これまでと、これからとの合間に 絢瀬絵里の間。
http://sstokosokuho.com/ss/read/826 の絵里編みたいなもの
少しづつ書いてくよ~
私、絢瀬絵里は……なんというか……苛ついている。
理由? そんなの決まってる親友の一人『東條希』のせい。
高校から出会ってこれほど、一緒に居て安心感を得られる人は唯一希だけ。
高校、大学を共に過ごして来てお互い知らないことなんてない……
それはこれまでも、そしてこれからも……と思ってた時に、希からのいきなり結婚宣言である。
なによそれ!? 彼氏が居るなんて聞いてないわよ! しかも、結婚って……
相談も無いなんて……別に、希が私に結婚のことを相談しなければいけないなんて、決まりは無い……無いけど……
はぁ……多分、『普通』の親友なら驚きながらも素直に祝福するんでしょうね。
おめでとう! いつ式挙げるの? 絶対行くからとか言って……。
私が希を愛してなければ出来るんでしょうね。
去年やった、二人きりのクリスマスが懐かしいわ……あの時は……。
………………。
希「なぁ、エリチ」
絵里「ん、何?」
希「来年も二人共、彼氏が出来んやったら、うちと一生一緒に暮そ!」
絵里「ン、ゴッフゥッ! ゴホッ、ゴホッ!」
希「エ、エリチ、大丈夫?」
絵里「な、何言ってるの!? ら、来年こそ彼氏作るんだから!」
希「……そっか……じゃあ、うちも彼氏作ろかな」
絵里「えぇ、そうよ来年はダブルデートするわよ」
希「んー、まぁそれもええな」
………………。
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
完っっ全に、イケる雰囲気だったじゃない!!。
なんで、イカなかったの私! くぅ……あの時の私にハイキックしたい……。
どうして、私って大事な時にこうなの……。
今はかしこさより、かわいさより、勇気が欲しい…………はぁ……。
………………。
……はっ! 朝! ヤバい、寝坊し…てないか…。
はぁ…あのまま、寝たのね。
今までに無いくらい、最悪な目覚めだわ。
会社…行かなきゃ…。
その前にシャワー浴びたいわね。
何時よ…5時か余裕ね。
ザァァァァァァ。
ふぅ…朝にシャワーに浴びるの初めてだけど、なかなか良いわね。
目も覚めるし、気分もすっきりするし。
パンはまだ有ったわよね。
ふぅ…さっぱり。
ゴォォォォォォ。
ピッ。
「おはようございます、6時のニュースです」
焼いたパンを齧りながら、いつものニュースを見る。
私の中では大事件が起きても、世間は今日も平和ですと言わないばかり……。
まぁ、当たり前なんだけど。
「今日の特集は欧米で流行? シャドウ・ウエディングについて……」プツンッ。
せっかく早く起きたんだし、電車が混む前に行きましょう。
これはあれよ、そ、その別に現実逃避なんかじゃないのよ。
ほんとよ!? 昨日半休した分を取り戻そうとしてるだけよ。
えーとっ、ガス、戸締まりはオッケーね。
行ってきます。
………………。
後輩「あれっ? 絵里さん早いですね」
絵里「えぇ、昨日の半休分を取り戻さなくちゃ」
後輩「真面目ですね、でもそんなに仕事溜まってましたっけ?」
絵里「…あとまぁ、いつもより早く目が覚めただけよ」
後輩「えー、私だったら、いつもの時間までテレビ見ちゃいますよ、あはは」
絵里「私も気まぐれみたいなものよ」
後輩「あの…、ところで絵里さん」
絵里「ん、何?」
後輩「こんな事聞くのはあれなんですけど、なんか昨日ありました?」
絵里「えっ!?」
後輩「なんか今日の絵里さん、無理してる顔してるので…」
絵里「そんなに?」
後輩「えぇ、まぁ」
絵里「大丈夫よ、昨日ちょっと飲み過ぎただけよ」
後輩「ならいいんですが…前みたいに風邪なのに無理して倒れては駄目ですよ」
絵里「だから大丈夫だって」
後輩「また希さんに叱られても知りませんからね」
絵里「…………」
後輩「絵里さん?」
絵里「大丈夫って言ってるでしょ! もう!」
後輩「…わかりました」
うわぁあああ最悪だ私、後輩にあたるとか…。
しかも、心配してくれているのに。
マズイ、完全に負のスパイラルに落ちてる、わかってるのに止められない…。
こういう時は、仕事に集中して気分でも紛らわせるしか無いわね。
ふーっ、よし! やるわよ!
………………。
ダメッだった…。
一日中、希のことばかり考えてしまって、全然仕事が手に着かなかった…。
後輩上司、どころか他部署の人にまで、心配されるとは…。
とどめに上司に「今日はもう上がりなさい」なんて言われちゃうし。
もう帰って寝ましょう、お酒でも飲んで。
………………。
はぁ…希ぃ…どうしてよ。くぴくぴ
一緒に住もうって言ってたじゃない。すん、すん
もう彼氏作るなんて言わないから…。
また、私と一緒にクリスマスしてよ…。
ねぇ、希ぃ。
缶チューハイ片手に叶いもしない事を望んでも、何も起きない。
あの時彼氏を作るなんて言わなければ、素直に「はい」と言えばこんなことには…。
過ぎたこと言っても仕方ないわよね…でも…でも…はぁ…。
絵里「もう一本…」
あれっ? 確か2本くらい買ってた気がするんだけど…1本は今飲んだから残り1本有るはず…。
希「昨日も結構飲んだし、今日はそれぐらいしよ」
絵里「別にいいじゃない、たまには自棄酒したって」
希「何があったか知らんけど、自棄酒は駄目」
絵里「……希!?」
希「なんや、エリチ今更やん」
絵里「な、なんで、いやそれより何時から!?」
希「ん~、エリチがチューハイ片手にぶつくさ言ってるあたりから」
希「エリチの後輩ちゃんがな、先輩の様子見てもらえないですかって言ってきたんよ」
希「ええ後輩やね、意地悪しちゃアカンよ」
絵里「しないわよ!」
希「ふ~ん、でも今日の朝キツくあたってたんじゃない?」
絵里「うっ…」なぜそれを…
希「ほらねっ」
絵里「くっ…元はといえば」
希「元はといえば?」
絵里「希が結婚するなんて、言わなければ良かったのよ!」
言っちゃった…もう後には引けない…。
希「あくまで予定やし、しかも全然関係無いやん」
絵里「ある!」
希「どういうふうに?」
絵里「あれから、希のことばかり考えちゃって仕事も手に着かないのよ!」
希「なんで?」
絵里「それは…」
希「それは…?」
絵里「えっと…」
希「また自分殺すん? 生徒会長やってた時みたいに」
絵里「えっ…」
希「あん時わかったやろ、自分殺しても何も良いこと無いって」
絵里「……ッ!」
希「もう穂乃果ちゃん達は助けてくれんよ!」
希「自分のやりたいこと」
自分を殺せば皆が幸せになる
希「言いたいこと」
そんなのは間違いだなんて
希「ちゃんと言ってよ」
高校の時にちゃんと学んだはずだったのにね…。
希「絢瀬絵里!!」
いつの間にか忘れちゃってたわ…。
希「なんで私のせいで仕事が手に着かないの!」
そういえば希ったらエセ関西弁じゃ無くなってるわ…ふふっ。
よし! すぅー。
絵里「私が! 希を好き過ぎるから! 愛してるからよ!!」
……今まで秘めていた気持ちを打ち明けたことによる後悔、でもそれと同時に心のなかの靄がスーッと晴れる感じがした。
希「やっと聞けたその言葉、待ちくたびれたよ」
絵里「どういう意味?」
希「いや、そのまんまだけど」
希「うち待ってたんよ、エリチが告白してくるの」
絵里「!?」
希「あんな好きですよオーラ出まくってるのに、気づかんわけ無いやん」
希「そのくせに彼氏作るだの、何なの言ってるからちょっと意地悪しただけや」
絵里「えっ…じゃあ付き合ってる人は? 結婚の予定は? 嘘ってこと?」
希「いや、ホントやよ」
絵里「えぇえ!? ど、どういうこと?」
希「付き合ってる人はエリチ、結婚の予定もエリチとってこと」
絵里「つ~希! あなたって人は!! 私がどれだけ悩んだと思ってるの!?」
希「何度も告白のチャンスをやって全部潰してきた、エリチが悪い」
絵里「そ、それは…」
希「去年のクリスマスなんか、一緒に住もうとまで言ったのに」
絵里「だって、普通は受け入れてもらえないじゃない…」
希「エリチ……なぁキスしよ」
絵里「キ、キス!?」
希「少し早いけど、誓いのキスをしよ」
絵里「…わかった」
希「じゃあ…いくよ?」
絵里「ちょっと待って」
希「なん? また怖気ついたん?」
絵里「違うの、その誓いの言葉ってあるじゃない?」
希「うち、神教やし…」
絵里「そんなこと言わないでよ」
希「でもあんな長いの覚えてないよ」
絵里「待って、ケータイで調べるから……あった!、ねぇ半分づつ読み合いましょ」
希「はいはい」
絵里「コホン、その健やかなるときも
希「病めるときも」
絵里「喜びのときも」
希「悲しみのときも」
絵里「富めるときも」
希「貧しいときも」
絵里「これを愛し」
希「これを敬い」
絵里「これを慰め」
希「これを助け」
絵里「その命ある限り」
希「真心を尽くすことを誓いますか」
絵里「希、せーので言いましょ、せーの」
絵里・希『誓います……んっ……』
END
少しづつ書くと書いたけど、結局まとめて書いちゃった…
タイトルの絢瀬絵里の漢字間違えてました…ごめんなさいorz
このSSへのコメント