艦娘なんて大嫌い(再投稿版)
前回、BB-62 ニュージャージーで書いてたやつと殆ど一緒です。
初投稿です。
艦これのシステムとかは全然わかりません。
頭の中に浮かんだ物の、試し書きみたいなものです。
至らない点もあるかとは思いますがどうか「生ぬるーい目」で見ていってください。
タイトルでは艦娘嫌いと言ってますが、中の人は艦娘好きです。(本当ですよ?)
突然だが、まず俺のことについて語らせてほしい。
俺は昔、提督だった。
昔から努力家だったおかげで海軍の訓練校を成績トップで卒業し、俺は提督になった。
いや別に「提督になったことあるんだぜ!スゲーだろ?」って自慢したいわけじゃないんだ。
だって俺は...
「艦娘」が大嫌いなのだから。
これはそんな艦娘嫌いな俺が、自分なりに真面目に提督として生きた、少し昔のお話。
(提督視点)
「はあ...ついにこの日が来ちまったか...」
俺は一つ息を吐いた。
船に揺られること2時間、ようやく目的地の鎮守府に着いたようだ。
俺は船から降ろされ、船は俺を置いて行ってしまった。
冷房のそれなりに効いていた過ごしやすい船内とはうってかわり、島は真夏の中にあった。
真夏の日差しが容赦無く僕に襲いかかる。
「暑い...」
このままの暑さではろくに頭も回らない。
島に来て早々に気が滅入ってしまいそうだ。
暑さの他にも俺の気を憂鬱にさせるものがある。
それが...
吹雪「いやー、流石に南の島は暑いですね!司令官!」
提督「おぉ、そうだな...」
コイツ、駆逐艦吹雪の存在だ。
吹雪「司令官の初期艦に選ばれるなんて!私、とっても幸せです!」
正直コイツを初期艦に選んだのは間違いだった...
やかましい。というより目障りだ。
しかしここで、
「さっきから煩いんだよ!暑いんだから静かに歩け!」
なんてことを言ってしまっては駄目だ。
さっき船に乗ってるときに、「必見!優しい上司になる方法!初級編」(税込758円)っていう本を読んで学んだ。
もちろん表紙は吹雪に見せてないよ。
だってこれから配属されるところの新人上司が、いきなりこんな本取り出したら...ね?
あ、因みに俺はまだ海軍の訓練校を卒業したばかりだ。
と、読者の皆様に大体の説明が終わったところで吹雪が一つの建物を指差し、
吹雪「あれが鎮守府ですかね?」
と、言ってきた。
なるほど、確かに見たところそうみたいだ、さっきグーOルマップで見た建物にそっくりだ。
提督「そうみたいだな」
吹雪「司令官!ここからあの建物まで、どっちが速いか勝負しましょう!」
え?ちょっと待って?俺走るの苦手...
吹雪「行きますよ!よーいドン!」
提督「おい!ちょっと待て!」
仕方がないから走って追いかける。
部下に「体力無い奴」って思われたくないしな...
まあ、こんな感じで俺の艦娘(吹雪)との鎮守府生活が始まった...
(提督視点)
提督「はぁ...はぁ」
吹雪「ふぅ...ふぅ」
うん、結果から言おう。
見事無事に、俺は吹雪にかけっこで勝つことができた。
それは良かったんだよ、うん
でもさ...
提督「あのさ、吹雪」
吹雪「なんですか司令官?」
提督「これって...鎮守府?」
吹雪「もちろんです!どこからどう見ても鎮守府じゃないですか!」
え?何?鎮守府ってこんなにボロくて小さいの?
なんか窓ガラス割れてるよ?門めっちゃ錆びてるよ?もはや住めそうにも無いよ?どう考えても鎮守府()じゃんこれ!
ほらやっぱり鎮守府って言ったらさ、すごく大きくて立派でピッカピカなの想像するじゃん。
思ってたんと違う...
吹雪「これが私達の鎮守府ですね。これからお世話になります。」
そう言って吹雪は鎮守府()に向かって律儀にお礼をした。
いや待って?なんでそんなに冷静なの?疑おうよ!?流石におかしいと疑うべきだよこれ!?
吹雪「では私は、先に鎮守府の中を確認してきますね!」
提督「...オオ、マカセタゾ」
ここが俺の職場かよ...
笑えねぇな...
___________________________
皆さんはじめまして!吹雪です!
今日は私にとって特別な日です。
皆さんも、もうわかるでしょう?
そうです!憧れの "鎮守府" に、司令官と一緒に行けるんです!
もちろん緊張はありますが、それ以上にわくわくしています!
船の中で、私の司令官さんはずっと本を読んでいました。
きっと、とっても真面目で勤勉な方なんですね!
私も見習いたいです。
島について鎮守府が見えた途端、ワクワクが抑えきれないぐらい大きくなっちゃって。
つい司令官に提案しちゃいました、
「司令官ここからあの建物まで、どっちが速いか勝負しましょう!」
本当はこんなことを言ってはいけないんでしょうが、その時はつい言っちゃったんです。
それから競争の後は、私が先に鎮守府の中を確認することになりました。
「ここから、私達の物語は始まるんですね」
そんなことを言って私は鎮守府の門をくぐり、建物の中に入りました。
その後、「あんなこと」になるなんて思ってもいませんでしたがね...
吹雪が 鎮守府() の中を見てくれるらしい。
「流石に部下だけに仕事をさせるわけにはいかないからな...島の見回りでもするか。」
そんなことをつぶやきながら、大木の下に大きな荷物を置いて、俺は島を見回ることにした。
30分ぐらい見回っただろうか。
しかし、
「やっぱり暑い...」
そう、どうしようもなく暑いのだ。
水を飲もうとして持っていた携帯バッグの中をを見てみるが、
「あ、もう無えや...」
そう、水はとっくに切れていた。
「まだ道は続いてるけど、疲れてきたし一旦水を取りに帰るか...」
そう言って俺は 鎮守府() へ向けて歩き出した。
鎮守府に入ってみて、私ははまず思いました。
"かび臭い”と。
しかし、
「どんなところであろうと鎮守府は鎮守府です!」
前向きな姿勢はいつでも大切ですから。
その後私はいろいろなところを見てまわりました。
「ここは執務室かな?見たところ机と椅子があるだけか」
「食堂かな?多少荒れてはいるけど冷蔵庫とか、水道とかはまだ使えそうです」
「こっちは見たところ工廠みたいです。機械には弱いので詳しいことは言えませんが、頑張ればまだ動きそうですね」
「やることがいっぱいで、働きがいがありますね!」
と、ここで
提督「吹雪ー!探索終わったー?」
司令官が呼んでるみたいですね。
吹雪「今行きます!」
そう言おうとして、走り出した途端
私の足元で "バキッ" っという音がして
私は何がなんだかわからなくなって叫びました。
吹雪「キャーーーーーーーーー!!」
(提督視点)
水を飲む音と波の音だけが響く。
「ん...ん... ふう、美味いな」
やはり暑い中飲む水はいつもより美味い。
なぜそう感じるのだろうか...やっぱり体が求めてるのかな。
ん?求める?そう言えば俺、女から求められたこと無いんだよなぁ...
いや...多分機会が無かっただけだ、うん。
別に彼女が全然できなかったからとかそういう理由で海軍の訓練校に入学したとかじゃ無いからね?
絶対に違うからね?
まあ
...あ、そうだ吹雪!もうそろそろ鎮守府内の探索も終わっただろ!
そろそろ呼んでもいい頃だよな!
ア、ベツニハナシヲソラシタワケジャナイヨ(棒)
「吹雪ー!探索終わったー?」
と言い終えた瞬間、 鎮守府()の方から悲鳴が聞こえてきた。
吹雪「キャーーーーーーーーー!!」
提督「吹雪!?」
俺は 鎮守府() の方へと走り出した。
(提督視点)
俺は走り出した、はずなのだが。
ふと足を止める。
...え?なんかこういう物語のテンプレだから取り敢えず走り出したけどさ。
提督「もし、吹雪が敵に会ったのだとしたら...」
___パターン1___
提督「吹雪!大丈夫か!?」
敵「何だ貴様!?」
吹雪「...」血塗れ
提督「...あ、お取り込み中失礼しました」
敵「...見られたのなら仕方がないな」
提督「あ、ちょっと待って...あふん↑」
---死亡---
___パターン2___
提督「吹雪!大丈夫か!?」
敵「ふむ、まだ発育途中だがなかなかいい体じゃないか」
吹雪「もう...やめてください...」
提督「...!?」驚愕
敵「...邪魔が入ったか...邪魔するなら取り敢えず○ね」
提督「...女子の裸が見られたのだ...もう悔いは無いよ」
---死亡---
___パターン3___
提督「吹雪!大丈夫か!?」
吹雪「て、て...提督...あれを!」
提督「?」
┌(┌ ^o^)┐┌(┌ ^o^)┐┌(┌ ^o^)┐┌(┌ ^o^)┐┌(┌ ^o^)┐
謎の生命体たち「ホモォ...」
提督「...終わったな、こりゃ」
吹雪「そうみたいですね...」
---死亡---
だめだこりゃ...正解が一つもないぞ...
提督「クソ!どうすりゃいいんだ!」
(提督視点)
提督「ええぃ、悩んでいる暇なんてない!助けに行くぞ!」
本当は逃げたくて仕方がないが、秘書官がいなけりゃ鎮守府生活は成り立たない。
俺はドアを蹴破る。
なんかこういうSSでは「ドアは蹴破るのが良い」
と、父親から教わった...気がする。
てかSSってなんだよ...
取り敢えず、心の声は置いておく。
提督「吹雪!大丈夫か?」
視界は埃で悪い。
吹雪「司令官!?なぜここに!?」
暗い中から声が聞こえる。
どうやら吹雪は今のところ無事なようだ。
提督「一体、何があったんだ!?」
俺は吹雪に問いかける。
吹雪「えっと、その...そう!敵襲です!」
...なんだって!?
提督「大丈夫なのか!?」
吹雪「私は大丈夫ですから!早く逃げてください!」
切羽詰った声が聞こえる。
提督「吹雪...そんな...」
吹雪「いいから早く!」
提督「...吹雪...すまん」
俺は逃げ出した...
と見せかけて、カバンの中に入っていた軍刀を取り出す。
逃げたと見せかければ敵も油断するだろう。
俺は軍刀を握りしめ。
暗い中、声が聞こえた方へ走っていった。
一つの部屋にたどり着いた時。
吹雪「て、司令官!?」
確かに吹雪はそこに居た。
しかし、敵は居なかった。
同人に出てきそうなオジサンも居なかった。
┌(┌ ^o^)┐も居なかった。
俺は吹雪の様子を見てこう言ったのだった。
提督「...何やってるんだ、吹雪?」
と。
吹雪「痛たた...」
どうやら板が相当傷んでいたのか。
私は空いた穴に落ちてしまったみたいです。
穴から出ようと努力しますが...
吹雪「うぅ...服が板に引っかかっていて穴から出られません。」
無理に引っ張ると破れてしまいそうでした。
気をつけて外すしか無いのでしょうか?
そう思った途端声が聞こえました。
提督「吹雪!大丈夫か?」
吹雪「司令官!?なぜここに!?」
それは他でもなく、司令官の声でした。
こ、これはまずいです。
いま穴にはまっている様子をもし提督に見られたら...
___パターン1___
提督「吹雪...何やってるんだ?」
吹雪「た、助けてくれませんか?服が板に引っかかっていて...」
提督「俺が働いているのに、お前は穴の中で遊んでいるのか?」
吹雪「い、いえ、決してそういうわけでは...」
提督「働き者だと思っていたのに...こんなサボり魔は要らないな。大本営に新しい娘を回してもらうように頼むか。」
吹雪「そ、そんな...」
---BAD END---
___パターン2___
提督「吹雪...何やってるんだ?」
吹雪「た、助けてくれませんか?服が板に引っかかっていて...」
提督「ふふっ、体重で穴が空くなんて、もしかして吹雪って結構重いの?」
吹雪「た、たしかに最近ちょっと太ったかもなんて思っていましたが。」
提督「はは、鎮守府を直すより先にダイエットするところから始めないとな。」
吹雪「す、すみません」
ううぅ...こんなのあんまりです。
---BAD END---
どっちにせよBAD ENDです...
そ、そうだ、こうすれば!
吹雪「えっと、その...そう!敵襲です!」
step1 敵が来たことにする。
提督「大丈夫なのか!?」
step2 心配される。
吹雪「私は大丈夫ですから!早く逃げてください!」
step3 私はいいから、と逃げるよう促す。
提督「大丈夫なのか!?」
吹雪「私は大丈夫ですから!早く逃げてください!」
step4 切羽詰まったような声で、危険だということを意識させる。
提督「吹雪...そんな...」
吹雪「いいから早く!」
提督「...吹雪...すまん」
step5 撤退させる。
...どうやらうまくいったようですね。
司令官は逃げちゃいましたか...そう仕向けたのは私なのに。
吹雪「なんだかちょっと悲しいですね...」
見捨てられた気がして少し悲しかったです。
吹雪「そんなことより急いで服を外さないと。」
そう言って外そうとした途端。
廊下を走ってくる音が聞こえました。
吹雪「え、まさか?」
あっという間でした。
私の居た部屋の入口を見ると。
そこに立っていたのは提督でした。
吹雪「て、司令官!?」
あまりに突然の出来事だったので。
私は驚いてしまいました。
そして、
入り口に立っていた司令官は、私を見下ろしてこう言いました...
提督「...何やってるんだ、吹雪?」
と。
(提督視点)
吹雪「あ、あのこれは別になんでもないんです。」
さあどうしようか。
穴に落ちた吹雪を見ながら俺は考える。
そう、俺は女性との関係を築くのが苦手なのだ。
しかし、艦娘と共に生活する以上頑張らなければいけないとは思ってはいたが、まさか初日からこんなことになるとは...
吹雪「...司令官?」
吹雪が少し訝しげな表情でこちらを見ている。
イカンイカン、黙り込んでいたので心配させてしまったみたいだ。
ここはなるべく優しく、穴の事にはあまり触れないように...
提督「怪我はないか?」
よし!声色、表情、すべて完璧だ!
吹雪「えっと、怪我はないんですがその...」
提督「ん?どうした?」
吹雪「足が泥に埋まっちゃって、その...動かせないので...引っ張り出してもらえませんか?」
なんと足が泥に埋まっているとな。
見た感じ細いのに足埋まるんだ...
提督「...しょうがないな、ほら、俺の手を掴め。」
吹雪「すいません司令官、ありがとうございます...」
俺は伸ばされた手を掴むが、
提督「うぉ!?」
すぐ離してしまう。
吹雪が驚いた顔で自身の手を見つめる。
吹雪「あ...手が汚れてました...ごめんなさい、今きれいにしますから。」
提督「あぁ!いや、違うんだ吹雪!」
違う、確かに手が汚れて多少ザラザラしていたのは事実だが。
提督「ただちょっとお前の手の綺麗さに驚いただけだ。」
それ以上に綺麗で美しく、スベスベしていたのだ。
女の子の手ってあんなに綺麗でスベスベなんだなぁ...
吹雪「綺麗...ですか?」
提督「あぁ、とってもきれいだよ吹雪」
吹雪「...本当ですか?」
などと言いながら、吹雪は頬を赤らめてえへへと笑った。
なんかこんなセリフを発していると、危ないシーンと勘違いされないだろうか...
俺の心配はともかく、吹雪はとても嬉しそうだ。
どうやら好感度を上げれたようなので良しとしよう。
...しかしさっきのセリフ、結構恥ずかしいものだな。
(提督視点)
まあその後なんやかんやあって吹雪を救出した。
...実際かなり重かったとは口が裂けても言えない。
そんなバカなことをやっていたら、
日はあっという間に暮れてしまった。
俺は持ってきた缶詰を吹雪と分け合い、
鎮守府の中の比較的きれいな部屋を見つけ、
吹雪に布団を渡し、
二人で仰向けに寝転びながら星を眺めた。
吹雪「きれいな空ですね。」
提督「本当だな、いつも街から見る空とは全然違うぜ。」
吹雪「あの、司令官にいくつかお聞きしたい事あって...」
吹雪が遠慮がちに話しかけてくる。
提督「なんだ?」
...なんだろう?
吹雪「その...司令官さんの名前を聞きたくて...その...書類にしっかり目を通す時間がなくて...」
急遽着任が決まったんだ、仕方がないさ。
提督「あぁ、そういえばまだ言ってなかったっけ、芦辺 篤人っていうんだ。」
吹雪「篤人さんですか...いい名前だと思います。」
いい名前ね...
提督「はは、由来はよくわからんけどな。」
吹雪「あ、そうなんですね。」
あ、そうだ。
提督「呼ぶときは、司令官でも、篤人さんとかでも構わんからな。」
吹雪「うーん、私は司令官って呼びたいです。」
提督「そうか、わかった。そんじゃ改めてよろしくな、吹雪。」
俺がそう言うと、
吹雪は眩しい星空に負けないぐらいの笑みで言った。
吹雪「はい!こちらこそよろしくです、司令官!」
(吹雪視点)
吹雪「あ、あのこれは別になんでもないんです。」
そんな言い訳みたいなことを私は言った。
司令官の目が...怖い。
穴にはまった私を司令官はじっと睨みつけています。
まるで目の前の小動物を、
どうやって処刑してやろうか考えているみたいに。
吹雪「...司令官?」
私は勇気を振り絞って声を出しましたが、
これが精一杯でした。
次の瞬間提督が口を開いてこう言いました。
提督「怪我はないか?」
怪我の心配をしてくれているようです。
どうやら怒ってはいないようでした。
吹雪「足が泥に埋まっちゃって、その...動かせないので...引っ張り出してもらえませんか?」
足が泥に埋まるなんて...うぅ、私ってそんなに重いんでしょうか...
提督「...しょうがないな、ほら、俺の手を掴め。」
吹雪「すいません提督、ありがとうございます...」
私が手を伸ばして司令官が私の手を掴んだ、
までは良かったのですが。
提督はすぐ私の手を離してしまいました。
私は自分の手を見て気が付きました。
私の手は鎮守府探索でかなり汚れていたのです。
吹雪「あ...手が汚れてました...ごめんなさい、今きれいにしますから。」
私が服で手をふこうとした途端、
提督「あぁ!いや、違うんだ吹雪!」
...?どういうことでしょう?
提督「ただちょっとお前の手の綺麗さに驚いただけだ。」
...え!?綺麗...ですか?
私は思わず尋ねました。
吹雪「綺麗...ですか?」
提督「あぁ、とってもきれいだよ吹雪」
...なんだかとっても嬉しいです。
あれ?笑いが止められなくなっちゃいました。
えへへ...
そして穴から助けられた後、
私は司令官と二人で床に寝転んで星を見ています。
吹雪「きれいな空ですね。」
提督「本当だな、いつも街から見る空とは全然違うぜ。」
吹雪「あの、提督にいくつか聞きたいことがあって...」
提督「なんだ?」
...今なら聞いてもきっと大丈夫でしょう。
吹雪「その...司令官さんの名前を聞きたくて...その...書類にしっかり目を通す時間がなくて...」
こんなの初期艦として失格ですよね...
でも司令官は一つも責めずに、
提督「あぁ、そういえばまだ言ってなかったっけ、芦辺 篤人っていうんだ。」
篤人さん
吹雪「篤人さんですか...いい名前だと思います。」
提督「はは、由来はよくわからんけどな。」
吹雪「あ、そうなんですね。」
提督「呼ぶときは、司令官でも、篤人さんとかでも構わんからな。」
最初から呼んでいた方が良いかな。
吹雪「うーん、私は司令官って呼びたいです。」
提督「そうか、わかった。そんじゃ改めてよろしくな、吹雪。」
きっと篤人さんは私を初期艦として認めてくれたのでしょう。
しかし私はまだまだ不足です。
まずはできることからやろうと思います。
だから私ができる最高の笑顔で言いました。
吹雪「はい!こちらこそよろしくです、司令官!」
とびっきり良い返事でしたね。
提督「そんで、他にも聞きたいことがあるんだろ?」
"いくつか"って言ってたからな。
吹雪「あ、そうでした。その司令官の帽子について聞きたくて。」
吹雪がおれの頭を指さしながら言う。
提督「ん?あ、これか?」
吹雪「最初にお会いしたときから気になってはいたのですが。」
提督「なんで帽子だけ色褪せてるか、ってことか?」
吹雪「そうです。」
提督「...まぁなんだ、よくある話だが、この帽子は元々親父のなんだ。」
吹雪「司令官のお父さまも海軍で働いてたんですね。」
提督「...あぁ...俺と同じく司令官だった、艦娘を統べる役職だ。」
吹雪「そうだったんですね、できれば今度お会いしt」
提督「...っ、さぁもう寝るか!流石に疲れてきたわ。」
俺はそこで吹雪の話を遮った。
吹雪「...そ、そうですね。もう遅いですからね。」
提督「お休み吹雪。」
吹雪はお休みなさいと言ったんだろうが、
俺はその声に耳を貸さず、
そのまま深い眠りについた。
深い深い、深海へと誘われていくような眠りだった。
提督「そんで、他にも聞きたいことがあるんだろ?」
司令官の声で思い出しました。
吹雪「あ、そうでした。その司令官の帽子について聞きたくて。」
普通新品が支給されるはずなのに。
提督「なんで帽子だけ色褪せてるか、ってことか?」
吹雪「そうです。」
提督「...まぁなんだよくある話だが、この帽子は元々親父のなんだ。」
吹雪「司令官のお父さまも海軍で働いてたんですね。」
提督「...あぁ...俺と同じく司令官だった、艦娘を統べる役職だ。」
お父様も司令官なんですね。
艦娘として会ってみたいです。
吹雪「そうだったんですね、できれば今度お会いしt」
その時でした。
私の言葉が終わらないうちに、
提督「...っ、さぁもう寝るか!流石に疲れてきたわ。」
提督は私の話を遮りました。
その時の司令官は、
どこか寂しそうで、
同時に悲しそうに見えました。
私はそれを見てとっさに言いました。
吹雪「...そ、そうですね。もう遅いですからね。」
提督「お休み吹雪。」
私がお休みなさいと言う前に、
司令官は毛布にくるまって寝てしまいました。
きっと、何かがあったんでしょう...
ですがそれは今は知らなくてもいいことなんだと思います。
...私も寝ることにしましょうか。
吹雪「お休みなさい。」
誰に言ったのかわからないその言葉は、
星空を写す深海へと消えていきました。
夢を見ていた。
もう二度と思い出したくはなかったあの日の夢。
母親は確かにこう言った。
「必ず帰ってくるから」
母親が微笑みながら海へ出ていく。
彼は何もできずに燃える海を眺めていた。
朝日が昇る何も無くなった水平線を見て。
母親を海岸で待ち続けた。
しかし母親は帰って来なかった。
そして少年は言ったのだった。
「...艦娘なんて大嫌いだ」と...
————————————————————-
朝、いつも通りの時間に目覚まし時計がなる。
時刻は4:30だ。
このまま目を覚ましてしまっても良いのだが。
俺は敢えて布団から出ない事にしている。
何故かって?
すぐにわかるさ。
—15分後—
廊下を歩く足音が聞こえる。
そしてドアが開かれると共に元気な声が俺の寝床に響き渡る。
吹雪「司令官!おはようございます!」
勿論返事はしないが。
吹雪「あれー?またですかぁ...?」
吹雪「目覚まし時計あるのに変だなぁ...」
なんて言いながら毎朝起こしにきてくれている。
彼女は俺の初期艦の吹雪だ。
俺の布団を揺すりながら吹雪は言う。
吹雪「しーれーいーかーん!あーさーでーすーよー!」
...もう画面の前の皆さんもお気付きであろう。
そう、俺がわざと起きなかったのは...
“これ”のためなのだ。
もう良いだろうか。
提督「吹雪、おはよう」
吹雪「その反応...実際少し前から起きてましたよね?」
提督「ンー?ソンナコトナイヨー。アーヨクネタナー」
吹雪「...いつもこうなるんですよね。」
呆れたような、そして少し嬉しそうな声で吹雪は言った。
提督「...そろそろ真面目に起きるか。」
そう言って俺は布団から出る。
吹雪「おはようございます!司令官!」
提督「吹雪、おはよう。」
こうやって
俺たちの朝はスタートする。
吹雪「おはようございます!司令官!」
嬉しそうに口に出した。
筈だった。
しかし私は、
どうしても素直に受け入れられない。
そう、
司令官があまりにも優しすぎるのだ。
勿論出会った最初の日から彼の優しさは感じていたのだが...
最近は何かが違う...
上手くは言えないが、
最近の司令官からは...
どこか機械的なものを感じてしまうのだ...
何故なのだろう...?
考え込んでいると
提督「吹雪?どうかしたか?」
吹雪「あ、いえ、大丈夫です!なんでも無いです。」
提督「そうか、何かあったらすぐに言うんだぞ?」
吹雪「ありがとうございます!でも本当に大丈夫ですから...あ!朝ごはんができたみたいですよ!私、先に行ってますね!」
何かわからないけれども何かある気がするけども、
今はわからない。
でもいつかきっとわかる筈...
私は食堂へと走った。
そんな吹雪を
彼ははまるで表情を貼りつけたような笑顔で見守っていた
そしてため息をひとつついた後
ゆっくりと食堂へ向かったのだった。
時刻はマルナナマルマル
朝食の時間だ。
食堂は夜間の遠征から帰ってきた艦娘達や、
これから任務へ赴く艦娘達で少々混雑していた。
朝食を貰いに行こうと厨房へ向かおうとすると
睦月「おはよう、吹雪ちゃん!」
吹雪「あ、おはよう睦月ちゃん。」
彼女は睦月ちゃん。
この艦隊に初期の頃から居るので私と仲が良い艦の一隻だ。
彼女が食べているのはカレーだ。
普通カレーは土曜日に食べるものらしいが、
「美味いもんはいつ食べたって良いだろうが」
との司令官の進言のおかげで、
うちの食堂では毎日カレーが食べられる。
なお睦月ちゃんが食べているカレーを見ると、
どうやら今日のカレー担当は比叡さんらしい。
もう一人のカレー担当は足柄さんなのだが、
彼女のカレーはカツカレーなので、
見ればすぐにわかるのだ。
比叡さんのカレーといえば他の鎮守府では、
「◯人カレー」や「核◯器」だったりと、
散々な言われ方をしているが、
有難いことに、うちの鎮守府に比叡さんは料理がとても上手だ。
なおこの鎮守府では、
足柄カレー派VS比叡カレー派などという構図がどこかで出来上がっているとかいないとか...
睦月「吹雪ちゃん?大丈夫?」
吹雪「..え?あ、あぁ、大丈夫だよ睦月ちゃん。」
睦月「吹雪ちゃん、もしかして...少し疲れてるんじゃない?」
疲れている?私が?
睦月「私は最近疲れてるかも。最近の提督、少しの損傷じゃ撤退許してくれないし、若干疲労が溜まってても任務与えてくるし...」
吹雪「...」
睦月「あ、いや、別に文句を言っている訳では無いんだよ、むしろ今までが優しすぎたというか...」
確かにそうだ...
今思えば心当たりが無いこともない。
そういえば...1ヶ月ほど前に...何かがあったような...
私は思考の中を走る。
そして1ヶ月前の記憶を探そうとする。
しかし霧のようなモヤで隠れてよく思い出せない。
どうして?今までこんな事無かったのに.......
....ちゃん。
睦月「吹雪ちゃん?」
私は我に返った。
睦月「吹雪ちゃん...やっぱり疲れてるんじゃないの?」
私の返事がないので心配してくれたようだ。
吹雪「ねえ睦月ちゃん。1ヶ月くらい前に何があったか覚えたりしない?」
睦月「...1ヶ月くらい前?」
私はゾッとした
私が言葉を発した途端に、
睦月ちゃんの目が急に曇掛かったようになった気がしたから。
暫くの沈黙が流れる。
そして睦月ちゃんが口を開く。
睦月「うーん、知らないなぁ。」
そう言った頃には睦月ちゃんの雲掛かったような目は元に戻っていたが。
私は汗びっしょりになっていた。
吹雪「...そっか。」
私はなんとかその言葉を捻り出した。
その時司令官が私を呼んでいるのが聞こえた。
吹雪「あ、ごめん、呼ばれてるからもう行かなきゃ。」
睦月「...そっか。じゃあまたね!」
吹雪「うん...またね。」
そして、私は逃げるように司令官の元へと向かったのだった。
しかし私は知らなかった。
私が去った後。
睦月ちゃんはやはり「あの目」で見ていた。
まるで雲掛かったような。
空虚を眺めるような目で...
吹雪「お呼びでしょうか?司令官。」
提督「あぁ、その...なんだ。一緒に食べようと思っていたのに見当たらなかったからな。」
吹雪「あ、ごめんなさい!私気がつかなくて...」
提督「別に気にしちゃいないさ。さぁ、食べようか。吹雪の分も取ってきたから。」
吹雪「はい!ありがとうございます、司令官!」
私はひとまず席に着き、
司令官に取ってきて頂いた朝食を食べ始める。
睦月ちゃんの事を考えながら。
「あの目」は絶対に普通じゃない。
少なくとも、今まで私はあんな目をした艦娘を一度も見た事はない。
やはり何かがおかしい気がする...
上手くは言えないけれど、
やはり気になるのは1ヶ月前の事...
どうして思い出せないんだろう?
うーん...
提督「吹雪?どうした?何か考え事でもしてるみたいだぞ?」
吹雪「ああいえ、大丈夫です!大丈夫ですから!」
まあいいや。
ひとまずその事は置いておこう。
そのうち思い出せるかもしれない...
うん、きっとそうだ。
そして私はカレーを食べようとした。
その時私はある事に気がついた。
吹雪「...司令官?司令官の分のカレーが見当たらないのですが?」
提督「ああ、取ってきてないからな。」
吹雪「え?食べないんですか?」
提督「なんだか最近食欲があまりなくてね。」
吹雪「司令官、もしかしてお疲れなのでは?」
提督「いや、そんな事はないよ。むしろ最近調子がいいくらいなんだ。きっと軽い夏バテだろう。」
吹雪「そうですか...それなら良いんです。」
私はカレーを黙々と食べていると。
急に司令官がこんな事を言い出した。
提督「吹雪、その、なんだ...」
吹雪「はい?」
提督「いつも助かってるぞ、秘書官は大変だろうが、ありがとうな」
吹雪「へ?....あぁ!いや、良いんですよ!私も司令官の秘書官でいれて、とっても嬉しいんですから!」
提督「そうか...なんだか照れるな。」
吹雪「もぅ!司令官から始めたんですからね!」
提督「はは。そうだったな。」
私はカレーを食べながら思う。
...正直言って嬉しい。
本当に嬉しい。
どのくらい嬉しいかというと。
ダメ天使が5人集まって。ダダダダ天使が出来た時くらい嬉しい。
...え?何を言ってるのかわからないって?
...知らないですよそんな事。
自分で調べてください。
吹雪「ごちそうさまでした。」
そう言って私は立ち上がる。
提督「食べ終わったか、よし。」
司令官も立ち上がる。
提督「じゃあ今日の出撃はヒトマルマルマルだからな。遅れないように来るんだぞ。」
吹雪「はい!」
提督「じゃあ俺は執務室に戻るから、後でな。」
吹雪「わかりました!」
私は出撃準備をする為に自室へと向かった。
時刻はヒトマルマルマル。
今日もいつもと変わらない出撃の時間がやってくる。
吹雪「出撃です! 皆、準備はいい?」
私が声をあげる。
睦月「にゃしい!」
夕立「ぽい!」
島風「吹雪ちゃんおっそーい!」
吹雪「あまり前に行きすぎちゃダメだよ?島風ちゃん。」
島風「わかってまーす。」
いつもと全く変わらない光景だ。
私たちの鎮守府は昔こそ深海棲艦との会敵は少なかったとはいえ。
今ではかなりの規模の鎮守府になったからか、
はたまた近くに敵の基地ができたからなのか、
偶に駆逐艦などが偵察にやってくる。
もちろん放置していても問題はないのだが。
やはり領海に居座られると良い気はしない。
私たちの出撃はそういう敵駆逐艦を追い払う為のものだ。
夕立「今日もいい天気っぽい?」
吹雪「見たところそうみたいだねー」
島風「じゃあ早いところ見回り終わらせちゃおうよ。ここら辺の海域は天気が変わりやすいし」
睦月「島風ちゃんの言う通りだね、あの雲、若干怪しいし」
そう言って睦月ちゃんが指さしたのは。
かなり遠くに見える大きな雲。
吹雪「用心するに越した事はないし、島風ちゃんのいう通り早めに終わらせようか。」
島風「よーし、張り切っちゃうぞー」
そう言うと共に
島風ちゃんはフルスピードで海の上を航行して行ってしまった。
吹雪「島風ちゃん!何度も言うけどあまり前に行きすぎないでねー?」
まあ十中八九聞こえてないでしょうけど...
夕立「本当にいつも通りっぽい。」
睦月「でもそのいつも通りが幸せなんだよ。きっと。」
まさしくその通りだ、と私は思う。
吹雪「いつも通り...かぁ。」
私が思い出したのは今朝の出来事。
一つの感情すら持っていないような「あの目」。
私の見間違いか何かだったんだろうか。
...今は取り敢えず目の前の任務に集中しよう。
吹雪「さあ2人とも、速度を上げるよ?準備はいい?」
睦月「うん!」
夕立「任せるっぽい!」
---数刻後---
これは明らかにマズイ。
風に湿り気が混じっている。
嵐がくる。
私はそう確信した。
吹雪「睦月ちゃん、夕立ちゃん!今日はここまでで切り上げよう。」
私は2人に呼びかけると共に、島風ちゃんにも無線を繋ぐ。
夕立「でもあと少しで任務終了だよ?もう少し先まで行ってからでも良いと思うっぽい。」
勿論夕立ちゃんの言うことも、もっともなのだが
吹雪「ごめんね、万が一を避ける為だから。」
睦月「旗艦は吹雪ちゃんだよ?吹雪ちゃんがそう言うなら私はそれで良いと思う。」
島風「了解。...あともう少しだったのになぁ」
島風ちゃんも渋々ながら了解してくれたらしい。
私は無線を取って鎮守府に連絡を入れ、
嵐を避ける為、帰還する旨を伝えた。
結果から言うと
私の勘は当たっていた
実際嵐はすぐそこまで迫っていた。
しかし一つ誤算があった
嵐の足が
私が想像していた以上に速かったらしいという事だ。
引き返してすぐに
嵐は私達を襲った。
波は荒れ
大粒の雨が私達に降りかかった。
島風「嵐さん!私よりも速く動いちゃダメー!私には誰も追いつけないのー!」
そんな呑気な事を言っている場合ではないのだが...
...こんな時はどうすれば良い?
今までも嵐に遭遇したことは何度もあったが、
ここまで大きなものには出くわしたことがない、
全速で鎮守府まで駆け抜けるのがいいか...
それとも一旦止まって嵐が過ぎ去るのを待つか...
睦月「きゃあ!」
夕立「睦月ちゃん!?大丈夫っぽい!?」
ダメだ
睦月ちゃんは配属されてからまだ日が浅い
このまま長居すると最悪転覆する。
ここは多少危険だが全速で駆け抜けるのが最善か...
私は無線を取って
吹雪「みんな!機関全速!駆け抜けるよ!」
島風「私に任せて!どんどん行っちゃうから!」
夕立「了解っぽい!」
睦月「わかったよ!吹雪ちゃん!」
私たちは速度を上げ
鎮守府近海までたどり着いた...
そこまでは良かったのだが...
これで一安心
私は気を緩めてしまった。
それがいけなかった。
その時だった
睦月ちゃんの悲鳴が聞こえた。
吹雪「睦月ちゃん!?大丈b...」
夕立「吹雪ちゃん危ない!!」
吹雪「...え?」
突然の大波に流された睦月ちゃんと、
私は衝突してしまったのだ。
夕立「吹雪ちゃん?睦月ちゃん?しっかりして!!」
かろうじて転覆は免れたのだが、
私の意識は、
そこで一旦途切れた。
気がつくと
私は鎮守府ベッドの上にいた
窓から溢れてくる光の様子から見ると、
どうやら早朝らしい。
枕元の時計を確認すると
時計はマルヨンマルマルを指していた。
どうやら一晩中眠っていたようだ。
...そういえば!
吹雪「睦月ちゃんは...大丈夫!?」
明石「彼女なら無事ですよ。」
吹雪「...明石さん」
彼女は工作艦の明石さん
仕事は主に私達のメンテナンスだ
一言にメンテナンスと言っても
その仕事内容はは多岐にわたる。
怪我をした艦娘の応急手当てや
壊れた道具の修理、
艦娘のカウンセリングなんていうのもやっているらしい
学校で言えば養護教諭といったところか。
彼女は二週間ほど前に
この鎮守府に配属されたばかりだったからだ。
吹雪「あの後...私達どうなったんでしょうか?」
私が恐る恐る訪ねると
明石さんは優しい声で教えてくれた。
あの後、
夕立ちゃんが鎮守府に緊急の無線を入れてくれたこと。
その後私達無事を救出した事。
鎮守府近海でなければ危なかった事。
明石さんが話してくれた話は、
大体そんなところだったろう。
もっとも私の頭には、
半分もその内容が入っていたかは怪しいが,..
私の心には自責の念が渦巻いていた。
この事故は回避できたのではないか、
速度を上げたのがいけなかった、
私が油断したのがいけなかったんだ、だとか。
そんな気持ちばっかりだった。
そんな私の心中を察してか、
明石「あまり自分を責めても仕方がありませんよ。」
といったかと思うと、
明石「私はまだやることがあるので、一旦失礼します。もし何かあったら呼んでくださいね。」
明石さんは扉を静かに閉めて
部屋から出ていった。
吹雪「自分を責めても仕方がない...ですか。」
確かのその通りだと
私は思った
次こんな事を起こさないために
どうするべきかを考えるのが良いだろう。
だが...
吹雪「そんなことができれば苦労しないんですよね...」
誰もが同じ意見だろう。
吹雪は
吹雪「ああ!もう!」
と言ったかと思うと、
起こしていた体を勢いよく布団に押し付けた。
所謂ふて寝スタイル...とでも言おうか。
吹雪「...ああ、もう」
弱々しい声でもう一度吹雪は呟いた。
その時だった、
吹雪は自分の布団の中で、
何かが腕に当たったのを感じた。
吹雪「...何だろう...これ?」
その瞬間、
吹雪の記憶が蘇る。
全てを思い出した後に、
吹雪は言った。
吹雪「...私...何であんな事を忘れてたんだろう...どうして...?」
一週間前の事
鎮守府に一本の無線が飛ぶ
朝潮「司令官!!...大潮が!!大潮が!」
朝潮の声は
普段の彼女からは想像できないほど
切羽詰まっているようだった
提督「朝潮!待ってろ、すぐに支援を送る!」
俺は思った
これは明らかに異常だ
大丈夫なはずだ...
大丈夫であってくれ...
俺はそう心の中で必死に願っていた。
数刻後
朝潮達は帰還した。
しかし...
提督「...嘘...だろ。」
大潮を除いては、だ。
朝潮「大潮!...しっかりして!」
駆逐艦「大潮」はぐったりとした様子で
朝潮の腕の中にいた
どうやら道中で潜水艦にやられたらしい。
いつもだったら潜水艦くらい平気な筈だが...
今回は運が悪かったらしい。
数本の魚雷が大潮一隻を目掛けて放たれた。
勿論避けようとはしたのだが。
いかんせん数が多すぎたらしい。
魚雷をモロにくらい。
機関が停止してまでも。
ダメ押しと言わんばかりに敵は魚雷を放ってきた。
普段はこんな行動は取らないはずだが...
...一体どうして。
そんな事を考える暇もなく、
刻一刻とその時は迫っていた。
大潮の体が段々と薄くなっていく。
朝潮「大潮...しっかりしてよ...目を開けて」
大潮「.........」
朝潮「そんな笑顔はやめて!...何か言ってよぉ!」
あれ
なんだろう
体 が
おかしい ぞ
気が付いた時には
俺の体は震え、
ぶつぶつと一人つぶやいていた。
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。
吹雪「...司令官?」
吹雪が俺の顔を覗き込み。
吹雪「...大丈夫ですか?」
そう言って俺の肩に手をかけた。
その瞬間、
まるで風船を割ったかのように、
何かが俺の中で弾けた。
提督「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺の意識は完全に途切れ、
そして俺に静寂が訪れた。
一週間前の朝だった。
鎮守府に突然の緊急無線が飛んだ。
私はその日は非番で、
朝から司令官の部屋で、
本を読み耽っていた。
私が読んでいたのは「海底二万海里」
ジュール・ヴェルヌの作品だ。
何故読んでいるかと問われれば、
昔、司令官の本棚を掃除した時に、
偶然目にした本だったというだけなのだが。
何となく気になって、
先日司令官から借りてきた物を読んでいたのだった。
内容としてはまあ普通だろうか。
私が沈んだ時も、
海の底はこんな感じなのかな、
吹雪「もっとも、まだ当分沈むつもりはないですけど」
緊急の無線が入ったのは、
その言葉を言い終えた直後だった。
提督「朝潮!待ってろ、すぐに支援を送る!」
吹雪「何があったんですか?」
私は司令官にそう問いかけた。
しかし司令官は私の言葉に目もくれず、
一目散にドックへと向かった。
一人残された私は、
ようやく事の深刻さに気づき、
吹雪「ま、待ってくださいよ!司令官!」
読んでいた本を投げ出して、
司令官を追った。
後には提督の部屋の床に、
本だけが残された。
駆けつけたドックに
沢山の艦娘と
大潮はいた
その身体を見れば
ひどい攻撃を受けた事は明らかだった。
それともう一つ明らかなのは、
彼女の命がそんなに長くは持たない事だ。
身体が消えかかっているのは、
艦娘の命が終わろうとしているという事だから...
私がこの光景を見るのは初めてだった。
...泣いてはダメだ。
朝潮「そんな笑顔はやめて!...何か言ってよぉ!」
しかしダメだった。
私はいつの間にか泣いていた。
涙目で横を見ると、
司令官は体を震わせていた。
...私が勇気づけねば。
そう思い、
涙を拭って声をかけた。
吹雪「...司令官?」
吹雪「...大丈夫ですか?」
大丈夫なわけがない事はわかっている。
でも私には、
それしかできる事がなかったから。
突然だった。
司令官が叫び声を上げたのは。
提督「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
私はぽかんとしていた。
何が起こっているのかわからない。
もういやだった。
一刻も早くこの場から抜け出したかった。
そうしないと、
私も叫び出してしまいそうだったから。
朝潮「誰か助けて!...助けてよぉ!」
誰もがそう願った。
その時だった。
「ちょっと通りますよ。」
全艦娘の視線が
一瞬にしてに集まった。
その声の持ち主は明石さんだった。
そのまま明石さんは大潮に近づいていき、
朝潮の腕から大潮を連れ出したかと思うと。
何か見たこともないような機械で作業を始めた。
何をやっているのかはわからなかったが、
それに縋るほかなかった。
...
数分後、
大潮ちゃんの身体は、
完全に実体を取り戻していた。
明石さんが何をしたのかは、
さっぱりわからなかった。
大潮ちゃんがゆっくりと目を開ける。
朝潮「大潮...!大潮!」
朝潮が大潮に抱きつく。
大潮「姉さん...ごめんなさい...私...」
朝潮「無事ね?無事なのね...良かった、本当に良かった...」
明石「朝潮さん、大潮さんを早く入渠させてあげてください。準備はできていますから。」
朝潮「はい!」
朝潮ちゃんは大潮ちゃんの肩を支えながら、
入渠へと向かった。
明石「後はこっちですね。」
そういうと明石さんは司令官に近づいて、
何やら診察らしき事を始めた。
明石「なるほど、この程度ならば多少寝れば大丈夫でしょう。」
私は明石さんに尋ねた
吹雪「あの...?どうしてこんな事が?」
明石さんは淡々と
明石「ちょっとショックが強かったんでしょう。どんな提督でもそうなんですよ。多少なりともこういった状況でショックを受けてしまうんです。」
そう言った後
明石「吹雪さん、司令官を部屋まで運びましょう。このままここに居ても良い事はありません。手伝って貰えますか?」
確かに明石さんの言う通りだった。
吹雪「は、はい!わかりました。」
明石「皆さん、もう大丈夫ですから。各自持ち場に戻ってください。
皆我に帰ったかのように、
持ち場に戻って行った。
私と明石さんは一緒に司令官を持ち上げ、
司令官の部屋へと向かう。
その途中で、
私はどうしても聞かなければと思っていた事を、
明石さんに尋ねた。
吹雪「明石さん、先程は大潮ちゃんを助けてくれてありがとうございました。ですが...」
私が言い切る前に、
明石「私がどうやって大潮さんを助けたのか。という事ですね?」
明石さんはこう言い切った。
読まれていた。
吹雪「えぇ、まあそうなんですが...」
明石さんは言った。
明石「私は彼女の受けたダメージを分散させただけです。」
私が"どうもよくわからない"という顔をしていたからか
明石さんはこう説明してくれた。
明石「例えばの話ですが。人間が一発の銃弾をくらったとしましょう。」
私は相槌をうつ。
吹雪「ええ。」
明石「一発は一発です。しかしその身体への影響は"どこ"に当たったかによって大きく異なります。」
吹雪「確かに。」
明石「私はその所謂"急所"人間で言えば脳天や、心臓、肺などですが、艦娘で言えば"機関部"ですね。そこが受けたダメージを、命に関わる事が少ない腕や脚に移したんです。」
吹雪「な、なるほど。」
理解が追いつかない。
明石「まあこれはかなり難しい技術ですから、使える艦娘はそう多くはありません。私の場合は...まあ慣れみたいなもんです。」
私は絶句していた。
明石さんは一体...
明石「司令官の部屋につきました。ドアを開けていただけますか?」
吹雪「はい。」
ドアを開けた後
明石さんと私は司令官をベッドに寝かした。
明石「まあおそらく心配はありませんが、念のため今日1日は休ませるべきでしょう。」
私は感謝して
吹雪「明石さん...!本当にありがとうございました!」
明石さんはまた淡々と
明石「お礼なら要りませんよ。司令官をみててあげてくださいね。」
そう言って、
明石さんは部屋を出て行った。
それから、
午前中は司令官の部屋にいて、
午後からは...
そうだ、
いきなり大本営から、
艦娘のデータ採取をするという旨の通達が来て、
私達艦娘は皆...
吹雪「これを取り付けられたんだ...」
私はベッドの上に転がっている、
腕輪のような物を見つめながら言った。
一体この腕輪はなんなのだろう...?
この腕輪から一体艦娘の何がわかるのだろう?
今考えてみれば、
データ採取にしては不自然な点があった。
それは、
通達が急だった事。
ハッキリと言って、
艦娘のデータ採取ならば
予め計画を立てておくのが普通だ、
そんな行き当たりばったりにやっても効果が薄い事は、
大本営が理解していない筈は無い。
もしかしてデータ採取と言うのは建前で、
本当は、
私たちに、
吹雪「あの日の出来事を思い出させないのが目的だった...?」
にわかには信じ難いが、
あの機械には何か艦娘の記憶に干渉する機能があって、
私達があの日の出来事を思い出す事を阻害していたのだとしたら...
私は仮説を立てた。
なるほど。
これならば睦月ちゃんや私が、
出来事を覚えていなかったのにも納得がいく。
しかしどうしてそんな事を...?
いや、
先ずはこの仮説を確かめるのが先か。
私は計画を練り始めた。
吹雪「...困りましたね」
私はそう言って頭を抱えた。
この機械が外れている事がバレたのならば、
私はきっと無事では済まないだろう。
大本営に拉致され、
記憶を消されて、
また機械をつけられるのがオチだろう。
そうなると...
吹雪「あまり長引かせるわけにはいきません。」
最初は全員の機械を外そうと思っていたが、
流石にそれでは時間が足りない。
きっとそのうちにバレてしまう。
だったら...
吹雪「一人でも味方につけてみるべきですかね?」
周りが全員敵の状態だ、
この状況を脱するのならば、
一人でも仲間は多い方がいい。
そう考えての事だった。
問題は、
誰を味方につけるか、
という事であった。
長門さんがいいか...?
戦闘に関してはかなり力強い味方になってくれる筈だ。
しかしどう上手く行くだろうか?
大本営も長門さんが有能な事は知っている筈。
万が一、
偶然私のように大本営に従わない者が出たとして、
敵対するかもしれないという可能性を考慮しないことが
あろうか?
答えは"No"だ。
間違いなく警戒されているに違いない。
じゃあ青葉さんはどうだ?
彼女なら大本営から情報を持ってくる事も、
きっと可能な筈だ。
しかし...
青葉さんに怪しまれたら最後、
私が不審な動きをしている事がすぐに広まってしまう。
結局、
あの人でもない、
この人でもないと考え続けた結果。
吹雪「最初は睦月ちゃんが良いかな...」
私の親友でもあり、
弟子みたいな睦月ちゃんならば、
今度の出撃の打ち合わせをするなどと伝えれば、
怪しまれる事なく接近できる筈。
そう考えた私は、
作戦の決行を明日とした。
そうと決まれば今日は普段通りに振る舞おう。
この計画がバレぬよう。
私はその日の午後を司令官との執務に費やし、
その後眠る為にベッドに入った。
入る前は、
昼間寝たので、
寝付けるのかが若干心配だったが。
そんな事を心配する必要はなかったようで、
私はすぐに深い眠りについた。
朝まで目は一度も覚さなかった。
いつも通りの朝が来た。
普段と別段変わらぬ朝。
私は、
普段と変わらぬ素振りで、
淡々と身支度を整える。
顔を洗い、
制服に着替え、
朝ごはんを食べ、
歯を磨き、
出撃の準備を整え、
港へ向かった。
睦月ちゃんは、
もうすでに港にいて、
準備体操をしているところだった。
私が来るのが見えたのか、
睦月ちゃんは此方へと駆けてきた。
睦月「吹雪ちゃん...えっと、おはよう。」
吹雪「おはよう、睦月ちゃん」
明石さんの言っていた通り、
彼女には深刻な損傷はなかった様だ。
睦月「...あのっ!」
睦月ちゃんは若干俯きながら。
睦月「昨日はごめんね...私が高波に慣れていないが為に...本当にごめんなさい!」
吹雪「睦月ちゃんの所為じゃないよ。私が上手く指揮を取れなかったのも悪かったし。」
睦月「だけど...」
吹雪「いつまでもそんなこと言ってないで、あまり自分を責めすぎちゃダメだよ?」
睦月「...」
吹雪「お互いに無事だったんだから。それで良いでしょ?ね?。」
私は敢えて明るめにそう言った。
睦月「...そうだね。ありがとう、吹雪ちゃん!」」
取り敢えず睦月ちゃんの精神は、
これである程度は落ち着いたろう。
睦月「吹雪ちゃん、私頑張るから!」
吹雪「うん!今日も一緒に頑張ろう!」
そう言って二人で笑いあった、
次の瞬間、
夕立「話はまとまったっぽい?」
吹雪「うわぁ!?夕立ちゃん!?」
夕立ちゃんは、
まるで忍者の様に、
木に脚をかけてぶら下がっていた。
睦月「なんでそんな所にいるの?普通に話に入ってくれば良いのに。」
睦月ちゃんがそう言ったところ
夕立「"てえてえ"の間に割り込むと、剣を持った
"えるふ"って奴にやられるって、昔話をよくお
じいちゃんからよく聞かされたっぽい。だから
夕立、邪魔にならない様に気をつけたっぽい!」
...それは本当に昔話なんだろうか?
睦月「てえてえ?...ってなんだろうね、吹雪ちゃん。」
吹雪「さあね?なんなんだろうね?」
私はとぼけた。
吹雪「あ、そうだ、睦月ちゃん。」
睦月「なぁに?吹雪ちゃん?」
私は敢えて今思い出したかのように、
吹雪「出撃後にちょっと相談したいことがあるんだけども。」
睦月「うん!良いよ。じゃあお昼ご飯の後にしよう。」
吹雪「うん、そうしよう」
これで一先ずはよし...と
夕立「あ!もう出撃の時間っぽい!」
吹雪「え?嘘!?」
時計を見ると
もうそんな時間だった。
吹雪「急がなきゃ。」
遅れるのはまずい。
夕立「じゃあ、海辺まで競走するっぽい!よーいどんっ!」
夕立ちゃんが駆けていく。
それを追って、
私たちも海辺へと向かう。
浜風がいつもに増して気持ちよかった。
その後、
私たちは無事に任務を終え、
鎮守府に帰投した。
夕立「今日は特に何もなくてよかったっぽい!」
夕立ちゃんの言う通り、
今日は嵐にも会わず、
会敵も無く、
本当に何もなかった。
良いことのはずなのだが、
私は何か不吉な予感がしてならなかった。
自分で言うのもなんだが、
私のこういう時の勘は、
大抵当たっているのだ...
しかしどうしようもないのだ。
私が考え込んでいると。
睦月「吹雪ちゃん、じゃあ後でね。」
吹雪「...うん、また後でね。」
そう言って睦月ちゃんは自室に入って行った。
吹雪「...考えていてもどうしようもない...か。」
そう呟いて、
私も執務室へ戻った。
それから昼間は雑多な任務を片付け、
ようやく睦月ちゃんとの約束の時間になった。
場所は鎮守府裏の森の近くだ。
焦るな...
一旦落ち着こう。
睦月「吹雪ちゃん、おまたせ!」
あいにく落ち着いている暇などなかった。
吹雪「あ、睦月ちゃん。来てくれたんだね。」
睦月「でも次の作戦の相談なら、夕立ちゃんと島風ちゃんも一緒の方が良かったんじゃ無いの?」
若干怪しまれたか?
吹雪「そうだね、次からはそうした方が良いかな。」
睦月「うん!皆んなで話した方がきっと上手くいくよ。」
取り敢えずは大丈夫な様だ。
この後、
2,3つ程の他愛もない会話が終わると、
私はついに本題へ移った。
吹雪「あのね、睦月ちゃん。」
睦月「うん?どうしたの吹雪ちゃん。」
吹雪「...一週間くらい前、何があったか覚えてる?」
刹那、
睦月ちゃんの目が明らかに変わった。
あの人食堂で見た、
何も感情が感じ取れないあの目。
睦月「...うーん特に何もなかった気がするけど?何かあったっけ?」
吹雪「うん、ほら、港d...」
言い終わらぬうちに、
睦月「ごめんちょっと良く覚えてないかも。」
そう言うと思った。
吹雪「嘘だよ。」
睦月「嘘なんか...」
吹雪「だってあの時睦月ちゃんは居たもの。私は覚えてるよ。」
私は一気に畳み掛ける。
睦月「...」
そして睦月ちゃんに近づいて、
腕を確認しようとしたのだが、
私の身体は宙を舞っていた。
理解が追いつかない。
睦月ちゃんに視線を向けると、
睦月ちゃんはあの目を私に向けながら、
睦月「ねエ、吹雪チャん?この世ニはね、思い出シちゃいケない事もあるんダよ?」
明らかに様子がおかしい。
吹雪「これはちょっと不味いかな...」
私は一人呟いた。
しかも、
睦月ちゃんを良く見てみると。
吹雪「艤装を...展開してる?」
私は理解することが出来なかった。
通常艤装は海上でしか展開できない筈なのだから。
睦月ちゃんの足元を見てみると。
足元の直径1メートル程が水に変わっている。
吹雪「そんなのってあり?」
睦月「ワタシは思イ出したク無いの。」
睦月「思い出させるノなら。」
これは不味い。
睦月「死 ン デ。」
そう言うが早いか、
逃げようとした私の左頬を砲弾が掠めた。
艤装をつけていない私は
普通の人と同じ程度の能力しかない。
つまり命中すれば即死だ。
さてどうしようか。
私は森に逃げ込みながら、
次の手を探していた。
???「始まりましたね」
この人物は物陰で、
二人の様子を見ながら、
そう呟いたのだった。
はじめましての方は、はじめましてお久しぶりですの方は、お久しぶりです....BB-63 Missouri です。
遂に共通テストまで100日を切ってしまいました。
おかしい…
200の日前まではあと300日もあったのに…(当たり前)
大学受験勉強の真っ最中故、筆が亀よりも、カタツムリよりも遅いのはご容赦ください。
暫くは1〜2週間に一回のペースでの更新となる予定です。
頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願い致します(白目)
滅茶苦茶面白いです!
続きщ(゚Д゚щ)カモーン
@S.L.K llさん
コメントありがとうございます。初投稿の拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。