2019-06-13 23:18:44 更新

概要

けものフレンズの二次創作【けものフレンズR】を元にしたSSです


〜きゃんぷ〜


ともえ「アムールちゃんが夜中まで起きてて欲しいなんて珍しいよね」



イエイヌ「そうですね、いつもは暗くなったらすぐ眠るように言う方でしたのに」



ロードランナー「楽しいことでもやるんじゃないのか?」



ともえ「だったらいいなぁ………とは言うものの、まだ姿が見えない」



アムールトラ「ああすまない皆、こんな遅くまで起きてもらって」ガラッ



イエイヌ「アムールトラさん!どこいってたんですか?」



アムールトラ「誰も来ていないか確認していたんだ」



ともえ「確認?なんでまたそんなこと」



アムールトラ「お前達に起きてもらったのは他でもない、ちょっとここに座ってくれ」



ロードランナー「おう」



イエイヌ「な、なんか怖いですね………」



アムールトラ「心配するな、別に怒るわけでは無い」



アムールトラ「私達4匹、結構長いこと旅をしてきたな」



アムールトラ「皆で力を合わせて色んなことを乗り越えて、色んなところに行った」



ともえ「そうだね、とても楽しかったし、沢山のフレンズさんと仲良くなれた」



イエイヌ「ぜんぶ素敵な思い出です」



アムールトラ「で、だ………私は長い旅の中で隠し事をしてきた」



ロードランナー「ええ!?」



アムールトラ「これを言ったら幻滅するだろうから、先に謝っておく………ごめんな」



イエイヌ「だ、大丈夫ですよ!」



ともえ「そうだよ!悪い所があっても気にしないし、受け入れるから!」



ロードランナー「そうそう、でもそれにしたってびっくりだよ」



ロードランナー「アムールトラってミスすることはあっても隠し事をするような奴じゃないって思ってたからさ」



アムールトラ「そ、そうか?………ああ、分かった」



アムールトラ「………いいか、言うぞ」



ともえ「うん」



アムールトラ「私達フレンズが食べているジャパリまんってさ、定期的にボスが運んでくるよね?」



ロードランナー「あーそういえばそうだな、どこから持ってくるか知らないけど結構ある」



ともえ「おいしいよね、ジャパリまん」



アムールトラ「で、そのジャパリまんの話なんだけどさ………なんか、違和感がなかったか?」



ロードランナー「違和感?」



アムールトラ「こう、なんというか、物足りないというか」



ともえ「別に?」



イエイヌ「味は濃いですし、いくらでも食べられますね」



アムールトラ「ああ………そうだな、そうだよなぁ………」ハァ




アムールトラ「ともえ達の所に送られるジャパリまん、実は少しだけ量が少ないんだけど」



アムールトラ「その殆ど、私が食べてたんだ」



ロードランナー「…………はい?」



イエイヌ「どういうことですか?」



ともえ「………あ、なるほど、そういうことか」



ともえ「アムールちゃんは私達より早く起きてパトロールして、その後に私達と合流してジャパリまんを食べてるでしょ?」



ロードランナー「あー!そういうことか!」



イエイヌ「私達が食べる前にちょっとだけつまみ食いしていた……という事ですね」



アムールトラ「誰よりも早く起きて、パトロールして、皆の安全を確認」



アムールトラ「小型セルリアンがうろついてたら退治して、フレンズの避難もやる」



アムールトラ「肉食動物だから体力は誰よりも多いはずなのに、無性に腹が減る………」



アムールトラ「私もこれはダメだと思って我慢したりした」



アムールトラ「でも結局空腹に勝つことは出来ず、定期的にジャパリまんをつまみ食いした」



アムールトラ「食べる量を減らしたり、ある程度自分で持ち運んだり工夫もしたが耐えられなかった」



アムールトラ「だから、ともえ達がジャパリまんの数が少ないと不満を漏らす事になる前に、話しておこうと思ったんだ…………」



ロードランナー「平気平気、全然気づかなかったし」



ともえ「あたしもイエイヌも食が細いしね」



イエイヌ「はい、むしろ今の話を聞いたらアムールトラさんが積極的に食べるべきだと感じました」



アムールトラ「えっ、だ、だけど……」



ともえ「こっちもごめんね、アムールちゃんにそこまで任せっきりにしちゃって」



イエイヌ「ぱ、パトロールくらいなら私もやります」



ロードランナー「それで納得出来ないならさ、ボスに頼んでもう少しジャパリまんの数を増やしてもらえばいいしさ、それでいいんじゃない?」



アムールトラ「皆………」



アムールトラ「ありがとう、皆の前で正直に話したら少し気が楽になったよ」



ともえ「うん、あたし達はいつでも相談役になるよ」



ロードランナー「空腹で動けないとか洒落にならないけどさ、あんまり食べすぎると太るよ?」



ともえ「えっ、ジャパリまんって食べすぎると太るの!?」



アムールトラ「………………実は、ちょっとだけ贅肉が……………」



ともえ(ややぽっちゃり体型のアムールちゃんか…………うん、アリだな)グヘヘ



ロードランナー「じゃ、流れ的に次は私かな」



イエイヌ「えっ!?貴方も!?」



ロードランナー「せっかくアムールトラが腹割って話してくれたんだし、ついでに話しとこうと思う」



ロードランナー「ただ、私の話は冗談抜きて幻滅すると思う、アムールトラ以上」



ロードランナー「それくらい私にとって死活問題な内容だ、下手すりゃこの仲良しカルテットが壊滅する恐れがある」



ロードランナー「それでも言っていい?」



ともえ「そこまで言われると………」



アムールトラ「逆に気になってしまうな………」



イエイヌ「え、あ、あの………」



ロードランナー「分かった、言う」



イエイヌ「ま、待ってください!まだ心の準備が………」



ロードランナー「私、G・ロードランナー………オオミチバシリ」



ロードランナー「名前の通り、私は鳥類の中で一番早く走れるフレンズってのは知っての通り」



ともえ「うん、図鑑にも載ってる」



ロードランナー「だけども私は旅で一切走ってない」



アムールトラ「そういえばそうだな」



イエイヌ「歩くことはありますけど、基本飛んでますね」



ロードランナー「そう、そこなんだよ」



ロードランナー「プロングホーン様の前とかだと走ったりはするけど、基本私は走らない」



ロードランナー「私が地面に足をつけたりしないのは、別に何か理由があるわけじゃない」



ロードランナー「単に走ると疲れるのがイヤなだけなんだ」



ともえ「………え?疲れるのが嫌?」



ロードランナー「おかしいだろ?」



ともえ「いや、飛ぶ方が疲れないの?って思ったんだけど」



ロードランナー「走るのと飛ぶのじゃ体力の使い方が全然違ってくる、プロングホーン様曰く走る為には足を動かし、腕を振って、息遣いを整える必要があるとか何とか」


ロードランナー「つまり、手とか足とかめちゃくちゃ使う」



ロードランナー「対して空を飛ぶ行為は比較的楽、この頭の羽を振るだけでいい」



ロードランナー「羽のないやつにも分かりやすくいえば手を振るだけで自由に動けるようなものだ」



ともえ「えっ、便利すぎない?いいなぁ羽」



ロードランナー「そうかもしれない、けど私はロードランナー」



ロードランナー「飛ぶより走った方が速く動ける」



ロードランナー「でも走ると疲れるし、しんどいし、めんどくさい」



ロードランナー「傍から見ればくだらない理由で、アイデンティティを捨てたようなものだ」



イエイヌ「…………ある意味、壮絶な話です」



ロードランナー「ともえさぁ、お前見たことあるか?しまのないトラ」



ロードランナー「今、まさに私がしまのないトラ、いや『走らないロードランナー』なんだよ」



ともえ「…………うーん、ねぇ、ひとつ聞いていい?」



ロードランナー「どうした?」



ともえ「プロングホーンちゃんはそれ知ってるの?」



ロードランナー「知らない………というよりは、一番知られたくない相手だった」



ロードランナー「プロングホーン様はとにかく走ることが好きなお方だし、走ってる姿が好きであの方についてきた」



ロードランナー「………こんなんじゃ、顔向けも出来ないな」



アムールトラ「………話すことの予想はできた」



ロードランナー「さすがアムールトラだ」



アムールトラ「お前の性格を知ってればそういう結論にもなるさ、ただ………」



アムールトラ「それを自分から言い出すってことは、何か考えがあっての事なんだろう?」



ロードランナー「そこまで分かってたとはおみそれしたよ」



ロードランナー「アムールトラさ、お前めっちゃ頑張ってるじゃん」



ロードランナー「ビーストだった頃の野生の勘と戦闘力を私たちを守るってやり方で使っている」



ロードランナー「ともえは動物の個性をめっちゃ教えてくれるし、イエイヌだって痒いところに手が届く活躍してる」



イエイヌ「これ、褒められてるんですか?」



アムールトラ「むしろ、1番褒められてるぞ」



イエイヌ「えっ、………えへへ」



ロードランナー「そこイチャつくな…………お前たち3人がさ、やれる限りのことをやって助け合っている」



ロードランナー「そんな風に旅してたら、楽してる自分が馬鹿らしくなってきてな」



ロードランナー「これから、もっと足付けて走ってみるよ」



ロードランナー「この速さがまだなんの役に立つかは分かんないけど、3人に助けられた分は返すつもりさ」



ロードランナー「で、いつかまたプロングホーン様に会ったら………今話したことを正直に打ち明ける」



アムールトラ「お前、変わったな」



ロードランナー「初めて会った頃のお前ほどじゃないぜ?」



ともえ「イエイヌちゃんどうしよう、あたし泣きそう」



イエイヌ「私もです、一緒に泣きましょう」



ロードランナー「おい、あの2人泣き始めたぞ、オーバーな奴らだなぁ」



アムールトラ「そろそろお開きにするか?」



イエイヌ「あっ、待ってください!!」



イエイヌ「わ、私も………皆様に隠し事をしていたんです!!」



ともえ「えっ!?うっそぉ!?」



ロードランナー「あー、だろうな」



アムールトラ「一番隠し事をするのはイエイヌだろうと思ったしな」



イエイヌ「………え、えっと、わ、私」



ともえ「え、何?気になる」



イエイヌ「すー………はい、私、前に飲み物を皆さんに振舞った事がありましたよね」



ロードランナー「ああ、あの葉っぱにお湯を淹れたものとかいうやつか」



アムールトラ「私はあれ結構好きだぞ」



イエイヌ「ありがとうございます」



イエイヌ「その後、皆でとしょかんに行ってちゃんとした作り方をともえさんが教えてくれて………」



ともえ「うん、あの日以来イエイヌちゃんの………えーと、紅茶っていうんだっけあれ」



ともえ「あれがとっても美味しくなったんだよね」



イエイヌ「………そ、そう言われたのが嬉しくて、つい、これを………」スッ…



アムールトラ「本?持ってきたのか?」



イエイヌ「ちゃんと博士達とお話して借りてきたものです、お料理の本だとか」



ともえ「料理………料理出来るの?」



イエイヌ「今のところは、まだ………所々しか読めなくて」



イエイヌ「分かるのは【火】【野菜】【30分】くらいです」



アムールトラ「それだけでも充分凄いが………まさか、お前」



イエイヌ「は、はい………皆がいない間こっそり、この本の料理を作ろうとしているんですが、上手くいかなくて」



イエイヌ「皆に、皆に………喜んでもらいたいのに、私、ダメですね………」グスッ



ともえ「い、イエイヌちゃん泣かないで!」



アムールトラ「イエイヌ、怒るつもりは無いと言ったが、流石にこれは………」



ロードランナー「お、おい、こいつは私達を思ってやってたことなんだぞ、失敗ばかりなのも仕方ないことで」



イエイヌ「いいんですよ、私は………」



アムールトラ「お前に何かあったらどうするんだ!」



イエイヌ「……………え?」




アムールトラ「ともえ、料理作りのことはさっぱりだが、失敗したら怪我をするかもしれないものなんだな?」



ともえ「そうよ、大体の料理は刃物や火を使うからね」



アムールトラ「やっぱり………」



イエイヌ「あっ、あの、すみません………」



アムールトラ「………見たところ怪我はしていないみたいだな、あまり無茶はしないでくれよ」



アムールトラ「お前に何かあったら、ともえが悲しむぞ」



イエイヌ「あっ…………」



ともえ「イエイヌちゃん、あたし達のために料理を作ってくれようとしたのは嬉しいけど、だからと言ってこんな危ないこと………」



ともえ「イエイヌちゃんが怪我でもしたら、あたしは…………」



イエイヌ「と、ともえさん…………ごめんなさいいい」ブワッ



アムールトラ「………ここで話さなかったらどうなってたか」



ロードランナー「私の話よりカルテット崩壊の危機だったな」



ともえ「うん…………危なかった」



ともえ「でも、この料理作ってみたいよね、火は私が使うし、野菜はアムールさんの爪で切ればいいし」



ロードランナー「お、それはいいかもな、正直ジャパリまん飽きてきたし」



アムールトラ「皆で作れば絶対成功するさ」



イエイヌ「…………はい!みんなと一緒なら、きっと美味しい料理が作れるはずです!」



ロードランナー「いやー平和に終わってよかったよかった」


ともえ「流れ的に最後はあたしか、3人に比べたらどうでもいい話なんだけどね」



ロードランナー「え、お前もなんかあんの?もう眠いんだけど」



イエイヌ「私は聞きますよ、話してみてください」



アムールトラ(何故だろう嫌な予感が)



ともえ「うん」




ともえ「あたしってさ、イエイヌちゃんの尻尾が好きなの、モフいからさ」



ロードランナー「そりゃ知ってるよ、スキありゃモフってるからな」



イエイヌ「は、はい………恥ずかしいのでフレンズさんの前では控えて欲しいのですが………」カァァ



ともえ「うん、それくらいモフいのが好きなあたしなんだけどさ」






ともえ「実はあたし、脚フェチなんだよ」



イエイヌ「はい?」



ロードランナー「えっ?」



アムールトラ「………なんて?」



ともえ「あっ、脚フェチっていうのはね、としょかんの本に載ってたんだけど、脚がめちゃくちゃ好きな人のことでね」



ともえ「その言葉を見てようやく疑問が確信に変わったんだ、私はイエイヌちゃんの尻尾みたいなモフいものと同じくらい、フレンズの脚が大好きなんだって!!」カッ!!


さわさわ………


アムールトラ「えっ………ちょっ………コラっ!!何してるんだ!!」



ともえ「アムールちゃんの足………皮で隠れているから生じゃないけど、柔らかくてたまらない………」モニッモニッ



アムールトラ「や、やめないか!」



ロードランナー「あっ嫌な予感」


クニクニッ


ともえ「ロードランナーちゃんの鍛えられて引き締まった脚もいい!!このがっちがちのかた〜い脚もそそるなぁ!!」



ロードランナー「やめてくれ!なんか今日のお前変だぞ!」



アムールトラ「はぁはぁ………足を触られるなんて初めての経験だよ………」



イエイヌ「……………ともえ、さん」プルプル



ともえ「あっごめんイエイヌちゃん、もちろんイエイヌちゃんの尻尾が一番………」



イエイヌ「私の足も触ってください!!」



ロードランナー「おいいいいいい!!?」



ともえ「え、いいのぉ!?じゃあ遠慮なく!!」



アムールトラ「…………ははは」



アムールトラ「なんだか、私の予想と違ったが………これはこれで悪くないかもな」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

丸月バツ日

己の胸の内を明かしたあたし達

話し合ったあとのみんなは、まるで憑き物が落ちたかのように晴れやかな表情をしていたのでありました


イエイヌの足、たまらん


ともえ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~完~


後書き

このSSの動画化は自由です、ちょっとした改変も構いません


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