2017-04-19 12:40:43 更新

概要

4月19日は真姫ちゃんとほたるの誕生日!おめでとう!ってことで書きたくなったので書きました。拙い物ですが楽しんでくれたら幸いです。


少女―西木野真姫は困惑していた。

「ちょっとなにそれイミワカンナイ!」

彼女は友達と電話でグループ通話をしていた。電話の相手は同級生の星空凛と小泉花陽の2人で会った。

「ゴホゴホ…そんなわけでごめんだにゃー。凛急に熱が出ちゃって、真姫ちゃんと今日は遊べなさそうだにゃ…」

「ごめんなさい…花陽も熱を測ったらすごい熱で…」

「はぁ…もう、わかったわよ。私は平気だから今日はゆっくり休むのよ」

「「はーい(にゃー))」」

真姫は通話を切る。

「2人そろって風邪なんてどこまで仲良しなのかしらあの子達」

真姫は小さく笑む。

3人は遊ぶ約束をしていて、彼女らの高校―音ノ木坂学院の校門の前で待ち合わせをしていた。しかし、2人が風邪になってしまったことで約束は流れてしまった。

「でもどうしようかしら…遊ぶから先に宿題は済ませちゃったし、今日は練習は休みの日に決まっているし…」

真姫は完全に手持ち無沙汰になってしまっていた。

毛先をクルクルともてあそびながら「帰ろうかしら」と思った時だった。

ふと、目をやるとオロオロしている女の子が目についた。周囲を見回して落ち着いて無い様子だった。

「誰かしらあの子。ウチの学校のコなのかしら?」

真姫はその女の子に声をかけていた。いつもなら放っておくはずなのだが、この時は首を突っ込んでみようと柄もなく考えたのだ。

「あの、アナタどうかしたの?」

「あ、ごめんなさいお邪魔でしたか?すいません…」

「ううん。そんなんじゃないわ。なんか困ってたみたいだから声をかけてみたってだけ。それで?どうかしたの?」

「えっと、あの私待ち合わせをここでしていたのですけれどなかなか来なくて…」

「なるほどね。ケータイとかは持ってないの?」

「すいません、持っているんですけど…」

女の子がスカートのポケットから出したのは液晶画面がヒビ割れているスマホだった。タッチしても反応は困難そうだ。

「歩いていたら転んでしまって、その拍子に電柱にぶつけてしまって…」

「それは災難だったわね」

「いえ、いつものことなので慣れてます。私、運が悪くて」

女の子は力なく笑う。そこには儚さがにじみ出ていた。

すると、唐突に女の子のスマホが鳴った。その子は何回も画面を操作して電話に応じた。


「待ちあわせてた人だったの?」

電話が終わると真姫は尋ねた。

「はい、なのですけれど急に体調を崩したらしくてまた日を改めようって流れになってしまって…」

「そうだったの。風邪流行ってるのかしら…」

「???」

女の子は首を傾げていた。

「ああ、こっちの話よ。私も待ちあわせたのだけど風邪でキャンセルになっちゃったの」

「そうだったんですか…ごめんなさい…」

「???何でアナタが謝ってるのよ。アナタが原因ってわけじゃないでしょ」

「私、周りを不幸にさせてしまうんです。だから近くで待ち合わせをしてたあなたのお友達も風邪を…」

「ただの偶然でしょう?風邪を引いたのはワタシの友達とアナタの相手の体調管理出来てなかった。それだけよアナタの運は関係ないわ」

真姫は何か思いついたように付け加える

「そうだ、ワタシが証明してあげようじゃないの。運なんて関係ないってこと」

「それってどういうことですか…?」

「ワタシと一緒に色々見て回ったりするの。言っておくけどこれ、決定事項だから」

「え、えええええ!!!」

女の子は驚いていた。真姫は余裕げな表情は崩さない。

「ワタシは西木野真姫。この音ノ木坂学院の一年よ」

「私は白菊、白菊ほたるです。年齢は13歳でs「え、13歳!」

真姫が驚いたのも無理はなかった。花陽くらいの身長だったので、てっきりこの学校ではなくても、少なくとも高校生くらいだと予想していたのだが、2つも年齢が下だったのは確実に予想外だった。

取り乱した体裁を取り繕うように1つコホン、と咳払いをした。

「それじゃ、よろしくほたる」

「よ、よろしくお願いします真姫さん。…こう呼んでいいでしょうか?」

「ええ、構わないわ」

真姫とほたるは学校を後にする。


―神田明神―

「ここは神社…ですか」

「そうよ、不幸なんて関係ないわ。試しにおみくじ引いてみなさいよ大抵は大吉が出るもの…」

ほたるが引いたおみくじは…大凶だった。

「あの…ご、ごめんなさい」

「嘘…も、もう一回よ!」

大凶だった。

「もう一回!」

「あ、真姫さん。これ大吉です…すごい…」

「やった…ほ、ほら言ったでしょ?必ず出るのよこういうのは」

「はいありがとうございます!私、はじめておみくじで大吉が出ました!」

「それ、逆にすごいわね…」

と、2人でそんなやりとりをしていると、長い髪を2つにしばった巫女姿の女の子が近づいてきた。

「あら、真姫ちゃんじゃない」

「あ、希。今日は神社の手伝いなのね」

「まあ、そんなところやね。それはそうとその子は誰なん?真姫ちゃんの彼女?真姫ちゃんも隅におけんね~」

「な、そんなわけないでしょ!どうしてそうなるのよ、イミワカンナイ!違うわよ。この子はほたる、白菊ほたる。今日一緒に行動するの」

「白菊ほたるといいますよろしくお願いします…」

「東條希やんね、ウチの真姫ちゃんをよろしく頼むね~」

「ちょっとそれどういうことよ!さ、ほたる次行きましょ」

「は、はい」

「じゃあねー」と希に手を振られ見送られながら2人は神社をあとにした。


―街角―

「とは言ってもワタシとしたことがどこへ行こうか全く考えてなかったわ…」

いつもは凛と花陽の行くところへついていくことが多かったことが少し災いしていた。

「私も思いつきません…ごめんなさ…

すると、真姫は振り返ってほたるの言葉を遮る。

「ほたる。アナタが自分のこと不幸だと思ってるのはそこよ、その何でもかんでも謝るクセ。多分それが原因よ」

だから…。と真姫は付け加えるようにして言った。

「今日は絶対に謝ったり、自分のせいにしちゃダメよ。そうすれば少しは変われるはずよ」

「わかりました、やってみます…」

この謝りクセは真姫の―今は風邪で休んでいる友達にも似ているものがあった。

「だからなぜか親近感が沸いたのかしら?」

「???真姫さん、どうかしましたか?」

「いいえ、何でもないわ」

その時だった、柵の向こう側から来た水がほたると真姫をずぶ濡れにしてしまった。

「「キャッ!!」」

「もう、どうなってるのよ…」

「私の不幸の「ほたる、ワタシとの約束忘れてないわよね?」

「あ…そうでした」

「ごめんなさーい」

「あれは…」

それは真姫にとって馴染みのある人物―南ことりだった。

「ことりじゃない…あ、ここよく見たらことりが働いてるメイド喫茶じゃない」

「ホースで水撒きしてたら虫さんが急に出てきて驚いて手元が狂っちゃって…こっち来て!お店の洗濯機使っていいから!」


2人は店の洗濯機を借りて服を洗濯してもらっている。となると代わりに何か着なければいけない訳だが…

「何でワタシがこんな格好を…」

「似合ってますよ!真姫ちゃん!それと…」

「私、白菊ほたるです」

「ほたるちゃんもかわいいよ!」

「そうですか…えへへへ…」

2人は店のメイド服に着替えていた。

「せっかくだし働いてみる?」

ことりは尋ねた。

「別にいいわよ、この控え室で大人しくさせてもらうわ」

「あの…ことりさん。私、やってみてもいいですか?その、友達がこの前仕事でやっていたのを見て私もやりたくなって」

「え、ちょっとほたる!?」

「うんうん!全然オッケーだよ!じゃあ今からやり方教えるね!真姫ちゃんはどうする?」

「…ほたるがやってワタシだけ引き下がるなんて出来る訳ないじゃない」

「真姫ちゃん…」

「真姫さん…」

ことりとほたるは小さく笑った。


「「お帰りなさいませご主人様!!」」

その日限りのクールでツンデレなメイドと大人しくも庇護欲をそそるキュートなメイドはその店の伝説の1つとなったらしい。

大盛況のお礼にことりからうさぎをあしらったペンダントを2人は受け取っていた。最近のマイブームらしい。


―夕方―

2人は服を着替えてしばらく散歩し、初めに出会った音ノ木坂学院まで戻ってきた。

「こんなところかしらね」

「真姫さん今日はありがとうございました!私、とても幸せでした」

「でしょう?アナタはほんの少し運が悪いかもしれない。でも、決して不幸な子なんかじゃない。だってメイド喫茶の人たちとか…わ、ワタシを幸せにしたんですからね!もっと自信持ちなさい!」

「…はい!」

「それじゃ、さよなら、ほたる」

そう言って、真姫は帰って行った。

「私もそろそろ帰らなきゃ…」

するとヒビ割れたスマホの着信メロディが鳴る。苦労して電話に応じると電話の相手は今日風邪でダウンしていた相手―ほたるのプロデューサーだった。

「プロデューサーさん!?風邪は平気なんですか??」

「いつまでもほたるや他のアイドルたちを心配させる訳にはいかないからね。何とか気合いで治した。明日からは元気に仕事できるさ。あ、それでね、今回待ち合わせ場所にした学校なんだけど、今度の仕事はそこと関係があるんだ」

「そうだったんですか、それでどんなお仕事なんですか?」

「今、最高クラスに勢いを増してるアイドル、ダンスグループ達をプロアマ関係なくいっぺんに集めてパフォーマンスをしていくって感じの仕事さ。そ、こ、に我らが白菊ほたるとその仲間たちのユニットGBNS(ガールズビーネクストステップ)が参加できることになったのだよ!!!もう僕は寝てる場合じゃゥゴホゴホッ!!」

「プロデューサーさん!?無理はしないでください!」

「ああ、ごめんごめんそれと今回はスクールアイドルって言う新しいジャンルのグループもいくらか参加するみたいだ」

「スクールアイドル?ですか…」

「うむ、アイドル活動を部活に組み込んだって感じでいいのかな?とにかくプロ顔負けのパフォーマンスをするらしいから負けてられないな!」

「はい!私、多くの人を幸せにしたいです!」

「お、いいこと言うじゃん、何か今日いいことあったのか?」

「はい、とっても親切な人に会ったんです。私の不幸を全く気にせず私を引っ張ってくれた人がいたんです…」

「それは幸せだったんだろうな。どうだ、その人を招待しようか?一人くらいなら融通は効くだろうし」

「はい、あ、連絡先交換するの忘れてました…」

「そうか…でもその人ならきっとほたるを見つけてくれるだろうさ」

「はい!」

「あ、今から事務所でちひろさんから台本もらってよく目を通しといてくれ」

「わかりました」


西木野真姫のケータイが着信メロディを放った。

「もしもし?」

「あー真姫ちゃん!凛復活したにゃー!」

「ちょっ、いきなり大声出さないでよね。それでどうかしたの?」

「あのねーμ'sがイベントに参加することになったのにゃーよくわからないけど絵里ちゃんがそういってたのにゃー今出演するメンバーの名簿?みたいなのを送るにゃー」

「あ、うんありがとう」

「じゃーねーなのにゃ」

「宿題キッチリやんなさいよ」

「…はい、にゃー…」

「へぇ、今話題のグループを集めて…か。いい刺激になりそう、ん?この名前…」


「GBNS…白菊ほたる!!?」


一方某アイドル事務所では

「μ's西木野真姫…さん!??」


数週間後、1人のアイドルと1人のスクールアイドルが向き合っていた。

「まさか、アナタ、アイドルだったなんて。びっくりしたわ」

「あはは…オーラがなくってすいません」

「ダーメ本番前なんだから謝っちゃ」

「そうでしたねあははは」

「そう、やっぱり笑顔がよく似合ってるわ」

「真姫さんも、同じです」

「も、もう!面と向かって言われると照れるじゃない…」

「あの私にわざわざ衣装を作ってくれてありがとうございます」

「それは後でことりに言ってちょうだいそれに、スケジュールあわせたり会場の調整したプロデューサーって人にも私もお礼がしたいわ」

「そうですね。それじゃいきましょうか、真姫さん」

「ええ、ほたる」

「「多くの人に幸せを!!」」


2人の身につけたウサギのペンダントが照明で一瞬瞬き、会場でひときわ大きな歓声があがったのだった。


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2023-01-06 19:04:58

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