穂乃果「ポケモントレーナーになった」
ラブライブ!×ポケモン
ポケモントレーナーになった穂乃果の物語
!注意!
・ポケモンの世界は筆者が考えました。なので、何世代とかはありません
・ポケモンのレベル、能力値、種族値などについては深く考えないで下さい(〇〇って●●よりも速くね?とかは深く考えないで下さい、ということです)
・アニポケ特有の「かわせ!」が多く出てきますが、気にしないで下さい
ーオトノキタウンー
しおかぜかおる はじまりのまち
朝
雪穂「お姉ちゃん起きてー」カーテンをシャッ
穂乃果「う……まぶし…」
ガーディ「バウバウ!バウバウ!」
雪穂「ご飯できたから!起きて!」
穂乃果「ん~~~うるさいなぁ~~」モゾモゾ
雪穂「お姉ちゃん、いい加減に起きてよー!」
ガーディ「バウバウー!」
穂乃果「わわっ!わかったわかったー…」
□□□
テレビ『今日の特集!ポケモントレーナーのリュックの中身チェックーーー!』
穂乃果「ふうん…ポケモントレーナーかあ…」モグモグ
ほのママ「あんたもやってみたら?」
穂乃果「えっ?」
ほのママ「ポケモントレーナー。興味ないの?旅とか出たくない?」
穂乃果「興味はあるけど…ほら、穂乃果は穂むらのお手伝いがあるしさっ!」
ほのママ「何言ってんの。あんたのお手伝いが無くたって私とお父さんと雪穂だけでも頑張れるわよ」
穂乃果「え…そんなあ、ひどいよお母さん!」
雪穂「そうじゃなくてさ、お母さんは、お姉ちゃんにもっといろんなこと経験してほしいんだよ」
穂乃果「そういう雪穂は?雪穂はいいの?」
雪穂「私はポケモントレーナーに興味ないし、何よりも穂むらの仕事が好きだから」
ほのママ「そういうことよ。穂乃果がやってみたいって言うなら止めないわ。ね?お父さん」
ほのパパ「…」ヤルキガアルノハイイコトダ
穂乃果「……ありがとうっ!!」
□□□
子供「海未せんせー、ありがとうございました!」
海未「こちらこそ、ありがとうございました」ニコッ
子供「海未せんせー、さよーなら!」
海未「はい、さようなら。………朝の稽古は今の子で最後でしたね。少し休憩しましょうか」フゥ
ガラッ
穂乃果「海未ちゃん海未ちゃん海未ちゃーーーーーん!!!!!」
海未「何ですか穂乃果、道場では静かに。それに、そんなに何度も呼ばなくても聞こえていますよ」
穂乃果「穂乃果、ポケモントレーナーになるの!」
海未「私の話を聞いて…え?何ですって?」
穂乃果「海未ちゃんこそ穂乃果の話聞いてないじゃん!だからあ、穂乃果ね、ポケモントレーナーになるの!旅するの!」
海未「…その様子だと穂乃果のお母様から許可は下りているとは思いますが…それにしても急ですね…。トレーナー同士で戦うこともたくさんありますし、知らない土地にいって怖い思いをするかもしれない。それでも、穂乃果は行くんですか?」
穂乃果「…」
海未「…」ジッ
穂乃果「…ありがとう海未ちゃん。心配してくれてるんだよね。でも、穂乃果は大丈夫!根拠は無いけど、ポケモンがいてくれたら大丈夫だって思えるんだ」
海未「根拠は無い…ですか。あなたらしいですね」
穂乃果「そうかなあ」エヘヘ
海未「でも、甘いです」
穂乃果「」
海「その程度の覚悟で、穂乃果が旅に出てやっていけるとは到底思えません」
穂乃果「えーっ!?今『穂乃果、頑張ってくださいね』って雰囲気だったじゃん!えーっ!?」
海未「私だって別に穂乃果のことが嫌いでこんなことを言ってるんじゃありません。穂乃果のことが心配で…」
穂乃果「で、でも…海未ちゃんが穂乃果の旅を止める権利なんてないよね!」
海未「ありますよ」サラッ
穂乃果「」
海未「私がオトノキタウンのジムリーダーだからです」
穂乃果「海未ちゃんが…ジムリーダー…?」
海未「やはり知らなかったのですね…まあ表向きは道場ですし、仕方ないですよね」
穂乃果「(なんかちっちゃい子にポケモン勝負のお稽古つけてるなーとは思ってたけど、ジムリーダーだったんだね)」
海未「オトノキタウンはこんな小さい町ですから、都会に憧れて旅に出る人は昔から多かったと聞きます。園田家は昔から、その人が旅に出られるほどの実力を持っているかテストする役目を担ってきました。今で言うジムリーダーのことです。そして、そのウン十代目のオトノキのジムリーダーが、私園田海未です」
穂乃果「」
海未「信じられないって顔ですね」
穂乃果「…」
海未「とりあえず穂乃果、私について来て下さい」
□□□
ーオトノキノ森ー
穂乃果「懐かし~!ちっちゃい頃よくこのへんまできて遊んだよねっ!」
海未「そうですね、穂乃果とことりと…本当に懐かしいです」
穂乃果「そういえばことりちゃん元気かな?」
海未「元気だと思いますよ。最近もニュースで強過ぎる期待のデザイナー!とか騒がれてましたし」
穂乃果「強過ぎる…?ことりちゃんって、服飾の勉強しに行ったんだよね?」
海未「! まさか…知らないのですか?」
穂乃果「?」キョトン
海未「いえ…何でもありません」
穂乃果「? 変な海未ちゃん!」
ガサガサ!
海未「!」
穂乃果「わっ!なになに!?」
海未「静かに」
穂乃果「…」
ガサガサ!
ガサ…
ピカチュウ「ピカ~!」
穂乃果「か、かわいい!」
海未「野生のピカチュウですか。丁度いいですね。穂乃果、このピカチュウをゲットしてみませんか?」
穂乃果「ゲット…!トレーナーっぽい響き!」キラキラ
海未「モンスターボールを5つ差し上げますので、穂乃果の思うがままにやってみて下さい」
穂乃果「思うがまま…」
海未「…」ジーッ
穂乃果「………」
ピカチュウ「ピッカァ?」
穂乃果「っかわいいなあ~~~!!!」
海未「!?」ガクー
穂乃果「そうだっ!うちのガーディと遊んでよ!長らく穂むらで過ごしてたから、運動不足でちょっと太ってるんだ」
海未「(穂乃果んちのガーディ、ほむまん食べ過ぎですもんね)」
穂乃果「出ておいで!ガーディ!」
ガーディ「バウバウ!」
ピカチュウ「!」
ガーディ「バウ?」
穂乃果「ガーディ、思う存分遊びなよ!」
ガーディ「…!バウバウ!」
ピカチュウ「ピカピカ♪」
穂乃果「よかった!ガーディもピカチュウも楽しそうだねっ」
海未「…」
□□□
穂乃果「…暗くなってきたね、そろそろ帰んなきゃ」
ピカチュウ「ピカ……」シュン
ガーディ「バウ……」ショボン
穂乃果「ピカチュウ!今日はガーディと遊んでくれてありがとっ!…それでね、良かったら…これからも遊んでくれるかな」
ピカチュウ「!! ピカ♪」
穂乃果「えへへ、嬉しいな!私は穂乃果っていうの、よろしくねピカチュウ」スッ
ピカチュウ「ピカ~~~!」パシュウ
海未「…ピカチュウが…自分からボールに入った…!」
穂乃果「やったね!」ブイ
海未「…信じられません、こんな短時間で野生のポケモンと打ち解けるなんて」
穂乃果「思うがままにやってたら、こうなったんだ。ポケモンゲットはポケモンを弱らせてから、っていうのが基本だけど…これから仲間になろうとしてるのに傷つけるのは…なんだかできないなあって」
海未「……本当、かないませんね」ボソッ
穂乃果「ん?何か言った?」
海未「いえ、何でもありません。では帰りましょうか」フフ
穂乃果「はーい♪」
□□□
夕食
ほのママ「へー、そんなことがあったのねえ」
雪穂「お姉ちゃん、ピカチュウ見せて!」
穂乃果「うん!出ておいで♪ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカ!」
穂乃果「見てよこの愛くるしいほっぺ…あ、お父さん抱っこしてみる?ほら」
ほのパパ「…」カワイイ
穂乃果「ガーディも久しぶりに遊んで疲れちゃったみたい」
雪穂「夕飯食べてからぐっすりだね」
ほのママ「穂乃果はこれからどうするの?」
穂乃果「まずは海未ちゃんに勝つ!勝たないことには、オトノキタウンから出られないからね!それからのことはあんまり考えてないけど…ジムリーダーと戦ったり、知らない町を旅したりして、いろんな発見をして最後にはやっぱりここに帰って来たいなー…」
雪穂「最後とは言わず、時々帰ってきてよ。騒がしいお姉ちゃんがいなくなったら、私達とっても寂しいんだから」
ほのママ「そうよ。あんたがいつ帰ってきてもいいように、私たちも元気でいるから、いつでも帰って来なさい」
ほのパパ「…」ナキソウ
穂乃果「えへへ…ありがとう!」
□□□
朝
穂乃果「おふぁよ~」
雪穂「おっお姉ちゃんが!自分で起きたああ!?」
穂乃果「ピカチュウがほっぺすりすりしてきてさ…痺れで起きちゃったんだ…」
雪穂「ああ…」
穂乃果「かわいいんだけどさ…びっくりした…」
ほのママ「穂乃果、今日海未ちゃんのところに行くの?」
穂乃果「うん、挑戦してくるよ」
ほのママ「頑張りなさい。終わったら一度帰ってくるのよ」
穂乃果「はあい」
□□□
海未「来ましたね」
穂乃果「うん!海未ちゃん、よろしくね」
海未「ええ。幼馴染みと言えど、手加減はしませんよ?お願いします!キャモメ!」
キャモメ「ぐわー」
穂乃果「わかってる!…ファイトだよっ!ガーディ!」
ガーディ「バウバウ!」
穂乃果「ガーディ、調子はどう?」
ガーディ「バウ!!」ゲンキ
穂乃果「昨日運動しといてよかったねっ!いっくよー!『かみつく』!」
海未「キャモメ、かわして『でんこうせっか』です!」
キャモメ「ぐわー!」シュン
ガーディ「キャン!」
穂乃果「わわ!ガーディ、大丈夫?」
ガーディ「バウバウ!!」ゲンキ
穂乃果「いい子いい子!あとでほむまんあげるから頑張って…!もう1回、『かみつく』だよっ」
ガーディ「! バウー!」ガブー
キャモメ「ぐわわわわ!」
キャモメの急所にあたった!
キャモメはたおれた!
海未「(ガーディ…また太るんじゃ…)」パシュウ
穂乃果「その調子だよガーディ!」ヨシヨシ
ガーディ「バウ!」ホムマンクレ
海未「本当にそのガーディはほむまんが好きですね… ほむまんの話をした瞬間にこれですか」
穂乃果「この子は海未ちゃん以上のほむまん好きだよー」
海未「むっ…それでは続きといきましょうか。お願いします!ケロマツ!」
ケロマツ「ケロケロ!」
穂乃果「な、なんかすばしっこそうなポケモン…!ガーディ、『かみつく』!」
ガーディ「バウッ!」
海未「遅いッ!ケロマツ、『ねっとう』!」
ケロマツ「ケロ!」シュワー
ガーディ「キャン!キャン!」
こうかはばつぐんだ!
ガーディはたおれた!
穂乃果「あっ!が、ガーディ…!」
ガーディ「……クゥン」
穂乃果「…よくがんばったね、ゆっくり休んでね……ファイトだよっ!ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカー!」バチバチ
穂乃果「!(ピカチュウの気合が伝わってくる…!)」
海未「ケロマツ!ピカチュウに『ねっとう』です!」
穂乃果「ピカチュウ!いっきに決めるよーっ!かわして『10まんボルト』!」
ピカチュウ「ピッ…カーーー!!!!!」バリバリ
ケロマツ「!!」
こうかはばつぐんだ!
ケロマツはたおれた!
海未「ケロマツ、ありがとうございました。…あなたの勝ちですよ、穂乃果」パシュウ
穂乃果「わたしの、勝ち…?」
海未「ええ。私はもう戦えるポケモンを持っていませんから」
穂乃果「うそっ!穂乃果、海未ちゃんに勝ったの!?」
海未「はい。おめでとうございます。ですから、このアネモネバッジを差し上げます」
穂乃果「バッジ?」
海未「私に勝った証のようなものです。なくさないで大切にしてくださいね」
穂乃果「わあ、きれい…!」
海未「それと、この技マシンも。『ねっとう』の技マシンです。水タイプの技で、たまに相手をやけど状態にすることがあります」
穂乃果「…海未ちゃん!ありがとう!」モッギュー
海未「ほ、穂乃果!恥ずかしいです!その…審判の方が見ていますから…!」
審判「(仲良いなこいつら)」
海未「…コホン!穂乃果、ガーディを回復させなくていいんですか?」
穂乃果「はっ!そうだった!ちょっと行ってくる!」
ガラガラ バタン!
海未「……さて、私も準備しますかね」
□□□
穂乃果「お母さんお父さん雪穂ーーー!!」
ほのママ「穂乃果、裏口から入ってきなさいっていつも言ってるでしょ?」
穂むら常連「穂乃果ちゃんは本当に元気がいいねえ」ニコニコ
穂乃果「あ!おばあちゃん、今日もご来店ありがとう!…じゃなくてえ!穂乃果、海未ちゃんに勝っちゃったよー!」
雪穂「(忙しいなあ)」
ほのママ「あらおめでとう。じゃあちょっと渡すものがあるから、奥の部屋で待ってなさい」
穂乃果「? はあい」
□□□
ピカチュウ「~♪」ムシャムシャ
穂乃果「ほむまんおいしい?穂乃果んちはお饅頭屋さんなんだ♪」
ガーディ「~♪」ムシャムシャ
穂乃果「ガーディも元気になってよかった…」
ガラッ
ほのママ「ふう」
穂乃果「お母さん!店番は?」
ほのママ「ピークは過ぎたから雪穂に任せてきたわ」
穂乃果「そっか… あ!そういえば、渡すものって?」
ほのママ「これ」ドン
穂乃果「リュック…とランニングシューズ?」
ほのママ「リュックには旅に必要なものを詰めておいたわ。どうせあんた、何も準備してなかったんでしょ?」ニヤリ
穂乃果「(ばれてる)」
ほのママ「穂乃果、旅に出ていろんな発見を持って帰ってきてちょうだいね。家族みんな、あなたのこと応援してるわ」
穂乃果「ありがとうお母さん!」
ほのママ「それと…オトノキポケモン研究所のミナミ博士があんたのこと呼んでたわよ。出発する前に寄りなさいね」
穂乃果「ことりちゃんのお母さんが?」
□□□
ーオトノキポケモン研究所ー
穂乃果「こんにちはー」
ミナミ博士「穂乃果ちゃんいらっしゃい。久しぶりね」
穂乃果「ことりちゃんのお母さ…み、ミナミ博士!」
ミナミ博士「うふふ、良いのよかしこまらなくても。…穂乃果ちゃんがポケモントレーナーになるってお母様から聞いてね。私も力になりたいと思って。穂乃果ちゃん、携帯電話は持ってる?」
穂乃果「あ、はい。スマホですけど…」ゴソゴソ
ミナミ博士「ちょっと貸してね」ピロリン
穂乃果「! これは…?」
ミナミ博士「私が開発したポケモン図鑑のアプリよ。それと、タウンマップ。大体のポケモントレーナーが使ってくれているアプリなの」
穂乃果「あ、ありがとうございます…!」ペコリ
ミナミ博士「ポケモンに出会ったらその図鑑に自動的に登録される仕組みなのよ」
穂乃果「本当だ…ガーディとピカチュウとキャモメとケロマツが登録されてる…!すごい」
ミナミ博士「喜んでくれてるみたいで嬉しいわ。穂乃果ちゃん、旅は良いものよ。楽しんでね……いずれ、ことりにも会うことになると思うから」
穂乃果「ことりちゃんに…!?早く会いたいな~!ミナミ博士、ありがとうございました!」
□□□
穂乃果「んー!準備も整ったし、そろそろ出発しよっかな?…ん?あそこにいるのは…」
海未「穂乃果、待ってましたよ」
穂乃果「海未ちゃん、その荷物どうしたの?」
海未「…昨日、穂乃果がピカチュウをゲットしたときから、私の心は決まっていました。あなたは昔から、私の知らない世界をたくさん見せてくれる…だから穂乃果、あなたの旅に私もついていきます!」
穂乃果「ええっ!!う、海未ちゃん、ジムの方は大丈夫なの!?」
海未「父に任せてきました。たまにはわがままも言ってみるものですね」
穂乃果「そっかあ…」
海未「嫌でしたか?」
穂乃果「ううん!海未ちゃんが一緒なら心強いし!これからもよろしくね!」
海未「穂乃果…!ありがとうございます!それでは出発しましょう!」
□□□
ーオトノキノ森ー
穂乃果「結局いろいろあって出発が夕方になっちゃった」
海未「そうですね、森は暗いですし…少し不気味ですね。…お願いします!ファイアロー!」
ファイアロー「ピロロロロ!」
穂乃果「あれ?海未ちゃん、そんな強そうなポケモン持ってたの?」
海未「私のジムは水タイプ担当ですので、ジムではキャモメとケロマツで戦っていましたが、今の私はジムリーダーではありませんからね。好きなポケモンを使っています」
穂乃果「へ~…(もしかして海未ちゃんって、実はめちゃくちゃ強いんじゃ…)」
海未「それより穂乃果、ファイアローのおかげで明るくなったでしょう?」
穂乃果「あっうん!それにあったかいよ!」
海未「そうでしょう?ポケモンとこうして協力しあう…素敵なことですよね」
穂乃果「そうだね、そういえば穂乃果とピカチュウもここで出会ったんだよね~。思い出が増えてくって良いよね!」
ガサガサ!
海未「!」
穂乃果「このポケモンは…」ピロリン
イトマル いとはきポケモン
ほそくて じょうぶな いとを
はりめぐらして わなを しかけると
えものが かかるのを ひたすらまつ。
穂乃果「む、虫!?海未ちゃん!こわいよ~っ」ヒシッ
海未「引っ付かないで下さい!穂乃果、こんな時こそ戦うんですよ!」
穂乃果「海未ちゃんは一緒に戦ってくれないの!?」
海未「私はジムリーダーになるまでたくさんの修行を積んできました。今修行が必要なのは穂乃果の方でしょう?」
穂乃果「うー!そうだけど!」
海未「この先ほかのトレーナーと戦ったり、ジムリーダーと戦ったりするんですから、ポケモンたちを鍛えておくべきです!でないと自分のポケモンが傷つくのを見ることになるんですよ!」
穂乃果「…!」
海未「(穂乃果の目の色が変わりましたね)」
穂乃果「…ファイトだよっ!ガーディ!」
ガーディ「バウバウ!」
穂乃果「イトマルに『かえんぐるま』!」
ガーディ「ガルルル!」ボボボッ
イトマル「ぴぎゃー!」
こうかはばつぐんだ!
イトマルはたおれた!
穂乃果「ふう、ありがとうガーディ」パシュウ
海未「…では、進みましょうか」
□□□
穂乃果「どのくらい進んだかなあ…」
海未「もうそろそろ出口だと思うんですが…」
穂乃果「思えばこんな時間にこんな森の奥まで来たことってなかったよね」
海未「そうですね。危険なので子供は森の入口付近までしか入ってはいけないという決まりでしたし」
穂乃果「あれからスピアー、ムウマ、ポチエナに襲われちゃったもんね…そりゃ危険だよ」
海未「でも、おかげでポケモンのレベルもアップしましたね」
穂乃果「まあそうなんだけど…」グゥ~
海未「あら、穂乃果のお腹が」
穂乃果「わー!早くこの森出ちゃおう!」
海未「はい!」クスクス
□□□
海未「何とか出られましたね」
穂乃果「看板があるよ!えっとなになに?…」
このさき→ぷわぷわタウン
穂乃果「ぷわぷわタウン?」
海未「タウンマップにはジムのマークがあります」
穂乃果「ねえねえ、ジムリーダーの人同士で遊んだりしないの?」
海未「…この世界のジムリーダーは、ジムリーダーの他に別の活動をしている人がほとんどでして…親睦会など開こうにも、なかなか予定が合わないんですよね…」
穂乃果「えーっ!ジムリーダーだけでも大変そうなのに!」
海未「そうなんです。そういう理由があって、私が知っているジムリーダーは2人しかいません」
穂乃果「そうなんだー…あっ!明かりが見えてきたよ!」
□□□
ーぷわぷわタウンー
やさしさあふれる はなとみどりのまち
朝
穂乃果「んーーー…朝…?」
海未「おはようございます、穂乃果。良い天気ですよ」
穂乃果「あれ…?海未ちゃんがいる……」
海未「もう、寝ぼけているんですか?ここはぷわぷわタウンのポケモンセンターです。昨日穂乃果はご飯を食べてから泥のように眠っていたんですよ」フフ
穂乃果「あー……そうだった…穂乃果、シャワー浴びてくる…」ネムイ
海未「はいはい」
□□□
ーポケセン脱衣所ー
穂乃果「ふあーー!気持ちよかった!目も覚めたし、最高の気分だよっ」
ピカチュウ「ピカ~!」
ガーディ「バウ~!」
穂乃果「そうかそうか、君たちも気持ちよかったか!」
マダム「隣、座っていい?」
穂乃果「どうぞ!」
マダム「かわいいポケモンさんね。撫でてもいいかしら?」
穂乃果「どうぞどうぞ!」
ピカチュウ「~♪」
ガーディ「~♪」
マダム「本当にかわいい…でも、気をつけた方がいいわ」
穂乃果「?」
マダム「最近、人のポケモンを盗む悪い人達がいるそうなの」
穂乃果「え!?はじめて聞きました!」
マダム「あら、あなた出身は?」
穂乃果「オトノキタウンです!」
マダム「オトノキといえば、穂むら饅頭ね!おいしいのよねあれ」ウットリ
穂乃果「!! あ、ありがとうございます!あの…私、穂むらの娘なんです。穂乃果といいます」
マダム「そうだったの。お会いできて嬉しいわ」アクシュ
穂乃果「(なんだか恥ずかしいな…)」アクシュ
マダム「そうね、オトノキに悪い人達が来たっていう話は聞かないから、初めて聞く話かもしれないわね…ニュースでもあまり報道されていないのよ」
穂乃果「おばさまは、出身は…?」
マダム「私はダイプリシティ出身よ」
穂乃果「ダイプリシティ?」
海未「ダイヤモンド・プリンセス・シティのことですね」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「遅いので様子を見に来ました」
マダム「お友達と一緒だったのね?ごめんなさい、私が引き止めてしまったから…」
海未「いえ、いいんです。その悪党の話、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」
マダム「…実は私も詳しくは知らないのだけど…その人達のことをまとめて『ベジタブル団』というらしいわ」
海未「ベジタブル団…?聞いたことないですね」
マダム「一番出没してるのはダイプリシティらしいのよ。あなたたちも行くなら気をつけた方がいいわよ」
海未「…ありがとうございました。こまめにニュースをチェックすることにします」
□□□
海未「人のポケモンを盗む…ですか」
穂乃果「ふっほふはへ!」モグモグ
海未「穂乃果、飲み込んでから喋って下さい」
穂乃果「…物騒だね!一体、何の目的で…」
海未「わかりませんが…私達も気をつけなくてはいけませんね」
穂乃果「うん…」
海未「…」
穂乃果「……海未ちゃん!朝ご飯食べ終わったら、ぷわぷわタウンを探索しない?」
海未「いいですね。私もこの町のことをもっと知ってみたいですし」
穂乃果「よーっし!楽しみー!」
□□□
穂乃果「『ぷわぷわタウン やさしさあふれる はなとみどりのまち』かあ…」
海未「確かに、あちこちに花や木が植えてありますね。野生のポケモンもたくさんいるようです」
穂乃果「町中に野生のポケモンって珍しいよね。オトノキではいなかったような…」
モブ「このまちは ポケモンが すみやすいように はなや きを うえているんだ !」
モブ「ぷわぷわタウンは このせかいで いちばん ひとと ポケモンの きょりが ちかい まちだよ」
モブ「はなや きを うえよう って ていあんしたのは このまちの ジムリーダー なんだ」
モブ「みてごらん やせいの エイパムだ だいじょうぶ おそって こないよ ひとに なれてるからね」
海未「いろんな情報が手に入りましたね」
穂乃果「私、この町気に入ったよ!人が優しくて何でも教えてくれるし、野生のポケモンも人懐っこくてかわいい!」
海未「ええ、心地よい町です。……おや?大きな建物が見えますね」
穂乃果「本当だ…『ハクマイジム』…?」
海未「えっ!ジムですか!?このおにぎりの形のドームが!?」
穂乃果「そうみたい…でも、休業中の札がかかってるよ」
海未「(わ…私もジムを好きに改装したい…!『園田道場』じゃなくて『ラブアロージム』とか…ああ…良い…!!)」ハァハァ
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「何でもないです」
穂乃果「ふーん(自分もジム改装したいとか思ってたのかな)」
海未「コホン!休業中ですか…」
穂乃果「もしかして、別の活動中…とか?」
海未「その可能性が高いですね」
穂乃果「そういえば海未ちゃんは、他の活動してないの?」
海未「私…ですか」
穂乃果「ポケモン勝負のお稽古は…多分、ジムリーダーの仕事だよね、その他には?」
海未「………していますよ」
穂乃果「えーっ!何、何!?」キラキラ
海未「…内緒です!さあ、探索しますよ穂乃果!」
穂乃果「えー!?教えてよー!海未ちゃんのいけずぅー!」
□□□
穂乃果「…いっぱい歩いたら、おなかすいてきちゃった」グゥー
海未「そろそろお昼ですね」グゥー
穂乃果「さすがにお母さんがリュックに詰めといてくれたほむまんばっかり食べるのもなあ……」
海未「ほむまんはあくまでおやつですからね…」
穂乃果「大体、穂乃果は餡子飽きたっていうのに……ん!?」クンクン
海未「どうしました?」
穂乃果「なんか、いいにおいがするの!」クンクン
海未「犬ですかっ!!」
穂乃果「海未ちゃんはしないの?こんなにいいにおいなのに!」
海未「………します。お米の炊けるような…」クンクン
穂乃果「出ておいで!ガーディ!」
ガーディ「バウバウ!」
穂乃果「ガーディは鼻が良いから、いいにおいわかるよね?その場所まで連れてって!」
ガーディ「バウ!」
海未「ちょ…穂乃果!ただの民家とかだったらどうするんですか!!」
穂乃果「海未ちゃん置いてくよーっ!?」
タッタッタ
□□□
ガヤガヤ
海未「何ですかあれは?長い行列になってますよ!」
穂乃果「いいにおいはあそこから来てるよ!穂乃果たちも並んでみよう!」
海未「(列が少しずつ進んで、やっと看板が見えてきました)」
お食事処 ーなわとびー
穂乃果「お食事処!ビンゴだよガーディ!」ナデナデ
ガーディ「バウバウ!」
モブ「きょうは わたし なんの ぐに しようかな ?」
モブ「わたし きょうは ちりめんと あじたま !」
モブ「ここの おにぎり たべるために あさごはん ぬいてきた !」
海未「どうやら、おにぎり専門店のようですね。どんな具があるのでしょう?楽しみですね!」
穂乃果「おおっ!おにぎりかあ~!穂乃果はシャケ!」
海未「ふふ、気が早いですよ」
□□□
???「えっと…あなたたちが最後尾のお客さんかな?」
海未「はい。あ…注文はどのようにして…」
???「あ、もしかして…初めて来てくれたのかな?ご来店、ありがとうございますっ!私、ここでおにぎり屋さんしてる花陽といいます」
穂乃果「花陽ちゃん!もうおなかぺっこぺこだよ~っシャケあるかな?」
海未「穂乃果!初対面の人に失礼でしょう」メッ
花陽「そんなっ…良いんですよぉ、お客さんみんなそんな感じだし…えっと、穂乃果ちゃんと…そちらは?」
海未「紹介が遅れました。海未です」
穂乃果「海未ちゃんの敬語は気にしなくていいからね!みんなにこうなんだ」
花陽「…穂乃果ちゃんに、海未ちゃん。改めて、今日はありがとうございますっ!立ち話もなんですし、一緒におにぎりでも食べながらお喋りしましょうか」
□□□
穂乃果「海未ちゃんのおにぎりなーに?」
海未「梅干しとスパムおにぎりです。穂乃果のはなんですか?」
穂乃果「えへへ、シャケと天むすだよっ!」
海未「天むすも良いですね…このお店、具の種類が多くて悩みませんでした?」
穂乃果「すっごい悩んだよ~!全部食べちゃいたいぐらいだったもん」
海未「あれだけの種類のおにぎりを全部一度の食事で食べるなんて無理に決まってるでしょう~」
穂乃果「だよね~!」アハハ
花陽「2人とも~!お待たせ~!自分の分のおにぎり握るの時間かかっちゃって…」ドーン
海未「」
穂乃果「」
□□□
花陽「ほわぁ~~っ!今日もご飯がおいしく炊けて幸せですうぅ!!」モグモグ
海未「(今花陽が食べているおにぎりは何個目でしょうか…)」ジー
穂乃果「ほんとにおいしいよ花陽ちゃん!穂乃果、おにぎり食べてこんなにおいしいって思ったの初めてかも…」
花陽「本当ですかっ?!はわぁ~~…嬉しいなぁ…このお米は花陽の自信作なんです♪」
穂乃果「自信作…?」
海未「…!もしかしてこのお米、花陽が作ったのですか!?」
花陽「はい!研究に研究を重ねて生み出した花陽ブランドのお米…『告白日和』、です!」
穂乃果「すっごい…花陽ちゃんってすごい人なんだね…!」キラキラ
花陽「そ、そんなことないよ…!私はただ、お米が大好きなだけで…それに、花陽1人で作ったんじゃないよ?ポケモンたちと一緒に汗水垂らして作ったんだ」
穂乃果「いいなあ…!ポケモンと協力!」
花陽「うん…花陽の知り合いにね?ポケモン育て屋さんで働いてる人がいるんだけど、そのつてでね、花陽はたくさんポケモンを引き取ってるの」
海未「…預けたポケモンの所有を放棄したり、ポケモンの卵が孵った瞬間に逃がすトレーナーがいるから…ですね?」
穂乃果「…!」
花陽「そう。そういうトレーナーは昔からいるらしくて、年々増えてきてるの」
穂乃果「ひどいよっ……穂乃果だったら、絶対にそんなこと、しない」ブルブル
海未「穂乃果…」
花陽「だから花陽は、その事実を知ってから思ったの。ここを…この町を、人とポケモンが仲良く暮らせる町にしたいなって。ポケモンの居場所を作ってあげたいなって、思ったの」
穂乃果「花陽ちゃん…」
花陽「…穂乃果ちゃんは、旅をしてるの?」
穂乃果「! うん、オトノキから来たんだ!まだポケモントレーナーになったばかりだけど…えへへ」
花陽「そっかぁ、…じゃあ、穂乃果ちゃんの旅に、この子を連れて行ってくれない?」
穂乃果「これは…」
海未「ポケモンの卵、ですか?」
花陽「うん、何が産まれるかは花陽もわかんないんだけど」
穂乃果「わあ…!この卵時々動いてる…!」
海未「ということは、産まれるのはそんなに遅くないってことですね」
花陽「ふふ、穂乃果ちゃんなら大丈夫って思ったから。…大事にしてあげてね」
穂乃果「ありがとう!花陽ちゃん!」
花陽「さてと…花陽はそろそろ店じまいして帰らなきゃ…」
穂乃果「えっ、そっか…もうそんな時間かあ…せっかく友達ができたと思ったのに…」
海未「楽しい時間は、過ぎるのが早く感じますね…」
花陽「花陽も、今日はいろんなこと話せたし、お米を褒めてもらえて嬉しかったよ!また、食べに来てね?」
穂乃果「もっちろんだよ!」
花陽「じゃあ、次はジムで会おうね。またね」
□□□
穂乃果「花陽ちゃんはすごいなあ…」
海未「穂乃果は昨日からそればっかりですね」
穂乃果「だって…ちゃんと自分を持ってるっていうか…ジムリーダーの仕事もしながら、ポケモンのために自分ができることを考えて、行動に移してるんだもん。…穂乃果も、なんか目標があればなあ…」
海未「…」
穂乃果「…」
海未「それをこれから見つけていくんでしょう?」
穂乃果「!」
海未「穂乃果はまだトレーナーになったばかりのひよっこですよ?まだたくさん悩めます」
穂乃果「海未ちゃん……そうだよね、穂乃果、らしくなかったよ」
海未「では、続きを再開しますよ!」
穂乃果「えーーっ!もうちょっと休憩しようよお!ガーディもピカチュウも疲れたって言ってるよー!?」
海未「…」チラ
ガーディ「?」
ピカチュウ「?」
海未「疲れてるのは穂乃果だけではないですか!立ってください!」
穂乃果「海未ちゃんのオニー!」
海未「ジム戦に向けてポケモン勝負の稽古をつけてほしいと言ったのは穂乃果の方でしょう!」
穂乃果「わかった!わかったようー!」
海未「この稽古で最後にしますから、シャキッとしてください」
□□□
翌日
穂乃果「おはよう、海未ちゃん」
海未「珍しく早起きですね。朝食の準備ができていますよ」
穂乃果「ありがとう」
海未「…」
穂乃果「いただきます」カチャ
海未「…穂乃果、もしかして緊張してます?」
穂乃果「えっ…!わ、私顔に出てた…!?」
海未「出ていなくてもわかります。いつものあなたなら、『海未ちゃーーーん!おっはよーー!今日の朝ごはんは何かなーっと…わあ!白いご飯に焼き魚に味噌汁!ほうれん草のおひたしまであるよ!いっただっきまーーす!』…ですからね」
穂乃果「海未ちゃん、穂乃果の真似上手…」
海未「あ…!そ、そんなことはどうでもいいんですよ…」カアァ
穂乃果「初めてのジム戦は海未ちゃんだったからあんまり緊張しなかったんだけどねえ」
海未「私と勝負する時も緊張して下さいっ!」
穂乃果「そうだよね…」
海未「…昨日私が注意したことに気をつけて、頑張って下さいね」
穂乃果「うん…」
海未「(これは重症ですね)」
□□□
ーハクマイジムー
穂乃果「た…たのもーっ!」
花陽「あ…穂乃果ちゃん、それに海未ちゃん。来てくれたんだね」
海未「おにぎりドームの中はこうなっていたんですか…」
穂乃果「すごい…お米の博物館みたい」
花陽「えへへ…あ!稲作体験もできるよ?もしよかったらやっていく?」
穂乃果「あ、今回は遠慮で…」
花陽「ふふ、冗談だよぉ。…対戦、だよね?」
穂乃果「よ、よろしくお願いしますっ!」
花陽「そんなにかしこまらなくて良いのに」
海未「穂乃果、朝からずっと緊張しているんです」
花陽「緊張…」
審判「あー、準備いいすか?」
穂乃果「!!は、はい!大丈夫ですっ!」
花陽「…よろしくね、穂乃果ちゃん。…チェリンボ、おねがい!」
チェリンボ「チェリンボ!」
穂乃果「ファファ、ファイトだよっガーディ!!」
ガーディ「バウバウ!」
花陽「花陽から行くよ!」
穂乃果「!(あっ…攻撃来ちゃう!)」
花陽「アロマセラピー!」
チェリンボ「チェリ~!」プワプワーオ
穂乃果「え……」
海未「(対戦はまだ始まったばかり…誰も状態異常にはなっていないはず…と、いうことは)」
穂乃果「な、なんで…」
花陽「…穂乃果ちゃん、気分はどう?よくなったかなぁ?」
穂乃果「……すごくすっきりした気がする…でも、どうして…」
花陽「花陽はジムリーダーとして、穂乃果ちゃんには全力でぶつかってきてほしいから」
穂乃果「ありがとう花陽ちゃん!ありがとう!!」
海未「(いつもの穂乃果に戻ったみたいですね…)」ホッ
□□□
穂乃果「いっくよーガーディ!『かえんぐるま』!」
花陽「チェリンボ、耐えて『しぜんのちから』で反撃!」
ガーディ「ガルルル!」ボボボボ
チェリンボ「…!」
こうかはばつぐんだ!
チェリンボ「…チェリ~!!」ゴゴゴ
こうかはばつぐんだ!
穂乃果「ば、ばつぐん!?ガーディ!大丈夫!?」
ガーディ「バウ!」
穂乃果「よし!ガーディ!とどめに『かみつく』だよっ!」
ガーディ「バウ!」ガブー
チェリンボ「チェ…リ…」パタン
チェリンボはたおれた!
花陽「チェリンボ、ゆっくりお休み」
穂乃果「さっきの『しぜんのちから』って技…!」
花陽「驚いた?…花陽なりに対策してたんだ」
穂乃果「(昨日海未ちゃんが言ってたとおりだ…)」
海未『例えば穂乃果が水タイプのジムリーダーだったとして、何に気をつけたいですか?そうです、電気、草の攻撃。…トレーナーはジムリーダーに勝つために電気タイプや草タイプのポケモンを手持ちにいれてくると思います。…ジムリーダーはそれを見越して、自分のポケモンに電気や草に強い技を覚えさせている可能性があります。ですから、相手にばつぐんをとれるからといって安易にポケモンを選出してはいけませんよ。返り討ちにされてしまうかもしれません』
穂乃果「…(海未ちゃん、よくわかったよ)戻って、ガーディ!」パシュウ
穂乃果「ファイトだよっ!ピカチュウ!」
ピカチュウ「ピッカ!」
花陽「いくよ…花陽の切り札…メブキジカ!」
メブキジカ「フォーン」
穂乃果「!」ピロリン
メブキジカ きせつポケモン
きせつに よって すみかを かえる。
ひとびとは メブキジカの ツノで
きせつの うつりかわりを かんじる。
花陽「私のメブキジカは春の姿。とってもかわいいでしょ?」エヘヘ
穂乃果「うん…それに、とっても強そう…!いくよピカチュウ!メブキジカに『ほっぺすりすり』!」
花陽「かわしてっ!」
穂乃果「ピカチュウの早さに勝てるかなっ?」
メブキジカ「…!!」
ピカチュウ「ピカ~!」スリスリ
海未「(かわいいです)」
メブキジカは麻痺した!
花陽「…!」
穂乃果「よっし!ピカチュウ!『たたきつける』だよ!」
花陽「メブキジカ!『アロマセラピー』で麻痺を治して…!」
メブキジカはしびれて動けない!
花陽「あっ……!」
ピカチュウ「ピッカー!!」バシン
メブキジカ「!!」
穂乃果「いいよピカチュウ!『でんこうせっか』で決めるよっ!」
ピカチュウ「ピカー!」シュバ
メブキジカ「……フォーン…」バタン
メブキジカはたおれた!
花陽「メブキジカ、ゆっくりお休み」
穂乃果「…」
花陽「…おめでとう、穂乃果ちゃんの勝ち、だよ」
穂乃果「やっっったーーー!!」ピョンピョン
花陽「それでは、えっと…このバッジを」
穂乃果「花陽ちゃんのおかげだよっ!」
花陽「えっ?」
穂乃果「アロマセラピーで穂乃果の緊張ほぐしてくれて、本当にありがとっ!!」モギュ
花陽「わあぁ穂乃果ちゃん、恥ずかしいよ!審判の人、見てるよ…!」
審判「(見てない見てない)」
海未「(デジャヴ)」
花陽「えっとそれでね。穂乃果ちゃんにはこのヘヴンバッジをあげますっ」
穂乃果「わあ!ありがとう!(お米の形…かな?)」
花陽「それと、『くさむすび』の技マシン。今日は見せられなかったけど、花陽のお気に入りの技だよ」
穂乃果「ありがとう花陽ちゃん!」
花陽「どういたしまして。次来たら、またお喋りしよっ?」
穂乃果「うん!きっとだよ!!」
□□□
その晩
穂乃果「海未ちゃん、もう寝た?」
海未「……起きていますよ」
穂乃果「…穂乃果ね、今日勝ててほんとに嬉しかったんだ。ただ勝ったからじゃなくて、戦略を考えて勝てたことがね、すっごい嬉しいんだ」
海未「…今日の戦いは、見事でしたよ。いつもみたいにやみくもにつっこんでいくだけの穂乃果ではありませんでした」
穂乃果「えへへー…これからも、穂乃果は…そういう戦い方が、したいなあ…」ムニャ
海未「穂乃果?」
穂乃果「……」スヤァ
海未「さっきまで話していたのに、いきなり寝ちゃうんですから…」クスッ
穂乃果「………」スヤスヤ
海未「今日はお疲れ様でした。おやすみなさい、穂乃果」
□□□
海未「次私達が向かう場所は…ダイプリシティですね」
穂乃果「ダイヤモンド・プリンセス・シティだね!」
海未「正式名称、覚えたんですね。…ダイプリシティは確か、ベジタブル団がよく現れるらしいですから、気を付けなくてはいけません」
穂乃果「うん!じゃあちょっとマップで見てみよっと…ってうわ!」ピロリン
海未「どうしました?」
穂乃果「このダイプリシティってところの面積、めちゃくちゃでっかくない!?」
海未「大都会ですからね。…本当、すごいですよ。見渡す限りビル、マンション、ネオンにお洒落なお店の看板…」
穂乃果「ん?海未ちゃん、行ったことあるような口ぶりだね?」
海未「ええ、まあ。実を言うとダイプリシティのジムリーダーとも知り合いですし」
穂乃果「そうなんだ!じゃあ、ダイプリシティに行ったら海未ちゃんに案内してもらおっかな~」ニヤニヤ
海未「い、良いですけど…私もそこまで詳しくないですよ?」
穂乃果「それでもいいのっ!だって海未ちゃんと遊ぶの久しぶりだもん…楽しみだなあ」
海未「そういえばそうでしたね。…最近穂乃果もずっと頑張ってましたし、ダイプリシティに着いたら思いっきり羽を伸ばしましょうか」
穂乃果「さんせーーーい!決まったところで、出発しよ!」
海未「はいっ!確か、ぷわぷわタウンからダイプリシティに行くには、「さかさまのさかさま洞窟」を抜ければ良かったはずです!」
□□□
ーさかさまのさかさま洞窟ー
穂乃果「ねえ海未ちゃん」
海未「はい、何ですか?」
穂乃果「この洞窟…何が「さかさま」なのかなあ?」
海未「ああ、それでしたら…」
穂乃果「っぶ!!」
海未「…」ベリベリ
穂乃果「な、なに!?いきなり顔になんか…」
海未「このポケモンですよ」
穂乃果「…?」ピロリン
マーイーカ かいてんポケモン
はっこうたいの てんめつを みつめた
あいては めが くらみ たたかう
きもちが なくなってしまうのだ。
マーイーカ「マイッカ!」
海未「この洞窟は、マーイーカしか出現しないんです。どうやら聞いた話によると、「さかさま」というのはマーイーカが進化するときの条件と何か関わりがあるそうで、洞窟の名前もそこから来てるそうなんです」
穂乃果「へ~!面白いなあ…!あっ、よく見るとあちこちにマーイーカがいっぱいいるよ」
海未「かわいいですよね。あ、でも捕まえちゃ駄目ですよ。さかさまのさかさま洞窟は確か誰かが管理している洞窟なんです」
穂乃果「そうなんだ…残念。でも図鑑に登録できてよかった~!」
海未「よかったですね。ポケモン図鑑が順調に…」ピロリロ!ピロリロ!
穂乃果「海未ちゃんのスマホ鳴ってない?」
海未「あ、本当ですね。…ニュースですか」
穂乃果「あ、穂乃果にも来た」ピロリロ!ピロリロ!
ニュース
ベジタブル団が現在、さかさまのさかさま洞窟内にいるとの情報が入りました。洞窟内にいるトレーナーは注意して下さい。なお、情報提供者であるポケモントレーナー(匿名)は、洞窟入口付近でポケモンが入ったモンスターボールを強奪されてしまい、追いかけましたが逃げられました。その後、トレーナーは引き返して洞窟入口前のポケモンセンターに駆け込んだそうです。
穂乃果「……!」
海未「私たちがこの洞窟に入ったのは20分ほど前ですから…もしかしたらベジタブル団はもうすぐそこまで来ているのでは…?」
穂乃果「どうしよう、海未ちゃん!」
海未「慌ててもどうにもなりません。いつでも応戦できるように、ポケモンを出しておきます」
ファイアロー「ピロロロロ!」
海未「ファイアロー、私達の進路を照らして下さい」
穂乃果「それなら穂乃果も…!ガーディ!穂乃果と海未ちゃんの後ろは任せたよっ!」
ガーディ「バウバウ!」
海未「それでもできるだけ、洞窟内で戦うのは避けたいです。土砂崩れでも起きたら大変ですし、ここはマーイーカ達の住処でもありますから、驚かすようなことはしたくありません」
穂乃果「うん、私達が早くこの洞窟を出て、出口で待ち伏せしてベジタブル団を捕まえよう!」
海未「はい…!急ぎましょう!」
□□□
ベジタブル団員A「とか言ってるよあいつら」ヒソヒソ
ベジタブル団員B「俺らすぐ後ろにいるってのに」ヒソヒソ
ベジタブル団員A「あいつらのポケモンも盗っちまおうぜ」ヒソヒソ
ベジタブル団員B「えー?今日の目的はマーイーカ捕獲だけじゃん!さっきだって別にトレーナーのポケモン盗ることなかったのに」ヒソヒソ
ベジタブル団員A「バーカ!言われたことだけやってるようじゃリーダーに見捨てられちまうぜ?」ヒソヒソ
ベジタブル団員B「そうか…じゃあどうする?あの強そうな鳥ポケにすっか?」ヒソヒソ
ベジタブル団員A「いや、あいつはでかすぎるから無理だ。持ち運ぶのも目立つ。あっちの小さい犬ころにしようぜ」ヒソヒソ
ベジタブル団員B「オッケー。あいつなら後ろから口塞いで捕まえれば良いよな。よしっと」ヒソヒソ
ベジタブル団員A「おい待て、これに着替えてからだ」ヒソヒソ
ベジタブル団員B「ああ、すっかり忘れてた。これを着ないとばれちまうもんな、俺たちがベジタブル団だって」ヒソヒソ
□□□
海未「あ…!出口です!出口が見えましたよ穂乃果!」
穂乃果「…………ない…」
海未「えっ?」
穂乃果「ガーディがいないの!!!!!」
海未「!!」
穂乃果「私っ…戻って見てくる!」
海未「危ないですよ穂乃果!洞窟にはまだベジタブル団が…」
穂乃果「だって!!…ガーディが…ガーディが…!!」
警察A「どうかしましたか?」
穂乃果「あ…!」
警察B「私達は、ベジタブル団を探して洞窟内を巡回していました」
海未「それで…ベジタブル団は…?」
警察A「それが…洞窟内のどこを探しても見当たらないんです」
警察B「現在は洞窟内から何らかの別のルートを利用して移動したとみて、調査を進めています」
穂乃果「あ、あの…洞窟で、ガーディを見ませんでしたか…?このぐらいの大きさで、人懐っこい子なんですけど…!」グスッ
警察A「見ていませんね…」
警察B「お役に立てず申し訳ありません。それでは、私達はこのことを上に報告しなければならないので、失礼いたします」
タッタッタ
穂乃果「……うっ…ガーディ……えぐっ…」
海未「穂乃果…」
□□□
ーダイヤモンド・プリンセス・シティー
いまを ときめく ゆめのまち
穂乃果「…」
海未「穂乃果」
穂乃果「…どう?」
海未「ガーディの情報も、ベジタブル団の情報も入っていませんでした…」
穂乃果「そう…」
海未「あと、ジョーイさんがガーディのポスターをポケモンセンターの掲示板に貼ってくれましたよ」
穂乃果「そっか…早く、見つかるといいんだけど……」
海未「ええ… 今日はもう遅いですし、ご飯を食べてゆっくり休みましょう?」
穂乃果「うん…」
□□□
夜
海未「(穂乃果…ご飯にほとんど手をつけていませんでした。余程ショックなのでしょう。…無理もない、ガーディは穂乃果が生まれたときからずっと一緒にいた家族ですから…)」
穂乃果「…」スヤ
海未「(辛そうな穂乃果を見ていると、私まで辛いですね…とりあえず今日はしっかり休んで、明日ガーディの捜索をしましょう)」
穂乃果「…」スヤスヤ
海未「(おやすみなさい)」
穂乃果「…」
海未「…」スヤァ
穂乃果「…」
海未「…」グースカ
穂乃果「…」
□□□
朝
海未「ーーーー…」ノビ
海未「(いつもより早く目が覚めてしまいましたね… さすがに穂乃果はまだ起きていないでしょう)」チラ
海未「……………穂乃果?」
□□□
海未「ファイアロー!お願いします!」
ファイアロー「ピロロロ!」
海未「ファイアロー、上空から穂乃果を探して下さい!私はポケモンセンターの周辺を探します!それから…ルカリオ!」
ルカリオ「ガウッ!」
海未「あなたはさかさまのさかさま洞窟へ!穂乃果の波動を感じたら知らせて下さい!」
海未「(起きたら、穂乃果がいませんでした。トイレにもシャワールームにもいませんでしたし、モンスターボールもリュックもありませんでした)」
海未「(きっとガーディを探しに行ったのでしょう。穂乃果の考えそうなことです。私に迷惑をかけまいと1人で行ったんですね…)」
キイィィィイン
海未「…!ルカリオの波動!…ファイアロー!」ピュイッ
ファイアロー「ピロロロ!」
海未「さかさまのさかさま洞窟まで飛んで下さい!」
□□□
ーさかさまのさかさま洞窟ー
穂乃果「…」
ピカチュウ「ピカ!ピカ!」ペチペチ
穂乃果「……うっ」グス
ピカチュウ「ピカァ…」
穂乃果「…ごめん、ね……せっかく……ピカチュウが、励ましてくれてる、の、に……っ」
ピカチュウ「ピカ…」
穂乃果「ガーディ…どこ、にも……う、ひっく……」
ピカチュウ「ピカッ…」グスン
海未「穂乃果ーーー!!いるなら返事して下さーーーい!!」
穂乃果「う、海未ちゃん!?何で…」
海未「穂乃果ーーー!!」
穂乃果「海…!(喉が枯れちゃって大きい声が出ない!?)」
ピカチュウ「……ピカーーー!!」
穂乃果「!」
海未「今のは…ピカチュウの声!?あっちからですね…行ってみましょう!」
□□□
海未「穂乃果っ!」ザッ
穂乃果「(勝手なことして怒ってる…よね)」
海未「ここにいたんですね… 全く!何やってるんですか!!」
穂乃果「ごめーーー」
海未「心配しました……っ」ギュー
穂乃果「え…」
海未「そんなに喉枯らして、目の下にくまつくって…まさか、一晩中探していたんですか!?」
穂乃果「う、うん…眠れなくて……」
海未「あなたは馬鹿ですか!」
穂乃果「う……」
海未「どうして私に声をかけなかったのですか?」
穂乃果「だって…ガーディがいなくなったのは、ちゃんとガーディを見てなかった穂乃果が悪いんだもん。だから、海未ちゃんに迷惑かけたくなくて…」
海未「やはりそうなのですね…」
穂乃果「……海未ちゃんには何もかもバレバレなんだね」
海未「穂乃果の考えてることなんてすぐわかります!それに、もとはと言えば私が悪いのです!いつでも応戦できるようにポケモンを出しておく、だなんて私が言ったから…」
穂乃果「海未ちゃんは悪くない!悪いのは穂乃果!」
海未「私です!」
穂乃果「私だよ!」グゥ
海未「…」
穂乃果「……私、昨日の夜からほとんど何も食べてないんだった…」グウゥゥゥ
海未「っふ」
穂乃果「笑わないでよお!」
海未「穂乃果、ポケモンセンターに戻りましょう?」ニコッ
穂乃果「……うん。海未ちゃん、探しに来てくれてありがとう。心配かけてごめんね」
海未「いいえ。私とあなたの仲でしょう、このぐらい当然です」
穂乃果「…うん」グスッ
□□□
ーポケモンセンターー
海未「いただきます」
穂乃果「…いただきます」
海未「…」モグモグ
穂乃果「…」モグモグ
海未「食欲が出てきたみたいですね」
穂乃果「うん。…何かね、海未ちゃんが来てくれたおかげでちょっと冷静になれたみたい。いなくなったガーディのことを考えるとすっごく胸が苦しいけど…でも、穂乃果が慌ててたら何の解決にもならないもんね。それに、海未ちゃんが来る前ね、ピカチュウがずっと励ましてくれてたの。穂乃果が大声出せないってわかったときも代わりに叫んでくれたり…。とっても、元気を貰ったんだ。私は、ひとりじゃないんだなあって。…だから、私はもう落ち込まない!ガーディが見つかったとき、笑顔で会いたいから!」
海未「…良い心掛けです。でも穂乃果、約束して下さい」
穂乃果「?」
海未「もう絶対に無茶はしないで下さい。……どうしても無茶がしたくなったら、私に言うこと。約束してくれますか?」
穂乃果「…!わかった!本当にごめんね海未ちゃん、心配かけてっ……う、うわあああん!!」ドバー
海未「ま、まだ涙が出るのですか…!全く穂乃果は、さっき宣言したばかりで…」
パリッ
穂乃果「!」
海未「!」
パリッ
海未「この音は…?」
穂乃果「…穂乃果のリュックからだ!」バッ
パリッ
穂乃果「海未ちゃん見て!花陽ちゃんから貰った卵が…!」
海未「!!」
パリパリパリパリ
ヒマナッツ「ナッツ~♪」
穂乃果「わあ…小さくてかわいい…!」ピロリン
ヒマナッツ たねポケモン
はっぱの うらがわに たまった あさつゆ
だけを のんで くらす。ほかには なにも
たべないという。
ヒマナッツ「ヒマ!ヒマ!」プンスカ
穂乃果「あ…ごめんね小さいなんて言って」
ヒマナッツ「ナッツ♪」ピョンピョン
海未「表情豊かで、まるで穂乃果みたいですね」フフ
ヒマナッツ「??」
海未「…このタイミングで生まれてくるなんて、まるで穂乃果を元気づけようとして生まれたみたいですね」
穂乃果「そうだと嬉しいなあ」
□□□
海未「これからどうしましょうか」
穂乃果「穂乃果は、ガーディを探したい!遊んだりジムリーダーに挑んだり遊んだりするのはそのあとだよ!」
海未「あなたならそう言うと思ってました。…ガーディがいなくなったのは昨日、ですよね」
穂乃果「うん。少なくともさかさまのさかさま洞窟の途中までは穂乃果と一緒だったんだし、そんなに遠くに行ってないと思うんだけどなあ」
海未「それにしても不思議ですね。ガーディだけが途中でいなくなってしまうなんて…まるで神隠しです」
穂乃果「穴とかにはまって出られなくなっちゃったのかな…とか考えたんだけど、昨晩穂乃果が探した感じだとそういうのはなかったんだよね」
海未「そもそもそんな穴があったら最初に私たちが気づくはずですし、もし穴にはまったとして、ガーディだって黙っているわけがありません」
穂乃果「だよねえ。普通は私たちに助けを求めるよね…」ウーン
海未「とりあえず、外に出て情報収集でもしましょうか」
穂乃果「そうだね!」
海未「あ…でも穂乃果、寝なくて大丈夫ですか?そういえば一睡もしていないんですよね?」
穂乃果「えっ、でも…」
海未「ガーディが心配なのはわかりますが、体力が無くてはどうしようもありませんよ」
穂乃果「そっか…うん、じゃあお言葉に甘えて眠ろうかな」
□□□
夕方
穂乃果「…んーー!眩しい…!朝…?」
海未「夕日の光ですよ、穂乃果」
穂乃果「あっほんとだ…4時か」
海未「よく眠れましたか?」
穂乃果「ご飯食べたあとだったし、すっごいよく眠れたよー」
海未「それはよかったです。さ、ルカリオ。次は右手の爪を磨きますので右手を出してください」
ルカリオ「ガウッ!」
海未「…♪」キュッキュ
穂乃果「その子かっこいいね。何ていう名前なの?」
海未「ルカリオといいます。格闘/鋼タイプのポケモンです。この子はとっても頼りになるのですよ、今日穂乃果を探し出してくれたのもこの子なんです」
穂乃果「そうだったんだ!海未ちゃんどうしてここがわかったんだろうって思ってた」
海未「ルカリオに穂乃果の波動を感じ取って貰ったのです」
穂乃果「なんかわかんないけどすごいね!オーラみたいなものなのかな? それでガーディも探せないのかな?」
海未「すみません、ポケモン同士の波動はまだ修業中なんです」
穂乃果「そっかあ…よしっ!じゃあ、よく眠れたことだし情報収集しに行こう!」
海未「ええ」
□□□
穂乃果「それにしてもダイプリシティ、すごいね…この前海未ちゃんが言ってたとおりだ」
海未「でしょう?遊ぶには困らないところですよ。ポケモンバトルをしてお小遣い稼ぎができる施設もあるようですし」
穂乃果「へえ~…オトノキでもそういうのあればいいのに~」
海未「人口の問題もありますけどね。…何でしょう、あっち騒がしくないですか?」
穂乃果「もめてるみたいだね…ちょっと言ってみよう!」
「マーイーカ達を返してって言ってるんよ!」
「だから知らないって言ってるだろ!」
「変な言いがかりつけてんじゃねえ!」
穂乃果「あの、何かあったんですか?」
???「! あなたたちは?」
穂乃果「オトノキ出身の穂乃果といいます」
海未「同じく海未です」
???「…穂乃果ちゃんに海未ちゃん。ウチは希」ファサ
穂乃果「(わっ!フード被ってたからわかんなかったけど、すっごい綺麗な人…)」
希「あんな、この人達がマーイーカを返してくれないんよ」
この人達A「だから、俺達はやってないって言ってんだろ!!」
海未「………この人達…何か見覚えが…」
穂乃果「えっ!海未ちゃんの知り合い?」
海未「いえ…知り合いではないのですが…最近どこかで……」
この人達B「……!!お、おい逃げるぞ!」
この人達A「え?何でだよ?まずはこのアマに落とし前…」
この人達B「いいから!!」グイッ
海未「追いましょう!」ダッ
希「海未ちゃん、なにか思い出したん?」
海未「…ええ。私の記憶違いで無ければ…昨日、さかさまのさかさま洞窟出口で会いました」
穂乃果「えっ?でも昨日会ったのって警察の人じゃ…」
海未「穂乃果はあの時ガーディのことで精一杯でしたから、あの人達の顔を見る暇などなかったでしょう?」
穂乃果「う、うん…」
海未「顔と声と背丈でもしかして…と思ったんです。あちらも私に気づいて逃げたようでしたし」
希「あ!あそこ曲がったよ!」
□□□
海未「っはあ、はあ…」
穂乃果「き、消えた!?穂乃果たちすぐ曲がったよね!?」
海未「…おかしいです。この先は行き止まりのようですし…」
希「………」
海未「希?」
希「………」スッ
穂乃果「(カード…?)」
希「………」ペラ
海未「……?」
希「…この下や。この下にさっきの人達はいる。どっかに入口があるはず…」カツカツ
希「ん、ここだけ歩いた時の音が違うかな…?ちょっと押してみるね」グッ
ギイィィィイィ
海未「…!これは…隠し通路!?」
穂乃果「地下…かな?階段が続いてるよ!」
海未「希、あなたは一体何者なんですか?それに、さっきのカードは…?」
希「……隠しててもしょうがない、かな。改めまして、ウチはスピリチュアルジムのジムリーダーをしてる希。よろしくね。あのカードはウチのお守りみたいなものかな。ジムにいない時は巫女さんをしてるんやけど、そこでカード占いをしてるんよ」ニコッ
穂乃果「じゃ、じゃああなたがダイプリシティのジムリーダーさん!?」
希「ううん、ウチはスノハレシティってところのジムリーダーなんよ。ダイプリシティの次の次の町だったかなあ」
海未「そんな遠いところから、どうしてここに…?」
希「話すと長くなるんやけどね…穂乃果ちゃんと海未ちゃん、オトノキから来たって言ったっけ。てことは、さかさまのさかさま洞窟は知ってるよねー?」
穂乃果「うん!マーイーカがいっぱいいるところ!」
海未「確か誰かが管理している洞窟なんですよね?」
希「…驚くかもしれないけど、実はウチがその管理者なんよ。前はウチのおばあちゃんが管理してたんやけど、おばあちゃんももう体力が落ちてきたし、ウチがジムリーダーになるのと同時に権利をゆずってもらったん。…でね、出ておいで、マーイーカ」
マーイーカ「マイッカ!イッカ!」キラッ
穂乃果「この子、他のマーイーカと色が違う…?」
海未「色違いのポケモンのようですね。初めて見ました」
希「…洞窟でマーイーカ達に何かあったら、この子がマーイーカ達の危険を感じ取ってウチに伝えてくれるんよ。それでね、昨日…この子に『洞窟のマーイーカ達が危ない!』って教えられて急いで洞窟まで来たんよ。そしたら、マーイーカ達がごっそりいなくなってて…かろうじて残ってた子達に話を聞いてね…カードも使って占って…さっきの人達が怪しいっていうところまで導き出した…そして今に至るって感じかな」
海未「そうだったんですか…話してくれてありがとうございます。…実はあの人達に私と穂乃果も用があるんです」
希「そうみたいやね。もしよかったら話してくれるかな」
穂乃果「うん。昨日ね、私たちも洞窟を通って来たんだけど…途中で、洞窟内にベジタブル団がいるって情報が入ったの。それで、怖かったからガーディをボールから出して一緒に歩いてた。それでね…洞窟から出たとき、気づいたの。ガーディがいないってことに」
海未「そうして私たちが出口で話していたら、洞窟を抜けたであろう警察官に話しかけられたんです。ベジタブル団とガーディのことを尋ねましたが、情報は得られませんでした。でも、さっき私たちが追いかけていたあの二人組…顔・声・背丈どれもあの警察官と一致しています。それに私の顔を見て逃げたことも考えると…」
希「同一人物…ということやね」
海未「そう思います。…だとすれば、ベジタブル団やガーディのことを隠す意味は…」
穂乃果「!!もしかして…あの人達がベジタブル団ってこと…?」
海未「そうとしか考えられません」
穂乃果「あの人達がガーディを…」
希「なるほどね。聞かせてくれてありがとう。二人とも、ウチと目的は一緒みたいやね」
海未「ええ。希はこれからどうするんです?」
希「今すぐ乗り込みたいところだけど…ウチは一度スノハレシティに帰らなきゃ。急いで来たからジムも巫女さんの仕事もほっぽって来ちゃったし、おばあちゃんにも報告しないと」
海未「そうですか…」
穂乃果「………」
希「……ウチは一度帰るけど、くれぐれも無理しちゃあかんよ?ベジタブル団って最近有名になってきたし、おっきい組織だからきっとむやみに乗り込んだら返り討ちにされちゃう。穂乃果ちゃんの気持ちはウチも痛いほどわかるけど、冷静になるってことを忘れちゃ駄目。…一応、ダイプリシティのジムリーダーにも連絡入れとく。…きっと力になってくれると思う。二人とも、気をつけてな」
□□□
穂乃果「………」
海未「さて、希は帰ってしまいましたが… 私たちはどうしますか?」
穂乃果「……今すぐ乗り込みたい、けど…怖い」
海未「怖い?」
穂乃果「穂乃果らしくないよね、早く強くならなきゃいけないのに…」
海未「…無理をしないで下さい 足が震えています」
穂乃果「…うん」
海未「いざこうやってアジトを目の前にしているのですから、怖くて当然です」
穂乃果「海未ちゃんも怖いの?」
海未「ええ、私たちはベジタブル団のことを何も知らないですからね 規模や、目的など…」
穂乃果「………だよね」
海未「……ところで穂乃果、今何時ですか?」
穂乃果「えっ、えっと、6時になるところだけど…?」
海未「…ちょっと、私についてきて下さい」
穂乃果「う、海未ちゃん!?」
□□□
ダイプリシティ 時計塔前
穂乃果「?? 急にどうしたの海未ちゃん、ここは…?」
モブ「っひょー!間に合ってよかったー!」
モブ「仕事早めに切り上げてきたぜ!」
穂乃果「人がいっぱい集まって来た…何かが始まるの…?」
海未「ええ」
???「~♪ ♪ ♪」
穂乃果「(! 時計塔の時計がドアみたいに開いて…)」
???「Hi!hi!hi!にっこり~して~みてよ~♪」
モブ「うおおおおお!!!きたーーー!!!」
モブ「今日も可愛いっ!!」
穂乃果「す、すごい…」
海未「…久しぶりですね、にこ」
穂乃果「知ってるの?」
海未「驚いた 穂乃果は知らないのですね、トップアイドルにこにーを…」
穂乃果「にこにー?」
海未「はい テレビ、ラジオ、ファッション雑誌…幅広く活躍しているアイドルです」
穂乃果「アイドル…!?」
海未「今一番人気と言っても過言ではありませんね…にこは毎日、この時間になると時計塔でライブをするんです」
にこ「にっこ♪にっこ~♪に~こ~にこ~♪だ~よ~♪」
穂乃果「すごい…!あんなにちっちゃいのに…、どこから声出してるんだろう」
海未「そこがにこの魅力の1つでもありますからね」クスッ
穂乃果「それに一緒に歌ってるあのポケモン…」ピロリン
プリン ふうせんポケモン
まるくて おおきい ひとみで さそいこみ
ここちよい うたを うたい
あいてを ねむらせる。
プクリン ふうせんポケモン
キメこまやかな たいもうは
ごくじょうの はだざわり。
いきを すいこんで ふくらむ。
にこ「ほらっ♪たのしくなれ~♪」
穂乃果「息ぴったり…それもとっても楽しそうに…」
海未「ふふ… 元気そうで何よりです、にこ」
□□□
海未「ここで待ってれば、もうそろそろにこが下りて来ますよ」
穂乃果「時計塔の中、私たち入っちゃって良かったの?」
海未「ええ 鍵は持っていますから」ジャラ
穂乃果「なっ、何で!?」
海未「この時計塔はジムリーダー達が会議をする時に集まる場所となっていますので まあ、会議なんて全然しないんですけどね」
穂乃果「えっ、じゃあにこちゃんって…」
にこ「何か話し声がすると思ったら…海未!!」
海未「にこ!お久しぶりです…!元気そうですね」
にこ「あんたこそ元気そうね それより見て!この衣装!」クルリン
海未「新しい衣装ですよね?淡いピンク色がにこにとても似合っています」
にこ「ふっふ~ん、ことりが作ってくれたのよ♪」
穂乃果「ことりちゃんが!?」
にこ「…ん?あなたは?」
海未「幼馴染の穂乃果です」
にこ「あ~!あんたが穂乃果ね!海未とことりからたくさん話は聞いてるわよ」
穂乃果「? ??」
海未「混乱してるみたいですね…」
にこ「まあするわよね。にこシャワー浴びたいし、ご飯作んなきゃだから帰るけど、にこの家来ない?そのことについても話したいし」
□□□
にこ宅
にこ「たっだいま~♪」
海未「お邪魔します」
穂乃果「おじゃまします!」
こころ「お姉さま、その方々は?」
にこ「こころ、ただいま この人達は海未と穂乃果、にこの友達よ」
こころ「こんばんは、こころです!ただ今お茶を淹れて参ります」ペコリ
にこ「ありがと!ここあと虎太郎は?」
こころ「ゲームして疲れて二人で寝ちゃってます」
にこ「そう… あ、海未と穂乃果は座ってて!にこシャワー浴びて来るから!」
穂乃果「えっと…えっと…」
海未「ふふっ、色々混乱していると思いますので、にこがシャワーを浴びている間に私から説明しましょう」
穂乃果「うん、お願い」
海未「何から話せば良いでしょうか…」
海未「…ことりが、昨年デザイナーになるための勉強をしにオトノキから出て行きましたよね」
穂乃果「…確か、オトノキからとっても遠い町に行っちゃったんだよね」
海未「ええ …それで、有名デザイナーに弟子入りしようとしたことりは、今までの数々の自信作を見せたんです」
海未「勇名デザイナーは考えました 『これは素晴らしい』『でも、まさかこんな若い子が…』『既製品を持って来たんじゃないのか?』」
海未「どうしても信じられなかったので、ことりに1つ仕事を与えたんです それをこなしたら、デザイナーとしての活動を許す、と」
穂乃果「信じられないのも無理ないよ…ことりちゃんのセンスって本当に凄いもん」
海未「その仕事というのが、『新人アイドルの初ライブ衣装を作る』というものでした」
穂乃果「!もしかして、にこちゃんのこと…!?」
海未「そうです」
海未「ことりがにこに曲と衣装のイメージを聞きにダイプリシティに来た時、私も付き添いで行きまして…その時ににこと知り合ったんです」
海未「もちろんその仕事は大成功でした あの壁に飾ってある写真を見て下さい、あれがことりが作った衣装です」
穂乃果「わあ…リボンとフリルが可愛い…!さすがことりちゃんだなあ…」
海未「最近ことりはニュースにも出ていますから、穂乃果も知っているとは思っていましたが…」
穂乃果「穂乃果、テレビはドラマ以外あんまり観ないから…でも、ことりちゃん、ますます会いたくなってきたよ!どこの町にいるか知ってる?」
海未「まだまだ先の町ですよ、マップによると…ここですね」
穂乃果「…スピカ島…?ここからでもかなり遠いね」
海未「ですね 海を越えなければいけませんし…」
穂乃果「早く会いたいなあ…」
にこ「お待たせ~っ♪」ホカホカ
にっこにっこにー♪電話だよ♪にっこにっこにー♪
穂乃果「(自分の声を着信音にしてるんだ…)」
にこ「あ、ごめん電話出るわね もしもし希?どうしたの?…え?……海未と穂乃果…?あっうん知り合いなんだけど……うん うん……そうなの…了解、任せなさい!…ていうかあんたたちジムリーダーの顔と名前ぐらい知っておきなさいよね……うん、じゃあね」ピッ
海未「……希、ですよね」
にこ「ええ。たった今話は聞いたわ」
海未「私がついていながら…申し訳ありません」
にこ「何であんたが謝るのよ。悪いのはベジタブル団でしょ?」
海未「ですが…」
にこ「心配しないで。にこが強くしてあげる…穂乃果!明日はにこの特訓に付き合いなさい」
穂乃果「えっ…でも」
にこ「でももだってもないの!今のままのあんたじゃ戦えない」
海未「穂乃果、私からもお願いします」
穂乃果「そんなに言うなら…わかった。そうだよね、強くならなきゃ…強くならなきゃ…」
にこ「………」
にこ「とりあえず今日はにこの家泊まって行って。ご飯作ってくるわね」
□□□
次の日
にこ「朝よ!ほら起きる起きる!」
穂乃果「ん~もうちょっと寝るう…」モゾ
にこ「アイドルの朝は早いのよ!起きなさい!」バッサー
穂乃果「もう~…穂乃果アイドルじゃないのに~…」
にこ「でも起きるんじゃない。偉いわよ」
穂乃果「むう」
にこ「そんな顔しないの。さ、顔洗って着替えてきなさい?」
穂乃果「はあい」
にこ「いただきます」
穂乃果「いただきます」
にこ「穂乃果はご飯派?パン派?」
穂乃果「私は断然パン派だよ~パン大好き!にこちゃんは?」
にこ「ご飯ね。パンも好きだけど。あ…ご飯といえば、ダイプリシティに来てるってことはもうハクマイジムには行ったのね?」
穂乃果「ああ、花陽ちゃんね」
にこ「あの子のお店には行った?」
穂乃果「おむすび屋さんだよね、あのお米おいしかったな~」
にこ「にこも久しぶりに行きたいわ~」
穂乃果「花陽ちゃんのお米への情熱は確かにすごいね」
にこ「ジムがお米博物館だものね」
穂乃果「あの時穂乃果緊張してたから落ち着いて見れなかったんだけど、何か稲作体験もできるって聞いたよ…」
にこ「にこの知らない間にそこまで改造してたのね…まああの子お金あるものね…」
穂乃果「んー!でもたまにはご飯もいいね!おいしいよにこちゃん!」
にこ「あったりまえでしょ?にこは可愛くて強くて料理も上手なスーパーアイドルなのよ」
穂乃果「(自分で言っちゃうんだもんなあ、間違ってないけど)」
にこ「何よその顔。…あー、あんたがパン好きって知ってたらにこがパン焼いてあげたのに」
穂乃果「そんなの悪いよ、泊まらせてもらってるのに」
にこ「そんなこと気にしなくて良いわよ?…ま、いっか。さ、これ食べたら特訓よ」
穂乃果「!!うん…頑張らなきゃ…」
にこ「…」
□□□
穂乃果「そういえば海未ちゃんは?」
にこ「今更ね。海未ならにこたちより早く起きて出かけたわよ」
穂乃果「何だろう?」
にこ「……さあ?海未も特訓かしらね」
穂乃果「かな?」
にこ「さあ穂乃果、にこの特訓に付き合ってもらうわよ」
穂乃果「はい!!よろしくお願いします!!強くなるよ!」
にこ「にっこにっこに~!」
穂乃果「…え?」
にこ「なにボケッとしてんのよ、ほら!にっこにっこに~!」
プクリン「~♪」
プリン「~♪」
穂乃果「…えっ?え?」
ピカチュウ「?」
ヒマナッツ「??」
にこ「にっこにっこに~!」
プクリン「~♪」
プリン「~♪」
にこ「笑顔の練習!鏡に向かってにこっ♪」
プクリン「♪」ニコッ
プリン「♪」ニコッ
にこ「にっこにっこに~!」
穂乃果「ちょ、ちょちょちょ待ってよにこちゃん!」
にこ「何よ」
穂乃果「何よじゃないよ!今日は特訓するんじゃ…」
にこ「してるじゃない。特訓」
穂乃果「してないじゃん!こんなんじゃ強くなれないよ!」
にこ「こんなん?…この特訓はねえ、自分に「できる」って言い聞かせるための特訓なのよ。まあやってみなさいよ」
にこ「にっこにっこに~!」
穂乃果「もう!私、遊んでる場合じゃないんだよ!今日は強くなるために特訓するって言ってたじゃん!早く強くならなきゃいけないのに…っ」
ピカチュウ「ピ、ピカァ…」オロオロ
ヒマナッツ「ナッツ…」オロオロ
にこ「遊び?」
にこ「私のやってること遊びって言いたいわけ?」
穂乃果「あ…」
にこ「あーそう、そうなんだ」
穂乃果「ご、ごめ」
にこ「アッタマきた。穂乃果、にこと勝負しなさい」
穂乃果「ぅええええ!?」
にこ「ふん。にこはこの特訓毎日してるわよ?毎日遊んでるにこになら勝てるわよね?」
穂乃果「そんなつもりじゃ…」
にこ「…移動するわよ」
穂乃果「(大変なことになっちゃった…)」
□□□
―ニコニージム―
穂乃果「(ここがジム…?まるで)」
にこ「ライブハウスみたいでしょ」
穂乃果「!う、うん…」
にこ「にこが初めてライブをした場所」
穂乃果「!」
にこ「…にこはね、早く一人前になりたかったの。妹たちにおいしいものを食べさせるため、良いお洋服を着せてあげるため…そのためにはお金が必要だった」
穂乃果「………」
にこ「でもにこは頭も良くないし、料理が得意なんて言ってもホントににこなんかじゃレベルが低くてこの都会では通用しないし、その辺で雇ってくれるとこなんてなかった…でも、ひとつだけ思い出したの。にこにはこれがあるって」
穂乃果「………」
にこ「にっこにっこに~♪」
穂乃果「あ……」
にこ「これをすると、妹たちはすぐ笑顔になったわ。魔法みたいにね」
にこ「私には人を笑顔にする才能がある。それを信じられたから、アイドルになれたの」
にこ「だから私にとってこれは魔法なの。ま、初ライブが成功したのはことりの衣装のおかげでもあるけど―…」クルッ
穂乃果「………」ボロボロ
にこ「なっ、なに泣いてんのよ!!言っとくけど私もう別に怒ってないわよ!!?」
穂乃果「…めんなさい…ごめんなさい…」
穂乃果「にこちゃんのこと…馬鹿にするつもりなんて……なかったのにぃ…」ボロボロ
にこ「はぁ。わかってるわよ、あんたが切羽詰まってることぐらい。ごめん、にこも大人げなかったわね」
にこ「でも大丈夫。あんたのガーディは無事よ」
穂乃果「えっ……」
にこ「希の占いにそう出てるらしいわ。信じなさい」
穂乃果「うんっ…うんっ…!」
にこ「じゃ、にこの家帰るわよ」
穂乃果「え、勝負は?」
にこ「…やっぱり、ジム戦はガーディが返って来てからの方がいいでしょ?」ニコッ
にこ「さーてと、やるわよ~っ」
穂乃果「やるって何を?にこちゃん」
にこ「パン作り!」
穂乃果「パン作るの!!!!??」パァア
にこ「ふふっ、嬉しそうね。さっき海未に電話して足りない材料買ってきて貰うように頼んどいたから」
穂乃果「えへへ、パンなんて久しぶりだな~!うれしいなぁ」
□□□
続き無いの?
すみません、書きためたものはあるのですが最近忙しく更新できませんでした。休みの日であいている時間に更新していきます!
続きが気になって夜しか眠れません!!!続き、楽しみにしてます!
更新はまだですか!?続きが読みたくて仕方ありません(´Д` )
コメントありがとうございます!
また更新し始めましたのでどうぞよろしくお願いいたします!