2017-05-17 03:48:41 更新

概要

1つだけ、たった1つだけ、特殊な能力、あるいは願ったものを持って艦これの世界に入ったら……というアレの続きです


前書き

これは”イレギュラーが存在する鎮守府”の続きになります。

ますそちらを読んでいただかないと内容が分かりません。是非ともご一読お願いします

前作がエラーで更新しても消えてしまうため、新しく投稿します


キャラ紹介

ヒバナ─主人公 能力:1日で合計1分まで時を止められる、指定した時間だけ時間を操れる(デメリットで生きるための記憶を失う)


ミハル─ヒバナの幼馴染 能力:あるものをもとの状態に戻せる


カナデ─運営の1人 能力:50字まで書いたことを実現させる(1つのみ。消せば書き直せる)


翔鶴─ヒバナの艦娘


空母棲姫─ミハルの艦娘


鈴谷─カナデの艦娘


時雨、夕立─提督を失い、ヒバナ逹と共に行動する


違和感



─────────────

──────────




時雨「さ、出来たよみんな」



鈴谷「お待ちどうさま~」



ミハル「お、随分自信ありげじゃんよ」



鈴谷「まあね、鈴谷にかかればこんなのお手の物だよ」



ヒバナ「そんじゃ早速その自信作を頂きたいんだが…夕立はまだか?」



時雨「あれ、そっちにいるんじゃなかったの?」



カナデ「う~ん私達も時雨ちゃん逹といると思ってたんだけど」



ヒバナ「…まさか一人で外に出てたりしないよな」



翔鶴「……提督」



ヒバナ「ああ、みんな居場所を知らないのはおかしい。一人で出ていこうなんて簡単に思うような奴でもない」



時雨「探しにいってくる!」



焦りを隠せない声。時雨が取り乱すのは初めて見た



ヒバナ「いや、俺がいくよ。言いたくないがどうにか出来るのは俺くらいだ」



時雨「っ…………!」



悔しいのは分かる。だがこういった判断もしないといけない



空母棲姫「なら私も行こう。貴様一人でもどうにもならん。それなら時雨も連れていって構わんな?」



ヒバナ「正直お前がついてくるって言い出すののは驚きだよ。……それでも素直にいいとは言えないが」



空母棲姫「なぜだ?貴様一人で行く意味もない。野垂れ死んでもらっても困る」



譲らなそうだ。なにか理由があるんだろうか



ヒバナ「見たくないものを見るかもしれないぞ」



口にはしたくなかった最悪の場合。時雨が目の当たりにすれば一生もののトラウマになりうる



時雨「それはその時だよ。考えたくもないけど」



ヒバナ「…………」



『強いんだな。』そう言おうとした。けどそれは違う



ヒバナ「分かったよ。急ごう」



カナデ「気を付けてね、何があるか分かんないから」



何を今さら、と思ったがその言葉にはなにか重みがあった



ヒバナ「……すぐに戻る」



─────────

───────



カナデ「……聞こえたよね、鈴谷」



鈴谷「…うん」



ミハル君とかには聞こえない、私達だけが聞こえる声。自分が自分だった記憶を探ろうとする度に聞こえる、耳まとわりつくような声



ミハル「?なんの声が聞こえるんですか?」



カナデ「まだ言ってないことがあるんだ。ヒバナ逹には言ってなかったけど」



翔鶴「黙ってなきゃいけないこと…ですか」



カナデ「…出来れば話したくなかったけどそうもいってらんないしね」



鈴谷「…………声が聞こえるんだ」



ミハル「声?」



翔鶴「提督が聞いた声ですか?」



カナデ「多分違うよ。私達の記憶を操った人の声」



ミハル「話しかけてくるって感じなんですかね」



鈴谷「そうじゃない。聞こえてくるのは数字。最初は100から始まって、どんどん減ってきてる」



ミハル「いつからその声が聞こえるんだ?」



鈴谷「声自体は皆に会う前からずっとだよ。けど数字が減ってきたのはヒバナさんに会ってからかな」



翔鶴「……それって」



カナデ「死のカウントダウンってやつかもね」



ミハル「………………」



鈴谷「提督のは今いくつくらい?」



カナデ「21だよ。物凄い速度で減ってる」



鈴谷「私は36。なんで違うんだろ、会ったのはほとんど一緒なのに」



カナデ「敵対すると減るんだろうね。まだ決まった訳じゃないけど、0に近くなったら言うからみんな離れてね。爆発したりしたら大変だし」



翔鶴「そんな軽々しく…」



鈴谷「あはは、なんていうかさ、普段からじゃ有り得ない事が起きて、色んな人と仲良くなって、好きな人も出来て……少ない日数でこんなに体験しちゃったら満足してさ」



ミハル「………………」



鈴谷「もういいかなって。十分満喫したし、このまま…終わっても……いいかなってさ」



カナデ「…うん。私もそうかな」



ミハル「そんな顔して言うことじゃないぞ」



カナデ「どうしようもないよ。だって、ほんとに0になって死んじゃうって分かっても止められないじゃん」



───────18



カナデ「諦める訳じゃないけどさ、でも今こうして話して泣いてるのもロスタイムみたいなものだよ。もうじき終わっちゃう」



カナデ「もしかしてこの人達となら、この人ならって思ってたけどさ、やっぱり変わんないよ。寧ろ悪くなってる」



カナデ「それでも私は自分の命惜しさにあなた逹の敵にはなりたくない。だから」



───────12



カナデ「せめて忘れないでね」ニコ



──────5



ミハル「何言って……!おい鈴」



鈴谷「いきなりごめんね。なんとか粘ってきたつもりだけどつらいかも」



鈴谷は後どれくらいなんだろ。私はもう2まで来ちゃったよ



鈴谷「うへぇ、もう4しかないや。こういう時は速いんだから」



物語の主人公ってさ、こういう時に突然駆けつけて助けてくれるんだよね



────流石に無理かな。今頃夕立ちゃんのこと探してるんだろうし



カナデ「あーあ、最期に言うけどさ、ヒバナ。私はあなたの事が大嫌いだよ」



カナデ「嫌い嫌い、分かったような雰囲気だしちゃってさ。もっと人間らしくしなよ」



ミハル「………………」



カナデ「──嫌いに思えるくらい、好きになっちゃったよ」ボロボロ



──────0






それはある日暖かな





──────落ちる。落ちる



その身体は浮くことなく、深い海へ沈んでいく




────少女は後悔した。こんなことするんじゃなかった




────少女は歓喜した。思惑通りにはさせなかった




────少女は嘆いた。もう皆の所へは戻れない



───これで良かったのだろうか





───『良くないに決まってるでしょ』───






──ああ、また声が聞こえる。けどこれは懐かしい声。泣いて笑い合った、大好きな声



────『起きなさい。夕立。戻らないといけないのよ?』



───目を開けることが出来ない。きっともう死んでしまっている




────『珍しいのね。あなたが後ろ向きになるなんて』




────『ほら、手を貸して』





────暖かな何かが、手を掴んだ






─────────────

─────────





夕立「…………!」



時雨「起きたかい?もうこんなことするんじゃないよ」



夕立「時雨ちゃん…どうして」



???「いつになく世話をかけるのね」



夕立「……提督…!提督!」



???「ほら、立てる?」



ヒバナ「……水を指すようで悪いが、早いとこ戻らないといけないぞ」



???「…そうね。何かあってからじゃ遅いし」



空母棲姫「急かすじゃないか、理由が見当たらないが」



ヒバナ「前みたいなことがあってもな。それに腹も減った」



空母棲姫「はあ…そうか」



時雨「戻ろう。心配させちゃ悪いよ」



ヒバナ「ああ、にしてもお前と時雨を連れてきて正解だったな」



空母棲姫「全くだ。一人で行こうものならその間に私達が何もかも解決していたかもしれんぞ」



ヒバナ「そうだな。悪かったよ」



実質空母棲姫がいなければ夕立がいたおよその場所なんて検討もつかないし、時雨がいなければあいつが時雨逹の提督だなんて分からなかった



ヒバナ「偶然なのか知らんが、お前逹2人じゃなきゃ解決出来なかったな」



空母棲姫「焦るのも分かるが、適任というものがある。目の前だけ見るよりも前に周りを見ることだ」



ヒバナ「…やけに重い言葉だ」



空母棲姫「……それと、あいつのことだが…貴様と同じような境遇なのだろう?」



ヒバナ「ああ、もう一度戻ってきた、と言うと違うかもしれんが、お前が思ってる通りだろうな」



空母棲姫には俺の状態がどんなものなのか悟られているらしい



???「ねえ、こっちであってるの?随分来たけど」



ヒバナ「ああ、まさかこんな遠くにまで来ているとは思わなかったが……それと」



ヒバナ「……カナデって知ってるか?」



???「…知ってるけど」



……良かった。その記憶が創り変えられたものなら見てられない



ヒバナ「そうか、ならいいんだ」



???「?」



夕立「到着~!」



ヒバナ「マイペースだなお前は」



空母棲姫「フフ…」



ヒバナ「笑った?」



空母棲姫「いや」



ヒバナ「そうかい」






カナデ「────ヒバナ。私はあなたの事が大嫌いだよ」



ヒバナ「……?なんだ?」



空母棲姫「こんな少ない時間で嫌われるとは、貴様も面白い人間だな」



ヒバナ「……いや」



─────震えていた。いつもの冗談抜かすような声じゃない



ヒバナ「離れると何かしら起きるな、ここは!」



駆け出す。何があったか知らんが、起こる前に戻す!



ヒバナ「……!」



カナデ「──嫌いに思うくらい、好きになっちゃったよ」



ミハル「…ヒバナ!」



ヒバナ「今から此処を10分前に戻せ!」



壊れた歯車を無理矢理回したような音が脳内に響く



─────パシュッ




空気銃で頭を撃ち抜かれたような感覚



翔鶴「!!提督!」



ヒバナ「あー、戻しすぎたか──何があった」



時雨「ヒバナさん!なにが…」



───確認しながら訪ねる。何を失った?こいつらは大丈夫なのか



鈴谷「なんともない…聞こえない」



カナデ「……そうだね。なんとかなっちゃった…のかな」



ミハル「取り敢えず、一旦整理しようか。そこの人のこととかも合わせてさ」



空母棲姫「…馬鹿者」



ヒバナ「重い言葉だ…」



カナデ「!!…ユカ…!」







ここから




─────────

──────



ヒバナ「カウントダウンね…」



カナデ「うん。最後になったら言おうと思ってたんだ。ごめんね、黙ってて」



夕立「もう大丈夫っぽい?」



カナデ「うん。何も聞こえないしなんともないよ。鈴谷は?」



鈴谷「なんともない。嘘みたいだけど」



空母棲姫「お前はどうなんだ」



ヒバナ「分からない。そもそも失ってるから実際に直面しない限り思い当たるわけ無いんだが」



前ならすぐにわかった。だが今回はまだ分からない。分からないゆえに怖い



ミハル「そうか…分かったら言ってくれよ」



翔鶴「……それで、そちらは」



???「ユカよ。時雨逹の提督」



暗闇に飲み込まれた一人。何故存在できているのか



カナデ「時雨ちゃん逹からはもう居ないって…」



ユカ「久し振りね、カナデ。確かに私は死んだことになったけど…どうにか出来なくはないみたい」



夕立「どういうこと?」



ユカ「ここでの死は現実の死と違うの。一度データとして保管されて、そのまま消えてく」



ヒバナ「ゴミ箱に保存されて少し経ったら自動で消えるのか」



ユカ「尤も、私はあなた逹の言う現実の死がどんなものなのか知らないけど」



ユカ「そのゴミ箱で保存されてる時はこの世界の管轄から外れるのよ。だから」



ユカ「”今にも死にそうな人に声をかけて、私ごとこっちに引っ張ってもらったの”」



ミハル「よくそんなこと思い付くしやろうとするな…」



ユカ「あんな終わりかたは誰だって嫌でしょ?どうにかしたいならもがくしかないの」



ヒバナ「………それで、あんたの役割はなんだったんだ?カナデはエラー娘だったが」



ユカ「私は工廠に居たわよ」



ヒバナ「なんだかあっさり出てくるんだな。記憶は弄られてないのか」



ユカ「記憶は弄られて無いけど、ロールは変えられたわね。工廠から執務室に」



ミハル「っつーと相手も運営なわけか」



ヒバナ「だんだん見えてきたな。まさかそこらのガキじゃなくて運営様とは」



役割を変えられるのは流石にブースト行為が出来るってくらいじゃ勤まらない。それが可能なのはシステムを変えられる者だけのはずだ



翔鶴「………大丈夫なんでしょうか」



ヒバナ「なんとかなるさ」



鈴谷「すごい不安な言葉なんだけど」



ヒバナ「鈴谷の胸だけ40年くらい進めるぞ」



鈴谷「止めてよ!?そこだけお婆ちゃんになっちゃうじゃん!」



ユカ「………随分お気楽なのね」



カナデ「それが良いところだよ。それと」



カナデ「またあえて良かった」



ユカ「そうね。私も会えて良かった」



時雨「遅くなったけど、ご飯にしようか」



夕立「お腹すいた~!」



翔鶴「…そうですね」



時雨「提督の分も用意するよ」



ヒバナ「………ああ、なら俺にやらせてくれないか」



時雨「…?いいけど」



ミハル「手伝おうか?」



ヒバナ「いや、いい。ちょっと色々確認しときたくてな」



空母棲姫「………………」



─────────

──────




調理場に立つ。時雨逹が作った料理の残りがある



ヒバナ「………………」



少し食べてみる。………ふむ



ヒバナ「うっ………………」



不味くない。だが体が拒絶する。



ヒバナ「(こんなことをしなくちゃ生きていけないのか?信じられない、殺してそれを調理して食べる?)」



理解している。どこかで記憶しているだが───



ヒバナ「食べることを忘れたか──」



ユカ「…それがあなたの力なの」



ヒバナ「ああ、時間を操る代わりに生きるための記憶を失う」



ユカ「……そう」



いよいよ人間らしく無くなってきたな。待つのは栄養失調による死か───



ユカ「まだお礼してなかったわよね?」



ヒバナ「?時雨逹のことならお互い様だよ。あいつらがいなけりゃもっと早く消えてる」



ユカ「私の気がすまないのよ。ちょっと」



ヒバナ「…まあなんかしてくれるなら」



ユカ「カナデのことも含めてお返しよ」



そういうと



ヒバナ「────っ!!」



ユカ「ん───」



ヒバナ「───なんだいきなり」



ユカ「言ったらしないでしょ?私の力はあらゆるものを共有出来るの」



ヒバナ「?って言うと」



ユカ「痛みや苦しみ、食欲や性欲。そういった人が持ちうるもの全部ね」



ユカ「ただ私から一方的にだから、あなたが痛い思いしても私には何も影響は無いわよ。それに共有するのは半分ずつ」



ヒバナ「あんたが腹へったら俺とあんたで半分にするってか」



ユカ「そうね。でも、あなたには必要でしょ?」



ヒバナ「素直に助かるとは言えないが」



共有方法がキスとはいかなるものか。最高に役に立たなそうだが



ユカ「さ、戻りましょ。待ってるわよ」



ヒバナ「ああ…」



確かに腹が減ってきた。…にしてもいきなり運命共同体か…先が思いやられる



ヒバナ「かわいい見た目してやることは大胆な奴だ」



空母棲姫「…何を自惚れてるんだか」



ヒバナ「自惚れてないよきっと」



空母棲姫「まったく…それで、お前はどうするつもりだ」



ヒバナ「どうするって何をだよ」



空母棲姫「終わったら、だ。お前はもう戻れない。それは自分でわかっているだろう」



ヒバナ「…ああ」



空母棲姫「仮に全てが丸く収まり、終わったとして、どこに残るつもりだ」



ヒバナ「あー、先の事だと思ってたがそう遠くは無さそうだな」



ヒバナ「さあな、残った奴と細々とやってくんじゃないか」



空母棲姫「………前に言ったな。お前はこちら側で指揮を執っていたかもしれないと」



ヒバナ「そんなこともあったな」



空母棲姫「お前がその気なら私も歓迎してやらなくもない」



ヒバナ「…………そうかい」



空母棲姫「まあ、頭の隅にでもいれておくんだな」



ヒバナ「ありがとな」



空母棲姫「……せめて報いになればいいと思ってな」



ヒバナ「お前に同情されるとは」



空母棲姫「……言っていろ」




後書き

ここまで読んでくださりありがとうございます。

仕事の都合でテンポよく更新は出来ませんが書いたからにはしっかり完結させます!

登場キャラは全部決まってるというわけではないのでリクエスト貰えれば出来る範囲で登場させるつもりです

にしても遅くなりすぎました!申し訳ない…


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2020-02-10 03:29:49

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2020-02-10 03:29:50

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