2023-02-18 11:32:43 更新

概要


マーシー・ガトリングキャノンが、ユーフィネスと結婚した。アーシャは「アーシャの命を救うために、彼女を連れて行く」と語った。ユーフィネスは「あなたにとって、君が必要な存在だ」と語っていた。


セシルコーモン&ガトリングキャノンのワールドツアーが中止に?! ジャーマネとイケボの婚約破棄の危機?


セシルコーモン&ガトリングキャノンのワールドツアーが世界恐慌のあおりで打ち切りになった。バンドは不完全燃焼のまま解散。ラストアルバムもヒットソング集も発売中止になった。プロモーターの僕はインディーズ時代から手塩にかけたセシルコーモン&ガトリングキャノンを失って途方に暮れていた。僕の音楽人生とは何だったのだ。

何のために血反吐を吐きながらギターを弾いていたのか。

その答えは意外にも、バンドメンバーであるマーシーからもたらされた。「なぁ、もういっそ二人で組んでみないか?」と。

セシルコーモン&ガトリングキャノンは、僕とマーシーの二人からなるユニット名だ。解散ライブではアンコールに応えられなかった僕らは、そのまま解散ということになった。だから、二人組のユニットなんていう発想自体がなかったのだが、マーシーの提案は意外なものだった。「お前、俺と組んでみたらどうだ? 俺はずっとソロでやってきたけど、これからもソロでやるつもりはない」

「興味深い話だがしばらく考える時間をくれ」

僕はそう言い残してニューヨーク便に乗った。

◇ ◇ ◇

隣の席からいきなり話しかけてきた。

「こんにちは。僕は、アメリカでは有名なプロフィンテープメーカーのアーシャだ。海外への進出は驚いたよ。それで君は?」

「わたしは、フィリピンのマニラに住んでいます」

「マニラ? マニラって、どこなの?」

「アメリカと中国の国境のあたりです」

「そうか。マニラが出るっていうのか。マニラといえば、ニューヨークのマニラがモデルになっていると聞いたぞ」

「わたしはニューヨークのマニラですけど。すみません。マニラ出身ですよね」

それにしても「マニラ」の名の由来は「古い」という意味だろう。

彼らは、わたしにテレプレゼンスフィールドに座るように勧める。

テレプレゼンス装置が立ち上がり、体の向きを変えると、彼女は「アーシャっていうけど、あなたの名前が古いのは、あなたが有名人だからだって言っていたから」と、話を切り出した。

「じゃあ、ぼくのこともアーシャって呼んで。そう呼んでくれたら、ぼくもアーシャって呼ぶ」

『アーシャ』というのは「お嬢様と呼ばれることが多いらしい」という、日本語では「お嬢様」、さらに「アーシャさん」と呼ぶことが多く、「おばさん」が使われていたことに由来する。

司奈は自分から名前を呼ぶことができるようになった。

彼女の顔がいわゆるイケメンに近づく。少し高い鼻に高い鼻の下、高いけど目はぱちくりといった感じだ。顔中で髭が生えていて、鼻からは立派な髭が生えている。でも、これが彼女の魅力のひとつだ。

「アーシャは、わたしのことアーシャ・ユーフィネスって呼んでいいよね?」

「いいけど、なんか怖くはない?」

「ごめんなさい、ぼく、自分のことは"アーシャ"って呼ぶんです。本当は"ユーフィネス"って、"あなた"って呼びたくないけど、アーシャ・ユーフィネスって呼ぶのがいいんです」

「アーシャって、そういうとき、わたしが相手してあげるよ?」

「本当ですか?ありがとうございます。じゃあ、わたし、アーシャって呼ぶね?」

アーシャは自分の顔が近づいてくる。それに応じるように、彼女は俺を見た。なんと……。

アーシャと俺って、なんか似てるような気がするんだけど……。

「はい、アーシャ。わたし、アーシャ・ユーフィネス、って」

「ユーフィネス……えーっと、それはなんだっけ……」

「アーシャ!わたしの名前はユーフィネスだよ!」

「ごめん、ごめん。ちょっと待ってくれ。ユーフィネス……ユーフィネス……うわぁ、やられたなぁ」

「もう!ちゃんと呼んでください!」

アーシャは顔を真っ赤にして怒っている。俺は思わず笑ってしまった。この子、本当にかわいい。

「わかったよ、ユーフィネス。これでいいかい?」

「はい!ありがとうございます!」

「それで、ユーフィネスは何者なのかな?ただの友達じゃないでしょ?」

「あのですね、わたし、アーシャに助けてもらったんですよ。だから、アーシャと一緒にいるんです」

「助けた?どういうことだい?」

「はい。実はわたし、ガンになってしまって……」

「ガン!?」

「ガンです。もう治らないかもしれないって言われました。でも、アーシャのおかげで元気になれたの。アーシャがいなかったら、わたし、きっと死んでいたと思います」

「どうして僕がそんなことをしたんだ?会ったこともないのに」

「だって、アーシャはわたしの命の恩人だから」

「命の恩人は大げさだと思うよ」

「そうかな?アーシャがいなかったら、わたしは死んでいましたよ?」

「そうか。それで、僕はどうすればいい?僕は何をすればユーフィネスを助けられる?」

「アーシャはわたしのために曲を作ってくれるだけです。それで十分ですよ」

「それだけでいいの?」

「うん。アーシャの曲を聞くとね、体が温かくなって、力が湧いて、気持ちが落ち着くんだよ。だから、わたしにとって、アーシャの曲が一番大切なの」

「そう言ってもらえると嬉しいよ。でも、僕もセシルコーモン&ガトリングキャノンの元プロデューサーとしてニューヨークで再起をはからなくちゃいけない。妻も子供もロングアイランド島に住んでいる」「わたしも一緒に連れて行ってくれないか?」

「ユーフィネスは、僕の家族になるの?」

「もちろん」

「そうか。それなら、ユーフィネスを連れて行こう」

「やったー!ありがとう、アーシャ」

アーシャはそう言うと俺に抱きついた。彼女の体は暖かかった。

俺とユーフィネスは、ニューヨークへ飛んだ。

俺たちはニューヨークに到着した。

ユーフィネスは、俺にこう言った。

「わたし、ニューヨークは初めてです。アーシャはどう?」

「僕は何度か来たことがあるよ。ユーフィネスはどこへ行きたい?」

「アーシャが行きたいところに行きます」

「じゃあ、ニューヨーク市立図書館だな」

「ニューヨーク市立図書館?」

「そうだよ。ニューヨークの市立図書館はすごいぞ。何しろ、世界で一番大きい図書館だからな」

「そうなんですね。楽しみだな」

俺とユーフィネスは、ニューヨーク公共図書館へ向かった。

「ユーフィネス、こっちだぞ」

「はい」

「おい、そっちは出口だぞ」

「え?だって、アーシャが、こっちだって」

「違うよ。こっちだぞ」

「すみません。間違えました」

「まったく、しっかりしてくれよ」

「すみません」

「じゃあ、行くぞ」

「はい」

俺とユーフィネスは、ニューヨークの街を歩いていた。

「アーシャ、あれはなんですか?」

ユーフィネスはビルの壁に設置された大きなテレビ画面を指し示した。

そこにはニューヨーカーがインタビューを受けている様子が映されていた。ユーフィネスが見ているのと同じ場面のようだ。どうやら、今まさにその映像が映し出されているらしい。

インタビューを受けている人物は女性だった。長い髪に、高い鼻、そして立派な髭……。まるで、俺のそっくりさんのような姿形をしていたのだ。俺は思わず笑い出してしまった。

ユーフィネスは不思議そうに尋ねてきた。

俺と彼女しかいないテレプレゼンス装置の中に、俺の声が響く。

俺が答える前に、彼女は答えを出した。「これ、アーシャですよね?」「正解」

ユーフィネスは呆れた様子で言う。

「もう、アーシャったら、変な嘘つくから、みんなにバレちゃってるじゃん」

「まぁ、気にしないで。ほら、あそこ見てごらん」

「あそこにアーシャがいるんですか?」

「うん。アーシャ・ユーフィネス。それが、ぼくの名前だよ」

俺はそう言うと、テレビの中で喋る俺の姿を指差した。

「はい。わかりました」

彼女はそう返事すると、再び俺の方を見てきた。俺とユーフィネスはしばらく見つめ合っていた。彼女は何も言わず俺の目を見るだけだった。何か言いたいけど言えないのか、それとも……。

「なに?」

「アーシャの顔ってカッコイイよね」

「ユーフィネスこそ美人だよ」

「そう?でも、わたしなんて……」

その時、テレプレゼンス装置のブザーが鳴った。それと同時に部屋中から光が差し込んできた。どうやら朝が来たらしい。窓から外を見ると、眩しい太陽の光とともに、小鳥たちが楽しそうに飛び回っている姿が見えた。今日もいい天気だ。

隣ではユーフィネスがまだ寝ていた。昨夜は、ユーフィネスの体も温める必要があって大変だったから、疲れていても仕方ないけど……。それにしても幸せそうな顔で眠っているもんだ。起こしてやるか。

「おーい!ユーフィネス、起きろ」

「ふわーい……」

「起きたかい?」

「はい……」

「じゃあ、レコーディングスタジオに行くぞ。さっさとシャワーを浴びてこいよ」

「はい……わかりました……」

彼女は眠たげな目をしながら、ゆっくりと立ち上がった。

彼女はシャワールームに入ると、すぐに水音が聞こえ始めた。彼女がシャワーを浴びる音を聞きながら、俺は煙草を吹かすことにした。彼女の声は綺麗だが、まだ幼い感じが残っている。だから、あまり大人っぽく聞こえるような曲は作れないだろう。しかし、彼女の声は素晴らしいものだ。彼女の歌声が録音されたテープを聞いたとき、俺は思わず息を飲み込んだ。俺は、この子をスターにしたいと思った。だから、彼女のためだけに曲を作ることに決めた。

「アーシャ、終わりましたよ」

「よし、じゃあ行こうぜ」

「はい!」

俺たちは再びニューヨークへと向かった。

ニューヨークの街は相変わらず賑やかだ。人々は忙しなく歩き回り、様々な会話を交わしている。そんな街の喧騒の中を歩くのが好きだという人もいるけれど、俺は静かな場所の方が好きである。

「アーシャ、ここがアーシャの住んでいた街なんだね」

「ああ、そうだよ」

「やっぱりニューヨークって凄いね」

「そうかな?」

「だって、こんなにたくさんの人が歩いているんだもん」

「ニューヨークは世界一の人口を抱えているんだ。だから、当然といえば当然だけどね」

「そうなんだね」

「さてと、着いたぞ」

「え?ここはどこ?」

「ここは俺の住んでいるアパートメントだよ」

「アーシャって、ここに一人で住んでたんだね」

「そうだよ」

「寂しくなかった?」

「そりゃ少しはね。でも、もう慣れたよ」

「わたしは一人だと寂しかったなぁ」

「ユーフィネスには友達がいたじゃないか」

「え?わたし、友だちなんていないですよ?」

ユーフィネスはきょとんとした表情を浮かべた。

俺は、自分の勘違いに気づいて、慌てて訂正した。

ユーフィネスは俺の言葉を冗談だと思っているようだったが、俺は本気だ。本気でユーフィネスのことを美しいと感じていた。だから、彼女をスカウトした。

ユーフィネスは、とても可愛らしい顔をしている。特に印象的なのは、瞳だ。澄み切った空のように青く、キラキラと輝いている。その青い宝石のような輝きに、思わず吸い込まれそうになる。

この子は間違いなく将来ビッグになる。だから、俺が育てなければならない。俺がユーフィネスをスーパースターにしてみせる。そのためなら何でもしよう。

俺はユーフィネスに話しかけた。

ユーフィネスは俺の目をじっと見つめると、にっこりと微笑んだ。その笑顔は、俺の心を温かくしてくれた。

ユーフィネスは俺の話を真面目に聞いてくれた。俺が真剣に話す姿を見て、彼女も心を動かされたに違いない。

俺はユーフィネスにこう言った。「君は詩的だ。いや、生きている詩乙女と言っていい。君の歌を聞いていると、俺は胸が熱くなるんだ。君のことを考えるだけで、涙が溢れてくる。きっと、これが恋という感情なのかもしれない。だから、俺と付き合ってくれ」

ユーフィネスは俺の話を聞くと、悲しげな笑みを浮かべた。そして、こう言った。

ユーフィネスは、悲しげな笑みを浮かべると、静かに口を開いた。

ユーフィネスは、俺の質問に対して、次のように答えてくれた。

わたしは、アーシャのことが好きです。でも、アーシャの気持ちに応えることはできません。わたしは、ガンになって死ぬ運命にあったんです。それをアーシャのおかげで救われました。わたしの命はアーシャのおかげで救うことができたんです。

ユーフィネスはそう言うと、突然大粒の涙を流し始めた。ユーフィネスが泣いてしまったので、俺は慌てた。

なぜ泣いたのかはわからないが、とにかくユーフィネスが泣くのを止めたかった。

そこで、俺は彼女に優しくキスをした。すると、ユーフィネスは泣き止んでくれた。

ユーフィネスと別れた後、俺はニューヨークの街を再び歩いていた。ニューヨークの街並みは本当に綺麗だ。どこを見てもゴミ一つ落ちておらず清潔感にあふれている。ニューヨークの人たちはみんな親切だ。道に迷ったときには助けてくれるし、困っている人がいるとすぐに駆けつけてくれる。もちろん悪い人もたくさんいたが、それを差し引いてもこの街はとても住みやすい。だからだろうか?いつの間にかニューヨークのことを愛していた。だから、もっと多くの人を救いたいと思っていた。

ニューヨークの町並みを見ながら歩いているうちに、あるアイデアが思い浮かんだ。ユーフィネスのために歌を作ってやろう。俺はそう思った。俺は作曲が好きだ。小さい頃はギターを弾いて作曲をしていたこともある。俺は、子供の頃の夢を思い出していた。俺は作曲家になりたいと思ってたんだ。でも、それは無理な願いだった。なぜならば、親父のせいで音楽を続けられなくなってしまったからだ。

俺の名前はマーシー・ガトリングキャノン。元ロックシンガーであり、ミュージシャンでもある。今でこそニューヨークシティマラソンのランナーをしているけど、元々はロックバンド「ガンバ・ランカスタ・バンド」のボーカルとして一世を風靡していたのだ。その当時のファンたちは、俺の事を「ガトリン」の愛称で呼んでいた。ちなみに俺の苗字は、ガンバではなく、ガン=カタ=キャノンが正式だが、みんな俺のことを「ガトリン」と呼ぶ。なぜかって?そっちの方がかっこよく聞こえるからだよ。

まぁ、俺の名前なんてどうでもいいか。

それよりも俺が思い出していたのは昔のことだ。あの頃の夢を叶えることはできなかったけど、今は違う。俺にも新しい夢ができた。

ユーフィネスのために曲を作ることだ。ユーフィネスは可愛い顔をしている。いや、綺麗な顔をしていると言った方がいいだろう。彼女の声も素晴らしい。だから、彼女をイメージした曲を作れば大ヒットすること間違いなしだ。そう考えた俺は、ユーフィネスと出会えた喜びに浸っていた。

ユーフィネスとの出会いは俺の人生を変えた。あれは二年前、まだニューヨークに来て間もない頃だった。

俺はいつものようにランニングウェアを身に纏い走り回っていたが、ある日のこと、「アーシャ」と呼ばれて振り向くと、そこには天使のような女の子が立っていた。その女の子は、輝くような美しさと、透き通るような美声を兼ね備えていた。まさに女神のような女性だった。

ユーフィネスの声を初めて聞いた時、「これは売れるぞ」と確信したものだ。この歌声を世界中に届けてやらなければと思った俺は、早速、彼女に楽曲を提供することを決めたのであった。

それからというもの、毎日が楽しい日々になった。俺は、自分の持っているすべての知識を総動員してユーフィネスの曲を作ることに決めた。ユーフィネスのことを考えながら曲を作る作業は、俺にとって幸せな時間となった。しかし、それと同時に俺がアーティストでなくなる日が近づいていることを感じていた。ユーフィネスの曲はヒットするが、俺は年を取って売れなくなってしまうのだから……。

そんな俺の心を知ってか知らずか、ユーフィネスは毎日のように会いに来てくれた。彼女の優しさに触れるたびに、俺は幸せを感じた。だからといって、このままの状態が続くはずがないともわかっていた。

俺はユーフィネスのためなら、どんなことでもやってやるつもりでいた。しかし、そんなユーフィネスは重い病を患っていることがわかった。しかも、あと半年の命らしい。

彼女のためなら何でもしよう。そう決意したものの、一体何ができるというのだろう?俺は自問した。俺にできることと言えば、曲を提供することくらいだ。

俺にできることはないかと悩んでいたその時だ。俺はふと思い出した。以前、知り合いのプロデューサーにもらった一枚の名刺のことを。その名刺に書かれていた住所を訪ねてみると、そこに小さな病院があった。そこの医師によると、彼女は余命数ヶ月だという。俺は愕然とした。まさか、ユーフィネスがそんなに深刻な状態だとは思わなかったからだ。

俺は、ユーフィネスを救うために名医を探し求めた。

しかし、そんな医者はなかなか見つからなかった。ようやく見つかった医者は、なんと「あなたは運が良いですね」と俺に言った。そして、ユーフィネスは余命数カ月と告げられた。絶望しかけたが、ユーフィネスが言った一言が俺を救った。

俺は「必ずユーフィネスを救う方法を見つける」と宣言した。ユーフィネスの期待に応えなければならない。そうしなければ男が廃るってもんだ。

ユーフィネスと出会ってからというもの、俺は必死になって治療法を探していた。そんな中、ある男の噂を聞きつけた。「ドクター・ストレンジラブは天才外科医だ」と。俺はその噂を信じてニューヨークへと向かった。

ニューヨークへやってきたものの、どこをどう探せばいいのか見当がつかない。そこで俺は情報屋を探すことにした。幸いなことに俺の人脈は広かったので、すぐに情報を仕入れることができた。そして、ドクターがどこに居るのかを突き止めた。

俺の話を聞いた医者は驚いた表情を浮かべていた。「なぜそのことを知っておられるのですか?」と訊かれたが、俺もよくわからないと答えると、彼はさらにこう言った。「私は手術をしませんよ?」

俺は彼の言葉の意味がわからなかった。「どういう意味でしょうか?」と尋ねると、彼はこう答えた。「私の専門は、脳外科です。あなたの望み通り脳を切り開いてあげましょう」と言ってきたのだ。俺は慌てて否定したが、「いえいえ、大丈夫ですよ。私は麻酔を使いますので痛みを感じることはありません」と言ってくれた。だからといって安心はできないので、なんとか頼み込んだが受け入れてもらえず、最後には追い出されてしまった。仕方ないので諦めることにしたが、俺はどこか納得できなかったので、その足でドクターに会いに行った。

俺はその男に、ユーフィネスの病状を話して聞かせた。すると、その男は「わかりました。手術しますので、ご紹介ください。ただ、ひとつ条件があります」と言い、俺に握手を求めてきた。俺は握手に応じると、男はこう言った。「もし私が手術を受けさせることができなかった場合は、私を殺してください」

なぜ彼がそのようなことを言ったのかはわからないが、俺は言われるがままに、彼をユーフィネスの元へ連れて行く事に決めた。

数日後、俺は彼を連れてユーフィネスの元へ向かった。ユーフィネスは俺の姿を見ると嬉しそうな顔を見せた。

俺は彼女に紹介すると、早速ドクターを紹介した。

ドクターを見た瞬間、俺は息を呑んだ。そのあまりにも美しい姿に見惚れてしまったからだ。ドクターの美しさは、人間離れしていた。そういえば、昔こんな話を耳にしたことを思い出す──「人間は見た目ではない。魂こそが重要」という話だ。俺もそれに賛成していた。だからだろうか?目の前の美女が「神の化身ではないか」と思ってしまったのである。もちろん、そんなことは口には出せないので心の中に仕舞っておいたのだが……。

しばらくすると、ユーフィネスのところへあのマーシーが現れた。

「お前、アーニャと恋仲なんだって?」

「あなたとの関係はとっくに終わったはずよ。それに彼はあなたより素敵な男性だし、わたしは彼に夢を与えてもらったのだから」

ユーフィネスは冷たく言い放ったが、彼女はなぜか楽しそうに笑っている。いったいどうしたというのか? どうやらユーフィネスが好きなようだ。俺がそう思うと同時に、突然ドアをノックする音が聞こえた。

入ってきたのは一人の青年だった。その青年の顔は、あのマーシーとそっくりだった。つまり双子なのだ。その青年の名はマシュー。

その双子の片割れは、俺に話しかけてきた。

「アーシャの婚約者だってね。君、本当に彼女のことが好きかい?彼女を本当に愛していると言えるのかね?もしかすると君は、彼女の美しさや可愛さだけに惹かれて付き合っているんじゃないのかな?アーシャの中身を知らないのに、彼女を愛していえるのだろうか?」

俺は、マーシーの弟だと知ってびっくりした。なぜならば、マーシーの口から弟の存在を知らされたことがなかったからである。それなのになぜこのタイミングなのか?俺は不思議だったけど、とりあえず弟の言うことに反論してみせた。

「もちろんだ!」

俺は自信を持って答えることができた。すると、弟は再び話し出した。

「本当に愛しているならば彼女の全てを受け入れるべきだと思うんだよね」

「そうか、それはわかったが……」

俺はそこまで答えると、少し間を置いて続けた。

「あんた、誰なんだよ?俺のファンだと言う割には、俺のことを全然知らないじゃないか」

その質問に対してマーシーの弟は、「僕はマーシーの弟でマシュー・ガトリングキャノンっていう名前なんだけど、実は君の名前すら聞いたことがないんだ。僕が君のことを知ったのは、君の妻だというユーフィネスという女性の夫だということを知ったからなんだよ」と答えた。

ユーフィネスという名前を聞いて、俺は彼女が結婚していたことを初めて知った。ユーフィネスは美人だが結婚してるなんて知らなかった。そんなことを考えているうちに、ふとある疑問が浮かんできた。ユーフィネスと結婚したのはいつ頃のことだったろうか?俺は、ユーフィネスと結婚してからの日々を思い出してみたが記憶がなかった。しかし、俺の記憶がないことなんて関係ないと思ったので気に留めずにいたその時だ、「そうか、まだ結婚したばかりだから記憶がないのかもしれないな。きっとそうだ」と独り言のようにつぶやいた俺の言葉を聞いたマシューは驚きの声を上げた。

「えっ、結婚してから一年も経ってないの!?」

「あぁ、俺とユーフィネスは去年の九月に結婚式を挙げたから、ちょうど1年ほど経つはずだ」と答えると、今度はマーシーが驚いていた。「そんな馬鹿な」と声を漏らしながら呆然と立ち尽くしていたかと思うと、急に何か思いついたかのように部屋を飛び出していった。

しばらくして戻ってきたマーシーの手の中には、一つの封筒が握られていた。その手紙に書かれていたのは驚くべき事実だった。「アーシャは妊娠しています」と書かれてあったのだから。

ユーフィネスは子供を産むことはできない身体だと思っていたので、俺はとても嬉しかった。そして俺は、ユーフィネスにそのことを伝えようと立ち上がった時だ。俺の視界にとんでもない光景が映った。ユーフィネスが苦しそうに床に倒れていたのである。慌てて抱きかかえた俺は、必死に名前を呼んでみるが返事はない。俺は焦りながらも医者を呼んだ。すると医者はこう言った。「ユーフィネスさんの脳に腫瘍ができています」と。そして、彼女はもう助かる見込みはほとんどないということを聞かされた。俺は目の前が真っ暗になったような気分になった。俺は必死になってユーフィネスに話しかけたけれど、反応はなかった。

それから数日間というもの俺の心の中は悲しみでいっぱいだった。

俺の心の中に入り込んできたのは、ユーフィネスとの出会いから別れまでの思い出の数々だ。辛いこともたくさんあるけど、幸せな気持ちの方が多い気がする。だからだろうか?今更ながら俺は気づいた。

「俺は、ユーフィネスのことが大好きなんだ」と……。

俺は、医者に向かって「お願いです!ユーフィネスの命を助けてください!」と頭を下げて頼んだ。すると医者は、首を横に振ってこう言った。「無理ですね」と。

「ユーフィネスはあと数日で死にます」

と。

俺はその言葉に衝撃を受けた。俺は絶望の淵に立たされた。

その日の夜、ユーフィネスの病室へ訪れた俺は、必死に語りかけた。「俺は君がいないとダメだ」「俺にとって、君が必要な存在だ」「俺はまだユーフィネスに何も返せていないんだ」など、色々と言葉を並べたが無駄だった。俺はユーフィネスを抱きしめることしかできなかった。

そして次の日になると、俺はまたユーフィネスの元へとやってきた。

ユーフィネスの顔を見てみると、昨日よりはいくらかマシな顔をしていたが、やはりあまり元気そうではなかった。俺はユーフィネスの手を握りしめながら、自分の無力さを悔やんだ。すると突然、「大丈夫だよ。あなたのせいじゃないわ」と言い出した。俺は驚いた。まさかユーフィネスの口から言葉が出るとは思わなかったから。俺は「なんのこと?」と訊くと、彼女はこう答えた。「だってわたしたち出会ってから、そんなに長くないもの」

ユーフィネスのこの言葉の意味が、今の俺にはわからなかった。だから、「どう言う意味?」と尋ねてみると、ユーフィネスは「出会った頃からあなたが素敵な人だということに気づいてたのよ。あなたと一緒に居て楽しかったし、あなたならきっと素敵な家族を作ってくれると思ってた。わたしはあなたの幸せを願うだけ」と微笑みを浮かべてみせた。俺はユーフィネスに励まされた気がして嬉しく思ったが、同時に悲しさもあった。「でも、俺といると苦労するぞ」

「どうせ人は死ぬもの。早いか遅いかの違い。先に逝く女を最後まで看取るのが愛よ」俺はその通りだと思った。俺はユーフィネスを抱き寄せた。

ユーフィネスが息を引き取ったのは、その日の夕方だった。

俺は、病院の屋上に一人立っていた。俺の隣では、ユーフィネスの遺体が眠っている。彼女の遺体を見下ろしていると、俺の心に後悔の念が押し寄せてきた。「どうしてこうなってしまったのか?」

「もっと彼女と色々なことをすればよかった」

「一緒にニューヨークの街を散歩していれば」

「彼女をデートに誘えば良かった」

「結婚指輪を渡せば良かった」

「愛していると言えば良かった」と、俺の目からは涙がこぼれ落ちた。「ごめんな、本当にごめん。君がいなくなったら生きていけないくらい俺は君を愛していたんだ。これからは、ずっと君の側にいて見守っていくよ。君を忘れたりなんかしない。君を愛し続ける。天国に行っても君を愛し続けよう。たとえ生まれ変わっても君を見つけ出して君を愛する。君がこの世に生を受けてくれたことに感謝しよう。ありがとう」

「ユーフィネス」と俺は呟いた。

俺はそう言って彼女の遺体から離れると、両手を広げて大空を見上げた。彼女の魂が天へと登っていく姿を想像した。

ユーフィネスが死んで半年が過ぎた頃、一人の少年と出会った。彼はユーフィネスの親戚のようだ。

俺と彼は公園を歩いていた。すると突然、「僕を養ってくれないか?」と言ってきた。その少年の名前はマーシー。マーシーは両親と3人で暮らしていたのだが、両親が離婚したらしい。そして彼は父親に引き取られたが、その父親はギャンブル好きで毎日のようにマーシーを殴っていたのだという。だから彼は、「僕を養うとお金がかかる。僕を育てるのはやめた方がいい」と言うのだ。

「俺だってお前を育てたら金がかかってしょうがないさ。それにお前みたいな奴に育てられるなんてかわいそうだ。大人になる前に殺されちまうかもしれねぇしな」俺はそう言うと、「だったらどうすりゃいいんだよ?」とマーシーは泣き出してしまった。俺はマーシーの頭を撫でてやった。

「だったら、俺たちと一緒に来るか?もし俺がダメだった時は、俺の妻が育ててくれるさ」と提案したところ、彼は嬉しそうに飛び跳ねて喜んでいた。そんな彼に俺は質問した。「そういえば、なぜ急に引き取りたいと思ったんだい?今まで育ててもらってなかったんだろ?親父は嫌いだけど生活できなくなって困っているとかじゃなさそうなんだけどなぁ」すると、彼はこう答えた。「母さんが僕を身籠って、産むかどうか迷った時があったんだ。その時、父さんが『子供を殺す気か?』って怒ってくれたんだよ。僕には兄がいるんだけど、そいつは勉強ができたから大学に行くために家を出ていったんだ。僕は学校に行きたくても行けなかったから羨ましくて仕方がなかった。それで僕は父さんのようになりたいと心から思うようになったんだ。僕は、僕のことを育ててくれている人を尊敬したいんだ」俺は彼の言葉に胸を打たれて思わず抱きついてしまった。そして、彼を連れて帰宅した。するとそこにはマーシーの母の姿があり、彼が来たことを知るととても喜んだ。そして、俺の心の中に住んでいるユーフィネスも彼を迎え入れた。すると、俺が思っていたよりも簡単に受け入れられて拍子抜けだった。

それから1年ほど経った。俺と妻は相変わらず仲良く暮らしている。マーシーも今ではすっかりと我が家に馴染んでいる。ユーフィネスは子供を欲しがっていたが、残念ながら妊娠することはなかった。俺はそんな彼女に、子供のような笑顔を見せてやる。「大丈夫だ、心配すんな。俺はどんなことがあっても絶対にお前を捨てないから」

「ありがとう、嬉しい」

ユーフィネスならきっとこういうだろう。

R.I.P

おわり。その男の名は、佐藤博人といった。年齢三十二歳、独身である。

身長は百七十三センチ。痩せ型だが肩幅は広く、全体的に引き締まった体躯をしている。

髪型は短髪。眉と目は共に細く鋭い。口元には常に薄い笑みを湛えているせいか、どことなく爬虫類を連想させる容貌の持ち主であった。しかしその表情には邪な気配はなく、むしろ穏やかさと親しみやすさを漂わせていた――少なくとも表向きはそう振る舞っていたのである。事実として彼には人に好かれる資質があった。だからこそこれまで順風満帆な人生を送ってこられたのであろう。しかしそれは彼自身の望んだ結果ではないのだった。

彼は決して他人に媚びない男だった。愛想を振りまくことはしても心を許すことはなかったのである。それどころか彼の他人に対する態度は常に上から目線であり高圧的でさえあった。そんな男なのだ、本来なら誰からも嫌われてもおかしくないはずなのに不思議なことに誰もが好意を抱いたのである。

しかしただ一人だけ彼に嫌悪感を抱く者がいた――そう私だ!……私は別に同性愛者ではないが、とにかくこの男だけは許せなかったのだ。だから当然のごとく嫌がらせを開始したわけである。最初はささやかなものだったけれど……次第に度を増していったけれどそれでもあの男は耐え続けていた! そんな男が遂にキレたのである! ああ! なんという痛快! 私の胸がスカッとスカッとする瞬間だ! さて……これからどうなるのだろうか? いや……そんなことよりまずはこの状況について考えてみよう……いったい何故こんなことになったのか? 事の始まりは私の勤め先から車で二十五分程のところにあるレストランで起こった出来事だ……店に入って席につき注文を済ませたところであの悪魔が現れたのである……しかも最悪のタイミングでだ!もうね……あいつの登場の仕方ときたら凄かった!まるでハリウッド映画の主人公みたいに派手に登場しやがったんだ!もう店内中の注目を浴びちゃって恥ずかしいったらありゃしないぜコンチクショウめっ!まああいつの狙いが私なのは最初から分かってたから驚きはしなかったけどね……というかあんな馬鹿目立つことしてよく平気だよね?もういっそ羨ましいわ! おっといかんいかん、話が逸れたな。えーと何だっけ?そうそうあいつが登場したところまでだったな……ああそうだ!そこでようやく気がついたんだ。あいつは私を誘いにきたんだということに……!で、それを聞いた瞬間に頭が真っ白になって体が硬直してしまったんだ。まさか自分が狙われてるとは思いもしなかったからな……情けない話だけどさ。そしたら次の瞬間、あいつが私の手をとっていきなり走り出したんだ。おかげで店の外に出ちゃったじゃないかまったく迷惑極まりない奴だ!私が固まってなかったら絶対逃げられなかっただろうな~はっはっは~! で……その後はどうなったかというとだな、結局捕まってしまったのだった!いや本当に参ったよ……なんせ相手はプロレスラー並みの体格してる上に力も強くて振り解くことができなかったんだもんなあ~まいっちゃったよねマジで!だから仕方なく観念したんだけどさ、そうしたらなんと奴は私にこう言ったんだよ!

(君は僕の運命の人だ!)

はあ!?(怒)なんじゃそりゃ!ふざけるのも大概にしろよなこの糞虫野郎!!何が運命だよふざけんなこのド畜生がぁっ!!!大体なんでお前が私のこと知ってるんだよおかしいだろうがよおぉん!?ああっ思い出したら腹立ってきたわっこの恨み晴らさでおくべきかっ!!!よし決めたこいつぶっ殺してやる!!今すぐこの場でこの汚らしい面ボコ殴りにしてやらぁ!!!!あ゛~~~~~~~~~~~っっ!!!!!!!…………ふうぅ…………ちょっと落ち着いたかな……危ないところだったわ……危うく感情のままに暴走しかけるとこだったぜ……ふぅ…………うん、まあいいや今は考えないことにしよう……どうせ今ここで殺ったところで何の得にもならないしね……それに私には他にやることがあるしねえ~えひひっ♪というわけで早速始めますかねぇ~♪……あっそうだ忘れてた!肝心なことを言い忘れていたんだった!えーっと確かここら辺にあったはずなんだけど……あれぇどこに行ったんだろう?……もしかして落としたのかな?……おっかしいなーここに置いてたと思ったんだけどなぁ……?…………うーむこれは困ったな……どうしよう?……………………

よしっとりあえず保留にしようそうしようそれが一番良い方法に違いないな間違いないなっ☆てことで話は変わるけど今日は朝から天気が良いですね素晴らしいことですはいそういうわけで本日も張り切っていきましょうかねっそれではさっそく準備を始めたいと思いますよぉーっとまずはぁ……っとその前に一応言っておくんだけどぉ~私はただ純粋に疑問に思っただけなんだからね誤解しないでよねぇお願いだからさ勘違いしないようにお願いしますよっいい?わかったかしらっお返事は?…………はいっ!これで良しと。ではあらためて始めるとしますかねえさあ行くぞおおおおっ!ファイトオオオォォォォッ!!!……………………。

うーんいまいちノリが悪い気がするぞこれじゃあ駄目か?ならば次はこれだーっえいやっほおおおおおおおおおおいっっっ!!!!!……ふう……まあまあこんなものだろう。どうやら満足したようだな。よしよし、それでいいのだ。それじゃあそろそろ次へいこうか次のテーマはこれだっ!!!「ストーカーを逆に追い詰めてみた」と「ストーカー被害を警察に届けたら実は被害者でした」です!よろしくお願いしますっ♪……あー疲れたわぁ~ったく何やってんだろう私ってホントバカだなああーあやだねー全くもって嫌になるわあでもこれが私なんだ仕方ないだろ今更どうしようもないじゃん諦めよう諦めるしかないんだからさしょうがないのよ仕方がないでしょだってしょうがないじゃないのおおおおっ!!!…………ふーすっきりしたわーなんか妙に清々しい気分だわっ最高だぜひゃっほううっ!! いやあホントに楽しいわ面白いわ気持ちいいわサイコーだわアハハハハハハアッハハアッハハハハッ!!!…………さて、話を戻そうか………………」

「………………・・・・・・・」

「…………おい聞いてるのか?」

「……ええ勿論ですよもちろん!」

「そっそうなのか?」

「……ええそれはもう……」

「それならいいんだが……それにしても相変わらずお前は元気がいいなあ~」

「えっ?」

「はははははっ冗談だよ!真に受けるなよ~!」

「…………」

「……それでどうだったんだ?」

「……申し訳ありません、失敗しました……」

「おいおいお前らしくもないな!何をやっておるのだぁ!?」

「………………」

「……まぁそんなに気にするな。まだ時間はたっぷりあるんだからな!ゆっくりやればいいのだよ!!」

「……はい」


* * *

1時間前―――東京某所にあるスタジオ。そこは、主にアマチュアバンドなどが使用するための防音設備を備えた部屋だった。しかし現在この部屋の中には二人の人間がいた。一人は二十代半ばの男性、もう一人は若い女性だった。そして二人は今まさに一つの曲を作り上げようと必死になって作曲を行っていた。

曲は全部で六小節からなるものだった。そして二人にとっては初のオリジナル曲だったこともありかなり苦戦していた。しかしそれでも何とか形になりそうなところまでこぎつけていたので男性はホッと胸を撫で下ろした。あとはこれを上手く纏め上げるだけだったからだ。だがその矢先だった、男性が何気なく窓の外に目を向けた時あるものを発見したのだ!それは男性の恋人だった。しかもただの恋人ではない、彼にとって最も大切な女性だったのだ。それを見た男性は一瞬固まった後、即座に行動を起こした。それは彼女に見つからないようにするためだった。というのも彼女は自分の浮気に気付いており怒っているような顔をしていたからである。なのでもしこの場に彼女が来てしまったら非常にまずいことになると思い、大急ぎで彼女のもとへ向かったのだった。彼は彼女を見つけると直ぐに声をかけた。すると彼女は一瞬ビクッと身体を震わせた後ゆっくりと振り返った。その顔には明らかに怒りの表情が浮かんでいた。彼は内心焦ったもののそれを表情に出さないようにして必死に平静を装って話し掛けた。ところが彼女は彼の問い掛けに対して一言も言葉を発しなかったのである!それだけでなく彼は無視されたことに対して強いショックを受けてしまい、その場で茫然と立ち尽くしてしまったのだった――。

その後彼はどうやって家まで帰ってきたのかも分からない状態だった。気が付くと彼は玄関の前で佇んでいたのだった――。

数日後――その日彼はいつものように仕事をしていた。しかしその心は非常に憂鬱なものになっていた。その理由はもちろん先日の件であった。彼の頭の中には彼女と別れるべきかどうかという考えしか浮かばなかった。確かにあの時は動揺していたが時間が経てば経つほど冷静になっていき考え直すことができたのであった。やはり自分にはあの人しかいないという思いが強くなったからでもある。だからこそ別れたいなどとは思わなかった。たとえ何があっても彼女を手放すつもりはなかった。それだけ彼が本気であることを証明できたからだった!とはいえこのままでは何も進展しないことも事実であった。そこで男は決心を固めることにした!そしてその日のうちに行動を起こすことにした!まずは電話で連絡をとったのだが電話に出たのは見知らぬ男だった。そのことに驚きつつも恐る恐る質問してみると、電話の相手はなんと彼女の父親だったのである!その瞬間、彼は目の前が真っ暗になってしまった――。

後日、彼と女性は話し合いの末、結婚することにしたらしいという噂が流れた。当然、その噂を耳にした人達の間で様々な意見が飛び交ったのだが最終的に二人は結婚すると決めたらしいということまでは分かった。だがそれ以上は何も分からなかったため結局は謎のままとなってしまったのだった……。

私の名前はユーフェミア・フロイゼント・レヴィンスカヤというのだけど名前で呼んでほしいわね、よろしくね!……え?なんでそんなこと言うかって? うふふ、そんなの決まっているじゃない!自分の名前で呼ぶよりも名字で呼んだ方がかっこいいと思わない?特に苗字の方よ、私の苗字はとても素晴らしい響きがあるのよね~だからみんなにもそう呼んでもらいたいのよ~分かってもらえたかしら?……うん、よろしい。それじゃ続けるわね。私がなぜこんなことをしているのかっていうと単純に言うと趣味ね!ちなみに私がこういう性格になったのは両親の影響なのよ。なんでも子供の頃の私はとてもやんちゃだったらしいわ……といっても暴力を振るったり誰かれ構わず傷つけるような野蛮なことはしないわ安心してちょうだい。あくまでも言葉で相手を責め立てることが好きなのよ、いわゆる罵詈雑言ってやつよね!ふふっ、どう驚いたでしょう!?実はこういうことって結構よくあることなのよ?あなたも心当たりはないかしら?……あら、ないのかしら残念ねぇーせっかくの機会だったのに……まあいいわ続けてあげるわよ覚悟しなさいよね!(笑)まず初めに手始めに悪口を言ってきた人の顔を爪を立てて思いっきり引っ掻いてあげたり頬をビンタしてやったりしたわそれから髪の毛を引っ張って引き倒してやったりとかね他にも色々とあるけれどこれ以上はちょっとやめておくことにしておくわあまりやりすぎてもいけないからね、それにあなたにはまだ早いと思うしねまあとりあえずそういうことをするのが楽しかったってことよ今でもよく思い出すんだけどねぇ~ああそういえばあの時のあの男の顔といったらもう最高だったわよもう傑作だったわよね

「痛いっ!!何すんだよやめろよぉ!!」とか言いながら顔を押さえながら痛がっている姿はとっても笑えたし面白かったわぁ~その時のことを思い出す度にゾクゾクして濡れちゃうんだからもう大変よ本当に大変なんだからね分かってると思うけどこれほんとのことだから嘘じゃないわよ信じてくれる?信じてもらえるかしらああぁでもやっぱり我慢できないからちょっとだけ

「あ゛あ゛あ゛ぁぁっ!!!」

あははっすごい悲鳴だわぁ~♪もっと聞きたいな♪ほらまだまだこれからなんだからがんばってよぉ~~☆がんばれ♪がんばれ♪ふぁいとぉぉ♪お~~~☆ファイトォ♪お~~~~♪ファイトォォォ♪☆ガンバレェ☆イッパーーツーーオ


「やかましいわ!」

ガラッと戸が開いて隣の禿げデブおやじが怒鳴りこんできた。

「朝から騒々しいんだよ!このくそアマ!」

このアパートメントの主のハゲである。名前は知らないし、知りたくもないのでそのままにしている。このおっさんはいつもいつも怒鳴ってばかりいるのである、まったく、もう少し静かに暮らせないのかね?そんなことを思いながら私は布団を被って寝たふりをした。だが無駄だったようだ

「いい加減起きろ、朝だぞ、この腐れアマ!」そう言って私をベッドから引きずり下ろす。そうして私は渋々起きることにした。着替えを済ませ、一階に降りる。そしてテーブルに座って朝食を食べ始めることにする。私はいつも通りパンを二枚食べ終わるとコーヒーを一杯飲んで一息ついたところで出勤するために家を出ることにした。外へ出て

「いってきます」とだけ言い残してさっさと歩き出した。後ろからハゲの声が追いかけてきたが気にしないことにしている、私は一刻も早く会社に行って仕事がしたいのだ、そのために私は毎朝早く起きて早めに家を出なくてはならないのだ、それが私なりの社会人としての務めだと思っている、遅刻は絶対に許されないのだ。そんなことを考えながら歩き続けること数分で職場に到着

「おはようございます社長」と言って中に入った瞬間強烈な熱気に襲われる、エアコンが壊れているのか、もしくは設定温度が高すぎるのかは不明だがどちらにしろ不快なことには変わりはないだろう、そう思いながらも我慢して奥へと進むことにした。奥へ行くと一人の中年男性が椅子に座り葉巻を咥えていた。どうやら彼がここの会社の社長のようである

「やあ君か・・・おはよう、相変わらず君は綺麗だねえ・・・」と言われ私は少し嬉しくなったがすぐに気を引き締め直して言った

「お世辞は結構です社長それより今日の予定はどうなっていますか?」すると社長は葉巻を吸い煙を吐き出してからこう言った

「今日は確か三件だったか?」それを聞いた瞬間げんなりしたが表には出さず努めて冷静に答えた

「はい、そうです」と答えると突然社長の顔が歪んだかと思うと次の瞬間大声で怒鳴りつけてきたので思わず耳を塞いでしまったそしてその直後こう言われたのだ

「ふざけるな!!お前のミスのせいでこっちは大損してるんだぞ!!」と言われた途端怒りが込み上げてきたがグッと堪えたそして同時に心の中で呟いた

(何が俺のミスだ!元はと言えばあんた

「うるさい!言い訳なんか聞きたくない!!とっとと出ていけ!!!」と言ったので俺は無言で頭を下げ逃げるように部屋を出たその帰り道のことだった歩きながら考えていた どうしてこんなことになったんだろうと考えてみると色々な要因が浮かんだので一つ一つ潰していこうと思い一つずつ潰すことにした一つ目の原因はやはり例のあの女のせいだろうなと思いつつさらに思考を進めてみたそうすると二つ目の原因らしきものを見つけた、

「そうだきっとそうに違いない」と思ったその時ふと思い出したことがあった「そう言えば最近あいつが妙に優しいような気がするんだよな・・・」そう思った途端に悪寒を感じた何故かは分からないだがとてつもなく嫌な予感がしたしかしそれと同時に好奇心にも似た感情が湧き上がってきたので試しに聞いてみることにした

「なぁ、何か俺に隠していることはないかい?例えば借金があるだとか金が欲しいだとかあるいは誰かを殺したい人がいるだとかさあ、とにかく何か言いたいことがあったら言ってくれないか?」そう言うと彼女は黙ってこちらを見つめていたがしばらくすると諦めたかのように溜息を吐いて話し始めた

「そうね・・・実はあなたに隠してたことがあるんだけどこの際だから全部白状しようと思うわまずはお金の話なんだけど正直に言うと無いわけじゃないのよそれなりには持っているのだけれどただあなたが求めている金額にはならないでしょうね何故なら私に支払われるのはその一部だけだからそれ以外のものは全てあの男に取られることになるのよもちろん全額じゃなくて必要な分だけだけれどそれでも相当な額になるんじゃないかしらまぁこれはまだ序の口に過ぎないから次はあなたの殺したい相手の話をしましょうか相手はさっき話した通りあのクソ男よ他にはいないわつまり殺すとしたらあいつしかいないというわけよこれでわかったかしら最後に私が一番言いたかったことを言わせてもらうけどそれはあなたのことを愛していないことなのよごめんなさい今まで嘘をついていてあなたを騙すような真似をしてしまってだけどこれもすべてはあなたを愛していたからなの許してもらえないかもしれないけれど私は本当にあなたのことを愛しているのよこれだけ言えば十分よね?それじゃさようなら永遠にね♪」そう言った直後にいきなり銃を取り出してこちらに向け撃とうとしたその瞬間反射的に

「危ねぇ!」と言いながら突き飛ばしたすると運良く銃弾が外れ壁に穴を開けるだけで済んだようだそしてすかさず銃を奪い取ると今度は彼女が俺に向かってきたそれをなんとかかわすとナイフを取り出したそれを見た瞬間彼女の顔色が変わったのが分かった直後彼女の顔目掛けてナイフを投げようとしたその寸前になって初めて自分のしようとしていたことを理解したのだがその時にはもう手遅れだったらしく

「ひぃぃっ!?」と言う声が聞こえた次の瞬間顔に生暖かい液体がかかる感触を覚えたその後しばらくして目を開けるとそこには血の海とそこに浮かぶ死体があったそれを見た瞬間に激しい罪悪感に襲われたと同時に凄まじい恐怖を感じたそこでようやく我に返ったのだったそれからしばらくの間呆然としていたがやがて落ち着きを取り戻すことができたためそろそろ帰ることにすることにした帰宅後ベッドに横たわると何故か急に睡魔

「ふわぁぁ~ねむぃ」と言って大きな欠伸をすると同時に眠くなってしまい意識が途切れそうになる直前にある疑問が浮かんだが考える余裕もなくそのまま眠りについた。次の日目が覚めるとそこは見慣れた自分の部屋だったがどこか違和感があるような気がした一体何が違うのだろうと考えているうちに一つの結論に至ったそれは部屋の広さだ明らかに昨日よりも狭く感じる

「まさかこれって・・いやそんなことはあるはずが無い・・だって・・あり得ない・・そんなことありえないんだ・・・」と言っている最中に気づいてしまったのだ自分が小さくなっているということに気がついてしまうとどんどん不安になってくる。とりあえず外に出なければと思うのだがどうやって出るのかが全くわからないどうすれば良いのか分からず途方に暮れていると唐突に扉が開いたかと思うと見覚えのある男が姿を現したその男はこちらを見て驚いたような表情をしている。

「このアマ……まだ生きてやがるだと? 催涙用青酸ガスが効いてない。致死量だぞ?! 化け物かよ!!」


「うぐっ……痛い……」と言うと男はニヤニヤしながら近づいてくる。気持ち悪いと思っていると不意に胸を鷲掴みされた。そこで思いっきり噛みついてやった。「ほぎゃああ?!」

男がひっくり返る。

「この女ぁ!」という叫び声とともに顔面を何度も蹴られて口の中を切ってしまう。血が出てきて、口の中に鉄臭い味が広がる。頭がクラクラしてきて気絶しそうになった時だ。ドアが開く音がしたと思ったら聞き覚えのある声がした。

「……え……?」

入ってきたのは私の元同僚だった。彼は唖然とした表情で私達を見ていた。「この女ね? 化け物が覚醒したから退治に来てみれば、まさかの展開!」

「なんだお前ぇ!お前も死にたいんか!だったら望み通りにしてやるよぉ!」

私は何とか起き上がり逃げようとしたが足が動かなかったので這って動くしかなかった。すると女が私を突き飛ばして来た男の腹に一発入れる。

ドカッッ!!!バキィィィ!!!!ゴリュゥッッ!!!!!グジャアアアアアアア!!!!!!

シュウウウ!!

じゅうじゅう!

「(゚д゚)ウマー」

一時間後、わたしは男どもの新鮮な死体でバーベキューをしていた。

「お肉うまー」

お肉を焼きながら思うことは一つである。どうしてこうなった!? * わたしがこの世界に来たのは、今から三年前のことだった。

「あー今日もいい天気だー……ん?」

いつもどおり出勤のため電車に乗っていたときのこと。窓の外に広がる青空を見ているうちに眠気に襲われ、気がついたらここにいたのである。今では更生して立派な悪の中ボスやってまーす。

これが青酸カリウム中毒女の半生記でした。面白かったらチャンネル登録してね。

「さて諸君……準備はできているか……?」

静かな声が広い部屋に響き渡る。声の主を一目見ようとして振り返った者たちの顔に浮かんだ驚きの表情が解ける前に再び声が響いた。

「……よろしい。では、これより我々は新たな旅立ちを……」

その言葉が合図となったのか、部屋の壁が音もなく開き中から光が差し込んでくる。

「おぉ……」誰かがため息を漏らすのを聞いた者がまた一人。光の向こうから聞こえてくる声は低く落ち着いた男の声だった。その声に続いて別の声が響く。こちらも若い男の声だが先ほどの声とは正反対なほど快活な雰囲気を纏っている声だった。まるでこの光を祝福しているかのような響きに導かれるように部屋の中にいた人々が続々と外へ歩み


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