艦娘嫌いな提督と提督好きな艦娘の話
深海より突如出現した白い少女達は瞬く間に海を侵略し支配下に置いた。日本海軍はその威厳を賭けて反撃を行うが作戦は全て失敗。食料を輸入に頼っていた日本に飢えの気配が這い寄る中、日本海軍は奇妙な生命体《妖精》が創り上げた日本艦隊の記憶を持つ少女《艦娘》の運用を開始するために一人の男を鎮守府に送り込んだ。
此れは、妖精が生んだ知的生命体《艦娘》をまとめ上げる男の日常を描いた物語。
・地の文があります。
・提督と艦娘視点です。
・暇な時に書くので不定期更新になります。
執務の疲れを癒す為に窓を開け、空を見上げる。雲ひとつ無い空は水平線との境界が曖昧になる程に蒼く、照り付ける太陽は暴力的に地球の気温を上昇させていた。
太陽の光が海の波で乱反射する様は不慣れな人にとって目を痛めるだけのものだろう。
執務室の窓を開ける。
潮臭く涼しい風がカーテンを靡かせ部屋の中を駆け巡る。
此れで少しは気が紛れた。
机の上にある山の様に重なる書類は今日の秘書艦が重要度別に3つに山分けしたもの。
頭の片隅では風に乗って飛んでいって欲しいと思うが、実際にそうなると面倒だと解っている為に書類の山頂には重石が置かれている。
何処か遠いところで少女達の笑い声が聞こえた。
提督「くそっ」
◇
大本営は変わった。
ある日、海の底から湧いて出てきた病的に白い少女達。
彼女等は人間から海を奪った。
人類は彼女等を敵とし深海棲艦と名付けて討伐対象にした。
海を奪われた人類の猛攻が始まった。しかし、人類の兵器が深海棲艦に傷を負わせる事は無かった。結果として残ったのは海に散った男達の名前が書かれた碑と増税政策。
あらゆる兵器を投入し、核以外のあらゆる手段を持って行われた大規模作戦は大量の弾を無駄にしただけで終わった。そのツケは国民が支払う事になった。
国は深海棲艦を人類では太刀打ち出来ない存在とし、全ての海路を封鎖。海軍は役立たずの烙印を押され主な輸出・輸入方法は空路のみとなった。
大量の物が出入り出来なくなった日本は混乱し物価は上昇。大量の失職者を出す事になる。
1次産業の活性化を放置し続けた国の自力の弱さが出た。
徐々に疲弊して行く日本。
私はそんな日本の学徒であった。
就職活動に失敗したと言う一文を頭に付けなければならないが。
日本の余りにも多い失業者は次の職場を探した。そしてその大体が兵隊になった。先の大規模作戦での不足を補う為に兵士の需要は拡大し、民間企業は何処も彼処も業績悪化のリストラ祭り。当たり前だが就職の枠は減り、就職先が軍しか無かった。
私も他例に漏れず就職に失敗。志願し海軍に入隊後、基礎訓練を終え船への配属を決める段階になって大本営からお呼びがかかった。
嫌な予感はしていた。
特に良い成績を収めていた訳ではない事は分かっていたし今期の入隊者は失業・就職失敗組と影で笑われていた事を知っていたからだ。
私は大本営の会議室に通された。
通達された事は2つ。
一つは提督として鎮守府に着任させるという事。
そしてもう一つが妖精が創り出した対深海棲艦用の兵器【艦娘】の運用方法を探ると言う事である。
艦娘とは過去の艦隊の記憶を受け継ぎ自我を持った人型生物兵器らしい。
そもそも無機質に記憶など宿るわけが無い。大本営の適当な仕事振りには感動を覚える。
説明中の妖精という言葉を聞いた時は竟に大本営はイカれてしまった。と思ったが、会議室に置かれた机の上で組体操をしている小人達を見た時に私もイカれてしまっていた事に気付いた。
提督「承ります閣下」
此れが私の提督人生の始まりである。
◇
横須賀鎮守府。
私が配属された鎮守府だ。
入隊したばかりの者が提督になれるわけがない。つまりは兵器である艦娘に対しての生贄である事は自明。
相手は妖精の造った恐るべき兵器。自我がある分何をするか分からない。気に入られなければ殺されるだろう。しかし、其れ以外に深海棲艦に対抗する手段を持っていないのだから多少危険でも艦娘の生態や性能を明確にし手綱を握らなければならない。私はその為の犠牲。
できる事なら逃げ出したい。
其れは入隊してから私の中に燻っていた思いである。
しかし、出来ない。このままでは国が侵略されてしまう。恋人も居るし家族もいた。愛しい人達は私の命よりも重い。逃げ出す訳にはいかなかった。
閣下が出してくださった車で横須賀鎮守府に向かうまでの間。自分がいかにして振舞うかを入念に頭に思い浮かべる。
少しでも生きて艦娘のデータを集め国に送る。
私が出来る精一杯の事だった。
車は12時少し前に横須賀鎮守府に到着した。車を降りた際に窓を開けた運転手と2、3言交わし鎮守府を正面に見据える。
此れ以降私は提督であり、この横須賀鎮守府の最高責任者である。
提督「うん。中々に立派な施設じゃないか」
当たり前だ。環境が悪い中に未知の艦娘を詰め込んだらどんな報復をされるか分からない。
此れは私自身を鼓舞する為の精一杯の言葉だった。
私の独り言を聞かれたのだろう。
視界の外から少女に声を掛けられた。
??「ご主人様ですか?」
振り向くと私は目眩がした。
そこには桃色の髪を左右2つにまとめ上げた13、14程度の若い少女が居た。特筆するべき目玉は人間の3、4倍ほども大きく、テレビ番組の特集で見たエイリアンが私の脳裏に浮かび、直ぐに消えた。
提督「君は?」
私は震える声を悟られないように聞き返す。上手く隠せた自信は無かった。
艦娘はその場で海軍式の敬礼をして名乗りを上げた。
漣「綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま。こう書いてさざなみと読みます」
少女は敬礼を崩し空に指で文字を書いて見せた。
提督「本日より横須賀鎮守府に着任した提督だ。これ以上の話は鎮守府の中で。案内を頼む、漣」
漣に先導され執務室に着いた私は持ってきた荷物を端に置き立派な椅子に座る。机を挟み漣と対面する形になった。
提督「改めて、提督だ。偉ぶるつもりは無いので気軽に話しかけて欲しい」
上官として最低限の形さえ保たれれば良い。しかし、舐められてはいけない。広い鎮守府にたった一人と1隻だ。誰も咎める者はいない。
漣「特型駆逐艦の19番目、綾波型でいうと、9番艦の漣だよ。南雲機動部隊が真珠湾でボコボコやってる時、
ミッドウェー島砲撃を敢行したよ。何気に凄くない?」
漣と言う駆逐艦の事は知っていた。米国にちょっかいをかけに行ったあの作戦の事だろう。艦隊の記憶を持っていると言うのは本当の事だったのか。
一体なんのために。
提督「私は艦娘と初めて会うが本当に過去の記憶を持っているのだな」
漣「もちろんですともっ。まさか人型に成るとは思っても見ませんでしたが」
提督「成る程。やはり人型は・・・。」
質問をしようとした時に私の声を遮るように正午の鐘が鳴る。
提督「・・・食事にしよう。案内してくれるか」
漣「はーい。一名様ごあんなーい」
土産を冷蔵庫にしまい漣に続いて執務室を後にする。
向かうは食堂。間に入渠施設と娯楽室を挟む。執務室からは約7分。
この鎮守府は中々に広い。
その管理を私が1人でやらなくてはならない。更に艦娘との交流。海上遭難訓練1カ月コースの方がマシだ。あの訓練は艦娘が居ないのだ。
私が心の涙を流しているうちに食堂へ着いたようだった。
小学校の体育館程もある喫食スペースに人影は無い。調理場を覗いても同様だ。幸いにも物資は十分以上に有るようだった。
提督「・・・漣。何が食べたい」
漣「えっ!ご主人様が作るんですか?」
提督「漣。私が来る前は何を食べていた?」
漣「カップ麺ですっ。得意料理なんですよ」
漣は少女らしい幼さを含んだ笑みでピースサインをした。
食事への不満は怒りに繋がる。
彼女の怒りが限界を迎える前に満足させなければ、私はあの2本の指で目玉を抉られることだろう。
提督「・・・幸いにも材料は豊富だ。好きな物を言いなさい」
漣「じゃあ、鴨肉とフォアグラのソテー 〜夏野菜を添えて〜 でっ」
提督「わかった。時間が無い、直ぐに取り掛かる」
漣「えっ。ちょっ」
漣が何か慌てているが時間が無い。下準備からやらなければならない為に最低でも30分は掛かる。
昼休憩は1時間。軍規を守らない者が提督と認められるわけが無いのだ。
食材を見るに鴨肉は有る。フォアグラはペーストを缶にした物だったが十分だ。
オーブンに火を入れ鴨肉の処理からペーストの成形で10分。それぞれの表面を軽くバターでソテーした後に重ね火の通り易い夏野菜を同じフライパンに入れて予熱したオーブンで15分。その間にラズベリーのソースを作る。皿を熱湯で温めておき盛り付け前に水分を拭って盛り付け。
パンは切る時間が無かった為に軽くトーストしたロールパンになった。
提督「出来たぞ。悪いがナイフとフォークは此処から取ってくれ」
私が調理している間に漣は落ち着いたのだろう。調理場から見える席に腰を据えて水を飲んでいた。
漣「いや、ツッコむ所が多過ぎるんですがそれは」
此方は命が掛かっているのだ。過度なストレスは限界以上の能力を人間に与える。これ位出来て当たり前だった。
提督「細かい事はどうでも良いだろう。後30分しか休憩は無いぞ」
私はさっさと食べ始める。思ったよりも上手く出来ていた。偶然の産物である。
漣はチラチラと此方を見ながらソテーをナイフで切る。艦娘にとって私は未知の生物に見えるのだろう。毒など入れてはいないがその判断は正しい。私でもそうする。
漣が細かく切り分けたソテーを口に入れた。
漣「ウマーっ!何ですかコレッ!」
フォークを口に入れたまま片手を頬に添える。口に合ったようだった。
提督「良い状態の鴨肉が無いと作れない味だな。今後は魚ばかりの食事になるだろうから運が良かった」
食材が良いなら焼くだけでも十分美味い。今回は食材に助けられた。
食事も終わり、少し寛いで鎮守府の施設を見学する。最後に工廠を案内された。此処で艦娘を建造するらしい。
漣「早速試してみたら如何ですか」
早く仲間の艦娘に会いたいのだろう。私も早く人間に会いたい為気持ちは解る。
提督「ああ、判った取り敢えず最低値で建造するか」
全ての資材は30。此れが最低値らしい。
大型の機械の前でディスプレイを操作する。最後に建造のボタンを押して建造が開始された。
妖精達が何処からか巣を突かれた蟻のようにわらわらと出て来て、何かしらの作業をしていた。
私がその様子を見ていると、周りに妖精に指示を出している妖精が私に寄って来た。
妖精「シツムシツデマッテナ」
私に見られたく無い技術があるのだろう。艦娘を創り出す存在。深海棲艦と同レベルで警戒しなければならない相手である。
提督「判った。それと、本日より着任した提督だ。今後とも宜しく頼む」
手土産の羊羹を渡す。
食堂にあった甘味で最も上等な物を選んで来た。1本しか無いが、手に載るほど小さな妖精達には丁度良いだろう。
妖精「カンシャスル、ルーキー」
妖精が私の手をぺちぺちと叩く。
提督「頼むぞ、職人達」
妖精「ンー」
指で妖精の頭をぐしぐしと撫で、私は工廠を後にした。
執務室へ向かう廊下で漣が話しかけてくる。
漣「ご主人様にも妖精さんが見えるんですね」
提督「?・・・ああ。漣も見えてるだろ」
漣「そりゃ艦娘ですからねっ。人間で妖精さんが見えるのは珍しいですよ」
人間と艦娘の相違点が早速見つかった。妖精が見える要因はなにか。
妖精とはなにか。何故人間に手を貸すのか。
考えれば考える程解らない事が増えていく。
漣「あっそーだ」
先を歩く漣が何かを思い出したかの様に立ち止まる。振り返ると満面の笑みで
漣「ご主人様。漣へのお土産は何ですか?」
と言った。
目敏い。婦女子とは言え軍人だから当たり前かも知れないが。
提督「ああ、良いところのシュークリームとプリンだ」
閣下からは艦娘という名前しか聞いていなかったが、娘と付くのだから婦女子だと思い、用意しておいた。
漣「んー食べ物ですかな?」
提督「洋菓子だ。甘い茶碗蒸しとビスケットのお化け。建造が終わったら新しい艦娘と食べるか」
本当なら一刻も早く1人になりたいが、同じ釜の飯という言葉がある様に一緒に食事を摂ると一種の仲間意識が生まれる。
2体の艦娘と席を同じくするなど震えそうになるが、艦娘に取り入りデータを取るためには必要な事だった。
漣「食事の後に甘味とは流石ですなぁ」
提督「初めに会った時から私の荷物をチラチラと見ていた癖によく言う。大方検討は付いていただろうに」
私は苦笑する。
漣「あちゃー。バレてましたか。ご主人様を見たときにこう、私の甘味センサーがキュピーンと来たのですよ」
私には漣が露見しても問題無い様な事で私の能力を伺っている様に感じた。
提督「まぁいい。建造は20分だったな。茶でも淹れて来てくれ。3人分な」
相手を試し程度を測る。自分主義の自己中の典型的行動パターンである。
漣「最初の命令が茶汲みですか。平和な鎮守府になりそうで安心ですね」
明るく発音している癖に、私の挙動を冷めた目で良く見ている事は丸分かりだった。
相手の挙動から何処まで踏み込んで良いのかを測っているのだろう。
漣はさっそく執務室を出てドアを静かに閉めた。注意深く丁寧な仕草である。
漣は自身の本質を隠す為に明るく振る舞っている節がある。
明るい性格と言うのは相手にとって話しやすいと言う事であり、相手からより多く話しかけられる分、周囲の情報に敏くなる。
近年見るネットスラングを多用する事からも彼女の努力の片鱗が伺えた。
巫山戯ている様で突っ込み過ぎず、冷静に周囲を観察している。
私の得意とする相手だった。
提督「ふーぅ。仲良く出来ると良いのだが」
こういう相手は自身で得た情報に絶対の自信を持っている。自分は騙されないと錯覚している。
執務室を出た後、扉の直ぐ近くで聞き耳を立てている可能性は十分に有った。
ならば、簡単だとも。
私は艦娘と友好的になりたいと思っていながらも不安を隠せない上司を演じる。
相手に見えない所で声だけを聴かせる事で《誰もいない所では本音で独り言を呟いてしまう》という事を印象付ける。
漣が扉の前で聞き耳を立てるのが癖になったら洗脳の終了だ。
後は誰もいない時に独り言を呟くだけで好きな様に情報操作出来る。
私と最も長く居る艦娘。
今後増えて行く艦娘達の中でヒエラルキーの上位に行くであろう彼女を操れる事は私にとって有利に働くだろう。
探らないといけない事は山程ある。
人体がたったの20分で生成される謎の技術。妖精の正体に艦娘の凡ゆるデータ。
今でこそ深海棲艦に対して向けられている武力だが、今後人類に向けられない保証は無い。
20分で人体と専用の武器が出来るのなら、1年もすれば2万6千の軍が出来上がる。
建造施設が10機あれば26万。
ひと昔に行われていた紛争地帯の動員数と大体同じである。
たった1年待つだけで20年以上年戦争が出来るのだ。
私が大本営に伝える情報として、《建造施設は出来る限り増やすべきでない》と伝えなければならない。
これを守らなければ艦娘の数が日本の人口を上回る時代が来るのだ。
その時こそ日本が艦娘に支配される時代である。
恐ろしい時代を無想しているとノックの音が聞こえた。
漣「おっじゃましまーす」
??「し、失礼します」
漣の明るい声に続き、如何にも自信なさげな小さく頼りない声が聞こえる。
漣に次いで執務室に入ってきたのは長い黒髪の少女。
前屈みでオドオドと入室する様は臆病者のそれだった。
漣は私の座る執務用の机の前に黒髪の少女を引き連れて笑った。
漣「主人様、新入りみたいよ?」
提督「みたいだな」
この少女は戦えるのだろうか?
幾ら恐ろしい艦娘とは言え婦女子を戦場に送っているのだ。役に立たないなら鎮守府から出て貰うしかない。
潮「特型駆逐艦…綾波型の『潮』です。もう下がってよろしいでしょうか…」
潮だと!日本海軍を代表する武勲艦じゃないか!
私は思わず声を上げそうになった。
精鋭。正に精鋭。
日本の誉れである駆逐艦が今私の目の前に居た。
今私は恐怖に震えていた。
【もう下がってよろしいでしょうか】
彼女は私から何かを感じ取ったに違いない。
精鋭にして武勲艦。戦場に立ち続け養った勘を信じて疑わない戰人のそれだった。
つまり、彼女はこう言いたいのだ。
【お前と必要以上関わる気は無い】
私は一瞬にして人の本質を見抜く眼力に彼女の歴史を感じた。
艦娘は見た目や態度で判断出来ない。
存在する年月から違うのだ。そんな事当たり前じゃ無いか。
私は自身の不明を恥じた。恐ろしい悪鬼に身体を蝕まれる思いだ。
だが、私は提督だ。
相手が悪鬼だろうが艦娘だろうが国の為に従える義務がある。
提督「まぁそう言うな潮。土産と茶がある。食べて行きなさい」
余裕がある様に見せかけ、無能の烙印を押されない様にしなければ相応しく無いと言う理由で殺されかねない。
漣の扱い易さを経験し、油断していたのだ。艦娘に対して油断するなど飢えたライオンの前で昼寝する事と同じじゃ無いか。
私は気を引き締めた。見た目や性格だけで恐ろしい艦娘を判断してはいけないのだ。
提督「漣、後輩に秘書艦の実力を見せてやれ」
漣は首を傾げ人差し指を頬に当てる。
漣「んー?あっ、ほいはらさっさー」
私の言いたい事に気付いたのか漣は手を挙げて執務室からかけ出て行った。
潮「あ、あの提督?」
潮は私が何を言ったのか解らない素振りを見せる。先程の事が無ければ本当に解っていない様に見えたかも知れないが、私が2度騙されることは無い。
提督「茶を淹れてきて貰っただけだよ。折角の上等な菓子だからな。さあ、座って待っていようじゃ無いか」
潮に席を勧める。
椅子を引いてやると潮は素直に席に着いた。
潮「提督はキザな人ですね」
潮は此処に来て初めて笑った。
艦娘の笑顔が威嚇行動で無いことを願うばかりである。
提督「お嫌いかな?」
私はキザったらしく顔を造る。
最早、潮には私の考えが手に取るように判るだろう。
しかし、表面を取り繕う事は止めてはいけない予感がしていた。
潮「いえ、背伸びをしているみたいで可愛いですよ」
潮はクスリと笑う。
・・・艦娘は嫌いだ。人間の造った心理学を完全に無視して私の中身を覗いてくる。子供の姿をしている癖に何て奴だ。
コンコンコンコン。執務室を叩く音が聞こえた。
提督「入れ」
漣「失礼しまーす」
漣が入室した。
ティーポットをトレイの上に載せ、片腕で支えている。紅茶の香りが執務室に拡がった。
漣を席に招くと潮の笑みが深くなる。
本当に嫌な奴だ。
漣が席に着くと私は執務室にある冷蔵庫から菓子を取り出しテーブルの中央に置き箱を広げた。
中にはプラスチック容器に入ったプリンが4つ。シュークリーム用のカスタードが入った容器に中央から割れたハードタイプのシュー生地が4組入っている。
漣「あれ?随分多めに買って来たんですね」
提督「艦娘が何人着任しているか聞けなかったからな」
勿論怖くてだ。
潮「大本営はいつも通りですね」
漣「大本営ぇ」
何故私を責めずに大本営を責めるのか。此奴の大本営のイメージは何なんだ。
敵対意識を持っている?
例えば、総ての艦娘が同じ意見だとして団結し我々に攻撃を仕掛けてくる事もありうるという事か?
提督「まぁそう言ってくれるな。この菓子は足が速い。早めに食べてくれ」
私はそう言ってシュー生地と容器を取り、カスタードを全てシュー生地の半分の上に乗せた。もう半分のシュー生地でサンドしてサクサク食べ、横目で漣が紅茶に口を付けたのを確認した。
甘い。幸せだ。先程の雑な誤魔化しの事を忘れる位に幸せだった。
シューを紅茶で流す。
提督「・・・にがい」
漣「ぶっは!ごふっ、ごふっ」
恐らく、長時間蒸されたであろう紅茶はエグミが出ていた。
漣は苦すぎて紅茶を吹き、プルプルしていた。それを見た潮はニコニコと笑っている。
やはり警戒するべきは潮か。性格の悪さに良く動く頭。勘まで鋭いのだ。恐るべき艦娘であった。
漣にハンケチーフを渡して吹き出した紅茶を拭かせる。
漣は鼻から出た紅茶と涙を拭き取り礼を言った後菓子を食べ始めた。
その後、適当な談笑をして場はお開きとなった。
提督「今日は特に任務等は無いが明日は戦闘任務を与える。気を休めておけ」
漣「りょうかーい」
潮「了解です」
提督「よろしい。後今日の夕飯は何が良い?」
潮「え?提督?」
潮は私の言ったことがイマイチ呑み込めていないらしい。当たり前だ。提督の仕事じゃ無い。
私は今後も艦娘達の飯を作り続けなければならないのだろうか。そんな思いが浮かんで消えた。
家政婦でも雇いたいが、一般人を機密溢れる鎮守府に入れるわけにもいかない。だからと言って戦闘員にやらせる訳にもいかない。本来なら炊事班が居るはずなのだが、3人しかいない鎮守府で内2人は艦娘。毒を盛られない為には自炊するしか無いのだから若干手間が増えても次いでで済ましてしまえば良い。
漣「あー、それなのですがご主人様。私達がやりますよ」
漣が申し訳なさそうに申し出てくるが、コイツはカップ麺しか作れないのだから任せられない。
提督「戦闘員に炊事を任せられるか。お前達は明日に備えていれば良いんだ」
潮「え、漣ちゃん。提督にご飯作って貰ったの?」
漣「いやー、ご主人様の料理はサイコーでした。メシウマってやつです」
潮「そ、それって提督の仕事じゃ無いんじゃ」
提督「構わん。戦闘に関しては諸君等に任せる他無いのだから、それ以外は私に任せろ。艦娘が増えたら炊事班を編成するから其れ迄だが」
潮「じゃ、じゃあ私も手伝いますっ」
流石、先鋭潮だ。出会って間も無い人間の料理など何が入っているか分からない。調理場で私を見張るために手伝いを申し出たのだろう。
しかも、【監視】を【手伝う】と言って私に恩を売る形に持って行った。話術の基本を抑えた模範的解答。
こうなると漣が間抜けなのか潮が優秀なのか分からない。
提督「それは助かる。希望が無いなら豚汁と焼き魚にしようかと思っていたのだが良いか?」
漣「漣は何でも良いですよ」
潮「潮も問題ありません」
提督「分かった。では、1730に食堂の調理場に集合だ。漣、潮に鎮守府内の案内をしてやれ。以後は時間まで好きにしておけ」
漣と潮が執務室から出たのを確認してひと息つく。
提督「にがかったなぁ」
執務室のドアの向こうから微かに唸る音が聞こえた。
漣か?
聞き耳を立てるのを習慣化させ自由に漣を操る作戦は順調な様だった。
艦娘の居なくなった執務室で駆逐艦2隻のデータをまとめる。
性格や癖に兵力データ。明日は主に攻撃力に関するデータを採らなくてはならない。
兵装に至っても未知数。
我々の使う兵装とどの様な違いがあるのかを見極め数値化し、報告しなければならないのだった。
最低限の兵力と兵装の攻撃力さえ書類に書けば、それ以外に何をデータ化するかは私に一任されている。大本営が欲する以上のデータを提出し、私はさっさとこの鎮守府から出るべきだ。
何時までも艦娘と生活など出来ない。
提督「さて、書類は終わりだな」
現在わかり得る駆逐艦2隻のデータをまとめ終え、残項目としては兵装の数値化等。大本営から支給された小型の機械で測定し数値化する。
それを艦娘の艤装に取り付ければ今日の業務は終了。
早速工廠へ向かう。
工廠には作業の終わった妖精達が
妖精「ン、マタキタノカルーキー」
提督「ああ、頼み事があってな。漣と潮の戦闘データを取りたいのでコイツをつけさせて欲しい」
私は測定器を妖精に見せた。
妖精はまじまじと測定器を見た後に他の数人の妖精を呼び出し話し合う。
妖精の社会は階級制なのだろか?
妖精「シザイヲマワシテクレルナラ、モットイイノガデキルゾ」
提督「折角だが気持ちだけ受け取っておくよ。お上は頭が固くてね。コイツじゃないとダメらしい」
測定器をぶらぶらと妖精に見せ付けるように振る。何故支給された測定器を使わなかったのかと聞かれたとして、もっと良いのが有ったので。などと言ったら私の首が飛ぶ。物理的に。
妖精「ソウカ、ナライイ」
妖精が少し寂しそうにしていたので礼を言いながら頭を撫でてやる。周りの妖精達がチラチラと此方を見てきたので順番に撫でてやった。
提督「さてと、測定器を艤装に取り付けるか。艤装がある場所を教えてくれ」
妖精「ソレハワレワレガヤッテオク」
簡単な作業だが時間が掛るのは事実。
白い軍服を汚さないために作業着を持って来たが、見せたくない技術が有るのだろう。此処は退くべきか。
提督「そうか、では宜しく頼む」
私は妖精達に作業を頼み、工廠を後にした。
定時時間前に作業が終わってしまった。嬉しく思う反面1730までの時間をどう潰そうかで迷う。
提督「皿でも洗うか」
余りに暇だと掃除に逃げる。
昔からの習慣だった。
一度執務室へと戻りティーセットを回収、食堂に向かう事にした。
エプロンを着た後皿を洗い始める。
ある程度洗い物が済んだ所で声をかけられた。
漣「ご主人様?随分早いですね」
提督「ん?漣か」
皿を洗い始めて10分程度。
時間より20分も早く漣が食堂に来た。時間前行動は基本だがいくら何でも早すぎる。
提督「潮はどうした」
漣「潮ちゃんはお花摘みです」
提督「そうか、漣はどうして此処に?時間には早いだろう」
漣が何かを考えるように上を見上げた。
漣「うーん、あっ、お腹が空いちゃいまして」
本当だろうか。今の質問は即答出来て当たり前の質問だった筈だ。
漣は間違いなく何かを隠している。
私はその事実に言いようのない不安を感じた。
提督「そうか、なら米だけでも炊いておくか。土鍋を取ってくる」
しかし、証拠無しに言及する訳にもいかず、私の不安を解消する術は無い。
漣「漣が取ってきましょうか?」
提督「頼む。ついでに米も取ってきてくれ。4合だ」
漣「あいあいさー」
漣が調理場の裏へ向かう。
私はその間に洗い物の水分を拭き取り棚にしまった。
漣「ご主人様ー。持って来ましたよー」
乾いた食器を棚にしまっていると土鍋を手に持った漣が調理場に戻って来た。
提督「おかえり漣。米を研いでおいてくれ、浸漬時間は30分で良い」
漣「ほいさー」
漣が米を研ぎ始めるのを確認し、食器の片付けを続けていると食堂の扉が開く音がした。
私は調理場から顔を出し潮を迎えに行く。
提督「潮、こっちだ」
潮「て、提督?」
潮が驚いた様に両手で口を隠した。
口と身動きで自身の気持ちを相手に伝える。
逆に言うなら相手に虚偽の情報を与えるならこれをすればいい。
相手を欺く熟練の技。目を一瞬でも開いていれば私も騙されていただろう。
提督「腹ペコ娘が時間より早く食堂に来てな。米だけ炊く準備をしていた。時間前に全員集まったし潮も手伝ってくれ」
私は潮に状況を伝えた後、調理場に戻る。潮は私に続いた。
調理場に入ると米を研ぎ終わったらしい漣が寄って来た。
漣「お米、研ぎ終わりましたよご主人様。浸漬なうです」
提督「判った、ありがとう漣。潮も来たし下準備から始めるか。漣は蒟蒻の下処理を頼む。下処理が終わったら潮の手伝い。潮は食材を切ってくれ。玉葱、人参、大根、馬鈴薯、豚肉。切り方は任せるが、切り終わったら食材毎に別皿に入れて欲しい」
漣「りょうかーい」
潮「承りました」
艦娘達の返事を聞いた後、私も出汁を引く準備をする。
この配置には意味がある。
毒は液体に溶け込ませるのが基本だ。
毒の苦味が薄まり、判別しにくくなるし多量を摂取し易い。
つまり、この役割以外の選択肢が無い訳だ。
私は鍋に水を汲み、布巾で汚れを拭き取った昆布を投入。水が沸く寸前に取り出しふた握りの鰹節を入れた後沸騰させて濾し取り一番出汁。
昆布は1番出汁と同様に、濾し取った鰹節は水を汲んだ鍋に入れ、沸騰させて2番出汁。
出汁を取った昆布と鰹節を刻み、醤油、酒、砂糖、味醂、胡麻で乾煎りしてふりかけ。
艦娘達を確認すると、まだ食材を切っている最中だったので、ほうれん草を軽く茹でて、2番出汁と醤油で煮浸しを作って置いた。
煮浸しが出来ると同じ位に艦娘達が食材を切り終わった。
潮「提督、食材を切り終わりました」
漣「これが、漣の本気なのです!」
漣が腰に手を当て、胸を張り切り終わった食材を差し出してくる。
提督「よし、良くやった。後は煮るだけだ」
取り敢えず褒める。部下を使う時の基本だった。
私はフライパンにサラダ油を薄く引き、火の通りにくい食材から炒め玉葱に透明感が出てきたら炊飯器に食材を移した。
食材を炒めている合間に土鍋に火を入れる。
漣「何故に炊飯器っ!」
潮も首を傾げている。
提督「腹ペコ娘が待っているからな。圧力鍋と一緒だ。鍋で作るより早く出来る。」
炊飯器は炊く際に圧力を掛ける。
それに低温で調理する為、食材の形が崩れにくい。
潮「そんな機能があったのですね」
潮は感心している様子だった。
それ以外にも理由がある。
この炊飯器は炊飯中に蓋を開けると不具合を告げる電子音が鳴る。
毒を混入されても解りやすいのだった。後は盛り付け時にだけ気を付ければ良い。
漣「後は待つだけ?」
提督「最後に味噌を溶かし入れるだけだ。私は土鍋の様子を見ておくから鮭でも焼いて貰おうか。全て任せるから仲良くな」
艦娘達に指示を出すと私はフライパンで玄米を煎り始める。土鍋の様子を見ながら煎っていると玄米が何粒かポップコーンの様に弾けてきた。
これ以上煎ると焦げてしまうので、別皿に急いで移し準備終了。
土鍋が水を吹く前に弱火にして15分。火を止めて10分蒸らす。
蒸らし中に炊飯器の中に味噌と煎り玄米を溶かし入れて再加熱。
米の蒸らしが終わったら、米を混ぜて蓋を閉めて更に5分。
潮「提督、鮭が焼けました」
提督「潮は其の儘盛り付けを頼む。漣、米をよそってくれ」
漣「あいあいさー」
漣の間抜けた返事を聞きながら私も盛り付けに入った。
煮浸しを小鉢に入れて、海苔を火で舐めた後に手で千切り入れる。後は豚汁を人数分よそって終わり。
簡単だが夕食が完成した。
箸を人数分用意し夕食を食堂の調理場に一番近いテーブルに配膳した所で艦娘達を待つ。
1、2分も待つと漣、潮の順にテーブルに着いた。食事の時間である。
提督「いただきます」
手を合わせて食事の挨拶を済ませ、食事に手をつける。艦娘達に好印象を与える為に鮭の切り身を摘んで米を食べた。
提督「ん、良く出来てる」
口の中を豚汁で流す。子供好みの解りやすい味だ。複雑さは無いが落ち着く。
潮「この豚汁、凄く良く出来てますね」
潮が褒めるが、彼女の初めての食事が豚汁だと思うと涙を禁じ得ない。
もう少し頑張っても良かったかもしれない。
提督「優秀な部下の下ごしらえのお陰でな。米もふっくらと立っているし鮭も皮と身の焼き時間が適切だから食感の違いがはっきりしている。良く出来てるよ。本当に」
艦娘の作った食事は安全に食べることが出来ればなんでも旨い。
一口食べる毎に、生きている実感が湧くのだ。
言うまでも無いが、毒が入っていないからであり味の如何は問わない。
漣「こりゃあメシウマってやつですよぉ〜。これが毎日食べれるんですから楽しみですよね」
漣はそう言うと黙々と食べ始める。
炊事班の事を忘れているな。
提督「いや、建造ペース的に炊事班は明後日には揃うぞ?そうすれば私はお役ご免だ」
自分の食事を作る手間はあるが、安全を買えるのだから自炊はする。
しかし、増殖する艦娘の食事を作り続けるのは流石にキャパシティオーバーだ。
早めに炊事班を立てなければ提督としての仕事を熟せなくなる。
漣「ゔぇっ!?マジですかっ!」
提督「状況を見ながらになるがな。大本営に専門家の配属を具申する予定だから炊事班は其れ迄の繋ぎになる」
人間の作った食事を早く食べたいものである。艦娘の作った食事など不安で食べる気が起きない。
潮「炊事班にはお料理教室とか、練習が必要そうですよね?」
提督「確かに。そこまで艦娘が増えると私の時間が取れないから、調理場の管理人を立てなければならないな。料理教室はその人にやってもらおうか」
私は腕を持ち立ち上がる。おかわりするかを2人に聞いた後、3人分の腕を持ち調理場に入った。炊飯器は保温状態。常に60度前後を保っている。豚汁をよそうと冷蔵庫の中のバターと一緒にテーブルへ持っていく。
席に着き艦娘達におかわりを渡した。
私は豚汁にバター半欠けと鮭の身を入れる。
玄米の香ばしさは薄らいだが、乳製品と味噌の相性は良い。鮭の旨味にバターの旨味。子供味だが懐かしい味に舌鼓を打った。
漣「ご主人様は随分変わった食べ方をしてますね」
漣は不思議そうに私を見ていた。
潮は私の真似をしている。
潮「あっ、これ美味しいです」
提督「北海道のチャンチャ焼きと似た味になる。味に変化を付けたい時に良い」
漣「漣もやりますー」
その後、一升炊きの炊飯器半分の豚汁は残らず食べ尽くされた。誰よりも潮の食事量が多かった。
明日の朝食分も纏めて作っていたので、朝食を作る手間が1つ増えた事に私は悲しんだ。
食事を終えて艦娘達と片付けも終わった頃。私は明日の予定を艦娘達に伝える。
提督「本日消灯2100。総員起こし及び点呼が0600。朝食は0605から0700。作戦説明が執務室で0705から。説明終了後作戦行動開始。戦闘があるので朝食は控えめにするように」
漣「はーいしつもーん。明日のご飯はなんですか」
漣が手を上げ質問する。
提督「決まっていない。希望があるなら聞くぞ」
漣「オムライスっ!」
潮「ハンバーグがいいです」
提督「じゃあ、昼食にハンバーグで夜食にオムライスだな」
ミンチ肉に何を入れられるか解らないので一人で安心して作れる昼食にハンバーグを設定する。
漣「むー、それなら昼夜逆がいいです」
提督「悪いが仕事が立て込んでてな。夜に時間の掛かるものは作れない」
艤装の測定値を平均化しデータとして出さなければならない。測定器はパソコンと連動していない為、出た数値を手入力でまとめなければならなかった。
漣「なら仕方ないですねっ」
潮はうんうん頷いている。艦娘達は納得した様だった。
私は艦娘達に自由時間を言い渡すと調理場に戻る。
明日の朝食で出す浅漬けだけ今日中に仕込む。
袋にキャベツのザク切り、人参の千切り、カブを16等分、葉は1センチ幅に、胡瓜を輪切りにして、塩、酢、出汁、昆布で漬ける。生姜を針にしてひとつまみ。少しだけ袋に余裕があったので茹でたイカの輪切りも詰め込んでおいた。
手抜きだが箸休めに良い一品だ。
時間を見ると1955。酒と乾き物を確認して皿に盛っておく。
来週以降のツマミを今のうちに仕込んでおく事にする。
チーズを角切りに。煮沸した瓶に入れて粒胡椒を10粒と鷹の爪3分の1本に上からオリーブオイルで満たす。
大葉20枚を軽く洗い、大蒜を3粒輪切りに。瓶に入れて醤油で浸し、1センチの層になるようにごま油。
梅を10粒叩き、鰹節一握りと醤油を和える。海苔を5枚千切り入れよく混ぜた後に日本酒で延ばす。ジャム用の小瓶に空気が入らないようにみっちりと入れて完成。
それぞれ冷蔵庫に1週間で馴染んでくる。
グラスと安いウィスキーに乾き物を盛った皿を執務室へ持って行く。
暗い執務室の窓を開けて机の上の灯りだけで酒を呑む。
明日には艦娘がまた増える。身体に悪いと解りつつも、酒と一緒に憂いを吞み込むしかストレスの解消方法を知らなかった。
提督「私は何時までここに居る?」
星は数多に有れど、一つとて星は答えてくれない。
横須賀鎮守府。漣は此処で建造されてそのままこの場所に着任した。
此処には漣一人。飢えはないが刺激も無い。無感動な1日を唯ひたすらに繰り返す。朝起きて身支度を整え、1日中散歩。昼と夕方に兵站を食べに食堂に行く以外楽しみが無い、版を押した様な生活を1ヶ月程繰り返した。
夜。お風呂に浸かりながら考える。
『もしかしたら朽ちるまで此の儘なのでは無いか?』
過去の失敗を後悔を無念を。晴らすこと無く朽ちていくのだろうか?
もしそうなったら。
漣「漣を呼び出した奴等を地獄に落としてやる」
風呂の水中に口を付けて発した言葉はブクブクと大きな泡になって消えていく。
無念の内に轟沈し、其れでも護りたいモノがあった。だからこそ戦場から退場した身なれど、恥を偲んで呼び掛けに応じたのだ。
運用されずに朽ちるなど許されないし許さない。
護りたかったモノが何だったのかは深い海の底にいる内に忘れてしまった。
だが私は、漣は此処に居る。
憎い敵に砲弾を浴びせ、魚雷を撃ち込む為に。私は此処に居る。
誰だろうと阻む事は許さない。それが大本営、貴様等であってもだ。
漣に黒く纏わりつく過去の無念は風呂の湯では洗い流せない。
こうしてまた1日が過ぎて行く。
朝になった。
0500に起床し、身支度を整える。
のんびりとしていればもう30分も経ってしまっていた。
燦々と照り付ける太陽に、雲ひとつ無い空。涼しい潮風が身体を包むようで心地良い。天気が良いので気分も良い。胸底から溢れ出るエネルギーをスキップに変えて移動する。
なんとなく良い事が起こりそうかも。
今日も日課の散歩をする。
鎮守府から出てはいけないと言う事は妖精さんから聞いていた為、鎮守府敷地内しか移動できないのは退屈だった。1ヶ月もぐるぐる散歩しているので敷地内の施設や小さな抜け道などは網羅していた。
今日は天気も良いし昼食でも食べ終わったら、景色が良いところで昼寝でもしようかな。
丁度鎮守府正面に差し掛かった時、車が一台停まった。
鎮守府に用事?
物陰から様子を伺う。艦娘の存在は機密事項だから例え軍人であっても限られた人間しか知らない。
暫く様子を見ていると、車内から人が出てきた。
背丈は私と同じくらいの白い軍服を着た子供。キチンと纏められた髪とキッチリ規則通りに着こなした軍服が初々しい。
どうやら運転手さんと話をしているようだ。
運転手「此処が横須賀鎮守府ですよ。提督殿」
提督と呼ばれた少年は苦笑する。
提督「まだ着任前ですよ、運転手さん。閣下から話は?」
運転手「いいえ、重要な任務を任せた人物を送って欲しいとしか。何かご不便はお有りでしたかな?」
ケタケタと運転手さんが笑う。
提督「全く閣下も意地が悪い事で。折角ならワインクーラーの中身を入れて置いて欲しかったとお伝えください」
運転手「ハッハッハ。それは申し訳無かった。次はご用意致しますよ」
提督「よろしくお願いしますよ。では、失礼」
運転手「ええ、それでは」
提督と呼ばれた小さい少年は手を振って運転手さんを見送った後、鎮守府を正面に見据えて腕を組む。
何となく、ふんすっと言う擬音が聞こえた気がした。
提督「うん。中々に立派な施設じゃないか」
本当に提督のようだった。
聞き違いだと思ったけどそんなことは無かったぜ。
少年なだけあって此の儘放って置くと何処かへ行ってしまいそうだった。
漣は急いで声をかける。
漣「ご主人様ですか?」
提督は漣を見て目頭を押さえた。
同じくらいの歳の娘に先程の会話を聞かれていたら確かに恥ずかしい。ダンディーなおじ様だったら格好付いてたのにね。
ご主人様は厨二病?
提督「君は?」
ご主人様は声を若干震わせながら質問を返す。質問を質問で返すのは失礼なんだぞ少年。
ま、声がちょっと震えてるのが可愛いので許す。
漣「綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま。こう書いてさざなみと読みます」
漣の文字は初めての人は大体読めない。漢字検定準1級位難しい。空気に書いても分からないだろうから後でおねーさんがちゃんと教えてあげよう。
提督「本日より横須賀鎮守府に着任した提督だ。これ以上の話は鎮守府の中で。案内を頼む、漣」
少年が提督で在ろうと背伸びをしている姿は微笑ましい。この漣の提督なのだ。頑張れご主人様。
漣はご主人様を鎮守府の執務室に案内する。
執務室に着くとご主人様は荷物を部屋の端に寄せ提督の席に座る。丁度机挟んで向かい合う形になった。
提督「改めて、提督だ。偉ぶるつもりは無いので気軽に話しかけて欲しい」
ご主人様、超偉そうです。
漣「特型駆逐艦の19番目、綾波型でいうと、9番艦の漣だよ。南雲機動部隊が真珠湾でボコボコやってる時、
ミッドウェー島砲撃を敢行したよ。何気に凄くない?」
ご主人様は漣の事を知らないだろうから略歴を交えて自己紹介をする。
提督「私は艦娘と初めて会うが本当に過去の記憶を持っているのだな」
あり?漣の事を知ってたみたい。
けど、漣は漣だから自分の記憶を持ってるのは当たり前でしょうに。
漣「もちろんですともっ。まさか人型に成るとは思っても見ませんでしたが」
形は違えど漣は漣。
やっぱり、ご主人様は艦娘の事を知らないみたい。説明とか無かったの?
提督「成る程。やはり人型は・・・。」
ご主人様が何かを聞こうとしたけど正午の鐘に遮られる。
ちょっとしょんぼりしてるご主人様に萌えた。
提督「・・・食事にしよう。案内してくれるか」
漣「はーい。一名様ごあんなーい」
食堂に着くとご主人様は辺りをキョロキョロ見渡した。本当に広いよね、ここ。
今日は奮発してシーフード味のカップ麺にしようかしら。シーフード味は他のと比べて数が少ないリッチテイストだ。
提督「・・・漣。何が食べたい」
ぱーどぅん?
漣「えっ!ご主人様が作るんですか?」
お湯を沸かすくらい漣にも出来る。
ケトルに水を入れてボタンを押すだけだ。
態々ご主人様にやらせる意味が無かった。
提督「漣。私が来る前は何を食べていた?」
ご主人様が聞いてくるが兵士の食べるものは兵站に決まっている。
そして兵站とはカップ麺の事だ。
漣「カップ麺ですっ。得意料理なんですよ」
漣は面白くってピースサインをした。
美味しく、味も多様にある。全く、良い時代になったものだよ。
提督「・・・幸いにも材料は豊富だ。好きな物を言いなさい」
ご主人様は何か遠い目をしている。
そこまで言うなら仕方ない。
漣「じゃあ、鴨肉とフォアグラのソテー 〜夏野菜を添えて〜 でっ」
漣も聞いた事しか無いが、何となく意地悪がしたくなったので謎の料理を注文する。
フォアグラとかソテーってなにさね。
提督「わかった。時間が無い、直ぐに取り掛かる」
漣「えっ。ちょっ」
慌てるご主人様が見たかったのにご主人様は厨房に入ってしまった。
予想外の出来事に慌てる。漣が慌ててどうすんのさっ。後、訳分からんメニューに不安を覚える。変なの出てきたらどうしよう。
取り敢えず水を用意しよう。
頼んでおいてアレだけど水さえあれば変なものでも飲み込める。
暫くするとご主人様が厨房から出てきた。
提督「出来たぞ。悪いがナイフとフォークは此処から取ってくれ」
ご主人様の手には2つの皿と丸いパンの入った竹籠、テーブルクロスに包まれたナイフとフォーク。腕まで使って運んで来る様はある種のプロの仕事に見えた。
漣「いや、ツッコむ所が多過ぎるんですがそれは」
提督「細かい事はどうでも良いだろう。後30分しか休憩は無いぞ」
昼の休憩時間は1時間。
作戦も無いのに時間を守ろうとするのは真面目だからだろうか。漣だったらサボる。
いろいろツッコミたい気持ちを鎮めていると、ご主人様はいただきますと言ってサッサと食べ始めてしまった。
漣も何とかのソテーを一口に切り、口に運ぶ。
漣「ウマーっ!何ですかコレッ!」
思わずフォークを口に入れたまま片手を頬に添える。
適当言っただけに次にコレが食べたいと言えない事が惜しい。
提督「良い状態の鴨肉が無いと作れない味だな。今後は魚ばかりの食事になるだろうから運が良かった」
ご主人様が何か言ってるけど、漣は目の前の何とかのソテーに夢中で聞いてなかった。
んーパンと合わせるともっとイイのね。
食事も終わり、少し寛いでから鎮守府の施設を案内する。入渠施設に訓練場に艦娘の寮に弾薬倉庫。最後に工廠を案内してしゅーりょーかな。
提督はキョロキョロと御上りさんみたいに周りを見回していた。
やっぱり、子供よねぇ。迷子にならない様に気を付けなきゃ。
建造施設に到着したら早速艦娘を建造して貰う。一人で出撃とか寂しい。
漣「早速試してみたら如何ですか」
提督「ああ、判った取り敢えず最低値で建造するか」
全部ぶっ込むとか言わなくて良かった。出撃とか出来なくなるし、ぶっちゃけデメリットしか無い。
提督が大型の機械の前でディスプレイを操作する。妖精さんへの注文書の様なものだ。
妖精達が何処からかわらわらと出て来て作業に入る。妖精さんって小さいから細かい作業とか得意なんだよね。
まぁ普通の人には見えないんだけど。
妖精さんは自分達が見えてる人しか見えないらしい。人間は妖精さんが見えないみたいだから、妖精さんからも人間は見えない。
だから注文書の代わりの建造用ディスプレイなんだろう。
提督の横顔を覗き込みと視線があちこち動いてた。あれっ、提督は妖精さんが見えてる?
作業責任者の妖精さんが、指示を飛ばす合間に提督に近付いて来る。
妖精「シツムシツデマッテナ」
妖精さんは作業をジロジロ見られるのは苦手なのだろうか。妖精さんは職人気質なのだ。自分の仕事に誇りを持っている。
提督「判った。それと、本日より着任した提督だ。今後とも宜しく頼む」
提督は手土産の羊羹を渡す。
あれって竹の葉で包んである一番良いやつだよね。
妖精「カンシャスル、ルーキー」
妖精さんが羊羹を差し出した提督の手をぺちぺちと叩いている。
提督「頼むぞ、職人達」
妖精「ンー」
提督は妖精さんの頭をぐしぐしと撫でる。
妖精さんは職人と言われた事を誇らし気にしたが、頭を撫でられた瞬間デレ顏になった。それで良いのか妖精さん。
漣達は工廠を後にした。
漣「ご主人様にも妖精さんが見えるんですね」
ご主人様にちょっと質問してみる。
人間で妖精さんが見えるのは随分珍しい。
提督「?・・・ああ。漣も見えてるだろ」
漣「そりゃ艦娘ですからねっ。人間で妖精さんが見えるのは珍しいですよ」
艦娘と人間は違うのよ?
ご主人様はうんうん唸り始めた。知らなかったのかな。
漣「あっそーだ」
ご主人様が考えに浸っている間暇だった漣は先程の件を思い返す。
妖精さんにお土産があるなら漣にもあるよねっ。
漣「ご主人様。漣へのお土産は何ですか?」
笑ってピース。
此れで何もなかったら恥ずかしい。
提督「ああ、良いところのシュークリームとプリンだ」
あったりー。
漣「んー食べ物ですかな?」
お饅頭とかお蕎麦とかじゃないのね。
提督「洋菓子だ。甘い茶碗蒸しとビスケットのお化け。建造が終わったら新しい艦娘と食べるか」
プリンは食べたことは無いが知っていた。確かに見た目は茶碗蒸しだ。ただ、ビスケットのお化けってなにさ。
まぁ美味しいなら何でも良いんですけどね。
漣「食事の後に甘味とは流石ですなぁ」
提督「初めに会った時から私の荷物をチラチラと見ていた癖によく言う。大方検討は付いていただろうに」
私は苦笑する。
チラチラ見てたのはご主人様が知らない間に何処かに行って迷子にならない様にする為だ。
ここは本人の威厳の為に言わないでおこう。
漣「あちゃー。バレてましたか。ご主人様を見たときにこう、私の甘味センサーがキュピーンと来たのですよ」
提督「まぁいい。建造は20分だったな。茶でも淹れて来てくれ。3人分な」
新たに建造される艦娘の分も用意していたらしい。用意周到な事で。
漣「最初の命令が茶汲みですか。平和な鎮守府になりそうで安心ですね」
漣は建造されてから甘味を食べた事がなかった。自然と目がギラつく。ご主人様を怖がらせるといけないから笑顔を意識しなきゃ。にっこり。
漣はさっそく執務室を出てドアを静かに閉めた。今だけは館に仕えるメイドの様に注意深く丁寧な仕草を。
何故かって?ノリだよ。
提督「ふーぅ。仲良く出来ると良いのだが」
ドアが閉まる瞬間。提督の独り言が確かに聞こえた。
漣「うふふ」
思わず漏れた声で、漣はご主人様を悪く思っていない事を自覚した。
上司が部下と仲良く出来るか心配している様にも聞こえるし、子供が友達を作れるか不安になっている様にも聞こえる。
大丈夫ですよご主人様。漣が付いているのですから。
漣「さて、紅茶でも淹れますかね〜」
妄想が膨らむ前に仕事に取り掛かろう。折角の茶会なのだから良い茶葉を使おうか。
給湯室に向かい湯を沸かして茶葉を蒸らす。時間は3分間。たっぷり用意すれば冷めにくいので6人用のティーポットで淹れる。
気分が乗ってきて鼻歌を歌っていると声をかけられた。
??「あ、あのっ!」
漣「ふぁいっ!」
きゅっ、急に大声を掛けられたら吃驚するジャマイカっ!
漣は声の聞こえた方へ振り返る。
其処には艶やかな黒髪が綺麗で臆病そうな御上りさんがいた。
・・・なんとなく他人に思えないのは気のせい?
??「あっあの、綾波型10番艦の潮です。執務室に行けと妖精さんに言われたのですが・・・。」
んー?綾波型、10番艦?
漣「妹キターーーっ」
潮「ひいっ」
漣「漣は綾波型9番艦の漣だよっ。まさか、初建造で妹に会えるなんてっ!漣は運命の気まぐれを感じるねっ!潮ちゃんと漣は運命の赤い糸で結ばれてたんだよっ!」
漣は潮ちゃんの手を両手で握って上下に振る。ついでに抱き付いて一緒にグルグル回る。漣から溢れ出る喜びは回転エネルギーとなって潮ちゃんの事を振り回すのだっ!
潮ちゃんが目を回してるけど気にしないっ!
漣「取り敢えず執務室に行かなきゃだねっ」
漣は潮ちゃんの手を握って執務室に先導する。
潮ちゃんはまだ目を回してるけど気にしない。・・・正直済まんかった。
潮ちゃんは執務室前まで引き連れてくる間に回復したみたいだけど、提督に会う緊張の為か漣の手を強く握っている。
漣「緊張しなくて大丈夫だよ潮ちゃん。提督は子供だから」
潮「えっ、提督って子供に務まるものなの?」
漣「んー、どうなんだろ。直接聞いた訳では無いけど、見た目は漣と同じ位だよ。時代の流れですなぁ」
漣も提督の年齢の事は気になっていた。漣の時代では而立でも【若い提督】だった。
今の時代の子供はかなり早熟らしい。
戦国時代に逆戻り?
潮「それって、かなり優秀な人なんじゃないかな?後は、親が凄い偉いとか」
漣「んー、どうとも言えませんな。ま、直ぐに判るでしょ」
漣としては無能じゃ無ければ何方でも良いんだけども。
融通は効きそうな感じだったし、ご主人様の事を悪く思っている訳では無い。
ご主人様はまだ子供なんだから若干能力が低くても教えてあげれば良いだけだ。
あれ、そう考えるとやる気さえあれば良いって事?人手が足りないブラック企業かな。
ご主人様を長く待たせるワケにはいかないので執務室のドアを開ける。
あっ、ノックし忘れた。
漣「おっじゃましまーす」
潮「し、失礼します」
執務室のドアを開けて真正面にいるご主人様に目を向ける。
机の向こう側にいるご主人様は意外と【提督】みたいで、様になっていた。
漣「主人様、新入りみたいよ?」
提督「みたいだな」
ご主人様は新しく来た潮ちゃんを観察してる感じ。
じぃーっと潮ちゃんの事を見つめてる。潮ちゃんもそれに気づいて緊張しちゃってるみたい。
潮「特型駆逐艦…綾波型の『潮』です。もう下がってよろしいでしょうか…」
なんか潮ちゃんの自己紹介を聞いたご主人様が震えだした件。
嫌われたと思ったのかな?ぷるぷるしてる。
潮ちゃんはちょっと臆病なだけだから大丈夫よ。
提督「まぁそう言うな潮。土産と茶がある。食べて行きなさい」
あ、ちょっと持ち直した。頑張って、ご主人様。
提督「漣、後輩に秘書艦の実力を見せてやれ」
漣は首を傾げ人差し指を頬に当てる。
ちょっと考えて紅茶の事だと判った。
漣「んー?あっ、ほいはらさっさー」
そういえば、茶葉入れたままだった。あれから時間経ってるけど大丈夫かしら。執務室から出ると急いで給湯室に向かう。
給湯室に入りティーセットと砂糖、ミルクをトレイに載せて執務室へ。
執務室の前に来たけど、両手が塞がってるからドアを開けられないわコレ。
仕方なく肘でトレイを支える。
コンコンコンコン。
提督「入れ」
漣「失礼しまーす」
入室すると、提督と潮ちゃんは休憩用の椅子に座っている。漣が席の近くに行くとご主人様がトレイを置く時に補助してくれた。
漣とご主人様の様子を見て潮ちゃんの笑顔が深くなる。提督は何故かむすっとした。拗ねちゃったのかな?
漣が居ない間にこんなに仲良くなって、ご主人様は意外とやり手ですねぇ。
漣が席に着くとご主人様は執務室にある冷蔵庫からお土産を取り出してテーブルの中央に置き箱を広げた。
保冷剤の独特な匂いに混じって卵の匂いがする。
中を覗くとプラスチック容器に入ったプリンが4つ。ゴツゴツした岩っぽいのと、カスタードと蓋の上に書いてある容器が4組。
漣「あれ?随分多めに買って来たんですね」
1人当たり1組とは随分と太っ腹。
提督「艦娘が何人着任しているか聞けなかったからな」
ご主人様が遠い目をしてる。
時代が変わっても大本営は変わっていないらしい。
エイリ(ry 並みの目の大きさを持つ漣との今後が気になりますね・・・
続きを首を長くしてお待ちしております。
〉〉D13XmcRS様。
エイリアンという表現は《提督》の【現実的】な世界に《艦娘》という【アニメ的】な生命体が出現した事を現しています。
提督が目眩を起こしたのは、提督にアニメ・ゲーム類の知識が無く、初めて見るアニメ的な少女に対しての恐怖感を強調しているつもりです。
つもりです。
↑大事なことだから2回書いたのかw
〉〉H8Zz10mj様。
朕の暇つぶしに付き合ってたもれ!
アニメ的な生命体っていうとチャイルドプレイのアレがイメージで出て来ちゃった・・・
そりゃ恐怖感じるよね
続きを気長に待ってます。
素晴らしいアンジャッシュ感、これは期待
このSSを見て認識を改めさせられた。
潮はなんて抜け目ない奴なんだ。
凄い、ずっとこういうのが読みたかった 期待
これ提督がただ勘違いしているだけという認識でええよなw
〉〉sVFAl-Du様。
ええよ。
普通に振る舞う艦娘に対して必要以上に警戒する提督の様子を書く予定です。
提督の艦娘への好感度はかなり低く、艦娘の提督への好感度は高めに設定されています。
後々色々関係が拗れそうねw
応援してます
妖精さん可愛いw
自分の家にもこんな可愛いのが
居たらなあw
やべぇおもしれぇw
続き待ってます1
新鮮ですな。続き楽しみにしてます。
更新はないだろうなぁ…悲しみ
是非とも続きを読んでみたいです!