2018-12-13 20:32:14 更新

概要

プリンツが昔経験した過去の物語。


「あら、雪が降って来たわ・・・」


窓の外を見ると、雪がちらほらと降りて来る。


「ふふ、雪を見ると昔を思い出すわね・・・」


プリンツは昔を思い出す。


・・・・・・

・・・



「いやぁ~プリンツ。 今日も中々良かったぞぉ。」


指揮官と思われる人間と隣にいる女性がベッドで横たわっている。


「ふふ、指揮官こそ、ここはまだ元気ね。」


そう言って、先端をつんつんと突っつく。


「おほっ♡ そんな事をしたら、オレの主砲が装填されるではないか。」


指揮官の主砲はいつでも準備万端だ。


「そうこなくちゃ、次は私が上よ♡」


そう言って、女性は指揮官の上にまたがり、


「おおっ♡ ずぶずぶとオレの主砲を包み込んで来るぅ♡」


「ふふ・・・私を満足させるまで帰さないわよ。」


そう言って、2戦目の夜戦に突入する。


・・・・・・


彼女は鉄血所属の重巡”プリンツ・オイゲン”。


抜群のスタイルと防御に長ける性能に彼女を選ぶ指揮官も多い事だろう。


最近ではプリンツが複数の指揮官と夜戦を行い、肉体関係になっている。


理由は「指揮官との深い交流」や「欲求不満で体を満たしたい」が掲げられるだろうが、彼女は違った。



”小遣い稼ぎのため”



最初は指揮官からの誘いであった・・・「札束3枚でどうだ?」・・・と。


ちょうどその時は彼女も手持ちが無かった為、「貰えるなら」と割り切って夜戦を行う。


その後も、彼女に夜戦を求める指揮官たちが後を絶たず彼女も次第に、


「お札をくれるなら、やって(夜戦して)あげてもいいわよ?」


と進んで行うようになった。


・・・・・・


「・・・結構貯まったわね。」


自身の体で稼いだ金を数えるプリンツ、


「もう少しね、もう少しで私の夢が叶うわ。」


どうやらプリンツはお金を貯めて、何かをしたようだ。



でも、自身の体を売ってまでやりたい事とは一体何であろうか?



「プリンツ、少し話してもいいか?」


どこぞの鎮守府の指揮官だろうか、彼女に話しかけて来た。


「いいけど、何か用かしら?」


質問をするが、内容は分かり切っていて、


「今日はどうだ?(札束を見せる)」


「・・・いいわよ、じゃあ今夜ね♪」


いつもと同じ夜戦のお誘いである。


・・・・・・


「はぁはぁ! プリンツ!」


「はっ はっ 何、もうイきそうなの? もっと私を気持ちよくさせてよ。」


下半身に力を入れると、膣の締め付けが一層強くなり、


「おおっ♡ も、もう駄目だ・・・うっ!!」


「あっ♡ 指揮官のが注ぎ込まれる~♡」


一滴残らず絞りつくし、


「ううん♡ もう指揮官、早過ぎよ♡」


夜戦を終えて、指揮官は一服する。


「ふぅ~、流石は噂通りに聞いた通りだ。スタイルは良いし積極的で完璧だ。」


そう言って、タバコを吸い始める指揮官。


「ふふ、指揮官の主砲も中々良かったわよ♡」


指揮官の体に寄り添うプリンツ。


「本当に、お前の体はエロくて興奮する。 一体何人の指揮官たちを虜にしてきたんだ?」


「・・・・・・」


指揮官の質問に、プリンツは口を閉じる。


「おっ、流石に恥ずかしくて言えないか? そりゃそうだな・・・もしくは多過ぎて数え切れないとか?」


指揮官は笑い始める。


「・・・・・・」


何故か思いつめた表情で終始無言のプリンツだった。


・・・・・・


「・・・後少し。」


改めて残金を確認する。


「もう少し・・・貯まったら、家を購入してこの鎮守府から出て行く!」


どうやらプリンツは自分の家を購入したかったようだ。


「もう、たくさん。 指揮官の口から出る言葉は決まって「夜戦、夜戦」って・・・」


プリンツは1人部屋で叫ぶ、



最初は”いいバイト”と割り切って体を売っていたプリンツ、しかし、夜戦を重ねるごとに彼女には寂しさを覚える。



「君のスタイルは最高だよ!」


「君の体を見たら男たちは皆イチコロだね~」


「一体何人の男と寝たんだ?」



指揮官たちが発した言葉・・・全て”彼女の体”に関しての事ばかりだ。



”誰も私の・・・私と言う人間を見てくれない。”



あくまで体が目当ての男たち、プリンツはそれに嫌気が差していた。



”本当の私は違う、体を売りにする淫乱な女じゃない・・・どこにでもいる普通に恋をしたい女よ!”



部屋で1人叫ぶも、その声は誰の耳にも届かない。


・・・・・・


ある日の事、


「プリンツ、今日の夜はどうだ?」


いつもと同じ、複数の札束を広げて見せる指揮官、


「・・・いいわよ、私も今日は出撃も委託も特別入っていないし。」


「そうか・・・なら今夜の22時にここの場所へ来てくれるか?」


「? ここへ?」


指定された場所は、鎮守府から少し離れた物置だった。


「ああ、たまには野外もやってみたくてな。」


「・・・あんたにそんな趣味があったのね、でも今夜は雪が降るし寒いから部屋の中の方が・・・」


「そこを何とか・・・そうだ、札束を倍にしよう! これでどうだ、頼むよ!」


「・・・・・・」


「そうだ、外は寒いだろうからこのマフラーを付けていけ、だから頼む!」


「・・・・・・」



指揮官の必死の願いと札束を倍にされた事で、「終わったらすぐに帰るわよ?」という条件を飲んでもらい、


プリンツは承諾する。


・・・・・・


「もうすぐ22時ね、少し早いけど行こうかしら。」


そう言って、マフラーを首に羽織ると、プリンツは指定された場所へと向かう。



「確かここのはずよね?」


指定された場所に物置はあったが、古いせいかボロボロで今にも崩壊しそうだ。


「・・・流石にこんな場所でやる気にはならないわね、鎮守府に戻りましょう。」


そう言って、元来た道を戻ろうとした時、


「待っていたぞぉ~プリンツ~!」


プリンツの目の前には指揮官と他複数の人間が立っていて、


「指揮官、それに周りにいる人間は誰?」


プリンツは状況を分かっていない。


「お前ら、好きにしていいぞ! 好きなだけ可愛がってやれ!」


指揮官の許可で周りにいた男たちはプリンツに襲い掛かる。


「!? 一体何、何なの!?」


プリンツは抵抗するが、数人の男たちの力には到底かなわない。


「何って、こいつらの性処理をさせるんだが?」


「!? どう言う事!? そんな話聞いていないわ! 指揮官が野外でヤりたいって!」


「はぁ? お前の様な何人の男と寝ている淫乱女となんか寝るかよバカが!!」


指揮官は叫び、


「指揮官の言う通りだ、この女、胸もスタイルもいいぞ!」


男がプリンツの体に触れて、


「!? 触るなこの変態!」


隙を見て平手打ちをかます、


「あぁ? いってぇなこのアマがぁ!!」


逆上した男から拳で何度も殴られる、


「うっ! ぐぅっ! い、痛い!」


顔と体を何度も殴られ、怖くなったのか涙目になる。


「大人しくしてろよ! お前は売られたんだ! 抵抗する権利はない!」


そう言って、プリンツの服を脱がせていく、


「止めて・・・お願い、止めて!」


必死で抵抗するも、


「あぁ? お前に抵抗する権限はない。 林の奥で埋められたくなかったら大人しくしてろ!」


男たちから殺気に満ちた眼光を向けられる。


「・・・・・・」


プリンツは恐ろしくなり、遂には大人しくなる。


「それでいい、よし順番に回せ! オレたちが満足いくまで付き合って貰うからな。」


1人は主砲を出してプリンツの口に含ませ、


1人はプリンツが必死に手で覆い隠すも無理やり挿入したりと、男たちのやりたい放題だ。


「・・・・・・」


指揮官に騙された事と、抵抗できずに犯される自分が情けなくて涙を流すプリンツ。


結局、男たちからの暴行(強姦)を長時間受け続けるプリンツ。


・・・・・・

・・・



空が白い・・・雪が降って来た。


「はは・・・」


強姦され、体中にあざを付けられた挙句、稼いだ金を全て取られてしまう。


「ははは・・・全てあの指揮官に嵌められたわけね。」



服はほとんど破られ着ることが出来ない、唯一残っているのは指揮官から貰ったマフラーだけだ。



「・・・こんな格好で鎮守府に戻れるわけない。」


プリンツはその場から動く気が起きない・・・そして、運が悪いことに、


「雪が降るって言ってたけど・・・まさか吹雪になるなんてね。」


風が強くなり、振り続けた雪が相まって猛吹雪に変貌する。


「寒い・・・手足の感覚が無くなって来てる・・・それに裸。 私は凍え死ぬのね・・・」


プリンツの体に容赦なく降り注ぐ冷たい無数の雪。


「・・・・・・」



”意識が薄れていく・・・もう死ぬのね? いいわよ、もう楽になりたい・・・”



死を覚悟した時だった、



ザッ ザッ ザッ



”? 何の音? 誰かの足音?”



ザッ ザッ ・・・



”・・・止まった? 私の前に誰かいる?”



確認しようにも、体のほとんどが冷たく麻痺していたため、動くことが出来ない。



”? 体が何かに触れて? もしかして私を抱いている?”



プリンツを抱く謎の人間。



”この感触は・・・男、ね。”



何度も夜戦をしているからか、直感で分かる。



”・・・無抵抗の私を犯そうと? やっぱり男は皆そうよね。”



しかし、プリンツの予想とは裏腹に、



”!? 驚いた、この男・・・私を抱いて体温で私の体を温めてくれている!?”



直に感じる体温の温かさ、プリンツは少しずつ手足の感覚が戻りつつある。



”・・・香水? 男でも香水をつける人間もいるのね”



動けないが、臭いで香水を付けていると分かったプリンツ。



”・・・手足が動く、体全体の温かさが戻って・・・”



そう思ったのも束の間、元々低体温だったため、プリンツはそのまま意識を失う。


・・・・・・


「・・・はっ!」


朝になって目が覚めるプリンツ。


「・・・・・・」


目覚めた場所はどこかの寝室、


「・・・・・・」


もちろん、プリンツには覚えがない。


「ずっと外にいて、誰かが私を抱いて・・・それから・・・」


意識を失っていたため記憶が曖昧である。


「・・・・・・」


彼女の側にあったのは、替えであろう女性用の服と、宿泊代のお金。


「・・・・・・」


立ち上がって、部屋内を探すが誰もいない。


「・・・鎮守府に戻らないと。」


プリンツは替えの服を着て、ロビーで清算を済ませると鎮守府へと戻る。



プリンツのいた場所は、鎮守府から約数分で着く簡易旅館だった。


・・・・・・


それから、プリンツは出撃と委託に専念する。


指揮官からのお誘いは全て却下し、ただ任務をこなす日々を過ごす。



あの出来事で吹っ切れたのか、夜戦に飽きたのかは彼女にしか分からないが、今の彼女の気持ちはただ1つ、



”私を助けてくれた人間にもう一度会いたい”



手掛かりは、男であの香水の香りだけ・・・それだけで特定するのは到底不可能な話だが。


・・・・・・


数日後、鎮守府に新米指揮官が着任する。


「よろしく。 今日からこの拠点で君たちの上官を務める!」


軽い挨拶をした後、各員は解散。 いつも通りの出撃と委託が始まる。



「指揮官、今日行う書類を持って来たわ。」


プリンツが分厚い書類を持って執務室にやって来る。


「ありがとう、そこの机に置いてくれ。」


指揮官の指示で書類を置く。


「・・・・・・」


「? どうした? オレの顔に何か付いている?」


「・・・・・・」



”この指揮官は私を見て何も言わない”



「・・・私を見てどう思う?」


「? 君を見て?」


「そう。」


「う~ん、そうだなぁ。」


少し考え、


「綺麗だと思うよ。」


「? それだけ?」


「う~ん、そうだ・・・いつも指を口に咥えているから、物欲しそうなのか、もしくは寂しくて


 人に構って欲しいように捉えられるかな。」


「・・・・・・」


「ごめん、それくらいしか思い浮かばなくて・・・」


「いいのよ、変な質問をして私が悪かったわ。」


そう言って、プリンツが執務室から出る。


「・・・・・・」



”私の体に関して何も言わなかった”



それ以降、プリンツはあの指揮官に興味を持ち始める。


・・・・・・


それからと言うもの、


「指揮官、今夜は空いてる?」


「今夜? 特に用事は無いけど?」


「じゃあ、今夜は私と深夜一緒にどう?」


胸をチラ見させ、誘って見るプリンツ。


「・・・止めておく、着任したてで、いきなり女性に手を出すのは紳士としていかがなものかなぁ。」


指揮官は顔を赤らめ、仕事に戻る。


「・・・・・・」



”やっぱり彼は私の体ではなく、私を見てくれている”



「変な事言ってごめんなさい、先に休ませてもらうわ・・・おやすみ。」


執務室から出て部屋に戻るプリンツ。


次第に、指揮官との会話をする機会が多くなり、秘書艦に任命されるプリンツ。


・・・・・・


鎮守府にも特殊なイベント海域が出現し、各鎮守府でも大規模な攻撃作戦が実施される中、


「あいつがこの海域の敵本隊か? 各員敵を殲滅しろ!」


各鎮守府の艦船たちが突撃、戦闘が開始されるが、


「強い! 敵の弾幕が激しすぎる!」


敵は無数の砲台を展開、艦船たちに容赦なく弾幕を降り注ぎ、


「!? 前衛部隊が全員大破した! 止むを得ない、撤退する!」


敵の苛烈な攻撃に前衛部隊が壊滅的被害を受け、撤退を余儀なくされる事態に・・・



「〇〇鎮守府も壊滅、精鋭の鎮守府も前衛部隊が全滅・・・今回の敵は一筋縄では行かないようだ。」


何度も編成を変えて挑むも、敵の猛攻に成すすべもなく鎮守府の士気が徐々に落ちていく。


「誰かあの敵を撃破出来る部隊はいないのか!! 見事殲滅出来れば元帥殿から勲章が渡される!!」


本営は各鎮守府に鼓舞するも、どの鎮守府も敵を殲滅することが出来なかった。



「皆、元帥からの勲章狙いで皆に休みなく出撃させているらしいよ。」


疲れていようが、体調が良くなかろうが出撃させる指揮官たちに不満を持つ新米指揮官。


「そう言うあんたは本営から指示は来ていないの? イベントもボス手前まで制圧できたけど、


 その後、私たちに出撃すらさせていないじゃない。」



この指揮官は他と違って、プリンツたちに出撃をさせていない。



「勲章狙いでも名誉が欲しいわけでも無いからね。 ああ言うのは出世欲が強い輩にやらせとけば


 いいんだよ、オレはまだ新米だし、こつこつとこなしてゆっくり昇進していくよ。」


この指揮官はあまり昇進に興味がない様子、それを聞いてプリンツは、


「それは単に、あんたが”弱虫”なだけなんじゃない?」と思う。


・・・・・・


殲滅作戦が繰り広げられる中、遂に新米指揮官にも直に「制圧せよ!」との命が下る。


しかも、「これ以上命令に背くならば指揮官の権利をはく奪も止む無しと心得よ!」との警告書まで来ていた。


「やっぱり、何度も本営から命令を受けていたわけね。」


溜まっていた書類を見て確信するプリンツ。


「結局あいつはただの弱虫だったのね・・・」


他の指揮官と違った事で少し興味を持ったプリンツだが、


「私の体が目当てな指揮官も嫌だったけど、弱虫な人間のいる鎮守府なんか同じくらい嫌よ!」


指揮官に失望し、この鎮守府から出ようと決心するプリンツ。



「必要な物だけ持って・・・後は指揮官に気付かれないように、と。」


荷造りをし終わり、


「よし、さっさとここから出て行こう!」


そう思い、扉を開けて瞬間、


「!? 指揮官!?」


扉の向こうに指揮官がいた。


「プリンツ、君に頼みがある!」


新米指揮官からの突然の頼み、


「・・・・・・」



執務室で、


「私に旗艦をしてほしい?」


「ああ、任務は敵本隊を殲滅、敵の猛攻が厄介だが、君の能力なら何とか突破できるはずだ。


 だから、この任務を受けて欲しい。」


「・・・・・・」



もちろん、指揮官の命令だから従うけど・・・



「だったら、どうして今になって出撃を? 何でもっと早く出撃出来なかったわけ?」


指揮官に詰め寄り、


「本営から何度も出撃命令を受けていたんでしょ? それも全て無視して警告された途端に


 出撃命令なんて・・・虫が良すぎないかしら?」


指揮官の今までの指示に不満を持っていたプリンツが怒り出す、


「ごめん、プリンツは練度が高いけど・・・他の皆の練度がまだ少なかったから・・・」


「・・・・・・」


それを聞いて、プリンツははっとする。



この鎮守府で一番練度が高いのはプリンツだけで、他の皆は倍ほどに練度が少なく、指揮官は


イベントよりも優先的に皆の育成に力を注いでいたのだと言う。



「だから、ギリギリになったけど・・・やっと敵本隊に立ち向かえるくらいの練度まで育成出来たから、


 それで、一番練度が高いプリンツを旗艦として出撃して欲しかったんだ。」

 


「・・・そうだったのね。」



指揮官は弱虫ではなかった・・・ただ皆の育成を優先に出撃を控えていただけだった。



「ごめんなさい、あんたの気持ちを知らなくて、そればかりか自分勝手に当たり散らして・・・」


プリンツは謝る、


「いいよ、オレも秘書艦であるお前だけには伝えて置くべきだったな。」


それから、作戦内容を伝える指揮官。


「プリンツの防壁で敵の猛攻を防ぎ、駆逐艦たちの魚雷と主力の砲撃で一網打尽にする!


 出来るだけ接近しなければいけないし、常に危険が伴う・・・それでもやってくれるか、プリンツ?」


「ええ、分かったわ。」


「ありがとう、明日に向けて休んでくれ。 早朝に作戦決行する。」


こうして、作戦会議を終える。


・・・・・・


「明日の早朝に作戦決行・・・」


部屋に戻って床に着こうとするも、


「目が冴えちゃった・・・眠れないわ。」


翌日の作戦決行に対してか、自身が旗艦を務める事になった緊張感からか、プリンツは休むことが出来ず、


「・・・少しビールを飲んで来ようかしら。」


そう言って、食堂に向かうプリンツ。



「指揮官・・・」


深夜だと言うのに、書類整理を続けている指揮官の姿が、


「・・・・・・」



”見た目は頼り無い弱虫な指揮官、でも本質は皆を気遣い安全第一に指示をする優しい指揮官。”



「・・・・・・」


気づかれないように、静かにその場から去る。



「・・・・・・」


プリンツが立ち止まる、彼女の目の前には、


「指揮官の部屋・・・」



プリンツの部屋は指揮官の部屋の奥に位置している。



「・・・・・・」


おもむろにドアに手を掛ける。


「! 鍵が開いたまま。」


扉が開き、部屋に入ってしまうプリンツ。


「・・・・・・」


男性の部屋に初めて入るプリンツだが、


「男って、散らかっているイメージが強かったけど、指揮官の部屋はきちんと整理されているわね。」


部屋内を見回した後、ある物に目をやる。


「あら、これって・・・」


プリンツは手に取る。


「香水? 指揮官って香水なんかしていたっけ?」


普段から秘書艦をしていて、常に一緒に執務室にいる指揮官とプリンツ、香水の香りなど感じた事は無い。


「・・・・・・」


蓋を開けて、臭いを嗅ぐプリンツ。


「!!?」


プリンツは驚く、


「ああ・・・」


何かを悟り、その瞬間涙が溢れる。


・・・・・・


「ふぅ~、やっと書類整理が終わった。」


疲れたのか、おぼつかない足取りで部屋に戻る指揮官、


「明日も早朝から作戦会議があるし、風呂は・・・会議が終わってからでもいいかな。」


部屋に着き、扉を開ける指揮官、


「!? えっ!?」


普段と違う光景に驚く指揮官、


「プリンツ、どうしてここに!?」


ベッドの上にプリンツが座っていて、


「・・・どうした、なぜ泣いているんだ?」


プリンツは何故か泣いている、指揮官が理由を聞くと、


「・・・貴方だったのね。」


プリンツは指揮官に抱き着く。


「私を・・・吹雪の中、私を温めてくれて・・・助けてくれたのは・・・貴方だったのね!」


「吹雪の中? ・・・! そうか、君はあの時倒れていた・・・」


同時に指揮官も理解する。


「やっと会えた、ずっと探していたの。 私を助けてくれた恩人に・・・それが貴方だったなんて!」


プリンツは嬉しくて指揮官を一層強く抱きしめる。


「・・・たまたまさ、帰り道に君を見つけて急いで蘇生を施し、簡易旅館に連れて行っただけだよ。」


しばしの沈黙、


「指揮官、本当は私はね。」


「? 何だ?」


「あの時は、指揮官の命令だから「分かったわ」と言ったけど、本当は怖くて仕方がないの。」


「・・・・・・」


「私が旗艦で皆を護れるかどうかも、もしかしたら周りと同じ撤退するかもしれない、とずっと思っているわ。」


「・・・・・・」



初めてプリンツが発した女性らしい言動に指揮官は、



「オレはプリンツを信じているよ。」


「・・・・・・」


「絶対に・・・絶対に勝利して、皆と一緒に帰って来てくれ、プリンツ!」


「・・・指揮官。」


互いに抱きしめ、


「指揮官、お願い・・・私からのお願いよ。」


「・・・・・・」


「分かるでしょ? 指揮官♡」


「・・・(恥)」


そして2人はベッドに入る。


・・・・・・


「はっ! はぁっ! し、指揮官!」


指揮官のストロークに声を上げるプリンツ。


「指揮官! ああっ! いいっ♡」



今まで”金を稼ぐため”に割り切って体を売っていたプリンツ、しかし、今回は違う。


指揮官を愛している、そして愛し合いたい。 その気持ちが彼女を一層興奮させる。



「ああん♡ はっ はぁっ! 凄い! 指揮官のが私の奥にぃ、当たるぅ♡」


プリンツの絶叫が部屋内に響き渡る。


「はぁん♡ うん♡ ああっ そこ! いいっ!」


プリンツの体がブルブルと震える。


「はぁはぁ、プ、プリンツ! オレはもうイきそうだ。」


「あふぅん♡ はぁっ はぁっ! いいわ、来て指揮官!」


「出すぞ! ・・・ううんっ!!」



最後の突きでプリンツの中に注ぎ込まれる、



「ああ・・・あ、熱い。 指揮官のが私の中にいっぱい・・・」


夜戦を終えた後、2人は布団の中に入る。


「はぁ・・・はぁ・・・セッ〇スがこんなに気持ちいいのは、初めてよ♡」


愛し合ってプリンツの心は初めて満たされる。


「・・・プリンツ。」


指揮官はプリンツにキスをして、


「必ず勝って戻って来てくれ、そしてオレと・・・」


指揮官が事前に何かを準備していたようで、


「戻ったら、オレと結婚してくれないか?」


プリンツに指輪を出すプリンツ。


「・・・指揮官。」


プリンツがキスで返し、


「分かったわ、貴方のために作戦は絶対に成功して見せる! だから私の、私たちの戦いを心に焼き付けて!」


指揮官に結婚する誓いを立て、就寝をする。


・・・・・・


そして、早朝になり指揮官が皆に作戦を報告、そして出撃。



「・・・・・・」


出撃して時間が経ち、旗艦であるプリンツからの応答がない。


「プリンツ・・・」


指揮官は祈るように、掌を合わせて無事を願う。


「指揮官! 報告です!」


艦船の1人が報告をしに執務室に入ってくる。


「作戦は・・・無事成功! 敵本隊の殲滅を確認! プリンツさんたちの勝利です!!」


「!? 本当か!」


「はいっ! 今プリンツさんと無線が取れています、お話しますか?」


無線機を渡され、指揮官は声を出す。


「よくやったプリンツ、そして皆。」


指揮官の言葉に、


「ふふ、”絶対に勝つから”って言ったでしょ?」


「ああ、本当によくやったプリンツ。」


「ええ・・・これより我が部隊は帰還、全艦鎮守府に帰還する!」


プリンツたちは鎮守府へと帰還する。


・・・・・・

・・・



「お母さ~ん、何で空を眺めてぼう~っとしているの?」


側で子供が不思議そうに見ていて、


「別に・・・雪が降って来たのを見ているだけよ♪」


「雪? わぁ~、本当だぁ!」


子供は雪を見て大喜び、


「お~い、プリンツ~。 ちょっと手伝ってくれ~、クリスマスツリーの装飾が上手く行かなくて・・・」


「分かったわ、じゃあプリンも一緒に手伝って。」


「うん、お母さん。」


そう言って、旦那の手伝いに向かうプリンツとプリン。



あのイベント海域の作戦が成功後、指揮官とプリンツは結婚。


鎮守府生活は10数年務めたが、少将まで昇進した後に依願退職・・・家族との生活を優先したいがためだ。


プリンツのお腹に新たな生命が宿っていて、プリンツは退役を希望、無事に出産して今では3人で仲良く生活している。


子供の名前は自身の名前から取って「プリン」と名付けた、好奇心旺盛で寂しがり屋な所が嫁であるプリンツと同じだ。



「今年のクリスマスプレゼントは何かな~♪」


子供がプレゼントを願う中、


「大丈夫よ、サンタさんが私とプリンのプレゼントをちゃんと持って来てくれるから♪」


そう言って、旦那に向けてウインクする。


「ははは、そうだね。 サンタさんは何でも知ってるからね~(汗)」


元指揮官は苦笑い。


「じゃあさっさとツリーの装飾を終わらせよう、そしてケーキとご馳走を3人で買いに行こうか。」


「ケーキとご馳走! わぁ~い、行く行く~♪」



喜ぶ子供、そして笑顔が増えたプリンツ、それを側で常に見守る元指揮官、


家族はこれからも幸せな生活を送る事だろう。











「吹雪の中に咲く一輪の恋花」 終












このSSへの評価

1件評価されています


SS好きの名無しさんから
2020-02-07 04:02:23

このSSへの応援

1件応援されています


SS好きの名無しさんから
2020-02-07 04:02:23

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください