2019-08-29 22:04:38 更新

概要

青年時代のいじめで精神崩壊している提督に迫る寿命のカウントダウン。艦娘たちに隠し通そうとするが様々な経路によってばれてしまう。自身の事情を知られた提督は...


前書き

艦これをプレイしたことがない100%にわかが他のSSを参考に描く日常ストーリーです。感動狙いではないのでどう思うかは読者の皆さんに任せます。深刻なキャラ崩壊・原作無視などの成分がてんこ盛りです。不快に感じたら早急のブラウザバックをお勧めします。私の第1作目『提督「俺はそろそろ限界かもしれない。」』のアナザーストーリーです。
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提督「..」カキカキ


俺の名前は一疾風(いちもんじはやて)。この鎮守府で提督をしているものだ。俺はいつも通りに執務を遂行している。しかしこの後起きることを想像すると嬉しくもあり悲しくもあった。


提督「ふふ...」


加賀「珍しいわね。あなたが唐突に笑うなんて。何か思いついたのかしら?」


提督「別に。急に昔のことを思い出しただけだ。気にするな。」


加賀「そう...」


彼女の名は加賀。俺の秘書艦を務めている艦娘の一人だ。またかの有名な一航戦の一人でもある。彼女たちの戦績は凄まじく的確に運用すれば絶大な戦果を出してくれる。その反面赤城と同じく資源消費がえげつない、だが戦果と比べるとそこまではしたことではないので黙認している。


提督「時間もいい感じだな。午前の仕事は終わりだ。」


加賀「そうね。一二〇〇、お昼時ですので失礼します。」


提督「ああ、また後で。」


そうして彼女は食堂に向かっていった。しかし俺にはまだやることがある。


提督「...これが俺の務めなのかもな。」


ひとつの段ボール箱を持ち上げ極秘資料処分室へ行く。一部の書類は大本営からの確認が終わると複製され原本がこちらに帰ってくる。それらを処分する部屋だ。基本的には焼却なのでバレれることはない。そして俺が燃やす資料というのが『辞表』だ。自分の体の事情を理由に辞職しようかと考えていたのだ。しかしやめるにやめれなくて書いては燃やし書いては燃やしていたのだ。


提督「そろそろ決着をつけないとな。いつまでもこうしているわけにはいかない。」


テクテク...ポロッ


霞「何かしらこれ。」


ヒロイアゲ『辞表』


霞「...へぇ...あのクズが辞職ねぇ...ふふふ」ハイライトオフ


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あれを燃やし終えた俺は食堂に来ていた。間宮さんの料理を食べれるのももう残り少ないのか...


曙「クソ提督ここになんの用よ。」


彼女は吹雪型駆逐艦18番艦曙だ。特Ⅱ型として見るなら8番艦に相当する艦娘だ。口が悪いのが少々難点だがもう慣れているので気にしてはいない。


提督「見ての通りこれから食事だよ。」


曙「あっそ」



自分から聞いておいてそれはないだろうよ…


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〜執務室〜

加賀「それでは午後の執務を始めましょう。」


提督「そうだな。」


執務を始めて2時間後例の病気の発作が出てくる兆候が出てきた。まずい。加賀に知られるわけにはいかない。


提督「すまない、加賀。少し体調が悪いから抜けるぞ。」


加賀「わかりました。」(すごく顔色が悪い。何があったのかしら。)


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本当にやばい。心拍数が上がっているのがすごくわかる。早く鎮静剤を飲まないと…


鹿島「あら?提督さん。大丈夫ですか?なんだかすごく顔色が悪そうですが...」


提督「あぁ、大丈夫だ。もん...だい...ない」イキギレ


鹿島「そ、そうなんですか?でもすごい息切れしてますけど...」


提督「ダイジョブ、ダイジョブ、それじゃぁな」ニガワライ


鹿島「(後をつけてみよう...明らかにおかしいもの...)」


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〜備品室〜


提督「くそっ...自分で設置した認証機がこういうことで邪魔になるとは...」


艦娘達にバレないようにこれを設置している。自分が重度の精神疾患とは知られたくないからだ。


提督「よし...あと、は...この薬を...」


頓服の鎮静剤だ。1日3回までしか服用できないのでよほどの自体にならない限り飲まないようしている。さて、早く飲まなければ…


鹿島「提督さん!」


提督「!?」


なぜここがわかった!?よく見たら戸が開いたままじゃないか!まずい…


鹿島「(提督さんの手には瓶。今の容体からすると、薬かな?それを飲ませれば。)」


提督「(今は自分の命が最優先だ。仕方ない。)鹿島...」


鹿島「は、はい!」


提督「み...ず...」


鹿島「水ですね。ええと...」


棚の上にペットボトルがある。...よかった、まだ栓が空いてない。これを飲ませよう。


鹿島「水です。しっかりしてください!」


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提督「すまない。助かったよ。」


鹿島「い、いえ。」


提督「薬を見てしまった以上俺には説明する義務があるな。」


鹿島「い、いえ別に無理にとは...」


提督「いや、話そう。その前にその前に戸を閉めてくれないか?」


鹿島「は、はい...」


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提督「俺は20代前半なのは知ってるよな?」


鹿島「はい。自己紹介した時に聞いたことが。」


提督「遡ることそれは俺が高校生の時だ。俺はいじめを受けていてな。それも悪口とかじゃない。下手すれば犯罪になってしまうほどの暴力を受けていた。」


鹿島「そんな...なんてひどいことを...」


提督「その中の一つにな首吊りがあったんだ。それを強要されて最中に意識が飛んだ。あの時は死すら覚悟したよ。その時自分の体が落ちる感覚があって目を開けたら床に落ちてたんだ。首吊りの縄がそれほど頑丈なものではなかったからだ。」


鹿島「あっ、だから提督さんの首筋に赤い線があるんですね。それにしてもあんまりじゃないですか!そんなのいじめじゃなくてただの殺人ですよ!」


提督「それらの暴力が俺の精神を短期間で崩壊させてしまい、今このように発作を起こすことがたまにな」


鹿島「それで投薬して症状を抑えていると...」


提督「そうなんだ。しかし依然症状は悪くなるばかり。この間の診断でこう言われたよ。治療しなければ余命は1ヶ月とね。」


鹿島「!?」


提督「もちろん治療すれば寿命の来るまで俺は生きることができる。だが仕事は増えて休む暇もないのにそんな中治療なんかして君たちに負担をかけてしまうわけにはいかない。だから俺は一時的にしか効かない薬を飲んで過ごしているというわけだ。」


鹿島「...ですか...」


提督「?」


鹿島「何で...私達を頼ってくれないんですか...私達はあなたにとってそんなに無力ですか…?」


提督「いや...それは...」


鹿島「私達はみんな提督に尽くしたいんです。もっと戦闘以外で頼って欲しいんです。それすら許してはくれないんですか?」ナミダメ


提督「...」


鹿島「答えてくれないんですね...でもいいです。このことは綺麗さっぱり水に洗い流します。だから提督...どうかご自愛ください...」


提督「すまないな。ありがとう。」


鹿島「いいんです。ですが、今日はもうおやすみください。あとの執務は加賀さんに事情話して私達で行います。」


提督「すまないな。」


鹿島「いえいえ。いいんですよ。病気のことは言いませんのでどうかお休みください。」


提督「そうさせてもらおう。すまないが、体を支えてもらえるか?」


鹿島「あ、はい!」


鹿島に持病のことがバレてしまった。致し方あるまい。久しぶりに人の暖かさを感じた気がした。そういえば少し不思議に思ったが辞表を処分するとき1部足りなかった気がするな。なぜだろう。


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加賀「わかりました。では私達で書類を消化しましょう。判断がつかないものは後日提督に聞きます。」


鹿島「お手数をお掛けします。では早速始めましょう。」


加賀「ええ。」


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加賀「...」カキカキ


鹿島「(何度か秘書艦やったことあるけど、やっぱり加賀さんには敵わないなぁ。)」カキカキ


加賀「(提督大丈夫かしら...何事もないといいけれど...)」カキカキ


吹雪「吹雪です!遠征の報告をしに来ました!」


加賀「どうぞ。」


吹雪「失礼します!あれ?司令官は...」


鹿島「提督は体調不良で休まれています。なので私が加賀さんと書類を片付けておりまして...」


吹雪「えっ!?司令官は大丈夫なんですか!?」


鹿島「ええ。」


吹雪「よかったぁ。あ、加賀さん。ええとこれ遠征の報告書です!」


加賀「ええ。確かに受け取りました。」


吹雪「それでは失礼します。鹿島さん、司令官にお大事にとお伝えください。」


鹿島「ええ、わかりました。」


加賀「本当に大丈夫なんでしょうね。」


鹿島「...ええ。多分は...」


加賀「(...何かあるわね。まぁ言及しないでおきましょう。)」


鹿島「(提督さん...)」


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提督「んん...」


倒れてからどれだけの時間が経っただろう。俺は私室のベッドで寝ていた。あの苦しさはもうないが、刻一刻と自分の命が削れていっているのは確かだ。早くここから出ないとな。そして、俺以上に優秀な提督に変わってもらおう。


提督「...もう終わりか。」


実を言うと片付けは済んでいる。後はこれを適切に処理するだけだ。使えるものは大本営に送り、使えないものは処分する。中には艦娘達に貰った物もあるのでとても心苦しい。


提督「今まで無理をした俺も俺だ。仕方無いな。」


霞「クズ提督。入るわよ。」


提督「待て...!」


霞「...へぇ?」ハイライトオフ


提督「...」


不味い...この部屋の様子を見られた...誰が見てもこう思うだろう『提督はここを去る』ということを。


霞「なるほど。本当にここを去るつもりね?」


提督「いや...それは...」


霞「これがあるのに認めれないの?」サシダシ


提督「こ、これは!?一体どうして!?」


霞が差し出したのは焼却処分したはずの辞表だ。...まさか霞が取ったのか!?でもどうやって!?考えられるのは道中で落とした時霞が拾った。おそらくこれが一番有力だろう。


霞「説明してもらうわよ。これを書いた理由を。」


恐怖を感じる笑顔を保ちながらこちらに向かっている。俺は後ずさってしまう。こんな霞俺は知らない。いつも悪態をつくあの霞じゃない。


提督「く、来るな!」


ついに壁まで追い詰められ逃げ場を失った。あの恐ろしさを感じる笑みを保ったまま彼女はそこにいる。


霞「あんたは私がいなきゃ何もできないのよ。このことは黙ってあげるから取り消しなさい。」


提督「...」


霞「...なさいよ。」


提督「!?」


霞「早く答えなさいよ!」ナミダメ


あの霞が泣いている?馬鹿な。彼女は泣くような性格じゃないはずだ。本当に泣いているのか?疑問に思い俺は霞の目元を指で拭った。そうすると濡れる感覚があった。どうやら本当に泣いているようだった。


霞「な、なにするのよ!」


提督「...わかった。このことは取り消そう。荷物も元の位置に戻そう。」


霞「...!ったく。こんなことするならちゃんと仕事しなさいよね!このクズが!」パァァァ


提督「(なんて言ったが取り消す気はないがな。あと霞のやつやけに目がキラキラしてた)」


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提督「もう深夜か。」


夕食を食べたいがもう間宮は閉まっているだろう。


提督「酒保行くか...」


廊下を歩いていたら川内を視認した。川内型軽巡洋艦1番艦である彼女は夜戦バカだ。好きなのは結構だが、時たま大破して帰ってくるのが難点だ。無理をするなとあれほど言ったのに。


川内「ん?提督!」


やべ、気づかれてしまった。また夜戦を請求するのかなぁ。


提督「お、おお川内どうした?」


川内「こんな時間にどうしたの?」


提督「今から酒保に行こうと思ってな。夕食を買いに。」


川内「今まで何してたのさ。こんな時間に食事だなんて身体に悪いよ?」


提督「大丈夫だって。」


川内「そう?あまり無理しないでよ?」


提督「ああ。気をつけるよ。」


なんだろう。あの顔をもう見れなくなると思うと悲しくなってきた。


川内「(なんだろう。いつもの提督とは思えない一面だったなぁ。後で私室に行って話してみよう。)」


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提督「おにぎり一個と栄養ドリンク。身体に悪いなぁ...」


たまに生じるこのメニュー。慣れてはいるがあまり良くないな。


川内「提督。入るよ?」


...嫌な予感がするなぁ。このままだと霞と同じことが起きかねんぞ。


川内「提督...何この箱は...」


提督「これは...その...」


川内「ここから去るの?」


提督「ああ。そうだ。」


川内「何で?」


提督「何でと言われても...」


川内「最近私達に冷たかったのも去ってしまうからなの?」


提督「...」


川内「ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ」ハイライトオフ


川内「...そうか。こうしちゃえば提督はここから去れないもんね?」


提督「な、何をするつもりだ?」


川内「ねぇ...提督。私と夜戦しよ?」


提督「俺は対艦装備は持てないぞ?」


川内「違うよ。夜戦(意味深)だよ。」


提督「」


は?夜戦(意味深)?それってつまり...性行為か!?


提督「お、落ち着くんだ川内!話せばわかる!」


川内「私は普通だよ?」ニタァ


違う。こんなの俺の知ってる川内じゃない!ええい、致し方あるまい。


提督「すまん!川内!」


川内「きゃっ!?」


勘違いを生むかもしれない。でも仕方ない川内を抑えるにはこうするしか…


提督「川内。事情を話すから。な?」


川内「わかったよ...」ハイライトオン


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提督「あまりこのことは話したくないんだが、こうなってしまった以上話さないといけないな。」


川内「どうしてここから去ろうとしたの?」


提督「実を言うとな、俺はもう長くないんだ。」


川内「え?」


提督「ちょっとした精神病でね。症状は悪くなる一方で余命1ヶ月だそうだ。」


川内「そんな!治せないの?治せるなら治療受けてよ!」ナミダメ


提督「もちろん治療は受けれる。ただそれには長い治療期間が要るし、成功するとも限らない。」


川内「そんな...せっかく提督に褒めてもらうためにここまで頑張ってきたのに!提督に構ってもらいたくてここまで戦果上げてきたのに!こんな...こんなのって!」


提督「...すまない。愚かな俺を許してくれ...」


川内「うわぁぁぁぁん!」


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大和・武蔵「」アゼン


加賀「提督...」


提督「...そこに誰かいるんだろう。怒らないから入りなさい。」


大和・武蔵・加賀「...はい...」


大和「お願いです提督!どうか治療を受けてください!」


武蔵「頼む提督!」


加賀「まだ詳しくわかってはいませんがことがよくないのはわかりました。提督。治療を受けることを意見具申します...」ナミダメ


提督「...明日定期診断がある。その結果を公表しよう。そこで治療の是非を軍医話してもらおう。だから今日はもう下がりなさい。川内も。」


三人「わかりました...」


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~翌日の朝~


提督「んん...昨日のこともあってかあまり寝れてないな...ん?」


ふと布団の右を見るとなんということでしょう。そこには加賀が寝ているではありませんか!


加賀「ん...あら、起きてたんですね。」メマッカ


提督「何でここにいるのか説明願いたいんですが...」


加賀「何故って...いつ死んでしまうのかわからないのに最期を見届けれないのは嫁として悲しいじゃない。」


提督(なるほど...だから目元が赤いのか。)


加賀「さて、診断受けるのでしょう?支度しましょう。」


提督「そうだな。」


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~医務室~


軍医(驚いたな...もう長くはないと思ったがまだ理性を保てているとは...)


提督「あの...軍医殿。結果のほうは...」


加賀「...」


軍医「驚きました。まさかまだ人格が保てているとは...今の段階ならまだ間に合います。一少将、治療を受けますか?」


提督「...」


加賀「提督...」


提督「...はい。」


加賀「...!」


軍医「本当によろしいですね?治療は長く、とても苦しいものとなるでしょう。薬の副作用で突発的な発作などが起きる可能性もあります。」


提督「ええ。構いません。お願いします。」


軍医「わかりました。では早速治療の準備をしましょう。」


提督「わかりました。では明日大講堂にお越しいただいて所属する艦娘たちにこのことを話してください。」


軍医「よいのですか?艦娘たちがどういった反応をするのかわかりませんよ?」


提督「ええ、構いません。長引くのであれば先にそれを報告しないといけないのでね。」


軍医「...左様でございますか。わかりました。」


提督「ありがとうございます。さて、加賀...」


加賀「...」ダキツキ

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~提督私室~

提督「...加賀?」


加賀「一さん」


提督「...?」


加賀「頑張りましょう。そして...またみんなで楽しく過ごせるように...」


治療は長引く。軍医はそういった。どれくらいかかるだろうか。1か月?1年?もしくはそれ以上?どれほどかかるだろう。しかし、私にはここに所属するみんなのため、そして...愛すべき我が妻のために...頑張ろう。どんなにつらくても、きっとやれるだろう。


提督「ああ。頑張るよ。」


加賀「今日はもう寝ましょう?」


提督「ああ、そうだな。明日皆に伝えよう。」


加賀「おやすみなさい。一さん。」


提督「ああ、おやすみ。」


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~大講堂~


提督「マイクテスト...よし。今日みんなに集まってくれたのはすでに知っているかもしれないが私の持病について軍医殿から話してもらうためだ。心して聞くように。」


艦娘「どうなんだろう。」「神様...」「お願い...無事でいて...」


軍医「では、先日をこなった提督殿の診断結果をお伝えします。」


軍医「結果は、ステージⅢの精神疾患です。今の段階で集中治療すれば提督殿は長く生きることができます。治療は今日から始まる予定です。しかし、進行度が深い以上治療には長い歳月を要すると我々はみています。」


艦娘「よかった...」「治るの!?本当に!?」「これで安心...」


軍医「私のほうからは以上です。」


ざわつきが収まらない...そんなに喜ぶことか?


提督「以上で報告を終わる。各自解散してくれ。」


加賀「一さん。」ニッコリ


提督「さて...頑張るか。」



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~医務室~

軍医「治療は点滴・内服薬の2種類を用いて行います。最初は点滴からです。そして症状が軽減出来たら錠剤に変えてゆき、最終的に全快というプロセスです。」


提督「思ってたよりシンプルですね。」


軍医「ただ、点滴薬は非常に効果が強いです。そのため重大な副作用がどうしても伴います。」


加賀「その副作用とは...」


軍医「主に発作・顔面蒼白・高血圧・激しい動悸があります。もちろん全く現れない場合もありますが、大体副作用が出ます。」


提督「...」


加賀「かなり重いですね...」


軍医「どうされますか。」


提督「治すと決めた以上治さないとな。」


軍医「ではこちらへ」

軍医「まず、その軍服を患者さん用の服に着替えてですね...」


提督「やっぱ制服じゃだめですか...」


軍医「当たり前です。発作のあまり自傷行為されると血が付いた後大変ですからね。」


加賀「...」


提督「わかりました。それで...その服は...」


軍医「こちらに。」


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~病室~

提督「これが、例の...」


軍医「そうです。点滴薬です。」


加賀「1種類だけじゃないんですか?」


軍医「2種類の点滴薬を混合させたものです。効果は強力ですが副作用のリスクも高いです。ご説明したはずですが...」


提督「そうですね...」


加賀「頑張ってください...」


提督「さて、着替えたしあとはそれを刺すだけか...」


軍医「うちの看護師たちはみな優秀ですからご心配なく。」


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~1日目~

加賀「体調はどうですか?」


提督「そんなに悪くはない。本当に副作用が出るのか怪しく思うほどだよ。」


加賀「そうですか...」


提督「大丈夫さ。私がしばらくいなくても君たならうまくやっていけるだろう。」



提督は、副作用なんかでないだろうと思っていられたのも束の間。容体が急変したのは入院してから1週間後の事だ。



提督「うわぁぁぁぁぁ!!!がっ...はぁはぁ...」


軍医「どうしました!?」


提督「息が...苦しい...」ガンメンソウハク


軍医「点滴用鎮静剤100mlを1パック持って来い!」


看護師「はい!」


提督「軍医殿...助けてくれ...」ハァハァ


軍医「落ち着いてください!いま鎮静剤打ちますから。」


提督「た、頼む...」ゼェゼェ


軍医「君は拘束具も!できるだけ重いやつお願い!」


看護師「わ、わかりました!」


提督「おぅぐぇ!はぁ...はぁ...うぐぅぅぁぁあああ!!!」


軍医「くそっ!発作の度合いがひどい...こんなの見たことない!」


看護師「点滴と拘束具です!一応応援も呼びました!」


軍医「助かる!四肢をできるだけ頑丈に拘束しろ!君は頭部を抑えてて!」


看護師's「「はい!」」


提督「うごぉぇえ!げほっ...ごほっ...う”ぇぇ!」パシャァ


軍医「うわぁ!?」


看護師's「「きゃぁ!?」」


提督「げほっっ、げほっつ、う”ぇぇ!」ピシャッポタポタ


激しい咳き込みの後提督は血を吐いた。軍医たちは動揺する。血液感染のリスクを彼らが知らないはずがなかった。


軍医「...ッええい!構わん!処置を続ける!手の空いた二人は紙ふきんとオレンジボックス持って来い!」


看護師「「は、はい!」」


軍医「点滴を打つ場所を消毒したか?」


看護師「はい!大丈夫です!」


軍医「OK、じゃぁ体を抑えてろ!」


軍医は鎮静剤の入った点滴パックの針を提督の右腕に刺した。しかし、効果が出るには数分かかる。発作が止むまでは血を吐きつづける提督を抑えなければならなかった。


提督「ぅぇえっ!...はぁ...はぁ...」


軍医「くそっ!もっと重い拘束具はないのか!」


看護師「ないです...」


軍医「...ッ!もういい。君たちは提督殿を抑えてろ!今まで吐いた血液を処理しなければ施設内でバイオハザードが起きかねん!」


看護師「紙ふきんとガーゼ、手袋、消毒液、オレンジボックス持ってきました!」


軍医「よし、血液を除去するぞ!」


オレンジボックス満杯になるほどの量の医療廃棄物が出るとは処理が終わるまで思わなかっただろう。


軍医「ふぅ...どうにかなったか...」


看護師「これ...処理費用いくらになるんでしょうね...」


軍医「さぁ...な。」


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加賀「...」ショボーン


赤城「か、加賀さん...?」


加賀「...何?赤城さん...」


赤城「...やっぱり心配ですか...?」


加賀「...」


〜回想〜


加賀「そんな!お願いです!どうか一さんに会わせてください!」


軍医「ですから...」


赤城「か、加賀さん落ち着いて...」


軍医「やはり、副作用が出ました。しかも提督殿の副作用はこれまで記録したことのないほど重いのです。万が一ということがあります。どうか、内服薬を投与するようになるまでは面会謝絶ということに...」


加賀「...ッ!」


軍医「心配なのはわかります。ですが、加賀殿に何かあったら一番悲しむのは提督殿ですぞ?ですから...どうかご自愛ください...」


赤城「加賀さん...寮に戻りましょう?」


加賀「...」


軍医「お手数かけて申し訳ない...」


赤城「いえ、お気になさらず...」


ガチャ...バタン


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加賀「...やっぱり...心配だわ...」


赤城「大丈夫ですよ。きっと...」


加賀「赤城さん...」


自身が相当提督に依存していることを悟った加賀は恥ずかしく思った。


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〜3ヶ月後〜


提督「...ん〜...ふわぁぁ...」


看護師「あ、目覚めましたか!良かったです!先生〜!」


提督「一体俺は...」


軍医「ようやく目覚めましたか...」ガンメンソウハク


提督「軍医殿!私は一体...」


軍医「あなたは3ヶ月もの間寝ていたのですよ。」


提督「さ、3ヶ月も!?艦隊はどうなっている!?」


軍医「ご心配なく。正常に進んでいるそうですよ。確か伝えに来てくれた娘は...」


看護師「鹿島さんですよ!まったく...こういうところは弱いんですから...」


軍医「ああ、そうだった。すまない。」


提督「時に軍医殿。顔色が優れぬようですが...」


軍医「ソンナコトナイデスヨー、ゼンゼンゲンキデスヨー(棒)」


軍医「(寝ている間に起こったこと言ったら俺の気が滅入りそうだわ...)」


〜回想〜


軍医「また血を吐き始めただと!?もう今月何回目だよ...輸血パックが足りなくなりそうだっていうのに...」ヤレヤレ


  「え!?また加賀さんが様子見に来た!?なんとか帰させてくれ!こんなショッキングな現場見せれるか!」


  「今度は血圧低下!?そしてチアノーゼ!?もう勘弁してくれぇぇ!」


  「脳波異常!?大本営から専門医呼べ!」


この通り不規則に提督の体調は悪化と改善を繰り返しておりその都度処置や電話をしていた軍医は結果として1周間で2〜3時間しかねることができなかったのだ。


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提督「そ、そうですか...あまり無理はせぬよう...」


軍医「ありがとうございます...それはさておき、検査をしましょう。もしかしたら錠剤治療に切り替えれるかもしれません。」


提督「そうですね。」


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〜司令室〜


加賀「...」ポカーン


鹿島「あ、あの...加賀さん...?」


加賀「...」ポケーン


鹿島「おーい、加賀さーん!」


加賀「...」ボーッ


鹿島「加賀さんっ!!!」ガンッ


加賀「...はっ!?私は...」


鹿島「もうっ!、まだ一〇三〇ですよ!確かに提督さんが心配ですが、その秘書艦がその調子では皆さんの士気にかかわりことぐらいわかるでしょう!」


加賀「...そうね...」


鹿島「全く...提督さんは帰ってくるんですからその間頑張ろうといったのは加賀さんなんですから、頑張ってくださいよ...」


加賀「面目ない...」


コンコン


加賀「誰か来たみたいね。ふぅっ...よしっ!」


「どうぞ。」


軍医「失礼します。軍医です。提督殿について少々。」


加賀「何かあったんですか!?」ガバッ


軍医「まぁまぁ、落ち着いてください。何も悪い話ではありませんから。」


鹿島「それで...いったい何が...?」


軍医「単刀直入に話しましょう。提督さんが目覚めました。」


加賀「本当ですか!?」


軍医「つい先ほど目覚めまして現在検査中です。結果によっては錠剤治療に切り替えるつもりです。」


鹿島「よ、よかったぁ~...」


軍医「今から会いに行きますか?」


加賀「もちろん!」


軍医「では、付いてきてください。」


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~診察室~


提督「あぁ...結果が気になる...」


ダッダッダッ...


提督「ん?」


ガチャッ


加賀「一さん!!」


提督「加賀...久しぶり。」ニコッ


加賀「よかった...生きてて」ポロポロ


提督「おいおい、俺が死にかけだったみたいなこと言うなよ。全然普通だぞ?」


軍医「(半ば死にかけだったんだなぁ..それが...)」


提督「これは軍医殿。」


軍医「さて...気になる結果ですが...」


提督「いかがでしょうか...」


軍医「錠剤治療の予定でしたが、それも必要なくなりました。」


提督「それってつまり...」


軍医「もう退院してもいいですね。どうします?」


提督「だってさ、加賀。」


加賀「一さんがいいなら...」


提督「それじゃぁ...退院させていただきます。」


軍医「それが一番ですね。それと、今回の反省を踏まえてちゃんと他人を頼ることを忘れないでくださいね?自分一人で抱えてもなにもいいことないですよ?」


加賀「そうよ。もっと、私たちを頼ってちょうだい。みんな快く引き受けてくれるわ。」


提督「ありがとう。軍医殿、それでは失礼します。」


軍医「ええ、それでは。」


軍医「(これにて一件落着か。はぁ~...やっと休める...)」


看護師「先生?今日出張じゃ...」


軍医「忘れてたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

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~司令室~


提督「...」カキカキ


加賀「」ペラペラ...シャッ


提督「なぁ...」


加賀「どうしました?」


提督「今日、退院祝いで一杯やらないか?」


加賀「いいですね。終わったら呑みましょうか。」


提督「今宵は楽しもうじゃないか。」


加賀「ええ、そうね。」ニコッ


提督「それと...」


加賀「...?」


提督「愛してるぞ。」


加賀「...ッ」///


提督「全く、かわいい奴め。」


加賀「....私こそ愛してますよ。」


提督「改めて言われると恥ずかしいな...」


加賀「お返しです。」フフッ


提督「それじゃぁ、夜まで頑張るか!」


コンコン


提督「どうぞ。」


鹿島「提督さん、これ今までの資料です。ぜひ目を通しておいてください。」


提督「おお、ありがとう。」


鹿島「いえいえ」ニコッ


提督「鹿島。」


鹿島「はい、なんでしょう。」


提督「これからもよろしくな。」


鹿島「ふふっ。ええ、こちらこそよろしくお願いしますね。」


ガチャ...バタン


提督「もう一三〇〇。昼食にしようか。」


加賀「ええ。そうね。」


こうして、提督は無事病を乗り越え元の生活に戻った。晩酌の後、二人が初めてまぐわってしまったのはまた別のお話。え?今までナレーターしてきたのは誰かって?


遠燕元帥「さぁ...ね。またどこかで語ることにしよう。この二人は本当にうらやましい関係にあるから今後が楽しみだ。」


ジリリリリ


遠燕元帥「はい、遠燕です。あぁ、一君か。え?私が君のことを誰かに話しただろうって?そんなことないぞ。」アセアセ


遠燕元帥「あぁ、うん。頑張ってくれたまえ。それじゃぁ、お幸せに。」


遠燕元帥「あいつらのところに子供ができるのか...どんな子になることやら。」ヤレヤレ


遠燕元帥「そろそろ、話を終わろうか。それじゃぁ、またどこかで会おう。」



HAPPY END


後書き

最後まで読んでくれてありがとうございます。公開遅くなってごめんなさい...楽しめていただけたら嬉しいです。誤字などがあればコメントでご指摘していただけると幸いです。このSS内の加賀さんはみなさんどう思うのか知りたい...(切実)

変更履歴
2019/5/21 最終部の一部の文を変更。一部追記
2019/7/3 後書き追記
2019/8/29 ライセンス改正


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50AEさんから
2019-08-25 10:00:46

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2019-07-15 23:27:31

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2019-05-19 21:21:06

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2019-05-19 13:03:04

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このSSへのコメント

3件コメントされています

1: 歩提督 2019-05-19 21:23:22 ID: S:0A7Ycc

最高(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪

2: hayabusaOscar 2019-05-20 19:59:57 ID: S:NbLbpD

1: 歩提督 さん

読んでくださりありがとうございます。私の第1作目も読んでくださったようでとても嬉しいです。本当にありがとうございます。

3: SS好きの名無しさん 2019-08-25 13:27:05 ID: S:Xzj62b

このssの主役は軍医さんですね。
何時も現場での指揮お疲れ様です!


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