかもしれない
加賀が細かく説明していく
加賀「最初は海にいたのだけれど、そこに妖精さんが現れたの」
加賀「それで———」
妖精「提督を女性に性転換させました!」
妖精「え?何のためって?」
妖精「提督と皆さんのためです」
妖精「私は知っています。皆さんが提督に恋心を寄せていることも、あなたなりにアピールしていたことも」
妖精「しかし、あの朴念仁提督は全く気が付いていないようなんです」ヤレヤレ
妖精「そこで私は思いつきました」
妖精「いっそのこと提督をか弱い女性にして皆さんに襲ってもらいハーレムにしてしまえばいいじゃないか!と」
妖精「強引じゃないかって?」
妖精「いえいえ、そもそも女性になりたいと願ったのは提督自身です。それに、提督は皆の気持ちに応える、と決意したようですよ」
妖精「提督には皆さんが提督をどう想っているか伝えておきました」
妖精「もう、あなたの気持ちを隠す必要はありません」
妖精「あとはあなたの気持ちをぶつけるだけです」
妖精「因みに、提督は普通の女性並みの体力と筋力になっているため皆さんなら簡単に押し倒せます」
妖精「さすがにメンタルは変わりませんが女性の体となることで徐々に女性の心になっていくかもしれませんね」
妖精「強引に攻めるのも、じっくりいくのも、堕とし方はあなた次第ですよ」
妖精「ご安心ください。提督なら必ず受け入れてくれますよ」ニコッ
妖精「では・・・」
妖精「皆さんのこと、応援していますね」ピカー
「頑張ってくださいね」
「みんな」
加賀「——という内容です」
なるほど
妖精さんは俺と艦娘の皆に発破をかけてくれたのだろう
もしかしたら、あの妖精さんはずっと俺たちのことを見守ってくれていたのかもしれない
提督(妖精さん・・・ありがとう)
心の中でお礼を言った、だがまだ言うことがある
提督(そして・・・)
提督(なんてこと言ってくれてんですかあぁぁぁぁぁぁ?!)
心の中で絶叫した
提督(背中を押してくれたのは感謝しますよでもそれって俺に皆に襲われろっていうことじゃないですか!)
そうですよ?と妖精さんの声が聞こえた気がした
赤城「安心してください提督」
赤城の声で引き戻された
赤城「妖精さんはああ言いましたが、今、私たちは提督を力ずくで堕とそうなんて考えていませんから」ニコッ
提督」「え?本当?」
龍田「”今は”ですけどね~♪」ウフフフフ
提督「龍田、頼むからそういう怖いこと言わn・・・」
残念ながら、さっき見えたみんなの目は幻なんかじゃなかったようだ
今度こそみんなの目は獲物を狙う眼になっている
提督(今日が俺の(純潔の)命日かなぁ・・・)ハハハ・・・
そんなことを思い始めたその時
島風「それでみんなで考えたんだけど」
島風「鬼ごっこをしようって話になったの!」
提督」「オニゴッコ?」
島風「そう!ルールは提督を捕まえた人の勝ち。だけど、ただ捕まえるだけじゃダメ」
島風「捕まえたら自分の部屋に提督を入れないと勝ったことにはならないの」
なるほど、ゲーム形式にしたわけか
島風「勝ったら景品があるよ!」
そこで察しがついた
提督「勝った人の景品ってまさか・・・」
島風「うん!「提督を自由にできる権利」だよ!」
それだけは絶対に回避しなければならない だって
捕まるのは目に見えてるのだから
提督「いや・・・そ・・・それは出来ないなぁ・・・作戦の報告書やらないといけないしなぁ・・・ハハハ」ダラダラ
金剛「No problemデース!後で私たちがお手伝いしマース!」ニコニコ
提督「そ・・・それにみんなだって作戦で疲れてる・・・でしょ?」ダラダラダラダラダラ
艦娘s「「いいえ、全然!」」キラキラ
/(^o^)\ナンテコッタイ 疲労マークどころかキラキラしちゃってるよ・・・
提督「・・・俺に拒否権って?」
艦娘s「「ありません!」」キッパリ
ああこりゃもうやんなきゃいけないパターンだな(諦め)
提督(もうこうなりゃ意地でも逃げ切ってやる)
提督「・・・いいぜやってんやんよ!絶対逃げ切ってやる!これでも俺元陸上選手だったんだからな!」(足が速いとはいってない)
艦娘s(よし!かかった!)グッ!
大淀「では早速「その前に・・・」
提督「朝食食べさせてくれないか・・・?」グー ハラヘッタ・・・
艦娘s「あっはい」
提督「よし!いくぞ!」
大淀「では、制限時間はヒトフタマルマル正午までです」
提督「え?!昼までやるの?!」ガーン
大淀「十秒後にスタートします。提督はもう逃げても良いです」
提督「ちょ早いって!」
大淀「よーい・・・」
提督「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」ダダダダダダダダダ・・・
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
0
バアン!
マテーニガスナーゼッタイニツカマエテヤラーマテコラーワタシガサキダー ドドドドドドドドドドドドドド
そして現在
提督「こんな走り続けてたら体力が持たねぇ・・・」ゼエゼエ
提督「時間がたつまでどこかに隠れてた方がいいな」うんそうしよう
提督(と言っても・・・)
提督(安全な場所なんてあるのだろうか?)
提督(自室は・・・無理だな。執務室も・・・却下。工廠は・・・もっと駄目だ)
提督「うーん・・・・・・・」
・・・・・・・・・・あ!
提督(そうだ!いっそのこと・・・)
提督「艦娘の寮に隠れるか!」
提督「まさか俺が自分から寮に隠れるとは誰も思わないだろうな」ハハハ
提督「そうと決まれば早速GOだ!」タッタッタ
~駆逐艦寮~
提督「でもさすがに戦艦とか空母の寮は無理だな」絶対捕まるもん
提督「てことで駆逐艦寮にしたが油断はできないな・・・」
大淀に連れてかれる時全力で抵抗したのに全く敵わなかった
軽巡である大淀に歯がたたないということは、重巡や戦艦、空母はもちろん
もしかしたら駆逐艦娘にすら抵抗できないかもしれない
抑え込まれでもしたら負けだと思っていいだろう
提督「というわけで、ゆっくり、慎重に、誰にも見つからないように隠れ場所を探そう」
ソロリソロリ サッ チラッ チラッ |д゚)
提督(・・・なんだか伝説の傭兵なった気分だな)ドキドキ
提督「こちら提督、駆逐艦寮に潜入した。これより作戦を開始する」なんつって
提督「・・・ふざけてないで真面目に探そう。見つかりでもしたら本当にやばい」スタスタ
駆逐艦はかなりの人数がいる。故に姉妹艦の人数もかなりのものだ
もしかしたら姉妹艦揃って俺を探しているかもしれない
一人に見つかったらおそらく一気に包囲されるだろう
提督(けど、殆どの艦娘は外で探しているようだし)
提督(寮の中に残ってる艦娘はもういn)
ドンッ
提督「痛っ!」ドサッ
提督「いてて・・・何だ?」チラッ
そこには、料理でもしていたのだろうかエプロン姿の磯風が鍋を持って立っていた
磯風「司令、だ、大丈夫か?」
提督「あ・・・ああ・・・あわわわわわわ」ダラダラダラダラダラ
磯風「お、落ち着いてくれ!私は司令を捕まえる気は全く無い!」オチツケ!
提督「え?本当?」
予想外の言葉だったが、磯風は嘘を言うような器じゃない
磯風は大丈夫、そう直感した俺は磯風の脚にしがみついた
提督「い、磯風!た、頼む!匿ってくれ!」ガシッ
磯風「し、司令よ、少し落ち着いてくれ!わかったから、離れてくれ!」グイグイ
磯風から離れ、いったん深呼吸をし少し落ち着いた
磯風「とりあえず私の部屋に行こう。今は谷風たちもいないから大丈夫だ」
磯風に周りを警戒してもらいながら部屋に案内して(匿って)もらった
ガチャ
提督「お邪魔します」
磯風「ああ、何も無いがゆっくりしてくれ」バタン
磯風の部屋は谷風と浦風と相部屋だ
この部屋には初めて入った気がする
提督「他の皆は全員俺を探しに行ったのか?」
磯風「そうだ、全員で司令を捕まえるつもりらしい」ヤレヤレ
提督「まさか・・・不知火とか浜風とか野分とかもか?」
磯風「ああ、あの三人も結構ノってたな」
提督「まじか・・・磯風は?」
磯風「断らせてもらった。司令を力ずくで捕まえるなど、気が進まないのでな。それで料理をしていたのだが」
提督「磯風本当にありが・・・ん?料理?」
磯風「なにもすることが無かったのでな、料理の練習をしていたのだ」
提督「・・・ちなみに何を作ったんだ?」
磯風「とりあえず、基本であるカレーを作ってみたのだが、うまくできたか分からなくてな」
磯風「もしよければ味見してはもらえないだろうか?」
提督「!?」
磯風「かなり練習を積んだのでな、今回はそれなりに自信がある!」カパ
そう言うと磯風は鍋から皿にカレーをよそりスプーンと共に俺の前に置いた
磯風「この磯風の特製カレーだ!存分に味わってくれ!」
見た目はごく普通のカレーだ、スパイスの香りも食欲をそそる
だが、味は分からない
俺はもう磯風の料理をとくと味わった
まさか、あれほどの破壊力を持っていたとは予想外だった
提督(匿ってもらっている故嫌だとは言えないしそれに・・・)チラッ
磯風 キラキラ
提督(こんな期待の眼差しで見られたら食べないわけにはいかないだろ!)
提督「・・・いただきます」カチャ
俺は覚悟を決めた
どんな味だろうと、俺は磯風の期待に応えなくてはならない!
提督(ええい!ままよ!)パクッ
・・・・・・・あれ?
提督「美味しい」
磯風「ほ、本当か!?」
提督「ああ、すごく美味しいぞ!」モグモグ
磯風「勿論だ、谷風や浦風に教わりながら何度も練習して作ったのだからな!」ウムウム
提督「おかわりもらえるか?」
磯風「ああ、まだまだあるぞ!」
そのカレーはお世辞抜きで美味しかった、磯風が作ったとは思えないくらいにだ
気が付くと、俺はカレーをきれいに平らげていた
提督「ご馳走様でした」テアワセ
磯風「お粗末様だ」
提督「本当に美味しかった。かなり練習したんじゃないか?」
磯風「まあな、谷風と浦風には随分助けられた。ああ見えて、あの二人はとても頼りがいがある。勿論他の姉妹の皆もだ。」
提督「やっぱり姉妹ってのはいいものなんだな」
磯風「司令には兄弟か姉妹はいるのか?」
提督「いや、俺は一人っ子だったから・・・」
磯風「そうなのか・・・」
提督「時々、兄弟や姉妹がいるのってどんな感じなのかなって考えたことはあったよ」
提督「だから、皆を見てると、こんな感じなのかなって思うし」
提督「正直言うと、羨ましいなぁって思うよ」
磯風「司令・・・」
提督「まあ、今更何を言ってもどうにかなる訳じゃないんだけれど」ハハハ
磯風「司令・・・あまり一人で抱え込むな」
提督「え・・・?」
磯風「私も、何か悩んでいることがあったら谷風たちに相談する」
磯風「だが、司令は一人で抱え込んでしまう癖がある、と鳳翔さんが言っていたのだ」
磯風「誰にも話さずに一人で苦しんでいるんだ、と」
提督「・・・・・・・」
磯風「今回だってそうだ」
磯風「突然異性の体になってこんな状況に置かれれば動揺しないはずがない」
磯風「実際に、廊下で会った時ひどく動揺していたしな」
磯風「にも関わらず司令は今でも平静を装っている、違うか?」
提督「・・・・・・・・」
なんということだ
なにも言い返せない
提督「・・・そうだな」
提督「本音を言えば、未だに信じられないよ」
提督「女にされて、ハーレムを創れなんて言われて」
提督「訳が分からないよ」
提督「・・・でも、俺は夢の中で妖精さんに言ったんだ」
提督「「皆の気持ちに応える」って」
提督「皆が想ってくれているなら自分もそれに応えなきゃ駄目だって」
磯風「・・・・・・・・」
提督「・・・でも、俺は皆に応えるどころか逃げている有様だ。情けない・・・」
提督「俺は・・・」
提督「俺は提督・・・失格だな」
ガバッ
突然目の前が真っ暗になった
一瞬何が起こったか分からなかったが、すぐに解った
俺は磯風に抱き寄せられてるんだ
提督「いそ・・・かぜ・・・?」
磯風はくすっと笑い
磯風「やっと本音を話してくれたな」
穏やかな笑みで
磯風「いいんだ、一人で悩まないで、周りの者に頼って」
頭を撫でてくれながら
磯風「司令は立派な司令官だ。だからみな、司令を慕っているんだぞ?」
優しい声で
磯風「何があっても大丈夫
私が護ってあげる」
女となった俺よりも小さい体なのに
抱き寄せる彼女の腕はとても力強く
暖かかった
俺は自分から磯風に強く抱き付いた
そうでもしないと、胸の内からこみあげてくるものを抑えられなかったからだ
だが、それは止めどなく溢れてきて止められなかった
提督「いそ・・・かぜぇ・・・」グスッ
提督「おれ・・・ほんとは・・・ぐすっ・・・ほんとはとても不安で・・・」ポロポロ
提督「でも・・・えぐっ・・・みんなの気持ちに・・・うっ・・・応えなきゃ・・・駄目だって・・・」ボロボロ
涙が止まらない 壊れた蛇口のように
ずっと抑え込んでいた感情が爆発して嗚咽を止めることができなかった
指揮官たるものみんなの前で弱気な姿は見せられない、ずっとそう自分に言い聞かせて自分を抑え込んでいた俺は、一度溢れ出してしまった感情をどう止めたらいいか分からなかった
そんな俺の背中を磯風は優しくさすってくれていた
磯風「いいんだ、辛い時は全部吐き出してしまって。そうすれば、楽になる」ギュッ
俺は磯風に強く抱き付いて 声をあげて泣いた
やっと涙が止まり心が落ち着いてきた
こうして磯風に抱き付いていると、すごく安心する
まるで母のような・・・いや、磯風の場合はむしろ・・・
提督「・・・お姉ちゃんみたいだな」
磯風「お、お姉ちゃん?!」
提督「うん、なんだかお姉ちゃんみたいだなぁって思ってさ」
磯風「し、司令は一体急にな、なにを言い出すんだ・・・!///」カアア
提督「でも、もし磯風が俺のお姉ちゃんだったら・・・」
提督「すごく嬉しいよ」ニコッ
磯風「!!!/////」シュウウウウ
提督「・・・あ、そういえば磯風」
磯風「・・・・は!な、なんだ?」
提督「磯風は俺を「捕まえた」よね?」
磯風「・・・・・・え?」
提督「俺を「部屋に入れて捕まえた」よね?」
磯風「あ・・・・・・」
陽炎「提督を捕まえて、部屋に引きずり込めば勝ちよ!」
磯風「い、いや、私はそんなつもりは・・・!」アタフタ
なぜ俺はこんなことを言ったのだろうか自分でもよく分からない
だが
磯風になら、いい
そう思った
提督「磯風は俺のこと・・・嫌いか?」
磯風「そ、そんなことは・・・!」ブンブン
提督「おれは磯風のこと、好きだよ」
磯風「?!?!////」ボンッ
提督「さっき磯風に抱かれてた時、すごく安心したんだ」
提督「優しく抱きしめてくれて、励ましてくれて」
提督「本当に嬉しかった」
提督「磯風にだったら何されても嫌じゃない・・・むしろ・・・」
提督「嬉しい・・・かな?////」モジモジ
磯風「!!////」ドキッ
提督「・・・磯風、お願いがあるんだけど・・・」ドキドキ
磯風「あ、ああ・・・」ドキドキ
提督「その・・・今だけでいいから・・・」
提督「お、お姉ちゃんって呼んでも・・・いいかな・・・?//////」カアアア
磯風「!!!!——————」プツン
その時、磯風は自分の中で「何かが」切れた音を聴いた
ドンッ
提督「あっ・・・・」ドサッ
おれは何故あんな死ぬほど恥ずかしいことを言ったのだろうか よく分からない
もしかしたら
おれは磯風に甘えたかったのかもしれない
そして、おれは今磯風に
磯風「し・・・司令っ!」ハア ハア
ベッドに押し倒された
とても強い力で倒された、だが
わたしはそれすら嬉しいと思った
私は一体何をしている?
ベッドに倒れた司令の上に私はいる
いや、違う
私が司令を押し倒し、私が司令を押さえつけているのだ
何故だ?力ずくで相手を堕とすなど、卑劣だと自分で分かっているのに
だが、胸の内からわきあがってきた衝動が私をそうさせた
「磯風は俺のこと・・・嫌いか?」
「そ、そんなことは・・・!」
その先が言えなかった
司令は優秀な司令官だし、何より、皆のことを家族だと思ってくれている
これ以上の司令官はいない
そう言えばよかっただけなのに言えなかった、なぜなら
私は司令に惹かれていたからだ
しかし、私は自分の気持ちを素直に伝えられるほど器用ではない
私には司令を全力で支えることしかできなかった
そんな中、妖精さんが現れ、チャンスだと言った
だが、提督の意思を無視してまで自分のモノにするなど、私にできるはずがない
だから皆からの誘いも断ったのだ
なのに何故
私は司令を押し倒しているんだ?
理由はもう既に分かっていた
女となる前の司令はいつも冷静で、凛としていて、弱音など一切吐かない強い人だった
だが、今はどうだ
ただのか弱い女性ではないか
司令も一人の人間だ、不安になったりすることもある
それを表に出さないだけで
鳳翔さんはずっと前からそのことに気が付いていたようだ
そして司令はやっと本音を聞かせてくれた
泣きじゃくって、体を震わせ、本当の自分をさらけ出してくれた
その姿を見て、私は強く思った
護ってあげたい、と
同時に
なんて愛おしいんだ、と
こんなに可愛い女性が本当にあの司令なのか、と
私は司令を襲いたい衝動に駆られた
しかし、理性がそれは間違っていると反論する
だが
「お、お姉ちゃんって呼んでも・・・いいかな・・・?////」
司令のその一言で私の理性はプツンと切れた
気が付けば私は司令を押し倒しそのまま
司令の顔に三センチもないほど顔を寄せていた
おれは夢を見ているのだろうか
なんだか夢心地だ
頭がふわふわする
だが、それがとても心地好い
暖かくて 柔らかくて 優しくて 安心して
とても気持ちいい
そうなるのも無理もない だって
誰かと唇を重ねたことなど今まで無かったのだから
「ん・・・むっ・・・んん・・・」チュル
おれは磯風にされるがまま口内を蹂躙された
舌と舌が絡まり 唾液が混じり合い 溶け合っていく
それはまるで蜜のように甘く、心地よく、快楽で脳を支配していった
「ん・・・はぁ・・・はぁ・・・」ツー
どのくらいそうしていただろうか、かなり長い間重ねていた気がする
唇を離すと、銀色に光る細い糸がアーチをつくった
提督「はぁ・・・はぁ・・・」フルフル
提督(ち・・・力が・・・入らない・・・)
金縛りに掛かったかのように体が動かない
代わりに幸福感が体中を包み込み、思考が快感へと染まっていく
磯風「し・・・司令・・・」ハア ハア
磯風の瞳は妖しい光を放っていた
とても綺麗だ
司令の顔は朱く染まり、恍惚とした表情を浮かべ、潤んだ瞳で私を見つめていた
その姿は私の本能を昂らせる
磯風「司令・・・本当に良いのか・・・?」
磯風「途中でやめてと言っても・・・止められないぞ・・・?」ハア ハア
もう今更戻る気は無い
とにかく今は磯風を感じていたい
磯風に抱かれていたい
磯風に甘えていたい
磯風のそばにいたい
磯風に
滅茶苦茶にして欲しい
おめでとうございます 提督
どこからか妖精さんの声が聞こえた気がした
でも、今のわたしの頭には入ってこなかった
わたしは磯風の首に手を回し、力無い腕で引き寄せた
今、わたしはどんな顔をしているだろう
多分、凄く幸せそうな表情をしているに違いない
そして、わたしは自分でも驚くほどか細い声で、甘え声で磯風を求めた
提督「うん、きて・・・
磯風お姉ちゃん」ニコッ
私は自分に嘘をついていた
本当は私も、司令を独占したかったくせに
谷風たちからの誘いを断り、気を紛らわすため料理をしていた
全く集中出来なかった
しかし、司令に食べさせてあげたい、そう思うと自分でも驚くほど上手くできた
だがよく考えてみれば、司令は今皆から追われあちこちを逃げ回っている
司令に会うことすらできないだろう
仕方なく、自分で食べようと自室に戻ろうとした
そこで司令に会った
司令はひどく動揺していた
だから私は捕まえる気は無いと伝え、部屋に誘った その時
心のどこかで好機だ、と囁く自分がいた
司令は私の作ったカレーを全部食べてくれた 美味しいと言ってくれた
とても 嬉しかった
食欲が満たされたことで落ち着いたのか 色々話してくれた
そして やっと本音を吐き出してくれた
子供のように泣きじゃくる司令はとてもか弱く
そして 愛おしかった
司令は平静を装っていた 本当は不安で堪らないはずなのに
だが、司令は今本当の自分をさらけ出してくれた
私に本当の自分を見せてくれた
・・・もう・・・いいだろう?
自分の本能に従っても 自分に素直になっても
だって司令は
私に頼ってくれているのだから
私に甘えてくれているのだから
私を好きだと言ってくれたのだから
私を
求めているのだから
磯風「司令っ!」グッ
提督「?!」チュ
磯風「ちゅ・・・ちゅる・・・んちゅ・・・ん・・・」
提督「んん・・・んちゅ・・・ぢゅる・・・ちゅ・・・」
私は貪るように司令の口内を弄んだ
舌を絡めると司令も自ら絡めてくる
熱く 甘く 激しく 互いに溶け合っていくようだ
磯風「ちゅる・・・ぢゅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
提督「はぁ・・・はぁ・・・ぁ・・・」トロォ
司令の顔は朱く染まり、目に涙を浮かべ、すっかりとろけていた
提督「い・・・いしょ・・・かせ・・・おねぇ・・・ひゃん・・・」ハアハア
その様は私の本能をさらに刺激する
提督「か・・・体が・・・熱いのが・・・はぁ・・・止まんなくて・・・」ハアハア
磯風「そ・・・そうか・・・じゃあ・・・」
磯風「ふ・・・服を・・・脱がすぞ・・・?」ドキドキ
提督「・・・・・・////」コクッ
プチプチ
わたしは磯風にされるがまま服を脱いだ
そして最後の一枚を脱ぐと
バサッ タプン
たわわになった胸が露出した
磯風「け・・・結構あるんだな・・・」ドキドキ
提督「~~~~~!!!////」カアアアア
男体の時は上半身を見られても何とも思わなかったが
今は・・・もの凄く恥ずかしい
提督「あ・・・あんまり見られると・・・その・・・恥ずかしいから・・・////」カアア
磯風「何を言っている?」モミ
提督「ひゃあっ?!」ビクン
磯風「女どうしだろう? 恥ずかしがることは無い」モミモミュ
提督「それは・・・んっ・・・そう・・・だけど・・・あっ・・・」ピク
提督(こ・・・声が勝手に・・・出て・・・)
磯風「声を抑えなくてもいいんだぞ?」ハアハア モミモミ
提督「そ・・・そうは・・・はっ・・・言っても・・・んんっ・・・!」ピクン
提督(恥ずかしいよ・・・////)
磯風「そうか・・・ならば・・・」チュッ
提督「ぴゃあ?!」ビクン
磯風は片方の胸を揉みながらもう片方の胸に吸い付いてきた
磯風「ちゅっ・・・ちゅぱっ・・・ぺちゃ・・・ちゅる・・・」モミモミ
提督「や・・・まって・・・あん・・・そんな両方・・・同時に・・・やられたら・・・あっ・・・!」
提督(こんなされたら・・・胸だけで・・・!)
磯風はわたしのことなど気にも留めず さらに激しくしていく
磯風「ちゅる・・・ぢゅるっ・・・ちゅぱっ・・・ぢゅるるっ・・・!」モミモミュ
提督「あぁっ?!ふぁっ!?あああぁぁぁぁぁ!!!??」
わたしは女として初めて絶頂した 女体が感じる快感は想像以上で 頭が真っ白になり気を失いかけた
「はぁ…はぁ…少々激しすぎたか・・・?」チュルッ
「ぁ…ぁぁ…ぅ…ぁ…」ビクッ
(な…なに…これ…?こんな…敏感に…?)
「大丈夫か司令?」
「ぁ…頭…まっひろに、なって…なにも…考え…れなく…」ピクン
「司令は何も考えなくていいぞ? 全部私に任せてくれればいい…だが…」
「「こっち」はもっと…激しくなるぞ?」スッ
「ぇ…?」
こっち?
そう言うと磯風はベルトを外し、ズボンを脱がした
ズルッ
「あ……」
パンツを見ると、そこにはじんわりとシミができていた
「濡れて…いるな…」ドキドキ
「ぁぁ…ぅぅ…////」カアアア
ああもう 恥ずかし過ぎて死にそう…
「と…取るぞ?」ドキドキ
「ぅ…ん…////」コク
スルッ トロォ
すると ネットリとした液が糸を引いた
「こっちはもう…準備出来ているようだな…」
「ゃ…ぁ…////」
恥ずかしくて直視できない
「これなら大丈夫そうだな…」スッ
(だ…大丈夫って…なにが…?)ドキドキ
そんなことを思っていると 急に
クチュ
「んあっ!!?」
ヌチュ…ジュプ…ヌチャ…
「あ”っ…んっ…!はぁ…!」
磯風の舌がわたしの中に入ってきた
今まで感じたことの無い、内側からくる快感は電流のように体を走り、動かされる度に体が跳ね
頭の中を快楽で支配していく
ジュル…チュル…クチュ…
「んあっ…も…もうやめっ…あんっ! こ…壊れっ…ちゃうから!」
磯風はそんなわたしをみてもっと強くする
チュルルッ ジュルッ チュルッ
「んあああっ! あああああああっ!!!」プシッ
二回目の絶頂 しかし今度はさらに激しく 強い快感が襲い水のようなものを漏らしてしまった、これが潮吹きというものだろうか
「ぁぅ…ぁ…ぁぁ…」カクカク
連続で押し寄せる快感によって体が震え、目の前がチカチカする
「し…司令…」
「わ…私ももう…体が疼いて…」シュルッ
磯風が服を脱ぐと、無駄の無い引き締まった体が、でも少女の幼さがある体が見えた
すごく 綺麗だ
よく見ると、磯風の秘所も濡れていた
「い…いくぞ…?」
わたしの脚を開き、自分の秘所とわたしの秘所を擦り合わせた
ジュプ ジュププ ジュプッ
「ひゃっ…ん…あっ…あん…」
「あっ…んん…あっ…」
じっくりと 粘っこく 絡みつくようにこすれ合いながら、段々と早くなっていく
ズチュッ ズチャ ジュプ ジュチュッ
「あっ…まっ…そんなはやくしちゃ…んっ…」
「はっ…むりだ…こんな…あっ…我慢…できない…!」
ジュップ ジュルッ グッチュ グチョッ
「やっ…もう…だめ…! こわれちゃいそうでっ…ひゃっ…こわい…あんっ…!」ギュッ
「安心しろ…んっ…私も一緒に…はぁ…イクからっ…!」ギュ
わたしは強く抱き付いた、それと同時に
「おねぇ…ちゃ…あっ…ひゃああああああああ!!!」
「しれっ…い…くっ…あああああああああああ!!!」
磯風と共に果てた
その快感は凄まじく、意識を失いそうだ
「ひっ…あ…ぁぁ…おねぇ…ひゃん…」
「はぁ…はぁ…大丈夫か…?」
「ん…」ギュッ
磯風の体温を感じているとすごく安心する なんだか眠くなってきた
薄れゆく意識の中で磯風が囁いた
「司令…
愛してるぞ」
わたしは幸せな気持ちで眠りについた
「……ん?」ムクッ
目が覚めると、隣に磯風の姿がなかった
時計を見ると12時を少し過ぎたところだ
(確か…磯風とシた後に寝ちゃったんだっけ……あれ?)
気が付くと、制服が綺麗に着させられていた 磯風が着せてくれたのだろう
(もうお昼だし食堂に行ってるのかな)
そう思ったわたしはベッドから降りた すると
磯風 土下座
磯風が土下座していた
提督「い、磯風?!」
磯風「この磯風、上官である司令に対し取り返しのつかぬことを致してしまいました」
磯風「かくなる上は、解体処分も甘んじて受ける所存です」
提督「お、落ち着いてくれ磯風! 謝ることなんてないから!」
磯風「し、しかし、私は司令を力ずくで強引に犯したんだぞ?!許されることではない!」
提督「あれはわたしも合意の上だったから無理矢理じゃないし、それに…」
提督「わ、わたしも…嬉しかったし…////」
磯風「!!////」
提督「磯風が責められることなんて無い。むしろ、わたしが磯風に感謝しなきゃ」
磯風「え?」
提督「磯風のおかげで決心できたんだ、皆の気持ちにに応えるって」
提督「磯風が励ましてくれたから決意することができたんだ」
提督「ありがとう、磯風」ニコッ
磯風「し…司令…」
提督「これからも、わたしのこと支えてくれるか?」
磯風「ああ、もちろんだ!」
提督「ありがとう」
提督「さて、もうお昼だし食堂に行くか」
磯風「うむ、そうだな」
提督「そういえば、磯風、わたしに「愛してる」って言った?」
磯風「あっ!いや…あれは!」アタフタ
提督「わたしも愛してるよ、磯風」
磯風「ぁ…ぅぅ…////」カアアア
提督(ああ、赤くなった磯風すごく可愛いなぁ)
~食堂~
食堂に着くと 皆揃っていた
わたしと磯風が一緒に来たということで察した者も少なくなく
ある者はまさかという表情を浮かべ
ある者はニヤニヤと笑みを浮かべ
ある者はショックで倒れた
陽炎型の姉妹たちは磯風を取り囲み質問攻めをしている
まあ、そうなるな
金剛「Oh...my Got...」ズーン
比叡「お姉さま…元気出してください」
榛名「榛名は…大丈夫…じゃないです…」ズーン
霧島「おかしいわね…私の計算では…」ブツブツ
島風「私が…遅れをとるなんて…」ガックリ
陽炎「まさか、磯風に先越されるとはねぇ」
黒潮「にしても意外やなー」
長門「私も負けてはいられないな」
陸奥「あらあら」ウフフ
落ち込む者 驚く者 戦意を燃やす者 わたしは皆に応えるつもりだ
だが、その前に…やることがある
金剛「今日はなんだか…コンディションがbadみたいネー…部屋でbreakしてきマース…」トボトボ
金剛に続いてほかの艦娘達も食堂を出ていこうとする しかし
そうはさせん
提督「ちょっと待ってくれ皆。なにか忘れてないか?」
艦娘s「え?」
提督「金剛…言ったよな?作戦の報告書…」
提督「「私たちがお手伝いします」って?」ニヤ
金剛「あっ…」
提督「いやぁ助かるよ。なんせ、大規模作戦だから報告書の量もかなりあってねぇ」ハハハ
提督「ちょうど…「手」が足りなかったんだ…」フフフ
艦娘s「・・・・・・・」ダラダラダラ
提督「だからみんな…」
「て つ だ っ て く れ る よ ね ?」ニッゴリ
ウワー イヤダー カンベンシテー オユルシヲー マアソウナルナ イヤー ウエーン ヤメテクレー
少しばかりの仕返しだ
別にいいだろう?これくらい
みんなが(赤疲労マークが付く位)手伝ってくれたおかげで今日中に終わらせることができた
後はシャワーを浴びて寝るだけだ
~シャワー室~
キュッ ジャババー
「ふぅ…」ワシャワシャ
磯風から「女性の髪は傷みやすいから丁寧に洗え」と言われたのでいつもより優しく洗う
(わたしって女になったけど女性の体のこと何も知らないなぁ)
今更ながらそのことに気づく
(弱くなった自分の体だ。今まで以上に大切にしないとな)
ちらっと自分の体を見やる
胸は何カップなのだろうか?
何センチが何カップか知らないが、自分の手よりはある
下半身を見るとそこにはワレメがあり毛は生えていない
体全体を見ると 毛は殆ど生えておらず、肌も少しばかり白くなっている
髪はとても長く腰近くまで伸びている
縛ったりまとめたりした方がよいのだろううか?
「自分の体を見ても興奮したりしないってことは、わたしの心も女性になってるのかな?」
あれ?
(いつの間にか自分のこと「わたし」って言ってる?)
目上の者の前では自分のことをわたしと言ってるし 特に抵抗もないだろう
でも、そのうち
「女口調になるのかな…」
その時はその時だ、問題は無い
(とりあえず、まずは女性の体について知らないといけないな)
課題が見つかったわたしは丁寧に体を洗ってシャワー室を出て着替えた
~執務室~
寝間着に着替えたわたしは、明日の執務内容を確認するため執務室にいた
「ええっと…明日の書類は…」ガサゴソ
バサッ
「あれ?これって…」
「提督 日誌」
と書かれた日誌帳が出てきた
あるのは知っていたが、結局使わずじまいになっていたものだ
「……そうだ!」
わたしはペンを取り、それに書き足した
『提督女体化日誌』
『今日から日誌をつけることにした 不思議な夢をみた 妖精さんが現れわたしを女にすると言うのだ
ただの夢と思ったが、目が覚めると本当に女になっていた
艦娘達からは追いかけ回され、散々な目にあった しかし
磯風はわたしの本心を見抜き、励まし、慰めてくれた とても嬉しかった
わたしに姉はいないが、磯風は本当のお姉ちゃんのようだった 磯風と交わることにも全く抵抗は無かった そればかりか、とても安心した
磯風のおかげで決意できた わたしはもう、逃げはしない
皆の気持ちに正面から応える、と
これからもっと忙しくなるだろうがきっと大丈夫だ。 わたしは一人ではないのだから』
書き終えたわたしは明日の執務を確認にしてから 執務室を後にした
「よし…明日も頑張ろう!」
バタン
金剛たちが自室に忍び込もうとしていたので部屋に戻らせてから就寝した
…戸締りをしっかりしておこう
ザザーン ザザーン
波の音が聴こえる
目を開けて足元を見ると、自分は海の上に立っていた
自分はこれは夢だと知っている
(またか…ということは…)
ゆっくりと後ろに振り向くと そこには
「どうも~♪」フリフリ
やはり妖精さんがいた
妖精「どうでしたか? 女性になってみて」ニコニコ
「ええ、散々でしたよ。みんなからは追いかけまわされたり、夜這いをかけられそうになったりと…」
妖精「でも、磯風さんとゴールイン出来ましたね。予想外でしたよ、まさか初日からあそこまでいくとは」ビックリです
「わたしも驚きましたよ、あそこまで心が弱体化するとは…」
妖精「いいえ…あれはあなたの「本心」ですよ。あなたは何でもかんでも一人で抱え込み過ぎなんですよ」ヤレヤレ
「はい…身をもって教わりました…」
「同時に…自分は一人ではないということも」
妖精「…やっと気付きましたか…本当に鈍いですねぇ」フフッ
「そうですね…」ハハハ
「わたしを女にしてくださり本当にありがとうございます」ペコリ
「必ず、みんなの気持ちに応え、ハーレムを築いてみせます!」
妖精「…良い眼になりましたね。「あの頃」と大違いです」
「「あの頃」…とは?」
妖精「あなたがまだ新米だった頃ですよ」
「…妖精さんは何なんですか?」
妖精「ただの妖精ですよ?」
「しかし、まるでずっとわたしたちを見てきたような…」
妖精「ええ、ずっと見ていましたよ。あなたがここに着任してからずっと」
「わたしが着任してから?」
妖精「正確には、あなたが来てからわたしもここに来たんですけどね」
「え…どうして…?」
妖精「ふふっ…どうしてでしょうね?」
妖精「さて…そろそろ…」ピカー
「ま、待って!」
「応援していますよ、提督…いや…」
「——さん」
その言葉はよく聞こえなかった しかし
「その名」はとても懐かしく感じた
チュンチュン
鳥の鳴き声が聴こえる
朝だ
布団をたたみ、洗面所に向かう
鏡を見ると、寝癖のついた髪の女性がいる
顔を洗い、髪をとかして寝癖を直す(やりかたは磯風に教えてもらった)
胸にサラシを巻き、制服に着替える
最後に帽子を被り、部屋のカーテンを開ける
さあ、新しい一日の始まりだ——
~食堂~
ガララ
提督「みんなおはよう」
艦娘s「「おはようございまーす!!!」」
昨日と変わらずみんなは笑顔で挨拶を返してきた もちろん、獲物を狙う眼で
だが、全く恐怖は感じない むしろ嬉しく思う
提督「おはようございます鳳翔さん。いつものでお願いします」
鳳翔「おはようございます提督。わかりました、少々お待ちください」
鳳翔「お待たせしました。和風定食です」
提督「ありがとうございます」
スタスタ ガタッ ガタガタガタ
わたしが席に着くとみんなが我先にとわたしの近くに座ってくる
金剛「Good Morningネー提督!」スチャッ
提督「おはよう金剛」(早い…さすが高速戦艦)
島風「提督っ!おはよーございまーっす!」スタッ
提督「おはよう島風」(ほんとに速いな)
大井「おはようございます、提督」スッ
提督「おはよう大井」(北上と一緒じゃないとは珍しいな…)
磯風「おはよう司令」
提督「おはよう磯風。あ、髪のとかし方教えてくれてありがとうね。役に立ったよ」
磯風「そうか、それならよかった」
提督「あ、そういえばみんなに教えて貰いたいことがあるんだけど…」
みんなが集まってる今に聞いておいた方が良いだろう
提督「女性の体について教えてくれないかな?」
「!!!!!!!!!!!!!」
提督「女になったからには女性の体についても知っておいた方が良いと思ってさ」
みんなに聞くのが手っ取り早いだろう
龍田「それなら…私が教えてあげようかしらぁ」ウフフフフ
(なんか…怖いなぁ)
如月「うふふ…じゃあ私が手取り足取り教えてあ・げ・る」
(…本当に駆逐艦か?)
暁「レディについて教えてほしいなら暁が教えてあげるわ!」
(なんか違う気が…)
熊野「なら、私がレディの嗜みを教えて差し上げますわ」
(体…についてなのか?)
ワタシガオシエルヨ イヤワタシガオシエマス ワタシダッテ イヤイヤワタシガ
提督(これじゃあ決まらないな)ヤレヤレ
結局、自分で調べることにした
提督「みんな揃ってるから今日の作戦内容伝えるぞ。まず第一艦隊は———」
提督「———以上だ。みんな気を付けていってくるように」
艦娘s「「「了解!!!!」」」ビシッ
艦娘s((MVP取りまくって提督にいい所見せてやる!))
ウオォォォォォォォォォォォ!!!!! ドドドドドドドドド
提督「みんな気合入ってるなぁ」もう行っちゃった
提督「さて、わたしも執務室に行くか」スタスタ
~執務室~
提督「ええっと…今日の書類は…」コンコン
「失礼します」
提督「どうぞ」
ガチャッ
吹雪「吹雪です!本日は私が秘書艦を務めさせていただきます!」ビシッ
提督「ああ、よろしくな吹雪」
吹雪「はいっ!よろしくお願い致します!」
吹雪「……」カリカリ
提督「……」カリカリ
吹雪「……司令官」カリカリ
提督「ん?どうした?」カリカリ
吹雪「書類がすべて終わりそうなんですが…」カリカリ
提督「こっちもだよ…まだお昼前だっていうのに…」カリカリ
吹雪「え…本当にこれだけなんですか?」
提督「うん…実は理由があって…」
吹雪「理由…ですか?」
提督「ああ、みんなが頑張ってくれたおかげでこの鎮守府の働きが認められてな」
提督「労いの意も含めて、全員に長期休暇が与えられることになったんだ」
吹雪「ほっ本当ですか!」キラキラ
提督「ああ、書類の量が少ないのはそのためなんだ」
提督「吹雪は何処か行ってみたい所とかやってみたいこととかある?」
吹雪「はい!姉妹艦の皆といろんな所に出かけてみたいですね!司令官は?」
提督「わたしは…特に無いけど、みんなに休みをあげたいと思ってたよ」
提督「なかなか休みをあげられなくてごめんな…」
吹雪「い、いえ、司令官が謝ることなんてありませんよ!」
提督「でも…認められたってことは、わたしも提督として成長してるってことなのかな」
吹雪「もちろんです!司令官は立派な提督ですよ!」
提督「ありがとう、そういえば…吹雪はわたしが初めて会った艦娘だったな。新米だったわたしをずっと支えてくれて」
吹雪「わ、私は当然のことをしただけですから…」エヘヘ
提督「吹雪の第一印象は「ドジっ子」だったんだよねぇ」ハハハ
吹雪「うっ…」グサッ
提督「でも、頑張り屋で、真面目で、仲間思いの、可愛い女の子だなぁって思ったよ」(断じてロリコンではない)
吹雪「そ、そんな褒め過ぎですよ…////」
提督「吹雪は?」
吹雪「私は…優しそうな人だなぁと思いました。事実、私たちのことを第一に考えてくれましたし」
吹雪「艦隊の指揮も上手く、誰も轟沈していませんし、本当に優秀な提督だと思っています。それに…」
吹雪「司令官も…か…可愛いと思います!////」
提督「ふ…吹雪こそ…褒め過ぎだって////」
吹雪「お返しですよ…えへへっ」
提督「はははっ」
提督「これからもよろしくな。吹雪」
吹雪「はいっ!よろしくお願いします、司令官!」
わたしはこんな純粋なこころをもった彼女のおかげで今の自分がいることを改めて感じた
提督「…ところで、先に謝っておくことがある」
吹雪「? なんですか?」
提督「さっき、休暇が与えられたと言ったな?」
吹雪「はい…確かにそう言いました」
提督「あれは嘘だ」
吹雪「えぇっ?!」ガーン
提督「ごめん…どんな反応するかと思って言ってみたんだけど…」
吹雪「酷いですぅ!期待しちゃったじゃないですかぁ!」プンプン
提督「休みをあげたいと思ってるのは本当だ。だが、大本営がなかなか承諾してくれなくてな」
提督「大本営曰く「貴官らにはさらに活躍してもらいたい」と言ってな」ハア
吹雪「そうなんですか…」
提督「はぁ…どうにかして休暇をもらえないだろうか」
吹雪「さすがに大本営が相手では…」コンコン
「失礼します」
提督「どうぞ」
ガチャ
大淀「失礼します、提督」
提督「大淀か、どうした?」
大淀「司令部から通達がきましたのでそれを渡しに」ドウゾ
提督「大本営から?」アリガトウ
大淀「では、失礼します」スタスタ
ガチャ
大淀「提督…おめでとうございます」ニコ
バタン
提督「おめでとう…って?」
吹雪「とりあえず内容を見てみましょう」
提督「そうだな」ペラッ
『先日の大規模作戦は貴官らの活躍もあり、大成功を収めることができた。労いの言葉と称賛の意を贈る」
提督「大規模作戦についてのようだな」
『同時に、貴官の活躍を称え、大佐から少将へと昇格したことを伝える』
提督「ふむふむ…えっ?!うそっ?!」マジ?!
吹雪「お、おめでとうございます司令官!」
提督「ついにわたしも少将か…」
なるほど、大淀はこれのことをおめでとうと言ったのか
吹雪「まだ続きがあるようです」
提督「あっ本当だ」
『また、貴官が着任した頃よりも新たな提督が続々着任してきている』
提督「確かに増えてきたな」
『大本営は新米提督の育成に力を入れるため、これからの作戦や任務は新米提督に回すようにすることを決定した
さらに、貴官が休養の申請をしていること、及び貴官と貴官指揮下の艦娘たちは長期間職務を全うしていること
以上の理由より、大本営は貴官の申請を受諾し、明日から貴官と貴官指揮下の艦娘総員に長期休暇を与えることにする
各資源は通常通り支給されるので、自主的な演習、建造、開発、遠征、出撃を行うことも許可される
貴官と艦娘らはしっかりと休養を取るようにすること 以上 大本営より』
提督「………」
吹雪「………」
提督「……今夜から騒がしくなるな」フフ
吹雪「間宮さんに話しておきますね…」プルプル
提督「頼む…あと、叫んでいいよ?」
吹雪「ヤッタアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
吹雪「司令官の言ったこと本当のことだったんですね!」
提督「あ、うん…まあね…」ハハハ
提督(本当に冗談で言ったなんて言えない…)
吹雪「ああ~どこに行こっかな~♪」キラキラ
提督「白雪たちにも聞いてみたら?」
吹雪「そうします!あと、司令官も一緒ですよ?」
提督「わたしも?」
吹雪「はい!姉妹艦のみんなと司令官と行きたいんです!いいですよね?」キラキラ
そんなキラキラした目で見られたら断れないじゃないか まあ断るつもりはないが
提督「ああ、もちろんいいよ」
吹雪「本当ですか?!ああ~楽しみだなぁ」ワクワク
提督(これからもっと忙しくなるな)フフッ
そう思いつつ わたしも吹雪と同じように心躍らせていた
本日分の執務を終えた後、わたしと吹雪は少し早めに昼食を取り、間宮さんの所に向かった
提督「つい一昨日も祝勝会したばっかりだし食材とか足りるかな?」特に酒とか…
吹雪「みなさん沢山呑みますからね」隼鷹さんとかポーラさんとか…
提督「そうだ、食材の確認ついでにパフェでも食べようか」
吹雪「え、良いんですか?」
提督「もちろん!執務手伝ってくれたお礼もしたいし」
吹雪「ありがとうございます!司令官!」パアア
ガララ
提督「こんにちは、間宮さん」
吹雪「こんにちは」
間宮「あら、提督に吹雪ちゃん。いらっしゃい」
提督「間宮パフェと間宮アイスを一つずつ」
間宮「わかりました」
提督「あと、食材とかお酒とか在庫はありますか?」
間宮「あ、はい、お酒は残り少ないですが食材は大丈夫です。どうしてですか?」
提督「実は———
——ということでして」
間宮「なるほど…わかりました、今夜はさらに腕によりをかけて作らせていただきます!」
提督「お願いします」
間宮「では、少々お待ちくださいね」スタスタ
吹雪「司令官は甘いもの苦手なんですか?」
提督「いや、甘党だけど…パフェやケーキだと胸やけ起こしちゃってさ…」
提督「わたしもパフェとかがっつり食べてみたいなぁ」ハア
吹雪「そ、それはつらいですね…」
間宮「お待たせしました」カチャ
間宮「では、ごゆっくり」ペコリ
吹雪「いただきます」カチャ
パクッ モグモグ
吹雪「あぁ~おいしいですぅ~♡」トロォ
提督「本当においしそうに食べるな…」顔が蕩けてる…
吹雪「女の子は甘いものに敏感ですから♪」キラキラ
提督「そうなのか?じゃあわたしも食べよ」カチャ
一口だけ吹雪のパフェ分けてもらい食べてみた すると
パクッ
提督「!!!!!!!!!!!!!!!!!」
吹雪「司令官?」
提督「・・・・・・・・・」
クリームは口に含んだ途端に溶け、甘い香りが鼻から抜ける
溶けたアイスは口内を蹂躙し、体に染み込んでいき
提督「あ……あ……」フルフル
甘味が体中を支配した
提督「ああああぁ~~~~♡♡♡」トロォ
吹雪「し、司令官っ?!」ビクッ
顔がとろけてしまう、勝手に緩んでしまうのだ
吹雪「し、司令官の顔が人に見せられない顔に…」
提督「なに…これぇ…おいししゅぎて…かおが…かってに…あぁ~」トロォン
吹雪「あ、あのぉ、もしよかったらもっと食べますか?」
提督「ほんとっ?!良いの?!」キラキラ
吹雪「私一人じゃ食べきれないので」
提督「やったぁ!吹雪大好きっ!」パアア
吹雪(か…かわいい///)
提督「あぁ~おいしすぎるぅ~♡」モグモグ
吹雪「って速っ?!いつの間にか司令官のアイスも無くなってる?!」ガーン
唖然としている吹雪をよそに、わたしは思う存分パフェを頬張った
提督(あぁ~しあわせだぁ~♡)
そのころ、海では
~海上~
ドゴォン! ドゴォン!
金剛「Fire!」ドゴォ
夕立「選り取り見取りっぽい?」ドゴドゴォン
龍田「死にたい船はどこかしらぁ~?」バァン
加賀「皆優秀な子たちですから」ビシュッ
不知火「沈めっ!」ドォン
木曾「弱すぎるっ!」ドンドン
伊58「魚雷さん、お願いします!」バシュッ
ウワー ヤメテクレー ギャーッ オシマイダー テメェラナンザコワカネェ チクショウメーッ
ヲ級「………」
タ級「押されているな…どうする?」
ヲ級「……各艦に通達」
ヲ級「全力で逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
ヲ級「なにあれ?!艦娘の眼が怖いんだけど?!」
飛龍「敵艦隊、後退を始めました」
長門「そうか…全艦、分かっているな?」
長門「一隻たりとも逃すなぁ!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」」」」」
マテヤゴラー! ニガスカー!クチクシテヤラー!ワタシノエモノダー!ソノカンモラッター!ヒャッハー!チョウシコイテンジャネエゾコラー!ヤロウブッコロシテヤラー!
ドゴォン バァン ドドドドド バガァン ドボォン ドドォン
ニゲロー! タスケテクレー!ヒエー!ナンテコッタイ!カンシュニヒダーン!コウヘイキテクレー!カイヒシロー!ニゲルンダヨー!ユルシテクレー
修羅と化した艦娘達がMVPの奪い合いをしていた
深海棲艦側はこの戦いにより大きな打撃(主に各艦の精神的)を受け、しばらく攻めてこなくなった
深海棲艦らは口をそろえて言った
「厄日だ…」
と
~執務室~
提督「あぁ~おいしかったぁ~♪」キラキラキラキラ
吹雪「あんなにおいしそうに食べる人初めて見ましたよ…」すごいキラキラしてるし…
提督「みんなが戦意高揚する理由がよく分かったよ」
吹雪「女性になって甘党に拍車がかかったんですね」
提督「うん! あぁ~また食べたいわねぇ~♪」
吹雪「そうですね………」
吹雪「……えっ?!」
提督「? どうしたの?」
吹雪「い、いま…口調が女性にな」ガチャッ
明石「あ、提督ここにいましたか。探しましたよ」マッタク
提督「お、明石か。何か用事?」ゴメンゴメン
明石「少量でいいので資源の使用許可をいただきたいのですが」
提督「なにか開発?」
明石「ええ、少し変わったものですが…」
提督「? まあ、使うだけ使っていいよ」
明石「ありがとうございます!では、出来たらお知らせしますので。失礼します」バタン
提督「で、どうかした?」
吹雪「あの、さっき…女口調になっていたんですが…」
提督「…………えっ?本当?」気付かなかった
吹雪「あと、パフェを食べてる時も女の子みたいになってましたよ?」
提督「……いっそのこと口調変えようかな…? いやでもよく分からないし…」
吹雪「あっ、なら私が教えましょうか?」
提督「えっ、いいの?」
吹雪「はいっ、と言っても、自然に話せると思いますよ?」
提督「そっか、じゃあお昼休みも兼ねてゆっくり話でもしてようか」
吹雪「そうですね」
提督「これが俗にいう「がぁるずとぉく」っていうやつかな?」
吹雪「そう…なのかな?」
吹雪と話をして過ごした
試しに女性言葉で会話してみたが…
何故だか、すごく話しやすかった…
おまけに気恥ずかしさも無く、まるで昔から女口調で話していたような気がした
身も心も女性になったのだろうか?
夕方頃に艦隊が帰投した
かなり暴れたようだが、みんな小破すらしていなかった…というかMVPでも取りまくったのだろうかキラキラしていた
そのため、宴会の準備が驚くほど早く終わった
みんなからMVPを取ったご褒美が欲しいと言われたので
提督「じゃあ、明日からみんなのお願いになんでも応えるよ」
と言ったら、みんな狂喜乱舞した
なんでもとは言ったがまさか酷い目には遭わないだろう
……大丈夫だよね?
~宴会場~
吹雪「司令官、少将への昇格……」
「「「「おめでとうございまーーす!!!!」」」」パチパチパチパチパチパチ
提督「ありがとう。これもみんなのおかげだよ。みんなも長い間お疲れ様」
提督「今夜は無礼講だから、朝まで存分に楽しんでね」
提督「では、乾杯っ!」グイッ
「「「「「かんぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!!」」」」」カラン カチンッ カンッ
ヒャッハージャンジャンノメーイッキイッキプハーマダマダタリナーイモットモッテコーイ
提督「みんな本当によく飲むね…」ハハハ
金剛「提督は飲まないのデスカ?」
提督「まあね、誰かに勧められでもしないと飲まないよ」
金剛「Oh…そんなの勿体ないネー! 私がウイスキーを飲ませてあげマース!」バッ
提督「そ、そう…なら貰おうかな?」(事前に準備してあったみたいだな…)
金剛「ドウゾ~♪」トクトク
提督「あまり度数高くないよね? 高いのは飲んだことないからすぐ酔わないか不安なんだけど…」でもおいしそう…
金剛「No Problem!(私にとっては)高くないから提督でも楽しめマース!」サアサア!
提督「そう?じゃあいただきます」グビッ
・・・・・・・・・
提督「……あ、おいしい…」
金剛「デショ?さあもっともっと飲んでくだサーイ!」グイッ
提督「じゃあ…貰おうかな」
「「「「ていとくー」」」」
提督「ん?」クルッ
金剛(支援艦隊が到着したネー♪)ニヤ
千歳「提督、日本酒も如何ですか?」ニコ
ビスマルク「ビールもあるわよ?」グイッ
ポーラ「ワインもおいしいですよ~♪」
響「ウォッカもどうだい?」
提督「す、勧めてくれるのは嬉しいけど、そんなに飲めないよ…」ムリムリ
隼鷹「なぁに言ってんのさぁ提督ぅ~」ヒック
提督「じ、隼鷹? ていうかもう酔ってるし…」
隼鷹「せっかく酒を勧められてるってのにそれを断るなんて宴会の場ではマナー違反だぞぉ?」
提督「い、言われてみれば…確かにそうかも…」
隼鷹「それに…」
隼鷹「存分に楽しめって言ったのは提督だろ?」ニッ
提督「!」
隼鷹「提督も楽しまなくっちゃ駄目だろう?」ハハッ
提督「隼鷹…」
提督「…そうだね、楽しまないとね! じゃあいただこうかな!」
隼鷹「そうそう! パーッといこうぜ~パーッとな!」ヒャッハー!
艦娘s(((隼鷹(さん)グッジョブ!)))グッ
千歳「では、まず日本酒からどうぞ」トクトク
提督「ありがとう」グビッ
提督「…あれ?以外と飲みやすい…」
千歳「はい、他にも種類があるので是非試してみてくださいね♪」
ビスマルク「次はビール飲んでみる?」ドンッ
提督「ジョッキ…」
ビスマルク「いや、無理して飲まなくてもいいわよ?」
提督「い、いや…せっかくだし、もらうよ!」グイッ
ゴキュッ ゴキュッ ゴキュッ ゴキュッ
(えっ?!うそっ?!)
ゴキュッ ゴキュッ ドンッ
(い、一気飲みした…)
提督「……苦い…けどそれがまた癖になる…おいしい!」 テイトクヒゲツイテルワヨー
ポーラ「次はワインをどうぞ~♪」トクトク
提督「いい香り…」グビ
提督「……甘くてフルーティー…ポーラがアル中になるのも分かる気がする」
ポーラ「でしょでしょ~♪」
ザラ「あなたは少し控えなさい」
響「じゃあ、次はこのウォッカを」トクトク
「スピリタス」チラッ
提督「あれ? もしかしてそれってスピリタス? スピリタスって度数かなりあったような…」
響「いや、これは違うウォッカだよ」サッ
提督「いや、でもたしかに」
ヴェールヌイ「信頼の名は伊達じゃない」ビシッ
提督「あっはい、いただきます」グビッ
提督「?!」
響「し、司令官…大丈夫かい?」(さすがにスピリタスはきつかったかな?)
提督「おぉ…」
「?」
提督「美味しいっ!!」
提督「この強い苦み!微かなアルコールの甘味!ピリピリくる感じ!良いっ!」
響「そうか…よかったね…」
響(飲みやすくするため調節したとはいえ美味しいと言うなんて…ハラショー)
提督「お酒ってこんなに美味しいんだね。なんで知らなかったんだろう?」
隼鷹「だろう?酒ってのは本当に美味いんだ。さぁ!もっと飲もう飲もう!」
提督「そうね!今夜はたくさん呑んでもいいわよねっ♪」
隼鷹「そうそう!パーッt……」
艦娘s(吹雪除く)「「「「「?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!」」」」」
提督「? どうしたの?」キョトン
隼鷹「提督…もう酔っぱらったのかな…?」ハハハ・・・
提督「いや?まだまだ酔ってないわよ?」ドウシテ?
隼鷹「だ、だって、口調が女に…」
提督「ああ…吹雪と話したんだけどね、女言葉使った方がいいのかなって」
提督「もし不自然なら戻すけど…」
「「「「いいえこっちの方がいいですっ!!!!」」」」キッパリ
提督「そう、ならこのままにするわね」ニコッ
艦娘s(((か、かわいい…////)))
提督「ところで、わたしお酒に興味が沸いたのよねぇ」
提督「よければ…みんなのお勧めのお酒、教えてくれない?」
コンナオサケハドウデスカ コッチモオススメデスヨ イヤコッチノホウガオイシイシ コンナノモアリマスヨー ドレモオイシソウネー
金剛「………」
金剛(計画通りデース)ニヤ
千歳「びっくりするほど上手くいきましたね」
ビスマルク「まさかこんなに計画通りになるなんて…」
響「スパスィーバ」
金剛「提督に呑兵衛になってもらい、ベロベロになったところで夜戦にGO!」
金剛「我ながらPerfect Planデース!」
金剛「後は提督が酔って動けなくなるのを待つだけデース!」
「さぁさぁもっと呑みましょうよ~♪」
「いや…もう…」
「ほらもう一杯♪」
「これ以上は…さすがに…」
金剛「もう…無理デス…」
提督「何言ってるのぉ?まだまだいけるでしょっ♪」←結構酔ってる
金剛(提督なんで酔いつぶれないのデスカ?!度数の高いお酒ばかり飲ませてたんですケド?!)
金剛(ほ、ほかのみなさんは…?)チラッ
千歳「」 撃沈
ビスマルク「」 撃沈
隼鷹「」 撃沈
響 撤退
ポーラ「zzZ」 酔眠
金剛(まさかの全滅?!)
金剛「oh…」
バタン
提督「あれぇ?こんご~寝ちゃったのぉ~?」ユサユサ
提督「みんなも寝ちゃったし…」
提督「…わたしも寝ちゃお」ゴロン
スヤスヤ
「こんな所で寝たら風邪ひくわよっ!」
「ふぇ…?」
矢矧「ちゃんと自分の部屋で寝なさいよ」
提督「むりぃ…連れてって~」
矢矧「はぁ…ほら、いくわよ」スッ
提督「ありがと~」
矢矧「まったく、阿賀野姉ぇじゃないんだから…」チラリ
阿賀野「zzZ」スースー
能代「阿賀野姉ぇ!こんな所で寝ないで部屋で寝て!酒匂も手伝ってぇ!」
酒匂「ぴゃっ?!わ、分かったぁ!」
矢矧「はぁ…」ヤレヤレ
提督「矢矧たちも大変ねぇ~」
矢矧「ええ、そうね…」
~自室~
矢矧「ほら、ついたわよ」
バサッ
矢矧「よいしょ…ほら、布団敷いておいたから」
提督「うん…ありがと…」
矢矧「じゃあ、私はもう行くわね」スッ
提督「あ、待ってぇ」
矢矧「なに?」
提督「はいこれっ!」ズイッ
矢矧「これって…何で酒瓶が出てくるのよ…」
提督「持ってきちゃった♪」
矢矧「持ってきちゃったって…あなた…」
提督「早く!あれ出して!」
矢矧「あれ?」ってなに?
提督「矢矧が使ってたあの綺麗な盃だよ」
矢矧「あの、萩の花と、矢のデザインの?」
提督「そう!それ!」
矢矧「ないけれど…」
提督「えぇ?!なんでぇ?」
矢矧「逆に何で持ってるのよ…」
提督「う~ん…」
提督「……そうだっ!」
提督「矢矧っ!」チョイチョイ
矢矧「?」スッ
グイッ
提督は急に酒を飲んだ
矢矧「えっ…自分で飲んでどうするの?」
すると突然
チュッ
矢矧「?!?」
キスされた
提督「んちゅ…ちゅ…ん…」
矢矧「んん…んっ…んん!」コク コク
矢矧「…ぷはっ!」
矢矧「なっ…ななななにをきっ急に…!////」シュウウウ
提督「美味しかった?」ニコッ
矢矧「美味しいもなにも…他にやり方があったでしょう!」////
提督「それとも…嫌だった?」ウルッ
矢矧「そ、そういうわけじゃ…ないけれど…」////
提督「よかったぁ!じゃあ、返杯して!同じやり方で!」
矢矧「しっしないわよ! あなた酔いすぎよ!もう寝なさい!」
提督「じゃあ矢矧も一緒に寝よ!」
矢矧「寝ないわよ!」
そう言いつつ…一緒に寝たいと思う自分がどこかにいた
提督「もう…矢矧ったら本当に真面目ねぇ。いつも肩に力入れ過ぎじゃない?」
矢矧「そ、そんなことは…」
提督「いいのよ?そんなに気張らなくても…ま、わたしが言えたことじゃないんだけどね」
矢矧「え…?」
提督「わたしも…みんなからはかなり無理してるように見えてたらしくて…磯風に怒られちゃった…」
提督「一人で抱え込むなって…」エヘヘ
提督「でも…そのおかげで気付けたんだ、わたしは一人じゃないんだって」
提督「すごく嬉しかった…」
提督「だから、わたしもみんなに我慢してほしくないの」
提督「矢矧にも…ね?」
矢矧「提督…」
私が断ったのは嫌だからじゃない、阿賀野姉ぇたちに対しての後ろめたさ故だ
阿賀野姉ぇたちも提督のことを慕っている…無論私も
みんなのことを差し置いて私だけこんなことをして…いいのだろうか…
そんな私の迷いを断ち切るように提督は言った
提督「それに…わたし、誰かと一緒に居るのってすごく安心するの。だから…」
提督「一緒に…寝て欲しいな…」
そう話す提督の姿は、私の心を揺さぶった
提督の傍に居てあげたい…そう思った
矢矧「…分かったわ、一緒に寝ましょう」
提督「え?いいの?」
矢矧「ええ、阿賀野姉ぇのことは二人が付いてるし。それに…」
矢矧「我慢するなって言ったのは提督だし…////」ボソッ
提督「え?」
矢矧「なっなんでもないわ!」気にしないで
提督「そう…じゃあ…」ポンポン
矢矧「うん…」ゴソゴソ
提督「あったかい…」
矢矧「そ、そうね…」
提督「……」
矢矧「……」
提督「…」ギュッ
矢矧「へっ?!提督?!」
提督「このままでいさせて…落ち着くの…」
矢矧「え、ええ…////」ドキドキ
提督「……」
矢矧「ど、どうかしたの?」
提督「いや…矢矧の目って赤くて綺麗だなって」
矢矧「そうかしら…あれ?」
提督「? なに?」
矢矧「提督の目の色って…」
提督「普通の黒だよ?」
矢矧「え…?」
提督の目は…ぼんやりと赤く光っているように見える 暗いから断言はできないけれど
そう思っていると、提督の瞳が閉じた
提督「おやすみ…矢矧…」
それだけ言うと、提督は寝息をたて始めた
矢矧「……」
こうして提督の寝顔を見ていると 男性だった時の提督とは別人に思えてくる
男性の時は、頼ることのできる優秀な提督 しかし、今はか弱い…守ってあげたくなるような普通の女性だ
「おやすみ…提督」
チュッ
私は提督の寝顔を見ながら眠りについた
チュンチュン
「んん…?」
鳥の鳴き声がする どうやら朝みたいだ
提督「………」
いつも通り、わたしは自室で目覚めた しかし
提督(あれ?わたしどうやって部屋に来たんだっけ?)
みんなにお酒を勧められていたところは憶えている けどそれからの記憶はない
提督「部屋で寝てるってことは、ちゃんと部屋までこれた…のかな?」
記憶を辿っていると
ガチャ
誰かがドアを開けた
「提督、起きてる?」
提督「あ、矢矧おはよう」
矢矧「おはよう、頭痛とかしてない?」
提督「大丈夫だけど…どうして?」
矢矧「あなたかなり酔ってたから」
提督「え?!そんなに?!」
矢矧「なにも憶えてないのね」
提督「うん…あれ?もしかして、矢矧が部屋まで連れてきてくれたの?」
矢矧「ええ、そうよ」
提督「め、迷惑掛けてごめんなさい…」
矢矧「べ、べつに謝らなくてもいいわよ…」
矢矧「おかげで一緒に寝られたし…」ボソッ
提督「え?」
矢矧「なっなんでもないわ!////」
矢矧「じ、じゃあ、後で食堂に来て」スタスタ
バタン
提督「急にどうしたんだろう…?」
提督「とりあえず、顔洗って着替えよ」スタスタ
提督「…あれ?目が赤いような…寝起きだからかな?」
カチャカチャ ゴソゴソ
提督「よし!行こう!」ガチャ
~食堂~
提督「みんなおはよう」
「「「おはようございま~す……」」」
みんな頭を抱えて調子が悪そうだ 二日酔いかな?
提督「みんな辛そうね…」
鳳翔「みなさんかなり呑んでいましたから」大丈夫でしょうか?
提督「大丈夫ですよ…」ハハハ・・・
あ いつもので
分かりました
提督「ご馳走様でした」
提督「さて、早速執務に…」
提督「…って今日から休みだったわ…」いつもの癖で
あ ガタッ ガタタ ガタン ガタ
そこでわたしはふと思い出した 思い出してしまった
背後に視線を感じる おそるおそる振り向くと
案の定、みんながわたしを見ていた
金剛「提督…言いましたよネ?みんなのお願いに…」
金剛「「なんでも」応えるって」
金剛は「なんでも」の部分を強調して言った
提督「…はい…言いました…」
確かに言った 言ってしまった
さっきまで二日酔いだったとは思えないほど、みんなの目は輝いていた
わたしは一体どうなってしまうのだろう そんな不安を煽るように
みんなは意地悪そうな笑みを浮かべていた
ギャアギャア ギャアギャア
…今みんなは何をしてるのかって?
順番決め…だってさ…
「私が一番先でしょう?!」
「何言ってるの?!私が先でしょ?!」
「私が先ですよっ!」
「クジで決めるのはどうでしょうか?」
「私たちが圧倒的に不利じゃない!」
「かけっこで決めようよ!」
「駆逐艦が勝つに決まってるじゃないですか!」
「艦種順にしたらどうですか」勿論戦艦から…
「「「「駄目ですっっ!!」」」」
ギャアギャア ギャアギャア
提督「わたしどうなっちゃうんだろう…」
「提督、提督」チョンチョン
提督「明石?どうしたの?」
明石「昨日、資源の使用許可もらったの憶えてますか?」
提督「うん、もう完成したの?」
明石「はい、工廠まで来てほしいのですが…良いですか?」
提督「ええ、あっちも終わらなさそうだし」チラッ
ヤッパリワタシガサキニ ヌケガケスルナー アンタガユズリナサイヨ アンタコソ サッサトキメロー
提督「うん、行きましょう」
明石「では、ついてきてください」
「あれは…明石さんと司令官?」
~工廠~
明石「これなんですが…」ヨイショ
提督「この細長い箱は?」しかも二つ?
明石「まあまあ、とりあえず開けてみてくださいよ」さあさあ
提督「う、うん…」
わたしが箱に手を伸ばすと
「司令官、それってなんですか?」
急に声をかけられ振り向くと
提督「なんだ、吹雪か…吃驚したぁ…」
吹雪「す、すみません。明石さんと司令官が食堂から出て行ったので、どうしたのかなと思って」
提督「昨日明石が執務室に来たでしょう?それで、完成したって言うから見に来たの」
吹雪「そうでしたか、明石さん何を作ったんですか?」
明石「見てからのお楽しみです♪」
提督「じゃあ、開けるよ」
わたしは二つの箱の蓋を取った すると中には…
提督「これって…刀?」
一つは、白塗りの鞘の上に薄桃色の桜が描かれた刀
一方は、黒塗りの鞘の上に朱色の桜が描かれた刀が入っていた
明石「どうぞ、手に持ってみてください」
提督「え…でも…」
どちらもそれなりの長さがある 重量もかなりあるだろう
提督(わたしが扱えるものじゃないよ…)
そう思いながらも 白塗りの刀を手にした でも
提督「あれ…?」
吹雪「どうしたんですか?」
提督「重くない…」
吹雪「え?」
提督「いや、ずっしり感はあるんだけど…そこまで重く感じないっていうか…」
そう、男だった時と同じ感覚だ
提督「抜いてみても良い?」
明石はもちろん、と頷いた
シュラン
刀身を見てみると、決して薄い訳ではなく、寧ろ、しっかりとした厚みがあった
白い刀身で、その上には鞘と同じく薄桃色の花びらが描かれている しかも
提督「模擬刀だね」
その刀には、刃は無かった
シュリン
一方の刀の刀身も、鞘と同じように黒塗りの上に朱色の花びらがあった
まるで、血のような
違ったのは
提督「これは…真剣なのね」
その刀には、刃があったことだ
提督「本当に明石がつくったの?!」
わたしは少し興奮気味に明石に尋ねた
明石「つくった…というか、出来ちゃったというか…」
明石「実を言うと、私ではなく開発妖精さんたちがつくったんですよね」
明石「妖精さんたちが資材を使いたいというので、私が提督に許可をもらいにきたというわけです」
明石「私も、てっきり装備を開発すると思っていたので驚きました」
提督「わたしがもらって良いの?」
明石「はい、妖精さんたちは初めから提督の為につくっていたらしいので」
提督「本当っ?!すごく嬉しい!」
提督「わたし小さい頃から刀が好きで、こんな刀が欲しいって思ってたんだ♪」
明石「そ、そうなんですね」
提督「うん!ありがとうね明石!妖精さんたちもありがとう!」
妖精s「喜んで頂けてよかったです」 「大切にしてくださいねー」フリフリ
提督「じゃあ、わたしは部屋に掛けてくるから、二人は先に食堂に戻ってて」
「「分かりました」」
タッタッタ
吹雪「司令官喜んでましたね」
明石「……」
吹雪「明石さん?」
明石「ねぇ吹雪さん、艤装を付けてる時って重いと感じますか?」
吹雪「? いえ、軽いとは感じませんがそこまでは…どうかしたんですか?」
明石「いや…提督って筋力と体力が普通の女性並みになったんでしたっけ?」
吹雪「はい、そういえば「部屋に飾ってある模擬刀を構えるのも難しくなった」と言ってましたね」
吹雪「でも、なんであの刀を持った時「重くない」って言ったんでしょうか。すごく重そうだったのに…」
明石「もしかしてっ…!」
吹雪「え?」
明石「あっいやっなんでもないです」
明石「まさか…ね…」
まさかあんなに綺麗な刀がもらえるなんて夢にも思ってなかった
大切に使わせてもらおう
提督(明石と妖精さんたちにお返ししないと)パフェなんて良いかな
~食堂~
ガララ
提督「みんな決まった?」
さっきのように言い争ってはいない ということは決まったのだろう
青葉「はい!決まりました!」
と、青葉が答えた でも、どうして
カメラを構えているのかな?
高雄「みんなが提督にやってもらいたいことを言ったら、意外に同じ意見の人が多かったんです」
愛宕「だから、その中であまり時間が掛からないものからやってもらうってことになったの♪」
艦娘s(((みんな「いいアイデア」をもってましたし)))ニヤァ
提督「そう、意見が纏まってよかったね」
その時、もし、わたしが「みんなの後ろにあるもの」がなにかに気付いていたら、よかったなんて思わなかっただろう
ちらっと見えたのは…
女性ものの大量の服とアクセサリーだった
女性の服とアクセサリー…カメラ…これらが意味することを予想するのに、さほど時間はかからなかった
熊野「わたくしが提督にお似合いの服を選んで差し上げますわ♪」ワキワキ
鈴谷「メイクなら鈴谷におまかせっ♪」ワキワキ
青葉「カメラはいつでもOKです!」ウズウズ
金剛「では、スタートデス♪」パチンッ
それが合図となり、みんながわたしを取り囲む そして
わたしが悲鳴をあげるより早く 皆はわたしを丸裸にした
サラシ巻くのって…結構大変だったのになぁ…
~大広間~
カシャッ カシャッ
青葉「あ、もうちょっとこう…そうそう、いいですねー♪」カシャッ カシャッ
提督「あうぅ…////」
青葉「ほら提督、スマイルスマイル♪」
提督「くっ…」ニコッ
青葉「それです!そのままでお願いします!」パシャッ パシャッ
青葉「さて、次の衣装撮ってみましょう!」
夕立「次は私たちの制服着て欲しいっぽい!」
伊58「水着も着てみて欲しいでち!」
深雪「私らの服も似合いそうじゃね?」
金剛「私たちの服も着てみてくだサーイ!」
提督「…皆、わたしのことを着せ替え人形かなにかと思ってない?」
「「「「そうですが?」」」」
認めてるし…
提督「何でわたしが皆の服を着なきゃならないのよ…///」←青葉コス中
青葉「なんでも応えるって言ったじゃないですかー」ニヤニヤ
提督「うっ…」グサッ
青葉「さあ四の五の言ってないで着替えてください!」
提督「き…着たわよ…////」白露コス
時雨「…提督、よかったら僕らの妹にならない?姉でもいいけど…」
白露「あっ!それ良いかも!」
提督「何でそうなるのよっ!」
提督「早く着替えさせてぇ…////」スク水着用
伊58「てーとく!一緒に行こ!」
伊168「そうね!潜りに行きましょ!」
提督「…殺す気?」
提督「着てみた…けど…////」吹雪コス
初雪「意外に…似合ってる…」
吹雪「なんだか、学生時代の司令官を見てるみたいで可愛いです♪」
提督「学生の頃は男だったのだけど…」
提督「脇がスース―する…」金剛コス
榛名「提督、とってもお似合いですよ♪」
霧島「いっそのこと私たちの姉妹になっては?」
比叡「え?!私に妹が増えるんですか?!」
金剛「グッドアイディア!私たちのシスターになるといいデース!」
提督「何で皆してわたしを姉妹にさせようとするのよ…」
その後も皆の服を着させられた(特に島風や雲龍の服は露出度が高くて恥ずかしかった…)
最後に大和の服を着た そしたら
提督「あれ?」
大和「どうかなさいましたか?」
提督「あ、いや、なんでもない」
武蔵「なんだか、あまり違和感が無いな…何故だ?」
大和「確かに…一番よく似合ってるというか…提督にぴったりな気がしますね」
提督「そ、そう…かな?」
提督「や…やっと終わった…」ふぅ…
青葉「と、思いますよね?」ニヤ
提督「ま、まだあるの…?」
青葉「実は…とっておきの服があって、それを提督に着て頂きたいのですが…」
…嫌な予感しかしない
青葉「更衣室に置いてあるので着替えてきて下さい」
提督「こ…これを着ろっていうの?!」噓でしょ?!
青葉「提督よろしいですか?」
青葉「では!どうぞ!」バッ
提督「……/////」スッ
頭にはレース付きのカチューシャ 胴は黒い服の上に白いエプロン スカートは短く、フリフリが付いている つまり…
メイド服だ
艦娘s「「「「「青葉(さん)グッジョブ!!!!」」」」」
提督「どこでこんな服用意したのよ…」 カシャカシャカシャカシャ
青葉「簡単に入手できますよ?」カシャカシャカシャカシャ
提督「ていうかいつまで撮ってるのよ?!」
青葉「いやぁメイド姿の提督なんて滅多に見られませんからねぇ」
提督「はぁ…もう着替えるわよ…」
青葉「何言ってるんです?」
提督「え?」
青葉「提督はメイドですよ?皆に奉仕しないと」
提督「な…何言ってるの?」
青葉「次のお願いはこうです…「今日一日皆のメイドになって下さい」」
成程 そうさせるために着替えさせたというわけね…
皆は「何してもらおうかなー」と目を輝かせている
わたしは絶望しながら心の中で叫んだ
アオバワレェェェェェェェェェェェェェ!!!
この後滅茶苦茶奉仕させられた
『今日は皆のコスプレをさせられた。
挙句にはメイドをやらされ、皆には「お姉ちゃん」と呼ばせられたり、逆らえないのをいいことにセクハラされたりした。
明日もこんなことばかりやらされるのだろうか。身が持つか心配だ。
だが、決意した以上は止めるつもりは無い。絶対にやり遂げる!
そういえば、大和の服を着た時、不思議と体に馴染んだ。まるで、以前にも着たことがあるかのような。まあ、気のせいね。
もう一つ、工廠の妖精さん達が刀を造ってくれた。
白い模擬刀と黒い真剣だ。何故か重くなく、普通に扱うことができた。理由は分からないが、妖精さんらが何かしてくれたのだろう。
でも何でわたしが考えていたデザインだったのだろう? 女になってからというもの不思議なことばかりだ。
とにかく、明日も一日頑張っていこう!』
提督「あぁ…今日は疲れたなぁ…早く寝よ」
それからというもの、わたしは皆のお願いを聞き続けた
正直言うとかなり辛い でも、皆に応えたいという気持ちの方が勝っていた
けど、わたしは自分を見てあげられてなかった
「………」
フラッ
バタン
「司令官っ?!」 「提督っ!」 「医務室へ!早くっ!」
倒れちゃったみたい…
気が付いたら、ベットの上で点滴を打たれてた
(ごめんね…みんな…)
それから皆が来て、無理させて悪かった、と謝られた
勿論わたしは、皆が悪いとはちっとも思ってない わたしがしたくてしたんだから
それで、わたしが眠ってる間に皆で話したらしい
話し合った結果、日曜以外の曜日に一日一人ずつわたしと過ごすということになったらしい 日曜はゆっくり休んで欲しいとのこと
わたしは、それでいいの?と聞いたが
皆は「提督が一番大切だから」と言ってくれた
皆に気を遣わせてしまったようで罪悪感を感じたけど、なにより
皆のその気持ちが嬉しかった
わたしもわたしを大事にしてあげなくちゃね
妖精さんは私たちの背中を押してくれた
提督も私たちに真剣に向き合ってくれた
司令官は私たちの気持ちに応えるって言ってくれた
なら、私たちも…
全力で気持ちをぶつける!!
皆は仲間でありライバルだ
でも…絶対に譲れない!
私たちは決意した
必ず提督を
「私の
「あたいの
「僕の
「オレの
モノにするっ!!!!!!!!」」」」」」」」
「ウチの
「われの
「あたしの
「私たちの
各自で計画する者 複数で組む者
皆それぞれの思いを胸に抱き、決意の眼をしていた
「頑張ってね、みんな」
わたしは今執務室に居る
いつものように食堂へ行くと、皆から、執務室で待っていてほしい、と言われたからだ
コンコン
誰が来るんだろう、と考えていたらドアが叩かれた
提督「どうぞ」
「失礼します」ガチャ
入ってきたのは、予想外の人物だった
提督「大井?どうしてここに?」
大井「私がここに来るのはおかしいですか?」
提督「そういうわけじゃないけど…」
大井「私が皆に頼んだんです。今日提督と過ごすのは私にして欲しいと」
提督「えっ?大井自ら?」
大井「以外ですか?」
提督「う、うん、正直に言うと…」
大井「まあ、提督が思うことはなんとなく想像がつきます」
大井「どうしてかというと、提督に聞きたいことがあるからです」
提督「わたしに聞きたいこと…?」
大井は訝しむような表情で聞いてきた
大井「提督は皆の気持ちに応える、そう言いましたが…本当に出来るんですか?」
提督「えっ…」
大井「本当に艦娘一人ひとりの気持ちに応えることが出来るのでしょうか?」
提督「も、勿論よ…」
大井「どうやってです?」
提督「そっ…それは…!」
その次の言葉が出てこなかった
わたしは皆に応えると言っていても、どうやってそうするのかを考えていなかった
提督「…」
大井「言えないのですか?」
提督「っ…!」
今更言われてそのことに気が付かされた自分が悔しい…自分はなんて甘いんだろう…
はぁ、と大井の溜め息が聴こえた
大井「まったく…提督は本当にいつまで経っても優柔不断ですね…」
心底呆れたように言われた
提督「…そうだよね、大井の言う通りだよね…口ばっかりで何も考えられてない…無責任だよね…」
わたしはやっぱり
提督「…駄目な…提督だ…ね…」ポロ
涙が零れた
無責任な自分が悔しくて、情けなくて 皆に申し訳なくて、応えられなくて
涙が溢れた
涙で滲む視界の先に大井の脚が映った
大井「仕方ありません。私がお手本を見せてあげます」スッ
大井は、わたしの俯いた顔を上げさせ涙を拭った
そして、こう言った
大井「提督、私は貴女を
愛しています」
一瞬何を言われたのか理解出来ずにいたわたしは、気が付くと
大井と3センチも無いほどの距離で見つめ合っていた
突然のことに反応出来ず わたしは後ろに倒れそうになった
しかし 大井がわたしの後頭部に手を回し
わたしの頭をガッチリと押さえた
「んんっ…! ん…! んんっ!」グイグイ
離れようとするも、大井の腕は強く、離してくれそうにない
「んーんー! んっ! んんっ…」
抗議の声をあげるが全く意に介さない それどころか、口内を舌で蹂躙してくる
(もう…だ…め…)フゥフゥ
気を失いかける直前 やっと長いキスから解放された
「ぱぁっ…! はぁ…はぁ…はぁ…」ヘタ
わたしはその場にへたり込み 必死に酸素を取り込んだ
息が整ってきたところで 大井に尋ねた
「ど…どうして…? 大井って、北上のことが」
「ええ、私は北上さんを愛していますよ」
「だったら…どうして…」
「さっき言った通りです」グイッ
大井はわたしの腕を掴むと 隣の自室へと引きずり込んだ
「あっ…布団…」
そこには、朝たたみ忘れていた布団が敷かれたままになっていた
「丁度良いですね」ポイッ
「痛っ!」ボサッ
布団の上に放り投げられた
「ちょっと、何するの」ズシッ
大井が仰向けになったわたしの上に乗った それだけではなく
わたしの両腕、両脚を押さえつけ身動きできないようにされている
「あの…大井さん…?」
大井は何も言わない それがわたしの不安を煽った
「うふふっ…」
大井は小さく笑うと 楽しそうな声で聞いてきた
「提督は…私のこと…愛してくれますか?」
「えっ?! ちょっとどうしたの急に?!」アセアセ
唐突に聞かれ、返事が思いつかない
「いいんです…愛してくれなくても…」
そんなことない、と否定しようとした
が
「でも…今日だけは…私を愛してください」
え?
「私の事だけを考えてください」
ん?
「私も…提督の事だけを考えます」
「だから…」
「貴女も私の事だけを見てください」ニッコリ
その時の大井の眼は 完全に野獣のそれだった
「大井っ!? ちょっと落ち着こう!? ね?」ガシッ
大井は片手でわたしの両腕を押さえつけると もう一方の手を服にかけ
ブチッ ブチブチッ ブチンッ
ボタンごと服を脱がした
ボタンがあっちこっちに飛んだ
ヌギッ バサッ シュルシュル
サラシも解かれ あっという間に上半身裸にされた
「提督の体…綺麗ですね…」
へその周りを人差し指でなぞりながら 舐めまわすように視てくる
「ひゃっ! は、恥ずかしいから服着させてよ~!////」
「そんなの勿体ないじゃないですか。それに…」ツンッ
「ひゃうっ?!」ピクッ
「もう乳首がたってますよ? もしかして、さっきのキスで興奮しちゃいましたか?」ツンツン
「やっ…これは…外気に触れて…寒いからであってそんなんじゃ…んっ…」ピクッ
「そうですか、じゃあ…」
「私が暖めてあげますね♪」
「へ?」
そう言うと、大井は空いている手で胸を弄ってきた
「あっ…ちょっ…なにを んぐっ?!」チュッ
間髪入れずにキスまでしてきた
「んぁ…んぐ…んん…あっ…」
「ちゅるっ…ぢゅる…ちゅっ…」ハアハア
さっきよりも強く、激しく舌を絡まし わたしの口内で暴れる
「あむっ…んっ…むぐっ…やっ…んんっ…」
「ぢゅるるっ…ちゅるん…ちゅるっ…ちゅ…」
長くて 熱くて 粘っこくて 大井の言った通り わたしの体は熱く、火照ってきた
そして やっと手と口が離れた
互いの唾液が混ざり合った糸が 重力に従いわたしの口へと戻ってきた
「あぅ…はぁ…はぁ…はぁ…」トロォ
大井はわたしの顔を見ると うっとりと笑みを浮かべた
「ああっ…貴女のその蕩けた顔…素敵です…!」ウットリ
自分がどんな顔をしてるかは見えないが おそらく、とろとろなのだろう
「もう私…我慢出来ません…!」バサッ
大井は服を脱ぐと わたしの体に自分の体を押し当ててきた
「貴女も…そうでしょう? こんなに熱くなって…」スリ
わたしにも大井の体温が伝わってくる 大井の体も熱く火照っていた
「私ももう…疼いて仕方ないんです。だから…いいですよね?」
気が付けばわたしの体も疼き 大井を求めていた
わたしは無理矢理されるのが好きなわけじゃないけど 大井にここまで求められたことがとても嬉しかった
激しかったけど 同時に優しくもあったから
拒むことなんてしない 拒む理由も無い
だからわたしは 笑顔で答えた
「いいよ」
って
私は提督の事なんて何とも思ってない
提督は自分の上司 それ以上でもそれ以下でもない
私には北上さんだけ 提督なんて眼中にない
「大井っちは提督の事嫌いなの?」
北上さんにそう聞かれたけど 別に嫌いという訳じゃない
仕事はキッチリこなしてるし 指揮も下手じゃない
私たち艦娘たちを第一に考えてくれているし 積極的にコミュニケーションを取ろうとしている
それに 偶然かは分からないけど、私と北上さんが別々に出撃したことは一度も無かった
結論を言うと「普通に良い提督」というのが正直な評価 でも、それだけ
私は提督の事なんて何とも思ってない
何とも
思って
なかった
はずなのに
いつからか、私は提督の事ばかり考えているようになった
北上さんと一緒にいる時でさえ
その時はそんな自分に戸惑いを覚えた
北上さん以外の人の事を考えるなんて…
その時、北上さんが意地悪そうな笑みで私を見ていた
どうかしましたか? と聞くと なんでもないよ と言って
「大井っちも、自分に素直になれるといいねぇ」
まるで、私の思っていた事が顔に出ているかのように言ってきた
ある日、私が秘書艦になった
ただ執務室で書類の整理をしたり、時報を告げたりするだけの簡単なこと
なのに
まったく集中できなかった
提督と視線が合いそうになると、何だか気恥ずかしくなって書類に視線を落とす
以前、秘書艦になった時は何もなかったのに
提督が仕上げた書類のミスを指摘したり、提督よりも先に終えてしまう余裕すらあったのに…
なかなか進まず 提督にミスを指摘され 挙句には私の分まで提督が終えてしまった
提督「大井、大丈夫か? 顔も赤いし、熱でもあるんじゃないか?」
大井「べ、別になんでもありませんから…」
自分の顔に触れてみる 確かに熱っぽい
提督「大井、ちょっとこっち向いて」
大井「な、何ですか」クルッ
振り向いた直後に
ピトッ
提督の手が私の額に触れた
大井「?!」
提督はもう一方の手で自分の額に触れながら
提督「うーん…ちょっと熱っぽいな」ズイッ
提督が私の顔を覗き込んでくる
提督「風邪でも引い——」
パシッ!
乾いた音が執務室に響いた
提督「あっ」
無意識で動いたからか 一瞬分からなかったけれど、すぐに察した
私は 提督の手を払いのけたんだ
大井「な…なに、急に触ってきてるんですか?!」
違う 提督は私を心配して
提督「わ、悪い…そういうつもりじゃ」
大井「もし、同じことを私や北上さんにしたら…酸素魚雷を撃ちますよ!」
私が言いたいのは
提督「ご…ごめん…」
大井「………」
スタスタ ガチャ
バタン
大井「………」
タッタッタッ
~球磨型部屋~
ガチャ
「………はぁ」
やっちゃった…
秘書艦の仕事放って 提督にきつくあたって
(なにやってるんだろう…私)
私はそのまま自分のベッドに倒れ込み目をつむった
自己嫌悪に苛まれながら
コンコン
ガチャ
北上「大井っち、だいじょぶ?」
大井「北上さん…」
北上「具合良くなった?」
大井「あ…はい、大丈夫です」
北上「そっか、はいこれ」スッ
北上さんが間宮さんのアイスを差し出してきた
大井「あの…これは?」
北上「提督が、持っていってくれって言ってアイス券くれてさ。おまけに私の分まで」
大井「提督が?」
北上「そ、あと伝言も」
伝言…
大井(もしかしたら、罰でも受けるのかな… でも…仕方ないか)
私はそんなことを考えながら 罰を受ける覚悟を決めた
けど、北上さんの口からは 全く違う言葉が出てきた
北上「 「無理させて悪かった」 だってさ」
予想外の言葉だった
私に罰を与えるわけでもなく 私を責めるようなことでもなく
私に対する謝罪の言葉だったから
北上「提督はすごく心配してたけど、まあ大丈夫そうだね」
私は罪悪感を感じていた 提督は何も悪くないのに
謝りたい そう思った
北上「じゃ、一回提督に知らせてくるけど、なんか伝えときたい事とかある?」
けれど、私が北上さんに頼んだのは
大井「私は大丈夫です、と伝えてください」
北上「あいよ、じゃまたね」フリフリ
ガチャ バタン
………
別に言えなかった訳じゃない ただ…
北上さんに言ってもらうのでは意味が無い そう思ったから
大井(ちゃんと、直接会って伝えよう)
そう決めた
けど…
作戦が始まり 私も提督も会う時間なんて無かった
作戦終了後の祝勝会では 提督はすぐ部屋に戻ってしまった
大井(明日は出撃も演習も執務もないし…)
そう考え 私は祝勝会を楽しむことにした
けど それも叶わなかった
提督が 女性となってしまった
勿論鎮守府は大騒ぎ それどころじゃあなかった
でも、一回だけチャンスがあった
提督が女性となった翌日の朝だ
朝食を取りに食堂へ来た提督のすぐ傍に座ることが出来た
でも 何も出来なかった
なんて声を掛けたらいいのか分からなかった というのは言い訳だ
本当は
声を掛けることが出来なかった
外見は変わっていても 提督は提督のままだった
けれど 大きく変化したところもある
身体能力が著しく低下し 今では口調も女性になっている
それに…女性特有の弱さというかなんというか… そういうのも加わり、以前の提督とは思えなくなってきた
だからかな 強引にしてみたいと思ったのは
本当にか弱くて 綺麗で ちょっと力を入れたら壊れてしまいそうで
だから 私は決意した
自分の心に決着をつけるため
提督、私は貴女を…
くちゅっ ちゅっ ちゅるっ
小さな部屋の中に二人の舌が絡み合う音が響く
「んちゅ…んんっ…ちゅるん…」
お互いに布一つ纏わぬ姿で密着している そのため相手の体温が直に伝わってくる
「んはぁ…んちゅ…んっ…」
互いが貪るように 相手を求めるように 相手を欲した
彼女の体温が 私に彼女を感じさせてくれる
彼女のキスが 私の心を溶かしていく
彼女が私を求めてくれる だから私も彼女を求める
彼女が私を愛してくれる だから私も
大井を愛したい
「大井ぃ…おおいぃ…」ギュッ
私は、大井にしがみつく腕をさらに強めた
そうしないと、胸が寂しくなる
「もう、提督ったら…まるで子供みたいですね」ギュッ
そう言いつつ大井も抱きしめ返してくれる
それだけで、私の胸は満たされていった
「うふふっ…」ペロッ
「ひゃっ?!////」ビクッ
大井が急に首筋を舐めてきた
チュルッ ペロッ チュルルッ
「ああっ…ひぅっ! あっ…んんっ…!////」ビクッビクッ
首から胸へ 胸から腹へ 腹から下腹部へ そこから…
クチュッ
「あひぃっ!?////」
クチュックチュ ジュルッ チュルルッ
「あっ…んっ…んぁ…あっ…」
「うふふ…提督の体…本当に綺麗ですね…」
へその周りを細い指でなぞりながら 大井は私の秘所を舌で押し広げるように 焦らすように舐め上げていく
「あぅ…んあっ…ひっ…やぁ…」
「こんな可愛い声で喘いで…本当にあの提督なのか疑っちゃいますよ」
「本当…可愛い♪」
大井はそう言って笑うと
ジュルッ ジュルルッ チュルルッ
「ひぐっ?! ま、まって! そんなぁ…ひっ…つよ…く…すわ…んあっ…!」
私の膣内を吸い出さんばかり 大井は唇を密着させ吸いついてきた
チュルッヂュルッ チュパッ ジュルッ
「らめっ…! もうイク…からっ! イっちゃうから! とめ…!」
そんな言葉が届くわけもなく 私はものの数秒で果ててしまった
「イクっ! イっちゃっ…ふああああああああああぁぁぁっっ!!」ビグッビグン
果てる瞬間、体は大きくのけ反り 一気に電流が走ったような感覚に陥る
初めてではないとはいえ 気をしっかり持たないと気絶しそうになる
「はぁ…ふぅ…はぁ…あっ…はぁ…」
「提督…」スッ
絶頂の余韻のなか 大井が私を呼んだ
「そろそろ…私…もう…」
大井は立ち上がっていて 彼女の秘所から流れ出た愛液が太腿を伝っていた
さっき大井は 私を綺麗だと言ってくれたけれど 大井の無駄の無い引き締まった体も
とても 綺麗だ
私の方こそ我慢できそうにない
私も大井が欲しい 大井を感じていたい
私は出せる限りの声で 彼女にお願いした
「私を…
めちゃくちゃにして…ください」
私はその時 理性を捨てた
上司だからどうとか 北上さんがどうとか 他の艦娘がどうとか
そんなこと どうだっていい
私は私に嘘をついてた 自分を騙してた
けど もうその必要も無い
だって 貴女が望んでいるんだもの
貴女の全てを私の全てで愛したい
その顔も 目も 口も 声も 手も 足も 体も 心も
壊してしまうほどに
私は貴女しか見えない 貴女だけしか見ない
だから
貴女にも私だけを見てほしい
私だけを愛してほしい
貴女の全てを
私だけのモノに
私は喰いつくように貴女の口を塞いだ
熱く 激しく 互いの舌を絡め 互いを貪った
さっきのキスなんて 生温く思えるほどに
同時に 貴女の秘所へと手を伸ばす
クチュ
「んあぁっ…!」ビクッ
そこはもうビショビショで すでに準備はできているようだった
「こんなに濡らしちゃって…期待してるんですか?」ウフフ
「ぁぅぅ…////」サッ
「顔隠さなくてもいいじゃないですか」
本当に可愛いんだから
でも、私は提督の腕をどかし 顔を出させた
耳まで真っ赤にしちゃって
そんな貴女に 私は微笑んで 耳元で囁くように言った
「提督…
愛しています」
そして キスをした
同時に
クチュッ
秘所をこすり合わせた
「~~~~っっ?!?!」ビクッビクッ
その瞬間 貴女は大きく体をのけ反らせて小刻みに震えた
果てたんだ 一瞬で
胸の内からふつふつと湧いてくるこの感覚
貴女を私のモノにできたような そんな感じがした
それは 私の胸を高鳴らせた
私はもっともっと激しく動いた
貴女を余韻に浸らせる時間なんて与えない
チュルッ ジュチュッ ジュプッ
「あ”あ”っあっああああっっっ!!!」
「あぁっ…! 気持ちいいですっ! 提督っ!」ハァ ハァ
漏れ出るその甘い声も
零れる真珠のような涙も
貴女に触れる感触も
貴女の全てが 私を燃え上がらせる
その熱で貴女も私も溶かして 混じり合ってしまいたい
いつまでも貴女と
一緒でいたい
「んああっ…! もうイクっ…! イっちゃうよぉ…!」
「私ももう…あっ…我慢でき…んんっ…!」
ジュルッ チュルッ ジュチュ ヂュルッ チュルッ
「あああっ…!こわいっ…! わたしっ…あっ…こわい…よぉ…!」
提督は私にしがみついてきた 私も提督を強く抱きしめた
そして…
「ありがとう…
あなた…」
チュッ
「ふぁっ…ああああああああああああああああっっ!!!」ビクッビクン
ありがとう 私を最後に愛してくれて
そして…
ごめんなさい…提督
私はまだ絶頂の余韻がなくならないでいた
熱がなかなか抜けず まだぼんやりしていた
そこに 大井の声が入ってきた
大井「提督…」
その声はさっきとは全く違う 真剣味を帯びた声だった
私は自分の意識を叩き起こし 大井の方へと向き直った
大井「提督…私は…
あなたを諦めます」
提督「…え?」
まだ意識がはっきりしていないのか 大井の言葉が理解できなかった
提督「諦めるって…どういうこと…?」
大井「私はあなたに恋心を抱きました。しかし、それは私だけではありません。他の艦娘たちもです」
大井「あなたは全員に応えると仰いました。ですが、それはとても大変な事でしょう」
大井「だから…私は、身を引こうと思います」
提督「ど…どうして?」
大井「私は、あなたと、北上さんの二人を愛しています」
大井「ですが、二人を…それに、皆が心を寄せている提督と、北上さんの両方を取るなんて、我儘にもほどがあります」
大井「だったら、私が提督を諦め、身を引けば…!」
提督「ねぇ、大井」
大井「はっ、はい」
提督「大井は何か勘違いしてない?」
大井「え…?」
提督「私は皆に応える、確かにそう言ったわ。その「みんな」に…」
提督「あなたが入ってないわけないじゃない」
大井「っ!」
提督「もし、あなたが私を諦めたら? 私の…大井へのこの思いはどうなるの?」
提督「もしそうなったら、私の思いは一方的なものになってしまう」
提督「一方的な愛なんて…私、いやよ…。それに…」
提督「あなたが我儘だったら、私は一体なんなの?」
大井「あっ…」
提督「いいじゃない、好きなら好きで、愛したいなら愛するで」
大井「で、でも…」
提督「大井、この際だからはっきり言わせてもらうわね」
提督「私は、大井を愛してる」
提督「大井、あなたはどうなの?」
大井「私は…私は…」
私は何を悩んでたんだろう
私はいつまで自分に嘘をついているつもりなの?
いや もうやめよう
私はわたしに 素直になっていいんだから
それに…
貴女は私を愛してくれているんだから
大井「私も…
愛しています」
その時、私は初めて 大井が私への笑顔を見せてくれたのに気付いた
彼女の目から零れる涙は 彼女の笑顔をより一層明るく見せた
大井「そうだわ! 提督が私と、私が北上さんと結婚すればいいんだわ!」
提督「え…えぇっ?!」
大井「うふふ…私と北上さんと提督…うふふふふ…」
提督「ど…どうなのかなぁ…それって…」ハハハ…
『今日は大井と過ごした。 面と向かって話したことも無く、素っ気ない態度を取られてたから、もしかしたら嫌われてるんじゃないかと思ってた。
でも、そんなことなかった。 大井は本心を言ってくれた。 私も、本心を伝えられてよかった。
大井はちょっと不器用だけど、素直になってくれれば…その…積極的というかなんというか…。
と、ともかく 大井と通じ合うことができて本当によかった。
ありがとう、大井。』
提督「ふぅ…」
筆を置いた私は 大井の言葉を思い出していた
『そうだわ! 提督が私と、私が北上さんと結婚すればいいんだわ!』
提督(ケッコン…かぁ…)
ガラッ
私は執務机の一番下にある引き出しを開けた そこには
開かれるのを今か今かと待っている小さな箱と 細かな文字が記されたなにも記入されていない書類一式があった
提督「………」
私はそっと引き出しを閉めると 就寝する為に自室へと向かった
~弓型空母陸上演習場~
提督「あの…私、こういうの初めてで…」
飛龍「大丈夫ですよ、私が手取り足取り教えてあげますから」
提督「でもこれ、どこをどうしたらいいのか…」
手ぶれがひどく なかなか狙いが定まらない
飛龍「ほら、ここをこう持って…」
飛龍の手が私の手をとって導いてくれる
飛龍と体が密着し 飛龍に包み込まれているような そんな安堵感を覚えた
深呼吸をして心を落ち着かせた
飛龍「そう…そのまま…」
ギリリ
私は弦をはちきれんばかりに引き 一点を狙って矢を放った
バシュッ!
ドスッ
提督「やった! 当たった!」
飛龍「すごいじゃないですか! ほぼど真ん中ですよ!」
私は飛龍に誘われてここで矢を射ってみないかと言われてやってみたけれど
提督(なにこれすごい楽しい!)
私はすぐにはまった
その後も飛龍に教わりながら挑戦していたけれど
飛龍が丁寧に教えてくれたおかげですぐにコツを掴み 安定して射られるようになった
飛龍「提督お上手ですね。もしかしてやったことあるんじゃないですか?」
提督「さっきも言ったけど、弓を持つのは初めてよ。興味はあったけれど」
飛龍「そうですか、にしてもセンスありますよ」
提督「飛龍の教え方が上手だからよ。そういえばこの弓って…」
飛龍「それは鳳翔さんが練習用に使っていたもので、初心者でも扱いやすい弓なんですよ」
提督「へぇ…鳳翔さんが…」
飛龍「ちなみに、提督が今着てるそれも鳳翔さんが着ていたものなんですよ」
提督「あっ、どこかで見たことあるなぁと思ったら…」
飛龍(それにしても…提督の弓道着姿様になってるなぁ…)
提督「あれ? 矢が無くなっちゃった…」
飛龍(センスもあるし、このまま教え続けて上達させれば…)
提督「この矢使っていいのかな? まぁいいでしょう」
飛龍(あわよくば私の妹に…いやでも蒼龍が文句言ってくるだろうしなぁ…)
提督「この矢、なんか模様入ってるけど何かしら?」
飛龍(もういっそのこと私たちの妹ってことにしちゃえば…ん?)
ギリリッ
飛龍「?! 提督それ九六艦s
バシュッ!
ボシュウウウッ!
提督「えっ?!」
飛龍「うそっ?!」
ガガガガガガガガガガ
ダダダダダダダダダダ バカーン
ブーンンン…
私たちは一瞬なにが起こったのか把握できなかった
ただ、粉々に砕け散った的と空を舞う九六式艦上戦闘機があるだけだった
提督「び…吃驚したぁ…」
飛龍「え…あ…えっ…?」
提督「あっ! ごっごめんなさい! 普通の矢かと思って…」
飛龍「い、いえ…特に問題はないので大丈夫なんですが…」
飛龍(え? 艦載機って誰でも飛ばせたっけ? いやそんなはず…でも…えっどうゆうこと??)
提督「そっそうだ! お風呂に行かない? これ結構神経使うから汗搔いちゃって…ね?」
飛龍「え、あっはい、わかりました」
提督そ、そう…じゃあ行きましょうか」
私は驚きと疑問を抱きつつ、提督と一緒に浴場へと向かった
~浴場~
ザバーンン バシャー
提督「あぁ~生き返るわぁ~」
飛龍「提督…セリフがオヤジくさいですよ…」女なのに
提督「あら、ごめんなさい。シャワーばかりだったから、湯船に浸かったの久しぶりなの」
飛龍「それなら、これからはここに来ればいいじゃないですか。皆ともおしゃべりできるし」
提督「あっ! それいいかも! 今の体ならなにも問題ないもんね」
飛龍「女性なのにお風呂に浸からないなんて…私なら考えられません」
提督「そうよね~私もシャワーだけじゃ物足りなくって…」
飛龍「だったらどうして今まで浴場に来なかったんですか?」
提督「いや…皆がいつ入ってくるか分からなかったし…」
飛龍「じゃあ夜中にでも…」
提督「一回そうしたんだけど…」
女になる前
提督「海向かい~♪ 願い一つ~♪」
提督「百万石の~♪ 誇りよ~♪ 加賀岬~♪」
川内「歌ってるのは誰だー!!」バーン
神通「素敵な歌声ですね」
那珂「那珂ちゃんと一緒にデュエットしよー♪」
吹雪(改二前)「や…やっと終わったぁ…」ゼェゼェ
睦月(改二前)「もう…動け…にゃいぃ…」グタァ
夕立(改二前)「改二への道は…険しいっぽいぃ…」フラフラ
神通「まだ三分の一もやってませんよ?」
吹睦夕(((鬼だ…(っぽい))))
川内「さぁ! そこにいるのは誰だー!」バッ
提督「あっ…」←全裸
神通「………」←全裸
那珂「………」←全裸
吹雪「………」←全裸
睦月「………」←全裸
夕立「………」←全裸
川内「あれっ?提督じゃん」←全裸
・・・・・・・・・
「「「「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!」」」」」ブブブブブン
提督「ちょっ?! 風呂桶斉射すんのはやめ——」
バコーン
提督「それ以来、夜中に入るのも諦めました…歌声で気付くと思うんだけどなぁ」
飛龍「提督の歌声って高かったじゃないですか」女性みたいに
提督「あうぅ…」
飛龍「まぁ、ご愁傷様です…」
提督「神通と那珂はともかく、あの三人の砲撃(桶)は疲労してたとは思えない威力だったわ…」
飛龍「そういえば…提督ってきつい訓練とかさせませんよね」
提督「そ、そう?」
飛龍「どっちかっていうと甘いですね」
提督「まぁ…皆にはあんまり負担かけたくないし…」
飛龍「多聞丸とは真逆の考え方なんですね、提督って」
提督「あぁ、山口提督はパイロットたちをしごきまくったらしいね」他の兵士もドン引きするくらい
飛龍「そのおかげで、真珠湾で大活躍できたんですよ」ドヤ
提督「も、勿論、私も山口提督を一人の人として、提督として尊敬してるわよ」
提督「でも…私には、山口提督のようにはできないわね…」
飛龍「…提督って、本当に甘いんですね」
提督「否定…できないわね…」
飛龍「でも、私はそんな提督でよかったと思います。他の艦娘達も、そう思っているはずです」
提督「でも…私、山口提督みたいに優秀じゃないし…」
飛龍「なにを言ってるんですか!」ガシッ
私は思わず、提督の肩を掴んで言った
飛龍「提督がいたからこそ、私たちはここにいることが出来ているんですよ? 優秀とかそうじゃないとか、そんな事関係ありません!」
飛龍「提督は、私たちの最高の提督です!」
提督「飛龍…」
はっと我に返り、慌てて手を離した
飛龍「すっすいません! 熱くなってしまって…」
提督「いいの、寧ろ…ありがとう」
提督「私…不安だったの。提督として、しっかりやれているかって」
提督「でも、飛龍のおかげで自信が持てたわ。ありがとう、飛龍」
なんだか照れくさくなって、私は話を逸らした
飛龍「あっ、私、髪洗ってきますね!」ザバァ
提督「そう? じゃあついでに私も…」ザパァ
その時、提督の全身が目に入った
男だったとは思えないほど抜群のスタイルのその体は、私でも見惚れてしまうほどだった
でも、姿は変わっても、提督は提督だ
多聞丸のようじゃなくっていい 私は…
そんな提督が好きなんだから
提督「艦娘音頭で艦隊と~♪ お月様ほら踊ってる~♪」プシュップシュッ
提督「艦娘音頭で提督と~♪ 海の底まで照らしてる~♪」ワシャワシャ
飛龍「提督ほんと楽しそうですねぇ」ワシャワシャ でもなんで艦娘音頭?
提督「だってぇ、誰かと一緒にお風呂なんてすごい久しぶりだし。それに…」
提督「飛龍と一緒にいて楽しくないわけないじゃない♪」
飛龍「えっ?!////」ドキッ
提督「? どうかしたの?」
飛龍「えっ、いやっ、な、なんでもありませんっ!」ジャバー
提督「そう? じゃあ先に湯船に浸かってて。私はまだ時間掛かるから」ワシャワシャ
飛龍「あ、提督の髪結構長いんですね…」
提督「そうなの、だから洗うのが大変で…」
飛龍「…あっ!なら私が洗ってあげます!」スッ
提督「ありがとう。でも、私一人でも洗えるから大丈夫よ?」
飛龍「いいからいいから、私のほうが洗うの慣れてますから、ねっ?」
提督「そ、そう? じゃあ、お願いできる?」
飛龍「お任せください!」
ワシャワシャ ワシャワシャ
提督「飛龍、髪洗うの本当に上手ね」
飛龍「これくらい普通です。髪は女の命ですし。提督も大事にしてくださいね?」
提督「ええ、そうするわ」
バシャー
提督「ありがとう、飛龍。じゃあ…」
飛龍「あっ!まだ座っててください」
提督「え? どうして?」
飛龍「せっかくなんで、背中も流して差し上げます!」
提督「そんな悪いわよ。してもらってばっかりなのに…」
飛龍「いいんですよ。私がやりたくてやってるんですから、ね?」
提督「ううん…じゃあ、お言葉に甘えて」
飛龍(やった!)
ゴシゴシ ゴシゴシ
飛龍「痛くないですか?」ゴシゴシ
提督「大丈夫よ、気持ちいいわ」
飛龍「そうですか! じゃあ…
もっと気持ちよくしてあげますねぇ♪」スッ
提督「え? なにかする—―」
モニュン
提督(なんだか背中に柔らかい感触が…)
ムニュウ モニュッ
提督「あ、あの…飛龍?」
飛龍「ん? どうかなさいましたか?」
提督「いや、あの、当たってる…わよ?」
飛龍「なに言ってるんです? 当ててるに決まってるじゃないですか♪」ムニュン
提督「えっ?」
飛龍「ご存じないのですか? 素肌は素肌で洗ってあげた方が肌にいいんですよ?」
提督「いやでも、これは…そのぉ…////」
飛龍「女の子どうしじゃないですか、恥ずかしがることなんかありませんよ」
提督「う、うん…そう…よね」
飛龍「うんうん、では、前失礼しまーす」
提督「へっ?」
ニュルン
提督「ひゃえっ?! まっまえはいいからっ!」
飛龍「めっ! 大人しくしてください!」
提督「うぅ…」
私は飛龍にされるがまま動かないようにした
ニュリュッ ヌルッ ニュルッ
提督(く…くすぐったい…)フルフル
飛龍「提督の肌、スベスベですね。それに…」
モニュン
提督「きゃっ?!」
飛龍「立派な胸部装甲をお持ちですよねぇ。私と同じくらいかそれ以上じゃないですか?」モニュン モニュッ
提督「ちょっ…あっ…触るのやめっ…」
飛龍「胸の下って、結構汗搔くんですよ? だから念入りに洗わないと…」モミモミ
提督「もうっ! 洗うとか言ってセクハラ行為するのはやめ——」スッ
ツルッ
提督「きゃあっ!!」ドテーン
提督「あいたたた…頭打ったぁ…」
スッ
飛龍が手を伸ばしてくれたので、私は反射的に飛龍の手を掴もうとした
けど
パシッ
提督「あれっ?」
飛龍は逆に私の手首を掴み そのまま
バタン
私に覆いかぶさるように倒れた
提督「えっ、あのっ…飛龍…さん…?」
飛龍「ねぇ、提督…」
飛龍はゆっくりと顔を上げた 妖しげな笑みを浮かべながら
飛龍「私の…
妹になってくれませんか?」
その時の飛龍の眼は 獲物を捕らえた獣の眼だった
提督「あ、あのね、飛龍、前に皆の服着させられた時も言ったけれど…無理だからね?」
飛龍「? どうしてです?」
キョトンとした顔で首をかしげながら聞いてくる
提督「いや…私、駆逐でも巡洋でも戦艦でも、ましてや空母でもないし、それ以前に艦娘じゃないから…」
飛龍は顔を近づけながらさらに疑問を口にした
既に分かっているような口調で
飛龍「でもそれじゃあ…おかしくないですかぁ?」
提督「な、なにが…?」
飛龍「だったらどうして、駆逐艦でも巡洋艦でも戦艦でも、ましてや空母でも、艦娘ですらない。そんな提督がどうして…
艦載機を「発艦」できたんですか?」
私はその事実と今の今まで気がつかなかった自分に驚いた
そうだ、私はさっき——
バシュッ!
ボシュウウウッ!
ガガガガガガガガガガ
ダダダダダダダダダダ バカーン
ブーンンン…
あれは間違いなく、飛龍たちがする「発艦」 そんなこと私が出来るはずがない
でも、私は実際に九六艦戦を「発艦」させた この矛盾が理解できない
飛龍「私ずっと不思議に思っていたんです。どうして提督が女性になったのかって。でも、さっきのでようやく確信しました」
飛龍はそれを焦らすようにしてなかなか言わない
提督「ど、どういうこと…?」
飛龍「分かりませんか? 提督が女性になったのはただの前提条件です。提督は女性になったのと同時に
「艦娘」となったということですよ」
え? どういうこと? 私が?
艦娘に?
飛龍「矢になっている艦載機を発艦させる、それは誰にでもできることじゃありません」
飛龍によると、矢の艦載機を発艦できるのは飛龍や蒼龍たちの弓矢を用いる空母だけ(大鳳もやろうと思えばできるらしいけど)で、弓矢を使わない龍驤たちは矢の艦載機は発艦できないという
逆に言えば、飛龍たちは紙になっている艦載機を発艦させることができない
そして大前提として、発艦させるのは艦娘であるということ つまり
普通の「人間」は絶対に発艦させることができない
じゃあ、弓矢を使って艦載機を発艦させた私は
飛龍「私や蒼龍たちと同じタイプの「空母娘」になった、ということですよ」
提督「私が…空母に?」
飛龍「そうです! じゃなかったら発艦なんてできませんよ」
提督「で、でもちょっと待って! もし私が空母になったとして、私は何型になるわけ? 他に建造された空母はいないし…」
飛龍「建造されなかったとしても、計画された空母ならいますよ。 提督ならご存じですよね?」
提督「もしかして…「白龍」のこと?」
白龍型航空母艦
改マル5計画で改大鳳型として5隻の建造が計画された装甲空母 計画番号はG15 130号艦改とも(130号艦は大鳳のこと)
しかし、ミッドウェーでの損失を埋めるために雲龍型の建造が優先された
最終的に、第三戦備計画の策定によって、5隻の建造は中止となった
結果、白龍型は大日本帝国海軍が最後に設計した本格的空母となった
提督「でも、白龍型は未完のままだったし、改大鳳型だから弓じゃなくて大鳳と同じボウガンを使うだろうし、それに——」
その先は大鳳に失礼な気がしたので言わなかった
飛龍「改大鳳型だからこそ、弓が使えるようになったんじゃないですか?」
提督「そんな適当な…」
飛龍「とにかく! これからは私のことは「飛龍お姉ちゃん」って呼んでくれてもいいんですよ?」
提督「いや…仮に私が白龍だったら大鳳が姉になるんじゃあ…」改大鳳型だし
飛龍「提督が仰っていたじゃないですか! 「皆は家族も同然だ」って! 型の違いなんて大した問題じゃありませんよ」
提督「確かに言ったけど、じゃあ、あなたは蒼龍のことを「蒼龍お姉ちゃん」って呼べるのよね?」
飛龍「あ、いや…蒼龍は双子みたいなものだし…」逸らし目
提督「確か…「蒼龍」は1935年の12月に進水して「飛龍」は1937年の11月に進水したのよねぇ…」チラッ
飛龍「そ、それは軍艦だった頃の話ですし…ね?」
提督「じゃあ、私があなたを「お姉ちゃん」って呼ぶ理由は無いわよねぇ?」
飛龍「あうぅ…」ショボン
提督「…はぁ…いいわ、言ってあげる」
飛龍「えっ?」
提督「お礼と言ったら変だけれど、弓の扱い方も丁寧に教えてもらったし…ね」
飛龍「い、いいんですか?」
提督「ええ、一度しか言わないからよぉく聞くのよ?」
提督「ありがとう! 飛龍お姉ちゃんっ!」ニコッ
提督の言葉と笑顔は大きな爆弾となって私の胸に直撃した
次々と誘爆して理性を破壊していく そして
私の思考回路は遮断された
私が艦娘になった
さっき起こった事がそれを証明している
はっきり言って信じられない
でも
本当に、私が艦娘になれたのだとしたら
こんなに嬉しい事は無い
どれだけ願っただろう どれほど望んだだろう
艦娘となって皆をこの手で護りたい、と
皆に命令して自分だけ安全な鎮守府にいる自分が嫌だった
守られているだけの非力な自分が憎かった
叶わない事だって諦めてた
でも今は違う
私はなれたんだ 艦娘に 空母娘に
今は弱いだろうけど、強くなって皆を守りたい
そして皆に 恩返しをしたい
それが出来るのであれば、私はどんなに辛い訓練でもやってやる
その決意が、私の中に生まれた
もう一つ 私は気が付いた
私は皆に 憧れていたんだって
たまに喧嘩して、仲直りして 助けたり、助けられたリして ふざけあったり、笑い合うことができる
「姉妹」という存在に
甘えられる人、本音を言い合える人、頼ることができる人
心の奥で、私はそんな存在を求めてたんだ
私は呼びたかったんだ
お姉ちゃんって
だから私はこんなにも嬉しいんだ
「皆は家族も同然」
私が言ったその言葉をそのまま肯定するなら
私は 皆の妹になれるってことなのかしら
ペタ ペタ
気が付くと、私はお姫様抱っこされていた
そして歩みが止まった瞬間
バッシャーン
湯船の中に落とされた
湯冷めしていた体が端から温まっていく
「体が冷えちゃうといけないからね」
それは飛龍の声だった だけど何処か違和感があった
普段のほんの少し畏まった口調じゃない もっと親密な者に話しかけるような
そうだ、蒼龍と話してる時の口調だ でもなんだろう、ちょっぴり上から目線のような…
「嬉しいなぁ、まさかこんなにかわいい「妹」ができるなんて」
い、妹?
「弓と…あっ! 着物も用意しなくっちゃ!」
ひ…りゅう…?
「あと艦載機の整備の仕方も…あぁ楽しみだなぁ…」ザバザバ
あの…
「心配しないで、これからは「お姉ちゃん」が手取り足取り教えてあげるから…ね」ニコッ
彼女は満面の笑みだけど、その眼はどこか狂気じみた感じがした
怖い、さっきまでの私だったらそう思ってたでしょうね
でも今は安堵感さえ覚える
「…うんっ!」
私も笑顔で応えた
「じゃあめでたく姉妹になった記念に…」
ガシッ
「お姉ちゃんと楽しいことしよっか♪」
なにが記念なのかよく判らないけど、まあいいや
「痛く…しないでね…?」
「大丈夫大丈夫、やさぁしくするから」
「肩…痛い…」ギュウウ
「あっ! ごめんねぇ」パッ
「もう…んっ」
ちゅっ
「っ?!///」
「んんっ…んふっ…んぐっ…」
ちゅっ……ちゅる……
「…あまり積極的じゃないけど…不満…だったかしら?」
「……うよ…」
「飛龍?」
グァシ
「そんな素直にされちゃったら…抑え…利かなくなっちゃうよ?」ハァハァ
「何を今更言ってるのよ…
私の…お姉ちゃん…」
プツン
「あふっ?!」
じゅる…じゅるるっ…ちゅぱっ…
「んぐっ…ふぅ…あっ…」
「はっ…はぁ…ちゅっ…くちゅっ…」
「あぁっ…はむっ…んむっ…ちゅっ…」
「ちゅるっ…はぁ…はぁ…ふふっ…もう、誰にも渡さないから…」ハァ ハァ
「はぁ…あぁ…ひ…りゅ…」
「なぁに? もっと?」フフッ
「く…」
「ん?」
「くる…し…ぃ…」クラクラ
「へっ?」
カクッ
「あぁっ! 大丈夫?! ねぇ! 大丈———
「——! ——!」
だれ?
「——! ——!」
なんでその名前を知ってるの?
「——! ——!」
ねぇ どうして——
「提督っ! 提督っ!」
「んっ…?」
「提督っ! しっかりしてください!」
「んえ?」
明石「提督っ!」
提督「あれっ? 明石? なんで?」
明石「浴場でのぼせて倒れたんですよ。これ飲んで目を覚ましてください」カラン
提督「あぁ、ありがと。 ここは?」
明石「工廠です」
提督「え? なんで?」
明石「飛龍さんがここへ連れてきたんです。あと注文を一つされましてね」
提督「飛龍が? で、どこにいるの?」
明石 スッ
提督「えっ?」
飛龍「大丈夫ですか?」
提督「…妙に柔らかいと思ったら飛龍の膝だったのね」
明石「あっ、飛龍さん、もうそろそろ完成しますよ」
提督「完成? 何を頼んだの? ていうか何故工廠に連れてきたの?」
飛龍「あっ…いやぁ…それは…」
明石「艤装ですよ。提督、あなたのです」
提督「私の?」
飛龍(明石さん?!)
明石「飛龍さんからお話を聞きましたが…いや、本当に驚きました。まさか艦載機を飛ばすことができたとは…まぁ薄々気付いてはいましたが」
提督「本当に? どこで?」
明石「提督があの刀を手に取った時です。軽々と扱っていましたよね?」
提督「そうだけど…何か関係が?」
明石「艦娘の艤装というのは見た目よりはるかに重いんです。普通の人なら持ち上げることはまず不可能です」
提督「まぁ、深海棲艦を沈められるものだしね」
明石「ですが、艦娘本人は軽いまでとは言いませんがそこまで重くは感じていないんです」
提督「なるほど」
明石「あの刀は妖精さんによって造られました、つまり艦娘の装備だということです」
提督「…そういうことね」
明石「普通の刀すら持てない程弱体化したのにあの刀が持てるなんてありえませんからね」
提督「じゃあ、その時から兆候はあったのね」
明石「話を戻しますが、飛龍さんからあなたの艤装を造るように頼まれまして、もうすぐ完成します」
提督「へぇ…具体的にどんな艤装なの?」
明石「飛龍さんから「白龍型」かもしれないと聞いたので大鳳さんの艤装を基に設計しました」
提督「…ねぇ明石。因みになんだけど、どれくらい資材使ったの?」
飛龍 ギクッ
明石「大鳳さんのをベースにかつその改良型ですからねぇ、大型建造1,2回分の資源を使いましたよ」
提督「飛龍…私の許可も取らないで…」ジー
飛龍「すっすみません!」ペコッ
提督「…ふふっ…ありがとう」
飛龍「えっ?」
提督「なんでもないわ。それよりも、ちゃんと指導してね?」
飛龍「はっ、はい! もちろんです!」
明石「では、こちらで準備していてくださいね」はいどうぞ
提督「これは?」
明石「服ですよ。急いで作ったのデザイン的には殆ど大鳳さんのと同じですが、まぁとりあえずということで。こちらも準備してきます。では…」タッタッタッ
飛龍「さぁ!早速準備しましょう!」手伝います!
提督「えぇ、ありがとう…あれ?」ヌギッ
飛龍「どうしました?」
提督「サラシが無い…」
飛龍「あっ…」
提督「飛龍…まさか…」
飛龍「脱衣所に置いてきちゃいました♪」てへ
明石「提督?よろしいですか?」
提督「え…えぇ…大丈夫…だけど…」
飛龍「わくわく♪」
明石「では、どうぞ!」ポチッ ウィーン
カッ コッ カッ
提督「ど、どうかしら?」
明石「………」
飛龍「………」
提督「あ、あの、二人とも?」
明石「…あなた本当に提督ですか?」
飛龍「ビューティフォー…」
提督「あの、もっと具体的な事言って欲しいんだけど…」
明石「最高です自分が造ったなんて信じられませんちょっといじくってもいいですか?」チャキ
飛龍「写真!写真撮りましょう!明石さんカメラどこですか!」バタバタ
明石「そこにあります早く撮りましょう!」
妖精(船体担当)「いやぁいい仕事したねぇ」
妖精(装備担当)「まさかあんなものができるなんて…」
妖精(甲板担当)「大変だったけど満足満足」
提督「ちょっと落ち着きなさいよ!」
明石「撮りますよー3、2、1…」カシャッ カシャッ
飛龍「私も一緒に撮りたいです!」
提督「女子高生じゃないんだから…」
カシャッ カシャッ
提督「? 明石、二回シャッター押した?」
明石「? いえ、一回ずつ押してますが?」
提督「あれ? なんかシャッター音が連続して聴こえたんだけど…気のせいかしら?」
???「ふふふ…」
青葉「青葉、見ちゃいました! これは大大大スクープです! 明日は大売れ間違いなしですね…」コソコソ
提督「なにかしら…視線を感じるわ…」
明石「提督! 次は実際に海に出ますよ!」
飛龍「じゃあ私も準備してきますね!」
提督「わ、分かったわ」
~海上演習場~
バッシャーン
飛龍「さあ、提督も!」
提督「え、ええ…」
明石「最初は不安かもしれませんが、すぐ慣れますよ。さあ」
提督「そ、そうね…」
不安が無い訳ではない ただ、高揚感と緊張が合い混ぜになってなかなか踏み出せずにいた
私の願いの第一歩 これが私の初めての
「進水」
私は深呼吸をして 水平線を見つめた そして
バッ
青い海へと飛び込んだ
バッシャーーン!!
加古「で、そのまま海にドボーンして風邪引いたって?」
提督「ズビッ、うぅ…情けない…男の時は風邪なんて引かなかったのに…へくちっ!」ブルブル
加古「体はまだ弱ってるんだからさ、無理しちゃあだめだって」
提督「でも、指揮官がこんなんじゃあ…」
加古「はいはい、お粥作ってきたから。ほら、あーん」
提督「あーん…もぐもぐ…美味しい…加古って料理できたのね」
加古「しっつれいだなぁ、お粥ぐらい作れるってば」
提督「それはごめんなさいね。でもまさか…加古に看病されるなんてね」
加古「なんか不満?」
提督「いいえ、でも普段は居眠りしてる加古を私が起こすのが普通だったのに、今は私が寝てるんだもの」ふふっ
加古「そういえばさ、なんで提督は怒らなかったの?」
提督「怒るって?」
加古「いやさ、居眠りしてるとこを古鷹に見つかったらお説教くらうのに、提督はいつも怒らないで優しく起こしてくれたじゃん」
提督「あぁ、確かに居眠りはよくないけど、加古も皆も、頑張ってくれてるの知ってたし、それに…
加古の可愛い寝顔も見られたし、ねっ」えへっ
加古「なっ?!////」
提督「ふふっ…赤くなってる…可愛いっ」
加古「てっ、提督は怒らなさすぎなんだよ、まったく…////」
提督「そうかしら?」
加古「私だって提督が怒ったの一回しか見てないし」
提督「あれ? 私いつ怒ったんだっけ?」
加古「ほら、まだ新米の頃、天龍が入渠ドック抜け出して出撃しようとしてた時…」
提督「うわぁ…思い出したぁ…」イヤァ
加古「まだ修復し終わってないのに出撃しようとしてて…」
天龍『俺の居場所は戦場なんだよっ! 死ぬまで戦わせろっ!』
加古「そしたら提督が天龍を…」
提督「あぁ…言わないでぇ…」
パシッ!
艦娘s「っ!!!」
提督「………」
天龍「いっ…」
天龍「…てぇな! なにしやが——」
提督「死ぬなんて二度と言うな!! お前が居なくなったら残されたやつがどれほど悲しむか分かってるのか?!」
天龍「なっ…!? そんなやつがいるわけ…」
提督「お前たちの誰か一人でも居なくなったら、俺には提督でいる資格は無いんだよっ!!」
天龍「!!」
艦娘s「………」
提督「…来い」ガシッ
~入渠ドック~
提督「脱げ」
天龍「はぁっ?!」
提督「早くしろっ!」バッ
天龍「お、おいっ!」
ペタ ペタ ペタ
バッシャーン
天龍「離せ! 離せって!」バシャバシャ
提督「駄目だ」
天龍「分かった! 入渠する! 大人しくすっから!」
提督「駄目だ、終わるまで離さん」
天龍「本当だって! 頼むから! …て、提督?」
ポタッ
天龍「お、おい、提督…」
提督「頼む…居なくならないでくれ…」
天龍「………」
加古「結局最後まで離さなかったんだよねー」
提督「あの後「あぁ、俺終わったな」って思ったのよねぇ…」
加古「え? なんで?」
提督「だって…皆の前で大声上げて、その上部下に…天龍に手を上げて…龍田に殺されると思ったんだもの」
加古「で、どうなったの?」
提督「案の定、龍田は私の所に来たわよ。でも…「ありがとう」って言いに来ただけで何も無かったの」
加古「やっぱり、提督の気持ちがちゃんと伝わったんだよ。じゃなかったら提督ここにいないって」
提督「うん、そうよね。でも…私は皆に怒るなんてこと…できないわ…」
加古「…どうして?」
提督「よくよく考えたら、私は皆に守ってもらってる身なのよ? それなのに、皆に命令して…怒るなんて…」
加古「………」
提督「でも、昨日、やっと皆に恩返しができるって思ったの。けど…海に浮かぶことができなかった…」
加古「提督…」
提督「馬鹿みたい…一人で舞い上がって、結局何もできない、無力な自分…」ジワ
加古「なあ…」
提督「皆も守りたいのに…恩を返したいのに…皆のために何かしてあげたいのに…私は…私は…!」ポロポロ
加古「提督っ!」
提督「!」
加古「私たちが提督を危険な目に遭わせたいと思うか? 私たちが提督に恩返ししてほしいと思うか?」
提督「でっ…でも…私は…!」
加古「なあ、提督。皆の意見を私が言うようで悪いけど」
「私たちだって提督に居なくなって欲しくないんだ」
加古「提督と同じ様に、私たちも提督が居なくなったら、艦娘でいる意味が無いんだよ」
提督「か…加古…」
加古「だからさ、提督も深く考え込まないでいいんだって。頼むから…
私たちに提督を守らせてよ」
ポロポロ
提督「かこ…加古ぉ…」ガバッ
加古「抱きつかなくていいって、悪化するよ?」
提督「ありがとう…ありがとう…」ポロポロ
「さぁて、さっさと風邪治さないとね」
「うん。ありがとうね、加古」
「いいっていいって…ふわぁぁ…眠い…」
「ふふっ加古らしいわね」
「…提督」
提「ん?」
「一緒に寝ていい?」
「ええ、もちろ……えっ?」
「お邪魔しまーす」モゾモゾ
「ちょっ?!加古っ?!」
「あぁ~あったかい…」
「ちょっと加古?!これ一人用の布団なんだけど?!」
「んん~?」クルッ
「ちっ…近いってば////」
「いいじゃん、お互いの顔がよく見えるし」
「そういう問題じゃあ…」
「………」ジー
「な、何か顔に付いてる?」
「提督…可愛い…」
「き、急になに?! さっきのお返し?!///」
「いや、素直にそう思ったから」
「なんなの…もう…」ドキドキ
「……提督」
「なあに?」
「キスされるのって嫌い?」
「べ、別に... 嫌いではない…けど?」
「そっか、じゃあ…」スッ
ちゅっ
「んんっ……くちゅっ……ちゃぷっ……」
「んくっ…ぬりゅっ……ちゅるっ…」
「ふぅ…なにが「じゃあ」よ…」
「いや、なんとなく…かな?」
「…そう」
クチュッ
「んんっ…////」ピクッ
「提督のここ…湿ってるけど…熱い…」
「そ、それは…ずっと布団に籠ってれば…そうなる…わよ…」
「ふぅーん…」
クチュッ チュリュッ ピチャッ
「くっ…あっ……んふっ…」フル
ゾクッ
「…ねぇ、提督」
「はぁ…はぁ…ふぅ……な、に…?」
「愛してる」
キュン
「あっ…あぁ…ふぁ……ああ……!!」ビクンビクッ
「急に…言うなんて…卑怯よ…」ハァ ハァ
「ごめんごめん、あと一つだけいい?」
「…なに?」
ギュウ
「あったかいなぁ…」
「私は抱き枕じゃないわよ」
「こうしてると落ち着くんだよねぇ。もし嫌だったら止めるけど?」
「いいわ、私も…落ち着くから…」
ドタドタ バタバタ
提督「んっ…?」
ハヤクハヤク マッテッテバー
提督「なんだか騒がしいわね…なにかしら?」モゾ
ズッ
提督「加古、ちょっと離れて」
加古「zzZ」
提督「まったく…よいしょ…よいしょ…」モゾモゾ
青葉「スクープ! 大スクープですっ!」
『提督、艤装を纏い艦娘に?!』
蒼龍「飛龍! これどういうこと?! 昨日何があったの?! ていうかどこいったの?!」
赤城「提督が…ですか…なんだかすごいことになりましたね」
加賀「にわかには信じ難いですが、とりあえず飛龍を問いただしましょう」
瑞鶴「翔鶴姉ぇ…これ、信じられる?」
翔鶴「どうかしら…でも本当だったら、新しい後輩ができることになるわね」フフッ
瑞鶴「その時はしっかり指導してあげなきゃ!」グッ
大鳳「………」フルフル
龍驤「大鳳…心中察するわ…」ポンッ
大鳳「龍驤さん…私…私…!」
大鳳「お姉ちゃんになれるんですかっ!?」キラキラ
龍驤「ってそっちかーい!」
電「な、なんだか大騒ぎになってるのです」
雷「司令官が艦娘になったって言ってるけど、本当なのかしら?」
電「多分本当なのです。さっき工廠で明石さんが見たことない艤装をいじってたのです」
雷「じゃあ本当のことなのね…って、なんで修復剤持ってるのよ?」
電「さっき明石さんから「ヒビが入った窓ガラスがあるから直してください」って頼まれたのです」
雷「それって明石さんの役目じゃないの?」
電「手が離せない、だそうです」
雷「そう…じゃあ私も手伝うわ!」
提督「皆…一体何を騒いでるのよ…」ブルブル
「だから私も手伝うって言ってるじゃない!」
「電一人でもできるのですっ!」
提督「あれ?ここの窓ヒビ入ってるし…」
雷「私に貸しなさいよ!」
電「大丈夫なのです!」
提督「後で明石に言っておかないと…」スタスタ
雷「わぁっ!」
電「きゃあっ!」
ブンッ
提督「へっ?」
バッシャーン ガラン ゴロン
雷「あっ…」
電「はわわわぁ…」
提督「………」ポタポタ
電「し、司令官さん…大丈夫、ですか?」
提督「………うふふ」
雷・電「へ?」
提督「ええ!勿論絶好調よ!」
雷・電「え?」
提督「うふふ…なんだか…火照ってきちゃった…」
タッタッタッ
電「司令官さん…どうしちゃったのです?」
雷「さぁ…?」
加古「zzZ」
「加古♪ 加古♪」
加古「んんっ?」ムクッ
提督「えへへっ」ハァハァ
加古「…!? 提督?! なんで脱いでるの?! 悪化するよ!?」
提督「大丈夫…今すっごく体調いいから…でもなんだか体が火照っちゃって…静めてくれない?」ハッ ハァ
加古「提督っ?! 眼が怖いよ!?」
提督「うふふふふ…」チュルッ
『昨日は風邪で書けなかったから今日の分と合わせて書くことにする。
昨日、明石が私の艤装を造ってくれた。でも、海に浮かぶことはできなかった。しかし、艦載機を飛ばすことはできる。艤装を調整してまたチャレンジしてみるとのこと。
今日は風邪で寝込んでいた。でもなぜだか途中からの記憶が曖昧になっている。なんだか加古に大変なことをしてしまった気がする。謝っておこう。
今回は失敗に終わったけど、もし、私が海を駆けることができるようになったら、その時、私は皆を守れるだろうか。
いや、守れるかどうかじゃない。守るんだ。
でも、加古に言われたこともちゃんと受け止めないといけない。難しいなぁ。』
私が初めて彼女に会った時、私は不思議な感覚に襲われた
初めて会ったはずなのに、言葉を交えたこともないのに
やっと会えた、そんな風に感じた 生き別れた家族と再会できたような
彼女の声が懐かしかった ずっと前に話したことがあるみたいに
なんでだろう 自分でもわからないや
でも胸の奥で どうしてなのか 知ってる気がする
でも分からないの 思い出せそうで思い出せない 何かが邪魔をしてるみたいに
ただ、直感的に感じたことがある
私は彼女を
私は…彼女の…
大和「提督?」
提督「ん? なぁに?」
大和「いえ…元気がないようにみえたので…」
提督「そう? 私は大丈夫よ」
大和「そうですか、お体には気を付けてくださいね?」
提督「ええ、ありがとう。そういえば、昨日皆が騒がしくしていたけれど、なにかあったの?」
大和「あっ! そのことについてなのですが…お聞きしたいことが」
提督「なに?」
大和「昨日、「提督が艦娘になった」と皆さんから聞いたのですが…本当なのですか?」
提督「えっ? 何で皆そのこと知ってるの? 明石と飛龍以外知らないはずじゃ…」
大和「では…本当なんですね?」
提督「…ええ、本当よ。でも私は…海に浮くことはできなかったの…だから、艦娘になれたのか…本当の所はわからないわ」
大和「そうですか…。提督は、海に出たいとお思いなのですか?」
提督「もし叶うなら…そうしたいわ」
大和「でも…それは戦うということ…ですよね」
提督「そうなるわね」
大和「大和は…提督にそんなことしてほしくありません。提督が傷つくなんて…絶対に嫌です!」
提督「大和…」
大和「あっ…申し訳ありません…怒鳴ってしまって…」
提督「いいの、そう言ってくれて嬉しいわ」
提督「…でも、私もそうなの」
大和「えっ?」
提督「皆はいつも死と隣り合わせで戦ってる、毎日のように」
提督「皆が傷を負う度に、私は怖くて恐くて仕方がないの」
提督「皆が消えてしまうんじゃないかって」
提督「そんなことを考えると…怖くて…こわくって…」
提督「皆がいなくなってしまったら…私は…私は…!」フルフル
大和「安心してください」ギュ
大和の手が私の手に重なった
大和「大和たちは絶対にいなくなったりしません」
大和の声が、言葉が私の心に響いた
大和「提督がいるから、大和たちも此処にいるんです」
だから
大和「提督も、ずっといてください」
大和「それが大和たちの願いです」
分かったわ
提督「私も絶対にいなくなったりしない」
だから
提督「あなたたちも、ずっといてね」
提督「それが私の願いだから」
大和「はいっ!」
彼女の笑顔は心強くて、健気で、そして
桜のように美しかった
提督「大和の髪、とても綺麗ね」
大和「あ、ありがとうございます//// 提督の髪もお綺麗ですよ」
提督「そう?ありがとう」
大和「提督は髪を纏めたりはしないのですか?」
提督「私?私は、う~ん…髪型とかよくわからないし…」
大和「でしたら、ポニーテールにしてみるのは如何ですか?」
提督「大和みたいに?そうね…じゃあやってみようかしら!」
大和「分かりました。では道具を取ってきますので、少々お待ちください」
提督「えぇ、分かったわ」
ガチャ バタン
提督(髪型…ねぇ…)スタスタ
鏡の前に立って自分の髪を手のひらに乗せて持ち上げてみる
長いストレートの黒髪がさらさらと手から流れるように落ちていく
提督「あれ…?」
女になったばかりの頃、腰近くまで伸びていた髪
それが今では太腿まで伸びていた
提督(髪ってこんなに早く伸びたっけ?)
ガチャ
大和「お待たせいたしました。」
大和が色々な道具を抱えて戻ってきた
提督「?」
そこには髪をいじるのに関係ないものもあった
大和「どうぞ、こちらへ」スッ
大和がドレッサーの椅子を引いて誘導する
提督「ふふっ、まるで美容師さんね」ストン
大和「戦艦「大和」には裁縫手や洗濯手、割烹手に理髪手などの色々なプロが乗っていたんですよ?」
提督「じゃあ髪をいじるのも十八番ってことね」
大和「もちろんです! あっ!今「ホテルみたい」って思いましたね?」
提督「いいえ、思ってないわよ?」ウフフ
大和「笑ってるじゃないですか! もう……ふふっ♪」
提督「あははっ、じゃあお願いします」
大和「お任せください!」
サーッ サーッ
大和「提督の髪、よく手入れされていますね」
提督「そう?男の時は髪なんて気にしなかったけど、大切にしろって言われてから気に掛けるようになったわ」
大和「ぜひそうしてください。髪は女の命とも言いますから」
提督「えぇ、そうするわ」
大和「それにしても…懐かしいです」
提督「懐かしいって?」
大和「小さい頃、こんな風に武蔵の髪を大和が整えていたんです」
提督「へぇ…仲が良かったのね」
大和「はい!とても仲良しでした。昔は「大和お姉ちゃん」って呼んでくれてたのに、今では呼んでくれなくなっちゃって…」
提督「きっと、照れくさいのよ」
ふと、楽し気に話している大和と武蔵の姿が頭に浮かんだ
提督(本当…仲がいいのね)
大和「提督、目をつぶっていただけますか?」
提督「? 分かったわ」
シュル シュル
パチッ
大和「終わりました、どうぞ」
提督「あっ…これって…」
一つに纏められた髪は頭を少し動かす度にゆらゆらと揺れ それと同時に
大和「はいっ!大和の使っているものと同じものです。どうぞ使ってください」
電探を模した髪留めと、そこに咲く桜の花が揺らいだ
提督「綺麗…」
それ以上の言葉が出なかった
かけがえのないものを贈ってもらったみたいに 喜びで胸がいっぱいだった
提督「ありがとう…大和、本当にありがとう。大切にするわね」
大和「喜んで頂けたのなら大和も嬉しいです♪」
大和「あの…提督…」
提督「なぁに?」
大和「もしよろしければ、なんですが…その…」モジモジ
口ごもる彼女の手には、さっき私が気になったものがあった
大和「「これ」を…着ていただけませんか?」
それは大和の制服だった
提督「ええっと…ここが…これで…あれれっ…?」アタフタ
大和「ほらっ、ここをこうして…」スッ
提督「あ…ありがとう…」
大和「大和が着つけて差し上げますから、じっとしていてください」
提督「え、ええ…」
その時の大和の表情は、さっき武蔵の話をしていた時と同じだった
具体的に言い表すなら…そう、まるで
妹を気遣う「姉」の表情だった
大和「終わりましたよ、提督。着てみてどうですか?」
提督「えぇ、サイズもぴったりだし、着づらくはないけど…ちょっと恥ずかしいわね…」
大和「とてもお似合いですよ?さぁ、鏡でご覧になってください」
大和が私を鏡の前に誘導する
提督「そ、そうね…」
何故だか、緊張する
スタッ スタッ スタッ
提督「っ!」
膝まで届きそうなほど長く伸びた黒い髪 それを纏める電探の髪飾り
金色の桜の紋章がある艦首を意識した金属輪
前止め式の紅白のセーラー服 首元にまかれた金の注連縄
脇下で胴体部と繋がっている肩が露出した袖 左腕にはZ旗の腕章が付いていて、手のひらの半分まで覆うほど長い袖口
両腰の部分が露出した赤いミニスカート 下着まで用意されていて、露出した紐には錨が掛けられている
足は左右非対称の紺の靴下 左足は外側に「非理法権天」の文字が書かれたニーソックス
もしも、私が大和と同じこげ茶色の髪と、同色の瞳だったら 私ですら、自分を大和と見間違えていたでしょうね
大和「改めてご覧になってみて如何ですか?」
提督「………」
大和「提督?」
ツゥ
何か 生暖かいものが頬を伝った
大和「てっ、提督!?」
提督「えっ…?」
拭ってみると それは
涙だった
提督「えっ…? どうし…て? なんで…こんな…」ポロポロ
大和「ど、どうなさいました!?」
提督「わから…ない…悲しいわけじゃ…ないの…に…あれっ…?あれ…?」ボロボロ
何か悲しい訳じゃないのに、何処か痛い訳じゃないのに
ただ、胸の奥が苦しくて 辛くて 締め付けられるみたいで
わけも解らずただただ涙が溢れた
提督に大和の服を着てもらいたい、何故そう思ったのか、大和にも分かりません。
ただ、絶対に似合うという確信が、心の何処かにありました。
着付けを手伝っている際、昔のことを思い出しました。
幼い頃、同じように着替えを手伝っている自分と、武蔵を。
差し出がましいようですが、提督と武蔵を重ねていたのです。
いえ、違いますね。
海に出られるならそうしたい、そう仰った時から重ねていたのです。
以前、武蔵は、皆を守る為なら喜んで戦うと言ったことがありました。
それが彼女の意思であるなら、大和は、艦娘として、そして一人の姉として、彼女を支えるつもりでした。今でもそれは変わりません。
提督も、武蔵と同じなのでしょう。
提督にとって、大和たちを失うことは、何よりも恐ろしいことなのでしょう。
しかし、大和たちとっても、提督を失うということは、自身を失うことよりも怖ろしいことなのです。
だから、大和たちが、大和が、提督を守りたいのです。
大和「て、提督?」
突然、涙を流し始めた提督に思わず駆け寄ろうとした瞬間、胸に小さく重い衝撃を感じました。
それは微かに震えていて、暖かくて、まるで子猫のような……。
大和「提…督……?」
提督「…と……や……や…と……」
胸に顔を押し付けながら、何か呟いて、そこから少し顔を上げて——
大和「……っ!////」
大和は殿方ではないため、殿方が女性のどのような仕草が好みなのかは分かりません。
しかし、上目遣いが、しかも潤んだ瞳が、これ程までの力を持っていたとは思いませんでした。
提督だから、なのでしょうか。なんであれ、それは大和に邪な気を起こしかけました。
何を考えているの! 相手は提督であるというのに。 と、刹那でもそんな事を考えた自分を叱責しました。
なのに、まるで追い打ちを掛けるように提督は
提督「大和ぉ…やまと……やま…と……」
嗚咽を含みながら、ましてやそんな消え入りそうな声で呼びかけてくるなんて、卑怯にも程があります。
そしてお終いには
提督「しばらく、このままで居させて……お願い……」
そんなことを言われては、さすがの大和も理性を保つのは困難です。
ですが、この大和、我欲に流されるわけには参りません!
今にも暴発しそうな本能を抑え付けつつ、提督が安心できるよう、そっと応えました。
大和「ええ、大丈夫です。大和はいつも、お傍に居ます」
提督「ありがとう……」
震えは止み、代わりに、しがみつく腕の力が強まるのを感じました。
一瞬躊躇いましたが、こちらからも腕を回し、覆い被さるように、優しく、抱きしめました。
その間、時間がゆっくりと流れるようで、表現し難い心地良さを覚えました。
大和(この時が、ずっと続けばいいのに)
そんなことを願いながら、提督の温もりを感じていました。
大和「ずっとお傍にいます、提督」
だから
大和「提督も、ずっと、傍にいてください」
どの位の時間が経ったでしょうか。
気付くと、窓の外は既に暗くなっていて、室内はぼんやりとしか見えなくなっていました。
大和「提督? 提督?」
いつの間にか寝てしまったらしく、静かな寝息が聞こえていました。
うっすらと見える提督の寝顔は穏やかで、本当に、どこにでもいるような女の子のようで、まるで——
妹みたい
はっ、と我に返って時間を確認すると、もう夕食の時間近くになっていました。
大和(提督に夕食を作ってきて差し上げましょう)
そう思いつき、立ち上がろうとしました。が、提督に抱き付かれたままでした。
名残惜しいですが、提督をソファーに寝かせてから部屋を出ようとしました。
大和「少し待っていてくださいね」
パタン
提督「んんっ……」
まどろみの中で目を覚ますと、そこは真っ暗な部屋だった。
提督(私、いつの間にか眠ってたのね……)
光が無いせいか、なかなか頭が完全に目覚めなかった。
提督「大和……?」
大和の姿は既になく、反射的に時計を見る。もう夕食の時間だ。
食堂に行ったのかな、と推測し早速部屋を出て食堂へと向かった。
~鎮守府内廊下~
清霜「今日も一日頑張ったぁ! 明日も特訓頑張ろうっ!」
霞「あんた本当に飽きないわねぇ……」
清霜「戦艦になる為だもん! 毎日特訓しなきゃ!」
霞「あのねぇ……駆逐艦は戦艦には——」
清霜「あっ! 大和姉さまだ! やっぱりカッコいいなぁ……」キラキラ
霞「………」
霞(そんなに眼を輝かせてたら、言えないじゃない……)
清霜「大和姉さまもカッコいいけど、武蔵さんもカッコいいしなぁ……」
霞「…ま、いいんじゃない? 努力することは良いことだし。私も、特訓付き合ってあげるわ」
清霜「えっ?! 本当っ?!」
霞「努力はいつか報われるっていうし、諦めなければ、いつかは叶うかもしれないしね」
清霜「うんっ! 霞ちゃんありがとう!」
霞「ふふっ、お礼なんていらないわよ。さぁ、戦艦になりたいならしっかり食べないとね。早く食堂に行くわ……えっ?!」
清霜「? どうしたの?」
霞「いっ、今、大和さんが……」
清霜「うん。今通ったけど?」
霞「いや、そうじゃなくって、大和さんが通った後に大和さんが……あんたは見てないの? え? えっ?」
清霜「霞ちゃん……疲れてる?」
~食堂~
飛龍「だからーそれじゃあ地味過ぎるんだってば、私の着物みたいにもっと彩りを……」モグモグ
蒼龍「飛龍のは派手過ぎなのよ、私のみたいなもっと落ち着いた……」モグモグ
加賀「二人とも、食べながら話すのは行儀が悪いわよ。それと、提督には私や赤城さんのと同じシンプルなものを着させるべきだわ」
飛龍「なにそれ!? そっちのは華が無さすぎなのよ!」
蒼龍「そうよ! 提督まで2Pカラーにするつもり!?」
加賀「頭にきました」
赤城「皆さん落ち着いて……」
艦娘s(食事中くらい静かにし(ろ)(なさい)(てください)よ……)
ガララッ
艦娘s(提督っ?!)
大和「あら、皆さんお揃いで」
飛龍「大和さーん、提督は?」
大和「部屋で眠ってらっしゃいます。なので夕食を作りにきたのですが……」
飛龍「そっかぁ……聞きたいことあったんだけどなぁ」
蒼龍「そのうち来るんじゃない? 提督もお腹空かせてるだろうし」
飛龍「それもそうね! じゃあ、ゆっくり待って——」
ガララッ
飛龍「おっ? 噂をすればなんとや………」
提督「あっ、やっぱり皆揃ってたわね。まぁ、当然と言えば当然だけど」
「………………」
提督「? 皆どうかした?」
皆は私を見ては大和を見て、大和を見ては私を見てを繰り返していた。
そして、皆の表情は次第に驚きへと変わっていき——
艦娘s「大和さんが二人いるうぅぅぅぅぅっ!!?」
あっ
服、そのままで来ちゃった……
『なんだか最近、私、泣いてばかりいる気がする。心が弱くなった? それとも、何か別の理由があるのかしら。
何にしても、泣いてばかりいるようじゃ、提督としての面目は丸潰れになってしまう。そんなこと、あってたまるもんですか。
だから、もう泣かない。絶対、何があっても。次に泣いていいのは……いや、うーん……。やっぱり駄目、泣くのはもう禁止。
それに、私にはお守りがあるから。大和にもらった、大切な。だから、大丈夫。
もし、私にお姉さんがいたとしたら、大和みたいな人だったかな?
なんてね。
さぁ、明日も頑張っていこう!』
~海岸~
一歩一歩、砂が擦れあう感触を楽しむように歩く。
響いては消えていき、消えては響く波の音が自然のBGMのように流れている。
潮風は私の長い髪をなびかさせ、体をすり抜けていく。
あの頃と何も変わっていない。
変わった所と言えば、私は新米ではなくなったということと、彼女もあの頃とは比較できない程強くなったっていうことぐらいかしら。
あの頃はよくここに来ていたけど、月日が経つにつれて訪れる頻度が少なくなっていって、何時しか来なくなっていたけれど、改めて時の流れというものを実感させられた。
提督「ありがとう」
私の前を私よりも楽しそうに歩く彼女に声を掛けた。あの時も一緒に歩いていた彼女に。
提督「吹雪」
吹雪「急にどうしたんですか?」
——ううん、と首を横に振って。
提督「なんでもないわ。ただ、あの頃と随分と変わったなぁって思って」
そう。本当に変わった。仲間が増えて、鎮守府の規模も大きくなって、皆も強くなって……。
吹雪「確かに、変わりましたね。ほんの少し前のことみたい……。なんだか不思議ですね」
提督「そうね…。ところで、どうしてここに連れてきたの?」
わざわざ誘ったってことは、何かあるのかしら。
吹雪「ここは私のお気に入りの場所で、今もよく来ているんです。だから、前みたいに司令官とまた一緒に来たいなって思いまして」
提督「吹雪……。ごめんなさい、一緒に来てあげられなくて」
吹雪「いいんですよ、司令官」
——またこうして一緒に歩いてるんですから、と笑ってくれた。
その笑顔に私は何度助けられたことだろう。
提督「もし吹雪が居なかったら、今の私は居なかったでしょうね」
吹雪「そんなっ! 私はだって、司令官が居なかったら今まで頑張ってこられませんでした。今の私がいるのは、司令官のおかげですよ!」
——だから
吹雪「これからも、ずっとずーっと、司令官は司令官でいてくださいね?」
——絶対ですよ、と釘を刺されちゃった。
提督「勿論よ。その代わり、吹雪もずっと私の傍に居てね?」
吹雪「はいっ! 司令官っ!」ビシッ
彼女の敬礼する姿は、あの頃と違い、とても心強く感じた。
提督(一番変わったのはあなたね)
提督「ふふっ…」
吹雪「なっ、何で笑うんですかっ!?」
提督「いえ、なんだかプロポーズみたいだなぁって」
吹雪「ぷ、プロポーズっ?!」////
提督「…ねぇ、吹雪。もう一つ、お願いしてもいいかしら?」
吹雪「えっ、あっはい!」
ふぅ、と深呼吸して、はっきりと言う。
提督「私と、付き合ってくれない?」
吹雪「…………」
沈黙した私たちの周囲に、波の音だけが響く。
私の言葉が理解出来てきたのか、吹雪の顔がみるみるうちに紅潮していく。
吹雪「へ? あの…いま、な、なんて?」////
提督「だから…その……もう…」////
私の方まで顔が熱くなってきた。私も私でかなり恥ずかしい。けど…。
提督「あと一回しか言わないから、よく聴いてね?」
提督「私と、付き合ってください」
吹雪「つ、付き合ってって……わ、私? えっでもなんでいま? えっ…? えぇっ?!」////
紅潮した吹雪の顔はさらに赤くなっていき、煙でも噴き出すんじゃないかと心配になった。
吹雪「え、えっと、その、あの、あぁ……」フラッ
提督「ふ、吹雪っ?!」
倒れそうになった吹雪の体を慌てて抱きかかえた。
一瞬触れあった頬からすごい熱を感じた。
提督「と、とりあえず、部屋に戻りましょうか」
私は吹雪を、いわゆるお姫様抱っこした状態で鎮守府へと戻った。
~執務室~
提督「や、やっと着いた……」ハァハァ
海岸から鎮守府まではそう遠くはない。というか、歩いてすぐの距離だ。
けど、体力の低下した私、しかも吹雪を抱いたまま走って来たため、すっかり息が上がってしまった。
提督(も、もっと、体力付けないと……ね)フゥフゥ
呼吸を整えつつ、ソファーにそっと吹雪を下した。
提督「……?」
吹雪の体がソファーに触れたのを感じ、腕を離そうとした瞬間、吹雪の腕がさらに強く私の首に巻き付いた。
吹雪「えへへっ……」
吹雪はこちらに顔を向け、いじわるそうに笑った。
吹雪「もう少しだけ、このまま……」
提督「え、えぇ…」
私は吹雪を抱きかかえたまま、ソファーに腰を下ろした。
吹雪「重くないですか?」
提督「うん、大丈夫よ」
座った状態なら疲れないし、なにより、体が密着して吹雪の体温が直に感じられる。私はそれに心地良さすら感じていた。
吹雪も同じなのか、猫のように体をすりよせ、リラックスしている。
とても静かで、穏やかな、安らぎに満ちた空間の中、私と吹雪は時間が経つのも忘れ、互いの温もりに浸っていた。
吹雪「…あの時も、こんな風に抱いていてくれましたよね」
静寂の中、吹雪がぽつりと呟いた。
提督「あの時って?」
吹雪「まだ私が改にもなっていない頃、大破して帰投した時のことです」
吹雪は懐かしむように、少し恥ずかしそうに、嬉しそうに話した。
吹雪「ぼろぼろになった私を、司令官が抱きかかえてドックまで運んでくれて、修理中ずっと抱きかかえたまま「ごめん、ごめん」って泣きながら謝ってましたよね」
提督「…あの時、もし吹雪が居なくなってしまったらって考えたら、恐怖でどうにかなってしまいそうだった。あなたが「大丈夫です」って言ってくれた時は、心から安心したのを、今でも憶えているわ」
吹雪「私も、提督が傍に居てくれてすごく安心しました」
——今みたいに、と隙間の無い体をさらに密着させながら
吹雪「この鎮守府も、私たちも、司令官も、大きく変わりました」
——でも、とさらに続けて
吹雪「女性になっても、司令官は司令官で、何も変わってなくて、なんて言うと変ですけど」
彼女はおかしそうに笑った、以前と変わらぬ笑顔で。
吹雪「それが嬉しくて、そうなってくれてよかったなぁって思って。それで…さっきの返事、なんですが…」
少し口籠り、それから真っ直ぐにこちらの瞳を見つめながら
吹雪「こんな、ふ、ふつつか者ですが、よっよろしくお願いします!」////
私に抱かれたままの少女は、顔を赤らめながら、とびきりの笑顔で返事をしてきた。
こんな
——こんな状態のまま、今言ってくるなんて、ズルいじゃない。
ただでさえ、互いの吐息がかかるほどの距離しかない顔を、双方からさらに近づけた。
それは、互いが互いに、恋人としての、初めてのキスだった。
吹雪「これからも、よろしくお願いします!」
その笑顔は、友人でも、親友でも、部下でも、少女でも、艦娘でもない。
ただ、一人の、愛しい人の笑顔だった。
吹雪「司令官は夢ってありますか?」
提督「唐突ね……あるにはあるけれど、どうして?」
吹雪「いえ、なんとなく気になったので。で、どんな夢なんですか!?」
ずいっ、と興味津々といった感じの目で詰め寄って来た。
吹雪「司令官の夢、私すごく気になります!」
提督「えぇっと……無いってわけじゃないのだけど、その、なんて言ったらいいか……」
吹雪「? 言いにくい事なんですか?」
提督「言いにくいというか、なんというか……」
ハッキリ言うと、それが夢なのかと問われて即答できる自信が無いのだ。
提督「私、死ぬことが夢だったの……」
吹雪「え……?」
提督「あ、いや、そういう意味じゃなくって!」
あらぬ誤解を招きそうだったので慌てて補足する。
提督「私ね、幼い頃から桜が好きで、死ぬときは桜の様に美しく……なんて思ってたの」
吹雪「そ、そういう意味でしたか。吃驚しましたよ、もぅ」
提督「ごめんなさい。でも、今は違うから安心して」
死が夢だなんて憂鬱だし、縁起でもない。
なにより私には、やらなければならないことがある。
提督「私の夢は、皆を護ること、皆と一緒に静かな海を取り戻すこと、そして、全てが終わったら——」
皆と一緒に
提督「……静かに暮らすこと、かしら」
途中の言葉はさすがに自分勝手過ぎるし、夢の見すぎだと思ったので、自重した。
吹雪「本当ですか?! よかったぁ♪ 私もおんなじです、はいっ!」
提督「あら、そうなの?」
吹雪「ええ。私も強くなって、皆を護ることが出来て、平和になったら……ずっーとーひなたぼっこしていたいです」
——出来れば、司令官と一緒に……。
提督「…………ふふっ」
吹雪「なっ、なんで笑うんですか?!」
提督「だって……んふふっ……あまりのにも吹雪らしくって……あっははは」
吹雪「笑わないでくださいよ! これでも真面目なんですからっ!」
提督「分かってるって……ふぅ……ごめんなさいね?」
吹雪「いやです! 許しません! 真剣に言ったのに……笑うなんてひどいです!」プイッ
提督「許してよぉ。お詫びに何かするから、ね?」
吹雪「……本当ですか?」チラッ
提督「本当よ」
吹雪「何でもですか?」
提督「私に出来る範囲内なら」
吹雪「じゃあ……約束してください」
提督「約束?」
吹雪「「吹雪の夢が叶うまでずっと私たちの傍に居る」って、約束してください」スッ
いつになく真剣な眼差しで私を見つめながら、右手の小指を突き出してきた。
吹雪「嫌とは言わせませんからね」
提督「……ええ、もちろん」スッ
吹雪の夢が可笑しくて笑ったんじゃない。
ただ嬉しかったの。吹雪と同じ夢を持ってるってことが。
提督「約束するわ」
互いの細くか弱い小指が、強く、固く結ばれた。
吹雪「破っちゃだめですよ?」
提督「もし破ったら?」
吹雪「絶交です。口を利くことはおろか顔も合わせません」
提督「そんなことされたら私死んじゃうわ……」
あなたの夢が叶うということ、それは私の夢が叶うということ。
吹雪「だ・か・ら、ぜったい、破らないでください。いいですね?」
提督「了解しました。じゃあ——」
だからでしょう? ねぇ、吹雪。
提督「吹雪もずっと、私の傍に居てね」
吹雪「——はいっ!」
やっと、笑顔に戻ってくれた。
提督「あっ、もうこんな時間。そろそろ食堂に行きましょう」
吹雪「そうですね。私もお腹空いちゃいました」
提督「そういえば、吹雪」
吹雪「はい、何ですか?」
提督「さっき、「ひなたぼっこしていたいです」って言った直後、何か呟かなかった?」
吹雪「ふぇっ?! なっ、何も言ってませんです! はいっ!」
提督「そう……」
少し意地悪しちゃってごめんね、吹雪。
私って、耳はいい方なの。
しっかり聴こえてたわ。
それも含めて、嬉しかったのよ。
だからちゃんと、言っておきたいの。
提督「……ねぇ吹雪」
吹雪「はっ、はい!」
提督「急に「付き合って」なって言ってごめんなさいね」
吹雪「い、いえ! 謝られるようなことは何も! ……でも、どうして急に?」
提督「ほら、私は「皆は家族だ」って言っていたけれど、結局は上官と部下の関係でしかないでしょう?」
吹雪「確かに、立場上はそうなってしまいます」
提督「私情を挟んじゃいけないのは分かってる。けど、私はそれがいやなの。だから……皆とは、ちゃんとした関係を持ちたいと思って」
吹雪「それは……他の艦娘の皆さんともお付き合いしたい、ということですか?」
提督「そう、なるわね。吹雪はそういうの、いや……だよね」
恋人が他の者と恋人になる。普通に考えれば、我儘も甚だしい。
元を正せば、優柔不断な自分が悪いのだから。
提督「ごめんなさい、今のは聞かなかったことに——」
吹雪「そんなことありません」
提督「えっ?」
予想外の言葉に思わず歩を止めた。
吹雪も私の数歩先に進んでから歩みを止めた。
吹雪「司令官は、私たちの事を本当に大事に思ってくれているんですよね」
背を向けたままなので彼女の表情は見えない。
吹雪「だから、悩んだり、葛藤したり、迷ったり、不安になったかもしれません」
普段と変わらない口調で、私の心を見透かしたかのように言う。
吹雪「でも、安心してください」
振り向いた彼女の表情は、笑顔だった。
吹雪「私も、皆さんもちゃんと解ってますから」
いつもの優しい笑顔だった。
吹雪「司令官が私たちを大切に思ってくれているように、私も皆さんも、みんなが大切な存在なんです」
吹雪の一言一句が、私の胸のつかえを消していった。
吹雪「それに、司令官が言ったんじゃないですか。「皆は家族だ」って」
無言で何度も頷く。その度にしずくが零れ落ち、床に染みをつくった。
吹雪「誰か一人を決める必要なんて無いじゃないですか。だって、皆が「家族」なんですから」
言われるまで苦悩していた私が愚かに思えた。どうして気付かなかったんだろう。自分で言っていたことだというのに。
吹雪「もう、悩まなくてもいいんですよ。司令官は皆を愛してくれたんですから」
——そして
吹雪「皆も、私も、司令官の事が大好きなんですから」
あぁ……
私はすごい遠回りをしていたのね。
本当、私って——
提督「だめな……提督、ね……」
涙と嗚咽の混じった声のまま、言葉にならない言葉を吐き出した。
吹雪「それは違います」
吹雪は私の手を取って、微笑みかけてくれた。
吹雪「司令官は私たちにとって、かけがえのない、最高の提督です」
——さあ、行きましょう、と私の手を引いた。
吹雪「皆が待ってますよ」
がららっ、と開かれた扉から光が溢れた。
飛龍「あっ! やっと来たぁ!」
島風「来るのおっそーい!」
天龍「早く座れよ。メシが冷めちまうだろ」
金剛「テートクぅ! 早く食べて食後のティータイムにするデース!」
大和「今夜は、大和の腕によりをかけて作らせて頂きました」
鳳翔「カレーもありますよ」
磯風「この磯風も手伝ったんだぞ?」
比叡「私も手伝いたかったのになぁ」
艦娘s「「「「「やめ(てくださいっ)(ろぉ)(てぇ)(なさい)(るデース)!!!!!」」」」」
ヒエー!?
そこには、いつものやかましい程賑やかで、暖かい日常が広がっていた。
憎らしい程、愛しい光景が。
吹雪「あはは……さっ、早く行きましょう、司令官」
吹雪が私の手を引いて、光の中へと導いてくれる。
私はこんな風に、皆に手を引いてもらってここまで進むことができたんだ。
提督「うんっ!」
今度は、私の番ね。
加古「Zzz」
古鷹「加古っ! ちゃんと起きて食べて!」
磯風「磯風カレーだ。存分に食べてくれ」
大和「大和の料理もどうぞ」
大井「提督! 北上さんと一緒に食べましょう♪」
北上「大井っち、さっきカレーに何入れたの?」
矢矧「ねぇ、この後一杯、付き合ってくれない?」
飛龍「提督! 提督が着る着物考えてみたんだけど!」
明石「提督、明日に使う資材の使用許可が欲しいんですが……後でいっか」
吹雪「司令官? どうしたんですか?」
提督「皆、本当にありがとう!」
『今まで、どれだけ遠回りをしていたんだろう。
ずっと気付かないまま、悩んで、迷って、葛藤して、私は今まで何をしていたんだろう。
答えなんて、もう既に分かっていたのに、勝手に自分一人で抱え込んで、自分で自分の本心に目を向けないで、見失いかけて。
でも、妖精さんのおかげで、皆のおかげで、やっと自分に目を向けることが出来た。
だから、私は私に素直に従うことにした。
これが恩返しになるか、勝手な自己満足かもしれないけれど。それでも、私は——
皆に、贈りたい」
提督「はい……はい……そのようにお願いします。はい……ありがとうございます」
私の机の上には今、二つのものが置かれている。
一つは、細かなことが記された何も記入されていない書類一式。
そしてもう一つは、ずっと待っていたかのように輝く白銀の指輪が納まっている小さな箱だった。
それから、私は艦娘一人ひとりに想いを告げた。
金剛「Really?! ほ、本当デス?!」
提督「Yes. だから……私は、だけど、時間と場所を弁えてくれると嬉しいけど、ある程度までだったら……いつでも触って……いいよ」
金剛「…………」
提督「こ、金剛?」
金剛「バアアアアニングゥ! ラアアアアアアアアアアアブッ!!」
いつもは叱るところだけど、もういいわよね。
霞「は、はぁ?! なっ、なに言ってんのあんた?!」
提督「突然でごめんなさい。でも、ちゃんと言いたくて」
霞「だ、誰があんたみたいなクズなんかとっ……!」
提督「霞」
霞「っ……な、なによ?」
提督「初めて会った時は、私も新米だったから何も言えなかったけど……。今の私は、霞が認めてくれる提督になれた?」
霞「っ?!」
提督「それとも……やっぱりまだまだ、かな?」
霞「ま、まぁ確かに、あの頃よりは成長したみたいだし、そ・れ・な・りにはなって来たと思うわ」
提督「じゃあ……」
霞「勘違いしないで! あんたなんか、あの人に比べればまだまだ半人前なんだから!」
提督「そうね、まだまだ精進しないとね」
霞「ふんっ、分かればいいのよ。……だから、いいわよ」
提督「え?」
霞「さっきの返事、承知してあげるわよ……司令官」
提督「……あは、あはっははは」
霞「なっ、なに笑ってんのよ!? バカみたい!」
提督「だって……霞に認めて貰えて……嬉しくって……あっはは」
霞「は、はぁ?! その程度で喜ぶとか、バッカじゃないの?!」
私は知ってるから、霞が仲間思いで、本当は優しい子だって。
霞「いつまで笑ってんのよ! このクズ司令官っ!」
ゴーヤ「ほ、本当でちか?!」
提督「ええ、もちろんよ」
ゴーヤ「やったでち! ゴーヤ、提督のためならオリョクルしてもいいでち!」
提督「いや、しなくていいから、ね」
ゴーヤ「じゃあ、ゴーヤたちからプレゼントでち!」
どこから取り出したのか、それはいつか着た覚えのあるスクール水着だった。まるゆが着ているような白じゃないやつ。
提督「まさか……これを着て?」
ゴーヤ「うんっ! 提督、一緒にいこ?」
提督「私……水圧云々の前に溺死するわよ?」
あっ、でも、プールで泳ぐ位だったら、ゴーヤたちと一緒に泳いでみたいかも。
龍驤「君も物好きやなぁ。うちのどこがええの? 他の娘選んだ方がええんとちゃう? 他にも、うちより優秀な空母は、ぎょうさんおるしなぁ」
提督「私はそんな風に評価なんてしないわ。私にとって、皆は大切な家族なんだから。それに……」
龍驤「それに?」
提督「龍驤が相手だと、なんだかすごく話しやすいのよねぇ」
龍驤「……はぁ、なぁんで皆して同じこと言うんかなぁ? うちはお悩み相談所じゃないで?」
あ、言われてたんだ。
龍驤「しかしまぁ、せっかく勇気出して言ってくれたんやし、それをわざわざ無下にするわけにもいかんしなぁ」
——ま、これでも古参組やし、と胸を張りながら。
龍驤「何かあったら、この龍驤さんにお任せや! 例え火の中水の中、最後の最期まで付き合ったるからな!」
提督「ふふっ、ありがとう龍驤。おおきに!」
龍驤「なんや? うちの真似かいな。せや、関西弁教えたろか?」
提督「あ、それは大丈夫です」
龍驤「なんでやねんっ!」
提督「…………」
夕立「♪」
提督「……ねぇ夕立、ずっと膝枕してるけど、落ち着くの?」
夕立「もちろんっぽい!」
提督「それはそれで何よりなんだけど、さっきの返事は……」
夕立「そんなの言わなくっても、提督さんのことは大好きっぽい!」
提督「そう、よかった」
時雨「提督への想いなら、僕も負けてないよ」
夕立の逆サイドに居た時雨が負けじと頭を乗っけてくる。私から見て左に時雨、右に夕立がそれぞれ私の膝を枕にしている。
時雨「本音を言うと、僕は提督を独り占めしたいくらいなんだけど、それだと提督が悲しんじゃうからね」
提督「時雨、今さらっと怖い事言わなかった?」
夕立「夕立も独り占めしたいと思ったけど、提督さんは皆を大事にしてくれるから好きっぽい!」
時雨「僕も同じだよ。他の皆は僕にとっても大切な仲間だからね」
提督「そう言ってくれて嬉しいのだけれど、あの、そろそろ足が痺れて……」
時雨「あとちょっとだけ、このままがいいな」
夕立「もう少しこのままでいたいっぽい」
提督「そんなぁ……」
時雨「……頭を撫でてくれたら、すぐに退くかもしれないよ?」
提督「そ、そう? なら早速……」
ナデナデ ナデナデ
時雨「あぁ、すごく気持ちいいよ……」
夕立「天国っぽい~♪……」
提督「…………そろそろいいでしょ? ね?」
時雨「すぅ……すぅ……」
提督「し、時雨? 夕立?」
夕立「くぅ……くぅ……」
提督「……もう、ズルいわねぇ」
幸せそうに眠る二人を起こすなんてことは、私にはできなかった。
提督「ふふっ……」ナデナデ
時雨「……♪」
夕立「……♪」
二人の髪はさらさらで、とても心地好かった。
長門「こう面と向かって言われると、少し気恥ずかしいな」
提督「私もよ」
長門「新米の頃から診てきたが、本当に成長したな、提督」
提督「これも皆のおかげね。感謝してもしきれないわ」
長門「なら、これから返していけばいいさ。艦娘となってな」
提督「え?」
長門「提督は艦娘となりたいのだろう? ならばこの長門、全力を尽くしてサポートするまでだ」
提督「本当に? いいの?」
長門「無論だ。心配せずとも、他の艦娘達のことは問題ない。皆が提督に気兼ねする必要が無いほどに鍛えればいいのだからな」
提督「そう…………へ?」
長門「実はプログラムは既に組んであってな。長良や鬼怒たちが喜んでトレーナーを引き受けてくれた。まずは基礎体力をつけなければならないしな」
提督「あの……長門さん?」
長門「食事にも気を遣わなければならんな。鳳翔さんに頼んでみるか……」
なんだか私の知らない内にどんどん話が進んでしまっている気がする。
長門「いや、まずはどの程度動けるかを測るべきか? その前に提督の体を診てみないことには——」
提督「長門、話が脱線しちゃったけど、あの……さっきの答えは?」
長門「ん? ああ、それはもちろん」
こぶしを自身の胸に当て、返答した。
長門「この長門、この身が朽ちるまで提督と戦う覚悟だ」
さすがは世界のビッグ7と言ったところか、これ以上ないほど心強い言葉だった。
提督「改めてよろしく、長門」
長門「ああ、任せておけ。それで、プログラムの内容だが——」
あぁ、私の体保つかしら?
そんな最中、私は秘密裏にある計画を進めていた。
工具を使うため、工廠にて行う必要があったので明石にもばれないよう、細心の注意を払いつつ進める必要があった。
提督「痛っ!」
妖精「大丈夫ですか!?」
提督「う、うん、大丈夫です」
工廠の妖精さんたちにも手伝ってもらいながら、なんとか進めていた。
妖精「そろそろ休んだら如何ですか? もう何時間も続けているんですよ」
提督「ありがとうございます。私は大丈夫ですから。それに、出来るだけ早く完了させたいんです。もう、待たせ過ぎてしまいましたから」
妖精「そうですか。でも、無理は禁物です。提督が倒れたら元も子もないんですから」
提督「はい、気を付けます」
そんな感じで作業を進めていき、あと100、あと50、あと10と順調に進行していった。
そして遂に、全ての準備が整った。
後は、実行に移すのみ。
ガチャ
『全艦娘にお知らせします。全艦娘にお知らせします。
こちら提督、ただいまより緊急集会を行います。全艦娘は——
——遅れることのないよう、お願いします。以上です』
ガチャ
吹雪「一体何が……長門さんは何か聞きましたか?」
長門「いや、何も聞かされていない。知っているのは提督だけだ」
吹雪「もしかして、何かよくない事でも起きたんでしょうか」
長門「その点は心配いらん。決して悪い事ではないだろうからな」
吹雪「どうしてそう言い切れるんですか?」
長門「私の、勘だ」
吹雪「勘ですか……あっ」
カッ カッ カッ カッ カッ カッ
長門「敬礼!」
ザザッ!
・・・・・・・・・・・・
「皆集まってくれてありがとう。集まってもらったのは、私から皆に贈りたいものがあるからなの」
「まず私から皆に、感謝の言葉を贈らせてほしい」
「私は提督になる前からずっと、皆に恩を感じていた」
「私が私として産まれ、私が私として生きられたのは、この国があるから。この国があるのは、皆がこの国のために戦ってくれたから」
「私が提督で居られるのは、皆が居てくれるから。私が生きていられるのは、皆が護ってくれたから」
「今も、昔も、私は返しきれない恩を、皆から受け取った」
「私が勝手に皆に対しての負い目を感じているだけかもしれない。それでも、皆は私にとっての恩人なの」
「いくら言葉を紡いでも、いくら行動で示そうとも、私は皆へ恩を返しきることはできない」
「だから」
「私は提督として、皆へ恩返しをしたい」
「そのために、私に何が出来るのか、どうすれば恩返しできるのか。私には分からなかった」
「ただずっと、心で思っていた事があった。それは——」
「私が艦娘となって、皆を護りたいということ」
「でも私は、男として生まれ、男として育ち、男として提督になった」
「艦娘になるなんて、夢のまた夢の絵空事だった」
「そんな時だった、私がこの体になったのは」
「そして私は、艦載機を発艦することに成功した」
「本当に嬉しかった。私の抱いた幻想が現実になろうとしたのだから」
「けれど、海に浮かぶこと叶わなかった……」
「それでも、私は皆のおかげで希望を失わずに済んだ」
「私にも出来ることがあると、皆が気付かせてくれた」
「私はまた、皆に救われた」
「皆が私の迷いを断ち切ってくれた」
「だからようやく、これを渡す決断が出来た」
バサッ
「「「「「!!!!!」」」」」
吹雪「し、司令官、それって……」
「そう、全員分の指輪と、ケッコンカッコカリの書類一式よ」
「私はずっと、迷ってた。でも気付いたの、私自身が言っていた言葉に」
「「皆は家族」だって。だったら、誰か一人を決める必要なんて無いんだって」
「自己満足かもしれない。でももし、皆がこれを受け取ってくれるのなら——」
「私は、嬉しい。これを恩返しのつもりになんては思ってないけれど」
「これが私の、皆への想い」
「皆さん、わたしと——
ケッコンしてください」
吹雪「司令官……顔を上げてください」
提督「吹雪……」
吹雪「私も皆さんも、ずっと待ってたんですよ」
提督「っ!」
「提督!」
「司令!」
「テートクー!」
「しれぇ!」
「隊長!」
「司令官!」
「アドミラール!」
「司令官様」
「提督さん!」
「司令はん」
「てーとく!」
「こんな私たちですが——」
「「「「「「「「よろしくお願いしますっっっ!!!!」」」」」」」」」
皆、本当に
ありがとう
金剛「ほらブッキー! 早くするデース!」
吹雪「「えぇっ?! でも私なんかが、本当にいいんですか?」
赤城「皆で話し合った結果ですから。さぁ」
吹雪「で、では……」
最初に指輪をはめるのは、一番初期から居た吹雪に決まったらしい。
吹雪「お、お願いします」
提督「えぇ、いくわよ」
吹雪の左手を取り、薬指にはめようと——
金剛「STOP! テートク、どうして手袋を外さないんデス?」
提督「え、あ、いや、これは……」
金剛「うーん……ちょっと見せるデース!」
提督「ま、まって! あっ!」
バッ!
吹雪「!? 司令官、どうしたんですかその手!?」
私の、絆創膏と切り傷だらけの手があらわになった。
提督「えっと……指輪をはめてもらえば解るから、ね?」
と、仕切り直して、今度こそ吹雪の薬指にはめることができた。
吹雪「司令官っ! これって……!」
どうやら気付いてくれたらしい。
吹雪「指輪に私の名前が……」
そう、吹雪の指にはめた指輪には「Fubuki」の文字が刻まれている。
吹雪「もしかして、皆さんの指輪全てに!?」
提督「もちろんよ、まぁそのせいで時間掛かっちゃったけどね」
私から皆への、ちょっとしたサプライズだ。
提督「誰の指輪かもすぐ分かるしね」
吹雪「それで、そんな傷だらけに……」
提督「大丈夫よ、これくらい」
吹雪「…………」グスッ
提督「ふ、吹雪?」
吹雪「ごめんなさい……すごく、嬉しくて……本当に、ありがとうございます」
提督「喜んでくれて、なによりだわ」
金剛「HEY! テートク―! 次は私の番ネー!」
ツギワタシー ソンツギワタシ! ワタシガサキダー! ワタシガツギダッテ! ワタシガサキダッテバ!
提督「……よかった」
金剛「? 何か言いましタ?」
提督「いえ、なんでもないわ」
金剛「ところでテートク―。「アレ」はどうするんデース?」
提督「「アレ」って?」
金剛「Oh! ケッコンと言ったら「アレ」に決まってマース!」
青葉「そろそろカメラの準備が出来ますよー!」
大和「まさか、式を鎮守府で挙げるとはね」
武蔵「この大人数だ。仕方ないさ。……にしても、まさかこの武蔵がこのような服を着ることになろうとは」
大和「よく似合っているわ。とても綺麗よ」
武蔵「ふっ、私には似合わん言葉だ」
吹雪「司令官! 皆が待ってます! 早く行きましょう!」
提督「ええ、今行くわ」
吹雪「皆、すごく綺麗……」
提督「あなたもよ、吹雪」
吹雪「ありがとうございます。でもやっぱり、司令官の方が素敵です」
提督「ふふっ、ありがとう」
青葉「タイマーをセットして……よぉし! 皆さん、撮りますよー!」
提督「皆ぁ! カメラの方見て!」
・・・・・・・・・・・・
提督「……青葉、何秒にセットしたの?」
青葉「えっと……もうそろそろだと思います。たぶん」
鬼怒「ちょっと、いつまでこのポーズし続ければいいの——うわっ?!」グラッ
提督「え? ちょまっ——きゃああっ?!」
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」」」」」
カシャッ
その日
鎮守府に、白い花々が咲き乱れた。
「司令官っ!」
提督「あっ、吹雪」
吹雪「こんな所で何してるんですか? 皆さんもう祝賀会始めちゃってますよ」
提督「すぐ行くわ。でも、夢みたいだわ。皆とケッコンしたなんて」
吹雪「夢なんかじゃありません。これがその証拠です」
これです、と左手の指輪を見せた。
提督「ええ、そうね。……ねぇ吹雪。」
吹雪「? なんですか?」
提督「これ、どうしたらいいと思う?」
と、小さな箱を取り出し、開いて見せる。
吹雪「それ、指輪じゃないですか!」
提督「うん。一つ余ったんだけど、捨てるわけにはいかないし、どうしようかなって」
吹雪「う~ん……そうだ、司令官がはめればいいじゃないですか!」
提督「わ、私? 確かにはめてないけど……いいのかしら?」
うっかり自分の分の指輪を忘れるという痛恨のミスを犯してしまい、今の左手には、なにもはまっていない。
提督「これって本来、艦娘がはめるものだし……」
吹雪「大丈夫ですよ。ごく普通の指輪ですし。さぁ!」
提督「うーん、そうね、じゃあせっかくだから、吹雪にはめてもらおうかな」
吹雪「えぇ?! また私ですか?」
提督「お願い出来るかしら?」
吹雪「わ、分かりました」
はいっっと、指輪の箱を渡す。
提督「じゃあ、お願い」
吹雪「し、失礼します」
吹雪は私の左手を取り指輪を薬指に通す。
吹雪「……はいっ、終わりました」
提督「ありがとう、綺麗ね」
夕日がちょうど反射して、指輪が燃えているような輝きを放っていた。
吹雪「あっそうだ!」
提督「どうしたの?」
吹雪「あ、あの、もしよろしければ、司令官のお名前を教えて頂けないかなぁ、と」
提督「私の? どうして?」
吹雪「司令官がしてくれたように、私も、司令官の指輪に名前を刻んであげたいなって思いまして。だめですか?」
提督「ううん、嬉しいわ。ぜひやってくれるかしら?」
吹雪「はっはい! 吹雪、頑張ります!」
提督「じゃあ、言うわね。……なんだか照れくさいけど」
「私の名前は—―
さぁ、次は
あなたの番です。提督……いや——
吹雪「素敵なお名前ですね!」
提督「そう? ありがとう」
提督「じゃあ、行きましょうか」
皆様のおかげで、こんなにも長く、この作品を続けることができましたことを、心よりお礼申し上げます。
初めは、内容も全然少なく、あっさりと終わるような作品にするつもりでしたが、当時の自分は何をとち狂ったのか、処女作にしてGL(しかもやったことないくせに性的描写まで)という無謀なことをしでかしました。
しかし、予想に反し好的なご意見、評価を頂き、今の今まで続ける事ができました。
さらに、この最後の更新時には約10000PVという信じられないPV数、及び多数の高評価を頂きました。(PVが3桁いけばいい方だと思ったりしていました)
これも全て、ご愛読してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
さて、あれだけの伏線を張っておいたからには無論、続編を書くつもりでいます。
勘の良い方なら、もう既に気付いていらっしゃるやもしれませんが、このまま続編もお楽しみ頂けるなら僥倖です。
繰り返しお礼申し上げますが、このような拙い筆者にお付き合い頂き誠にありがとうございました。もし、これからもお付き合い頂けるのならば、感謝のしようがありません。
色々とご不満を抱く箇所もあったかと思いますが、精進していければと思います。
もし何かあればコメントなどでご指摘頂けると幸いです。ご感想でも構いません、それは私にとって大変励みになります。
では皆さん、次回もお付き合い頂けるよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
こういうの大好きです!
応援してます!頑張ってください!
ありがとうございます!
面白くないんじゃないかと不安でしたがそう言って頂ける方がいてよかったです!
頑張ります!
磯風お願いします!
磯風了解しました!
イメージと違っていたらごめんなさい。
矢矧希望です!!
ご覧いただき&リクエストありがとうございます!
矢矧了解しました!
少し先になると思いますが、頑張ります!
百合いいぞぉ!
こういうのを待っていたんだ!
オニゴッコカッコガチは怖かった
一輪目の白百合いいぞぉ!
続き頑張ってください!
応援&オススメしていただき誠にありがとうございます!
すごい励みになります!
僭越ながら頑張らせていただきます!
面白いです!
リクエストでドイツ艦お願いします!
更新待ってます!
リクエストありがとうございます!
提督「艦娘達が急変した」 大好きです!
頑張って書かせていただきます!
目が赤い…何故?
ご覧いただき&コメントありがとうございます。
この先の展開に関係している…とだけ申させていただきます。
かなり先になると思いますが…
応援します頑張ってください
こういうのはかなり好きなので
応援しています
できる限り続けてくださいね
ネット小説では途中で終わってる
人が多いので本当に応援して
います。
期待していますので頑張ってください。
ちなみに件名は「風」です。
これからよろしくお願いします。
「風」
ご覧いただきありがとうございます。
なんて励みになるお言葉でしょうか!
ご期待に沿えられるように精一杯書かせて頂きます!
必ずや完結させます!
未熟者ですが、皆さんに楽しんでいただけるよう頑張ります!
Gjです
Gjです
風
やはりいいですね
風
見続けてくれる方がいる。書く者として、それより嬉しいことはありません
これからも頑張ります!
素晴らしい…
空母……大和……なるほど良くできてますね。とても面白いですね。完結まで頑張って下さい!
ご覧いただき誠にありがとうございます。
そのように仰っていただき嬉しい限りです。色々と伏線を張りました(というか張り過ぎたかも…)が、もしかしたらお気づきになられたでしょうか?
これからも続けさせていただきたいと思います。頑張ります!
空母+大和型=信濃・・・?
ご覧いただき&コメントありがとうございます。
その予想、かなり的を射ています。実は、当初は信濃をモデルに、と考えていたのですが…あることを思いつきまして。
それはもうちょっと、先になると思いますが、楽しみにして頂けると嬉しいです。
お疲れ様です!とっても面白かったです!!続編も期待しています!無理せずに頑張ってください!
ご覧いただき本当にありがとうございました!
はい! 頑張ります!
実は次回作の構想はほぼ出来上がっているので、近いうちに投稿及び更新も早めにできればいいな、と思っています。