廃れた鎮守府と新米提督
このssの存在をすっかり忘れていました・・・
冬の訪れを感じだした十二月上旬、近くの海から吹く身を蝕むほどの風に晒される今日この頃
提督「・・・ここが俺の勤務先か。」
俺は辺境の地に位置する最悪な職場の前に突っ立っていた。
この状況の真っただ中にいる俺には、沸々とある感情が芽生え始めていた・・・というか、爆発した。
提督「ああ、確かに俺は『気楽にやれる場所がいい』っていったさ。だがな・・・」
拳を強く握りしめ、俺を小ばかにするように泣くカモメにも聞こえるほどの大声で叫んだ。
提督「誰も好き勝手やれる辺境に来たいって言ったわけじゃないぞ!なに変な頓智きかせてんだ大本営コラァ!」
提督「ハァ・・ハァ・・新人バカにしやがって・・・全く・・・」スタスタ
だが、こうして外で文句を言っていても始まらないと思った俺はゆっくりと鎮守府に足を踏み入れた。
鎮守府内はとても広々としていて、内装も整っている。運営していく事に支障はないだろう。
提督「ハァ・・寒い寒い。」
周りを見渡しながら、意味もなく呟く。そうしていないと、あまりの静かさに気が滅入ってしまいそうだ・・・
提督「それにしても、誰も・・・いないのか・・・?」
それほどまでにこの鎮守府は、静かだった。
しかし、確実に誰かが生活している跡がある・・・だってそこに賞味期限に余裕のある総菜のゴミが落ちてるし。つかちゃんとごみばこに捨てろよ・・・
提督(まぁ・・・当面の目的は、この鎮守府の艦娘と接触することだな。)
「あと、速く休みたいし・・・」最期にそう呟き、俺は止めた足を再び前に進めだした。
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提督「ハァ・・・」
この鎮守府に来てから、何度目かのため息を吐く。どうにもやりづらい事実が浮上してきたからだ。
しばらく鎮守府内を歩き回ってわかったことは、『誰もが俺を警戒して姿を見せないようにしている』というなんとも不名誉な状態ということだ。
提督(その証拠に・・・)チラッ
「っ・・・!」ササッ
今、そこの壁の向こうから窺うように小さい顔をのぞかせている金髪の女の子がいる。
本人は気づかれていないと思っているようだが、ばっちり目が合ってから頭を引っ込めている為、モロバレだ。
提督(話を聞きたいものだが、姿を隠している(笑)からするに、近づこうものなら逃げられてしまうだろう。)
提督(さて、どうしたものか・・・)
その時、俺はふと持ってきた荷物の中身を思い出した。真冬だというのに保冷剤をガンガンに詰めてきているバッグのことだ。
提督(ふぅ~む・・・ちともったいないが、コイツを使うか・・・)ガサゴソ
気は進まないが、この際仕方がないだろう。そう自分に言い聞かせて、保冷バッグから俺のお気に入りのケーキを取り出す。
・・・なんだよ、わるかったな秘密道具とかじゃなくて。でも、おいしいだろチョコレートケーキ。
俺は、ケーキを片手に壁の向こうにいる少女に声を掛けた。
提督「やぁ、初めましてお嬢さん。よければ、俺と少しお話していきませんか?」
なるべく優しい声音になるように言葉を発した。うわぁ・・・お嬢さんとか言っちゃったよ、気取ってるねぇ俺。
「えっ・・・あ・・・えと・・・」ジ~ッ
どうも、自分が気づかれていたことに驚いているようだ・・・しかし、その視線はケーキを捉えて離さない。最期の一押しが足りないようだ・・・よしよし。
提督「このケーキ、期間限定ものだからと~っても甘くておいしいんだけどなぁ~、ど~しよっかなぁ~。」
棒読み気味にしゃべり少女の興味をケーキに引き付ける。
「・・・っ!」バッ
それが功を奏したようで、少女はほぼ秒速といっていい速度で壁の向こうから出てきた。
提督「はいっ、一名様ごあんな~い。」スタスタ
こんな廊下では聞けるものも聞けないと思い、ケーキを見せびらかすように速足で進んでいく。
どこで食べさせようかと考えていると、少し行った向こう側に大きく食堂と書かれた部屋を発見した。
提督(おっ、ラッキー。丁度いい場所を見つけちまったぜ・・・もしかしたら他の艦娘もいるかもしれないし、そこに行くか。)
改めて目的地を決めた俺は先ほどの女の子がついてきているかどうかを後ろを振り向いて確認した。
「・・・」トコトコ
提督(大分距離が開いているが、ちゃんとついてきているみたいだ・・・てか、歩き方可愛いなこの娘。)
俺はこの光景を動画に収めたいという自分の欲求を押さえつけて、目の前にある食堂の扉をゆっくりと開けた。
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提督「・・・さぁ、座ってくれ。」
「・・・」チョコン
誰もいない食堂の端の机に向かい合うようにして座る、食堂は意外に広いためこの鎮守府には多くの艦娘達がいることをうかがわせる。
提督「はい、コレ。食べたいんだろう?」スッ
「・・・っ!」キラキラ
目を輝かせながら俺の差し出したケーキを眺めている、やっぱりケーキは偉大だな!ケーキ最高!
「・・・」チラッ、チラッ
提督「ん・・・?どうかしたのか?」
ケーキを目の前にしながらも俺の顔色を窺うようにチラチラと俺のほうを向いてくる、なんだ?やっぱり警戒されてるのか?
「あ、あのさ・・・ホントに食べていいの?」
初めてまともに声が聴けた、どうにも、この子は遠慮しすぎているよな気がする・・・まるで初めて高級料理を目にした子供のようだ。
提督「ああ、もちろん構わないよ。ホラ、これ使って。」
そういって俺は、カバンから付属していたプラスチックのフォークを少女に手渡す。
「ありがとう・・・?」
提督「どういたしまして。」
そういうと少女は「いただきますっ」と元気よく言ってフォークでケーキを口に運んだ。
「ん、ん~~♪」パァァァァ
提督「どうだ?おいしいだろう?俺のおきにいりなんだ。」
「うんっ!すごくおいしいよ!」ニコニコ
とてもプライスレスな笑顔を見せてくれた・・・まもりたいこの笑顔。
提督(・・・そろそろ大丈夫そうかな、まずは簡単な自己紹介からでも。)
提督「そういえば、君の名前をまだ聞いてなかったな。よければ、教えてくれないか?」
「・・・」ピタッ
瞬間、突然少女のまとっていた明るい雰囲気が霧散し、冷たく重い沈黙が漂いはじめた。
提督「・・・?」
楽しそうにケーキを食べていた手を止め、暗い表情で俯いている・・・なんだ、まずいことでも聞いたのだろうか。
「そ、その・・・ボクの名前は、皐月っていうんだ・・・」
しばらくの間が空いた後にゆっくりとそう口を開いた、その口調はとても・・・とても弱々しい声音だった。
・・・皐月といえば、睦月型の駆逐艦だったはずだ。だが、それが彼女の今の態度に関係があるとは到底思えない。
それに、駆逐艦の運用はとても簡単で、戦果も稼ぎやすいため重宝できる頼れる存在だ。
提督(ふむふむ、この子にはだいぶお世話になりそうだな。)
提督「皐月か・・・これからよろしくな。」
皐月「え・・・っ?」
提督「・・・え?」
不思議な空気がその場を支配した・・・って!
提督(えっ?なにこれ、なにこの空気。こういう場合普通『うん!これからよろしくね!』とかそういう元気な返事が来るもんじゃないの?)
皐月「司令官は・・・ボクが駆逐艦ってこと、知ってるよね?」
提督「ああ、勿論知っているが。それがどうかしたのか?」
皐月「駆逐艦にこんな豪華なモノ、食べさせて・・・いいの?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中で何かがはじけた気がした。
提督「皐月、それは、どういう、ことだ?」
言葉が上手く紡げない
皐月「ま、まえの司令官は・・・駆逐艦だから、捨て駒だからって、私たちにはごはん食べさせてくれなかったから・・・」
汚い悪意がこの少女を蝕んでいたと考えるだけで
提督「・・・そうか、そうだったんだな。」グッ
・・・イキが止まりそうになる
皐月「あの・・・司令官・・・?」
気遣うような声で皐月が話しかけてきてくれた、その優しさに・・・俺は覚えがあった。
提督「・・・皐月。」ナデナデ
だからだろうか、俺はあの出来事を辿るように、自然と皐月の頭に手を置いていた。
皐月「・・・っ!?」
皐月は驚いたように身を竦めた、当然だ。だが、伝えなければならないと思った
提督「すまなかったな、皐月・・・いままで辛い思いをさせてしまって・・・」ナデナデ
今までの謝罪と
皐月「・・・」
提督「だが、もう大丈夫だ。俺がきっと、この鎮守府を立て直して見せる。」
これからの事と
提督「『君は、俺が守るよ。』」
俺を救ってくれた、あの人の言葉を。
皐月「っ・・・!ヒグッ・・・う、うあぁ・・・」ポロポロ
皐月は静かに涙を流し、俺の裾を掴んで、ゆっくりと声を漏らして泣いた。
提督「・・・これからよろしくな、皐月。」ナデナデ
再び、皐月に意思確認をする。
皐月「っ・・・」グシグシ
すると、ハッとした表情の後に力強く目元をこすり、涙を拭きとった皐月は
皐月「うんっ・・・任せてよ、司令官!」
元気な声で、そうはにかんでみせた
その顔を見た時俺は、己の中に刻んだ誓いが一層強まるのを感じていた・・・
提督「なぁ、皐月。この鎮守府にはいったいどのくらい艦娘がいるんだ?」
皐月がケーキを食べ終わったころを見計らい、これからの方針を決めるための情報を得ようと口を開いた。
皐月「う~ん、そうだねぇ・・・実はボクって着任してから日が浅いほうなんだよね。」
提督「・・・そうなのか?」
皐月「あっ、でも!加賀さんならボクもお世話になったことあるし、色々知ってるんじゃないかな!」
如何にもな効果音が鳴り響きそうな勢いで皐月がそう提案してきた・・・なるほど、古株に頼るというのはありかもしれないな。
提督「よし、それでいこう。じゃあ、さっそくで悪いんだが案内してもらえないか?」
皐月「うん!いいよ!ボクについてきて!」ギュッ タッタッタ
提督「ちょっ!?皐月・・・!」タッタッタ
先ほどから妙にテンションが高めな皐月は興奮気味にそういうと俺の手を取り走り出した。
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皐月「ついたよ!ここが加賀さんのお部屋で~す!」
全速力で走ってきたにも関わらず、満面の笑みで部屋の紹介をしてくれるのだが・・・
提督「ゼェ・・・ゼェ・・・ゲホッ・・・」ガクガク
そんな皐月とは裏腹に俺は横腹を抑えながらその場にうずくまっていた。
提督(艦娘と人間の根本的な違いを体を張って体験したわ・・・!)
皐月「司令官?だいじょうぶ?」キョトン
提督「はぁ・・・だ、だいじょうぶだ・・・」
全然大丈夫じゃないが、ここは大人の尊厳とかプライド的にこういっておくとしよう・・・
提督「そ、そんなことより・・・加賀さんに話を聞こうじゃないか・・・」
そういって呼吸を整えながら、ゆっくりと扉に向きなおる。
皐月「そうだね!」
それに合わせるように、皐月も俺の隣に立った。
それを確認し、扉をノックしようと手を伸ばしたところで
提督「・・・あ?」
俺は床に仰向けになるようにして倒れていた。
提督(どういうことだよ・・・コレは・・・)
俺は何故自分が倒れているのかという思考よりも先に恐怖を覚えた・・・何故なら、俺が今までたっていたところあたり・・・その後ろの壁に矢が刺さっていたからだ。
皐月「加賀さん、随分と手荒だね。コレ当たってたら、司令官死んでたよ?」
遅れるようにして上から皐月の声が聞こえた。そして、その反対側には・・・
加賀「・・・いったい何をしているの、アナタ。」
髪をサイドテールにしている女性、加賀が大きな弓を構え立っていた。
皐月「なにって、新しい司令官を守っただけだよ。艦娘なんだから司令官を守るのは当たり前の事でしょ?」
加賀「その男を放置していたら二の舞になるだけ、無抵抗のうちに始末するつもりだったのだけれど。」
皐月たちの会話を聞く限り、加賀の放った矢から皐月は俺を床に転ばせて守ったということらしい・・・
提督(って!状況整理している場合じゃないだろ・・・っ!)
ゆっくりと立ち上がり、皐月を背にするようにして加賀と対面する。
皐月「ちょ、ちょっと!司令官!?危ないよ!」
提督「大丈夫だよ、皐月。」
不安そうにこちらを見上げる皐月の頭に手を置き、根拠のない言葉を吐く。
加賀「・・・」ググッ
こうでもしないと、前から襲い掛かってくる殺意に押しつぶされそうだから・・・
全ての不安感を無視するように、俺は再び弓に力を籠めようとする加賀を諫めるために口を開いた。
提督「待ってくれ、加賀。俺たちは話を聞きに来ただけなんだ、だからその弓を下ろしてはくれないか・・・?」
加賀「・・・アナタと話すことなど何もありません。」
しかし、帰ってきたのは冷たい拒否の言葉とこれまた冷たい視線のみだった。
提督(はい、いただきました!交渉決裂でございます!これはヤバイ!!)
今までの冷静な思考は全て吹き飛び、そんな警報だけが頭によぎる。
加賀「・・・では、お覚悟を。」ギリッ
皐月「司令官っ!!!」
提督「くっ・・・・!」
三人の声が交差し、加賀が矢を放とうとした・・・その瞬間。
「やめなさい、加賀さん。」
ふと、加賀の背後から透き通るように女性の声が聞こえた。しかし、その美しい声とは裏腹に逆らえないような強制力を感じた。
加賀「・・・っ」ピタッ
皐月「っ!?」ビクッ
その証拠に、確実に俺を殺そうとしていた加賀はその動きを完全に止めていた。皐月も同じように呆けたような顔で硬直している。
提督「だれ・・・なんだ・・・?」
正体を知ろうと辛うじて絞り出した声は酷く歪だったが、それでもなんとか通じたらしく答えはすぐに帰ってきた。
「あらあら、コレは失礼いたしました。姿も見せずに制止をかけてしまいましたね。」
そういいながら、奥の部屋よりゆっくりと声の主が姿を現した。
加賀「・・・赤城さん。」
加賀が赤城と呼んだその女性は、まさに大和撫子と言っても過言ではないほど綺麗でお淑やかな佇まいだった
赤城「加賀さん、貴女・・・本当に聞き分けが無いのね?」
・・・その死んだように光を灯さない目と、凍えるように冷たい声以外は。
提督「君は・・・」
どんな人生を送ってきたんだ?と言いそうになった言葉を飲み込む。・・・たぶんそれを聞いてしまったら、俺はここに居られない。とても正気では聞いていられないだろう・・・。
赤城「・・・私の名前は赤城といいます。貴方はここの新しい提督ですね?以後お見知りおきを。」スッ
丁寧な口調でそう述べた後に此方にゆっくりと手を差し出してきた。
提督(握手・・・なのか?)
そう反射的に判断し、赤城に沿うようにしてゆっくりと手を差し出そうとするが・・・
皐月「ちょっと司令官!不用意に近づいちゃダメだよ!」ギュッ
提督「うおっ・・・!?」
先ほどまで硬直していた皐月が強く俺の腰に抱き着いてきた。その体は小刻みに震えている・・・。
提督「皐月・・・大丈夫だって。」ナデナデ
少しでも皐月を安心させてあげようと頭を撫でるが、逆効果と言わんばかりに先ほどよりも抱きしめる力が強くなった。
皐月「さっきだって大丈夫って言って危ない目にあったじゃん!もう信じないもん!司令官の大丈夫なんて信じないもん!」ポロポロ
涙を流しながらそう叫んだ皐月は、俺から体を離すと俺の前に立ち腕を大きく横に広げた。
皐月「ボクの司令官に近づかないで・・・っ!」
赤城「あらあら・・・随分と警戒されちゃったようですね。」クスクス
決死の覚悟で赤城の前に立ちふさがる皐月と、それを子供を見守る母親のように微笑む赤城。二人の様子はあまりにも違い過ぎていた。
赤城「では、握手はよしておきましょう。皐月ちゃんが嫌がるのなら無理にする必要もありませんしね。」スッ
皐月「え・・・?」
しかし、そんな状況は赤城のその一言で全て霧散した。皐月も驚いたように目を見開いている。
赤城「どうも、様子を見るに私たちに何かお話があってこちらまで来られたのでしょう?ならば、要件をお伺いしましょう。」
赤城はもはや気にしていないのか、突然話を変えた。
だが、それはこちらにとっても好都合だ。・・・そろそろこのシリアスな雰囲気に疲れてたところだったしな。
提督「ああ、その通りなんだ。良ければすこし、話を聞かせてもらっていいか?」
赤城「ええ。では、こちらへどうぞ。」
くるりと方向転換をすると、ゆっくりと部屋の中に入っていった。
提督「・・・おじゃましまーす。」
赤城の後に続いて部屋に足を踏み入れた。
皐月「・・・」ギュ
皐月も少々警戒しながらも俺の袖を掴むようにしながら一緒に部屋の中に入った。
加賀「・・・」
加賀は心ここにあらずといった風にいまだに廊下で壁に寄りかかるようにして立っていた。
赤城「どうぞ、お座りください。」
提督「ああ。」
皐月「・・・むぅ。」
部屋に通され、言われるがままに赤城と対面するように正座して座る。皐月は正座に慣れていないのか、座りずらそうにしている・・・可愛い。
赤城「では、要件の方を伺いましょう。」
要件の中身はもう決まっている、この鎮守府の事だ。自分の目で見てきた限りは碌なものじゃないとわかってはいても、鎮守府を立て直すためには詳細な情報が必要になってくるだろうしな。
提督「そうだな・・・じゃあ、今の鎮守府の状況を教えてもらっても構わないか?」
赤城「そう、ですね・・・簡潔に言ってしまうと崩壊寸前、といったところでしょうか。」
赤城はなんともないと言った風にそういってのけた・・・いやいや
提督「崩壊寸前って大変じゃないですか!今すぐにでも手を打つべじゃ・・・」
赤城「落ち着いてください、提督。提督の気持ちはもっともです、しかしそうはいかない事情もまたこの鎮守府にはあるのです。」
赤城「先ほどの加賀さんを見ていただいたらわかるように、この鎮守府の艦娘達は僻地で大本営からの目が届かないのをいいことに前の提督に虐げられ続けられていました。そのせいで、守るべき対象である人間を恨んでいます。」
・・・なるほど、赤城の言いたいことが分かった。このまま俺が行動を起こしても艦娘達から警戒されて最悪反旗を翻される可能性があるわけか。
提督「・・・じゃあ、赤城も人間の事嫌いか?」
赤城「ええ、大嫌いです。」ニコリ
提督「まぁ、当然だろうな・・・だけどな赤城、俺は君が嫌いな人間に助けられたんだ。だから俺はあの人にしてもらったように君を助けたい、君を守りたいんだよ。」
そうだ、人間だって恨まれるだけじゃない。思いやりだって持っているし、誰かを助けることが出来る優しい人だっているんだ、だから人間だからという理由だけで嫌いになってほしくない。
赤城「そうですか。」
しかし、俺の想いは伝わらなかったようで無味な返事が返ってきただけだった。変わらず笑顔で居続ける赤城を見ていると、背中に嫌な汗が浮かんでいるのがわかる。見ていられなくなり、目を逸らす。
赤城「ふふ、安心してください。何も嫌いだからと言って無下に扱うわけではありませんから、私はあの人とは違いますので。」
なにも安心できない。彼女たちに足りないものは人間に対する信頼だ、一度抱いてしまった不信感はそう簡単にはぬぐえない・・・ゆっくり時間を掛けて信頼を勝ち得ていくほかないだろう。
提督「そうか、今はそれでもいい。いずれは君や加賀・・・ほかの皆にも認められる提督になるからな。」
心の中で方針を決めた俺は逸らしていた目を再び赤城の方へと向け、しっかりとその冷え切った双眸を見つめた。
皐月「っ!ぼ、ボクは司令官の事を認めてるからね!」
今まで話に介入してこなかった皐月からも、可愛い声援がもらえた・・・ちょっと格好つけたから今は静かにしていて欲しかったという気持ちはとりあえずは隠しておこう。
赤城「では、その覚悟どれほどのものか・・・今後の動向で見定めさせていただきます。もしも、私たちに危害が及ぶようなことがあれば・・・お分かりですね?」
提督「ああ。その時は煮るなり焼くなり好きにするといい、そんな事にはならないだろうがな。」
ゆっくりと立ち上がりながら俺はそう答えた、起き得ないことは考えたって仕方がない。俺は艦娘を害したいのではなく助けたいのだから。
赤城「期待していますよ。」
俺の言葉を聞いても態度一つ変えずに手を振り見送る赤城を見て、俺はふと思い出し肩に掛けていた保冷バッグの中に手を入れお気に入りのケーキを再び取り出した。
提督「これ、よければ加賀さんと二人で食べてください。味は保証しますよ、フォークもおいていきますね。」
赤城「?これは食べ物、でしょうか。ありがたく、いただきますね。」ニコリ
二人分の抹茶ケーキを受け取った赤城は不思議そうに眺めていたが、微かに香る甘い香りに少しだけ頬を綻ばしたように見えた。
(やっぱりケーキは偉大だな。)
少し軽くなった保冷バッグを再び肩に掛けなおし、俺は皐月の手を引いて赤城の部屋を後にした。
赤城「・・・おかしな人、強いのか弱いのかまるでわからない未熟な瞳。見たのはいつ以来でしょうか。」
赤城「それに、こんなものまで残していって・・・読めませんね・・・ん」
赤城「あら、美味しい。」
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外国の子かね?
初期艦で金髪のこは居ないし
放浪者かな。
さっちゃんでしたか。
何時も遠征や援護射撃に助けられてます。何よりも可愛い!
これまた面白そうな作品が
期待
1.2≫コメントありがとうございます!外国艦ではなく皐月でした!かわいいからね・・・しかたないね!
3≫コメントありがとうございます!まだまだ未熟ですがこれから頑張っていこうと思います!
面白いです
コレからの話楽しみにしてます
6≫コメントありがとうございます!期待に応えられるように頑張りたいです!
あぁ・・・さっちゃんカワイイ・・・
面白そう期待する
続き出ないのか?
失踪です
しょ
(´・ω・`)
続き来ないかな...|・ω・`)
続きを読みたいです。書いてください!とても気になります!オナシャス!
皆さん・・・お待たせしました、といってももう待ってくださってる方はいないと思いますが(´・ω・`)
更新ありがとうございます!
いやーやっと続き見れたから嬉しいですよw
次も期待してます!これ程面白い作品もあまり多くないですからねw
待ってる.....待ってるからね!!
凄く面白くなりそうなのに…アレ?これもうエタってる?