2017-06-06 10:13:39 更新

概要

夕立の周りで起きる不可解な現象・・・
かすかに聞こえる声を追ってたどり着いた場所は・・・


「提督さん、遠征大成功したっぽい~♪ ほめて~♪」


「お~、よくやったな~。」


と、言って夕立の頭を撫でる。


「♪~」


夕立にとってこれが至福の時。


「提督さ~ん♪」


夕立は抱き着こうとするが・・・


「あれ・・・提督さん?」


辺りを見回すが・・・どこを探しても提督の姿はない・・・


「ぷ~・・・」


最近いつもそう・・・



近づこうとすると、一瞬で消えてしまう・・・提督さんは超能力者っぽい?



それ以外にも気になったことが・・・


ある昼の事・・・


「提督さん、何してるの~?」


そこには、仕入れたばかりの緑茶を煎じている提督が、


「今日届いたばかりの新茶だ、夕立も飲むか?」


「飲むっぽい~♪」



・・・・・・


夕立の前に緑茶とまんじゅうが出され・・・


「いただきます~♪」


と言ってまんじゅうを頬張る・・・が、


「あれ~?」


夕立が首を傾げる。


「このまんじゅう~何かしょっぱい。」


あまりのしょっぱさに隣にあった緑茶を飲み干すが・・・


「!? ぶっ!!」


思わず吐き出す。


「な、何これ~!? とってもしょっぱい~!? まるで海水っぽい~・・・」


そして、お決まりの、


「・・・あれ、提督さん?」


その場に提督の姿は無かった・・・



「・・・・・・」



提督さんだけではなかった。


時雨や霧島さん・・・ほかの皆だって最近見ない・・・



「・・・・・・」



たまの差し入れでおやつとかもらうけど・・・どれも塩分が濃くて、口に合わない。


夕立、味覚障害っぽい~? 皆それで、夕立を避けるっぽい~?



「・・・・・・」



もう、まずいとか吐いたりしないから皆戻って来てよ~・・・


夕立寂しいよ~構ってほしいっぽい~・・・



「・・・・・・」


夕立は一人で廊下を歩いていた。


「・・・・・・」


鎮守府には人の気配がしない・・・むしろ夕立しかいない位に静かである・・・


「・・・?」


耳元で聞こえるかすかな声・・・




・・・ち





・・・・・・だ・・・・・・ち





「・・・・・・」


いつもここで途切れてしまう。


「何だろう・・・・・・だちって・・・友達って言ってるっぽい?」


夕立は考えるが・・・


「わかんない・・・それより皆はどこ行ったっぽい~?」


夕立は鎮守府内を探し回る。



・・・・・・


「皆~どこぉ~?」


夕立が必死に探すが・・・


「・・・・・・」


いくら探しても、見つからなかった。


「皆、もしかして・・・鎮守府から出て行ったっぽい?」


そう思ったら、急に泣き出した。


「やだよ~! 夕立を一人にしないでっぽい! 皆戻って来てほしいっぽい~!!」


しばらく泣き叫び・・・


「・・・あれ?」


廊下の突き当りに明かりが・・・


「確かあそこは食堂だったっぽい・・・」


夕立は歩いていく。


「・・・・・・」


そこには・・・


皆が食堂で楽しく食事している光景が・・・


「やぁ夕立、どうしたのさ? もう皆食べ始めてるよ。」


時雨が言う。


「はい、私の特製卵焼き、出来上がりました。」


給仕の瑞鳳が次々と卵焼きを作っていく。


「夕立ったら・・・いつも寝坊助なんだから・・・」


村雨が呆れる。


「ほらほら、夕立さん。 食べたらすぐに遠征ですよ・・・早く食事を済ませてください。」


霧島が席を空ける。


「・・・・・・」




何だ・・・皆食堂でご飯食べていたんだ・・・夕立ったらとんだ勘違いしてたっぽい~♪




そう言って夕立は席に座る。


「はい、どうぞ。」


瑞鳳の卵焼き、お吸い物・・・炊き込みご飯が出される。


「おいしそう~♪ いただきま~す♪」


夕立は卵焼きを一口で・・・しかし、


「!? うえっ・・・げぇっ!!?」


思わず吐き出す。


「だ、大丈夫ですか!? 夕立さん!」


側にいた霧島が駆け付ける。


「だ、大丈夫っぽい・・・少し、蒸せたっぽい・・・」


夕立は謝る・・・




でも、実際は違った・・・この卵焼き・・・塩の塊みたくしょっぱくて食べれた物じゃなかった。




それでも、夕立は気を遣ってお吸い物を口に運ぶが・・・


「!? げぇっ・・・うげぇっ!!!」


またしても吐き出す。


周りにいた皆が動揺する。


「・・・濃い・・・塩が濃すぎっぽい!!」


側にあった水を飲むが・・・


「!? ううう・・・うげぇ!!」


水どころか海水に近いしょっぱさでまたも吐き出す。


夕立の態度に周りは、


「何だよ・・・夕立は。」


「今日の夕立、何かおかしい。」


「せっかく瑞鳳さんが作った卵焼きを・・・」


と、皆夕立から離れて行った。


「・・・・・・」


夕立は一人うずくまりながらすすり泣いていた・・・





それからというもの・・・


夕立は食べ物を一切、口にしなかった。


皆は夕立の態度に呆れ、徐々に離れ・・・結局誰一人近づかなくなった。


「・・・・・・」



食べ物はまずいし・・・皆はいなくなるし・・・夕立・・・これからどうしたら・・・



「・・・・・・」


また聞こえる・・・耳元に聞こえるかすかな声・・・






・・・ち






・・・・・・だち・・・





しかし、いつもと違って声が大きいことに気付く。





・・・・・・だち・・・






・・・う・・・だち・・・


夕立はその声を集中して聞いた。







・・・・・・う・・・だ・・・ち・・・・






・・・うだ・・・ち・・・




ゆ・・・・・・う・・だち・・・・・




そして気づいた。


「ゆうだち・・・私の名前!?」


そう、かすかに聞こえた声は「夕立」と言っていたのだ。



「誰かが私を呼んでるっぽい?」


夕立は改めて声を聞く・・・すると・・・夕立から見て正面から聞こえることに気付いた。


「声の場所はまっすぐ・・・まっすぐ行けばわかるっぽい?」


それからは夢中で走った。


「まっすぐ・・・まっすぐ・・・」


そこは鎮守府入り口から出たすぐの道なりだった。


「まっすぐ・・・まっすぐ・・・」


夕立はお構いなしに走り続ける・・・


「まっすぐ・・・まっすぐ・・・まっすぐ・・・」


鎮守府の入り口から出た瞬間、


「!?」


夕立は気を失った。














・・・・・・



「夕立・・・夕立!!」


村雨が必死に叫ぶ。


「・・・・・・」


夕立の目が開く。


「!? 夕立! 気づいた!?」


「・・・あれ・・・村雨・・・?」


夕立が気づいた場所は、海上だった。


「よかった、敵との交戦で被弾して気を失っていたのよ。」


村雨の言葉に・・・




ああ、そうか・・・そうだったんだっぽい・・・




今まで食べ物がしょっぱかったのは海水を飲んでいたから・・・




皆が急にいなくなったりしたのは・・・私が見た幻だったから・・・



「・・・・・・」


「ほら、早く起きて!」


村雨が手を伸ばす。


「・・・・・・」


「帰って提督に褒めてもらうんでしょ?」


「・・・・・・」


「今日のMVPは夕立なんだから。」


「・・・・・・」


夕立は手を伸ばし、起き上がる。


「さぁ、帰りましょ。 皆が待っているわ。」


「・・・うん、夕立、帰還するっぽい~!」


夕立は村雨たちと共に、鎮守府へと帰っていった。







「提督と夕立」 終









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歩提督さんから
2019-08-06 21:47:26

SS好きの名無しさんから
2019-06-14 17:17:17

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2017-05-24 00:23:29

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歩提督さんから
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