女体化提督と新設鎮守府での7日間の物語 Day 1
初めて書いた処女作です。暖かく見守って欲しいです><
新設された鎮守府で、兄のイタズラによって女体化した提督と艦娘のほのぼのとした成長の物語です。最初は戸惑いながらも女の子になっていく提督の様子もお楽しみください。甘めのイチャイチャあります。
この作品には、ほのぼの60%・イチャイチャ30%・バトル・シリアス部分10%くらいで出来てます。
あと誤字、脱字、誤変換等あるかと思います。その時はご指摘などお願いします。
はじめに語彙力はありません。オリジナル鎮守府・キャラ崩壊・女体化・戦闘&シリアス展開、そういうのが苦手な方はブラウザバックでお願いします。それでも大丈夫! 見てやるよっていう方はゆっくり見ていってくださいっ。
この作品を作ったきっかけは、他の人の作品を読んでて自分でも書いてみたくなったことが一つのきっかけで、提督になる前まで男の子だった主人公が女体化し提督になり。艦娘たちにイタズラもされながら。鎮守府を立て直していく様子を書いてみたいなって思って出来たのがこの作品です。
更新記録のお知らせなのですっ!
更新や公開した日時を記載しているので時々見て欲しいかなっ!
2018 10/7 気持ちを切り替えて更新版を新しく作成
2018 10/7 自己紹介&プロローグ部分を公開
2018 10/11 第1話を公開
2018 10/14 第2話を公開
2021 5/28 活動再開と第3話と第4話を公開
2021 6/1 第4話部分の少し修正と第5話を公開
2021 6/2 第6話を公開
2021 6/7 第7話を公開
2021 6/18 第8話を公開と細かい所の修正です。
2023 10/13 第9話と第10話を公開
2023 10/17 第11話公開とプロローグや1話から3話くらいの細かい部分を修正です。
2023 10/18 第12話公開
2023 10/22 第13話公開
2023 10/23 大きな変更は回想をプロローグの後に変更しました。
より良い作品を目指して書き直し中なので今まで読んでいてくれていた方はごめんなさいなのです><
暖かく見守ってくださいなのです^^
女体化提督(四ノ宮 優希)以下 優希
この作品の主人公 年齢:19歳。
士官学校は卒業するが兄とは違う道、魔物ハンターに一度なる。
兄の誘いで提督をやってみることを決意する。とあるきっかけで女の子になった、元男の子。
身長は158cm、体重は秘密。3サイズは85・57・83。
愛用武器は日本刀(夜桜)・アサルトライフル、あと簡単な回復魔法なら扱える。
男提督(四ノ宮 桂)以下 桂
主人公の兄 階級は中将 年齢:25歳。
士官学校時代は優秀だったが学力は苦手。現・佐世保鎮守府の提督。
荒れた鎮守府(名無し)を立て直すために、優希を鎮守府に呼んだ張本人で、そしてある計画を企てた元凶。
愛用武器は気まぐれで基本的に何でも使える。
夕張
今作品では桂との幼馴染設定で士官学校時代の同期。
佐世保鎮守府、秘書艦の1人でオタク女子。
主な役職は、開発、整備担当。
オシャレには疎い女の子。
川内
ブラック鎮守府での元秘書艦。
「川内型軽巡1番艦の川内だよ! 夜戦なら任せて!」
『(ヒトマルマルマルです。さあ、お仕事お仕事!)』
~桂side~
ーブラック鎮守府ー
これはまた、ひどい状況を見たものだ……。怪我して動けなさそうな艦娘たちの姿や服もボロボロで、ほとんど下着姿の艦娘を確認しながらため息を付き……。
「ふぅ……」っと紹介がまだだったな、俺の名前は『四ノ宮 桂』で『佐世保鎮守府』の提督だ。
今来てる場所は、以前連絡を受けていた『ブラック鎮守府』
『ブラック鎮守府』の定義を述べるといろいろあるんだろうが……。入渠させないで『捨て艦』にする、時間外労働に後は無理やり襲うあたりが含まれるのかな?
「ったく……深海棲艦との戦闘だけでも忙しいのに。最近はホント! こっちの仕事が増えてる気がするな……」
後始末どうするかな……そう考えているとなんか聞こえてきたので睨みつけて拳を握る。
「オレを倒しても、まだ別のやつがオレは四天――」
「少し黙ってな!」
とりあえず峰打ちでこいつは黙らせておこう。
「ぐっ……」
倒れたこいつの処遇を考えながら、彼女にこう聞いていた。
「明石、傷ついた艦娘たちの手当は終わってるか?」
「はい、だいたい終わってますよ。手当の方は終わりましたが……。精神的にダメージ受けた子たちのケアはどうしましょうか?」
こう答えてくれた子は、工作艦の『明石』だ。『工廠』や『艦娘』の手当などをしてくれる素敵な、お姉さん! 夕張とよく一緒にいろいろなものを作ってる。
「ありがとう。心のケアは、佐世保鎮守府でいいだろう。間宮さんのパフェと長期休暇を与えておいてくれ」
「了解しましたっ。それじゃ、ここの艦娘ちゃんたちをお連れして佐世保鎮守府に連れていきますね。司令官の乗ってきた船、お借りしても大丈夫ですよね?」
「ああ、大丈夫だ! っと言うよりも明石? 船を使わずにどうやって運ぶつもりだったんだ?」
「えっと……抱っこして行こうかと……。工作艦だからある程度は可能かなって思ってましたが、ダメでしたかね?」
「ダメに決まってるだろ! お前はバカか? それだとどのくらい時間かかるんだよ……。それに、襲撃受けた場合どう対応するつもりだったんだ?」
少し呆れながら彼女に問いかけ直した。
「バカって酷くないですか!? あっ、そこまで考えてなかったです……」
しょんぼりとした彼女を見ながら、ちょっと抜けてるところもあるが、腕は一流なので心配はしてない。それにドジっ子って可愛いしな。
「船自体に戦闘能力も付いてるから大丈夫だとは思うが、念には念を入れ護衛艦隊も連れて行くように」
自動航行機能に『入渠』システムも付いてるし軽いホテルといってもいい。ただ航行させるのにはちょっと費用がかかり過ぎるから、緊急事態用としてしか普段は使わないが。
護衛艦隊は旗艦に『大和』随伴艦に『翔鶴』『瑞鶴』『秋月』『愛宕』『阿賀野』で六人の艦娘をつけてる。
この六人は佐世保の精鋭部隊さ、ここまでの護衛はいらなかった気もするが念の為な。
「それならお任せください!」
傷ついた子たちを明石と俺は手分けをして船に乗せて、船の出港を見送った後に。
ここの『秘書艦』である『艦娘』を探すことにしたのだが……やはり警戒されてるのか見当たらないし後にするか。
~川内side~
私は、ここの『元秘書艦』の川内だよ。
ほんとにあのメールで助けに来てくれる人がいるなんて、私もちょっと運が回復してきたかなー?
助けに来てくれた彼の印象は、背も高くって、かっこいい提督さんなのは、わかるんだけど……「女の勘?」から考えると好きな人は絶対いるよね!
「助けてくれてありがとうねっ。かっこいい提督さんっ!」
私は心の中で感謝をしながら、今後の様子を探るために一度隠れることにした。
~桂side~
一度執務室に向かった俺は、手錠と縄で縛ったブラック提督の始末書などを書きながら時期提督のことを考えながら壁に掛けてる時計を一度確認しペンを走らせていく。時刻は『11時』を指していた。
「最初は、真面目に運営してたのになぜこんなことをしたんだよ……」
コイツの履歴を見ると『大規模作戦』は、何度かこなし、勲章も貰い、『秘書艦』である子との仲も悪くなかったみたいだな。
練度自体は大丈夫なのに、改装は『改』止まりなのは気になるとこだが……。
残ってる艦娘情報は……ふむ。現状普通に動けるのは、『川内』くらいか。残りのメンバーは、治療中の五人になってるのか。
『資源』もこれじゃ厳しいだろうし、弟が着任する前に少しだけ各5000ずつと『高速修復材』と『高速建造材』を30個ずつは用意しておこう。
結局コイツの処分を考えてなかったんだが……遠い刑務所にでも送っておくか。
それから1時間後。
時間はちょうど12時のお昼時。
これで弟を呼ぶ準備は出来たな。
その前に弟を呼ぶ、きっかけを話しておこう。あれは一週間前佐世保工廠での出来事だ。
「遂にできましたよ! 女体化させる薬!!」
嬉しそうに話してくれるこいつは、俺の幼馴染の夕張で。昔の名前は『紫苑』士官学校でも同期だな『装備開発』やその他の物も大抵作ってくれ頼りになる幼馴染さ。
「完成したのか……。さて、これを弟に飲ませるか」
少し悪巧みをする顔を浮かべながら、紫苑の顔を見つめる。
「なんだぁ、桂がその薬飲むんじゃなかったのね。女の子になった桂も見たかったのに……」
そんながっかりした顔されても、俺は飲まないぞ? 俺がなるより弟のほうが可愛くなると思うしな。そういえば弟は『女の子だったらな』って言ってたことあったんだよな。それを思い出した俺は紫苑にこう伝える。
「優が小さい頃に女の子だったらなって言ってたの思い出してな! いつか飲ませようかと思って夕張に頼んだのさ」
「なるほどね……。あれ? 優ってあの優希ちゃん?」
小さかった頃だけど俺たちは、よく遊んでたから、紫苑も忘れてはいなかったんだな。
「そうだ! と言っても夕張と優が遊んでたのも10年も前のことになるけど覚えてるか?」
「うろ覚えだけどね。あたしが家庭の事情で引っ越すことになってから10年も経つのね。士官学校でまさか桂と再会するとは思ってなかったけどさ」
俺と紫苑が再会したのが16歳のときだったかな。幼馴染との再会は嬉しいものだよ。恥ずかしいから紫苑には、言えないけどな。
「そうだな。再会し俺達は士官学校卒業して、それから1年後に俺が提督になって夕張は艦娘になるなんてな……。思いもしなかったがな」
「うん、そうだねっ! あたしは艦娘になるなんて思わなかったけどね(それよりも桂と再会できて嬉しいんだけどね)」
視線を感じたので。少しからかうように問いかけてみる。
「じーと見つめてどうした?」
「な、なんでもないよ///」
目をそらす紫苑に、俺は頭を撫でる。このまったりした時間は好きだ。
「あの、もしもし……。二人の仲がいいのはわかりましたけど、本題は?」
二人の世界になりつつあるときに、妖精の言葉によって二人はこう答えた。
『そうだった(でした)』
「でも、これをどうやって飲ませるの?」
「ふっ! それなら、考えがあるさっ」
ドヤ顔をしながら今回の計画を話す。
「夕張も知ってると思うが、艦娘に手をあげてるって噂の鎮守府があるだろ?」
「ありましたね。それってあくまでも噂だけじゃ……?」
「これを見てもそう言えるか?」
そういって、俺は紫苑にメールを見せる。
『ー・ー ー・ ーー・ー・ ー・ ・・ー・ ・ーーー ー・ ーーー・ー ー・ーー ・ー・ーー』
今回はモールス信号によるメールだったんだけど、昔の軍人も使ってたことある通信手段さ。先程のメールを解析すると『ワタシタチヲタスケテ』になる。
「これって! モールス暗号ですね」
さすがに紫苑も知ってたか。俺も解析はできたんだが、艦娘に今回は手伝ってもらってたのでこう言う。
「暗号の解析は艦娘に頼んでわかったことだが緊急事態と見ている。準備が整い次第行動するつもりさ。制圧後は優を提督にする!」
「その考えはいいと思うよ! でもいきなり提督っていうのは難しいんじゃないかな、上層部には確認はしてる?」
「既に了承済みだから問題ない」
上層部っていうなら、この場合は元帥だろうな。
俺の叔父は立派な元帥だ。この件は任されていたので弟のことも相談していた。
『だったら、提督にすればいいよ。むしろワシからもお願いしようと思っておったんじゃが、断られ続けてな……』
元から弟のことも提督にしたかったみたいだったから、即決だったわけだが。
「流石だね!」
俺は勝ち誇ったような笑顔を浮かべながら、作戦を伝える。
「妖精さんには道案内とこれも一緒に渡してくれ! 喉乾いてるだろ? よかったらどうぞ! て言えば大丈夫だと思うから!」
若干怪しまれるかもしれないが、きっと大丈夫だろう。弟を騙してるようで俺は……悪い兄貴だな。
「了解ですっ!」
ここまでが一週間前での出来事さ。
1日目(The 1st day)
ー鎮守府・執務室ー
「あらかた片付いたかな?」
話しかけたのは、メガネをかけた黒髪の彼女は『大淀』さん。任務受付の『艦娘』みんなもお世話になってると思うが『佐世保鎮守府』では俺の御目付役だな。
「そうですね、提督。ここの鎮守府はどうしましょうか?」
「ん……それなら弟に頼むか」
彼女の問いかけに俺はスマホを取り出して久しぶりに弟に電話をかけることにした。
一方その頃。優希は。
~優希side~
ー優希自宅ー
僕の家は森のなかにある一軒家。住宅街を避けたのは人目を避けるためで正直言うと他の人と話すのが苦手だから。兄さんには手紙でこの場所を教えてたくらいだけど。
自然も豊かで静かだしひっそりと暮らすには、もってこいの場所。家事全般は、魔物ハンター時代に身に着けていて、一人暮らしをするのにも問題はない。
魔物ハンターをやめてからは、暇になって家から出ずに、引きこもってる確率が高くなったけど、だからこその寝坊である。
「ん〜11時かぁ。休みとはいえ今日は、ちょっと寝すぎたかな」
伸びをしてベッドから起き上がり、ラフな格好のまま、洗面所に向かい顔を洗ってから鏡を見て「いつもの黒髪にショートヘアだね」っと言って髪を整えてる。
部屋に戻った僕は、いつものゲームを起動しようとしてこう呟く。
「溜まってたゲームでもするか」って思ったら、突然スマホが震える。
ブーブー
僕に電話って珍しいなぁ。表示されてる電話番号と名前は兄のものだったので迷わず電話に出る。
「もしもし、兄さん? 久しぶりだね。2年ぶりかな?」
『そうだな……。それより魔物ハンターの仕事はどうしたんだ?』
「1年くらい前にやめたよ」
『ってことは、今は暇ってことだよな?』
「えっと……。溜まってるゲームを消化しようかと思ってたんだけど……」
『それを暇っていうんだよ。それなら話は早い、優、お前も提督やってみないか?』
暇って言えば暇なんだけど、この前買った国民的RPGの続きやりたかったんだけどな。
「えっ!? 僕が提督? 兄さんのところの鎮守府に遊びに行ったこともあるから少しは、お仕事の内容とかもわかるけど、提督ってそんなに簡単になれるものじゃ……」
僕が提督に? なれるものならちょっとやってみたいとは、思ったことありますけど兄さんと同じ道を進むのは抵抗が、だって優秀な兄さんと比べられるに決まってるし!
『士官学校は卒業してたよな?』
「一応は……」
『だったら大丈夫だ! それに元帥の許可はすでにもらってるから』
「嘘……。あの人が……ホントに?」
僕は驚きながら、小さい頃のことを思い出しながら。「(あの人苦手だったんだよなぁ……)」と心の中で一度呟く。
理由? 『ショタ提督』が着任すれば、一部の『艦娘』が喜ぶからっていう理由で強制されそうになったから。もちろんその時は断ったけどね!
提督になった姿を見せたら、喜んでる顔が目に浮かぶけど挨拶には行かないからね! でも、今の姿を見たら驚くかな?
『マジだ! ということで、よろしく頼むな! ちなみに拒否権はないからな』
「ちょ! 拒否権ってないの??」
僕は落胆の表情を浮かべながら「この場合は拒否すると反逆罪になるんだけ?」そういうことでは流石に捕まりたくないなぁ。
『ないぞ! あと、妖精さんが迎えに行くと思うから、それじゃ』(ピッ)
ツーツー
「もしもしー兄さん? 兄さんっ!」
ってもう切れてるし。
「えっ、妖精が迎え……?」
少し驚きながらも、ハンターやってた時点でファンタジーの世界なんだけどさ。妖精さんがお迎えね……。
新しい生活に不安と期待をしながらも、頬杖を付き相変わらず「無茶苦茶な兄さんですね」って呟いていた。
~桂side~
ー鎮守府・執務室ー
「う~ん?(今ので大丈夫なのかしら?)」
「ふふふ! 優は今頃、困った顔してるだろうな」
今の俺はイタズラっ子の顔だろうな。2年ぶりだったからちょっとイタズラしたくなったんだ、許してくれ弟よ。
「やれやれ……提督。嫌われても知りませんからね?」
「えっ!? 弟に限って、そんなわけ……」
呆れた顔で彼女は、俺を見つめていた。そんな中、少し焦った表情を浮かべながら見つめ返す。
「それじゃ、私は佐世保に帰りますよ。イタズラも程々にしてくださいね!」
「おぅ……。 気をつけてな!」
親に怒られる子供みたいだな俺は。こうしてみると彼女には、頭が上がらない自分がいる。止めてくれる人がいるだけでもありがたいんだがな。
「(ふふっ、なんだか、提督の意外な一面が見れましたね)」
~川内side~
「なるほどね……弟くんが時期、提督なのね」
物陰から覗き見して。どうやら新しく提督になるのは、いまここに来てる提督さんの弟くんみたいだね。
悪い人じゃないのかは、これは見極めないといけないよねっ。
~優希side~
ー優希自宅ー
「はぁ……なんでこんなことに。士官学校は一応卒業はしてるけど。僕のニート生活も終わりか……」
ため息をつきながら準備する僕。
必要なものは、愛刀と制服と着替え。あと財布にスマホは確実に持っていくとして……。そういえば妖精さんって住所ってわかるのかな?
魔物ハンター時代に貯めてた資金もあったから、ニート生活だったけどちゃんと体力作りもご飯作りもしてたよ。
それから10分後。
ピンポーン
「(悪い人には、見えないよ)」
「って早くない!? はい~今開けますよ」
インターホンがなったのでドアを開けると、小さな羽の生えた見慣れない女の子が浮遊していた。僕のイメージ通りなら間違いなく妖精だよね。
(ぺこり)と挨拶をされて僕も挨拶を返す。
挨拶されたら、知らなくてもお辞儀しちゃうよね? 日本人の社交辞令かな?
「どうも、お迎えの妖精です。以後お見知りおきを」
「ご、ご丁寧にどうも。僕は桂の弟で優希と言います」
「優希さんですね。あっ、突然だけど、喉乾いてないですか? よかったらこれをどうぞっ!」
「これは?」
僕は妖精さんから、渡されたペットボトルに入った飲み物を受け取る。その時に中身の説明は受けていた。
「中身はスポーツドリンクですよ」
「ちょうど喉乾いてたんで、ありがとうございます!」
(ゴクゴク)
うん。味は普通のスポーツドリンクだよね? 特に怪しいとこは……っ!?
~川内side~
「一応これは、時期提督を見ておきたかったからで、そう視察だからね!」
妖精さんを追って私はここまで来たけど、どうやってここまで来たかは内緒だよっ!
それで視察に来てみたんだけど、普通喉乾いてたからといって怪しそうなドリンクとか飲んじゃだめだよ!
(これは川内お姉さんとの約束だよ?)
私はそう思いながら、二人の様子を見守ってたんだけど――少し様子が変わった? そう思った時に妖精さんが声を出していた。
「あ! これは……」
ヘンカ……スル!?
~優希side~
「はぁはぁ……あれ? 今の所、特に変化はないかな?」
僕はこの時、タダのスポーツドリンクだと思って軽はずみで飲んだんだけど……。警戒心は持つべきだったと後悔している。
(ほらよく言うじゃない? タダより怖いものはないって)と心の中で呟く。
「まぁ、そんな都合よく成功しないよね」
「え、えっと……喉は渇いてたので、味は美味しかったですよ」
微笑みながらも妖精さんに見つめられて、少し恥ずかしそうにした時、急に体が光って包み込まれる。
「えっっ……!?」
突然の出来事に悲鳴をあげる僕。光が収まったと思ったらそこには――。
「んっ……。あれ?」
こういう変化する時は、お約束だよね? そう、全裸姿です。
「いいものをありがとぉ……」
鼻血を出してパタリと妖精さんが倒れる。僕は焦りながら声を掛ける。
「ふぇ!? 妖精さん大丈夫ですか!?」
なんで鼻血出して倒れたのかな? それに、僕の声ってこんなに高かったっけ? まぁいいか……。
~川内side~
「はぁぁ!? いやいや……。フィクションじゃないんだからありえないって!」(鼻血っー)
私は様子を見てるけど……。いまだに信じられない。体が光って様子が変化するって、どんな世界!? おまけに裸って!
裸見て鼻血なんかって思ってたけど、ハンカチ持ってたっけな……おさえておかないと。そう言いながら草陰で音を立ててしまい……。
ガサガサ
「ん? 誰かいるの??」
「あっ、やばっ! ミャ、ミャ~ン」
鼻を押さえながら、猫の声真似をして焦りながらその場から離れる。……(これは、バレてる? かな……。)
~優希side~
「なんだ猫さんか。……それよりも妖精さんの手当をしないと」
物陰に隠れる人を見たような気がしたけど。手当のほうが先だよねっ(ハンカチを手に妖精さんの鼻をおさえる)
「(危なかった! じゃなくってこのあたりに私以外に人はいないけどもっと警戒心持ってぇぇ!)と叫びそうになっていた。」
「ありがとうです。それよりも服を着たほうがいいかと思いますよ」(カシャ)
今のって、シャッター音? ん? 服は……着てたはずだけど? 気になったので下を見て思わず、大きな声を上げてしまう。
「きゃぁぁぁっあ!?」
女の子っぽい? 甲高い悲鳴を上げて、腕で大事なとこを隠すポーズを取る。
(左腕で両胸を右手で股の部分を隠す感じのポーズ)
なんで僕、裸なの? そしてこの胸……ふっくらとした胸、大きさ的にDくらいあるのかな……? 全体的に丸みを帯びていて大事な所は無垢な状態になっていた。
髪は栗色のミディアムヘアで、身長も若干低くなった気がする。(165→158)
自分の体の変化に戸惑いながら、きっとこれは「悪い夢」だよね! っと言い頬をつねってみる。夢なら痛くないよね。
「イタっ……。ってことは、夢じゃないのねやっぱり……妖精さん少し待っててください、着るもの探してきます……」
落胆の表情を浮かべ、タンスの中を見る。胸には慣れない手付きでサラシを巻いて下にはボクサーパンツを履く。Tシャツを着て士官学校時代の制服で身だしなみを整える。
「綺麗な体のラインとお胸……(着替えを覗いてるのは悪いとは思ってるけど、思わず見とれてしまい小さい声で呟いていた。)」
「そうだ! 女の子になっても夜桜は持てるかな……?」
刀立てにある『夜桜』を手に取って一度外に出てから、鞘から抜かずに構えてみる。
『夜桜』は、魔物ハンター時代の愛刀で全体的に黒色で刀刃は赤色を帯びた妖刀、鞘には桜模様が施されている。僕の魔力も帯びているため使用者を選ぶ刀です。
「しょっと……。うん、悪くないかな? (シュンッ!)軽く振ってみたけど……」
手に持ってみた感触はこの体になっても、問題なく扱えるね。刀を抜いて感覚を確かめるために素振りをしてから鞘に納めると同時に「ちょっと重いなぁ」っと呟いていた。
「(一目見ただけでもわかるけど、提督の動き様になってるな)」
「ふぅ……」
一息ついてからこう言う。これが……後の『フラグ』になることはこのときは知らなかった。
「大切なものだから手放せないよね」
刀を持ったまま妖精さんのところに戻るとこう声をかけられて、少し動揺することになる。
「ところでさっき写真取りましたが……見ます?」
「ふぇ? さっきって言うと/// み、見なくって大丈夫です! それと、絶対に悪用しないでください!」
全裸姿を見られるのは、男のときも恥ずかしいけど。この姿だから余計にそう感じる。
慣れてきたら平気になるのかな……? 今後の生活も考えると少しずつ見せるのも慣れないといけないんだけど。
「そうですか? 綺麗なのに。あっ……はい! 悪用はしませんよぉ~」
綺麗って言われるのは嬉しいけど、実感はないんだよねっ。ん? いま一瞬、間があったよね!? ほんとに大丈夫かな。
「うぅ……///。これは……お嫁に行けないかなって、行く予定なんてないんだけどっ!」
照れながらも自分で言って自分でツッコミって(恥ずかしっ)
一方その頃。夕張は。
~夕張side~
ー名無し鎮守府郊外ー
ピピピ……
あたしはスマホのメール画面を開く。
「お、妖精さんからのメールだ! 画像を見る限り、うまく成功したみたいだね! どれどれ……!?」
あたしは、慌てながら写真ファイルを閉じる。なんで慌てたのかというと写真の中身が問題なの!
『どうも、恐縮です! 青葉です。夕張さんなにか隠しました?』
「青葉!?」
突然後ろから現れた彼女にびっくりする。
彼女は、桂の艦隊所属でジャーナリストの『青葉』です。今の写真は見せないけどね。
「べ、べつに何も隠してないよ!」
「なんか、とくダネの予感がしたのですが、気のせいだったみたいですね」
「あはは……。青葉は、相変わらずね」
「もう、職業病みたいなものですからね……」
あたしは苦笑いをしながら青葉と会話をしてる時に、桂が戻ってきてあたしに声をかけてくれた。
「そろそろ、妖精さんが着いてる頃だと思うのだが……。夕張、何か連絡来てない?」
「えっ、連絡は……あ、ありましたよ!」
焦りながら返事をしたので、桂には不審に思ったのかこう言ってきた。
「そっか。っていうか夕張、何か隠してないか?」
「何も隠してないよっ! それよりもさ、今ここの鎮守府って艦娘いないよね?」
話を切り替えるためにも、状況確認するあたし。桂はこう答える。
~桂side~
「ああ、俺の鎮守府の艦娘しかいないぞ! 『夕張』と『青葉』しかいないがすでに手はうってある! 建造妖精さんに依頼済みさ。何が出来るかは優が来てからのお楽しみだな!」
建造時間を見ると夜には完成するな。「(優の手助けにはなるはずだな!)」と心の中で呟いて。
「流石だね! ほんとこういうときの桂って手際いいよね!」
「ふふんっ! まぁ褒めても何も出ないぞ!」
「あの……」
紫苑と会話をしてる時に、寂しそうな彼女の問いかけに俺は言葉をかける。
「おっ、青葉いたのか」
「おっ! い・た・の・か・じゃないですよ!! もぅ! 提督が来る前から夕張と一緒にいましたよ! なんで気が付かないんですかっ!!」
「あはは……二人のやり取りも相変わらずね!」
「っと……すまない、それは気配を消すのも得意な青葉だからだろ(なでなで)」
苦笑いをする夕張を見て、謝りながらも素直に褒めてから青葉の頭を撫でる。
「えへへ……じゃなくって。頭撫でないでください///」
「そういえば、青葉お仕事終わった?」
「はい。一仕事おわりましたよ」
青葉に頼んでいた仕事は、傷ついた『艦娘』や『拷問部屋』の証拠写真。正直いってこの仕事をお願いしてよかったのか迷っていたが……。彼女に感謝の言葉を伝える。
「ありがとう青葉」
「いえ、司令官のお役に立てれば嬉しいですからっ」
「(今のうちに、添付ファイルは消去しておかなきゃね)」
怪しい動きをしていたのが目に止まり、紫苑にこう言う。
「夕張? どうした?」
「なになに? とくダネ!?」
「なんでもないからっ!」
一方。自宅に居る優希はこう思っていた。
女の子になりたいって思ってた時期ありましたよ……。
男なら一度は、そう思うことあるんじゃないかな?
~優希side~
「はぁ……誰にいってるんだろ……僕は」
「どうしたのぉ?」
不思議そうに見てくる妖精さんに苦笑いしながら、僕はこう答える。
「あはは……。ちょっとした、独り言ですよ」
「はい、それじゃ聞かなかったことにしておきますね! もう、準備は大丈夫ですか?」
「あ、すみません、準備は出来ましたよ。バイバイ(過去の思い出に向かって)」
荷物に夜桜も持ったし、帰ってくることはないけど戸締まりもしたから、忘れ物はないよね。
「それじゃ、私の手を掴んでてくださいね」
妖精さんの手って小さくて可愛いなって思いながら返事をした。
「はい」
「ふふっ! 手は絶対離しちゃダメですからね」
「えっ? なんか怖いんだけど……大丈夫かな?」
不敵な笑みと絶対に離しちゃダメとか言われると不安になります。
「少し飛ぶだけですから、大丈夫ですよぉ」
「ん、少し? 飛ぶって何?(怖いので目は閉じておこうっと)」
「いくよぉ!」
「きゃぁぁぁ!」
一瞬で飛び上がるこれって……どこかで見たことある気がする。そんなことを思いながらも、本日2度目の悲鳴をあげる僕、今日はあと何回悲鳴をあげるのかな……?
ー名無し鎮守府上空ー
『(午後の部です! ヒトサンマルマルヨ)』
「こういう反応見れるのも悪くないよねっ。こうして飛ぶのも。アッ……」
「いま!『アッ』っていったよね? 聞き間違いじゃないよね!?」
「気のせいですよっ、それよりも落ちるからしっかり捕まっててくださいね」
今のは絶対に気のせいじゃないやつ! これは確信してるよっ!
「ぇ!? 落ちるって……え?」(手をぎゅっと握り)
「アッ、もう無理ぃ……妖精の力じゃ支えきれないよ」(棒読みしながら手を離し)
「これは今日は厄日だよね絶対。もぅ! ばかぁぁぁ!!」(落下中)
ついてないときって、ほんとについてないよねっ。泣きっ面に蜂とかそんなことわざがあったよねっ?
『いやぁ~っぁぁ、こんなところで――』
こんな状況じゃなかったら対処できないこともないとは思うんだけど……。今の状態じゃ、魔法でも対処できないってばっ!!
時は少し戻って。
~桂side~
港に居た三人は、会話をしながら二人の到着を待っている。
「そろそろ来る頃だとは、思うんだが、まだかな?」
「桂ってば楽しみそうだね?」
「ほんと、司令官さん、楽しみそうですねっ!」
あたりまえだろ? 2年ぶりの再会だし、それにどう成長してるのかも楽しみにしている。
『いやぁ~っぁぁ、こんなところで――』
「ん? なんか悲鳴が聞こえたが、上か?」
声が聞こえた方を見上げると空から人が落ちてきてる状況を見て、紫苑が先にこう言う。
「人が落ちてくる? ってこの高さ。いくら海とはいえ危険だよ……」
「青葉はとりあえず、医療班よんでくるよ!」
「あたしが行くっ!」
「まてっ! 夕張!」
俺が止める前に港に向かって走り出していた紫苑。普段より速い速度で落下地点まで海を駆けていたのが印象に残ってる。オレンジの服を着た女性が飛び出そうとしていたのは見えていたが様子を見ることにしたらしい。
「間に合ってね……。いや、絶対に間に合わせるんだからっ!」
『っと、私の出番は、今じゃないみたいね』
「短かったなぁ……。女の子になれた時間。兄さんとの約束守れそうにないや……」
(ぽちゃん)
ん? いま落ちたのって……優の刀か……? 「どうにか回収してやりたいところだが。どぉすっかなぁ……」と呟く。
「んしょ……間に合ったみたいね(ごめんねっ! 荷物までは持てないかもっ。優ちゃんを助けるのがやっとだからね)」
優(?)に紫苑も無事みたいだし、一安心だなって思いながらもこう言った。
「間に合ったみたいでよかったが……あれは誰だろう? まさか……優?」
「ゴメンナサイ、ちょっと失敗しました……」
「妖精さんおかえり。失敗は誰にでもあるさ。そして一つ疑問なんだが……夕張の抱っこしてる子はまさか!?」
「ただいまです。はぃ、弟さんですよ? あの薬を飲ませたから、妹さんになるのかなぁ?」
「はっあぁ!? あの可愛い子が弟?」
たしかに落ちてきてる時の声は、高かった気がするけど……。目を細めながら、見つめる。(遠目から見ても別人じゃん……)と心の中で呟く。
あの薬の効果ほんとにあったのか……電話では話してたけど、俺のこと覚えてるかな?
「提督、優ちゃん無事だよ~」(ニコッ)
「お、おぅ……ありがとうな、夕張」
微笑みながら港に戻ってくる紫苑に動揺しながらお礼をいい(やべっ……これは嫌われるパターンのやつだな)と考えてると、一本の連絡が入る。それは先に帰還させていた明石たちからの連絡だった。
「っと……なになに……了解だ!」
やはり『護衛艦隊』を随伴させて正解だったようだな。敵艦を見つけたらしい。こちらに攻めて来る前に対処に行くかと、相棒にも伝えるのであった。
~夕張side~
「すぅすぅ……」
「(無防備な寝顔晒しちゃって、狼には気をつけないといけないぞ?)」
あたしは思ったより軽い彼女を抱っこしたまま、頬をツンツンしてみる。
「はふっ……ん///」
「……なんかエッチな声/// ってダメダメ(落ち着けあたし)」
抱きかかえたまま港に戻る。
「無事で良かった。なんか百合の花が咲きそうな展開ですね、司令官さん?」
「ん~間宮のアイスを奢ってやるべきか、素直に謝るべきか。う~ん……」
「おーい、司令官さん、そろそろ戻ってきますよ?」
「そっか! 教えてくれてありがと、青葉。それと夕張には、優を医務室まで頼むと伝えておいてくれ、ちょっと俺は海に出てくる! 最低でも2時間後くらいには戻るから。よし、抜錨する!」
「ちょっと、司令官さーーん?」
今すれ違いで海に出て行ったのって……桂? 彼女を抱えたままだったのでよく確認は取れなかったんだけど。青葉に向かってこう言った。
「ただいまぁ! あれ? 提督は?」
「なんか、焦った様子で海に出ていきましたよ! それと伝言でその子を医務室まで頼むって仰ってましたよ」
「ん、了解。それじゃいってくるね」
なんだろ? 桂が焦るって珍しいことだけど……(無理はしないでね)とあたしは心の中で呟き、彼女を医務室に運ぶことを優先することにした。
「(なるほど……この子がここに着任予定の新しい司令官さんね。うん可愛らしい子だね)」
「すやぁ……」
「う~この寝顔見てると眠くなってきますね」
「そうだねって青葉は医務室までついてこなくっても大丈夫ですよ?」
「む〜ケチぃ、わかりましたよー。青葉は飲み物買って来ますね」
「青葉、ありがとね。ん~お姫様抱っこって意外と大変だね」
青葉には悪いとは思いながらも、感謝の言葉を伝えて。こう思うのであった。
お姫様抱っこは思ったより大変、決して重いとかじゃないんだけど、ドアが開けられないから。それとあたしの体力の無さ……。ちょっとは体力鍛えなきゃね。(優ちゃんと一緒に特訓するのもわるくないかもねっ)っと心に秘めて。
そういうことを思いながら医務室の前につくと、白衣を着た妖精さんがドアを開けてくれたのであたし達は医務室に入った。
「連絡は受けてるさかい、どうぞ!」
既に連絡済みで、あたしたちが来ることや両手が塞がってる状況まで伝えてたってこと? こういう所も桂って抜け目ないんだよな。とあたしは感心してる。
ー医務室ー
「ありがとね、よいしょっと」
そう言ってあたしは彼女をベットに寝かせる。
「ん……」
「今日は災難だったね。いきなり提督の話やら、女の子になっちゃったり。おまけには空から落ちてきちゃう始末……疲れたよね? あたしのこと昔みたいにお姉ちゃんって呼んでくれる?」
彼女の頭をなでながら起こさないように呟く。
「うぅ……お姉ちゃん……行っちゃ……やだよぉ」
「ん? 寝言かな? 大丈夫。もうどこにも行かないよ?」
安心させるようにあたしは抱きしめる。(10年前にもこんなことあったけな)と心の中で呟く。
「うん、あたし決めた。優ちゃんが安心できるまで守ってあげる!」
「差し入れに飲み物買ってきましたけど、出直しますね!」
青葉、出直さなくても大丈夫だよ! って言おうとしたらもう居なかったんだけどね。
「ふぅ~(落ち着けあたし。ノーマルのはず! 別に女の子が好きって訳じゃないよ?)」
でもこれって。はたから見たらそういう展開……寝込みを襲ってるような……?
「そ、そう。これはあの薬の効果を確かめるためのもの。それと傷がないかの確認も含めてなんだから」
少し焦りながら、彼女の服をはだけさせようとする。
「んぅ……ん///」
「そこでそういう声出しちゃ……。ほんとに襲っちゃうぞ?///」
いやいや、あたしなに言っちゃってるの! うん……別のことを考えよう。こういう時って素数とか数えるとか? 新しい装備開発、案を考えてもいいかもしれない! って思ってると可愛い声が聞こえた。
「にゃんか心地いい……」
「その無防備な唇、お姉ちゃんが奪っちゃうよ? なんてーね」
「それになんか甘い匂いがするけど、夢にしてはリアルな……」
さらに顔を近づけ息がかかった瞬間、目と目があう。
「あっ、おはよう。お姫様ご気分はいかがですか?///」(慌てて離れる)
「おはよーです(目をこすりながら)大丈夫ですよ/// あれ……ここは?」
~優希side~
実は少しは、覚えてますよ。お姫様抱っことキスされそうになったこと……。でも恥ずかしいので秘密です///。
「ここは鎮守府の医務室だよ、あたしは……」
「えっと……。紫苑お姉ちゃんだよね?」
僕が小さい頃の記憶で面影が重なったから思わずこう言っちゃったけど、彼女は驚きながらも少し嬉しそうな声でこう言ってきて。
「えっ? 今なんって言ったのぉ~!? もう一回言ってっ」
「紫苑お姉ちゃんって」
「えへへ、その名前で呼ばれるのは久しぶりだよ。今は夕張って名前だけどね」
「紫苑お姉ちゃん!」
久々の再会に名前を呼び抱きついた僕。
「甘えん坊さんなのは、昔と変わらないかな?」
「そ、そんなことないよ/// むー……子供扱いしないでよ! 少しは大きくなったんだからっ!」
うっ……甘えん坊なのは変わってないのかな? でも頭を撫でられて恥ずかしくなった僕は少し距離をとる。
「ごめんごめん、それにしても優ちゃん……」
「ん?」
首を傾げながら、彼女がどこを見てるのかなって視線を追ってみたら……胸に視線を感じてとっさに手で胸を隠す。
今まで視線とか気にしてなかったけど、女の子になったら妙に気になるんだよね。
「見事なくらいに女の子になってるよねっ」
「えっ、なんでそれを……?///」
疑問を感じながらも、照れた表情で、お姉ちゃんを見る。
「あの妖精さんが持って来た、ドリンクを飲んじゃった。んでしょ?」
「うん、飲んだよ! 美味しかったけど……でも、体変化するって一言も聞いてないよっ!」
「実はあれ、あたしが作った薬だからね」
「え? お姉ちゃんが!? ってことは兄さんも関わってきてる?」
「ごめんね……優ちゃん、そうだよ。桂に相談されて、作った薬だからね」
「そっか……兄さん! なんでそんなこと言ったの!? (……でも、ありがとうね……夢をかなえてくれて///)」
っと微かな声で囁く(一応女の子になることは夢だったから。嬉しさもあるけど不安なこともね)
「え、今なんって言ったの?」
「だから……えっと……ありがとうねって言ったの///」
恥ずかしくて布団に潜る。
「その反応可愛い」
「もう、お姉ちゃんなんて知りません///」
僕は少しむくれた表情をしながら顔を背ける。
「ごめんごめんって、でもそんな反応しちゃうとお姉ちゃん、襲っちゃうよ?」
お姉ちゃんの手が怪しい動きをしてる……。でも助けてくれたお礼もあるし……。
「お姉ちゃんになら……///(小声)」
少し大胆なこと言った気がするけど聞こえてないよね?
「お姉ちゃんになら何かな?」
あぁ、聞こえてたぁぁ/// 迫ってくるお姉ちゃんに対して僕は焦りながらこう言う。
「と、とにかく! 今は、だめぇー!」
『今は』って、だから何を言ってるんだろぅ……。言葉には気をつけないとね。
「今は? 今じゃなきゃいいのかな?」(ニヤニヤ)
『なになに、夜戦!?』
天井裏から1人の女性が現れる。
「夜戦忍者さんは、呼んでないですよ!」
『えぇ! お呼びじゃないの!? それじゃ夜戦が必要になったらいつでも呼んでね! もちろんあっちの夜戦でもいいけどねっ』
「えっと……か、考えておきます」
元気な、黒髪のツーサイドアップでオレンジの制服を着た美人のお姉さんは、続けてこう言う。
『っと、私は川内型軽巡1番艦の川内だよ、よろしくねっ! 次期提督さん』(さっ)
「あっ、消えた!? あはは……。相変わらず忍者みたいな人ですね」
「あっちの意味の夜戦って……? えっ///えっ!?」
やっぱり『あれ』だよね? 薄い本とかで見たことあるやつだよね///
「優ちゃんの想像してる夜戦で間違いないと思うよ?」(ニヤニヤ)
「べ、別にそんなこと想像してないからね! 想像なんて……」
嘘をつきました、ホントはしました……。元男の子だからね。そんな想像しちゃうこともあると思うから。
「焦ると逆効果なんだよっ〜? 知ってた?」(優しく押し倒し)
「ふぇ!?」
これって、僕押し倒されてる!? 襲われちゃう? でもお姉ちゃんになら……。そう思って待ってみる……。
(どきどき)
「ちゅっ」
「っ///」
押し倒されたまま僕の頬にお姉ちゃんがキスしてきた。
「今は頬で我慢するよっ」
「お姉ちゃん……今度、一緒にお風呂入ろう?///」
上目遣いで出た言葉がお風呂入ろうって……。とんでもないことをいった気がする……って何考えてるんだろう僕(これは汗かいてたから!)と心の中で言い訳する。
「もちろん、いいよっ! 一緒に入ろうか?/// でも、その上目遣いで頼むのは反則だからね!」
「えっ……。いいのっ!?」
承諾されると思ってなくって顔が赤くなる。
「だって昔は一緒に入ってたじゃない? それに今の体、見てみたいし」
「あ、あの頃はまだ物心ついてない、子供だったし……こ、この状態じゃ恥ずかしいよっ! だから今のはナシでっ」
「だからこそだよっ! 薬の効果も見たいからねっ」
「う……たしかに、それを言われると……でもやっぱり恥ずかしいからだめっ!」
「元気になったようやな! でも病室やさかい、静かにな!」
ここが病室なのを忘れて、騒いでた僕たちは医務妖精さんに、素直に謝ることに。
『すみません(でしたっ)』
『(時刻は、ヒトヨンマルマルになりました)』
僕たちは部屋を移動して食堂に来ていた。
ー食堂ー
「(ぐぅー)つっ!?///」
お腹のなる音に恥ずかしさを感じ手で顔を隠す。
「ふふ、大きな音だね、優ちゃんお腹空いた?」
「はぅ……朝からご飯食べてなくて」
いつもはお昼過ぎまで寝ていることが多かったけど、今日は少しだけ早く起きてゲームして過ごそうかなって思ってたら、兄さんからの電話もあって身支度してたから、ご飯食べる時間なかったんだよねっ。
そのことを思い出してると、お姉ちゃんから提案され、青葉さんが買い物から戻って来ていた。
「それじゃなにか食べようか」
「それなら、『ドーン!』お弁当買ってきましたよ、五人分」
お弁当の種類はこちら! 「カツ丼」「海鮮天丼」「唐揚げ弁当」「チーズハンバーグ弁当」「焼肉弁当」
「さすが青葉、お仕事早いなぁ!」
「えへへ、準備は万端ですよ!」
「それじゃ、私は焼肉弁当もらうね!」
「ぇ!? 川内さんいつの間に?」
「美味しそうな匂いにひかれちゃってさっ」
「あっ!? それ青葉が狙ってたやつ!」
「早いもの勝ちだよ! にしし♪」
「むむ……。それじゃ青葉は、海鮮天丼にしますよ」
「あたしは唐揚げ弁当にするけど、優ちゃんは?」
「えっと、チーズハンバーグ弁当で」
(お兄ちゃんは、カツ丼で良かったよね?)と心の中で呟く。
「冷めないうちに、みんなで食べようか? (兄さんにはあとから温めて出しますので)」
『はぁ~い!』
「それじゃ、いただきます!」
「あっ! 川内さん、僕が言おうと思ってたのにっ! むぅ~」
ちょっと拗ねてたけど、川内さんの合図で僕たち三人揃ってこう言った。
『いただきま~す!』
ー鎮守府海域ー
一方その頃。先程連絡を受けて海に出ていた桂は。
~桂side~
「まさか優が女の子になって、空から落ちてくるとはな。どんな顔して再会すればいいんだろうな……」
俺が行動する前に紫苑が先に行ったからな。
「優にどんな顔して合えばいい? 素直に謝るべきだよな」
敵影見ゆ! 数は6。『姫級×1』『鬼級×1』『ヲ級elite×1』『ヘ級elite×2』『ロ級elite×1』
あれは……『泊地棲姫』と『泊地棲鬼』に「ヲ級elite」か相手にとっては不足はないな。
「オ? カモガカカッタヨウネ」
「コノキンコウッテコトハ、マタシズメテアゲマショ!」
「ヲ、ヲ……!」
敵が『艦載機』を飛ばしてくるのを確認した俺はクロスボウに矢をセットする。
『提督? 敵来てますよ!』
佐世保に戻った『大淀』から通信が入り、今の鎮守府に攻め込まれても困るしな、ここで止めることを決め返事をする。
「ああ。既に確認してる! これより戦闘態勢に入る。大淀通信ありがとな。お前ら! 弟の鎮守府に攻めてくる気なら、ここで戦ってやるよ!」
『提督なら、大丈夫でしょうがご武運を!』
『大淀』との通信を切った俺は、相手に向かって軽い威圧を掛ける。
『!?』
「ナニモノダコイツ」
「ショセンコケオドシ……」
「相棒、制空権確保は任せた! 余裕があったら敵艦に打撃与えくれ!」
左手でクロスボウを構え、空に向かって放ち、『艦載機』が飛び出すと同時に右手で剣を構える。
相棒と呼ばれる妖精さんは、俺にとっての戦闘中の良き話し相手。それに男前だな!
『艦載機』は『烈風改(オリジナル仕様)』に搭乗していて、武装はこんな感じだ『20mm機銃×4 16連装ロケットランチャー×4』
『任せとき!』
敵機を次々と機銃で倒していき、アクロバット飛行を見せ決め台詞を吐く。
『天使とダンスでもしてな!』
「アッ……カンサイキチャンガァ」
『艦載機』をすべて倒されたヲ級は戦意を失ったようで戦線を離れて行く。
離脱した敵を追う気もないので、そのまま見逃すことにした。相棒にも「追わなくていいぞっ」と伝えるのも忘れてない。
『制空権確保! 引き続き哨戒任務行うぜ』
「サンキュー! 燃料と弾が無くなる前に戻ってくるようにな」
「シズミナサイ!」
その中で棲姫からの砲撃が来ていたので、これは避けるべきか? いや、少し判断遅れたし斬るか!
「ここだっ! それとこいつはお釣りなっ!」
飛んできていた砲弾の真ん中を剣で斬り(爆風)と同時に二つの斬撃を棲姫と棲鬼に向けて飛ばしていた。
「アァ! アンナノハンソクダ……」(中破)
「ヒメサマ、テッタイシマショ……」(大破)
『相変わらず桂は無茶をするっ! それじゃコッチは任せなっ!』
対空砲を避けるため『烈風改』が低空で飛行しながらロケット弾を斉射し、敵艦船三隻に大打撃を与えていた。
「!?」(大破)
「痛っ……さっきの爆風のせいか、俺もまだまだツメが甘いな」
(爆風で傷つくなんてカッコ悪すぎるから、秘密だな)傷ついた腕を軽く手当をしてから、相手を見て俺はこう言った。
「っと、逃がすとでも?」
「ッ……」
棲姫に剣を振り下ろそうとしてるときに思いとどまり(キーンっ)っと剣を鞘に収める。
「戦意ない相手に剣を向けてるのは、八つ当たりにも程があるな……」
「ン……?? マダイキテル……?」
「ヒメサマ……」
「ドウイウツモリ? シンカイセイカンヲ、タスケルナンテ」
「確かにお前らは、俺たち人類の敵だが、戦意がない奴の命を奪うほど、俺は落ちぶれてはいないさ」
「ソノカンガエハアマイガ、オマエハイイヤツダナ……」
「アノトキノ、シレイカントハ……チガウミタイネ」
「そうでもないぞ? 優を虐めるやつがいたら残らず倒すさ!」
表情では笑ってはいるが殺意は隠せずにいた。「一人娘を嫁に出す時の親の気持ちってこんな感じか……?」
(ふっ、親になってない俺が言うのはおかしいがな)と心の中にしまう。
その頃鎮守府での優希は。
『(な、なんだろう……。ちょっと寒気がしたんだけど気のせいかな?)』
俺の殺意に『深海棲艦』の二人は驚いてる様子だった。
『!?』
「そういえば、あの時ってどういう事だ?」
少し前の話で気になることが出てたので思わず聞いてみる。
「ソレハ――」
棲姫の話を聞いてやはり噂通りだと思い話を続けた。
「ふむ、捨て艦か……やってたのはここの提督のことか」
「ナンニンカハ……シズメテ、スクイダシテハイルガ……ココロマデハ、スクエテナイ」
「は? 沈めることが救うだと……?」
棲鬼は一体何を言ってるんだ……? 腕を組み考え事してたら棲姫がこう話しかけてきた。
「フツウニモドシタラ……オナジコトヲクリカエス。ナラカイホウノタメニ、シズメルコトニシタ」
なるほどな。棲姫の言うことも一理ある。ブラックな場所だと同じことが何度も繰り返されてるのが今の現状だしな。
「そういう考えもできるのか。ところで……このヲ級をどうにかしてくれないか? 抱きつかれてて、離れないんだが?」
俺に抱きついてるこの子は、さっきまで戦ってた『深海棲艦』の空母型の子、見た目は肌の白い女の子。帽子取るときっと可愛い気がする。なぜ懐かれたのかは謎なんだけどな。
この子だけは離脱してたから無傷の『深海棲艦』だな。
「(ぎゅっ)」
「コラコラ、ヲキュウハナレナサイ……メイワクカケナイノ」
「ヲキュウガ……ワタシタチイガイニナツクナンテ、アナタナニモノ?」
「何者だろうな……一つ言うなら悪は許さないって事くらいかな」
「ヲ……?」
不思議そうにしてるヲ級の顔を見つめていると哨戒に出していた相棒から通信が入る
。
『そろそろ妨害電波が切れるぞ、それと燃料も切れそうだ』
妨害電波を使っていたのも念の為だ。戦果をごまかすのも一つだが、『深海棲艦』との会話を聞かせない為にもな。ほんと頼りになる相棒さ。
「哨戒任務おつかれ。そろそろ戻って来い!」
『了解だ!』
「アタシタチモカエルワヨ」
「コンドハ、ライバルトシテマケナイ」
「あぁ、楽しみにしてるよ! 他の悪い奴らには捕まるなよ?」
『キヲツケル(ワ)』
「ハナレタクナイヨ……(ぎゅっ)」
「ヲ級ちゃん、今度会うときは友達として会おうな?」
俺は気がつくとヲ級の頭を撫でていた。
「ヤレヤレ……ヲキュウカエルワヨ!」
「ウゥ……マタネ」
「ヲ級ちゃんに、お前らもまたな~」
棲姫に抱っこされたヲ級ちゃんが名残惜しそうにしていたが、俺が手を振ると振り返して来た。と同時に相棒から通信が入る。
『戦果報告はどうするよ?』
「普通に上げて大丈夫だと思うが……?」
『新米提督の海域で姫級1、鬼級1なんて戦果上げたら注目されるぞ』
「それもそうだな……。誤魔化しておこうか。それじゃ俺たちも帰るか」
『了解』
「今は注目されるわけにもいけないからな」そう呟きながら、相棒が帰還したのを確認し「おつかれ! 相棒。補給と整備としっかり休憩も取るんだぞ」と忘れず伝えて。優希達のいる鎮守府に戻ることにした。
それにしても……たどたどしかったが普通に会話できるものなんだな……『深海棲艦』とは、あの三人が特別なのかもしれないが……。
『(ヒトゴーマルマルよ。スイーツ食べたいなぁー)』
~優希side~
ー食堂ー
ご飯を食べ終わった僕たち四人は手を合わせて、感謝の挨拶をする。
『ごちそうさまでした』
「片付けは私がしておくよっー」
「川内さん、ありがとぉー」
僕は川内さんに感謝をして手伝おうかって言ったら『大丈夫だよっ! それよりもゆっくり話してなよっ』って言われて二人のところに戻るとお姉ちゃんがこう呟いて。
「それにしても、桂遅いなぁ……」
「もうすぐ帰ってくると思いますけどね」
「あ……もしかして僕に会いたくないのかな?」
やっぱりこの姿じゃ会いたくないかな……? って思ってるとお姉ちゃんや青葉さんからこう言われて。
「それはないと思うなぁ! むしろ桂のほうが『優に会わせる顔がない!』とか思ってるんじゃない?」
「そういえば、司令官さんは急用があるって言って、海に出て行ってましたからね」
「兄さんならそう言いそうだね。そっか、急用なら待ってみようかなっ」
「あはは、優ちゃんもそう思うよねっ!」
「そうそう! 待ってみましょっ!」
三人で楽しく話してる時にドアが開き、怪我をした兄さんが帰ってくる。
「ただいまっと。みんなここにいたのか」
「おかえ――って怪我してるみたいだけど、大丈夫?」
「に、にいさん!? その怪我は大丈夫?」
僕とお姉ちゃんが、怪我をしてる兄さんを心配そうに見つめてるとこう言ってきた。
「二人とも、こんなのかすり傷だから大丈夫だぞ! それと優……いきなりこんな事頼んで、すまなかった」
「それなら、よかった」
「ううん。(小声)お兄様の頼みだから平気だよっ」
ちょっと呼び方を変えてみたけど恥ずかしかったので小声で言う。
「へ? お、お兄様だって!?」
って聞こえてたのっ!?(でも兄さんがちょっと動揺してる姿はちょっと新鮮かな)って心の中で思う僕でした。
「おや、これはシャターちゃ――」
「(カメラ取り上げながら)させないよっ!」
「返してください! 私のデジカメ!」
「あとで返すけど、今はダメ!」
「(小声)お兄様……。って言葉の破壊力、深海棲艦よりも恐ろしいな……」
「お兄様って……やっぱりダメだったかな?」
この呼び方やっぱり恥ずかしいっ///でも兄さんの動揺してる姿をみれるなら機会があったら使ってみようかなって思うのだった。
「可愛い子に言われるのは、破壊力あると思うし、嬉しいと思うよっ」
「えっ? 可愛いって? 僕は可愛くないからねっ!」
僕が可愛いって間違いだと思うんだけどなぁ。って思いながら川内さんと青葉さんが握手して小さくガッツポーズ取ってる? それを見た兄さんまでうなずいてるのが目に入った。
『(ん!? これは……メイド服用意しなくっちゃだねっ)』
「(ふっ、それでメイド服着てもらって、ご主人様ってか? 悪くないな)」
んん!?(なにか三人が意気投合してるような気がしたけど……気のせいだよね?) って思いながらこう言った。
「ちょっと、カツ丼温めてこようかな」
僕は、少し冷めたカツ丼をレンジで温めに向かう。
「(そういえば、優ちゃんは下着とか持ってるかな……後で聞いてみないとね)」
ー1分後ー
(ぴーぴー)と音がしてお知らせしてくれたので取り出して兄さんの元に持っていく。
「はいっ! 兄さん、どうぞ!」
カツ丼と箸を机の上において、兄さんの隣に座る。流石にお兄様呼びは戻したよっ! 今後は呼ぶことはないとは思うけどね……。
「おっ、サンキュー」(なでなで)
「むぅ……子供扱いしないでってば///」
うっ……兄さんに頭撫でられるのは嫌いじゃないんだけど、子供扱いされてるみたいでちょっと拗ねてみてる。
「ははは、優は女の子になっても、性格はそんなに変わってないな」
「ぅ~/// ちゃんと成長してるんだからねっ!」
女の子になってから、背は少し低くなってるけど、2年前の僕よりは伸びてるはずだから!!
「まぁ変わったといえば、胸が大きくなったくらいか?」
『あっ!?』
「兄さんのバカァァァっ!」(ガタンッ)
女子三人は呆れた表情をしていて。僕は座ってた椅子から勢いよく立ち上がってパンチをしていた。(みぞおちはだめ絶対!)力は強くなかったとはいえクリティカルヒットしていた。
「っーーーー!?」
「もぅ……兄さんなんて知らない!!」
僕は兄さんの顔を見たくなくなり部屋を勢いよく飛び出した。
「ちょっと、私が追いかけてくるよ!」(シュタ)
~桂side~
痛みに耐えながらも、俺は素早く動いていた彼女の行動を目で追っていると、紫苑からこう言われる。
「桂ってば、ホント! デリカシーないんだから……今のは幼馴染のあたしでも怒るよ?」
「いててっ……軽い冗談のつもりだったんだが」
どう接していいか分からなくってな……目に入った場所が胸だったんだ。
これは男だったら仕方ないことだと思う。
「まぁ、言っていい冗談と悪い冗談がありますからね!」
「そそ、女の子には体重に胸の大きさ。あとは年齢は禁句だからね! そんなこと言ってると嫌われるよ?」
「お、おぅ……。身内でもそれは気をつけるよ」
ほんとに気をつけないとな……弟感覚じゃなく妹の感覚で接しないといけないんだが。その感覚がわからないし、急には変えられないぞ。
「川内さんが追ってくれてるから大丈夫だと思うけど、ここ警備体制皆無だから、優ちゃんになにかあったらどうするの?」
「だが、優も魔物ハンターやってたくらいだから、強いだろうし大丈夫だとは思うが……」
「それは聞いてたから知ってるけど、今の優ちゃんって女の子だよ? それに丸腰だったはずだよ?」
「っ!?」
俺の考えは浅はかだったかもしれない。まともに運営されてる状態なら、すぐ追いかけなくても大丈夫なはずだが、警備の状態、街の状態、優の状態も確認をとってなかったことを後悔してる。
「そうだよな……今の、優ってやっぱり……」
今願うのは……無事に戻ってきてくれること、願うだけじゃなく自分も追いかけるべきだろうが。
「ちょっと、あたしも探しに行ってくるよ!」
「青葉も行ってくるです!」
「くそっ!」
そんなセリフを吐き机を殴る俺。悪いのは自分だけどな。物にあたるのは焦ってる証拠かな。
「まぁ……三人に任せれば大丈夫だろう……」
流石に合わせる顔がないのは俺が一番わかる。せめてもの罪滅ぼしなら、優が寝る部屋くらいきれいに整えてやるべきだろうな。
「あんな悪趣味な部屋は俺でもゴメンだからなっ!」
そう言って、三人とは分かれて提督寝室へ向かうのだった。
ん? カツ丼はどうしたって? 残さず食べたぞ!
~優希side~
ー食堂→路地裏ー
「ほんと、お兄ちゃんのバカっ! 確かに自分で見ても、胸は大きくなってるけどさ、他にも見る所あるよね!? 髪とか背とかさ、久しぶりの再会を楽しみにしてたのに……」
細かい変化に気がつくのって大事だと思うな。それがたとえ身内だったとしても。兄さんに会うのをホントに楽しみにしてたのに、ちょっと舞い上がってた僕がバカみたい……。
「んー荒廃してるね……ここの鎮守府の治安が良くなかったのわかるなぁ……」
このあたりってほんとに人もいなさそうだね……。街の復興のことを考えながら、ここよりもさらに奥の方に歩いて行ってる僕は、考えごとや頭に血が上ってたこともあって、警戒心や道などがわからなくなって、こう呟く。
「あれ……ここは?」
一度足を止めた僕は、あたりを見回して。「もしかしなくても、迷子になった?」と悟り、一呼吸してもう一度場所を確認してみる。
迷った先は、より治安の悪そうな暗い路地裏だった。そこには不審な笑い声と二人の影があった。
見た目の印象は、ガラの悪い盗賊みたいな人物っていえばわかりやすいのかな? 間違いなく関わり合いたくない人物だねっ。 だから名前なんて、ごろつきAとかBでいいんじゃないかな!
そう思っていたらこんなことを言いだしてきた。
「ぐへへ。上玉みつけたぜ!」
「その服は、ここの軍人さんか? それとも艦娘か? どちらにせよ、売りに出したら、高く付きそうだなこれは!」
不意に聞こえた声に、不快感を浮かべながらも僕は驚きの声が出てしまう。
「えっ!? 上玉? 売りに出すとか何を言って……」
男の頃だったら、こんな奴らに武器がなくっても負けることないと思うけど、今の状態って……どう見ても弱いよねっ?(丸腰&慣れないこの体って……。これってかなりピンチなんじゃ?)ってことを心の内で悟ってしまう。
「おいおい、馬鹿だなお前、売る前に俺たちが遊んでからに決まってるだろ! 流石に弱ってたとはいえ艦娘に手が出せなかったからな、俺達も溜まってたんだよな!」
「それもそうだな! 遊んでからだな! 嬢ちゃん、こんなとこに、一人だと危ないから、俺達が案内してあげようか?」(ぐへへ)
「(全力で)お断りしますっ!」
溜まってるとか遊ぶとか言ってる、怪しいやつについていくほど、僕もバカじゃないし!
こんな光景を以前も見ていたが、まさかその状況に自分が陥るなんて思ってもいなかった。
(だからと言って抵抗もしないでやられるつもりはないけどね!)一応戦闘態勢を取ろうと構えるが……。(今武器もってないじゃんっ!)って心の中で叫んでしまう。
『あの子』を呼べば、武器を準備できるけど、こんな状況じゃ流石に呼べないよね。巻き込みたくないしね。
「悪いようにはしないからさ!」
「っ!? もう一人はどこに!?」
悪いようにってそれをすることしか頭にないんでしょ! って思う。そういえば、二人いたはずなのに、目の前には一人しか居なくて、もう一人の姿を完全に見失っていた。気がついたときには、男が僕の後ろ側から、こん棒を構え振りかぶろうとしている状況だった。
「隙きありってねっ!」
「しまっ――!?」
ふと以前に、助けた娘のことを思い出しながら、きっと、会うことはないんだろうけど……捕まったら何されるのかな? きっと決まってるよね……辱めを受けるって。
時は少し戻って。
~川内side~
「さすがにあれは、怒るよね!」
飛び出した彼女の様子が、心配になったからすぐに追いかけてきたんだけど、この辺りって今一番治安の悪い場所だよね。
すぐに提督を見つけたけど男たちに囲まれてるなぁ……相手は二人ね。不快なセリフを聞いてた私は思わず舌打ちをしながら呟く。
「ちっ……ゲスなヤツめ……これだから悪い男ってキライなんだよねっ!」
提督が上玉っていうのは分からなくもないけど、貴方たちが手を出していい相手じゃないの!
「私が助けなくっても……なんとかしそうな気がするんだよねっ」
だから見捨てることも出来るんだけど……ちょっと待って、そういえば提督って今武器持ってないよねっ?
『隙きありーー』『しまっーー!?』
そんな声が聞こえた時、考えるよりも先に体が動いていて、クナイを手にし私は大きな声でこう言う。
「提督っ伏せてっ!」
「!?」
「させないよっ!」(しゅっ!)
私が同時に投げた四本のクナイが男達の腕と足にあたり、持っていたこん棒とロープが地面に落ちると同時に地面に崩れ落ちる二人を見てから、一息ついてこう言った。
「ふぅ……間に合ってよかったっ!」
一人は提督の後ろで倒れ、もう一人は前に倒れていた。流石に急所は外してるよっ!
「ぐぇ……」
「仲間がいたのか……」
「提督、ちょっと待っててね」
私は彼女に少し待つように伝えて、二人をキツく拘束して憲兵たちに差し出してる。
「すまない。我々の不手際で危険な目に合わせることになってしまい」
「今後はこんなことが起こらないに、厳重に警戒を続けます」
「うん、そうしたほうがいいよ! 提督の身になにか起こったら、佐世保鎮守府のお兄さんが黙っておかないからね?」
(そうならないように、私が全力で守るんだけどさ!)って心に誓いながら、二人の憲兵のやり取りを見ていた。
「それって、『四ノ宮 桂』中将!? りょ、了解しました! おい、相棒全力で取り組むぞ!」
「ああ! もちろんだ!!」
「今度の提督は女の子だから、ほんとに気をつけてよ!」
私は憲兵の二人を、睨むように見つめながら、彼女のお兄さんってほんとに有名なんだなって……名前出しただけでこんなにも動揺する姿を目にするなんて。(一度演習でもいいから手合わせしてみたいなっ)て思う私だった。
『はぃ!! それではこの二人連行しておきます!』
「それじゃ、提督を待たせているので、私は行くね! それと、今後サボったらどうなるかは、わ・か・るよねっ?」
『サボらずにやりますっ!!』
少し脅すような言い方だったけど、このくらい言っておかないとダメだよねっ! 敬礼をして、悪人二人を引きずりながら連れて行く憲兵の姿を見てからこう言う。
「う〜ん、警備は艦娘にしたほうがいいかもしれないけど、警備に回せるだけの人数はいないからどうしようかな……」
みんなと相談して決めないとね、もちろん彼女の意見がいちばん大事なんだけど。そう決めて彼女のもとに戻る。
~優希side~
「川内さん、憲兵さんと何話してるんだろう?」
ちょっと遠くて聞こえてないけど……僕もお礼言ってこようかなって思ってると、彼女から声をかけられる。
「おまたせ! 提督っ怪我はない?」
「川内さん、ありがとうございます……」
地面にへなへなと座り込む。あの頃と違って弱くなってるなぁ……僕。これが女の子になっているってことの実感の一つだとこの時思うのであった。
「ほんと、無事でよかったよ! どう、立てる??」
差し伸ばされた手を取ろうと返事をするが。
「は、はぃ……たてましゅ」
っぅ!? 思い切り噛んでる!? あと腰が抜けて立てないかも。う……恥ずかしい///。
「よっと、それじゃこうするしかないね♪」
「え? こうするって?」
疑問に感じてると、本日二回目のお姫様抱っこされる形で、今度は意識があるので顔が真っ赤になっていることを実感してる僕だった。
「ふぇぇ/// 川内さん顔近いです///」
「にしし♪ それにしても、提督って本当に可愛い顔してるね」
か、可愛い顔? 僕が?? なにかの間違いじゃないかなっ。まだ、ちゃんと自分の顔見てないからそんなことないと思うけど……。(じーっ)と見つめられると照れますよ。そしてこの状況がより恥ずかしくなったので慌てて僕はこう言った。
「も、もう、降ろしてください///」
「ふふっ、だ~めぇ♪ 腰抜けてる状態で、歩けるなら降ろしてあげるけどね!」
いたずらっぽく笑う彼女に言われて、考えた末にもう少しこのままでいたいと思ったので素直に答えた。
「う……歩けなさそうなので、このままで///」
「ふふ♪ 素直でよろしっ! それじゃ帰ろうか」
嬉しそうな表情を浮かべる彼女に僕は頷き、抱っこされたまま鎮守府に戻るのであった。
それから10分後
裏路地から鎮守府広場まで優希をお姫様抱っこをして歩いてた川内は。
~川内side~
「だいぶ落ち着きました……川内さん、ありがとうございます///」
「もぅ、ヒヤヒヤしたんだからね!?」
私は、彼女が落ち着いてきたので一旦降ろしてから、少し怒った口調でいい寄りこう伝える。
「今度から出かけるときはちゃんと武器は持つこと、もしくは付き添いをつけること。
私との約束だよ! いいね?」
それにこんなに怒ったのはいつ以来だろう……。なんか妹たちを見てるみたいで、ほっとけないんだよね。
「は、はい」
彼女の返事を聞くと同時に私は手を差し出して約束をする。
「それじゃ、指切りね」
「うんっ、指切りだね」
指切りげんまん~嘘ついたら〜針千本〜やーせんする。指切った~♪
「ぇっ!?」
「ちょっと私らしいかもしれないけど、約束破っちゃ駄目だからね!」
そう言ったけど、ちょっと恥ずかしかったり。でも私らしい約束かなって! それに驚いてる彼女の顔も見れたし満足かな。
「う……約束は守ります///」
「提督? もう一つお願いがあるんだけど、手を繋いで歩こう?」
可愛らしいお願いでしょ? でもこうすれば、はぐれることもないだろうから良い提案だとは思うんだけどね。
「そ、そのくらいなら///」
「ふ~ふん♪」
ちょっと上機嫌に鼻歌交じりに彼女の手をつないで、(神通、那珂、今度は素敵で可愛い提督さんと一緒に過ごせるかな?)ってことを考えていると彼女からお願いごとをされることに。
「僕からも、ちょっとお願いが」
「なぁ~に?」
首を傾げながら、私ばっかりお願いするのも悪いから、聞いてあげないとねって思っていると。驚きの内容だった。
「僕に海上での戦い方教えてくれませんか?」
「なんだぁ~そんなことならおやす……ってはぁい!?」
いま、戦い方って言った? 言ったよねっ? 私の聞き間違いじゃないよねっ!? 提督が戦いに出るなんて。あぁ、彼女のお兄さんは、自ら戦いに出てたっけな……。
(兄妹は争えないものなのかな)って思いながら、なんでそんな危険な道を選ぶのかな? もう少し話を聞いてから判断しようと思った。
「えっ? 戦い方を?」
「うん、戦い方! 守られるだけは僕もイヤだから、それに以前は魔物ハンターやってたから、僕にだって出来るはず!」
「自惚れないで!」
「っ!?(びく!?)」
「その気持は嬉しいけど、戦いに出るってことは、死ぬかもしれないんだよ!!」
また私怒ってるね、その気持は嬉しいけど目の前で大事な人がいなくなるのはもっと辛いんだよ……。
「深海棲艦との戦闘は艦娘たちに任せて、提督は私たちの帰ってくる場所で、待っててくれれば嬉しいからね!」
「それは戦いが起こったら、どこにいても同じじゃないかな? 僕はまだ艦娘たちのことは、よくわからないけど『女の子』たちが戦ってるっていうのに、僕だけ影から見てるだけはイヤなんだ!!」
少し前まで守られるだけの女の子かなって思ったけど……それは勘違いだったみたいだね。彼女の覚悟と想いを聞いて、私は認識を変えてこう答える。(提督も女の子じゃんっ!)ってつっこみは心の中でしまっておく。
「そこまでの覚悟があるなら、教えてあげなくもないけど……」
「けど……?」
『(これからの姉さんなら変えていけるはずだよ!)』
「!?」
ん?(今の声って誰の声……? 不思議な声が聞こえた気がしたけど……うん、見守っていてね!)不思議そうに見つめる彼女に改めて答えることにした。
「戦いたい気持ちは、分かったけど。やっぱりダメッ! 提督を危険な目にあわせたくないからね!」
あぁ……私、やっちゃったかな……こんなに感情を出すなんて……でも、私は気がついていた。ただの兵器じゃなく、人としての感情が残ってることに。彼女も引く気はないみたいでこう言ってきた。
~優希side~
「だったら、僕が危険な目に合わないように強くなればいいんだよね?」
未知なる敵と戦うのはちょっと怖いけど、僕なりの覚悟を見せないとね!
体は『女の子』になってるけど。心はまだ男としての部分が強いし、逃げちゃいけないと思うから。
「え!? その考え方は間違ってはないと思うけど、戦うことは怖くないの? 前任の提督とは大違いだね」
「戦うのが怖くないっていったら嘘になるけど、仲間と戦うのなら怖くないと思うし! ん? 前任の人?」
首を傾げながら。兄さんに聞いてた前任の提督のことを思い出していると。彼女からも説明を受けることに。
「そう、前任の提督は、初めは皆と仲良くしてくれるいい提督だったんだよ……。ある日から人が変わったかのように、来る日も来る日も。出撃の繰り返しをして、傷ついていく子達が増えていって……数多くいた艦娘たちもだんだん減っていき、秘書艦だった私は、そこまで被害は受けずにすんだけど、姉妹が……」
姉妹の話をしだす彼女は辛そうな表情を見せながらも、更に話を続けてくれたので僕は真剣な表情で聞くことにした。
「ほんとに、辛かったから……人である感情を捨てて兵器として、生きてく覚悟決めるしかなかったんだ」
「川内さん」
思わず彼女の名前を口に出してしまい。冷たい感情のない返事をくれたあとに、僕はこう伝える。
「なぁに?」
「それなら、川内さんはちゃんと人としての感情があると思います! 川内さんが感情を捨ててるっていうのなら……あの状況で、僕を助けないでしょ? 命令もなかったし、見捨てることだって出来たでしょ? それにこんな話もしなかったと思うし。前任の提督に恨みあるなら、なおさらね」
「あ……」
「それに……こんな状況も見てきてるよね」
僕も一応知識は持っているので、さっきの状況で捕まっていれば、どうなるかは知っている……。
『艦娘』さんたちだって例外じゃないはずだと思うし。
「……まぁ見てきてるよ……それが続くのがいやで暗号メールを送ったのも事実だから」
「そのメールを送った相手が僕の兄さんだったんだね」
兄さんなら、その暗号解いてすぐ行動するだろうなぁ(ちょっと調子に乗るとこもあるけど僕の誇りの兄さんだよ!)
「うん、そうなるのかな? ふぅ……なんか話ししてたらスッキリしたよ、提督、ありがとねっ!」
「それならよかった(にこっ)」
先程までの険悪なムードから一転して二人はいい表情を浮かべながら歩きだした。
一方その頃。あとから追いかけてたメンバーは。
ー物陰ー
部屋の改装を終えた桂は、先に追いかけていた『夕張』『青葉』と合流し、後を追ってここまで来ていた。見つからないように三人は隠れ、最初に夕張が言葉を発し、次に青葉で最後に桂が言う。
「優ちゃん無事だったけど、桂、この状況どうしよう?」
「いますぐ出ていきますっ??」
「いや、まだ様子見しておこうか?」
「?」
不思議そうに見つめる青葉をみながら桂は心の中でこう思う「(これは、優には大切な経験になるだろうな。だから今は口出しせずに見守るさ)」
「もしものときは、俺が止めに行く」
「もしもって……決闘になるときってこと!?」
「そうだ! 決闘だろうけど、あの二人ならそんな心配しなくて大丈夫だとは思うがな」
夕張が不安そうな言葉を言ってきたが、桂は二人が向かってる先を確信していたのか、止めに行くことはしなかった。
それから10分後
川内と優希の二人は演習場まで来ていた。
ー演習場ー
沈黙のときが続き、その沈黙を破ったのは優希の方だった。
~優希side~
「それじゃ川内さん、勝負しましょう! 僕が勝ったら海上での戦闘を教えてください! もし川内さんが勝ったら、僕はなんでもいうこと聞きます」
なんで『なんでも』って言ったんだろ……でも、そのくらい強い覚悟じゃないと勝負しても駄目な気がしたからだね。
「なんでもて言ったね? それはエッチなお願いも含めてだよね! 受けて立つよ!」(練度85)
「それも含めてのなんでも……です///」
えっと……そっちがメインじゃないよね!? そっちだったとしても、うんっ覚悟しておく。(僕の練度に関しては、体の変化もあって練度1だよ)
「それで、勝敗の決め方はどうするの?」
勢いで勝負しようとか言ったけど、勝負の仕方どうしよか……初めての経験だから迷っていると演習場の的が目に止まり『これだ!』って思って提案することにした。
「一発勝負の100m先の的の中心に近いほうが勝ちってルールでどうかな、武器は得意な武器でってことで」
「わかったよ! それなら私はクナイだね!」
「スフレ、アサルトライフル(89式5.56mm小銃)をお願いね」
僕が名前を呼ぶと使い魔の『スフレ』が現れて。手には『アサルトライフル』が握られていた。
通称は『ハチキュウ』とも呼ばれてるよ。僕専用にカスタムされてるので、射程と命中精度は一般的な銃よりは高いはず。
「アサルトライフルね、手入れは済ませてるからいつでも使えるよ!」
物陰で見守っている三人。桂は納得したような表情でこう言う。
「そんなことだとは思ったが、得意分野を持っていくあたりは流石だな!」
「え?? 得意分野って? 優ちゃんって射撃得意だったの?」
「あぁ、すごく得意だぞ! 俺も勝ったことないくらいだからな! ははは!」
桂は笑いながら、夕張にどや顔していたが……ただの弟自慢しているだけじゃないか……っと頭を抱えることにそれを見た夕張が声を発して。
「そういえば、桂も勝ったことないって言ってたことあったよねっ! それじゃ、この勝負は……?」
「きっと優が勝つとは思うがな……見守るとしよう」
「あの……止めなくてよかったんですか?」
「止めても無駄だと思うが? あの二人の真剣な目を見る限り、止めに入らないほうがいいぞ?」
桂の言葉を聞いた二人は頷き、そのまま三人は静かに見守ることにした。
演習場の優希たちは 。
深呼吸をし、スフレを見つめていると優希はこう声をかけられる。
「ほら、肩の力抜いていつも通りにね?」
「スフレ、ありがとね!」
優希はスフレから受け取った『アサルトライフル』のセットをしてない。弾倉にある弾数を確認して、銃弾が一発なのを確認してセットしてコッキングしていつでも撃てる準備をして構える。
もちろん切り替えレバーは安全装置から単射モードに切り替えをしている。
優希の準備が終わるまで待ってた川内から声をかけられ。
「準備は出来たみたいね」
「はい、いつでも大丈夫です」
真剣な眼差しでスコープ越しに覗き、立った状態で銃を構え狙いをつけてる優希と既に投げる構えに入っている川内。その様子を静かに見守る物陰の三人。
『……(ゴクリ)』
「私から! さあ、仕掛けるよっ!!」(的に向かってクナイを投げる)
「ふぅ……狙い撃つよ!」
静寂な空間に「シュッ!」とクナイが空気を裂く音と「パンッ!」と一発の銃声と「カラン」と一個の薬莢が落ちる音がしていた。
先に投げてたのはクナイだったが、弾速が早いのか的に命中したときはほぼ同時だった。その時に優希はスフレの声が聞こえたような気がしていた。
「(だから大丈夫って言ったでしょ)」
結果を待っている優希と川内は、ただ的を見つめていた。
『……』
二人と演習場に沈黙の間が続き先に言葉を発してたのは物陰にいる三人の方で、最初に夕張で続くように青葉が声を出している。
~桂side~
「この勝負どっちが……?」
「普通に考えたら、川内さんのほうが有利だよね? いくら得意分野が射撃っていっても」
「まぁ普通に考えたらな。だけどよく見てみろよ!」
指をさしながら的を見つめ(100m先って優にとっては余裕過ぎたんじゃないか)って思っていた。
「ちょっと、桂!! あんたの目どうなってるの!?」
「青葉の目でもようやく見えますが、ひぇ……弟さんのはど真ん中ですか」
結果は、ライフル側の優希はど真ん中で、クナイ側の川内は中心から1cmのズレで計測を終えていた。
(ガサッ)「さっきは悪かった。ごめんな! 優、もう一度、この距離で撃ってみてもらえるか?」
俺は謝りながらも、一つ提案することにした。その提案は、400mの目標をセットする。
「いいけどっ……って兄さん、見てたの!? ん~400mって遠いね……もぅ(慣れた様子で弾倉を抜いて、銃弾を1発装填し「カチャ」とセットしてコッキング動作を入れて、膝をつき構え直している)」
そう言いながらも準備している優を見つめる。俺はその動作に思わず見とれていた。
「一応この武器の最大射程は500mだったはずだから、大丈夫だとは思うけど……」
これは流石に自信なさそうか? 完璧な精度じゃなくても、当てるだけでも褒めてやるべきだな。先程勝負してた彼女は、的を狙ってる優を隣から真剣な眼差しで見ていた。
(今の立ち位置は、こんな感じだな)
図:(左)桂 優 川 (右)
(少し後方に)夕 青
「……(無言で見つめ)」
「(400mかぁ……ちょっと、風までは、読みきれないけど、スコープで見る目標の位置よりちょっと高めに向けて、このくらいかな?)」
ん? 気にしてるのは風向きか? 今回は風は無いみたいだな。
「パンッ!」と銃声の後に空の薬莢が「カラン」と地面に落ちる音がしていた。
「(流石だな! ここまでの精度は俺でも無理だが……)」
声には出さず、結果を見ていた。その結果はというと、中心から誤差2cmの結果を指していたという。
正直なところ俺もびっくりしたが、紫苑と青葉はさらに驚いた様子でこう言う。
『あの距離を当てるだけでも凄いと思うんだけど!? それも誤差2cm!?』
「動かない目標だから出来たけど、兄さんこれでよかった?」
「ちょっと! 優ちゃん、簡単に言ってるけどいくら動かない目標でも普通無理だからねっ!」
「(パシャ)素敵な一枚撮らせてもらったよ!」
「えっ?? 写真撮ったの/// こ、今回はたまたまだからっ///(ライフルを置き、髪をかきあげている)」
照れた様子で髪をかきあげながら話しかけられて少し『ドキっ』としたのは秘密な……。
「あぁ、上出来だ! 川内さんも挑戦するか?」
「流石にあの距離はクナイじゃ無理だからっ!」
それもそうだよな……。「(でも川内さんのクナイで100mを、あの正確に当てるのは結構凄いと思うがな)」伝えようと思ったが心で止めておこう。
このあと優に借りたアサルトライフルで、俺と紫苑で試し撃ちしてみたんだが……結果は散々だったと言っておく。
~川内side~
「うぅ……私は勝てなかったってことか……」
あれ? 私泣いてる? 泣くつもりなんてなかったんだけど……涙が止まらない。
「川内さん、勝負ありがとうね」
「こちらこそ……ありがとぅ……ぐすぅ……ごめんなさい」
私は差し出された手を握っていた。負けたのは悔しいんだけど泣いてる理由はそこだけじゃないんだよねって思っていると彼女から声をかけられる。
「誰かのために、泣けるのはちゃんと感情があるって証拠だよ。それに今回、私が勝てたのは想いの力だと思います。勝てれば、川内さんの心を救えるかなって! そんな思いを込めて戦いましたから(ニコッ)」
(なにそれ!? ちょっとカッコつけ過ぎじゃない!?)って心の中で思いながら、彼女が持っていたハンカチで涙を拭かれることに少し恥ずかしさを覚えながらこう言った。
「あっ、ありがとっ。もしも私が勝ってたら、提督に酷いことしたかもしれないのに、それでもまだ……優しくしてくれるの?」
「負けたときは、僕もそれに答えるつもりだったよ/// 酷いことされることも覚悟できてたし」
「う……提督ってば、ズルい! ホントは私がそこまで出来ないことわかってたでしょ……?」
ちょっと心読まれてたみたいで恥ずかしかったけど同時に嬉しかった。向き合うってこういうことなのかな?
「確かにしないかなっては思ってたけど。(僕は受けても良かったかな、なんてっ心の中で秘めて)川内さん、今度は一緒に新しい鎮守府作っていこうね? みんなが笑って暮らせるような平和な場所目指してさ」
「……ぐすっ、はぃ……提督ぅ」
「川内さん」(ぎゅっ)
このときだけは、私は二人の時間をとっても優越な気持ちで過ごしていたのは秘密で……。
取り残されてた三人がこう叫んでいたのは聞こえてたんだけどね。
『俺(あたし)【青葉】たちって空気かぁ!!』
「あらあら♪(私のマスターって『フラグ』立てるの好きなのかしらね?)」
彼女の使い魔も満足そうな表情を見せて姿を消していた。
ー演習場→執務室ー
一度みんなと別れたあと優希は、執務室に向かうことにして、場所は聞いてあるので迷うことはない。「こっちだよね」と呟き、歩きながら今日起きたことを振り返っていた。
~優希side~
「最初にお兄ちゃんと久しぶりに電話で話したと思ったら……『提督にならない?』と言われ、妖精さんと話して持ってきてたドリンクを飲んで女の子に!」
まだ女の子になったって実感はないんだけど……。
あ、ここが執務室かな? ドアをノックしてから「失礼しますっ」といって部屋に入り、部屋を見回した僕は立派な椅子と机を見つけ「座っても大丈夫かな?」と呟く。
座ってもいいのかなって考えつつ、誰も見てないから座ってみて時間を確認してこう呟いた。
「今は18時かぁ。僕が提督に……? これも信じられないけど、頑張らなくっちゃね」
って思ってると、あれ……? 兄さんもここに座ってたのかな?
「少しお兄ちゃんの匂いがする気がする」
小さい頃からよく知ってる匂いだから安心するんだよね。安心すると同時に眠くなっちゃうな……って思いながら匂いを嗅いでる。
「ん~嫌いじゃない匂い♪」
えへっーんぅ~んって……はっ!!
僕は何をしてるんだろっ! こ、これは違うんだよ?? 別に変な気持ちになったとかじゃなくって、落ち着く匂いだから、ちょっと嗅いでただけだよっ///。
「焦ってなんかいないからっ!! ってこれ誰に言ってるんだろう……」
そんなことをしていると突然。
(トントン)
部屋をノックされて、びっくりして裏声で返事をしてしまう。
「ひゃぃ!?」
落ち着け僕……何でこんなに焦ってるんだろっ。
「ん?? 優か? 入るぞ!」
「え、お兄ちゃん?? ちょ、ちょっとまってね」
なんでこのタイミングで来るの! 制服とかは乱れてないよね? ただ慌てて座り直したときに間に合わずドアが開いて目が合う。
「これは、提督のマニュアルだ、大体のことは書いてあるから、よく読むんだ――って変な格好だな? それに顔赤いけど大丈夫か??」
駆け寄られ額に手を当てられながら熱を計られる。僕は顔を真っ赤にしながらこう答える。
「マニュアルありがとうね、椅子の座り心地を確かめてたら崩れちゃって……。熱はないからだいじょうぶ///」
これはどんな言い訳だろう……。ただ匂いを嗅いでたなんて絶対に言えないっ! そして、兄さんの顔が近いから……『どきどき』するんだけどっ。
~桂side~
「ん~確かに熱はなさそうだな」
自分のと比べながら続けてこう言う。
「今日の執務は、俺が終わらせておいたから、今日はゆっくり休むんだぞ!」
気がつくと俺は弟の頭を撫でていた。
「う、うん! ありがとう///」
照れながらも真剣にマニュアルに目を通してるが、それ逆向きだって思わずつっこみ。
「それ本の向き逆向きだからな」
「えっ? あっ、こっちね!」
慌てて本の向きを変えてる弟に微笑みながら小さな声で言った。
「ふふっ、ドジっ子かよ」
「今、笑ったでしょ!? それにドジっ子違うしっ!!」
「いや、笑ってないぞ~!」
そう否定するやつほどドジっ子なんだよって思いながらも口には出さずに、以前より可愛くなっている弟を見て、俺どう接すればいいんだよ……っと戸惑うことになってた。
「もぅ……ばかっ……///(小声)」
小さい声だったので聞き取れなかったが、気にせずマニュアルを見てる弟の姿を眺めてると。
「えっと『秘書艦』とは、身の回りのお世話にパートナーとしての仕事??」
気になる単語を見つけたのか声に出して読んでる弟に少しからかうように声をかける。
「それも、悪くはないぞ!」
「えっ、それって!?///」
勘違いしてるようだったので一応答えておく。
「基本的には、朝起こしてくれたりとかご飯作ってくれたりだぞ? 優、一体何を想像したんだよ?」(ニヤニヤ)
~優希side~
「べ、べつに、そんなこと、想像してないから!!」
ごめんなさい。ホントはしました……。でも『女の子同士』だとエッチなことは起きないと思うけど。
だ、大丈夫だよね? 動揺しながら答えたので兄さんが怪しむ感じで聞いてきた。
「ほ・ん・とか??」
「ほ、ほんとだし///ってかそんなに見ないで////」
じーと見つめられて恥ずかしくなった僕は目を逸らそうとしたけど更にこう言われる。
「可愛い弟を見るのは兄の特権だぞ!」
「っ///!?」
どや顔しながら、何言ってるんだよ、兄さん! 可愛いって言われるのは嬉しいけど、そんなに可愛いはずないから! って思ってると近寄ってきて耳元でこう言われる。
「それと、優? 綺麗になったな(囁き)」
耳元でそんなこと言うの禁止! それに綺麗とか……嬉しさと戸惑いの気持ちで小声で答える。
「ふぇ……そんなことないよぉ///」
「(ふぅ~)」
そんな中、突然耳に息を吹きかけられて変な声が漏れる。
「ひゃんっ///!」(ぴくっ)
「優、これ気持ちいいのか?」
いまのって何!? こんなの知らないんだけどっ! 僕どうしたら……って思ってると頬をツンツンとされたので思わずこう答えた。
「はぅーもぅ頬、ツンツンしないでっ! でも……少し気持ち良かったかな///」
ちょっと戸惑いながらも素直な気持ちを伝えた。
「それじゃ、もう一回やってやるよ! (ふぅ~~)」
「ふぁっ~///」
「さて……優、横になれ!」
「はぃ!? いやいや、兄妹でそれは駄目だよぉ!!」
兄さん!? 何する気なのさって思ってると。
「勘違いするなよ? 小さい頃、好きだったろ? 耳かき! だからしてやるから、横になれってことさ!」(天井を見てウインクする)
兄さんが天井を見て何かをしてたような気はしたけど、僕はそれを確認する余裕はなかった。
一方、天井裏に隠れてた川内たちは
~川内side~
ー天井裏ー
「(任せてっ!)(パシャ)」
「(青葉、仕事早い! あ、私も撮っておく!)(パシャ)」
それと間違いを起こしそうになったら、止めに来てってことよね!(私でも……誰も見てなかったら抑えきれないと思うし)
「(こら二人共!! 写真撮らないの!)」
「(それじゃ、夕張はいらないのね?)」
「(う……欲しいです)」
夕張から注意を受けた私と青葉だったけど、青葉の言葉に少し迷いながらも返事をした彼女に青葉がこう言ってた。
「(素直でいいですねっ。それにしても……弟くんの表情ってなんか乙女だよねっ?)」
「(二人が仲良しだったのは、前から知ってるけど……今の優ちゃんって女の子になってるなぁ)」
「(提督って、お兄さんの前だとすごく乙女ね……むぅ……)」
この気持ちってなんだろ……ヤキモチじゃないんだよ! 多分……。難しい顔してたのか夕張から声をかけられる。
「(ん? 川内どうしたのっ?)」
「(いや、な、なんでもないよっ! ただちょっと兄妹の仲って羨ましいかなって思っただけだよ)」
私も提督とこんなに仲良く過ごすこと、出来るかなって思うのだった。
~桂side~
ー執務室ー
「ああっ! 耳かきね! よかったぁ///」
「ほら、膝枕してやるから、まずは右からな」
俺は、一度床に座り綿棒を用意して、ポンポンと膝を叩いてここに頭乗せるように促した。
「う、うん/// それじゃ、お兄ちゃん、優しくお願いします」
「ふっふっふ~どうしようかな?」
イタズラな笑みを浮かべながらも、優しく耳かきをしていき、時折聞こえる甘い声に耐えつつ俺は耳かきを続けていた。
「んぅ~ん///」
……そんな声出すなよなって思っていたがなんとか理性は保っている。
「右が終わったから次は左な!」
「は~い///」
いい返事だが。ったく……(天井裏の三人がいるから理性を保ているが、無防備すぎるからな?)って思いながらも、静かな時間が流れていた。
ー天井裏ー
「(提督は耳は弱いのね……覚えておこう)」
「(あたしたちが見てなかったら……手出してるよね、この状況は……)」
「(こ、これは……甘い時間ですねっ!)」
兄妹の時間を邪魔しないように三人はニヤニヤ見守っていた。
『(午後7時だよー。晩御飯はなんだろねー?)』
「優、両耳終わったぞ……ん?」
俺は膝枕を続けていたがさっきまで、甘い声が聞こえてたはずが、静かな空間だったので……起こさないように「寝息か?」と呟いた。
「すぅすぅ……」
今日は疲れてるだろうし……もう少し寝かせておくか。
「しかし、警戒心持ってくれないと兄としては心配だぞ……」
安心できる相手なのはわかるが兄である前に一応、俺も男だってこと忘れるなよ?
(もしも求められることがあったら……俺はどうするんだろうな)ふっ、余計な考えは、締まっておくかと胸のうちに思っていると声が聞こえたので思わず反応する。
「お兄ちゃん……」
「ん? どうした?」
って寝言か(成長してても、まだ甘えん坊だな)と心の中でそう思いながら頭を撫でこう言った。
「まったく、こんなところで寝てたら風邪引くぞ……!」
といいながら、頬を(ムニムニ)っと触ってみた。感触柔らかいな……っとこれ以上は、流石に俺の精神がまずいなって思い指を離す。
「うみゅ……」
「これじゃ起きないか……仕方ないな……よっと」
起きる様子のない優を抱っこしてから、ソファーに寝かせ、タオルケットを掛け小声で伝える。
「(困ったことがあったら、いつでも相談してくれていいからな……)」
額にキスをし、これは思ったより、照れるな///
「それから!」頭をかきながら天井裏の三人に告げる。
「(ストッパー役! ア・リ・ガ・トな! もしも優が寝てるときに、襲ったらタダじゃおかないからな!)」
実際俺も言える立場じゃなかったが……。
「(はいっ!)」
「(あたしたちも帰りましょうか)」
「(そうねっ、帰ろうかっ! 提督おやすみっ)」
「(提督としての成長楽しみにしてるぞ! 優、おやすみ)」
俺は部屋を後にして広場に向かった。
ふと時計を確認すると『19時半』を指していた。
ー執務室→鎮守府・広場ー
先程の三人と合流して敬礼し、新しい鎮守府の名前とサポート役の任命を告げるのであった。
「夕張と青葉に命じる! 今より、ここを『肥前鎮守府』と名前を変え優を『提督』として任命し、サポート役を二人に任せる!」
『肥前鎮守府』にしたのは俺の出身地の昔の名前からとったものさ!
ん? 出身地はどこかって? 俺の出身地は『長崎』だ。佐世保鎮守府に着任したのもそのためだしな。
「サポートならあたしに任せてよ!」
「青葉、了解しました!」
二人の返事を聞いた俺は、一緒に居たもう一人の女性にこう尋ねる。
「それと、川内さんでいいのかな?」
「川内で大丈夫よ!」
「前任の影響で提督のこと恨んでるかもしれないが、優のことを頼んでもいいかな?」
「言われなくっても、彼女との勝負に負けた時点で、そのつもりだよっ!」
力強い返事に安心した俺はこう伝えた。
「頼もしい限りだ! それじゃ任せるな!」
「(桂ってば、さっきまで優ちゃんとイチャイチャしてたとは思えないくらいちゃんと提督してる)」
「(俺はいつも真面目に佐世保で提督やってたと思ったんだがな?)」
夕張とは目で会話をして、そろそろ佐世保に帰ることにした。
「それじゃ! 俺は帰るから後はよろしく頼む!」
俺は皆に手を振りながら『艤装』を展開し、夜の海へと抜錨する。
「夜だから気を――って桂には、そんな心配はいらなかったね」
ー鎮守府近海ー
みんなと別れて海に出た桂は、クロスボウを構え空に向かって撃つ! と同時にこう言った。
「ん? なんか忘れてる気がするけど……まぁいいか。相棒! 夜間の哨戒頼むな!」
『了解した!』
しばらく夜の海上散歩を続けていた俺は相棒からの連絡を受けて手を振った。
連絡を受けたのはこういう内容で、先程戦った『泊地棲姫』と『ヲ級elite』が接触したいとの事だった。
「ヲ♪ 見送リに来タヨー」
「健気ヤネ」
「ヲ級ちゃんに棲姫も見送りありがとな!」
三人は揃って会話を交わしていた。
それから10分後
別れ際に一つ約束をすることにした、その約束とは。
「深海で刀を見つけたら時が来るまで預かっておいてくれ」
「ウン! 任セテ♪」
「あぁ、ヲ級ちゃん、任せたよ! それじゃ俺は帰るが二人とも気をつけてな!」
「マタネ〜♪」
「アナタモネ」
お互いに手を振りながら帰路についた。
ー深海ー
「コレカナ?」
ヲ級が刀と思われるものを深海の中で見つけ拾っていた。
「間違イナサソウネ」
「時ガ来ルマデ預カッテ、オク」
そう言い残して深海の基地に帰っていくのだった。
一方工廠では。
ー工廠ー
「そろそろ受取のサイン貰わないといけないんだけど……今日は諦めるか」
「おっそーいー!」
「待たせた分、うーーっんといっぱい褒めてもらうんだからっ!」
「高速給油艦とかに戻しちゃ駄目だからね……」
新しく建造された艦娘と建造妖精さんの嘆きの声が響いていた。
その頃。桂を見送ってた三人は。
ー肥前鎮守府広場ー
月明かりが照らす広場では川内がこう呟いていた。
「夜はいいよね! 夜はさ♪」
「そっか、そろそろ川内の大好きな時間だったね」
お腹を擦りながら川内がこう言った後に、青葉も素直に答えてる。
「うん! そうだけどさー! みんなお腹すかない?」
「そうですねっ、ちょっとお腹空きましたね~」
「それじゃ、提督を起こしに行ってご飯食べよっ~!」
ふと夕張が食堂の方を見てこう呟くと、同時に川内も声を出していた。
「あれ? 食堂って明かりついてたかな?」
「え!? 私たち以外に誰もいないはずだけど……提督は寝てると思うし……」
確認に行こうと提案するのは青葉でそれに続いて二人は返事をする。
「確認に行かないとですねっ!」
『うん! 行ってみよう!』
こうして三人は明かりのついた食堂に駆け出していた。
その頃。優希は。
~優希side~
ー執務室→食堂ー
「ふぁぁ……あれ? 僕寝ちゃってたんだ」
あたりを見回して誰もいないことを確認し、時計を見ると時刻は「20時半」を指していた。
「お兄ちゃんの膝枕、久しぶりで安心したなぁ……」
でも昔の感覚で少し甘えてたけど、今の僕の体って……女の子だよね。
「えっと……変な声とか出してなかったよね///?」
それにしても……僕の耳って敏感なのかな? なんか感じちゃってた気がする。これも体の変化のせい?
もしかして兄さんに我慢させちゃってたかも。同じ立場だったら……。ううん、考えないでおこうっと。
「でも今度会う時どんな顔して合えばいいのかな」っと呟きタオルケットをたたみ直す。
「ふぅ……お兄ちゃん、タオルケットありがとねっ」
僕は一旦溜め息をつき、もう帰ったと思う兄さんに向かって窓の外を眺めお礼を言った。
「そういえば、自分の体。ちゃんと見てなかったけど……触ってみても大丈夫だよね?」
恐る恐る自分の体に触れようと考える。(どきどき)手で胸に触れようとした時に。
(ぐぅ~)
「っ!?/// まずはご飯だよねっ!」
頬を染めながら、こういう時のお腹は正直だよねっ。触ろうとしていた手を降ろして服装を整えてからこう言う。
「よしっ! 夜ご飯は僕がみんなに作ってあげようかな♪」
部屋を出る途中で川内さんとの約束を思い出し、机の中を確認すると一丁のハンドガン(ベレッタ)とショルダーホルスターが入っていた。(これは兄さんが用意してくれてた物なのかな?)
「そういえば約束があったよね! 鎮守府内でも一人で行動するから、一応武器は携行してなきゃね」
一旦、制服を脱いでショルダーホルスターを装着し『ハンドガン(ベレッタ)』を抜いてから鏡に向かって構えてみる。(もちろん銃弾が装填されてるのは確認してる)
「うん、バッチリだね! 行ってきますー!」
ベレッタを(クルクル)と回してホルスターに戻してから、身だしなみを整え執務室を出て廊下を歩き始める。
「食材によって何を作るか変わるんだけど、何が良いかなぁ?」
メニューを考えながら歩いてると食堂に着いていた。
僕が思ったこの食堂のイメージは、大人数入っても大丈夫な位大きい広場でみんなでワイワイと食事したら楽しそうかな。
食堂に入って僕がしたのは材料の確認だね。キッチンに入って一番最初に確認しに行った場所は、冷蔵庫の中を確認する。
「卵と牛乳に――チーズもあるねっ。あとこれにベーコンがあればいいんだけど……(ガサゴソ)お、あった、あった♪」
生クリームがあったらもっと美味しくできるだろうけど、この材料ならカルボナーラだねっ! 冷蔵庫のドアを閉めながら「でも残されてる、食材は明日の分くらいかぁ」と呟く。
残されている食材が少ないのを確認した僕はこう思う。
戦う為にも食事は大事だし、やっぱり美味しいもの食べてほしいもんね。でも食材はどこから仕入れたりすればいいのかな? 明日みんなに相談しなくっちゃっ! とその前に。
「まずは、今の準備だねっ、エプロンはあるかな?」
近くを探してたら探しものが見つかったので「これかな? それとこれは三角巾だね」と呟く。
制服とショルダーホルスターを脱いでからハンガーにかけて、上着はカッターシャツだけになりエプロンを付けて髪が邪魔にならないように三角巾を巻いて準備をする。
え?? 裸エプロンなんてしないよっ!! もう一度言っておくけど裸エプロンはしないからねっ!
まずは麺を茹でながら、ベーコンを切っていくんだけど、細かい部分は省略だよっ!「がんばるぞー!」
ー鎮守府構内ー
外で隠れて見守っていた三人は揃ってこう言った。そのあとに川内が別の言葉を言って残りの二人を驚かせることになる。
『うん、エプロン姿もいいね!』
「でも、裸エプロンじゃないから減点かなー?」
『え?』
「えっ?(あっ……やばっ、本音が)でも見たくないのっ!?」
夕張は思うことはありながらも、優希には流石にさせたくないと思いながら言葉にして、川内も同意する言葉を発してから青葉がこう質問する。
「み、見てみたい気もするけど! まだ優ちゃんには、早いですからねっ!」
「っと、そうだよねっ!」
「ところで。なんで青葉たち、隠れてるんですかねっ?」
青葉からの質問にまず答えたのは夕張で、続けて川内が言う。
「不審者かもって思っていつでも動けるようにしてたけど、必要なかったからそのまま」
「ほら! 提督が料理作ってる姿見れたし!」
三人はコソコソと話をしてたけど影に気がつかず、優希が近づいてきたときには遅かった。
「隠れんぼは終わりだよぉ!」
ドアを勢い良く開けられ三人は倒れ込む形になる。
『――っ!?』
三人は同時に倒れて苦笑いを浮かべながらこう言った。
『どうもぉ……』
「恐縮です……」
「みんなで隠れんぼでもしてたのかな? 夕食の準備はできたけど食べる? メニューはカルボナーラだよ!」
優希は話しながらも手際よく、テーブルに出来たての皿に盛り付けられてる『カルボナーラ』と『フォーク』と『スプーン』を並べて食事の準備をしているので三人揃ってこう答えた。
『食べるっ♪』
三人はそれぞれ空いたテーブルに座り、優希の隣に川内、その反対側には、夕張と青葉が座る。
こんな感じに。
図:優 川
夕 青
「よかったぁ♪ えへへ///でも味は保証しないけどね~!」
~川内side~
照れながらも、どこか誇らしげな提督に向かって私はこう聞いた。
「提督って家庭的だったりするの?」
「以前は一人暮らししてたから、多少はねっ」
「うぐぅ、女子力で負けてる気がする……」
「青葉も料理はちょっと出来ないけど、お菓子なら作れますよぉ~」
彼女のセリフの後に少し悔しそうにしてる夕張と
、お菓子作りならと青葉が言った後に私は言う。
「そうなんだぁ! 私も少しは作れると思うけど、もしかしたら提督に負けてるかも」
「それじゃ今くらいの人数分なら、僕が作りますよ♪」
「提督! 手伝ってほしいときは、私も手伝うからねっ!」
「うん! その時はよろしくねっ、川内さん」
やっぱり頼られたりすると嬉しいよねっ、そんな中で二人も嬉しそうに返事をしていた。
『やった~♪』
「それじゃ、冷めないうちにどうぞ~♪」
それじゃ、かけ声は私が!
「いただきまーす」
『いただきまーす』
(ぱくっ)
美味しい……これが手作りの味だよねっ……。
手作りの料理を食べるのなんて、いつ以来だろう……って考えると私は涙を浮かべていた。そんな姿を見た提督が心配そうに聞いてきた。
「せ、川内さん、お口に合わなかった??」
「ち、違うの久しぶりに手作りの料理食べれたから嬉しくって、ごめんねっ……心配かけちゃて」
今日の私はちょっと涙もろいな……。涙を拭いて、今後は笑顔を増やせるように頑張ろって心に誓い、最初の一口だけしか食べてなかったので、会話を終えて残りのカルボナーラを食べた。
「そっか、それならよかったっ」
「ん~美味しいっ!」
私が素直な感想を述べていると、夕張は一つ彼女にお願いをしていた。
「優ちゃんにそんな特技があったなんて、今度教えてね?」
「大したことは教えれないと思うけど、いいよお姉ちゃん」
(出来たら私も一緒にって思ったけど)……素直に言えなかったので心の内に秘めておく。
「記念に一枚! とりますよ~ハイチーズ!」
「ふぇ?」
『チ~ズ♪』(ピース)
「ち、ちーず」
「いい写真撮れましたよ~♪」
青葉の言葉に私と夕張は慣れたポーズをしていたけど、提督は写真撮られるの慣れてなさそうで、不慣れなポーズだけど可愛いと思ったのは秘密!
こうして楽しく四人で食事を交わした。
~優希side~
『ご馳走さまでした!』
「お粗末様でしたっ!」
三人からの言葉に僕も答えてから、お皿を洗おうと食器を片付けてると二人の学生さん? 同時にこう言われる。
『皿洗いは私達に任せるのよ!(のです!)』
流石にご飯も食べさせてない子にお皿洗いを、頼むわけにもいかないからこう伝えた。
「その心だけで大丈夫だよ! 今度はちゃんとご馳走作ってあげるから、ゆっくり休んでねっ?」
『わーい♪ ありがと♪(なのです)』
「さてと洗い物っと」
同時に返事をしてくれた二人を見送りながら、もしかしてあの子たちも『艦娘』かな……?
兄さんの鎮守府であったことある気がするんだけど、何でこんなところに? そんな疑問を浮かべながらも洗い物してる。
「提督、私も洗い物手伝おうかぁ?」
川内さんからも声をかけられたけど僕はこう伝える。
「僕が洗い物してる間に、みんなでお風呂入ってていいからね~?」
川内さんがいれば道案内は大丈夫だと思うし。でも――きっとこの言葉がいけなかったんだ「みんなで」のみんなには僕も入っていることに後で気づくことに。
『はぁーい』
『(フタヒトマルマル。提督、洗い物片付けたら、明日の作戦の計画を立てましょう?)』
「~♪~はなのいろは~~♪ イタズラに~~♪」
鼻歌交じりに洗い物をしてる。ちなみにこの歌は『華の二水戦』よりサビ部分ですっ。
川内型軽巡のテーマ曲だったので、ちょっと歌ってみたりしたんだけど……誰にも聞かれてないよねっ??
あたりを見回して誰も居ないのを確認して、小さくため息をつき、洗い物を再開する。
「ふぅ、続き洗おうと~」
食事を終えて優希と別れた夕張たちは三人は。
ー食堂→入渠ドックー
~夕張side~
「やっぱり青葉は、一人で入りますよ~」
「ちょっと、青葉(がしっ)どこ行くの?」
「だから、青葉は一人で……」
川内が逃げようとしてた青葉を捕まえてた。
「優ちゃんがみんなでって言ってたから、みんなで一緒に入るんだよ♪」
これは命令でも何でもないんだけど『フラグ』だって思って諦めてね! 優ちゃん♪
「そそ、み・ん・なでね♪」
「あぁ、そういうことですか」
「たしかコッチに提督専用のお風呂があるから、私たちは先に入居ドックでのお風呂入ってから突撃する流れでいいかな?」
ここの場所をよく知ってる川内に任せて、あたしたちはそれに付いていくことにした。
「はぁ~い!」
「了解です!」
「それじゃ、提督と一緒にお風呂作戦開始♪」
作戦名はシンプルだけど、あたしも同じかなって思いながら一人で頷いていた。
ー入渠ドックー
入渠ドックに着いたあたしたちは、川内はバスタオルを巻かずに、あたしと青葉はバスタオルを巻いた姿で会話をした。
「そういえば、弟さんってスリーサイズどのくらいだと思います??」
「えっと。あたしよりは……確実にお胸あると思いますよ!」
ぺたぺたと自分の胸をバスタオル越しに確かめてるあたし。
「見たところは、私くらい! いやそれ以上かな?」
「そうですか? って川内さんは隠さないんですねっ! それなら、青葉も負けてないと思いますよ///?(バスタオル越しに胸を触り)」
「うんっ! 私たちも含めて提督も女の子だからね? 隠す必要もないかなってー」
「ぐぬぬ……二人共自慢できるもの持ってて羨ましい……」
あたしもそんなに小さくはないと思ったけど……二人と比べちゃうとね、自信なくしそう……そう思っていたら見たことのない『艦娘』さんがいて会話に混ざってきた。
「ちょっと、その話! 鈴谷にも、く・わ・し・く聞かせてー!」
「ん? 鈴谷? 私たちの艦隊にまだ配属されてないような?」
あたしたち三人は驚きながらも、同じ『艦娘』であることがわかり安心した。
ギャル口調で緑のロングヘアーの彼女は『鈴谷』というみたい。彼女もバスタオルで隠すことなく素敵なボディを見せつけ、ますます自信をなくすあたしだった。
「マジ退屈だったから、ちょっと遊びに来たんだけどぉー」
「あ……そういえば建造の完成報告書あがってましたっけ……」
桂には聞いていたんだけど、こういうところ報告しないのは悪いところだよねっ!
「えぇーー!! 忘れられてたのっ! ひどぉい! 提督さんに文句いってあげなきゃ!」
「あはは、悪いのは新しい司令官ちゃんじゃないけど、これは大変なことになりそうですねぇ……」
あたしは鈴谷と苦笑いしてる青葉のやり取りを見つつ、自信満々に見せてくる川内のお胸を優しく(無意識に)揉んでいた。
「あっん/// 夕張そこは……ダメッだってば!」
「そのけしからんお胸にはこうです!」(ムニムニ)
「――んっ~ん。それは提督にし――あっあん///」
今川内はなんて言おうとしてたのかな? もしかして優ちゃんにしてあげってって事かな♪。
「え!? なになに? 提督さんて?」
「男の娘ですっ!」
首を傾げながら鈴谷が優ちゃんのことを聞いてると、いつの間にかタオルをとってた、青葉の言葉に補足してあたしも答える。
「青葉! それじゃ伝わらないから! 元男の子だったから間違ってはいないんだけど……女の子ですよ」
川内から離れたあたしは、鈴谷さんの方を見ながら答えていた。
「はぁはぁ……た、助かった///」
「え? どういうことぉ!? 提督さんて女の子なのー!?」
鈴谷の反応は当たり前ね……状況を知らなかったら普通こんな反応になりますよね。
興味深そうにしてる鈴谷に対して、川内はこう言ってた。
~川内side~
「きっと、鈴谷も好きになると思うよ? 提督のこと」
「いくら鈴谷でも、そんなに簡単に惚れたりしないってばー」
(提督のことをいちばん好きなのは私! それは譲らないけどねっ!)って心の中で思い。普段はしないんだけど、胸の大きさの話をしてみた。
「でもこの中で、いちばん大きいのは鈴谷だよね?」
「そうだね、どうせあたしが1番下ですよぉ!!」
「あれ? これはっ……私、逃げたほうが、いいような……」
鈴谷が逃げようとしたところ。青葉に捕まって逃げれなくなった鈴谷をさらに夕張が責める。それを私は眺めていた。
「(がしっ)道連れです!」
「こうしてあげるんだからっ!」
「ぁっん/// ばりぃやめてってばっー///」
「我、青葉、作戦せ――」
「っとおもった?」
ここで私も青葉を逃がすつもりはないからね! 覚悟してねっ!
「ぇ///?」
「青葉のも大きいよねっ♪」(モミモミ)
うん、こういう展開って普通にはないだろうけど、何かで聞いた(薄い本だっけ?)とかではあるよね? なんて言い聞かせてる。私だって夜戦って言うばっかりじゃなくて、聞いたことくらいはあるんだからね。
「んくぅ/// 青葉不覚……」
「ところで、提督さんて可愛いのー?」
「それは見てからのお楽しみー」
「はぁ……やっぱり羨ましい。ほんとに薬作ろうかな、でも大きすぎると大変って聞くし、このままでも……」
夕張が考えごとをして油断してると……鈴谷がお返しをしてた。
「ばりぃ、さっきのお返しに、この鈴谷がマッサージしてあげるよっー」(モミモミ)
「え、あたしはだい……あっ……ぁん///」
「こんなときに何だけど、アタシ鈴谷だよ! よろしくね!(モミモミ)」
「あたしは、夕張ですっ! って鈴谷だめっーんっぅ~~///」
「青葉ですっ、写真と記事作りは任せてくださいっ!」
「私はここの元秘書艦の川内よっ! 夜戦なら任せておいてっ!」
お風呂での簡単な自己紹介をして、艦娘同士でお風呂を楽しんでいた。
「(提督のこと……もう少し親密な呼び方してみようかな……)」と心の中で思う川内だった。
『時刻はフタイチゴーマル』
お風呂を楽しんでた四人のうち二人はのぼせてダウンしてた。
「は、はりきりすぎました……」
「(ぐてっ……)」
夕張と青葉はダウンしたようで鈴谷が声をかける。
「ばりぃと青葉は湯冷めしないようにね~」
「次は提督とお風呂だぁー!」
「妖精さんたち、ばりぃと青葉に服着せて寮まで送ってあげといてねー」
『はぁい!』
妖精さんが返事をして二人を連れて行ってる時に鈴谷が先に言い、川内が続けて言う。
「それじゃ、鈴谷も突撃いたしましょう!」
「鈴谷、私についてきてね」
川内だけが知ってる裏道から提督専用の風呂場まで向かうことにした二人だった。移動するときはバスタオルを巻いてる。
一方その頃。優希は。
~優希side~
ー食堂→お風呂場ー
「うん、洗い物終わりと~」
そう呟いて片付け終え、時計に目をやると時刻は「21時半」を指していた。
「お風呂どうぞって言ってからもうこんな時間!? 今日一日いろいろあったなぁ……。汗もかいてるしお風呂でゆっくりしたいなぁ」
そういえばお風呂の場所ってどこだろ?
「とりあえず声の聞こえる方向に、行ってみようかな~」
声が聞こえた内容に驚きながらも顔を真っ赤にし、入渠ドックと書いているのを確認した僕は「コッチじゃなかったかぁ」って方向転換した。
「いちおう見た目は女の子だけど……覗いちゃうのはダメだよね!」
着任して早々に捕まるのはさすがにね! 可愛いって何度か言われてるけどホントにそうなのかな……って思いながら今後のことを考える。
「ん~これは……本格的なお仕事をする前に、鎮守府内の場所も覚えなきゃだね」
と呟き。お風呂の場所を探していると、使い魔が現れる。
この子の名前は『スフレ』僕をサポートしてくれる使い魔の子。妖精さんと一緒で悪い人には見えませんよ。
普段は羽としっぽを隠してるので人に近い姿だよ。背は僕より少し低くて髪の色はブロンドでロングヘアが特徴の女の子です。
今のところ戦闘はできないんだけど、困ったときは助けてくれる良きパートナーかな。っと紹介をしてる時に彼女が声をかけてくれる。
「マスターもしかして迷子?」
「さすがに初めての場所は迷子にもなるよぉ~」
「お風呂の場所ならこっちだよー付いてきてっ!」
「スフレ、ありがとねっー」
案内をしてるスフレが「くすっ」と笑いながらこう言ってきた。
「もしかして一人がさみしかったの?」
「べ、べつにさみしくなんかないよっ!」
焦って否定するけど付き合いも長いので隠すことが出来ずに、続けてこう言ってきた。
「ふふ♪ それとも女の子の身体に興味もってきた?」(ニヤニヤ)
「――っ///」
自分の身体のことだから興味は、あるんだけどっ……。ちょっと詳しく知るのは怖いって思う部分もあるかな。
「もっと素直になってもいいんじゃないかなー?」
「でも……///」
「それに、もう一人じゃないんだから仲間との絆は大事にするのよー?」
「あ……そのためのお風呂??」
「お風呂で絆って、うん! 悪くないと思うけどマスターは今の身体ですぐに裸になれるの?」
「多分……無理かな///」
なんか聞いた事あるような気がするけど裸同士で話せば絆も深まるとかなんとか……。今の僕が抵抗なく脱ぐのは難しいんだけどね。
「ふふっ、そういう時は身を任せることね♪ ついたよぉ~!」
「本当! 出来る子だよね、スフレは」
「でしょ! へへーん♪ 案内も終わったし私は消えるよぉ! マスター初めてのお風呂頑張ってねっ♪」
嬉しそうな表情を浮かべ消えた彼女にお礼を言った。ただ最後の言葉が引っかかるけどね……。
「(頑張って)っていったい何を!? でも、案内してくれてありがとね」とそこにはいないスフレに伝える。
僕は提督専用風呂と書いてある表札を見る(小さく混浴可とも)わけられてる理由は、やっぱり男女は別々がいいもんね。
あれ? そういえば……ゆっくり会話して気づいたんだけど『スフレ』も成長してる?? これは僕の身体の変化に関係してるのかな……?
う~ん、今は考えても仕方ないか「これからもよろしくねっ」って心の中で伝えた。
ー脱衣所ー
「えっと……当然だけど、服脱がなきゃお風呂入れないよね……」
いざ裸になるのはやっぱり抵抗があって、上から一枚ずつゆっくりと脱いでいくことにした。上着とズボンを脱ぎ終わった時に、一度手を止めて考える。
「明日からの下着をどうしようかな……」と呟き残りの服を脱いでる。
このボクサーパンツは流石にもう履かないだろうからゴミ箱に捨てて、サラシは洗濯物かごに入れる。そのあいだはタオルも巻かずに裸のままウロウロしてた。
「荷物を落としたんだよね……って! ああ!! 夜桜っ!」
『夜桜』は僕の愛刀で宝物! 海で戦うときには使わないとは思うんだけど……無くしちゃうのはさみしいよね……。でも、もう一度会えるかな……?
(刀に会えるかなっ)て使うのは変かもしれないけど、それだけ愛着があるってことだよっ。大事なら落とすなってところなんだけどさ……。
「っ!! こんなに大きな声だして誰かに聞かれたりしたら……ん?」
ふと鏡に映る自分の姿を見て、顔を真っ赤にしながらこう言う。
「僕、裸のままでウロウロしてたの///!?」
(恥ずかしっ)慌ててバスタオルを手に取り巻いてから、あらためて鏡を見る僕。
「そういえば自分のこと、じっくり見てなかったね」
ジーと見つめ、髪を触ってる。
「サラサラしてて髪の色は栗色ミディアムヘア。この長さだったら結んでみる? それともストレート? 明日みんなに聞いてみようかなぁ」
それから顔を見て微笑んでみる。
「目の色は少し濃い茶色だね。少し目が大きくなったかな? 笑顔はみんなにも言われてたけど、可愛い顔してる」
次は、腕の確認。
ふにふにと二の腕を触りながらこう言う。
「柔らかい……肌は色白ですべすべなんだ、全体的に体毛ってないみたいで、胸はちょっと大きい?」
お姉ちゃんくらいが標準としたら、僕のは大きい方になるのかな? 胸の大きさを確かめずにはいられないって思って僕はバスタオルの上から軽く触れてみた。
「あんっー///」
ぇ!? 今の声って自分の声?? (ごくっ)生唾を飲んでから、もう一度触れようとした時にドアが開き驚き固まる。そこには全裸姿の川内さんが立っていた。
「――っ!?」
「自分で触れないなら、私が確かめてあげるよ♪」
「せ、せ、川内さん! せめてバスタオルを!」
僕としては、目のやり場に困りますし。その手の動きが怪しいって思ってるとこう言われる。
「お風呂入るときはバスタオル禁止だよ! だから提督も脱いじゃえ!」
川内さんが正しいこと言ってるのはわかる、わかるんだけど! この身体に慣れてないから無理だよっーと思いながらこう言った。
「こ、ここは逃げたほうがいいよねっ~」
僕は逃げようとした時に、もう一方のドアが開いて進路を塞がれてしまう。初めて見る緑髪の美人なお姉さんが、全裸姿のまま立っていてこう言われる。
「チーッス! て・い・と・く逃さないよー?」
「あれ!? ここ、提督専用って書いてなかったかな……?」
「うんっ! 書いてたよー! それと混浴ともねっ!」(ニヤニヤ)
そういえば小さい文字で混浴って書いてあったような……よく見ておけばよかった。ってそうじゃなくって!! お姉さんもバスタオルで隠してっ!
「ご、ごめんなさいっ! み、みてないですからぁっ!!」
僕は謝り慌てて手で、目を隠してると(くすっ)と笑いお姉さんはこう言った。
「全然見ててもいいんだけどっ! お風呂だしっ! 当然しょー!!」
「いや『当然しょー!』って言われてもぉ~///」
顔を真っ赤にしてる優希の姿とそれを楽しそうに話してる鈴谷を見てた川内は。
「(初めて合うのに提督と鈴谷の楽しそうな雰囲気……私だって負けたくないだけど!)」
~川内side~
「なになに、鈴谷とナニするぅー?」(ニヤニヤ)
「これ……言っても駄目なやつだよね……」
諦めて肩を落としてる提督を後ろから抱きしめる私。この時からかな……呼び方変えてみたのは(今できる精一杯の行動だったのっ!)
「てーとくー捕まえたっ♪」
「ひゃうっ!?」
「私と一緒にお風呂入るよぉ~!」
「う~///ちゃんと一緒に入るから、離してぇ~///」
「ダメッ! そう言って逃げるでしょ!? だから離さないよっ♪」
「それじゃ、鈴谷も一緒に」
ー脱衣所→お風呂場ー
こうして、てーとくをお風呂場に連れてきた私と鈴谷。それから私はこう言った。
「私たちは裸なのに、てーとくだけバスタオル巻いてるのっておかしいよねっ?」
「そうだねぇー提督もバスタオル、取っちゃう??」
それに乗ってか鈴谷にも言われてーとくの顔が更に真っ赤になってた。
「うぅ……は、はずかしいよぉー///」
「ふふっーそんなに可愛く言っても駄目だからねー!」
(ちょっとてーとくを可愛がりたくなったんだけど……今は我慢しなきゃねっ)
「あー自己紹介まだなので、ホ・ン・トは今日から着任予定だった! 最上型重巡洋艦三番艦の鈴谷だよ! よろしくね!」
鈴谷の自己紹介につられて、私もあらためて紹介する。
「私は、川内型軽巡洋艦一番艦の川内よっ。夜戦なら任せておいて!」
その流れになっていたので、少し動揺しながらもてーとくも自己紹介をしてくれた。
「い、いま自己紹介なの!? えっと僕は四ノ宮優希っていいます、提督としては新米ですがよろしくお願いしますね///」
そういえば私はこの時初めててーとくの名前を聞いたんだよね。
「初めて聞いたけどてーとくの名前、可愛いっ♪ そして、隙ありってね!」
照れてる、てーとくのバスタオルを慣れた手つきでとりあげて生まれたままの姿にする。
「!?」
一瞬驚いて声は出してなかったけど鈴谷からこう言われて悲鳴をあげるてーとくに私はこう言う。
「わぉー提督ちゃんってば、意外と大きいね♪」
「――っ!? きゃぁぁっぁっ!!」
「にしし♪ これでお揃いだね~」
「あぅ///」
顔か体のどっちかを隠そうと、もじもじしてるてーとくが可愛いって思ってると鈴谷から声をかけられる。
「恥ずかしがってる。優希ちゃんもかわいいよぉー♪」
「あっ、名前で///」
……こういうところ鈴谷の良いところだよね。(ホントは私も、てーとくの事を名前で呼びたいんだけど……呼ぶ勇気もてないんだよねっ……)
「ほら、そのほうが親近感湧くでしょー!」
「うん、でも恥ずかしいな///」
「これは、なんか癒されるわぁー♪」
鈴谷が言ってる癒されるのは、私も同意かな。
「だから、言ったでしょ! きっと鈴谷も好きになるって♪」
「うんっ! 優希ちゃんのこと好きになったかもっ」
「ん!? 好きになるって///?」
不思議そうに私たちを見つめてるてーとくに説明する。
「てーとくが来る前にね、私たち四人でお風呂入ってたんだけど、そこでてーとくは可愛い女の子って紹介したところ~♪」
「最初聞いたときは、うそだぁーって思ってたけど、ホント可愛いー」(ぎゅっ)
「ひゃんっ///」
「てーとく! ちょっと待ててねっ!」
そう言って私はメジャーを取りに行く。
ん? メジャー取りに行って何するかって、ふっふっふっ♪もちろん決まってるでしょ! てーとくのスリーサイズを測るんだよ!
鈴谷に抱きしめられてるから心地いい気持ちになりながらも、目では川内を追っている優希は、頬を染めながら返事をする。
~優希side~
「うん///」
「なるほどーぉ。大事だもんねっ!」
川内さんは何をする気だろうって思ってると鈴谷さんは納得した様子で頷いてた。すると川内さんが戻ってきて手にはメジャーが持たれていてこう言われる。
「お待たせっ! うふふ♪ 丸裸になったてーとくのスリーサイズ測る時間だよっ~!」
「は、測らなくて大丈夫だからっ!」
少し焦りながらも、やっぱり興味はありますよ! この体のこと知る意味でも大切なこと……でも、今まで測ってもらったことないので断ろうとしたけど……。
「下着とか洋服とか買うのに必要になるから諦めたほうがいいよぉー」
鈴谷さんからこう言われて、お願いすることにした。
「そ、それじゃ、お願いします///」
「ふふっ~♪ まずはバストからねっ!」
不敵な笑みを浮かべ川内さんが僕の後ろからメジャーで胸を測ってると普段は出ない高い声が漏れる。
「ひゃぅん///」
メジャーの紐部分が擦れて……声出ちゃう……(ぴくっ)と体が反応して。
「動いたら測れないよっ~? 今はだいたいでいいかなっ」
「あっんぅ///」
甘い声が漏れて動いたらって言われても……なんか体が反応しちゃってっ……「そ、そこは、だめっ……///」
「ほぉほぉーぅ♪ 優希ちゃんはそこが弱いと♪」
「鈴谷さん! 感心しちゃダメッ!」
(それに今までに感じたことないところなんだから)ってこれは言えないかな///
「トップバストが85ね♪」
「はぁはぁ……85もあるんだぁ。これって大きいのかな?」
「85かぁ~♪ もしかしたら鈴谷と変わらないかもーねっ!」
ただ測ってもらってるだけなのに僕……刺激が強くって耐えられるかな///
「次はウエストねっ~♪ てーとく? 少しだけバンザイしててくれる?」
川内さんは僕の前に移動しながらこう言ってきて、照れながら返事をして僕は手を上げる。
「はーい///」
「川内がウエスト測ってくれてる間に、提督の髪洗ってあげるよーぉ」
ウエストを測ってくれている間に鈴谷さんは後ろから髪を洗ってくれた。
今の立ち位置はこんな状態です。
図:(前)川・優・鈴(後)
「髪はデリケートだから丁寧にやさしく洗うんだよっ」
「少しくすぐったいけど、てーとく我慢してね」
「うん/// あっ、髪はやさしくなんだね///」
こ、これってただのお風呂だよね!? そういうお店に来てるとかじゃなく現実だよね!?
(そんなお店に行ったことないからわからないけどねっ!)
(普通じゃ絶対ない体験してる気分! 女の子になってる時点でもう不思議な体験なんだけど)と心の中で思うのだった。
「そう、やさしくだよっー! それに髪型変えるだけでも印象ガラリと変わるんだからっー」
「お、覚えておくね///」
鈴谷さんに言われた髪型変えるだけでも、印象変わるのは僕に似合う髪型あるかな?
「てーとく、ウエスト細いねっ〜! 57だよぉ! あっ、もう手降ろして大丈夫だよっ」
川内さんに言われて手を降ろしてると、鈴谷さんが待ちきれない様子でこう言った。
「せ・ん・だ・い。まだぁー? 鈴谷、優希ちゃんの体を洗ってあげたくってウズウズしてるんだけどぉー」
「もうちょっとだから、もう少し待ってねっ! 残りはヒップねっ」
あ、あと、おしりもっ!? って「揉んじゃだめっーー///」声漏れちゃうぅ……。
「ひゃぅ!?///」
「(モミッ)あっごめんねっ! 手が滑っちゃったっ! てへっ♪うんヒップは、83ね!」
『手が滑滑っちゃったっ!』と言うけどそれだと普通は揉まないと思うんだけどぉ!? (川内さん、わざとだよねっ!?)とは言えずに心の中に閉まってこう答える。
「そ、それならいいけどっ……はぁはぁ……お、おわったー///?」
スリーサイズを丸裸にされて少し恥ずかしいし、こ、こんなお風呂の入り方してたら僕……変になっちゃいそうっ……それに息もあがってる?
「そのまえーに、優希ちゃん目つぶっててねー」
「はぃ~」
鈴谷さんに言われて目をつぶってると『バシャン』と勢いよくお湯をかけられちょっとだけお湯を飲んでしまう。
「わぷっ~」(ブルブル)
「勢い強かったかなーだいじょうぶぅ?」
二回目はゆっくりとお湯をかけてくれて髪についた泡を落としてくれた。
「はぃ……らいじょうぶれす」
(噛んじゃってるし恥ずかしっ)言ってるセリフは大丈夫じゃなかったんだけど///
鏡に映る姿を見て「髪キレイになってる」と呟き誰かに洗ってもらえるのって幸せだなって感じてた。
「次は体洗ってあげるよー」
鈴谷さんはこう言って、全身泡まみれの姿で後ろから抱きしめてきた。
「ふぇ? 洗うのってタオルとか使わないの??」
当たってます!「(鈴谷さんの……お胸が……)」これは言えずに心の中に閉まっておいて身を任せてる。
「なるべく使わないほうがいいよ? 肌痛めちゃうからね、だからこうやって肌と肌をくっつけて洗うのー♪」
「そ、そうなんだぁ///」
鈴谷さんに後ろから抱きしめられて、身体を洗ってもらってる僕の姿を見てた川内さんがこう言った。
~川内side~
「それじゃ私が前を――」
「ま、前は自分でやります///」
まぁ流石に恥ずかしいよねっ!(鈴谷っ! 私が最初にやってあげようと思ったことを先にやっちゃうなんてっ!)べ、べつに! 羨ましいとかそんなことは思ってないんだからねっ!
「けちぃー!」
「それに、イタズラされそうな気しかしないもん///」
「さ、流石にイタズラはしないからねっ!」
あれ?……読まれてるっ? 可愛い子にちょっとイタズラはしたくなるのは……同性に対してもそんな気持ちあるんだなぁって私、実感したときだった。
「んぅ……♪ これをやる側も気持ちよくなっちゃうのが難点かな?」
「鈴谷の顔も少しエッチな顔になってるし! てーとくの顔はもっとエッチな表情……ってずっと見てちゃダメねっ! 私も身体洗わなきゃね!」
私はそう言ってボディーソープを手に取り、泡立ててから自分の身体を洗い出した。
「はぅ~背中に鈴谷さんのお胸の感触が/// 柔らかくって気持ちいい」(ピクっ)
「優希ちゃん、これ、気持ちいい?///」
「はい! 気持ちいいですよ~///」
「背中終わりっと♪ 残すとこは、脚とお尻だけど、鈴谷は先に上がるよぉー!」
「あ、鈴谷さん、ありがとうです///」
二人のやり取りを身体を洗いながら見てた私は、鈴谷に声を掛けていた。
「あれ? 鈴谷は先に上がるの? まだ途中じゃなかった……?」
「うん! ちょっとお風呂の熱に当てられちゃって……後は川内に任せるよぉ♪」
「(お風呂大好きって言ってたのに上がるのて……もしかして……鈴谷、私に気を使って?)」
そういって、先に上がるのを見送った川内と途中でお預けになった優希だった。
~鈴谷side~
ー脱衣所ー
「(熱に当てられちゃったっていうのは嘘だよっ! 川内も洗ってあげたそうだったからねっ! だから二人の時間を作ってあげたのっ!)」
アタシは脱衣所で着替えながら心の中で呟いていた。
それと……(じろり)二人の影を見つけ。「やっぱり早く上がって正解だねっ!」と思い気付かれないように後ろに回る。
「(ふっふっふ~これは明日の朝のスクープに出せますねっ!)」
「(う~~優ちゃんもやっぱり……良い身体つきしてるなぁ……でもこれで専用装備作るデータは取れたから満足ねっ)」
「それにっ! (ガシッ)野次馬二人! 帰りますよっ!」
『ビクッ!』
こう見えて鈴谷、力持ちなんだからねっ! 二人を抱えるくらいは出来るんだからね、抱き上げてこう言った。
「ここからは川内と優希ちゃんの二人の時間! だから邪魔はさせないからっ!」
「むー体洗ってあげるの、お姉ちゃんの役目だったのにー」
「青葉情報ゲットできました……満足です」
「覗きはだめだよっ! 話の続きは宿舎でねっ!?」
『は、はいっ』
こうしてアタシは二人を抱きかかえたまま宿舎に帰るのだった。
「(川内! 優希ちゃんとの二人の時間楽しむんだよっ!)」
一番は譲ったけど……アタシもいつかは……。ぅーんっと褒めてもらうんだからねっ!
~優希side~
ーお風呂場ー
「えっと……手にボディソープをつけて……」
手で泡立てるのって意外と慣れてないから難しいなって思ってると近づいてきた川内さんから声をかけられる。
「ほんとに、洗ってあげなくって大丈夫?」
「あの……お願いします///」
顔を近づけられて恥ずかしくなって……小声で答える。(ちょっとだけ触ってもらいたいって思ったのは内緒だよ?)
「了解っー! それじゃ優しくしてあげるね♪」
「はぃ///」
「てーとく、まずは腕を出してねー」
「こ、こう~///?」
少し照れながら言われたとおりに腕を出してる。川内さんの優しい手つきで腕からわきのあたりまで洗ってくれた。
「肌、すべすべだね」
「そ、そうかな///?」
「うん、すべすべで綺麗だよー」
綺麗って言葉にまだ実感が持てないけど微笑んでいた。
「えへへ///」
「実はてーとくの裸見るの初めてじゃないんだよね」
「えっ!?」
驚きの真実なんだけどっ? いつ見たのっ!? あの時くらいしか全裸姿はみせて――。
「てーとくが薬ドリンクを飲んだあとの姿を見ちゃった!」
川内さんの手が脇からそのままお腹の方に動かして洗ってる。その手の動きに僕の身体が反応して声を漏らす。
「あ……あっ/// んぅ~~///」
「私、そのとき猫のマネしてたけど、ホントは気がついてたでしょ?」
お腹からおへそをなぞられたときに(ピクッ)っと反応して返事をしつつなんとか答える。
「そ、そんなことぉ……な――あっぁん///」
ないよって、答えようとしたときにイタズラっぽい顔でこう言われる。
「そ・ん・な・こと! あるよーね?」
更におへそをなぞられて身体がピクピクっと反応して息が上がってた。
「はぁはぁ……だ、だってあの時は、殺意感じなかったからぁ」
「そっか、やっぱり気がついてたんだねっー! 次は足かな~♪」
そう言って足もゆっくりと洗ってもらうことになったけど、僕はうっとりとした表情を浮かべていた。
「ん~♪」
この時間がすごく幸せで多分あんまり見せられない顔になってたと思う。ほぼ全身石鹸の泡で化粧した姿だったけど、大事なところはまだ洗ってもらってないので隠れてない状態。
「(この姿は流石に……恥ずかしすぎるよぉ///)」
恥ずかしいのは、これからもきっと慣れないんだろうなぁ/// 経験すれば大丈夫? そんな問題じゃないですよ!
「大事なとこだけ隠してない姿ってエッチだよねー」(ニヤニヤ)
「そ、それは川内さんが///」
「分かっててやったものっ♪」
「う―意地悪ぅ/// 見ちゃだめっ///」
川内さんにじーっと見つめられてとっさに腕で隠すけど……。こう言われ。
「ふふっ、隠れてないけどねっ?」
「はっ///!?」
イタズラそうな笑みを浮かべながら指摘されたのでポーズを取り直した。
「隠してたら洗えないけどね?」(ニヤニヤ)
「そ、そうなんだけど……///」
不思議な感覚に襲われて僕はこの時、汗とは違うナニかで少し濡れてることに、あとから気がつく。これは見られてるから? それとも心地良いから? いろいろな疑問が頭の中をめぐっていた。
~川内side~
「てーとく、知ってた? お胸って結構汗かくんだよ? 特に谷間と下のところが」
「そ、そうなの??」
少し警戒心が薄くなってるてーとくの胸を前から優しく洗ってあげる。
「うん! そうなのぉ! だからこうしてぇ~持ち上げて♪」
「ふぇっあ……っんぅ///」
「やっぱり、てーとくここ弱いでしょ?」(モミモミ)
泡で強すぎず弱すぎずの感覚で丁寧に洗っていき、丘の頂点にはまだ触れないように続けて洗っていると、てーとくには刺激が強すぎたみたいで身体を震わせていた。
「そ、そんなこと、あっんぅ///」(びくびく)
「私も弱い方だと思うけど、てーとくは敏感だよね~♪」
「はぁはぁ……だって、女の子の身体に慣れてないから……ってなにこれ……?///」
てーとくの顔真っ赤だよ? 息も上がってるみたいだし、これって感じてくれてるのかな?
だったら嬉しいかなっ♪ 私は安心させるようにこう言った。
「これは、一人で洗う時意識しなければ、大丈夫だよ!」
「そ、そうなんだ……一人で入るときもこんな感じだったらどうしようかと」
ふと、彼女の秘部に目を落としたときに濡れてることを見てしまい思わず声を発していた。
「あ……てーとく///」
てーとく感じてくれてるんだねっ。もう少し声聞きたい、もっといっぱい触ってあげたいって衝動にかられていて少しだけ「(好きな人を感じさせたいって気持ちがわかったかも)」と心の中で呟いていた。
「(ぎゅっ)」
「えへへ/// あの……川内さん///」
「なぁにー?」
照れながらも、じーと見つめる彼女を見つめ返し、言葉を待ってる。
「つ、続きは、お風呂じゃなくって……その……///」
「!?」
え? 今なんて言ったっ!? お風呂じゃなきゃって、それは、ほんとに夜戦しようってことだよね!? 私が一番最初になってよかったのかな? 確認せずにはいられずにこう聞いた。
「嬉しいんだけどぉ、てーとく? 私でほんとに良いのっ!?」
「うん……初めては川内さんとがいい/// 女の子の状態、もしかしたら今日だけかもしれないけど……」
「そっか……てーとくの思いに応えるためにも私が最初の夜戦の相手になってもらうからねっ!」
恥ずかしい思いをして、お誘いしてくれたてーとくの気持ちに答えないといけないよね。
「っと、その前に軽くここも洗ってあげるねっ♪」
そう言って洗ってなかった秘部に優しく触れて軽く洗ってあげた。
「んゅ……/// 軽く触られただけで、ビリって……」
「これでよしっとー! それじゃお湯掛けるね?」
泡の付いた体を優しくお湯をかけて流していき川内と優希は湯船に浸かって少し温まることにした。
~優希side~
「はふぅ~温まるぅ~♪」
女の子の体なの、きっと今日だけだと思ったから思い切ったこと言ったと思います。お姉ちゃんじゃなく、川内さんにお願いしたのは……あの時の対決があって少し向き合えたような気がしたからだよぉ。
「川内さん」
思わず名前を呼んでみたら不思議そうに顔を覗いて返事をしてくれた。
「なぁーに?」
「えへへ、なんでもないよっ~/// 呼んでみただけだよぉ♪」
「てーとく? その反応は可愛すぎるからねっ?」(ぎゅっ)
湯船で優希を後ろから抱きしめてる川内だった。
「夜はいいよね! ちょうど深夜零時。私と夜戦……する?」
一度あげてた作品の修正版をここまで読んでくださって、ありがとうございます^^いい作品を目指して、今後も頑張っていきますね^^
思いつき&妄想の部分が強いですが、楽しんでもらえる作品になってたら嬉しいかなって思います。
ここからは作者の更新の感想&艦これの感想など
修正を開始したときにはもう少し投稿していこうと思ってたのに……投稿をお休みしてました^^;
修正は続けていて14話くらいまでは完成させていたんですが、アフターストーリーやちょっとしたミニストーリーを投稿していこうかなって今後は思ってます。
15話目の内容は多分R18までは行かないと思いますがその続きのお話はアウトになると思うので投稿はお待ちくださいっ。
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新しくしたんですね!
なんかスリムになった気がします!!
続きが楽しみ!!!
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>2さん
コメントありがとうございます^^
一応元のベースはなるべく崩さないようにしつつスリムに読みやすい形を作っていきたいなって思ってます!
Day2も楽しみにしています!
続きをはやく読みたいです!