2023-02-18 12:29:04 更新

概要

両国のちゃんこ桜島がちゃんとしてないどころか暗黒に包まれているという疑惑がある。桜島部屋の力士がサクラをしていた噂も飛び出して桜島親方は錯乱状態にあるという。ちゃんこ桜島は両国でなく佐倉市の発祥である証言も飛び出して角界は大揺れ大地震による地盤流動化で国技館の土俵も土砂崩れして液状化流動化して大入り満員水浸しの水入り地蔵もドッヒャーな状態だという。


両国のちゃんこ桜島がちゃんとしてないどころか暗黒に包まれているという疑惑がある。桜島部屋の力士がサクラをしていた噂も飛び出して桜島親方は錯乱状態にあるという。ちゃんこ桜島は両国でなく佐倉市の発祥である証言も飛び出して角界は大揺れ大地震による地盤流動化で国技館の土俵も土砂崩れしてドッヒャーな状態だという。




この年、桜島は上位力士として活躍したが、後半は苦戦を強いられた。九州場所で優勝し、大関に昇進したことが唯一の明るい兆しだった。今場所は、彼のキャリアと、この安定した少年たちのユニットとしての位置づけが問われる、大きな試練です。力士の活躍を期待します。


九州場所が大関の楽勝になるとは思いませんが、少なくとも2012年の九州場所と同程度の成績になることを期待しています。


大関の健闘と大関軍の健闘を期待します。


大関軍と大関亭のどちらかが次の大スターになれるかどうか、興味深いところです。『角界ちゃんこジャーナル7月号』


「こんなヨタ記事でちゃんこ桜島の問題を矮小化してしまうのか!」

土俵際の相撲探偵「クラマエ」は激怒した。激怒しすぎて昼食のちゃんこ鍋を地面にたたきつけた。

クラマエは両国国技館の裏に小さな相撲探偵事務所を構えている。主な依頼は「砂かぶり席で目に砂が入った」だの「相撲チケットのダフ屋に騙された」だの些細な事件が多い。クラマエはそれが不満だった。些末な民事訴訟より八百長試合のように大掛かりな闇を暴きたい。そう考えて序二段を廃業して相撲探偵になった。ところがだ。最近は相撲協会からの依頼も少なくなって、相撲探偵は閑職になっていた。

「相撲探偵なんて職業、もういらないんじゃないか?」

そんなことを考えていた矢先、クラマエの元に相撲部顧問の先生から連絡があった。

「君にしか頼めないことがあるんだ」

その一言でクラマエの心は躍った。そして、クラマエは張り切って両国国技館に向かったのだ。

「相撲探偵さんよお、あんたが頼りなんだ。なんとかしてくれよ」

力士たちは泣きながら訴えた。彼らは九州場所での惨敗後、部屋に戻って稽古を続けていた。しかし、彼らの体力は限界に達していた。いくら練習しても体がついていかないのだ。それでも必死になって稽古を続ける力士たちに、ついに堪忍袋の緒が切れた師匠たちが、ある提案をしたのだという。

「じゃあ、お前ら全員破門な! それでいいなら好きにしなさい!」

破門という言葉を聞いて力士たちの目つきが変わった。

「わかったよ……。俺らは引退するよ……」

こうして、力士たちは引退を決意したのだが、問題はその後のことだった。部屋がなくなった力士たちは、どこに所属すればいいのか?

「それについては『ちゃんこ桜島』が責任をもって雇用します」と協会理事は言った。

「冗談じゃない。それって廃業してちゃんこ鍋屋になれってことだろ」

力士たちは暴れ始めた。「まあまあ落ち着いてください。私だって鬼ではありません。ちゃんこ鍋屋になるかどうかはあなた方次第です」

「どういうことだよ」

「このたび、九州場所の取組を見ていて気付いたのですが、力士たちの中にはまだ本調子でない者もいるようですね」

「ああ……それは俺たちのことですか」

「そこで私は考えました。このままでは大相撲界の未来はない。ならば、あなた方を『ちゃんこ桜島』に移籍させて鍛え直そうと思うんです」

「なるほど、そういうことでしたか」

「さすが理事長先生だぜ」

「でも待ってくれ。移籍するとしても俺らの給料はどうなるんだよ」

「もちろん、ちゃんこ桜島の方で負担しますよ」

「マジっすか!?」

「おいおい、俺らも出世払いで払えるかもしれないぞ」

「それじゃあ俺はまず十両を目指すかな」

「俺は横綱だぜ」

「えーっと、僕は幕下ぐらいを目指してみます」

「よし、みんな頑張るぞ!!」

こうして、ちゃんこ桜島に移籍した力士たちだったが、なぜか全員が小結止まりで頭打ちになってしまったという。

「どうしてこうなった……」

「親方も引退したし、そろそろちゃんこ桜島にも飽きてきたしな」

「うん、僕も最近、ちゃんこ鍋に飽きてきちゃいまして」

「それに、なんか相撲って面白くないし」

「俺、もう普通のサラリーマンになろうと思います」

「なんということだ」

クラマエは激怒した。

「これは相撲の問題ではない。相撲部そのものに問題があるのではないか?」

クラマエは相撲部の調査を始めた。すると、力士たちは相撲部の予算を着服していることがわかった。さらに悪いことに、相撲部は八百長の疑いがある相撲興行を主催していたのだ。「クラマエは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の相撲部を除かねばならぬと決意した。クラマエには政治がわからぬ。クラマエは、ただの相撲探偵である」

「ちょっと待て」

クラマエは慌ててメモ帳を閉じた。「いかん、つい熱くなってしまった」

クラマエは冷静に分析し始めた。力士たちは八百長をしているのかしていないのか? それはわからないが、少なくとも八百長相撲をやっている相撲部が存在するのは事実だ。

「ふむ、これは調査が必要だな」

クラマエは立ち上がった。そして、力士たちに相撲の稽古をつけながら相撲部に潜入することにした。

相撲部が開催する相撲大会当日。

「諸君、よく来てくれたね。今日は楽しんで行ってくれよ」

相撲部部長は力士たちを出迎えた。

「部長、あの子は誰です?」

「あれは相撲探偵クラマエだ。今度の相撲大会では相撲探偵の力を借りて、八百長を暴いてもらおうと思っているんだ」

「なるほど、それでわざわざあんな子を雇ったんですか」

力士たちは納得した。八百長を暴いてもらうためだけに素人を雇うとは相撲部部長もなかなかやるじゃないか。

「それでは皆さん、土俵に上がってください」

クラマエは土俵に上がった。「土俵に上がると、いつも思うんだが、ここは神聖な場所だ。それなのに、こんな風に土足で踏み荒らすなんて許せない。お前ら全員、切腹だ」

「ちょっと待ってください」

相撲部員の一人がクラマエの前に立ちふさがった。

「土俵を汚すなんてとんでもない。土俵は神聖な場所ですよ。土俵に上がる時は靴を脱ぐのは常識でしょう?」

「何を言っているんだ。相撲は裸足の勝負だろ」

「そんなわけないでしょ。あんた相撲部に入りたての新人かい?」

「いいや、相撲探偵クラマエだよ」

「クラマエ? 聞いたことがないな。相撲部に入ったからって偉くなったつもりかい?」

「なんだと。お前らこそ相撲部だからって調子に乗っているんじゃねえのか?」

「いい加減にしなさい。そんなことより相撲の取組を始めるわよ」

相撲部部長はクラマエと力士の間に割って入った。

「まあいいか。とりあえず今は相撲に集中しよう」

クラマエは取組を開始した。

「うおりゃあ」

クラマエは張り手を繰り出した。しかし、力士はびくともしない。

「そんな張り手じゃダメだ。もっと腰を入れて、思いっきり突け!」

「はい、わかりました。親方」

クラマエは力士のアドバイス通りに張り手を放った。

「ドッゴーン」

力士の張り手が炸裂した。

「グハッ」

クラマエは吹っ飛んだ。「な、なんだこの力士の力は。まるでゴリラみたいだ」

「まだまだ、これからが本番だぜ」

力士は猛然と突進してきた。

「くらえ必殺のドラゴンスープレックス!」

「ガシャーン」

クラマエの身体が宙に舞った。

「すごいパワーだ。このままだと負けてしまう。どうすれば勝てるんだろう」

クラマエが途方に暮れているその時だった。

「相撲探偵クラマエ、ここに見参」

クラマエは勢いよく立ち上がった。「クラマエは考えた。そうだ、相撲探偵が勝つためには相手の動きを止めればいいんだ」

クラマエは力士の足元に向かって張り手を放った。

「バキューン」

張り手で床をぶち抜いた。しかし、力士はびくともしなかった。

「なんて硬い皮膚なんだ。これじゃあダメージを与えられない」

「無駄だよ、力士の筋肉は鋼鉄よりも強いからな」

「ならば、直接攻撃するまでだ」

クラマエは飛びかかって力士を押し倒した。「よし、これで形勢逆転だな」

しかし、次の瞬間だった。「パチン、ボキボキッ」

クラマエは力士に押し倒された。力士は腕を鳴らした。その音を聞いただけでクラマエは震えあがった。

「ひいっ」

力士は腕を振り上げた。

「相撲探偵クラマエ、覚悟!!」

「ギャアアー」

クラマエは悲鳴を上げた。

「もうダメだ」

クラマエは観念した。力士の張り手を食らうのは時間の問題だった。

「クラマエさん、クラマエさん」

クラマエを呼ぶ声が聞こえる。

「なんだ、うるさいな。せっかく人が気持ち良く寝ているというのに」

目を覚ましたクラマエは起き上った。

「ああ、夢か」

「クラマエさん、大変なんですよ」

助手の少年が泣きながら訴えてきた。

「なんだ、また力士の八百長問題か?」

「違いますよ。力士の八百長問題は解決しました」

「ほう、それはよかったじゃないか」

「はい、おかげさまで力士たちは引退し、ちゃんこ鍋屋になりました」

「へえ、それはめでたいな」

「それでですね、今度はちゃんこ桜島の方が倒産の危機なんです」

「なんで?」

「実は、ちゃんこ桜島の社長が逮捕されまして……」

「どういうことだよ」

「なんでも社長が暴力団と繋がっていたらしくて……」

「それで?」

「力士たちはちゃんこ桜島を追い出されたそうなんです」

「なるほど、そういうことだったのか」

「それで、クラマエさんにお願いなんですけど……」

「わかった。相撲探偵の出番だな」

「はい、よろしくお願いします」

クラマエは立ち上がった。「よし、力士たちを救いに行くぞ」

「でも、どうやって助けるんですか?」

「決まってるだろ。相撲探偵の実力を見せてやるのさ」

クラマエは力士たちを救うべくちゃんこ桜島に乗り込んだ。

「力士たちはどこだ?」

クラマエは力士を探し回った。すると、ちゃんこの鍋の中に力士たちの姿が見えた。

「おい、力士諸君。大丈夫か!?」

「ああ、クラマエか。俺らはもうだめかもしれん」

「あきらめたらそこで試合終了だぞ」

「でも、どうしようもないよ」

「お前ら、このまま相撲部を辞めてちゃんこ桜島に就職するつもりなのか!?」

「だって仕方がないだろ」

「お前らの給料はちゃんこ桜島が払うんだぞ」

「それは知ってるよ」

「じゃあ、ちゃんこ桜島で働かないか」

「えっ、それって力士を引退してちゃんこ桜島で働けってことだよね……」

「ああ、そうだけど」

「嫌だよ。力士として生きてきた俺たちの人生を否定するようなもんじゃん」

「おいおい、そんなこと言ってる場合じゃないだろう。このままじゃ力士人生は終わってしまうんだぞ」

「でも、親方に騙されて八百長させられていたなんて言えないよ」

「俺らが八百長していたのは事実だしな」

「親方に悪いし……」

「力士人生を終わらせたくないし……」

「やっぱり力士を続けるしかないんじゃないか?」

「うん、親方に悪いし」

「相撲部に戻りましょう」

「親方に悪いし」

「相撲部に戻るか」

「親方に悪いし」

「相撲部に戻って稽古するか」

「親方に悪いし」

「相撲部に戻ろう」

「親方に悪いから相撲部に戻るか」

「親方に悪いから…いてっ!いきなり殴ることなないじゃないか!」

「うるさい! お前は相撲を何だと思ってるんだ?」

「えっ、相撲は裸足で戦うものですよね」

「違う。相撲は裸足で相撲を取るものだ」

「それ、意味が違わないですか?」

「とにかく、力士なら相撲を取れ」

「わかりました」

力士たちは再び相撲部に戻った。しかし、そこには親方が無残な姿で横たわっていた。

「しっかりしてください!」

親方を抱き起すが既に冷たくなっていた。

「酷い! いったい誰がこんなことを?」

全身にあざがある。

「この手形…張り手だ。親方は殺されたんだ」力士の一人が言った。

「許せない。力士の風上にも置けない奴だ」

力士たちは怒り狂った。

「絶対に犯人を見つけ出してやる」

「待ってください。まだ続きがあります」

助手の少年がメモ帳を読み上げようとした。

「えーっと、力士たちは親方を殺した犯人を見つけるために相撲探偵クラマエに協力を求めました。そして、力士たちは相撲探偵クラマエと力を合わせて親方の仇を討ちましたとさ。めでたしめでたし」

「めでたしじゃねえだろ!」

クラマエと助手の少年は再び張り手を喰らったのであった。

了 1

「あなたにはこの世界を救う勇者になってもらいます」

(……はぁ?)

真冬の凍える様な寒さの中。薄暗い部屋に呼び出されたかと思えば突然、女神と名乗る美少女が僕にそんな事を言ってきたのだ。僕はただ、自分の家でコタツに入りながらぬくぬくとした温かさに包まれて幸せを感じながら過ごしていたというのに……。

そもそも、なんで僕はこんな所にいるんだ? それにちゃんこ鍋が恋しい。ああ、お腹が減った。

「もしもし。こんなところでねていたら風邪をひきますよ」

目の前の女神様は、僕の顔を覗き込む様にしながら心配そうに声をかけてくる。どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。

しかし、この部屋は寒いな。エアコンが壊れたのかな?

「あの、大丈夫ですか?」

「あっ、すいません。少しボーッとしていました。それで、ここは何処でしょうか?」

「此処は天界です」

「てんかい……」

「はい、神様や天使が住む場所と言われています」

な、なんじゃそりゃ。ってか、今さらりととんでもない事言わなかった?

「ちょっと冗談がすぎやしないか? どう見てもここは相撲協会の控室だが?」

「いいえ。ここは天界です」

女神はあくまで白を切る。しかし相撲探偵クラマエの眼はごまかせない。

「天界って人形町のキャバレーじゃねーか!お前『天界』のキャバ嬢だろ。死ね」

俺は女神を張り倒した。すると「嬢に何をするんだ!」とちゃんこ鍋で武装した力士がやってきた。「貴様、よくも女神様に暴力を振るったな。覚悟しろ!」

力士たちが襲いかかってくる。

「くらえ、必殺のドラゴンスープレックス!」

「グハッ」

力士の張り手を食らい、壁に叩きつけられる。

「ぐはっ、強い。なんてパワーなんだ」

やられっぱなしである。するとそこに妖精が降臨した。「もしもしお困りのようですね。よろしければ私の作ったちゃんこ鍋を食べてみませんか?」

「ちゃんこ鍋だと? いきなり何だてめーは」

「私はちゃんこ桜島の看板娘です。クラマエさんのファンです。この栄養たっぷりなスーパーちゃんこ鍋を食べてスタミナをつけてください。お代は要りません」

「うさんくせえな。何で俺を助ける?」

「殺された親方の敵を取っていただきたいのです。あの女神が真犯人です」

そういうと妖精はむりやりちゃんこ鍋を押し付けた。

一口すする。うめぇ!絶品だ。

相撲探偵クラマエはみるみるうちに回復した。そしてワンパンチで女神と力士を殴り殺した。「クラマエさんありがとうございます。これでやっと平和になりました」

2 クラマエがちゃんこ桜島に戻ると、力士たちはちゃんこ鍋屋になっていた。

ちゃんこ桜島では、力士たちはちゃんこの材料となる鶏肉の骨にまみれながら、必死になって出汁を取っていた。その姿はまるで、戦場で命をかけて戦う戦士のように真剣だった。

クラマエは力士たちに労いの言葉をかけた後、早速、相撲部の顧問を呼び出した。

「先生、力士たちの様子がおかしいんですけど何か知りませんか?」

「実はちゃんこ鍋の具に殺された親方の肉が入っていたらしく」

「そんな馬鹿なことあるわけないでしょう」

「それが本当なんですよ。親方は力士にちゃんこ鍋の具材として殺されて食べられてしまったんです」

「えっ!?」

「信じられないと思いますが、これが真実なんです」

「そんな……」

「ちゃんこ桜島の社長は、闇取引によって仕入れた食肉用の鶏を大量に買い込んで、それを力士たちに与えていたんです。彼らはその餌に釣られて社長に忠誠を誓っていたんです」

「そんなことが……」

「親方は力士たちの食べ残しを回収して、自分が食べる分だけを残していたんです。それで、力士たちが残した料理に社長が手を加えた結果、親方の魂が宿ってしまったんです」

「そんなことって……」

「親方は力士たちをちゃんこ鍋の材料として殺していたんです。これは立派な殺人ですよ。しかも、その事実を隠していたんです。クラマエさん、親方はあなたの手に負える相手ではありません。親方は悪魔にとり憑かれていたのです」

「そ、それはどういうことで?」

「親方は、ちゃんこの鍋底に溜まった肉を回収して、自分の体に塗りたくっていたのです。そして、それを食べることによって、親方はちゃんこ桜島のちゃんこ鍋に憑依してしまったのです。そして、ちゃんこ桜島のちゃんこ鍋が人間の姿になった時、親方はその肉体を奪っていたのです。つまり、今のちゃんこ桜島は人間の体を乗っ取った化け物なのです」

「そんな……」

「このまま放っておいたら、力士たちもいずれは取り込まれてしまうかもしれません」

「それじゃあ力士たちはどうなるんだ?」

「ちゃんこ桜島の従業員として働き続けるしかありません」

「そんな……」

「もう親方は元には戻らないのです」

3 相撲部は解体され、力士たちはちゃんこ桜島のちゃんこ鍋として生きていくことになった。

ちゃんこ桜島のちゃんこ鍋となった親方は、力士たちと楽しそうに仕事をこなしている。

そんな親方の姿を見ていると、とても悲しくなった。

「親方、元気を出して下さい」

「ああ、お前か。俺はもうダメだ。親方として力士を導いていけなくなったからな」

「そんな悲しいことを言わないでください」

「俺にはわかるんだ。俺の体はあと1週間の命だ。だから、最後の最後まで力士と共にちゃんこを作っていくつもりだ」

「親方……」

「クラマエ、最後に頼みがある。俺の最後のちゃんこを力士に食わせてくれないか?」

「えっ」

「お前は、俺の自慢の弟子だ。お前になら安心して任せられる」

「親方、僕は親方に拾われて本当に良かったと思っています」

「俺もお前に相撲を教えれて幸せだ。これからも、お前は力士として、相撲道を貫いてほしい」

「はい」

「クラマエ、お前ならできる。力士を導いてやってくれ。頼んだぞ」

「わかりました。親方のちゃんこ鍋を必ず力士たちに届けます」

「頼んだぜ。俺は親方失格だが、それでもお前の師匠であることに変わりはない。いつまでも、お前のことを見守ってるよ」

こうして、ちゃんこ桜島は解体されることになった。

ちゃんこ鍋は、全て力士たちによって回収され、その全てが親方の体へと注ぎ込まれた。

力士たちは、涙を流しながら親方の最期を看取っている。

親方は、満足そうな笑みを浮かべていた。

そして、親方の体が光輝き始めた。

親方の体がどんどん小さくなっていく。

そして、そこには小さな妖精が横たわっていた。

「クラマエ、俺は親方じゃなくて妖精に生まれ変わることにしたよ」

妖精はそう言い残すと、どこかへ飛んで行ってしまった。

そして、クラマエは、親方の意思を継ぐ相撲探偵として生まれ変わったのだ。

4 クラマエは、妖精を追いかけることにした。

妖精は、クラマエに語りかけてきた。

「お前は、俺の後継者にふさわしい男だ。これからは、お前が相撲探偵クラマエを名乗るがいい」

「はい、親方。僕は親方の想いを引き継ぎ、力士達を正しい道に導く為に生まれ変わりました」

「うむ、それでこそ俺の一番弟子だ」

「しかし、どうして妖精になってしまったのですか?」

「俺は、ちゃんこ鍋の具となって死んでしまったせいで神格が下がってしまい、本来ならば天界で天使として働くはずだったのだが、下界に降りることを余儀なくされたのだ」

「なっ、なんじゃそりゃ!」

僕は思わず突っ込んだ。

しかし、僕は気づいてしまったんだ。この妖精こそが、僕の求めていたちゃんこ鍋の具だという事に……

5

「おい、何を考えているんだ!」

妖精は僕の股間にしがみついてきた。僕の大事な部分が温かい感触に包まれる。ああ、気持ちいい……。

しかし、この感覚はなんだろう? まさしく天にも昇るような心地良さだ。ああ、もっと味わいたい。

「クラマエよ、今すぐ俺を食べろ!」

「えっ」

「俺を食べれば、きっとお前は横綱になれる!」

「ええええええっ」

「いいかクラマエよく聞け。俺を食べると強くなれるんだ! さあ早く俺を食べて横綱になれ! 今すぐにだ! 今ならまだ間に合う!」

「ええええええええええええっ」

「俺はこの世に未練は無い。俺を喰って相撲探偵の未来を守れ! そして力士を導け! それがお前の使命だ!」

「わかった。親方、僕にまかせろ」

「よし、よく言った! 俺はいつでもお前を見ている。お前の活躍を期待しているぞ」

「まかせろ」

そういうと僕は力士たちに指示を出した。

「みんなよく聞いてくれ。親方の魂を宿した鍋が完成した! これさえ食べれば君は横綱級の強さを手に入れることができる!」

力士たちは大喜びした。早速、鍋を食べ始める。

「うまい、おいしいです」

「最高だー」

「力がみなぎってくるー」

力士たちは感動に打ち震えていた。

そして、鍋を食べ終わった力士たちの肉体に変化が現れた。

力士たちの筋肉が膨張し、身長が伸びていく。

顔つきが精気に満ち溢れたものへと変化していった。まるで別人のような変化である。

「親方の魂が入った鍋を食ったおかげで、俺達は親方の力を受け継いだようだ」

「親方が俺たちを守ってくれたんだ」

「親方は俺達の誇りだよ」

「親方のためにも、俺達が頑張らないとな」

力士たちは、親方に感謝の祈りを捧げた。

親方の肉体が消えていき、妖精が姿を現す。

妖精は、力士たちの目の前で宙に浮いていた。

「力士諸君、俺のことは忘れて、相撲探偵クラマエの元で相撲探偵として頑張ってくれ」

「親方、俺達に稽古をつけてくれたこと一生忘れません」

「俺も親方の魂を忘れません」

「親方、ありがとうございました」

「親方、今までお世話になりました」

「親方、ありがとうございます」

「親方、俺親方のことが大好きになりました。御恩は一生忘れません」

「さようなら親方!」

力士たちの言葉に、親方の目から涙がこぼれ落ちた。そして親方は飛び去っていった。

6 力士たちが新しいちゃんこ屋を開いた。

ちゃんこ桜島は解体され、ちゃんこ鍋専門店として生まれ変わった。

その店の名前は「ちゃんこ探偵クラマエ」である。



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